JP2004305941A - 凝集処理方法 - Google Patents
凝集処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004305941A JP2004305941A JP2003104364A JP2003104364A JP2004305941A JP 2004305941 A JP2004305941 A JP 2004305941A JP 2003104364 A JP2003104364 A JP 2003104364A JP 2003104364 A JP2003104364 A JP 2003104364A JP 2004305941 A JP2004305941 A JP 2004305941A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- iron
- liquid
- treatment method
- treated
- flocculant
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)
Abstract
【解決手段】限外濾過膜による平均分画分子量が500以上であるポリ塩化第二鉄分子の鉄が、全鉄の20重量%以上であるポリ塩化第二鉄を含有する鉄系凝集剤を、被処理液に混合し、被処理液中の汚濁物質及び有機物を凝集させる凝集処理方法であって、凝集処理を行った直後の被処理液のpHが5.8未満となるように、撹拌操作前に、被処理液のpHを酸性側に調整し、濁度除去と有機物除去を同時に行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性領域でも使用可能な鉄系凝集剤による凝集処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、河川水、湖沼水、地下水等の原水から水道水及び工業用水を生成する浄化プロセスは、原水中の土砂、粘土等の懸濁性物質を凝集剤で凝集させ、凝集物を沈殿後、急速濾過操作により、除去し、その処理水に残存する細菌類を塩素によって、滅菌する凝集・沈殿・急速濾過・塩素滅菌の4つのプロセスよりなっている。
【0003】
この浄化プロセスにおいて使用される凝集剤としては、従来ポリ塩化アルミニウム(PAC)や硫酸アルミニウム(硫酸バンド)等のアルミニウム系凝集剤が広く使用されてきた。しかしながら、PACや硫酸バンド等のアルミニウム系凝集剤は、人体への悪影響が懸念され、現在、WHOによるアルミニウム規制強化への動きや、アルツハイマー病のアルミニウム原因説等が社会問題となっている。
【0004】
また、近年、水道水源に下水、産業廃水、下水処理水が混入して、汚濁が進み、各種の溶解性有機物が増加し、この溶解性有機物が塩素滅菌の過程で塩素と結合し、発癌性のあるトリハロメタン等の有害物質を生成するという問題が生じている。そのため、塩素処理過程の前に溶解性有機物を極力除去することが強く求められるようになっている。
【0005】
従って、有機物の除去性能がアルミニウム系凝集剤に比べ優れ、かつ安全性の高い凝集剤として、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄等の鉄系凝集剤が注目され、更に、鉄系凝集剤として塩化第二鉄、ポリ塩化第二鉄、硫酸第二鉄、及びポリ硫酸第二鉄を使用して水中の汚濁物質及び溶解性有機物を凝集させる方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−59173号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、塩化第二鉄は通常使用する中性付近のpH領域で示す優れた濁度除去性能を、有機物の除去に有利な酸性領域で維持することができない。また、腐食作用があるため、使用に注意が必要となる。
また、従来より使用されているポリ硫酸第二鉄はアルミニウム系凝集剤よりも金属含有量が高く、低添加量で使用でき、腐食の問題も少なく、有機物の除去性能もアルミニウム系凝集剤に較べ良好である等の利点があるが、有機物の除去に有利な酸性領域で優れた濁度除去性能の発揮という点では不十分という問題があった。
【0008】
また、特許文献1の発明では、鉄系凝集剤として、塩化第二鉄、ポリ塩化第二鉄、硫酸第二鉄、又はポリ硫酸第二鉄を用い、pHが4から6の領域で凝集操作を行っているが、従来の凝集剤をそのまま使用しているため、個々の凝集剤の凝集性能の向上に寄与している訳ではない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、有機物除去に有利な酸性領域においても、通常の水処理で使用される中性領域での濁度除去性能を維持することができ、優れた凝集性能を有する凝集処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る凝集処理方法は、限外濾過膜による平均分画分子量が500以上であるポリ塩化第二鉄分子の鉄が、全鉄の20重量%以上であるポリ塩化第二鉄を含有する鉄系凝集剤を被処理液に混合し、前記被処理液中の汚濁物質及び有機物を凝集させる凝集処理方法であって、
撹拌処理前の被処理液のpHを酸性にしている。
【0010】
ここで、限外濾過膜による平均分画分子量が500以上とは、平均分画分子量が500の限外濾過膜を通過しないポリ塩化第二鉄分子をいう。
【0011】
本発明は、有機物除去に有利な酸性領域においても良好な濁度除去性能を示す新しいポリ塩化第二鉄を鉄系凝集剤として使用することによって、汚濁物質及び有機物を、同時に凝集することができる。更に、この凝集した汚濁物質及び有機物は、沈殿、濾過膜による濾過、及び、遠心分離機等の遠心力を用いて除去することができる。
さらに、ポリ塩化第二鉄の平均分画分子量は、500以上であって、好ましくは10000以上がよい。但し、平均分画分子量が大き過ぎて、ポリ塩化第二鉄がコロイド状になっている場合には、濁度除去性能が低下するので、コロイド状にならない範囲で、平均分画分子量が500以上のポリ塩化第二鉄分子とする。ポリ塩化第二鉄の平均分画分子量が500より小さい場合には、酸性領域において、凝集が起こりにくくなる。
また、平均分画分子量500以上であるポリ塩化第二鉄分子中の鉄の割合は、全鉄の20重量%以上であって、更に、この割合が大きくなるにしたがって、濁度除去性能は高くなる。
【0012】
また、撹拌処理前の被処理液のpHを有機物の除去に有利な酸性にしているので、濁度除去と有機物除去を同時に行うことができる。
また、被処理液を酸性にする酸としては、硫酸が好適に用いられる。
【0013】
本発明に係る凝集処理方法において、前記鉄系凝集剤には、リン酸イオン種が1又は2以上含有され、ポリ塩化第二鉄を長期に渡って安定化するのが好ましい。ポリ塩化第二鉄溶液中の鉄イオン(Fe3+)は、水酸基(OH基)ないしは酸素基(O基)とを介在する形で結合し、ポリマー状構造を有していると考えられ、ポリ塩化第二鉄中の鉄ポリマーはあまり安定ではない。液状のポリ塩化第二鉄にリン酸イオン種を添加して含有させることによって、鉄ポリマーの安定性が増すと考えられる。
これによって、鉄系凝集剤を長期に渡って使用することができ、経済的である。また、リン酸イオン種によって、鉄系凝集剤のポリマー化度が適正に調整され、平均分画分子量が500以上の鉄系凝集剤中の鉄分子を増加させることができる。
【0014】
ここで、リン酸イオン種としては、液状の鉄系凝集剤中、あるいは溶液中でリン酸イオンを放出するものであれば、いずれも使用可能であるが、例えば、オルトリン酸や、ポリリン酸(例えば、ピロリン酸、トリポリリン酸)等のリン酸塩を用いることができる。なお、リン酸イオン種を適量、例えば鉄系凝集剤中の鉄のモル濃度を1としたときのリン(P)のモル比が0又は0を超えて0.3以下になるように含有したときに、鉄系凝集剤の長期安定性がよくなる。
ここで、液状の鉄系凝集剤とは、固体状のポリ塩化第二鉄を水又は、酸性、アルカリ性水溶液で液状にしたもの、及び液状のポリ塩化第二鉄を水又は溶液で希釈したものを含む。
【0015】
本発明に係る凝集処理方法において、前記鉄系凝集剤には、硫酸イオン種が1又は2以上含有され、平均分画分子量500以上のポリ塩化第二鉄のポリマー化度を適正に調整するのが好ましい。
これによって、鉄系凝集剤のポリマー化度が適正に調整され、平均分画分子量が500以上の鉄系凝集剤中の鉄分子を増加させることができる。
また、硫酸イオン種としては、液状の鉄系凝集剤中で硫酸イオンを放出するものであれば、いずれも使用可能であるが、例えば硫酸鉄等の硫酸塩を用いることができる。なお、硫酸イオン種を適量、例えば鉄系凝集剤中の鉄のモル濃度を1としたときの硫黄(S)のモル比が0又は0を超えて1.0以下で含有したときに、鉄系凝集剤のポリマー化度が適正に調整される。
【0016】
本発明に係る凝集処理方法において、前記鉄系凝集剤には、ケイ酸化合物が含有され、前記鉄系凝集剤の凝集性能を向上することもできる。
これによって、鉄系凝集剤の使用量を少なくすることができ、経済的である。
ここで、ケイ酸化合物としては、重合ケイ酸、シリカ等を用いることができる。ケイ酸化合物は、架橋作用により、被処理液中の汚濁物質を凝集させることができる。なお、ケイ酸化合物中のケイ酸を適量、例えば鉄系凝集剤中の鉄のモル濃度を1としたときのケイ素(Si)のモル比が0又は0を超えて2.0以下で含有したときに、鉄系凝集剤の凝集性能が向上する。
【0017】
本発明に係る凝集処理方法において、前記鉄系凝集剤には、アルミニウム化合物が含有され、ポリ塩化第二鉄の鉄の一部をアルミニウムに代替させることによって、鉄の含有割合を調整するのが好ましい。
これによって、また、ポリ塩化第二鉄の鉄の一部をアルミニウムに代替させることによって、鉄の含有割合を制御することができる。水の浄化プロセスにおいて、処理水中へ鉄が溶出すると処理水が黄色になり、健康には害はないが水道水として不適当となる恐れがあるが、ポリ塩化第二鉄の鉄の一部をアルミニウムに代替させることによって、鉄の含有割合を抑制することにより、処理水への鉄の溶出量を抑制することができる。
【0018】
ここで、アルミニウム化合物としては、PACや硫酸バンド等のアルミニウム系凝集剤を用いることができる。
また、鉄系凝集剤中の鉄のモル濃度を1としたときのアルミニウム(Al)のモル比を適量、例えば0又は0を超えて1.0以下となるように含有したときに、ポリ塩化第二鉄中の鉄の処理水への溶出量が好適に抑制される。
【0019】
本発明に係る凝集処理方法において、前記被処理液の凝集処理直後のpHが5.8未満となる低pH条件で凝集処理をした後、アルカリを添加して前記被処理液のpHを5.8〜8.6に戻すのが好ましい。
本発明の鉄系凝集剤を使用して被処理液中の汚濁物質と有機物を同時に処理するには凝集処理直後のpHが5.8未満となる低pH条件で凝集処理をするのが凝集性能に最適である。鉄系凝集剤を入れると鉄系凝集剤の作用で幾分pHが低下するが、鉄系凝集剤を添加する前にpHを調整して酸性にしておき、鉄系凝集剤を添加し、撹拌処理した直後のpHを5.8未満とするのが好ましい。
【0020】
しかしながら、pH5.8未満の酸性の処理水は、浄水等の水質としては望ましくないので、凝集処理が終わった後はpHを5.8〜8.6の略中性領域に戻す必要がある。
ここで、被処理液のpHを5.8〜8.6の略中性に戻すには、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質が用いられる。浄水処理の場合には添加して人体に無害のアルカリ性物質であれば、いずれのアルカリ性物質の使用も可能である。
【0021】
さらに、本発明に係る凝集処理方法において、前記鉄系凝集剤のポリ塩化第二鉄は固体状又は液状であり、前記鉄系凝集剤も、固体状又は液状のいずれでもよい。固体状の場合は水等に溶解して本発明の鉄系凝集剤の特徴を有するものであれば本発明方法に適用できる。
前記鉄系凝集剤が固体状であれば、輸送に便利であり、液状の鉄系凝集剤の水分を蒸発させる等の手段により固体状にしても良いし、固体状の鉄系凝集剤を水等に溶解させて液状にしてもよく、用途に合わせて液状でも固体状のいずれも本発明方法に適用できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
続いて、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。本発明の一実施の形態に係る凝集処理方法に使用される鉄系凝集剤について、以下に説明する。まず、ポリマー化度をそれぞれ変化させて作成した複数のポリ塩化第二鉄液を調製し、更に、それぞれのポリ塩化第二鉄液に水を添加して、例えば、鉄のモル濃度が0.2mol/Lのポリ塩化第二鉄溶液とする。これらのポリ塩化第二鉄溶液中のポリ塩化第二鉄のポリマー化度を以下の方法により測定した。
ここで、予め含有する鉄モル濃度を0.2mol/Lとするのは、0.2mol/L程度の濃度が限外濾過を適正に行うことができるからである。
【0023】
次に、このポリ塩化第二鉄溶液を、ポア(孔)サイズ50nmのフィルターで濾過した後、平均分画分子量500、10000、300000、及び500000の各限外濾過膜を通過するポリ塩化第二鉄溶液を作成する。
そして、上記、平均分画分子量が500未満、10000未満、300000未満、500000未満、及びポアサイズ50nm未満の5つに分画されたポリ塩化第二鉄溶液を、高周波プラズマ発光分析装置により分析を行い、それぞれのポリ塩化第二鉄溶液中の鉄原子の濃度を測定する。
【0024】
ここで、上記の測定結果と、分画する前のポリ塩化第二鉄溶液中の鉄の濃度が0.2mol/Lであることから、ポリ塩化第二鉄溶液の平均分画分子量が500未満、平均分画分子量が500以上〜10000未満、平均分画分子量が10000以上〜300000未満、平均分画分子量が300000以上〜500000未満、平均分画分子量が500000以上〜ポアサイズが50nm未満、ポアサイズが50nm以上の6つの分画中のそれぞれの鉄の全鉄に対する割合は、計算により求められる。
【0025】
ここで、複数のポリ塩化第二鉄溶液の中から、平均分画分子量500以上のポリ塩化第二鉄の鉄が全鉄の20重量%以上であるポリ塩化第二鉄を含有する鉄系凝集剤(以下、ポリ塩化第二鉄凝集剤という)を選択した。
このポリ塩化第二鉄凝集剤は、黒褐色の液体であるが、経時安定性が悪く、時間の経過と共に、茶色や黄土色となり、コロイド状となるか、固液が分離した状態となる。しかしながら、適量のリン酸イオン種を添加して、含有させたリン酸イオン含有ポリ塩化第二鉄凝集剤は、前記したような状態にはならず、黒褐色の液体のままであり、ポリ塩化第二鉄凝集剤の安定化に寄与していることが分かる。
【0026】
ここで、適量とは、ポリ塩化第二鉄凝集剤がそれぞれの添加によって安定化する量であって、例えばポリ塩化第二鉄凝集剤中の鉄モル濃度を1としたときのリン(P)のモル比で0又は0を超えて0.3以下のリン酸イオン種を添加して含有させるのが好ましい。なお、リン酸イオン種の添加量が少なすぎる場合には、その効果を発揮することができず、また、添加量が多い場合には、ポリ塩化第二鉄がコロイド状になるのでよくない。
【0027】
また、ポリ塩化第二鉄凝集剤に硫酸イオン種を適量添加した硫酸イオン含有ポリ塩化第二鉄凝集剤は、平均分画分子量500以上のポリ塩化第二鉄のポリマー化度を適正に調整することができる。ここで、適量とは、平均分画分子量500以上のポリ塩化第二鉄のポリマー化度を適正に調整するのに適当な量であって、例えば鉄系凝集剤中の鉄のモル濃度を1としたときの硫黄(S)のモル比で0又は0を超えて1.0以下の硫酸イオン種を添加して含有させるのが好ましい。
【0028】
また、ポリ塩化第二鉄凝集剤にケイ酸化合物の適量を添加したケイ酸化合物含有ポリ塩化第二鉄凝集剤は、ポリ塩化第二鉄凝集剤の凝集性能を更に上昇し得る。ここで、適量とはポリ塩化第二鉄凝集剤の凝集性能を上昇させるのに適当な量であって、例えば、ポリ塩化第二鉄凝集剤中の鉄モル濃度を1としたときのケイ素(Si)のモル比で0又は0を超えて2.0以下のケイ酸化合物を添加して含有させるのが好ましい。
【0029】
あるいは、ポリ塩化第二鉄凝集剤にアルミニウム化合物の適量を添加したアルミニウム含有ポリ塩化第二鉄凝集剤は、ポリ塩化第二鉄の鉄の一部をアルミニウムに代替させることによって、鉄の含有割合を調整し、ポリ塩化第二鉄中の鉄の処理水への溶出量を好適に抑制することができる。ここで、適量とは、ポリ塩化第二鉄中の鉄の処理水への溶出量が好適に抑制されるのに適当な量であって、例えば、ポリ塩化第二鉄中の鉄のモル濃度を1としたときのアルミニウム(Al)のモル比で0又は0を超えて1.0以下を含有するのが好ましい。
【0030】
更に、ポリ塩化第二鉄凝集剤に、適量のリン酸イオン種、硫酸イオン種、ケイ酸化合物、アルミニウム化合物のいずれか2以上を添加して含有させた、例えば、リン酸イオン及びケイ酸化合物含有ポリ塩化第二鉄凝集剤、硫酸イオン及びケイ酸化合物含有ポリ塩化第二鉄凝集剤、硫酸イオン及びアルミニウム化合物含有ポリ塩化第二鉄凝集剤等も本発明方法に適用可能である。
【0031】
次に、本発明の一実施の形態に係る凝集処理方法について説明する。
被処理液に、硫酸を添加して、被処理液のpHを酸性とした後、前記したポリ塩化第二鉄凝集剤を添加して撹拌し、被処理液中の懸濁物質(汚濁物質)及び有機物を凝集させる。ここで、撹拌直後のpHを5.8未満とするためには、硫酸を追加して加えても良いし、ポリ塩化第二鉄凝集剤を増量してもよい。
その後、静置して、被処理液中の懸濁物質(汚濁物質)及び有機物を沈殿させる。
【0032】
この後、濾過することによって、懸濁物質と有機物を同時に除去することができる。この後、被処理液に水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリを加えて、被処理液のpHを5.8〜8.6とする。
また、これによって、凝集、沈殿、濾過といった一連の処理工程のための設備も非常に簡略になった。
【0033】
鉄系凝集剤としてポリ塩化第二鉄凝集剤の代わりにケイ酸化合物含有ポリ塩化第二鉄凝集剤を使用すると、ポリ塩化第二鉄凝集剤よりも、更に大きな浮遊物(フロック)を形成し、沈殿物の降下時間が短く、濁度除去性能も向上していることがわかる。
あるいは鉄系凝集剤としてリン酸イオン含有ポリ塩化第二鉄凝集剤、硫酸イオン含有ポリ塩化第二鉄凝集剤、アルミニウム含有ポリ塩化第二鉄凝集剤等を使用しても良い。
【0034】
(試験例1)
次に、図1を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る凝集処理方法に使用する鉄系凝集剤と他の凝集剤との濁度除去性能について説明する。ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る凝集処理方法に使用する鉄系凝集剤と他の凝集剤との濁度除去性能を比較したグラフである。
濁度除去性能の試験方法は、本実施の形態の鉄系凝集剤であるポリ塩化第二鉄凝集剤、並びに従来の凝集剤である塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、及び硫酸バンドについて行った。ポリ塩化第二鉄凝集剤として平均分画分子量500以上のポリ塩化第二鉄中の鉄を全鉄の20重量%以上含有するものを先に調製し、使用した。
以下に、試験方法を示す。
【0035】
(1)試験用被処理液として、水1Lに、結晶性・不完全結晶性粘土鉱物であるカオリン(AL2 O3 ,2SiO2 ・2H2 O)50mg及び炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )30mgを添加したものを用意した。
(2)上記試験用被処理液を硫酸水溶液、及び水酸化ナトリウム水溶液によって被処理水を所定のpHに調整した。ここで、試験用被処理液のpHは、沈殿処理終了後の試験用被処理液の上澄み液のpHが実質的に所定のpHとなるように予め、調整される。なお、試験用被処理液のpH調整後の濁度は、およそ35〜36である。
【0036】
(3)それぞれの凝集剤を、鉄又はアルミニウムの濃度が、0.2m mol/Lとなるように添加した。
(4)試験用被処理液を、撹拌機によって1分間に120回転の速さ(120rpm)で、5分間撹拌した。
(5)更に、40rpmで、10分間撹拌した。
(6)撹拌終了後、20分間静置し、生成したフロックを降下させ沈殿物を得た。
(7)試験用被処理液の上澄み液のpH、及び濁度を測定した。
【0037】
図1は、横軸に凝集処理終了後の試験用被処理液のpH、縦軸に凝集処理終了後の試験用被処理液の残留濁度を示している。図1に示すように、ポリ塩化第二鉄凝集剤(図中、「●」で示す)は、凝集処理終了後の試験用被処理液のpHが、4.2〜8.1付近において、良好な濁度除去性能を有することが分かった。ここで、塩化第二鉄凝集剤(図中、「■」で示す)、ポリ塩化アルミニウム凝集剤(図中、「▲」で示す)、及び硫酸バンド凝集剤(図中、「◆」で示す)は、それぞれ中性付近の濁度除去性能は良いが、酸性領域では良好な結果は得られなかった。
【0038】
(試験例2)
次に、前記したポリ塩化第二鉄凝集剤と他の凝集剤の酸性領域においての有機物除去性能について説明する。
有機物除去性能の試験方法は、ポリ塩化第二鉄凝集剤、並びに従来の凝集剤である塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、及び硫酸バンドについて行った。以下に、試験方法を示す。
なお、試験用被処理液として、全有機炭素が10mg/L含有するものを用いた。ポリ塩化第二鉄凝集剤については試験例1と同様のポリ塩化第二鉄凝集剤として平均分画分子量500以上のポリ塩化第二鉄中の鉄を全鉄の20重量%以上含有するものを予め、調製し、使用した。
【0039】
(1)全有機炭素が10mg/Lの標準溶液1Lに、硫酸水溶液を添加し、pH調整を行い、試験用被処理液とする。ここで、試験用被処理液のpHは、予め沈殿処理終了後の試験用被処理液の上澄み液のpHが約5.5となるように調整する。
(2)次に、それぞれの凝集剤を、鉄又はアルミニウムの濃度が、0.2m mol/Lとなるように添加した。
【0040】
(3)試験用被処理液を、撹拌機によって120rpmで、5分間撹拌した。
(4)更に、40rpmで、10分間撹拌した。
(5)撹拌終了後、20分間静置し、生成したフロックを降下させ沈殿物を得た。
(6)試験用被処理液の上澄み液のpH、及び全有機物炭素量を有機炭素分析装置により測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
表1に示すように、本発明に係るポリ塩化第二鉄凝集剤は、従来からの凝集剤である塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、及び硫酸バンドと比較して、優れた有機物の除去性能を有していることが分かる。
【0043】
上記試験例1から、本発明のポリ塩化第二鉄凝集剤を使用することで、pHが5.8未満の低pH領域においてもpH7前後の通常処理pH領域と同等の濁度除去性能を示していることがわかる。また、上記試験例2から本発明のポリ塩化第二鉄凝集剤が優れた有機物除去性能を有していることがわかる。
【0044】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の凝集処理方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態において、被処理液のpHを低く、つまり、酸性側にするために硫酸を用いているが、本発明の凝集処理方法に使用するポリ塩化第二鉄凝集剤を多く添加してもよい。
【0045】
また、本発明の凝集処理方法に使用する鉄系凝集剤は、リン酸イオン種、硫酸イオン種、ケイ酸化合物、及びアルミニウム化合物の1又は2以上含有してもよい。
また、酸性領域で凝集、沈殿物除去処理を行った後、被処理液のpHを中性に戻す必要がない場合は、凝集、沈殿物除去処理後、pH調整を行わず、次工程にそのまま進んでもよい。
【0046】
【発明の効果】
請求項1〜6記載の凝集処理方法においては、酸性領域でも優れた凝集性能を有し、限外濾過膜による平均分画分子量が500以上であるポリ塩化第二鉄分子の鉄が、全鉄の20重量%以上であるポリ塩化第二鉄を含有する鉄系凝集剤を被処理液に混合し、被処理液中の汚濁物質及び有機物を凝集させる凝集処理方法であって、被処理液の撹拌処理前のpHを酸性にするので、撹拌処理前の被処理液のpHが、有機物の除去に有利な酸性側に調整され、被処理液中の汚濁物質除去と有機物除去を同時に行うことができる。また、濁度除去と有機物除去が同時に行えるので、凝集、沈殿、濾過といった一連の処理工程も簡略化され、簡単な設備で行えることとなった。
【0047】
請求項2記載の凝集処理方法においては、鉄系凝集剤には、リン酸イオン種が1又は2以上含有され、ポリ塩化第二鉄を長期に渡って安定化しているので、鉄系凝集剤を長期に渡って使用することができ、経済的である。また、リン酸イオン種によって、鉄系凝集剤のポリマー化度が適正に調整され、平均分画分子量が500以上の鉄系凝集剤中の鉄分子を増加させることができる。
請求項3記載の凝集処理方法においては、鉄系凝集剤には、硫酸イオン種が1又は2以上含有され、平均分画分子量500以上のポリ塩化第二鉄のポリマー化度を適正に調整しているので、平均分画分子量が500以上の鉄系凝集剤中の鉄分子を増加させることができる。
【0048】
請求項4記載の凝集処理方法においては、鉄系凝集剤は、ケイ酸化合物が含有され、鉄系凝集剤の凝集性能を向上するので、凝集剤の添加量を少なくすることができ、経済的である。
請求項5記載の凝集処理方法においては、鉄系凝集剤には、アルミニウム化合物が含有され、ポリ塩化第二鉄の鉄の一部をアルミニウムに代替させることによって、鉄の含有割合を調整しているので、ポリ塩化第二鉄の鉄の含有割合を制御することができる。更に、処理水中への鉄の溶出量を抑制することができる。
【0049】
請求項6記載の凝集処理方法においては、被処理液の凝集処理直後のpHが5.8未満となる低pH条件で凝集処理をした後、アルカリを添加して被処理液のpHを5.8〜8.6に戻すので、浄水等の水質として望ましい処理液を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る凝集処理方法に使用するポリ塩化第二鉄を含有する鉄系凝集剤と他の凝集剤との濁度除去性能を比較したグラフである。
Claims (6)
- 限外濾過膜による平均分画分子量が500以上であるポリ塩化第二鉄分子の鉄が、全鉄の20重量%以上であるポリ塩化第二鉄を含有する鉄系凝集剤を被処理液に混合し、前記被処理液中の汚濁物質及び有機物を凝集させる凝集処理方法であって、
前記被処理液の撹拌処理前のpHを酸性にすることを特徴とする凝集処理方法。 - 請求項1に記載の凝集処理方法において、前記鉄系凝集剤には、リン酸イオン種が1又は2以上含有され、ポリ塩化第二鉄を長期に渡って安定化していることを特徴とする凝集処理方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の凝集処理方法において、前記鉄系凝集剤には、硫酸イオン種が1又は2以上含有され、平均分画分子量500以上のポリ塩化第二鉄のポリマー化度を適正に調整していることを特徴とする凝集処理方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の凝集処理方法において、前記鉄系凝集剤には、ケイ酸化合物が含有され、前記鉄系凝集剤の凝集性能を向上していることを特徴とする凝集処理方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の凝集処理方法において、前記鉄系凝集剤には、アルミニウム化合物が含有され、ポリ塩化第二鉄の鉄の一部をアルミニウムに代替させることによって、鉄の含有割合を調整していることを特徴とする凝集処理方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の凝集処理方法において、前記被処理液の凝集処理直後のpHが5.8未満となる低pH条件で凝集処理をした後、アルカリを添加して前記被処理液のpHを5.8〜8.6に戻すことを特徴とする凝集処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003104364A JP2004305941A (ja) | 2003-04-08 | 2003-04-08 | 凝集処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003104364A JP2004305941A (ja) | 2003-04-08 | 2003-04-08 | 凝集処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004305941A true JP2004305941A (ja) | 2004-11-04 |
Family
ID=33467215
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003104364A Pending JP2004305941A (ja) | 2003-04-08 | 2003-04-08 | 凝集処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004305941A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102515322A (zh) * | 2011-11-29 | 2012-06-27 | 北京工业大学 | 一种强化低温低浊度水处理的复合混凝剂制备方法 |
JP2014104458A (ja) * | 2012-11-30 | 2014-06-09 | Taki Chem Co Ltd | 排水処理方法 |
JP2014104456A (ja) * | 2012-11-30 | 2014-06-09 | Taki Chem Co Ltd | 排水処理方法 |
-
2003
- 2003-04-08 JP JP2003104364A patent/JP2004305941A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102515322A (zh) * | 2011-11-29 | 2012-06-27 | 北京工业大学 | 一种强化低温低浊度水处理的复合混凝剂制备方法 |
JP2014104458A (ja) * | 2012-11-30 | 2014-06-09 | Taki Chem Co Ltd | 排水処理方法 |
JP2014104456A (ja) * | 2012-11-30 | 2014-06-09 | Taki Chem Co Ltd | 排水処理方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5364298B2 (ja) | 分散剤含有水の処理方法 | |
JP7166795B2 (ja) | Cod成分を含む廃水の処理方法 | |
JP2007209886A (ja) | フッ素除去剤、それを用いたフッ素含有排水の処理方法及びその処理装置 | |
JP2010247057A (ja) | 微粒子化法と膜除去法との組み合せによる水の浄化方法。 | |
CN106477695B (zh) | 复合絮凝剂、其制备方法以及油田污水处理方法 | |
JP6565268B2 (ja) | 無機炭素含有水の処理方法及び装置 | |
JP2004305941A (ja) | 凝集処理方法 | |
KR101842094B1 (ko) | 알루미늄규산나트륨을 포함하는 수처리용 응집제 및 pH 조절제 | |
JP2005125153A (ja) | フッ素含有排水の処理方法及び処理装置 | |
KR101088148B1 (ko) | 콜로이드 입자의 전기적인 중화속도 조절을 이용한 수처리 방법 | |
JP4010976B2 (ja) | 鉄系凝集剤 | |
JP2010172882A (ja) | 凝集剤及び汚濁廃水の処理方法 | |
KR101700589B1 (ko) | 마그네슘-세리사이트 응집제 제조방법 및 이를 이용한 오염수 처리방법 | |
Jiang | Development of coagulation theory and new coagulants for water treatment: its past, current and future trend | |
JP2010075928A (ja) | フッ素含有排水の処理方法及び処理装置 | |
JP2021186793A (ja) | 浄水処理方法及び浄水処理装置 | |
JP2004290967A (ja) | 排水の処理方法 | |
Zouboulis et al. | Inorganic pre-polymerized coagulants: current status and future trends | |
WO2023181430A1 (ja) | 金属塩凝集剤 | |
KR20020092619A (ko) | 슬래그 및 비산재를 이용한 상수, 용수 및 폐수의물리화학적 응집 ㆍ응결 처리 방법 | |
JPH1043770A (ja) | 懸濁粒子を含む排水の処理方法 | |
Pommerenk et al. | Effects of prefluoridation on removal of particles and organic matter | |
JP6798867B2 (ja) | 排水処理方法及び排水処理装置 | |
Aryal et al. | Effect of suspended solids in secondary wastewater effluent on DOC removal by enhanced coagulation | |
JP3520112B2 (ja) | 水処理方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051025 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Effective date: 20060804 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Effective date: 20070416 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071113 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20071127 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080325 |