JP2004310281A - 物体追跡装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】追跡領域設定部12は、画像入力部10により取得した撮像画像内に追跡対象を含む追跡領域を設定する。そして、対象画像処理部15は、追跡領域を周波数解析し、照合領域設定部16は、周波数解析の結果から所望する周波数成分が最も強く検出される領域を、照合領域として設定する。画像照合部14は、この照合領域と撮像画像とによりマッチング処理を行うと共に、位置誤差特性に基づいて、追跡対象の位置を補正し詳細に特定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体追跡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、入力した画像情報に基づいて特定の物体を追跡する物体追跡装置が提案されている。この装置では、画像情報から対象物の位置を正確に検出することが重要であり、対象物の位置の検出方法としては、主にテンプレートマッチング処理が用いられている。
【0003】
また近年、物体追跡装置において対象物の位置の検出精度向上が望まれており、サブピクセル処理等が行われるようになってきている。サブピクセル処理とは、相関係数の分布を2次曲線近似してその近似曲線のピーク位置を求め、1画素以下のオーダで対象物を検出する処理である。
【0004】
また、相関係数等の複数の特徴量を求め、それら複数の特徴量に基づき、正確に対象物の位置を検出する移動体追跡装置が提案されている。この装置では、色分解原画像と色テンプレートとの相関演算により、第1の相関値の分布を求めて二次元マップを形成すると共に、微分画像と微分テンプレートとの相関演算により、第2の相関値の分布を求めて二次元マップを形成している。さらに、上記移動体追跡装置では、ターゲットの過去の動きに基づいてターゲットの動きを予測し、その動きの予測を動き予測値の分布として求めている。そして、これらの二次元マップ、これら3つの手法による結果を一つのマップに統合し、その統合されたマップに基づき、ターゲット位置を検出するようにしている。(特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】
特開平11−86004号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
サブピクセルオーダでの位置決めを行う場合、上述のような相関係数の分布に対して多項式で近似し、多項式のピークとなる位置から対象の位置を特定している。しかしながら、求められる相関係数のピーク位置は、対象が持つテクスチャや模様に大きく依存するため、必ずしも正確に対象の位置を表しているとは限らない。
【0007】
また、特許文献1の装置では、色分解原画像および空間微分処理を施した微分画像についての相関係数の分布を求め、さらに対象の過去の動きに基づき、対象の動き予測値の分布を求めた上で、これら2次元マップで表される分布を統合し、対象の位置を計測している。このため、多大な相関演算および予測演算が必要となり、処理負荷も同様に多大なものとなってしまう。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、処理負荷を多大にすることなく、対象の位置検出の精度を向上させることが可能な物体追跡装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、物体を含む撮像画像を取得する画像入力手段と、画像入力手段により取得された撮像画像に対し、追跡対象を含む追跡領域を設定する追跡領域設定手段と、追跡領域設定手段により設定された追跡領域を周波数解析する対象画像処理手段と、空間周波数に対する位置決め精度を表し且つ予め測定された精度特性に基づいて、対象画像処理手段により周波数解析された追跡領域内に特定周波数成分を有する領域を照合領域として設定する照合領域設定手段と、画像入力手段により取得された撮像画像、照合領域設定手段により設定された照合領域、及び予め測定された特定周波数成分についての位置誤差特性に基づいて、追跡対象の位置を特定する照合処理手段とを備える。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、空間周波数に対する位置決め精度を表す精度特性に基づいて照合領域を設定する。このため、位置決め精度の高い照合領域を設定することが可能となり、精度良く追跡対象を検出することができる。また、撮像画像、照合領域及び位置誤差特性に基づき追跡対象の位置を特定している。すなわち、精度よく検出された追跡対象の位置を、位置誤差特性に基づいて補正し、さらなる精度向上を図っている。故に、追跡対象の検出精度を向上させることができる。
【0011】
また、追跡領域内における特定周波数成分を有する領域を照合領域として設定している。すなわち、照合領域を設定することで周波数を特定することを行っており、補正を行うためにあらゆる周波数に対応した位置誤差特性を必要せず、どの周波数に対応した位置誤差特性を使用すべきかを判断等する必要がない。このため、演算負荷の多大な増加を招くことがない。
【0012】
従って、処理負荷を多大にすることなく、対象の位置検出の精度を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、車両に搭載され追跡対象として他車両を追跡する物体追跡装置を例に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係る物体追跡装置の構成図である。同図に示す物体追跡装置1は、画像入力部(画像入力手段)10と、入力画像記憶部(画像入力手段)11と、追跡領域設定部(追跡領域設定手段)12と、画像解析部13と、画像照合部(照合処理手段)14とを備えている。
【0015】
画像入力部10は、自車両前方等に存在する物体を撮像して、自車両前方の物体を含んだ撮像画像を時系列的に取得するものであり、具体的には、CCDやCMOS等の光電変換を行う撮像装置である。また、画像入力部10は、フレームレートが可変にされており、追跡対象の動き等に応じて好適に撮像することが可能とされている。この画像入力部10は、取得した撮像画像のデータを入力画像記憶部11に送出する。
【0016】
入力画像記憶部11は、画像入力部10が取得した撮像画像を記憶保持するフレームメモリであり、撮像画像を所定画像数記憶することが可能である。また、入力画像記憶部11は、所定画像数だけフレーム加算して記憶する構成とされていてもよい。
【0017】
追跡領域設定部12は、入力画像記憶部11に記憶された撮像画像に対し、追跡対象を含む追跡領域を設定するものである。詳しくは、追跡領域設定部12は、画像入力部10が撮像画像を所定画像数取得する毎に、そのうちの1画像に対して追跡領域を設定するものである。また、入力画像記憶部11が所定画像数だけフレーム加算して記憶する構成とされている場合、追跡領域設定部12は、フレーム加算により得られた合成画像に対し追跡領域を設定することとなる。
【0018】
図2は、追跡領域の説明図である。同図に示すように、追跡領域設定部12は、画像入力部10により取得された撮像画像20に追跡対象21を含む追跡領域22を設定する。この追跡領域22は、例えば撮像して得られる画像内の特徴点と本装置1が記憶する追跡対象21の特徴点とを比較し一致するか否か等を判断することによって特定される。そして、追跡領域22が特定されると、その情報は、撮像画像のデータと共に画像解析部13に送出される。
【0019】
画像解析部13は、対象画像処理部(対象画像処理手段)15、及び照合領域設定部(照合領域設定手段)16とを有している。
【0020】
対象画像処理部15は、追跡領域設定部12により設定された追跡領域22の周波数解析を行うものである。ここで周波数解析は例えば以下のようにして行われる。
【0021】
図3は、本実施形態に係る物体追跡装置1の周波数解析方法の説明図である。
【0022】
まず、対象画像処理部15は、追跡領域22を複数の解析領域22aに分割する。例えば、図3に示すように、追跡領域22を4×5の正方形状に分割する。そして、対象画像処理部15は、分割して得られた複数の解析領域22aそれぞれについて、周波数解析を行う。
【0023】
図4は、周波数解析の具体的内容を示す説明図であり、(a)は画像データ例を示し、(b)は画像データ例の濃度分布を示し、(c)は画像データ例におけるパワースペクトルを示している。
【0024】
図4(a)に示す画像は、X軸方向に順次濃度が変化しており、Y軸方向に濃度が一定となっている。この画像においてX軸方向の各濃度値は、X軸を横軸としたグラフに示すと、図4(b)に示すように、濃度値「127」を振幅の中心とする正弦波を描くようになる。
【0025】
そして、このような変化を示す画像を、例えばフーリエ変換すると、図4(c)に示すようなパワースペクトルが得られる。ここで、図4(a)に示す画像では単一周期の濃度変化しかしないため、パワースペクトルは、図4(a)が有する濃度変化の周期と周波数ゼロの成分とが強く観測される。なお、周波数ゼロの成分は、画像中における変動しない直流成分であり、図4(b)で言えば濃度値「127」が反映されているものである。
【0026】
このようにして対象画像処理部15は、周波数解析を行って、各解析領域22aのパワースペクトルを得る。そして、各解析領域22aのパワースペクトルデータを照合領域設定部16に送出する。
【0027】
照合領域設定部16は、対象画像処理部15の周波数解析の結果に基づき、追跡領域22の一部に照合領域を設定するものである。ここで、照合領域の設定方法について説明する。図5は、照合領域の設定方法の説明図である。
【0028】
各解析領域22aのパワースペクトルを得た後、照合領域設定部16は、各解析領域22aのパワースペクトルに基づいて、1の解析領域22aを選択し、選択したものを照合領域23とする。具体的には、図5に示すように、複数の解析領域22aのうち特定の周波数成分が最も強く得られるパワースペクトルを有する1の解析領域22aを選択する。ここで、特定の周波数成分とは、予め定められているものであり、具体的には以下のようなものである。
【0029】
図6は、特定の周波数成分の説明図である。物体を撮影して位置を特定する装置において、物体位置の検出精度は、追跡対象21となる物体の模様やテクスチャに大きく依存する。すなわち、図6に示すように、追跡対象21となる物体の模様やテクスチャを反映する追跡対象21の空間周波数により、物体位置の検出精度が異なってくる。具体的には、追跡対象21の空間周波数が低い場合、物体位置の検出精度がよく、追跡対象21の空間周波数が多少高くなると、物体位置の検出精度が悪くなる。そして、さらに追跡対象21の空間周波数が高くなると、物体位置の検出精度は最も良好となり、その後空間周波数が高くなるにつれて物体位置の検出精度は悪くなっていく。
【0030】
照合領域23を設定する際には、図6に示すように、物体位置の検出精度が最も良好となる特定の周波数帯域内の周波数成分を基準に解析領域22aを選択する。すなわち、照合領域設定部16は、物体位置の検出精度が最も良好となるように、照合領域23を設定している。なお、以下において、図6に示すような空間周波数に対する位置決め精度を表す特性を精度特性という。
【0031】
このように、周波数解析及び照合領域23の設定がなされると、画像解析部13は、撮像画像20と照合領域23とのデータとを画像照合部14に送出する。
【0032】
画像照合部14は、撮像画像20と、照合領域設定部16により設定された照合領域23とをマッチング処理するものであり、マッチング処理に際してサブピクセル処理を実行するものである。
【0033】
図7は、サブピクセル処理の説明図である。なお、画像照合部14が行うマッチング処理において、テンプレート画像は照合領域23であるが、図7においては、テンプレートとして一般的な車両画像を用いて説明するものとする。また、図7において、画像横方向をX軸方向とし、画像縦方向をY軸方向とする。
【0034】
サブピクセル処理においては、例えば、撮像画像20内の所定領域とテンプレートとをマッチングさせ、その類似度を相関係数として取得する。取得後、順次マッチングさせる領域を所定画素ずつ移動させていき、複数領域における相関係数を取得する。
【0035】
このようにして、複数領域における相関係数を取得すると、その相関係数のうち最も類似度の高いもの(R0)を特定し、この位置を追跡対象が存在すると判定する。
【0036】
次に、最も類似度の高い位置から、例えばX軸の負方向に1画素だけテンプレートをずらして相関係数(R1)を得る。また、同様に、X軸の正方向に1画素だけテンプレートをずらし相関係数(R2)を得ると共に、Y軸の正及び負の方向に1画素だけテンプレートをずらして相関係数(R3,R4)を得る。そして、これら相関係数を所定の多項式にてフィッティングする。その様子を図8に示す。
【0037】
図8は、複数の相関係数を多項式にてフィッティングしたときの様子を示す説明図である。同図に示すように、相関係数を所定の多項式にてフィッティングすると、画素間において相関係数の最大値が得られる場合がある。図8では、例えば相関係数R0が得られる画素位置から(ΔX,ΔY)だけずれた位置に相関係数の最大値が得られている。
【0038】
サブピクセル処理においては、このように所定の多項式にてフィッティングすることにより、相関係数の最大値を得て、詳細に追跡対象21の位置を検出するようにしている。
【0039】
ところが、サブピクセル処理は追跡対象が持つテクスチャや模様に大きく依存するため、位置検出の精度は必ずしも正確とは限らない。そこで、本実施形態における画像照合部14は、サブピクセル処理後に、予め測定された特定周波数成分についての位置誤差特性に基づいて、追跡対象21の位置を補正する。
【0040】
図9は、特定周波数成分についての位置誤差特性を示す説明図である。なお、図9において、横軸は、サブピクセル処理により得られた相関係数がどの画素間位置にて最大となったかを示している。すなわち、横軸は、図8を参照して説明したΔXの位置を示している。また、縦軸は画素間位置における誤差Eを示している。
【0041】
本実施形態における画像照合部14は、同図に示すような位置誤差特性を予め記憶している。元々位置誤差特性は、追跡対象21の或る空間周波数におけるサブピクセル処理の誤差を示すものであり、追跡対象21の空間周波数によって異なってくるものである。図9に示す位置誤差特性は、上記の特定周波数におけるサブピクセル処理の誤差を示すものであり、E=h(x)なる式で表されている。
【0042】
画像照合部14は、このE=h(x)なる式により、上記サブピクセル処理にて検出された追跡対象の位置を補正する。例えば、ΔXが「0.4」であった場合、E=h(0.4)を補正量として、ΔXに加算(減算)することで、補正された正確な車両位置を特定することとなる。
【0043】
なお、位置誤差特性は空間周波数によって異なってくるため、従来の物体追跡装置では、複数の位置誤差特性を記憶しておく必要があるが、本実施形態における物体追跡装置1では、特定周波数成分を基準に照合領域23を設定しているため、1又は数個の位置誤差特性を記憶しておくだけでよい。また、上記では、主としてX軸方向における周波数及び誤差の補正等を説明したが、Y軸方向についてもX軸方向と同様である。
【0044】
次に、第1実施形態に係る物体追跡装置1の動作について、フローチャートを参照し説明する。図10は、第1実施形態に係る物体追跡装置1の動作の概略を示すフローチャートである。入力画像記憶部11において画像データが記憶された後、追跡領域設定部12は、撮像画像20内に追跡対象21を含む追跡領域22を設定する(ST1)。ここでは、上記したように特徴点を用いた処理などにより追跡領域を設定する。その後、対象画像処理部15は、解析領域22aを設定する(ST2)。この設定は、図3を参照して説明したように、追跡領域22を分割することによりなされる。
【0045】
設定後、対象画像処理部15は、解析領域22aそれぞれを周波数解析して、空間周波数に対するパワースペクトルを得る(ST3)。そして、照合領域設定部16は、精度特性に基づく特定周波数成分を有する解析領域22aを照合領域23として設定する(ST4)。
【0046】
その後、画像解析部13は、すべての所定方向での解析が終了したか否かを判断する(ST5)。本実施形態における物体追跡装置1は、追跡対象21を他車両としているため、画像上においてX及びY軸方向にそれぞれ誤差を求めることにより、追跡対象の位置を特定することとなる。このため、ステップST5の処理では、画像上のX及びY軸方向にそれぞれについて解析が終了したか否かを判断することとなる。また、追跡対象21が主として1方向にのみ動く物体である場合には、その方向ついて解析が終了したか否かを判断することとなる。このように、ここでの所定方向は、追跡対象21の動きを検出したい方向に設定されるものである。
【0047】
図11は、追跡対象が車両である場合の所定方向での解析を示す説明図であり、(a)は画像横方向に周波数解析を行う場合の例を示しており、(b)は画像縦方向に周波数解析を行う場合の例を示している。
【0048】
本来、画像上における物体の動きを検出するためには、所定の2方向の動きを検出することで、あらゆる方向の動きが検出されることとなる。例えば、追跡対象が車両である場合、画像横方向(図11(a))及び画像縦方向(図11(b))といったように、所定の2方向について周波数解析を行うこととなる。
【0049】
このように、画像上における物体の動きを検出するためには、2次元画像データについて直交変換を行う必要は無く、所定方向についてのみ解析を行うことにより処理負荷を軽減させることができる。
【0050】
なお、図5に示した照合領域23は正方形状であったが、図11(a)及び(b)に示すように、周波数解析をする方向について照合領域23を長めに設定するようにしてもよい。
【0051】
再度、図10を参照して説明する。すべての所定方向での解析が終了していないと判断した場合(ST5:NO)、処理はステップST3に戻り、解析が終了していない方向について順次ステップST3及びステップST4の処理を行うこととなる。
【0052】
一方、すべての所定方向での解析が終了したと判断した場合(ST5:YES)、画像照合部14は、照合領域23をテンプレートとして、マッチング処理を行い、撮像画像20内から追跡対象21となる車両位置を検出する。さらに、画像照合部14は、予め記憶されている特定周波数成分についての位置誤差特性に基づいて、検出された車両位置を補正し、詳細に車両位置を特定する(ST6)。そして、処理は終了する。
【0053】
このようにして、第1本実施形態に係る物体追跡装置1によれば、空間周波数に対する位置決め精度を表す精度特性に基づいて照合領域23を設定する。このため、位置決め精度の高い照合領域23を設定することが可能となり、精度良く追跡対象21を検出することができる。また、撮像画像20、照合領域23及び位置誤差特性に基づき追跡対象21の位置を特定している。すなわち、精度よく検出された追跡対象21の位置を、位置誤差特性に基づいて補正し、さらなる精度向上を図っている。故に、追跡対象21の検出精度を向上させることができる。
【0054】
また、追跡領域22内における特定周波数成分を有する領域を照合領域23として設定している。すなわち、照合領域23を設定することで周波数を特定することを行っており、補正を行うためにあらゆる周波数に対応した位置誤差特性を必要せず、どの周波数に対応した位置誤差特性を使用すべきかを判断等する必要がない。このため、演算負荷の多大な増加を招くことがない。
【0055】
従って、処理負荷を多大にすることなく、対象の位置検出の精度を向上させることができる。
【0056】
また、フレームレートが可変とされているので、例えば追跡対象21の移動速度が速い場合には、フレームレートを大きくして追跡対象21の移動量を所定範囲内に収めることが可能となる。このため、例えば相関演算によるマッチングを行う際のマッチング範囲を対象の周囲1画素近傍等に限定でき、演算量が少なくすることができる。一方、追跡対象21の移動速度が遅い場合には、フレームレートを小さくすることにより、追跡対象21が殆ど移動していないにもかかわらず何度も追跡対象21の位置を検出してしまうという事態を防止し、不要な演算を省略することができる。
【0057】
さらに、フレームレートを小さくした場合には、露光時間を長くすることとなり、追跡対象の陰影を明確にし、ノイズを低減させることができる。
【0058】
また、所定画像数を取得する毎に、そのうちの1画像に対して追跡対象を含む追跡領域22を設定するので、追跡対象21が殆ど移動していないにもかかわらず何度も追跡対象21の位置を検出してしまうという事態を防止し、不要な演算を省略することができる。また、所定画像数だけフレーム加算して追跡対象を含む追跡領域を設定する場合も同様である。
【0059】
また、追跡対象の移動を検出したい方向に周波数解析を行うので、少ない処理で一層正確に追跡対象の移動を検出することができる。
【0060】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る物体追跡装置1は、第1実施形態のものと比べ、画像解析部13及び画像照合部14の処理内容が一部異なっている。以下、第2実施形態に係る物体追跡装置2について、第1実施形態との相違点のみ説明する。
【0061】
図12は、第2実施形態に係る画像解析部13の処理内容を示す説明図である。本実施形態の対象画像処理部15は、画像入力部10により取得された撮像画像20について周波数解析を行う。すなわち、撮像画像fa(x、y)を直交変換し、Fa(u、v)に変換する。
【0062】
また、対象画像処理部15は、追跡領域設定部12により設定された追跡領域22について周波数解析を行う。すなわち、追跡領域fb(x、y)を直交変換し、Fb(u、v)に変換する。
【0063】
その後、照合領域設定部16は、Fa(u、v)に対してフィルタ処理によってGa(u、v)を得る。このとき、図6の精度特性により物体位置の検出精度が最も良好となる特定周波数帯域の成分のみが残され、他は削除されることとなる。また、照合領域設定部16は、Fb(u、v)に対してフィルタ処理によってGb(u、v)を得る。このフィルタ処理についても特定周波数帯域の成分のみが残されることとなる。
【0064】
その後、照合領域設定部16は、Ga(u、v)に対して直交逆変換を行って第1周波数画像ga(x、y)を得る。また、Gb(u、v)に対して直交逆変換を行って第2周波数画像gb(x、y)を得る。
【0065】
そして、照合領域設定部16は、第2周波数画像gb(x、y)を照合領域23とする。図13は、第1及び第2実施形態の照合領域23を比較する説明図であり、(a)は追跡領域22を示し、(b)は第1実施形態における照合領域23を示し、(c)は第1実施形態における照合領域23を示している。
【0066】
図13(a)に示す追跡領域22に対し、第1実施形態では図6に示す特定周波数成分が最も強い領域を照合領域23としていた(図13(b))。第2実施形態の場合、フィルタ処理が行われ、特定周波数帯域のみの成分が残され、他の成分は除去されることとなる。このため、得られる第2周波数画像は、例えば図13(c)に示すようになる。そして、第2実施形態では、図13(c)に示すような第2周波数画像を照合領域23としている。
【0067】
また、第2実施形態に係る画像照合部14は、第1実施形態のように撮像画像20と照合領域23とのマッチング処理を行わず、対象画像処理部15により生成された第1周波数画像と、照合領域23とのマッチング処理を行う。
【0068】
以上が第1実施形態との相違点であり、他の構成等は第1実施形態のものと同様である。従って、第2実施形態に係る物体追跡装置2は、画像入力部10が撮像画像20を取得すると、その画像データが入力画像記憶部11に記憶される。そして、追跡領域設定部12は、予め記憶される車両の特徴点等に基づいて、追跡領域22を設定する。
【0069】
追跡領域設定後、追跡領域設定部12は、撮像画像20のデータと共に追跡領域22のデータを画像解析部13の対象画像処理部15に送出する。対象画像処理部15は、撮像画像20及び追跡領域22内の画像部分を周波数解析する。
【0070】
そして、対象画像処理部15は、撮像画像20及び追跡領域22の解析結果の情報を照合領域設定部16に送出する。照合領域設定部16は、これらの周波数解析結果及び、精度特性に基づいて、第1及び第2周波数画像を生成すると共に、第2周波数画像を照合領域23として設定する。
【0071】
設定後、照合領域設定部16は、その情報を画像照合部14に送出する。画像照合部14は、例えば照合領域23をテンプレートとして、テンプレートマッチング処理を行い、照合領域設定部16にて生成された第1周波数画像内から追跡対象21となる車両位置を検出する。さらに、画像照合部14は、予め記憶されている特定周波数帯域の成分についての位置誤差特性に基づいて、検出された車両位置を補正し、詳細に車両位置を特定する。
【0072】
このようにして、第1本実施形態に係る物体追跡装置2によれば、第1実施形態と同様に、処理負荷を多大にすることなく、対象の位置検出の精度を向上させることができる。
【0073】
また、第1実施形態と同様に、演算量が少なくすることができ、不要な演算を省略することができ、ノイズを低減させ、少ない処理でより正確に追跡対象の移動を検出することができる。
【0074】
なお、第1実施形態においては、各解析領域22aのパワースペクトルを求め、このパワースペクトルに基づいて照合領域23を設定しているが、これに限らず、追跡領域22をエッジ処理し、特定の周波数成分を有すると予測される追跡領域22内の箇所を、照合領域23として設定するようにしてもよい。
【0075】
また、第2実施形態においては、撮像画像20及び追跡領域22内の画像部分の双方を周波数解析し、さらに画像処理して第1及び第2周波数画像を生成するようにしているが、撮像画像20を周波数解析及び画像処理して第1周波数画像を生成し、この第1周波数画像から追跡領域22の該当部分を抽出して第2周波数画像を得るようにしてもよい。
【0076】
また、第2実施形態においては、照合領域23を第2周波数画像全体としているが、これに限らず、第2周波数画像の一部を照合領域としてもよい。
【0077】
また、第1及び第2実施形態においては、サブピクセル処理の際に、テンプレート画像を1画素づつずらすようにしているが、特に1画素でなくともよく、数画素ずらすようにしてもよい。
【0078】
また、第1及び第2実施形態に係る物体追跡装置1,2をそれぞれ組み合わせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る物体追跡装置の構成図である。
【図2】追跡領域の説明図である。
【図3】第1実施形態に係る物体追跡装置の周波数解析方法の説明図である。
【図4】周波数解析の具体的内容を示す説明図であり、(a)は画像データ例を示し、(b)は画像データ例の濃度分布を示し、(c)は画像データ例におけるパワースペクトルを示している。
【図5】照合領域の設定方法の説明図である。
【図6】特定の周波数成分の説明図である。
【図7】サブピクセル処理の説明図である。
【図8】複数の相関係数を多項式にてフィッティングしたときの様子を示す説明図である。
【図9】特定周波数成分についての位置誤差特性を示す説明図である。
【図10】第1実施形態に係る物体追跡装置の動作の概略を示すフローチャートである。
【図11】追跡対象が車両である場合の所定方向での解析を示す説明図であり、(a)は画像横方向に周波数解析を行う場合の例を示しており、(b)は画像縦方向に周波数解析を行う場合の例を示している。
【図12】第2実施形態に係る画像解析部の処理内容を示す説明図である。
【図13】第1及び第2実施形態の照合領域を比較する説明図であり、(a)は追跡領域を示し、(b)は第1実施形態における照合領域を示し、(c)は第1実施形態における照合領域を示している。
【符号の説明】
1,2…物体追跡装置
10…画像入力部(画像入力手段)
11…入力画像記憶部
12…追跡領域設定部(追跡領域設定手段)
13…画像解析部
14…画像照合部(照合処理手段)
15…対象画像処理部(対象画像処理手段)
16…照合領域設定部(照合領域設定手段)
20…撮像画像
21…追跡対象
22…追跡領域
23…照合領域
ga…第1周波数画像
gb…第2周波数画像
Claims (6)
- 物体を含む撮像画像を取得する画像入力手段と、
前記画像入力手段により取得された撮像画像に対し、追跡対象を含む追跡領域を設定する追跡領域設定手段と、
前記追跡領域設定手段により設定された追跡領域を周波数解析する対象画像処理手段と、
空間周波数に対する位置決め精度を表し且つ予め測定された精度特性に基づいて、前記対象画像処理手段により周波数解析された追跡領域内に特定周波数成分を有する領域を照合領域として設定する照合領域設定手段と、
前記画像入力手段により取得された撮像画像、前記照合領域設定手段により設定された照合領域、及び予め測定された特定周波数成分についての位置誤差特性に基づいて、追跡対象の位置を特定する照合処理手段と、
を備えることを特徴とする物体追跡装置。 - 物体を含む撮像画像を取得する画像入力手段と、
前記画像入力手段により取得された撮像画像に対し、追跡対象を含む追跡領域を設定する追跡領域設定手段と、
前記画像入力手段により取得された撮像画像、及び前記追跡領域設定手段により設定された追跡領域を周波数解析する対象画像処理手段と、
空間周波数に対する位置決め精度を表し且つ予め測定された精度特性に基づいて、前記対象画像処理手段により周波数解析された撮像画像を画像処理し特定周波数帯域の成分のみからなる第1周波数画像を生成すると共に、前記対象画像処理手段により周波数解析された追跡領域を画像処理し特定周波数帯域の成分のみからなる第2周波数画像を生成し、当該第2周波数画像の全部又は一部を照合領域として設定する照合領域設定手段と、
前記対象画像処理手段により生成された第1周波数画像、前記照合領域設定手段により設定された照合領域、及び予め測定された特定周波数成分についての位置誤差特性に基づいて、追跡対象の位置を特定する照合処理手段と、
を備えることを特徴とする物体追跡装置。 - 画像入力手段は、フレームレートが可変とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の物体追跡装置。
- 前記追跡領域設定手段は、前記画像入力手段が所定画像数を取得する毎に、当該所定画像のうちの1画像に対して追跡対象を含む追跡領域を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の物体追跡装置。
- 前記画像入力手段が取得した撮像画像を所定画像数だけフレーム加算して記憶する画像記憶手段を更に備え、
前記追跡領域設定手段は、前記画像記憶手段のフレーム加算により得られた合成画像に対して追跡対象を含む追跡領域を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の物体追跡装置。 - 前記対象画像処理手段は、追跡対象の移動を検出したい方向に周波数解析を行うことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の物体追跡装置。
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