JP2004302456A - 表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】隔壁内に透明液体を満たした表示装置の反射率を向上する。
【解決手段】 間隙を開けて配置された表示基板及び後方基板、それらの基板の間隙に配置された透明液体、光を透過し得る材料にて形成されると共にそれらの基板の間隙に配置された隔壁、隔壁と後方基板の間に配置された遮光層、および後方基板に配置され表示基板の外部から入射した光を反射する光散乱層を備えた表示装置であって、
隔壁の屈折率が、透明液体の屈折率より大きく、かつ、表示基板の外部から所定の角度以上の入射角で入射した光のうち隔壁内に入射した光が隔壁側面で全反射せず屈折して透明液体内に出る条件に設定されていることを特徴とする表示装置。
【選択図】 図2

Description

本発明は、表示媒体として透明液体を含む表示装置に関する。
情報機器の発達に伴い、低消費電力且つ薄型の表示装置のニーズが増しており、これらニーズに合わせた表示装置の研究、開発が盛んに行われている。中でも液晶表示装置は、こうしたニーズに対応できる表示装置として活発な開発が行われ商品化されている。しかしながら、現在の表示装置には、画面を見る角度や、反射光により画面上の文字が見ずらく、また光源のちらつき・低輝度等から生じる視覚へ負担が重いという問題があり、この問題が未だ十分に解決されていない。このため、低消費電力、視覚への負担軽減などの観点から反射型表示装置が期待されている。
この反射型表示装置としては、液晶表示装置以外に、透明な絶縁性液体中の帯電粒子を移動させて表示を行う電気泳動表示装置がある。
この電気泳動表示装置は、例えば特許文献1に提案されているように,一対の基板が所定間隙を開けた状態に配置されて構成されており、その基板間隙には絶縁性液体や帯電粒子が配置されている。そして、この絶縁性液体に近接するように一対の電極が配置されていて、これらの電極に電圧を印加することにより帯電粒子を移動するように構成されている。
このような電気泳動表示装置では、表示品質の点から、帯電粒子が他の画素へ自由に移動しないようにする必要があり、特許文献2や特許文献3には画素境界部に隔壁を配置して帯電粒子の移動を防止するようにしたものが提案されている。
米国特許第3612758号公報 米国特許第6327072号公報 米国特許第6639580号公報
ところで、上述のような電気泳動表示装置を反射型表示装置として用いた場合、白表示を行う場合の反射率は20〜30%程度で極めて低く(印刷物の白表示のような55%前後の反射率には遠く及ばず)、表示が見にくいという問題があった。
そこで、本発明は、光反射率の低下を防止する表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、間隙を開けて配置された表示基板及び後方基板、それらの基板の間隙に配置された透明液体、光を透過し得る材料にて形成されると共にそれらの基板の間隙に配置された隔壁、隔壁と後方基板の間に配置された遮光層、および後方基板に配置され表示基板の外部から入射した光を反射する光散乱層を備えた表示装置であって、
隔壁の屈折率が、透明液体の屈折率より大きく、かつ、表示基板の外部から所定の角度以上の入射角で入射した光のうち隔壁内に入射した光が隔壁側面で全反射せず屈折して透明液体内に出る条件に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、表示装置において光反射率を向上させることが出来る。
以下、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係る表示装置は、図1に符号Dで示すように、所定間隙を開けた状態に配置された表示基板1及び後方基板2を備えており、それらの基板1,2の間隙には隔壁3が配置されている。また、それらの基板1,2の間隙には絶縁性液体4や複数の帯電粒子5が配置されており、前記絶縁性液体4に近接するように第1電極6が配置され、前記隔壁3に接するように第2電極7が配置されている。
この表示装置は、いわゆる反射型のものであって、表示基板1を透明にして光が入射されるように構成され、後方基板2においては入射された光が反射されるように構成されている。つまり、本明細書において表示基板1とは、観察者側に配置される方の基板を意味し、他方の基板を“後方基板”と称するものとする。つまり、本実施の形態に係る表示装置では、電極6,7に電圧を印加して前記帯電粒子5を移動させると共に上述のように光を入射及び反射させることに基づき表示を行うように構成されている。
ところで、後方基板2で光を反射させる方法としては、
・ 後方基板2の側に光散乱層(図1の符号8参照)や光反射層を設ける方法、
・ 後方基板2の側に配置した第1電極6に光散乱層を兼用させる方法、
を挙げることができる。
また、上述した隔壁3は、光を透過し得る材料にて形成されており、しかも、この第2電極7が配置された部分では光を遮蔽するように構成されている。かかる遮蔽は、光散乱層8に入射する光量を大きくして表示の明るさとコントラストを向上させるためや、カラー表示の際の混色防止、スイッチング素子に対する遮光などの目的のために必要である。
ここで、第2電極7が配置された部分で光を遮蔽するための方法としては、
・ 第2電極7を覆うように遮光層9を設ける方法、
・ 第2電極7に遮光層を兼用させる方法、
を挙げることができる。
図1に示す電気泳動表示装置では、第1電極6は、第2電極7と同様に後方基板2に支持されている。すなわち、帯電粒子5が前記第1電極6と前記第2電極7との間を前記後方基板2に沿うように移動する“水平移動型”である。これ以外に、帯電粒子5が基板の法線方向に沿って移動するようにした“上下移動型”の電気泳動表示装置もあるが、本発明は後方基板面から反射する光の反射率を高くするものであるから、水平移動型に適用される。なお、水平移動型の場合、第1電極6を配置した領域を白色にし、帯電粒子5を黒色とした場合、
・ 帯電粒子5が第2電極7に引き寄せられた場合には白色表示がなされ、
・ 帯電粒子5が第1電極6に引き寄せられた場合には黒色表示がなされる、
こととなる。
以下、電気泳動表示装置を例に説明するが、液体が透明(又はほぼ透明)で、後方基板での反射を利用する表示装置であれば本発明が適用できるので,通常の液晶表示装置であってもよいことは言うまでもない。
反射率を大きくするための条件について下記(1)〜(7)に説明する。
(1) 電気泳動表示装置の構成について
電気泳動表示装置においては、一般的に、セグメント駆動やマトリックス駆動を行う際に帯電粒子が他の画素に移動してしまわないようにするため(つまり、各画素の帯電粒子の偏りを防止するため)、基板間隙には隔壁3が配置されている。さらに,後方基板2には光散乱層8が形成され、隔壁3と後方基板2との間に配置された電極7には遮光層9が配置されている。
隔壁3は後方基板に入射する光量を出来るだけ大きくするため、光透過性の材料で構成される。基板に垂直に入射した光は遮光層9に吸収されるが、隔壁3が光を透過しない場合は、斜め方向から入射した光も吸収されてしまい、後方基板に達する光が極めて少なくなる。そのため、後方基板の散乱層8の反射率をいくら高くしても基板全体としての反射率は高くならない。斜め方向からの光も有効に利用して明るくするために隔壁は透明であることが必要である。
(2) 光の経路について
このような電気泳動表示装置において、光が照射され反射される経路は(2-1)〜(2-4)
のように様々であり、その中には、隔壁内に侵入する光もある。
(2-1) 図2に符号20で示す経路から入射された光
図2に示すように、符号20で示す経路から入射された光は、表示基板1にて多少屈折するものの、絶縁性液体4を透過して光散乱層8にまで到達し(符号21参照)、光散乱層8にて拡散反射される(符号22参照)。その拡散反射光の内、絶縁性液体4及び表示基板1を再透過した光(図3の符号23参照)により表示が認識されることとなる。
絶縁性液体を再透過した光の一部は表示基板1の表面で反射されて(図3の符号24参照)隔壁内に入り、隔壁側面で全反射されて遮光層9に吸収される(図3の符号25参照)。
(2-2) 図2に符号30で示す経路から入射された光
符号30で示す経路から入射された光は、絶縁性液体4を透過して隔壁3に侵入する(符号31参照)。
(2-3) 図2に符号40で示す経路から入射された光
符号40で示す経路から入射された光は、絶縁性液体4には入射されずに隔壁3に侵入する(符号41参照)。
(2-4) 上記(2-1)のように拡散反射された後の光
上記(2-1) のように拡散反射された光22は、例えば図3に符号23で示すような経路を取って表示基板1を透過するが、5〜6%程度の光は、符号24で示すように界面(表示基板1と空気との界面)にて反射されてしまう。
このような反射光24は、その反射位置や反射角度によっては図示のように隔壁3内に侵入する。
(3) 隔壁内に侵入した光について
上述の光の内、(2-2) 〜(2-4)の光は隔壁内に侵入する。
このうち、符号32の光は遮光層9に吸収されてしまい、符号41や符号24に示す光は、一旦、隔壁3の壁面にて全反射され、最終的には、遮光層9に吸収されることとなる(符号42,25参照)。
(4) 隔壁3の壁面にて全反射される条件式について
ここで、隔壁3に入射された光41,24が隔壁3の壁面にて全反射される点について考察する。
屈折率の異なる媒質の界面(図4参照)では、一般に、
スネル則:
Figure 2004302456
や、
フレネル公式:(自然光について)
Figure 2004302456
Figure 2004302456
が成立する。Rnは透過率、Tnは反射率である。なお、図4中の符号50は入射光を示し、符号51は反射光を示し、符号52は透過光を示す。また、θiは入射角を示し、θrは反射角を示し、θtは透過角を示す。さらに、光が入射される方の媒質の屈折率をn1とし、光が透過される方の媒質の屈折率をn2としている。
ここで、上述のように隔壁3に入射された光41につきスネル則を適用すると、絶縁性液体4の屈折率は1.42程度であり、隔壁3の屈折率は1.59程度であるので、これらの値を代入することにより、隔壁内で全反射を生じることが分かる。
(5) 上記全反射の影響について
上述のように隔壁内で光が全反射すると、一旦、隔壁内に侵入してしまった光はそのまま吸収層9に吸収されることとなり、反射に寄与しない。上に述べたように、これが光反射率の低下の一因となっている。白表示を行ったときの光反射率を実際に測定してみたところ、20%〜30%程度であった。
つまり、隔壁内で全反射が起これば、その分だけ、光反射率が低下してしまうこととなる。
(6) 以下の条件式1
Figure 2004302456
が成り立つ場合は、隔壁中での全反射は起こらない。しかし、電気泳動表示装置に通常用いられている液体は炭化水素系の有機溶媒で屈折率1.4程度、隔壁はエポキシ樹脂などの高分子材料で屈折率1.5程度であるからこの条件は満たされない。液体部分の屈折率を今以上に高くすることは、表示素子としての他の特性に直接影響を与えるために好ましくない。また、隔壁の屈折率を低くすることも、材料選択の上でこれまた困難である。
(7) 逆に
Figure 2004302456
の場合、隔壁と液体の境界での全反射条件は、
Figure 2004302456
となり、この角度θtより大きな角度での入射光は、隔壁中を全反射するが、θtより小さな角度での入射光は隔壁側面にあたると屈折されて、一部の光が隣の画素に出て行くことになる。
以下の考察によれば、表示基板に入射する光の大部分を、全反射しないようにすることが出来る。
上で説明したとおり、表示基板に入射する光のうち、図2の40に示すような隔壁に直接入射する光が反射率を低下させる原因である。その中で、垂直入射かそれに近い入射角の光は直接遮光層に入射し吸収されるので、これを反射光として利用することは出来ない。
入射角がある程度大きくなると、光路41と42に示すように隔壁側面に入射する。垂直入射の入射角を0°として、入射角30°で入射する光を考える。表示基板を透過し隔壁中に入射する角度は、水平方向を0°として
Figure 2004302456
となる。この光が隔壁側面にあたったときに全反射を起こさない条件は
Figure 2004302456
となり、結局、隔壁と液体の屈折率の関係として
Figure 2004302456
の式が成り立てばよいことが分かる。
因みに、n(K)=1.59、n(L)=1.42の場合は、条件式2が成立せず、全反射が生じてしまう。
しかし、n(K)=1.50にすると、条件式2が成立し、全反射も生じない。
すなわち、本発明は、基板に入射する光のうち直接隔壁内に入る光を、隔壁側面から液体中に出すように屈折率を設定する。これにより基板入射光のうち一定以上の入射角(上の説明では30°)より大きい入射角(より斜めに入射する)の光は、隔壁側面での入射角がより小さい値を持つので全反射を起こさず、屈折して液体中に出る。液体中に出た光は,隣の画素の散乱層に入射し反射されるので、明るさの向上に役立つ。より小さい入射角の光はそもそも大部分が遮光面に直接入射するので反射に寄与しない。条件式2を導く際に、反射率に寄与する基板入射角を30°以上としたが、この角度は、隔壁の高さHと幅Wによって適宜決定される。表示基板から隔壁に入射した光の少なくとも一部が隔壁側面に照射されず、隔壁底面の遮光層に直接届く光の角度範囲から定めてもよい。すなわち
Figure 2004302456
以上と定めてもよい。ここで
Figure 2004302456
である。
以下、電気泳動表示装置の各構成部材について補足する。
隔壁3は、
・ 画素を1つずつ仕切るように配置されたものであっても、
・ 複数の画素を仕切るように配置されたものであっても、
良い。その隔壁3には、屈折率がなるべく小さな材料で、エポキシ、ポリイミド、アクリルなどの感光性樹脂を用いると良い。しかし、屈折率を絶縁性液体よりも小さくする必要はない。
表示基板1や後方基板2には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)やポリエーテルサルフォン(PES)等のプラスチックフィルムの他、ガラスや石英等を使用することができる。表示基板1には上述したように透明な材料を使用する必要があるが、後方基板2には、ポリイミド(PI)などの着色されているものを用いてもよい。
第1電極6には、パターニング可能な導電性材料ならどのようなものを用いてもよい。例えば、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属あるいはカーボンや銀ペースト、あるいは有機導電膜などが使用できる。第1電極を光反射層としても利用する場合は、銀(Ag)あるいはAl等の光反射率の高い材料を好適に使用することができる。
ところで、図1では、第2電極7は前記隔壁3と前記後方基板2との間に配置されているが、隔壁3と接する位置であれば、他の位置(例えば、隔壁3の内部)に配置されていても良い。この第2電極7には、真空蒸着法などにより形成された導電膜を使用することができるが、めっき法で形成された電極を使用する方が好ましい。
絶縁性液体4には、イソパラフィン、シリコーンオイル及びキシレン、トルエン等の非極性溶媒であって透明なものを使用すると良く、特に、屈折率の大きな液体と混合し屈折率を調整して使用しても良い。
帯電粒子5としては、着色されていて絶縁性液体中で正極性又は負極性の良好な帯電特性を示す材料を用いると良い。例えば、各種の無機顔料や有機顔料やカーボンブラック、或いは、それらを含有させた樹脂を使用すると良い。粒子の粒径は通常0.01μm〜50μm程度のものを使用できるが、好ましくは、0.1から10μm程度のものを用いる。
なお、上述した絶縁性液体中や帯電粒子中には、帯電粒子の帯電を制御し安定化させるための荷電制御剤を添加しておくと良い。かかる荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩やサリチル酸や有機四級アンモニウム塩やニグロシン系化合物などを挙げることができる。
また、絶縁性液体中には、帯電粒子同士の凝集を防ぎ分散状態を維持するための分散剤を添加しておいてもよい。かかる分散剤としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、その他無機塩、無機酸化物、あるいは有機高分子材料などを用いることができる。
光散乱層8には、例えば酸化チタン、酸化アルミニウムなどの顔料を、ウレタン,フェノール、エポキシ,フッ素などの樹脂中に分散させたものを塗布して用いることができる。光散乱層の厚さは、絶縁性液体に印加される駆動電圧が大きくならない程度において特に限定されるものではないが、十分な光散乱特性を得るために好ましくは0.4〜20μmである。
遮光層9には、カーボンブラック、無機顔料、有機顔料などを樹脂中に分散させたものを用いることができる。遮光層の形成は,蒸着,印刷,塗布などの通常の方法で行える。膜厚は十分な光吸収性能を持たせるため、1μm程度が好ましい。
また、カラー表示をしたい場合には、例えば各画素毎に、光散乱層8の上あるいは表示基板1の側に、カラーフィルター層を設ければよい。
さらに、各画素にスイッチング素子11を配置し、該スイッチング素子11と上述した第1電極6とを電気的に接続しても良い。スイッチング素子11は第1電極6の底部に接続すると良く、各画素の第2電極7は、好ましくは互いに接続されて同一の信号が供給されるようにすると良い。
本実施の形態によれば、高い反射率と広い視野角特性をもった電気泳動表示装置を実現できる。具体的には、絶縁性液体と隔壁の屈折率を調整することにより、白黒表示での白の反射率を向上でき、良好なコントラストを持ち、視野角特性にも優れた電気泳動表示装置を実現できる。
また、カラーフィルターを配置した場合には、コントラスト、視野角特性を損なうことなく優れたカラー表示が可能となる。
なお、本実施の形態においては、表示基板の表側に遮光層を配置しておらず、その遮蔽は、第2電極7が配置された部分で行われる(符号9参照)。したがって、画像表示が視野角の影響を受けにくく、反射光の視野角も狭くならない。
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例では図1に示す構造の電気泳動表示装置を作製した。電気泳動表示装置のサイズは52mm×52mmとし、画素の数は130×43個とし、1つの画素の大きさは98μm×98μmとした。また、隔壁3は、各画素を仕切るように画素境界部に配置し、その幅を5μmとし、高さを17μmとした。また、後方基板2には、スイッチング素子11や絶縁層12や第1電極6や光散乱層8を配置し、第2電極7と隔壁3との間には遮光層9を配置した。なお、第1電極6の一辺の長さは90μmとし、第2電極7の厚さは50nmとした。後方基板2には、厚さ0.2mmのプラスチック基板を使用した。
次に、本実施例に係る電気泳動表示装置の製造方法について説明する。
まず、後方基板2にはスイッチング素子11を形成し、該スイッチング素子11を覆うように絶縁層12を形成した。この絶縁層12にはコンタクトホールを穿設し、該コンタクトホールを介してスイッチング素子11と電気的に接続されるように第1電極6を形成した。なお、第1電極6はアルミニウムにより形成した。
この第1電極6を覆うように基板全面にスピンコート法により光散乱層8を形成した。この光散乱層8には、酸化チタン微粒子を含有するウレタン樹脂層を用い、その膜厚は4μmとした。
さらに、この光散乱層8の表面には、画素境界部に相当する部分にチタン製の第2電極7を形成し、その第2電極7の表面には遮光層9を形成した。この遮光層9には、カーボンブラックを含有する樹脂(商品名:CFPR BKシリーズ、Tokyo Ohka Kogyo(株)製)を使用し、その膜厚は1μmとした。
この遮光層9の上側にパターニングにより隔壁3を形成した。この隔壁3には透明光感光性樹脂であるエポキシ樹脂で屈折率が1.50のものを用いた。
次に、隔壁3にて区画された凹部には絶縁性液体4及び帯電粒子5を充填した。絶縁性液体としての分散媒には、脂肪族炭化水素溶媒であるイソパラフィン(商品名:アイソパーH,エクソン社製)を100重量部に、ブタジエン系共重合体であるスチレンブタジエン共重合体(旭化成(株)製、アサプレン1205)を0.8重量部、ロジンエステル(ハリマ化成(株)製、ネオトール125H)を2.5重量部、オクテン酸ジルコニウム(日本化学産業(株)製、ニッカオクチックスジルコニウム)を0.012重量部、ポリエチレンワックス(トーメンプラスチック(株)製、AC6)を混合し、24時間撹拌したものを用いた。この絶縁性液体4の屈折率は1.42であった。
また、帯電粒子5としては平均粒径2μmのカーボン10重量%を含有するポリメチルメタクリレート粒子を使用した。上述の液体と帯電粒子を混合分散することによって電気泳動表示用分散液を得た。
その後、表示基板1と隔壁間を十分接触させ、気泡を取り除いた状態で両基板周囲を密封した。
以上の方法によって作製される表示装置は、隣接する画素の駆動電圧等に影響されること無く、良好なコントラストをもった白黒の表示を行うことができた。また、基板を曲げても隔壁等の破壊、或いは帯電粒子の隣接画素などへの移動を防止することができた。
次に、22℃の温度下で表示装置の反射率(視野角0°での値)を測定したところ、45%と良好であった。
なお、反射率および反射率の視野角特性の測定には、自動変角光度計(村上色彩技術研究所社製)GP−200 を用いた。図5に示したように、測定サンプルの表示面法線に対して30°方向から平行光線を入射させ、視野角−90°〜90°の範囲での反射率を測定し、視野角0°での値を代表値として求めた。尚、反射率の値は標準白色板として硫酸バリウム板の値を100%として算出した。
また、液体の屈折率の測定には、アタゴ社製手持屈折計R−5000(屈折率測定範囲1.33〜1.52)を使用し、高分子膜の屈折率の測定には高屈折率専用測定器(アタゴ社製 4T 屈折率測定範囲1.47〜1.87)を使用した。
(実施例2=参考例)
実施例1の分散媒に高屈折率液である1−ブロムナフタレン(屈折率 1.66)を混合し液の屈折率を1.59となるように調整し、その他の構成や製造方法は実施例1と同じにする(光散乱層8の膜厚は4μm、隔壁3の屈折率は1.50である)。
この場合シミュレーション計算から予想される反射率は43%であり、良好である。しかし、このような高屈折率液体は実用的ではなく、本例は参考例である。
(実施例3)
隔壁3及び液体の屈折率を共に1.42とし、その他の構成は実施例1と同じとしてシミュレーション計算を行なった。光散乱層8の膜厚は4μmと仮定した。
計算から予想される反射率は42%であり、良好である。
(実施例4)
本実施例では光散乱層8の膜厚を9μmとし、その他の構成や製造方法は実施例1と同じにする(隔壁3の屈折率は1.50とし、液体の屈折率は1.42とする)。
計算した予想反射率は56%であり、良好である。
(比較例1)
比較例として、隔壁の屈折率を1.59と仮定し、その他は実施例1と同じ表示素子について反射率を計算した。得られた反射率は35%であった。
(比較例2)
別の比較例として、比較例1と同じで散乱層の厚さを1μmと仮定した表示素子について反射率を計算したところ、33%であった。
上述した例1〜4を比較例1,2と共に下表にまとめた。
Figure 2004302456
これらの結果より、条件式2を満たせば、隔壁内で全反射を起こすことなく、40%以上の反射率を達成できることが分かった。
さらに、0°での反射率がほぼ保たれる視角範囲は全ての実施例で−30°〜+10°であるのに対し、比較例1、2では−20°〜0°と狭いものである。
本発明はカラー表示素子にも適用できる。光散乱層の上に6.5mm×6.5mm×1/3の大きさの画素エリア毎に色の異なるカラーフィルター層を形成する。このカラーフィルター層の厚みは1μmとする。その他の構成や製造方法は実施例4と同じ(つまり、隔壁には屈折率が1.50のエポキシ樹脂を用い、絶縁性液体には屈折率が1.42のものを用い、光散乱層の膜厚を9μm)にする。カラーフィルタとしては、例えばFUJIFILM ARCH(株)製 赤:CR−8960L、緑:CG−8960L、青:CB−8960L(商品名)などを用いることができる。
本発明に係る電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。 光の入射及び反射の様子を説明するための断面図。 光の入射及び反射の様子を説明するための断面図。 スネル則及びフレネル公式を説明するための模式図。 反射角等の測定の様子を説明するための模式図。
符号の説明
1 表示基板
2 後方基板
3 隔壁
4 絶縁性液体
5 帯電粒子
6 第1電極
7 第2電極
8 光散乱層
9 遮光層

Claims (6)

  1. 間隙を開けて配置された表示基板及び後方基板、それらの基板の間隙に配置された透明液体、光を透過し得る材料にて形成されると共にそれらの基板の間隙に配置された隔壁、隔壁と後方基板の間に配置された遮光層、および後方基板に配置され表示基板の外部から入射した光を反射する光散乱層を備えた表示装置であって、
    隔壁の屈折率が、透明液体の屈折率より大きく、かつ、表示基板の外部から所定の角度以上の入射角で入射した光のうち隔壁内に入射した光が隔壁側面で全反射せず屈折して透明液体内に出る条件に設定されていることを特徴とする表示装置。
  2. 前記隔壁の屈折率n(K)、前記透明液体の屈折率n(L)が、以下の条件を満足する請求項1に記載の表示装置。
    Figure 2004302456
  3. 前記隔壁の高さH、幅W、屈折率n(K)、前記透明液体の屈折率n(L)が、次の条件を満足する請求項1に記載の表示装置。
    Figure 2004302456
    ただし、αは
    Figure 2004302456
    で決まる角度である。
  4. 隔壁がエポキシ、ポリイミド、アクリルのいずれかの感光性樹脂で形成される請求項1に記載の表示装置。
  5. 前記透明液体が帯電粒子を含む請求項1に記載の表示装置。
  6. 前記透明液体が液晶である請求項1に記載の表示装置。
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WO2012057056A1 (ja) * 2010-10-26 2012-05-03 株式会社ブリヂストン 情報表示用パネルの製造方法及び情報表示用パネル
KR101496146B1 (ko) * 2008-10-27 2015-03-03 삼성전자주식회사 대전된 입자를 구비하는 광 셔터 및 이를 이용한 디스플레이 장치

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