JP2004304144A - 磁気制御装置および磁気制御方法ならびに磁気スイッチング装置および磁気スイッチング方法ならびに磁気記憶装置および磁気記憶方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 新規な原理に基づいて電界効果により強磁性転移を容易に制御することができる磁気制御装置および磁気制御方法を提供する。
【解決手段】 強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とを、それらの間で電子の授受が可能なように結合させ、第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】 強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とを、それらの間で電子の授受が可能なように結合させ、第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、磁気制御装置および磁気制御方法ならびに磁気スイッチング装置および磁気スイッチング方法ならびに磁気記憶装置および磁気記憶方法に関し、特に、新規な原理に基づいたものである。
電界効果トランジスタ(FET)の動作では、電界によりゲート直下の活性領域(チャネル領域)の電子密度を制御することによって、この活性領域における伝導性を制御している。
近年、電界効果によって電子系の相そのものを転移させることによって、機能性を発現させようという研究が行われてきた。例えば、本発明者は、ある種の量子ドットを集合させた量子ドットアレーにおいて、モット金属−絶縁体転移を電界効果によって制御し得ることを理論的に示してきた(非特許文献1、2、3、4)。一方で、不純物散乱が激しい層と高純度で不純物散乱が非常に少ない層との結合系に電界を印加することによって、その系の伝導性を制御することができることが示されている(非特許文献5、6)。
R.Ugajin,J.Appl.Phys.76,2833(1994) R.Ugajin,Physica E 1,226(1997) R.Ugajin,Phys.Rev.B 53,10141(1996) R.Ugajin,J.Phys.Soc.Jpn.65,3952(1996) H.Sakaki,Jpn.J.Appl.Phys.21,L381(1982) K.Hirakawa,H.Sakaki,and J.Yoshino,Phys.Rev.Lett.54,1279(1985)
近年、電界効果によって電子系の相そのものを転移させることによって、機能性を発現させようという研究が行われてきた。例えば、本発明者は、ある種の量子ドットを集合させた量子ドットアレーにおいて、モット金属−絶縁体転移を電界効果によって制御し得ることを理論的に示してきた(非特許文献1、2、3、4)。一方で、不純物散乱が激しい層と高純度で不純物散乱が非常に少ない層との結合系に電界を印加することによって、その系の伝導性を制御することができることが示されている(非特許文献5、6)。
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一方、最近、ナノテクノロジーの一部として、電子のスピンを積極的に利用したデバイスが注目を浴びてきている。このように量子レベルで電子のスピン状態を操作する技術は、大きな可能性を持っている。
電子のスピンに関連して、特殊な格子上の電子系においてフラットなバンド(一電子状態が縮退していてバンド幅がゼロ)が形成され、電子密度が特定の値をとる場合、基底状態が強磁性を示す、つまりトータル・スピンが有限の値を持つ基底状態が出現することが、厳密に証明されている(非特許文献7、8、9)。このように、電子間相互作用の効果によって、強磁性が引き起こされ得ることが確立してきた(非特許文献10)。
そして、この格子構造を、半導体量子ドットのアレーにより実現すれば、電子系によるフラットバンド強磁性を発現する材料を実現することができるであろうと期待されている(非特許文献11、12)。
E.H.Lieb,Phys.Rev.Lett.62,1201(1989) A.Mielke,J.Phys.A:Math.Gen.24,L7(1991) H.Tasaki,Phys.Rev.Lett.69,1608(1992) 草部浩一、青木秀夫、「多体電子論I強磁性」、東大出版会、 1998年 H.Tamura,K.Shiraishi,H.Takayanagi,Jpn.J.Appl.Phys.39, L241(2000) 田村浩之、木村敬、高柳英明、白石賢二、固体物理36,689(2001)
そして、この格子構造を、半導体量子ドットのアレーにより実現すれば、電子系によるフラットバンド強磁性を発現する材料を実現することができるであろうと期待されている(非特許文献11、12)。
E.H.Lieb,Phys.Rev.Lett.62,1201(1989) A.Mielke,J.Phys.A:Math.Gen.24,L7(1991) H.Tasaki,Phys.Rev.Lett.69,1608(1992) 草部浩一、青木秀夫、「多体電子論I強磁性」、東大出版会、 1998年 H.Tamura,K.Shiraishi,H.Takayanagi,Jpn.J.Appl.Phys.39, L241(2000) 田村浩之、木村敬、高柳英明、白石賢二、固体物理36,689(2001)
金属伝導性も含めて強磁性を議論することができるモデルが田崎により提案されている(非特許文献13)。
H.Tasaki,Phys.Rev.Lett.75,4678(1995)
H.Tasaki,Phys.Rev.Lett.75,4678(1995)
この田崎モデルの概要を説明する。2Nサイトからなるリングを考える。図39にこのリングの一部を示す。このリングのp番目の格子点にスピンσ=↑,↓の電子を生成する演算子
を定義する。この量子系のハミルトニアン
は以下のように定義される。
ここで、〈p,q〉はpとqの対を意味する。また、
を導入した。さて、格子の構造を決定するのがトランスファーtp,q である。ここでは、
を採用する。田崎の原著論文(非特許文献9)では、より一般化された形で与えられているが、本明細書において説明する例では、s、t、Uがモデルパラメータである。U=0の場合のバンドについて説明しておくと
である。このハバード系にN個の電子を詰めたとき、U/s、t/sが充分に大きいならば、基底状態がスピンの揃った状態になることが、田崎により証明されている。s=0のとき、フラットバンド強磁性が発現する。
なお、量子ドットのオンサイト・クーロン・エネルギーの見積りが本発明者によりなされている(非特許文献14)。
R.Ugajin,Phys.Rev.B 59,4952(1999)
R.Ugajin,Phys.Rev.B 59,4952(1999)
また、Al0.5 Ga0.5 As/GaAsによる結合量子井戸における対称状態と反対称状態とのエネルギー差が見積もられている(非特許文献15)。
H.Kawai,J.Kaneko,and N.Watanabe,J.Appl.Phys.58,1263(1985)
H.Kawai,J.Kaneko,and N.Watanabe,J.Appl.Phys.58,1263(1985)
メモリ応用など、多くの応用を持つ強磁性転移に関しては、電界効果によって相制御が実現されることが望まれる。しかしながら、その具体的な方法については未だ提案されていないのが実情である。
従って、この発明が解決しようとする課題は、新規な原理に基づいて電界効果により強磁性転移を容易に制御することができる磁気制御装置および磁気制御方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記の電界効果による強磁性転移の制御を利用した磁気スイッチング装置および磁気スイッチング方法ならびに磁気記憶装置および磁気記憶方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記の電界効果による強磁性転移の制御を利用した磁気スイッチング装置および磁気スイッチング方法ならびに磁気記憶装置および磁気記憶方法を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明の第1の発明は、
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合しており、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御する
ことを特徴とする磁気制御装置である。
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合しており、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御する
ことを特徴とする磁気制御装置である。
この発明の第2の発明は、
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合したものを用い、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御するようにした
ことを特徴とする磁気制御方法である。
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合したものを用い、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御するようにした
ことを特徴とする磁気制御方法である。
この発明の第3の発明は、
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合しており、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気スイッチングを行う
ことを特徴とする磁気スイッチング装置である。
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合しており、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気スイッチングを行う
ことを特徴とする磁気スイッチング装置である。
この発明の第4の発明は、
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合したものを用い、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気スイッチングを行うようにした
ことを特徴とする磁気スイッチング方法である。
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合したものを用い、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気スイッチングを行うようにした
ことを特徴とする磁気スイッチング方法である。
この発明の第5の発明は、
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合しており、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気記憶を行う
ことを特徴とする磁気記憶装置である。
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合しており、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気記憶を行う
ことを特徴とする磁気記憶装置である。
この発明の第6の発明は、
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合したものを用い、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気記憶を行うようにした
ことを特徴とする磁気記憶方法である。
強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合したものを用い、
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、第1の層および第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気記憶を行うようにした
ことを特徴とする磁気記憶方法である。
この発明においては、典型的には、強磁性を発現する電子系を有する第1の層は、フラットバンド強磁性を発現する電子系を有する。ただし、実際の製造プロセスにおいては誤差やばらつきが生じることが不可避であり、フラットバンド強磁性の発現に必要な条件を完全に満たす構造を形成することは一般に困難であるが、実用的には、第1の層の一電子状態の分散がゼロ(フラットバンド)でなくとも、常磁性を発現する電子系を有する第2の層の一電子状態の分散に比べて充分に小さければ、フラットバンド強磁性と同等の強磁性の発現が可能である。第2の層は、最も簡便なものとしては、二次元電子ガスを有するものである。典型的には、第1の層と第2の層との間にトンネルバリアを有し、このトンネルバリアを介して第1の層と第2の層とが量子力学的に結合している。
第1の層および第2の層は、同種の材料のものであっても、異種材料のものであってもよい。これらの材料としては、基本的にはどのような種類のものを用いてもよいが、具体的には、例えば半導体(SiやGeなどの元素半導体、GaAs、GaP、GaNなどのIII−V族化合物半導体、ZnSeなどのII−VI族化合物半導体など)である。典型的には、第1の層および第2の層の両方あるいは第1の層だけに、所定の配置で形成された複数の量子ドット、特に化合物半導体ヘテロ接合による量子ドットからなる量子ドットアレーが形成される。この化合物半導体ヘテロ接合としては、例えば、GaAs/AlGaAsやInGaAs/AlGaAsなどを用いることができる。第1の層がこのような量子ドットアレーを有する場合、電界の強度の変化に応じて、第1の層および第2の層からなる系における電子系のスピン状態は複数回の転移、言い換えると、振動を起こし得る。
第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界は、第1の層と第2の層との界面の全体を貫通して印加してもよいし、第1の層と第2の層との界面を部分的に貫通して印加してもよい。後者の場合は電界が部分的な領域にしか印加されないため、電界強度が空間的に一様でなく、電界強度が空間的に変化している、すなわち電界強度の空間変調があると言える。この電界を印加するためには、一般的にはこの第1の層と第2の層との結合構造に電界印加用の電極が設けられる。例えば、第1の層および第2の層の少なくとも一方、典型的には両方に電極が設けられる。この場合、電極の電気的絶縁のために、この電極は絶縁膜を介して設けられる。第1の層と第2の層との界面の全体を貫通して電界を印加する場合、電極は第1の層と第2の層との結合構造の両面の全体に互いに対向して設けられる。また、第1の層と第2の層との界面を部分的に貫通して電界を印加する場合、電極は第1の層と第2の層との結合構造の両面に部分的に互いに対向して設けられる。
上述のように構成されたこの発明によれば、強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層との結合構造に、第1の層と第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、これらの第1の層および第2の層における電子のスピン、より詳細には系の基底状態のトータル・スピンを制御することができる。
この発明によれば、第1の層および第2の層からなる系の電子系を、強磁性を発現する状態から常磁性を発現する状態まで自在に制御することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1にこの発明の第1の実施形態による磁気制御装置の要部を模式的に示す。図1に示すように、この第1の実施形態においては、田崎モデルを拡張し、田崎モデルの一次元鎖(第1鎖)を第1層(強磁性層)とし、これにもう一つの一次元鎖(第2鎖)を第2層(常磁性層)として結合した構造(二重鎖)を考える。
図1にこの発明の第1の実施形態による磁気制御装置の要部を模式的に示す。図1に示すように、この第1の実施形態においては、田崎モデルを拡張し、田崎モデルの一次元鎖(第1鎖)を第1層(強磁性層)とし、これにもう一つの一次元鎖(第2鎖)を第2層(常磁性層)として結合した構造(二重鎖)を考える。
すなわち、田崎モデルの一次元鎖を第1鎖としたとき、第2鎖のp番目の格子点にスピンσ=↑,↓の電子を生成する演算子
を定義する。この量子系のハミルトニアン
は以下のように与えられる。
ただし、
を導入した。第1鎖、第2鎖とも2Nサイトであるから、この結合系の総サイト数は4Nとなる。第2鎖はトランスファーt1 、オンサイト電子間相互作用U1 のハバード鎖であり、第1鎖と第2鎖との間にトランスファーt3 が存在する。t3 >0の場合、第1鎖と第2鎖とは量子力学的な結合(トンネル結合)を持つ。φは二つの鎖の間の平均的ポテンシャル差として導入されており、このパラメータが、この二つの鎖を貫く電界に比例することになる。φをパラメータとして、系の量子状態がどのように変化していくかが問題となる。
平均場近似のもと、σスピン電子の演算子のみを含む部分のハミルトニアン
を導入する。
と
とを配列しなおし、
によって書き下すことにより、
のように書くことができる。このハミルトニアンを数値対角化し、エネルギー固有値
と波動関数
とを求める。後述の方法(化学ポテンシャルの推定方法)を用い、σスピン電子の数
に応じた化学ポテンシャル(物理的な実体ではない)
を決定する。
の
個の電子系における基底状態エネルギーとして、
を採用し、また
を計算する。ここで、f(x)は後述のフェルミ分布関数であり、パラメータβに依存している。この量
から
が決定される。
↑スピン電子の計算を行った後、↓スピン電子に関する計算を行い、これを収束するまで繰り返すことにより、必要なデータが得られる。基底状態の総エネルギーとして、
を採用する。ここで考えているN電子系(第1鎖、第2鎖の全体で合計4N個存在する状態のうち1/4 が電子により占有されている状態(1/4フィルド(filled) という))では、N↑+N↓=Nを満たす組み合わせが存在する。そのそれぞれについて、Eg を計算し比べることで、最もエネルギーが低い状態がスピンの揃った状態かどうかを決定する。
以下に示す数値計算ではN=20とし、周期的境界条件を用いることにする。全サイト数は4N=80である。t=20、U=100、t1 =20、t3 =1、U1 =10を固定する。また、フェルミ分布関数中のパラメータはβ=0.1を利用した。
図2に、s=0とした場合の基底状態エネルギーをそれぞれのスピン状態、N↓=0,2,4,…,10に関して計算した結果を示す。これはフラットバンド強磁性に対応する。図3には
、図4には
、図5には
、図6には
を示した。
図7では、s=1の場合について、基底状態エネルギーをそれぞれのスピン状態、N↓=0,2,4,…,10に関して計算した結果を示す。これは、金属的伝導性を有する場合である。図8には
、図9には
、図10には
、図11には
を示した。
図2、図7の各々について、φが小さい場合(この例の場合、概ね−60≦φ≦−20の範囲)、N↓=0の強磁性的状態は最もエネルギーが高く、系の基底状態とはなり得ない。実際は、N↓=10のトータル・スピンがゼロの状態が最もエネルギーが小さく、系は正常磁性を示す。φが増大するに従って、エネルギー準位の並びが逆転し、N↓=0の強磁性的状態が最低エネルギーとなる。従って、系は強磁性を示す。以上の解析から、第1鎖および第2鎖からなる系に印加された電界によるポテンシャル差により、この系の強磁性転移を制御することができることが分かる。
図12および図13にこの磁気制御装置の具体的な構造例を示す。ここで、図12は斜視図、図13は第1鎖および第2鎖の量子ドットの配列方向に沿った断面図である。この例は、第1鎖、第2鎖とも、後述の図14に示す量子ドットの二重リング系による量子ドットアレーを用いて構成する場合であり、上で解析した一次元鎖モデルをそのまま適用することができる系である。各量子ドットが各格子点に対応する。非特許文献11、12の田村らの提案によれば、量子ドットアレーを適切に構成することで、アレーの層がフラットバンド強磁性を示すようにすることができるとされている。この場合、第1鎖の量子ドットアレーをフラットバンド強磁性層とし、常磁性層としての第2鎖の量子ドットアレーとトンネルバリアを介してトンネル結合させることにより磁気制御装置を構成する。
図12および図13に示すように、この磁気制御装置においては、第1層としての量子ドットアレー11と第2層としての量子ドットアレー12とがトンネルバリア層13を介して量子力学的に結合(トンネル結合)して形成されている。量子ドットアレー11、12の各量子ドットは化合物半導体ヘテロ接合により形成されている。そして、量子ドットアレー11の上面の全面に絶縁膜14を介して電極15が形成され、量子ドットアレー12の裏面の全面に絶縁膜16を介して電極17が形成されている。これらの電極15、17は導電材料、特に金属膜により形成される。この場合、これらの電極15、17間に電圧を印加することにより、量子ドットアレー11、12を貫通するように電界を均一に印加することができるようになっている。
図14に第1層としての量子ドットアレー11における量子ドットの配置例を示す。一次元鎖からなるこの量子ドットアレー11は、それぞれ点線で結んだ内輪および外輪の量子ドットにより構成されている。この配置例ではN=8であるが、これに限定されないことは言うまでもない。量子ドットアレー11においては、円柱状の井戸層11aが障壁層11bにより囲まれた構造によって各量子ドットが形成されている。図15に各量子ドット間のトランスファーを示し、外輪の量子ドット間のトランスファーは0、内輪の量子ドット間のトランスファーはt、外輪の量子ドットと内輪の量子ドットとの間のトランスファーは√2tである。ここで、√2tは図39における√2(s+t)においてs=0としたものである。これらのトランスファーの設定は、図14において、内輪の最近接量子ドット間の距離および外輪の最近接量子ドット間の距離を調整することにより容易に行うことができる。
第2層としての量子ドットアレー12においても、第1層としての量子ドットアレー11と同様に、円柱状の井戸層12aが障壁層12bにより囲まれた構造により各量子ドットが形成されている。これらの量子ドットの配置も、第1層としての量子ドットアレー11における量子ドットの配置と同一であるが、第2層が常磁性層であることに対応して、図15のトランスファー√2tに対応するトランスファーがゼロで、内輪の最近接量子ドット間のトランスファーtのみ存在するように、量子ドット間の障壁層12bの障壁高さおよび/または障壁幅が選ばれている。
材料の具体例を挙げると、量子ドットアレー11、12の井戸層11a、12aとしてアンドープGaAs、障壁層11b、12bとしてアンドープAlx Ga1-x As(0<x≦1)、トンネルバリア層13としてアンドープAly Ga1-y As(0<y≦1)、絶縁膜14、16としてアンドープAlz Ga1-z As、電極15、17としてAl膜を用いる。量子ドットアレー11、12の井戸層11a、12aとしてアンドープInv Ga1-v As(0≦v≦1)、障壁層11b、12bとしてアンドープAlw Ga1-w As(0<w≦1)を用いてもよい。第2層としての量子ドットアレー12において、図15のトランスファー√2tに対応するトランスファーをゼロ、内輪の最近接量子ドット間にはトランスファーtが存在するようにする場合には、例えば、井戸層12aとしてアンドープInv Ga1-v As(0≦v≦1)を用い、トランスファーをゼロにする部分の障壁層12bとしてアンドープAl0.5 Ga0.5 Asを用い、トランスファーをtにする部分の障壁層12bとしてアンドープAl0.2 Ga0.8 Asを用いることができる。絶縁膜14、16としてはSiO2 膜などを用いてもよい。
この磁気制御装置は例えば次のようにして製造することができる。すなわち、まず、図示省略した所定の基板、例えば半絶縁性GaAs基板上に絶縁膜16として例えばアンドープAlz Ga1-z As層を成長させ、続いてその上に井戸層12aの形成用の層として例えばアンドープGaAs層を成長させる。次に、このアンドープGaAs層上に例えばSiO2 膜を形成し、これを井戸層12aに対応する形状にパターニングする。次に、このSiO2 膜をエッチングマスクとしてアンドープGaAs層を例えば反応性イオンエッチング(RIE)などによりパターニングして井戸層12aを形成する。
次に、基板全面に再び例えばSiO2 膜を形成した後、このSiO2 膜を所定形状にパターニングして、トランスファーをゼロとする量子ドット間の部分のみ露出し、他の部分はこのSiO2 膜および先に形成したSiO2 膜により覆われるようにする。次に、これらのSiO2 膜を成長マスクとしてこれらのSiO2 膜により覆われていない部分に例えばアンドープAlx Ga1-x As層を選択成長させて埋め込む。ここで、このアンドープAlx Ga1-x As層のAl組成は次に選択成長させるアンドープAlx Ga1-x As層のAl組成よりも大きく選ばれる。この後、成長マスクとして用いたSiO2 膜をエッチング除去する。
次に、基板全面に再び例えばSiO2 膜を形成した後、このSiO2 膜を所定形状にパターニングして、井戸層12aおよび選択成長された上記のアンドープAlx Ga1-x As層以外の部分が露出し、他の部分はこのSiO2 膜により覆われるようにする。次に、このSiO2 膜を成長マスクとしてこのSiO2 膜により覆われていない部分に例えばアンドープAlx Ga1-x As層を選択成長させて埋め込む。この後、成長マスクとして用いたSiO2 膜をエッチング除去する。以上により量子ドットアレー12が形成される。
次に、量子ドットアレー12上にトンネルバリア層13として例えばアンドープAly Ga1-y As層を成長させ、続いてその上に井戸層11aの形成用の層として例えばアンドープGaAs層を成長させる。次に、このアンドープGaAs層上に例えばSiO2 膜を形成し、これを井戸層11aに対応する形状にパターニングする。次に、このSiO2 膜をエッチングマスクとしてアンドープGaAs層を例えばRIEなどによりパターニングして井戸層11aを形成する。
次に、このSiO2 膜を成長マスクとしてこのSiO2 膜により覆われていない部分に例えばアンドープAlx Ga1-x As層を選択成長させて埋め込む。この後、成長マスクとして用いたSiO2 膜をエッチング除去する。以上により量子ドットアレー11が形成される。
次に、量子ドットアレー11上に絶縁膜14として例えばアンドープAlz Ga1-z As層を成長させる。次に、この絶縁膜14上に例えばAl膜を形成して電極15を形成する。次に、基板を裏面研磨などにより除去する。この後、絶縁膜16上に同様にして電極17を形成する。
以上により、目的とする磁気制御装置が製造される。
上記の化合物半導体層の成長方法としては、有機金属化学気相成長(MOCVD)法や分子線エピタキシー(MBE)法などを用いることができる。
以上により、目的とする磁気制御装置が製造される。
上記の化合物半導体層の成長方法としては、有機金属化学気相成長(MOCVD)法や分子線エピタキシー(MBE)法などを用いることができる。
図12および図13に示す磁気制御装置の構造例では、常磁性層も量子ドットアレーにより構成しているが、常磁性層としては、トンネルバリアにより量子ドットアレーからなる強磁性層とトンネル結合した金属的な二次元電子系を用いることができ、この場合もこの二層系に印加する電界により強磁性転移を制御することができる。図16および図17にそのような構造例を示す。ここで、図16は斜視図、図17は第1鎖の量子ドットの配列方向に沿った断面図である。
図16および図17に示すように、この構造例においては、図12および図13に示す構造例における量子ドットアレー12の代わりに、アンドープGaAs層18とn型Alu Ga1-u As層19(0<u≦1)とのヘテロ接合からなる変調ドープ構造が用いられる。この変調ドープ構造においては、n型Alu Ga1-u As層19から供給された電子によりこのn型Alu Ga1-u As層19との界面近傍におけるアンドープGaAs層18に二次元電子ガス20が形成されている。
上記以外のことは図12および図13に示す構造例と同様であるので、説明を省略する。
上記以外のことは図12および図13に示す構造例と同様であるので、説明を省略する。
次に、フラットバンド強磁性層である量子ドットアレー11の各パラメータの具体例を挙げる。
量子ドット、すなわち井戸層11aの大きさを半径Rとすると、オンサイト・クーロン・エネルギーは
程度と見積もられる(非特許文献14)。e=1.6×10-19 C、ε0 =8.85×10-12 F/mであり、比誘電率としてGaAsの値εr =10.9を用いると、
が得られる。量子ドットの直径R=5(nm)に対して、オンサイト・クーロン・エネルギーは26(meV)になる。一方、トランスファーに関しては、WKB法による近似を用いると、
のように記述される。ここで、dが量子ドット間のバリア幅であり、V(x)というポテンシャルをエネルギーEの電子がトンネル効果により遷移するものと考える。me は電子の質量である。簡単のため、V(x)−E=V0 とする。従って、
が得られる。例えば非特許文献15より、Al0.5 Ga0.5 As/GaAsによる結合量子井戸において、バリア幅d=2nmのときに、対称状態と反対称状態とのエネルギー差が24meV程度であると報告されている。このエネルギーの半分がトランスファーになるので、|t(d=2nm)|=12meVと考えることができる。また、|t(d=3nm)|=6meVを読み取ることができる。これらのデータから
の関数形で近似すると、|t0 |=48meV、α=0.7×109 m-1となる。いまR=5nmの量子ドットを採用し、そのクーロン・エネルギーがU0 =26meVであるとする。このとき、このモデルで|U/t|=5を実現するためには、
から決定されたdの間隔を持って、量子ドットを配置すればよい。この場合でいうと、d=3.175nmである。また、√2tのトランスファーを実現するためには、
から決定するので、d=2.68nmとなる。
量子ドット、すなわち井戸層11aの大きさを半径Rとすると、オンサイト・クーロン・エネルギーは
ここで、先に用いた化学ポテンシャルの推定方法について説明する。
有限温度の平均場近似において、期待値を求める際、化学ポテンシャルμの関数として占有電子数が得られているため、この逆関数を決定する必要が出てくる。ここでは、βが温度の逆数であるという物理的な対応ではない。平均場近似において、状態の縮退を避けるために導入された仮想的な揺らぎ幅を導入するために使われる。エネルギー準位をEn としたとき、フェルミ分布関数の
を導入しておく。占有している電子数がNのとき、
が成り立つ。この関係をμについて解く必要が生じる。(25)式を微分すると、
が成り立つことに注意する。ある化学ポテンシャルの値μ1 から始めて、これに対応するN1 を計算し、続いて
を決定する。この値を用いて、
を用いると、より良いμになると期待される。実際の計算では、占有する電子数が良く再現されるよう、複数回のイタレーション(iteration)を行っている。
有限温度の平均場近似において、期待値を求める際、化学ポテンシャルμの関数として占有電子数が得られているため、この逆関数を決定する必要が出てくる。ここでは、βが温度の逆数であるという物理的な対応ではない。平均場近似において、状態の縮退を避けるために導入された仮想的な揺らぎ幅を導入するために使われる。エネルギー準位をEn としたとき、フェルミ分布関数の
以上のように、この第1の実施形態によれば、フラットバンド強磁性を発現する強磁性層としての第1鎖と常磁性を発現する常磁性層としての第2鎖とをトンネル結合させ、この二層系の界面に垂直な電界を印加することによって、この二層系における強磁性をフラットバンド強磁性から常磁性まで自在に制御することができる。
この電界による強磁性転移の制御は、電界による磁気スイッチングあるいは磁気記憶に適用することができる。
この磁気制御装置は、スピン状態を制御するという意味でスピン制御装置であり、スピントロニクス素子の一種である。
この電界による強磁性転移の制御は、電界による磁気スイッチングあるいは磁気記憶に適用することができる。
この磁気制御装置は、スピン状態を制御するという意味でスピン制御装置であり、スピントロニクス素子の一種である。
次に、この発明の第2の実施形態による磁気制御装置について説明する。
この第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、田崎モデルを拡張し、田崎モデルの一次元鎖(第1鎖)を第1層(強磁性層)とし、これにもう一つの一次元鎖(第2鎖)を第2層(常磁性層)として結合した構造(二重鎖)を考える。
この第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、田崎モデルを拡張し、田崎モデルの一次元鎖(第1鎖)を第1層(強磁性層)とし、これにもう一つの一次元鎖(第2鎖)を第2層(常磁性層)として結合した構造(二重鎖)を考える。
すなわち、田崎モデルの一次元鎖を第1鎖としたとき、第2鎖のp番目の格子点にスピンσ=↑,↓の電子を生成する演算子
を定義する。ここで考える量子系のハミルトニアン
は以下のように与えられる。
ただし、
を導入した。第1鎖、第2鎖とも2Nサイトであるから、この結合系の総サイト数は4Nとなる。第2鎖はトランスファーt1 、オンサイト電子間相互作用U1 のハバード鎖であり、第1鎖と第2鎖との間にトランスファーt3 が存在する。t3 >0の場合、第1鎖と第2鎖とは量子力学的な結合(トンネル結合)を持つ。この場合、φは、1番目から2M番目のサイトまで、二つの鎖の間の平均的ポテンシャル差として導入されており、このパラメータが、この1番目から2M番目のサイトまでを貫く電界に比例することになる。φをパラメータとして、系の量子状態がどのように変化していくかが問題となる。M=Nの場合、全系に電界が印加されることになり、第1の実施形態における、電界効果による強磁性転移を記述することになるが、ここではM<Nの場合を考える。この場合、電子系へ部分的に電界が印加されていると考えることができ、例えば電極の存在する領域の面積がMに比例していると考えることができる。
平均場近似のもと、σスピン電子の演算子のみを含む部分のハミルトニアン
を導入する。
と
とを配列しなおし、
によって書き下すことにより、
のように書くことができる。このハミルトニアンを数値対角化し、エネルギー固有値
と波動関数
とを求める。先に説明した化学ポテンシャルの推定方法を用い、σスピン電子の数
に応じた化学ポテンシャル
を決定する。
の
個の電子系における基底状態エネルギーとして、
を採用し、また
を計算する。ここで、f(x)は既述のフェルミ分布関数であり、パラメータβに依存している。この量
から
が決定される。
↑スピン電子の計算を行った後、↓スピン電子に関する計算を行い、これを収束するまで繰り返すことにより、必要なデータが得られる。基底状態の総エネルギーとして、
を採用する。ここで考えているN電子系では、N↑+N↓=Nを満たす組み合わせが存在する。そのそれぞれについて、Eg を計算し比べることで、最もエネルギーが低い状態がスピンの揃った状態かどうかを決定する。
以下に示す数値計算ではN=20とし、周期的境界条件を用いることにする。全サイト数は4N=80である。t=20、U=80、t1 =20、t3 =1、U1 =20を固定する。また、フェルミ分布関数中のパラメータはβ=0.1を利用した。
図18に、s=0、M=Nとした場合の基底状態エネルギーをそれぞれのスピン状態、N↓=0,2,…,10に関して計算した結果を示す。これはフラットバンド強磁性に対応する。図19に、s=1、M=Nの場合について、基底状態エネルギーをそれぞれのスピン状態に関して計算した結果を示す。これは金属的伝導性を有する場合に対応する。
図18、図19の各々について、φが小さい場合(この例の場合、概ね−60≦φ≦−20の範囲)、N↓=0の強磁性的状態は最もエネルギーが高く、系の基底状態とはなり得ない。実際は、N↓=10のトータル・スピンがゼロの状態が最もエネルギーが小さく、系は正常磁性を示す。φが増大するに従って、エネルギー準位の並びが逆転し、N↓=0の強磁性的状態が最低エネルギーとなる。従って、系は強磁性を示す。以上の解析から、第1鎖および第2鎖からなる系に印加された電界によるポテンシャル差により、この系の強磁性転移を制御することができることが分かる。
さて、M<Nに関して記述する。まず、s=0を採用する。図20にM=0の場合のエネルギーを示す。このとき、φによる変調はなく、図18におけるφ=0のエネルギーが得られている。M=0の場合の具体的なエネルギーの値は
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −739.87
1 −732.42
2 −724.04
3 −714.88
4 −705.24
5 −695.51
6 −686.26
7 −678.11
8 −671.71
9 −667.60
10 −666.19
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=0が基底状態となって強磁性を示すことになる。図21にM=2の場合、図22にM=4の場合、図23にM=6の場合、図24にM=8の場合、図25にM=10の場合のエネルギーを示した。これらの図より、Mの増加に伴ってφによる変調性が向上することが分かる。ここで注目すべきことは、φが小さい領域におけるエネルギーの順序である。以下にφ=−80の時のエネルギーの値を列挙する。
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −739.87
1 −732.42
2 −724.04
3 −714.88
4 −705.24
5 −695.51
6 −686.26
7 −678.11
8 −671.71
9 −667.60
10 −666.19
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=0が基底状態となって強磁性を示すことになる。図21にM=2の場合、図22にM=4の場合、図23にM=6の場合、図24にM=8の場合、図25にM=10の場合のエネルギーを示した。これらの図より、Mの増加に伴ってφによる変調性が向上することが分かる。ここで注目すべきことは、φが小さい領域におけるエネルギーの順序である。以下にφ=−80の時のエネルギーの値を列挙する。
M=2の場合、
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −787.04
1 −797.51
2 −800.75
3 −799.07
4 −794.43
5 −788.10
6 −781.10
7 −774.34
8 −768.70
9 −764.95
10 −763.63
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=2が基底状態となる。
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −787.04
1 −797.51
2 −800.75
3 −799.07
4 −794.43
5 −788.10
6 −781.10
7 −774.34
8 −768.70
9 −764.95
10 −763.63
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となり、N↓=2が基底状態となる。
M=4の場合、
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −836.35
1 −855.38
2 −868.38
3 −875.29
4 −877.18
5 −875.50
6 −871.65
7 −866.89
8 −862.40
9 −859.21
10 −858.05
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=4が基底状態となる。
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −836.35
1 −855.38
2 −868.38
3 −875.29
4 −877.18
5 −875.50
6 −871.65
7 −866.89
8 −862.40
9 −859.21
10 −858.05
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となり、N↓=4が基底状態となる。
M=6の場合、
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −885.78
1 −908.65
2 −927.42
3 −941.35
4 −950.22
5 −954.51
6 −955.23
7 −953.66
8 −951.16
9 −949.01
10 −948.17
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=6が基底状態となる。
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −885.78
1 −908.65
2 −927.42
3 −941.35
4 −950.22
5 −954.51
6 −955.23
7 −953.66
8 −951.16
9 −949.01
10 −948.17
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=6が基底状態となる。
M=8の場合、
−−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−−
0 −935.33
1 −960.24
2 −982.18
3 −1000.53
4 −1014.77
5 −1024.70
6 −1030.56
7 −1033.09
8 −1033.45
9 −1032.93
10 −1032.61
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=8が基底状態となる。
−−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−−
0 −935.33
1 −960.24
2 −982.18
3 −1000.53
4 −1014.77
5 −1024.70
6 −1030.56
7 −1033.09
8 −1033.45
9 −1032.93
10 −1032.61
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=8が基底状態となる。
M=10の場合、
−−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−−
0 −985.01
1 −1011.10
2 −1034.80
3 −1055.70
4 −1073.35
5 −1087.40
6 −1097.65
7 −1104.30
8 −1107.94
9 −1109.48
10 −1109.87
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=10が基底状態となる。
−−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−−
0 −985.01
1 −1011.10
2 −1034.80
3 −1055.70
4 −1073.35
5 −1087.40
6 −1097.65
7 −1104.30
8 −1107.94
9 −1109.48
10 −1109.87
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=10が基底状態となる。
電界が印加されている領域において強磁性的状態から常磁性的状態へと転移が起こり、常磁性的状態/強磁性的状態のヘテロティック相が形成されて、系の基底状態のトータル・スピンとして、強磁性的状態部分の値が実現されると考えることができる。実際には、電界効果により電子密度分布の空間的変化も生じることができるので、常磁性的状態の領域/強磁性的状態の領域の境界を介しての電子の行き来が生じている。
ここで考えているM<Nにおいて、s=1の場合を解析する。図26にM=0の場合のエネルギーを示した。このとき、φによる変調はなく、図19におけるφ=0のエネルギーが得られている。M=0の場合の具体的なエネルギーの値は
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −772.62
1 −763.91
2 −754.30
3 −743.99
4 −733.30
5 −722.70
6 −712.74
7 −704.08
8 −697.34
9 −693.05
10 −691.58
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=0の強磁性の基底状態が得られる。図27にM=2の場合、図28にM=4の場合、図29にM=6の場合、図30にM=8の場合、図31にM=10の場合のエネルギーを示した。これらの図より、Mの増加に伴ってφによる変調性が向上することが分かる。ここで注目すべきことは、φが小さい領域におけるエネルギーの順序である。以下にφ=−80の時のエネルギーの値を列挙する。
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
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0 −772.62
1 −763.91
2 −754.30
3 −743.99
4 −733.30
5 −722.70
6 −712.74
7 −704.08
8 −697.34
9 −693.05
10 −691.58
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となり、N↓=0の強磁性の基底状態が得られる。図27にM=2の場合、図28にM=4の場合、図29にM=6の場合、図30にM=8の場合、図31にM=10の場合のエネルギーを示した。これらの図より、Mの増加に伴ってφによる変調性が向上することが分かる。ここで注目すべきことは、φが小さい領域におけるエネルギーの順序である。以下にφ=−80の時のエネルギーの値を列挙する。
M=2の場合、
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −815.78
1 −824.91
2 −826.84
3 −823.92
4 −818.12
5 −810.77
6 −802.92
7 −795.50
8 −789.41
9 −785.40
10 −784.00
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=2が基底状態となる。
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −815.78
1 −824.91
2 −826.84
3 −823.92
4 −818.12
5 −810.77
6 −802.92
7 −795.50
8 −789.41
9 −785.40
10 −784.00
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=2が基底状態となる。
M=4の場合、
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −861.45
1 −879.20
2 −890.88
3 −896.47
4 −897.10
5 −894.25
6 −889.38
7 −883.81
8 −878.73
9 −875.19
10 −873.92
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=4が基底状態となる。
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −861.45
1 −879.20
2 −890.88
3 −896.47
4 −897.10
5 −894.25
6 −889.38
7 −883.81
8 −878.73
9 −875.19
10 −873.92
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=4が基底状態となる。
M=6の場合、
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −907.23
1 −928.93
2 −946.45
3 −959.07
4 −966.62
5 −969.64
6 −969.20
7 −966.64
8 −963.38
9 −960.77
10 −959.77
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=6が基底状態となる。
−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−
0 −907.23
1 −928.93
2 −946.45
3 −959.07
4 −966.62
5 −969.64
6 −969.20
7 −966.64
8 −963.38
9 −960.77
10 −959.77
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=6が基底状態となる。
M=8の場合、
−−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−−
0 −953.15
1 −976.98
2 −997.76
3 −1014.88
4 −1027.84
5 −1036.47
6 −1041.08
7 −1042.50
8 −1041.96
9 −1040.85
10 −1040.33
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=7が基底状態となる。
−−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−−
0 −953.15
1 −976.98
2 −997.76
3 −1014.88
4 −1027.84
5 −1036.47
6 −1041.08
7 −1042.50
8 −1041.96
9 −1040.85
10 −1040.33
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=7が基底状態となる。
M=10の場合、
−−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−−
0 −999.23
1 −1024.33
2 −1046.97
3 −1066.74
4 −1083.21
5 −1096.03
6 −1105.06
7 −1110.56
8 −1113.22
9 −1114.10
10 −1114.25
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=10が基底状態となる。
以上の解析から、Mを制御することにより、様々なスピン状態を系の基底状態として準備することができることが分かる。
−−−−−−−−−−−−−−
N↓ エネルギー
−−−−−−−−−−−−−−
0 −999.23
1 −1024.33
2 −1046.97
3 −1066.74
4 −1083.21
5 −1096.03
6 −1105.06
7 −1110.56
8 −1113.22
9 −1114.10
10 −1114.25
−−−−−−−−−−−−−
となり、N↓=10が基底状態となる。
以上の解析から、Mを制御することにより、様々なスピン状態を系の基底状態として準備することができることが分かる。
図32および図33にこの磁気制御装置の具体的な構造例を示す。ここで、図32は斜視図、図33は第1鎖および第2鎖の量子ドットの配列方向に沿った断面図である。この例は、第1鎖、第2鎖とも、図14に示す量子ドットの二重リング系による量子ドットアレーを用いて構成する場合であり、上で解析した一次元鎖モデルをそのまま適用することができる系である。各量子ドットが各格子点に対応する。この場合、第1鎖の量子ドットアレーをフラットバンド強磁性層とし、常磁性層としての第2鎖の量子ドットアレーとトンネルバリアを介してトンネル結合させることにより磁気制御装置を構成する。
図32および図33に示すように、この磁気制御装置においては、第1層としての量子ドットアレー11と第2層としての量子ドットアレー12とがトンネルバリア層13を介して量子力学的に結合(トンネル結合)して形成されている。量子ドットアレー11、12の各量子ドットは化合物半導体ヘテロ接合により形成されている。そして、量子ドットアレー11の上面の片側の領域に絶縁膜14を介して電極15が形成され、量子ドットアレー12の裏面の片側の領域に絶縁膜16を介して電極17が、電極15と対応する位置および形状に形成されている。そして、これらの電極15、17間に電圧を印加することにより、量子ドットアレー11、12を部分的に貫通するように電界を印加することができるようになっている。
上記以外のことは、図12および図13に示す磁気制御装置と同様であるので、説明を省略する。
上記以外のことは、図12および図13に示す磁気制御装置と同様であるので、説明を省略する。
この第2の実施形態によれば、フラットバンド強磁性を発現する強磁性層としての第1鎖と常磁性を発現する常磁性層としての第2鎖とをトンネル結合させ、この二層系の界面に垂直な電界を部分的に印加するようにしているので、印加する電界の強さと電界の印加に用いる電極の面積とに応じて、この二層系の基底状態として様々なスピン状態(トータル・スピン)を実現することができる。このため、この二層系における強磁性をフラットバンド強磁性から常磁性まで、きめ細かく制御することができる。
次に、この発明の第3の実施形態による磁気制御装置について説明する。
第1の実施形態による磁気制御装置においては、図15に示す各量子ドット間の全てのトランスファーは正の値を持つのに対し、この第3の実施形態による磁気制御装置においては、図15に示す各量子ドット間の全てのトランスファーは負の値を持つ。この第3の実施形態による磁気制御装置の上記以外のことは第1の実施形態による磁気制御装置と同様であるので、説明を省略する。
第1の実施形態による磁気制御装置においては、図15に示す各量子ドット間の全てのトランスファーは正の値を持つのに対し、この第3の実施形態による磁気制御装置においては、図15に示す各量子ドット間の全てのトランスファーは負の値を持つ。この第3の実施形態による磁気制御装置の上記以外のことは第1の実施形態による磁気制御装置と同様であるので、説明を省略する。
上記のように、図15に示す各量子ドット間のトランスファーが負の値を持つことにより、先に述べた田崎モデルにおいて、フラットバンドと分散を有するバンドとがエネルギー的に逆転する。フラットバンド強磁性を発現させるためには、フラットバンドがハーフフィルド(1/2フィルド)になっている必要があるので、電子数として3Nが必要となる。つまり2Nの電子が分散を有するバンドの状態を占有し、その上のフラットバンドにN電子が存在することになる。
以下に示す数値計算ではN=20とし、周期的境界条件を用いることにする。全サイト数は4N=80である。t=−10、s=0、U=50、t1 =−10、t3 =−1、U1 =10を固定する。電子数は3N=60である。また、フェルミ分布関数中のパラメータはβ=0.1を利用した。
図34は、スピン状態N↓=21、22、…、29の最低エネルギーを、N↓=20の最低エネルギーを基準に測ったもの(これをΔEで表す)を計算した結果を示す。図35には
、図36には
、図37には
、図38には
を示す。
図34は、スピン状態N↓=21、22、…、29の最低エネルギーを、N↓=20の最低エネルギーを基準に測ったもの(これをΔEで表す)を計算した結果を示す。図35には
図34から分かるように、φが小さい場合、N↓の大きい状態が基底状態になる。実際は、N↓=30のトータル・スピンがゼロの状態が最もエネルギーが小さく、系は正常磁性を示す。φが増大するに従って、エネルギー準位の並びが逆転し、N↓=20、つまりN↑=40の、差引のスピンが残る状態が基底状態になる。従って、系は強磁性を示す。ここで注目すべきことは、φ=60程度で一度強磁性になった後、φ=90からφ=160の間でN↓=21の状態が基底状態になることである。すなわち、この系においては、平均場近似を用いているため任意性が残るものの、スピン状態がφの変化に伴って振動的に変化することが分かる。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、電界強度の変化に応じてこの系のスピン状態を振動的に変化させることができることにより、この二層系における強磁性の制御をより多様な形で行うことができる。
以上、この発明の実施形態につき具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料などを用いてもよい。
また、図16および図17に示す磁気制御装置において、電極15、17を第2の実施形態と同様に部分的に形成するようにしてもよい。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料などを用いてもよい。
また、図16および図17に示す磁気制御装置において、電極15、17を第2の実施形態と同様に部分的に形成するようにしてもよい。
11、12…量子ドットアレー、13…トンネルバリア層、14、16…絶縁膜、15、17…電極、18…アンドープGaAs層、19…n型Alu Ga1-u As層、20…二次元電子ガス
Claims (18)
- 強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合しており、
上記第1の層と上記第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、上記第1の層および上記第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御する
ことを特徴とする磁気制御装置。 - 上記第1の層がフラットバンド強磁性を発現する電子系を有することを特徴とする請求項1記載の磁気制御装置。
- 上記第2の層が二次元電子ガスを有することを特徴とする請求項1記載の磁気制御装置。
- 上記第1の層と上記第2の層との間にトンネルバリアを有することを特徴とする請求項1記載の磁気制御装置。
- 上記第1の層と上記第2の層との界面の全体を貫通して上記電界を印加することを特徴とする請求項1記載の磁気制御装置。
- 上記第1の層と上記第2の層との界面を部分的に貫通して上記電界を印加することを特徴とする請求項1記載の磁気制御装置。
- 上記電界を印加するための電極を有することを特徴とする請求項1記載の磁気制御装置。
- 上記第1の層および上記第2の層の少なくとも一方に絶縁膜を介して上記電界を印加するための電極が設けられていることを特徴とする請求項1記載の磁気制御装置。
- 上記電極は上記第1の層と上記第2の層との界面の全体を貫通して上記電界を印加することができるように設けられていることを特徴とする請求項7記載の磁気制御装置。
- 上記電極は上記第1の層と上記第2の層との界面を部分的に貫通して上記電界を印加することができるように設けられていることを特徴とする請求項7記載の磁気制御装置。
- 上記第1の層は所定の配置で形成された複数の量子ドットからなる量子ドットアレーを有することを特徴とする請求項1記載の磁気制御装置。
- 上記量子ドットは化合物半導体ヘテロ接合からなることを特徴とする請求項11記載の磁気制御装置。
- 上記第1の層および上記第2の層からなる系における電子系のスピン状態が、上記電界の強度の変化に応じて複数回の転移を起こすことを特徴とする請求項11記載の磁気制御装置。
- 強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合したものを用い、
上記第1の層と上記第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、上記第1の層および上記第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御するようにした
ことを特徴とする磁気制御方法。 - 強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合しており、
上記第1の層と上記第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、上記第1の層および上記第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気スイッチングを行う
ことを特徴とする磁気スイッチング装置。 - 強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合したものを用い、
上記第1の層と上記第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、上記第1の層および上記第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気スイッチングを行う
ことを特徴とする磁気スイッチング方法。 - 強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合しており、
上記第1の層と上記第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、上記第1の層および上記第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気記憶を行う
ことを特徴とする磁気記憶装置。 - 強磁性を発現する電子系を有する第1の層と、常磁性を発現する電子系を有する第2の層とが、それらの間で電子の授受が可能なように結合したものを用い、
上記第1の層と上記第2の層との界面に垂直な成分を有する電界を印加することにより、上記第1の層および上記第2の層からなる系における電子系が発現する強磁性を制御して磁気記憶を行うようにした
ことを特徴とする磁気記憶方法。
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