JP2004312060A - ネットワーク端末、ネットワークシステム、ネットワーク端末の制御方法 - Google Patents

ネットワーク端末、ネットワークシステム、ネットワーク端末の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ネットワークを管理する基準端末が同期情報フレームを送信できなくなった場合に、ネットワーク端末間での送受信の伝送不可能時間を短縮する。
【解決手段】ネットワーク端末10は、基準端末から同期情報フレームを受信する同期情報フレーム受信部105と、同期情報フレームに同期してネットワークを維持するネットワーク情報管理部106と、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する同期情報フレーム喪失検出部107と、他のネットワーク端末とは異なるように同期情報フレーム送出開始時刻を規定する優先順位リストを格納する優先順位リスト格納部104と、基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、優先順位リストに基づいて同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、同期情報フレームの周期的な送出を開始する同期情報フレーム送信部108とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、TDMA(time division multiple access;時分割多重アクセス)方式などを用いたネットワーク端末、ネットワークシステム、ネットワーク端末の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13から図17を参照しながら、従来のネットワークシステムについて説明する。なお、図13、図14は、本発明を説明する図面である。
【0003】
図15に示すように、従来のネットワークシステムは、複数のネットワーク端末から構成されている。このネットワークシステムでは、ネットワーク端末の中の少なくとも一つ以上のネットワーク端末が、ネットワークを管理する基準端末(マスタ)となる。基準端末は、周期的に同期情報フレーム(ビーコンフレーム)を送信する。
【0004】
ここで、図13に示すように、同期情報フレームは、少なくともネットワークシステムを区別するためのネットワーク識別子、同期情報フレームの送信元を区別するための基準端末固有番号、次に同期情報フレームを送信する時間を示す同期情報フレーム間隔、ネットワークシステムを構成する基準端末、ネットワーク端末間での送信可能ネットワーク端末を特定し、伝送帯域を保証する帯域保証区間情報などが含まれる。
【0005】
基準端末以外の他のネットワーク端末(スレーブ)は、基準端末から周期的に送信される同期情報フレームを受信し、同期情報フレームに同期し、また、同期情報フレームに含まれる帯域保証区間情報に従って、各ネットワーク端末が送信可能な帯域保証区間においてのみデータ伝送を行う(図14)。これにより、ネットワーク端末間のデータ伝送に対する帯域が保証される。
【0006】
また、基準端末の構成するネットワークシステムへのネットワーク端末の参加や、ネットワークへの参加後の帯域保証区間は、各ネットワーク端末が基準端末へ要求するものである。基準端末は、ネットワーク端末からの要求を受理し、その都度同期情報フレームにネットワークに関する情報を更新していく役割を持つ。これに対して、ネットワーク端末は、その都度受信した同期情報フレームに含まれる情報に従う必要がある。
【0007】
基準端末およびネットワーク端末がこのようなネットワークシステムで動作することにより、ネットワーク端末間の通信のための帯域が保証され、基準端末を介さなくとも、品質の高く、また映像などといったリアルタイム性の高いデータ通信を行うことが可能である。このようなシステムは、米国電気電子学会(IEEE)において、PAN(Personal Area Network)の標準として、例えばIEEE802.15.3などといった規格化が進められている。
【0008】
ただし、基準端末からの同期情報フレームの送信、またはネットワーク端末による同期情報フレームの受信ができなくなると、同期情報フレームに従って動作するネットワーク端末は、ネットワークに同期できなくなり、送信できないといった問題がある。
【0009】
通常、基準端末が同期情報フレームを送信不可能になりそうな場合、あるいは、高負荷時やネットワークを終了しようとする場合などは、同期情報フレームの送信を停止する前に、基準端末の役割を他のネットワーク端末の内で基準端末となり得るものに移譲する処理を行う。この処理によって、基準端末が同期情報フレームの送信を停止しても、新しく基準端末の役割を移譲されたネットワーク端末が、同期情報フレームの送信を開始し、他のネットワーク端末がその同期情報フレームを受信することができ、ネットワークは維持される。なお、基準端末の役割をどのネットワーク端末に移譲するかの決定方法は、ネットワーク端末の内で最も基準端末の能力として最良のものや、あらかじめ基準端末が選択したものなどが考えられる。例えば、基準端末がクロックを供給するようなものであれば、特許文献1がそれに相当する。
【0010】
基準端末の役割を他のネットワーク端末に移譲する前に、突然の障害により基準端末が同期情報フレームを送信できなくなった場合には、各ネットワーク端末は同期情報フレームを受信できなくなり、データ伝送が不可能になる。この場合、改めて他のネットワーク端末の中から基準端末を選択し、そのネットワーク端末を新基準端末としネットワークを再構成し、障害前に行われていたネットワーク端末間のデータ伝送を再開する。
【0011】
そのために、図16に示される新基準端末と新基準端末以外ネットワーク端末の処理のタイムチャートや、図17のデータ伝送再開までの処理を示したフローチャートに示すような手順が必要となる。
【0012】
図17を参照しながら、データ伝送再開までの処理を説明すれば、以下のとおりである。
【0013】
まず、同期情報フレーム喪失後(S400)、残ったネットワーク端末の中から新しい基準端末の選択を行い(S401)、新基準端末に選択されたネットワーク端末から同期信号の送出が開始される(S402)。
【0014】
選択された新基準局以外のネットワーク端末は、基準端末から送出される同期情報フレームを受信を待つ(S403)。新基準端末、もしくは既存の基準端末のいずれかの同期情報フレームを受信したら(S404でYES)、その同期情報フレームを送出する基準端末の構成するネットワークに同期し、参加する(S405)。
【0015】
障害発生以前に他のネットワーク端末に対してデータ伝送を行っていたネットワーク端末は、参加したネットワーク内においてデータ伝送先のネットワーク端末を探索する(S406)。
【0016】
データ伝送先のネットワーク端末を発見できなければ(S407でNO)、伝送先のネットワーク端末が他の基準端末の構成しているネットワークに参加している可能性があるので、現在のネットワーク端末から脱退し、他の基準端末の送出する同期情報フレームの受信を試みる(S408)。
【0017】
一方、データ伝送先のネットワーク端末を発見した場合は(S407でYES)、基準端末に対して帯域要求を行う(S409)。基準端末への帯域要求が受理されるまで帯域要求を行い(S410)、帯域が確保できたら、ネットワーク端末間での伝送を開始する(S411)
あるいは、前述のステップS401のように前の基準端末(旧基準端末)からの同期情報フレームが伝送されなくなってから他のネットワーク端末中から新基準端末を選択する代わりに、例えば特許文献2のように、基準端末(マスタ)が離脱する前に、次の基準端末となるべきネットワーク端末(スレーブ)の優先順位情報をブロードキャストしておき、優先順位情報に従って次の基準端末を選択する方法もある。
【0018】
なお、特許文献1には、移動局間通信を行う場合に、同期用電波を発射する移動局(クロックマスタ)を所定のタイミングで切り替えることにより、通信を行う全移動局にかかる負荷を分散させることができる時分割ディジタル移動無線通信システムが記載されている。
【0019】
この時分割ディジタル移動無線通信システムでは、クロックマスタは、自局が例えばクロックマスタとしての能力が低下する等のクロックマスタ切替要求送信の条件を満たしたときに、スレーブモードの移動局に対して切替要求を行う。そして、この切替要求に対して、例えばクロックマスタとしての能力が最大である等のクロックマスタ切替応答送信の条件を満たしたスレーブモードの移動局が応答を行う。これにより、現クロックマスタがスレーブモードの移動局となると同時に、スレーブモードの移動局が新たなクロックマスタとなる。
【0020】
また、特許文献2には、任意の時点でネットワークマスタの役割を果たしていた機器がマスタとしての役割を果たせない場合、新たなマスタを選定するのに使用するためのバックアップマスタ情報作成方法が記載されている。
【0021】
このバックアップマスタ情報作成方法は、(a)ネットワーク内に存在する多数のスレーブのうち少なくとも一つのスレーブから連結情報を伝達される段階と、(b)ネットワークマスタが離脱された場合、伝達された連結情報に基づきバックアップマスタとして使用される多数のスレーブのうち少なくとも一つのスレーブの優先順位を決める段階と、(c)多数のスレーブのうち少なくとも一つの他のスレーブに前記決められたバックアップマスタの優先順位情報を放送する段階と、を含む。
【0022】
【特許文献1】
特開平10−308697号公報(公開日:平成10年11月17日)
【0023】
【特許文献2】
特開2002−111689号公報(公開日:平成14年4月12日)
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構造では、ネットワーク端末間においてデータの伝送が行われている際に、基準端末からの同期情報フレームを送信が何らかの障害によって突然できなくなった場合、特許文献1で示されるような基準端末の役割を移譲することができないため、帯域管理情報を含む同期情報フレームの送信が停止する。その結果、同期情報フレームを受信できなくなったネットワーク端末は、ネットワーク端末間におけるデータ伝送が不可能になるといった問題がある。
【0025】
また、前の基準端末の障害により同期情報フレームによって構築されていたネットワークが機能しなくなった場合、新しいネットワークを再構築しようとした場合、前の基準端末以外のネットワーク端末の中から新たな基準端末を選択するプロセス、ネットワークへの参加プロセス、接続先探索プロセス、帯域要求と確保プロセスなど、の各プロセスを経ることになる。その結果、各プロセスに一定以上の時間がかかってしまうと、障害発生以前に映像や音声などのリアルタイム性の高いデータ伝送を行っていた場合、データ伝送ができなくなり視聴できなくなるといった問題がある。
【0026】
また、新しく選択された基準端末以外に、既存の基準端末が存在していた場合、各ネットワーク端末が異なる基準端末の構成するネットワークへ参加してしまった場合には、お互いの接続相手を発見できない場合があり、別の基準端末を探して、ネットワークへ参加し、そのネットワーク内において接続相手を探索することを繰り返す必要もあり、さらにデータ伝送再開までに、時間を費やしてしまい、特に映像や音声といったリアルタイム性の高いデータ伝送を行っている場合には、映像・音声が中断されてしまうといった問題がある。
【0027】
さらに、ネットワーク内の接続相手の探索によって接続相手が発見されても、その接続相手と新しく帯域要求を行うより前に、異なるネットワーク端末間で帯域要求があり、帯域が確保されてしまうと、前の基準端末のネットワークに確保できていた帯域が確保できないといった場合が生じ、障害前にできていたデータ伝送ができなくなるといった問題があった。
【0028】
特に、特許文献2によれば、あらかじめ次の基準端末を決定しておけば、前述の新たな基準端末を選択するプロセスが省略されるものの、他のプロセスや問題が解消されるわけではない。すなわち、新たなマスタとなるスレーブの順位は分かるが、ネットワークの再構成にマスタ候補と接続確認を行う必要があり、時間を要する。
【0029】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ネットワークを管理する基準端末が同期情報フレームを送信できなくなった場合に、ネットワーク端末間での送受信の伝送不可能時間を短縮できるネットワーク端末、ネットワークシステム、ネットワーク端末の制御方法を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のネットワーク端末は、データの送受信が可能な複数のネットワーク端末より構成され、基準端末として動作するネットワーク端末から周期的に送出される同期情報フレームに基づいてデータの送受信が管理されるネットワークシステムを構成するネットワーク端末であって、基準端末から同期情報フレームを受信する同期情報フレーム受信手段と、上記同期情報フレーム受信手段によって受信された同期情報フレームに同期してネットワークを維持するネットワーク情報管理手段と、上記同期情報フレーム受信手段によって同期情報フレームが受信されなかったときに、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する同期情報フレーム喪失検出手段と、ネットワークシステム内の各ネットワーク端末において互いに異なる同期情報フレーム送出開始時刻を規定する同期情報フレーム送出開始時刻情報を格納する同期情報フレーム送出開始時刻格納手段と、上記同期情報フレーム喪失検出手段によって基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、上記同期情報フレーム送出開始時刻格納手段に格納された同期情報フレーム送出開始時刻情報で規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部あるいは一部を含めた同期情報フレームの周期的な送出を開始する同期情報フレーム送信手段とを備え、かつ、上記同期情報フレーム受信手段が、上記同期情報フレーム喪失検出手段によって基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、上記同期情報フレーム送出開始時刻格納手段に格納された同期情報フレーム送出開始時刻情報で規定された同期情報フレーム送出開始時刻まで、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻よりも早い同期情報フレーム送出開始時刻を持つ他のネットワーク端末からの同期情報フレームの受信を試みるものであることを特徴としている。
【0031】
また、本発明のネットワーク端末の制御方法は、データの送受信が可能な複数のネットワーク端末より構成され、基準端末として動作するネットワーク端末から周期的に送出される同期情報フレームに基づいてデータの送受信が管理されるネットワークシステムを構成するネットワーク端末の制御方法であって、基準端末からの同期情報フレームが受信されなかったときに、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する同期情報フレーム喪失検出ステップと、上記同期情報フレーム喪失検出ステップにおいて基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、あらかじめ他のネットワーク端末とは異なるように規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部あるいは一部を含めた同期情報フレームの周期的な送出を開始する同期情報フレーム送信ステップと、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻までは、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻よりも早い同期情報フレーム送出開始時刻を持つ他のネットワーク端末からの同期情報フレームの受信を試みる同期情報フレーム受信ステップと、を含むことを特徴としている。
【0032】
上記の構成および方法により、ネットワークシステムを構成する各ネットワーク端末は、基準端末からの同期情報フレームが受信されなかったときに、同期情報フレームの喪失を検出した後、あらかじめ他のネットワーク端末とは異なるように規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として同期情報フレームの周期的な送出を開始する。なお、同期情報フレーム送出開始時刻は、例えば、同期情報フレームの喪失が検出された時刻からの時間やネットワークシステムにおいて自装置が基準端末となるべき優先順位などを示す情報(同期情報フレーム送出開始時刻情報)によって規定できる。
【0033】
よって、各ネットワーク端末は、基準端末が停止して同期情報フレームが受信できなくなると、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻まで同期情報フレームの受信を待ち、それまでに新たな基準端末となった他のネットワーク端末から同期情報フレームを受信しないと、自装置が基準端末となって同期情報フレームを他のネットワーク端末へ送出する。
【0034】
ここで、各ネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻は、ネットワーク端末ごとに異なるようにあらかじめ設定されている。それゆえ、基準端末が突然停止した場合であっても、他の複数のネットワーク端末の中から新たな基準端末を1つ決定して、ネットワークを回復することができる。
【0035】
また、上記ネットワーク端末は、基準端末として同期情報フレームを送出するとき、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部あるいは一部を同期情報フレームに含める。
【0036】
これにより、前の基準端末によって管理され、同期情報フレームに含めて送出されていた情報(ネットワーク管理情報等)を、前の基準端末の障害発生後に、新たな基準端末でも引き継いで同期情報フレームに含めて送出できる。すなわち、障害発生前後の基準端末間で、情報を引き継ぐことができる。
【0037】
よって、基準端末に障害が発生後、新たな基準端末を決定してネットワークを再開する際に、各ネットワーク端末のネットワークへの参加や帯域確保などを設定するプロセス、すなわち、ネットワークを再構成するプロセスが必要ない。したがって、基準端末の障害発生以前のネットワーク端末間のデータ伝送を速やかに再開できる。
【0038】
以上より、上記ネットワーク端末によれば、障害により基準端末の役割の移譲処理が行われることなく、基準端末からの同期情報フレームが喪失した場合であっても、各ネットワーク端末があらかじめ保持している同期情報フレーム送出開始時刻に基づき、同期情報フレーム送出開始時刻が小さいネットワーク端末から順に同期情報フレームの送信を開始して、ネットワークを速やかに回復することが可能となる。
【0039】
なお、同期情報フレーム送出開始時刻情報については、少なくともネットワーク端末間で同期情報フレーム送出開始時刻が異なっていれば、基準端末からの同期情報フレームの送信が同時に行われることがなく、新たな基準端末が決定できる。さらに、同期情報フレーム送出開始時刻情報にネットワークシステムのすべてのネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻が含まれていれば、すなわち、各ネットワーク端末が他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻を持っていれば、旧基準端末離脱時点で、他のチャンネルなどに他のネットワークの基準端末が存在していた場合や、そのネットワークに存在しなかったネットワーク端末が新しい基準端末として同期情報フレームを送信した場合などにおいても、無関係な基準端末からの同期情報フレームを無視して、前のネットワーク管理情報を持つ同期情報フレームによる同期を確立することが可能となる。
【0040】
さらに、本発明のネットワーク端末は、自装置が基準端末であるとき、ネットワークシステムを構成する他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を決定し、各ネットワーク端末へ配信する同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段を備えることを特徴としている。
【0041】
上記の構成により、さらに、基準端末としてのネットワーク端末は、次の基準端末となるネットワーク端末を決めるための各ネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、基準端末として作動している間に作成して各ネットワーク端末へ配信する。
【0042】
よって、各ネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、あらかじめ設定して各ネットワーク端末に格納することができる。したがって、基準端末からの同期情報フレームが喪失した場合であっても、ネットワークを速やかに回復することが可能となる。
【0043】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送出開始時刻情報が、ネットワークシステムにおいて自装置が基準端末となるべき優先順位であることを特徴としている。
【0044】
上記の構成により、さらに、ネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、ネットワークシステムにおいて当該ネットワーク端末が基準端末となるべき優先順位によって指定できる。なお、同期情報フレーム送出開始時刻は、優先順位に所定の単位時間を掛け合わることによって決定できる。
【0045】
よって、ネットワーク端末に送信する情報が優先順位であるため、基準端末となるべき順位を直接的に指定できる。また、同期情報フレーム送出開始時刻情報の格納に必要なメモリが少ない。
【0046】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段は、他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、当該ネットワーク端末のネットワークシステムにおける基準端末としての能力に基づいて決定するものであることを特徴としている。
【0047】
上記の構成により、さらに、各ネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報は、各ネットワーク端末のもつ管理可能なネットワーク端末数やネットワーク端末間のデータ送受信の帯域管理能力を含む基準端末としての能力に基づいて作成される。
【0048】
よって、上記ネットワーク端末によれば、最もネットワークを管理するのに適したネットワーク端末が新しい基準端末になることができる。したがって、基準端末が管理能力の劣るネットワーク端末に交代することで発生するネットワーク障害の可能性を低くすることが可能となる。
【0049】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段は、他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、当該ネットワーク端末が送信するデータの優先度に基づいて決定するものであることを特徴としている。
【0050】
上記の構成により、さらに、各ネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報は、各ネットワーク端末が送信しているデータの優先度に基づいて作成される。
【0051】
よって、上記ネットワーク端末によれば、最も優先度の高いデータ伝送を行っているネットワーク端末が新しい基準端末になる。したがって、優先度の高いデータ伝送の再開を優先的に行うことができる。
【0052】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送信手段は、上記優先順位に所定の単位時間を掛け合わせた時間に基づいて同期情報フレーム送出開始時刻を決定するものであることを特徴としている。
【0053】
上記の構成により、さらに、上記ネットワーク端末は、同期情報フレームの喪失が検出された時刻から、優先順位に所定の単位時間を掛け合わせた時間が経過した時刻を同期情報フレーム送出開始時刻として、同期情報フレームの送信を開始する。
【0054】
よって、上記ネットワーク端末によれば、同時刻に他のネットワーク端末の同期情報フレームの送信が開始されることを防ぐと同時に、各時刻においてどのネットワーク端末が同期情報フレームを送信するかが分かる。したがって、他のネットワーク端末が基準端末として送出する同期情報フレームを明確に判別できる。
【0055】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送信手段は、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部を含めて同期情報フレームを作成することができない場合、ネットワーク端末間で伝送されていたデータの優先度に基づいて同期情報フレームに含める情報を選択するものであることを特徴としている。
【0056】
上記の構成により、さらに、上記ネットワーク端末は、新しく基準端末となった際、基準端末としての能力が前の基準端末の能力より低く、帯域保証区間情報などをすべて含むことができない場合に、ネットワーク端末間のデータ伝送の有無や伝送されていたデータの優先度に基づいて、同期情報フレームに含める情報を選択する。
【0057】
よって、上記ネットワーク端末によれば、障害発生以前のネットワークにおいて優先度が高かったデータ伝送を優先的に回復することができる。
【0058】
また、本発明のネットワークシステムは、上記のネットワーク端末を複数備えて構成されることを特徴としている。
【0059】
上記の構成により、基準端末に障害が発生して同期情報フレームが喪失した場合であっても、同期情報フレーム送出開始時刻が小さいネットワーク端末から順に同期情報フレームの送信を開始して、ネットワークを速やかに回復することができる。
【0060】
よって、ネットワークを管理する基準端末が同期情報フレームを送信できなくなった場合に、ネットワーク端末間での送受信の伝送不可能時間が短いネットワークシステムを実現できる。
【0061】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図1から図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0062】
図10に示すように、本実施の形態に係るネットワークシステム1(1a,1b)は、データの送受信が可能な複数のネットワーク端末10…より構成され、基準端末として動作するネットワーク端末10から周期的に送出される同期情報フレームに基づいてデータの送受信が管理される。なお、基準端末が送信する同期情報フレームによりネットワークを管理するための基本的な構成については、従来の技術と同じであるため、説明を省略することがある。
【0063】
図1は、ネットワーク端末10の構成の概略を示すブロック図である。
【0064】
図1に示すように、送信部100、受信部101、優先順位リスト作成部102、優先順位リスト格納部104、同期情報フレーム受信部105、ネットワーク情報管理部106、同期情報フレーム喪失検出部107、同期情報フレーム送信部108、データ処理部109、同期情報フレーム送受信管理部110、タイマー111を備えて構成されている。
【0065】
送信部100は、コマンドやデータなどを他のネットワーク端末に送信する。また、受信部101は、他のネットワーク端末からのコマンドやデータなどを受信する。
【0066】
優先順位リスト作成部(同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段)102は、自装置が基準端末であるとき、ネットワークシステム1を構成する他のネットワーク端末10…の優先順位(同期情報フレーム送出開始時刻情報)を決定して優先順位リストを作成し、それを各ネットワーク端末10…へ配信する。優先順位リスト作成部102は、自装置が基準端末であるとき、他のネットワーク端末10…の優先順位を、例えば、当該ネットワーク端末10のネットワークシステムにおける基準端末としての能力や、当該ネットワーク端末10が送信するデータの優先度に基づいて決定する。
【0067】
ここで、優先順位リストは、ネットワークシステムにおいて各ネットワーク端末10…が基準端末となるべきそれぞれの優先順位をまとめたものである。なお、各ネットワーク端末10…の優先順位リスト格納部104には、他のすべてのネットワーク端末10…の優先順位を含む優先順位リストを格納させてもよいし、当該ネットワーク端末10の優先順位のみを格納させることも可能である。
【0068】
優先順位リスト格納部(同期情報フレーム送出開始時刻格納手段)104は、優先順位リスト作成部102により作成、もしくは受信部101から受信し取得した優先順位リストを格納する。具体的には、優先順位リスト格納部104は、他のネットワーク端末10…とは異なるように同期情報フレーム送出開始時刻を規定する優先順位リスト(同期情報フレーム送出開始時刻情報)を格納する。
【0069】
同期情報フレーム受信部(同期情報フレーム受信手段)105は、受信部101により受信される基準端末からの同期情報フレームを受信し処理する。
【0070】
ネットワーク情報管理部(ネットワーク情報管理手段)106は、同期情報フレーム受信部105によって受信された同期情報フレームに同期してネットワークを維持する。すなわち、ネットワーク情報管理部106は、ネットワークへの同期に関する情報を管理する。
【0071】
同期情報フレーム喪失検出部(同期情報フレーム喪失検出手段)107は、同期情報フレーム受信部105によって同期情報フレームが受信されなかったときに、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する。
【0072】
同期情報フレーム送信部(同期情報フレーム送信手段)108は、同期情報フレームを送信する。特に、同期情報フレーム送信部108は、同期情報フレーム喪失検出部107によって基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、優先順位リスト格納部104に格納された優先順位リストに基づいて同期情報フレーム送受信管理部110によって決定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、同期情報フレームの周期的な送出を開始する。
【0073】
具体的には、同期情報フレーム送信部108は、優先順位リスト格納部104の優先順位リストを参照して、自装置の優先順位に所定の単位時間を掛け合わせた時間に基づいて同期情報フレーム送出開始時刻を決定する。すなわち、同期情報フレーム送出開始時刻までは、スレーブとして優先順位の高いネットワーク端末10が基準端末として送出した同期情報フレームを受信するように、同期情報フレーム送出開始時刻を決定する。
【0074】
また、同期情報フレーム送信部108は、自装置が基準端末であるとき、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部あるいは一部を含めて同期情報フレームを作成する。なお、基準端末から受信した同期情報フレームに含まれる情報は、ネットワーク情報管理部106によって保持される。
【0075】
また、同期情報フレーム送信部108は、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部を含めて同期情報フレームを作成することができない場合、ネットワーク端末10・10間で伝送されていたデータの優先度に基づいて含める情報を選択する。
【0076】
データ処理部109は、他のネットワーク端末とデータ送受信を行い、それに基づいて処理を行う。
【0077】
同期情報フレーム送受信管理部110は、同期情報フレーム喪失検出部107により同期情報フレーム喪失検出後の同期情報フレームの送受信処理を管理する。
【0078】
タイマー111は、ネットワーク端末10がもつタイマーである。
【0079】
次に、図13を参照しながら、上記ネットワーク端末10で使用する同期情報フレームのフレームフォーマットについて説明する。なお、図13は、同期情報フレームに含まれる情報の一例である。
【0080】
図13に示すように、同期情報フレームは、ネットワーク識別子d1、基準端末識別番号d2、同期情報d3、帯域保証区間情報d4を含んでいる。
【0081】
ネットワーク識別子d1は、同じ基準端末により構成されるネットワーク内におけるフレームであることを識別するための識別子である。
【0082】
基準端末識別番号d2は、同期情報フレームを送信している基準端末を他のネットワーク端末と識別するための6バイトで表されるMACアドレスなどの識別番号である。
【0083】
同期情報d3は、次の同期情報フレームまでの送信間隔や、同期情報フレームの一連番号などを含む情報である。
【0084】
帯域保証区間情報d4は、送信元端末番号d41、送信開始時刻d42、送信終了時刻d43を1組として、同期情報フレーム送信もしくは受信時刻を0とした相対時刻に従ってリスト構造化したデータである。
【0085】
図14は、同期情報フレームに基づいて、時分割で制御されるネットワークの通信の様子、すなわち、指定のネットワーク内のネットワーク端末間で帯域保証区間にデータ伝送が行われる様子を示した説明図である。
【0086】
図9は、上記ネットワーク端末10の通信で使用する基準端末に対する優先順位リストデータのフォーマットを示す説明図である。
【0087】
図9に示すように、優先順位リストには、ネットワーク端末10の識別番号(例えば、6バイトのMACアドレス)が優先順位に従って列挙されている。
【0088】
上記ネットワーク端末10は、通常の状態において、以下のように動作する。
【0089】
(1)基準端末
ネットワーク端末10は、基準端末として動作する場合、ネットワーク情報管理部106により格納、管理しているネットワーク情報から、同期情報フレーム(図13)を、同期情報フレーム送信部108により作成する。そして、タイマー111の時刻が、前同期情報送信時刻とネットワーク情報管理部106で管理される同期情報フレーム送信間隔から算出される次の同期情報フレーム送信時刻において、送信部100から送信する。
【0090】
(2)ネットワーク端末
ネットワーク端末10は、ネットワーク端末として動作する場合、基準端末から周期的に送信される同期情報フレーム(図13)を受信部101で受信し、同期情報フレーム受信部105において、ネットワーク識別子あるいは基準端末識別番号により、同期情報フレームが受信すべきものかどうかを判別する。そして、受信すべきものであれば、同期情報フレーム受信時刻をタイマー111の値で更新し、同期情報フレームに含まれる同期情報や帯域保証区間情報などのネットワーク管理情報によりネットワーク情報管理部106におけるネットワーク管理情報を更新する。
【0091】
ネットワーク端末10では、基準端末およびネットワーク端末のどちらとして動作するかにかかわらず、次のように動作することにより、データの送受信を行う。すなわち、データ処理部109は、ネットワーク情報管理部106に管理されている帯域保証情報に含まれる相対時刻である送信開始時刻、送信終了時刻と、タイマー111の時刻から現同期情報フレーム受信時刻を減じて得られる現同期情報フレームの受信時刻からの相対時刻を比較する。そして、自装置の帯域保証区間であり、送信すべきコマンドあるいはデータが存在する場合には、送信部100からコマンドあるいはデータを送信し、それ以外の場合には、受信部101により受信される自装置宛のコマンドあるいはデータの処理を適宜行うことによりデータの送受信を行う。
【0092】
次に、基準端末が障害により同期情報フレームを送信することができなくなった後に、新しく基準端末になるネットワーク端末の優先順位リストを作成し、保持する処理について説明する。
【0093】
次に、図3を参照しながら、優先順位リストを作成する処理を説明する。
【0094】
各ネットワーク端末10は、あるイベントが発生すると、優先順位リスト作成部102において、優先順位リスト作成処理を開始する。ここで、イベントとは、(i)一定時間間隔、(ii)新しいネットワーク端末がネットワークに参加した際、(iii)既存のネットワーク端末がネットワークから脱退した際、(iv)ネットワーク内のネットワーク端末から帯域保証区間要求を受けた際のいずれか一つ以上のタイミングで発生するものであれば、どのようなものでもよい。
【0095】
まず、優先順位リスト作成部102は、送信部100から、全てのネットワーク端末、一部の更新されたネットワーク端末、もしくは、ネットワーク内の全てのネットワーク端末10…の情報を、管理、保持する基準端末に対して、図6に示されるような基準端末機能フラグや、基準端末として管理可能な端末数、基準端末として管理可能な帯域保証情報数などといった、優先順位リストを作成するための情報を取得するため、端末情報取得要求を送信する(S201)。
【0096】
端末情報取得要求を受信した他のネットワーク端末10…は、端末情報取得要求を送信した基準端末に送信し、送信元のネットワーク端末は受信部101から送信先のネットワーク端末の端末情報を受信する。あるいは、端末情報取得要求を基準端末に対して送信した場合は、端末情報取得要求を受信した基準端末は、ネットワーク内の全てのネットワーク端末に関する端末情報を端末情報取得要求を送信したネットワーク端末に送信し、送信元のネットワーク端末は受信部101から全てのネットワーク端末の端末情報を受信する(S202)。そして、ネットワーク内の全てのネットワーク端末の端末情報を取得した後、数式(1)や数式(2)などにより、それぞれのネットワーク端末の優先度P(n)を計算する(S203)。
【0097】
具体的には、
P(n)= Mc(n)×[Nt(n)×Ct+Nb(n)×Cb] (1)
ここで、Mc(n)は、基準端末機能フラグであり、ネットワーク端末nが基準端末として動作可能であれば1、基準端末として動作不可能であれば0とする。Nt(n)は、ネットワーク端末nが基準端末となった場合に、ネットワークを構成する上で管理可能なネットワーク端末の最大数である。Ctは、Nt(n)に乗ずる、あらかじめ定めた定数である。Nb(n)は、ネットワーク端末が、基準端末となった場合に、管理可能な帯域保証区間の最大数である。Cbは、Nb(n)に乗ずる、あらかじめ定めた定数である。
【0098】
例えば、数式(1)において、Ct=1、Cb=1000などとした場合、図7の表に示されるような基準端末優先度となり、管理可能な帯域保証区間の最大数が多いネットワーク端末の順に優先度が大きくなる。
【0099】
また、
P(n)=Mc(n)×[Dp(n)×Cp+Nt(n)×Ct+Nb(n)×Cb] (2)
ここで、Dp(n)は、ネットワーク端末nが現在伝送しているデータの優先度の最大値である。例えば、リアルタイム性の高い映像や音声データを伝送しているのであれば、優先度を高くし、それ以外のデータであれば優先度を低くする。Cpは、Dp(n)に乗ずる、あらかじめ定めた定数である。
【0100】
例えば、数式(2)において、Cp=1000、Ct=1、Cb=10などとした場合、図8の表に示されるような基準端末優先度となり、伝送中のデータの優先度の高い順に優先度が大きくなる。
【0101】
次に、計算した優先度P(n)に基づき、優先度P(n)の値の大きい順にMACアドレスなどのネットワーク端末識別子を列挙して、図9に示すような優先順位リストデータを作成する(S204)。
【0102】
次に、優先順位リスト作成部102は、作成された優先順位リストデータを優先順位リスト格納部104に格納し(S205)、優先順位リスト作成処理を終了する。
【0103】
以上により、通常のネットワークの状態において、各ネットワーク端末がネットワークを構成する全てのネットワーク端末に対する最新の次期基準端末の優先順位リストを保持することが可能となる。
【0104】
つづいて、図2,図5,図11,図12を参照しながら、ある時点において、同期情報フレームを周期的に送信していた基準端末に何らかの障害が発生し、同期情報フレームを含め、送受信が不可能になった場合について説明する。なお、図2は、基準端末に障害が起きた場合におけるネットワーク端末が行う処理について説明したフローチャートである。図5は、ネットワークにおいて、基準端末に障害が発生した際の、各ネットワーク端末の動作を示すタイムチャートである。
【0105】
基準端末が障害により同期情報フレームを送信できなくなった場合、ネットワーク端末は同期情報フレーム喪失検出部107において、以下のように同期情報フレームの喪失を判定する。
【0106】
まず通常時、同期情報フレーム喪失カウンタLCを0に初期化する(S100)。次に、前の同期情報フレームから、当該同期情報フレームに含まれる同期情報フレーム間隔などから算出される次の同期情報フレームの受信予定時刻において、同期情報フレーム受信部105が同期情報フレームを受信したかをチェックする(S101)。もし正常に同期情報フレームを受信できていれば(S101でYES)、同期情報フレーム喪失カウンタLCを0に初期化し(S100)、次の同期情報フレームを待つ。もし、同期情報フレーム受信予定時刻に同期情報フレームが受信できなければ(S101でNO)、同期情報フレーム喪失カウンタLCに1加算する(S102)。これは、図5において、時刻FTに相当する。
【0107】
更新された同期情報フレーム喪失カウンタLCがあらかじめ所定の閾値LCth以上であるかをチェックし(S103)、LCがLCth未満であれば(S103でNO)、次期同期情報フレーム受信予定時刻を、現同期情報フレーム予定時刻に、前同期情報フレームの同期情報フレーム間隔を加算したものとし、ステップS101に戻り、同期情報フレームを待つ。逆に、LCがLCth以上であれば(S103でYES)、同期情報フレームを正常に受信できなくなったとし、同期情報フレーム喪失検出とする(S104(同期情報フレーム喪失検出ステップ))。これは、図5において、時刻LTに相当する。
【0108】
同期情報フレーム喪失検出後、所定時間の間、受信部101によって、受信可能な全てのフレームを受信し、フレームに含まれる同期情報フレーム(例えば図13)に含まれるネットワーク識別子と同じネットワーク識別子など、同期喪失検出以前のフレームの受信を検出できるかを試みる(S105,S106)。
【0109】
この期間に同期情報フレーム喪失検出以前のネットワーク識別子を含むフレームを検出したら(S105でYES)、それは、同期情報フレームを他のネットワーク端末は受信し、データの送受信を行っていることになる。よって、この場合、ステップS100に戻り、再度同期情報フレーム喪失カウンタLCを0にし、同期情報フレームの受信を試みる。
【0110】
逆に、この期間にフレーム検出ができなければ(S106でYES)、他のネットワーク端末も同様に同期情報フレーム喪失検出がなされたものとし、ステップS107に進む。なお、ステップS105,S106の処理は、図5の時刻LTから時刻LT2の期間に行われる。
【0111】
次に、同期情報フレーム喪失検出したネットワーク端末は、同期情報フレーム送受信管理部110に従い、以下の処理を行う。まず、個々に保持している優先順位リストから以下の数式(3)に従い、各ネットワーク端末が同期情報フレームの送信を開始する同期情報フレーム送信開始時刻STnを計算する(S107)。
【0112】
具体的には、
STn=(優先順位−1)×Cs+LT2 (3)
ここで、Csは、同期情報フレームの送出間隔の所定の倍数以上の単位時間であり、例えば、同期情報フレームの送出間隔が10msであれば、Cs=30msとする。これにより、優先順位順に、同期情報フレーム送信開始時間は、ST1=LT2,ST2=LT2+Cs、ST3=LT2+Cs×2、・・・となる。
【0113】
次に、各ネットワーク端末10…は、自分の優先順位に基づく同期情報フレーム送信開始時刻STnと時刻Tに基づいて処理を分岐する(S108)。
【0114】
ステップS108において、現在の時刻Tが自身の同期情報フレーム送信開始時刻STnを過ぎていれば(S108でYES)、前の基準端末から受信したネットワーク管理情報を管理するネットワーク管理部106が、基準端末を自身とし、同期情報フレーム送信部108により送信部100を通じて、同期情報フレームの送信を開始し(S109(同期情報フレーム送信ステップ))、以降基準端末として動作する(S110)。例えば、図5に示すように、優先順位が1位の端末Aは、ST1=LT2により、すぐに同期情報フレームの送信を開始する。
【0115】
一方、ステップS108において、現在の時刻Tが自身の同期情報フレーム送信開始時刻STn未満であれば(S108でNO)、その時刻は自装置よりも優先順位の高いネットワーク端末が同期情報フレームの送信を行っているため、現在時刻Tからどのネットワーク端末が同期情報フレームの送信を行っているかを判別する(S111)。例えば、ST1≦T<ST2であれば優先順位1位のネットワーク端末が、また、ST2≦T<ST3であれば優先順位2位のネットワーク端末が、同期情報フレームの送信を開始していることを判別できる。
【0116】
次に、同期情報フレーム受信部105が新しい基準端末からの同期情報フレームを受信したかどうかにより処理を分岐する(S112)。新しい基準端末からの同期情報フレームかどうかは、以下のように判別できる。すなわち、ステップS111によって判別できる現時刻において同期情報フレームを送信しているネットワーク端末と、図9に示される優先順位リストに含まれる端末識別番号により、現時刻に送信される新しい基準端末から送信される図13に示される同期情報フレームに含まれる基準端末識別番号により、現時刻Tに受信した同期情報フレームが他の基準端末のものではなく、前述までの処理により決定された新しい基準端末からの同期情報フレームであることを判別できる。
【0117】
次に、新しい基準端末からの同期情報フレームを受信したら(S112でYES)、その同期情報フレームに基づいて、ネットワーク情報管理部106の情報を更新し、ネットワーク端末として改めて同期を開始する(S113)。一方、新しい基準端末からの同期情報フレームを受信しなければ(S112でNO)、処理をステップS108に戻し、基準端末になるか、新しい基準端末に同期するまで処理を継続する。
【0118】
ここで、図11に示すように、ネットワークシステム1a中の基準端末αが障害により、同期情報フレームを送信できなくなった場合、優先順位リストaに基づいて端末Aが新しい基準端末α1となり、同期情報フレームを送信する。そして、端末Bと端末Cが新基準端末となった端末Aの同期情報フレームを受信して、障害前のネットワーク端末間でのデータ伝送を再開する。
【0119】
また、図12に示すように、ネットワークシステム1a中の基準端末αおよび優先順位1位の端末Aに同時に障害が発生した場合、図5の時刻ST1から時刻ST2において、端末Aから同期情報フレームが送信される予定であるが、端末Aも障害により同期情報フレームを送信できないため、優先順位2位以下の端末B,端末Cは同期すべき同期情報フレームを受信できない。そして、時刻ST2を過ぎ、優先順位リストaに基づいて優先順位2位の端末Bが新しい基準端末α2として同期情報フレームの送信を行う。その結果、端末Cは端末Bの送信する同期情報フレームに同期することができ、端末Bと端末Cの間でデータ伝送を開始することができるようになる。
【0120】
なお、新しい基準端末が送信する同期情報フレームについては、障害を起こした前の基準端末が管理していたネットワーク管理情報の全てを含むものとする。ネットワーク管理情報とは、例えば、ネットワークを構成するネットワーク端末の情報や、帯域保証区間情報などである。
【0121】
上述のように、通常状態において各ネットワーク端末は、ネットワークを構成する全ネットワーク端末の次期基準端末の優先順位リストを保持し、基準端末の障害により、同期情報フレームが送信できなくなり、ネットワークを維持できなくなった場合に、各ネットワーク端末が保持する優先順位リストに基づいて、障害発生以前の同期情報の全てもしくは一部の情報を含む同期情報フレームを送信、あるいは受信する。これにより、前の基準端末の障害発生以前のネットワークを速やかに回復し、ネットワーク端末間で行われていたデータ伝送も速やかに再開可能となる。
【0122】
優先順位決定に利用する情報によっては、ネットワーク管理能力を優先することでネットワークの構成を変更することなく基準端末の交代ができたり、また伝送データの優先により、より重要度の高いデータ伝送を速やかに回復できるような基準端末の交代ができる。
【0123】
つづいて、図4を参照しながら、個々のネットワーク端末10における優先順位リストの作成、格納までの他のフローについて説明する。
【0124】
基準端末は、イベントが発生すると、優先順位リスト作成部102において、優先順位リスト作成処理を開始する。ここで、図3と同様に、イベントとは、(i)一定時間間隔、(ii)新しいネットワーク端末がネットワークに参加した際、(iii)既存のネットワーク端末がネットワークから脱退した際、(iv)ネットワーク内のネットワーク端末から帯域保証区間要求を受けた際のいずれか一つ以上のタイミングで発生するものであれば、どのようなものでもよい。
【0125】
まず、基準端末の優先順位リスト作成部102は、送信部100から、全てネットワーク端末、または、一部の更新されたネットワーク端末に対し、優先順位リストを作成するための情報を取得するため、端末情報取得要求を送信する(S301)。
【0126】
端末情報取得要求を受信したネットワーク端末10は、端末情報を基準端末に送信し、基準端末は受信部101から端末情報要求送信先のネットワーク端末の端末情報を受信する(S302)。
【0127】
基準端末は、ネットワーク内の全てのネットワーク端末の端末情報を取得した後、数式(1)や数式(2)などにより、各ネットワーク端末の優先度P(n)を計算する。(S303)。
【0128】
次に、計算した優先度P(n)に基づき、優先度P(n)の値の大きい順にMACアドレスなどのネットワーク端末識別子を列挙し、優先順位リストデータ(図9)を作成する(S304)。
【0129】
基準端末の優先順位リスト作成部102は、作成された優先順位リストデータを送信部100を通じてネットワーク内の全てのネットワーク端末にブロードキャストする(S305)。
【0130】
基準端末以外の各ネットワーク端末は、ブロードキャストされた優先順位リストを受信部101が受信し(S306)、その優先順位リストを優先順位リスト格納部104に格納し(S307)、処理を終了する。
【0131】
このように、ネットワークを管理している基準端末が、優先順位リストを作成し、他のネットワーク端末へブロードキャストすることにより、作成される優先順位リストは一意に決まり、個々のネットワーク端末の保持する優先順位リストがタイミングによって異なるものが存在するような場合を低減できる。
【0132】
つづいて、新しい基準端末の送信する同期情報フレームの他の構成について説明する。
【0133】
新しい基準端末が送信する同期情報フレームに、障害を起こした前の基準端末が管理していたネットワーク管理情報の全てを含むことができない場合、すなわち、新しい基準端末の情報を管理する能力が、前の基準端末よりも低い場合、同期情報フレームに含むことができる情報を削減しなければならない。そこで、ネットワーク端末10では、削減する情報を以下のように選択する。
【0134】
新しい基準端末が管理可能なネットワーク端末の情報数が、前の基準端末の管理可能なネットワーク端末よりも少ない場合、ネットワークに参加しているが、どの端末ともデータの送受信を行っていないネットワーク端末をはじめ、データ伝送を行っているが、少ない帯域しか利用していないもの、帯域保証区間の短いものや伝送中のデータの優先度が低いネットワーク端末から順にネットワーク管理情報から外し、同期情報フレームには含まないようにする。
【0135】
また、新しい基準端末が管理可能な帯域保証区間情報数が前の基準端末の管理可能な帯域保証区間情報数よりも少ない場合、帯域保証区間の短いものや、伝送中のデータの優先度の低いものなどから順にネットワーク管理情報から外し、同期情報フレームに含まないようにする。
【0136】
このように、前の基準端末よりも情報管理能力に劣るようなネットワーク端末が新しい基準端末になっても、送信する同期情報フレームに関し、以前の同期情報フレーム内から、データ伝送の有無や、伝送データの優先度に基づいてデータを削減することにより、ネットワーク端末間のデータ伝送において優先度の高いものが、障害後もネットワークの参加や帯域確保などの処理を行うことなく再開できる。すなわち、同期情報フレームに含む情報を最大限含むようにすることにより、ネットワークに含まれる基準端末やネットワーク端末間では、改めてネットワークへの参加や帯域確保などの処理を行うことなく、データ伝送を再開できるようになる。
【0137】
なお、本実施の形態は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、以下のように構成することができる。
【0138】
本発明のネットワーク端末は、ネットワークを構成するデータの送受信が可能な複数のネットワーク端末中の基準端末として動作するネットワーク端末から周期的に送出される同期情報フレームに基づき、ネットワーク内のすべてのネットワーク端末のデータの送受信が管理されるネットワーク端末において、ネットワークを構成する全てのネットワーク端末に対する次期基準端末の優先順位リストを各ネットワーク端末の優先度に基づいて作成する優先順位リスト作成手段と、前記優先順位リスト作成手段によって作成された優先順位リストを格納するための優先順位リスト格納手段と、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出するための同期情報フレーム喪失検出手段と、前記同期情報フレーム喪失検出手段により検出された同期情報フレーム喪失時刻から、前記優先順位リストに基づき計算される同期情報フレームを開始時刻まで、自装置より優先順位の高いネットワーク端末から送出される同期情報フレームを受信するための同期情報フレーム受信手段と、前期同期情報フレーム受信手段により受信された同期情報フレームに同期しネットワークを維持するためのネットワーク情報管理手段と、前記同期情報フレーム受信手段により、同期情報フレームが受信されなかった場合に、前の基準端末からの同期情報フレームに含まれる情報の全部もしくは一部を保持した同期情報フレームを前記送信開始時刻から周期的に送出するための同期フレーム送信手段と、前記同期情報フレーム喪失検出手段により同期情報フレーム喪失検出以降、前記同期情報フレーム受信および送信時刻を管理する同期情報フレーム送受信管理手段と、を備えて構成されていてもよい。
【0139】
これにより、上記ネットワーク端末は、障害により基準端末の役割の移譲処理なく、基準端末からの同期情報フレームが受信できなくなっても、各ネットワーク端末にあらかじめ作成され保持している優先順位リストに基づいて、優先順位の高いネットワーク端末から所定の時刻に、前の基準端末が管理していた情報を保持した同期情報フレームの送信を開始し、その他のネットワーク端末は、優先順位リストに基づき所定の時間、既知のネットワーク端末から送信される同期情報フレームを受信し、同期する。よって、ネットワークを再構成するプロセスを省略できる。したがって、障害発生以前のネットワークを速やかに回復することが可能となる。
【0140】
さらに、上記ネットワーク端末は、優先順位リスト作成手段によって作成される優先順位リストは、基準端末で作成された優先順位リストを基準端末以外のネットワーク端末が、基準端末から取得することによって得るものであってもよい。
【0141】
さらに、上記ネットワーク端末は、優先順位リスト作成手段が、優先順位リストをネットワーク端末の基準端末としての能力順に作成するものである。すなわち、優先順位リスト作成手段によって作成される優先順位リストは、各ネットワーク端末のもつ管理可能なネットワーク端末数やネットワーク端末間のデータ送受信の帯域管理能力を含む基準端末としての能力に基づいて作成されてもよい。
【0142】
したがって、上記ネットワーク端末によれば、最もネットワークを管理するのに適したネットワーク端末が新しく基準端末になることができる。それゆえ、管理能力の異なる基準端末の交代によりネットワークに障害が発生する可能性を低くすることが可能となる。
【0143】
さらに、上記ネットワーク端末は、優先順位リスト作成手段が、優先順位リストをネットワーク端末間で送受信しているデータの優先度順に作成するものである。すなわち、優先順位リスト作成手段によって作成される優先順位リストは、各ネットワーク端末の送信しているデータの優先度に基づいて作成されてもよい。
【0144】
したがって、上記ネットワーク端末によれば、優先順位リスト作成手段によって作成される優先順位リストは、最も優先度の高いデータ伝送を行っているネットワーク端末自身が新しく基準端末になる。それゆえ、優先度の高いデータ伝送の再開を優先的に行うことができる。
【0145】
さらに、上記ネットワーク端末は、優先順位リスト順に、同期情報フレーム喪失検出手段により検出された時刻以降の所定の時刻から優先順位に同期情報フレーム送信間隔の所定の倍数以上の単位時間を掛け合わせた同期情報フレーム送出開始時刻から同期情報フレームの送信を開始する。すなわち、同期フレーム送信手段から送信を開始する、優先順位に基づき計算される同期情報フレーム送出開始時刻は、同期情報フレーム喪失検出手段により検出された時刻から優先順位に同期情報フレームの送信間隔の所定の倍数以上の単位時間を掛け合わせたものであってもよい。
【0146】
したがって、上記ネットワーク端末によれば、同時刻に他のネットワーク端末の同期情報フレームの送信が開始されることを防ぐと同時に、各時刻においてどのネットワーク端末が同期情報フレームを送信するかがわかる。それゆえ、他の基準端末が送出する同期情報フレームを明確に判別できる。
【0147】
さらに、上記ネットワーク端末は、新しく基準端末となった際、基準端末としての能力が、前の基準端末の能力より低く、帯域保証区間情報などをすべて含むことができない場合に、ネットワーク端末間のデータ伝送の有無や伝送されていたデータの優先度に基づいて、同期情報フレームに保持する情報を選択する。すなわち、同期フレーム送信手段により送信される同期情報フレームに前の基準端末の送信していた同期情報、帯域管理情報をすべて含むことができない場合には、ネットワーク端末間で伝送されていたデータの優先度に基づいて保持する情報が選択されてもよい。
【0148】
したがって、上記ネットワーク端末によれば、障害発生以前のネットワークにおいて、優先度の高いデータ伝送を優先的に保持することができる。
【0149】
本発明のネットワーク端末は、データの送受信が可能な複数のネットワーク端末より構成され、基準端末として動作するネットワーク端末から周期的に送出される同期情報フレームに基づいてデータの送受信が管理されるネットワークシステムを構成するネットワーク端末であって、基準端末から同期情報フレームを受信する同期情報フレーム受信手段と、上記同期情報フレーム受信手段によって受信された同期情報フレームに同期してネットワークを維持するネットワーク情報管理手段と、上記同期情報フレーム受信手段によって同期情報フレームが受信されなかったときに、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する同期情報フレーム喪失検出手段と、他のネットワーク端末とは異なるように同期情報フレーム送出開始時刻を規定する同期情報フレーム送出開始時刻情報を格納する同期情報フレーム送出開始時刻格納手段と、上記同期情報フレーム喪失検出手段によって基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、上記同期情報フレーム送出開始時刻格納手段に格納された同期情報フレーム送出開始時刻情報で規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、同期情報フレームの周期的な送出を開始する同期情報フレーム送信手段と、を備えて構成されていてもよい。
【0150】
また、本発明のネットワーク端末の制御方法は、データの送受信が可能な複数のネットワーク端末より構成され、基準端末として動作するネットワーク端末から周期的に送出される同期情報フレームに基づいてデータの送受信が管理されるネットワークシステムを構成するネットワーク端末の制御方法であって、基準端末からの同期情報フレームが受信されなかったときに、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する同期情報フレーム喪失検出ステップと、上記同期情報フレーム喪失検出ステップにおいて基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、あらかじめ他のネットワーク端末とは異なるように規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、同期情報フレームの周期的な送出を開始する同期情報フレーム送信ステップと、を含む方法であってもよい。
【0151】
上記の構成および方法により、ネットワークシステムを構成する各ネットワーク端末は、基準端末からの同期情報フレームが受信されなかったときに、同期情報フレームの喪失を検出した後、あらかじめ他のネットワーク端末とは異なるように規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として同期情報フレームの周期的な送出を開始する。なお、同期情報フレーム送出開始時刻は、例えば、同期情報フレームの喪失が検出された時刻からの時間やネットワークシステムにおいて自装置が基準端末となるべき優先順位などを示す情報(同期情報フレーム送出開始時刻情報)によって規定できる。
【0152】
よって、各ネットワーク端末は、基準端末が停止して同期情報フレームが受信できなくなると、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻まで同期情報フレームの受信を待ち、それまでに新たな基準端末となった他のネットワーク端末から同期情報フレームを受信しないと、自装置が基準端末となって同期情報フレームを他のネットワーク端末へ送出する。
【0153】
ここで、各ネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻は、ネットワーク端末ごとに異なるようにあらかじめ設定されている。それゆえ、基準端末が突然停止した場合であっても、他の複数のネットワーク端末の中から新たな基準端末を1つ決定して、ネットワークを回復することができる。また、新たな基準端末を決定してネットワークを再開する際に、ネットワーク端末間の接続確認の作業が不要である。よって、ネットワークを再構成するプロセスを省略できる。
【0154】
したがって、上記ネットワーク端末によれば、障害により基準端末の役割の移譲処理が行われることなく、基準端末からの同期情報フレームが喪失した場合であっても、各ネットワーク端末があらかじめ保持している同期情報フレーム送出開始時刻に基づき、同期情報フレーム送出開始時刻が小さいネットワーク端末から順に同期情報フレームの送信を開始して、ネットワークを速やかに回復することが可能となる。
【0155】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送信手段は、自装置が基準端末であるとき、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部あるいは一部を含めて同期情報フレームを作成するものであってもよい。
【0156】
上記の構成により、さらに、前の基準端末によって管理され、同期情報フレームに含めて送出されていた情報(ネットワーク管理情報等)を、前の基準端末の障害発生後に、新たな基準端末でも引き継いで同期情報フレームに含めて送出できる。すなわち、障害発生前後の基準端末間で、情報を引き継ぐことができる。
【0157】
よって、基準端末に障害が発生した時に、各ネットワーク端末のネットワークへの参加や帯域確保などを設定するプロセス、すなわち、ネットワークを再構成するプロセスが必要ない。したがって、基準端末の障害発生以前のネットワーク端末間のデータ伝送を速やかに再開できる。
【0158】
【発明の効果】
以上のように、本発明のネットワーク端末は、基準端末から同期情報フレームを受信する同期情報フレーム受信手段と、上記同期情報フレーム受信手段によって受信された同期情報フレームに同期してネットワークを維持するネットワーク情報管理手段と、上記同期情報フレーム受信手段によって同期情報フレームが受信されなかったときに、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する同期情報フレーム喪失検出手段と、ネットワークシステム内の各ネットワーク端末において互いに異なる同期情報フレーム送出開始時刻を規定する同期情報フレーム送出開始時刻情報を格納する同期情報フレーム送出開始時刻格納手段と、上記同期情報フレーム喪失検出手段によって基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、上記同期情報フレーム送出開始時刻格納手段に格納された同期情報フレーム送出開始時刻情報で規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部あるいは一部を含めた同期情報フレームの周期的な送出を開始する同期情報フレーム送信手段とを備え、かつ、上記同期情報フレーム受信手段が、上記同期情報フレーム喪失検出手段によって基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、上記同期情報フレーム送出開始時刻格納手段に格納された同期情報フレーム送出開始時刻情報で規定された同期情報フレーム送出開始時刻まで、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻よりも早い同期情報フレーム送出開始時刻を持つ他のネットワーク端末からの同期情報フレームの受信を試みるものである。
【0159】
また、本発明のネットワーク端末の制御方法は、基準端末からの同期情報フレームが受信されなかったときに、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する同期情報フレーム喪失検出ステップと、上記同期情報フレーム喪失検出ステップにおいて基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、あらかじめ他のネットワーク端末とは異なるように規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部あるいは一部を含めた同期情報フレームの周期的な送出を開始する同期情報フレーム送信ステップと、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻までは、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻よりも早い同期情報フレーム送出開始時刻を持つ他のネットワーク端末からの同期情報フレームの受信を試みる同期情報フレーム受信ステップと、を含む方法である。
【0160】
それゆえ、各ネットワーク端末は、基準端末が停止して同期情報フレームが受信できなくなると、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻まで同期情報フレームの受信を待ち、それまでに新たな基準端末となった他のネットワーク端末から同期情報フレームを受信しないと、自装置が基準端末となって同期情報フレームを他のネットワーク端末へ送出する。よって、基準端末が突然停止した場合であっても、他の複数のネットワーク端末の中から新たな基準端末を1つ決定して、ネットワークを回復することができるという効果を奏する。
【0161】
また、上記ネットワーク端末は、前の基準端末によって管理され、同期情報フレームに含めて送出されていた情報(ネットワーク管理情報等)を、前の基準端末の障害発生後に、新たな基準端末でも引き継いで同期情報フレームに含めて送出できる。すなわち、障害発生前後の基準端末間で、情報を引き継ぐことができる。よって、基準端末に障害が発生後、新たな基準端末を決定してネットワークを再開する際に、各ネットワーク端末のネットワークへの参加や帯域確保などを設定するプロセス、すなわち、ネットワークを再構成するプロセスが必要ない。したがって、基準端末の障害発生以前のネットワーク端末間のデータ伝送を速やかに再開できるという効果を奏する。
【0162】
以上より、上記ネットワーク端末によれば、障害により基準端末の役割の移譲処理が行われることなく、基準端末からの同期情報フレームが喪失した場合であっても、各ネットワーク端末があらかじめ保持している同期情報フレーム送出開始時刻に基づき、同期情報フレーム送出開始時刻が小さいネットワーク端末から順に同期情報フレームの送信を開始して、ネットワークを速やかに回復することが可能となるという効果を奏する。
【0163】
さらに、本発明のネットワーク端末は、自装置が基準端末であるとき、ネットワークシステムを構成する他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を決定し、各ネットワーク端末へ配信する同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段を備える構成である。
【0164】
それゆえ、さらに、各ネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、あらかじめ設定して各ネットワーク端末に格納することができる。したがって、基準端末からの同期情報フレームが喪失した場合であっても、ネットワークを速やかに回復することが可能となるという効果を奏する。
【0165】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送出開始時刻情報が、ネットワークシステムにおいて自装置が基準端末となるべき優先順位である。
【0166】
それゆえ、さらに、ネットワーク端末に送信する情報が優先順位であるため、基準端末となるべき順位を直接的に指定できるという効果を奏する。また、同期情報フレーム送出開始時刻情報の格納に必要なメモリが少ないという効果を奏する。
【0167】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段は、他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、当該ネットワーク端末のネットワークシステムにおける基準端末としての能力に基づいて決定するものである。
【0168】
それゆえ、さらに、上記ネットワーク端末によれば、最もネットワークを管理するのに適したネットワーク端末が新しい基準端末になることができる。したがって、基準端末が管理能力の劣るネットワーク端末に交代することで発生するネットワーク障害の可能性を低くすることが可能となるという効果を奏する。
【0169】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段は、他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、当該ネットワーク端末が送信するデータの優先度に基づいて決定するものである。
【0170】
それゆえ、さらに、上記ネットワーク端末によれば、最も優先度の高いデータ伝送を行っているネットワーク端末が新しい基準端末になる。したがって、優先度の高いデータ伝送の再開を優先的に行うことができるという効果を奏する。
【0171】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送信手段は、上記優先順位に所定の単位時間を掛け合わせた時間に基づいて同期情報フレーム送出開始時刻を決定するものである。
【0172】
それゆえ、さらに、上記ネットワーク端末によれば、同時刻に他のネットワーク端末の同期情報フレームの送信が開始されることを防ぐと同時に、各時刻においてどのネットワーク端末が同期情報フレームを送信するかが分かる。したがって、他のネットワーク端末が基準端末として送出する同期情報フレームを明確に判別できるという効果を奏する。
【0173】
さらに、本発明のネットワーク端末は、上記同期情報フレーム送信手段は、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部を含めて同期情報フレームを作成することができない場合、ネットワーク端末間で伝送されていたデータの優先度に基づいて同期情報フレームに含める情報を選択するものである。
【0174】
それゆえ、さらに、上記ネットワーク端末によれば、障害発生以前のネットワークにおいて優先度が高かったデータ伝送を優先的に回復することができるという効果を奏する。
【0175】
また、本発明のネットワークシステムは、上記のネットワーク端末を複数備えて構成される。
【0176】
それゆえ、ネットワークを管理する基準端末が同期情報フレームを送信できなくなった場合に、ネットワーク端末間での送受信の伝送不可能時間が短いネットワークシステムを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るネットワーク端末の構成の概略を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示したネットワーク端末における基準端末に障害が発生した時の処理を示すフローチャートである。
【図3】図1に示したネットワーク端末における優先順位リスト作成処理を示すフローチャートである。
【図4】図1に示したネットワーク端末における優先順位リスト取得処理を示すフローチャートである。
【図5】図1に示したネットワーク端末における基準端末に障害が発生した時の処理を示す説明図である。
【図6】図1に示したネットワーク端末において優先順位リストを作成する際に利用するネットワーク端末の端末情報のデータフォーマットを示す説明図である。
【図7】図1に示したネットワーク端末において優先順位リストを作成する際に端末情報を用いて計算される基準端末優先度の一例を示す説明図である。
【図8】図1に示したネットワーク端末において優先順位リストを作成する際に端末情報を用いて計算される基準端末優先度の一例を示す説明図である。
【図9】図1に示したネットワーク端末における優先順位リストの一例を示す説明図である。
【図10】図1に示したネットワーク端末によって構成されたネットワークシステムの概略を示す説明図である。
【図11】図10に示したネットワークシステムの基準端末に障害が発生した時の動作を示す説明図である。
【図12】図10に示したネットワークシステムの基準端末に障害が発生した時の動作を示す説明図である。
【図13】同期情報フレームに含まれる情報の一例を示す説明図である。
【図14】同期情報フレームに基づいて、帯域保証区間内で指定のネットワーク内の端末間でデータ伝送が行われる様子を示す説明図である。
【図15】従来のネットワークシステムの概略を示す説明図である。
【図16】従来のネットワークシステムにおいて基準端末に障害が発生した時の伝送再開までの様子を示す説明図である。
【図17】従来のネットワークシステムにおける基準端末に障害が発生した後の伝送再開までの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ネットワークシステム
10 ネットワーク端末
102 優先順位リスト作成部(同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段)
104 優先順位リスト格納部(同期情報フレーム送出開始時刻格納手段)
105 同期情報フレーム受信部(同期情報フレーム受信手段)
106 ネットワーク情報管理部(ネットワーク情報管理手段)
107 同期情報フレーム喪失検出部(同期情報フレーム喪失検出手段)
108 同期情報フレーム送信部(同期情報フレーム送信手段)

Claims (9)

  1. データの送受信が可能な複数のネットワーク端末より構成され、基準端末として動作するネットワーク端末から周期的に送出される同期情報フレームに基づいてデータの送受信が管理されるネットワークシステムを構成するネットワーク端末であって、
    基準端末から同期情報フレームを受信する同期情報フレーム受信手段と、
    上記同期情報フレーム受信手段によって受信された同期情報フレームに同期してネットワークを維持するネットワーク情報管理手段と、
    上記同期情報フレーム受信手段によって同期情報フレームが受信されなかったときに、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する同期情報フレーム喪失検出手段と、
    ネットワークシステム内の各ネットワーク端末において互いに異なる同期情報フレーム送出開始時刻を規定する同期情報フレーム送出開始時刻情報を格納する同期情報フレーム送出開始時刻格納手段と、
    上記同期情報フレーム喪失検出手段によって基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、上記同期情報フレーム送出開始時刻格納手段に格納された同期情報フレーム送出開始時刻情報で規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部あるいは一部を含めた同期情報フレームの周期的な送出を開始する同期情報フレーム送信手段とを備え、かつ、
    上記同期情報フレーム受信手段が、上記同期情報フレーム喪失検出手段によって基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、上記同期情報フレーム送出開始時刻格納手段に格納された同期情報フレーム送出開始時刻情報で規定された同期情報フレーム送出開始時刻まで、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻よりも早い同期情報フレーム送出開始時刻を持つ他のネットワーク端末からの同期情報フレームの受信を試みるものであることを特徴とするネットワーク端末。
  2. 自装置が基準端末であるとき、ネットワークシステムを構成する他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を決定し、各ネットワーク端末へ配信する同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク端末。
  3. 上記同期情報フレーム送出開始時刻情報が、ネットワークシステムにおいて各ネットワーク端末が基準端末となるべき優先順位であることを特徴とする請求項1または2に記載のネットワーク端末。
  4. 上記同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段は、他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、当該ネットワーク端末のネットワークシステムにおける基準端末としての能力に基づいて決定するものであることを特徴とする請求項2に記載のネットワーク端末。
  5. 上記同期情報フレーム送出開始時刻情報作成手段は、他のネットワーク端末の同期情報フレーム送出開始時刻情報を、当該ネットワーク端末が送信するデータの優先度に基づいて決定するものであることを特徴とする請求項2に記載のネットワーク端末。
  6. 上記同期情報フレーム送信手段は、上記優先順位に所定の単位時間を掛け合わせた時間に基づいて同期情報フレーム送出開始時刻を決定するものであることを特徴とする請求項3に記載のネットワーク端末。
  7. 上記同期情報フレーム送信手段は、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部を含めて同期情報フレームを作成することができない場合、ネットワーク端末間で伝送されていたデータの優先度に基づいて同期情報フレームに含める情報を選択するものであることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク端末。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のネットワーク端末を複数備えて構成されることを特徴とするネットワークシステム。
  9. データの送受信が可能な複数のネットワーク端末より構成され、基準端末として動作するネットワーク端末から周期的に送出される同期情報フレームに基づいてデータの送受信が管理されるネットワークシステムを構成するネットワーク端末の制御方法であって、
    基準端末からの同期情報フレームが受信されなかったときに、基準端末からの同期情報フレームの喪失を検出する同期情報フレーム喪失検出ステップと、
    上記同期情報フレーム喪失検出ステップにおいて基準端末からの同期情報フレームの喪失が検出された後、あらかじめ他のネットワーク端末とは異なるように規定された同期情報フレーム送出開始時刻に、ネットワークシステムにおける新たな基準端末として、前の基準端末から受信した同期情報フレームに含まれていた情報の全部あるいは一部を含めた同期情報フレームの周期的な送出を開始する同期情報フレーム送信ステップと、
    自装置の同期情報フレーム送出開始時刻までは、自装置の同期情報フレーム送出開始時刻よりも早い同期情報フレーム送出開始時刻を持つ他のネットワーク端末からの同期情報フレームの受信を試みる同期情報フレーム受信ステップと、を含むことを特徴とするネットワーク端末の制御方法。
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