JP2004311120A - 通信ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】プラグ加工が容易で、且つ漏話特性及び遅延時間特性に優れた通信ケーブルを実現する。
【解決手段】本発明では、撚りピッチがそれぞれ異なる4対の撚線対の配列を規定するスペーサ介在として、ほぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在を用いる。そして、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域に配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明では、撚りピッチがそれぞれ異なる4対の撚線対の配列を規定するスペーサ介在として、ほぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在を用いる。そして、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域に配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構内情報通信網(LAN)の配線用のケーブルとして好適な通信ケーブル、特に1Gbps程度の高速データ伝送に好適な通信ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構内情報通信網の発達に伴い通信速度が高速化し、現在では1Gbps程度のビットレートに好適な通信ケーブルの開発が要請されている。現在、日本国内における構内情報通信網に使用されている銅線系ケーブルの特性については、米国の規格であるANSI/TIA/EIA−568Bシリーズの規格「商用ビル情報通信配線規格」又は国際規格であるISO−11801規格の「構内情報配線システム規格」が適用されている。これらの規格では、4対を基本構成とするように定められており、4対構成であるケーブルについては詳細な仕様が決められている。
【0003】
伝送レートの高速化に伴う問題点として、漏話減衰特性が挙げられる。漏話減衰特性を改善した4対のツイストペァケーブルとして、特開平11−53958号公報に記載された通信ケーブルが既知である。この既知のケーブルでは、断面が十字状のスペーサ介在を用い、スペーサ介在により規定された4個の収納区域内に心線対が配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−53958号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
構内情報通信網に用いられるツイストペァケーブルの端部はコネクタ加工が施され、LAN回線を構成するコネクタであるモジュラプラグが接続されている。従って、構内情報通信網に用いられるツイストペァケーブルは、漏話減衰特性が良好であるだけでなく、プラグ加工に好適な構造を有することが必要である。現在一般的に使用されているモジュラプラグのピン配列として、T568AとT568Bの2種類のピン配列が規定されている。従って、ツイストペァケーブルは、2種類のピン配列に適切に対応できる構造を有することが強く要請されている。
【0006】
しかしながら、上述した十字形のスペーサ介在を用いたツイストペァの場合、各撚線対の配列位置が十字形の介在により固定的に規定されるため、1種類の撚線対配列のツイストペァケーブルだけで2種類のピン配列に適合できず、T568AとT568Bの2種類のピン配列にそれぞれ適合した2種類のツイストペァケーブルが製造されている。すなわち、ツイストペァケーブルの先端にモジュラプラグを接続する場合、ツイストペァの先端側の所定の長さだけシースを取り除いた後、スペーサ介在を先端側から所定の長さだけ除去し、その後ピン配列に適合するように各撚線対を直線状に配列し直している。この撚線対を再配列する工程において、各撚線対が相互に交差したのでは、クロストークが発生し易い撚線対同士が直接隣接することになり、モジュラプラグにおいて大きなクロストークが発生してしまう。例えば、T568Aのピン配列に適合するように撚線対が配列されたツイストペァケーブルにT568Bのピン配列のモジュラプラグを接続しようとする場合、クロストークが生じ易い2本の撚線対が直接交差するように再配列しなければならず、漏話特性が大幅に劣化してしまう。このため、電線の製造会社では、従来の十字介在を用いたツイストペァの場合、T568AとT568Bの2種類のピン配列にそれぞれ適合した2種類のツイストペァケーブルが製造されている。しかしながら、2種類のツイストペァを製造販売することは、ケーブル製造業者にとって大きな負担となり、製造コストが高価になる欠点がある。
【0007】
さらに、ツイストペァケーブルは撚ピッチの異なる4本の撚線対が集合されているため、断面が十字形状の介在を用いたツイストペァケーブルの場合、信号伝送時における遅延時間特性が各撚線対の撚ピッチに応じて相違し、撚ピッチの一番長い撚線対と一番短い撚線対との間の遅延時間特性に大きな差異が発生する不具合がある。従って、信号伝送レートの高速化に伴い、ツイストペァケーブルの遅延時間特性を改善することが急務の課題となっている。
【0008】
従って、本発明の目的は、プラグ加工の作業が大幅に軽減され、1本のツイストペァケーブルで2種類のピン配列に対応でき、しかも優れた漏話特性を有する通信ケーブルを実現することにある。
さらに、本発明の別の目的は、1本のツイストペァケーブルで2種類のピン配列に対応でき、しかも優れた漏話特性並びに優れた遅延時間特性を有する通信ケーブルを実現することにある。
さらに、本発明の別の目的は、漏話特性及び遅延時間特性にすぐれた多対形の通信ケーブルを実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による通信ケーブルは、撚りピッチがそれぞれ異なる4対の撚線対と、ほぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在と、これら撚線対とスペーサ介在との集合体の外周を被覆するシースとを具え、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域に配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置したことを特徴とする。
【0010】
本発明者が4対のツイストペァケーブルについて種々の実験及び解析を行ったところ、撚りピッチの長い撚線対同士が直接隣接した場合漏話減衰特性が著しく劣化し、撚りピッチの短い撚線対同士が直接隣接しても漏話特性はさほど劣化しないことが判明した。この解析結果に基づき、本発明では、撚線対の配列位置を規定するスペーサ介在として、T字形の断面形状を有するスペーサ介在を用いる。この断面がT字形のスペーサ介在は、1つの大きな収納区域と2つの小さな収納区域とを規定するため、撚線対の長い2本の撚線対を2つの小さな収納区域に配置し、大きな収納区域に撚りピッチの短い2本の撚線対を配置する。このように構成すれば、漏話特性が劣化し易い2本の撚線対が他の3本の撚線対から完全に隔離されるので、漏話特性を改善することができる。同時に、撚りピッチの短い2本の撚線対は、互いに交差しても漏話特性は劣化しないため、配置位置を自由に交換することができる。この結果、1種類の撚線対配置のツイストペァケーブルを製造するだけで、プラグ加工において、撚ピッチが長い撚線対が他の撚線対と交差することなく、T568A及びT568Bの2種類のピン配列に対応したプラグ加工を行うことができ、2種類の配置のツイストペァケーブルを製造用意する不具合を解消することができる。
【0011】
本発明による通信ケーブルは、撚りピッチがそれぞれ異なる4対の撚線対と、隣接する撚線対同士を離間させるスペーサ介在とを具え、4本の撚線対とスペーサ介在との集合体に外周にシースが被覆され、前記集合体にはその軸線方向に沿って捩じりが加えられている通信ケーブルにおいて、
前記スペーサ介在として、はぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在を用い、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域にそれぞれ配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置したことを特徴とする。ツイストペァケーブルでは、ケーブルに柔軟性を与えるため、4本の撚線対を集合した後捩じりが加えられるため、撚ピッチの長い2本の撚線対の実質的な信号伝搬長が長くなり、撚りピッチの短い2本の撚りピッチの信号伝搬長は相対的に短くなる。この結果、撚りピッチの異なる4本の撚線対間の遅延時間差を大幅に低減することができる。
【0012】
さらに、本発明による通信ケーブルは、ケーブルの中心に配置した介在と、介在の周囲に沿ってほぼ円周状に配置された複数のユニットの集合体と、前記ユニットの集合体の外周に設けたシースとを具え、前記各ユニットが2本の絶縁心線を所定の撚りピッチで撚り合わせた4対の撚線対と、これら4対の撚線対の配列を規定するスペーサ介在とを有する撚線対の集合体で構成された通信ケーブルにおいて、
前記各ユニットのスペーサ介在として、ほぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在を用い、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域にそれぞれ配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置したことを特徴とする。
【0013】
本発明による多対ケーブルの好適実施例は、全てのユニットの撚線対が、ケーブル全長にわたって互いにほぼ平行に延在することを特徴とする。このように、ケーブル全長にわたって各撚線対を互いにほぼ平行に延在させることにより、撚線対同士が交差する不具合が解消されるので、多対ケーブルにおける漏話特性を大幅に改善することができ、1Gbps程度の高速の信号伝送レートにも十分に対応することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による通信ケーブルの一例の構成を示し、通信ケーブルの長手方向軸線と直交する面できった線図的断面図である。通信ケーブルは4本の撚線対1〜4を具える。各撚線対1〜4の撚りピッチは互いに相違し、各撚線対1〜4の撚ピッチ(1ピッチ当たりの撚線対の長さ)は、例えばそれぞれ19mm,14mm,11mm,9mmとする。4本の撚線対はスペーサ介在5が規定する3個の撚線対収納区域5a〜5c内にそれぞれ配置する。スペーサ介在5は、ほぼT字状の断面形状を有し、3個の収納区域を規定する。そして、一番大きな収納空間である収納空間5a内に撚ピッチが一番短い撚線対4及び撚ピッチが次に短い撚線対3を配置し、小さい収納空間である2つの収納区域5b及び5cに撚ピッチが一番長い撚線対1及び次に長い撚線対2をそれぞれ配置する。スペーサ介在5の材料として、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の柔軟性を有するプラスチック材料で構成することができる。スペーサ介在5及びその収納区域に配置された4本の撚線対の集合体の外周にシース6を被せる。
【0015】
次に、図1に示す通信ケーブルの漏話特性について説明する。4本の撚線対を集合した場合隣接する撚線対同士の組み合わせとして6個の組み合わせが存在する。表1は、4本の撚線対で構成される通信ケーブルについて、スペーサ介在を用いない場合の隣接する撚線対間の100MHzの近端漏話減衰量(dB/100m)を示す。ここで、符号1〜4は図1に示す撚線対1〜4の符号と同一ものとする。すなわち、符号1は撚ピッチが19mmの撚線対を示し、符号2は撚ピッチが14mmの撚線対を示し、符号3は撚ピッチが11mmの撚線対を示し、符号4は撚ピッチが9mmの撚線対を示す。
【0016】
【表1】
【0017】
表1に示すように、一番大きな漏話減衰量を呈する撚線対の組み合わせは、1と2との組み合わせ、すなわち撚ピッチの一番長い撚線対と次に長い撚線対との組み合わせである。漏話減衰量が次に大きい組み合わせは、2と3との組み合わせ、すなわち撚ピッチが2番目に長い撚線対と3番目に長い撚線対との組み合わせである。一方、漏話減衰量が一番小さい組み合わせは、撚ピッチが一番短い撚線対と次に短い撚線対との組み合わせである。そして、最悪値と最良値との間には21dBの差異が認められた。この実測データから明らかなように、撚りピッチが長い撚線対同士が直接隣接する場合一番大きな漏話減衰特性となり、撚りピッチが短い撚線対同士の組み合わせの場合漏話減衰量は一番小さなものとなる。そして、撚ピッチが短い撚線対同士の組み合わせの漏話減衰値は許容基準値よりも大幅に小さな値である。
【0018】
前述したように、4本の撚線対を集合した場合隣接する撚線対同士の組み合わせとして6個の組み合わせが存在する。一方、T字形のスペーサ介在を用い場合、3個の収納区域が形成され、2個の収納区域にはそれぞれ1本の撚線対を配置し、残りの一番大きな収納区域に2本の撚線対を配置することになる。この場合、上述した実測データに基づけば、漏話減衰量が一番大きな組み合わせを構成する撚ピッチの一番長い撚線対と次に長い撚線対を2個の小さい収納区域内に収納すれば、これら2本の撚線対は他の全ての撚線対との間に介在が存在するため、漏話特性が大幅に低減されることになる。一方、撚ピッチが短い撚線対同士を直接隣接するように配置しても、これら撚線対間の漏話減衰量は許容基準値よりもはるかに小さいため、問題となることはない。
【0019】
表2に、図1に示すT字形のスペーサ介在を用いた通信ケーブルの100MHz漏話減衰特性の実測値を示す。表1と表2とを対比すると、断面T字形のスペーサ介在を用いた場合、全ての組み合わせについて約5dB/100m改善されることが確認された。尚、断面T字形のスペーサ介在を用いた通信ケーブルの実測値は、断面十字形のスペーサ介在を用いたケーブルの実測値とほぼ同一であった。
【0020】
【表2】
【0021】
次に、撚線対間の遅延時間差の改善について説明する。遅延時間とは、信号が伝送路を伝搬するのに要する時間を意味し、遅延時間が各撚線対毎に相違すると伝送信号の品質を劣化させる要因となるため、遅延時間特性については厳格な規格が規定されている。ツイストペァでは、漏話減衰特性を向上させるため4対ともに異なる撚ピッチで撚りが形成されている。その結果、各対間には、撚ピッチの相違に応じた遅延時間差が発生する。一般的には、撚ピッチの短い撚線対程遅延時間が大きくなり、撚ピッチの長い撚線対程遅延時間は小さくなる。そして、撚線対間の遅延時間差(一般的に、「ディレイスキュー」と称する)について規格が設けられている。
【0022】
一般的に、ツイストペァの場合、4本の撚線対を集合した後集合体に撚り又は捩じりが加えられてケーブルとして柔軟性が確保されている。従来の十字形スペーサ介在を用いた場合、一端から他端までのケーブル長は各撚線対毎に同一である。しかし、各撚線対毎に撚ピッチが相違するため、各撚線対の信号伝送路長は各撚線対間において大幅に相違する。すなわち、撚ピッチの長い撚線対の場合信号伝送路長は短くなり、撚ピッチの短い撚線対の場合信号伝送路長は長くなる。この結果、撚線対毎に遅延時間差が生じてしまう。
【0023】
図2は、本発明によるT字状のスペーサ介在を用いた場合撚線対の配置状態を示す線図的断面図である。図2において、実線は実際の撚線対の配置関係を示し、破線はT字形介在の下側の隔壁(図2において、下側に位置する隔壁)を除いた場合の撚線対の配置位置を示す。尚、下側の隔壁を取り除き破線した撚線対の配置は、断面十字形状のスペーサ介在を用いたケーブルにほぼ対応するものである。ツイストペァの場合、4本の撚線対が集合された後、当該集合体に捩じりが加えられる。この捩じり加工における集合体の中心点は、スペーサ介在のほぼ中心にあるものと解することができる。十字介在を用いた場合、捩じり処理の中心点から各撚線対の中心までの距離は、すなわち捩じり中心から各撚線対の中心までの半径は同一に設定される。これに対して、T字状介在を用いた場合、下側に位置する撚線対1及び2の捩じり中心からの位置すなわち捩じり中心からの半径は、上側に位置する撚線対3及び4の捩じり半径よりも長くなる。この結果、集合後の捩じり処理が施された通信ケーブルにおいて、スペーサ介在の隔壁により2方向から隔離された撚線対1及び2の信号伝送路長は撚線対3及び4に比べて実質的に長くなる。一方、撚線対1及び2は撚ピッチが一番長い撚線対と次に長い撚線対であるから、4本の撚線対の集合体に捩じりを加えた後の信号伝送路長は一層均一化されることなる。同時に、撚ピッチの短い撚線対3及び4については、これら撚線対間には隔壁が存在しないため、集合時に断面十字状のスペーサ介在を用いたケーブルよりも小さい半径で捩じりが加えられることになり、信号伝送路長は実質的に短くなる。この結果、ケーブル全体としての遅延時間差は大幅に均一化される。
【0024】
表3は、10MHzの伝送レートで信号を送信した場合のケーブル長100m当たりの撚線対間の遅延時間特性の実測値を示す。十字介在を用いたケーブルの場合、撚ピッチの一番長い撚線対の遅延時間は480nsであり、撚ピッチの一番短い撚線対の遅延時間は495nsであり、最大遅延時間差は15nsであった。これに対して、断面T字形のスペーサ介在を用いたケーブルの場合、撚ピッチの一番長い撚線対の遅延時間は482nsであり、2nsだけ遅延時間が長くなり、撚ピッチの一番短い撚線対の遅延時間は493nsであり、2nsだけ短縮され、最大遅延時間差は11nsであった。この結果から明らかなように、断面T字形のスペーサ介在を用いることにより、十字介在を用いたケーブルに比べて遅延時間差は4ns改善された。
【0025】
【表3】
【0026】
次に、プラグ加工の容易性について説明する。4対のツイストペァケーブルについて規格として規定されているモジュラプラグ及びモジュラジャックのピン配列はT568AとT568Bの2種類が規定されており、その配列は以下の通りである。
この2種類のピン配列において、大きく異なる点は、モジュラプラグのコンタクトの1番ピン、2番ピン、3番ピン及び6番ピンに接続される心線が互いに相違することである。従来の十字介在を用いたツイストペァケーブルの場合、十字介在により4本の撚線対の配列が固定的に定められてしまうため、一方のピン配列(例えば、T568A)に適合(漏話し易い撚線対同士が相互に交差しないように配列する)した撚線対の組み合わせを構成しても、当該撚線対の組み合わせを他方のピン配列に整合するように再配列する際漏話し易い撚線対同士が交差するように配列する事態が生じてしまい、漏話減衰特性が大幅に劣化してしまう。このような理由により、各ケーブル製造業者は2種類のピン配列にそれぞれ適合した2種類のツイストペァケーブルを製造販売している。
【0027】
図3(A)及び(B)は、十字介在を用いた従来のツイストペァケーブルのピン配列T568A及びT568Bにそれぞれ適合した構成を示す。尚、図3(A)はT568A により適合したツイストペァケーブルを示し、図3(B)はT568Bに適合したツイストペァケーブルを示す。撚線対同士が交差しないように再配列するためには、3番及び4番ピンに該当する撚線対と5番及び6番ピンに該当する撚線対とを対角に位置するように配列する必須要件である。すなわち、3番〜6番ピンを構成する2番対と3番対とが横方向において隣接するように配置した場合、撚線対のうちのいずれか1本の心線が他方の心線と交差する状態となり、漏話特性が劣化してしまう。従って、漏話特性を改善するためには、必ず2番対と3番対とが対角となるように配置する必要がある。
【0028】
T568Aのピン配列にするため、緑対を第1対として配列した場合、図3(A)の撚線対配置の場合プラグ加工時において以下のように再配列でき、撚線対同士が交差することなくプラグ加工することができる。
第1対 第2対 第3対 第4対
緑対 橙対 青対 茶対
【0029】
一方、図3(A)に示す配列の撚線対配置のケーブルをT568Bに適合するように再配列しようとすると場合、1番対が橙対となり4番対が茶対となるように配列すると、横方向において互いに隣接する緑対と青対とが2番及び3番対に位置になるため、緑対と青対の心線同士が交差し漏話特性が劣化してしまう。このため、図3(B)に示す撚線対配置のケーブルが製造しなければならず、2種類の配置のケーブルが製造されている。
【0030】
図4(A)及び(B)は、本発明による断面T字形状のスペーサ介在を用いたケーブルを撚線対の配置構成を示す。本発明では、1番大きな収納区域5aに交差しても漏話特性が劣化しない撚線対同士を配置しているから、(白/橙,橙)の撚線対と(白/緑,緑)の撚線対とを交差して自由に入れ換えても漏話特性上なんら問題は生じない。この結果、1種類の撚線対配置のケーブルを用いて、プラグ加工工程において以下の撚線対配置を得ることができる。
第1対 第2対 第3対 第4対
緑対 橙対 青対 茶対
橙対 緑対 青対 茶対
この結果、1種類の撚線対配置のツイストペァケーブルを用いて2種類のピン配列に対応できる通信ケーブルを実現することができる。
【0031】
図5は図1に示す通信ケーブルを多対ケーブルに適用した例を示すものであり、ケーブル軸線と直交する面で切った断面図である。本例の多対ケーブルは、ケーブルの中心に配置した介在11を有し、介在11の周囲に円周方向に沿って6個の同一のユニット12a〜12fを順次配置する。6個のユニットの集合体の外周にシース13を被覆する。尚、ユニットの集合体とシースとの間に例えばPETテープを介在させることができ、或いはシールド用の導電性のシート部材を介在させることもできる。また、ユニットの数は任意の数に設定することができ、例えば6個、8個、12個、16個等の種々の数に設定することができる。
【0032】
本発明による多対ケーブルでは、6本のユニットを集合する際、4本の撚線対とT字形のスペーサ介在とを含む各ユニットに捩じりを加えることなく集合する。従って、各ユニットの撚線対は、ケーブル全長にわたって互いにほぼ平行に延在する。また、同一の撚ピッチの撚線対はケーブル断面の円周方向に沿ってほぼ一定の間隔で周期的に配列されることになる。さらに、互いに隣接するユニットの直接隣接し合う撚線対は、ケーブル全長にわたって同一の関係に維持されることになる。この結果、漏話し易い撚線対同士が直接隣接し或いは交差する不具合が解消され、漏話減衰特性が改善された多対ケーブルを実現することができる。
【0033】
次に、本発明による多対ケーブルの近端漏話減衰量の特性について説明する。図6は、本発明による通信ケーブルの近端漏話特性の実験結果を示す。実線は図1に示す本発明による4対のツイストペァケーブルの近端漏話特性を示し、破線はユニット1と隣接するユニット2との間の漏話特性を示し、一点鎖線はユニット1とユニット4との間の漏話特性を示し、2点鎖線はユニット1と隣接するユニット6との間の漏話特性を示す。本発明による通信ケーブルの場合、単一ユニットの漏話特性とユニット間の漏話特性共に規格値を大幅に超える良好な結果が得られた。
【0034】
図7は、断面十字形状のスペーサ介在を有するケーブルの特性を比較として示す。十字介在を用いたケーブルの場合、4対のケーブルとして構成した場合、良好な結果が得られている。しかし、ユニット間の漏話減衰特性は大幅に劣化し、規格値を若干超える程度の漏話特性である。さらに、本発明によるケーブルと比較するに、ユニット内の漏話特性は本発明と同等である。しかし、ユニット間の漏話減衰特性は、本発明によるケーブルは十字介在を用いたケーブルと比較して、1MHzの周波数域においては約23dB改善され、250MHzの周波数域では約10dB改善されることが確認された。
【0035】
図8は本発明による通信ケーブルの変形例を示す線図的断面図である。本例では、スペーサ介在として、断面がV字状の2個のスペーサ介在21及び22を用いる。そして、スペーサ介在21及び22の開口側が互いに反対向きとなるように配置し、4個の収納区域23a〜23dを規定し、これら4個の収納区域内に撚線対をそれぞれ収納する。断面がV字状のスペーサ介在は、極めて高い柔軟性を有するので、プラグ加工の作業性を大幅に軽減することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、漏話特性及び遅延時間特性が大幅に改善されると共に、1種類の撚線対の配置を有するだけで2種類のピン配列のモジュラプラグ及びモジュラジャックに十分対応できる通信ケーブルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による通信ケーブルの一例の構成を示す線図的断面図である。
【図2】ケーブル中心から各撚線対の中心までの距離を模式的に示す線図である。
【図3】従来のツイストペァケーブルの撚線対の配置例を示す図である。
【図4】本発明による通信ケーブルの撚線対の配置例を示す図である。
【図5】本発明による多対ケーブルの一例を示す線図的断面図である。
【図6】本発明による多対ケーブルのユニット間の漏話特性を示すグラフである。
【図7】比較として示す十字介在を用いた多対ケーブルのユニット間の漏話特性を示すグラフである。
【図8】本発明による通信ケーブルの変形例を示す線図的断面図である。
【符号の説明】
1〜4 撚線対
5 スペーサ介在
6 シース
11 介在
12a〜12f 撚線対
13 シース
【発明の属する技術分野】
本発明は、構内情報通信網(LAN)の配線用のケーブルとして好適な通信ケーブル、特に1Gbps程度の高速データ伝送に好適な通信ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構内情報通信網の発達に伴い通信速度が高速化し、現在では1Gbps程度のビットレートに好適な通信ケーブルの開発が要請されている。現在、日本国内における構内情報通信網に使用されている銅線系ケーブルの特性については、米国の規格であるANSI/TIA/EIA−568Bシリーズの規格「商用ビル情報通信配線規格」又は国際規格であるISO−11801規格の「構内情報配線システム規格」が適用されている。これらの規格では、4対を基本構成とするように定められており、4対構成であるケーブルについては詳細な仕様が決められている。
【0003】
伝送レートの高速化に伴う問題点として、漏話減衰特性が挙げられる。漏話減衰特性を改善した4対のツイストペァケーブルとして、特開平11−53958号公報に記載された通信ケーブルが既知である。この既知のケーブルでは、断面が十字状のスペーサ介在を用い、スペーサ介在により規定された4個の収納区域内に心線対が配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−53958号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
構内情報通信網に用いられるツイストペァケーブルの端部はコネクタ加工が施され、LAN回線を構成するコネクタであるモジュラプラグが接続されている。従って、構内情報通信網に用いられるツイストペァケーブルは、漏話減衰特性が良好であるだけでなく、プラグ加工に好適な構造を有することが必要である。現在一般的に使用されているモジュラプラグのピン配列として、T568AとT568Bの2種類のピン配列が規定されている。従って、ツイストペァケーブルは、2種類のピン配列に適切に対応できる構造を有することが強く要請されている。
【0006】
しかしながら、上述した十字形のスペーサ介在を用いたツイストペァの場合、各撚線対の配列位置が十字形の介在により固定的に規定されるため、1種類の撚線対配列のツイストペァケーブルだけで2種類のピン配列に適合できず、T568AとT568Bの2種類のピン配列にそれぞれ適合した2種類のツイストペァケーブルが製造されている。すなわち、ツイストペァケーブルの先端にモジュラプラグを接続する場合、ツイストペァの先端側の所定の長さだけシースを取り除いた後、スペーサ介在を先端側から所定の長さだけ除去し、その後ピン配列に適合するように各撚線対を直線状に配列し直している。この撚線対を再配列する工程において、各撚線対が相互に交差したのでは、クロストークが発生し易い撚線対同士が直接隣接することになり、モジュラプラグにおいて大きなクロストークが発生してしまう。例えば、T568Aのピン配列に適合するように撚線対が配列されたツイストペァケーブルにT568Bのピン配列のモジュラプラグを接続しようとする場合、クロストークが生じ易い2本の撚線対が直接交差するように再配列しなければならず、漏話特性が大幅に劣化してしまう。このため、電線の製造会社では、従来の十字介在を用いたツイストペァの場合、T568AとT568Bの2種類のピン配列にそれぞれ適合した2種類のツイストペァケーブルが製造されている。しかしながら、2種類のツイストペァを製造販売することは、ケーブル製造業者にとって大きな負担となり、製造コストが高価になる欠点がある。
【0007】
さらに、ツイストペァケーブルは撚ピッチの異なる4本の撚線対が集合されているため、断面が十字形状の介在を用いたツイストペァケーブルの場合、信号伝送時における遅延時間特性が各撚線対の撚ピッチに応じて相違し、撚ピッチの一番長い撚線対と一番短い撚線対との間の遅延時間特性に大きな差異が発生する不具合がある。従って、信号伝送レートの高速化に伴い、ツイストペァケーブルの遅延時間特性を改善することが急務の課題となっている。
【0008】
従って、本発明の目的は、プラグ加工の作業が大幅に軽減され、1本のツイストペァケーブルで2種類のピン配列に対応でき、しかも優れた漏話特性を有する通信ケーブルを実現することにある。
さらに、本発明の別の目的は、1本のツイストペァケーブルで2種類のピン配列に対応でき、しかも優れた漏話特性並びに優れた遅延時間特性を有する通信ケーブルを実現することにある。
さらに、本発明の別の目的は、漏話特性及び遅延時間特性にすぐれた多対形の通信ケーブルを実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による通信ケーブルは、撚りピッチがそれぞれ異なる4対の撚線対と、ほぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在と、これら撚線対とスペーサ介在との集合体の外周を被覆するシースとを具え、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域に配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置したことを特徴とする。
【0010】
本発明者が4対のツイストペァケーブルについて種々の実験及び解析を行ったところ、撚りピッチの長い撚線対同士が直接隣接した場合漏話減衰特性が著しく劣化し、撚りピッチの短い撚線対同士が直接隣接しても漏話特性はさほど劣化しないことが判明した。この解析結果に基づき、本発明では、撚線対の配列位置を規定するスペーサ介在として、T字形の断面形状を有するスペーサ介在を用いる。この断面がT字形のスペーサ介在は、1つの大きな収納区域と2つの小さな収納区域とを規定するため、撚線対の長い2本の撚線対を2つの小さな収納区域に配置し、大きな収納区域に撚りピッチの短い2本の撚線対を配置する。このように構成すれば、漏話特性が劣化し易い2本の撚線対が他の3本の撚線対から完全に隔離されるので、漏話特性を改善することができる。同時に、撚りピッチの短い2本の撚線対は、互いに交差しても漏話特性は劣化しないため、配置位置を自由に交換することができる。この結果、1種類の撚線対配置のツイストペァケーブルを製造するだけで、プラグ加工において、撚ピッチが長い撚線対が他の撚線対と交差することなく、T568A及びT568Bの2種類のピン配列に対応したプラグ加工を行うことができ、2種類の配置のツイストペァケーブルを製造用意する不具合を解消することができる。
【0011】
本発明による通信ケーブルは、撚りピッチがそれぞれ異なる4対の撚線対と、隣接する撚線対同士を離間させるスペーサ介在とを具え、4本の撚線対とスペーサ介在との集合体に外周にシースが被覆され、前記集合体にはその軸線方向に沿って捩じりが加えられている通信ケーブルにおいて、
前記スペーサ介在として、はぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在を用い、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域にそれぞれ配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置したことを特徴とする。ツイストペァケーブルでは、ケーブルに柔軟性を与えるため、4本の撚線対を集合した後捩じりが加えられるため、撚ピッチの長い2本の撚線対の実質的な信号伝搬長が長くなり、撚りピッチの短い2本の撚りピッチの信号伝搬長は相対的に短くなる。この結果、撚りピッチの異なる4本の撚線対間の遅延時間差を大幅に低減することができる。
【0012】
さらに、本発明による通信ケーブルは、ケーブルの中心に配置した介在と、介在の周囲に沿ってほぼ円周状に配置された複数のユニットの集合体と、前記ユニットの集合体の外周に設けたシースとを具え、前記各ユニットが2本の絶縁心線を所定の撚りピッチで撚り合わせた4対の撚線対と、これら4対の撚線対の配列を規定するスペーサ介在とを有する撚線対の集合体で構成された通信ケーブルにおいて、
前記各ユニットのスペーサ介在として、ほぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在を用い、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域にそれぞれ配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置したことを特徴とする。
【0013】
本発明による多対ケーブルの好適実施例は、全てのユニットの撚線対が、ケーブル全長にわたって互いにほぼ平行に延在することを特徴とする。このように、ケーブル全長にわたって各撚線対を互いにほぼ平行に延在させることにより、撚線対同士が交差する不具合が解消されるので、多対ケーブルにおける漏話特性を大幅に改善することができ、1Gbps程度の高速の信号伝送レートにも十分に対応することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による通信ケーブルの一例の構成を示し、通信ケーブルの長手方向軸線と直交する面できった線図的断面図である。通信ケーブルは4本の撚線対1〜4を具える。各撚線対1〜4の撚りピッチは互いに相違し、各撚線対1〜4の撚ピッチ(1ピッチ当たりの撚線対の長さ)は、例えばそれぞれ19mm,14mm,11mm,9mmとする。4本の撚線対はスペーサ介在5が規定する3個の撚線対収納区域5a〜5c内にそれぞれ配置する。スペーサ介在5は、ほぼT字状の断面形状を有し、3個の収納区域を規定する。そして、一番大きな収納空間である収納空間5a内に撚ピッチが一番短い撚線対4及び撚ピッチが次に短い撚線対3を配置し、小さい収納空間である2つの収納区域5b及び5cに撚ピッチが一番長い撚線対1及び次に長い撚線対2をそれぞれ配置する。スペーサ介在5の材料として、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の柔軟性を有するプラスチック材料で構成することができる。スペーサ介在5及びその収納区域に配置された4本の撚線対の集合体の外周にシース6を被せる。
【0015】
次に、図1に示す通信ケーブルの漏話特性について説明する。4本の撚線対を集合した場合隣接する撚線対同士の組み合わせとして6個の組み合わせが存在する。表1は、4本の撚線対で構成される通信ケーブルについて、スペーサ介在を用いない場合の隣接する撚線対間の100MHzの近端漏話減衰量(dB/100m)を示す。ここで、符号1〜4は図1に示す撚線対1〜4の符号と同一ものとする。すなわち、符号1は撚ピッチが19mmの撚線対を示し、符号2は撚ピッチが14mmの撚線対を示し、符号3は撚ピッチが11mmの撚線対を示し、符号4は撚ピッチが9mmの撚線対を示す。
【0016】
【表1】
【0017】
表1に示すように、一番大きな漏話減衰量を呈する撚線対の組み合わせは、1と2との組み合わせ、すなわち撚ピッチの一番長い撚線対と次に長い撚線対との組み合わせである。漏話減衰量が次に大きい組み合わせは、2と3との組み合わせ、すなわち撚ピッチが2番目に長い撚線対と3番目に長い撚線対との組み合わせである。一方、漏話減衰量が一番小さい組み合わせは、撚ピッチが一番短い撚線対と次に短い撚線対との組み合わせである。そして、最悪値と最良値との間には21dBの差異が認められた。この実測データから明らかなように、撚りピッチが長い撚線対同士が直接隣接する場合一番大きな漏話減衰特性となり、撚りピッチが短い撚線対同士の組み合わせの場合漏話減衰量は一番小さなものとなる。そして、撚ピッチが短い撚線対同士の組み合わせの漏話減衰値は許容基準値よりも大幅に小さな値である。
【0018】
前述したように、4本の撚線対を集合した場合隣接する撚線対同士の組み合わせとして6個の組み合わせが存在する。一方、T字形のスペーサ介在を用い場合、3個の収納区域が形成され、2個の収納区域にはそれぞれ1本の撚線対を配置し、残りの一番大きな収納区域に2本の撚線対を配置することになる。この場合、上述した実測データに基づけば、漏話減衰量が一番大きな組み合わせを構成する撚ピッチの一番長い撚線対と次に長い撚線対を2個の小さい収納区域内に収納すれば、これら2本の撚線対は他の全ての撚線対との間に介在が存在するため、漏話特性が大幅に低減されることになる。一方、撚ピッチが短い撚線対同士を直接隣接するように配置しても、これら撚線対間の漏話減衰量は許容基準値よりもはるかに小さいため、問題となることはない。
【0019】
表2に、図1に示すT字形のスペーサ介在を用いた通信ケーブルの100MHz漏話減衰特性の実測値を示す。表1と表2とを対比すると、断面T字形のスペーサ介在を用いた場合、全ての組み合わせについて約5dB/100m改善されることが確認された。尚、断面T字形のスペーサ介在を用いた通信ケーブルの実測値は、断面十字形のスペーサ介在を用いたケーブルの実測値とほぼ同一であった。
【0020】
【表2】
【0021】
次に、撚線対間の遅延時間差の改善について説明する。遅延時間とは、信号が伝送路を伝搬するのに要する時間を意味し、遅延時間が各撚線対毎に相違すると伝送信号の品質を劣化させる要因となるため、遅延時間特性については厳格な規格が規定されている。ツイストペァでは、漏話減衰特性を向上させるため4対ともに異なる撚ピッチで撚りが形成されている。その結果、各対間には、撚ピッチの相違に応じた遅延時間差が発生する。一般的には、撚ピッチの短い撚線対程遅延時間が大きくなり、撚ピッチの長い撚線対程遅延時間は小さくなる。そして、撚線対間の遅延時間差(一般的に、「ディレイスキュー」と称する)について規格が設けられている。
【0022】
一般的に、ツイストペァの場合、4本の撚線対を集合した後集合体に撚り又は捩じりが加えられてケーブルとして柔軟性が確保されている。従来の十字形スペーサ介在を用いた場合、一端から他端までのケーブル長は各撚線対毎に同一である。しかし、各撚線対毎に撚ピッチが相違するため、各撚線対の信号伝送路長は各撚線対間において大幅に相違する。すなわち、撚ピッチの長い撚線対の場合信号伝送路長は短くなり、撚ピッチの短い撚線対の場合信号伝送路長は長くなる。この結果、撚線対毎に遅延時間差が生じてしまう。
【0023】
図2は、本発明によるT字状のスペーサ介在を用いた場合撚線対の配置状態を示す線図的断面図である。図2において、実線は実際の撚線対の配置関係を示し、破線はT字形介在の下側の隔壁(図2において、下側に位置する隔壁)を除いた場合の撚線対の配置位置を示す。尚、下側の隔壁を取り除き破線した撚線対の配置は、断面十字形状のスペーサ介在を用いたケーブルにほぼ対応するものである。ツイストペァの場合、4本の撚線対が集合された後、当該集合体に捩じりが加えられる。この捩じり加工における集合体の中心点は、スペーサ介在のほぼ中心にあるものと解することができる。十字介在を用いた場合、捩じり処理の中心点から各撚線対の中心までの距離は、すなわち捩じり中心から各撚線対の中心までの半径は同一に設定される。これに対して、T字状介在を用いた場合、下側に位置する撚線対1及び2の捩じり中心からの位置すなわち捩じり中心からの半径は、上側に位置する撚線対3及び4の捩じり半径よりも長くなる。この結果、集合後の捩じり処理が施された通信ケーブルにおいて、スペーサ介在の隔壁により2方向から隔離された撚線対1及び2の信号伝送路長は撚線対3及び4に比べて実質的に長くなる。一方、撚線対1及び2は撚ピッチが一番長い撚線対と次に長い撚線対であるから、4本の撚線対の集合体に捩じりを加えた後の信号伝送路長は一層均一化されることなる。同時に、撚ピッチの短い撚線対3及び4については、これら撚線対間には隔壁が存在しないため、集合時に断面十字状のスペーサ介在を用いたケーブルよりも小さい半径で捩じりが加えられることになり、信号伝送路長は実質的に短くなる。この結果、ケーブル全体としての遅延時間差は大幅に均一化される。
【0024】
表3は、10MHzの伝送レートで信号を送信した場合のケーブル長100m当たりの撚線対間の遅延時間特性の実測値を示す。十字介在を用いたケーブルの場合、撚ピッチの一番長い撚線対の遅延時間は480nsであり、撚ピッチの一番短い撚線対の遅延時間は495nsであり、最大遅延時間差は15nsであった。これに対して、断面T字形のスペーサ介在を用いたケーブルの場合、撚ピッチの一番長い撚線対の遅延時間は482nsであり、2nsだけ遅延時間が長くなり、撚ピッチの一番短い撚線対の遅延時間は493nsであり、2nsだけ短縮され、最大遅延時間差は11nsであった。この結果から明らかなように、断面T字形のスペーサ介在を用いることにより、十字介在を用いたケーブルに比べて遅延時間差は4ns改善された。
【0025】
【表3】
【0026】
次に、プラグ加工の容易性について説明する。4対のツイストペァケーブルについて規格として規定されているモジュラプラグ及びモジュラジャックのピン配列はT568AとT568Bの2種類が規定されており、その配列は以下の通りである。
この2種類のピン配列において、大きく異なる点は、モジュラプラグのコンタクトの1番ピン、2番ピン、3番ピン及び6番ピンに接続される心線が互いに相違することである。従来の十字介在を用いたツイストペァケーブルの場合、十字介在により4本の撚線対の配列が固定的に定められてしまうため、一方のピン配列(例えば、T568A)に適合(漏話し易い撚線対同士が相互に交差しないように配列する)した撚線対の組み合わせを構成しても、当該撚線対の組み合わせを他方のピン配列に整合するように再配列する際漏話し易い撚線対同士が交差するように配列する事態が生じてしまい、漏話減衰特性が大幅に劣化してしまう。このような理由により、各ケーブル製造業者は2種類のピン配列にそれぞれ適合した2種類のツイストペァケーブルを製造販売している。
【0027】
図3(A)及び(B)は、十字介在を用いた従来のツイストペァケーブルのピン配列T568A及びT568Bにそれぞれ適合した構成を示す。尚、図3(A)はT568A により適合したツイストペァケーブルを示し、図3(B)はT568Bに適合したツイストペァケーブルを示す。撚線対同士が交差しないように再配列するためには、3番及び4番ピンに該当する撚線対と5番及び6番ピンに該当する撚線対とを対角に位置するように配列する必須要件である。すなわち、3番〜6番ピンを構成する2番対と3番対とが横方向において隣接するように配置した場合、撚線対のうちのいずれか1本の心線が他方の心線と交差する状態となり、漏話特性が劣化してしまう。従って、漏話特性を改善するためには、必ず2番対と3番対とが対角となるように配置する必要がある。
【0028】
T568Aのピン配列にするため、緑対を第1対として配列した場合、図3(A)の撚線対配置の場合プラグ加工時において以下のように再配列でき、撚線対同士が交差することなくプラグ加工することができる。
第1対 第2対 第3対 第4対
緑対 橙対 青対 茶対
【0029】
一方、図3(A)に示す配列の撚線対配置のケーブルをT568Bに適合するように再配列しようとすると場合、1番対が橙対となり4番対が茶対となるように配列すると、横方向において互いに隣接する緑対と青対とが2番及び3番対に位置になるため、緑対と青対の心線同士が交差し漏話特性が劣化してしまう。このため、図3(B)に示す撚線対配置のケーブルが製造しなければならず、2種類の配置のケーブルが製造されている。
【0030】
図4(A)及び(B)は、本発明による断面T字形状のスペーサ介在を用いたケーブルを撚線対の配置構成を示す。本発明では、1番大きな収納区域5aに交差しても漏話特性が劣化しない撚線対同士を配置しているから、(白/橙,橙)の撚線対と(白/緑,緑)の撚線対とを交差して自由に入れ換えても漏話特性上なんら問題は生じない。この結果、1種類の撚線対配置のケーブルを用いて、プラグ加工工程において以下の撚線対配置を得ることができる。
第1対 第2対 第3対 第4対
緑対 橙対 青対 茶対
橙対 緑対 青対 茶対
この結果、1種類の撚線対配置のツイストペァケーブルを用いて2種類のピン配列に対応できる通信ケーブルを実現することができる。
【0031】
図5は図1に示す通信ケーブルを多対ケーブルに適用した例を示すものであり、ケーブル軸線と直交する面で切った断面図である。本例の多対ケーブルは、ケーブルの中心に配置した介在11を有し、介在11の周囲に円周方向に沿って6個の同一のユニット12a〜12fを順次配置する。6個のユニットの集合体の外周にシース13を被覆する。尚、ユニットの集合体とシースとの間に例えばPETテープを介在させることができ、或いはシールド用の導電性のシート部材を介在させることもできる。また、ユニットの数は任意の数に設定することができ、例えば6個、8個、12個、16個等の種々の数に設定することができる。
【0032】
本発明による多対ケーブルでは、6本のユニットを集合する際、4本の撚線対とT字形のスペーサ介在とを含む各ユニットに捩じりを加えることなく集合する。従って、各ユニットの撚線対は、ケーブル全長にわたって互いにほぼ平行に延在する。また、同一の撚ピッチの撚線対はケーブル断面の円周方向に沿ってほぼ一定の間隔で周期的に配列されることになる。さらに、互いに隣接するユニットの直接隣接し合う撚線対は、ケーブル全長にわたって同一の関係に維持されることになる。この結果、漏話し易い撚線対同士が直接隣接し或いは交差する不具合が解消され、漏話減衰特性が改善された多対ケーブルを実現することができる。
【0033】
次に、本発明による多対ケーブルの近端漏話減衰量の特性について説明する。図6は、本発明による通信ケーブルの近端漏話特性の実験結果を示す。実線は図1に示す本発明による4対のツイストペァケーブルの近端漏話特性を示し、破線はユニット1と隣接するユニット2との間の漏話特性を示し、一点鎖線はユニット1とユニット4との間の漏話特性を示し、2点鎖線はユニット1と隣接するユニット6との間の漏話特性を示す。本発明による通信ケーブルの場合、単一ユニットの漏話特性とユニット間の漏話特性共に規格値を大幅に超える良好な結果が得られた。
【0034】
図7は、断面十字形状のスペーサ介在を有するケーブルの特性を比較として示す。十字介在を用いたケーブルの場合、4対のケーブルとして構成した場合、良好な結果が得られている。しかし、ユニット間の漏話減衰特性は大幅に劣化し、規格値を若干超える程度の漏話特性である。さらに、本発明によるケーブルと比較するに、ユニット内の漏話特性は本発明と同等である。しかし、ユニット間の漏話減衰特性は、本発明によるケーブルは十字介在を用いたケーブルと比較して、1MHzの周波数域においては約23dB改善され、250MHzの周波数域では約10dB改善されることが確認された。
【0035】
図8は本発明による通信ケーブルの変形例を示す線図的断面図である。本例では、スペーサ介在として、断面がV字状の2個のスペーサ介在21及び22を用いる。そして、スペーサ介在21及び22の開口側が互いに反対向きとなるように配置し、4個の収納区域23a〜23dを規定し、これら4個の収納区域内に撚線対をそれぞれ収納する。断面がV字状のスペーサ介在は、極めて高い柔軟性を有するので、プラグ加工の作業性を大幅に軽減することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、漏話特性及び遅延時間特性が大幅に改善されると共に、1種類の撚線対の配置を有するだけで2種類のピン配列のモジュラプラグ及びモジュラジャックに十分対応できる通信ケーブルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による通信ケーブルの一例の構成を示す線図的断面図である。
【図2】ケーブル中心から各撚線対の中心までの距離を模式的に示す線図である。
【図3】従来のツイストペァケーブルの撚線対の配置例を示す図である。
【図4】本発明による通信ケーブルの撚線対の配置例を示す図である。
【図5】本発明による多対ケーブルの一例を示す線図的断面図である。
【図6】本発明による多対ケーブルのユニット間の漏話特性を示すグラフである。
【図7】比較として示す十字介在を用いた多対ケーブルのユニット間の漏話特性を示すグラフである。
【図8】本発明による通信ケーブルの変形例を示す線図的断面図である。
【符号の説明】
1〜4 撚線対
5 スペーサ介在
6 シース
11 介在
12a〜12f 撚線対
13 シース
Claims (6)
- 撚りピッチがそれぞれ異なる4対の撚線対と、ほぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在と、これら撚線対とスペーサ介在との集合体の外周を被覆するシースとを具え、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域に配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置したことを特徴とする通信ケーブル。
- 撚りピッチがそれぞれ異なる4対の撚線対と、隣接する撚線対同士を離間させるスペーサ介在とを具え、4本の撚線対とスペーサ介在との集合体に外周にシースが被覆され、前記集合体にはその軸線方向に沿って捩じりが加えられている通信ケーブルにおいて、
前記スペーサ介在として、ほぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在を用い、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域にそれぞれ配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置したことを特徴とする通信ケーブル。 - ケーブルの中心に配置した介在と、介在の周囲に沿ってほぼ円周状に配置された複数のユニットの集合体と、前記ユニットの集合体の外周に設けたシースとを具え、前記各ユニットが2本の絶縁心線を所定の撚りピッチで撚り合わせた4対の撚線対と、これら4対の撚線対の配列を規定するスペーサ介在とを有する撚線対の集合体で構成された通信ケーブルにおいて、
前記各ユニットのスペーサ介在として、ほぼT字形の断面形状を有し、一番大きい収納空間である第1の収納区域と第1の収納区域よりも小さい収納空間である第2及び第3の収納区域との3個の収納区域を規定するスペーサ介在を用い、撚りピッチが一番長い撚線対及び次に長い撚線対を前記スペーサ介在により規定される第2及び第3の収納区域にそれぞれ配置し、残りの2本の撚線対を第1の収納区域に配置したことを特徴とする通信ケーブル。 - 請求項3に記載の通信ケーブルにおいて、全てのユニットの撚線対が、ケーブル全長にわたって互いにほぼ平行に延在することを特徴とする通信ケーブル。
- 請求項4に記載の通信ケーブルにおいて、ケーブル全長にわたって、同一の撚りピッチの撚線対がケーブル断面の円周方向に沿ってほぼ一定の間隔で配列されていることを特徴とする通信ケーブル。
- ケーブルの中心に配置したスペーサ介在と、スペーサ介在の周囲に配置され、撚りピッチがそれぞれ異なる4対の撚線対と、スペーサ介在と4対の撚線対との集合体の外周を被覆するシースとを具える通信ケーブルにおいて、前記スペーサ介在として、断面がV字状の2個のスペーサ介在を用い、これら2個のスペーサ介在を開口側が互いに反対向きとなるように配置して4個の収納区域を規定し、各収納区域に撚線対をそれぞれ収納したことを特徴とする通信ケーブル。
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