JP2004312250A - 画像処理装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】与えられたカラー画像の色を、人が見て自然な印象な色に修正する。
【解決手段】画像形成装置1は、第1表色系を用いて表されるカラー画像のデータを生成する画像入力装置3と、第2表色系を用いて表されるカラー画像のデータを顕像化する画像出力装置5との間に、カラー画像のデータの表色系変換を行う画像処理装置4が介在される構成を有する。画像処理装置4内では、表色系変換に先だって、色修正部7が、第1表色系を用いるカラー画像のデータに対して、該カラー画像内の着目画素と該着目画素の周辺画素との色の比較に基づく色修正を施す。色修正後に、色座標演算部8が、色修正されたカラー画像のデータの表色系を第2表色系に変換する。これによって、第1表色系のカラー画像のデータが、人が見て自然な印象の色を持つ第2表色系のカラー画像のデータに変換される。
【選択図】 図1
【解決手段】画像形成装置1は、第1表色系を用いて表されるカラー画像のデータを生成する画像入力装置3と、第2表色系を用いて表されるカラー画像のデータを顕像化する画像出力装置5との間に、カラー画像のデータの表色系変換を行う画像処理装置4が介在される構成を有する。画像処理装置4内では、表色系変換に先だって、色修正部7が、第1表色系を用いるカラー画像のデータに対して、該カラー画像内の着目画素と該着目画素の周辺画素との色の比較に基づく色修正を施す。色修正後に、色座標演算部8が、色修正されたカラー画像のデータの表色系を第2表色系に変換する。これによって、第1表色系のカラー画像のデータが、人が見て自然な印象の色を持つ第2表色系のカラー画像のデータに変換される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー画像の修正を行う画像処理装置、および該画像処理装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィスオートメーション(Office Automation :OA)機器のデジタル化が急速に進展している。また、画像出力装置の需要がモノクロからカラーにシフトし、さらに画像出力装置の需要がアナログからデジタルにシフトしている。これらのために、電子写真方式のデジタルカラー複写機、インクジェット方式のカラープリンタ、および熱転写方式のカラープリンタ等に代表されるような、カラー画像のデータをデジタルデータの形で処理可能な画像出力装置が、一般の利用者の間に広く普及してきている。たとえば、デジタルカメラおよびスキャナ等に代表される入力機器から入力された画像情報、またはコンピュータ上で作成された画像情報が、これらの画像出力装置に入力されて画像化される。特に、最近に至っては、前述の画像出力装置にデジタルカメラが直接接続され、コンピュータを経由させることなく、カラー画像のデジタルデータが直接授受される例もみられる。また、各種のプリンタおよび複写機を用いて、一般の利用者がカラー画像のデータを記録紙上に印刷出力することも、日常化してきている。
【0003】
しかしながら、デジタルデータ化されたカラー画像を画像出力装置で画像化する際に、ディスプレイ等に代表される表示装置上で再現される色と、記録紙上に印刷出力される色とが、異なった色になってしまっている。再現される色の違いは、色再現の手法および表色系の違い、色再現領域(Gamut)の不一致、ならびに色再現領域圧縮方法の不合致等の様々な要因に起因する。
【0004】
このように、従来では、カラー画像のデジタルデータを複数種類の画像出力装置でそれぞれ画像化する際に、画像出力装置間で表現可能な色再現領域が相互に異なる。このため、各画像出力装置では、カラー画像のデジタルデータの画像化の際に、自己で再現が難しい色を再現可能な色に置換する色再現領域圧縮が通常行われている。しかしながら、カラー画像のデジタルデータに色再現領域圧縮が施されると、いわゆる階調つぶれが処理後のカラー画像に発生している。
【0005】
階調つぶれを防止するために、以下のような従来技術が開示されている(特許文献1)。従来技術の画像処理装置は、入力色信号の色相および画像出力装置の色再現範囲の形状に関わらず色変わりが目立たずかつ同一色相の入力色信号が常に同じ色相の出力色信号となるような色域マッピングを高精度に行う。また、従来技術の画像処理装置は、特定の色相に出力色信号が集中しないように、出力色信号の色相を制御する。さらに従来技術の画像処理装置は、入力色信号ごとに基準色信号を計算しなくても色変わりが目立たずかつ同一色相の入力色信号が常に同じ色相の出力色信号となるように、色域マッピングを行う。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−262120号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術の画像処理装置は、処理後のカラー画像の階調つぶれを解消するために、画像入力装置および画像出力装置の色再現領域を参照しつつ、処理前のカラー画像のデータを構成する画素のデータに対して、色修正の処理を画素毎に施している。このように従来技術の画像処理装置は、入力されたカラー画像のデータに対する色修正時に、1画素対1画素の処理手法を用いているので、着目画素の周辺画素に対する配慮をしていない。このため、従来技術の画像処理装置で処理されたカラー画像のデータが画像化されると、色再現としては正確であっても、人が見て不自然な印象に再現されてしまう場合が生じるという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、着目画素の周辺画素に対する配慮を取入れ、入力されたカラー画像の色を、人が見て自然な印象の色に修正することができる画像処理装置および該画像処理装置を備える画像形成装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、予め定める第1表色系を用いて表現されるカラー画像のデータが入力され、該カラー画像を構成する複数の画素のうちの着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づく色修正を該カラー画像のデータに施す色修正手段と、
色修正されたカラー画像のデータを、第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表現される複数の画素のデータを含むカラー画像のデータに変換する色座標演算手段とを含むことを特徴とする画像処理装置である。
【0010】
本発明に従えば、画像処理装置は、カラー画像のデータに用いられる表色系の変換に先だって、変換前のカラー画像のデータに基づく色修正を該データに施す。色修正は、第1表色系を用いるカラー画像内の1以上の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づいて行われる。これによって、本発明の画像処理装置は、色修正時に着目画素の周辺画素に対する配慮が為されているので、与えられたカラー画像の色を、人が見て自然な印象の色に修正することができる。
【0011】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記入力されたカラー画像内の前記着目画素と前記周辺画素との明度、彩度、および色相のうちの少なくとも1つのデータの比較に基づいて色修正を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、画像処理装置は、カラー画像の画素のデータの明度、彩度、および色相等のうちの少なくとも1つを着目画素と周辺画素との間で比較して、比較結果に基づき色修正を行う。これによって、画像処理装置は、配色の概念に従った色補正を行うことができるので、与えられたカラー画像の色をより自然な印象の色に修正することができる。
【0013】
また本発明の画像処理装置は、前記第1表色系を用いて表現される複数の画素のデータを含むカラー画像内の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとを比較して、該着目画素の色修正を行うか否かを比較結果に基づいて判断する第1色修正判断手段をさらに含み、
前記色修正手段が、第1色修正判断手段によって色修正すると判断された場合、前記着目画素のデータに対して色修正を行い、色修正しないと判断された場合、該着目画素の色修正を行わないことを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、画像処理装置は、着目画素と周辺画素との比較結果に基づいて、着目画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定する。これによって画像処理装置は、第1表色系を用いるカラー画像内の全画素のうち、修正すべき画素のデータだけを修正することができるので、与えられたカラー画像の色をさらに自然な印象の色に修正することができる。
【0015】
また本発明の画像処理装置は、前記第1色修正判断手段が、
(A)前記カラー画像内の着目画素の明度値および色相値と前記周辺画素の明度値および色相値とをそれぞれ比較し、
(B)前記着目画素の色相値と周辺画素の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、該着目画素の色修正を行うと判断し、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が前記基準配色の順序と順であれば、該着目画素の色修正を行わないと判断することを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、画像処理装置は、前記カラー画像内の着目画素の色相値と周辺画素の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である状況下において、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が基準配色の順序と逆である場合だけ、該着目画素の色修正を行う。これによって、画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、画素毎に確実に判断することができる。
【0017】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記着目画素の色相角と前記周辺画素の色相角との大小関係に応じて、前記着目画素および周辺画素のうちの少なくとも一方の明度値を増減させることによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素の明度値を周辺画素に対して相対的に増減させる。これによって、画像処理装置は、配色の概念に従った色補正を、着目画素毎に容易に行うことができる。
【0019】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記着目画素の色相角と前記周辺画素の色相角との大小関係に応じて、前記着目画素の明度値と前記周辺画素の明度値とを交換することによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素と周辺画素との間で明度値を交換させる。これによって、画像処理装置は、配色の概念に従った色補正を、着目画素毎に容易に行うことができる。
【0021】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記着目画素の明度値と前記周辺画素の明度値との全体値が予め定める基準値となるように、該着目画素の明度値と該周辺画素の明度値とのうちの少なくとも一方を増減させることによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との全体値が予め定める基準値と一致するように、該着目画素の明度値と周辺画素の明度値とのうちの少なくとも一方を増減させる。すなわち、一般的な誤差拡散法が用いられる場合と同様に、カラー画像全体の明度値が一定になるように、色修正が行われる。これによって、画像処理装置は、色修正後もカラー画像全体の明度が変化しないような色修正を行うことができる。
【0023】
また本発明の画像処理装置は、前記入力されたカラー画像のデータが与えられ、該カラー画像内の少なくとも一部分の領域を選択する領域選択手段をさらに含み、
前記色修正手段は、前記入力されたカラー画像内の選択された領域に対して色修正を行うことを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、画像処理装置は、オブジェクト認識に代表される領域選択手法によって任意の領域をカラー画像内から選択し、選択された領域内の画素に対してだけ、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正を施す。これによって、画像処理装置は、入力されたカラー画像を、人が見てより自然な印象を受けるように修正することができる。
【0025】
また本発明の画像処理装置は、前記領域選択手段によって選択された領域と前記カラー画像内の該選択された領域以外の残余領域とを比較し、前記選択された領域の画素に対する色修正を行うか否かを判断する第2色修正判断手段と、
前記色修正手段が、第2色修正判断手段によって色修正すると判断された場合、前記領域選択手段によって選択された領域の画素のデータに対する色修正を行い、色修正しないと判断された場合、該選択された領域の色修正を行わないことを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、画像処理装置は、領域選択によって選択された任意の領域と残余領域との比較結果に基づいて、該選択領域内の画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定する。これによって画像処理装置は、第1表色系を用いるカラー画像内の全画素のうち、選択領域内の修正すべき画素のデータだけを修正することができるので、与えられたカラー画像の色をさらに自然な印象の色に修正することができる。
【0027】
また本発明の画像処理装置は、前記第2色修正判断手段が、
(A)前記カラー画像内の前記選択された領域の明度値および色相値と前記残余領域の明度値および色相値とをそれぞれ比較し、
(B)前記選択された領域の色相値と残余領域の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、前記選択された領域の明度値と前記残余領域の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、該選択された領域内の画素の色修正を行うと判断し、前記選択された領域の明度値と前記残余領域の明度値との大小関係が前記基準配色の順序と順であれば、該選択された領域の色修正を行わないと判断することを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、画像処理装置は、前記カラー画像内の選択領域の色相値と残余領域の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である状況下において、選択領域の明度値と残余領域の明度値との大小関係が基準配色の順序と逆である場合だけ、該選択領域内の画素の色修正を行う。これによって、画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、領域毎に確実に判断することができる。
【0029】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記選択された領域の色相角と前記残余領域の色相角との大小関係に応じて、前記選択された領域および前記残余領域のうちの少なくとも一方の明度値を増減させることによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域の明度値を残余領域に対して相対的に増減させる。これによって、画像処理装置は、選択領域に対してだけ、配色の概念に従った色補正を画素毎に容易に行うことができる。
【0031】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記選択された領域の色相角と前記残余領域の色相角との大小関係に応じて、前記選択された領域の明度値と前記残余領域の明度値とを交換することによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域と残余領域との間で明度値を交換させる。これによって、画像処理装置は、選択領域に対してだけ、配色の概念に従った色補正を画素毎に容易に行うことができる。
【0033】
また本発明の画像処理装置は、前記基準配色が、ナチュラルシーケンスに準じていることを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、画像処理装置において、色修正の有無の決定に用いられる基準配色が、ナチュラルシーケンスに順じた配色、いわゆるナチュラル配色になっている。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像に対して、自然な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0035】
また本発明の画像処理装置は、前記基準配色が、ナチュラルシーケンスに反していることを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、画像処理装置において、色修正の有無の決定に用いられる基準配色が、ナチュラルシーケンスに反した配色、いわゆるコンプレックス配色になっている。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像に対して、人工的な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0037】
本発明は、予め定める第1表色系を用いて表現されるカラー画像のデータを生成する画像入力装置と、
画像入力装置からカラー画像のデータが与えられる上述の画像処理装置と、
第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表現されるカラー画像のデータが画像処理装置から与えられ、該データを顕像化して出力する画像出力装置とを含むことを特徴とする画像形成装置である。
【0038】
本発明に従えば、画像形成装置は、第1表色系を用いる画像入力装置と、第2表色系を用いる画像出力装置との間に、上述の画像処理装置が介在される構成を有する。すなわち、相互に異なる表色系を用いる画像入力装置および画像出力装置を組み合わせて用いる際に、画像処理装置によってカラー画像のデータの表色系の変換が行われている。画像処理装置は、表色系の変換に先だって、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正を変換すべきカラー画像に施している。これによって、これによって、画像形成装置は、色修正時に着目画素の周辺画素に対する配慮が為されているので、表色系の変換に伴って生じる色再現の不自然さを防止することができるため、より使い勝手が良くなる。
【0039】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態である画像形成装置1の全体的な構成を示すブロック図である。図2は、図1の画像形成装置1内に備えられる画像処理装置4内の色調整部15の詳細な構成を示すブロック図である。図1と図2とを合わせて説明する。
【0040】
画像形成装置1は、画像入力装置3と、画像処理装置4と、画像出力装置5とを含む。画像入力装置3は、予め定める第1表色系を用いて表現される複数の画素のデータを含むカラー画像のデータを生成して、画像処理装置4に与える。画像処理装置4は、基本的には、画像入力装置3から与えられたカラー画像のデータに対して各種の処理を施し、処理後のカラー画像のデータを画像出力装置5に与える。画像処理装置4で施される処理の1つは、第1表色系を用いて表されるカラー画像のデータを、第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表現される複数の画素を含むカラー画像のデータに変換する処理である。画像出力装置5は、画像処理装置4から与えられたカラー画像のデータを顕像化して出力する。
【0041】
画像処理装置4は、概略的には、色修正部7と色座標演算部8とを最低限含む。色修正部7には、第1表色系を用いて表現されるカラー画像のデータが入力される。色修正部7は、与えられたデータが示すカラー画像を構成する複数の画素のうちの着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づく色修正を、該カラー画像のデータに施す。色座標演算部8は、色修正部7によって色修正されたカラー画像のデータを、第2表色系を用いて表現されるカラー画像のデータに変換する。
【0042】
このように、図1の画像処理装置4は、カラー画像のデータに用いられる表色系の変換に先だって、変換前のカラー画像のデータに基づく色修正を該カラー画像のデータに施す。色修正は、第1表色系を用いるカラー画像内の1以上の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づいて、画素単位で行われる。これによって、図1の画像処理装置4は、色修正時に着目画素の周辺画素に対する配慮が為されているので、入力されたカラー画像の色を、人が見て自然な印象の色に修正することができる。
【0043】
カラー画像を構成する画素のデータは、色の3要素である明度と彩度と色相とをパラメータとして直接含む、または該色の3要素を算出可能なパラメータを含む。好ましくは、画像処理装置4の色修正部7は、入力されたカラー画像内の着目画素と周辺画素との比較の際に、両画素の色の3要素のうちの少なくとも1つを比較して、比較結果に基づき色修正を行う。これによって、画像処理装置4は、配色の概念に従った色補正を行うことができるので、より自然な印象の色に修正することができる。
【0044】
画像処理装置4は、好ましくは、色修正部7と色座標演算部8との他に、第1色修正判断部9をさらに含む。第1色修正判断部9は、第1表色系を用いて表現されるカラー画像内の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとを比較して、該着目画素の色修正を行うか否かを比較結果に基づいて判断する。第1色修正判断部9によって色修正すると判断された場合、色修正部7は前記着目画素のデータに対して色修正を行い、色修正しないと判断された場合、色修正部7は着目画素の色修正を行わない。このように、着目画素と周辺画素との比較結果に基づいて着目画素のデータに対する色修正を行うか否かが決定される場合、第1表色系を用いるカラー画像内の全画素のうちの修正すべき画素のデータだけが修正される。これによって画像処理装置4は、入力されたカラー画像のデータを、さらに自然な印象の色に修正することができる。
【0045】
具体的には、第1色修正判断部9は、与えられたカラー画像内の着目画素の明度値および色相値と周辺画素の明度値および色相値とをそれぞれ比較する。着目画素の色相値と周辺画素の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、該着目画素の色修正を行うと判断する。着目画素の色相値と周辺画素の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合であっても、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が前記基準配色の順序と順であれば、該着目画素の色修正を行わないと判断する。これによって、図1の画像処理装置4は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、画素毎に確実に判断することができる。
【0046】
第1色修正判断部9において色修正の有無の決定に用いられる基準配色は、好ましくは、いわゆるナチュラル配色およびコンプレックス配色のいずれか一方になっている。ナチュラル配色とは、所謂ナチュラルシーケンスに順じた配色である。コンプレックス配色とは、所謂ナチュラルシーケンスに反した配色である。基準配色がナチュラル配色である場合、画像処理装置4は、自然な感覚を持った色修正を行うことができる。また、基準配色がコンプレックス配色である場合、画像処理装置4は、人工的な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0047】
図1の画像処理装置4において、着目画素の色修正手法は、以下の3通りある。色修正部7は、第1〜第3の色修正手法のうちの少なくとも1つを用いて、着目画素に対する色修正を行う。
【0048】
第1の色修正手法では、色修正部7が、着目画素の色相角と周辺画素の色相角との大小関係に応じて、着目画素および周辺画素のうちの少なくとも一方の明度値を増減させる。すなわち、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素の明度値を周辺画素に対して相対的に増減させる。第2の色修正手法では、色修正部7が、着目画素の色相角と周辺画素の色相角との大小関係に応じて、着目画素の明度値と周辺画素の明度値とを交換する。これらによって、画像処理装置4は、着目画素毎に、配色の概念に従った色補正を容易に行うことができる。
【0049】
第3の色修正手法では、色修正部7が、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との全体値が予め定める基準値となるように、該着目画素の明度値と該周辺画素の明度値とのうちの少なくとも一方を増減させる。すなわち、一般的な誤差拡散法が用いられる場合と同様に、カラー画像全体の明度値が一定になるように、色修正が行われる。これによって、画像処理装置4は、色修正後もカラー画像全体の明度が変化しないような色修正を行うことができる。
【0050】
図1の画像形成装置1では、相互に異なる表色系を用いる画像入力装置3および画像出力装置5を組み合わせて用いる際に、上述した手順のカラー画像のデータの表色系の変換が、画像処理装置4によって行われている。これによって、画像形成装置1は、色修正時に着目画素の周辺画素に対する配慮が為されているので、表色系の変換に伴って生じる色再現の不自然さを防止することができるため、使い勝手がより良くなる。
【0051】
画像形成装置1内で画像のデータの表現に用いられる信号形態としては、赤と緑と青との加法混色の3原色の要素を組み合わせて色を表現するRGB信号形態、およびシアンとマゼンタと黄との減法混色の3色の要素を組み合わせて色を表現するCMY信号形態が挙げられる。また印刷の分野では、減法混色の3色に黒を加えた4色の要素を組み合わせて色を表現するCMYK信号形態も多く用いられる。これら3種類の信号形態で用いられる表色系は、当然相互に異なっている。以下の説明では、赤と緑と青との3原色の組み合わせを「RGB」と略称し、シアンとマゼンタと黄との3色の組み合わせを「CMY」と略称し、シアンとマゼンタと黄と黒との4色の組み合わせを「CMYK」と略称する。
【0052】
さらにまた、画像入力装置3および画像出力装置5がそれぞれRGB信号形態の画像のデータを取扱う状況下であっても、画像入力装置3で生成された画像のデータを画像出力装置5に直接与えて顕像化する場合、両装置のシェーディングの違い等の影響のために、データ生成時に画像入力装置3が読取った原稿上の色と画像出力装置5が顕像化した画像の色とにずれが生じることが有り得る。このような例を考慮して、前述の状況下において、画像入力装置3におけるRGBを「RGB」と記し、画像出力装置5におけるRGBを「R#G#B#」と記す。
【0053】
図1の画像形成装置1は、たとえば、デジタルカラー複写機で実現される。図1および図2を参照して、画像形成装置1の詳細な構成を以下に説明する。勿論、画像形成装置1および該画像形成装置1の構成要素の詳細な構成は、以下の説明に限定されるものではない。図1の例では、画像入力装置3が用いる第1表色系はRGB信号形態の表色系であり、画像出力装置5が用いる第2表色系はCMYK信号形態の表色系である。
【0054】
図1に示すように、画像処理装置4は、A/D変換部11、シェーディング補正部12、入力階調補正部13、領域分離処理部14、色調整部15、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、出力階調補正部18、階調再現処理部19、および主制御部21を含む。前述した色修正部7と色座標演算部8と第1色修正判断部9とは、色調整部15内に含まれる。
【0055】
画像入力装置3は、RGB信号形態の画像のデータを取扱う画像読取装置によって実現される。画像読取り装置は、たとえば読取り素子を備えたスキャナによって実現される。読取り素子は、たとえばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)イメージセンサで実現される。画像入力装置3は、CCDイメージセンサを用いて、読取るべき原稿からの反射光像をRGBの3色をそれぞれ示すアナログ信号として読取ることによって、画像のデータを生成する。生成された画像のデータは、アナログ信号の形態のまま、画像処理装置4に与えられる。
【0056】
画像処理装置4には、RGB信号形態のアナログ信号の形態の画像のデータが、画像入力装置3から与えられる。与えられるRGB信号形態の画像のデータは、A/D変換部11〜階調再現処理部19までの各処理部に順次与えられて、各処理部11〜19において処理がそれぞれ施され、最終的に、CMYK信号形態の画像のデータとして画像出力装置5に出力される。A/D変換部11〜階調再現処理部19までの各処理部における処理は、主制御部21によって制御される。主制御部21は、画像処理装置4内における画像のデータに対する各種処理を統括的に制御するための制御部である。主制御部21は、たとえば、中央演算処理回路(Central Processing Unit:CPU)によって実現される。
【0057】
A/D(アナログ/デジタル)変換部は、RGB信号形態の画像のデータであるアナログ信号を、デジタル信号に変換して、シェーディング補正部12に与える。シェーディング補正部12は、与えられるデジタル信号であるRGB信号形態の画像のデータに対して、画像入力装置3の特性に基づくシェーディング補正を施す。画像入力装置3の特性に基づくシェーディング補正は、画像入力装置3の照明系、結像系、および撮像系の構成に起因して画像に生じる各種の歪みを取除く処理である。
【0058】
入力階調補正部13は、シェーディング補正部12によって処理されたRGB信号形態の画像のデータに対して、画像のカラーバランスを整える処理を施す。さらに入力階調補正部13は、カラーバランスの調整前または調整後に、与えられた画像のデータを、入力階調補正部13以後の処理部14〜19において取扱い易い信号形態のデータに変換する処理を行う。たとえば、画像入力装置3がスキャナで構成されている場合、画像入力装置3から与えられる画像のデータは、RGBの各色の反射率を示す信号で構成されている。この場合入力階調補正部13は、画像のデータの信号形態を、RGBの各色の反射率を示す信号からRGBの各色の濃度を示す信号に変換する。
【0059】
領域分離処理部14は、入力階調補正部13によって処理されたRGB信号形態の画像のデータに基づき、該画像の領域分離処理を行って、処理結果を示す領域分離信号を出力する。領域分離処理は、被処理画像を構成する画素が予め定める複数種類の領域のどれにそれぞれ属するかを判断する処理である。分離される領域は、たとえば、文字が描かれた文字領域、網点で絵が表現されている網点領域、写真が表示されている写真領域の少なくとも1つを含む。被処理画像の画素がどの領域に属しているかをそれぞれ示す領域識別信号は、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、および階調再現処理部19に出力される。また入力階調補正部13から与えられているRGB信号形態の画像のデータは、後段の色調整部15にそのまま出力される。
【0060】
色調整部15は、与えられた画像のデータに対する色修正と、色修正後の画像のデータの表色系の変換とを行う。色調整部15における色修正は、基本的には、画像出力装置5における色再現の忠実化を実現するために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを画像のデータから取除く処理である。図1の画像処理装置4では、さらに、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正が行なわれる。
【0061】
黒生成下色除去部16は、色調整部15から与えられるCMY信号形態の画像のデータに基づき、黒生成処理と下色除去処理とを行い、CMY信号形態の画像のデータをCMYK信号形態の画像のデータに変換する。黒生成処理は、CMY信号形態の画像のデータに含まれるCMYの3色の色信号から黒信号を生成する処理である。下色除去処理は、CMY信号形態の画像のデータに含まれるCMYの3色の色信号から黒の色信号分を差引いて新たなCMYの色信号を生成する処理である。CMYK信号形態の画像のデータは、画素毎に、黒生成処理で生成された黒の色信号と下色除去処理で生成されたCMYの色信号とを含む。
【0062】
黒生成処理の一例として、スケルトンブラックを用いて黒生成を行なう手法がある。スケルトンブラックを用いる手法では、被処理画素に対する黒生成処理および下色除去処理が同時に行われる。前記手法では、具体的には、被処理画素の色信号が、以下の連立式で示すように変換される。以下の連立式では、スケルトンカーブの入出力特性を「y=f(x)」、入力されるCMY信号形態の画素の各色信号を「C」,「M」,「Y」、出力されるCMYK信号形態の画素の各色信号を「C#」,「M#」,「Y#」,「K#」、UCR(Under Color Removal)率を「α」(0<α<1)と表す。UCR率αは、0より大きく1未満の数値である。
【0063】
空間フィルタ処理部17と出力階調補正部18と階調再現処理部19とは、黒生成下色除去部16から与えられるCMYK信号形態の画像のデータに対して、領域識別信号に基づく処理を順次施す。基本的には、空間フィルタ処理部17では、デジタルフィルタを用いたフィルタ処理が、画像のデータに施される。空間フィルタ処理部17における空間フィルタ処理の1つでは、たとえば、画像出力装置5で顕像化される際の画像のぼやけおよび粒状性劣化を防ぐために、該画像の空間周波数特性が補正される。
【0064】
空間フィルタ処理部17〜階調再現処理部19までの各後処理部における画像のデータに対する処理は、領域分離処理部14によって分離された領域毎に異なる。たとえば、文字領域内の画素に関しては、黒文字あるいは色文字の再現性を特に高めるために、空間フィルタ処理の1つである鮮鋭強調処理において、高周波数の強調量が他の領域よりも大きくされる。同時に、階調再現処理部19において、高域周波数の再現に適した高解像度のスクリーンでの二値化処理または多値化処理が選択される。また、写真領域に関しては、階調再現処理部19において、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化または多値化処理が行われる。
【0065】
さらにまた、網点領域内の画素に関しては、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理が空間フィルタ処理部17によって施され、出力階調補正部18によって出力階調補正処理が施され、最後に階調再現処理部19によって階調再現処理が施される。網点領域への出力階調補正処理は、網点領域の画素の色を表すパラメータであるCMYKの各色の濃度を画像出力装置5の特性値である網点面積率に変換する処理である。網点領域への階調再現処理は、いわゆる中間調生成処理であって、処理後の網点領域の像を画素に分離して、各画素の階調を再現できるように処理する。
【0066】
階調再現処理部19における処理が完了したCMYK信号形態の画像のデータが、画像処理装置4からの出力として、画像出力装置5に与えられる。また、画像処理装置4が記憶部22をさらに備えている場合、好ましくは、処理完了後の画像のデータは、記憶部22に一旦記憶され、所定のタイミングで読出されて画像出力装置5に与えられる。
【0067】
画像出力装置5は、与えられた画像のデータに基づき、該画像を顕像化する。画像出力装置5は、たとえば、電子写真方式およびインクジェット方式に代表される処理方式を用いる印刷装置によって実現される。印刷装置は、顕像化された該画像を、紙等で実現される記録媒体上に出力する。
【0068】
また画像出力装置5は、記録媒体への印刷装置に限らず、他の形態の画像出力装置5で実現されてもよい。たとえば、画像出力装置5は、R#G#B#表色系を用いる表示装置によって実現されてもよい。陰極線管(CRT)装置および液晶ディスプレイに代表される表示装置は、顕像化された該画像を、自己が備える画面上に表示させる。この場合、画像処理装置4において、黒生成下色除去部16は不要であるので省略され、かつ、色調整部15はRGB信号形態からR#G#B#信号形態への変換を行う。
【0069】
図3は、画像処理装置4の色調整部15における画像のデータに対する色調整処理の手順を示すフローチャートである。図2および図3を参照して、色調整処理を詳細に説明する。色調整部15は、色修正部7と色座標演算部8と第1色修正判断部9との他に、L*C*h変換部31とL*C*h分岐部32とをさらに含む。色修正部7は、色補正部34と色修正演算部35と色修正完了確認部36とを含む。色修正部7では、具体的には、与えられた画像のデータを画素単位で処理するので、図3に示す着目画素に対する処理が、与えられたデータが示す画像を構成する全ての画素に対して、順次施される。
【0070】
図1の説明では、色調整部15にRGB信号形態の画像のデータが与えられている。図2および図3の例では、処理開始時の画像のデータにおいて、画素の色がL*a*b*表色系で表されているものとする。RGB信号形態の表色系からL*a*b*表色系への変換は、RGB信号形態の画像のデータが色調整部15に与えられてからL*C*h変換部31に与えられるまでに行われてもよく、A/D変換部11〜入力階調補正部13までの前処理部のうちのいずれかで行われていても良い。L*a*b*表色系は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化された表色系であり、明度値L*と色相および彩度を示す2つの色度値a*,b*とで色を表す。L*C*h表色系は、明度値L*と彩度値C*と色相角hとの組み合わせで色を表す表色系である。
【0071】
処理を開始すると、ステップS0からステップS1に進む。ステップS1において、L*C*h変換部31は、与えられたL*a*b*表色系の画像のデータを、L*C*h表色系の画像のデータに変換する。画像のデータの表色系変換時において、L*a*b*表色系からL*C*h表色系への変換は、たとえば、以下の連立式に基づいて画素単位で行われる。以下の連立式において、「L*」、「a*」、「b*」は、L*a*b*表色系(CIE1976)の均等色空間における注目画素の色の空間座標であり、「C*」、「h」は、L*C*h表色系の均等色空間における注目画素の色の空間座標である。
【0072】
ステップS2では、ステップS1の演算結果に基づき、L*C*h変換部31が、L*C*h表色系の画像のデータを、明度値L*と彩度値C*と色相角hとに分離する。明度値L*および色相角hは、色修正判断部と色補正部34とに与えられ、彩度値C*は色補正部34に与えられる。
【0073】
ステップS3〜ステップS6の処理は、たとえば、画像を構成する画素単位で行われる。ステップS3では、第1色修正判断部9において、L*C*h分岐部32から送られた着目画素の明度値L*および色相角hに基づき、着目画素の色修正を行うか否かを判断する。具体的には、まず、色修正すべき基準範囲内に着目画素の色相角hが有るかどうかを判断し、さらに、着目画素と周辺画素との明度値L*の大小関係が基準配色の順序に関して修正すべき範囲にあるかどうかを判断する。基準範囲内に着目画素の色相角hが有り、かつ明度値L*の大小関係が基準配色の順序と逆である場合、着目画素の色を操作するという判断結果と着目画素の明度値L*とが、色修正演算部35に与えられる。基準範囲内に着目画素の色相角hがない場合、または、明度値L*の大小関係が基準配色の順序と順である場合、着目画素の色を操作しないという判断結果だけが、色修正演算部35に与えられる。
【0074】
着目画素の色を操作するという情報が第1色修正判断部9から得られた場合だけ、ステップS4〜ステップS5の処理が行われる。ステップS4において、第1色修正判断部9から送られた明度値L*を色修正演算部35が修正する。着目画素の具体的な色修正手順は、前述の第1〜第3の色修正手法のうちの少なくとも1つである。
【0075】
次いでステップS5において、修正された明度値L*が色補正部34に送信される。明度値L*の送信に応答して、色補正部34が、着目画素の元の彩度値C*および色相角hと該着目画素の修正された明度値L*とを組み合わせて、着目画素の修正後のデータとして出力する。すなわち、ステップS4〜ステップS5の処理によって、着目画素の色が修正される。
【0076】
また、ステップS3において着目画素の色を操作しないという情報が第1色修正判断部9から得られた場合、ステップS4〜ステップS5の処理が飛ばされる。ゆえに、色補正部34は、着目画素の元の彩度値C*および色相角hと該着目画素の未修正の明度値L*とを組み合わせて、着目画素の修正後のデータとして出力する。
【0077】
ステップS6では、色修正完了確認部36が、被処理画像の全画素について、ステップS3〜ステップS5における一連の色修正処理が完了したかどうかを確認する。完了が確認されない場合、ステップS6からステップS3の色修正判断に再び戻り、次の着目画素について、ステップS3〜S6の処理が行われる。完了が確認された場合、ステップS7で図3のフローチャートの処理が完了する。処理完了後、全画素の修正後のデータL*,C*,hを含む画像の修正後のデータが、色座標演算部8に送られる。色座標演算部8は、L*C*h表色系で表される画像の修正後のデータを、CMY信号形態の画像のデータに変換する。以上で、被処理画像に対する一連の色調整処理が終了する。
【0078】
図4は、図1の画像処理装置4で用いられるナチュラル配色の概念を示す図である。図4では、画素の色をL*C*h表色系で表す場合の明度値L*が縦軸であり、前述の場合の色相角hが横軸であり、グラフGNがナチュラル配色における明度値*と色相角hとの関係を示す。る。図4を参照して、ナチュラル配色の概念について説明する。
【0079】
ナチュラル配色とは、ナチュラルシーケンスに準じた配色である。具体的には、ナチュラル配色とは、隣接色相および類似色相の配色の状況下で、黄に近い色相の色を明るく、黄から遠い色相の色を暗くした配色にすることによって、人が見て自然な感じを与えることができる配色である。隣接色相および類似色相の配色とは、着目画素と周辺画素との色相が隣接および類似している状況下の配色である。このような配色は、ナチュラルシーケンスの基礎であり、色相の自然連鎖に従った色相と明度の関係を応用したものである。ナチュラルシーケンス、すなわちナチュラル配色をL*C*h表色系で示すと、図4に示すように、色相角hが90度、すなわち黄色の場合を、明度値最大の色相とし、色相角hが270度、すなわち青色の場合を、明度値最小の色相とする。
【0080】
これによって、ナチュラル配色では、色相角hが90度から180度を経て270度まで変化する範囲、すなわち黄色〜緑色〜青色の範囲内での明度順序は、以下の式のように、色相角hが270度に近づくほど明度値L*が小さくなる。すなわち、色相角hが90度の場合の明度L*(h=90°)のほうが、色相角hが180度の場合の明度値L*(h=180°)よりも大きく、かつ色相角hが180度の場合の明度値L*(h=180°)のほうが、色相角hが270度の場合の明度値L*(h=270°)よりも大きい。具体的には、黄色〜黄緑〜緑色〜青色に至る順序で明度値が小さくなる。
【0081】
またこれによって、ナチュラル配色では、色相角hが270度から0度を経て90度まで変化する範囲、すなわち黄色〜赤色〜青色の範囲内での明度順序は、以下の式のように、色相角hが90度に近づくほど明度値L*が大きくなる。すなわち、色相角hが90度の場合の明度L*(h=90°)のほうが、色相角hが0度の場合の明度値L*(h=0°)よりも大きく、かつ色相角hが0度の場合の明度値L*(h=0°)のほうが、色相角hが270度の場合の明度値L*(h=270°)よりも大きい。具体的には、黄色〜赤色〜紫色〜青色に至る順序で明度値が小さくなる。
【0082】
前述した第1色修正判断部9で用いられる基準範囲は、上述の隣接色相や類似色相の状況下での着目画素と周辺画素との色相差に相当する。図1の画像処理装置4において、具体的には、L*C*h表色系で色が表される場合、基準範囲を色相角hで30度に設定することが好ましい。これによって画像処理装置4は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、より確実に判断することができる。勿論、基準範囲は、この値に限定されるものではない。
【0083】
また、ナチュラル配色とは逆に、ナチュラルシーケンスに従わない配色は、コンプレックス配色と呼ばれる。コンプレックス配色は、不自然な印象を与えるが、あえて人工的な印象を与えたい場合に効果的なことがある。コンプレックス配色をL*C*h表色系で示すと、色相角hが90度、すなわち黄色の場合を、明度値最小の色相とし、色相角hが270度、すなわち青色の場合を、明度値最大の色相とする。
【0084】
これによって、コンプレックス配色では、色相角hが90度から180度を経て270度まで変化する範囲、すなわち黄色〜緑色〜青色の範囲内での明度順序は、以下の式のように、色相角hが270度に近づくほど明度値L*が大きくなる。すなわち、色相角hが90度の場合の明度L*(h=90°)のほうが、色相角hが180度の場合の明度値L*(h=180°)よりも小さく、かつ色相角hが180度の場合の明度値L*(h=180°)のほうが、色相角hが270度の場合の明度値L*(h=270°)よりも小さい。具体的には、黄色〜黄緑〜緑色〜青色に至る順序で明度値が大きくなる。
【0085】
またこれによって、コンプレックス配色では、色相角hが270度から0度を経て90度まで変化する範囲、すなわち黄色〜赤色〜青色の範囲内での明度順序は、以下の式のように、色相角hが90度に近づくほど明度値L*が小さくなる。すなわち、色相角hが90度の場合の明度L*(h=90°)のほうが、色相角hが0度の場合の明度値L*(h=0°)よりも小さく、かつ色相角hが0度の場合の明度値L*(h=0°)のほうが、色相角hが270度の場合の明度値L*(h=270°)よりも小さい。具体的には、黄色〜赤色〜紫色〜青色に至る順序で明度値が大きくなる。
【0086】
図5は、図1の画像処理装置4において、被処理画像内での着目画素D(0)と周辺画素D(n)との関係を示す拡大模式図である。図5では、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との例として、着目画素D(0)を中心として、3時方向から8時方向までに時計周りに並ぶ4つの周辺画素D(1)〜D(4)を図示している。また、図5において、各画素の括弧内の値(L*,C*,h)は、各画素の色を示すL*C*h表色系のパラメータである。
【0087】
図5の説明では、「右下の周辺画素D(1)と着目画素D(0)との対」を「右下画素対AR1」と記し、同様に、真下、左下、および右横の周辺画素D(2)〜D(4)と着目画素D(0)との対を、「真下画素対AR2」,「左下画素対AR3」,および「右横画素対AR4」とそれぞれ記す。また図5の説明では、「ナチュラルシーケンスに反した関係」を「明度順序が逆」と記し、「ナチュラルシーケンスに順じた関係」を「明度順序が正」と記す。
【0088】
図5の例において、着目画素の色相角h(0)と周辺画素の色相角h(n)との比較時に、以下の関係式を満たすならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が正になる。すなわち、着目画素D(0)の色相角hが270度から90度に変化する範囲内であり、周辺画素の色相角h(n)が小さい場合に周辺画素の明度値L*(n)が小さく、かつ周辺画素の色相角h( n)が大きい場合に周辺画素の明度値L*(n)が大きいという関係になったならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が正、すなわちナチュラル配色になる。また、前述の状況下で以上の関係と逆になったならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が逆、すなわちコンプレックス配色になる。
(着目画素D(0)の色相角hが270°から90°の場合)
【0089】
また図5の例において、着目画素の色相角h(0)と周辺画素の色相角h(n)との比較時に、以下の関係式を満たすならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が正になる。すなわち、着目画素D(0)の色相角hが90度から270度に変化する範囲内であり、かつ、周辺画素の色相角h(n)が小さい場合に周辺画素の明度値L*(n)が大きく、かつ周辺画素の色相角h(n)が大きい場合に周辺画素の明度値L*(n)が小さいという関係になったならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が正になる。また、前述の状況下で以上の関係と逆になったならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が逆になる。図5の例では、着目画素D(0)の色のパラメータ(L*,C*,h)が(70,30,100)になっているので、以下の関係式に基づいて明度順序が判断される。
(着目画素D(0)の色相角hが90°から270°の場合)
【0090】
図5の例では、右下画素対AR1における色の関係、および真下画素対AR2における色の関係が、ナチュラルシーケンスに反した関係になっている。また、左下画素対AR3における色の関係、および右横画素対AR4における色の関係が、ナチュラルシーケンスに順じた関係になっている。また着目画素D( 0)と周辺画素D(n)との明度値が相互に等しい場合、図1の画像処理装置4では、明度順序が逆であると判定して、該着目画素D(0)と該周辺画素D(n)との対も色修正対象とする。
【0091】
次に、図5を参照して、注目画素の色修正手法について詳細に説明する。前述したように、色修正の具体的手法は3種類ある。図5の例では、明度順序が逆になっている対、すなわち右下画素対AR1および真下画素対AR2に関して色修正が施され、これらの対以外の残余の対に関しては無修正とする。ただし、前述した通り、着目画素と周辺画素との色相角h(0),h(n)の差が基準範囲である30度を越える場合、色修正は適用されない。たとえば、色相角が15度の画素と色相角が200度の画素との対、すなわち赤付近の色の画素と緑付近の色の画素の対に対しては、色修正は適用されない。
【0092】
第1の色修正手法では、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との色相角hの大小関係に応じて、周辺画素の明度値L*(n)が減少または増加させられる。具体的には、図5の右下画素対AR1を例とすると、着目画素の色相角h(0)が15度であるのに対して、周辺画素の色相角h(1)が20度になっている。この場合、周辺画素の明度L*(1)と着目画素の明度L*(0)と*(0)よりも大きいほうが望ましいので、周辺画素の明度L*(1)が70から72に増加される。
【0093】
第2の色修正手法では、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との色相角hの大小関係に応じて、着目画素の明度値L*(0)と周辺画素の明度値L*(n)とが交換される。第2の色修正手法では、着目画素D(0)に対する周辺画素D(n)の優先順位が予め定められており、実際の周辺画素の順序に応じて、明度値が交換される。すなわち、着目画素D(0)の周囲にある全ての周辺画素D(1)〜D(N)の中から色修正が適用される対を形成する周辺画素が選ばれ、選ばれた周辺画素のうちの優先順位が最も高い周辺画素の明度値L*(n)と着目画素の明度値L*(0)とが交換される。
【0094】
着目画素D(0)に対する周辺画素D(n)の優先順位は、たとえば図5の例では、以下の表のように定められている。次表は図5に対応しており、2重丸が付されたセルが図5の着目画素D(0)に相当し、1〜4の数値が付されたセルが図5の右横〜左下の周辺画素D(1)〜D(4)に相当し、「×」が付されたセルが図5の左横の周辺画素D(5)に相当する。すなわち、次表の例では、右横の周辺画素D(1)、右下の周辺画素D(2)、真下の周辺画素D(3)、左下の周辺画素D(4)の順で優先順位が下がり、左横の周辺画素D(5)は交換の対象にならない。
【0095】
【表1】
【0096】
図5の例では、明度値が相互に等しい右下画素対AR1と明度値が相互に異なる真下画素対AR2とに関して色修正が行われ、残余の対AR3,AR4は無修正になっている。図1の画像処理装置4では、第1および第2の色修正手法が組み合わされてもよい。この場合、たとえば、右下の周辺画素D(2)と真下の周辺画素D(3)とのうち、右下画素対AR1は明度値が相互に等しいので、最初に、第1色修正手法を適用して、右下の周辺画素の明度値L*(1)を70から72に増大させる。次いで、真下画素対AR2では明度の順序が逆であるので、着目画素の明度値L*(0)である70と真下の周辺画素の明度値L*(1)である55とを交換する。これによって、着目画素D(0)と真下の周辺画素D(3)との色のL*C*h表色系のパラメータは、以下の式で示すように変化する。これによって、着目画素D(0)に対する全周辺画素D(1)〜D(4)のうちに着目画素D(0)と明度値の等しい周辺画素があっても、色修正を確実に行うことができる。
【0097】
第3の色修正手法では、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との色相角hの大小関係に応じて、周辺画素の明度値L*(n)が減少または増加させられ、かつ単一の着目画素の明度値L*(0)に対する全周辺画素の明度値L*(1)〜L*(4)の和が、予め定める一定の基準値になるように、着目画素の明度値L*(0)および全周辺画素の明度値L*(1)〜L*(4)のうちのすくなくとも1つが調整される。すなわち、単一の着目画素D(0)に対する全周辺画素D(1)〜D(4)のうちの修正対象の周辺画素D(n)に対して第1の色修正手法による色修正が施され、さらに、かつ一般的な誤差拡散手法のように、近傍画素の明度値の総和が常に一定になるように、明度値の修正が行われる。また第3の色修正手法は第2の色修正手法とさらに組み合わされてもよい。
【0098】
本発明の第2の実施の形態である画像形成装置について、以下に説明する。第2の実施の形態の画像形成装置は、第1の実施の形態の画像形成装置1と比較して、画像処理装置内の色調整部15内の詳細構成だけが異なり、他の構成は図1の構成と等しい。すなわち、第2の実施の形態の画像形成装置は、図1の画像入力装置3と、画像処理装置と、図1の画像出力装置5とを含む。
【0099】
以下の説明では、第2の実施の形態の画像形成装置を構成する構成要素のうち、第1の実施の形態の画像形成装置1の構成要素と同じ機能を有する構成要素には、第1の実施の形態と同じ名称および参照符を付し、説明は省略する。同様に、以下の説明では、第2の実施の形態の画像処理装置を構成する構成要素のうち、第1の実施の形態の画像処理装置4の構成要素と同じ機能を有する構成要素には、第1の実施の形態と同じ名称および参照符を付し、説明は省略する。
【0100】
第2の実施の形態の画像処理装置は、基本的には、画像入力装置3から与えられたカラー画像のデータに対して各種の処理を施し、処理後のカラー画像のデータを画像出力装置5に与える。画像処理装置で施される処理の1つは、第1表色系を用いて表されるカラー画像のデータを、第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表されるカラー画像のデータに変換する処理である。
【0101】
図6は、第2の実施の形態の画像処理装置に備えられる色調整部41の詳細な構成を示すブロック図である。画像処理装置は、概略的には、色修正部7と色座標演算部8と領域選択部43とを最低限含む。領域選択部43および色修正部7には、第1表色系を用いて表されるカラー画像のデータがそれぞれ与えられる。
【0102】
領域選択部43は、予め定める基準に基づいて、与えられたカラー画像内の少なくとも一部分の領域を選択する。以下の説明では、「与えられたカラー画像内の領域選択部43によって選択された領域」を、単に「選択領域」と略称することがある。また、「与えられたカラー画像内の選択領域以外の残余領域」を、単に「残余領域」と略称することがある。
【0103】
色修正部7は、与えられたデータが示すカラー画像を構成する複数の画素のうちの選択領域内の画素に対する色修正を、該カラー画像のデータに施す。色座標演算部8は、色修正部7によって色修正されたカラー画像のデータを、第2表色系を用いて表されるカラー画像のデータに変換する。
【0104】
このように、第2の実施の形態の画像処理装置は、オブジェクト認識に代表される領域選択手法を用いて任意の領域をカラー画像内から選択し、選択領域内の画素に対してだけ色修正を施す。これによって、画像処理装置は、入力されたカラー画像を、人が見てより自然な印象を受けるように修正することができる。
【0105】
画像処理装置は、好ましくは、色修正部7と色座標演算部8と領域選択部43との他に、第2色修正判断部44をさらに含む。第2色修正判断部44は、第1表色系を用いて表現されるカラー画像内の選択領域とカラー画像内の該選択領域以外の残余領域とを比較し、選択領域の画素に対する色修正を行うか否かを判断する。色修正部7は、第2色修正判断部44によって色修正すると判断された場合、選択領域内の画素のデータに対する色修正を行い、色修正しないと判断された場合、該選択領域の色修正を行わない。
【0106】
このように第2の実施の形態の画像処理装置は、領域選択によって選択された任意の領域と残余領域との比較結果に基づいて、該選択領域内の画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定する。これによって画像処理装置は、第1表色系を用いるカラー画像内の全画素のうち、選択領域内の修正すべき画素のデータだけを修正することができるので、さらに自然な印象の色に修正することができる。
【0107】
具体的には、第2色修正判断部44は、カラー画像内の選択領域の明度値および色相値と残余領域の明度値および色相値とをそれぞれ比較する。選択領域の色相値と残余領域の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、選択領域の明度値と残余領域の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、選択領域内の画素の色修正を行うと判断される。選択領域と残余領域との色相値の差が基準範囲内の値である場合であっても、選択領域の明度値と残余領域の明度値との大小関係が基準配色の順序と順であれば、該選択領域の色修正を行わないと判断される。これによって、第2の実施の形態の画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、領域毎に確実に判断することができる。
【0108】
第2色修正判断部44において用いられる基準配色は、好ましくは、いわゆるナチュラル配色およびコンプレックス配色のいずれか一方である。基準配色がナチュラル配色であれば、画像処理装置は、自然な感覚を持った色修正を行うことができる。また、基準配色がコンプレックス配色であれば、画像処理装置は、人工的な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0109】
第2の実施の形態の画像処理装置4において、選択領域内の画素の色修正手法は、以下の2通りある。色修正部7は、第4および第5の色修正手法のうちの少なくとも1つを用いて、選択領域内の画素に対する色修正を行う。第4の色修正手法では、色修正部7が、選択領域内の画素の色相角と残余領域内の画素の色相角との大小関係に応じて、選択領域内の画素および残余領域内の画素のうちの少なくとも一方の明度値を増減させる。すなわち、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域の明度値を残余領域に対して相対的に増減させる。第5の色修正手法では、色修正部7が、選択領域内の画素の色相角と残余領域内の画素の色相角との大小関係に応じて、選択領域内の画素の明度値と残余領域内の画素の明度値とを交換する。これらによって、画像処理装置は、選択領域内の画素のデータに対してだけ、配色の概念に従った色補正を容易に行うことができる。
【0110】
図7は、図6の色調整部41における画像のデータに対する色調整処理の手順を示すフローチャートである。図6および図7を参照して、色調整処理を詳細に説明する。また図7の色調整処理は、図3の色調整処理と類似の処理である。
【0111】
色調整部41は、色修正部7と色座標演算部8と第2色修正判断部44と領域選択部43との他に、L*C*h変換部31とL*C*h分岐部32とをさらに含む。色修正部7は、色補正部34と色修正演算部35と色修正完了確認部36とを含む。色修正部7では、具体的には、与えられた画像のデータを画素単位で処理するので、図7に示す着目画素に対する処理が、与えられたデータが示す画像を構成する全ての画素に対して、順次施される。なお、図6および図7の例では、図2および図3の例と同様に、処理開始時の画像のデータにおいて、画素の色がL*a*b*表色系で表されているものとする。
【0112】
処理を開始すると、ステップS10からステップS11に進む。ステップS11では、図3のステップS1と同様に、L*C*h変換部31によって、画像のデータのL*a*b*表色系からL*C*h表色系への次式に基づく表色系変換が行われる。
【0113】
ステップS12では、図3のステップS2と同様に、ステップS11の演算結果に基づき、L*C*h変換部31によって、L*C*h表色系の画像のデータの明度値L*と彩度値C*と色相角hとが分離される。たとえば領域単位で、明度値L*および色相角hは、第2色修正判断部44と色補正部34とに与えられ、彩度値C*は色補正部34に与えられる。
【0114】
ステップS13では、L*C*h分岐部32から画素の色のパラメータL*,C*,hが送られた領域が色調整すべき選択領域であるか否かを、領域選択部43が判断する。領域選択部43は、被処理画像の領域分離を独自に実行して選択領域を把握していてもよく、画像処理装置内の領域分離処理部14からの領域分離信号に基づいて選択領域を把握してもよい。領域選択部43の選択結果を示す情報は、領域選択部43から第2色修正判断部44に与えられる。選択領域のデータであれば、ステップS13からステップS14〜S16の処理に移行する。選択領域のデータでなければ、ステップS14〜ステップS16の処理が飛ばされて、ステップS13からステップS17に直接進む。
【0115】
ステップS14〜ステップS17の処理は、たとえば、画像内の画素単位で行われる。ステップS14では、第2色修正判断部44において、ステップS3と同様に、L*C*h分岐部32から送られた着目画素の明度値L*および色相角hに基づき、該着目画素の色修正を行うか否かを判断する。
【0116】
具体的には、第2色修正判断部44は、まず、色修正すべき基準範囲内に着目画素の色相角hが有るかどうかを判断し、さらに、着目画素と残余領域の画素との明度値L*の大小関係が基準配色の順序に関して修正すべき範囲にあるかどうかを判断する。最後に、領域選択部43の選択結果に基づき、着目画素が選択領域内にあるか否かを判断する。基準範囲内に着目画素の色相角hが有り、かつ明度値L*の大小関係が基準配色の順序と逆であり、さらに着目画素が選択領域内に有る場合、選択領域の画素の色を操作するという判断結果と着目画素の明度値L*とが、色修正演算部35に与えられる。基準範囲内に着目画素の色相角hがない場合、明度値L*の大小関係が基準配色の順序と順である場合、および着目画素が選択領域内に無い場合、のうちの少なくとも1つに該当すれば、着目画素の色を操作しないという判断結果だけが、色修正演算部35に与えられる。
【0117】
着目画素の色を操作するという情報が第2色修正判断部44から得られた場合だけ、ステップS15〜ステップS16の処理が行われる。ステップS15において、第2色修正判断部44から送られた明度値L*を色修正演算部35が修正する。着目画素の具体的な色修正手順は、前述の第4および第5の色修正手法のうちの少なくとも1つである。
【0118】
次いでステップS16において、修正された明度値L*が色補正部34に送信される。明度値L*の送信に応答して、色補正部34が、着目画素の元の彩度値C*および色相角hと該着目画素の修正された明度値L*とを組み合わせて、着目画素の修正後のデータとして出力する。すなわち、ステップS15〜ステップS16の処理によって、着目画素の色が修正される。
【0119】
ステップS17では、色修正完了確認部36が、被処理画像の全画素について、ステップS14〜ステップS16における一連の色修正処理が完了したかどうかを確認する。完了が確認されない場合、ステップS17からステップS13の判断に再び戻り、次の着目画素について、ステップS13〜S17の処理が行われる。完了が確認された場合、ステップS18で図7のフローチャートの処理が完了する。処理完了後、全画素の修正後のデータL*,C*,hを含む画像の修正後のデータが、色座標演算部8に送られる。色座標演算部8は、L*C*h表色系で表される画像の修正後のデータを、CMY信号形態で表される画像のデータに変換する。以上で、被処理画像に対する一連の色調整処理が終了する。
【0120】
図8は、第2の実施の形態の画像処理装置において、被処理画像P内での選択領域R(n)と残余領域R(0)との関係を示す模式図である。図8では、選択領域R(n)と残余領域R(0)との例として、斜線を付して示す2つの選択領域R(1),R(2)と、選択領域R(1),R(2)に対する背景に相当する残余領域R(0)とを図示している。また、図8において、各領域の括弧内の値(L*,C*,h)は、各領域の色を示すL*C*h表色系のパラメータである。図8の説明では、図8において左側の選択領域を「円選択領域R(1)」と記し、図8において左側の選択領域を「角選択領域R(2)」と記し、円選択領域R(1)と残余領域R(0)との対を「円領域画素対AR11」と記し、角選択領域R(2)と残余領域R(0)との対を「角領域画素対AR12」と記す。
【0121】
第2の実施の形態の画像処理装置において、ナチュラル配色およびコンプレックス配色の概念は、第1の実施の形態で説明した概念と等しい。図8の例では、円領域対AR11における色の関係が、ナチュラルシーケンスに順じた関係になっており、角領域対AR12における色の関係が、ナチュラルシーケンスに反した関係になっている。また選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度値が相互に等しい場合、第2の実施の形態の画像処理装置では、明度順序が逆であると判定して、該選択領域R(n)と残余領域R(0)との対も色修正対象とする。図8の説明では、「ナチュラルシーケンスに反した関係」を「明度順序が逆」と記し、「ナチュラルシーケンスに順じた関係」を「明度順序が正」と記す。
【0122】
図8の例において、選択領域の画素の色相角h(n)と残余領域の画素の色相角h(0)との比較時に、以下の関係式を満たすならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が正になる。すなわち、角領域対AR12のように、選択領域R(n)の画素の色相角h(0)が270度から90度に変化する範囲内であり、残余領域の画素の色相角h(0)が小さい場合に残余領域の画素の明度値L*(0)が小さく、かつ残余領域の画素の色相角h(0)が大きい場合に残余領域の画素の明度値L*(0)が大きいという関係になったならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が正、すなわちナチュラル配色になる。また、前述の状況下で以上の関係と逆になったならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が逆、すなわちコンプレックス配色になる。
(選択領域の色相角h(n)が270°から90°の場合)
【0123】
また図8の例において、選択領域と残余領域での色相角h(n),h(0)の比較時に、以下の関係式を満たすならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が正になる。すなわち円領域対AR11のように、選択領域の画素の色相角h(n)が90度から270度に変化する範囲内であり、かつ、残余領域の画素の色相角h(0)が小さい場合に残余領域の画素の明度値L*(0)が大きく、かつ残余領域の画素の色相角h(0)が大きい場合に残余領域の画素の明度値L*(0)が小さいという関係になったならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が正になる。また、前述の状況下で以上の関係と逆になったならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が逆になる。図8の例では、円選択領域R(1)の画素の色のパラメータ(L*,C*,h)が(70,30,100)になっているので、以下の関係式に基づいて明度順序が判断される。
(選択領域の色相角h(n)が90°から270°の場合)
【0124】
次に、図8を参照して、選択領域R(n)内の画素の色修正手法について詳細に説明する。前述したように、色修正の具体的手法は2種類ある。図8の例では、明度順序が逆になっている対、すなわち角領域対AR12に関して色修正が施され、これらの対以外の残余の対に関しては無修正とする。ただし、前述した通り、選択領域R(n)の画素と残余領域R(0)の画素との色相角の差が基準範囲である30度を越える場合、色修正は適用されない。たとえば、色相角が15度の領域と色相角が200度の領域との対、すなわち赤付近の色の領域と緑付近の色の領域との対に対しては、色修正は適用されない。
【0125】
第4の色修正手法では、選択領域と残余領域との色相角h(n),h(0)の大小関係に応じて、背景側である残余領域の画素の明度値L*(0)が減少または増加させられる。具体的には、図8の角領域対AR12を例とすると、選択領域の画素の色相角h(0)が15度であるのに対して、残余領域の画素の色相角h(0)が10度になっている。この場合、残余領域の画素の明度L*(0)の65よりも選択領域の画素の明度L*(1)のほうが大きいほうが望ましいので、選択領域の画素の明度L*(1)が55から72に増加される。
【0126】
第5の色修正手法では、選択領域の画素の明度値L*(n)と残余領域の画素L*(0)の明度値とが交換される。図8の例では、明度の順序が逆である角領域対AR12に関して色修正が行われ、残余の対AR11は無修正になっている。具体的には、角領域対AR12において、選択領域の画素の明度値L*(2)である70と残余領域の画素の明度値L*(0)である55とが交換される。
【0127】
第1ならびに第2の実施の形態の画像形成装置1および画像処理装置4は、本発明の画像形成装置1および画像処理装置4の例示であり、主要な構成および動作が等しければ、他の様々な形で実現することができる。特に画像処理装置4の各構成部品の詳細な構成および動作は、同じ効果が得られるならば、上述の構成および動作に限らず、他の構成および動作によって実現されてもよい。
【0128】
画像処理装置4の処理部7〜44は、個別の回路によってそれぞれ実現される構成に限らず、1または複数の処理部7〜44の機能を実現するための制御プログラムを含む制御ソフトウエアをコンピュータの中央演算処理装置に実行させることによって、機能的に実現されてもよい。上述した制御ソフトウエアは、記録媒体に記憶されていて画像処理装置4に備えられる媒体読出し部によって該記録媒体から読出されてコンピュータに備えられる記憶部にストアされてもよく、伝送媒体を介した通信によって画像処理装置4に与えられて該記憶部にストアされてもよい。記録媒体としては、フロッピー(R)ディスクに代表される磁気記録媒体、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)およびDVD(Digital Video Disc)に代表される光記録媒体、MO(Magneto−Optic Disc)に代表される光磁気記録媒体、ならびにコンパクトフラッシュ(R)等のリムーバブルディスクに代表されるメモリ媒体が挙げられる。伝送媒体としては、電話回線網の伝送路、LAN(Local Area Network)およびWAN(Wide Area Network)等を用いたコンピュータネットワークの伝送路、およびコンピュータを接続する伝送ケーブル等が挙げられる。これによって、画像処理装置の実現がより容易になる。
【0129】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、画像処理装置は、カラー画像内の1以上の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づいて、該カラー画像のデータに対する色修正を行い、色修正後のカラー画像のデータに対して表色形変換処理を施す。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、人が見て自然な印象の色に修正することができる。
【0130】
また本発明によれば、画像処理装置は、カラー画像内の着目画素と周辺画素との比較時に、画素のデータの明度、彩度、および色相等のうちの少なくとも1つを両画素間で比較する。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、より自然な印象の色に修正することができる。
【0131】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、着目画素と周辺画素との比較結果に基づいて着目画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定し、カラー画像内の修正すべき画素のデータだけに対して色修正を施す。これによって画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、さらに自然な印象の色に修正することができる。
【0132】
また本発明によれば、画像処理装置は、カラー画像内の着目画素と周辺画素との色相値の差が予め定める基準範囲内の値である状況下において、着目画素と周辺画素との明度値の大小関係が基準配色の順序と逆である場合だけ、該着目画素の色修正を行う。これによって、画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、画素毎に確実に判断することができる。
【0133】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素の明度値を周辺画素に対して相対的に増減させる。また本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素と周辺画素との間で明度値を交換させる。これらによって、画像処理装置は、着目画素毎に、配色の概念に従った色補正を容易に行うことができる。
【0134】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との明度値との全体値が予め定める基準値と一致するように、該着目画素と周辺画素とのうちの少なくとも一方の明度値を増減させる。これによって、画像処理装置は、色修正後もカラー画像全体の明度が変化しないような色修正を行うことができる。
【0135】
また本発明によれば、画像処理装置は、領域選択手法によって選択された領域内の画素に対してだけ、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正を施す。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、人が見てより自然な印象を受けるように修正することができる。
【0136】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、領域選択によって選択された領域と残余領域との比較結果に基づいて、該選択領域内の画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定する。これによって画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、さらに自然な印象の色に修正することができる。
【0137】
また本発明によれば、画像処理装置は、カラー画像内の選択領域と残余領域との色相値の差が予め定める基準範囲内の値である状況下において、選択領域と残余領域との明度値の大小関係が基準配色の順序と逆である場合だけ、該選択領域内の画素の色修正を行う。これによって、画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、領域毎に確実に判断することができる。
【0138】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域の明度値を残余領域に対して相対的に増減させる。また本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域と残余領域との間で明度値を交換させる。これらによって、画像処理装置は、選択領域のデータに対してだけ、配色の概念に従った色補正を容易に行うことができる。
【0139】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置において、色修正の有無の決定に用いられる基準配色が、ナチュラルシーケンスに順じた配色、いわゆるナチュラル配色になっている。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像に対して、自然な感覚を持った色修正を行うことができる。また本発明によれば、画像処理装置において、色修正の有無の決定に用いられる基準配色が、ナチュラルシーケンスに反した配色、いわゆるコンプレックス配色になっている。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像に対して、人工的な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0140】
さらにまた以上のように本発明によれば、画像形成装置は、第1表色系を用いる画像入力装置と、第2表色系を用いる画像出力装置との間に、上述の画像処理装置が介在される構成を有する。画像処理装置は、表色系の変換に先だって、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正を変換すべきカラー画像に施している。これによって、画像形成装置の使い勝手がより良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である画像形成装置1の全体的な構成を示すブロック図である。
【図2】図1の画像処理装置4内に備えられる画像処理装置4内の色調整部15の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図1の画像処理装置4の色調整部15における画像のデータに対する色調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の画像処理装置4で用いられるナチュラル配色の概念を示す図である。
【図5】図1の画像処理装置4において、被処理画像内での着目画素D(0)と周辺画素との関係を示す模式図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態である画像処理装置に備えられる色調整部41の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】図6の画像処理装置の色調整部41における画像のデータに対する色調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図6の画像処理装置4において、被処理画像P内での選択領域R(n)と残余領域R(0)との関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
3 画像入力装置
4 画像処理装置
5 画像出力装置
7 色修正部
8 色座標演算部
9 第1色修正判断部
43 領域選択部
44 第2色修正判断部
D(0) 着目画素
D(1)〜D(4) 周辺画素
R(0) 残余領域
R(1)〜R(2) 選択領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー画像の修正を行う画像処理装置、および該画像処理装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィスオートメーション(Office Automation :OA)機器のデジタル化が急速に進展している。また、画像出力装置の需要がモノクロからカラーにシフトし、さらに画像出力装置の需要がアナログからデジタルにシフトしている。これらのために、電子写真方式のデジタルカラー複写機、インクジェット方式のカラープリンタ、および熱転写方式のカラープリンタ等に代表されるような、カラー画像のデータをデジタルデータの形で処理可能な画像出力装置が、一般の利用者の間に広く普及してきている。たとえば、デジタルカメラおよびスキャナ等に代表される入力機器から入力された画像情報、またはコンピュータ上で作成された画像情報が、これらの画像出力装置に入力されて画像化される。特に、最近に至っては、前述の画像出力装置にデジタルカメラが直接接続され、コンピュータを経由させることなく、カラー画像のデジタルデータが直接授受される例もみられる。また、各種のプリンタおよび複写機を用いて、一般の利用者がカラー画像のデータを記録紙上に印刷出力することも、日常化してきている。
【0003】
しかしながら、デジタルデータ化されたカラー画像を画像出力装置で画像化する際に、ディスプレイ等に代表される表示装置上で再現される色と、記録紙上に印刷出力される色とが、異なった色になってしまっている。再現される色の違いは、色再現の手法および表色系の違い、色再現領域(Gamut)の不一致、ならびに色再現領域圧縮方法の不合致等の様々な要因に起因する。
【0004】
このように、従来では、カラー画像のデジタルデータを複数種類の画像出力装置でそれぞれ画像化する際に、画像出力装置間で表現可能な色再現領域が相互に異なる。このため、各画像出力装置では、カラー画像のデジタルデータの画像化の際に、自己で再現が難しい色を再現可能な色に置換する色再現領域圧縮が通常行われている。しかしながら、カラー画像のデジタルデータに色再現領域圧縮が施されると、いわゆる階調つぶれが処理後のカラー画像に発生している。
【0005】
階調つぶれを防止するために、以下のような従来技術が開示されている(特許文献1)。従来技術の画像処理装置は、入力色信号の色相および画像出力装置の色再現範囲の形状に関わらず色変わりが目立たずかつ同一色相の入力色信号が常に同じ色相の出力色信号となるような色域マッピングを高精度に行う。また、従来技術の画像処理装置は、特定の色相に出力色信号が集中しないように、出力色信号の色相を制御する。さらに従来技術の画像処理装置は、入力色信号ごとに基準色信号を計算しなくても色変わりが目立たずかつ同一色相の入力色信号が常に同じ色相の出力色信号となるように、色域マッピングを行う。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−262120号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術の画像処理装置は、処理後のカラー画像の階調つぶれを解消するために、画像入力装置および画像出力装置の色再現領域を参照しつつ、処理前のカラー画像のデータを構成する画素のデータに対して、色修正の処理を画素毎に施している。このように従来技術の画像処理装置は、入力されたカラー画像のデータに対する色修正時に、1画素対1画素の処理手法を用いているので、着目画素の周辺画素に対する配慮をしていない。このため、従来技術の画像処理装置で処理されたカラー画像のデータが画像化されると、色再現としては正確であっても、人が見て不自然な印象に再現されてしまう場合が生じるという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、着目画素の周辺画素に対する配慮を取入れ、入力されたカラー画像の色を、人が見て自然な印象の色に修正することができる画像処理装置および該画像処理装置を備える画像形成装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、予め定める第1表色系を用いて表現されるカラー画像のデータが入力され、該カラー画像を構成する複数の画素のうちの着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づく色修正を該カラー画像のデータに施す色修正手段と、
色修正されたカラー画像のデータを、第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表現される複数の画素のデータを含むカラー画像のデータに変換する色座標演算手段とを含むことを特徴とする画像処理装置である。
【0010】
本発明に従えば、画像処理装置は、カラー画像のデータに用いられる表色系の変換に先だって、変換前のカラー画像のデータに基づく色修正を該データに施す。色修正は、第1表色系を用いるカラー画像内の1以上の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づいて行われる。これによって、本発明の画像処理装置は、色修正時に着目画素の周辺画素に対する配慮が為されているので、与えられたカラー画像の色を、人が見て自然な印象の色に修正することができる。
【0011】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記入力されたカラー画像内の前記着目画素と前記周辺画素との明度、彩度、および色相のうちの少なくとも1つのデータの比較に基づいて色修正を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、画像処理装置は、カラー画像の画素のデータの明度、彩度、および色相等のうちの少なくとも1つを着目画素と周辺画素との間で比較して、比較結果に基づき色修正を行う。これによって、画像処理装置は、配色の概念に従った色補正を行うことができるので、与えられたカラー画像の色をより自然な印象の色に修正することができる。
【0013】
また本発明の画像処理装置は、前記第1表色系を用いて表現される複数の画素のデータを含むカラー画像内の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとを比較して、該着目画素の色修正を行うか否かを比較結果に基づいて判断する第1色修正判断手段をさらに含み、
前記色修正手段が、第1色修正判断手段によって色修正すると判断された場合、前記着目画素のデータに対して色修正を行い、色修正しないと判断された場合、該着目画素の色修正を行わないことを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、画像処理装置は、着目画素と周辺画素との比較結果に基づいて、着目画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定する。これによって画像処理装置は、第1表色系を用いるカラー画像内の全画素のうち、修正すべき画素のデータだけを修正することができるので、与えられたカラー画像の色をさらに自然な印象の色に修正することができる。
【0015】
また本発明の画像処理装置は、前記第1色修正判断手段が、
(A)前記カラー画像内の着目画素の明度値および色相値と前記周辺画素の明度値および色相値とをそれぞれ比較し、
(B)前記着目画素の色相値と周辺画素の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、該着目画素の色修正を行うと判断し、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が前記基準配色の順序と順であれば、該着目画素の色修正を行わないと判断することを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、画像処理装置は、前記カラー画像内の着目画素の色相値と周辺画素の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である状況下において、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が基準配色の順序と逆である場合だけ、該着目画素の色修正を行う。これによって、画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、画素毎に確実に判断することができる。
【0017】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記着目画素の色相角と前記周辺画素の色相角との大小関係に応じて、前記着目画素および周辺画素のうちの少なくとも一方の明度値を増減させることによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素の明度値を周辺画素に対して相対的に増減させる。これによって、画像処理装置は、配色の概念に従った色補正を、着目画素毎に容易に行うことができる。
【0019】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記着目画素の色相角と前記周辺画素の色相角との大小関係に応じて、前記着目画素の明度値と前記周辺画素の明度値とを交換することによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素と周辺画素との間で明度値を交換させる。これによって、画像処理装置は、配色の概念に従った色補正を、着目画素毎に容易に行うことができる。
【0021】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記着目画素の明度値と前記周辺画素の明度値との全体値が予め定める基準値となるように、該着目画素の明度値と該周辺画素の明度値とのうちの少なくとも一方を増減させることによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との全体値が予め定める基準値と一致するように、該着目画素の明度値と周辺画素の明度値とのうちの少なくとも一方を増減させる。すなわち、一般的な誤差拡散法が用いられる場合と同様に、カラー画像全体の明度値が一定になるように、色修正が行われる。これによって、画像処理装置は、色修正後もカラー画像全体の明度が変化しないような色修正を行うことができる。
【0023】
また本発明の画像処理装置は、前記入力されたカラー画像のデータが与えられ、該カラー画像内の少なくとも一部分の領域を選択する領域選択手段をさらに含み、
前記色修正手段は、前記入力されたカラー画像内の選択された領域に対して色修正を行うことを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、画像処理装置は、オブジェクト認識に代表される領域選択手法によって任意の領域をカラー画像内から選択し、選択された領域内の画素に対してだけ、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正を施す。これによって、画像処理装置は、入力されたカラー画像を、人が見てより自然な印象を受けるように修正することができる。
【0025】
また本発明の画像処理装置は、前記領域選択手段によって選択された領域と前記カラー画像内の該選択された領域以外の残余領域とを比較し、前記選択された領域の画素に対する色修正を行うか否かを判断する第2色修正判断手段と、
前記色修正手段が、第2色修正判断手段によって色修正すると判断された場合、前記領域選択手段によって選択された領域の画素のデータに対する色修正を行い、色修正しないと判断された場合、該選択された領域の色修正を行わないことを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、画像処理装置は、領域選択によって選択された任意の領域と残余領域との比較結果に基づいて、該選択領域内の画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定する。これによって画像処理装置は、第1表色系を用いるカラー画像内の全画素のうち、選択領域内の修正すべき画素のデータだけを修正することができるので、与えられたカラー画像の色をさらに自然な印象の色に修正することができる。
【0027】
また本発明の画像処理装置は、前記第2色修正判断手段が、
(A)前記カラー画像内の前記選択された領域の明度値および色相値と前記残余領域の明度値および色相値とをそれぞれ比較し、
(B)前記選択された領域の色相値と残余領域の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、前記選択された領域の明度値と前記残余領域の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、該選択された領域内の画素の色修正を行うと判断し、前記選択された領域の明度値と前記残余領域の明度値との大小関係が前記基準配色の順序と順であれば、該選択された領域の色修正を行わないと判断することを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、画像処理装置は、前記カラー画像内の選択領域の色相値と残余領域の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である状況下において、選択領域の明度値と残余領域の明度値との大小関係が基準配色の順序と逆である場合だけ、該選択領域内の画素の色修正を行う。これによって、画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、領域毎に確実に判断することができる。
【0029】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記選択された領域の色相角と前記残余領域の色相角との大小関係に応じて、前記選択された領域および前記残余領域のうちの少なくとも一方の明度値を増減させることによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域の明度値を残余領域に対して相対的に増減させる。これによって、画像処理装置は、選択領域に対してだけ、配色の概念に従った色補正を画素毎に容易に行うことができる。
【0031】
また本発明の画像処理装置は、前記色修正手段が、前記選択された領域の色相角と前記残余領域の色相角との大小関係に応じて、前記選択された領域の明度値と前記残余領域の明度値とを交換することによって、色修正を行うことを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、画像処理装置は、色修正時に、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域と残余領域との間で明度値を交換させる。これによって、画像処理装置は、選択領域に対してだけ、配色の概念に従った色補正を画素毎に容易に行うことができる。
【0033】
また本発明の画像処理装置は、前記基準配色が、ナチュラルシーケンスに準じていることを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、画像処理装置において、色修正の有無の決定に用いられる基準配色が、ナチュラルシーケンスに順じた配色、いわゆるナチュラル配色になっている。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像に対して、自然な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0035】
また本発明の画像処理装置は、前記基準配色が、ナチュラルシーケンスに反していることを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、画像処理装置において、色修正の有無の決定に用いられる基準配色が、ナチュラルシーケンスに反した配色、いわゆるコンプレックス配色になっている。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像に対して、人工的な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0037】
本発明は、予め定める第1表色系を用いて表現されるカラー画像のデータを生成する画像入力装置と、
画像入力装置からカラー画像のデータが与えられる上述の画像処理装置と、
第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表現されるカラー画像のデータが画像処理装置から与えられ、該データを顕像化して出力する画像出力装置とを含むことを特徴とする画像形成装置である。
【0038】
本発明に従えば、画像形成装置は、第1表色系を用いる画像入力装置と、第2表色系を用いる画像出力装置との間に、上述の画像処理装置が介在される構成を有する。すなわち、相互に異なる表色系を用いる画像入力装置および画像出力装置を組み合わせて用いる際に、画像処理装置によってカラー画像のデータの表色系の変換が行われている。画像処理装置は、表色系の変換に先だって、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正を変換すべきカラー画像に施している。これによって、これによって、画像形成装置は、色修正時に着目画素の周辺画素に対する配慮が為されているので、表色系の変換に伴って生じる色再現の不自然さを防止することができるため、より使い勝手が良くなる。
【0039】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態である画像形成装置1の全体的な構成を示すブロック図である。図2は、図1の画像形成装置1内に備えられる画像処理装置4内の色調整部15の詳細な構成を示すブロック図である。図1と図2とを合わせて説明する。
【0040】
画像形成装置1は、画像入力装置3と、画像処理装置4と、画像出力装置5とを含む。画像入力装置3は、予め定める第1表色系を用いて表現される複数の画素のデータを含むカラー画像のデータを生成して、画像処理装置4に与える。画像処理装置4は、基本的には、画像入力装置3から与えられたカラー画像のデータに対して各種の処理を施し、処理後のカラー画像のデータを画像出力装置5に与える。画像処理装置4で施される処理の1つは、第1表色系を用いて表されるカラー画像のデータを、第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表現される複数の画素を含むカラー画像のデータに変換する処理である。画像出力装置5は、画像処理装置4から与えられたカラー画像のデータを顕像化して出力する。
【0041】
画像処理装置4は、概略的には、色修正部7と色座標演算部8とを最低限含む。色修正部7には、第1表色系を用いて表現されるカラー画像のデータが入力される。色修正部7は、与えられたデータが示すカラー画像を構成する複数の画素のうちの着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づく色修正を、該カラー画像のデータに施す。色座標演算部8は、色修正部7によって色修正されたカラー画像のデータを、第2表色系を用いて表現されるカラー画像のデータに変換する。
【0042】
このように、図1の画像処理装置4は、カラー画像のデータに用いられる表色系の変換に先だって、変換前のカラー画像のデータに基づく色修正を該カラー画像のデータに施す。色修正は、第1表色系を用いるカラー画像内の1以上の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づいて、画素単位で行われる。これによって、図1の画像処理装置4は、色修正時に着目画素の周辺画素に対する配慮が為されているので、入力されたカラー画像の色を、人が見て自然な印象の色に修正することができる。
【0043】
カラー画像を構成する画素のデータは、色の3要素である明度と彩度と色相とをパラメータとして直接含む、または該色の3要素を算出可能なパラメータを含む。好ましくは、画像処理装置4の色修正部7は、入力されたカラー画像内の着目画素と周辺画素との比較の際に、両画素の色の3要素のうちの少なくとも1つを比較して、比較結果に基づき色修正を行う。これによって、画像処理装置4は、配色の概念に従った色補正を行うことができるので、より自然な印象の色に修正することができる。
【0044】
画像処理装置4は、好ましくは、色修正部7と色座標演算部8との他に、第1色修正判断部9をさらに含む。第1色修正判断部9は、第1表色系を用いて表現されるカラー画像内の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとを比較して、該着目画素の色修正を行うか否かを比較結果に基づいて判断する。第1色修正判断部9によって色修正すると判断された場合、色修正部7は前記着目画素のデータに対して色修正を行い、色修正しないと判断された場合、色修正部7は着目画素の色修正を行わない。このように、着目画素と周辺画素との比較結果に基づいて着目画素のデータに対する色修正を行うか否かが決定される場合、第1表色系を用いるカラー画像内の全画素のうちの修正すべき画素のデータだけが修正される。これによって画像処理装置4は、入力されたカラー画像のデータを、さらに自然な印象の色に修正することができる。
【0045】
具体的には、第1色修正判断部9は、与えられたカラー画像内の着目画素の明度値および色相値と周辺画素の明度値および色相値とをそれぞれ比較する。着目画素の色相値と周辺画素の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、該着目画素の色修正を行うと判断する。着目画素の色相値と周辺画素の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合であっても、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が前記基準配色の順序と順であれば、該着目画素の色修正を行わないと判断する。これによって、図1の画像処理装置4は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、画素毎に確実に判断することができる。
【0046】
第1色修正判断部9において色修正の有無の決定に用いられる基準配色は、好ましくは、いわゆるナチュラル配色およびコンプレックス配色のいずれか一方になっている。ナチュラル配色とは、所謂ナチュラルシーケンスに順じた配色である。コンプレックス配色とは、所謂ナチュラルシーケンスに反した配色である。基準配色がナチュラル配色である場合、画像処理装置4は、自然な感覚を持った色修正を行うことができる。また、基準配色がコンプレックス配色である場合、画像処理装置4は、人工的な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0047】
図1の画像処理装置4において、着目画素の色修正手法は、以下の3通りある。色修正部7は、第1〜第3の色修正手法のうちの少なくとも1つを用いて、着目画素に対する色修正を行う。
【0048】
第1の色修正手法では、色修正部7が、着目画素の色相角と周辺画素の色相角との大小関係に応じて、着目画素および周辺画素のうちの少なくとも一方の明度値を増減させる。すなわち、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素の明度値を周辺画素に対して相対的に増減させる。第2の色修正手法では、色修正部7が、着目画素の色相角と周辺画素の色相角との大小関係に応じて、着目画素の明度値と周辺画素の明度値とを交換する。これらによって、画像処理装置4は、着目画素毎に、配色の概念に従った色補正を容易に行うことができる。
【0049】
第3の色修正手法では、色修正部7が、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との全体値が予め定める基準値となるように、該着目画素の明度値と該周辺画素の明度値とのうちの少なくとも一方を増減させる。すなわち、一般的な誤差拡散法が用いられる場合と同様に、カラー画像全体の明度値が一定になるように、色修正が行われる。これによって、画像処理装置4は、色修正後もカラー画像全体の明度が変化しないような色修正を行うことができる。
【0050】
図1の画像形成装置1では、相互に異なる表色系を用いる画像入力装置3および画像出力装置5を組み合わせて用いる際に、上述した手順のカラー画像のデータの表色系の変換が、画像処理装置4によって行われている。これによって、画像形成装置1は、色修正時に着目画素の周辺画素に対する配慮が為されているので、表色系の変換に伴って生じる色再現の不自然さを防止することができるため、使い勝手がより良くなる。
【0051】
画像形成装置1内で画像のデータの表現に用いられる信号形態としては、赤と緑と青との加法混色の3原色の要素を組み合わせて色を表現するRGB信号形態、およびシアンとマゼンタと黄との減法混色の3色の要素を組み合わせて色を表現するCMY信号形態が挙げられる。また印刷の分野では、減法混色の3色に黒を加えた4色の要素を組み合わせて色を表現するCMYK信号形態も多く用いられる。これら3種類の信号形態で用いられる表色系は、当然相互に異なっている。以下の説明では、赤と緑と青との3原色の組み合わせを「RGB」と略称し、シアンとマゼンタと黄との3色の組み合わせを「CMY」と略称し、シアンとマゼンタと黄と黒との4色の組み合わせを「CMYK」と略称する。
【0052】
さらにまた、画像入力装置3および画像出力装置5がそれぞれRGB信号形態の画像のデータを取扱う状況下であっても、画像入力装置3で生成された画像のデータを画像出力装置5に直接与えて顕像化する場合、両装置のシェーディングの違い等の影響のために、データ生成時に画像入力装置3が読取った原稿上の色と画像出力装置5が顕像化した画像の色とにずれが生じることが有り得る。このような例を考慮して、前述の状況下において、画像入力装置3におけるRGBを「RGB」と記し、画像出力装置5におけるRGBを「R#G#B#」と記す。
【0053】
図1の画像形成装置1は、たとえば、デジタルカラー複写機で実現される。図1および図2を参照して、画像形成装置1の詳細な構成を以下に説明する。勿論、画像形成装置1および該画像形成装置1の構成要素の詳細な構成は、以下の説明に限定されるものではない。図1の例では、画像入力装置3が用いる第1表色系はRGB信号形態の表色系であり、画像出力装置5が用いる第2表色系はCMYK信号形態の表色系である。
【0054】
図1に示すように、画像処理装置4は、A/D変換部11、シェーディング補正部12、入力階調補正部13、領域分離処理部14、色調整部15、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、出力階調補正部18、階調再現処理部19、および主制御部21を含む。前述した色修正部7と色座標演算部8と第1色修正判断部9とは、色調整部15内に含まれる。
【0055】
画像入力装置3は、RGB信号形態の画像のデータを取扱う画像読取装置によって実現される。画像読取り装置は、たとえば読取り素子を備えたスキャナによって実現される。読取り素子は、たとえばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)イメージセンサで実現される。画像入力装置3は、CCDイメージセンサを用いて、読取るべき原稿からの反射光像をRGBの3色をそれぞれ示すアナログ信号として読取ることによって、画像のデータを生成する。生成された画像のデータは、アナログ信号の形態のまま、画像処理装置4に与えられる。
【0056】
画像処理装置4には、RGB信号形態のアナログ信号の形態の画像のデータが、画像入力装置3から与えられる。与えられるRGB信号形態の画像のデータは、A/D変換部11〜階調再現処理部19までの各処理部に順次与えられて、各処理部11〜19において処理がそれぞれ施され、最終的に、CMYK信号形態の画像のデータとして画像出力装置5に出力される。A/D変換部11〜階調再現処理部19までの各処理部における処理は、主制御部21によって制御される。主制御部21は、画像処理装置4内における画像のデータに対する各種処理を統括的に制御するための制御部である。主制御部21は、たとえば、中央演算処理回路(Central Processing Unit:CPU)によって実現される。
【0057】
A/D(アナログ/デジタル)変換部は、RGB信号形態の画像のデータであるアナログ信号を、デジタル信号に変換して、シェーディング補正部12に与える。シェーディング補正部12は、与えられるデジタル信号であるRGB信号形態の画像のデータに対して、画像入力装置3の特性に基づくシェーディング補正を施す。画像入力装置3の特性に基づくシェーディング補正は、画像入力装置3の照明系、結像系、および撮像系の構成に起因して画像に生じる各種の歪みを取除く処理である。
【0058】
入力階調補正部13は、シェーディング補正部12によって処理されたRGB信号形態の画像のデータに対して、画像のカラーバランスを整える処理を施す。さらに入力階調補正部13は、カラーバランスの調整前または調整後に、与えられた画像のデータを、入力階調補正部13以後の処理部14〜19において取扱い易い信号形態のデータに変換する処理を行う。たとえば、画像入力装置3がスキャナで構成されている場合、画像入力装置3から与えられる画像のデータは、RGBの各色の反射率を示す信号で構成されている。この場合入力階調補正部13は、画像のデータの信号形態を、RGBの各色の反射率を示す信号からRGBの各色の濃度を示す信号に変換する。
【0059】
領域分離処理部14は、入力階調補正部13によって処理されたRGB信号形態の画像のデータに基づき、該画像の領域分離処理を行って、処理結果を示す領域分離信号を出力する。領域分離処理は、被処理画像を構成する画素が予め定める複数種類の領域のどれにそれぞれ属するかを判断する処理である。分離される領域は、たとえば、文字が描かれた文字領域、網点で絵が表現されている網点領域、写真が表示されている写真領域の少なくとも1つを含む。被処理画像の画素がどの領域に属しているかをそれぞれ示す領域識別信号は、黒生成下色除去部16、空間フィルタ処理部17、および階調再現処理部19に出力される。また入力階調補正部13から与えられているRGB信号形態の画像のデータは、後段の色調整部15にそのまま出力される。
【0060】
色調整部15は、与えられた画像のデータに対する色修正と、色修正後の画像のデータの表色系の変換とを行う。色調整部15における色修正は、基本的には、画像出力装置5における色再現の忠実化を実現するために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを画像のデータから取除く処理である。図1の画像処理装置4では、さらに、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正が行なわれる。
【0061】
黒生成下色除去部16は、色調整部15から与えられるCMY信号形態の画像のデータに基づき、黒生成処理と下色除去処理とを行い、CMY信号形態の画像のデータをCMYK信号形態の画像のデータに変換する。黒生成処理は、CMY信号形態の画像のデータに含まれるCMYの3色の色信号から黒信号を生成する処理である。下色除去処理は、CMY信号形態の画像のデータに含まれるCMYの3色の色信号から黒の色信号分を差引いて新たなCMYの色信号を生成する処理である。CMYK信号形態の画像のデータは、画素毎に、黒生成処理で生成された黒の色信号と下色除去処理で生成されたCMYの色信号とを含む。
【0062】
黒生成処理の一例として、スケルトンブラックを用いて黒生成を行なう手法がある。スケルトンブラックを用いる手法では、被処理画素に対する黒生成処理および下色除去処理が同時に行われる。前記手法では、具体的には、被処理画素の色信号が、以下の連立式で示すように変換される。以下の連立式では、スケルトンカーブの入出力特性を「y=f(x)」、入力されるCMY信号形態の画素の各色信号を「C」,「M」,「Y」、出力されるCMYK信号形態の画素の各色信号を「C#」,「M#」,「Y#」,「K#」、UCR(Under Color Removal)率を「α」(0<α<1)と表す。UCR率αは、0より大きく1未満の数値である。
【0063】
空間フィルタ処理部17と出力階調補正部18と階調再現処理部19とは、黒生成下色除去部16から与えられるCMYK信号形態の画像のデータに対して、領域識別信号に基づく処理を順次施す。基本的には、空間フィルタ処理部17では、デジタルフィルタを用いたフィルタ処理が、画像のデータに施される。空間フィルタ処理部17における空間フィルタ処理の1つでは、たとえば、画像出力装置5で顕像化される際の画像のぼやけおよび粒状性劣化を防ぐために、該画像の空間周波数特性が補正される。
【0064】
空間フィルタ処理部17〜階調再現処理部19までの各後処理部における画像のデータに対する処理は、領域分離処理部14によって分離された領域毎に異なる。たとえば、文字領域内の画素に関しては、黒文字あるいは色文字の再現性を特に高めるために、空間フィルタ処理の1つである鮮鋭強調処理において、高周波数の強調量が他の領域よりも大きくされる。同時に、階調再現処理部19において、高域周波数の再現に適した高解像度のスクリーンでの二値化処理または多値化処理が選択される。また、写真領域に関しては、階調再現処理部19において、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化または多値化処理が行われる。
【0065】
さらにまた、網点領域内の画素に関しては、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理が空間フィルタ処理部17によって施され、出力階調補正部18によって出力階調補正処理が施され、最後に階調再現処理部19によって階調再現処理が施される。網点領域への出力階調補正処理は、網点領域の画素の色を表すパラメータであるCMYKの各色の濃度を画像出力装置5の特性値である網点面積率に変換する処理である。網点領域への階調再現処理は、いわゆる中間調生成処理であって、処理後の網点領域の像を画素に分離して、各画素の階調を再現できるように処理する。
【0066】
階調再現処理部19における処理が完了したCMYK信号形態の画像のデータが、画像処理装置4からの出力として、画像出力装置5に与えられる。また、画像処理装置4が記憶部22をさらに備えている場合、好ましくは、処理完了後の画像のデータは、記憶部22に一旦記憶され、所定のタイミングで読出されて画像出力装置5に与えられる。
【0067】
画像出力装置5は、与えられた画像のデータに基づき、該画像を顕像化する。画像出力装置5は、たとえば、電子写真方式およびインクジェット方式に代表される処理方式を用いる印刷装置によって実現される。印刷装置は、顕像化された該画像を、紙等で実現される記録媒体上に出力する。
【0068】
また画像出力装置5は、記録媒体への印刷装置に限らず、他の形態の画像出力装置5で実現されてもよい。たとえば、画像出力装置5は、R#G#B#表色系を用いる表示装置によって実現されてもよい。陰極線管(CRT)装置および液晶ディスプレイに代表される表示装置は、顕像化された該画像を、自己が備える画面上に表示させる。この場合、画像処理装置4において、黒生成下色除去部16は不要であるので省略され、かつ、色調整部15はRGB信号形態からR#G#B#信号形態への変換を行う。
【0069】
図3は、画像処理装置4の色調整部15における画像のデータに対する色調整処理の手順を示すフローチャートである。図2および図3を参照して、色調整処理を詳細に説明する。色調整部15は、色修正部7と色座標演算部8と第1色修正判断部9との他に、L*C*h変換部31とL*C*h分岐部32とをさらに含む。色修正部7は、色補正部34と色修正演算部35と色修正完了確認部36とを含む。色修正部7では、具体的には、与えられた画像のデータを画素単位で処理するので、図3に示す着目画素に対する処理が、与えられたデータが示す画像を構成する全ての画素に対して、順次施される。
【0070】
図1の説明では、色調整部15にRGB信号形態の画像のデータが与えられている。図2および図3の例では、処理開始時の画像のデータにおいて、画素の色がL*a*b*表色系で表されているものとする。RGB信号形態の表色系からL*a*b*表色系への変換は、RGB信号形態の画像のデータが色調整部15に与えられてからL*C*h変換部31に与えられるまでに行われてもよく、A/D変換部11〜入力階調補正部13までの前処理部のうちのいずれかで行われていても良い。L*a*b*表色系は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化された表色系であり、明度値L*と色相および彩度を示す2つの色度値a*,b*とで色を表す。L*C*h表色系は、明度値L*と彩度値C*と色相角hとの組み合わせで色を表す表色系である。
【0071】
処理を開始すると、ステップS0からステップS1に進む。ステップS1において、L*C*h変換部31は、与えられたL*a*b*表色系の画像のデータを、L*C*h表色系の画像のデータに変換する。画像のデータの表色系変換時において、L*a*b*表色系からL*C*h表色系への変換は、たとえば、以下の連立式に基づいて画素単位で行われる。以下の連立式において、「L*」、「a*」、「b*」は、L*a*b*表色系(CIE1976)の均等色空間における注目画素の色の空間座標であり、「C*」、「h」は、L*C*h表色系の均等色空間における注目画素の色の空間座標である。
【0072】
ステップS2では、ステップS1の演算結果に基づき、L*C*h変換部31が、L*C*h表色系の画像のデータを、明度値L*と彩度値C*と色相角hとに分離する。明度値L*および色相角hは、色修正判断部と色補正部34とに与えられ、彩度値C*は色補正部34に与えられる。
【0073】
ステップS3〜ステップS6の処理は、たとえば、画像を構成する画素単位で行われる。ステップS3では、第1色修正判断部9において、L*C*h分岐部32から送られた着目画素の明度値L*および色相角hに基づき、着目画素の色修正を行うか否かを判断する。具体的には、まず、色修正すべき基準範囲内に着目画素の色相角hが有るかどうかを判断し、さらに、着目画素と周辺画素との明度値L*の大小関係が基準配色の順序に関して修正すべき範囲にあるかどうかを判断する。基準範囲内に着目画素の色相角hが有り、かつ明度値L*の大小関係が基準配色の順序と逆である場合、着目画素の色を操作するという判断結果と着目画素の明度値L*とが、色修正演算部35に与えられる。基準範囲内に着目画素の色相角hがない場合、または、明度値L*の大小関係が基準配色の順序と順である場合、着目画素の色を操作しないという判断結果だけが、色修正演算部35に与えられる。
【0074】
着目画素の色を操作するという情報が第1色修正判断部9から得られた場合だけ、ステップS4〜ステップS5の処理が行われる。ステップS4において、第1色修正判断部9から送られた明度値L*を色修正演算部35が修正する。着目画素の具体的な色修正手順は、前述の第1〜第3の色修正手法のうちの少なくとも1つである。
【0075】
次いでステップS5において、修正された明度値L*が色補正部34に送信される。明度値L*の送信に応答して、色補正部34が、着目画素の元の彩度値C*および色相角hと該着目画素の修正された明度値L*とを組み合わせて、着目画素の修正後のデータとして出力する。すなわち、ステップS4〜ステップS5の処理によって、着目画素の色が修正される。
【0076】
また、ステップS3において着目画素の色を操作しないという情報が第1色修正判断部9から得られた場合、ステップS4〜ステップS5の処理が飛ばされる。ゆえに、色補正部34は、着目画素の元の彩度値C*および色相角hと該着目画素の未修正の明度値L*とを組み合わせて、着目画素の修正後のデータとして出力する。
【0077】
ステップS6では、色修正完了確認部36が、被処理画像の全画素について、ステップS3〜ステップS5における一連の色修正処理が完了したかどうかを確認する。完了が確認されない場合、ステップS6からステップS3の色修正判断に再び戻り、次の着目画素について、ステップS3〜S6の処理が行われる。完了が確認された場合、ステップS7で図3のフローチャートの処理が完了する。処理完了後、全画素の修正後のデータL*,C*,hを含む画像の修正後のデータが、色座標演算部8に送られる。色座標演算部8は、L*C*h表色系で表される画像の修正後のデータを、CMY信号形態の画像のデータに変換する。以上で、被処理画像に対する一連の色調整処理が終了する。
【0078】
図4は、図1の画像処理装置4で用いられるナチュラル配色の概念を示す図である。図4では、画素の色をL*C*h表色系で表す場合の明度値L*が縦軸であり、前述の場合の色相角hが横軸であり、グラフGNがナチュラル配色における明度値*と色相角hとの関係を示す。る。図4を参照して、ナチュラル配色の概念について説明する。
【0079】
ナチュラル配色とは、ナチュラルシーケンスに準じた配色である。具体的には、ナチュラル配色とは、隣接色相および類似色相の配色の状況下で、黄に近い色相の色を明るく、黄から遠い色相の色を暗くした配色にすることによって、人が見て自然な感じを与えることができる配色である。隣接色相および類似色相の配色とは、着目画素と周辺画素との色相が隣接および類似している状況下の配色である。このような配色は、ナチュラルシーケンスの基礎であり、色相の自然連鎖に従った色相と明度の関係を応用したものである。ナチュラルシーケンス、すなわちナチュラル配色をL*C*h表色系で示すと、図4に示すように、色相角hが90度、すなわち黄色の場合を、明度値最大の色相とし、色相角hが270度、すなわち青色の場合を、明度値最小の色相とする。
【0080】
これによって、ナチュラル配色では、色相角hが90度から180度を経て270度まで変化する範囲、すなわち黄色〜緑色〜青色の範囲内での明度順序は、以下の式のように、色相角hが270度に近づくほど明度値L*が小さくなる。すなわち、色相角hが90度の場合の明度L*(h=90°)のほうが、色相角hが180度の場合の明度値L*(h=180°)よりも大きく、かつ色相角hが180度の場合の明度値L*(h=180°)のほうが、色相角hが270度の場合の明度値L*(h=270°)よりも大きい。具体的には、黄色〜黄緑〜緑色〜青色に至る順序で明度値が小さくなる。
【0081】
またこれによって、ナチュラル配色では、色相角hが270度から0度を経て90度まで変化する範囲、すなわち黄色〜赤色〜青色の範囲内での明度順序は、以下の式のように、色相角hが90度に近づくほど明度値L*が大きくなる。すなわち、色相角hが90度の場合の明度L*(h=90°)のほうが、色相角hが0度の場合の明度値L*(h=0°)よりも大きく、かつ色相角hが0度の場合の明度値L*(h=0°)のほうが、色相角hが270度の場合の明度値L*(h=270°)よりも大きい。具体的には、黄色〜赤色〜紫色〜青色に至る順序で明度値が小さくなる。
【0082】
前述した第1色修正判断部9で用いられる基準範囲は、上述の隣接色相や類似色相の状況下での着目画素と周辺画素との色相差に相当する。図1の画像処理装置4において、具体的には、L*C*h表色系で色が表される場合、基準範囲を色相角hで30度に設定することが好ましい。これによって画像処理装置4は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、より確実に判断することができる。勿論、基準範囲は、この値に限定されるものではない。
【0083】
また、ナチュラル配色とは逆に、ナチュラルシーケンスに従わない配色は、コンプレックス配色と呼ばれる。コンプレックス配色は、不自然な印象を与えるが、あえて人工的な印象を与えたい場合に効果的なことがある。コンプレックス配色をL*C*h表色系で示すと、色相角hが90度、すなわち黄色の場合を、明度値最小の色相とし、色相角hが270度、すなわち青色の場合を、明度値最大の色相とする。
【0084】
これによって、コンプレックス配色では、色相角hが90度から180度を経て270度まで変化する範囲、すなわち黄色〜緑色〜青色の範囲内での明度順序は、以下の式のように、色相角hが270度に近づくほど明度値L*が大きくなる。すなわち、色相角hが90度の場合の明度L*(h=90°)のほうが、色相角hが180度の場合の明度値L*(h=180°)よりも小さく、かつ色相角hが180度の場合の明度値L*(h=180°)のほうが、色相角hが270度の場合の明度値L*(h=270°)よりも小さい。具体的には、黄色〜黄緑〜緑色〜青色に至る順序で明度値が大きくなる。
【0085】
またこれによって、コンプレックス配色では、色相角hが270度から0度を経て90度まで変化する範囲、すなわち黄色〜赤色〜青色の範囲内での明度順序は、以下の式のように、色相角hが90度に近づくほど明度値L*が小さくなる。すなわち、色相角hが90度の場合の明度L*(h=90°)のほうが、色相角hが0度の場合の明度値L*(h=0°)よりも小さく、かつ色相角hが0度の場合の明度値L*(h=0°)のほうが、色相角hが270度の場合の明度値L*(h=270°)よりも小さい。具体的には、黄色〜赤色〜紫色〜青色に至る順序で明度値が大きくなる。
【0086】
図5は、図1の画像処理装置4において、被処理画像内での着目画素D(0)と周辺画素D(n)との関係を示す拡大模式図である。図5では、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との例として、着目画素D(0)を中心として、3時方向から8時方向までに時計周りに並ぶ4つの周辺画素D(1)〜D(4)を図示している。また、図5において、各画素の括弧内の値(L*,C*,h)は、各画素の色を示すL*C*h表色系のパラメータである。
【0087】
図5の説明では、「右下の周辺画素D(1)と着目画素D(0)との対」を「右下画素対AR1」と記し、同様に、真下、左下、および右横の周辺画素D(2)〜D(4)と着目画素D(0)との対を、「真下画素対AR2」,「左下画素対AR3」,および「右横画素対AR4」とそれぞれ記す。また図5の説明では、「ナチュラルシーケンスに反した関係」を「明度順序が逆」と記し、「ナチュラルシーケンスに順じた関係」を「明度順序が正」と記す。
【0088】
図5の例において、着目画素の色相角h(0)と周辺画素の色相角h(n)との比較時に、以下の関係式を満たすならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が正になる。すなわち、着目画素D(0)の色相角hが270度から90度に変化する範囲内であり、周辺画素の色相角h(n)が小さい場合に周辺画素の明度値L*(n)が小さく、かつ周辺画素の色相角h( n)が大きい場合に周辺画素の明度値L*(n)が大きいという関係になったならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が正、すなわちナチュラル配色になる。また、前述の状況下で以上の関係と逆になったならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が逆、すなわちコンプレックス配色になる。
(着目画素D(0)の色相角hが270°から90°の場合)
【0089】
また図5の例において、着目画素の色相角h(0)と周辺画素の色相角h(n)との比較時に、以下の関係式を満たすならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が正になる。すなわち、着目画素D(0)の色相角hが90度から270度に変化する範囲内であり、かつ、周辺画素の色相角h(n)が小さい場合に周辺画素の明度値L*(n)が大きく、かつ周辺画素の色相角h(n)が大きい場合に周辺画素の明度値L*(n)が小さいという関係になったならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が正になる。また、前述の状況下で以上の関係と逆になったならば、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との明度順序が逆になる。図5の例では、着目画素D(0)の色のパラメータ(L*,C*,h)が(70,30,100)になっているので、以下の関係式に基づいて明度順序が判断される。
(着目画素D(0)の色相角hが90°から270°の場合)
【0090】
図5の例では、右下画素対AR1における色の関係、および真下画素対AR2における色の関係が、ナチュラルシーケンスに反した関係になっている。また、左下画素対AR3における色の関係、および右横画素対AR4における色の関係が、ナチュラルシーケンスに順じた関係になっている。また着目画素D( 0)と周辺画素D(n)との明度値が相互に等しい場合、図1の画像処理装置4では、明度順序が逆であると判定して、該着目画素D(0)と該周辺画素D(n)との対も色修正対象とする。
【0091】
次に、図5を参照して、注目画素の色修正手法について詳細に説明する。前述したように、色修正の具体的手法は3種類ある。図5の例では、明度順序が逆になっている対、すなわち右下画素対AR1および真下画素対AR2に関して色修正が施され、これらの対以外の残余の対に関しては無修正とする。ただし、前述した通り、着目画素と周辺画素との色相角h(0),h(n)の差が基準範囲である30度を越える場合、色修正は適用されない。たとえば、色相角が15度の画素と色相角が200度の画素との対、すなわち赤付近の色の画素と緑付近の色の画素の対に対しては、色修正は適用されない。
【0092】
第1の色修正手法では、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との色相角hの大小関係に応じて、周辺画素の明度値L*(n)が減少または増加させられる。具体的には、図5の右下画素対AR1を例とすると、着目画素の色相角h(0)が15度であるのに対して、周辺画素の色相角h(1)が20度になっている。この場合、周辺画素の明度L*(1)と着目画素の明度L*(0)と*(0)よりも大きいほうが望ましいので、周辺画素の明度L*(1)が70から72に増加される。
【0093】
第2の色修正手法では、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との色相角hの大小関係に応じて、着目画素の明度値L*(0)と周辺画素の明度値L*(n)とが交換される。第2の色修正手法では、着目画素D(0)に対する周辺画素D(n)の優先順位が予め定められており、実際の周辺画素の順序に応じて、明度値が交換される。すなわち、着目画素D(0)の周囲にある全ての周辺画素D(1)〜D(N)の中から色修正が適用される対を形成する周辺画素が選ばれ、選ばれた周辺画素のうちの優先順位が最も高い周辺画素の明度値L*(n)と着目画素の明度値L*(0)とが交換される。
【0094】
着目画素D(0)に対する周辺画素D(n)の優先順位は、たとえば図5の例では、以下の表のように定められている。次表は図5に対応しており、2重丸が付されたセルが図5の着目画素D(0)に相当し、1〜4の数値が付されたセルが図5の右横〜左下の周辺画素D(1)〜D(4)に相当し、「×」が付されたセルが図5の左横の周辺画素D(5)に相当する。すなわち、次表の例では、右横の周辺画素D(1)、右下の周辺画素D(2)、真下の周辺画素D(3)、左下の周辺画素D(4)の順で優先順位が下がり、左横の周辺画素D(5)は交換の対象にならない。
【0095】
【表1】
【0096】
図5の例では、明度値が相互に等しい右下画素対AR1と明度値が相互に異なる真下画素対AR2とに関して色修正が行われ、残余の対AR3,AR4は無修正になっている。図1の画像処理装置4では、第1および第2の色修正手法が組み合わされてもよい。この場合、たとえば、右下の周辺画素D(2)と真下の周辺画素D(3)とのうち、右下画素対AR1は明度値が相互に等しいので、最初に、第1色修正手法を適用して、右下の周辺画素の明度値L*(1)を70から72に増大させる。次いで、真下画素対AR2では明度の順序が逆であるので、着目画素の明度値L*(0)である70と真下の周辺画素の明度値L*(1)である55とを交換する。これによって、着目画素D(0)と真下の周辺画素D(3)との色のL*C*h表色系のパラメータは、以下の式で示すように変化する。これによって、着目画素D(0)に対する全周辺画素D(1)〜D(4)のうちに着目画素D(0)と明度値の等しい周辺画素があっても、色修正を確実に行うことができる。
【0097】
第3の色修正手法では、着目画素D(0)と周辺画素D(n)との色相角hの大小関係に応じて、周辺画素の明度値L*(n)が減少または増加させられ、かつ単一の着目画素の明度値L*(0)に対する全周辺画素の明度値L*(1)〜L*(4)の和が、予め定める一定の基準値になるように、着目画素の明度値L*(0)および全周辺画素の明度値L*(1)〜L*(4)のうちのすくなくとも1つが調整される。すなわち、単一の着目画素D(0)に対する全周辺画素D(1)〜D(4)のうちの修正対象の周辺画素D(n)に対して第1の色修正手法による色修正が施され、さらに、かつ一般的な誤差拡散手法のように、近傍画素の明度値の総和が常に一定になるように、明度値の修正が行われる。また第3の色修正手法は第2の色修正手法とさらに組み合わされてもよい。
【0098】
本発明の第2の実施の形態である画像形成装置について、以下に説明する。第2の実施の形態の画像形成装置は、第1の実施の形態の画像形成装置1と比較して、画像処理装置内の色調整部15内の詳細構成だけが異なり、他の構成は図1の構成と等しい。すなわち、第2の実施の形態の画像形成装置は、図1の画像入力装置3と、画像処理装置と、図1の画像出力装置5とを含む。
【0099】
以下の説明では、第2の実施の形態の画像形成装置を構成する構成要素のうち、第1の実施の形態の画像形成装置1の構成要素と同じ機能を有する構成要素には、第1の実施の形態と同じ名称および参照符を付し、説明は省略する。同様に、以下の説明では、第2の実施の形態の画像処理装置を構成する構成要素のうち、第1の実施の形態の画像処理装置4の構成要素と同じ機能を有する構成要素には、第1の実施の形態と同じ名称および参照符を付し、説明は省略する。
【0100】
第2の実施の形態の画像処理装置は、基本的には、画像入力装置3から与えられたカラー画像のデータに対して各種の処理を施し、処理後のカラー画像のデータを画像出力装置5に与える。画像処理装置で施される処理の1つは、第1表色系を用いて表されるカラー画像のデータを、第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表されるカラー画像のデータに変換する処理である。
【0101】
図6は、第2の実施の形態の画像処理装置に備えられる色調整部41の詳細な構成を示すブロック図である。画像処理装置は、概略的には、色修正部7と色座標演算部8と領域選択部43とを最低限含む。領域選択部43および色修正部7には、第1表色系を用いて表されるカラー画像のデータがそれぞれ与えられる。
【0102】
領域選択部43は、予め定める基準に基づいて、与えられたカラー画像内の少なくとも一部分の領域を選択する。以下の説明では、「与えられたカラー画像内の領域選択部43によって選択された領域」を、単に「選択領域」と略称することがある。また、「与えられたカラー画像内の選択領域以外の残余領域」を、単に「残余領域」と略称することがある。
【0103】
色修正部7は、与えられたデータが示すカラー画像を構成する複数の画素のうちの選択領域内の画素に対する色修正を、該カラー画像のデータに施す。色座標演算部8は、色修正部7によって色修正されたカラー画像のデータを、第2表色系を用いて表されるカラー画像のデータに変換する。
【0104】
このように、第2の実施の形態の画像処理装置は、オブジェクト認識に代表される領域選択手法を用いて任意の領域をカラー画像内から選択し、選択領域内の画素に対してだけ色修正を施す。これによって、画像処理装置は、入力されたカラー画像を、人が見てより自然な印象を受けるように修正することができる。
【0105】
画像処理装置は、好ましくは、色修正部7と色座標演算部8と領域選択部43との他に、第2色修正判断部44をさらに含む。第2色修正判断部44は、第1表色系を用いて表現されるカラー画像内の選択領域とカラー画像内の該選択領域以外の残余領域とを比較し、選択領域の画素に対する色修正を行うか否かを判断する。色修正部7は、第2色修正判断部44によって色修正すると判断された場合、選択領域内の画素のデータに対する色修正を行い、色修正しないと判断された場合、該選択領域の色修正を行わない。
【0106】
このように第2の実施の形態の画像処理装置は、領域選択によって選択された任意の領域と残余領域との比較結果に基づいて、該選択領域内の画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定する。これによって画像処理装置は、第1表色系を用いるカラー画像内の全画素のうち、選択領域内の修正すべき画素のデータだけを修正することができるので、さらに自然な印象の色に修正することができる。
【0107】
具体的には、第2色修正判断部44は、カラー画像内の選択領域の明度値および色相値と残余領域の明度値および色相値とをそれぞれ比較する。選択領域の色相値と残余領域の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、選択領域の明度値と残余領域の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、選択領域内の画素の色修正を行うと判断される。選択領域と残余領域との色相値の差が基準範囲内の値である場合であっても、選択領域の明度値と残余領域の明度値との大小関係が基準配色の順序と順であれば、該選択領域の色修正を行わないと判断される。これによって、第2の実施の形態の画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、領域毎に確実に判断することができる。
【0108】
第2色修正判断部44において用いられる基準配色は、好ましくは、いわゆるナチュラル配色およびコンプレックス配色のいずれか一方である。基準配色がナチュラル配色であれば、画像処理装置は、自然な感覚を持った色修正を行うことができる。また、基準配色がコンプレックス配色であれば、画像処理装置は、人工的な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0109】
第2の実施の形態の画像処理装置4において、選択領域内の画素の色修正手法は、以下の2通りある。色修正部7は、第4および第5の色修正手法のうちの少なくとも1つを用いて、選択領域内の画素に対する色修正を行う。第4の色修正手法では、色修正部7が、選択領域内の画素の色相角と残余領域内の画素の色相角との大小関係に応じて、選択領域内の画素および残余領域内の画素のうちの少なくとも一方の明度値を増減させる。すなわち、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域の明度値を残余領域に対して相対的に増減させる。第5の色修正手法では、色修正部7が、選択領域内の画素の色相角と残余領域内の画素の色相角との大小関係に応じて、選択領域内の画素の明度値と残余領域内の画素の明度値とを交換する。これらによって、画像処理装置は、選択領域内の画素のデータに対してだけ、配色の概念に従った色補正を容易に行うことができる。
【0110】
図7は、図6の色調整部41における画像のデータに対する色調整処理の手順を示すフローチャートである。図6および図7を参照して、色調整処理を詳細に説明する。また図7の色調整処理は、図3の色調整処理と類似の処理である。
【0111】
色調整部41は、色修正部7と色座標演算部8と第2色修正判断部44と領域選択部43との他に、L*C*h変換部31とL*C*h分岐部32とをさらに含む。色修正部7は、色補正部34と色修正演算部35と色修正完了確認部36とを含む。色修正部7では、具体的には、与えられた画像のデータを画素単位で処理するので、図7に示す着目画素に対する処理が、与えられたデータが示す画像を構成する全ての画素に対して、順次施される。なお、図6および図7の例では、図2および図3の例と同様に、処理開始時の画像のデータにおいて、画素の色がL*a*b*表色系で表されているものとする。
【0112】
処理を開始すると、ステップS10からステップS11に進む。ステップS11では、図3のステップS1と同様に、L*C*h変換部31によって、画像のデータのL*a*b*表色系からL*C*h表色系への次式に基づく表色系変換が行われる。
【0113】
ステップS12では、図3のステップS2と同様に、ステップS11の演算結果に基づき、L*C*h変換部31によって、L*C*h表色系の画像のデータの明度値L*と彩度値C*と色相角hとが分離される。たとえば領域単位で、明度値L*および色相角hは、第2色修正判断部44と色補正部34とに与えられ、彩度値C*は色補正部34に与えられる。
【0114】
ステップS13では、L*C*h分岐部32から画素の色のパラメータL*,C*,hが送られた領域が色調整すべき選択領域であるか否かを、領域選択部43が判断する。領域選択部43は、被処理画像の領域分離を独自に実行して選択領域を把握していてもよく、画像処理装置内の領域分離処理部14からの領域分離信号に基づいて選択領域を把握してもよい。領域選択部43の選択結果を示す情報は、領域選択部43から第2色修正判断部44に与えられる。選択領域のデータであれば、ステップS13からステップS14〜S16の処理に移行する。選択領域のデータでなければ、ステップS14〜ステップS16の処理が飛ばされて、ステップS13からステップS17に直接進む。
【0115】
ステップS14〜ステップS17の処理は、たとえば、画像内の画素単位で行われる。ステップS14では、第2色修正判断部44において、ステップS3と同様に、L*C*h分岐部32から送られた着目画素の明度値L*および色相角hに基づき、該着目画素の色修正を行うか否かを判断する。
【0116】
具体的には、第2色修正判断部44は、まず、色修正すべき基準範囲内に着目画素の色相角hが有るかどうかを判断し、さらに、着目画素と残余領域の画素との明度値L*の大小関係が基準配色の順序に関して修正すべき範囲にあるかどうかを判断する。最後に、領域選択部43の選択結果に基づき、着目画素が選択領域内にあるか否かを判断する。基準範囲内に着目画素の色相角hが有り、かつ明度値L*の大小関係が基準配色の順序と逆であり、さらに着目画素が選択領域内に有る場合、選択領域の画素の色を操作するという判断結果と着目画素の明度値L*とが、色修正演算部35に与えられる。基準範囲内に着目画素の色相角hがない場合、明度値L*の大小関係が基準配色の順序と順である場合、および着目画素が選択領域内に無い場合、のうちの少なくとも1つに該当すれば、着目画素の色を操作しないという判断結果だけが、色修正演算部35に与えられる。
【0117】
着目画素の色を操作するという情報が第2色修正判断部44から得られた場合だけ、ステップS15〜ステップS16の処理が行われる。ステップS15において、第2色修正判断部44から送られた明度値L*を色修正演算部35が修正する。着目画素の具体的な色修正手順は、前述の第4および第5の色修正手法のうちの少なくとも1つである。
【0118】
次いでステップS16において、修正された明度値L*が色補正部34に送信される。明度値L*の送信に応答して、色補正部34が、着目画素の元の彩度値C*および色相角hと該着目画素の修正された明度値L*とを組み合わせて、着目画素の修正後のデータとして出力する。すなわち、ステップS15〜ステップS16の処理によって、着目画素の色が修正される。
【0119】
ステップS17では、色修正完了確認部36が、被処理画像の全画素について、ステップS14〜ステップS16における一連の色修正処理が完了したかどうかを確認する。完了が確認されない場合、ステップS17からステップS13の判断に再び戻り、次の着目画素について、ステップS13〜S17の処理が行われる。完了が確認された場合、ステップS18で図7のフローチャートの処理が完了する。処理完了後、全画素の修正後のデータL*,C*,hを含む画像の修正後のデータが、色座標演算部8に送られる。色座標演算部8は、L*C*h表色系で表される画像の修正後のデータを、CMY信号形態で表される画像のデータに変換する。以上で、被処理画像に対する一連の色調整処理が終了する。
【0120】
図8は、第2の実施の形態の画像処理装置において、被処理画像P内での選択領域R(n)と残余領域R(0)との関係を示す模式図である。図8では、選択領域R(n)と残余領域R(0)との例として、斜線を付して示す2つの選択領域R(1),R(2)と、選択領域R(1),R(2)に対する背景に相当する残余領域R(0)とを図示している。また、図8において、各領域の括弧内の値(L*,C*,h)は、各領域の色を示すL*C*h表色系のパラメータである。図8の説明では、図8において左側の選択領域を「円選択領域R(1)」と記し、図8において左側の選択領域を「角選択領域R(2)」と記し、円選択領域R(1)と残余領域R(0)との対を「円領域画素対AR11」と記し、角選択領域R(2)と残余領域R(0)との対を「角領域画素対AR12」と記す。
【0121】
第2の実施の形態の画像処理装置において、ナチュラル配色およびコンプレックス配色の概念は、第1の実施の形態で説明した概念と等しい。図8の例では、円領域対AR11における色の関係が、ナチュラルシーケンスに順じた関係になっており、角領域対AR12における色の関係が、ナチュラルシーケンスに反した関係になっている。また選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度値が相互に等しい場合、第2の実施の形態の画像処理装置では、明度順序が逆であると判定して、該選択領域R(n)と残余領域R(0)との対も色修正対象とする。図8の説明では、「ナチュラルシーケンスに反した関係」を「明度順序が逆」と記し、「ナチュラルシーケンスに順じた関係」を「明度順序が正」と記す。
【0122】
図8の例において、選択領域の画素の色相角h(n)と残余領域の画素の色相角h(0)との比較時に、以下の関係式を満たすならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が正になる。すなわち、角領域対AR12のように、選択領域R(n)の画素の色相角h(0)が270度から90度に変化する範囲内であり、残余領域の画素の色相角h(0)が小さい場合に残余領域の画素の明度値L*(0)が小さく、かつ残余領域の画素の色相角h(0)が大きい場合に残余領域の画素の明度値L*(0)が大きいという関係になったならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が正、すなわちナチュラル配色になる。また、前述の状況下で以上の関係と逆になったならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が逆、すなわちコンプレックス配色になる。
(選択領域の色相角h(n)が270°から90°の場合)
【0123】
また図8の例において、選択領域と残余領域での色相角h(n),h(0)の比較時に、以下の関係式を満たすならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が正になる。すなわち円領域対AR11のように、選択領域の画素の色相角h(n)が90度から270度に変化する範囲内であり、かつ、残余領域の画素の色相角h(0)が小さい場合に残余領域の画素の明度値L*(0)が大きく、かつ残余領域の画素の色相角h(0)が大きい場合に残余領域の画素の明度値L*(0)が小さいという関係になったならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が正になる。また、前述の状況下で以上の関係と逆になったならば、選択領域R(n)と残余領域R(0)との明度順序が逆になる。図8の例では、円選択領域R(1)の画素の色のパラメータ(L*,C*,h)が(70,30,100)になっているので、以下の関係式に基づいて明度順序が判断される。
(選択領域の色相角h(n)が90°から270°の場合)
【0124】
次に、図8を参照して、選択領域R(n)内の画素の色修正手法について詳細に説明する。前述したように、色修正の具体的手法は2種類ある。図8の例では、明度順序が逆になっている対、すなわち角領域対AR12に関して色修正が施され、これらの対以外の残余の対に関しては無修正とする。ただし、前述した通り、選択領域R(n)の画素と残余領域R(0)の画素との色相角の差が基準範囲である30度を越える場合、色修正は適用されない。たとえば、色相角が15度の領域と色相角が200度の領域との対、すなわち赤付近の色の領域と緑付近の色の領域との対に対しては、色修正は適用されない。
【0125】
第4の色修正手法では、選択領域と残余領域との色相角h(n),h(0)の大小関係に応じて、背景側である残余領域の画素の明度値L*(0)が減少または増加させられる。具体的には、図8の角領域対AR12を例とすると、選択領域の画素の色相角h(0)が15度であるのに対して、残余領域の画素の色相角h(0)が10度になっている。この場合、残余領域の画素の明度L*(0)の65よりも選択領域の画素の明度L*(1)のほうが大きいほうが望ましいので、選択領域の画素の明度L*(1)が55から72に増加される。
【0126】
第5の色修正手法では、選択領域の画素の明度値L*(n)と残余領域の画素L*(0)の明度値とが交換される。図8の例では、明度の順序が逆である角領域対AR12に関して色修正が行われ、残余の対AR11は無修正になっている。具体的には、角領域対AR12において、選択領域の画素の明度値L*(2)である70と残余領域の画素の明度値L*(0)である55とが交換される。
【0127】
第1ならびに第2の実施の形態の画像形成装置1および画像処理装置4は、本発明の画像形成装置1および画像処理装置4の例示であり、主要な構成および動作が等しければ、他の様々な形で実現することができる。特に画像処理装置4の各構成部品の詳細な構成および動作は、同じ効果が得られるならば、上述の構成および動作に限らず、他の構成および動作によって実現されてもよい。
【0128】
画像処理装置4の処理部7〜44は、個別の回路によってそれぞれ実現される構成に限らず、1または複数の処理部7〜44の機能を実現するための制御プログラムを含む制御ソフトウエアをコンピュータの中央演算処理装置に実行させることによって、機能的に実現されてもよい。上述した制御ソフトウエアは、記録媒体に記憶されていて画像処理装置4に備えられる媒体読出し部によって該記録媒体から読出されてコンピュータに備えられる記憶部にストアされてもよく、伝送媒体を介した通信によって画像処理装置4に与えられて該記憶部にストアされてもよい。記録媒体としては、フロッピー(R)ディスクに代表される磁気記録媒体、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)およびDVD(Digital Video Disc)に代表される光記録媒体、MO(Magneto−Optic Disc)に代表される光磁気記録媒体、ならびにコンパクトフラッシュ(R)等のリムーバブルディスクに代表されるメモリ媒体が挙げられる。伝送媒体としては、電話回線網の伝送路、LAN(Local Area Network)およびWAN(Wide Area Network)等を用いたコンピュータネットワークの伝送路、およびコンピュータを接続する伝送ケーブル等が挙げられる。これによって、画像処理装置の実現がより容易になる。
【0129】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、画像処理装置は、カラー画像内の1以上の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づいて、該カラー画像のデータに対する色修正を行い、色修正後のカラー画像のデータに対して表色形変換処理を施す。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、人が見て自然な印象の色に修正することができる。
【0130】
また本発明によれば、画像処理装置は、カラー画像内の着目画素と周辺画素との比較時に、画素のデータの明度、彩度、および色相等のうちの少なくとも1つを両画素間で比較する。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、より自然な印象の色に修正することができる。
【0131】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、着目画素と周辺画素との比較結果に基づいて着目画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定し、カラー画像内の修正すべき画素のデータだけに対して色修正を施す。これによって画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、さらに自然な印象の色に修正することができる。
【0132】
また本発明によれば、画像処理装置は、カラー画像内の着目画素と周辺画素との色相値の差が予め定める基準範囲内の値である状況下において、着目画素と周辺画素との明度値の大小関係が基準配色の順序と逆である場合だけ、該着目画素の色修正を行う。これによって、画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、画素毎に確実に判断することができる。
【0133】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素の明度値を周辺画素に対して相対的に増減させる。また本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との色相角の大小関係に応じて、着目画素と周辺画素との間で明度値を交換させる。これらによって、画像処理装置は、着目画素毎に、配色の概念に従った色補正を容易に行うことができる。
【0134】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、着目画素と周辺画素との明度値との全体値が予め定める基準値と一致するように、該着目画素と周辺画素とのうちの少なくとも一方の明度値を増減させる。これによって、画像処理装置は、色修正後もカラー画像全体の明度が変化しないような色修正を行うことができる。
【0135】
また本発明によれば、画像処理装置は、領域選択手法によって選択された領域内の画素に対してだけ、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正を施す。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、人が見てより自然な印象を受けるように修正することができる。
【0136】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、領域選択によって選択された領域と残余領域との比較結果に基づいて、該選択領域内の画素のデータに対する色修正を行うか否かを決定する。これによって画像処理装置は、与えられたカラー画像の色を、さらに自然な印象の色に修正することができる。
【0137】
また本発明によれば、画像処理装置は、カラー画像内の選択領域と残余領域との色相値の差が予め定める基準範囲内の値である状況下において、選択領域と残余領域との明度値の大小関係が基準配色の順序と逆である場合だけ、該選択領域内の画素の色修正を行う。これによって、画像処理装置は、基準配色に従った色補正を行うか否かを、領域毎に確実に判断することができる。
【0138】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域の明度値を残余領域に対して相対的に増減させる。また本発明によれば、画像処理装置は、色修正時に、選択領域と残余領域との色相角の大小関係に応じて、選択領域と残余領域との間で明度値を交換させる。これらによって、画像処理装置は、選択領域のデータに対してだけ、配色の概念に従った色補正を容易に行うことができる。
【0139】
さらにまた本発明によれば、画像処理装置において、色修正の有無の決定に用いられる基準配色が、ナチュラルシーケンスに順じた配色、いわゆるナチュラル配色になっている。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像に対して、自然な感覚を持った色修正を行うことができる。また本発明によれば、画像処理装置において、色修正の有無の決定に用いられる基準配色が、ナチュラルシーケンスに反した配色、いわゆるコンプレックス配色になっている。これによって、画像処理装置は、与えられたカラー画像に対して、人工的な感覚を持った色修正を行うことができる。
【0140】
さらにまた以上のように本発明によれば、画像形成装置は、第1表色系を用いる画像入力装置と、第2表色系を用いる画像出力装置との間に、上述の画像処理装置が介在される構成を有する。画像処理装置は、表色系の変換に先だって、着目画素と周辺画素との比較に基づく色修正を変換すべきカラー画像に施している。これによって、画像形成装置の使い勝手がより良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である画像形成装置1の全体的な構成を示すブロック図である。
【図2】図1の画像処理装置4内に備えられる画像処理装置4内の色調整部15の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図1の画像処理装置4の色調整部15における画像のデータに対する色調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の画像処理装置4で用いられるナチュラル配色の概念を示す図である。
【図5】図1の画像処理装置4において、被処理画像内での着目画素D(0)と周辺画素との関係を示す模式図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態である画像処理装置に備えられる色調整部41の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】図6の画像処理装置の色調整部41における画像のデータに対する色調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図6の画像処理装置4において、被処理画像P内での選択領域R(n)と残余領域R(0)との関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
3 画像入力装置
4 画像処理装置
5 画像出力装置
7 色修正部
8 色座標演算部
9 第1色修正判断部
43 領域選択部
44 第2色修正判断部
D(0) 着目画素
D(1)〜D(4) 周辺画素
R(0) 残余領域
R(1)〜R(2) 選択領域
Claims (15)
- 予め定める第1表色系を用いて表現されるカラー画像のデータが入力され、該カラー画像を構成する複数の画素のうちの着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとの比較に基づく色修正を該カラー画像のデータに施す色修正手段と、
色修正されたカラー画像のデータを、第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表現される複数の画素のデータを含むカラー画像のデータに変換する色座標演算手段とを含むことを特徴とする画像処理装置。 - 前記色修正手段が、前記入力されたカラー画像内の前記着目画素と前記周辺画素との明度、彩度、および色相のうちの少なくとも1つのデータの比較に基づいて色修正を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記第1表色系を用いて表現される複数の画素のデータを含むカラー画像内の着目画素のデータと該着目画素の周辺画素のデータとを比較して、該着目画素の色修正を行うか否かを比較結果に基づいて判断する第1色修正判断手段をさらに含み、
前記色修正手段が、第1色修正判断手段によって色修正すると判断された場合、前記着目画素のデータに対して色修正を行い、色修正しないと判断された場合、該着目画素の色修正を行わないことを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。 - 前記第1色修正判断手段が、
(A)前記カラー画像内の着目画素の明度値および色相値と前記周辺画素の明度値および色相値とをそれぞれ比較し、
(B)前記着目画素の色相値と周辺画素の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、該着目画素の色修正を行うと判断し、着目画素の明度値と周辺画素の明度値との大小関係が前記基準配色の順序と順であれば、該着目画素の色修正を行わないと判断することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。 - 前記色修正手段が、前記着目画素の色相角と前記周辺画素の色相角との大小関係に応じて、前記着目画素および周辺画素のうちの少なくとも一方の明度値を増減させることによって、色修正を行うことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
- 前記色修正手段が、前記着目画素の色相角と前記周辺画素の色相角との大小関係に応じて、前記着目画素の明度値と前記周辺画素の明度値とを交換することによって、色修正を行うことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
- 前記色修正手段が、前記着目画素の明度値と前記周辺画素の明度値との全体値が予め定める基準値となるように、該着目画素の明度値と該周辺画素の明度値とのうちの少なくとも一方を増減させることによって、色修正を行うことを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
- 前記入力されたカラー画像のデータが与えられ、該カラー画像内の少なくとも一部分の領域を選択する領域選択手段をさらに含み、
前記色修正手段は、前記入力されたカラー画像内の選択された領域に対して色修正を行うことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。 - 前記領域選択手段によって選択された領域と前記カラー画像内の該選択された領域以外の残余領域とを比較し、前記選択された領域の画素に対する色修正を行うか否かを判断する第2色修正判断手段と、
前記色修正手段が、第2色修正判断手段によって色修正すると判断された場合、前記領域選択手段によって選択された領域の画素のデータに対する色修正を行い、色修正しないと判断された場合、該選択された領域の色修正を行わないことを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。 - 前記第2色修正判断手段が、
(A)前記カラー画像内の前記選択された領域の明度値および色相値と前記残余領域の明度値および色相値とをそれぞれ比較し、
(B)前記選択された領域の色相値と残余領域の色相値との差が予め定める基準範囲内の値である場合、前記選択された領域の明度値と前記残余領域の明度値との大小関係が予め指定される基準配色の順序と逆であれば、該選択された領域内の画素の色修正を行うと判断し、前記選択された領域の明度値と前記残余領域の明度値との大小関係が前記基準配色の順序と順であれば、該選択された領域の色修正を行わないと判断することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。 - 前記色修正手段が、前記選択された領域の色相角と前記残余領域の色相角との大小関係に応じて、前記選択された領域および前記残余領域のうちの少なくとも一方の明度値を増減させることによって、色修正を行うことを特徴とする請求項8〜10のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
- 前記色修正手段が、前記選択された領域の色相角と前記残余領域の色相角との大小関係に応じて、前記選択された領域の明度値と前記残余領域の明度値とを交換することによって、色修正を行うことを特徴とする請求項8〜10のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
- 前記基準配色が、ナチュラルシーケンスに順じていることを特徴とする請求項4または10記載の画像処理装置。
- 前記基準配色が、ナチュラルシーケンスに反していることを特徴とする請求項4または10記載の画像処理装置。
- 予め定める第1表色系を用いて表現されるカラー画像のデータを生成する画像入力装置と、
画像入力装置からカラー画像のデータが与えられる、請求項1〜14のうちのいずれか1項記載の画像処理装置と、
第1表色系とは異なる第2表色系を用いて表現されるカラー画像のデータが画像処理装置から与えられ、該データを顕像化して出力する画像出力装置とを含むことを特徴とする画像形成装置。
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