JP2004308784A - 逆回転防止用クラッチユニットおよび坂道逆走行防止システム - Google Patents

逆回転防止用クラッチユニットおよび坂道逆走行防止システム Download PDF

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Makoto Yasui
誠 安井
Yoshikazu Terada
義主 寺田
Masakazu Domoto
正和 堂本
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Abstract

【課題】応答性に優れたトルク容量の大きい小型の逆回転防止用クラッチユニットを提供することである。
【解決手段】固定輪10の内側に回転軸2に連結される回転輪11を組込んで相対的に回転自在に支持し、固定輪10の内周に形成された円筒面14と回転輪11の外周に設けられたカム面15間に係合子16を組込み、その係合子16を保持器17で保持する。係合子16の係合方向を一方向に規制する突起19をカム面15に設ける。スイッチばね21によって係合子16を中立位置に保持する。固定輪10と回転輪11間に電磁式クラッチ22を組込み、その電磁式クラッチ22をONにして固定輪10に保持器17を結合し、回転輪11が逆回転しようとした際に、係合子16を円筒面14およびカム面15に係合させて回転輪11をロックし、回転輪11が逆方向に回転するのを防止する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トランスミッションの主軸や、その主軸からの回転を出力軸に伝達する副軸のように、一方向にのみ回転される回転軸が逆方向に回転するのを防止する逆回転防止用クラッチユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、マニュアルトランスミッションや自動マニュアルトランスミッションを搭載した車両においては、上りの坂道で停止したのち、ブレーキペダルからアクセルペダルに足を踏み変えて坂道発進しようとする場合に車両が不用意に後退したり、エンジンを停止させたりするおそれがある。
【0003】
そのような不都合の発生を防止するため、トランスミッションの常時一方向に回転する回転軸の逆方向の回転を防止して車両が後退動するのを防止する逆回転防止装置が従来から提案されている。
【0004】
図11は、従来から知られている逆回転防止装置を示し、また、図12は特許文献1に記載された逆回転防止装置を示す。
【0005】
図11に示す逆回転防止装置は、油圧制御型のラチェット式クラッチ(ドグクラッチ)40によって一方向にのみ回転される回転軸41の逆方向の回転を防止するようにしている。すなわち、ドグクラッチ40を形成する2枚の係合ディスク42、43の噛み合い面に鋸歯状の歯44を形成し、一方の係合ディスク42を一方向にのみ回転する回転軸41に回り止めし、他方の係合ディスク43に設けられたピストン45をハウジング46に形成されたシリンダ室47にスライド自在に挿入し、その他方の係合ディスク43をスプリング48によって一方の係合ディスク42から離反する方向に押圧し、前記ハウジング46に形成された給油通路49からシリンダ室47内に圧油を供給して他方の係合ディスク43を一方の係合ディスク42に向けて移動させ、図11(II)に示すように、鋸歯状の歯44の噛み合いによって回転軸41の逆回転を防止し、車両が坂道で後退動するのを防止するようにしている。
【0006】
図12に示す逆回転防止装置においては、回転軸50に一方向ローラクラッチ51を嵌合し、その一方向ローラクラッチ51の外輪52とフレーム53に支持された電磁石54との間に摩擦板55を組込み、その摩擦板55と前記外輪52との間に板ばね56を設け、前記電磁石54の電磁コイルへの通電により摩擦板55を吸着して外輪52を停止させ、一方向ローラクラッチ51の係合により回転軸50の逆回転を防止して、車両が坂道で後退動するのを防止している。
【0007】
【特許文献1】
実開平6−16124号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図11に示す逆回転防止装置においては、車両の停止後、再び前進する際、給油通路49に対する圧油の供給が停止され、ドグクラッチ40が切り離されて回転軸41が一方向に回転されるが、シリンダ室47内の圧油が排出されるまでに時間を要するため、ドグクラッチ40が完全に切り離されない間に一方の係合ディスク42が回転し始め、鋸歯状の歯44の接触回転によって異音を発生させるという不都合がある。特に、低温時には油の粘度が高いため、異音の発生は顕著である。
【0009】
また、車両の通常の走行時には、スプリング48の押圧によってドグクラッチ40が切り離されているため、異音を発生することは少ないが、衝撃や振動等によって係合ディスク42、43の噛み合い面が接触する場合があり、その場合に異音を発生させるおそれがある。
【0010】
さらに、坂道で停車して後退を防止する際も、低温時には油圧が発生するのに時間がかかり、歯44が完全に噛み合ってロックするまでの間に異音を発生させるという不都合がある。
【0011】
一方、図12に示す逆回転防止装置においては、一方向ローラクラッチ51の外輪52を電磁石54と摩擦板55の相互間に作用する摩擦力によって停止状態に保持する構成であるため、トルク容量が小さく、車両の後退動を確実に防止するため、電磁石54としてきわめて大型のものを必要とし、逆回転防止装置が大型化するという不都合がある。
【0012】
この発明の課題は、回転軸の逆回転を瞬時に防止することができる応答性に優れた異音の発生のきわめて少ない小型の逆回転防止用クラッチユニットおよび坂道逆走行防止システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明に係る逆回転防止用クラッチユニットにおいては、固定部材に取付られる固定輪の内側に一方向にのみ回転する回転軸に取付けられる回転輪を組込んで相対的に回転自在に支持し、前記固定輪の内周と回転輪の外周における一方に円筒面を形成し、他方にその円筒面との間でくさび形空間を形成するカム面を設け、そのカム面と円筒面との間に係合子を組込み、その係合子を固定輪と回転輪との間に組込まれた保持器で保持し、前記円筒面およびカム面に対する係合子の係合を前記回転軸が逆回転する方向の一方向のみに規制する規制手段を設け、前記保持器の回転を制御することにより回転輪が両方向に回転可能な空転モードと、回転輪が一方向に回転可能であるが逆方向にロックする一方向駆動モードとに切換えるモード切換え手段を設けた構成を採用したのである。
【0014】
ここで、モード切換え手段として、回転輪と保持器との間に組込まれて係合子が円筒面とカム面に対して係合解除された中立位置に保持器を保持するスイッチばねと、前記保持器を固定輪に対して結合および結合解除させる電磁式クラッチとから成るものを採用することができる。
【0015】
上記の構成から成る逆回転防止クラッチユニットを採用して車両の後退動を防止するには、トランスミッションのハウジングに固定部材を取付け、回転輪をトランスミッション内で前後進を問わずエンジン駆動により一方向にのみ回転する回転軸に連結する。
【0016】
上記のような使用状態において、電磁式クラッチがOFFの場合、スイッチばねによって保持器は係合子が円筒面およびカム面に係合しない中立位置に保持されるため、回転輪および回転軸は一方向に回転する。
【0017】
電磁クラッチをONにすると、保持器が固定輪に結合される。このとき、車輪からの回転によって回転軸が通常の回転方向と逆方向に回転し始めて保持器と回転輪とが相対的に回転すると、係合子が円筒面およびカム面に係合し、その係合によって回転輪がロックされる。このため、回転軸は逆方向に回転せず、車両が後退するのが防止される。
【0018】
このように、電磁クラッチをONにして車両が後退し始めると、係合子が直ちに係合するため、応答性に優れ、しかも、係合子の係合によって回転軸の逆回転を防止する構成であるため、摩擦式のクラッチに比較してトルク容量が大きく逆回転防止用クラッチユニットの小型化を図ることができると共に、車両の後退動を確実に防止することができる。
【0019】
ここで、係合子は、発進方向と逆方向の一方向にしか係合しないため、電磁クラッチをONにしたまま再発進しても係合子は係合せず、その結果、スムーズに再発進することができる。
【0020】
この発明に係る逆回転防止用クラッチにおいて、電磁式クラッチとして、固定輪に回り止めされて保持器と軸方向で対向する磁性リングと、前記保持器に対して回り止めされ、かつ軸方向に移動可能に支持されたアーマチュアと、通電によりアーマチュアを磁性リングに吸着させる電磁コイルと、前記アーマチュアを磁性リングから離反する方向に押圧するばねとから成るものを採用することができる。
【0021】
また、係合子の係合を回転軸が逆回転する一方向のみとする規制手段として、カム面に突起を設ける構成を採用することができる。
【0022】
上記規制手段として、スイッチばねの両端に設けられた一対の係合片を回転輪に形成された切欠部に挿入して、その切欠部の周方向で対向する端面を相反する方向に押圧すると共に、一方の係合片を保持器に係止する構成を採用し、あるいは回転輪と保持器の一方に形成された係合孔と、他方に形成されてその係合孔に挿入された突起とから成り、前記突起と係合孔間に回転方向すきまを設ける構成を採用することにより、係合子が係合するカム面の形状を簡素化することができ、カム面を有する側の部品の製作が容易となり、製造コストの低減を図ることができる。
【0023】
この発明に係る坂道逆走行防止システムにおいては、トランスミッションの前後切換えに関わらずエンジン駆動による走行時に同一方向に回転する回転軸に前記の逆回転防止用クラッチユニットの回転輪を連結し、ミッションケース等の回転しない部位に固定輪を取付けてトランスミッション内に逆回転防止用クラッチユニットを装着し、車速に依存して外部制御装置により逆回転防止用クラッチユニットのモード切換え手段を自動的に制御して空転モードと一方向駆動モードとを切換えることにより車両が坂道を惰性で逆方向に下らないようにした構成を採用したのである。
【0024】
この発明に係る坂道逆走行防止システムにおいて、回転軸の端部に回転輪を連結し、その連結側と反対側において固定輪の端部開口を密封することによって、逆回転防止用クラッチユニットの組付け性の向上を図り潤滑油の保持性能の向上を図ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図1乃至図10に基づいて説明する。図1は、この発明に係る逆回転防止用クラッチユニットAをトランスミッションBに組込んで、上りの坂道で車両が停車したのち、再発進する際に、車両が後退動するのを防止するようにした使用の一例を示している。
【0026】
ここで、トランスミッションBは、固定部材としてのミッションケース1を有し、そのミッションケース1内に設けられた回転軸2は車両の走行時、前後進を問わずエンジン駆動によって一方向にのみ回転するようになっている。
【0027】
図2に示すように、逆回転防止用クラッチユニットAは固定輪10と、その固定輪10の内側に組込まれた回転輪11とを有し、その固定輪10と回転輪11は軸受12によって相対的に回転自在に支持されている。
【0028】
固定輪10は、固定部材としてのミッションケース1に取付けられ、一方、回転輪11は回転軸2の端部に嵌合され、セレーション13によって回転軸2に回り止めされている。
【0029】
図2乃至図4に示すように、固定輪10の内周には円筒面14が形成されている。一方、回転輪11には円筒面14と対応する位置に大径部11aが設けられ、その大径部11aの外周には上記円筒面14との間でくさび形空間を形成する複数のカム面15が周方向に等間隔に設けられ、各カム面15と円筒面14との間にローラから成る係合子16が組込まれている。
【0030】
係合子16は固定輪10と回転輪11間に組込まれた保持器17のポケット18内に収納されている。
【0031】
係合子16は、回転輪11が保持器17に対して走行時の回転方向と逆方向に相対回転した際、円筒面14およびカム面15に係合して回転輪11を固定輪10に結合するようになっており、回転輪11が保持器17に対して走行時の回転方向に相対回転しても、係合子16はカム面15に設けられた規制手段としての突起19に当接して、円筒面14およびカム面15に係合するのが防止される。
【0032】
ここで、図4に示す矢印は、回転輪11の走行時の回転方向を示す。
【0033】
前記回転輪11は、モード切換え手段20によって、走行時の回転方向と逆回転方向の両方向に回転可能な空転モードと、走行時の回転方向には回転可能であるが、逆回転方向にロックする一方向駆動モードとに切換えられる。
【0034】
モード切換え手段20は、回転輪11の大径部11aの一端側に設けられたスイッチばね21と、固定輪10と回転輪11の端部間に組込まれた電磁式クラッチ22とから成る。
【0035】
図5に示すように、スイッチばね21は、一部が切り離されたコイル部21aの両端に外径方向に向く一対の係合片21b、21cを設けた構成とされている。コイル部21aは縮径された状態で大径部11aの端面に形成された凹部23内に嵌合され、一対の係合片21b、21cはその凹部23の外周壁に設けられた切欠部24から保持器17の端部に形成された切欠き25内に挿入されて、切欠部24および切欠き25の周方向で対向する端面を相反する方向に押圧し、その押圧によって係合子16が円筒面14およびカム面15に対して係合解除された中立位置に保持器17を保持するようになっている。
【0036】
図2に示すように、電磁式クラッチ22は、固定輪10の端部内に嵌合された磁性リング26と、その磁性リング26に保持された電磁コイル27と、前記磁性リング26と保持器17の端部間に組込まれたアーマチュア28と、そのアーマチュア28を磁性リング26から離反する方向に押圧するばね29とを有している。
【0037】
磁性リング26は固定輪10の内周面および固定輪10の開口端部内に嵌合され、その磁性リング26に設けた突起と固定輪10に設けた切欠きの嵌合により回り止めされている。この磁性リング26には止め輪30により抜け止めされた蓋板31の内面に密着するシールリング32が保持されている。シールリング32は固定輪10内を密封し、トランスミッションBから固定輪10内に流入するオイルの外部への流出を防止している。
【0038】
アーマチュア28は保持器17に対して回り止めされ、かつ軸方向に移動可能に支持されている。アーマチュア28を上記のような支持とするため、ここでは、図6に示すように、保持器17の端部内に支持プレート33を嵌合し、その支持プレート33の外周に保持器17の切欠き25内に嵌合するL形の回り止め片34を設け、各回り止め片34をアーマチュア28に形成された孔35内に挿入している。
【0039】
上記の構成から成る電磁式クラッチ22は、電磁コイル27に対する通電により磁性リング26にアーマチュア28を吸着して保持器17を固定輪10に対して回り止めし、電磁コイル27に対する通電を遮断することによってアーマチュア28の回り止めを解除し、ばね29によりアーマチュア28を磁性リング26から離反させるようになっている。
【0040】
実施の形態で示す逆回転防止用クラッチAは上記の構造から成り、車両を走行させると、トランスミッションB内の回転軸2は一方向にのみ回転する。車両の走行時、電磁式クラッチ22の電磁コイル27に対する通電を遮断し、上り坂道で停車した際に電磁コイル27に通電する。
【0041】
電磁コイル27に対する通電の遮断時、アーマチュア28はばね29で押圧されて磁性リング26から離反された状態にあり、係合子16はスイッチばね21によって図4に示すように中立位置に保持されている。このとき、係合子16と円筒面14およびカム面15間にはすきまがあるため、回転輪11は回転軸2と共に図4の矢印方向に回転する。
【0042】
電磁コイル27に通電すると、アーマチュア28が磁性リング26に吸着され、その吸着部間の摩擦抵抗によって保持器17は固定輪10に対して回り止めされる。
【0043】
坂道での停車状態で車両が慣性によって後退しようとすると、車輪側から回転軸2が走行時の回転方向と逆方向に回転させられるため、その回転軸2に連結された回転輪11は固定輪10に対して回り止めされた保持器17に対して相対回転する。その相対回転によってスイッチばね21の係合片21bは切欠部24の端面で押されてスイッチばね21は図5(II)に示すように弾性変形すると共に、係合子16が円筒面14およびカム面15に係合し、その係合によって回転輪11はロックされ、回転軸2は走行時の回転方向と逆方向に回転されるのが防止される。このため、車両は後退動することなく、停車状態に保持される。
【0044】
坂道発進する際には、電磁コイル27に対する通電を遮断して電磁式クラッチ22をOFFの状態にすると共に、アクセルペダルを踏み込む。電磁式クラッチ22のOFFにより、アーマチュア28に対する吸引力が解除されるため、ばね29の押圧によってアーマチュア28は磁性リング26から離反する方向に移動する。また、保持器17はスイッチばね21によって回転され、係合子16は図3および図5に示すように、中立位置に戻され、アクセルペダルの踏み込みによって回転輪11および回転軸2が回転する。このとき、アーマチュア28が磁性リング26から離反しているため、回転輪11および回転軸2は車両の走行方向にスムーズに回転する。
【0045】
なお、係合子16の係合状態において、その係合子16は回転輪11を車両の回転方向と逆方向に回転するのを防止する構成であって、回転輪11の車両の走行方向の回転には円筒面14およびカム面15から係合解除される方向に移動されるため、電磁コイル27の通電状態においても車両を坂道発進させることができる。
【0046】
したがって、坂道発進後に電磁コイル27に対する通電を遮断してもよい。
【0047】
実施の形態で示す電磁式クラッチ22においては、カム面15の端部に突起19を設けているため、急激な加減速やブレーキ、コンタミ、振動などによってスイッチばね21を弾性変形させるような外力が加わった場合でも、係合子16は逆方向に噛み込むことはなく、回転輪11および回転軸2を車両走行時の回転方向に常に円滑に回転させることができる。
【0048】
ここで、電磁式クラッチ22のON、OFF制御には、マニュアル制御とオート制御を採用することができる。
【0049】
マニュアル制御に際しては、電磁コイル27の電源回路にスイッチを組込み、車両が坂道で停車した場合にドライバが上記スイッチをONにして電磁コイル27に通電し、再発進の場合にスイッチをOFFにして電磁コイル27に対する通電を遮断する。
【0050】
オート制御に際しては、車輪の速度を検出する速度検出センサからの信号を制御装置(ECU)に入力して車両の速度を演算し、その演算値と予め設定された設定値とを比較し、上記演算値が設定値以下になった場合に電磁コイル27に通電し、設定値を超えると通電を遮断する。
【0051】
上記のようなオート制御の場合、車両が所定の速度以下となるたびに電磁コイル27に通電されるため、電力の消費が多くなり、特に渋滞時には燃費の悪化が懸念される。また、何らかの原因でトランスミッションその他のシステムに異常が発生した場合、トランスミッションのギヤが入っている方向と反対方向、例えば、坂道でローギヤを入れた状態で傾斜にまかせて後退動させたい場合もある。
【0052】
そのため、オート制御においては、自動システムをOFFする操作スイッチを設けておくのが好ましい。ここで、自動システムをOFFにすれば、係合子16は中立位置に戻されるため、回転輪11は両回転方向に空転可能であり、車両を前後両方向に動かすことができる。
【0053】
図2に示す実施の形態では、固定輪10の内周に円筒面14を設け、回転輪11の外周にカム面15を形成したが、図7に示すように、固定輪10の内周にカム面15を設け、回転輪11の外周に円筒面14を形成してもよい。
【0054】
図8乃至図10は、係合子16の係合方向を一方向に規制する規制手段の他の例を示している。各図の(I)において、矢印は、回転輪11の走行時の回転方向を示し、図4に示す場合と逆向きに示されている。
【0055】
図8(I)では、スイッチばね21に設けられた一対の係合片21b、21cを回転輪11に形成された切欠部24内に挿入し、一方の係合片21cの先端部に折曲片21dを設け、その折曲片21dを保持器17に形成された切欠き25に係合させるようにしている。
【0056】
上記のように構成すると、回転輪11が保持器17に対し走行時の回転方向に相対回転しようとした場合、スイッチばね21の折曲片21dが保持器17を押圧するため、保持器17が図2に示す磁性リング26とアーマチュア28の吸着によって回り止めされていても、保持器17は磁性リング26とアーマチュア28の接触部で滑り生じさせつつ回転輪11と同方向に回転し、係合子16が円筒面14およびカム面15に係合するのが防止される。
【0057】
また、保持器17の回り止め状態で回転輪11が走行時の回転方向と逆方向に回転すると、図8(II)に示すように、スイッチばね21が弾性変形し、回転輪11が保持器に対して相対回転し、係合子16が円筒面およびカム面15に係合する。
【0058】
図9(I)に示す規制手段においては、スイッチばね21に設けられた一対の係合片21b、21cを切欠部24に挿入し、一方の係合片21cを保持器17に設けられた係止孔36に係止している。
【0059】
図9(I)に示す規制手段においても係合子16の係合方向を一方向とすることができる。図9(II)はその係合状態を示している。
【0060】
図10(I)に示す規制手段においては、回転輪11の外周に周方向に長い係合孔37を設け、保持器17にはその係合孔37に挿入される突起38を設け、その突起38と係合孔37の端面間に回転方向すきまδを設けている。回転方向すきまδは中立位置の係合子16が円筒面14およびカム面15に係合する位置までの移動量より大きくなっている。
【0061】
上記の構成から成る規制手段において、保持器17が図2に示す磁性リング26とアーマチュア28の吸着により回り止めされる状態で回転輪11が矢印で示す走行時の回転方向に回転すると、係合孔37の端面が突起38を押圧するため、保持器17も回転輪11と同方向に回転し、係合子16が円筒面14およびカム面15に係合するのが防止される。また、回転輪11が走行時の回転方向と逆方向に回転すると、図10(II)に示すように、回転輪11がスイッチばね21を変形させつつ保持器17に対して相対回転し、係合子16が円筒面14およびカム面15に係合する。このため、係合子16の係合方向を一方向とすることができる。
【0062】
なお、図10(I)に示す場合とは逆に、保持器17に係合孔を形成し、回転輪11に突起を設けるようにしてもよい。
【0063】
図8乃至図10に示す規制手段によれば、図4に示す突起19を省略することができるため、カム面15の形状の簡素化を図ることができ、回転輪11の製作が容易であって製造コストの低減を図ることができる。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、この発明においては、電磁式クラッチをONにし、回転輪が通常の回転方向と逆方向に回転しようとすると係合子が円筒面およびカム面に瞬時に係合して回転輪をロックするため、応答性に優れ、しかも係合子の係合によって回転輪の逆回転を防止するため、摩擦式クラッチに比較してトルク容量が大きく、逆回転防止用クラッチユニットの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る逆回転防止用クラッチユニットの使用の一例を示す断面図
【図2】図1の逆回転防止用クラッチユニットを拡大して示す横断平面図
【図3】図2のIII −III 線に沿った断面図
【図4】図3の一部を拡大して示す断面図
【図5】(I)はスイッチばねの組込み部を示す縦断側面図、(II)は作動状態を示す縦断側面図
【図6】図2の一部を拡大して示す断面図
【図7】逆回転防止用クラッチユニットの他の例を示す断面図
【図8】(I)は規制手段の他の例を示す断面図、(II)はその作動状態を示す断面図
【図9】(I)は規制手段の他の例を示す断面図、(II)はその作動状態を示す断面図
【図10】(I)は規制手段のさらに他の例を示す断面図、(II)はその作動状態を示す断面図
【図11】(I)は逆回転防止装置の従来例を示す断面図、(II)はその作動状態を示す断面図
【図12】逆回転防止装置の他の従来例を示す断面図
【符号の説明】
A 逆回転防止用クラッチユニット
B トランスミッション
1 ミッションケース
2 回転軸
10 固定輪
11 回転輪
14 円筒面
15 カム面
16 係合子
17 保持器
19 突起
20 モード切換え手段
21 スイッチばね
21b、21c 係合片
21d 折曲片
22 電磁式クラッチ
26 磁性リング
27 電磁コイル
28 アーマチュア
29 ばね
36 係止孔
37 係合孔
38 突起

Claims (8)

  1. 固定部材に取付られる固定輪の内側に一方向にのみ回転する回転軸に取付けられる回転輪を組込んで相対的に回転自在に支持し、前記固定輪の内周と回転輪の外周における一方に円筒面を形成し、他方にその円筒面との間でくさび形空間を形成するカム面を設け、そのカム面と円筒面との間に係合子を組込み、その係合子を固定輪と回転輪との間に組込まれた保持器で保持し、前記円筒面およびカム面に対する係合子の係合を前記回転軸が逆回転する方向の一方向のみに規制する規制手段を設け、前記保持器の回転を制御することにより回転輪が両方向に回転可能な空転モードと、回転輪が一方向に回転可能であるが逆方向にロックする一方向駆動モードとに切換えるモード切換え手段を設けた逆回転防止用クラッチユニット。
  2. 前記モード切換え手段が、回転輪と保持器との間に組込まれて係合子が円筒面とカム面に対して係合解除された中立位置に保持器を保持するスイッチばねと、前記保持器を固定輪に対して結合および結合解除させる電磁式クラッチとから成る請求項1に記載の逆回転防止用クラッチユニット。
  3. 前記電磁式クラッチが、固定輪に回り止めされて保持器と軸方向で対向する磁性リングと、前記保持器に対して回り止めされ、かつ軸方向に移動可能に支持されたアーマチュアと、通電によりアーマチュアを磁性リングに吸着させる電磁コイルと、前記アーマチュアを磁性リングから離反する方向に押圧するばねとから成る請求項2に記載の逆回転防止用クラッチユニット。
  4. 前記規制手段が、カム面に設けられた突起から成る請求項1乃至3のいずれかに記載の逆回転防止用クラッチユニット。
  5. 前記規制手段が、スイッチばねの両端に設けられた一対の係合片を回転輪に形成された切欠部に挿入して、その切欠部の周方向で対向する端面を相反する方向に押圧すると共に、一方の係合片を保持器に係止した構成から成る請求項2又は3に記載の逆回転防止用クラッチユニット。
  6. 前記規制手段が、回転輪と保持器の一方に形成された係合孔と、他方に形成されてその係合孔に挿入された突起とから成り、前記突起と係合孔間に回転方向すきまを設けた構成から成る請求項1乃至3のいずれかに記載の逆回転防止用クラッチユニット。
  7. トランスミッションの前後切換えに関わらずエンジン駆動による走行時に同一方向に回転する回転軸に請求項1乃至6のいずれかに記載の逆回転防止用クラッチユニットの回転輪を連結し、ミッションケース等の回転しない部位に固定輪を取付けてトランスミッション内に逆回転防止用クラッチユニットを装着し、車速に依存して外部制御装置により逆回転防止用クラッチユニットのモード切換え手段を自動的に制御して空転モードと一方向駆動モードとを切換えることにより車両が坂道を惰性で逆方向に下らないようにした坂道逆走行防止システム。
  8. 前記回転軸の端部に逆回転防止用クラッチユニットの回転輪を連結し、その連結側と反対側において固定輪の端部開口を密封した請求項7に記載の坂道逆走行防止システム。
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