JP2004308069A - 経糸糊付け装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】経糸の糊付けに際し、常に清浄な糊液で、経糸への糊液の浸透が常に十分に行われる経糸糊付け装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一つの糊液槽を有し、該糊液槽内の糊液に複数の経糸をシート状に並べた経糸シートを浸漬させて糊付けを行う経糸糊付け装置であって、経糸シートの移動方向に関し経糸シートが最初に液体に浸漬される第一の液体槽と、該第一の液体槽から流出する液体を回収する補助槽と、該補助槽に回収された液体を再び第一の液体槽に供給する供給手段とを含み、更に、第一の液体槽、補助槽及び供給手段とを含む循環経路中に液体内に混入した油を液体から分離し回収する油分離装置を付設する。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも一つの糊液槽を有し、該糊液槽内の糊液に複数の経糸をシート状に並べた経糸シートを浸漬させて糊付けを行う経糸糊付け装置であって、経糸シートの移動方向に関し経糸シートが最初に液体に浸漬される第一の液体槽と、該第一の液体槽から流出する液体を回収する補助槽と、該補助槽に回収された液体を再び第一の液体槽に供給する供給手段とを含み、更に、第一の液体槽、補助槽及び供給手段とを含む循環経路中に液体内に混入した油を液体から分離し回収する油分離装置を付設する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、経糸糊付け装置に関し、特に、少なくとも一つの糊液槽を有し、該糊液槽内の糊液に複数の経糸をシート状に並べた経糸シートを浸漬させて経糸シートへの糊付けを行う経糸糊付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
経糸糊付け装置の一つとして、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載の経糸糊付け装置は、クリール装置等から引き出された複数の経糸をシート状に並べた経糸シートが、糊付け部に向けて引き出されると共に、糊液槽(サイズボックス)内の糊液に浸されたイマーションローラ及びサイジングローラに案内されて糊液槽内の糊液に浸漬され、その後、サイジングローラとこれに圧接されたスクイズローラとの間の絞り部を通ることにより、絞られて糊付けされるものである。
【0003】
糊液槽内の糊液は経糸シートへの糊付けに伴って消費されるが、この糊液の消費に伴って補助槽(キャビティボックス)から糊液が糊液槽に供給されるように構成されている。また、この供給に伴って糊液槽から流出(オーバーフロー)する糊液は補助槽に回収されるようになっており、糊液槽、補助槽及び補助槽から糊液槽に糊液を供給する手段(供給手段)で糊液が循環する構成となっている。
【0004】
また、経糸糊付け装置の他の例として、特許文献2に記載されたものがある。この特許文献2に記載された技術では、一つの糊付け槽内に二組のサイジングロール及びスクイズロールを経糸シートの移動方向に並べて配置し、経糸シートをこれらの間に順次通すことにより、経糸シートに対する糊付けを2回行えるものとなっている。
【0005】
このような経糸糊付け装置にあっては、二回の糊付けによって各経糸の内部まで十分に糊液を浸透させる共に、一回目の糊付けすなわち予備糊付けにおける糊液への浸漬及び絞りによって各経糸に付着している風綿や毛羽等の大部分が経糸から脱落し、更に、再度の糊付けすなわち仕上げ糊付けが行われるため、風綿、毛羽等をほとんど含まない糊付けが行われる。
【0006】
なお、上記のような糊付け過程で糊液内に脱落した毛羽等の夾雑物や糊剤の塊等を除去する技術として、特許文献3に記載されたものがある。この特許文献3に記載の経糸糊付け装置では、補助槽から糊液槽(主槽)に糊液を供給する循環経路中に糊液濾過装置を設け、糊液内に含まれる毛羽等の夾雑物や糊剤の塊等を排出除去するものとなっている。
【0007】
【特許文献1】
実公昭62−45029号公報(第1図)
【特許文献2】
特開平3−82868号公報(第1図)
【特許文献3】
特開平5−125657号公報(図3)
【0008】
【解決しようとする課題】
ところが、上記した従来の経糸糊付け装置では、いずれにおいても、最終的な糊付けにおいて経糸シートの各経糸への糊液の浸透が不十分なものとなる、という問題が発生してしまう。
【0009】
その理由は、経糸シートの各経糸に付与されている油剤が糊液内に落ち、これが再度経糸に付着して経糸への糊液の浸透を妨げるからである。
【0010】
すなわち、クリール装置等から糊付け装置に供給される各経糸には、一定の収束性と平滑性を与えるためにオイル(油剤)が付与されており、クリール装置等に仕掛けられる給糸体を整経する過程で、各糸に対しオイリングが施されるのが一般的である。
【0011】
そして、このような経糸が糊付け装置で糊付けされる際、その糊液への浸漬及び絞り工程時に、前述のような各経糸に付着した毛羽等の夾雑物だけでなく、経糸に付与されている上記油剤も絞られた糊液と共に糊液槽内に落ちてしまう。
【0012】
このようにして糊液槽内に落ちた油剤は、糊液槽から流出する糊液と共に補助槽に到り、その後、補助槽内の糊液上に浮遊した状態となる。また、浮遊する油剤同士が結びついてゲル状の油塊となり、これが補助槽内の糊液上に浮遊した状態となったりもする。そして、このように補助槽の糊液上に浮遊する油剤もしくは油塊(以下、「油剤等」という)が、補助槽への糊液の供給もしくは流れ込みに伴って発生する補助槽内での糊液の流れにより、糊液を糊液槽へ供給する供給手段側へ到り、糊液と共に再び糊液槽にもたらされてしまう。その結果、この油剤等が経糸シートの経糸に再付着し、これが経糸への糊液の浸透を妨げる原因となってしまう。
【0013】
なお、前述のように、糊液槽、補助槽及び供給手段を含む循環経路中に濾過装置を設けた経糸糊付け装置は公知であるが、これらの公知技術は、主として経糸に付着していた毛羽や風綿等を除去することを目的としたものである。ましてや、油剤等は液状であるため、公知の毛羽等の通過を防止するフィルタを用いた濾過装置では油剤等が再び糊液槽にもたらされるのを防ぐことはできず、これらの公知技術では上記問題の発生を解決するには到らない。
【0014】
そして、上記のように経糸への糊液の浸透が不十分である、すなわち、経糸への糊付けが不十分である場合、このような経糸を用いた製織において、織機の稼働率が低下したり、あるいは織上がった織布の品質低下を招くといった問題が発生する。
【0015】
以上の従来技術の問題点を鑑み、本発明の目的は、経糸の糊付けに際し、常に清浄な糊液で、経糸への糊液の浸透が常に十分に行われる経糸糊付け装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、少なくとも一つの糊液槽を有し、該糊液槽内の糊液に複数の経糸をシート状に並べた経糸シートを浸漬させて糊付けを行う経糸糊付け装置であって、経糸シートの移動方向に関し経糸シートが最初に液体に浸漬される第一の液体槽と、該第一の液体槽から流出する液体を回収する補助槽と、該補助槽に回収された液体を再び第一の液体槽に供給する供給手段とを含み、更に、第一の液体槽、補助槽及び供給手段とを含む循環経路中に液体内に混入した油分を液体から分離し回収する油分離装置を付設した、ことをその要旨とする。
【0017】
また、本発明の経糸糊付け装置は、その構成が経糸シートが順次浸漬されて糊付けされる互いに独立した複数の糊付け槽を有する型式であって、上記第一の液体槽が、経糸シートの移動方向における最も上流側に位置する糊付け槽であるものとしてもよい。また、経糸糊付け装置が経糸シートに水分を付与した後に糊付けを行う型式であって、上記第一の液体槽が、経糸シートの移動方向における糊液槽の上流側に水槽であってもよい。更には、上記油分離装置を上記補助槽に付設されたものとしてもよい。
【0018】
【作用及び効果】
上記本発明の構成によれば、経糸が最初に浸漬される第一の液体槽内の糊液もしくは水、あるいは補助槽から第一の液体槽に供給される糊液もしくは水が、ほとんど油剤等を含まない清浄なものとなり、経糸から落ちた油剤もしくは油剤によって生じた油塊が再度経糸に付着することが可及的に減少される。従って、経糸に油剤等が再付着して糊液の浸透が妨げられるおそれがなく、常に安定した糊付けを行うことができ、延ては、織機の稼働率の向上及び織布の品質的の防止を図ることができる。
【0019】
また、油分離装置を補助槽に付設する構成とすることにより、補助槽内の糊液に浮遊する油剤等を回収して糊液から分離するものとすればよく、糊液からの油剤の除去が確実に行えると共に、容易にその構成が実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0021】
図1、2に示すのは本発明の一実施形態であって、図示の経糸糊付け装置は、互いに独立する二つの糊液槽を経糸シートの移動方向に並設して経糸シートを順次糊付けする型式である。そして、この型式の場合、上流側に配置される糊液槽(後述する第一の糊液槽21)が本発明の第一の液体槽に相当する。
【0022】
経糸糊付け装置10は、経糸シート12の移動方向における上流側に配置された第1の糊付け機20と、下流側に配置された第2の糊付け機40とを含む。なお、経糸シート12は、矢印Kで示された方向に移動するものとし、図示しないクリール装置等から引き出されてガイドロール15によって案内され、第一の糊付け機20及び第二の糊付け機40を経由し、その後、乾燥装置(図示せず)に連続的に送り出される。
【0023】
各糊付け機20、40はほぼ同様の構成であって、第一の糊付け機20は、糊液18を収容する第一の糊液槽21と、経糸シート12の幅方向に亘って延在する浸漬ローラ23、糊付けローラ25及び絞りローラ27とを含む。浸漬ローラ23と糊付けローラ25とは、経糸シート12の移動方向に隣り合う状態で互いに圧接され、第一の糊液槽21内において糊液18にその下部が浸るようにして配置されている。また、絞りローラ27は、糊付けローラ25の上方に配置され、糊付けローラ25に圧接されている。
【0024】
同様に、第2の糊付け機40は、糊液18を収容する第二の糊液槽41と、浸漬ローラ43、糊付けローラ45及び絞りローラ47とを含む。
【0025】
そして、クリール装置等から引き出されてガイドロール15に案内された経糸シート12は、まず、第一の糊付け機20において、浸漬ローラ23の下側に巻掛けられて糊液18内に浸漬されると共に、浸漬ローラ23と糊付けローラ25との間を通過する際に糊付けローラ25の表面で汲み上げられた糊液によっても糊付けされ、次いで、糊付けローラ25と絞りローラ27との間で付着、浸透した糊液が適度に絞られ、その後、第二の糊付け機40に送られる。そして、第二の糊付け機40によっても同様に糊付けが行われる。
【0026】
各糊付け機20、40には、それぞれ第一の補助槽30及び第二の補助槽50が付設されており、第一の糊液槽21には第一の補助槽30から、第二の糊液槽41には第二の補助槽50から糊液18’が常時供給される。
【0027】
第一の糊液槽21への糊液18’の供給に伴って第一の糊液槽21から流出する糊液は、導管29を介して第一の補助槽30に回収される。また、導管29と第一の補助槽30との間には、フィルタ31が設けられており、第一の糊液槽21から流出する糊液中に含まれる糊剤の塊や毛羽等の夾雑物がこのフィルタ31によって回収され、第一の補助槽30内の糊液18’にこれらの異物が混入することを防止している。
【0028】
そして、第一の補助槽30内の糊液18’は、第一のポンプP1及び導管33を介して第一の糊液槽21に供給される。従って、この第一のポンプP1及び導管33が補助槽内の糊液を第一の糊液槽に供給する供給手段を構成するものであり、糊液は、第一の補助槽30から供給手段を介して第一の糊液槽21に到り、再び第一の糊液槽21から導管29を介して第一の補助槽30に到るというように循環される。また、上記供給手段の導管33の経路中には絞り弁35が介装されており、第一の糊液槽21へ供給される糊液の流量がこの絞り弁35によって調整されるようになっている。
【0029】
同様に、第二の糊液槽41への糊液18’の供給に伴って第二の糊液槽41から流出する糊液は、導管49及びフィルタ51を介して第二の補助槽50に回収される。このフィルタ51も上記フィルタ31と同様に、第二の補助槽50内の糊液18’に糊剤の塊等が混入するのを防止するためのものである。そして、第二の補助槽50内の糊液18’は、供給手段である第二のポンプP2、導管53及び絞り弁55を介して第二の糊液槽41へ供給される。
【0030】
また、各補助槽30、50の各々には、糊液の液面のレベルを検出するセンサ37、57が設けられている。この各センサ37、57は、対応する補助槽内の糊液の液面レベルが下限値よりも低下しないように糊液を補給するためと、上限値を超えないように補給を停止するためとに利用される。
【0031】
図示の経糸糊付け装置10では、第二の補助槽50に対しては、経糸糊付け装置10に付設された糊供給タンク60から導管61及び電磁開閉弁62を介し、糊供給タンク60内の糊液18”が供給され、、第一の補助槽30に対しては、第二の補助槽50から第二のポンプP2及び導管53を介し、更には、導管53から分岐された導管63及び電磁開閉弁64を介して第二の補助槽50内の糊液18’が供給されるように構成されている。そして、各電磁開閉弁62、64は、対応する補助槽に設けられた上記センサ37、57の出力信号に基づいて、図示しない経糸糊付け装置の制御装置によりその作動が制御され、これによって、各補助槽30、50への糊液の供給が制御される。
【0032】
なお、図示のような各補助槽30、50への糊液の供給機構を用いた場合、仕上げ糊付けが行われる第二の糊付け機40に対応する第二の補助槽50には、第一の糊付け機20と第二の糊付け機40との両方で消費される糊液を合わせた量の糊液が供給される。従って、第二の補助槽50には、第二の糊付け機40で消費される量よりも遙かに多い量の糊液が供給されるため、仮に、第二の補助槽50内の糊液に異物等が混入している場合であっても、これが十分に希釈されて異物等が含まれる割合が非常に小さくなり、仕上げ糊付けを行うための糊液は清浄に保たれる。
【0033】
以上のような経糸糊付け装置10において、本発明では、経糸シートの移動方向に関し経糸シートが最初に液体に浸漬される第一の液体槽、すなわち、図示の例における第一の糊液槽21に対応する糊液の循環経路中に、糊液から油剤等を分離して回収する油分離装置が付設されており、図示の例では、この油分離装置が第一の補助装置30に付設されている。
【0034】
図示の実施形態における油分離装置70は、図2にその詳細を示すものであって、油剤と糊液との比重差を利用した比重差分離式のものである。
【0035】
この油分離装置70は、箱状の本体71を主体とするものであって、この本体71の下面71aに接続されて本体71の内部空間に連通する導管77を介して第三のポンプP3が接続されている。また、この第三のポンプP3には、フレキシブルなチューブ79の一端が接続されており、更に、このチューブ79の他端は、第一の補助槽30の糊液18’内に導かれている。
【0036】
本体71には、その内部空間において、一方または他方の側壁71b、71cから交互に突設されて各側面の幅方向(紙面に対し垂直方向)に亘って存在する複数の隔壁73、73、…が設けられており、この隔壁73によって油剤等を含む糊液通過用の迂回路75が形成されている。
【0037】
更に、最上段の隔壁73の上面には、その隔壁73の上方の空間を隔壁73の突設方向(紙面と平行な方向)に仕切るべく、隔壁73の幅方向(紙面に垂直な方向)に亘って延在する分離壁74が設けられている。そして、本体71には、分離壁74によって仕切られた最上段の空間のうちの迂回路75側の空間に連通するように、導管39の一端がその対応する側壁(図示の例では側壁71b)に接続されている。
【0038】
また、分離壁74によって仕切られた最上段の空間のうちの上記迂回路75側の空間とは反対側の空間71dには、それに対応する側壁(図示の例では側壁71c)に接続された排油管81の一端が連通している。なお、上記導管39の他端は第一の補助槽30内に導入されており、また、上記排油管81の他端は油回収容器80に導入されている。
【0039】
また、上記第三のポンプP3に接続されたチューブ79の他端には、その先端付近にフロート部材79bが取付けられている。これは、油剤等は糊液よりも比重が軽く補助槽に回収された糊液に含まれる油剤は補助槽内において図示のD1で示すように糊液上を浮遊した状態となること、及び、経糸糊付け機における糊液の消費に伴って補助槽内の糊液のレベルが変動すること、に対応するためのものであり、このフロート部材79bによって、チューブ79の他端側先端すなわち吸引口79aは、補助槽内で糊液レベルに変動があっても、常に糊液内の液面付近に維持される。
【0040】
これらの構成からなる油分離装置70の作用としては、まず、第三のポンプP3の作動によって、第一の補助槽30内の糊液18’における液面付近の糊液がチューブ79の吸引口79aから吸引され、これに伴って糊液面上を浮遊する油剤等がチューブ79内に吸引、回収される。そして、この吸引された油剤を含む糊液は、第三のポンプP3及び導管77を介して本体71内に送り込まれ、迂回路75を経由して最上段の空間に到る。
【0041】
このようにして本体71に送り込まれた油剤等を含む糊液は、迂回路75を通過する過程で、糊液と油剤等との比重差により両者が徐々に分離し、迂回路75に続く最上段の空間では、図示のD2で示すように、油剤等が速やかに糊液から分離し糊液上に浮上した状態となる。そして、この最上段の空間において浮上する油剤等は、本体71内に順次糊液が送り込まれることにおり、分離壁74を越えて空間71d側に流れ込み、これが排油管81を介して油回収容器80に排出される。また、上記最上段の空間において油剤等が分離された糊液は、導管39を介して第一の補助槽30内に戻される。
【0042】
なお、上記分離壁74は、その高さが調節可能となっており、この分離壁74の高さを適宜に調節することにより、上記最上段の空間において糊液上に浮上する油剤等のみを適切に排出することができる。
【0043】
また、上記第一の補助槽30から糊液を吸引するための第三のポンプP3は、常時作動するものとしてもよいし、所定の期間毎に間欠的に作動させるものであってもよい。
【0044】
以上のように、この実施形態における経糸糊付け装置10では、油分離装置70が、第一の補助槽30内において油剤等を多量に含む液面付近の糊液を回収し、この糊液から油剤等を分離した後、ほとんど油剤等を含まない糊液のみを再び第一の補助槽30へ戻すため、第一の補助槽30内に存在する油剤等が有効に除去される。従って、第一の糊液槽21から流出した糊液が油剤等を含むものであったとしても、第一の補助槽30から供給手段によって第一の糊液槽21に供給される糊液は、油剤等をほとんど含まないものとなる。よって、糊付け過程において経糸から脱落した油剤等が経糸に再付着することを可及的に減少させることができ、常に安定した糊付けを行うことができる。
【0045】
【その他の実施形態】
本発明で用いられる油分離装置は、前述のような隔壁によって迂回路を形成して、油剤と糊液との比重差を利用して両者を分離する比重差分離式のものに限らず、例えば、特開平4−59002号公報や特開平7−24212号公報に記載されているような、荷電板(電極板)を用いて油混合溶液に電解を作用させることにより油剤と溶液とを分離する荷電凝集型の油分離装置を用いてもよい。このような荷電凝集型の油分離装置を採用すれば、より高い効率で油分を良好に分離することができる。また、油分離装置は、他の公知のものを使用するものとしてもよい。
【0046】
また、前述の上記実施形態では、経糸糊付け装置が、二つの経糸糊付け機を経糸の移動方向に並設し、互いに独立する二つの糊液槽を経糸シートの移動方向に並設して経糸シートを順次糊付けする型式としたが、本発明が対象とする経糸糊付け装置はこれに限らず、単一の糊付け機のみによって糊付けを行う型式であってもよい。
【0047】
この場合は、図1における経糸糊付け装置の糊付け機40が省略されると共に、第一の補助槽30への糊液の供給が糊供給タンク60から直接行われるものとなる。そして、この場合は、この単一の糊付け機における糊液槽が第一の液体槽となる。
【0048】
更には、前述の実施形態のような二つの液体槽(糊液槽)の各々に糊液を供給し、そのそれぞれにおいて経糸シートに糊付けを行うものに代えて、経糸糊付け装置を、例えば、特開2002−266225号公報に記載されているような、経糸シートの移動方向上流側に水槽を設け、この水槽により経糸シートに水分を付与した後に、下流側に配置された糊付け機で糊付けを行うものとしてもよい。
【0049】
すなわち、図3に示すよう、経糸糊付け装置10’は、仕上げ糊付けを行う糊付け機40の上流側に、水槽91、湿潤ロール93及び一対の絞りロール95,95を含む湿潤装置90を備えており、経糸シート12は、まず、湿潤装置90の湿潤ローラ93の下側に巻掛けられて水槽91内の水(温水)に浸漬され、これによって水分を付与された後、一対の絞りローラ95、95間を通過して水分が適度に絞られ、その後、糊付け装置40に送られて前述の実施形態と同様に糊付けが行われる。そして、この経糸糊付け装置10’の場合は、水槽91が本発明の第一の液体槽に相当する。
【0050】
水槽91には補助槽100が付設されており、この補助槽100から導管101及び第4のポンプP4(供給手段)を介して補助槽100内の水19’が供給される。また、この供給に伴って水槽91内の水が堰91aを越えて流出し、再び補助槽100内に戻され、水が循環することになる。なお、供給手段の経路中には加熱手段105が設けられており、補助槽100からの水は、加熱されて水槽91に供給される。また、補助槽100に対しては給水源110から水が供給される。
【0051】
そして、この経糸糊付け装置10’においても、補助槽100に油分離装置120が付設されている。従って、水槽91から流出する油剤等を含む水(温水)は、補助槽100内に水が回収された後、第5のポンプP5等を介して油分離装置120に送り込まれ、これによって、水槽91から流出する水に含まれる油剤等が補助槽100内の水から除去される。よって、補助槽100から水槽91に供給される水には油剤等がほとんど含まれないものとなり、経糸から落ちた油剤等が再付着することが防止される。
【0052】
なお、以上の実施形態ではいずれも、油分離装置が第一の液体槽(第1の糊液槽、水槽)に液体を供給する補助槽に付設されたものとなっているが、本発明における油分離装置の配置はこれに限定されるものではなく、例えば、第一の液体槽に付設されて、第一の液体槽から流出する前の液体から油剤等を分離し排出するものであってもよい。また、補助槽から第一の液体槽に液体を供給する循環経路中(供給手段中)に油分離装置を介在させるものとしてもよい。
【0053】
また、本発明は上記のいずれの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の経糸糊付け装置の一実施形態を示す側面図。
【図2】図1に示す経糸糊付け装置の要部を示す側面図。
【図3】本発明の経糸糊付け装置の他の実施形態を示す側面図。
【符号の説明】
10 経糸糊付け装置
12 経糸シート
20 第一の糊付け機
21 第一の糊液槽
30 第一の補助槽
40 第二の糊付け機
41 第二の糊液槽
50 第二の補助槽
60 糊供給タンク
70、120 油分離装置
P1 第一のポンプ
P2 第二のポンプ
P4 第四のポンプ
【発明が属する技術分野】
本発明は、経糸糊付け装置に関し、特に、少なくとも一つの糊液槽を有し、該糊液槽内の糊液に複数の経糸をシート状に並べた経糸シートを浸漬させて経糸シートへの糊付けを行う経糸糊付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
経糸糊付け装置の一つとして、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載の経糸糊付け装置は、クリール装置等から引き出された複数の経糸をシート状に並べた経糸シートが、糊付け部に向けて引き出されると共に、糊液槽(サイズボックス)内の糊液に浸されたイマーションローラ及びサイジングローラに案内されて糊液槽内の糊液に浸漬され、その後、サイジングローラとこれに圧接されたスクイズローラとの間の絞り部を通ることにより、絞られて糊付けされるものである。
【0003】
糊液槽内の糊液は経糸シートへの糊付けに伴って消費されるが、この糊液の消費に伴って補助槽(キャビティボックス)から糊液が糊液槽に供給されるように構成されている。また、この供給に伴って糊液槽から流出(オーバーフロー)する糊液は補助槽に回収されるようになっており、糊液槽、補助槽及び補助槽から糊液槽に糊液を供給する手段(供給手段)で糊液が循環する構成となっている。
【0004】
また、経糸糊付け装置の他の例として、特許文献2に記載されたものがある。この特許文献2に記載された技術では、一つの糊付け槽内に二組のサイジングロール及びスクイズロールを経糸シートの移動方向に並べて配置し、経糸シートをこれらの間に順次通すことにより、経糸シートに対する糊付けを2回行えるものとなっている。
【0005】
このような経糸糊付け装置にあっては、二回の糊付けによって各経糸の内部まで十分に糊液を浸透させる共に、一回目の糊付けすなわち予備糊付けにおける糊液への浸漬及び絞りによって各経糸に付着している風綿や毛羽等の大部分が経糸から脱落し、更に、再度の糊付けすなわち仕上げ糊付けが行われるため、風綿、毛羽等をほとんど含まない糊付けが行われる。
【0006】
なお、上記のような糊付け過程で糊液内に脱落した毛羽等の夾雑物や糊剤の塊等を除去する技術として、特許文献3に記載されたものがある。この特許文献3に記載の経糸糊付け装置では、補助槽から糊液槽(主槽)に糊液を供給する循環経路中に糊液濾過装置を設け、糊液内に含まれる毛羽等の夾雑物や糊剤の塊等を排出除去するものとなっている。
【0007】
【特許文献1】
実公昭62−45029号公報(第1図)
【特許文献2】
特開平3−82868号公報(第1図)
【特許文献3】
特開平5−125657号公報(図3)
【0008】
【解決しようとする課題】
ところが、上記した従来の経糸糊付け装置では、いずれにおいても、最終的な糊付けにおいて経糸シートの各経糸への糊液の浸透が不十分なものとなる、という問題が発生してしまう。
【0009】
その理由は、経糸シートの各経糸に付与されている油剤が糊液内に落ち、これが再度経糸に付着して経糸への糊液の浸透を妨げるからである。
【0010】
すなわち、クリール装置等から糊付け装置に供給される各経糸には、一定の収束性と平滑性を与えるためにオイル(油剤)が付与されており、クリール装置等に仕掛けられる給糸体を整経する過程で、各糸に対しオイリングが施されるのが一般的である。
【0011】
そして、このような経糸が糊付け装置で糊付けされる際、その糊液への浸漬及び絞り工程時に、前述のような各経糸に付着した毛羽等の夾雑物だけでなく、経糸に付与されている上記油剤も絞られた糊液と共に糊液槽内に落ちてしまう。
【0012】
このようにして糊液槽内に落ちた油剤は、糊液槽から流出する糊液と共に補助槽に到り、その後、補助槽内の糊液上に浮遊した状態となる。また、浮遊する油剤同士が結びついてゲル状の油塊となり、これが補助槽内の糊液上に浮遊した状態となったりもする。そして、このように補助槽の糊液上に浮遊する油剤もしくは油塊(以下、「油剤等」という)が、補助槽への糊液の供給もしくは流れ込みに伴って発生する補助槽内での糊液の流れにより、糊液を糊液槽へ供給する供給手段側へ到り、糊液と共に再び糊液槽にもたらされてしまう。その結果、この油剤等が経糸シートの経糸に再付着し、これが経糸への糊液の浸透を妨げる原因となってしまう。
【0013】
なお、前述のように、糊液槽、補助槽及び供給手段を含む循環経路中に濾過装置を設けた経糸糊付け装置は公知であるが、これらの公知技術は、主として経糸に付着していた毛羽や風綿等を除去することを目的としたものである。ましてや、油剤等は液状であるため、公知の毛羽等の通過を防止するフィルタを用いた濾過装置では油剤等が再び糊液槽にもたらされるのを防ぐことはできず、これらの公知技術では上記問題の発生を解決するには到らない。
【0014】
そして、上記のように経糸への糊液の浸透が不十分である、すなわち、経糸への糊付けが不十分である場合、このような経糸を用いた製織において、織機の稼働率が低下したり、あるいは織上がった織布の品質低下を招くといった問題が発生する。
【0015】
以上の従来技術の問題点を鑑み、本発明の目的は、経糸の糊付けに際し、常に清浄な糊液で、経糸への糊液の浸透が常に十分に行われる経糸糊付け装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、少なくとも一つの糊液槽を有し、該糊液槽内の糊液に複数の経糸をシート状に並べた経糸シートを浸漬させて糊付けを行う経糸糊付け装置であって、経糸シートの移動方向に関し経糸シートが最初に液体に浸漬される第一の液体槽と、該第一の液体槽から流出する液体を回収する補助槽と、該補助槽に回収された液体を再び第一の液体槽に供給する供給手段とを含み、更に、第一の液体槽、補助槽及び供給手段とを含む循環経路中に液体内に混入した油分を液体から分離し回収する油分離装置を付設した、ことをその要旨とする。
【0017】
また、本発明の経糸糊付け装置は、その構成が経糸シートが順次浸漬されて糊付けされる互いに独立した複数の糊付け槽を有する型式であって、上記第一の液体槽が、経糸シートの移動方向における最も上流側に位置する糊付け槽であるものとしてもよい。また、経糸糊付け装置が経糸シートに水分を付与した後に糊付けを行う型式であって、上記第一の液体槽が、経糸シートの移動方向における糊液槽の上流側に水槽であってもよい。更には、上記油分離装置を上記補助槽に付設されたものとしてもよい。
【0018】
【作用及び効果】
上記本発明の構成によれば、経糸が最初に浸漬される第一の液体槽内の糊液もしくは水、あるいは補助槽から第一の液体槽に供給される糊液もしくは水が、ほとんど油剤等を含まない清浄なものとなり、経糸から落ちた油剤もしくは油剤によって生じた油塊が再度経糸に付着することが可及的に減少される。従って、経糸に油剤等が再付着して糊液の浸透が妨げられるおそれがなく、常に安定した糊付けを行うことができ、延ては、織機の稼働率の向上及び織布の品質的の防止を図ることができる。
【0019】
また、油分離装置を補助槽に付設する構成とすることにより、補助槽内の糊液に浮遊する油剤等を回収して糊液から分離するものとすればよく、糊液からの油剤の除去が確実に行えると共に、容易にその構成が実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0021】
図1、2に示すのは本発明の一実施形態であって、図示の経糸糊付け装置は、互いに独立する二つの糊液槽を経糸シートの移動方向に並設して経糸シートを順次糊付けする型式である。そして、この型式の場合、上流側に配置される糊液槽(後述する第一の糊液槽21)が本発明の第一の液体槽に相当する。
【0022】
経糸糊付け装置10は、経糸シート12の移動方向における上流側に配置された第1の糊付け機20と、下流側に配置された第2の糊付け機40とを含む。なお、経糸シート12は、矢印Kで示された方向に移動するものとし、図示しないクリール装置等から引き出されてガイドロール15によって案内され、第一の糊付け機20及び第二の糊付け機40を経由し、その後、乾燥装置(図示せず)に連続的に送り出される。
【0023】
各糊付け機20、40はほぼ同様の構成であって、第一の糊付け機20は、糊液18を収容する第一の糊液槽21と、経糸シート12の幅方向に亘って延在する浸漬ローラ23、糊付けローラ25及び絞りローラ27とを含む。浸漬ローラ23と糊付けローラ25とは、経糸シート12の移動方向に隣り合う状態で互いに圧接され、第一の糊液槽21内において糊液18にその下部が浸るようにして配置されている。また、絞りローラ27は、糊付けローラ25の上方に配置され、糊付けローラ25に圧接されている。
【0024】
同様に、第2の糊付け機40は、糊液18を収容する第二の糊液槽41と、浸漬ローラ43、糊付けローラ45及び絞りローラ47とを含む。
【0025】
そして、クリール装置等から引き出されてガイドロール15に案内された経糸シート12は、まず、第一の糊付け機20において、浸漬ローラ23の下側に巻掛けられて糊液18内に浸漬されると共に、浸漬ローラ23と糊付けローラ25との間を通過する際に糊付けローラ25の表面で汲み上げられた糊液によっても糊付けされ、次いで、糊付けローラ25と絞りローラ27との間で付着、浸透した糊液が適度に絞られ、その後、第二の糊付け機40に送られる。そして、第二の糊付け機40によっても同様に糊付けが行われる。
【0026】
各糊付け機20、40には、それぞれ第一の補助槽30及び第二の補助槽50が付設されており、第一の糊液槽21には第一の補助槽30から、第二の糊液槽41には第二の補助槽50から糊液18’が常時供給される。
【0027】
第一の糊液槽21への糊液18’の供給に伴って第一の糊液槽21から流出する糊液は、導管29を介して第一の補助槽30に回収される。また、導管29と第一の補助槽30との間には、フィルタ31が設けられており、第一の糊液槽21から流出する糊液中に含まれる糊剤の塊や毛羽等の夾雑物がこのフィルタ31によって回収され、第一の補助槽30内の糊液18’にこれらの異物が混入することを防止している。
【0028】
そして、第一の補助槽30内の糊液18’は、第一のポンプP1及び導管33を介して第一の糊液槽21に供給される。従って、この第一のポンプP1及び導管33が補助槽内の糊液を第一の糊液槽に供給する供給手段を構成するものであり、糊液は、第一の補助槽30から供給手段を介して第一の糊液槽21に到り、再び第一の糊液槽21から導管29を介して第一の補助槽30に到るというように循環される。また、上記供給手段の導管33の経路中には絞り弁35が介装されており、第一の糊液槽21へ供給される糊液の流量がこの絞り弁35によって調整されるようになっている。
【0029】
同様に、第二の糊液槽41への糊液18’の供給に伴って第二の糊液槽41から流出する糊液は、導管49及びフィルタ51を介して第二の補助槽50に回収される。このフィルタ51も上記フィルタ31と同様に、第二の補助槽50内の糊液18’に糊剤の塊等が混入するのを防止するためのものである。そして、第二の補助槽50内の糊液18’は、供給手段である第二のポンプP2、導管53及び絞り弁55を介して第二の糊液槽41へ供給される。
【0030】
また、各補助槽30、50の各々には、糊液の液面のレベルを検出するセンサ37、57が設けられている。この各センサ37、57は、対応する補助槽内の糊液の液面レベルが下限値よりも低下しないように糊液を補給するためと、上限値を超えないように補給を停止するためとに利用される。
【0031】
図示の経糸糊付け装置10では、第二の補助槽50に対しては、経糸糊付け装置10に付設された糊供給タンク60から導管61及び電磁開閉弁62を介し、糊供給タンク60内の糊液18”が供給され、、第一の補助槽30に対しては、第二の補助槽50から第二のポンプP2及び導管53を介し、更には、導管53から分岐された導管63及び電磁開閉弁64を介して第二の補助槽50内の糊液18’が供給されるように構成されている。そして、各電磁開閉弁62、64は、対応する補助槽に設けられた上記センサ37、57の出力信号に基づいて、図示しない経糸糊付け装置の制御装置によりその作動が制御され、これによって、各補助槽30、50への糊液の供給が制御される。
【0032】
なお、図示のような各補助槽30、50への糊液の供給機構を用いた場合、仕上げ糊付けが行われる第二の糊付け機40に対応する第二の補助槽50には、第一の糊付け機20と第二の糊付け機40との両方で消費される糊液を合わせた量の糊液が供給される。従って、第二の補助槽50には、第二の糊付け機40で消費される量よりも遙かに多い量の糊液が供給されるため、仮に、第二の補助槽50内の糊液に異物等が混入している場合であっても、これが十分に希釈されて異物等が含まれる割合が非常に小さくなり、仕上げ糊付けを行うための糊液は清浄に保たれる。
【0033】
以上のような経糸糊付け装置10において、本発明では、経糸シートの移動方向に関し経糸シートが最初に液体に浸漬される第一の液体槽、すなわち、図示の例における第一の糊液槽21に対応する糊液の循環経路中に、糊液から油剤等を分離して回収する油分離装置が付設されており、図示の例では、この油分離装置が第一の補助装置30に付設されている。
【0034】
図示の実施形態における油分離装置70は、図2にその詳細を示すものであって、油剤と糊液との比重差を利用した比重差分離式のものである。
【0035】
この油分離装置70は、箱状の本体71を主体とするものであって、この本体71の下面71aに接続されて本体71の内部空間に連通する導管77を介して第三のポンプP3が接続されている。また、この第三のポンプP3には、フレキシブルなチューブ79の一端が接続されており、更に、このチューブ79の他端は、第一の補助槽30の糊液18’内に導かれている。
【0036】
本体71には、その内部空間において、一方または他方の側壁71b、71cから交互に突設されて各側面の幅方向(紙面に対し垂直方向)に亘って存在する複数の隔壁73、73、…が設けられており、この隔壁73によって油剤等を含む糊液通過用の迂回路75が形成されている。
【0037】
更に、最上段の隔壁73の上面には、その隔壁73の上方の空間を隔壁73の突設方向(紙面と平行な方向)に仕切るべく、隔壁73の幅方向(紙面に垂直な方向)に亘って延在する分離壁74が設けられている。そして、本体71には、分離壁74によって仕切られた最上段の空間のうちの迂回路75側の空間に連通するように、導管39の一端がその対応する側壁(図示の例では側壁71b)に接続されている。
【0038】
また、分離壁74によって仕切られた最上段の空間のうちの上記迂回路75側の空間とは反対側の空間71dには、それに対応する側壁(図示の例では側壁71c)に接続された排油管81の一端が連通している。なお、上記導管39の他端は第一の補助槽30内に導入されており、また、上記排油管81の他端は油回収容器80に導入されている。
【0039】
また、上記第三のポンプP3に接続されたチューブ79の他端には、その先端付近にフロート部材79bが取付けられている。これは、油剤等は糊液よりも比重が軽く補助槽に回収された糊液に含まれる油剤は補助槽内において図示のD1で示すように糊液上を浮遊した状態となること、及び、経糸糊付け機における糊液の消費に伴って補助槽内の糊液のレベルが変動すること、に対応するためのものであり、このフロート部材79bによって、チューブ79の他端側先端すなわち吸引口79aは、補助槽内で糊液レベルに変動があっても、常に糊液内の液面付近に維持される。
【0040】
これらの構成からなる油分離装置70の作用としては、まず、第三のポンプP3の作動によって、第一の補助槽30内の糊液18’における液面付近の糊液がチューブ79の吸引口79aから吸引され、これに伴って糊液面上を浮遊する油剤等がチューブ79内に吸引、回収される。そして、この吸引された油剤を含む糊液は、第三のポンプP3及び導管77を介して本体71内に送り込まれ、迂回路75を経由して最上段の空間に到る。
【0041】
このようにして本体71に送り込まれた油剤等を含む糊液は、迂回路75を通過する過程で、糊液と油剤等との比重差により両者が徐々に分離し、迂回路75に続く最上段の空間では、図示のD2で示すように、油剤等が速やかに糊液から分離し糊液上に浮上した状態となる。そして、この最上段の空間において浮上する油剤等は、本体71内に順次糊液が送り込まれることにおり、分離壁74を越えて空間71d側に流れ込み、これが排油管81を介して油回収容器80に排出される。また、上記最上段の空間において油剤等が分離された糊液は、導管39を介して第一の補助槽30内に戻される。
【0042】
なお、上記分離壁74は、その高さが調節可能となっており、この分離壁74の高さを適宜に調節することにより、上記最上段の空間において糊液上に浮上する油剤等のみを適切に排出することができる。
【0043】
また、上記第一の補助槽30から糊液を吸引するための第三のポンプP3は、常時作動するものとしてもよいし、所定の期間毎に間欠的に作動させるものであってもよい。
【0044】
以上のように、この実施形態における経糸糊付け装置10では、油分離装置70が、第一の補助槽30内において油剤等を多量に含む液面付近の糊液を回収し、この糊液から油剤等を分離した後、ほとんど油剤等を含まない糊液のみを再び第一の補助槽30へ戻すため、第一の補助槽30内に存在する油剤等が有効に除去される。従って、第一の糊液槽21から流出した糊液が油剤等を含むものであったとしても、第一の補助槽30から供給手段によって第一の糊液槽21に供給される糊液は、油剤等をほとんど含まないものとなる。よって、糊付け過程において経糸から脱落した油剤等が経糸に再付着することを可及的に減少させることができ、常に安定した糊付けを行うことができる。
【0045】
【その他の実施形態】
本発明で用いられる油分離装置は、前述のような隔壁によって迂回路を形成して、油剤と糊液との比重差を利用して両者を分離する比重差分離式のものに限らず、例えば、特開平4−59002号公報や特開平7−24212号公報に記載されているような、荷電板(電極板)を用いて油混合溶液に電解を作用させることにより油剤と溶液とを分離する荷電凝集型の油分離装置を用いてもよい。このような荷電凝集型の油分離装置を採用すれば、より高い効率で油分を良好に分離することができる。また、油分離装置は、他の公知のものを使用するものとしてもよい。
【0046】
また、前述の上記実施形態では、経糸糊付け装置が、二つの経糸糊付け機を経糸の移動方向に並設し、互いに独立する二つの糊液槽を経糸シートの移動方向に並設して経糸シートを順次糊付けする型式としたが、本発明が対象とする経糸糊付け装置はこれに限らず、単一の糊付け機のみによって糊付けを行う型式であってもよい。
【0047】
この場合は、図1における経糸糊付け装置の糊付け機40が省略されると共に、第一の補助槽30への糊液の供給が糊供給タンク60から直接行われるものとなる。そして、この場合は、この単一の糊付け機における糊液槽が第一の液体槽となる。
【0048】
更には、前述の実施形態のような二つの液体槽(糊液槽)の各々に糊液を供給し、そのそれぞれにおいて経糸シートに糊付けを行うものに代えて、経糸糊付け装置を、例えば、特開2002−266225号公報に記載されているような、経糸シートの移動方向上流側に水槽を設け、この水槽により経糸シートに水分を付与した後に、下流側に配置された糊付け機で糊付けを行うものとしてもよい。
【0049】
すなわち、図3に示すよう、経糸糊付け装置10’は、仕上げ糊付けを行う糊付け機40の上流側に、水槽91、湿潤ロール93及び一対の絞りロール95,95を含む湿潤装置90を備えており、経糸シート12は、まず、湿潤装置90の湿潤ローラ93の下側に巻掛けられて水槽91内の水(温水)に浸漬され、これによって水分を付与された後、一対の絞りローラ95、95間を通過して水分が適度に絞られ、その後、糊付け装置40に送られて前述の実施形態と同様に糊付けが行われる。そして、この経糸糊付け装置10’の場合は、水槽91が本発明の第一の液体槽に相当する。
【0050】
水槽91には補助槽100が付設されており、この補助槽100から導管101及び第4のポンプP4(供給手段)を介して補助槽100内の水19’が供給される。また、この供給に伴って水槽91内の水が堰91aを越えて流出し、再び補助槽100内に戻され、水が循環することになる。なお、供給手段の経路中には加熱手段105が設けられており、補助槽100からの水は、加熱されて水槽91に供給される。また、補助槽100に対しては給水源110から水が供給される。
【0051】
そして、この経糸糊付け装置10’においても、補助槽100に油分離装置120が付設されている。従って、水槽91から流出する油剤等を含む水(温水)は、補助槽100内に水が回収された後、第5のポンプP5等を介して油分離装置120に送り込まれ、これによって、水槽91から流出する水に含まれる油剤等が補助槽100内の水から除去される。よって、補助槽100から水槽91に供給される水には油剤等がほとんど含まれないものとなり、経糸から落ちた油剤等が再付着することが防止される。
【0052】
なお、以上の実施形態ではいずれも、油分離装置が第一の液体槽(第1の糊液槽、水槽)に液体を供給する補助槽に付設されたものとなっているが、本発明における油分離装置の配置はこれに限定されるものではなく、例えば、第一の液体槽に付設されて、第一の液体槽から流出する前の液体から油剤等を分離し排出するものであってもよい。また、補助槽から第一の液体槽に液体を供給する循環経路中(供給手段中)に油分離装置を介在させるものとしてもよい。
【0053】
また、本発明は上記のいずれの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の経糸糊付け装置の一実施形態を示す側面図。
【図2】図1に示す経糸糊付け装置の要部を示す側面図。
【図3】本発明の経糸糊付け装置の他の実施形態を示す側面図。
【符号の説明】
10 経糸糊付け装置
12 経糸シート
20 第一の糊付け機
21 第一の糊液槽
30 第一の補助槽
40 第二の糊付け機
41 第二の糊液槽
50 第二の補助槽
60 糊供給タンク
70、120 油分離装置
P1 第一のポンプ
P2 第二のポンプ
P4 第四のポンプ
Claims (4)
- 少なくとも一つの糊液槽を有し、該糊液槽内の糊液に複数の経糸をシート状に並べた経糸シートを浸漬させて糊付けを行う経糸糊付け装置であって、
経糸シートの移動方向に関し経糸シートが最初に液体に浸漬される第一の液体槽と、該第一の液体槽から流出する液体を回収する補助槽と、該補助槽に回収された液体を再び第一の液体槽に供給する供給手段とを含み、
更に、前記第一の液体槽、補助槽及び供給手段とを含む循環経路中に、液体内に混入した油分を液体から分離し回収する油分離装置を付設した、
ことを特徴とする経糸糊付け装置 - 経糸シートが順次浸漬されて糊付けされる複数の糊付け槽であって互いに独立した糊付け槽を有し、前記第一の液体槽が、経糸シートの移動方向における最も上流側に位置する糊付け槽である、ことを特徴とする請求項1に記載の経糸糊付け装置。
- 経糸シートに水分を付与した後に糊付けを行う型式であって、前記第一の液体槽が、経糸シートの移動方向における糊液槽の上流側に位置する水槽である、ことを特徴とする請求項1に記載の経糸糊付け装置。
- 前記油分離装置が、前記補助槽に付設されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の経糸糊付け装置。
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