JP2004308503A - 回転ベーンポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハウジングの筒状空間12に収容されたロータ20側壁のベーン30が嵌挿された複数の溝22底部の開口部又はその近くの溝22の開口部部分を、ロータ20の側壁表面に設けた第1連通溝100を介して互いに連通する。そして、その第1連通溝100を通して、ロータの複数の溝底部空間24に存在する空気等の各気体を相互に移動させて、ロータ20の回転に伴って、ベーン30が嵌挿されたロータの溝底部空間24の容積が増減しても、その複数の各溝底部空間24の気圧が大幅に低下したり大幅に上昇したりするのを、防ぐ。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気等の気体を吸引、排除するための真空ポンプ等に用いられる、無給油式の回転ベーンポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記ポンプとして、図4に示したような、回転ベーンポンプが周知である。
このポンプでは、そのハウジング10を前後に貫く筒状空間12に、ロータ20が偏心させて収容されている。ロータ20は、ハウジングの筒状空間12の前後を封じているサイドプレート(図示せず)に亙って回転自在に支持されている。ロータ20には、該ロータ外周壁及びロータ前後の側壁に亙って連続する開口部を持つ複数の有底の溝22が、ほぼ放射状に設けられている。ロータの複数の溝22のそれぞれには、板状をしたベーン30が出入自在に嵌挿されている。
このような構成のポンプにおいては、そのロータ20をハウジングの筒状空間12で時計回り(図4の矢印方向)に回転させることにより、そのロータの溝22に嵌挿されたベーン30を、該ベーンに加わる遠心力により、ロータ20外方に突出させることができる。そして、そのベーン30先端を、ハウジング10内周壁に摺動自在に押接させることができる。そして、そのハウジング10右側に位置する隣り合うベーン30とロータ20外周壁とハウジング10内周壁とサイドプレート内側壁とで囲まれた空気等の気体が封じ込められた空間部分の容積を漸次増大させることができる。そして、そのハウジング右側の筒状空間12の気圧を低下させることができる。そして、そのハウジング右側の気圧が低下した筒状空間12に、ハウジング10外部の空気等の気体を、ハウジング右側上部に設けられた吸気口14を通して吸引できる。
それと共に、そのハウジング10左側に位置する隣り合うベーン30とロータ20外周壁とハウジング10内周壁とサイドプレート内側壁とで囲まれた空気等の気体が封じ込められた空間部分の容積を漸次減少させることができる。そして、そのハウジング左側の筒状空間12に存在する空気等の気体を圧縮して、その気体の圧力を高めることができる。そして、そのハウジング右側の筒状空間12の圧力が高まった空気等の気体を、ハウジング左側上部に設けられた排気口16を通して、ハウジング10外部に放出させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この回転ベーンポンプにおいては、該ポンプを低真空度(大流量域)で運転させた際に、そのポンプの吸気能力(流量)が期待される所望値よりも大幅に低下してしまった。
【0004】
そこで、本発明者らは、その原因を追求したところ、次に述べる現象が回転ベーンポンプに発生するからであることを、発見した。
【0005】
このポンプにおいては、ロータ20を時計回り(図4の矢印方向)に回転させることにより、ベーン30をロータの溝22からハウジングの筒状空間12に吐出させる遠心力Aが、ベーン30に加わる。
また、ロータ20が時計回り(図4の矢印方向)に回転するのに伴って、前記のように、ハウジング右側(吸気側)の筒状空間12の気圧が低下する。そして、それに伴って、その気圧が低下したハウジング右側の筒状空間12にベーン30をロータの溝22から引き出そうとする引き出し力Bが、ベーン30に加わる。
さらに、ロータ20が時計回り(図4の矢印方向)に回転するのに伴って、ハウジング10右側に位置する、ロータの溝22内側壁と該溝に嵌挿されたベーン30底壁とサイドプレート内側壁とで囲まれたロータの溝底部空間24の容積が、増大する。そして、その溝底部空間24の気圧が低下する。そして、それに伴って、その溝底部空間24にベーン30を引き込もうとする引き込み力Cが発生する。それに対して、ハウジング10左側(排気側)に位置するベーン30が嵌挿されたロータの溝底部空間24の容積は、減少する。そして、その溝底部空間24の気圧が増大する。そして、それに伴って、その溝底部空間24に発生するベーン30を引き込もうとするベーン30に加わる引き込み力Cが、負の引き込み力に変化して、ベーン30に押し出し力Dが加わる。
【0006】
このような構成の回転ベーンポンプを低真空度(大流量域)で運転させた際には、ハウジング右側の筒状空間12の気圧の低下が少なくなって、そのハウジング右側の筒状空間12にベーン30を引き出そうとする引き出し力Bが弱まる。
そのために、ハウジング10右側に位置する、容積が増大して気圧が低下するロータの溝底部空間24に発生するベーン30を引き込もうとする引き込み力Cが、ベーン30に加わる遠心力Aとベーン30をハウジング右側の筒状空間12に引き出そうとする引き出し力Bとの和に近づくか、もしくはそれ以上となってしまう。これを数式で示せば、A+B≒CもしくはA+B≦Cとなる。
その結果、そのハウジング右側(吸気側)の筒状空間12において、ベーン30先端をハウジング10の内周壁に押接させる押接力が不足してしまう。そして、そのベーン30先端とハウジング10の内周壁との間に空隙が生じてしまう。そして、その空隙を通して、隣り合うベーン30とロータ20外周壁とハウジング内周壁とサイドプレート内側壁とで囲まれた空間部分に封じ込められた気体が、その外部に漏れ出してしまう。そして、それが原因となって、ポンプの吸気効率が大幅に低下してしまうからであることが、判明した。
【0007】
逆に、このような構成の回転ベーンポンプを高真空度(小流量域)で運転させた際には、そのハウジング左側(排気側)の筒状空間12において、気圧の圧縮度合いが減少する。そして、そのハウジング左側の筒状空間12に発生するベーン30をロータの溝22に押し込もうとする押し込み力Eが弱まる。
また、ロータ20の回転に伴って、容積が減少するロータの溝底部空間24に発生するベーン30をロータ20外方に押し出そうとする押し出し力Dが発生する。
そのために、ベーン30をロータの溝22に押し込もうとする押し込み力Eより、ベーン30をロータの溝22から吐出させようとする押し出し力Dが大きくなる。
その結果、その押し出し力Dと遠心力Aとがベーン30に加わり、そのハウジング左側のロータの溝22に嵌挿されたベーン30をハウジングの筒状空間12に吐出させようとする力が大きくなり過ぎて、そのベーン30先端がハウジング10の内周壁に必要以上に強く押接されるため、ポンプが不快な騒音を発したり、ベーン30の摩耗が増大したり、ポンプの運転動力が増大したりする原因になっていることが判明した。
【0008】
このような課題を解消する手段として、ベーン30が嵌挿されたロータの溝底部空間24の容積を広げる方法が考えられる。この方法によれば、ベーン30がロータの溝22の内外に出入するのに伴う、その溝底部空間24の容積の増減比率を小さく抑えることができる。そして、その溝底部空間24の気圧の大幅な低下や上昇を回避できる。そして、ポンプを低真空度(大流量域)で運転させた際に、ハウジング10右側に位置するロータの溝底部空間24に大きな引き込み力Cが発生するのを防ぐことができる。また、ポンプを高真空度(小流量域)で運転させた際には、ハウジング10左側に位置するロータの溝底部空間24に発生するベーン30をロータ20外方に押し出そうとする大きな押し出し力Dの発生を防ぐことができる。そして、ベーン30先端がハウジング10内周壁に必要以上に強く圧接されるのを防ぐことができる。
【0009】
しかしながら、複数の溝22底部が集中するロータ20の中心部付近には、十分なスペースが存在しないために、上記のように、そのロータの溝底部空間24の容積を大きく広げることは、設計上、不可能である。
【0010】
本発明は、このような課題を解消可能な、ポンプを低真空度(大流量域)で運転させた際における、ポンプの吸気能力の大幅な低下を防ぐことができると共に、ポンプを高真空度(小流量域)で運転させた際における、ポンプの不快な騒音の発生や、ベーンの摩耗の増大や、ポンプの運転動力の増大を防ぐことのできる、回転ベーンポンプを提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の第1の回転ベーンポンプは、ハウジングを前後に貫く筒状空間に偏心させて収容されたロータが、該ハウジングの筒状空間の前後を封じているサイドプレートに亙って回転自在に支持され、該ロータにほぼ放射状に設けられたロータ外周壁及びロータ前後の側壁に亙って連続する開口部を持つ複数の有底の溝のそれぞれにベーンが出入自在に嵌挿されてなる回転ベーンポンプにおいて、
そのロータ側壁の複数の溝底部の開口部又はその近くの溝の開口部部分が、該ロータの側壁表面に設けられた第1連通溝を介して互いに連通されたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の第2の回転ベーンポンプは、ハウジングを前後に貫く筒状空間に偏心させて収容されたロータが、該ハウジングの筒状空間の前後を封じているサイドプレートに亙って回転自在に支持され、該ロータにほぼ放射状に設けられたロータ外周壁及びロータ前後の側壁に亙って連続する開口部を持つ複数の有底の溝のそれぞれにベーンが出入自在に嵌挿されてなる回転ベーンポンプにおいて、
そのロータ側壁の複数の溝底部の開口部又はその近くの溝の開口部部分が、該ロータ側壁に対向する前記サイドプレートの内側壁表面に設けられた第2連通溝を介して互いに連通されたことを特徴としている。
【0013】
このような構成の第1、第2の回転ベーンポンプにおいては、そのロータの側壁表面に設けられた第1連通溝、又はそのサイドプレートの内側壁表面に設けられた第2連通溝を通して、ロータの複数の溝底部空間に存在する空気等の各気体を相互に移動させて、ロータの回転に伴って、ベーンが嵌挿されたロータの溝底部空間の容積が増減しても、その複数の各溝底部空間の気圧が大幅に低下したり大幅に上昇したりするのを、防ぐことができる。そして、ポンプを低真空度(大流量域)で運転させた際に、ハウジング右側のロータの溝底部空間に発生するベーンを引き込もうとする引き込み力Cが大きくなり過ぎて、ベーン先端をハウジングの筒状空間の内周壁に押接させる押接力が不足するのを防ぐことができる。逆に、ポンプを高真空度(小流量域)で運転させた際には、ハウジング左側のロータの溝に嵌挿されたベーンをハウジングの筒状空間に吐出させようとする力が大きくなり過ぎて、そのベーン先端がハウジング内周壁に必要以上に強く圧接されるのを防ぐことができる。
【0014】
また、ロータの複数の溝底部の開口部又はその近くの溝の開口部部分を互いに連通する第1連通溝又は第2連通溝を、ロータの側壁表面又はサイドプレートの内側壁表面に設けているため、その第1連通溝又は第2連通溝に代わる連通孔をロータ内部又はサイドプレート内部に潜らせて設けた場合と比べて、その第1連通溝又は第2連通溝を、切削バイト等を用いて、手数を掛けずに容易に形成できる。また、ロータ又はサイドプレートの端面の旋削工程にわずかな工程を付加するだけで、その第1連通溝又は第2連続溝を形成できる。
【0015】
本発明の第1の回転ベーンポンプにおいては、前記ロータ前後の側壁の複数の溝底部の開口部又はその近くの溝の開口部部分が、該ロータ前後の側壁表面のそれぞれに設けられた第1連通溝を介して、それぞれ互いに連通された構造とすると良い。
同様に、本発明の第2の回転ベーンポンプにおいては、前記ロータ前後の側壁の複数の溝底部の開口部又はその近くの溝の開口部部分が、該ロータの前後の側壁に対向する前記サイドプレート前後の内側壁表面のそれぞれに設けられた第2連通溝を介して、それぞれ互いに連通された構造とすると良い。
【0016】
そうした場合には、そのロータ前後の側壁表面のそれぞれに設けられた第1連通溝、又はそのサイドプレート前後の内側壁表面のそれぞれに設けられた第2連通溝を介してロータの複数の各溝底部空間の両側が互いに連通されるために、その複数の各溝底部空間の気圧が大幅に低下したり大幅に上昇したりするのを的確に防ぐことができる。そして、その溝底部空間の気圧によって、ロータの溝に嵌挿されたベーンに引き込み力や押し出し力が過剰に働くのを、確実に防ぐことができる。
【0017】
本発明の第1の回転ベーンポンプにおいては、前記ロータの側壁表面に設けられた第1連通溝が、ほぼ円形状をなす溝であることを好適としている。
同様に、本発明の第2の回転ベーンポンプにおいては、前記サイドプレートの内側壁表面に設けられた第2連通溝が、ほぼ円形状をなす溝であることを好適としている。
【0018】
そうした場合には、そのほぼ円形状をなす溝を、ロータの側壁表面又はサイドプレートの内側壁表面に、切削バイト等を用いて、旋盤等により、手数を掛けずに容易かつ迅速に形成できる。
【0019】
本発明の第1、第2の回転ベーンポンプにおいては、前記ロータの側壁表面に設けられた第1連通溝、又は前記サイドプレートの内側壁表面に設けられた第2連通溝を、前記ロータの溝内側壁と該溝に嵌挿されたベーン底壁とサイドプレート内側壁とで囲まれたロータの複数の溝底部空間に存在する各気体を、所要の流体抵抗を加えながら、その複数の各溝底部空間の間を互いに移動させる絞り弁的作用をなす、小幅の底浅に形成すると良い。
【0020】
そうした場合には、その絞り弁的作用をなす、小幅の底浅に形成された第1連通溝、又は第2連通溝を通して、ベーンが嵌挿されたロータの複数の溝底部空間に存在する各気体を、所要の流体抵抗を加えながら、その複数の各溝底部空間の間を相互に移動させることができる。そして、ロータの回転に伴って、そのロータの複数の溝底部空間の各気体が移動しても、その各溝底部空間に発生するベーンを引き込もうとする引き込み力やベーンを押し出そうとする押し出し力が低下し過ぎるのを防ぐことができる。そして、ハウジング右側のロータの溝内側からベーンがロータ外方に急激に引き出され過ぎたり、ハウジング左側のロータの溝内側にベーンが急激に引き込まれ過ぎたりするのを、その複数の溝底部空間に存在する空気等の各気体を適度に移動させて、防ぐことができる。そして、そのロータの複数の各溝の内外にベーンを適度な速度で円滑に出入させることが、可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1又は図2は本発明の第1の回転ベーンポンプの好適な実施の形態を示し、図1又は図2はその構造説明図である。以下に、この第1の回転ベーンポンプを説明する。
【0022】
この第1の回転ベーンポンプにおいては、ロータ20側壁の複数の溝22底部の開口部又はその近くの溝22の開口部部分が、該ロータの側壁表面に設けられた第1連通溝100を介して、互いに連通されている。
具体的には、図1に示した例では、ロータ20側壁の隣り合う一方の溝22底部の開口部と他方の溝底部近くの溝22の開口部部分が、該ロータの側壁表面に設けられた第1連通溝100を介して、互いに連通されている。
それに対して、図2に示した例では、ロータ20側壁の隣り合う一方の溝22底部の開口部と他方の溝22底部の開口部とが、該ロータの側壁表面に設けられた第1連通溝100を介して、互いに連通されている。
【0023】
その他は、図1及び図2に示した例共、前述の図4に示した回転ベーンポンプと同様に構成されている。
【0024】
図3は本発明の第2の回転ベーンポンプの好適な実施の形態を示し、図3はその構造説明図である。以下に、この第2の回転ベーンポンプを説明する。
【0025】
この第2の回転ベーンポンプにおいては、そのロータ20側壁の複数の溝22底部の開口部又はその近くの溝22の開口部部分が、該ロータ側壁に対向するサイドプレート50の内側壁表面に設けられた第2連通溝110を介して互いに連通されている。
【0026】
その他は、前述の図4に示した回転ベーンポンプと同様に構成されている。
【0027】
次に、これらの図1ないし図3に示された第1、第2の回転ベーンポンプの作用を説明する。
このような構成の第1、第2の回転ベーンポンプにおいては、ロータ20を回転させて、その吸気口14及び排気口16を通して、ハウジング10の内外に亙って空気等の気体の吸排気を行った場合に、そのロータ20の側壁表面に設けられた第1連通溝100、又はそのサイドプレート50の内側壁表面に設けられた第2連通溝110を通して、ロータの複数の溝底部空間24に存在する空気等の各気体を相互に適度に移動させることができる。そして、その複数の各溝底部空間24の圧力を、低下させ過ぎたり増大させ過ぎたりせずに、その複数の溝底部空間24の間で常に適度に調整し続けることができる。そして、ロータ20の回転に伴って、ベーン30が嵌挿されたロータの所定部位の溝底部空間24の容積が大きく増減しても、その所定部位の溝底部空間24の気圧が他の溝底部空間24の気圧に比べて大幅に低下したり大幅に上昇したりするのを、防ぐことができる。そして、ポンプを低真空度(大流量域)で運転させた際に、ハウジング10右側のロータの溝底部空間24に発生するベーン30を引き込もうとする引き込み力Cに対して、ベーン30をロータの溝22からロータ30外方に引き出そうとする引き出し力Bが小さくなり過ぎて、そのロータの溝22に嵌挿されたベーン30先端をハウジング10の内周壁に押接させる押接力が不足するのを、防ぐことができる。逆に、ポンプを高真空度(小流量域)で運転させた際には、ハウジング10左側のロータの溝底部空間24に発生するベーン30を押し出そうとする押し出し力Dが、ベーン30をロータの溝22に押し込もうとする押し込み力Eよりも大きくなり過ぎて、ベーン30先端がハウジング10内周壁に必要以上に強く圧接されるのを、防ぐことができる。
【0028】
その結果、このような構成の第1、第2の回転ベーンポンプによれば、該ポンプを低真空度(大流量域)で運転させた際に、そのハウジング右側の筒状空間12において、ベーン30先端とハウジング10内周壁との間に空隙が生じてしまうのを、防ぐことができる。そして、その隣り合うベーン30とロータ20外周壁とハウジング10内周壁とサイドプレート50内側壁とで囲まれた空間部分に封じ込められた気体が、その外部に漏れ出して、ポンプの吸気能力が大幅に低下するのを、防ぐことができる。
逆に、該ポンプを高真空度(小流量域)で運転させた際には、そのハウジング左側の筒状空間12において、ベーン30先端がハウジング10内周壁に強く圧接され過ぎて、ポンプが不快な騒音を発したり、ベーン30の摩耗が増大したり、ポンプの運転動力が増大したりするのを、防ぐことができる。
【0029】
図1又は図2に示した第1の回転ベーンポンプにおいては、ロータ20前後の側壁の複数の溝22底部の開口部又はその近くの溝22の開口部部分を、そのロータ20前後の側壁表面のそれぞれに設けられた第1連通溝100を介して、それぞれ互いに連通すると良い。
同様に、図3に示した第2の回転ベーンポンプにおいては、ロータ20前後の側壁の複数の溝22底部の開口部又はその近くの溝22の開口部部分を、そのロータ20前後の側壁に対向するサイドプレート50前後の内側壁表面のそれぞれに設けられた第2連通溝110を介して、それぞれ互いに連通すると良い。
そして、そのロータ20前後の側壁表面のそれぞれに設けられた第1連通溝100、又はそのサイドプレート50前後の内側壁表面のそれぞれに設けられた第2連通溝110を介して互いに連通された、ロータの複数の溝底部空間24に存在する空気等の各気体を相互に的確に移動させることができるようにすると良い。そして、ベーン30先端のハウジング10内周壁への押し付け力が適度に確保されるようにすると良い。
【0030】
この第1、第2の回転ベーンポンプにおいては、図1ないし図3の例に示したように、そのロータ20の側壁表面に設ける第1連通溝100、又はそのサイドプレート50の内側壁表面に設ける第2連通溝110を、ほぼ円形状をなす溝とすると良い。そして、それらのほぼ円形状をなす第1連通溝100や第2連通溝110を、ロータ20側壁表面やサイドプレート50内側壁表面に、切削バイト等を用いて、旋盤等により、手数を掛けずに容易かつ迅速に形成可能とすると良い。
この第1、第2の回転ベーンポンプにおいて、そのロータの複数の溝22底部の開口部又はその近くの溝22の開口部部分を互いに連通する、ロータ20の側壁表面に設ける第1連通溝100、又はサイドプレート50の内側壁表面に設ける第2連通溝110は、六角形等のほぼ直線状に形成するこも、可能である。
【0031】
この第1、第2の回転ベーンポンプにおいては、そのロータ20の側壁表面に設ける第1連通溝110、又はサイドプレート50の内側壁表面に設ける第2連通溝110を、ロータの溝22内側壁と該溝に嵌挿されたベーン30底壁とサイドプレート50内側壁とで囲まれた、ロータの複数の溝底部空間24に存在する各気体を、所要の流体抵抗を加えながら、それらの複数の各溝底部空間24の間を互いに移動させる絞り弁的作用をなす、小幅の底浅に形成すると良い。
そして、その絞り弁的作用をなす、小幅の底浅に形成された第1連通溝100、又は第2連通溝110を通して、ベーン30が嵌挿されたロータの複数の溝底部空間24に存在する各気体を、所要の流体抵抗を加えながら、その複数の各溝底部空間24の間を相互に移動させると良い。そして、ロータ30の回転に伴って、そのロータの複数の各溝底部空間24の気圧が高くなり過ぎたり、低くなり過ぎたりして、その各溝底部空間24に発生するベーン30を引き込もうとする引き込み力が大きくなり過ぎたり、ベーン30を押し出そうとする押し出し力が大きくなり過ぎたりするのを、防ぐと良い。そして、そのロータの複数の各溝22内側をベーン30を常に適度な力で円滑に出入させることができるようにすると良い。そして、回転ベーンポンプのスムーズな運転が確保されるようにすると良い。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の回転ベーンポンプによれば、該ポンプを低真空度(大流量域)で運転させた際に、そのポンプの気体吸引能力が大幅に低下するのを、防ぐことができる。
また、該ポンプを高真空度(小流量域)で運転させた際には、そのポンプが不快な騒音を発したり、ベーンの摩耗が増大したり、そのポンプの運転動力が増大したりするのを、防ぐことができる。
そして、該ポンプの低真空度から高真空度までのスムーズな運転を確保可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の回転ベーンポンプの構造説明図である。
【図2】本発明の第1の回転ベーンポンプの構造説明図である。
【図3】本発明の第2の回転ベーンポンプのサイドプレートの内側壁図である。
【図4】従来一般の回転ベーンポンプの構造説明図である。
【符号の説明】
10 ハウジング
12 ハウジングの筒状空間
14 吸気口
16 排気口
20 ロータ
22 ロータの溝
24 ロータの溝底部空間
30 ベーン
50 サイドプレート
100 第1連通溝
110 第2連通溝
Claims (7)
- ハウジングを前後に貫く筒状空間に偏心させて収容されたロータが、該ハウジングの筒状空間の前後を封じているサイドプレートに亙って回転自在に支持され、該ロータにほぼ放射状に設けられたロータ外周壁及びロータ前後の側壁に亙って連続する開口部を持つ複数の有底の溝のそれぞれにベーンが出入自在に嵌挿されてなる回転ベーンポンプにおいて、
前記ロータ側壁の複数の溝底部の開口部又はその近くの溝の開口部部分が、該ロータの側壁表面に設けられた第1連通溝を介して互いに連通されてなることを特徴とする回転ベーンポンプ。 - 前記ロータ前後の側壁の複数の溝底部の開口部又はその近くの溝の開口部部分が、該ロータ前後の側壁表面のそれぞれに設けられた第1連通溝を介して、それぞれ互いに連通されてなる請求項1記載の回転ベーンポンプ。
- 前記ロータの側壁表面に設けられた第1連通溝が、ほぼ円形状をなす溝である請求項1又は2記載の回転ベーンポンプ。
- ハウジングを前後に貫く筒状空間に偏心させて収容されたロータが、該ハウジングの筒状空間の前後を封じているサイドプレートに亙って回転自在に支持され、該ロータにほぼ放射状に設けられたロータ外周壁及びロータ前後の側壁に亙って連続する開口部を持つ複数の有底の溝のそれぞれにベーンが出入自在に嵌挿されてなる回転ベーンポンプにおいて、
前記ロータ側壁の複数の溝底部の開口部又はその近くの溝の開口部部分が、該ロータ側壁に対向する前記サイドプレートの内側壁表面に設けられた第2連通溝を介して互いに連通されてなることを特徴とする回転ベーンポンプ。 - 前記ロータ前後の側壁の複数の溝底部の開口部又はその近くの溝の開口部部分が、該ロータ前後の側壁に対向する前記サイドプレート前後の内側壁表面のそれぞれに設けられた第2連通溝を介して、それぞれ互いに連通されてなる請求項4記載の回転ベーンポンプ。
- 前記サイドプレートの内側壁表面に設けられた第2連通溝が、ほぼ円形状をなす溝である請求項4又は5記載の回転ベーンポンプ。
- 前記ロータの側壁表面に設けられた第1連通溝、又は前記サイドプレートの内側壁表面に設けられた第2連通溝が、前記ロータの溝内側壁と該溝に嵌挿されたベーン底壁とサイドプレート内側壁とで囲まれたロータの複数の溝底部空間に存在する各気体を、所要の流体抵抗を加えながら、その複数の各溝底部空間の間を互いに移動させる絞り弁的作用をなす、小幅の底浅に形成された請求項1、2、3、4、5又は6記載の回転ベーンポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003101142A JP2004308503A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | 回転ベーンポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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