JP2004305998A - 浄水カートリッジの欠陥検査方法及び浄水カートリッジの欠陥検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便かつ高精度で、しかも短時間に、中空糸膜モジュールのリーク検査とケースと蓋部の気密性検査を同時にでき、浄水カートリッジの品質管理に容易に適用できる、浄水カートリッジの欠陥検査方法を提供する。
【解決手段】気体流入口と複数の気体流出口とを有する浄水カートリッジ検査容器に浄水カートリッジを収容し、該浄水カートリッジの原水導入口を該気体流入口に、該浄水カートリッジの浄水吐水口を該気体流出口にそれぞれ連結し、該気体流入口に微粒子を含む気体を流入させて、全ての気体流出口から流出した気体中の微粒子の数を測定する浄水カートリッジの欠陥検査方法。
【選択図】 図1
【解決手段】気体流入口と複数の気体流出口とを有する浄水カートリッジ検査容器に浄水カートリッジを収容し、該浄水カートリッジの原水導入口を該気体流入口に、該浄水カートリッジの浄水吐水口を該気体流出口にそれぞれ連結し、該気体流入口に微粒子を含む気体を流入させて、全ての気体流出口から流出した気体中の微粒子の数を測定する浄水カートリッジの欠陥検査方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水などの原水を浄水濾過することを目的とした家庭用浄水器や、廃水を浄化する工業用浄水装置などに広く用いられている浄水カートリッジの欠陥検査方法及び欠陥検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲料水としての水道水は、水質基準により一定の安全性が確保されているが、近年ではより安全で美味しい水を得るために、水道水を更に浄化するための家庭用浄水器が多く用いられるようになってきている。
【0003】
一般に家庭用浄水器においては、水を浄化する浄化剤として活性炭やイオン交換樹脂などの吸着剤と、中空糸膜などの濾過剤とが使用されており、浄化剤により残留塩素、カルキ臭、カビ臭、トリハロメタンなどの不純物などが除去され、前記濾過剤により微生物、細菌類、および粒子状の重金属などが濾過されて除去される。これらの浄水器では、その除去能力が低下した場合に、濾過剤、浄化剤を新品と交換することにより、再び所要の浄水能力を持たせることができ、通常、浄化剤の交換を容易にするために、濾過剤、浄化剤をケース内に収容した浄水カートリッジが用いられている。
【0004】
浄水カートリッジとしては、例えば複数の中空糸膜を集束して筒状のケース内に収容し、それらの端部を固定用樹脂によってケースに固定した中空糸膜モジュールと、粉粒状あるいは固形状に成形された活性炭などの浄化剤とを有し、ケースに蓋部を接合一体化したものが挙げられる。このような浄水カートリッジを用いた浄水器は、原水が原水導入口から浄水カートリッジ内に流入し、活性炭などの浄化剤、中空糸膜モジュールを通過した後の浄化水が浄水吐水口から処理水として吐水される。
【0005】
ところが、このような浄水カートリッジでは、例えばケースと蓋部との接合が不完全で、隙間が形成されてしまうことがあった。この場合、原水が中空糸膜モジュールおよび浄化剤を通過せずに、接合部の隙間を通って処理水中に混入してしまい、浄化が不十分になる恐れがあった。そのため、通常浄水カートリッジを作成した後には、その気密性を調べる欠陥検査を実施している。
【0006】
このような検査方法としては、図5に示すように、空気導入管から空気を封入した浄水カートリッジを水槽中に水没させ、気泡の発生の有無を目視で確認する水没法や、空気を封入した浄水カートリッジの接合部に石鹸水を塗布し、気泡の発生の有無を目視で確認する石鹸水塗布法などが挙げられる。
【0007】
これらの方法は、検査の後に浄水カートリッジを乾燥させる必要があるため、手間がかかるという問題があるため、ドライ状態で検査を行う方法が提案されている。例えば、中空糸膜の一次側に微粒子や濁質を含有する気体を導入し、中空糸膜の二次側に透過した透過気体の微粒子数を、パーティクルカウンタを用いて測定することによって、リークの有無を判定する検査方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
しかしながらこの方法は、中空糸膜によって微粒子がカットされるため、中空糸膜の上流側に欠陥が存在していても検出できないという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特公平2−14084号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、簡便かつ高精度でしかも短時間に浄水カートリッジのリーク欠陥の有無を判別できる、浄水カートリッジの欠陥検査方法及び欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第一の要旨は、気体流入口と複数の気体流出口とを有する浄水カートリッジ検査容器に浄水カートリッジを収容し、該浄水カートリッジの原水導入口を該気体流入口に、該浄水カートリッジの浄水吐水口を該気体流出口にそれぞれ連結し、該気体流入口に微粒子を含む気体を流入させて、全ての気体流出口から流出した気体中の微粒子の数を測定する浄水カートリッジの欠陥検査方法、である。
【0012】
本発明の第二の要旨は、気体流入口と複数の気体流出口とを有する浄水カートリッジ検査容器と、気体中の微粒子の数を測定する微粒子計測器とを有する浄水カートリッジの欠陥検査装置、である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、図面を基に説明する。
図1は、本発明の検査方法における、検査装置の一実施形態例を示す概略構成図である。この検査装置は、浄水カートリッジ10を収容するための、気体流入口44と、第一の気体流出口42と、第二の気体流出口46とを有する浄水カートリッジ検査容器45と、気体中の微粒子の数を測定する微粒子計測器32から構成される。
【0014】
また、第一の気体流出口42及び第二の気体流出口46には、微粒子計測器へ流出気体を導入する通気流路34が接続されている。
【0015】
通気流路34の途中から、真空ポンプに接続する排気流路35が分岐され、通気流路34と排気流路35との分岐点よりも下流の通気流路34には通気側開閉弁36が、通気流路34と排気流路35との分岐点よりも下流の排気流路35には排気側開閉弁37が設けられている。
【0016】
微粒子計測器32、真空ポンプ33、通気側開閉弁36および排気側開閉弁37には、これらの制御を行う制御部38が電気的に接続され、微粒子計測器32に電気的に接続し、微粒子計測器32にて測定された気体中の微粒子の数に基づいて、浄水カートリッジ10の欠陥の有無を判定する判定部39(判定手段)が電気的に接続されている。
【0017】
浄水カートリッジ10は、図4に示したように、複数の中空糸膜が集束され、筒状のケース13内に収容されて端部が固定用樹脂で固定された中空糸膜部11と、粉粒状あるいは固形状に成形された活性炭などの浄化剤12とを有し、ケース13に蓋部14を一体化したものである。この浄水カートリッジ10は、原水導入口16から導入した原水が、浄化剤12、中空糸膜部11の順に通過した後に、浄水として流出するように構成されている。
【0018】
中空糸膜部11は中空糸膜束として、複数の中空糸膜をU字状に折り曲げ、折り曲げ部分を拘束糸条によって結束したシート状物を、渦巻き状に巻き込み加工した後、ケース13内の所定位置に押し込み装填し、その後、固定用樹脂を中空糸膜相互間に形成された隙間、および中空糸膜とケース内壁面との隙間に注入充填し、これを固化させて中空糸膜とケース13とを固定し、中空糸膜の開口端が得られる位置で中空糸膜束の断面方向に切断することにより得られる。
【0019】
浄化剤は、粉末状吸着剤、この粉末状吸着剤を造粒した粒状吸着剤、繊維状吸着剤などが挙げられる。このような吸着剤としては、例えば、天然物系吸着剤(天然ゼオライト、酸性白土など)、合成物系吸着剤(合成ゼオライト、銀ゼオライト、細菌吸着ポリマー、モレキュラーシーブ、多孔質ガラスなど)などの無機質吸着剤、粉末状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、ブロック状活性炭、成形活性炭、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、高吸水性樹脂、吸油性樹脂などの有機系吸着剤等が挙げられる。
【0020】
このような浄水カートリッジ10は、原水導入口16と浄水カートリッジ検査容器45の気体流入口44、浄水カートリッジ10の浄水吐水口15と浄水カートリッジ検査容器45の第一の気体流出口42とが、それぞれ気密に保つための封止剤43を介して接続される。
【0021】
封止剤43は例えば、Oリング、パッキン、シールワッシャーなどが挙げられ、機械的強度に優れ、耐摩耗性、耐候性、耐圧性などに優れた特性を有するものが好ましく、その材質としては、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなど各種のものが使用できる。
【0022】
気体中の微粒子の数を測定する際に浄水カートリッジ10に流す微粒子を含む気体としては、浄水カートリッジ10の仕様に応じて、所定粒径の微粒子を所定濃度添加した気体を用いることもできるし、大気をそのまま送り込むこともできる。
微粒子計測器32としては、気体中の微粒子の大きさと数を測定できるものであれば、いずれのものも用いることができ、通常は、パーティクルカウンタが用いられる。パーティクルカウンタとしては、例えば、微粒子を浮遊状態のまま光散乱方式により連続的に大きさと数を測定するものを用いることができ、その原理は、半導体レーザーから出射された光が被測定気体と交差し、その気体中に微粒子が存在する場合には、その散乱光が受光素子へと導かれ電気信号に変換されるものである。
【0023】
レーザー光源を具備したパーティクルカウンタは、従来のハロゲンランプを具備したパーティクルカウンタに比べ、微粒子の計測精度や計測安定性、および長時間の使用においても信頼性に優れ、微細な欠陥をも精度よく、短時間で気体中の微粒子を検出できることから好ましい。また、微粒子を検出するための感度の観点から、最大定格粒子濃度10000個/L以上のパーティクルカウンタを用いることが好ましい。
【0024】
通気流路34は、始端が第一の気体流出口42及び第二の気体流出口46に接続し、終端が微粒子計測器32に接続する配管からなるものである。
【0025】
配管としては、内面が平滑で、気体が円滑に通過できるものを用いることができ、内面平滑性、耐圧性、および耐久性の点で、タイゴンチューブが好ましい。配管の長さ(集気ホルダ31から微粒子計測器32までの流路長)は、被測定気体の滞留容積の軽減、被測定対象物の切り替えにおける応答性、およびパーティクルカウンタの吸引抵抗(圧力損失)の軽減の点で、2m以下が好ましく、0.5m以下がより好ましい。
【0026】
排気流路35は、始端が通気流路34から分岐し、終端が真空ポンプ33に接続する配管からなるものである。
配管としては、通気流路34に用いられる配管と同じものを用いることができる。
【0027】
通気側開閉弁36および排気側開閉弁37としては、弁を閉じた際の封止性に優れ、かつ開閉動作時において低発塵性の構造を有するものが好ましく、例えば、ピンチバルブが挙げられる。
【0028】
制御部38は、処理部と、インターフェース部とを有して概略構成され、微粒子計測器32の吸引ポンプ(図示略)の運転開始・停止、真空ポンプ33の運転開始・停止、通気側開閉弁36および排気側開閉弁37の開閉を制御するものである。
【0029】
インターフェース部は、各流路に設けられた開閉弁および各ポンプと、処理部との間を電気的に接続するものである。
処理部は、処理部に入力された操作信号に基づいて、各流路に設けられた開閉弁の開閉およびポンプの運転の開始、停止を制御するものである。
【0030】
判定部39は、処理部と、インターフェース部とを有して概略構成され、微粒子計測器32にて測定された気体中の微粒子の数に基づいて、浄水カートリッジ10の欠陥の有無を判定するものである。
【0031】
インターフェース部は、微粒子計測器32と判定部39の処理部との間を電気的に接続するものである。処理部は、微粒子計測器32から送られたデータ(気体中の微粒子の数)が、所定値よりも多いか、少ないかによって、浄水カートリッジ10の欠陥の有無を判定し、表示装置(図示略)に判定結果を表示させるものである。
【0032】
なお、これら処理部は専用のハードウエアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよび中央演算装置(CPU)によって構成され、処理部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0033】
また、制御部38、判定部39には、周辺機器として、入力装置、表示装置等が接続される。ここで、入力装置とは、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボード等の入力デバイスのことをいい、表示装置とは、CRTや液晶表示装置のことをいう。
【0034】
浄水カートリッジ10の欠陥検査を行うにあたっては、浄水カートリッジ10の原水導入口16と浄水カートリッジ欠陥検査容器45の気体流入口44、浄水カートリッジ10の浄水吐水口15と浄水カートリッジ欠陥検査容器45の第一の気体流出口42とをそれぞれ気密に接続する。
【0035】
次に、制御部38によって通気側開閉弁36を閉にし、排気側開閉弁37を開にした後、真空ポンプ33の運転を開始し、原水導入口16から浄水吐水口15に気体が通過するように、浄水カートリッジ10に気体を所定時間(所定量)流し、この気体を微粒子計測器32に通すことなく、真空ポンプ33から装置外部へ排気する。
【0036】
所定時間となったところで、制御部38によって、真空ポンプ33の運転を停止し、排気側開閉弁37を閉にし、通気側開閉弁36を開にする。ついで、制御部38によって、微粒子計測器32の吸引ポンプの運転を開始し、浄水カートリッジ10に微粒子を含む気体を、気体流入口44から所定時間(所定量)流し、この気体を微粒子計測器32に導く。
【0037】
微粒子計測器32にて、流出した気体にレーザー光源からの光を当て、気体中の微粒子の数を測定する。微粒子計測器32に導かれた気体は、吸引ポンプによって装置外に排気される。
微粒子計測器32にて測定された気体中の微粒子の数は、判定部39に送られ浄水カートリッジ10の欠陥の有無を判定し、判定結果を表示装置に表示する。
【0038】
このとき、通気流路34には、浄水カートリッジ10の浄水吐水口15が接続された第一の気体流出口42だけでなく、第二の気体流出口46も接続されているので、浄水吐水口15から見て、中空糸膜よりも上流側に欠陥が存在する場合、第二の気体流出口46が気体流入口44と連通することになるため、微粒子が第二の気体流出口46から排出される。
【0039】
一方浄水吐水口15から見て、中空糸膜よりも下流側、あるいは中空糸膜自体に欠陥が存在する場合、第一の気体流出口42から微粒子が排出される。
従って、本発明の浄水カートリッジの検査方法によれば、中空糸膜自体、及びその下流側、並びに上流側に存在する欠陥を、一度の検査で同時に検出することが可能となる。
【0040】
気体中の微粒子の数を測定する前にあらかじめ浄水カートリッジ10に流す気体の流量は、3〜100L/分が好ましい。気体の流量が3L/分未満では、浄水カートリッジの大きさによっては、全体の中空糸膜に気体を流すことが困難となることや、配管内に微細な塵埃が滞留する場合に短時間では十分には除去できないおそれがあり、気体の流量が100L/分を超えると、浄水カートリッジの大きさによっては、一部の中空糸膜に偏って気体が流れるおそれがある。
【0041】
気体中の微粒子の数を測定する際に、吸引ポンプで吸引する気体の流速は、流速が小さすぎると、浄水カートリッジの大きさによっては全体に気体を流すことが困難となるおそれがあり、流速が大きすぎると、浄水カートリッジの大きさによっては一部に偏って気体が流れるおそれがあるため、中空糸膜の有効膜面積当たりの流速として5〜200L/分・m2とすることが好ましく、10〜100L/分・m2がより好ましい。
【0042】
また、気体の流速の絶対値としては、1〜60L/分が好ましく、3〜30L/分がより好ましい。
【0043】
また、本発明の浄水カートリッジの欠陥検査方法においては、浄水カートリッジを通過した気体中の微粒子の数の測定を、所定時間ごとに複数回測定し、浄水カートリッジを通過した気体中の微粒子の数の平均値を算出することが好ましい。このような測定を行うことで、浄水カートリッジを通過した気体中の微粒子の数の経時的変動を測定することができ、例えば、大型の浄水カートリッジの欠陥検査を行う場合や、複数の浄水カートリッジを同時に欠陥検査を行う場合においても、欠陥検出精度をより向上させることができる。
【0044】
また、本発明の浄水カートリッジの欠陥検査装置は、図示例のものに限定はされず、浄水カートリッジ欠陥検査容器が2つ以上のものであっても構わない。また流路切り替え手段として、三方弁のような切替弁を用いてもよい。
【0045】
また、検査対象も、図示例の浄水カートリッジ10に限定はされず、例えば、ケースの両端にて複数の中空糸膜が樹脂固定部によって固定されたものなどにも適用可能である。この場合、検査対象の浄水カートリッジの形態に合わせて、浄水カートリッジ欠陥検査容器の大きさ、形状等を適宜変更することもできる。
【0046】
図2は、図4に示す浄水カートリッジ10が、さらに有底円筒形状の外ケース60に挿入され、原水導入口16と浄水吐出口15とを同一端面側に備えた浄水カートリッジ10の検査方法の一実施形態例を示したものである。
図3は、複数の中空糸膜が固定用樹脂によりケースに固定された中空糸膜モジュールと、活性炭などの多孔質剤が収容されたケースとが個別に分離した多層構造を有するものであり、各々のケースを接合して一体化した浄水カートリッジ10の検査方法の一実施形態例を示したものである。
【0047】
なお、浄水カートリッジ10に気体を流す方法としては、浄水カートリッジ10の浄水吐水口15側から吸引ポンプまたは真空ポンプにて気体を吸引することによって、浄水カートリッジ10内に気体を流入させる方法に限定されず、浄水カートリッジ10の原水導入口16側から加圧ポンプにて気体を加圧し、浄水カートリッジ内に気体を流入させる方法を用いても差し支えない。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の浄水カートリッジの検査方法の具体的な構成を詳しく説明する。浄水カートリッジは、図4に示す構造であり、以下のようにして作製した。
まず、ポリエチレン製中空糸膜(三菱レイヨン(株)製、分画性能:0.1μm、外径:380μm )を中空糸膜の総表面積が0.3m2、U字状に折り返した際の長さが50mmになるように、中空糸膜を5000本集束し、底面を有する円筒状のケースに装填した。次いで、ポリウレタン樹脂からなる固定用樹脂をケースの底面近傍に充填し、固定用樹脂を固化させて中空糸膜を固定する固定部を形成した。次いで、ケースの底面から10mmの位置で、固定部を底面と平行に切断して中空糸膜の端部を開口させて、ケースと一体化した中空糸膜モジュールを作製した。
【0049】
次に、中空糸膜モジュールと一体化したケース内に、浄化剤である粒状の活性炭30gを充填し、そのケースに蓋部を超音波溶着機により接合して、複数の中空糸膜がU字状に集束され、それらの端部が固定された中空糸膜モジュールと、浄化剤である活性炭とを有する浄水カートリッジを得た。
【0050】
<実施例1>
この浄水カートリッジについて、図1に示す欠陥検査装置を用いて欠陥検査を行った。ここで、微粒子計測器としては、パーティクルカウンタ「KM−27」(リオン(株)製、光源:レーザーダイオード、最大定格粒子濃度:14000個/L、吸引流量:28L/分)を用い、各流路の配管にはタイゴンチューブを用い、各開閉弁にはピンチバルブ(山本産業(株)製)を用いた。
【0051】
浄水カートリッジを浄水カートリッジ欠陥検査容器にセットし、通気側開閉弁を閉に、排気側開閉弁を開にした後、真空ポンプの運転を開始し、浄水カートリッジの外側から内側に向かって空気が流入するように、浄水カートリッジに空気を流量50L/分で30秒間流し、この空気を微粒子計測器に通すことなく、真空ポンプから外部へ排気した。
【0052】
浄水カートリッジに空気を30秒間流したところで、真空ポンプの運転を停止し、排気側開閉弁を閉に、通気側開閉弁を開にした。次いで、微粒子計測器の吸引ポンプの運転を開始し、浄水カートリッジの外側から内側に向かって、埃等の微粒子を含む空気が流入するように、浄水カートリッジに吸引流量28L/分(中空糸膜の有効膜面積あたりの流量93.3L/分・m2)で20秒間流し、通過した空気を通気流路の配管を経て微粒子計測器に導き、この空気中の微粒子の数を測定した。この、微粒子計測器にて測定された気体中の微粒子の数を判定部に送り、微粒子の数が規定値の0個のものを良品とし、1個以上のものを不良品と判定した。
【0053】
以上の検査を、良品の浄水カートリッジ100本、故意に中空糸膜または樹脂固定部、あるいはケースと蓋部との境界部を損傷させた浄水カートリッジ100本について行った。良品については、浄水カートリッジを通過した空気中の微粒子の数は全て0個であった。損傷品については、浄水カートリッジを通過した空気中の微粒子の数は全て10個以上であり、浄水カートリッジにおける欠陥の有無を確実に区別することができた。
【0054】
<比較例>
上述した浄水カートリッジについて、以下のような水没法によって検査を行った。すなわち、図5に示すように、空気を封入した浄水カートリッジを水槽中に水没させ、浄水カートリッジから発生する気泡の有無で、欠陥の有無を判定した。このような水没法によっても、浄水カートリッジのケースと蓋部との接合部における気密性検査は可能であったが、中空糸膜モジュールの中空糸膜または樹脂固定部のリーク検査については、正確な判定ができなかった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、浄水カートリッジ欠陥検査容器45の気体流入口44に微粒子を含む気体を流入させて、気体流出口から流出した気体中の微粒子の数を測定するため、浄水カートリッジ内の中空糸膜間への固定用樹脂の浸透不良や中空糸膜のピンホールなどによる欠陥検査と、ケースと蓋部との接合不良等の欠陥に対する気密性検査を同時にできるため、浄水カートリッジ10の検査を効率よく行うことができる。また、この検査方法では比較的簡単な機器の構成であるため、製品の品質管理に容易に適用することができる。
【0056】
また、浄水カートリッジ10を通過した気体中の微粒子の数を、レーザー光源を具備した微粒子計測器にて測定することにより、例えば、従来のハロゲンランプを具備した微粒子計測器などに比べて、微細な欠陥であっても感度よく短時間で気体中の微粒子を検出でき、不良品であるにもかかわらず、誤って良品と判断してしまうことがない。
【0057】
また、浄水カートリッジ10を通過した気体中の微粒子の数を測定する前に、あらかじめ浄水カートリッジ10に気体を流すことにより、浄水カートリッジ10および気体流路の配管内に残留する微細な塵埃などを洗い流すことができ、浄水カートリッジ10を通過した気体中の微粒子の数を測定する際に、この微粒子を含む気体に由来しない微粒子を検出してしまうことがない。これにより、良品であるにもかかわらず、誤って不良品と判断してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浄水カートリッジの欠陥検査装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の浄水カートリッジの欠陥検査装置の別の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の浄水カートリッジの欠陥検査装置の別の一例を示す概略図である。
【図4】浄水カートリッジの一例を示す概略断面図である。
【図5】従来の浄水カートリッジの欠陥検査方法を示す概略図である。
【符号の説明】
10 浄水カートリッジ
15 浄水吐水口
16 原水導入口
32 微粒子計測器
42 第一の気体流出口
44 気体流入口
45 浄水カートリッジ欠陥検査容器
46 第二の気体流出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水などの原水を浄水濾過することを目的とした家庭用浄水器や、廃水を浄化する工業用浄水装置などに広く用いられている浄水カートリッジの欠陥検査方法及び欠陥検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲料水としての水道水は、水質基準により一定の安全性が確保されているが、近年ではより安全で美味しい水を得るために、水道水を更に浄化するための家庭用浄水器が多く用いられるようになってきている。
【0003】
一般に家庭用浄水器においては、水を浄化する浄化剤として活性炭やイオン交換樹脂などの吸着剤と、中空糸膜などの濾過剤とが使用されており、浄化剤により残留塩素、カルキ臭、カビ臭、トリハロメタンなどの不純物などが除去され、前記濾過剤により微生物、細菌類、および粒子状の重金属などが濾過されて除去される。これらの浄水器では、その除去能力が低下した場合に、濾過剤、浄化剤を新品と交換することにより、再び所要の浄水能力を持たせることができ、通常、浄化剤の交換を容易にするために、濾過剤、浄化剤をケース内に収容した浄水カートリッジが用いられている。
【0004】
浄水カートリッジとしては、例えば複数の中空糸膜を集束して筒状のケース内に収容し、それらの端部を固定用樹脂によってケースに固定した中空糸膜モジュールと、粉粒状あるいは固形状に成形された活性炭などの浄化剤とを有し、ケースに蓋部を接合一体化したものが挙げられる。このような浄水カートリッジを用いた浄水器は、原水が原水導入口から浄水カートリッジ内に流入し、活性炭などの浄化剤、中空糸膜モジュールを通過した後の浄化水が浄水吐水口から処理水として吐水される。
【0005】
ところが、このような浄水カートリッジでは、例えばケースと蓋部との接合が不完全で、隙間が形成されてしまうことがあった。この場合、原水が中空糸膜モジュールおよび浄化剤を通過せずに、接合部の隙間を通って処理水中に混入してしまい、浄化が不十分になる恐れがあった。そのため、通常浄水カートリッジを作成した後には、その気密性を調べる欠陥検査を実施している。
【0006】
このような検査方法としては、図5に示すように、空気導入管から空気を封入した浄水カートリッジを水槽中に水没させ、気泡の発生の有無を目視で確認する水没法や、空気を封入した浄水カートリッジの接合部に石鹸水を塗布し、気泡の発生の有無を目視で確認する石鹸水塗布法などが挙げられる。
【0007】
これらの方法は、検査の後に浄水カートリッジを乾燥させる必要があるため、手間がかかるという問題があるため、ドライ状態で検査を行う方法が提案されている。例えば、中空糸膜の一次側に微粒子や濁質を含有する気体を導入し、中空糸膜の二次側に透過した透過気体の微粒子数を、パーティクルカウンタを用いて測定することによって、リークの有無を判定する検査方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
しかしながらこの方法は、中空糸膜によって微粒子がカットされるため、中空糸膜の上流側に欠陥が存在していても検出できないという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特公平2−14084号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、簡便かつ高精度でしかも短時間に浄水カートリッジのリーク欠陥の有無を判別できる、浄水カートリッジの欠陥検査方法及び欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第一の要旨は、気体流入口と複数の気体流出口とを有する浄水カートリッジ検査容器に浄水カートリッジを収容し、該浄水カートリッジの原水導入口を該気体流入口に、該浄水カートリッジの浄水吐水口を該気体流出口にそれぞれ連結し、該気体流入口に微粒子を含む気体を流入させて、全ての気体流出口から流出した気体中の微粒子の数を測定する浄水カートリッジの欠陥検査方法、である。
【0012】
本発明の第二の要旨は、気体流入口と複数の気体流出口とを有する浄水カートリッジ検査容器と、気体中の微粒子の数を測定する微粒子計測器とを有する浄水カートリッジの欠陥検査装置、である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、図面を基に説明する。
図1は、本発明の検査方法における、検査装置の一実施形態例を示す概略構成図である。この検査装置は、浄水カートリッジ10を収容するための、気体流入口44と、第一の気体流出口42と、第二の気体流出口46とを有する浄水カートリッジ検査容器45と、気体中の微粒子の数を測定する微粒子計測器32から構成される。
【0014】
また、第一の気体流出口42及び第二の気体流出口46には、微粒子計測器へ流出気体を導入する通気流路34が接続されている。
【0015】
通気流路34の途中から、真空ポンプに接続する排気流路35が分岐され、通気流路34と排気流路35との分岐点よりも下流の通気流路34には通気側開閉弁36が、通気流路34と排気流路35との分岐点よりも下流の排気流路35には排気側開閉弁37が設けられている。
【0016】
微粒子計測器32、真空ポンプ33、通気側開閉弁36および排気側開閉弁37には、これらの制御を行う制御部38が電気的に接続され、微粒子計測器32に電気的に接続し、微粒子計測器32にて測定された気体中の微粒子の数に基づいて、浄水カートリッジ10の欠陥の有無を判定する判定部39(判定手段)が電気的に接続されている。
【0017】
浄水カートリッジ10は、図4に示したように、複数の中空糸膜が集束され、筒状のケース13内に収容されて端部が固定用樹脂で固定された中空糸膜部11と、粉粒状あるいは固形状に成形された活性炭などの浄化剤12とを有し、ケース13に蓋部14を一体化したものである。この浄水カートリッジ10は、原水導入口16から導入した原水が、浄化剤12、中空糸膜部11の順に通過した後に、浄水として流出するように構成されている。
【0018】
中空糸膜部11は中空糸膜束として、複数の中空糸膜をU字状に折り曲げ、折り曲げ部分を拘束糸条によって結束したシート状物を、渦巻き状に巻き込み加工した後、ケース13内の所定位置に押し込み装填し、その後、固定用樹脂を中空糸膜相互間に形成された隙間、および中空糸膜とケース内壁面との隙間に注入充填し、これを固化させて中空糸膜とケース13とを固定し、中空糸膜の開口端が得られる位置で中空糸膜束の断面方向に切断することにより得られる。
【0019】
浄化剤は、粉末状吸着剤、この粉末状吸着剤を造粒した粒状吸着剤、繊維状吸着剤などが挙げられる。このような吸着剤としては、例えば、天然物系吸着剤(天然ゼオライト、酸性白土など)、合成物系吸着剤(合成ゼオライト、銀ゼオライト、細菌吸着ポリマー、モレキュラーシーブ、多孔質ガラスなど)などの無機質吸着剤、粉末状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、ブロック状活性炭、成形活性炭、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、高吸水性樹脂、吸油性樹脂などの有機系吸着剤等が挙げられる。
【0020】
このような浄水カートリッジ10は、原水導入口16と浄水カートリッジ検査容器45の気体流入口44、浄水カートリッジ10の浄水吐水口15と浄水カートリッジ検査容器45の第一の気体流出口42とが、それぞれ気密に保つための封止剤43を介して接続される。
【0021】
封止剤43は例えば、Oリング、パッキン、シールワッシャーなどが挙げられ、機械的強度に優れ、耐摩耗性、耐候性、耐圧性などに優れた特性を有するものが好ましく、その材質としては、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなど各種のものが使用できる。
【0022】
気体中の微粒子の数を測定する際に浄水カートリッジ10に流す微粒子を含む気体としては、浄水カートリッジ10の仕様に応じて、所定粒径の微粒子を所定濃度添加した気体を用いることもできるし、大気をそのまま送り込むこともできる。
微粒子計測器32としては、気体中の微粒子の大きさと数を測定できるものであれば、いずれのものも用いることができ、通常は、パーティクルカウンタが用いられる。パーティクルカウンタとしては、例えば、微粒子を浮遊状態のまま光散乱方式により連続的に大きさと数を測定するものを用いることができ、その原理は、半導体レーザーから出射された光が被測定気体と交差し、その気体中に微粒子が存在する場合には、その散乱光が受光素子へと導かれ電気信号に変換されるものである。
【0023】
レーザー光源を具備したパーティクルカウンタは、従来のハロゲンランプを具備したパーティクルカウンタに比べ、微粒子の計測精度や計測安定性、および長時間の使用においても信頼性に優れ、微細な欠陥をも精度よく、短時間で気体中の微粒子を検出できることから好ましい。また、微粒子を検出するための感度の観点から、最大定格粒子濃度10000個/L以上のパーティクルカウンタを用いることが好ましい。
【0024】
通気流路34は、始端が第一の気体流出口42及び第二の気体流出口46に接続し、終端が微粒子計測器32に接続する配管からなるものである。
【0025】
配管としては、内面が平滑で、気体が円滑に通過できるものを用いることができ、内面平滑性、耐圧性、および耐久性の点で、タイゴンチューブが好ましい。配管の長さ(集気ホルダ31から微粒子計測器32までの流路長)は、被測定気体の滞留容積の軽減、被測定対象物の切り替えにおける応答性、およびパーティクルカウンタの吸引抵抗(圧力損失)の軽減の点で、2m以下が好ましく、0.5m以下がより好ましい。
【0026】
排気流路35は、始端が通気流路34から分岐し、終端が真空ポンプ33に接続する配管からなるものである。
配管としては、通気流路34に用いられる配管と同じものを用いることができる。
【0027】
通気側開閉弁36および排気側開閉弁37としては、弁を閉じた際の封止性に優れ、かつ開閉動作時において低発塵性の構造を有するものが好ましく、例えば、ピンチバルブが挙げられる。
【0028】
制御部38は、処理部と、インターフェース部とを有して概略構成され、微粒子計測器32の吸引ポンプ(図示略)の運転開始・停止、真空ポンプ33の運転開始・停止、通気側開閉弁36および排気側開閉弁37の開閉を制御するものである。
【0029】
インターフェース部は、各流路に設けられた開閉弁および各ポンプと、処理部との間を電気的に接続するものである。
処理部は、処理部に入力された操作信号に基づいて、各流路に設けられた開閉弁の開閉およびポンプの運転の開始、停止を制御するものである。
【0030】
判定部39は、処理部と、インターフェース部とを有して概略構成され、微粒子計測器32にて測定された気体中の微粒子の数に基づいて、浄水カートリッジ10の欠陥の有無を判定するものである。
【0031】
インターフェース部は、微粒子計測器32と判定部39の処理部との間を電気的に接続するものである。処理部は、微粒子計測器32から送られたデータ(気体中の微粒子の数)が、所定値よりも多いか、少ないかによって、浄水カートリッジ10の欠陥の有無を判定し、表示装置(図示略)に判定結果を表示させるものである。
【0032】
なお、これら処理部は専用のハードウエアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよび中央演算装置(CPU)によって構成され、処理部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0033】
また、制御部38、判定部39には、周辺機器として、入力装置、表示装置等が接続される。ここで、入力装置とは、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボード等の入力デバイスのことをいい、表示装置とは、CRTや液晶表示装置のことをいう。
【0034】
浄水カートリッジ10の欠陥検査を行うにあたっては、浄水カートリッジ10の原水導入口16と浄水カートリッジ欠陥検査容器45の気体流入口44、浄水カートリッジ10の浄水吐水口15と浄水カートリッジ欠陥検査容器45の第一の気体流出口42とをそれぞれ気密に接続する。
【0035】
次に、制御部38によって通気側開閉弁36を閉にし、排気側開閉弁37を開にした後、真空ポンプ33の運転を開始し、原水導入口16から浄水吐水口15に気体が通過するように、浄水カートリッジ10に気体を所定時間(所定量)流し、この気体を微粒子計測器32に通すことなく、真空ポンプ33から装置外部へ排気する。
【0036】
所定時間となったところで、制御部38によって、真空ポンプ33の運転を停止し、排気側開閉弁37を閉にし、通気側開閉弁36を開にする。ついで、制御部38によって、微粒子計測器32の吸引ポンプの運転を開始し、浄水カートリッジ10に微粒子を含む気体を、気体流入口44から所定時間(所定量)流し、この気体を微粒子計測器32に導く。
【0037】
微粒子計測器32にて、流出した気体にレーザー光源からの光を当て、気体中の微粒子の数を測定する。微粒子計測器32に導かれた気体は、吸引ポンプによって装置外に排気される。
微粒子計測器32にて測定された気体中の微粒子の数は、判定部39に送られ浄水カートリッジ10の欠陥の有無を判定し、判定結果を表示装置に表示する。
【0038】
このとき、通気流路34には、浄水カートリッジ10の浄水吐水口15が接続された第一の気体流出口42だけでなく、第二の気体流出口46も接続されているので、浄水吐水口15から見て、中空糸膜よりも上流側に欠陥が存在する場合、第二の気体流出口46が気体流入口44と連通することになるため、微粒子が第二の気体流出口46から排出される。
【0039】
一方浄水吐水口15から見て、中空糸膜よりも下流側、あるいは中空糸膜自体に欠陥が存在する場合、第一の気体流出口42から微粒子が排出される。
従って、本発明の浄水カートリッジの検査方法によれば、中空糸膜自体、及びその下流側、並びに上流側に存在する欠陥を、一度の検査で同時に検出することが可能となる。
【0040】
気体中の微粒子の数を測定する前にあらかじめ浄水カートリッジ10に流す気体の流量は、3〜100L/分が好ましい。気体の流量が3L/分未満では、浄水カートリッジの大きさによっては、全体の中空糸膜に気体を流すことが困難となることや、配管内に微細な塵埃が滞留する場合に短時間では十分には除去できないおそれがあり、気体の流量が100L/分を超えると、浄水カートリッジの大きさによっては、一部の中空糸膜に偏って気体が流れるおそれがある。
【0041】
気体中の微粒子の数を測定する際に、吸引ポンプで吸引する気体の流速は、流速が小さすぎると、浄水カートリッジの大きさによっては全体に気体を流すことが困難となるおそれがあり、流速が大きすぎると、浄水カートリッジの大きさによっては一部に偏って気体が流れるおそれがあるため、中空糸膜の有効膜面積当たりの流速として5〜200L/分・m2とすることが好ましく、10〜100L/分・m2がより好ましい。
【0042】
また、気体の流速の絶対値としては、1〜60L/分が好ましく、3〜30L/分がより好ましい。
【0043】
また、本発明の浄水カートリッジの欠陥検査方法においては、浄水カートリッジを通過した気体中の微粒子の数の測定を、所定時間ごとに複数回測定し、浄水カートリッジを通過した気体中の微粒子の数の平均値を算出することが好ましい。このような測定を行うことで、浄水カートリッジを通過した気体中の微粒子の数の経時的変動を測定することができ、例えば、大型の浄水カートリッジの欠陥検査を行う場合や、複数の浄水カートリッジを同時に欠陥検査を行う場合においても、欠陥検出精度をより向上させることができる。
【0044】
また、本発明の浄水カートリッジの欠陥検査装置は、図示例のものに限定はされず、浄水カートリッジ欠陥検査容器が2つ以上のものであっても構わない。また流路切り替え手段として、三方弁のような切替弁を用いてもよい。
【0045】
また、検査対象も、図示例の浄水カートリッジ10に限定はされず、例えば、ケースの両端にて複数の中空糸膜が樹脂固定部によって固定されたものなどにも適用可能である。この場合、検査対象の浄水カートリッジの形態に合わせて、浄水カートリッジ欠陥検査容器の大きさ、形状等を適宜変更することもできる。
【0046】
図2は、図4に示す浄水カートリッジ10が、さらに有底円筒形状の外ケース60に挿入され、原水導入口16と浄水吐出口15とを同一端面側に備えた浄水カートリッジ10の検査方法の一実施形態例を示したものである。
図3は、複数の中空糸膜が固定用樹脂によりケースに固定された中空糸膜モジュールと、活性炭などの多孔質剤が収容されたケースとが個別に分離した多層構造を有するものであり、各々のケースを接合して一体化した浄水カートリッジ10の検査方法の一実施形態例を示したものである。
【0047】
なお、浄水カートリッジ10に気体を流す方法としては、浄水カートリッジ10の浄水吐水口15側から吸引ポンプまたは真空ポンプにて気体を吸引することによって、浄水カートリッジ10内に気体を流入させる方法に限定されず、浄水カートリッジ10の原水導入口16側から加圧ポンプにて気体を加圧し、浄水カートリッジ内に気体を流入させる方法を用いても差し支えない。
【0048】
【実施例】
以下、本発明の浄水カートリッジの検査方法の具体的な構成を詳しく説明する。浄水カートリッジは、図4に示す構造であり、以下のようにして作製した。
まず、ポリエチレン製中空糸膜(三菱レイヨン(株)製、分画性能:0.1μm、外径:380μm )を中空糸膜の総表面積が0.3m2、U字状に折り返した際の長さが50mmになるように、中空糸膜を5000本集束し、底面を有する円筒状のケースに装填した。次いで、ポリウレタン樹脂からなる固定用樹脂をケースの底面近傍に充填し、固定用樹脂を固化させて中空糸膜を固定する固定部を形成した。次いで、ケースの底面から10mmの位置で、固定部を底面と平行に切断して中空糸膜の端部を開口させて、ケースと一体化した中空糸膜モジュールを作製した。
【0049】
次に、中空糸膜モジュールと一体化したケース内に、浄化剤である粒状の活性炭30gを充填し、そのケースに蓋部を超音波溶着機により接合して、複数の中空糸膜がU字状に集束され、それらの端部が固定された中空糸膜モジュールと、浄化剤である活性炭とを有する浄水カートリッジを得た。
【0050】
<実施例1>
この浄水カートリッジについて、図1に示す欠陥検査装置を用いて欠陥検査を行った。ここで、微粒子計測器としては、パーティクルカウンタ「KM−27」(リオン(株)製、光源:レーザーダイオード、最大定格粒子濃度:14000個/L、吸引流量:28L/分)を用い、各流路の配管にはタイゴンチューブを用い、各開閉弁にはピンチバルブ(山本産業(株)製)を用いた。
【0051】
浄水カートリッジを浄水カートリッジ欠陥検査容器にセットし、通気側開閉弁を閉に、排気側開閉弁を開にした後、真空ポンプの運転を開始し、浄水カートリッジの外側から内側に向かって空気が流入するように、浄水カートリッジに空気を流量50L/分で30秒間流し、この空気を微粒子計測器に通すことなく、真空ポンプから外部へ排気した。
【0052】
浄水カートリッジに空気を30秒間流したところで、真空ポンプの運転を停止し、排気側開閉弁を閉に、通気側開閉弁を開にした。次いで、微粒子計測器の吸引ポンプの運転を開始し、浄水カートリッジの外側から内側に向かって、埃等の微粒子を含む空気が流入するように、浄水カートリッジに吸引流量28L/分(中空糸膜の有効膜面積あたりの流量93.3L/分・m2)で20秒間流し、通過した空気を通気流路の配管を経て微粒子計測器に導き、この空気中の微粒子の数を測定した。この、微粒子計測器にて測定された気体中の微粒子の数を判定部に送り、微粒子の数が規定値の0個のものを良品とし、1個以上のものを不良品と判定した。
【0053】
以上の検査を、良品の浄水カートリッジ100本、故意に中空糸膜または樹脂固定部、あるいはケースと蓋部との境界部を損傷させた浄水カートリッジ100本について行った。良品については、浄水カートリッジを通過した空気中の微粒子の数は全て0個であった。損傷品については、浄水カートリッジを通過した空気中の微粒子の数は全て10個以上であり、浄水カートリッジにおける欠陥の有無を確実に区別することができた。
【0054】
<比較例>
上述した浄水カートリッジについて、以下のような水没法によって検査を行った。すなわち、図5に示すように、空気を封入した浄水カートリッジを水槽中に水没させ、浄水カートリッジから発生する気泡の有無で、欠陥の有無を判定した。このような水没法によっても、浄水カートリッジのケースと蓋部との接合部における気密性検査は可能であったが、中空糸膜モジュールの中空糸膜または樹脂固定部のリーク検査については、正確な判定ができなかった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、浄水カートリッジ欠陥検査容器45の気体流入口44に微粒子を含む気体を流入させて、気体流出口から流出した気体中の微粒子の数を測定するため、浄水カートリッジ内の中空糸膜間への固定用樹脂の浸透不良や中空糸膜のピンホールなどによる欠陥検査と、ケースと蓋部との接合不良等の欠陥に対する気密性検査を同時にできるため、浄水カートリッジ10の検査を効率よく行うことができる。また、この検査方法では比較的簡単な機器の構成であるため、製品の品質管理に容易に適用することができる。
【0056】
また、浄水カートリッジ10を通過した気体中の微粒子の数を、レーザー光源を具備した微粒子計測器にて測定することにより、例えば、従来のハロゲンランプを具備した微粒子計測器などに比べて、微細な欠陥であっても感度よく短時間で気体中の微粒子を検出でき、不良品であるにもかかわらず、誤って良品と判断してしまうことがない。
【0057】
また、浄水カートリッジ10を通過した気体中の微粒子の数を測定する前に、あらかじめ浄水カートリッジ10に気体を流すことにより、浄水カートリッジ10および気体流路の配管内に残留する微細な塵埃などを洗い流すことができ、浄水カートリッジ10を通過した気体中の微粒子の数を測定する際に、この微粒子を含む気体に由来しない微粒子を検出してしまうことがない。これにより、良品であるにもかかわらず、誤って不良品と判断してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浄水カートリッジの欠陥検査装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の浄水カートリッジの欠陥検査装置の別の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の浄水カートリッジの欠陥検査装置の別の一例を示す概略図である。
【図4】浄水カートリッジの一例を示す概略断面図である。
【図5】従来の浄水カートリッジの欠陥検査方法を示す概略図である。
【符号の説明】
10 浄水カートリッジ
15 浄水吐水口
16 原水導入口
32 微粒子計測器
42 第一の気体流出口
44 気体流入口
45 浄水カートリッジ欠陥検査容器
46 第二の気体流出口
Claims (6)
- 気体流入口と複数の気体流出口とを有する浄水カートリッジ検査容器に浄水カートリッジを収容し、該浄水カートリッジの原水導入口を該気体流入口に、該浄水カートリッジの浄水吐水口を該気体流出口にそれぞれ連結し、該気体流入口に微粒子を含む気体を流入させて、全ての気体流出口から流出した気体中の微粒子の数を測定する浄水カートリッジの欠陥検査方法。
- 流出した気体中の微粒子の数を、レーザー光源を具備した微粒子計測器にて測定する請求項1に記載の浄水カートリッジの欠陥検査方法。
- 前記気体流出口から流出する気体の、中空糸膜の有効膜面積あたりの流速が5〜200L/min・m2である請求項1又は2に記載の浄水カートリッジの欠陥検査方法。
- 流出した気体中の微粒子の数を測定する前に、あらかじめ浄水カートリッジに気体を流す請求項1〜3のいずれか一項に記載の浄水カートリッジの欠陥検査方法。
- 気体流入口と複数の気体流出口とを有する浄水カートリッジ検査容器と、気体中の微粒子の数を測定する微粒子計測器とを有する浄水カートリッジの欠陥検査装置。
- 前記微粒子計測器がレーザー光源を有する請求項5に記載の浄水カートリッジの欠陥検査装置。
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