JP2004309386A - 電流検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、電流検出装置に関し、インバータ回路からモータに流れる電流を高精度に検出することが可能な電流検出装置を提供する。
【解決手段】PWM制御されるインバータ回路2からモータ1に流れる電流を検出する電流検出装置であって、インバータ回路2とモータ1との間に設けられたシャント抵抗4と、シャント抵抗4の両端間に生ずる電圧をPWM周期に同期して方形波に変換する変換回路6と、当該方形波を正弦波にフィルタリングするフィルタ7と、当該正弦波の振幅を検出する振幅検出手段9と、当該振幅に基づいてモータ1に流れる電流を検出する電流検出手段10と、を有してなる。
【選択図】 図1
【解決手段】PWM制御されるインバータ回路2からモータ1に流れる電流を検出する電流検出装置であって、インバータ回路2とモータ1との間に設けられたシャント抵抗4と、シャント抵抗4の両端間に生ずる電圧をPWM周期に同期して方形波に変換する変換回路6と、当該方形波を正弦波にフィルタリングするフィルタ7と、当該正弦波の振幅を検出する振幅検出手段9と、当該振幅に基づいてモータ1に流れる電流を検出する電流検出手段10と、を有してなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デューティ制御されるインバータ回路からモータに流れる電流を検出する電流検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、デューティ制御されるインバータ回路からモータに流れる電流を検出する電流検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電流検出装置は、一般に、インバータ回路とモータとの間に設けられるシャント抵抗と、シャント抵抗の端子間電圧を増幅する増幅器と、を有している。そして、シャント抵抗の抵抗値と増幅器で増幅された出力電圧とに基づいてインバータ回路からモータに流れる電流を検出する。
【0003】
ところで、シャント抵抗のインバータ回路側の端子電圧は接地から電源電圧まで大きく変動する。このため、シャント抵抗の両端子に直接に増幅器の入力端子が接続される構成では、増幅器の電源電圧はインバータ回路の電源電圧以上であることが必要となる。即ち、増幅器の電源電圧は、インバータ回路の電源電圧が高い場合にはそれに合わせて高くすることが必要である。しかし、増幅器の電源電圧が高いとその増幅器を含む電流検出装置のIC化が困難になる不都合が生ずる。
【0004】
そこで、シャント抵抗の両端の端子電圧をそれぞれ分圧する分圧回路を設け、増幅器の入力端子に入力される電圧を下げることが考えられる。この場合には、電流検出装置の増幅器の電源電圧を下げることが可能となり、電流検出装置のIC化を実現することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−172703号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術においては、電流検出装置の電流検出が増幅器で増幅された出力電圧自体のレベル(大きさ)に基づいて行われる。しかしながら、かかる構成では、温度変化等に起因して素子特性が変化すると、増幅器で増幅される出力電圧にオフセット誤差が含まれることとなり、インバータ回路からモータに流れる電流を正確に検出することができないという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、インバータ回路の電源電圧が比較的高い場合にも、インバータ回路からモータに流れる電流を高精度に検出することが可能な電流検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、本発明に係る電流検出装置は、次のような手段を採用する。
【0009】
即ち、請求項1記載の発明は、デューティ制御されるインバータ回路からモータに流れる電流を検出する電流検出装置であって、前記インバータ回路と前記モータとの間に設けられたシャント抵抗と、該シャント抵抗の端子間電圧をデューティ周期に同期して方形波に変換する変換回路と、該方形波を正弦波にフィルタリングするフィルタと、該正弦波の振幅を検出する振幅検出手段と、該振幅に基づいて前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、シャント抵抗の端子間電圧がデューティ周期に同期した方形波に変換され、当該方形波が正弦波にフィルタリングされ、当該正弦波の振幅に基づいてモータに流れる電流が検出される。このため、回路素子の温度特性等に起因するオフセットドリフトが生じてもそのオフセット分が電流を検出するうえで影響を与えることはなく、オフセットドリフトの影響を除去しつつモータに流れる電流を検出することができる。また、デューティ制御に伴うシャント抵抗の端子電圧変化に対応してモータに流れる電流を検出することができる。従って、インバータ回路からモータに流れる電流を高精度に検出することができる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記シャント抵抗の両端の端子電圧をそれぞれ所定倍数に分圧して前記変換回路の入力端子に印加する分圧回路と、前記フィルタでフィルタリングされた正弦波を前記所定倍数の逆数倍増幅して前記振幅検出手段へ向けて出力する増幅器と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、シャント抵抗の両端の端子電圧がそれぞれ所定倍数に分圧されて増幅器の入力端子に印加されため、増幅器の電源電圧をインバータ回路の電源電圧と比較して下げることができる。従って、インバータ回路の電源電圧が高い場合でも電流検出装置をIC化することができる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記変換回路は、前記デューティ制御のデューティオン時又はオフ時に前記シャント抵抗の端子間電圧を正側に増幅する正増幅器と、前記デューティ制御のデューティオフ時又はオン時に前記シャント抵抗の端子間電圧を負側に増幅する負増幅器と、を有し、前記正増幅器が前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には前記正増幅器の入力端子に電源電圧を印加すると共に、前記負増幅器が前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には前記負増幅器の入力端子を接地することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、正増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅する場合には、正増幅器の入力端子にデューティ制御のデューティオン時又はオフ時の電源電圧近傍の電圧が印加され、正増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には、正増幅器の入力端子に電源電圧が印加される。また、負増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅する場合には、負増幅器の入力端子にデューティ制御のデューティオフ時又はオン時の接地電圧近傍の電圧が印加され、負増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には、負増幅器の入力端子に接地電圧が印加される。従って、正増幅器及び負増幅器の入力端子に印加される同相入力電圧の範囲がそれぞれ比較的狭く制限されるため、同相入力電圧の範囲が比較的広い構成と比較して、両増幅器のCMR(同相成分除去比)を低く抑えることができる。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記正増幅器は、前記デューティ制御のデューティ比が第1の所定値よりも大きい場合にのみ前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅すると共に、前記負増幅器は、前記デューティ比が第2の所定値よりも小さい場合にのみ前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、デューティ制御のデューティオン時間が比較的長い場合にのみ正増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅すると共に、デューティ制御のデューティオフ時間が比較的長い場合にのみ負増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅するため、増幅器の応答性に依存しないで安定して増幅器を作動させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電流検出装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態である電流検出装置を備えるシステムの構成図である。本実施形態のシステムは、車両に搭載される電動パワーステアリングのシステムであって、運転者のステアリング操作をモータを用いて電気的にアシストする。本実施形態のシステムは、ステアリング操作をアシストするトルクを発生するモータ1、及び、モータ1を駆動するインバータ回路2を備えている。
【0019】
モータ1は、三相交流ブラシレスモータである。インバータ回路2は、モータ1の各相に対応して電源−接地間に並列接続される三対のスイッチング素子SWu,SWv,SWwを有している。各一対のスイッチング素子SWu,SWv,SWwは、電源−接地間で直列接続された、電源側に接続されているスイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1と接地側に接続されているスイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2とにより構成されている。各スイッチング素子SWは、例えば、MOS型のトランジスタである。尚、インバータ回路2の電源は車載バッテリであり、その電圧VPは、例えば42Vである。
【0020】
モータ1の各相(U相,V相,W相)は、インバータ回路2の三対のスイッチング素子SWu,SWv,SWwに一対一で対応するように接続されている。具体的には、U相がスイッチング素子SWuに、V相がスイッチング素子SWvに、W相がスイッチング素子SWwにそれぞれ対応している。モータ1の各相は、スイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1とスイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2との間の端子に接続されている。
【0021】
上記の構成において、インバータ回路2は、図示しない制御部によってPWM(Pulse Width Modulation)制御される。即ち、電源側のスイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1と接地側のスイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2とは、互いに連動してオン・オフされる。また、U相のSWuとV相のSWvとW相のSWwは、互いに120°ずつ位相がずれてオン・オフされる。
【0022】
モータ1の各相にはそれぞれ、電流検出回路3が設けられている。尚、モータ1の各相の電流検出回路3は、構成上異なるところがないため、以下ではW相の電流検出回路3についてのみ説明する。電流検出回路3は、シャント抵抗4(抵抗値=R0)を有している。シャント抵抗4は、インバータ回路2とモータ1との間に設けられている。シャント抵抗4には、分圧回路5が接続されている。分圧回路5は、シャント抵抗4の両端の端子電圧をそれぞれ分圧するための分圧抵抗5a〜5d(抵抗値=R1,R2,R3,R4)を備えている。
【0023】
シャント抵抗4のモータ1側の端子には、分圧抵抗5aの一端が接続されている。分圧抵抗5aの他端には分圧抵抗5bの一端が接続されている。分圧抵抗5bの他端は接地されている。即ち、分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとは、シャント抵抗4のモータ1側の端子と接地との間で直列接続されている。また、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子には、分圧抵抗5cの一端が接続されている。分圧抵抗5cの他端には分圧抵抗5dの一端が接続されている。分圧抵抗5dの他端は接地されている。即ち、分圧抵抗5cと分圧抵抗5dとは、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子と接地との間で直列接続されている。分圧抵抗5a〜5dの各抵抗値は、シャント抵抗4のモータ1側の電圧の分圧比(R2/(R1+R2))と、シャント抵抗4のインバータ回路2側の電圧の分圧比(R4/(R3+R4))とが一致するように設定されている。この際、R1=R3及びR2=R4とするのが好ましい。尚、以下では、その分圧比(R2/(R1+R2)=R4/(R3+R4))を1/nとする。
【0024】
上記の構成において、分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとの間の端子には、シャント抵抗4のモータ1側の端子電圧が1/n倍に分圧された電圧が現れる。また、分圧抵抗5cと分圧抵抗5dとの間の端子には、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子電圧が1/n倍に分圧された電圧が現れる。分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとの間の端子及び分圧抵抗5cと分圧抵抗5dとの間の端子には、同期検波回路6の入力端子が接続されている。
【0025】
図2は、同期検波回路6の構成を示す図である。同期検波回路6は、同一特性を有する2個の増幅器6a,6bを有している。増幅器6aの非反転入力端子6dは分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとの間の端子に接続され、増幅器6aの反転入力端子6eは分圧抵抗5cと分圧抵抗5dとの間の端子に接続されている。増幅器6bの反転入力端子6fは分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとの間の端子に接続され、増幅器6bの非反転入力端子6gは分圧抵抗5cと5dとの間の端子に接続されている。増幅器6aは、非反転入力端子6dの入力電圧と反転入力端子6eの入力電圧との差圧を出力するものである。増幅器6bは、非反転入力端子6gの入力電圧と反転入力端子6fの入力電圧との差圧を出力するものである。即ち、増幅器6aと増幅器6bとは、シャント抵抗4の端子間電圧に応じた電圧を互いに逆相に1倍ずつ増幅する。
【0026】
増幅器6aの出力端子6h及び増幅器6bの出力端子6iには、スイッチ6cが接続されている。スイッチ6cは、増幅器6aの出力端子6hと増幅器6bの出力端子6iとに選択的に接続される。スイッチ6cは、上記したインバータ回路2のPWM制御のデューティ周期に同期して増幅器6aと増幅器6bとから交互に出力電圧が出力されるように制御される。同期検波回路6は、シャント抵抗4の端子間電圧に応じたレベルを有する、デューティ周期に同期した方形波をスイッチ6cの出力端子から出力する。
【0027】
同期検波回路6の出力端子には、LPF(Low Pass Filter)7が接続されている。LPF7は、同期検波回路6から出力される方形波を正弦波にフィルタリングし出力する。
【0028】
LPF7の出力端子には、増幅器8が接続されている。増幅器8は、LPF7でフィルタリングされた正弦波を、上記した分圧回路5の分圧比1/nの逆数倍であるn倍に増幅する。尚、増幅器の電源電圧は、例えば12Vである。
【0029】
増幅器8の出力端子には、振幅検出部9が接続されている。振幅検出部9は、増幅器8によって増幅された正弦波の振幅を検出する。具体的には、振幅検出部9は、PWM制御のデューティ周期の正弦波を所定レートでサンプリングすると共にサンプリングしたアナログ信号を順次A/D変換し、A/D変換された所定数のサンプリングデータを用いてPWM制御のデューティ周期の正弦波関数を基底関数として最小2乗法によって基底関数の係数を計算して振幅を検出する。
【0030】
振幅検出部9には、電流検出部10が接続されている。電流検出部10は、シャント抵抗4の抵抗値R0と振幅検出部9で検出した振幅とに基づいてインバータ回路2からモータ1に流れる電流を検出する。
【0031】
このように、本実施形態の電流検出装置においては、シャント抵抗4の両端の端子電圧がそれぞれ分圧回路5にて分圧されて同期検波回路6の入力端子に印加され、同期検波回路6にてシャント抵抗4の端子間電圧がPWM制御のデューティ周期に同期した方形波に変換され、フィルタ7にて当該変換された方形波が正弦波にフィルタリングされ、増幅器8にて当該フィルタリングされた正弦波が増幅され、振幅検出部9にて当該増幅された正弦波の振幅が検出され、そして、電流検出部10にて当該検出された振幅に基づいてモータ1に流れる電流が検出される。
【0032】
即ち、本実施形態の電流検出装置において、モータ1に流れる電流の検出は、増幅器8にて増幅される正弦波の振幅に基づいて行われる。この正弦波はPWM制御のデューティ周期でシャント抵抗4の端子間電圧の正増幅と負増幅とを繰り返すことにより得られ、その振幅はシャント抵抗4の端子間電圧に応じたものとなる。従って、増幅器8にて増幅される正弦波の振幅を検出することとすれば、モータ1に流れる電流を検出することができる。
【0033】
かかる構成においては、温度変化等に起因して回路素子の特性が変化すると、その変化に伴って同期検波回路6の増幅器6a及び増幅器6bの出力レベルは共に変動し、同期検波回路6の出力レベル自体は変動するが、その増幅器6aと増幅器6bとは同一特性を有するので、増幅器8から出力される正弦波の振幅は変動しない。即ち、増幅器8の出力に回路素子の特性変化に起因するオフセットドリフトが生じた場合にも、そのオフセットは正弦波の振幅に影響を与えることがない。このため、オフセットドリフトの影響を除去しつつモータ1に流れる電流を検出することができる。
【0034】
また、シャント抵抗4の端子間電圧はPWM制御のデューティ周期に同期して方形波に変換されるため、PWM制御に伴うシャント抵抗4の端子電圧変化に対応してモータ1に流れる電流を検出することができる。
【0035】
従って、本実施形態の電流検出装置によれば、インバータ回路2からモータ1に流れる電流を高精度に検出することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、モータ1を適正にフィードバック制御することができ、これにより、運転者のステアリング操作をアシストする電動パワーステアリングシステムを制御性よく構築することが可能となっている。
【0036】
また、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子電圧は接地からインバータ回路2の電源電圧まで大きく変動する。このため、シャント抵抗4の両端子に直接に増幅器8の入力端子が接続される構成では、増幅器8の電源電圧はインバータ回路2の電源電圧以上であることが必要となる。これに対して本実施形態においては、シャント抵抗4の両端の端子電圧がそれぞれ所定倍数に分圧されて増幅器8の入力端子に印加される。このため、増幅器8の電源電圧をインバータ回路2の電源電圧よりも下げることが可能である。従って、本実施形態の電流検出装置によれば、インバータ回路2の電源電圧が例えば42Vと比較的高い場合であっても電流検出回路3のIC化を図ることが可能となっている。
【0037】
尚、上記の実施形態においては、同期検波回路6が特許請求の範囲に記載した「変換回路」に、LPF7が特許請求の範囲に記載した「フィルタ」に、振幅検出部9が特許請求の範囲に記載した「振幅検出手段」に、電流検出部10が特許請求の範囲に記載した「電流検出手段」に、電流検出回路3が特許請求の範囲に記載した「電流検出装置」に、それぞれ相当している。
【0038】
次に、本発明に係る電流検出装置の第2の実施形態について説明する。
【0039】
図3は、本発明の第2の実施形態である電流検出装置を備えるシステムの構成図である。尚、本実施形態において、第1の実施形態に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
【0040】
本実施形態のシステムにおいて、モータ1の各相にはそれぞれ、電流検出回路21が設けられている。尚、モータ1の各相の電流検出回路21は、構成上異なるところがないため、以下ではW相の電流検出回路21についてのみ説明する。電流検出回路21は、インバータ回路2とモータ1との間に設けられているシャント抵抗4と、シャント抵抗4の両端子に入力端子が接続されている同期検波回路22と、同期検波回路22の出力端子に接続されているLPF7と、LPF7の出力端子に接続されている増幅器23と、増幅器23の出力端子に接続されている振幅検出部9と、振幅検出部9に接続されている電流検出部10と、を有している。増幅器23は、LPF7でフィルタリングされた正弦波を+1倍に増幅する。
【0041】
図4は、同期検波回路22の構成を示す図である。同期検波回路22は、同一特性を有する2個の増幅器24,26を有している。増幅器24は、非反転入力端子24aの入力電圧と反転入力端子24bの入力電圧との差圧を出力する。また、増幅器26は、非反転入力端子26aの入力電圧と反転入力端子26bの入力電圧との差圧を出力する。即ち、増幅器24と増幅器26とは、シャント抵抗4の端子間電圧を互いに逆相に1倍ずつ増幅する。
【0042】
増幅器24の非反転入力端子24aには入力側第1スイッチ28が、また、反転入力端子24bには入力側第2スイッチ30が、それぞれ接続されている。入力側第1スイッチ28は、増幅器24の非反転入力端子24aを電圧VPを有する電源及びシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子のいずれか一方に選択的に接続させる。入力側第1スイッチ28は、増幅器24の非反転入力端子24aを、所定状況下においてインバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期してインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオン時に所定時間だけシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続させる一方、それ以外のときには電源に接続させる。また、入力側第2スイッチ30は、増幅器24の反転入力端子24bを電圧VPを有する電源及シャント抵抗4のモータ1側の端子のいずれか一方に選択的に接続させる。入力側第2スイッチ30は、増幅器24の反転入力端子24bを、所定状況下においてインバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期して電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオン時に所定期間だけシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続させる一方、それ以外のときには電源に接続させる。
【0043】
入力側第1スイッチ28と入力側第2スイッチ30とは互いに連動して作動する。具体的には、非反転入力端子24aが電源に接続される場合は、反転入力端子24bも電源に接続され、一方、非反転入力端子24aがシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続される場合は、反転入力端子24bはシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続される。尚、図4には、入力側第1スイッチ28が増幅器24の非反転入力端子24aをシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続させ、入力側第2スイッチ30が増幅器24の反転入力端子24bをシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続させている場合を示している。
【0044】
増幅器26の反転入力端子26bには入力側第3スイッチ32が、また、非反転入力端子26aには入力側第4スイッチ34が、それぞれ接続されている。入力側第3スイッチ32は、増幅器26の反転入力端子26bを接地及びシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子のいずれか一方に選択的に接続させる。入力側第3スイッチ32は、増幅器26の反転入力端子26bを、所定状況下においてインバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期してインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオフ時に所定時間だけシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続させる一方、それ以外のときには接地に接続させる。また、入力側第4スイッチ34は、増幅器26の非反転入力端子26aを接地及シャント抵抗4のモータ1側の端子のいずれか一方に選択的に接続させる。入力側第4スイッチ34は、増幅器26の非反転入力端子26aを、所定状況下において上記したデューティ周期に同期した電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオフ時に所定期間だけシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続させる一方、それ以外のときには接地に接続させる。
【0045】
入力側第3スイッチ32と入力側第4スイッチ34とは互いに連動して作動する。具体的には、反転入力端子26bが接地に接続される場合は、非反転入力端子26aも接地に接続され、一方、反転入力端子26bがシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続される場合は、非反転入力端子26aはシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続される。尚、図4には、入力側第3スイッチ32が増幅器26の反転入力端子26bを接地に接続させ、入力側第4スイッチ34が増幅器26の非反転入力端子26aを接地に接続させている場合を示している。
【0046】
増幅器24の出力端子24cには出力側第1スイッチ36が、増幅器26の出力端子26cには出力側第2スイッチ38が、それぞれ接続されている。出力側第1スイッチ36は、増幅器24の出力端子24cと同期検波回路22の出力端子40とを接続又は開放させる。出力側第1スイッチ36は、インバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期してインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオン時、入力側第1及び第2スイッチ28,30の作動により増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bがシャント抵抗4の両端の端子に接続され得るタイミングでトリガ的に出力端子24cと出力端子40とを導通させる一方、それ以外のときには遮断させる。また、出力側第2スイッチ38は、増幅器26の出力端子26cと同期検波回路22の出力端子40とを接続又は開放させる。出力側第2スイッチ38は、インバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期してインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオフ時、入力側第3及び第4スイッチ32,34の作動により増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bがシャント抵抗4の両端の端子に接続され得るタイミングでトリガ的に出力端子26cと出力端子40とを導通させる一方、それ以外のときには遮断させる。尚、図4には、出力側第1スイッチ36が増幅器24の出力端子24cと同期検波回路22の出力端子40とを接続し、出力側第2スイッチ38が増幅器26の出力端子26cと同期検波回路22の出力端子40とを開放している場合を示している。
【0047】
同期検波回路22の出力端子40には、一端が接地されたコンデンサ42の他端が接続されている。コンデンサ42は、出力端子40が増幅器24又は増幅器26の出力端子と接続された場合に充電され、出力端子40が増幅器24の出力端子及び増幅器26の出力端子双方と接続されない場合に放電される。
【0048】
図5は、同期検波回路22の動作を示すタイミングチャートである。尚、図5において、Iはシャント抵抗4に流れる電流を、Vは同期検波回路22から出力される出力電圧をそれぞれ示している。
【0049】
本実施形態のシステムにおいて、増幅器24の出力端子及び増幅器26の出力端子が共に同期検波回路22の出力端子40に接続されていない状態では、同期検波回路22の増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bは共に電源に接続され、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bは共に接地されている。
【0050】
かかる状態においてインバータ回路2のPWM制御により電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行すると、そのPWM制御のデューティ比が比較的高い場合には、その後、増幅器26の有する端子26a〜26cの接続状態は切り替わらない一方、増幅器24の有する非反転入力端子24a、反転入力端子24b、及び出力端子24cの接続状態が切り替わる。具体的には、非反転入力端子24aはシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続され、反転入力端子24bはシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続され、また、出力端子24cは同期検波回路22の出力端子40に接続される。
【0051】
この際、増幅器24は、非反転入力端子24aに入力される電圧(即ち、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に現れる電圧)と反転入力端子24bに入力される電圧(即ち、シャント抵抗4のモータ1側の端子に現れる電圧)との差圧を出力する。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が比較的高い状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子40に、シャント抵抗4の端子間電圧を+1倍に増幅した電圧が現れる。
【0052】
出力側第1スイッチ36による導通状態は長時間継続しないので、増幅器24の出力端子24cが同期検波回路22の出力端子40に接続された後、その接続状態は直ちに解除される。同期検波回路22の出力端子40には、上記の如く、コンデンサ42が接続されている。このため、上記した接続状態が解除された後にも、その出力端子40の電圧がある程度の時間一定に維持される。
【0053】
そして、かかる状態においてインバータ回路2のPWM制御により電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行すると、その後、同期検波回路22の出力端子40に増幅器26の出力端子26cが接続される。この際、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bは共に接地され、その差圧はゼロであるので、その出力端子26cに接地電圧が現れる。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が比較的高い状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子40に接地電圧が現れる。以後、PWM制御のデューティ比が比較的高い場合は、上記した処理が繰り返し行われる。
【0054】
一方、PWM制御のデューティ比が比較的低い状況下において電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行すると、その後、同期検波回路22の出力端子40に増幅器24の出力端子24cが接続される。この際、増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bは共に電源に接続され、その差圧はゼロであるので、その出力端子24cに接地電圧が現れる。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が比較的低い状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行した場合には、同期検波回路の出力端子40に接地電圧が現れる。
【0055】
そして、かかる状態においてインバータ回路2のPWM制御により電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行すると、その後、増幅器24の有する端子24a〜24cの接続状態は切り替わらない一方、増幅器26の有する非反転入力端子26a、反転入力端子26b、及び出力端子26cの接続状態が切り替わる。具体的には、非反転入力端子26aはシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続され、反転入力端子26bはシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続され、また、出力端子26cは同期検波回路22の出力端子40に接続される。
【0056】
この際、増幅器26は、非反転入力端子26aに入力される電圧(即ち、シャント抵抗4のモータ1側の端子に現れる電圧)と反転入力端子26bに入力される電圧(即ち、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に現れる電圧)との差圧を出力する。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が比較的低い状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子に、シャント抵抗4の端子間電圧を−1倍に増幅した電圧が現れる。
【0057】
出力側第2スイッチ38による導通状態は長時間継続しないので、増幅器26の出力端子26cが同期検波回路22の出力端子40に接続された後、その接続状態は直ちに解除される。同期検波回路22の出力端子40には、上記の如く、コンデンサ42が接続されている。このため、上記した接続状態が解除された後にも、その出力端子40の電圧がある程度の時間一定に維持される。以後、PWM制御のデューティ比が比較的低い場合は、上記した処理が繰り返し行われる。
【0058】
また、PWM制御のデューティ比が高くもなく低くもなく中程度である状況下において電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行すると、デューティ比が高い場合と同様に、その後、増幅器26の有する端子26a〜26cの接続状態は切り替わらない一方、増幅器24の有する非反転入力端子24a、反転入力端子24b、及び出力端子24cの接続状態が切り替わる。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が中程度である状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子40に、シャント抵抗4の端子間電圧を+1倍に増幅した電圧が現れる。
【0059】
更に、PWM制御のデューティ比が中程度である状況下において電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行すると、デューティ比が低い場合と同様に、その後、増幅器24の有する端子24a〜24cの接続状態は切り替わらない一方、増幅器26の有する非反転入力端子26a、反転入力端子26b、及び出力端子26cの接続状態が切り替わる。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が中程度である状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子40に、シャント抵抗4の端子間電圧を−1倍に増幅した電圧が現れる。以後、PWM制御のデューティ比が中程度である場合は、上記した処理が繰り返し行われる。
【0060】
このように、本実施形態の同期検波回路22は、シャント抵抗4の端子間電圧に応じたレベルを有する、インバータ回路2のPWM制御のデューティ周期に同期した方形波を出力端子40から出力する。この方形波は、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比に応じた形状を有する。LPF7は、同期検波回路22から出力される方形波を正弦波にフィルタリングする。増幅器23は、LPF7でフィルタリングされた正弦波を+1倍に増幅する。振幅検出部9は、増幅器23により増幅された正弦波の振幅を検出する。
【0061】
また、電流検出部10は、PWM制御のデューティ比が中程度である場合には、振幅検出部9により検出された振幅に基づいてインバータ回路2からモータ1に流れる電流を検出する。一方、そのデューティ比が比較的高い場合及び低い場合には、振幅検出部9により検出された振幅を2倍した値に基づいて上記した電流を検出する。
【0062】
即ち、本実施形態の電流検出装置において、インバータ回路2とモータ1との間に流れる電流の検出は、増幅器23にて増幅される正弦波の振幅に基づいて行われる。この正弦波はPWM制御のデューティ周期でシャント抵抗4の端子間電圧の正増幅と負増幅とを適宜繰り返すことにより得られ、その振幅はシャント抵抗4の端子間電圧に応じたものとなる。従って、本実施形態の電流検出装置においても、第1の実施形態の装置と同様に、インバータ回路2とモータ1との間に流れる電流を精度よく検出することができる。
【0063】
ところで、本実施形態の同期検波回路22において、増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bには、その増幅器24がシャント抵抗4の端子電圧を増幅しない場合には電源電圧VPが印加される一方、その増幅器がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅する場合にはインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオン時における電源電圧VP近傍の電圧が印加される。また、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bには、その増幅器26がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅しない場合には接地電圧が印加される一方、その増幅器26がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅する場合にはインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオフ時、即ち、接地側のスイッチング素子SWw2のデューティオン時における接地電圧近傍の電圧が印加される。
【0064】
この点、増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bに印加される電圧は、ほぼ電源電圧VPに維持される。また、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bに印加される電圧は、ほぼ接地電圧に維持される。即ち、増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bに印加される同相入力電圧の範囲は比較的狭く制限されており、また、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bに印加される同相入力電圧の範囲も比較的狭く制限されている。このため、本実施形態の電流検出装置によれば、同相入力電圧の範囲が比較的広い構成と比較して、両増幅器24,26のCMR(同相成分除去比)を低く抑えることが可能であり、そのCMRを極端に高くすることは不要となっている。
【0065】
また、インバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1についてデューティ比が比較的高い場合は、デューティオフ時間が短いため、増幅器26がシャント抵抗4の端子間電圧を適正に増幅することが困難である。また、インバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1についてデューティ比が比較的低い場合は、デューティオン時間が短いため、増幅器24がシャント抵抗4の端子間電圧を適正に増幅することが困難である。
【0066】
これに対して、本実施形態において、PWM制御のデューティ比が中程度以上である場合にのみ増幅器24がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅し、また、PWM制御のデューティ比が中程度以下である場合にのみ増幅器26がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅する。このため、本実施形態の同期検波回路22によれば、増幅器24,26の応答性に依存しないで安定して増幅器24,26を作動させることができる。
【0067】
尚、上記の実施形態においては、増幅器24が特許請求の範囲に記載した「正増幅器」に、増幅器26が特許請求の範囲に記載した「負増幅器」に、デューティ比の中程度領域の下限値が特許請求の範囲に記載した「第1の所定値」に、デューティ比の中程度領域の上限値が特許請求の範囲に記載した「第2の所定値」にそれぞれ相当している。
【0068】
尚、上記の第1及び第2の実施形態においては、電流検出を行うモータ1を三相のブラシレスモータとしているが、三相に限らず、二相および四相以上の多相のモータに適用することも可能であり、また、ブラシレスに限らず、ブラシ付きのモータに適用することも可能である。
【0069】
また、上記の第1及び第2の実施形態においては、車両に搭載する電動パワーステアリング装置に用いるモータ1の電流検出を行うこととしているが、電動パワーステアリングに限定されるものではなく、他の用途のモータに適用することも可能である。
【0070】
また、上記の実施形態においては、同期検波回路22の出力波形を、PWM制御のデューティ比が高い領域内にあるか、低い領域内にあるか、或いは、中程度の領域にあるかに応じて3種類のうちから一つ選択することとしているが、所定の閾値(50%近傍)を境界にしてPWM制御のデューティ比が高いか低いかに応じて2種類のうちから一つ選択することとしてもよい。この場合は、所定の閾値が特許請求の範囲に記載した「第1の所定値」及び「第2の所定値」に相当する。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、オフセットドリフトの影響を除去しつつモータに流れる電流を検出することができる。また、デューティ制御に伴うシャント抵抗の端子電圧変化に対応してモータに流れる電流を検出することができる。従って、インバータ回路からモータに流れる電流を高精度に検出することができる。
【0072】
請求項2記載の発明によれば、増幅器の電源電圧をインバータ回路の電源電圧と比較して下げることができる。従って、インバータ回路の電源電圧が高い場合でも電流検出装置をIC化することができる。
【0073】
請求項3記載の発明によれば、正増幅器及び負増幅器の入力端子に印加される同相入力電圧の範囲が比較的狭く制限されるため、同相入力電圧の範囲が比較的広い構成と比較して、両増幅器のCMR(同相成分除去比)を低く抑えることができる。
【0074】
また、請求項4記載の発明によれば、増幅器の応答性に依存しないで安定して増幅器を作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である電流検出装置を備えるシステムの構成図である。
【図2】図1の同期検波回路の構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態である電流検出装置を備えるシステムの構成図である。
【図4】図3の同期検波回路の構成を示す図である。
【図5】図4の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 モータ
2 インバータ回路
3、21 電流検出回路
4 シャント抵抗
5 分圧回路
6、22 同期検波回路
7 LPF
8、23 増幅器
9 振幅検出部
10 電流検出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、デューティ制御されるインバータ回路からモータに流れる電流を検出する電流検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、デューティ制御されるインバータ回路からモータに流れる電流を検出する電流検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電流検出装置は、一般に、インバータ回路とモータとの間に設けられるシャント抵抗と、シャント抵抗の端子間電圧を増幅する増幅器と、を有している。そして、シャント抵抗の抵抗値と増幅器で増幅された出力電圧とに基づいてインバータ回路からモータに流れる電流を検出する。
【0003】
ところで、シャント抵抗のインバータ回路側の端子電圧は接地から電源電圧まで大きく変動する。このため、シャント抵抗の両端子に直接に増幅器の入力端子が接続される構成では、増幅器の電源電圧はインバータ回路の電源電圧以上であることが必要となる。即ち、増幅器の電源電圧は、インバータ回路の電源電圧が高い場合にはそれに合わせて高くすることが必要である。しかし、増幅器の電源電圧が高いとその増幅器を含む電流検出装置のIC化が困難になる不都合が生ずる。
【0004】
そこで、シャント抵抗の両端の端子電圧をそれぞれ分圧する分圧回路を設け、増幅器の入力端子に入力される電圧を下げることが考えられる。この場合には、電流検出装置の増幅器の電源電圧を下げることが可能となり、電流検出装置のIC化を実現することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−172703号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術においては、電流検出装置の電流検出が増幅器で増幅された出力電圧自体のレベル(大きさ)に基づいて行われる。しかしながら、かかる構成では、温度変化等に起因して素子特性が変化すると、増幅器で増幅される出力電圧にオフセット誤差が含まれることとなり、インバータ回路からモータに流れる電流を正確に検出することができないという問題点がある。
【0007】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、インバータ回路の電源電圧が比較的高い場合にも、インバータ回路からモータに流れる電流を高精度に検出することが可能な電流検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、本発明に係る電流検出装置は、次のような手段を採用する。
【0009】
即ち、請求項1記載の発明は、デューティ制御されるインバータ回路からモータに流れる電流を検出する電流検出装置であって、前記インバータ回路と前記モータとの間に設けられたシャント抵抗と、該シャント抵抗の端子間電圧をデューティ周期に同期して方形波に変換する変換回路と、該方形波を正弦波にフィルタリングするフィルタと、該正弦波の振幅を検出する振幅検出手段と、該振幅に基づいて前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、シャント抵抗の端子間電圧がデューティ周期に同期した方形波に変換され、当該方形波が正弦波にフィルタリングされ、当該正弦波の振幅に基づいてモータに流れる電流が検出される。このため、回路素子の温度特性等に起因するオフセットドリフトが生じてもそのオフセット分が電流を検出するうえで影響を与えることはなく、オフセットドリフトの影響を除去しつつモータに流れる電流を検出することができる。また、デューティ制御に伴うシャント抵抗の端子電圧変化に対応してモータに流れる電流を検出することができる。従って、インバータ回路からモータに流れる電流を高精度に検出することができる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記シャント抵抗の両端の端子電圧をそれぞれ所定倍数に分圧して前記変換回路の入力端子に印加する分圧回路と、前記フィルタでフィルタリングされた正弦波を前記所定倍数の逆数倍増幅して前記振幅検出手段へ向けて出力する増幅器と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、シャント抵抗の両端の端子電圧がそれぞれ所定倍数に分圧されて増幅器の入力端子に印加されため、増幅器の電源電圧をインバータ回路の電源電圧と比較して下げることができる。従って、インバータ回路の電源電圧が高い場合でも電流検出装置をIC化することができる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記変換回路は、前記デューティ制御のデューティオン時又はオフ時に前記シャント抵抗の端子間電圧を正側に増幅する正増幅器と、前記デューティ制御のデューティオフ時又はオン時に前記シャント抵抗の端子間電圧を負側に増幅する負増幅器と、を有し、前記正増幅器が前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には前記正増幅器の入力端子に電源電圧を印加すると共に、前記負増幅器が前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には前記負増幅器の入力端子を接地することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、正増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅する場合には、正増幅器の入力端子にデューティ制御のデューティオン時又はオフ時の電源電圧近傍の電圧が印加され、正増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には、正増幅器の入力端子に電源電圧が印加される。また、負増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅する場合には、負増幅器の入力端子にデューティ制御のデューティオフ時又はオン時の接地電圧近傍の電圧が印加され、負増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には、負増幅器の入力端子に接地電圧が印加される。従って、正増幅器及び負増幅器の入力端子に印加される同相入力電圧の範囲がそれぞれ比較的狭く制限されるため、同相入力電圧の範囲が比較的広い構成と比較して、両増幅器のCMR(同相成分除去比)を低く抑えることができる。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記正増幅器は、前記デューティ制御のデューティ比が第1の所定値よりも大きい場合にのみ前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅すると共に、前記負増幅器は、前記デューティ比が第2の所定値よりも小さい場合にのみ前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、デューティ制御のデューティオン時間が比較的長い場合にのみ正増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅すると共に、デューティ制御のデューティオフ時間が比較的長い場合にのみ負増幅器がシャント抵抗の端子間電圧を増幅するため、増幅器の応答性に依存しないで安定して増幅器を作動させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電流検出装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態である電流検出装置を備えるシステムの構成図である。本実施形態のシステムは、車両に搭載される電動パワーステアリングのシステムであって、運転者のステアリング操作をモータを用いて電気的にアシストする。本実施形態のシステムは、ステアリング操作をアシストするトルクを発生するモータ1、及び、モータ1を駆動するインバータ回路2を備えている。
【0019】
モータ1は、三相交流ブラシレスモータである。インバータ回路2は、モータ1の各相に対応して電源−接地間に並列接続される三対のスイッチング素子SWu,SWv,SWwを有している。各一対のスイッチング素子SWu,SWv,SWwは、電源−接地間で直列接続された、電源側に接続されているスイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1と接地側に接続されているスイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2とにより構成されている。各スイッチング素子SWは、例えば、MOS型のトランジスタである。尚、インバータ回路2の電源は車載バッテリであり、その電圧VPは、例えば42Vである。
【0020】
モータ1の各相(U相,V相,W相)は、インバータ回路2の三対のスイッチング素子SWu,SWv,SWwに一対一で対応するように接続されている。具体的には、U相がスイッチング素子SWuに、V相がスイッチング素子SWvに、W相がスイッチング素子SWwにそれぞれ対応している。モータ1の各相は、スイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1とスイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2との間の端子に接続されている。
【0021】
上記の構成において、インバータ回路2は、図示しない制御部によってPWM(Pulse Width Modulation)制御される。即ち、電源側のスイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1と接地側のスイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2とは、互いに連動してオン・オフされる。また、U相のSWuとV相のSWvとW相のSWwは、互いに120°ずつ位相がずれてオン・オフされる。
【0022】
モータ1の各相にはそれぞれ、電流検出回路3が設けられている。尚、モータ1の各相の電流検出回路3は、構成上異なるところがないため、以下ではW相の電流検出回路3についてのみ説明する。電流検出回路3は、シャント抵抗4(抵抗値=R0)を有している。シャント抵抗4は、インバータ回路2とモータ1との間に設けられている。シャント抵抗4には、分圧回路5が接続されている。分圧回路5は、シャント抵抗4の両端の端子電圧をそれぞれ分圧するための分圧抵抗5a〜5d(抵抗値=R1,R2,R3,R4)を備えている。
【0023】
シャント抵抗4のモータ1側の端子には、分圧抵抗5aの一端が接続されている。分圧抵抗5aの他端には分圧抵抗5bの一端が接続されている。分圧抵抗5bの他端は接地されている。即ち、分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとは、シャント抵抗4のモータ1側の端子と接地との間で直列接続されている。また、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子には、分圧抵抗5cの一端が接続されている。分圧抵抗5cの他端には分圧抵抗5dの一端が接続されている。分圧抵抗5dの他端は接地されている。即ち、分圧抵抗5cと分圧抵抗5dとは、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子と接地との間で直列接続されている。分圧抵抗5a〜5dの各抵抗値は、シャント抵抗4のモータ1側の電圧の分圧比(R2/(R1+R2))と、シャント抵抗4のインバータ回路2側の電圧の分圧比(R4/(R3+R4))とが一致するように設定されている。この際、R1=R3及びR2=R4とするのが好ましい。尚、以下では、その分圧比(R2/(R1+R2)=R4/(R3+R4))を1/nとする。
【0024】
上記の構成において、分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとの間の端子には、シャント抵抗4のモータ1側の端子電圧が1/n倍に分圧された電圧が現れる。また、分圧抵抗5cと分圧抵抗5dとの間の端子には、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子電圧が1/n倍に分圧された電圧が現れる。分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとの間の端子及び分圧抵抗5cと分圧抵抗5dとの間の端子には、同期検波回路6の入力端子が接続されている。
【0025】
図2は、同期検波回路6の構成を示す図である。同期検波回路6は、同一特性を有する2個の増幅器6a,6bを有している。増幅器6aの非反転入力端子6dは分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとの間の端子に接続され、増幅器6aの反転入力端子6eは分圧抵抗5cと分圧抵抗5dとの間の端子に接続されている。増幅器6bの反転入力端子6fは分圧抵抗5aと分圧抵抗5bとの間の端子に接続され、増幅器6bの非反転入力端子6gは分圧抵抗5cと5dとの間の端子に接続されている。増幅器6aは、非反転入力端子6dの入力電圧と反転入力端子6eの入力電圧との差圧を出力するものである。増幅器6bは、非反転入力端子6gの入力電圧と反転入力端子6fの入力電圧との差圧を出力するものである。即ち、増幅器6aと増幅器6bとは、シャント抵抗4の端子間電圧に応じた電圧を互いに逆相に1倍ずつ増幅する。
【0026】
増幅器6aの出力端子6h及び増幅器6bの出力端子6iには、スイッチ6cが接続されている。スイッチ6cは、増幅器6aの出力端子6hと増幅器6bの出力端子6iとに選択的に接続される。スイッチ6cは、上記したインバータ回路2のPWM制御のデューティ周期に同期して増幅器6aと増幅器6bとから交互に出力電圧が出力されるように制御される。同期検波回路6は、シャント抵抗4の端子間電圧に応じたレベルを有する、デューティ周期に同期した方形波をスイッチ6cの出力端子から出力する。
【0027】
同期検波回路6の出力端子には、LPF(Low Pass Filter)7が接続されている。LPF7は、同期検波回路6から出力される方形波を正弦波にフィルタリングし出力する。
【0028】
LPF7の出力端子には、増幅器8が接続されている。増幅器8は、LPF7でフィルタリングされた正弦波を、上記した分圧回路5の分圧比1/nの逆数倍であるn倍に増幅する。尚、増幅器の電源電圧は、例えば12Vである。
【0029】
増幅器8の出力端子には、振幅検出部9が接続されている。振幅検出部9は、増幅器8によって増幅された正弦波の振幅を検出する。具体的には、振幅検出部9は、PWM制御のデューティ周期の正弦波を所定レートでサンプリングすると共にサンプリングしたアナログ信号を順次A/D変換し、A/D変換された所定数のサンプリングデータを用いてPWM制御のデューティ周期の正弦波関数を基底関数として最小2乗法によって基底関数の係数を計算して振幅を検出する。
【0030】
振幅検出部9には、電流検出部10が接続されている。電流検出部10は、シャント抵抗4の抵抗値R0と振幅検出部9で検出した振幅とに基づいてインバータ回路2からモータ1に流れる電流を検出する。
【0031】
このように、本実施形態の電流検出装置においては、シャント抵抗4の両端の端子電圧がそれぞれ分圧回路5にて分圧されて同期検波回路6の入力端子に印加され、同期検波回路6にてシャント抵抗4の端子間電圧がPWM制御のデューティ周期に同期した方形波に変換され、フィルタ7にて当該変換された方形波が正弦波にフィルタリングされ、増幅器8にて当該フィルタリングされた正弦波が増幅され、振幅検出部9にて当該増幅された正弦波の振幅が検出され、そして、電流検出部10にて当該検出された振幅に基づいてモータ1に流れる電流が検出される。
【0032】
即ち、本実施形態の電流検出装置において、モータ1に流れる電流の検出は、増幅器8にて増幅される正弦波の振幅に基づいて行われる。この正弦波はPWM制御のデューティ周期でシャント抵抗4の端子間電圧の正増幅と負増幅とを繰り返すことにより得られ、その振幅はシャント抵抗4の端子間電圧に応じたものとなる。従って、増幅器8にて増幅される正弦波の振幅を検出することとすれば、モータ1に流れる電流を検出することができる。
【0033】
かかる構成においては、温度変化等に起因して回路素子の特性が変化すると、その変化に伴って同期検波回路6の増幅器6a及び増幅器6bの出力レベルは共に変動し、同期検波回路6の出力レベル自体は変動するが、その増幅器6aと増幅器6bとは同一特性を有するので、増幅器8から出力される正弦波の振幅は変動しない。即ち、増幅器8の出力に回路素子の特性変化に起因するオフセットドリフトが生じた場合にも、そのオフセットは正弦波の振幅に影響を与えることがない。このため、オフセットドリフトの影響を除去しつつモータ1に流れる電流を検出することができる。
【0034】
また、シャント抵抗4の端子間電圧はPWM制御のデューティ周期に同期して方形波に変換されるため、PWM制御に伴うシャント抵抗4の端子電圧変化に対応してモータ1に流れる電流を検出することができる。
【0035】
従って、本実施形態の電流検出装置によれば、インバータ回路2からモータ1に流れる電流を高精度に検出することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、モータ1を適正にフィードバック制御することができ、これにより、運転者のステアリング操作をアシストする電動パワーステアリングシステムを制御性よく構築することが可能となっている。
【0036】
また、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子電圧は接地からインバータ回路2の電源電圧まで大きく変動する。このため、シャント抵抗4の両端子に直接に増幅器8の入力端子が接続される構成では、増幅器8の電源電圧はインバータ回路2の電源電圧以上であることが必要となる。これに対して本実施形態においては、シャント抵抗4の両端の端子電圧がそれぞれ所定倍数に分圧されて増幅器8の入力端子に印加される。このため、増幅器8の電源電圧をインバータ回路2の電源電圧よりも下げることが可能である。従って、本実施形態の電流検出装置によれば、インバータ回路2の電源電圧が例えば42Vと比較的高い場合であっても電流検出回路3のIC化を図ることが可能となっている。
【0037】
尚、上記の実施形態においては、同期検波回路6が特許請求の範囲に記載した「変換回路」に、LPF7が特許請求の範囲に記載した「フィルタ」に、振幅検出部9が特許請求の範囲に記載した「振幅検出手段」に、電流検出部10が特許請求の範囲に記載した「電流検出手段」に、電流検出回路3が特許請求の範囲に記載した「電流検出装置」に、それぞれ相当している。
【0038】
次に、本発明に係る電流検出装置の第2の実施形態について説明する。
【0039】
図3は、本発明の第2の実施形態である電流検出装置を備えるシステムの構成図である。尚、本実施形態において、第1の実施形態に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
【0040】
本実施形態のシステムにおいて、モータ1の各相にはそれぞれ、電流検出回路21が設けられている。尚、モータ1の各相の電流検出回路21は、構成上異なるところがないため、以下ではW相の電流検出回路21についてのみ説明する。電流検出回路21は、インバータ回路2とモータ1との間に設けられているシャント抵抗4と、シャント抵抗4の両端子に入力端子が接続されている同期検波回路22と、同期検波回路22の出力端子に接続されているLPF7と、LPF7の出力端子に接続されている増幅器23と、増幅器23の出力端子に接続されている振幅検出部9と、振幅検出部9に接続されている電流検出部10と、を有している。増幅器23は、LPF7でフィルタリングされた正弦波を+1倍に増幅する。
【0041】
図4は、同期検波回路22の構成を示す図である。同期検波回路22は、同一特性を有する2個の増幅器24,26を有している。増幅器24は、非反転入力端子24aの入力電圧と反転入力端子24bの入力電圧との差圧を出力する。また、増幅器26は、非反転入力端子26aの入力電圧と反転入力端子26bの入力電圧との差圧を出力する。即ち、増幅器24と増幅器26とは、シャント抵抗4の端子間電圧を互いに逆相に1倍ずつ増幅する。
【0042】
増幅器24の非反転入力端子24aには入力側第1スイッチ28が、また、反転入力端子24bには入力側第2スイッチ30が、それぞれ接続されている。入力側第1スイッチ28は、増幅器24の非反転入力端子24aを電圧VPを有する電源及びシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子のいずれか一方に選択的に接続させる。入力側第1スイッチ28は、増幅器24の非反転入力端子24aを、所定状況下においてインバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期してインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオン時に所定時間だけシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続させる一方、それ以外のときには電源に接続させる。また、入力側第2スイッチ30は、増幅器24の反転入力端子24bを電圧VPを有する電源及シャント抵抗4のモータ1側の端子のいずれか一方に選択的に接続させる。入力側第2スイッチ30は、増幅器24の反転入力端子24bを、所定状況下においてインバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期して電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオン時に所定期間だけシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続させる一方、それ以外のときには電源に接続させる。
【0043】
入力側第1スイッチ28と入力側第2スイッチ30とは互いに連動して作動する。具体的には、非反転入力端子24aが電源に接続される場合は、反転入力端子24bも電源に接続され、一方、非反転入力端子24aがシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続される場合は、反転入力端子24bはシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続される。尚、図4には、入力側第1スイッチ28が増幅器24の非反転入力端子24aをシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続させ、入力側第2スイッチ30が増幅器24の反転入力端子24bをシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続させている場合を示している。
【0044】
増幅器26の反転入力端子26bには入力側第3スイッチ32が、また、非反転入力端子26aには入力側第4スイッチ34が、それぞれ接続されている。入力側第3スイッチ32は、増幅器26の反転入力端子26bを接地及びシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子のいずれか一方に選択的に接続させる。入力側第3スイッチ32は、増幅器26の反転入力端子26bを、所定状況下においてインバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期してインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオフ時に所定時間だけシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続させる一方、それ以外のときには接地に接続させる。また、入力側第4スイッチ34は、増幅器26の非反転入力端子26aを接地及シャント抵抗4のモータ1側の端子のいずれか一方に選択的に接続させる。入力側第4スイッチ34は、増幅器26の非反転入力端子26aを、所定状況下において上記したデューティ周期に同期した電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオフ時に所定期間だけシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続させる一方、それ以外のときには接地に接続させる。
【0045】
入力側第3スイッチ32と入力側第4スイッチ34とは互いに連動して作動する。具体的には、反転入力端子26bが接地に接続される場合は、非反転入力端子26aも接地に接続され、一方、反転入力端子26bがシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続される場合は、非反転入力端子26aはシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続される。尚、図4には、入力側第3スイッチ32が増幅器26の反転入力端子26bを接地に接続させ、入力側第4スイッチ34が増幅器26の非反転入力端子26aを接地に接続させている場合を示している。
【0046】
増幅器24の出力端子24cには出力側第1スイッチ36が、増幅器26の出力端子26cには出力側第2スイッチ38が、それぞれ接続されている。出力側第1スイッチ36は、増幅器24の出力端子24cと同期検波回路22の出力端子40とを接続又は開放させる。出力側第1スイッチ36は、インバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期してインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオン時、入力側第1及び第2スイッチ28,30の作動により増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bがシャント抵抗4の両端の端子に接続され得るタイミングでトリガ的に出力端子24cと出力端子40とを導通させる一方、それ以外のときには遮断させる。また、出力側第2スイッチ38は、増幅器26の出力端子26cと同期検波回路22の出力端子40とを接続又は開放させる。出力側第2スイッチ38は、インバータ回路2におけるPWM制御のデューティ周期に同期してインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオフ時、入力側第3及び第4スイッチ32,34の作動により増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bがシャント抵抗4の両端の端子に接続され得るタイミングでトリガ的に出力端子26cと出力端子40とを導通させる一方、それ以外のときには遮断させる。尚、図4には、出力側第1スイッチ36が増幅器24の出力端子24cと同期検波回路22の出力端子40とを接続し、出力側第2スイッチ38が増幅器26の出力端子26cと同期検波回路22の出力端子40とを開放している場合を示している。
【0047】
同期検波回路22の出力端子40には、一端が接地されたコンデンサ42の他端が接続されている。コンデンサ42は、出力端子40が増幅器24又は増幅器26の出力端子と接続された場合に充電され、出力端子40が増幅器24の出力端子及び増幅器26の出力端子双方と接続されない場合に放電される。
【0048】
図5は、同期検波回路22の動作を示すタイミングチャートである。尚、図5において、Iはシャント抵抗4に流れる電流を、Vは同期検波回路22から出力される出力電圧をそれぞれ示している。
【0049】
本実施形態のシステムにおいて、増幅器24の出力端子及び増幅器26の出力端子が共に同期検波回路22の出力端子40に接続されていない状態では、同期検波回路22の増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bは共に電源に接続され、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bは共に接地されている。
【0050】
かかる状態においてインバータ回路2のPWM制御により電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行すると、そのPWM制御のデューティ比が比較的高い場合には、その後、増幅器26の有する端子26a〜26cの接続状態は切り替わらない一方、増幅器24の有する非反転入力端子24a、反転入力端子24b、及び出力端子24cの接続状態が切り替わる。具体的には、非反転入力端子24aはシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続され、反転入力端子24bはシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続され、また、出力端子24cは同期検波回路22の出力端子40に接続される。
【0051】
この際、増幅器24は、非反転入力端子24aに入力される電圧(即ち、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に現れる電圧)と反転入力端子24bに入力される電圧(即ち、シャント抵抗4のモータ1側の端子に現れる電圧)との差圧を出力する。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が比較的高い状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子40に、シャント抵抗4の端子間電圧を+1倍に増幅した電圧が現れる。
【0052】
出力側第1スイッチ36による導通状態は長時間継続しないので、増幅器24の出力端子24cが同期検波回路22の出力端子40に接続された後、その接続状態は直ちに解除される。同期検波回路22の出力端子40には、上記の如く、コンデンサ42が接続されている。このため、上記した接続状態が解除された後にも、その出力端子40の電圧がある程度の時間一定に維持される。
【0053】
そして、かかる状態においてインバータ回路2のPWM制御により電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行すると、その後、同期検波回路22の出力端子40に増幅器26の出力端子26cが接続される。この際、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bは共に接地され、その差圧はゼロであるので、その出力端子26cに接地電圧が現れる。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が比較的高い状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子40に接地電圧が現れる。以後、PWM制御のデューティ比が比較的高い場合は、上記した処理が繰り返し行われる。
【0054】
一方、PWM制御のデューティ比が比較的低い状況下において電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行すると、その後、同期検波回路22の出力端子40に増幅器24の出力端子24cが接続される。この際、増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bは共に電源に接続され、その差圧はゼロであるので、その出力端子24cに接地電圧が現れる。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が比較的低い状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行した場合には、同期検波回路の出力端子40に接地電圧が現れる。
【0055】
そして、かかる状態においてインバータ回路2のPWM制御により電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行すると、その後、増幅器24の有する端子24a〜24cの接続状態は切り替わらない一方、増幅器26の有する非反転入力端子26a、反転入力端子26b、及び出力端子26cの接続状態が切り替わる。具体的には、非反転入力端子26aはシャント抵抗4のモータ1側の端子に接続され、反転入力端子26bはシャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に接続され、また、出力端子26cは同期検波回路22の出力端子40に接続される。
【0056】
この際、増幅器26は、非反転入力端子26aに入力される電圧(即ち、シャント抵抗4のモータ1側の端子に現れる電圧)と反転入力端子26bに入力される電圧(即ち、シャント抵抗4のインバータ回路2側の端子に現れる電圧)との差圧を出力する。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が比較的低い状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子に、シャント抵抗4の端子間電圧を−1倍に増幅した電圧が現れる。
【0057】
出力側第2スイッチ38による導通状態は長時間継続しないので、増幅器26の出力端子26cが同期検波回路22の出力端子40に接続された後、その接続状態は直ちに解除される。同期検波回路22の出力端子40には、上記の如く、コンデンサ42が接続されている。このため、上記した接続状態が解除された後にも、その出力端子40の電圧がある程度の時間一定に維持される。以後、PWM制御のデューティ比が比較的低い場合は、上記した処理が繰り返し行われる。
【0058】
また、PWM制御のデューティ比が高くもなく低くもなく中程度である状況下において電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行すると、デューティ比が高い場合と同様に、その後、増幅器26の有する端子26a〜26cの接続状態は切り替わらない一方、増幅器24の有する非反転入力端子24a、反転入力端子24b、及び出力端子24cの接続状態が切り替わる。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が中程度である状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオフからデューティオンへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子40に、シャント抵抗4の端子間電圧を+1倍に増幅した電圧が現れる。
【0059】
更に、PWM制御のデューティ比が中程度である状況下において電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行すると、デューティ比が低い場合と同様に、その後、増幅器24の有する端子24a〜24cの接続状態は切り替わらない一方、増幅器26の有する非反転入力端子26a、反転入力端子26b、及び出力端子26cの接続状態が切り替わる。従って、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比が中程度である状況下で電源側のスイッチング素子SWw1がデューティオンからデューティオフへ移行した場合は、同期検波回路22の出力端子40に、シャント抵抗4の端子間電圧を−1倍に増幅した電圧が現れる。以後、PWM制御のデューティ比が中程度である場合は、上記した処理が繰り返し行われる。
【0060】
このように、本実施形態の同期検波回路22は、シャント抵抗4の端子間電圧に応じたレベルを有する、インバータ回路2のPWM制御のデューティ周期に同期した方形波を出力端子40から出力する。この方形波は、インバータ回路2のPWM制御のデューティ比に応じた形状を有する。LPF7は、同期検波回路22から出力される方形波を正弦波にフィルタリングする。増幅器23は、LPF7でフィルタリングされた正弦波を+1倍に増幅する。振幅検出部9は、増幅器23により増幅された正弦波の振幅を検出する。
【0061】
また、電流検出部10は、PWM制御のデューティ比が中程度である場合には、振幅検出部9により検出された振幅に基づいてインバータ回路2からモータ1に流れる電流を検出する。一方、そのデューティ比が比較的高い場合及び低い場合には、振幅検出部9により検出された振幅を2倍した値に基づいて上記した電流を検出する。
【0062】
即ち、本実施形態の電流検出装置において、インバータ回路2とモータ1との間に流れる電流の検出は、増幅器23にて増幅される正弦波の振幅に基づいて行われる。この正弦波はPWM制御のデューティ周期でシャント抵抗4の端子間電圧の正増幅と負増幅とを適宜繰り返すことにより得られ、その振幅はシャント抵抗4の端子間電圧に応じたものとなる。従って、本実施形態の電流検出装置においても、第1の実施形態の装置と同様に、インバータ回路2とモータ1との間に流れる電流を精度よく検出することができる。
【0063】
ところで、本実施形態の同期検波回路22において、増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bには、その増幅器24がシャント抵抗4の端子電圧を増幅しない場合には電源電圧VPが印加される一方、その増幅器がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅する場合にはインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオン時における電源電圧VP近傍の電圧が印加される。また、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bには、その増幅器26がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅しない場合には接地電圧が印加される一方、その増幅器26がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅する場合にはインバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1のデューティオフ時、即ち、接地側のスイッチング素子SWw2のデューティオン時における接地電圧近傍の電圧が印加される。
【0064】
この点、増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bに印加される電圧は、ほぼ電源電圧VPに維持される。また、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bに印加される電圧は、ほぼ接地電圧に維持される。即ち、増幅器24の非反転入力端子24a及び反転入力端子24bに印加される同相入力電圧の範囲は比較的狭く制限されており、また、増幅器26の非反転入力端子26a及び反転入力端子26bに印加される同相入力電圧の範囲も比較的狭く制限されている。このため、本実施形態の電流検出装置によれば、同相入力電圧の範囲が比較的広い構成と比較して、両増幅器24,26のCMR(同相成分除去比)を低く抑えることが可能であり、そのCMRを極端に高くすることは不要となっている。
【0065】
また、インバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1についてデューティ比が比較的高い場合は、デューティオフ時間が短いため、増幅器26がシャント抵抗4の端子間電圧を適正に増幅することが困難である。また、インバータ回路2の電源側のスイッチング素子SWw1についてデューティ比が比較的低い場合は、デューティオン時間が短いため、増幅器24がシャント抵抗4の端子間電圧を適正に増幅することが困難である。
【0066】
これに対して、本実施形態において、PWM制御のデューティ比が中程度以上である場合にのみ増幅器24がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅し、また、PWM制御のデューティ比が中程度以下である場合にのみ増幅器26がシャント抵抗4の端子間電圧を増幅する。このため、本実施形態の同期検波回路22によれば、増幅器24,26の応答性に依存しないで安定して増幅器24,26を作動させることができる。
【0067】
尚、上記の実施形態においては、増幅器24が特許請求の範囲に記載した「正増幅器」に、増幅器26が特許請求の範囲に記載した「負増幅器」に、デューティ比の中程度領域の下限値が特許請求の範囲に記載した「第1の所定値」に、デューティ比の中程度領域の上限値が特許請求の範囲に記載した「第2の所定値」にそれぞれ相当している。
【0068】
尚、上記の第1及び第2の実施形態においては、電流検出を行うモータ1を三相のブラシレスモータとしているが、三相に限らず、二相および四相以上の多相のモータに適用することも可能であり、また、ブラシレスに限らず、ブラシ付きのモータに適用することも可能である。
【0069】
また、上記の第1及び第2の実施形態においては、車両に搭載する電動パワーステアリング装置に用いるモータ1の電流検出を行うこととしているが、電動パワーステアリングに限定されるものではなく、他の用途のモータに適用することも可能である。
【0070】
また、上記の実施形態においては、同期検波回路22の出力波形を、PWM制御のデューティ比が高い領域内にあるか、低い領域内にあるか、或いは、中程度の領域にあるかに応じて3種類のうちから一つ選択することとしているが、所定の閾値(50%近傍)を境界にしてPWM制御のデューティ比が高いか低いかに応じて2種類のうちから一つ選択することとしてもよい。この場合は、所定の閾値が特許請求の範囲に記載した「第1の所定値」及び「第2の所定値」に相当する。
【0071】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、オフセットドリフトの影響を除去しつつモータに流れる電流を検出することができる。また、デューティ制御に伴うシャント抵抗の端子電圧変化に対応してモータに流れる電流を検出することができる。従って、インバータ回路からモータに流れる電流を高精度に検出することができる。
【0072】
請求項2記載の発明によれば、増幅器の電源電圧をインバータ回路の電源電圧と比較して下げることができる。従って、インバータ回路の電源電圧が高い場合でも電流検出装置をIC化することができる。
【0073】
請求項3記載の発明によれば、正増幅器及び負増幅器の入力端子に印加される同相入力電圧の範囲が比較的狭く制限されるため、同相入力電圧の範囲が比較的広い構成と比較して、両増幅器のCMR(同相成分除去比)を低く抑えることができる。
【0074】
また、請求項4記載の発明によれば、増幅器の応答性に依存しないで安定して増幅器を作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である電流検出装置を備えるシステムの構成図である。
【図2】図1の同期検波回路の構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態である電流検出装置を備えるシステムの構成図である。
【図4】図3の同期検波回路の構成を示す図である。
【図5】図4の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 モータ
2 インバータ回路
3、21 電流検出回路
4 シャント抵抗
5 分圧回路
6、22 同期検波回路
7 LPF
8、23 増幅器
9 振幅検出部
10 電流検出部
Claims (4)
- デューティ制御されるインバータ回路からモータに流れる電流を検出する電流検出装置であって、
前記インバータ回路と前記モータとの間に設けられたシャント抵抗と、該シャント抵抗の端子間電圧をデューティ周期に同期して方形波に変換する変換回路と、該方形波を正弦波にフィルタリングするフィルタと、該正弦波の振幅を検出する振幅検出手段と、該振幅に基づいて前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、を有することを特徴とする電流検出装置。 - 前記シャント抵抗の両端の端子電圧をそれぞれ所定倍数に分圧して前記変換回路の入力端子に印加する分圧回路と、前記フィルタでフィルタリングされた正弦波を前記所定倍数の逆数倍増幅して前記振幅検出手段へ向けて出力する増幅器と、を有することを特徴とする請求項1記載の電流検出装置。
- 前記変換回路は、前記デューティ制御のデューティオン時又はオフ時に前記シャント抵抗の端子間電圧を正側に増幅する正増幅器と、前記デューティ制御のデューティオフ時又はオン時に前記シャント抵抗の端子間電圧を負側に増幅する負増幅器と、を有し、前記正増幅器が前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には前記正増幅器の入力端子に電源電圧を印加すると共に、前記負増幅器が前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅しない場合には前記負増幅器の入力端子を接地することを特徴とする請求項1記載の電流検出装置。
- 前記正増幅器は、前記デューティ制御のデューティ比が第1の所定値よりも大きい場合にのみ前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅すると共に、前記負増幅器は、前記デューティ比が第2の所定値よりも小さい場合にのみ前記シャント抵抗の端子間電圧を増幅することを特徴とする請求項3記載の電流検出装置。
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