JP4708740B2 - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医用画像のCAD(コンピュータ支援診断:Computer Aided Diagnosis)技術等における差分等の処理の対象となる2つの画像の位置合わせに好適な画像処理装置及び画像処理方法に関する。
胸部X線画像の経時差分技術は、異なる時期に撮影された人体の一部である共通の被写体の第1画像及び第2画像に対し、被写体の前後左右の動き、呼吸及びX線管球照射角度の変更等の要素により生じた肺野領域の変形を補正し、差分処理を行い、両画像に変化のある部分を差分画像として描出する技術である。このような経時差分技術により、2つの画像から骨、血管等の共通の正常な部分を無視して、病巣の変化分だけの画像成分を抽出することができる。このため、経時差分技術、特に経時差分CAD技術には、臨床上、病変、特に肋骨や血管等の正常構造に隠された病巣の早期検出、病変見逃しの防止、読影業務の迅速化が期待できる。
経時差分技術の主要な要素は、第1画像と第2画像との間の変形を補正する位置合わせ技術である。従来の経時差分技術では、図10に示すような処理が行われている。即ち、第1画像(原画像)及び第2画像(現在画像)を読み込んだ後、第1画像の肺野領域内に均等にテンプレート関心領域を設定する。次に、テンプレート関心領域に対応する第2画像内の位置にサーチ領域を設定する。このとき、第1画像のテンプレート関心領域の中心に対し、第2画像のサーチ関心領域内の対応位置を探索して、テンプレート関心領域の中心の遷移をシフトベクトルとして記録する。
シフトベクトルの記録に当たっては、テンプレート関心領域の中心の座標、及び関心領域中心間の遷移を記録する。一般的には、関心領域の整合(マッチング)をとる際に、マッチング度合いをシフトベクトルの重みとしている。そして、通常、関心領域の相互相関を使ってマッチングする場合、相関係数をそのまま、シフトベクトルの重みとしている。SSDA(Sequential Similarity Detection Algorithm)を使う場合、残差の逆数を計算し正規化した結果を重みとしている。その後、得られた重みを用いてシフトベクトルを多項式で内挿補間し、第2画像を第1画像にワーピングすることにより、差分を得る。
しかしながら、胸部単純X線写真には、次のように、情報量が相違する種々の領域が含まれている。鎖骨及び体境界部では、階調情報が簡単である反面、エッジ情報が豊富である。肺野エッジ部では、階調情報及びエッジ情報がいずれも豊富である。心臓及び横隔膜では、階調情報及びエッジ情報がいずれも乏しい。そして、階調情報又はエッジ情報が乏しい関心領域を使ってマッチングを行った場合には、シフトベクトルの重みが高くても、必ずしも関心領域が正確にマッチングしたとはいえない。この場合、シフトベクトルの情報が正しいかどうかを判断することはできず、後続の処理にネガティブな影響を与える。
また、階調情報及びエッジ情報等を含めたテクスチャが富んでいる関心領域のシフトベクトルについては、テクスチャの低い関心領域のシフトベクトルよりも、高精度で補間することが望ましく、より精密なシフトベクトル補間が必要である。
特開2002−32735号公報
本発明は、高い精度で2つの画像の位置合わせを行うことができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
本発明に係る画像処理装置は、第1の画像及び第2の画像に対して、両画像間における関心領域の対応点のマッチング度合いを取得するマッチング度合い取得手段と、前記対応点の周囲において、画素値の勾配が所定の閾値よりも大きいエッジを検出する検出手段と、前記第1の画像と前記第2の画像とを位置合わせする際の関心領域の移動量を示すシフトベクトルを取得するシフトベクトル取得手段と、前記マッチング度合いと前記関心領域の面積に対するエッジとして検出された画素数とに基づき、前記シフトベクトルに対して重み付けを行うシフトベクトル重み付与手段と、を有することを特徴とする。
本発明に係る画像処理方法は、マッチング度合い取得手段が、第1の画像及び第2の画像に対して、両画像間における関心領域の対応点のマッチング度合いを取得するマッチング度合い取得ステップと、検出手段が、前記対応点の周囲において、画素値の勾配が所定の閾値よりも大きいエッジを検出する検出ステップと、シフトベクトル取得手段が、前記第1の画像と前記第2の画像とを位置合わせする際の関心領域の移動量を示すシフトベクトルを取得するシフトベクトル取得ステップと、シフトベクトル重み付与手段が、前記マッチング度合いと前記関心領域の面積に対するエッジとして検出された画素数とに基づき、前記シフトベクトルに対して重み付けを行うシフトベクトル重み付与ステップと、を有することを特徴とする。
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、第1の画像及び第2の画像に対して、両画像間における関心領域の対応点のマッチング度合いを取得するマッチング度合い取得手段と、前記対応点の周囲において、画素値の勾配が所定の閾値よりも大きいエッジを検出する検出手段と、前記第1の画像と前記第2の画像とを位置合わせする際の関心領域の移動量を示すシフトベクトルを取得するシフトベクトル取得手段と、前記マッチング度合いと前記関心領域の面積に対するエッジとして検出された画素数とに基づき、前記シフトベクトルに対して重み付けを行うシフトベクトル重み付与手段として機能させるためのものであることを特徴とする。
本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記プログラムを記録したことを特徴とする。
本発明によれば、テクスチャが豊富な関心領域のシフトベクトルに対して、テクスチャの乏しい関心領域のシフトベクトルよりも大きい重みが与えられるため、内挿補間する際に、より精密な補間を行うことができる。従って、例えば、異なる時点で撮影された2つ画像の位置合わせ精度を向上することができる。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置の機能的な構成を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る医用画像処理装置は、図1に示す機能を実現するための専用の装置であってもよいし、汎用のコンピュータに後述の処理を実行させる制御プログラムを提供して実現させてもよい。また、図1に示す各機能ブロックは、ハードウエアで実現してもよいし、ソフトウエアで実現してもよいし、ハードウエア及びソフトウエアの協働により実現してもよい。
本実施形態に係る医用画像処理装置には、図1に示すように、画像入力部1、テンプレート関心領域設定部2、サーチ関心領域マッチング部3、関心領域テクスチャ計算部4、マッチング度合い計算部5、シフトベクトル計算部6、シフトベクトル重み計算部7及びシフトベクトル内挿補間部8が設けられている。
画像入力部1は、画像蓄積部(図示せず)から2枚のディジタル画像(第1画像及び第2画像)を読み込む。例えば、異なる時点で撮影された同一被検者の2枚のディジタル画像を読み込む。テンプレート関心領域設定部2は、第1画像の肺野部位に均等にテンプレート関心領域を設定する。サーチ関心領域マッチング部3は、テンプレート関心領域に対応する第2画像内の位置に、テンプレート関心領域より大きいサーチ関心領域を設定する。
関心領域テクスチャ計算部4は、テンプレート関心領域設定部2により設定されたテンプレート関心領域のテクスチャを計算する。テンプレート関心領域に含まれるテクスチャの評価には種々のものがあるが、テンプレート関心領域の画素値の変化は一つの指標となる。そこで、本実施形態では、関心領域テクスチャ計算部4がテンプレート関心領域のヒストグラムを作成し、非ゼロカウントの画素値数Ciをテクスチャとする。ここで、iはテンプレート関心領域の番号である。このような処理を行うことにより、次のように、縦隔、心臓及び横隔膜等の部位に設定されたテンプレート関心領域のテクスチャは低くなり、肺野及び肺野輪郭部に設定されたテンプレート関心領域のテクスチャは高くなる。
図2(a)乃至(d)は、夫々肺野エッジ、肺野中央、縦隔及び横隔膜に設定されたテンプレート関心領域の画像(12ビット)を示す図である。また、図3(a)乃至(d)は、夫々図2(a)乃至(d)に示す画像ヒストグラムを示す図である。但し、図3(a)乃至(d)では、データ量を8ビットに換算してある。図3(a)に示すように、肺野エッジに設定されたテンプレート関心領域では、非ゼロカウントの画素値は、180〜230程度と約50の幅にわたって分布している。また、図3(b)に示すように、肺野中央に設定されたテンプレート関心領域では、非ゼロカウントの画素値は、150〜180程度と約30の幅にわたって分布している。これらに対し、縦隔に設定されたテンプレート関心領域では、図3(c)に示すように、非ゼロカウントの画素値は、240〜250程度の約10の幅にのみ分布し、横隔膜に設定されたテンプレート関心領域では、図3(d)に示すように、非ゼロカウントの画素値は、240〜256程度の約16の幅にのみ分布している。従って、肺野エッジ又は肺野中央に設定されたテンプレート関心領域は、縦隔又は横隔膜に設定されたテンプレート関心領域よりも信頼性が高いといえる。
マッチング度合い計算部5は、テンプレート関心領域を第2画像内のサーチ領域に移動させながら、相互相関係数を計算する。相互相関係数が最大となる位置はテンプレート関心領域の中心と対応するので、本実施形態では、テンプレート関心領域の中心での相互相関係数Riをマッチングの度合いとして用いる。
シフトベクトル計算部6は、第2画像において相互相関係数が最大となる位置と第1画像にあるテンプレート関心領域の中心とのずれを計算し、水平方向及び垂直方向の移動量をシフトベクトルとして求める。
シフトベクトル重み計算部7は、関心領域テクスチャ計算部4が求めたテンプレート関心領域の非ゼロカウントの画素値数Ci及びマッチング度合い計算部5が求めた最大相互相関係数Riから、全ての関心領域について、最大相互相関係数Riとテンプレート関心領域のテクスチャTiとの積を計算し、数式1から求められる正規化した結果を各関心領域の重みとする。
Figure 0004708740
但し、Nは関心領域の数であり、また、本実施形態においては、Ti=Ciとする。
本実施形態では、関心領域テクスチャ計算部4、マッチング度合い計算部5及びシフトベクトル重み計算部7から重み処理部9が構成されている。このような重み処理部9により得られたシフトベクトルの重みの例を図4に示す。なお、図4に示す例は、図10に示すような一般的なX線写真から得られたものである。図4に示すように、胸野エッジの近傍に設定された関心領域のシフトベクトルはより大きい重みをもち、肺野中央、縦隔、心臓及び腹等の部位に設定された関心領域のシフトベクトルは小さい重みをもつ。
シフトベクトル内挿補間部8は、シフトベクトル重み計算部7が求めたシフトベクトルの重み及びシフトベクトル計算部6が計算したシフトベクトルを多項式より内挿補間する。そして、第1画像から第2の画像への変形を一つの多項式で表現し、後続の処理で第2画像を第1画像にワーピングしたのち、第1画像と第2画像とを差分処理してから、差分画像を得る。
次に、上述のように構成された医用画像処理装置の動作について説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
本実施形態では、先ず、画像入力部1が第1画像を画像蓄積部(図示せず)からメモリに読み込む(ステップS101)。次に、第1画像内の肺野エッジが検出され、肺野領域が設定される(ステップS102)。図6は、通常の胸部単純写真で検出された肺野エッジを示す模式図である。このようなエッジの最上端、最下端、最左端及び最右端の中心が肺野中心とされ、エッジの最上端及び最下端から垂直方向にΔh、最左端及び最右端から水平方向にΔwだけ拡大した矩形の領域が肺野領域10とされる。但し、このようにして設定される矩形領域が画像境界を越える場合には、矩形領域の越えた部分がトリミングされた結果が肺野領域10とされる。
テンプレート関心領域設定部2は、肺野領域が設定された後、この肺野領域内に、均等にテンプレート関心領域(ROI)の中心を設定し、テンプレート関心領域を設定する(ステップS103)。
次いで、関心領域テクスチャ計算部4が、設定されたROI毎に画像のヒストグラムを統計により作成する(ステップS104)。続いて、関心領域テクスチャ計算部4は、各ヒストグラムに対して、非ゼロカウントの画素値数Ciを求める。
その後、画像入力部1が第2画像を画像蓄積部(図示せず)からメモリに読み込む(ステップS106)。続いて、ステップS102と同様に、第2画像の肺野エッジが検出され、肺野中心が求められ、肺野領域が設定される(ステップS107)。
次に、ステップS102及びS107において検出された肺野エッジの最上端、最下端、最左端及び最右端に基づいて、2つの画像間における肺野全体の移動量及び水平垂直拡大縮小率が計算される(ステップS108)。
次いで、サーチ関心領域マッチング部3が、第2画像に対し、数式2のようにして、ステップS103で設定されたテンプレートROIの中心と対応する位置にサーチROIの中心を設定し、サーチROIを設定する(ステップS109)。
Figure 0004708740
但し、(x,y)は第1画像の肺野中心を原点としたときのテンプレートROI中心の座標であり、(x’,y’)は第2画像の肺野中心を原点としたときのサーチROI中心の座標である。ΔH及びΔVは、夫々水平方向及び垂直方向における肺野中心の全体的な移動量であり、rh及びrvは、夫々水平拡大縮小率及び垂直拡大縮小率である。
次に、後述のステップS111〜S115の処理が全てのROIに対して行われたか否かの判断が行われ(ステップS110)、全てのROIに対して行われている場合には、ステップS116に進む。一方、処理が行われていないROIが存在する場合には、ステップS111に進む。
ステップS111では、後述のステップS112の処理がサーチ範囲内の全ての位置に対して行われたか否かの判断が行われ、全ての位置に対して行われている場合には、ステップS113に進む。一方、処理が行われていない位置が存在する場合には、ステップS112に進む。
ステップS112では、マッチング度合い計算部5がテンプレートROIとそのサーチROI内の対応領域との相互相関係数Riを計算する。
ステップS113では、マッチング度合い計算部5が全てのサーチ位置に関し、最大の相互相関係数の位置を探し出す。次いで、シフトベクトル計算部6が、ステップS113で探し出された位置に基づいて、シフトベクトルを計算する(ステップS114)。続いて、ステップS105で求められたテンプレートROIテクスチャ及びステップS113で求められた最大相互相関係数を用いて、全てのサーチ位置に対して、数式1により、そのシフトベクトルの重みを計算する(ステップS115)。
そして、シフトベクトル内挿補間部8が、全てのシフトベクトルを用いて、内挿補間を行う(ステップS116)。
このような第1の実施形態によれば、テクスチャが豊富な関心領域のシフトベクトルには、テクスチャが乏しい関心領域のシフトベクトルよりも大きい重みが与えられ、より精密に内挿補間を行うことができる。このため、例えば、異なる時点で撮影された2つ画像の位置合わせ精度を向上できる。
なお、第1の実施形態における処理順序は、図5のフローチャートに示すものに特に限定されなく、本実施形態の機能を異なる手順で実現してもよい。また、数式1はテンプレート関心領域の面積が全て均一である場合に用いることができ、関心領域の面積が異なる場合は、数式3を用いることにより正規化を行うことができる。
Figure 0004708740
但し、Siは第i番目の関心領域の面積である。また、第1の実施形態では、上述のように、Ti=Ciである。
また、関心領域のヒストグラムの非ゼロカウントの画素値数Ciの他に、画素値の分散、ヒストグラムの尖度等をテクスチャに対して重みつけて加算してもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、機能ブロックは第1の実施形態と同様であるが、関心領域テクスチャ計算部4の機能が第1の実施形態のそれと相違している。図7は、本発明の第2の実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
本実施形態では、第1の実施形態と同様にして、第1画像に対してROIを設定した後(ステップS103)、数式4により、高速フーリエ変換(FFT)係数を求める(ステップS201)。
Figure 0004708740
但し、M及びNは、夫々テンプレートROIの水平画素数及び垂直画素数である。
次に、FFT係数に、p=0,1,・・・,M/2、q=0,1,・・・,N/2の周波数成分を除いた高周波成分の絶対値の和SHiを求める(ステップS202)。ここで、iは関心領域の番号である。
Figure 0004708740
次いで、数式6のように、和SHiに左上の領域の周波数成分の絶対値を加えることにより、全周波数成分の絶対値の和SAiを求める(ステップS203)。
Figure 0004708740
その後、数式7により比率Raiの値を求め、この値を関心領域のテクスチャとする(ステップS204)。
Figure 0004708740
一般的な胸部単純写真における肺野エッジ関心領域、肺野中央関心領域、縦隔関心領域及び横隔膜関心領域の各高周波成分比率Raは次のようになる。
肺野エッジ関心領域: 20.73 %
肺野中央関心領域 : 23.81 %
縦隔関心領域 : 6.22 %
横隔膜関心領域 : 3.33 %
このように、肺野エッジ又は肺野中央に設定された関心領域は、より高いテクスチャを含む。
その後、第1の実施形態と同様にして、ステップS106以降の処理を行う。但し、数式1を用いた正規化の際には、Ti=Raiとしてシフトベクトルの重みを計算する。
このように、第2の実施形態では、関心領域のFFT(高速フーリエ変換)係数を求め、全成分に対する高周波成分の比率を関心領域のテクスチャとする。このため、第1の実施形態と同様に、より精密に内挿補間を行うことができ、異なる時点で撮影された2つ画像の位置合わせ精度を向上できる。
なお、本実施形態において、FFTではなく、離散コサイン変換(DCT)、ウェブレット変換等を用いて関心領域の画像を変換し、全周波成分に対する高周波成分の比をテクスチャとしてもよい。また、周波数p及びqについては、夫々所定値より小さいものを低周波とするではなく、(p+q)又は(p2+q21/2が所定値より小さくなるものを低周波として、高周波成分比率Raを計算してもよい。また、SHi又はSAiを計算する際に、絶対値の和ではなく、各周波数成分の自乗和としてもよい。また、関心領域の全周波数成分に対する低周波成分の比率RaLを求め、「1−RaL」をテクスチャとしてもよい。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、機能ブロックは第1の実施形態と同様であるが、関心領域テクスチャ計算部4の機能が第1の実施形態及び第2の実施形態のそれと相違している。図8は、本発明の第3の実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
本実施形態では、第1の実施形態と同様にして、第1画像に対してROIを設定した後(ステップS103)、数式8に示す水平Sobelオペレータを関心領域に掛けて、位置(i,j)における画像の水平エッジ強度bx(i,j)を計算し(ステップS301)、数式8に示す垂直Sobelオペレータを関心領域に掛けて、位置(i,j)における画像の垂直エッジ強度by(i,j)を計算する(ステップS302)。
Figure 0004708740
次に、数式9により、位置(i,j)における水平及び垂直エッジの強度bx(i,j)及びby(i,j)に基づいて、同位置における画像のグラジエントの強度g(i,j)を計算する(ステップS303)。
Figure 0004708740
続いて、後述のステップS305〜S308の処理が全ての画素位置に対して行われたか否かの判断が行われ(ステップS304)、全ての画素位置に対して行われている場合には、ステップS309に進む。一方、処理が行われていない画素位置が存在する場合には、ステップS305に進む。
ステップS305では、グラジエントの強度g(i,j)が所定の閾値より大きいか否かの判断が行われ、大きい場合には、ステップS306に進み、閾値以下の場合には、ステップS304に戻る。
ステップS306では、bx(i,j)>by(i,j)であれば、水平エッジであると判断され、更に、水平エッジ強度bx(i,j)が極大値になっているか否かの判断が行われる。bx(i,j)>by(i,j)が成り立ち、且つ、bx(i,j)が極大値になっていれば、ステップS308に進み、いずれかが成り立たなければ、ステップS307に進む。
ステップS307では、by(i,j)>bx(i,j)であれば、垂直エッジであると判断され、更に、垂直エッジ強度by(i,j)が極大値になっているか否かの判断が行われる。by(i,j)>bx(i,j)が成り立ち、且つ、by(i,j)が極大値になっていれば、ステップS308に進み、いずれかが成り立たなければ、ステップS304に戻る。
そして、ステップS308では、位置(i,j)をエッジとして検出し(ステップS304)、ステップS304に戻る。
また、ステップS309では、検出されたエッジ数の関心領域の面積に対する割合(エッジ割合)Piを計算し、この割合Piを関心領域のテクスチャとする。ここで、iは関心領域の番号である。
例として、一般的な胸部単純写真における肺野エッジ関心領域、肺野中央関心領域、縦隔関心領域及び横隔膜関心領域の検出結果を図9に示す。また、これらの関心領域のエッジ割合Piは次のようになる。
肺野エッジ関心領域: 6.66 %
肺野中央関心領域 : 6.30 %
縦隔関心領域 : 0.00 %
横隔膜関心領域 : 0.00 %
このように、縦隔又は横隔膜領域に設定された関心領域については、良好なマッチングを行うことができない。
その後、第1の実施形態と同様にして、ステップS106以降の処理を行う。但し、数式1を用いた正規化の際には、Ti=Piとしてシフトベクトルの重みを計算するが、この際、縦隔又は横隔膜領域に設定されたテンプレート関心領域(ROI)のシフトベクトルの重みが低いため、その処理を省略し、シフトベクトルの補間式の計算には使用しない。
このように、第3の実施形態では、各関心領域において、エッジ検出を行い、関心領域面積に対するエッジ量の比を関心領域のテクスチャとする。このため、第1の実施形態と同様に、より精密に内挿補間を行うことができ、異なる時点で撮影された2つ画像の位置合わせ精度を向上できる。
なお、本実施例において、エッジ検出を行って関心領域テクスチャの計算を行う際に、Sobel演算子ではなく、Prewitt、Roberts又はCanny等の手法を用いてもよい。
また、第1乃至第3の実施形態において、シフトベクトル重み計算部7によるシフトベクトル重みの計算の際に、数式1を用いた正規化を行うのではなく、関心領域のテクスチャを正規化して、マッチング度合いとの重み付け和をシフトベクトルの重みとしてもよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、機能ブロックは第1の実施形態と同様であるが、シフトベクトル重み計算部7の機能が第1の実施形態のそれと相違している。
本実施形態においては、シフトベクトル重み計算部7は、胸郭の検出を行い、胸郭近傍に設定された関心領域に大きい重みを与え、他の関心領域に小さい重み与える。そして、与えられた重みとマッチング度合いの正規化結果をシフトベクトルとする。
この処理においては、例えば、胸郭のエッジが存在するテンプレート関心領域を胸郭近傍に設定された関心領域と判断してもよい。また、テンプレート関心領域の中心から、胸郭エッジまでの水平距離及び垂直距離を計算し、小さい方の距離を基準にして胸郭の近傍にあるかどうか判断してもよい。また、テンプレート関心領域の中心から最近隣の胸郭エッジまでの距離を計算し、この距離を基準にして胸郭の近傍にあるかどうかを判断してもよい。
このような第4の実施形態によっても、第1乃至第3の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本発明は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、撮像装置、webアプリケーション等)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体(又は記憶媒体)を、システム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成することができる。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることとなる。
更に、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
本発明を上記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
即ち、本発明の実施形態は、例えばコンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置の機能的な構成を示す機能ブロック図である。 肺野エッジ、肺野中央、縦隔及び横隔膜に設定されたテンプレート関心領域の画像を示す図である。 図2(a)に示す画像ヒストグラムを示す図である。 図2(b)に示す画像ヒストグラムを示す図である。 図2(c)に示す画像ヒストグラムを示す図である。 図2(d)に示す画像ヒストグラムを示す図である。 重み処理部9により得られたシフトベクトルの重みの例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャートである。 通常の胸部単純写真で検出された肺野エッジを示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係る医用画像処理装置の動作を示すフローチャートである。 第3の実施形態におけるエッジの検出結果を示す図である。 従来の画像処理方法を示す図である。
符号の説明
1:画像入力部
2:テンプレート関心領域設定部
3:サーチ関心領域設定部
4:関心領域テクスチャ計算部
5:マッチング度合い計算部
6:シフトベクトル計算部
7:シフトベクトル重み計算部
8:シフトベクトル内挿補間部
9:重み処理部
10:肺野領域

Claims (4)

  1. 第1の画像及び第2の画像に対して、両画像間における関心領域の対応点のマッチング度合いを取得するマッチング度合い取得手段と、
    前記対応点の周囲において、画素値の勾配が所定の閾値よりも大きいエッジを検出する検出手段と、
    前記第1の画像と前記第2の画像とを位置合わせする際の関心領域の移動量を示すシフトベクトルを取得するシフトベクトル取得手段と、
    前記マッチング度合いと前記関心領域の面積に対するエッジとして検出された画素数とに基づき、前記シフトベクトルに対して重み付けを行うシフトベクトル重み付与手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. マッチング度合い取得手段が、第1の画像及び第2の画像に対して、両画像間における関心領域の対応点のマッチング度合いを取得するマッチング度合い取得ステップと、
    検出手段が、前記対応点の周囲において、画素値の勾配が所定の閾値よりも大きいエッジを検出する検出ステップと、
    シフトベクトル取得手段が、前記第1の画像と前記第2の画像とを位置合わせする際の関心領域の移動量を示すシフトベクトルを取得するシフトベクトル取得ステップと、
    シフトベクトル重み付与手段が、前記マッチング度合いと前記関心領域の面積に対するエッジとして検出された画素数とに基づき、前記シフトベクトルに対して重み付けを行うシフトベクトル重み付与ステップと、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  3. コンピュータを、
    第1の画像及び第2の画像に対して、両画像間における関心領域の対応点のマッチング度合いを取得するマッチング度合い取得手段と、
    前記対応点の周囲において、画素値の勾配が所定の閾値よりも大きいエッジを検出する検出手段と、
    前記第1の画像と前記第2の画像とを位置合わせする際の関心領域の移動量を示すシフトベクトルを取得するシフトベクトル取得手段と、
    前記マッチング度合いと前記関心領域の面積に対するエッジとして検出された画素数とに基づき、前記シフトベクトルに対して重み付けを行うシフトベクトル重み付与手段として機能させるためのプログラム。
  4. コンピュータを、
    第1の画像及び第2の画像に対して、両画像間における関心領域の対応点のマッチング度合いを取得するマッチング度合い取得手段と、
    前記対応点の周囲において、画素値の勾配が所定の閾値よりも大きいエッジを検出する検出手段と、
    前記第1の画像と前記第2の画像とを位置合わせする際の関心領域の移動量を示すシフトベクトルを取得するシフトベクトル取得手段と、
    前記マッチング度合いと前記関心領域の面積に対するエッジとして検出された画素数とに基づき、前記シフトベクトルに対して重み付けを行うシフトベクトル重み付与手段として機能させるためのプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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