JP2004310503A - 双方向性3端子サイリスタ制御回路およびそれを用いた自動製パン機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】商用交流電源1に接続した一つのトライアック6と、互いに逆方向の整流素子2、3を直列に接続した2組の並列に接続された負荷回路4、5との直列回路を有し、トライアック6はそのゲートトリガー電流を商用交流電源1の位相に合わせて任意に流すことのできるマイコン制御回路9により制御され、マイコン制御回路9は商用交流電源1の位相を検知する位相検知回路8からの信号により、2組の負荷回路4、5を任意に選択的に駆動することができるように構成した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は双方向性3端子サイリスタにより負荷を制御する制御回路に関するものである。因みに、双方向性3端子サイリスタは一般的にトライアックと言われているものであり、以下、双方向性3端子サイリスタをトライアックと記す。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来例について説明する。
【0003】
従来のトライアック制御回路は1つのトライアックで1つの負荷を制御するものであった。例えば、自動製パン器にてパンを調理しているときで所定時間後焼き型にイースト菌を投入する場合、イースト開閉板をソレノイドにて駆動しイースト菌を投入する方法がとられていた。このとき、トライアックによりソレノイドを制御していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、近年、消費者の趣向が多岐にわたり、レーズンなどの副材料が含まれたレーズンパンなどが要望されるようになってきた。しかるに、これら副材料の焼き型への投入時機は先のイースト菌投入時機とは異なるため、新たに副材料投入のための開閉板が必要となり、これを駆動するために新たに1組のトライアックとソレノイドが必要になる。以下、上述のように負荷が2個ある場合の従来の対処方法について説明する。
【0005】
図9は従来の双方向性3端子サイリスタにより2組の負荷回路を制御する制御回路の回路図であり、50はマイコン制御回路、51はマイコン制御回路50に直流電源を供給する電源回路、52は第1の負荷回路、53は第2の負荷回路、54は負荷回路52を制御する第1のトライアック、55は負荷回路53を制御する第2のトライアック、56はトライアック54にゲート電流を流す第1のゲート回路、57はトライアック55にゲート電流を流す第2のゲート回路である。
【0006】
以上のように構成されたトライアック制御回路において、負荷回路52および負荷回路53はマイコン制御回路50の別ポートからの信号によりトライアック54およびトライアック55を別々に駆動して制御されていた。
【0007】
また、図10は夫々のトライアック54、55に夫々ダイオードブリッジとソレノイドとからなる負荷回路58、59を示したもので、図9の場合と同様に負荷回路58、59はマイコン制御回路50の別ポートからの信号によりトライアック54、トライアック55を別々に駆動して制御されていた。
【0008】
【特許文献1】
特開昭63−186610号公報(第2図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、負荷が2個ある場合、トライアックと負荷とを1組とし2組用いる事により対処していた。しかしながら、このようなトライアック制御回路において小型化が要求される場合、トライアック自体が電流による発熱が有る事と高電圧が印加されるため小型化は困難であり、また、一般的にスナバ回路と言われる抵抗とコンデンサが付随して使用され、これらの部品も高電圧や発熱のため小型化が困難である。また、これらの部品には高電圧が印加されるので、安全性を確保するためにプリント基板上に一定以上の絶縁距離を確保する必要があり、小型化は非常に困難となる。
【0010】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、2組の負荷回路を制御するトライアックを1組だけとすることにより、トライアック制御回路を小型化し同時にコストダウンすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の双方向性3端子サイリスタ制御回路は、商用交流電源に接続された一つのトライアックと、互いに逆方向の整流素子を直列に接続した2組の並列に接続された負荷回路との直列回路を有し、前記トライアックはそのゲートトリガー電流を前記商用交流電源の位相に合わせて任意に流すことのできるマイコン制御回路により制御され、前記マイコン制御回路は前記商用交流電源の位相を検知する位相検知回路からの信号により、前記2組の負荷回路を任意に選択的に駆動することができるように構成したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、商用交流電源に接続された一つのトライアックと、互いに逆方向の整流素子を直列に接続した2組の並列に接続された負荷回路との直列回路を有し、前記トライアックはそのゲートトリガー電流を前記商用交流電源の位相に合わせて任意に流すことのできるマイコン制御回路により制御され、前記マイコン制御回路は前記商用交流電源の位相を検知する位相検知回路からの信号により、前記2組の負荷回路を任意に選択的に駆動することを可能とすることにより、一組のトライアック回路を省略することができ、制御回路を小型化することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、特に、請求項1に記載の負荷回路にヒータを用い発熱を利用した制御を行う場合、通電電流が半波であるため、全波通電と同じ消費電力にするためには抵抗値を1/2にする等抵抗値を調整する必要があるが、通電波形の違いによる不具合はなく、二組のトライアック回路がある時と全く同じ制御が可能であり、同じ機能で一組のトライアック回路を省略することができ、極めて効果的に制御回路を小型化することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、特に、請求項1に記載の負荷回路にソレノイドを用いた場合、通電電流が半波であるため、連続駆動を行うと振動を発生するので、振動が問題にならない所に使用するか、振動が問題にならないように1〜3パルス程度の極めて短時間の駆動にとどめる等の対策を考慮した上で使用することにより、一組のトライアック回路を省略することができ、制御回路を小型化することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、特に、請求項3に記載の負荷回路にコンデンサによる平滑回路を含むことで、負荷回路がソレノイドのようにそのままでは半波駆動による振動等の問題がある場合でも、平滑回路により振動をなくすことが可能であり、単独での制御と同等の制御が可能になり、一組のトライアック回路を省略することができ、制御回路を小型化することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、特に請求項1に記載の負荷回路を、製パン工程の制御を行なうマイコン制御回路と、パン材料を入れるパン焼き型と、前記パン材料の混練を行なう練り羽根と、前記パン焼き型を収納し加熱手段を備えた焼成室と、前記焼成室を開閉する蓋体を備え、前記マイコン制御回路からの信号により、前記パン焼き型に製パン副材料を異なる時間に自動的に投入するための2個の副材料投入手段およびアクチュエータを備えた自動製パン機に用いることにより、これらのアクチュエータが有する前記負荷回路であるトライアック制御回路の一組のトライアック回路を省略することができ、制御回路を小型化し、結果的に製品を小型化することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、特に、請求項5に記載の負荷回路において、2組の負荷回路はソレノイドからなり、一方のソレノイドに並列にコンデンサによる平滑回路を設ける構成としたことにより、半波による振動が問題になる負荷回路のみに平滑回路を用い、そうでない負荷回路には平滑回路を用いずに済むのでコストを低減する事ができる。
【0018】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1におけるの双方向性3端子サイリスタ制御回路の回路図であり、図2は同双方向性3端子サイリスタ制御回路の特性図、図3は同双方向性3端子サイリスタ制御回路の他の特性図である。図において、1は商用交流電源、2および3は互いに逆方向に接続された整流素子、4および5は整流素子2および3に夫々直列に接続された負荷回路、6はこれらの負荷回路を駆動制御するトライアック、7はトライアックにゲート電流を流すゲート回路であり、8は商用交流電源1の位相を検知する位相検知回路、9は位相検知回路8により位相を検知して、駆動する負荷回路に対応してゲート回路7に流す信号を制御するマイコン制御回路、10はマイコン制御回路9に直流電源を供給する電源回路、11はトライアックの誤動作を防止するためのスナバ回路である。
【0020】
以上のように構成された双方向性3端子サイリスタ制御回路について、その動作、作用について説明する。
【0021】
図1の負荷回路4を駆動するために、マイコン制御回路9は位相検知回路8によって位相を判断し図2に示すように+側位相に合わせてゲート電流を流すようにゲート回路7に信号を出力する。このゲート電流によって負荷回路4に図2に示すような+側半波の負荷回路電圧が印加される。
【0022】
図1の負荷回路5を駆動するためには、マイコン制御回路9は位相検知回路8によって位相を判断し図3に示すように−側位相に合わせてゲート電流を流すようにゲート回路7にパルスを出力する。このゲート電流によって負荷回路5に図3に示すような−側半波の負荷回路電圧が印加される。
【0023】
このようにマイコン制御回路9が交流電源の位相に合わせてトライアック6のゲート電流を流すようなパルス出力により、負荷回路4と負荷回路5を任意に選択的に駆動することが可能になる。
【0024】
ここで、負荷回路4または負荷回路5がヒータである場合、通電電流が半波であることに何の支障もないので負荷回路として単独で使用し、一つの制御素子で駆動する場合と同様に制御することができる。
【0025】
次に、負荷回路4または負荷回路5がソレノイドである場合、交流用ソレノイドで有れば問題はない場合もあるが、最も一般的に使用される構造の簡単な直流用ソレノイドの場合、通電電流が半波であることから、普通にオンすると通電時に振動が発生して問題となる場合があるが、その場合は、オン時間を1〜3パルス程度の極めて短時間にする事で問題なく使用できる。
【0026】
また、吸引コイルと引きはずしコイルとを夫々負荷回路4と負荷回路5とするラッチングソレノイドとすることにより、問題なく制御すると共に、通電電流が極めて短時間であることから省エネルギーにも寄与することができる。
【0027】
(実施例2)
図4は本発明の実施例2における双方向性3端子サイリスタ制御回路の回路図、図5は同双方向性3端子サイリスタ制御回路の特性図であり、図6は同双方向性3端子サイリスタ制御回路の他の回路図である。なお、本実施例の基本構成は実施例1と同じなので異なる点を中心に説明する。また、実施例1と同じ機能には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0028】
本実施例が実施例1と異なる点は図4に示すように負荷回路16および17がソレノイドからなり、しかも負荷回路16にコンデンサ12と抵抗13の簡単な直列回路からなる平滑回路14を接続した点である。
【0029】
この構成によりソレノイドに印加される電圧を図5に示すような波形にすることで、脈流ではあるがソレノイドの吸引状態を保持できるので半波駆動による振動を無くすことができる。
【0030】
また、ソレノイドの負荷量の大きさによってはさらに直流に近い平滑が必要になる場合もあるが、その場合は図6のようにダイオード15等の整流素子を使用してさらに平滑化することもできる。
【0031】
(実施例3)
図7は実施例3における自動製パン機の模式図であり、図8は同自動製パン機の調理工程図である。なお、本実施例の特徴は実施例1または実施例2における双方向性3端子サイリスタ制御回路を自動製パン機に用いた点にある。
【0032】
図7において、21は焼成室、22はパン焼き型、23は練り羽根、24は練り羽根23を回転させるモータ、25は焼成のための加熱手段、26は焼成室1を開閉する蓋、27は工程の途中で副材料を投入する第1の副材料投入手段、28は同じく工程の途中で副材料を投入する第2の副材料投入手段、29は第1の副材料投入手段27を駆動する第1のソレノイド、30は第2の副材料投入手段8を駆動する第2のソレノイド、31は第1の副材料投入手段内の副材料をパン焼き型内に落下させる開閉板、32は第2の副材料投入手段内の副材料をパン焼き型内に落下させる開閉板、33は焼成室1内の温度を検知する温度検知手段、34は温度検知手段33から温度信号を受けてモータ24や加熱手段25や副材料投入手段27および28を制御するマイコン制御回路、35は調理内容や条件等を設定する操作部である。
【0033】
このような構成の自動製パン機において、調理は図8に示すように、前練り工程からねかし工程に入り、ねかし工程の途中で副材料投入用の第1のソレノイド29が一定時間作動して第1の副材料投入手段27の開閉板31を開けてイーストをパン焼き型22内に投入する。
【0034】
暫くのねかしの後、後練りを開始し、後練り工程の途中で第2の副材料投入用の第2のソレノイド30を駆動して第2の副材料投入手段28の開閉板32を開けレーズンをパン焼き型22内に投入する。
【0035】
その後暫く練りを行ってレーズンをパン生地によく混ぜた後、一次発酵、二次発酵、整形発酵を経て焼成を行ない調理を終了する。
【0036】
これによって、使用者が時間を見て途中で蓋を開けてレーズンを投入するようなことをしなくとも、自動的にレーズンを投入することができ、タイマーをセットすれば前日の夜にセットして、次の日の朝においしいレーズンパンが出来上がるようにすることができる。
【0037】
ここで、マイコン制御回路34は図4のトライアック制御回路を含み、イーストを投入するための第1のソレノイド29は図4のソレノイド16であり、レーズンを投入するための第2のソレノイド30は図4のソレノイド17である。
【0038】
イーストを投入するための第1のソレノイド29はコンデンサによる平滑回路を含み、オン時間1.5秒、オフ時間1秒、オン時間0.5秒、オフ時間1秒、オン時間0.5秒で動作し、開閉板31を複数回開閉することによって、湿度の高い環境でイースト菌が固まりやすい状態にあるときでも複数回の開閉動作による振動でイーストを確実に落下させることが出来る。
【0039】
レーズンを投入するための第2のソレノイド30はソレノイド単独で、平滑回路を有しないが、開閉板32はラッチのひき外しだけの動作であるので、半波通電による振動音を感じないほどの0.05秒以下の通電としている。
【0040】
これにより、従来のソレノイド駆動回路は図9に示すように1つのソレノイドに対して1つのトライアックとダイオードブリッジを使用していたのに対して、図4のトライアック回路のように1つのトライアックで2組のソレノイド回路を任意に選択的に駆動する事が出来るので、同じ機能で1組のトライアック回路が省略されることになり、制御回路を小型化することができ、コストも大きく削減できる。また、従来交流電流の整流のためにダイオードブリッジを使用していたのに比べて抵抗とコンデンサの平滑回路で代替えが可能となったことも小型化とコスト削減に寄与する。
【0041】
ここで、第1および第2の副材料投入手段の駆動のためのアクチュエータはソレノイドとしたが、モータ等を使用することも可能である。
【0042】
また、位相検知回路8は図4に示すような抵抗の分圧のみの簡単な回路構成で実現することが可能であるが、さらに、通常マイコンを駆動するために使用されるゼロボルトパルス回路等の信号を利用する事も可能であり、抵抗も省略する事が可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、請求項1から6記載の発明によれば、1つのサイリスタにより2組の負荷回路を任意に選択的に駆動することができ、プリント基板上で大きな面積を占めるサイリスタとその周辺回路が省略され、小型化および低価格化の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における双方向性3端子サイリスタ制御回路の回路図
【図2】同双方向性3端子サイリスタ制御回路の特性図
【図3】同双方向性3端子サイリスタ制御回路の他の特性図
【図4】本発明の実施例2における双方向性3端子サイリスタ制御回路の回路図
【図5】同双方向性3端子サイリスタ制御回路の特性図
【図6】同双方向性3端子サイリスタ制御回路の他の回路図
【図7】本発明の実施例3における自動製パン機の模式図
【図8】同自動製パン機の調理工程図
【図9】従来例の双方向性3端子サイリスタ制御回路の回路図
【図10】同双方向性3端子サイリスタ制御回路の他の回路図
【符号の説明】
1 商用交流電源
2、3 整流素子
4、5 負荷回路
6 トライアック(双方向性3端子サイリスタ)
8 位相検知回路
9 マイコン制御回路
21 焼成室
22 パン焼き型
23 練り羽根
25 加熱手段
26 蓋体第1のソレノイド(アクチュエータ)
27 第1の副材料投入手段(副材料投入手段)
28 第2の副材料投入手段(副材料投入手段)
29 第1のソレノイド(アクチュエータ)
30 第2のソレノイド(アクチュエータ)
34 マイコン制御回路
Claims (6)
- 商用交流電源に接続された一つの双方向性3端子サイリスタと、互いに逆方向の整流素子を直列に接続した2組の並列に接続された負荷回路との直列回路を有し、前記双方向性3端子サイリスタはそのゲートトリガー電流を前記商用交流電源の位相に合わせて任意に流すことのできるマイコン制御回路により制御され、前記マイコン制御回路は前記商用交流電源の位相を検知する位相検知回路からの信号により、前記2組の負荷回路を任意に選択的に駆動することを可能とした双方向性3端子サイリスタ制御回路。
- 負荷回路がヒータである請求項1記載の双方向性3端子サイリスタ制御回路。
- 負荷回路がソレノイドである請求項1記載の双方向性3端子サイリスタ制御回路。
- 負荷回路がコンデンサによる平滑回路を含む構成とした請求項3記載の双方向性3端子サイリスタ制御回路。
- 製パン工程の制御を行なうマイコン制御回路と、パン材料を入れるパン焼き型と、前記パン材料の混練を行なう練り羽根と、前記パン焼き型を収納するとともに加熱手段を有する焼成室と、前記焼成室を開閉する蓋体とを備え、前記マイコン制御回路からの信号により、前記パン焼き型に製パン副材料を異なる時間に自動的に投入するための2個の副材料投入手段およびアクチュエータを備え、これらのアクチュエータが負荷回路である請求項1記載の双方向性3端子サイリスタ制御回路を用いた自動製パン機。
- 2個の負荷回路はソレノイドからなり、一方のソレノイドに並列にコンデンサによる平滑回路を設ける構成とした請求項5に記載の双方向性3端子サイリスタ制御回路を用いた自動製パン機。
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