JP2004311774A - 光学装置、位置検出装置および露光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学素子を保持し、第1方向に移動可能な保持部材50を有する。保持部材50の第1方向への移動を案内する案内部55と、保持部材50と案内部55とを連結する連結部51とを有する。連結部51は、第1方向に関して剛性を有するとともに第1方向と交差する少なくとも一方向に関して第1方向よりも低い剛性を有する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学装置、位置検出装置および露光装置に関し、例えば物体を光学的に観察して前記物体の位置情報を検出する際に用いて好適な光学装置、位置検出装置および検出した位置情報を用いてマスクと基板との位置合わせが行われる露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶表示素子等のデバイスの製造工程では、フォトマスク(あるいはレチクル)上に形成されたパターンの像を感光材が塗布された基板(ウエハやガラスプレートなど)上の所定のショット領域に転写する露光装置が使用されている。この種の露光装置としては、例えば、基板を二次元的に移動自在なステージ上に載置し、このステージにより基板をステッピング移動させて、レチクルのパターン像を基板上の各ショット領域に順次露光する動作を繰り返す、いわゆるステップ・アンド・リピート方式の露光装置が知られている。また、この露光装置による処理後、基板に対して所定の後処理を施すことにより回路パターンが形成され、その回路パターンの層を多数重ねることによってデバイスの配線回路が形成される。露光装置では、例えば2層目以降のパターン像を基板上に転写する際、既に回路パターンが形成された基板上のショット領域とこれから露光するレチクルのパターンとを正確に重ね合わせるための二次元方向の基板の位置決め(アライメント)を行う。
【0003】
アライメントは、通常、基板上に形成されたマークの位置に関する位置情報に基づいて行われる。例えば、特許文献1に開示されているEGA(エンハンスド・グローバル・アライメント)法に代表されるグローバル・アライメントでは、一の感光基板内の数ケのショット領域におけるマークの像位置をCCD等のセンサーを有するアライメント光学系によりそれぞれ光電検出し、その検出結果に基づいて各マークの二次元方向の位置をそれぞれ計測している。
【0004】
この位置計測においては、位置決め対象物の像がデフォーカスすることなくセンサーの感度面に結像させることが高い精度で位置計測を行う上で重要である。同時に、高い位置決め精度を安定的に維持するために最良のフォーカス位置を安定して保つ必要がある。そのため、アライメント光学系のフォーカス調整は、従来から標準的に行われており、そのフォーカス調整機構として、対物レンズを保持する対物レンズ鏡筒の外周に設けた精密ネジ部を、対物レンズ鏡筒を保持する対物レンズホルダの雌ネジ部に螺合させ、対物レンズ鏡筒を光軸周りに回転させることにより光軸方向に移動させる構造が用いられていた。
一方、フォーカス調整後の対物レンズ固定構造としては、いわゆるセットビスで対物レンズホルダに対して鏡筒を固定するか、或いは対物レンズホルダに例えば光軸方向にすり割り(スリット)を設け、すり割りが小さくなる方向に力を加えることで対物レンズ鏡筒をクランプし、対物レンズを固定する構造が採られていた。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−44429号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
近年の半導体素子の集積化に伴い、より高いアライメント精度が要求されるようになり、対物レンズの有するディストーションや球面収差等がアライメント精度に及ぼす影響を無視できなくなってきている。
具体的には、フォーカス調整時、対物レンズ鏡筒を回転させた場合にネジ部の螺合状態により対物レンズ鏡筒に好ましくないストレスがかかる可能性がある。また、調整時にストレスがかからない場合であっても、調整後の対物レンズ固定時にセットビスで一点を固定すると固定点に集中的に応力がかかることになる。さらに、対物レンズ鏡筒をクランプする場合には、対物レンズ鏡筒を挟み込むので何れかの方向からストレスがかかることになってしまう。
【0007】
以上のようなストレスが加わると、対物レンズのレンズ間隔が変動したり、一部のレンズが偏心したりする虞があるため、対物レンズの性能に変動が生じ、所定の基準値以下に抑えられていた対物レンズの収差が基準値を超える事態が生じていた。これにより、アライメント精度が低下し、ひいては露光装置の露光精度(パターン転写精度)が悪化する等の問題が生じていた。また、上記の従来技術では、フォーカス調整後に対物レンズを固定する際、対物レンズが動いてしまい、フォーカス位置がずれてしまうという問題も生じていた。
さらに、対物レンズ鏡筒と対物レンズホルダとを同じ材質で構成できない場合には、温度変動による半径方向の線膨張差により対物レンズにストレスが加わり収差が悪化するという問題も生じる。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、対物レンズ鏡筒等の保持部材に無用のストレスを与えることなく光軸方向の移動を可能とし、対物レンズを所定の位置に固定できる光学装置、位置検出装置および露光装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図7に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の光学装置は、光学素子(33)を保持し、第1方向(X)に移動可能な保持部材(50)を有する光学装置(11c)であって、保持部材(50)の第1方向への移動を案内する案内部(55)と、保持部材(50)と案内部(55)とを連結する連結部(51)とを有し、連結部(51)は、第1方向に関して剛性を有するとともに第1方向と交差する少なくとも一方向(Z)に関して第1方向よりも低い剛性を有することを特徴とするものである。
【0010】
従って、本発明の光学装置では、案内部(55)に沿ってフォーカス方向である第1方向(X)に保持部材(50)を移動させることで、保持部材(50)を介して光学素子(33)を所定位置に位置決めしてフォーカス調整を行うことができる。このとき、案内部(55)と保持部材(50)とは、連結部(51)の剛性によりフォーカス方向の位置が変動することなく固定される。また、保持部材(50)を介して光学素子(33)を固定した際に、第1方向(X)と交差する一方向、例えばZ方向に力が加わった場合、この方向に関する連結部(51)の剛性が低いため、光学素子(33)を拘束しない。従って、光学素子(33)にストレスが加わることを防止して、収差が悪化することを回避することが可能になる。
また、保持部材(50)は、連結部(51)と異なる位置に設けられその保持部材(50)を少なくとも第1方向(X)に関して固定する固定部(58)を有するものとすることができる。この場合において、本発明の光学装置はその案内部(55)が設けられたホルダ(14)を有し、その固定部(58)は、そのホルダ(14)に設けられ保持部材(50)の第1方向(X)への移動に関する基準面(14d)に固定されることが望ましい。これにより、光学素子(33)の位置を基準となる面に沿って確実に固定することができる。
また、本発明の光学装置は、保持部材(50)とホルダ(14)とを、第1方向(X)と略直交する第2方向(Z)に関しては弾性をもって結合し、且つ前記第2方向(Z)と交差する少なくとも一方向(Y)に関しては第2方向(Z)よりも高い剛性で結合する結合部材(52b、53b)を有するものとすることができる。これにより、光学素子(33)に不要なストレスを与えることなく、保持部材(50)をホルダ(14)に対して安定的に固定することができる。
また、連結部(51)は、第1方向(X)と交差する少なくとも一方向(Z)に弾性を有するフレクシャ構造部材とすることができ、案内部(55)は第1方向(X)に摺動するリニアガイドとすることができる。
また、第1方向は前記光学素子を通過する光の光軸方向と平行であることが望ましい。
また、本発明の光学装置は、連結部(51)を介して保持部材(50)を第1方向(X)へ駆動する駆動装置(56)と、連結部(51)をその駆動装置に向けて付勢する付勢装置(57)とを有することが望ましい。これにより、保持部材(50)、ひいては光学素子(33)の精密な位置決めを機械的誤差なく行うことができ、フォーカス調整を精密かつ容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明の位置検出装置は、物体(2)を光学的に観察して物体(2)の位置情報を検出する位置検出装置(11)において、請求項1から8のいずれかに記載の光学装置(11c)を有することを特徴とするものである。
従って、本発明の位置検出装置では、ストレスによる収差低下が生じることなく物体(2)の位置情報を検出することが可能になり、アライメント精度を維持することができる。
【0012】
そして、本発明の露光装置は、マスク(R)の位置情報と基板(2)の位置情報とを用いてマスク(R)と基板(2)との位置合わせが行われる露光装置において、マスク(R)の位置情報と、基板(2)の位置情報との少なくとも一方を検出する装置として、請求項9記載の位置検出装置(11)を有することを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明の露光装置では、ストレスによる収差低下が生じることなくマスク(R)の位置情報と基板(2)の位置情報を検出することが可能になり、マスク(R)と基板(2)とを高精度に位置合わせ(アライメント)することができる。そのため、マスク(R)のパターンを高精度に基板(2)上に転写することが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学装置、位置検出装置および露光装置の実施の形態を、図1ないし図8を参照して説明する。
本実施形態はレチクルのパターンをウエハ上の各ショット領域に一括露光するステッパー型の投影露光装置に備えられたオフ・アクシス方式で、且つ画像処理によりパターンの位置計測を行うFIA(Field Image Alignment)方式のアライメントセンサに本発明を適用するものとして説明する。
【0015】
図1は、本例のアライメントセンサ(位置検出装置)の構成を一部断面で示し、図2は本例の投影露光装置全体の概略構成を示す。この図1において、露光時にはマスクとしてのレチクルR(図2参照)のパターンが投影光学系1を介して基板としてのウエハ(物体)2上の各ショット領域に転写される。以下、投影光学系1の光軸AXに平行にZ軸を取り、このZ軸に垂直な平面上で図1の紙面に平行にX軸、図1の紙面に垂直にY軸を取り説明する。先ず、図2は図1をX方向に見た側面図であり、この図2に示すように、ウエハ2は、ウエハホルダ(不図示)を介してZチルトステージ3Z上に載置されている。Zチルトステージ3Zは内部の駆動系により光軸AX方向(Z方向)へのウエハ2の移動、ウエハ2の傾斜、及び光軸AXの回りでのウエハ2の回転を行うことできる。また、Zチルトステージ3Zは、図1のウエハステージ駆動系5により投影光学系1に対してX方向及びY方向に移動可能なXYステージ3XY上に載置されている。このXYステージ3XY及びZチルトステージ3Zによりウエハステージ3が構成されている。
【0016】
図1に戻り、ウエハステージ3の端部には外部のレーザ干渉計4aからのレーザビームを反射する移動鏡4bが固定されており、レーザ干渉計4a及び移動鏡4bによりウエハステージ3のX方向、Y方向の位置及び回転角が計測されている。レーザ干渉計4aの位置情報は、装置全体を統轄的に制御する中央制御系6に供給されており、中央制御系6はこの位置情報に基づき、ウエハステージ駆動系5を介してウエハステージ3の位置決め動作を制御する。
【0017】
また、図2に示すようにウエハ2の表面に向けてピンホール像、あるいはスリット像を形成するための検出光を光軸AXに対して斜め方向に供給する照射光学系9aと、その検出光のウエハ2の表面での反射光束よりピンホール像等を振動スリット上に再結像し、その振動スリットを透過した光束を受光する受光光学系9bとからなる斜入射方式の焦点位置検出系(以下、「焦点位置検出系9a,9b」という)が設置されている。焦点位置検出系9a,9bはウエハ2の表面の投影光学系1の最良結像面に対するZ方向の位置偏差に対応するフォーカス信号を中央制御系6に供給し、中央制御系6はこのフォーカス信号に基づいてオートフォーカス方式でZチルトステージ3ZをZ方向に駆動する。なお、本例では結像面が零点基準となるように予め受光光学系9b内の内部に設けられた不図示の平行平板ガラス(プレーンパラレル)の角度が調整され、受光光学系9bからのフォーカス信号が0になるようにオートフォーカスが行われる。
【0018】
次に、本例のオフ・アクシス方式で且つFIA方式のアライメントセンサの構成について説明する。図1に示すように、本例のアライメントセンサ(位置検出装置)11は、第1の光源21等をケーシング12内に配置して構成され、本例の投影露光装置が収納されたチャンバの外部に設置されたランプハウス部11aと、第2の光源26及び撮像素子41,42等をケーシング13内に配置して構成され、投影光学系1の下方側面に固定されたセンサ本体部11bと、第1対物レンズ(光学素子)33(実際には複数のレンズ群で構成されているが本実施形態では便宜上一つの光学素子として図示)、指標板34や落射プリズム36等を対物レンズホルダ(ホルダ)14内に配置して構成され、投影光学系1の−Y方向の端部の下部に固定された指標対物部(光学装置)11cとから構成されている。投影光学系1の鏡筒15は、所定のコラム(不図示)に固定されている。コラムはインバー等の低熱膨張率の合金等の低熱膨張材からなり、チャンバ内部の温度変動が投影光学系1やアライメントセンサ11にできるだけ影響を及ぼさないように配慮されている。
【0019】
センサ本体部11bのケーシング13は上述したコラムに固定されている。また、指標対物部11cの対物レンズホルダ14は、コラムと同様に低熱膨張率の合金等の低熱膨張材から形成され、当該コラムに固定されている。この場合、アライメントセンサ11の計測位置をできるだけ投影光学系1の光軸AXに近づけて配置することが好適である。
【0020】
対物レンズホルダ14内には、第1対物レンズ33を保持する対物レンズ鏡筒(保持部材)50が第1方向であるX方向に移動可能に保持されている。図3は、対物レンズ鏡筒50の外観斜視図である。対物レンズ鏡筒50は、X方向を軸線とする円筒形状を呈しており、その外周面には+Y方向に突出させて連結部材(連結部)51、51がX方向に間隔をあけて設けられており、さらに連結部材51、51のX方向外側には、支持部材(結合部材)52a、52a(図3中、奥側の支持部材は不図示)が突設され、この支持部材52a、52aを介して板バネからなる弾性部材(結合部材)53a、53aがZ方向に延在して設けられている。同様に、対物レンズ鏡筒の外周面には、X方向に間隔をあけて支持部材52b、52b(図3では不図示、図4乃至図6参照)が−Z方向に突設されており、この支持部材52b、52bを介して板バネからなる弾性部材53b、53bがY方向に延在して設けられている。
【0021】
支持部材52bは、図4に示すように、対物レンズホルダ14に形成された開口部14bを介して対物レンズ鏡筒50に取り付けられ、弾性部材53bは支持部材52bが対物レンズ鏡筒50に取り付けられたときに対物レンズホルダ14に係合し、且つその弾性力により支持部材52bを介して対物レンズ鏡筒50を対物レンズホルダ14に対してZ方向に弾性をもって結合する構成となっている。同様に、支持部材52aは、対物レンズホルダ14に形成された開口部(図示せず)を介して対物レンズ鏡筒50に取り付けられ、弾性部材53aは支持部材52aが対物レンズ鏡筒50に取り付けられたときに対物レンズホルダ14に係合し、且つその弾性力により支持部材52aを介して対物レンズ鏡筒50を対物レンズホルダ14に対してY方向に弾性をもって結合する構成となっている。
なお、弾性部材53a、53bは、それぞれ長さ方向両端部近傍において取付ネジ等の締結部材54a、54bにより対物レンズホルダ14に解除自在に締結固定される。
【0022】
図4に戻り、連結部材51は、対物レンズ鏡筒50と、図5に右側面図として示すように、対物レンズホルダ14に設けられX方向に延在するリニアガイド(案内部)55とを連結するものであって、対物レンズホルダ14に形成された開口部14aを介して対物レンズ鏡筒50に取り付けられる取付部51a、リニアガイド55に案内されて移動自在な移動部51b、これら取付部51a、移動部51b間に設けられたフレクシャ部51cから構成されている。なお、図5及び後述する図6においては、図面の理解を容易にするために対物レンズホルダ14の図示を省略(一部図示)している。
【0023】
フレクシャ部51cは、XY平面に沿ってX方向に延びる薄板形状に形成されており、取付部51aと移動部51bとをX方向(第1対物レンズ33の光軸方向)及びY方向(光軸と直交する半径方向)に関しては剛性をもって連結するとともに、Z方向(光軸と平行な軸周りの方向)に関してはX方向よりも低い剛性をもって柔に連結する構成となっている。換言すると、このフレクシャ部51cにより連結部材51は、光軸方向及び半径方向については非弾性で、光軸と平行な軸周りの方向には弾性を有することで、方向によって剛性の異なるフレクシャ構造部材として機能する。従って、対物レンズ鏡筒50は、連結部材51を介してX軸方向に関して剛にリニアガイド55に連結されるため、リニアガイド55をヨーイング方向の基準として光軸方向(X方向)に移動させる構成となっている。
【0024】
図5に示されるように、+X側の連結部材51の移動部51bには、X軸方向に可動であり連結部材51を介して対物レンズ鏡筒50をX軸方向に駆動するフォーカス調整部(駆動装置)56が対向配置されている。そして、−X側の連結部材51には、一端が対物レンズホルダ14に固定された引張バネ等の付勢部材57の他端が固定され、当該連結部材51を+X方向に、すなわちフォーカス調整部56に向けて付勢する構成となっている。
【0025】
図4に戻り、対物レンズ鏡筒50の外周面の−Y側には、対物レンズホルダ14に形成された開口部14cを介して支持部材52cが取り付けられており、支持部材52cの先端には固定部材(固定部)58が設けられている。図6に示すように、固定部材58は、対物レンズ鏡筒50に対してX方向の略中央部に配置されており、その下面(−Z側の面)が対物レンズホルダ14のフォーカス調整基準面(対物レンズ鏡筒50を光軸方向に移動させる際、ピッチング方向及びローリング方向の基準となる基準面)14dに当接する。固定部材58のX方向両端には切欠部58a、58aが形成されており、各切欠部58aには雌ネジが形成された雌ネジ部材59が固定部材58とZ軸周りに回転不能にそれぞれ載置される。雌ネジ部材59には、ヘッド部が対物レンズホルダ14に係合し、固定部材58を貫通する取付ネジ等の締結部材60が螺着することで、固定部材58が対物レンズホルダ14に締結固定される。
なお、固定部材58に形成され締結部材60が貫通する貫通孔(不図示)は、対物レンズ鏡筒50の移動ストロークをカバーできる(対物レンズ鏡筒50が移動した際にも締結部材60により固定部材58を対物レンズホルダ14に固定できる)大きさの長穴状に形成されている。
【0026】
続いて、上記のアライメントセンサ11においてフォーカス調整を行う手順について説明する。
まず、予め締結部材60による締結を解除して固定部材58と対物レンズホルダ14との固定状態を解放するとともに、締結部材54a、54bによる締結を解除して弾性部材53a、53bと対物レンズホルダ14との固定状態を解放することにより、対物レンズ鏡筒50をX方向に移動可能状態とする。
【0027】
次に、フォーカス調整部56を操作することにより、連結部材51を介して対物レンズ鏡筒50を移動させて焦点を合わせる。このとき、フォーカス調整部56と対向する連結部材51は、付勢部材57により付勢されることでガタ等が生じることなく常にフォーカス調整部56の先端に当接した状態で追従するため、光軸方向について対物レンズ鏡筒50を確実に合焦位置に位置決めすることが可能となる。また、連結部材51はリニアガイド55に案内されるため円滑にX方向に移動することができるが、連結部材51におけるフレクシャ部51cがX方向について剛であるので、リニアガイド55をヨーイング方向の基準としてフォーカス調整部56の位置に応じて所定の位置に移動させることができる。
【0028】
対物レンズ鏡筒50の位置が決まると、上記の締結部材60、54a、54bをそれぞれ締結することにより、固定部材58及び弾性部材53a、53bを対物レンズホルダ14に固定する。このとき、X方向に延在する固定部材58を対物レンズホルダ14の基準面14dに当接して固定することで、対物レンズ鏡筒50を光軸に対してローリング誤差及びピッチング誤差なく固定することができる。
【0029】
ここで、リニアガイド55と基準面14dとの間にピッチング誤差又はローリング誤差が生じた場合、すなわち対物レンズ鏡筒50と連結部材51との間にX軸周りに相対移動する方向の力、又はY軸周りに相対移動する方向の力が加わった場合であっても、この方向に関して柔のフレクシャ部51cが弾性変形することでこの力を吸収するため、フォーカス調整時に対物レンズ鏡筒50にストレスが加わることを防止できる。
また、弾性部材53a、53bが光軸方向及び対物レンズ鏡筒50の外周の接線方向に関して剛であるので、光軸方向の位置が安定的に維持される。一方、この弾性部材53a、53bは、対物レンズ鏡筒50(すなわち第1対物レンズ33)の半径方向については柔であるので、対物レンズ鏡筒50にストレスを与えることはない。
このように、外周に無用のストレスを与えることなく、安定した状態で対物レンズ鏡筒50が所定の合焦位置に位置決めされる。
【0030】
そして、対物レンズ鏡筒50が位置決めされたアライメントセンサ11においては、アライメントセンサ11を構成するランプハウス部11aに設置されたハロゲンランプ等からなる第1の光源21より射出された広帯域波長の照明光は、波長制限光学フィルター22の作用により適当な波長幅を有する可視照明光となる。その可視照明光よりなる照明光AL1は、次に集光レンズ23により光ファイバー等からなるライトガイド24の入射端面に集光される。ライトガイド24の他端はケーシング12から外部に取り出されて、センサ本体部11bのケーシング13の外側面を経てケーシング13の内側に設置されている。ライトガイド24の射出端面から+X方向に射出された照明光AL1は、コンデンサレンズ25で集光され、照明光AL1の光路に対して45°の傾斜角をもって斜設されたダイクロイックミラー28に入射する。
【0031】
ダイクロイックミラー28は可視光を反射し、赤外光を透過する波長選択性を有し、可視光である照明光AL1はダイクロイックミラー28で殆ど減光されることなく下方に反射された後、視野絞り29を均一に照射する。なお、後述するように、ダイクロイックミラー28には、センサ本体部11b内に設置された第2の光源26から射出された赤外光よりなる照明光AL2が、照明光AL1と直交する方向から入射している。視野絞り29を通過した照明光AL1は、リレーレンズ30で集光されて、照明光AL1の光路に対して45°の傾斜角で配設されたハーフプリズム31に入射する。ハーフプリズム31のハーフミラー面で+X方向に反射された照明光AL1は、次にケーシング13の下部側面に設けられた窓13aを通過した後、指標対物部11cの対物レンズホルダ14の側面の窓14aを介して対物レンズホルダ14の内部に入射する。
【0032】
次に、照明光AL1は、第1対物レンズ33の入射瞳面にライトガイド24の射出端面の投影像を形成した後、第1対物レンズ33を透過して落射プリズム36により下方に偏向され、指標マーク(不図示)が形成された透明なガラス板からなる指標板34に入射する。指標板34の被検面側(ウエハ側)には、可視光を透過させ、且つ赤外光を反射する特性を有する赤外反射膜が形成されている。赤外反射膜は、例えば誘電体多層膜で構成することができる。また、指標板34の光源側の面には指標マークが形成されている。
【0033】
照明光AL1は指標板34を通過した後、第1対物レンズ33の焦平面に相当するウエハ2の表面上に配設された所定形状を有するウエハマーク(ウエハ上のアライメントマーク)38にほぼ垂直に照射される。なお、ウエハ2上の照明領域は視野絞り29により所望の大きさに設定される。また、ウエハマーク38は100μm角程度の大きさで形成されており、X方向及びY方向にそれぞれ数μmのピッチで形成された2次元の格子状のパターン構造を持つ。但し、ウエハマーク38として1次元の格子状等のパターンを使用してもよい。
【0034】
このウエハマーク38に照射された照明光AL1は、ウエハマーク38で反射回折され、ウエハマーク検出光としてウエハ2上から光軸AXに沿って上方に戻っていく。ウエハマーク検出光は、再び指標板34に入射し、赤外反射膜で殆ど減光されることなく指標板34を透過後、落射プリズム36にて−Y方向に偏向され、第1対物レンズ33に入射する。ウエハマーク検出光により、第1対物レンズ33の入射瞳面上にはウエハマーク38によるフラウンホーファ回折像が形成される。
【0035】
第1対物レンズ33の入射瞳面から射出されたウエハマーク検出光はハーフプリズム31を通過し、第2対物レンズ39に入射する。第2対物レンズ39にて集光されたウエハマーク検出光はダイクロイックミラー40に入射する。ダイクロイックミラー40は前述のダイクロイックミラー28と同様に可視光を反射し、赤外光を透過する波長選択性を有し、ウエハマーク検出光は、ダイクロイックミラー40で殆ど減光されることなく反射され、2次元CCD等からなる2次元の撮像素子41の撮像面上にウエハマーク38のウエハマーク像を形成する。なお、ウエハマーク38が1次元のマークであれば、撮像素子41も1次元CCD等でよい。このウエハマーク38のウエハマーク像は指標マークによる「けられ」の影響を殆ど受けることがなく、理想結像と見なせる。従って、そのウエハマーク像よりウエハマーク38の位置が正確に検出される。ウエハマーク38のウエハマーク像の光強度は撮像素子41で電気信号に変換されて、中央制御系6に供給される。
【0036】
一方、センサ本体部11b内の第2の光源26より射出された赤外光よりなる照明光AL2はコンデンサレンズ27で集光され、ダイクロイックミラー28を殆ど減光されることなく透過し、視野絞り29を通過してリレーレンズ30により集光されてハーフプリズム31に入射する。なお、その光源26もセンサ本体部11bの外部に配置して、可視光である照明光AL1と同様にライトガイド等を介して赤外光の照明光AL2をセンサ本体部11bに導入するようにしてもよい。ハロゲンランプ等の発熱源をセンサ本体部11bの外部に配置することにより熱による各部材の変形を防止し、より高精度の位置決めを行うことが可能となる。
【0037】
ハーフプリズム31に入射した照明光AL2は、ハーフプリズム31で反射され、第1対物レンズ33、落射プリズム36を介して指標板34に入射する。指標板34に入射した赤外光は、その内部を伝搬した後、赤外反射膜で反射され、指標マークを照明する。照明された指標マークからの赤外反射光(回折光を含む)は、指標板34の内部を伝搬した後、赤外反射膜で反射される。赤外反射膜で反射された指標マークからの赤外反射光(指標マーク検出光)は、指標板34の内部を伝搬した後、落射プリズム36、第1対物レンズ33からハーフプリズム31を通過し、第2対物レンズ39に入射する。
【0038】
第2対物レンズ39により集光された指標マーク検出光は、ダイクロイックミラー40を殆ど減光されることなく透過し、指標マーク用の2次元CCDからなる2次元の撮像素子42の撮像面上に指標マークの指標マーク像を形成する。なお、指標マークが1次元マークであれば、撮像素子42も1次元CCD等でよい。指標マークの指標マーク像の光強度は撮像素子42により電気信号に変換され、中央制御系6に供給される。
【0039】
中央制御系6は撮像素子41,42からそれぞれ供給されたウエハマーク38のウエハマーク像及び指標マークの指標マーク像の各々の電気信号、及びレーザ干渉計4aからのウエハステージ3の位置情報を演算処理することで、指標マークの指標マーク像の中心に対するウエハマーク38のウエハマーク像の中心の2次元的な位置ずれを検出する。また、撮像素子41,42の撮像面での像とウエハ2の表面との間の倍率は予め分かっているため、その位置ずれ量がウエハ2上での位置ずれ量に換算される。そして、この換算された位置ずれ量に、その計測時点でのレーザ干渉計4aの計測値を加算することによって、ウエハマーク38のステージ座標系(ウエハステージ3の位置を示す座標系)での2次元の位置が算出される。この場合、指標マークの指標マーク像の中心にウエハマーク38のウエハマーク像の中心が合致しているときの、そのウエハマーク38の中心の位置をアライメントセンサ11の計測中心とみなすことができる。
【0040】
ウエハ2上には複数のショット領域が形成されており、それらの各ショット領域にはそれぞれウエハマーク38と同様のウエハマークが所定の位置に形成されている。それらのショット領域のウエハマークが順次アライメントセンサ11の検出領域に入るようにウエハステージ3を移動させ、指標マークに対する位置ずれ量を検出すると共に、ウエハステージ3の位置をレーザ干渉計4aで検出することにより、当該ショット領域のウエハマークのステージ座標系での位置を検出することができる。
【0041】
本例では、一例として露光に際しウエハ2上から選択された所定個数のショット領域(サンプルショット)に付設されたウエハマークの座標位置をアライメントセンサ11を用いて計測し、この計測結果を統計処理してウエハ2上の各ショット領域の配列座標を算出するエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)方式により各ショット領域のアライメントが行われる。また、例えばウエハステージ3上の不図示の基準マーク部材を使用することによって、レチクルRのパターンの投影光学系1を介した投影像の中心(露光中心)と、アライメントセンサ11の計測中心(指標マーク34の像の中心)との位置ずれ量であるベースライン量は計測されているので、中央制御系6は各ショット領域の配列座標をそのベースライン量で補正した座標に基づいて、ウエハステージ3を位置決めする。以上の動作により、ウエハ2の各ショット領域はそれぞれレチクルRのパターンの投影像に対して正確に位置決めすることができ、この状態で露光を行うことによって、各ショット領域について高い重ね合わせ精度が得られる。
【0042】
以上のように、本実施の形態では、リニアガイド55に案内されたフレクシャ構造部材の連結部材51を用いて対物レンズ鏡筒50のフォーカス調整を実施するので、フォーカス調整時に対物レンズ鏡筒50を回転させずに済み、外周部に無用のストレスを与えることを防止できる。また、本実施の形態では、対物レンズ鏡筒50を固定する際にも弾性部材53a、53bが対物レンズ鏡筒50(すなわち第1対物レンズ33)の半径方向については柔構造であるので、対物レンズ鏡筒50にストレスを与えることはなく、対物レンズの性能が維持された安定した状態で対物レンズ鏡筒50を光軸方向(X方向)について所定の合焦位置に位置決めすることが可能である。従って、本実施の形態では、波面収差等の収差が基準値を超えずにアライメント精度を維持することが可能になり、露光処理におけるパターン転写精度の低下を防止することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態では、付勢部材57の付勢力により連結部材51をフォーカス調整部56の先端に当接させているので、連結部材51を常時フォーカス調整部56に追従させることができ、光軸方向について対物レンズ鏡筒50を確実に合焦位置に位置決めすることが可能となり、パターン転写精度をより向上させることができる。
また、本実施の形態では、固定部材58を対物レンズホルダ14に固定する際に、固定部材58にではなく雌ネジ部材59に締結部材60を螺着させているので、締結時の回転方向の力が固定部材58を介して対物レンズ鏡筒50に伝わってストレスがかかることを防止できるとともに、締結時に対物レンズ鏡筒の姿勢がずれてフォーカスがずれることを防ぐことができる。
【0044】
なお、上記実施の形態では、弾性部材53a、53bが光軸方向に剛である構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば対物レンズ鏡筒50と対物レンズホルダ14との線膨張係数が異なる場合等においては、温度変動の範囲によっては半径方向のみならず、光軸方向の線膨張差が問題となりうる。このような場合、光軸方向にそれぞれ2つ設けた弾性部材の一方については光軸方向に柔構造とする等、光軸方向の剛性を選択的に持たせることが好ましい。
【0045】
また、上記実施の形態では、連結部材51と固定部材58とを対物レンズ鏡筒50の対向方向にそれぞれ設ける構成としたが、同一方向でなければ対向方向に限られるものではない。さらに、上記実施の形態における弾性部材53a、53bは必須の構成でなく、例えば連結部材51とリニアガイド55との間にガタがない状態であれば弾性部材53a、53bを設けない構成とすることも可能である。なお、実際には多少なりともガタが存在するため、このガタに起因する振動等を吸収するためにも弾性部材53a、53bを設けることが望ましい。
【0046】
そして、上記実施形態では、連結部材51におけるフレクシャ部51cを薄板形状とする構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば図7に示すように、取付部51aと移動部51bとの間に、それぞれ外側端縁に開口して設けられ互いに間隔をあけて配置された正面視円形の切欠部49、49を光軸方向に沿って形成し、これら切欠部49、49の間の薄肉部をフレクシャ部51cとすることも可能である。
また、上記実施の形態では、本発明の位置検出装置をウエハマーク検出用のアライメントセンサに適用する構成としたが、これに限定されず、レチクルRに形成されたレチクルマークの位置情報を検出するためのアライメントセンサに適用することも可能である。
【0047】
なお、本実施の形態の基板としては、半導体デバイス用の半導体ウエハ2のみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0048】
露光装置としては、レチクルRとウエハ2とを静止した状態でレチクルRのパターンを露光し、ウエハ2を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)の他に、レチクルRとウエハ2とを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)にも適用することができる。また、本発明はウエハ2上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用可能である。
【0049】
露光装置の種類としては、ウエハ2に半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0050】
また、不図示の露光用光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)、Ar2レーザ(126nm)のみならず、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高調波などを用いてもよい。
【0051】
例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、かつ非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を露光光として用いてもよい。なお、単一波長レーザの発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0052】
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する波長5〜50nm程度の軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いてもよく、EUV露光装置では反射型レチクルが用いられ、かつ投影光学系が複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射光学素子(ミラー)のみからなる縮小系となっている。
【0053】
投影光学系1の倍率は、縮小系のみならず等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系1としては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(レチクルRも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。
【0054】
ウエハステージ3やレチクルステージ(不図示)にリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0055】
各ステージの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニット(永久磁石)と、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0056】
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光ユニットの製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0057】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図8に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、シリコン材料からウエハを製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、対物レンズ鏡筒等の保持部材に無用のストレスを与えることなく光軸方向の移動を可能とし、対物レンズを所定の位置に固定でき、露光処理によるパターン転写精度の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアライメントセンサの構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る投影露光装置全体の概略構成を示す図である。
【図3】アライメントセンサを構成する対物レンズ鏡筒の外観斜視図である。
【図4】対物レンズ鏡筒が対物レンズホルダに保持された図である。
【図5】図4における右側面図である。
【図6】図4における左側面図である。
【図7】フレクシャ部の別形態を示す図である。
【図8】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
R レチクル(マスク)
2 ウエハ(基板、物体)
11 アライメントセンサ(位置検出装置)
11c 指標対物部(光学装置)
14 対物レンズホルダ(ホルダ)
33 第1対物レンズ(光学素子)
50 対物レンズ鏡筒(保持部材)
51 連結部材(連結部)
53a、53b 弾性部材(結合部材)
55 リニアガイド(案内部)
56 フォーカス調整部(駆動装置)
57 付勢部材
58 固定部材(固定部)
Claims (10)
- 光学素子を保持し、第1方向に移動可能な保持部材を有する光学装置であって、
前記保持部材の前記第1方向への移動を案内する案内部と、
前記保持部材と前記案内部とを連結する連結部とを有し、
前記連結部は、前記第1方向に関して剛性を有するとともに前記第1方向と交差する少なくとも一方向に関して前記第1方向よりも低い剛性を有することを特徴とする光学装置。 - 請求項1記載の光学装置において、
前記保持部材は、前記連結部と異なる位置に設けられ前記保持部材を少なくとも前記第1方向に関して固定する固定部を有することを特徴とする光学装置。 - 請求項2記載の光学装置において、
前記案内部が設けられたホルダを有し、
前記固定部は、前記ホルダに設けられ前記保持部材の前記第1方向への移動に関する基準面に固定されることを特徴とする光学装置。 - 請求項3記載の光学装置において、
前記保持部材と前記ホルダとを、前記第1方向と略直交する第2方向に関しては弾性をもって結合し、且つ前記第2方向と交差する少なくとも一方向に関しては前記第2方向よりも高い剛性で結合する結合部材を有することを特徴とする光学装置。 - 請求項1から4のいずれかに記載の光学装置において、
前記連結部は、前記第1方向と交差する少なくとも前記一方向に弾性を有するフレクシャ構造部材であることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から5のいずれかに記載の光学装置において、
前記案内部は、前記第1方向に摺動するリニアガイドであることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から6のいずれかに記載の光学装置において、
前記第1方向は、前記光学素子を通過する光の光軸方向と平行であることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から7のいずれかに記載の光学装置において、
前記連結部を介して前記保持部材を前記第1方向へ駆動する駆動装置と、
前記連結部を前記駆動装置に向けて付勢する付勢部材とを有することを特徴とする光学装置。 - 物体を光学的に観察して前記物体の位置情報を検出する位置検出装置において、
請求項1から8のいずれかに記載の光学装置を有することを特徴とする位置検出装置。 - マスクの位置情報と基板の位置情報とを用いて前記マスクと前記基板との位置合わせが行われる露光装置において、
前記マスクの位置情報と、前記基板の位置情報との少なくとも一方を検出する装置として、請求項9記載の位置検出装置を有することを特徴とする露光装置。
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-
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