JP2004303975A - インダクタンス素子 - Google Patents

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Toshiyuki Abe
敏之 阿部
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Abstract

【課題】高いインダクタンス値を取得でき、スルーホールの不良率を大幅に低減し得るインダクタンス素子を提供する。
【解決手段】第2の導体配線111〜116は、第1番目の絶縁層101と第2番目の絶縁層102とが隣接する面、及び、第4番目の絶縁層104の面であって、第3番目の絶縁層103と隣接する面とは反対側の面に位置している。第1の導体配線121〜127は、第2番目の絶縁層102と第3番目の絶縁層103とが隣接する面、及び、第3番目の絶縁層103と第4番目の絶縁層104とが隣接する面に位置している。第1の導体配線111〜116及び第2の導体配線121〜127は、スルーホール導体131〜155によって電気的に接続され、第3番目の絶縁層103の周りを周回するコイルが構成されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明インダクタンス素子に関する。更に詳しくは、積層構造を持つチップ状のインダクタンス素子に係る。
【0002】
【従来の技術】
この種のインダクタンス素子としては、例えば、特許文献1、2に開示されたものが知られている。まず、特許文献1は、バイアホール(スルーホール)及び平行線の印刷配線を、上絶縁体グリーンシート及び下絶縁体グリーンシートに形成し、メタライズペーストを充填したスルーホールを有する中間絶縁体グリーンシートを介して、上絶縁体グリーンシート及び下絶縁体グリーンシートを積層し、一括焼成することにより、コイルを3次元方向に形成する技術を開示している。スルーホール形成に当たっては、スクリーン印刷によって印刷配線を形成するときに、スクリーン印刷インクであるCuペーストをスルーホールに充填する。
【0003】
次に、特許文献2は、複数のセラミック絶縁体を積層した積層体内に、セラミック絶縁体間に配置されたコイルパターンと、セラミック絶縁体の厚み方向を貫くビアホール(スルーホール)導体とで形成されるコイルを配置した構造を持ち、コイルの中心軸がセラミック絶縁体の厚みに対して直交する積層コイル基板を開示している。セラミックペースト及び導体配線ぺースは、印刷等の厚膜技術の適用により、交互に形成される。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−112655号公報
【特許文献2】
特開平4−242911号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のインダクタンス素子において、品質係数Qを確保するには、導体配線を厚くする必要があるが、導体配線を厚くしたとき、導体配線パターンの崩れなどによって、その幅精度が低下してはならない。導体配線の幅精度が低下すると、取得インダクタンス値が目標値から外れてしまうからである。
【0006】
また、この種のインダクタンス素子において、形状を増大させることなく、取得インダクタンス値を増大させるには、隣接するコイルターン間の間隔を縮小し、ターン数を増大させるとともに、導体配線間の結合を高める必要がある。
【0007】
更に、コイル導体をスルーホール導体によって接続する構造を採用する場合、スルーホール導体が長いと、スルーホール内へのペースト充填またはスルーホールメッキが不十分になる。実験ではスルーホール径に対してスルーホール長さが6倍を越えた当たりから不良が出始めた。
【0008】
スルーホール導体の長さは、絶縁体の厚みによって決まるので、スルーホール導体の長さを短くするには、セラミック絶縁体の厚みを薄くせざるを得ない。しかし、セラミック絶縁体の厚みは、特性確保の観点から選択すべき寸法が定まっており、スルーホール導体の長さの観点だけから自由に選択できるものではない。
【0009】
上述した特許文献1、2に記載された発明は、上述した各種の問題点を解決する手段を開示していない。
【0010】
例えば、特許文献1に記載された発明の場合、一回のスクリ−ン印刷で、セラミックペースト及び導体配線ペーストの塗布厚みを数μmしか形成できないため、導体配線の厚み、セラミック絶縁体の厚みをとることが難しい。導体配線厚みも薄くなるため、インダクタ素子の品質係数Qが悪くなる。また導体配線を厚く形成すると、スクリーン印刷の滲みが大きくなり、導体配線の幅精度が劣化する。このため、取得インダクタンス値が変動する。
【0011】
本発明の課題は、同一の材料及び形状の設計において、高いインダクタンス値を取得し得るインダクタンス素子を提供することである。
【0012】
本発明のもう1つの課題は、スルーホールの不良率を大幅に低減し得るインダクタンス素子を提供することである。
【0013】
本発明の更にもう1つの課題は、取得インダクタンス値のばらつきの少ないインダクタンス素子を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明は、3つの態様に係るインダクタンス素子を開示する。
【0015】
1.第1の態様に係るインダクタンス素子
第1の態様は、絶縁層を、セラミック絶縁材料、有機絶縁材料、または有機絶縁材料に機能性粉末を混合した複合材料によって構成する場合の何れも含む。絶縁層をセラミック絶縁材料で構成する場合は、シート法、または、印刷法の適用を含み、有機絶縁材料または複合材料で構成する場合は、ビルドアップ法またはスタック法を含み得る内容を有する。このインダクタンス素子は、絶縁基体と、導体配線とを含む。
【0016】
前記絶縁基体は、4以上の偶数nで表されるn層の絶縁層を含み、前記絶縁層は順次に配置されている。
【0017】
前記導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置される。第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置される。
【0018】
第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、m<(n/2)のときは、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層と第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層とが隣接する面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。
【0019】
m=n/2のときは、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。
【0020】
前記導体配線は、前記絶縁層を貫通するスル−ホ−ル導体によって電気的に接続され、それによって、前記第{(n/2)+1}番目の絶縁層の周りを周回するコイルが構成されている。
【0021】
上記構成によれば、コイルのターン数や巻径は絶縁層の層数や、層厚によって定まる。このため、従来と同一の材料を用い、同一の形状設計をした場合でも、高いインダクタンス値を取得し得る。
【0022】
しかも、導体配線は、絶縁層を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続されているから、スル−ホ−ル導体の長さは絶縁層の層厚になる。各絶縁層は、例えば、50μm〜200μmの微小厚みに設定することができるから、スルーホール導体の長さを縮小し、スルーホール内へのペースト充填またはスルーホールメッキを、確実、かつ、完全に実行することができる。スルーホールは、その径に対して長さが6倍を越えないように設定する。
【0023】
絶縁基体の全体の厚み、又は、各絶縁層のうち、中間の絶縁層の厚みは、所定の特性が得られるような値に設定することができる。従って、スルーホール導体の長さを短くして、その電気的接続の信頼性を確保しつつ、所望の電気的特性を得ることができる。
【0024】
2.第2の態様に係るインダクタンス素子
第2の態様は、主に、絶縁層を、セラミック絶縁材料で構成し、シート法または印刷法によって積層されたインダクタンス素子に係る。このインダクタンス素子は、絶縁基体と、導体配線とを含む。前記絶縁基体は、4以上の偶数nで表されるn層の絶縁層を含み、前記絶縁層は順次に積層されている。
【0025】
前記導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置される。第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、m<(n/2)のときは、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。
【0026】
第mの導体配線は、m=n/2のときは、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。
【0027】
前記導体配線は、前記絶縁層を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、前記第{(n/2)+1}番目の絶縁層の周りを周回するコイルが構成されている。
【0028】
この第2の態様に係るインダクタンス素子は、積層完了後は、配線導体と絶縁層との相対的配置関係が、第1の態様と同じになるから、第1の態様に係るインダクタンス素子と同じ作用効果を奏する。
【0029】
3.第3の態様に係るインダクタンス素子
第3の態様も、主に、絶縁層を、有機絶縁材料または複合材料で構成し、ビルドアップ法またはスタック法によって積層されたインダクタンス素子に係る。このインダクタンス素子は、絶縁基体と、導体配線とを含む。前記絶縁基体は、4以上の偶数nで表されるn層の絶縁層を含む。前記絶縁層は順次に積層されている。
【0030】
前記導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置されている。第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、m<(n/2)のときは、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面、及び、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。
【0031】
第mの導体配線は、また、m=n/2のときは、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面、及び、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。
【0032】
前記導体配線は、前記絶縁層を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、前記第{(n/2)+1}番目の絶縁層の周りを周回するコイルが構成される。
【0033】
この第3の態様に係るインダクタンス素子も、積層完了後は、配線導体と絶縁層との相対的配置関係が、第1の態様と同じになるから、第1の態様に係るインダクタンス素子と同じ作用効果を奏する。
【0034】
【発明の実施の形態】
1.第1の態様に係るインダクタンス素子
図1は本発明に係るインダクタンス素子の斜視図、図2は図1に示したインダクタンス素子の積層構造を示す断面図、図3は図2の3−3線に沿った断面図である。
【0035】
図示されたインダクタンス素子は、n=4の場合であって、絶縁基体10と、導体配線とを含む。絶縁基体10の表面には、外部端子電極21、22が備えられている。外部端子電極21、22は回路基板等の表面に面実装する際にはんだ付けされる。
【0036】
絶縁基体10は、第1〜第5番目の絶縁層101〜105を含み、第1〜第5番目の絶縁層101〜105はこの順序で順次に配置されている。第5番目の絶縁層105は、外部端子電極21、22を形成するための層、及び、保護層としての役割を担うものである。
【0037】
第1〜第5番目の絶縁層101〜105は、セラミック絶縁材料、有機絶縁材料、または有機絶縁材料に機能性粉末を混合した複合材料によって構成することができる。第1〜第5番目の絶縁層101〜105をセラミック絶縁材料で構成する場合は、シート法、または、印刷法を適用することができる。シート法を適用した場合、インダクタンス素子は、概略的には、セラミックスラリーをシート化してグリーンシートを作り、グリーンシートにスルーホールを形成し、スルーホールへの導電ペーストの充填、及び、導体配線のパターニング処理などを実行することによって形成される。印刷法を適用した場合、インダクタンス素子は、セラミックスラリー印刷工程及び導体ペースト印刷工程を交互に実行し、セラミックスラリー印刷工程で形成したスルーホールに、導体ペースト印刷工程において導体ペーストを充填し、同時に、導体配線を所定のパターンとなるように印刷するプロセスを経て製造される。
【0038】
第1〜第5番目の絶縁層101〜105を有機絶縁材料または複合材料で構成する場合は、ビルドアップ法またはスタック法が適用される。ビルドアップ法による場合は、絶縁樹脂材料または複合材料のワニスから、プリプレグ(乾燥/Bステージ状態)を形成し、その両面に銅箔を貼り付けプレスし硬化させて、更に、銅箔をエッチングしてパターニングする。次に、スルーホールを形成し、スルーホールに穴メッキを施し、コアとなるコア基板を作る。このコア基板は、図示実施例の場合は、第3の絶縁層103である。
【0039】
一方、銅箔の一方面に、上記ワニスを塗布し、乾燥(Bステージ状態)した樹脂付金属箔を用意する。この樹脂付金属箔を、コア基板の両面に、樹脂層側を向き合わせながら積層し、プレスし、硬化させ、絶縁層を形成する。この絶縁層は、図示実施例の場合、第2番目の絶縁層102、及び、第4番目の絶縁層104である。次に、エッチングによってパターニングし、スルーホールを開け、スルーホールに穴メッキを施す。この工程を、絶縁層の層数に応じて繰り返す。
【0040】
スタック法は、上記プリプレグ(乾燥/Bステージ状態)の両面に銅箔を貼り付け、硬化させ、コア基板とし、銅箔をエッチングによってパターニングする。プリプレグとコア基板とを交互に積層し、プレスし、硬化させる。その後、スルーホールを形成し、穴メッキを施す。この場合、銅箔をパターニングして得られた導体配線が、積層方向に重ならないようにする。
【0041】
第1〜第5番目の絶縁層101〜105は、同一の材料によって構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。例えば、第1〜第5番目の絶縁層101〜105の全体を有機質絶縁材料で構成してもよいし、コアを構成する第3番目の絶縁層103のみを、磁性粉と有機材料とを混合した複合磁性材料によって構成してもよい。第3番目の絶縁層103を複合磁性材料によって構成した場合、第3番目の絶縁層103が磁性コアとして機能することになるので、磁気特性が向上する。第1〜第5番目の絶縁層101〜105は、例えば、50μm〜200μmの厚みに設定することができる。具体的には、中心部に位置する第3の層103は、200μm程度の厚みとし、第1の層101、第2の層102及び第4の層104は50μm〜100μm程度の厚みに設定することができる。
【0042】
導体配線は、第2の導体配線111〜116と、第1の導体配線121〜127とを含む。第2の導体配線111〜113は、第1番目の絶縁層101と第2番目の絶縁層102とが隣接する面に位置している。第2の導体配線114〜116は、第4番目の絶縁層104の面であって、第3番目の絶縁層103と隣接する面とは反対側の面に位置している。第1の導体配線121〜123は、第2番目の絶縁層102と第3番目の絶縁層103とが隣接する面に位置している。第1の導体配線124〜127は、第3番目の絶縁層103と第4番目の絶縁層104とが隣接する面に位置している。第2の導体配線111〜116及び第1の導体配線121〜127は、基本的には隣り合う2つの絶縁層間にあればよい。
【0043】
第2の導体配線111〜116は、第2〜第4番目の絶縁層102〜104を貫通するスルーホール導体によって、また、第1の導体配線121〜127は、第3番目の絶縁層103を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、第3番目の絶縁層103の周りを周回するコイルが構成されている。
【0044】
図2に図示する実施例では、3つのコイルが、間隔を隔てて配置されており、各コイルはスルーホール導体によって電気的に接続されている。より詳しくは、第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124により第1のコイルが形成され、第2の導体配線112、115及び第1の導体配線122、125により第2のコイルが形成され、第2の導体配線113、116及び第1の導体配線123、126により第3のコイルが形成されている。第1のコイル〜第3のコイルは、高いインダクタンス値Lを得る目的で、同一方向に周回しており、また、同一方向の磁束を生じるように接続されている。
【0045】
第1のコイルを構成する第1の導体配線121は、第3番目の絶縁層103に設けられたスルーホール導体144及び第4番目の絶縁層104に設けられたスルーホール導体145を介して、第2のコイルに含まれる第2の導体配線115に接続されている。第2のコイルを構成する第1の導体配線122は、第2番目の絶縁層102に設けられたスルーホール導体133を介して、第3のコイルに含まれる第2の導体配線113に接続されている。第3のコイルに含まれる第1の導体配線126、127は、第4番目の絶縁層104に設けられたスルーホール導体156、及び、第5番目の絶縁層105に設けられたスルーホール導体158を介して、外部端子電極22に導かれている。
【0046】
図示実施例において、第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124は、互いに重なり合う同一位置に形成されており、第2の導体配線112、115及び第1の導体配線122、12も互いに重なり合う同一位置に形成されており、第2の導体配線113、116及び第1の導体配線123、126も互いに重なり合う同一位置に形成されている。
【0047】
第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124は、図3に示すように、第2〜第4番目の絶縁層102〜104を貫通するスルーホール導体(131、141、151)、(134、143)、146によって電気的に接続され、これにより、中間の第3番目の絶縁層103の周りを、渦巻き状に周回するコイルが形成される。
【0048】
具体的に述べると、第1のコイルでは、外部端子電極21−スルーホール導体157−第2の導体配線114−スルーホール導体(151−141−131)−第2の導体配線111の接続経路により、巻半径の大きなコイルターンが形成される。
【0049】
次に、第2の導体配線111−スルーホール導体(134−143)−第1の導体配線124−スルーホール導体146−第1の導体配線121の端部の接続経路により、巻半径の小さなコイルターンが形成される。
【0050】
図示は省略するが、第2の導体配線112、115及び第1の導体配線122、125によって構成される第2のコイル、並びに、第3の導体配線113、116及び第1の導体配線123、126によって構成される第3のコイルにおいても、第1のコイルと同様のスルーホール導体による結合構造が採用されている。
【0051】
上述したように、本発明に係るインダクタンス素子では、第1〜第4番目の絶縁層101〜104を、この順序で順次に配置した絶縁基体10において、第2の導体配線111〜116は、第1番目の絶縁層101と第2番目の絶縁層102とが隣接する面、及び、第4番目の絶縁層104の面であって、第3番目の絶縁層103と隣接する面とは反対側の面に位置している。従って、第2の導体配線111〜116は、最大、第2番目の絶縁層102、第3番目の絶縁層103及び第4番目の絶縁層104の各厚みを加算した大きな巻半径を有して、第3番目の絶縁層103の周りを渦巻き状に周回するコイルターンが形成される。
【0052】
一方、第1の導体配線121〜127は、第2番目の絶縁層102と第3番目の絶縁層103とが隣接する面、及び、第3番目の絶縁層103と第4番目の絶縁層104とが隣接する面に位置している。従って、第1の導体配線121〜127は、第3番目の絶縁層103の厚みによってほぼ定まる巻半径を有して、巻軸の周りを周回する。当然のことであるが、第1の導体配線121〜127による巻半径は、第2の導体配線111〜116の巻半径よりも小さくなる。
【0053】
上述したように、巻半径の大きな第2の導体配線111〜116と、巻半径がこれよりも小さな第1の導体配線121〜127とを、第3番目の絶縁層103の周りに渦巻き状に周回させるものであるから、絶縁基体10の厚みを利用してコイルターン数を増大させることができる。このため、従来と同一の材料を用い、同一の形状設計をした場合でも、高いインダクタンス値を取得し得る。
【0054】
しかも、第2の導体配線111〜116及び第1の導体配線121〜127は、絶縁基体10を構成する第2〜第4番目の絶縁層102〜104を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続されているから、スルーホール導体の長さは第2〜第4番目の絶縁層102〜104の層厚になる。このように、絶縁基体10は、複数層101〜104に分かれており、各絶縁層は、例えば、50μm〜200μmの微小厚みに設定することができるから、スルーホール導体の長さを縮小し、スルーホール内へのペースト充填またはスルーホールメッキを、確実、かつ、完全に実行することができる。スルーホールは、その径に対して長さが6倍を越えないように設定する。
【0055】
絶縁基体10の全体の厚み、又は、絶縁層101〜104のうち、例えば、中心部に位置する第3番目の絶縁層103の厚みは、所定の特性が得られるような値に設定することができる。従って、スルーホール導体の長さを短くして、その電気的接続の信頼性を確保しつつ、所望の電気的特性を得ることができる。
【0056】
次に、図1〜図3に示した実施例を、第1の態様に係る発明の観点から説明する。第1の態様に係るインダクタンス素子において、絶縁基体10は、4以上の偶数nで表されるn層の絶縁層を含み、絶縁層は順次に配置されている。導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置される。第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、m<(n/2)のときは、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層と第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層とが隣接する面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。
【0057】
m=n/2のときは、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。
【0058】
導体配線は、絶縁層を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、第{(n/2)+1}番目の絶縁層の周りを周回するコイルが構成されている。
【0059】
次に、第1の態様の構成要件に、図1〜図3の実施例をあてはめる。実施例において、n=4の場合であるから、絶縁基体10は、第1〜第4番目の絶縁層101〜104を含む。導体配線は、第1の導体配線121〜127と、第2の導体配線111〜116とを含む。
【0060】
第2の導体配線111〜116は、
m=n/2
=2
を満たす場合に相当する。第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線114〜116は、まず、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に位置する。
【0061】
上記条件式にm=2、n=4を代入すると、第2の導体配線114〜116は、第4番目の絶縁層104の面であって、第3番目の絶縁層103と隣接する面とは反対側の面に位置することになるから、図1〜図3の図示と一致する。
【0062】
次に、第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線111〜113は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。上記条件式に、m=2、n=4を代入すると、第2の導体配線111〜113は第2の導体配線111〜113は、第1番目の絶縁層101と第2番目の絶縁層102とが隣接する面に位置することになるから、図1〜図3の図示と一致する。
【0063】
次に、第1の導体配線121〜127について述べる。第1の導体配線121〜127は、
m=1(<n/2)
の場合に相当し、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層と第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層とが隣接する面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。
【0064】
第1の導体配線121〜127のうち、第1の導体配線124〜127は、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層と第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。上記条件式に、m=1、n=4を代入すると、第1の導体配線124〜127は、第{(4/2)+1+(1−1)}番目の絶縁層と第{(4/2)+1+1}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。即ち、第1の導体配線124〜127は、第3番目の絶縁層103と第4番目の絶縁層104とが隣接する面に位置することになるから、図1〜図3の図示と一致する。
【0065】
次に、第1の導体配線121〜127のうち、第1の導体配線121〜123は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。n=4、m=1を代入すると、第1の導体配線121〜123は、第{(4/2)+1−1}番目の絶縁層と第{(4/2)+1−(1−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。即ち、第1の導体配線121〜123は、第2番目の絶縁層102と第3番目の絶縁層103とが隣接する面に位置することになるから、図1〜図3の図示と一致する。
【0066】
第2の導体配線111〜116及び第1の導体配線121〜127は、第2〜第4番目の絶縁層102〜104を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、第{(2/2)+1}番目の絶縁層の周りを周回するコイルが構成されることになるから、図1〜図3の図示と一致する。
【0067】
図4は第1の態様に係るインダクタンス素子の別の実施例を示す斜視図、図5は図4に示したインダクタンス素子の断面図である。図において、図1〜図3に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は、これを省略する。この実施例の特徴は、外部端子電極21、22が、絶縁基体10の相対する両端部に設けられていることである。
【0068】
図6は本発明に係るインダクタンス素子の別の実施例を示す斜視図、図7は図6に示したインダクタンス素子の断面図である。図において、図1〜図3に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は、これを省略する。この実施例の特徴は、外部端子電極21、22が、絶縁基体10の相対する両側端面に設けられていることである。外部端子電極21、22は両側端面の全面に設けてもよい。
【0069】
図8は本発明に係るインダクタンス素子の別の実施例を示す斜視図、図9は図8に示したインダクタンス素子の断面図である。図において、図1〜図3に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は、これを省略する。この実施例の特徴は、絶縁基体10の相対する両側端面に凹部を設け、この凹部の内面に外部端子電極21、22を付着させたことである。
【0070】
図10は本発明に係るインダクタンス素子の別の実施例を示す斜視図、図11は図10の11−11線に沿った断面図である。図において、図1〜図3に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は、これを省略する。
【0071】
図示されたインダクタンス素子は、n=6の場合である。絶縁基体10は、第1〜第7番目の絶縁層101〜107を含み、第1〜第7番目の絶縁層101〜107はこの順序で順次に配置されている。
【0072】
第1〜第7番目の絶縁層101〜107が、セラミック絶縁材料、有機絶縁材料、または有機絶縁材料に機能性粉末を混合した複合材料によって構成することができること、セラミック絶縁材料で構成する場合は、シート法、または、印刷法を適用することができること、有機絶縁材料または複合材料で構成する場合は、ビルドアップ法またはスタック法が適用されること、同一の材料によって構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよいことは、既に述べた通りである。
【0073】
導体配線は、第3の導体配線161〜166と、第2の導体配線111〜116と、第1の導体配線121〜127とを含む。第3の導体配線161〜163は、第1番目の絶縁層101と第2番目の絶縁層102とが隣接する面に位置している。第3の導体配線164〜166は、第6番目の絶縁層106の面であって、第5番目の絶縁層105と隣接する面とは反対側の面に位置している。
【0074】
第2の導体配線111〜113は、第2番目の絶縁層102と第3番目の絶縁層103とが隣接する面に位置している。第2の導体配線114〜116は、第5番目の絶縁層105と第6番目の絶縁層106とが隣接する面に位置している。
【0075】
第1の導体配線121〜123は、第3番目の絶縁層103と第4番目の絶縁層104とが隣接する面に位置している。第1の導体配線124〜127は、第4番目の絶縁層104と第5番目の絶縁層105とが隣接する面に位置している。
【0076】
第3の導体配線161〜166は、第2〜第6番目の絶縁層102〜106を貫通するスルーホール導体によって、第2の導体配線111〜116は、第3〜第5番目の絶縁層103〜105を貫通するスルーホール導体によって、及び第1の導体配線121〜127は、第4番目の絶縁層104を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、第4番目の絶縁層104の周りを周回するコイルが構成されている。
【0077】
図10、図11に図示する実施例では、3つのコイルが、間隔を隔てて配置されており、各コイルはスルーホール導体によって電気的に接続されている。より詳しくは、第3の導体配線161、164、第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124により第1のコイルが形成され、第3の導体配線162、165、第2の導体配線112、115及び第1の導体配線122、125により第2のコイルが形成され、第3の導体配線163、166、第2の導体配線113、116及び第1の導体配線123、126により、第3のコイルが形成されている。
【0078】
第1のコイル、第2のコイル及び第3のコイルは、スルーホール導体(図示黒塗り)によって電気的に接続されている(図10参照)。図示実施例において、第3の導体配線161、164、第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124は、互いに重なり合う同一位置に形成されており、第3の導体配線162、165、第2の導体配線112、115及び第1の導体配線122、125も互いに重なり合う同一位置に形成されており、第3の導体配線163、166、第2の導体配線113、116及び第1の導体配線123、126も互いに重なり合う同一位置に形成されている。
【0079】
第3の導体配線161、164、第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124は、図11に示すように、第2〜第6番目の絶縁層102〜106を貫通するスルーホール導体(301、201、191、181、171)、(174、183、193、206)、(151、141、131)、(134、143)、146によって電気的に接続され、これにより、中間の第4番目の絶縁層104の周りを、渦巻き状に周回する第1のコイルが形成される。
【0080】
具体的に述べると、第1のコイルは、外部端子電極21−第3の導体配線164−スルーホール導体(301−201−191−181−171)−第3の導体配線161−スルーホール導体(174−183−193−206)−第2の導体配線114−スルーホール導体(151−141−131)−第2の導体配線111―スルーホール導体(134−143)―第1の導体配線124−スルーホール導体146−第1の導体配線121の接続経路により形成される。
【0081】
図示は省略するが、第3の導体配線162、165、第2の導体配線112、115及び第1の導体配線122、125によって構成される第2のコイル、並びに、第3の導体配線163、166、第2の導体配線113、116及び第1の導体配線123、126によって構成される第3のコイルにおいても、第1のコイルと同様のスルーホール導体による結合構造が採用されている。
【0082】
図10、図11に示した実施例は、第3の導体配線161〜166が追加されている点を除けば、先に述べた実施例と、本質的に異なるところはない。従って、先に述べた実施例と同様の作用効果を奏するする他、第3の導体配線161〜166によるインダクタンス値の増大効果が得られる。
【0083】
次に、図10、図11に示した実施例を、第1の態様に係る発明の観点から説明する。図10、図11の実施例は、n=6の場合であるから、絶縁基体10は、第1〜第6番目の絶縁層101〜106を含む。図示実施例では、第7番目の絶縁層107が付加されている。第3の導体配線161〜166は、
m=n/2
=3
を満たす場合に相当する。第3の導体配線161〜166のうち、第3の導体配線164〜166は、まず、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に位置する。
【0084】
上記条件式にm=3、n=6を代入すると、第3の導体配線164〜166は、第{(6/2)+3}番目の絶縁層の面であって、第{(6/2)+3−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に位置する。即ち、第3の導体配線164〜166は、第6番目の絶縁層106の面であって、第5番目の絶縁層105と隣接する面とは反対側の面に位置することになるから、図10、図11の図示と一致する。
【0085】
次に、第3の導体配線161〜166のうち、第3の導体配線161〜163は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。上記条件式に、m=2、n=6を代入すると、第3の導体配線161〜163は、第{(6/2)+1−3}番目の絶縁層と第{(6/2)+1−(3−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。即ち、第3の導体配線161〜163は、第1番目の絶縁層101と第2番目の絶縁層102とが隣接する面に位置することになるから、図10、図11の図示と一致する。
【0086】
次に、第2の導体配線111〜116について述べる。第2の導体配線111〜116は、
m=2(<n/2)
の場合に相当する。第2の導体配線111〜116のうち、まず、第2の導体配線114〜116は、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層と第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。
【0087】
上記条件式に、m=2、n=6を代入すると、第2の導体配線114〜116は、第{(6/2)+1+(2−1)}番目の絶縁層と第{(6/2)+1+2}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。即ち、第2の導体配線114〜116は、第5番目の絶縁層105と第6番目の絶縁層106とが隣接する面に位置することになるから、図10、図11の図示と一致する。
【0088】
次に、第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線111〜113は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。上記条件式にm=2、n=6を代入すると、第2の導体配線111〜113は、第{(6/2)+1−2}番目の絶縁層と第{(6/2)+1−(2−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。即ち、、第2の導体配線111〜113は、第2番目の絶縁層102と第3番目の絶縁層とが隣接する面に位置することになるから、図10、図11の図示と一致する。
【0089】
次に、第1の導体配線121〜127について述べる。第1の導体配線121〜127は、
m=1(<n/2)
の場合に相当し、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層と第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層とが隣接する面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。
【0090】
第1の導体配線121〜127のうち、まず、第1の導体配線124〜127は、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層と第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。上記条件式に、m=1、n=6を代入すると、第1の導体配線124〜127は、第{(6/2)+1+(1−1)}番目の絶縁層と第{(6/2)+1+1}番目の絶縁層とが隣接する面に位置することになる。即ち、第1の導体配線124〜127は、第4番目の絶縁層104と第5番目の絶縁層105とが隣接する面に位置することになるから、図10、図11の図示と一致する。
【0091】
次に、第1の導体配線121〜123は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。m=1、n=6を代入すると、第1の導体配線121〜123は、第{(6/2)+1−1}番目の絶縁層と第{(6/2)+1−(1−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置する。即ち、第1の導体配線121〜123は、第3番目の絶縁層103と第4番目の絶縁層104とが隣接する面に位置することになるから、図10、図11の図示と一致する。
【0092】
更に、図12〜図15を参照し、第1の態様に係るインダクタンス素子の他の実施例について説明する。これらの参照図において、図10、図11に表れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。
【0093】
まず、図12の実施例では、第4番目の絶縁層104と、第5番目の絶縁層105との間にリード導体となる導体配線128を設け、この導体配線128を外部端子電極21に接続してある。導体配線128は、第5番目の絶縁層105及び第6番目の絶縁層106に設けたスルーホール導体を介して、第3の導体配線164に接続されている。
【0094】
一方、導体配線128とは基体の反対側の端部の位置において、第3番目の絶縁層103と、第4番目の絶縁層104との間に、リード導体となる導体配線127を設け、この導体配線127を外部端子電極22に接続してある。導体配線127は第1の導体配線123から延長されたものである。
【0095】
図12に示した実施例によれば、導体配線127、128が、絶縁基体10の上面または下面を基準にして、互いに、ほぼ同一の高さ位置に備えられているから、マザーボード等に搭載した場合に、リード導体の高さ位置の違いに起因して生じることのある特性変動を回避することができる。
【0096】
図13はリード導体となる導体配線の高さ位置の違いに起因して生じる特性変動を回避する別の手段を示している。図示実施例において、第6番目の絶縁層106と、第7番目の絶縁層107との間に存在する第3の導体配線164の一端を外部端子電極21に接続してある。
【0097】
一方、外部端子電極21とは基体の反対側の端部において、第6番目の絶縁層106と、第7番目の絶縁層107との間に、リード導体となる導体配線128を設け、導体配線128を外部端子電極22に接続するとともに、スルーホール導体を介して、第1の導体配線123から延長された導体配線127に接続してある。
【0098】
絶縁基体10の上面(又は下面)には、表示マーク51を設けてある。表示マーク51を用いることにより、実装する面を指定することができるから、リード導体となる導体配線の高さ位置の違いに起因して生じる特性変動を回避することができる。
【0099】
図14も、リード導体の高さ位置の違いに起因して生じる特性変動を回避する手段を示している。図示実施例では、絶縁基体10の上面(または下面)に外部端子電極21、22を設け、外部端子電極21、22を、スルーホール導体を介して、第3の導体配線164、及び、第1の導体配線123から延長された導体配線127にそれぞれ接続してある。
【0100】
図14に示した実施例の場合も、リード導体となる導体配線の高さ位置の違いに起因して生じる特性変動を回避することができる。
【0101】
図1〜図14に示した実施例の何れにおいても、第1のコイルの内端を、第2のコイルの外端に接続(内―外接続)し、第2のコイルの内端を第3のコイルの外端に接続(内―外接続)する構成とし、第1のコイル〜第3のコイルを、同一方向に周回させてあるから、第1のコイル〜第3のコイルは同一方向の磁束を生じる。
【0102】
図15の実施例では、第1のコイルを構成する第3の導体配線161、164、第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124が、巻軸方向Xに変位しながら周回する。このような構造であれば、第3の導体配線161、164、第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124が相互に重なることがないので、基体10の各絶縁層に対して、一貫してスルーホール導体を形成することができ、工程の簡略化とともに、短絡防止に役立つ。
【0103】
2.第2の態様に係るインダクタンス素子
図16は第2の態様に係るインダクタンス素子の積層構造を示す分解斜視図、図17は図16に示したインダクタンス素子の結線構造を示す図、図18は図17に示した結線構造をより解り易く示す下半分の拡大分解図、図19は同じく上半分の拡大分解図である。第2の態様に係るインダクタンス素子は、絶縁層101〜105をセラミック絶縁材料で構成し、シート法によって積層する場合に適している。概略的には、セラミックスラリーをシート化してグリーンシートを作り、グリーンシートにスルーホールを形成し、スルーホールへの導電ペーストの充填、及び、導体配線のパターニング処理及び積層などを実行し、焼成することによって形成される。
【0104】
図示されたインダクタンス素子は、n=4の場合であって、絶縁基体10と、導体配線11とを含む。絶縁基体10の表面には、外部端子電極21、22が備えられている。外部端子電極21、22は回路基板等の表面に面実装する際にはんだ付けされる。
【0105】
絶縁基体10は、第1〜第5番目の絶縁層101〜105を含み、第1〜第5番目の絶縁層101〜105はこの順序で順次に配置されている。
【0106】
図示実施例では、第1番目の絶縁層101の一面に第2の導体配線111〜113を有する。第2の導体配線111〜113は、積層方向と直交する巻軸方向Xに、間隔G1、G2を隔てて配置され、両端が面積の拡大されたランドとなっている。ランドの形状は任意でよい。第2の導体配線112は、一端が第2の導体配線111、113の端部を結ぶ線上にあり、他端は第2の導体配線111、113の端部を結ぶ線よりは少し内側に位置している。第2の導体配線111〜113の導体幅、導体厚み及び間隔G1は50μm前後が好ましい。第2の導体配線111〜113は、Cuなどの導電性に優れた金属材料で構成する。形成手段としては、無電解メッキ処理を施した後、電界メッキ処理を実行する方法を採用できる。
【0107】
第2番目の絶縁層102は一面が第1番目の絶縁層101の一面に隣接し、他面に第1の導体配線121〜123を有している。第2番目の絶縁層102には、第1番目の絶縁層101に設けられた第2の導体配線111〜113と向き合う位置に、必要な数だけのスルーホール導体131〜136が設けられている。スルーホール導体131〜133は、第1番目の絶縁層101に設けられた第2の導体配線111〜113の一端部と対向する位置にあり、スルーホール導体134、135は、第2の導体配線111、113の他端部と対向する位置にある。スルーホール導体136は、第1番目の絶縁層101に設けられた第2の導体配線112の一端と対向する位置に設けられている。
【0108】
第1の導体配線121は、第1番目の絶縁層101に設けられた第2の導体配線111とほぼ対向する位置にあり、その一端のランドがスルーホール導体131から間隔を隔てるとともに、中間部で、スルーホール導体136の方向に屈曲する。屈曲後の他端側のランドは、スルーホール導体136から少し離れた位置で隣り合う。第1の導体配線122は、一端がスルーホール導体132よりも少し内側に位置し、他端がスルーホール導体133に連続すべく、直線状に延びている。
【0109】
第1の導体配線123は、第1番目の絶縁層101に設けられた第2の導体配線113と対向する位置に、第2の導体配線113よりも短く形成されている。第1の導体配線123の一端は、スルーホール導体133と間隔を隔てており、他端はスルーホール導体135と間隔を隔てている。
【0110】
第3番目の絶縁層103は、一面が第2番目の絶縁層102の他面に隣接して積層され、他面に第1の導体配線124〜127を有する。第3番目の絶縁層103はスルーホール導体141〜150を有する。スルーホール導体141は、第2番目の絶縁層102に設けられたスルーホール導体131と重なる位置にあり、スルーホール導体142はスルーホール導体132と重なる位置にあり、スルーホール導体143は、スルーホール導体134と重なる位置にある。スルーホール導体144は、第2番目の絶縁層102において、スルーホール導体136と隣接する第1の導体配線121のランドと重なる位置にある。
【0111】
スルーホール導体145は、第2番目の絶縁層102に設けられたスルーホール導体135と重なる位置にある。スルーホール導体146は、第2番目の絶縁層102において、スルーホール導体131と隣接するランドと重なる位置にある。スルーホール導体147は、第1の導体配線122の一端に設けられたランドと重なる位置にある。
【0112】
スルーホール導体148は、第1の導体配線123において、スルーホール導体133と間隔を隔てるランドと重なる位置にある。スルーホール導体149は、スルーホール導体136と重なる位置にある。スルーホール導体150は、第1の導体配線123において、スルーホール導体135と間隔を隔てるランドと重なる。
【0113】
第1の導体配線124は、スルーホール導体143とスルーホール導体146との間に直線状に形成されている。第1の導体配線125はスルーホール導体147とスルーホール導体149との間に直線状に形成されている。第1の導体配線127は、一端がスルーホール導体150に連なり、他端が、第4番目の絶縁層104に設けられたスルーホール導体156と重なる位置にある。
【0114】
第4番目の絶縁層104は、一面が第3番目の絶縁層103の他面に隣接し、他面に第2の導体配線114〜116を有している。第4番目の絶縁層104は、スルーホール導体151〜156を有する。スルーホール導体151は第3番目の絶縁層103に設けられたスルーホール導体141と重なり、スルーホール導体152はスルーホール導体142と重なる。スルーホール導体153は、第3番目の絶縁層103に設けられた第1の導体配線126において、スルーホール導体148に連なる端部とは反対側のランドに重なる。
【0115】
スルーホール導体154は第3番目の絶縁層103に設けられたスルーホール導体144と重なり、スルーホール導体155はスルーホール導体145と重なる。スルーホール導体156は第2の導体127に接続される。
【0116】
第2の導体配線114は、一端がスルーホール導体151に連なり、他端が、第5番目の絶縁層105に設けられたスルーホール導体157に重なる位置にある。
【0117】
第2の導体配線115は、スルーホール導体152とスルーホール導体154との間に直線状に形成されている。第2の導体配線116は、スルーホール導体153とスルーホール導体155との間に直線状に形成されている。
【0118】
第5番目の絶縁層105は、一面が第4番目の絶縁層104の他面に隣接し、他面に端子電極21、22を有している。第5番目の絶縁層105は、スルーホール導体157、158を有する。スルーホール導体157は第4番目の絶縁層104に設けられた第2の導体114の一端部に接続され、スルーホール導体158は、第4番目の絶縁層104に設けられたスルーホール導体156と重なる。第5番目の絶縁層105は、端子電極21、22を形成するために必要とされるものであって、コイル巻回構造を実現するためには、必要ではない。
【0119】
第1〜第5番目の絶縁層101〜105を重ねた場合、図17〜図19に示すように、第2の導体配線111〜116及び第1の導体配線121〜127は、第2〜第4番目の絶縁層102〜104を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、第3番目の絶縁層103の周りを周回するコイルが構成されている。
【0120】
図17〜図19に図示する実施例では、3つのコイルが、間隔を隔てて配置されている。第1のコイル〜第3のコイルにおいて、第2の導体配線111〜116及び第1の導体配線121〜127と、スルーホール導体との接続関係は、図2及び図3に図示し、説明したものと実質的に同じである。簡単に説明すると、第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124により、第1のコイルが形成され、第2の導体配線112、115及び第1の導体配線122、125により、第2のコイルが形成され、第2の導体配線113、116及び第1の導体配線123、126により、第3のコイルが形成される。第1のコイル〜第3のコイルは、同一方向に周回しており、同一方向の磁束を生じる。
【0121】
第1のコイルは、外部端子電極21−スルーホール導体157−第2の導体配線114−スルーホール導体(151−141−131)―第2の導体配線111の接続経路による巻半径の大きなコイルターンと、第2の導体配線111―スルーホール導体(134−143)―第1の導体配線124−スルーホール導体146−第1の導体配線121の接続経路による巻半径の小さなコイルターンとを、第3番目の絶縁層103の周りで周回させた構造となる。
【0122】
第2のコイルは、第1のコイルに含まれた第1の導体配線121の屈曲端―スルーホール導体(144−154)−第2の導体配線115−スルーホール導体(152−142−132)―第2の導体配線112の接続経路による巻半径の大きなコイルターンと、第2の導体配線112−スルーホール導体(136−149)−第1の導体配線125−スルーホール導体147−第1の導体配線122の接続経路による巻半径の小さなコイルターンとを、第3番目の絶縁層103の周りで周回させた構造となる。
【0123】
第3のコイルは、第2のコイルに含まれた第1の導体配線122―スルーホール導体133−第2の導体配線113−スルーホール導体(135−145−155)―第2の導体配線116の接続経路による巻半径の大きなコイルターンと、第2の導体配線116−スルーホール導体153−第1の導体配線126−スルーホール導体148−第1の導体配線123−スルーホール導体150−導体配線127の接続経路による巻半径の小さなコイルターンとを、第3番目の絶縁層103の周りで周回させた構造となる。導体配線127は、スルーホール導体(156―158)を介して、外部端子電極22に接続されている。
【0124】
図示実施例において、第2の導体配線111、114及び第1の導体配線121、124は、互いに重なり合う同一位置に形成されており、第2の導体配線112、115及び第1の導体配線122、125も互いに重なり合う同一位置に形成されており、第2の導体配線113、116及び第1の導体配線123、126も互いに重なり合う同一位置に形成されている。
【0125】
図17〜図19に図示したインダクタンス素子では、第1〜第4番目の絶縁層101〜104を、この順序で順次に配置した絶縁基体10において、第2の導体配線111〜116は、第1番目の絶縁層101と第2番目の絶縁層102とが隣接する面、及び、第4番目の絶縁層104の面であって、第3番目の絶縁層103と隣接する面とは反対側の面に位置している。従って、第2の導体配線111〜116は、最大、第2番目の絶縁層102、第3番目の絶縁層103及び第4番目の絶縁層104の各厚みを加算した大きな巻半径を有して、第4番目の絶縁層104の周りを周回する。
【0126】
一方、第1の導体配線121〜127は、第2番目の絶縁層102と第3番目の絶縁層103とが隣接する面、及び、第3番目の絶縁層103と第4番目の絶縁層104とが隣接する面に位置している。従って、第1の導体配線121〜127は、第3番目の絶縁層103の厚みによってほぼ定まる巻半径を有して、巻軸の周りを周回する。当然のことであるが、第1の導体配線121〜127による巻半径は、第2の導体配線111〜116の巻半径よりも小さくなる。
【0127】
上述したように、巻半径の大きな第2の導体配線111〜116と、巻半径がこれよりも小さな第1の導体配線121〜127とを、第3番目の絶縁層103の周りに周回させるものであるから、絶縁基体10の層数を利用してコイルタ−ン数を増大させることができる。このため、従来と同一の材料を用い、同一の形状設計をした場合でも、高いインダクタンス値を取得し得る。
【0128】
しかも、第2の導体配線111〜116及び第1の導体配線121〜127は、絶縁基体10を構成する第2〜第4番目の絶縁層102〜104を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続されているから、スルーホール導体の長さは第2〜第4番目の絶縁層102〜104の層厚になる。このように、絶縁基体10は、複数層101〜104に分かれており、各絶縁層は、例えば、50μm〜200μmの微小厚みに設定することができるから、スルーホール導体の長さを縮小し、スルーホール内へのペ−スト充填またはスルーホールメッキを、確実、かつ、完全に実行することができる。スルーホールは、その径に対して長さが6倍を越えないように設定する。
【0129】
絶縁基体10の全体の厚み、又は、絶縁層101〜104のうち、例えば、中心部に位置する第3番目の絶縁層103の厚みは、所定の特性が得られるような値に設定することができる。従って、スルーホール導体の長さを短くして、その電気的接続の信頼性を確保しつつ、所望の電気的特性を得ることができる。
【0130】
次に、図17〜図19に示した実施例を、第2の態様に係る発明の観点から説明する。第2の態様に係る発明において、絶縁基体10は、4以上の偶数nで表されるn層の絶縁層を含み、前記絶縁層は順次に積層されている。第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置される。
【0131】
第mの導体配線は、m<(n/2)のときは、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。
【0132】
第mの導体配線は、m=n/2のときは、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。
【0133】
次に、第2の態様について、図17〜図19の実施例をあてはめる。実施例において、n=4の場合であるから、絶縁基体10は、第1〜第4番目の絶縁層101〜104を含み、第1〜第4番目の絶縁層101〜104はこの順序で順次に積層されている。
【0134】
導体配線は、第1の導体配線121〜127と、第2の導体配線111〜116とを含む。第2の導体配線111〜116は、
m=n/2
=2
を満たす場合に相当する。第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線114〜116は、まず、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に形成される。上記式にn=4、m=2を代入すると、第2の導体配線114〜127は、第4番目の絶縁層104の面であって第3番目の絶縁層103と隣接する面とは反対側の面に形成されることになるから、図17〜図19の図示と一致する。
【0135】
第2の導体配線111〜113は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面にも形成される。上記式にn=4、m=2を代入すると、第2の導体配線111〜114は、第1番目の絶縁層101の面であって第2番目の絶縁層102と隣接する面にも形成されることになるから、図17〜図19の図示と一致する。
【0136】
第1の導体配線121〜127は、m=1(<n/2)の場合に相当する。まず、第1の導体配線121〜127のうち、第1の導体配線124〜127は、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=4、m=1を代入すると、第1の導体配線124〜127は、第3番目の絶縁層103の面であって、第4番目の絶縁層104と隣接する面に形成されることになるから、図17〜図19の図示と一致する。
【0137】
第1の導体配線121〜123は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面にも形成されている。上記式にn=4、m=1を代入すると、第1の導体配線121〜123は、第2番目の絶縁層102の面であって、第3番目の絶縁層103と隣接する面にも形成されることになるから、図17〜図19の図示と一致する。
【0138】
この第2の態様に係るインダクタンス素子は、積層完了後は、第1の態様と同一の配置構造になるから、第1の態様に係るインダクタンス素子と同じ作用効果を奏する。
【0139】
図20は本発明に係るインダクタンス素子の別の実施例における積層構造を示す分解斜視図、図21は図20に示したインダクタンス素子の結線構造をより解り易く示す上半分の拡大分解図、図22は同じく下半分の拡大分解図である。図21及び図22は、図面表示の限界から、図20の配置を上半分及び下半分分割して表示したもので、図21の接続経路A〜Pが図22の接続経路A〜Pに一致する。
【0140】
図示されたインダクタンス素子は、n=6の場合である。絶縁基体10は、第1〜第6番目の絶縁層101〜106を含み、第1〜第6番目の絶縁層101〜106はこの順序で順次に配置されている。絶縁層101〜106が6層であるので、導体配線161〜166が追加されている点を除けば、図17〜図19の実施例と、本質的に異なるところはない。
【0141】
第3の導体配線161〜163は、第1番目の絶縁層101と第2番目の絶縁層102とが隣接する面に位置している。第3の導体配線164〜166は、第6番目の絶縁層106の面であって、第5番目の絶縁層105と隣接する面とは反対側の面に位置している。
【0142】
第2の導体配線111〜113は、第2番目の絶縁層102と第3番目の絶縁層103とが隣接する面に位置している。第2の導体配線114〜116は、第5番目の絶縁層105と第6番目の絶縁層106とが隣接する面に位置している。
【0143】
第1の導体配線121〜123は、第3番目の絶縁層103と第4番目の絶縁層104とが隣接する面に位置している。第1の導体配線124〜127は、第4番目の絶縁層104と第5番目の絶縁層105とが隣接する面に位置している。
【0144】
第3の導体配線161〜166、第2の導体配線111〜116及び第1の導体配線121〜127は、基本的には隣り合う2つの絶縁層間にあればよいことは、図17〜図19の実施例と同様である。図示実施例では、第1番目の絶縁層101の一面に第3の導体配線161〜163を有する。
【0145】
第2番目の絶縁層102は一面が第1番目の絶縁層101の一面に隣接し、他面に第2の導体配線111〜113を有している。第2番目の絶縁層102には、第1番目の絶縁層101に設けられた第3の導体配線161〜163と向き合う位置に、必要な数だけのスルーホール導体171〜176が設けられている。スルーホール導体171〜173は、第1番目の絶縁層101に設けられた第3の導体配線161〜163の一端部と対向する位置にあり、スルーホール導体174、176は、第3の導体配線161、163の他端部と対向する位置にある。スルーホール導体175は、第1番目の絶縁層101に設けられた第3の導体配線162の一端と対向する位置に設けられている。
【0146】
第3番目の絶縁層103は一面が第2番目の絶縁層102の一面に隣接し、他面に第1の導体配線121〜123を有している。第3番目の絶縁層103には、必要な数だけのスルーホール導体131〜136、スルーホール導体180〜185が設けられている。スルーホール導体131〜133は、第2番目の絶縁層102に設けられた第2の導体配線111〜113の一端部と対向する位置にあり、スルーホール導体134、135は、第2の導体配線111、113の他端部と対向する位置にある。スルーホール導体136は、第2番目の絶縁層102に設けられた第2の導体配線112の一端と対向する位置に設けられている。スルーホール導体181〜183、185は、第2番目の絶縁層102に設けられたスルーホール導体171、172、174、176と対向する位置にあり、スルーホール導体180、184は、第2番目の絶縁層102に設けられたスルーホール導体173、175と対向する位置にある。
【0147】
第1の導体配線121は、第2番目の絶縁層102に設けられた第2の導体配線111とほぼ対向する位置にあり、その一端のランドがスルーホール導体131から間隔を隔てるとともに、中間で屈曲する。第1の導体配線122は、一端がスルーホール導体132よりも少し内側に位置し、他端がスルーホール導体180に連続すべく、直線状に延びている。
【0148】
第1の導体配線123は、第2番目の絶縁層102に設けられた第2の導体配線113と対向する位置に、第2の導体配線113よりも短く形成されている。第1の導体配線123の一端は、スルーホール導体133と間隔を隔てており、他端はスルーホール導体135と間隔を隔てている。
【0149】
第4番目の絶縁層104は、一面が第3番目の絶縁層103の他面に隣接して積層され、他面に第1の導体配線124〜127を有する。第4番目の絶縁層104はスルーホール導体141〜150、及び、スルーホール導体190〜195を有する。スルーホール導体141は、第3番目の絶縁層103に設けられたスルーホール導体131と重なる位置にあり、スルーホール導体142はスルーホール導体132と重なる位置にあり、スルーホール導体143は、スルーホール導体134と重なる位置にある。スルーホール導体144は、第3番目の絶縁層103において、スルーホール導体184と重なる位置にある。
【0150】
スルーホール導体145は、第3番目の絶縁層103に設けられたスルーホール導体135と重なる位置にある。スルーホール導体146は、第1の導体配線121の一端であって、スルーホール導体131と隣接する位置に設けられたランドと重なる位置にある。スルーホール導体147は、第1の導体配線122の一端に設けられたランドと重なる位置にある。
【0151】
スルーホール導体148は、第1の導体配線123において、スルーホール導体133と間隔を隔てるランドと重なる位置にある。スルーホール導体149は、スルーホール導体136と重なる位置にある。スルーホール導体150は、第1の導体配線123において、スルーホール導体135と間隔を隔てるランドと重なる。
【0152】
第1の導体配線124は、スルーホール導体143とスルーホール導体146との間に直線状に形成されている。第1の導体配線125はスルーホール導体147とスルーホール導体149との間に直線状に形成されている。第1の導体配線126は一端がスルーホール導体190に連なり、他端が、第5の絶縁層105に設けられたスルーホール導体203と重なる。第1の導体配線127は、一端がスルーホール導体150に連なり、他端が、第4番目の絶縁層104の巻軸方向Xの側端面に導出されている。スルーホール導体191〜193、195は、第3番目の絶縁層103のスルーホール導体181〜183、185と重なり、スルーホール導体190は、第3番目の絶縁層103のスルーホール導体133と重なり、スルーホール導体194は、第3番目の絶縁層103の第1の導体配線121の端部と重なる。
【0153】
第5番目の絶縁層105は、一面が第4番目の絶縁層104の他面に隣接し、他面に第2の導体配線114〜116を有している。第5番目の絶縁層105は、スルーホール導体151〜156、スルーホール導体201〜206を有する。スルーホール導体151は第4番目の絶縁層104に設けられたスルーホール導体141と重なり、スルーホール導体152はスルーホール導体142と重なる。スルーホール導体153は、第4番目の絶縁層104に設けられた第2の導体配線116において、スルーホール導体148に重なる。
【0154】
スルーホール導体154は第4番目の絶縁層104に設けられたスルーホール導体144と重なり、スルーホール導体155はスルーホール導体145と重なる。第2の導体配線114は、一端がスルーホール導体151に連なり、他端がスルーホール導体206に連なる。第2の導体配線115は、両端がスルーホール導体152及びスルーホール導体154に連続している。第2の導体配線116は、両端がスルーホール導体153及びスルーホール導体155に連続している。
【0155】
スルーホール導体201、202、206、204、205は、第4番目の絶縁層104に設けられたスルーホール導体191〜195に重なり、スルーホール導体203は、第4番目の絶縁層104に設けられた第1の導体配線126の端部に重なる。
【0156】
第6番目の絶縁層106は、一面が第5番目の絶縁層105の他面に隣接し、他面に第3の導体配線164〜165を有している。第6番目の絶縁層105は、スルーホール導体301〜305を有する。スルーホール導体301〜305は第5番目の絶縁層105に設けられたスルーホール導体201〜205と重なる。
【0157】
第3の導体配線164は、一端がスルーホール導体301に連なり、他端が、第6番目の絶縁層106の巻軸方向Xの側端面に導出されている。第3の導体配線164の導出された側端面は、第4番目の絶縁層104に設けられた第1の導体配線127の導出された側端面とは反対側に位置する。
【0158】
第3の導体配線165は、両端がスルーホール導体302及びスルーホール導体304に連続している。第3の導体配線166は、両端がスルーホール導体303及びスルーホール導体305に連続している。
【0159】
第1〜第6番目の絶縁層101〜106を重ねた場合、第3の導体配線161〜166、第2の導体配線111〜116及び第1の導体配線121〜127は、第2〜第6番目の絶縁層102〜106を貫通するスルーホール導体131〜305によって電気的に接続され、半タ−ン以上の長さで交互に連なり、かつ、積層の方向と直交する方向Xに巻き進む。参照符号で経路を示すと次の通りである。
【0160】
外部端子電極21−第3の導体配線164−スルーホール導体(301−201−191−181−171)−第3の導体配線161−スルーホール導体(174−183−193−206)−第2の導体配線114−スルーホール導体(151−141−131)−第2の導体配線111−スルーホール導体(134−143)−第1の導体配線124−スルーホール導体146−第1の導体配線121−スルーホール導体(194−204−304)−第3の導体配線165−スルーホール導体(302−202−192−182−172)−第3の導体配線162−スルーホール導体(175−184−144−154)−第2の導体配線115−スルーホール導体(152−142−132)−第2の導体配線112−スルーホール導体(136−149)−第1の導体配線125−スルーホール導体147−第1の導体配線122−スルーホール導体(180−173)−第3の導体配線163−スルーホール導体(176−185−195−205−305)−第3の導体配線166−スルーホール導体(303−203)−第1の導体配線126−スルーホール導体(190−133)−第2の導体配線113−スルーホール導体(135−145−155)−第2の導体配線116−スルーホール導体(153−148)−第1の導体配線123−スルーホール導体150−第1の導体配線127−外部端子電極22。
【0161】
上述したように、図示実施例においては、巻半径の大きな第3の導体配線161〜166と、巻半径がこれよりも小さな第2の導体配線111〜116と、巻半径が更に小さな第1の導体配線121〜127を、共通の巻軸の周りに周回させるものであるから、絶縁基体10の厚みを利用してコイルターン数を増大させることができる。このため、従来と同一の材料を用い、同一の形状設計をした場合でも、高いインダクタンス値を取得し得る。
【0162】
しかも、第3の導体配線161〜166、第2の配線導体111〜116及び第1の導体配線121〜127は、第2〜第6番目の絶縁層102〜106を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続されているから、スルーホール導体の長さは第2〜第6番目の絶縁層102〜106の層厚になることは、既に述べた通りである。
【0163】
図示は省略するが、図17〜図19に示した実施例と同様の作用効果が得られること、及び、より多層のインダクタンス素子も実現できる事は、言うまでもない。
【0164】
次に、図20〜図22に示した実施例を、第2の態様に係る発明の観点から説明する。図20〜図22の実施例は、n=6の場合であるから、絶縁基体10は、第1〜第6番目の絶縁層101〜106を含み、第1〜第6番目の絶縁層101〜106はこの順序で順次に積層されている。
【0165】
導体配線は、第1の導体配線121〜127と、第2の導体配線111〜116と、第3の導体配線161〜166とを含む。第3の導体配線161〜166は、
m=n/2
=3
を満たす場合に相当する。第3の導体配線161〜166のうち、第3の導体配線164〜166は、まず、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に形成される。上記式にn=6、m=3を代入すると、第3の導体配線164〜166は、第{(6/2)+3}番目の絶縁層の面であって、第{(6/2)+3−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に形成される。即ち、第3の導体配線164〜166は、第6番目の絶縁層の面であって、第5番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に形成されることになるから、図20〜図22の図示と一致する。
【0166】
次に、第3の導体配線161〜166のうち、第3の導体配線161〜163は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=6、m=3を代入すると、第3の導体配線161〜163は、第{(6/2)+1−3}番目の絶縁層の面であって第{(6/2)+1−(3−1)}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。即ち、第3の導体配線161〜163は、第1番目の絶縁層101の面であって第2番目の絶縁層102と隣接する面に形成されることになるから、図20〜図22の図示と一致する。
【0167】
第1の導体配線121〜127は、m=1(<n/2)の場合に相当し、まず、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=6、m=1を代入すると、第1の導体配線121〜127のうち、第1の導体配線124〜127は、第4番目の絶縁層104の面であって、第5番目の絶縁層105と隣接する面に形成されることになるから、図20〜図22の図示と一致する。
【0168】
第1の導体配線121〜127のうち、第1の導体配線121〜123は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面にも形成されている。上記式にn=6、m=1を代入すると、第1の導体配線121〜123は、第3番目の絶縁層103の面であって、第4番目の絶縁層103と隣接する面にも形成されることになるから、図20〜図22の図示と一致する。
【0169】
第2の導体配線111〜116は、m=2(<n/2)の場合に相当し、まず、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=6、m=2を代入すると、第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線114〜116は、第5番目の絶縁層105の面であって、第6番目の絶縁層106と隣接する面に形成されることになるから、図20〜図22の図示と一致する。
【0170】
第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線111〜113は、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面にも形成されている。上記式にn=6、m=2を代入すると、第2の導体配線111〜113は、第2番目の絶縁層102の面であって、第3番目の絶縁層103と隣接する面に形成されることになるから、図20〜図22の図示と一致する。
【0171】
3.第3の態様に係るインダクタンス素子
図23は第3の態様に係るインダクタンス素子を示す図である。第3の態様に係るインダクタンス素子は、絶縁層101〜105を有機絶縁材料または複合材料で構成し、ビルドアップ法またはスタック法によって構成する場合に適している。
【0172】
ビルドアップ法による場合は、まず、コアとなる第3の絶縁層103を作る。第3の絶縁層103の製造に当たっては、絶縁樹脂材料または複合材料のワニスから、プリプレグ(乾燥/Bステージ状態)を形成し、その両面に銅箔を貼り付け、硬化させ、銅箔をエッチングしてパターニングする。次に、スルーホールを形成し、スルーホールに穴メッキを施す。
【0173】
一方、銅箔の一方面に、上記ワニスを塗布し、乾燥(Bステージ状態)した樹脂付金属箔を用意する。この樹脂付金属箔を、コア基板の両面に、樹脂層側を向き合わせながら積層し、プレスし、硬化させ、第3の絶縁層103の両面に、第2の絶縁層102、第4の絶縁層104を積層する。次に、エッチングによって金属箔をパターニングし、スルーホールを開け、スルーホールに穴メッキを施す。
【0174】
次に、第2の絶縁層102及び第4の絶縁層104に、それらの工程と同じ工程にしたがって、第1の絶縁層101及び第5の絶縁層105を積層する。尚、絶縁層101、105は最外層となるため金属箔を有する必要はない。
【0175】
導体配線112〜116、121〜127のパターン、及び、スルーホール導体などは、図9に示したものと同じであり、ただ、導体配線と絶縁層との相対関係が異なる。第3の態様に係るインダクタンス素子の構成要件は、次の通りである。
【0176】
絶縁基体10は、4以上の偶数nで表されるn層の絶縁層を含む。前記絶縁層は順次に積層されている。導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置されている。
【0177】
第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、m<(n/2)のときは、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面、及び、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。
【0178】
第mの導体配線は、m=n/2のときは、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面、及び、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。
【0179】
次に、第3の態様の構成要件に、図23の実施例をあてはめる。図示実施例は、n=4の場合を示し、導体配線は、第1の導体配線121〜127と、第2の導体配線111〜116とを含む。第2の導体配線111〜116は、
m=n/2
=2
を満たす場合に相当する。第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線114〜116は、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に形成される。上記式にn=4、m=2を代入すると、第2の導体配線114〜116は、第{(4/2)+2}番目の絶縁層の面であって、第{(4/2)+2−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に形成される。第2の導体配線114〜116は、第4番目の絶縁層104の面であって、第3番目の絶縁層104と隣接する面とは反対側の面に形成されることになるから、図23の図示と一致する。
【0180】
第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線111〜113は、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。上記式にn=4、m=2を代入すると、第2の導体配線111〜113は、第{(4/2)+1−(2−1)}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−2}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されている。即ち、第2の導体配線111〜113は、第2番目の絶縁層102の面であって第1番目の絶縁層101と隣接する面に、それぞれ形成されることになるから、図23の図示と一致する。
【0181】
次に、第1の導体配線121〜127は、m=1(<n/2)のときに相当する。第1の導体配線121〜127のうち、第1の導体配線124〜127は、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=4、m=1を代入すると、第1の導体配線124〜127は、第3番目の絶縁層103の面であって、第4番目の絶縁層104と隣接する面に形成されることになるから、図23の図示と一致する。
【0182】
第1の導体配線121〜127のうち、第1の導体配線121〜123は、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=4、m=1を代入すると、第1の導体配線121〜123は、第3番目の絶縁層103の面であって、第2番目の絶縁層102と隣接する面にも形成されることになるから、図23の図示と一致する。
【0183】
この第3の態様に係るインダクタンス素子も、積層完了後は、第1の態様と同一の配置構造になるから、第1の態様に係るインダクタンス素子と同じ作用効果を奏する。
【0184】
<実施例>
ビルドアップ法を適用して、インダクタンス素子を製造した。まず、比誘電率3.5の有機樹脂材料を用いて、コアとなる第3の絶縁層103を作った。第3の絶縁層103の製造に当たっては、絶縁樹脂材料または複合材料のワニスから、プリプレグ(乾燥/Bステージ状態)を形成し、その両面に銅箔を貼り付け、プレスし硬化させ、銅箔をエッチングしてパターニングした。次に、スルーホールを形成し、スルーホールに穴メッキを施し、スルーホール導体を形成した。スルーホール導体は、無電解メッキ処理を施した後、電解メッキ処理を実行することにより形成した。電解メッキ液には硫酸銅メッキ液を用いた。硫酸銅メッキ液は、5水塩CuSOに、5HOを100(g/l)、HSOを200(g/l)を添加したものである。
【0185】
一方、銅箔の一方面に、上記ワニスを塗布し、乾燥(Bステージ状態)した樹脂付金属箔を用意した。この樹脂付金属箔を、第3番目の絶縁層103の両面に、樹脂層側を向き合わせながら積層し、プレスし、硬化させ、第2の絶縁層102、第4の絶縁層104を形成た。次に、エッチングによって、第2の絶縁層102、第4の絶縁層104の金属箔をパターニングし、スルーホールを開け、スルーホールに穴メッキを施す。
【0186】
次に、第2の絶縁層102及び第4の絶縁層104に、それらの工程と同じ工程にしたがって、第1の絶縁層101及び第5の絶縁層105を積層した。
【0187】
上記製造工程を経ることにより、図1〜図3に示すインダクタンス素子を製造した。得られたインダクタンス素子の構成は次の通りである。
スルーホール導体径:50μm
ピッチ幅:100μm
導体配線幅/間隔G1、G2:(50μm/50μm)
導体配線厚み:50μm
第2番目の絶縁層102、第4番目の絶縁層104の厚み
:50μm
第3番目の絶縁層103の厚み:200μm
【0188】
比較例として、特許文献1に記載されたコイル構造を持つインダクタンス素子を、次の条件で製造した。
スルーホール導体径:50μm
ピッチ幅:100μm
導体配線幅/間隔:(50μm/50μm)
導体配線厚み:50μm
絶縁層の厚み:300μm
タ−ン数:3タ−ン
上記実施例と比較例とを対比したところ、実施例によれば、比較例の1.3倍のインダクタンスを得ることができた。またスルーホール導体の不連続不良率については、比較例の場合、50%にも達したが、実施例の場合は0%であり、大幅に改善された。これは、比較例では(スルーホール径/絶縁層の厚)が(1/6)であるのに対し、実施例では(1/4)になっているためである。
【0189】
図24は第3の態様に係るインダクタンス素子の別の実施例を示す図である。図において、図23に表れた構成部分に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。
【0190】
図示実施例は、n=6の場合を示し、導体配線は、第1の導体配線121〜127と、第2の導体配線111〜116と、第3の導体配線161〜166とを含む。第3の導体配線161〜166は、
m=n/2
=3
を満たす場合に相当する。第3の導体配線161〜166のうち、第3の導体配線164〜166は、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に形成される。上記式にn=6、m=3を代入すると、第3の導体配線164〜166は、第{(6/2)+3}番目の絶縁層の面であって、第{(6/2)+3−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面に形成される。即ち、第3の導体配線164〜166は、第6番目の絶縁層106の面であって、第5番目の絶縁層105と隣接する面とは反対側の面に形成されることになるから、図24の図示と一致する。
【0191】
次に、第2の導体配線111〜116は、m=2(<n/2)のときに相当する。第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線114〜116は、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=6、m=2を代入すると、第2の導体配線114〜116は、第{(6/2)+1+(2−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(6/2)+1+2}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。即ち、第2の導体配線114〜116は、第5番目の絶縁層105の面であって、第6番目の絶縁層106と隣接する面に形成されることになるから、図24の図示と一致する。
【0192】
第2の導体配線111〜116のうち、第2の導体配線111〜113は、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=6、m=2を代入すると、第2の導体配線111〜113は、第{(6/2)+1−(2−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(6/2)+1−2}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。即ち、第2の導体配線111〜113は、第3番目の絶縁層103の面であって、第4番目の絶縁層と隣接する面に形成されることになるから、図24の図示と一致する。
【0193】
次に、第1の導体配線121〜127は、m=1(<n/2)のときに相当する。第1の導体配線121〜127のうち、第1の導体配線124〜127は、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=6、m=1を代入すると、第1の導体配線124〜127は、第{(6/2)+1+(1−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(6/2)+1+1}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。即ち、第1の導体配線124〜127は、第4番目の絶縁層104の面であって、第5番目の絶縁層105と隣接する面に形成されることになるから、図24の図示と一致する。
【0194】
第1の導体配線121〜127のうち、第1の導体配線121〜123は、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。上記式にn=6、m=1を代入すると、第1の導体配線121〜123は、第{(6/2)+1−(1−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(6/2)+1−1}番目の絶縁層と隣接する面に形成される。即ち、第1の導体配線121〜123は、第4番目の絶縁層104の面であって、第3番目の絶縁層と隣接する面に形成されることになるから、図24の図示と一致する。
【0195】
図示実施例では、チップ型のインダクタンス素子を示したが、他の回路部品を搭載した多層基板、例えばモジュ−ルを構成する多層基板内に、その一部の構成部分として、本発明を適用したインダクタンス回路部を設けてもよい。
【0196】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果が得られる。
(a)同一の材料及び形状の設計において、高いインダクタンス値を取得し得るインダクタンス素子を提供することができる。
(b)スルーホールの不良率を大幅に低減し得るインダクタンス素子を提供することができる。
(c)取得インダクタンス値のばらつきの少ないインダクタンス素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインダクタンス素子の斜視図である。
【図2】図1に示したインダクタンス素子の断面図である。
【図3】図1の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明に係るインダクタンス素子の別の実施例を示す斜視図である。
【図5】図4に示したインダクタンス素子の断面図である。
【図6】本発明に係るインダクタンス素子の更に別の実施例を示す斜視図である。
【図7】図6に示したインダクタンス素子の断面図である。
【図8】本発明に係るインダクタンス素子の更に別の実施例を示す斜視図である。
【図9】図8に示したインダクタンス素子の断面図である。
【図10】本発明に係るインダクタンス素子の更に別の実施例を示す断面図である。
【図11】図10の11−11線に沿った断面図である。
【図12】本発明に係るインダクタンス素子の更に別の実施例を示す断面図である。
【図13】本発明に係るインダクタンス素子の更に別の実施例を示す断面図である。
【図14】本発明に係るインダクタンス素子の更に別の実施例を示す断面図である。
【図15】本発明に係るインダクタンス素子の更に別の実施例を示す断面図である。
【図16】図1に示したインダクタンス素子の積層構造を示す分解斜視図である。
【図17】図2に示したインダクタンス素子の結線構造を示す図である。
【図18】図17に示した結線構造をより解り易く示す下半分の拡大分解図である。
【図19】図17に示した結線構造をより解り易く示す上半分の拡大分解図である。
【図20】本発明に係るインダクタンス素子の別の実施例における積層構造を示す分解斜視図である。
【図21】図20に示したインダクタンス素子の結線構造をより解り易く示す上半分の拡大分解図である。
【図22】図20に示したインダクタンス素子の結線構造をより解り易く示す下半分の拡大分解図である。
【図23】本発明に係るインダクタンス素子の別の実施例における積層構造を示す分解図である。
【図24】本発明に係るインダクタンス素子の別の実施例における積層構造を示す分解図である。
【符号の簡単な説明】
101 第1番目の絶縁層
102 第2番目の絶縁層
103 第3番目の絶縁層
104 第4番目の絶縁層
105 第5番目の絶縁層
106 第6番目の絶縁層
121〜127 第1の導体配線
111〜116 第2の導体配線
161〜166 第3の導体配線
131〜305 スルーホール導体

Claims (6)

  1. 絶縁基体と、導体配線とを含むインダクタンス素子であって、
    前記絶縁基体は、4以上の偶数nで表されるn層の絶縁層を含み、前記絶縁層は順次に配置されており、
    前記導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置され、
    第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、
    m<(n/2)のときは、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層と第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層とが隣接する面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置し、
    m=n/2のときは、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層とが隣接する面に位置し、
    前記導体配線は、前記絶縁層を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、前記第{(n/2)+1}番目の絶縁層の周りを周回するコイルが構成されている
    インダクタンス素子。
  2. 絶縁基体と、導体配線とを含むインダクタンス素子であって、
    前記絶縁基体は、4以上の偶数nで表されるn層の絶縁層を含み、前記絶縁層は順次に積層されており、
    前記導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置され、
    第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、
    第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置され、
    m<(n/2)のときは、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されており、
    m=n/2のときは、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面、及び、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されており、
    前記導体配線は、前記絶縁層を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、前記第{(n/2)+1}番目の絶縁層の周りを周回するコイルが構成されている
    インダクタンス素子。
  3. 絶縁基体と、導体配線とを含むインダクタンス素子であって、
    前記絶縁基体は、4以上の偶数nで表されるn層の絶縁層を含み、前記絶縁層は順次に積層されており、
    前記導体配線は、第{(n/2)+1}番目の絶縁層を中間にして、その両側に配置されており、
    第m(m=1、2、3、...、n/2)の導体配線は、
    m<(n/2)のときは、第{(n/2)+1+(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1+m}番目の絶縁層と隣接する面、及び、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって、第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されており、
    m=n/2のときは、第{(n/2)+m}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+m−1}番目の絶縁層と隣接する面とは反対側の面、及び、第{(n/2)+1−(m−1)}番目の絶縁層の面であって第{(n/2)+1−m}番目の絶縁層と隣接する面に、それぞれ形成されており、
    前記導体配線は、前記絶縁層を貫通するスルーホール導体によって電気的に接続され、それによって、前記第{(n/2)+1}番目の絶縁層の周りを周回するコイルが構成されている
    インダクタンス素子。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載されたインダクタンス素子であって、前記コイルは、同一位置で周回するインダクタンス素子。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載されたインダクタンス素子であって、前記コイルは、巻軸方向に変位しながら周回するインダクタンス素子。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載されたインダクタンス素子であって、第{(n/2)+1}番目の絶縁層は、他の絶縁層よりも厚いインダクタンス素子。
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