JP2004307757A - イオン交換能力を有するグルコースポリマーの製造法及びそれを含有する組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性であり、食品用途に使用可能なグルコースポリマーの製法であって、反応効率が高く、高価な触媒を必要とすることがなく経済性に優れ、不純物を除去するための煩雑な工程が不要な方法;及びこれを含む組成物を提供すること。
【解決手段】原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合水溶液を、乾燥して均一な粉末とし、加熱処理を行うことを特徴とする、イオン交換能力を有するグルコースポリマーの製造法;及び、これを含む食品等の組成物。
【解決手段】原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合水溶液を、乾燥して均一な粉末とし、加熱処理を行うことを特徴とする、イオン交換能力を有するグルコースポリマーの製造法;及び、これを含む食品等の組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボキシル基を有するグルコースポリマーの製造法及びこのグルコースポリマーを含有することにより、イオン交換能力を有する組成物に関する。この組成物は、このグルコースポリマーが有する低粘性、及びフリーのカルボキシル基の作用によって、イオン交換効果が得られるものであり、例えば、洗剤のビルダーや、カルシウムイオンなどを結合させたカルシウム補給食品などが例示される。
【0002】
【従来の技術】
官能基としてカルボキシル基を利用することより金属イオン封鎖性を有する化合物、糖化合物が幾つか知られている。洗浄補助剤のビルダーとしては、アクリル酸やマレイン酸などをラジカル反応により重合または共重合させた高分子ポリカルボン酸(例えば、特許文献1参照)はよく知られるところであるが、微生物による分解が極めて困難であるという欠点を有していることも、よく知られるところである。また、白金を用いた接触酸化により生成したケトマロン酸を重合させてカルボキシル基を有するポリマーの製造方法(酸化重合法)(例えば、特許文献2参照)があるが、残存モノマーが多いために重合反応効率が悪く、加えて高価な白金系固体触媒を必要とするために製造コストが高くなる欠点がある。
【0003】
カルボキシル基を有する糖類の化合物としては、例えば、カルボキシル基を導入したα−グルコピラノシド化合物(例えば、特許文献3参照)や、多糖類を構成する単糖単位中の隣接する2級アルコールの結合する炭素−炭素結合を、酸化・開裂させることにより多糖類ポリカルボン酸塩を製造する方法がある(例えば、特許文献4、非特許文献1及び非特許文献2参照)。この際に使用される酸化剤として、次亜塩素酸(例えば、特許文献5参照)や過ヨウ素酸(例えば、特許文献6参照)があるが、過ヨウ素酸を再生する必要があるためコスト高となり、この場合に中間体として生成する多糖類ジアルデヒドは、塩素酸塩または次亜塩素酸塩のような他の酸化剤を用いて更に酸化しなければならない。
【0004】
次亜塩素酸塩は、比較的安価な酸化剤であるが、公知の方法を用いると酸化による収量は低く、不完全な酸化、及び更に解重合が生じる。公知の転化では約3倍過剰の次亜塩素酸を使用するために、経済的及び環境的に不利である。これらの方法で得られた製品は金属イオン封鎖能に優れているが、生分解性の点では未だ不満足なものである。また、カルボン酸無水物、カルボン酸クロリドなどの活性アシル化剤を用いる、親核的置換反応によるエステル反応(例えば、非特許文献3参照)も知られている。これらのエステル反応の多くは、酸、塩基、有機溶媒などの触媒を必要とする。これらの反応はいずれも複雑であり、溶媒の除去などが必要であるために、操作が煩雑であるという欠点がある。
【0005】
糖質と有機酸のエステル反応生成物に関する報告も有り(例えば、特許文献7及び特許文献8参照)、糖質とアシル基を持つ物質からの生成物で、非消化性で脂肪代替品としての用途が記載されているものや、糖類、糖質と飽和脂肪酸とのエステル反応生成物であり、これには液状フッ化水素を反応触媒及び溶剤として溶液中で反応させることが記載されている。
【0006】
水、有機溶媒などの液体に溶解せず、直接加熱する乾式方法が考えられ、例えば、澱粉又はデキストリンと二塩基酸(コハク酸、マレイン酸)の無水物の乾式反応も報告されている(例えば、特許文献9参照)。これは、原料を単純に固体混合し、その不均一な粉末のままで加熱反応を行うものであり、その生成物は接着剤、増粘剤として使用することを目的とするものである。これは本発明と類似するものではあるが、酸無水物を用いている点、反応物の混合法が単純な固体混合で、反応が不均一系である点、及び反応生成物の用途として、フリーのカルボキシル基のイオン交換能力を利用することを目的としていない点で、本発明とは技術的思想が大きく異なるものである。
【0007】
また、低カロリーデキストリンの製造法(例えば、特許文献10参照)には、澱粉又はデキストリンをクエン酸と水に溶解、分散させ、スプレー乾燥装置で噴霧乾燥、更に加熱を減圧下、140〜220℃で行う方法(ポリデキストロースの調製)(例えば、特許文献11参照)も報告されており、アミロース分解酵素の作用に不活性であることにより決定される非消化性生成物を生成させて難消化性を高め、水不溶性物質を製造するものである。これもクエン酸のカルボキシル基をフリーの状態を維持させながら反応させたものとは考えられず、架橋剤として利用されているに過ぎない。両者ともカルボン酸のフリーカルボキシル基のイオン交換能力を目的とするものではなく、カルボン酸を単なる酸触媒として用いているものである。
また、分子内にカルボキシル基の電荷をもつ多糖類として、ペクチンやアルギン酸等があるが、これらは水溶液中で高い粘度を示し、他の物質へ添加した場合に物性に大きな変化を生じるという欠点がある。
【0008】
【特許文献1】特開平4−209644号公報
【特許文献2】特開平7−41554号公報
【特許文献3】特開昭63−54390号公報
【特許文献4】オランダ国特許出願第7012380号
【特許文献5】特開平4−23390号公報
【特許文献6】特開昭60−226502号公報
【特許文献7】米国特許第4959466号
【特許文献8】特開昭63−165393号公報
【特許文献9】米国特許第3732207号
【特許文献10】特公昭56−29512号公報
【特許文献11】米国特許第3766165号
【非特許文献1】Tenside Detergents 14,250−256(1977)
【非特許文献2】Starch/Staerke 37, 192−200(1985)
【非特許文献3】澱粉科学ハンドブック:朝倉出版、1997年、53〜54頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の公知技術が有する欠点、すなわち、カルボキシル基を有する化合物が、生分解性が劣ること、反応効率が低いこと、高価な触媒が必要なために経済性が劣ること、不純物を除去するために煩雑な工程が必要なこと、得られる生成物そのものの一般的な性質に欠陥があって用途が限定されること、最も重要な用途である食品への使用ができないものが多いこと等々の数多の欠点を解消したグルコースポリマーの製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、上記グルコースポリマーを含む組成物を提供することである。
すなわち本発明の目的は、生分解性であり、食品用途に使用可能なグルコースポリマーの製法であって、反応効率が高く、高価な触媒を必要とすることがなく経済性に優れ、不純物を除去するための煩雑な工程が不要な方法、及びこれを含む組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、均一な粉末の反応系で目的が達せられることを見出し本発明を完成したのである。
本発明は、原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合水溶液を、乾燥して均一な粉末とし、加熱処理を行うことを特徴とする、イオン交換能力を有するグルコースポリマーの製造法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
原料グルコースポリマーとしては、グルコースを構成単位とするポリマーであれば特に制限されないが、一般的な澱粉加工品、特に、酸化澱粉、澱粉分解物、還元澱粉分解物及び難消化性澱粉分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。特に好ましい原料グルコースポリマーは、還元澱粉分解物、難消化性澱粉分解物である。還元澱粉分解物を用いると、反応中の着色が少ないため、得られるグルコースポリマーの製品価値が高くなり、好ましい。また難消化性澱粉分解物を用いた場合は、生成物にイオン交換能力を付与する効果だけではなく、同時に食物繊維としての利用や低カロリー食品としての利用ができるものである。
【0012】
原料グルコースポリマーの重合度は、目的とするグルコースポリマーの特性に応じて非常に幅広いものが使用できるが、多価カルボン酸と混合して粉末乾燥化する必要性を考慮すれば、平均重合度は、好ましくは4〜123、さらに好ましくは4〜18、最も好ましくは6〜10である。平均重合度がこれより高い原料グルコースポリマーを用いた場合は、充分なイオン交換能力を持った反応物は得られるが、水に溶解したときに、水に不溶な物質を生成することがあり、このグルコースポリマーの使用の際に制限が加わることがある。一方、平均重合度がこれより低い原料グルコースポリマーを用いた場合は、粉末が得られない、という点で好ましくない。
原料グルコースポリマーとして澱粉を使用する場合、特にその種類が限定されるものではなく、例えば、ジャガイモ澱粉、カンショ澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉などのいずれも、効果的な原料澱粉として用いることができる。
【0013】
本発明に使用する多価カルボン酸は、官能基としてカルボキシル基を分子内に2つ以上有することが必要である。その具体例としては、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸が例示できる。中でも三価のカルボン酸であり、かつ安価であるということからクエン酸が最も好ましい。
【0014】
本発明方法では先ず、原料グルコースポリマー及び多価カルボン酸の一種または二種以上を水に溶解して水溶液とする。
原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合比率は目的のポリマーの特性に合わせて適宜選択されるが、最終製品に充分なイオン交換能力を付与するに足る量の多価カルボン酸を原料グルコースポリマーに結合させること、及び均一な粉末を製造するという観点から、好ましくは10:1〜1.5:1、さらに好ましくは2:1〜1.5:1である。
また、水に対する原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の溶解量は、水に溶解する限り特に制限はないが、一般に、水100質量部に対して、原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の合計量は好ましくは20〜50質量部、さらに好ましくは30〜40質量部である。溶解は、通常は常圧下、10〜60℃、通常は常温で、必要により攪拌しながら行えばよい。
【0015】
得られた水溶液を、好ましくは95〜110℃で1〜10時間乾燥して均一な粉末、通常は均一な非晶質粉末を得る。これを粉末状態のままで、好ましくは品温が100〜160℃で2〜15時間加熱処理を行うことによって、目的とするイオン交換能力を有するグルコースポリマーを製造することができる。
原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合水溶液から、均一な粉末を得るために乾燥粉末化する方法としては、例えば、スプレードライ、ドラムドライ、凍結乾燥等のいずれもが効果的に採用できる。
この乾燥方法の一つとしてスプレードライヤーによる噴霧乾燥を例示すれば、その噴霧条件は熱風温度160℃、排風温度95℃、アトマイザー回転数12,000rpmで均一な球状粉末を得ることができる。
【0016】
次に、このようにして調製した原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の均一な粉末を、加熱処理するが、加熱装置としては一般的な各種の装置がある。この装置を例示すれば、オイルバス、ロータリー・キルン、などの連続的に加熱できる装置、例えば、真空焙焼装置、エクストルーダー、ドラムドライヤ、流動床加熱装置等が、効果的に使用できる。
本発明における加熱処理時の粉末の品温は、好ましくは100〜160℃、さらに好ましくは100〜125℃である。反応温度を高くすると反応速度は速くなる。しかし、125℃より高い温度では反応は速いが、前述のとおり水不溶物質が生成されることがある。しかし100〜125℃の条件下では水不溶物質は生成されない。また、この反応物中の原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の結合形式は、モノエステル結合が優占的であり、ジエステル結合が認められないものである。さらに反応物中には、フリーのカルボキシル基が多く存在し、イオン交換能力がより高い反応物が得られることが明らかになった。
加熱処理時間は特に制限はないが、原料グルコースポリマーの平均重合度、多価カルボン酸との混合比、加熱時の品温や、目的とする生成物の特性等を考慮して適切な時間を選択するが、通常は1〜20時間であり、好ましくは2〜10時間である。
加熱反応生成物は、用途によって精製は不要であるが、特に食品等の用途に使用するためには、一般的な糖類の精製に使用される方法や装置、例えば、濾過装置、イオン交換樹脂による脱塩、膜分離装置等を使用して効果的に精製することができる。
【0017】
評価項目
本発明の方法により製造された加熱反応物であるグルコースポリマーのイオン交換能力は、以下の方法により評価される。
[結合多価カルボン酸量]
多価カルボン酸と原料グルコースポリマーの加熱反応により得られたグルコースポリマーのエステル結合量を、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと記載する)を使用して測定し、多価カルボン酸と原料グルコースポリマーの反応効率を評価する。以下に詳細な定量方法を示す。
HPLC装置:(東ソー(株)製、モデルLC8020)
HPLC条件:カラムはShodex Rspak KC−811(昭和電工(株)製)、緩衝液は15mM HClO4(pH2.0)、流速0.5ml/min、カラム温度は60℃、検出器はUV(215nm)、内部標準法による。定量のための内部標準物質は無水酢酸を使用した。
“結合多価カルボン酸量”は、UVによるクロマトグラムデータから“未結合多価カルボン酸のモル数”を定量し、加熱前の均一化粉末中の未結合多価カルボン酸のモル数(すなわちサンプル中の総多価カルボン酸のモル数)から加熱反応物の未結合多価カルボン酸のモル数を差し引いたものとし、原料グルコースポリマーの構成単位である無水グルコース単位モル数当たりの結合多価カルボン酸のモル数で表した。
【0018】
[エステル化指数]
結合様式の判別、すなわち、原料グルコースポリマーへの多価カルボン酸の結合が、モノエステルかジエステルかを判別することは、反応生成物のイオン交換能力を評価するうえで重要なことである。
まず、グルコースポリマーを中和滴定して、未結合多価カルボン酸のカルボキシル基のモル数、及び、結合多価カルボン酸中のフリーカルボキシルのモル数(グルコースポリマーと結合しているカルボキシル基を除くカルボキシルのモル数)の合計のモル数Cを求める。次に、HPLCにより求めた未結合多価カルボン酸のモル数に、その多価カルボン酸がもっているカルボキシル基の価数(クエン酸なら3)を乗じて得られる未結合多価カルボン酸が有するカルボキシル基のモル数Dを求める。CからDを差し引くことによって結合多価カルボン酸の持っているフリーのカルボキシルのモル数を求める。これを結合多価カルボン酸1モル当りのフリーカルボキシル基数で表して、エステル化指数とした。例えば、トリカルボン酸であるクエン酸の場合は、全てのエステル結合がモノエステル結合ならエステル化指数は2.0、ジエステル結合なら1.0となり、例えば2.0から1.0に数字が小さくなるほど、モノエステルの割合が減少しジエステルの割合が増加することを示す。また、ジカルボン酸の場合はモノエステル結合ならエステル化指数は1.0となる。
【0019】
[イオン交換能力指数]
イオン交換能力指数は上記の結合多価カルボン酸量(これをAとする。)、及びエステル化指数(これをBとする。)より求める。イオン交換能力指数をYとすると、Y=ABと表される。これは、無水グルコース単位モル当たりのフリーのカルボキシル基のモル数をあらわすものである。
【0020】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
原料グルコースポリマーとして“パインデックス#2”(商品名:平均重合度10の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)2.4kgを水7kgに攪拌溶解し、その後、多価カルボン酸としてクエン酸(米国Archer Daniels Midland社製)0.6kgを溶解させた(単位グルコース/クエン酸=4.75/1(モル比))。次いでこの水溶液をスプレードライヤーで噴霧乾燥して原料グルコースポリマー/クエン酸の均一な粉末を得た。次に、その粉末1.5kgを品温120℃に保持しながら400分間加熱処理を行った。この生成物のイオン交換能力指数は0.26、エステル化指数は2.0であり、水に溶解したときに不溶物質の生成は見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0021】
実施例2
加熱反応時の品温を90℃、100℃、110℃、135℃、160℃、170℃に変更し、かつ加熱時間を以下に示すように変更した以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。
その結果、90℃ではエステル化反応が進まなかった。
100℃では、加熱時間900分でイオン交換能力指数0.12、エステル化指数2.0、110℃では、加熱時間900分でイオン交換能力指数0.20、エステル化指数2.0のグルコースポリマーが得られた。
135℃では、加熱時間300分でイオン交換能力指数0.29、エステル化指数0.19、160℃では、加熱時間120分でイオン交換能力指数0.34、エステル化指数1.6のグルコースポリマーが得られた。
170℃では、反応物が熱溶融し、粉末の状態を維持できなかった。
135℃、160℃で得られたグルコースポリマーは、水に溶解したときに不溶物質の生成が見られた。100℃、110℃で得られたグルコースポリマーは、水に溶解したとき不溶物質の形成は認められなかった。以上の結果をまとめて表1に示す。
【0022】
【表1】
品温の影響
【0023】
実施例3
原料グルコースポリマーとして“パインデックス#2”、多価カルボン酸としてクエン酸を用い、その混合比を10.5/1、9/1、4.75/1、2/1、1.5/1、1.33:1(モル比)として水に攪拌溶解し、次いでこの水溶液をスプレードライヤーで噴霧乾燥して均一な非結質粉末を得た。その結果、10.5/1、9/1、4.75/1、2/1、1.5/1(モル比)では均一な粉末が得られたが、1.33:1(モル比)では適当な粉末が得られなかった。得られた粉末を用いて加熱処理を行った。混合比以外は全て実施例1と同一の条件であり、加熱反応時間は、全て400分である。その結果、10.5/1では反応があまり進まず、イオン交換能力指数0.08、エステル化指数2.0、9/1ではイオン交換能力指数0.12、エステル化指数2.0、4.75/1では、イオン交換能力指数0.26、エステル化指数2.0、2/1では、イオン交換能力指数0.44、エステル化指数2.0、1.5/1ではイオン交換能力指数0.5、エステル化指数2.0であった。以上の結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合比(モル比)の影響
(120℃、パインデックス#2、クエン酸)
【0025】
実施例4
原料グルコースポリマーを、“スタビローズS−10”(商品名:平均重合度123の酸化澱粉:松谷化学工業(株)製)、“パインデックス#100”(商品名:平均重合度18の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)、“パインデックス#2”(平均重合度10の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)、“グリスター”(商品名:平均重合度6の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)、“パインデックス#3”(商品名:平均重合度4の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)、“試作品1”(平均重合度3:パインデックス#3を更に加水分解を進めた澱粉加水分解物)に変更した以外は全て実施例1と同一の条件で反応を行った。
その結果、“スタビローズS−10”では均一な粉末が得られたが、その後の加熱実験により水不溶物質が生成した。“パインデックス#100”では、得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.19、エステル化指数は1.9、“パインデックス#2”では、イオン交換能力指数は0.26、エステル化指数は2.0、“グリスター”では、イオン交換能力指数は0.22、エステル化指数は2.0、“パインデックス#3”では、イオン交換能力指数は0.20、エステル化指数は2.0であった。“試作品1”では、クエン酸との均一な粉末が得られなかった。以上の結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
原料グルコースポリマーの平均重合度の影響(クエン酸、120℃)
【0027】
比較例1
本発明の方法は、原料グルコースポリマーと多価カルボン酸を一旦混合水溶液にし、その後に乾燥して得られる均一な粉末を加熱処理することを特徴とするものである。そこで、原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の単純混合粉末を用いて加熱した場合と反応結果を比較した。
原料グルコースポリマーとして“試作品2”(TK−16(商品名:澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)の膜分画品)(平均重合度10)を用いた以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。その結果、均一な粉末では、イオン交換能力指数0.26、エステル化指数2.0のグルコースポリマーが得られたが、単純混合粉末では、多価カルボン酸と原料グルコースポリマーの結合が確認されなかった。
この結果は、均一な粉末は反応性が高いことを示すものである。
【0028】
比較例2
原料グルコースポリマーとして“試作品2”及び、“ファイバーソル2”(商品名:平均重合度10の難消化性澱粉分解物:ヒト消化酵素では殆ど分解を受けない澱粉分解物であり水溶性食物繊維として認められている:松谷化学工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同一の条件で加熱処理を行った。得られた加熱反応物の粘度を、アルギン酸ナトリウム、ペクチンと比較したが、本発明品は低温においても低粘度であり、温度条件に左右されなかった。結果を表4に示す。
【0029】
【表4】
【0030】
実施例5
多価カルボン酸としてリンゴ酸又はコハク酸を使用し、原料グルコースポリマー“パインデックス#2”との混合比を、単位グルコース/多価カルボン酸=4.75/1(モル比)とし、加熱時間を変更した以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。
その結果、コハク酸では、加熱時間300分で得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.11、エステル化指数は1.0(モノエステル結合のみであることを表す)、リンゴ酸では、加熱時間300分でイオン交換能力指数は0.14、エステル化指数は1.0(モノエステル結合のみであることを表す)であった。結果を表5に示す。
【0031】
実施例6
多価カルボン酸として、リンゴ酸とコハク酸の2種類を用い、“パインデックス#2”との混合比を、単位グルコース/リンゴ酸/コハク酸=4.75/0.5/0.5(モル比) とし、加熱時間を変更した以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。
その結果、加熱時間300分で得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.13、エステル化指数は1.0(モノエステル結合のみであることを示す)であった。結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
使用する多価カルボン酸の種類(120℃、パインデックス#2、平均重合度10)
*二種で、上の一種と同モル比
【0033】
実施例7
原料グルコースポリマーとして“試作品3”(平均重合度10:“H−PDx”(商品名:還元澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)の膜分画品))を使用し、加熱時間を変更した以外は、実施例1と同一の条件で反応を行った。その結果、加熱時間350分で得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.28、エステル化指数は2.0であった。還元澱粉分解物である“試作品3”の反応生成物は、加熱反応による着色がほとんど見られなかった。
【0034】
実施例8
原料グルコースポリマーとして“ファイバーソル2”を使用し、加熱時間を変更した以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。その結果、加熱時間350分で得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.28、エステル化指数は2.0であった。
【0035】
実施例9(再汚染防止能の測定)
洗剤には、ビルダーと呼ばれる添加剤が含まれている。ビルダーは、一度遊離した汚れが再び洗濯物に付着する再汚染を防ぎ、界面活性剤の洗浄効果をあげる再汚染防止剤である。現在、最もよく用いられているビルダーとしては、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMC−Naと記載する)が挙げられる。これは水に溶けると陰イオンになり、汚れを分離した後の洗濯物の繊維表面を薄い膜状物で覆い、かつ、分離した汚れ粒子の表面を覆う。その結果、繊維表面、汚れ粒子の両者にマイナス電荷を帯びさせ、互いに反発させることにより、洗濯物が再汚染されるのを防いでいる。しかし、CMC−Naはコスト高である上、ゼオライトとともに水質汚濁の原因であるともいわれている。
本発明のグルコースポリマーの再汚染防止能の評価は、二酸化マンガン分散能の測定によった。評価材料として“試作品2加熱反応物”、“ファイバーソル2加熱反応物”、対象としてCMC−Naを用いた。方法を簡略に述べると、50mL目盛りつき共栓試験管に二酸化マンガン1.0gと0.05%試料ビルダー水溶液50mLをとり、100回上下に振とうした後、25℃恒温槽に4時間静置した。ついで、水面下5cmの位置にホールピペットを固定し、15mLを採取し、懸濁液中の二酸化マンガン量を過マンガン酸カリウム法により測定した。
その結果を表6に示す。“試作品2加熱反応物”、“ファイバーソル2加熱反応物”ともに、CMC−Naよりも大きな値を示し、再汚染防止能が高いことが確認された。また、二酸化マンガン分散能と洗浄力の関係においては、一般に分散能が大きいほど洗浄力は優れる傾向にあることが、既に報告されておりCMC−Naより優れた再汚染防止剤として使用できるとの結果を得た。
【0036】
【表6】
二酸化マンガン分散能の評価
【0037】
実施例10(イオン交換能力の測定)
“ファイバーソル2加熱反応物”(以下、FS2/Cit、と記載)を用い、次のようにして評価した。FS2/Citを100mg/10ml水溶液とし、水酸化ナトリウムで中和を行い、FS2/Citの持つカルボキシル基をナトリウム型に変換させた(ナトリウムイオンとして13.055mM)。この溶液を透析膜(Spectra/Por CE, MWCO:1000)内に入れ、外部の溶液を65.275mM塩化カルシウム水溶液として、攪拌を行いながら、適宜、膜外の溶液をサンプリングし、ナトリウムイオン量を原子吸光/フレーム分光光度計(島津製作所:AA−680)により測定を行い、ナトリウムイオンとカルシウムイオンの交換能力を調べた。その結果、透析6時間で、理論上FS2/Citの持つカルボキシル基の79%がカルシウムイオンに交換されていることが確認され、充分なイオン交換能力を持つことが分った。
【0038】
処方例1(カルシウム強化飲料)
FS2/Citを炭酸カルシウムで中和することによりFS2/Citの持つカルボキシル基をカルシウム型に変換させた(以下、FS2/Cit−Ca、と記載)。調製されたFS2/Cit−Caは水溶性(少なくとも50%w/v)で濁りのない透明な液体が得られ、飲料に応用した際に、外観的に損なうこと無く、また、味質においても問題なく、カルシウム強化飲料(100ml当たり90mgのカルシウムを含む)を処方できた。その処方例を表7に示す。
【0039】
【表7】
カルシウム強化飲料処方例(100ml当たりのg数)
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボキシル基を有するグルコースポリマーの製造法及びこのグルコースポリマーを含有することにより、イオン交換能力を有する組成物に関する。この組成物は、このグルコースポリマーが有する低粘性、及びフリーのカルボキシル基の作用によって、イオン交換効果が得られるものであり、例えば、洗剤のビルダーや、カルシウムイオンなどを結合させたカルシウム補給食品などが例示される。
【0002】
【従来の技術】
官能基としてカルボキシル基を利用することより金属イオン封鎖性を有する化合物、糖化合物が幾つか知られている。洗浄補助剤のビルダーとしては、アクリル酸やマレイン酸などをラジカル反応により重合または共重合させた高分子ポリカルボン酸(例えば、特許文献1参照)はよく知られるところであるが、微生物による分解が極めて困難であるという欠点を有していることも、よく知られるところである。また、白金を用いた接触酸化により生成したケトマロン酸を重合させてカルボキシル基を有するポリマーの製造方法(酸化重合法)(例えば、特許文献2参照)があるが、残存モノマーが多いために重合反応効率が悪く、加えて高価な白金系固体触媒を必要とするために製造コストが高くなる欠点がある。
【0003】
カルボキシル基を有する糖類の化合物としては、例えば、カルボキシル基を導入したα−グルコピラノシド化合物(例えば、特許文献3参照)や、多糖類を構成する単糖単位中の隣接する2級アルコールの結合する炭素−炭素結合を、酸化・開裂させることにより多糖類ポリカルボン酸塩を製造する方法がある(例えば、特許文献4、非特許文献1及び非特許文献2参照)。この際に使用される酸化剤として、次亜塩素酸(例えば、特許文献5参照)や過ヨウ素酸(例えば、特許文献6参照)があるが、過ヨウ素酸を再生する必要があるためコスト高となり、この場合に中間体として生成する多糖類ジアルデヒドは、塩素酸塩または次亜塩素酸塩のような他の酸化剤を用いて更に酸化しなければならない。
【0004】
次亜塩素酸塩は、比較的安価な酸化剤であるが、公知の方法を用いると酸化による収量は低く、不完全な酸化、及び更に解重合が生じる。公知の転化では約3倍過剰の次亜塩素酸を使用するために、経済的及び環境的に不利である。これらの方法で得られた製品は金属イオン封鎖能に優れているが、生分解性の点では未だ不満足なものである。また、カルボン酸無水物、カルボン酸クロリドなどの活性アシル化剤を用いる、親核的置換反応によるエステル反応(例えば、非特許文献3参照)も知られている。これらのエステル反応の多くは、酸、塩基、有機溶媒などの触媒を必要とする。これらの反応はいずれも複雑であり、溶媒の除去などが必要であるために、操作が煩雑であるという欠点がある。
【0005】
糖質と有機酸のエステル反応生成物に関する報告も有り(例えば、特許文献7及び特許文献8参照)、糖質とアシル基を持つ物質からの生成物で、非消化性で脂肪代替品としての用途が記載されているものや、糖類、糖質と飽和脂肪酸とのエステル反応生成物であり、これには液状フッ化水素を反応触媒及び溶剤として溶液中で反応させることが記載されている。
【0006】
水、有機溶媒などの液体に溶解せず、直接加熱する乾式方法が考えられ、例えば、澱粉又はデキストリンと二塩基酸(コハク酸、マレイン酸)の無水物の乾式反応も報告されている(例えば、特許文献9参照)。これは、原料を単純に固体混合し、その不均一な粉末のままで加熱反応を行うものであり、その生成物は接着剤、増粘剤として使用することを目的とするものである。これは本発明と類似するものではあるが、酸無水物を用いている点、反応物の混合法が単純な固体混合で、反応が不均一系である点、及び反応生成物の用途として、フリーのカルボキシル基のイオン交換能力を利用することを目的としていない点で、本発明とは技術的思想が大きく異なるものである。
【0007】
また、低カロリーデキストリンの製造法(例えば、特許文献10参照)には、澱粉又はデキストリンをクエン酸と水に溶解、分散させ、スプレー乾燥装置で噴霧乾燥、更に加熱を減圧下、140〜220℃で行う方法(ポリデキストロースの調製)(例えば、特許文献11参照)も報告されており、アミロース分解酵素の作用に不活性であることにより決定される非消化性生成物を生成させて難消化性を高め、水不溶性物質を製造するものである。これもクエン酸のカルボキシル基をフリーの状態を維持させながら反応させたものとは考えられず、架橋剤として利用されているに過ぎない。両者ともカルボン酸のフリーカルボキシル基のイオン交換能力を目的とするものではなく、カルボン酸を単なる酸触媒として用いているものである。
また、分子内にカルボキシル基の電荷をもつ多糖類として、ペクチンやアルギン酸等があるが、これらは水溶液中で高い粘度を示し、他の物質へ添加した場合に物性に大きな変化を生じるという欠点がある。
【0008】
【特許文献1】特開平4−209644号公報
【特許文献2】特開平7−41554号公報
【特許文献3】特開昭63−54390号公報
【特許文献4】オランダ国特許出願第7012380号
【特許文献5】特開平4−23390号公報
【特許文献6】特開昭60−226502号公報
【特許文献7】米国特許第4959466号
【特許文献8】特開昭63−165393号公報
【特許文献9】米国特許第3732207号
【特許文献10】特公昭56−29512号公報
【特許文献11】米国特許第3766165号
【非特許文献1】Tenside Detergents 14,250−256(1977)
【非特許文献2】Starch/Staerke 37, 192−200(1985)
【非特許文献3】澱粉科学ハンドブック:朝倉出版、1997年、53〜54頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の公知技術が有する欠点、すなわち、カルボキシル基を有する化合物が、生分解性が劣ること、反応効率が低いこと、高価な触媒が必要なために経済性が劣ること、不純物を除去するために煩雑な工程が必要なこと、得られる生成物そのものの一般的な性質に欠陥があって用途が限定されること、最も重要な用途である食品への使用ができないものが多いこと等々の数多の欠点を解消したグルコースポリマーの製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、上記グルコースポリマーを含む組成物を提供することである。
すなわち本発明の目的は、生分解性であり、食品用途に使用可能なグルコースポリマーの製法であって、反応効率が高く、高価な触媒を必要とすることがなく経済性に優れ、不純物を除去するための煩雑な工程が不要な方法、及びこれを含む組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、均一な粉末の反応系で目的が達せられることを見出し本発明を完成したのである。
本発明は、原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合水溶液を、乾燥して均一な粉末とし、加熱処理を行うことを特徴とする、イオン交換能力を有するグルコースポリマーの製造法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
原料グルコースポリマーとしては、グルコースを構成単位とするポリマーであれば特に制限されないが、一般的な澱粉加工品、特に、酸化澱粉、澱粉分解物、還元澱粉分解物及び難消化性澱粉分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。特に好ましい原料グルコースポリマーは、還元澱粉分解物、難消化性澱粉分解物である。還元澱粉分解物を用いると、反応中の着色が少ないため、得られるグルコースポリマーの製品価値が高くなり、好ましい。また難消化性澱粉分解物を用いた場合は、生成物にイオン交換能力を付与する効果だけではなく、同時に食物繊維としての利用や低カロリー食品としての利用ができるものである。
【0012】
原料グルコースポリマーの重合度は、目的とするグルコースポリマーの特性に応じて非常に幅広いものが使用できるが、多価カルボン酸と混合して粉末乾燥化する必要性を考慮すれば、平均重合度は、好ましくは4〜123、さらに好ましくは4〜18、最も好ましくは6〜10である。平均重合度がこれより高い原料グルコースポリマーを用いた場合は、充分なイオン交換能力を持った反応物は得られるが、水に溶解したときに、水に不溶な物質を生成することがあり、このグルコースポリマーの使用の際に制限が加わることがある。一方、平均重合度がこれより低い原料グルコースポリマーを用いた場合は、粉末が得られない、という点で好ましくない。
原料グルコースポリマーとして澱粉を使用する場合、特にその種類が限定されるものではなく、例えば、ジャガイモ澱粉、カンショ澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉などのいずれも、効果的な原料澱粉として用いることができる。
【0013】
本発明に使用する多価カルボン酸は、官能基としてカルボキシル基を分子内に2つ以上有することが必要である。その具体例としては、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸が例示できる。中でも三価のカルボン酸であり、かつ安価であるということからクエン酸が最も好ましい。
【0014】
本発明方法では先ず、原料グルコースポリマー及び多価カルボン酸の一種または二種以上を水に溶解して水溶液とする。
原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合比率は目的のポリマーの特性に合わせて適宜選択されるが、最終製品に充分なイオン交換能力を付与するに足る量の多価カルボン酸を原料グルコースポリマーに結合させること、及び均一な粉末を製造するという観点から、好ましくは10:1〜1.5:1、さらに好ましくは2:1〜1.5:1である。
また、水に対する原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の溶解量は、水に溶解する限り特に制限はないが、一般に、水100質量部に対して、原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の合計量は好ましくは20〜50質量部、さらに好ましくは30〜40質量部である。溶解は、通常は常圧下、10〜60℃、通常は常温で、必要により攪拌しながら行えばよい。
【0015】
得られた水溶液を、好ましくは95〜110℃で1〜10時間乾燥して均一な粉末、通常は均一な非晶質粉末を得る。これを粉末状態のままで、好ましくは品温が100〜160℃で2〜15時間加熱処理を行うことによって、目的とするイオン交換能力を有するグルコースポリマーを製造することができる。
原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合水溶液から、均一な粉末を得るために乾燥粉末化する方法としては、例えば、スプレードライ、ドラムドライ、凍結乾燥等のいずれもが効果的に採用できる。
この乾燥方法の一つとしてスプレードライヤーによる噴霧乾燥を例示すれば、その噴霧条件は熱風温度160℃、排風温度95℃、アトマイザー回転数12,000rpmで均一な球状粉末を得ることができる。
【0016】
次に、このようにして調製した原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の均一な粉末を、加熱処理するが、加熱装置としては一般的な各種の装置がある。この装置を例示すれば、オイルバス、ロータリー・キルン、などの連続的に加熱できる装置、例えば、真空焙焼装置、エクストルーダー、ドラムドライヤ、流動床加熱装置等が、効果的に使用できる。
本発明における加熱処理時の粉末の品温は、好ましくは100〜160℃、さらに好ましくは100〜125℃である。反応温度を高くすると反応速度は速くなる。しかし、125℃より高い温度では反応は速いが、前述のとおり水不溶物質が生成されることがある。しかし100〜125℃の条件下では水不溶物質は生成されない。また、この反応物中の原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の結合形式は、モノエステル結合が優占的であり、ジエステル結合が認められないものである。さらに反応物中には、フリーのカルボキシル基が多く存在し、イオン交換能力がより高い反応物が得られることが明らかになった。
加熱処理時間は特に制限はないが、原料グルコースポリマーの平均重合度、多価カルボン酸との混合比、加熱時の品温や、目的とする生成物の特性等を考慮して適切な時間を選択するが、通常は1〜20時間であり、好ましくは2〜10時間である。
加熱反応生成物は、用途によって精製は不要であるが、特に食品等の用途に使用するためには、一般的な糖類の精製に使用される方法や装置、例えば、濾過装置、イオン交換樹脂による脱塩、膜分離装置等を使用して効果的に精製することができる。
【0017】
評価項目
本発明の方法により製造された加熱反応物であるグルコースポリマーのイオン交換能力は、以下の方法により評価される。
[結合多価カルボン酸量]
多価カルボン酸と原料グルコースポリマーの加熱反応により得られたグルコースポリマーのエステル結合量を、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと記載する)を使用して測定し、多価カルボン酸と原料グルコースポリマーの反応効率を評価する。以下に詳細な定量方法を示す。
HPLC装置:(東ソー(株)製、モデルLC8020)
HPLC条件:カラムはShodex Rspak KC−811(昭和電工(株)製)、緩衝液は15mM HClO4(pH2.0)、流速0.5ml/min、カラム温度は60℃、検出器はUV(215nm)、内部標準法による。定量のための内部標準物質は無水酢酸を使用した。
“結合多価カルボン酸量”は、UVによるクロマトグラムデータから“未結合多価カルボン酸のモル数”を定量し、加熱前の均一化粉末中の未結合多価カルボン酸のモル数(すなわちサンプル中の総多価カルボン酸のモル数)から加熱反応物の未結合多価カルボン酸のモル数を差し引いたものとし、原料グルコースポリマーの構成単位である無水グルコース単位モル数当たりの結合多価カルボン酸のモル数で表した。
【0018】
[エステル化指数]
結合様式の判別、すなわち、原料グルコースポリマーへの多価カルボン酸の結合が、モノエステルかジエステルかを判別することは、反応生成物のイオン交換能力を評価するうえで重要なことである。
まず、グルコースポリマーを中和滴定して、未結合多価カルボン酸のカルボキシル基のモル数、及び、結合多価カルボン酸中のフリーカルボキシルのモル数(グルコースポリマーと結合しているカルボキシル基を除くカルボキシルのモル数)の合計のモル数Cを求める。次に、HPLCにより求めた未結合多価カルボン酸のモル数に、その多価カルボン酸がもっているカルボキシル基の価数(クエン酸なら3)を乗じて得られる未結合多価カルボン酸が有するカルボキシル基のモル数Dを求める。CからDを差し引くことによって結合多価カルボン酸の持っているフリーのカルボキシルのモル数を求める。これを結合多価カルボン酸1モル当りのフリーカルボキシル基数で表して、エステル化指数とした。例えば、トリカルボン酸であるクエン酸の場合は、全てのエステル結合がモノエステル結合ならエステル化指数は2.0、ジエステル結合なら1.0となり、例えば2.0から1.0に数字が小さくなるほど、モノエステルの割合が減少しジエステルの割合が増加することを示す。また、ジカルボン酸の場合はモノエステル結合ならエステル化指数は1.0となる。
【0019】
[イオン交換能力指数]
イオン交換能力指数は上記の結合多価カルボン酸量(これをAとする。)、及びエステル化指数(これをBとする。)より求める。イオン交換能力指数をYとすると、Y=ABと表される。これは、無水グルコース単位モル当たりのフリーのカルボキシル基のモル数をあらわすものである。
【0020】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
原料グルコースポリマーとして“パインデックス#2”(商品名:平均重合度10の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)2.4kgを水7kgに攪拌溶解し、その後、多価カルボン酸としてクエン酸(米国Archer Daniels Midland社製)0.6kgを溶解させた(単位グルコース/クエン酸=4.75/1(モル比))。次いでこの水溶液をスプレードライヤーで噴霧乾燥して原料グルコースポリマー/クエン酸の均一な粉末を得た。次に、その粉末1.5kgを品温120℃に保持しながら400分間加熱処理を行った。この生成物のイオン交換能力指数は0.26、エステル化指数は2.0であり、水に溶解したときに不溶物質の生成は見られなかった。以上の結果を表1に示す。
【0021】
実施例2
加熱反応時の品温を90℃、100℃、110℃、135℃、160℃、170℃に変更し、かつ加熱時間を以下に示すように変更した以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。
その結果、90℃ではエステル化反応が進まなかった。
100℃では、加熱時間900分でイオン交換能力指数0.12、エステル化指数2.0、110℃では、加熱時間900分でイオン交換能力指数0.20、エステル化指数2.0のグルコースポリマーが得られた。
135℃では、加熱時間300分でイオン交換能力指数0.29、エステル化指数0.19、160℃では、加熱時間120分でイオン交換能力指数0.34、エステル化指数1.6のグルコースポリマーが得られた。
170℃では、反応物が熱溶融し、粉末の状態を維持できなかった。
135℃、160℃で得られたグルコースポリマーは、水に溶解したときに不溶物質の生成が見られた。100℃、110℃で得られたグルコースポリマーは、水に溶解したとき不溶物質の形成は認められなかった。以上の結果をまとめて表1に示す。
【0022】
【表1】
品温の影響
【0023】
実施例3
原料グルコースポリマーとして“パインデックス#2”、多価カルボン酸としてクエン酸を用い、その混合比を10.5/1、9/1、4.75/1、2/1、1.5/1、1.33:1(モル比)として水に攪拌溶解し、次いでこの水溶液をスプレードライヤーで噴霧乾燥して均一な非結質粉末を得た。その結果、10.5/1、9/1、4.75/1、2/1、1.5/1(モル比)では均一な粉末が得られたが、1.33:1(モル比)では適当な粉末が得られなかった。得られた粉末を用いて加熱処理を行った。混合比以外は全て実施例1と同一の条件であり、加熱反応時間は、全て400分である。その結果、10.5/1では反応があまり進まず、イオン交換能力指数0.08、エステル化指数2.0、9/1ではイオン交換能力指数0.12、エステル化指数2.0、4.75/1では、イオン交換能力指数0.26、エステル化指数2.0、2/1では、イオン交換能力指数0.44、エステル化指数2.0、1.5/1ではイオン交換能力指数0.5、エステル化指数2.0であった。以上の結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合比(モル比)の影響
(120℃、パインデックス#2、クエン酸)
【0025】
実施例4
原料グルコースポリマーを、“スタビローズS−10”(商品名:平均重合度123の酸化澱粉:松谷化学工業(株)製)、“パインデックス#100”(商品名:平均重合度18の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)、“パインデックス#2”(平均重合度10の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)、“グリスター”(商品名:平均重合度6の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)、“パインデックス#3”(商品名:平均重合度4の澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)、“試作品1”(平均重合度3:パインデックス#3を更に加水分解を進めた澱粉加水分解物)に変更した以外は全て実施例1と同一の条件で反応を行った。
その結果、“スタビローズS−10”では均一な粉末が得られたが、その後の加熱実験により水不溶物質が生成した。“パインデックス#100”では、得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.19、エステル化指数は1.9、“パインデックス#2”では、イオン交換能力指数は0.26、エステル化指数は2.0、“グリスター”では、イオン交換能力指数は0.22、エステル化指数は2.0、“パインデックス#3”では、イオン交換能力指数は0.20、エステル化指数は2.0であった。“試作品1”では、クエン酸との均一な粉末が得られなかった。以上の結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
原料グルコースポリマーの平均重合度の影響(クエン酸、120℃)
【0027】
比較例1
本発明の方法は、原料グルコースポリマーと多価カルボン酸を一旦混合水溶液にし、その後に乾燥して得られる均一な粉末を加熱処理することを特徴とするものである。そこで、原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の単純混合粉末を用いて加熱した場合と反応結果を比較した。
原料グルコースポリマーとして“試作品2”(TK−16(商品名:澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)の膜分画品)(平均重合度10)を用いた以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。その結果、均一な粉末では、イオン交換能力指数0.26、エステル化指数2.0のグルコースポリマーが得られたが、単純混合粉末では、多価カルボン酸と原料グルコースポリマーの結合が確認されなかった。
この結果は、均一な粉末は反応性が高いことを示すものである。
【0028】
比較例2
原料グルコースポリマーとして“試作品2”及び、“ファイバーソル2”(商品名:平均重合度10の難消化性澱粉分解物:ヒト消化酵素では殆ど分解を受けない澱粉分解物であり水溶性食物繊維として認められている:松谷化学工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同一の条件で加熱処理を行った。得られた加熱反応物の粘度を、アルギン酸ナトリウム、ペクチンと比較したが、本発明品は低温においても低粘度であり、温度条件に左右されなかった。結果を表4に示す。
【0029】
【表4】
【0030】
実施例5
多価カルボン酸としてリンゴ酸又はコハク酸を使用し、原料グルコースポリマー“パインデックス#2”との混合比を、単位グルコース/多価カルボン酸=4.75/1(モル比)とし、加熱時間を変更した以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。
その結果、コハク酸では、加熱時間300分で得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.11、エステル化指数は1.0(モノエステル結合のみであることを表す)、リンゴ酸では、加熱時間300分でイオン交換能力指数は0.14、エステル化指数は1.0(モノエステル結合のみであることを表す)であった。結果を表5に示す。
【0031】
実施例6
多価カルボン酸として、リンゴ酸とコハク酸の2種類を用い、“パインデックス#2”との混合比を、単位グルコース/リンゴ酸/コハク酸=4.75/0.5/0.5(モル比) とし、加熱時間を変更した以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。
その結果、加熱時間300分で得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.13、エステル化指数は1.0(モノエステル結合のみであることを示す)であった。結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
使用する多価カルボン酸の種類(120℃、パインデックス#2、平均重合度10)
*二種で、上の一種と同モル比
【0033】
実施例7
原料グルコースポリマーとして“試作品3”(平均重合度10:“H−PDx”(商品名:還元澱粉加水分解物:松谷化学工業(株)製)の膜分画品))を使用し、加熱時間を変更した以外は、実施例1と同一の条件で反応を行った。その結果、加熱時間350分で得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.28、エステル化指数は2.0であった。還元澱粉分解物である“試作品3”の反応生成物は、加熱反応による着色がほとんど見られなかった。
【0034】
実施例8
原料グルコースポリマーとして“ファイバーソル2”を使用し、加熱時間を変更した以外は、全て実施例1と同一の条件で反応を行った。その結果、加熱時間350分で得られたグルコースポリマーのイオン交換能力指数は0.28、エステル化指数は2.0であった。
【0035】
実施例9(再汚染防止能の測定)
洗剤には、ビルダーと呼ばれる添加剤が含まれている。ビルダーは、一度遊離した汚れが再び洗濯物に付着する再汚染を防ぎ、界面活性剤の洗浄効果をあげる再汚染防止剤である。現在、最もよく用いられているビルダーとしては、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMC−Naと記載する)が挙げられる。これは水に溶けると陰イオンになり、汚れを分離した後の洗濯物の繊維表面を薄い膜状物で覆い、かつ、分離した汚れ粒子の表面を覆う。その結果、繊維表面、汚れ粒子の両者にマイナス電荷を帯びさせ、互いに反発させることにより、洗濯物が再汚染されるのを防いでいる。しかし、CMC−Naはコスト高である上、ゼオライトとともに水質汚濁の原因であるともいわれている。
本発明のグルコースポリマーの再汚染防止能の評価は、二酸化マンガン分散能の測定によった。評価材料として“試作品2加熱反応物”、“ファイバーソル2加熱反応物”、対象としてCMC−Naを用いた。方法を簡略に述べると、50mL目盛りつき共栓試験管に二酸化マンガン1.0gと0.05%試料ビルダー水溶液50mLをとり、100回上下に振とうした後、25℃恒温槽に4時間静置した。ついで、水面下5cmの位置にホールピペットを固定し、15mLを採取し、懸濁液中の二酸化マンガン量を過マンガン酸カリウム法により測定した。
その結果を表6に示す。“試作品2加熱反応物”、“ファイバーソル2加熱反応物”ともに、CMC−Naよりも大きな値を示し、再汚染防止能が高いことが確認された。また、二酸化マンガン分散能と洗浄力の関係においては、一般に分散能が大きいほど洗浄力は優れる傾向にあることが、既に報告されておりCMC−Naより優れた再汚染防止剤として使用できるとの結果を得た。
【0036】
【表6】
二酸化マンガン分散能の評価
【0037】
実施例10(イオン交換能力の測定)
“ファイバーソル2加熱反応物”(以下、FS2/Cit、と記載)を用い、次のようにして評価した。FS2/Citを100mg/10ml水溶液とし、水酸化ナトリウムで中和を行い、FS2/Citの持つカルボキシル基をナトリウム型に変換させた(ナトリウムイオンとして13.055mM)。この溶液を透析膜(Spectra/Por CE, MWCO:1000)内に入れ、外部の溶液を65.275mM塩化カルシウム水溶液として、攪拌を行いながら、適宜、膜外の溶液をサンプリングし、ナトリウムイオン量を原子吸光/フレーム分光光度計(島津製作所:AA−680)により測定を行い、ナトリウムイオンとカルシウムイオンの交換能力を調べた。その結果、透析6時間で、理論上FS2/Citの持つカルボキシル基の79%がカルシウムイオンに交換されていることが確認され、充分なイオン交換能力を持つことが分った。
【0038】
処方例1(カルシウム強化飲料)
FS2/Citを炭酸カルシウムで中和することによりFS2/Citの持つカルボキシル基をカルシウム型に変換させた(以下、FS2/Cit−Ca、と記載)。調製されたFS2/Cit−Caは水溶性(少なくとも50%w/v)で濁りのない透明な液体が得られ、飲料に応用した際に、外観的に損なうこと無く、また、味質においても問題なく、カルシウム強化飲料(100ml当たり90mgのカルシウムを含む)を処方できた。その処方例を表7に示す。
【0039】
【表7】
カルシウム強化飲料処方例(100ml当たりのg数)
Claims (13)
- 原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合水溶液を、乾燥して均一な粉末とし、加熱処理を行うことを特徴とする、イオン交換能力を有するグルコースポリマーの製造法。
- 原料グルコースポリマーが、酸化澱粉、澱粉分解物、還元澱粉分解物及び難消化性澱粉分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、その平均重合度が4〜123であることを特徴とする、請求項1記載のグルコースポリマーの製造法。
- 原料グルコースポリマーが、酸化澱粉、澱粉分解物、還元澱粉分解物及び難消化性澱粉分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、その平均重合度が4〜18であることを特徴とする、請求項1記載のグルコースポリマーの製造法。
- 多価カルボン酸が、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸及び酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2又は3記載のグルコースポリマーの製造法。
- 関数Y=AB(Y:イオン交換能力指数、A:結合多価カルボン酸量、B:エステル化指数)で表したイオン交換能力指数が、0.1〜0.5の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のグルコースポリマーの製造法。
- 加熱処理時の品温が、100〜160℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のグルコースポリマーの製造法。
- 加熱処理時の品温が、100〜125℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のグルコースポリマーの製造法。
- 原料グルコースポリマーと多価カルボン酸の混合比(モル比)が、1.5:1〜9:1であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載のグルコースポリマーの製造法。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の方法により製造されたグルコースポリマーを含有し、イオン交換能力を有することを特徴とする組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の方法により製造されたグルコースポリマーを含有するビルダー。
- 請求項10記載のビルダーを含有する洗剤。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の方法により製造されたグルコースポリマーを含有する食品。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の方法により製造されたグルコースポリマーのカルシウムイオン交換体を含有する食品。
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