JP2004302252A - 電子写真用感光体及びその製造方法、並びにそれを用いた画像形成装置とプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真用感光体及びその製造方法、並びにそれを用いた画像形成装置とプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】環境安定性に優れ、接着性が高く、半導体レーザ光に対して高感度を示すとともに、感度や帯電性、これらの感光体特性の繰り返し安定性にも優れた電子写真用感光体を提供すること。
【解決手段】導電性支持体11上に、少なくとも電荷発生層12、中間層13、電荷輸送層14の順に積層してなる電子写真用感光体10において、有機顔料の蒸着膜からなる電荷発生層12上に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)と、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)とからなる中間層13を形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタやファクシミリなどの電子写真装置及びプロセスカートリッジに用いられる電子写真用感光体とその製造方法に関し、特に環境安定性に優れた電子写真特性を有し、かつ量産に適した電子写真用感光体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真装置はその高速性、低騒音性、高画質であること、普通紙への記録が可能であることなどの利点が注目され、複写機はもちろん、プリンタやファクシミリなどにおいても急速に普及しつつある。さらに、最近の傾向として、プリンタやファクシミリの分野では、オフィスユースからパーソナルユースへとその使用の形態が移行してきており、より小型化、低コスト化、メンテナンスフリー化が求められている。また、一方では、ドキュメントのカラー化など画像処理技術の向上にともなって、より高解像度、高品質の画像形成技術が求められている。
【0003】
その電子写真装置に用いられる感光体としては、安価で無公害であるなどの長所を有する有機光導電物質からなる有機系の感光体の開発が活発になされ、多くの装置に搭載されるようになってきた。これら実用化された感光体のほとんどが、導電性支持体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を順次形成した積層型感光体である。このように機能分離することにより電子写真装置に要求される感度、耐久性などの特性を満足するに至った。その中で、半導体レーザの発振波長領域つまりは近赤外波長領域に吸収を有する感光体の開発が活発に行われ、特に、フタロシアニン系などの有機顔料を電荷発生物質とした電子写真用感光体が注目されている。
【0004】
そのフタロシアニンなどの有機顔料を電荷発生物質として電荷発生層を形成する方法には塗工法と蒸着法がある。塗工法には、浸漬塗工法、スプレー塗工法などの手法があるが、浸漬塗工法は、少なくとも特定結晶型の有機顔料、バインダ樹脂と溶剤からなる分散塗料中に導電性支持体を浸漬し、引き上げることにより導電性支持体上に電荷発生層を形成する方法である。蒸着法は、加熱気化させた有機顔料を導電性支持体上に堆積させる方法で、この堆積した膜上に直接電荷輸送層を形成するか、電荷輸送層形成前に有機溶剤溶液中あるいはその蒸気にさらすことにより結晶変換し所定の電荷発生層とするものである。この蒸着法は、分子レベルでの均質な膜形成が可能であり、高解像度、高品質の電子写真装置に適した製造方法といえる。
【0005】
なお、電荷輸送層塗料中への電荷発生物質の溶け込みを防止する目的でポリビニルブチラール樹脂の中間層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−84692号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、導電性支持体上に電荷発生物質並びに樹脂の分散塗料を用いる塗工法と比較して、蒸着法にて電荷発生層を形成した場合、高温高湿や低温低湿など環境による特性変動が大きい。また、樹脂成分が含まれていない分、支持体との接着性が悪く感光層が剥がれやすい。具体的には、電子写真装置中において、現像ローラと感光体の間隔を一定に保つスペーサ部との接触によるキズが拡大しその周辺の感光層が剥がれる問題が発生する。
【0008】
これらの解決策として、支持体と電荷発生層の間に酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体など樹脂成分からなる接着層を設けることも考えられるが、残留電位の上昇などが起こり、接着性と特性の両立が得られないのが現状である。また、上述の電荷輸送層塗料中への電荷発生物質の溶け込みを防止する目的でポリビニルブチラール樹脂の中間層を形成する方法を用いた場合においても、感光層と支持体との接着性を十分満足するには至っていない。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みて為されたものであり、電荷発生層が有機顔料の蒸着膜からなる電子写真用感光体の課題、すなわち、高温高湿や低温低湿における電位特性の変動や、感光層と支持体との接着性低下等を解決することを目的とする。
【0010】
具体的には、環境安定性に優れ、接着性が高く、半導体レーザ光に対して高感度を示すとともに、感度や帯電性、これらの感光体特性の繰り返し安定性にも優れた電子写真用感光体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、その電子写真用感光体を用いることにより、どのような環境下でも安定した画像が得ることができる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、有機顔料の蒸着膜からなる電荷発生層上に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)と、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)とからなる中間層を形成することで、環境安定性に優れ、かつ、導電性支持体との接着性に優れた電子写真用感光体を実現する。また、その電子写真用感光体を用いた画像形成装置とプロセスカートリッジにて、いかなる環境下においても安定した画像を得ることができる。
【0013】
中間層の機能は、ポリビニルアルコールをアセタール化した樹脂により決まる。その構成は、一般式(化1)で示されるものである。当該一般式おけるl、m、nの割合は、ポリ酢酸ビニルのケン化度、ポリビニルアルコールのブチラール化あるいはアセタール化度によって決まる。
【0014】
【化1】
Figure 2004302252
一般的に低ブチラール・アセタール化で低分子量の樹脂は接着性に優れている。ブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂を中間層に用いると、高温高湿又は低温低湿環境下における電位変動等の環境安定性が向上するが、電荷輸送層との接着性が低下する。しかしながら、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂を混合すると、電荷輸送層との接着性が向上し、高温高湿又は低温低湿環境化における電位変動等の環境安定性も満足するものとなる。
【0015】
また、導電性支持体上に、電荷発生層を形成せず、このような樹脂成分からなる中間層を設けた上に電荷輸送層を形成した部分は、電荷輸送層の導電性支持体に対する密着性がさらに向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の態様に係る電子写真用感光体は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、中間層、電荷輸送層の順に積層してなる電子写真用感光体において、前記電荷発生層が有機顔料の蒸着膜であり、前記中間層に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)とブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)を含有する構成を採る。
【0017】
この構成によれば、有機顔料の蒸着膜からなる電荷発生層上に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)と、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)とからなる中間層を形成することで、電荷輸送層との接着性を向上しつつ、高温高湿又は低温低湿環境化における電位変動等の環境安定性をも向上することができる。この結果、環境安定性に優れ、かつ、導電性支持体との接着性に優れた電子写真用感光体を実現することができる。
【0018】
本発明の第2の態様は、第1の態様に係る電子写真用感光体において、前記電荷発生層の有機顔料蒸着膜と前記中間層の樹脂の質量比が1対0.5〜3の範囲である構成を採る。
【0019】
この構成によれば、電荷発生層の有機顔料蒸着膜の質量1に対する中間層の樹脂の質量比を0.5〜3の範囲に含めることで、より環境安定性に優れ、かつ、導電性支持体との接着性に優れた電子写真用感光体を実現することができる。
【0020】
本発明の第3の態様に係る電子写真用感光体は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、中間層、電荷輸送層の順に積層してなる電子写真用感光体において、前記電荷発生層が電子写真特性の必要な領域にのみ設けられた有機顔料の蒸着膜であり、前記中間層が導電性支持体上全域に設けられた樹脂を主成分とする塗布膜であり、当該塗布膜は少なくとも電荷輸送物質とバインダ樹脂とからなる前記電荷輸送層が中間層塗布領域と同じ領域に設けられている構成を採る。
【0021】
この構成によれば、電子写真特性を必要とする領域にのみ電荷発生層を設ける一方、導電性支持体上全域に樹脂を主成分とする中間層及び電荷輸送層を設けることで、電荷発生層が設けられていない領域において電荷輸送層の導電性支持体に対する密着性を向上することができる。
【0022】
本発明の第4の態様は、第3の態様に係る電子写真用感光体において、前記中間層の樹脂がポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)とブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)との混合物である構成を採る。
【0023】
この構成によれば、有機顔料の蒸着膜からなる電荷発生層上に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)と、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)とからなる中間層を形成することで、電荷発生層が設けられていない領域において電荷輸送層の導電性支持体に対する密着性を向上する効果を得るとともに、電荷輸送層との接着性を向上しつつ、高温高湿又は低温低湿環境化における電位変動等の環境安定性をも向上することができる。この結果、環境安定性に優れ、かつ、導電性支持体との接着性に優れた電子写真用感光体を実現することができる。
【0024】
本発明の第5の態様に係る電子写真用感光体の製造方法は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、中間層、電荷輸送層の順に積層してなる電子写真用感光体の製造方法において、有機顔料を蒸着することにより前記電荷発生層を形成する工程と、さらにポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)とブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)からなる塗料を用いて前記中間層を形成する工程とを含むようにしたものである。
【0025】
この方法によれば、有機顔料の蒸着膜からなる電荷発生層上に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)と、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)とからなる中間層を形成することで、電荷輸送層との接着性を向上しつつ、高温高湿又は低温低湿環境化における電位変動等の環境安定性をも向上することができる。この結果、環境安定性に優れ、かつ、導電性支持体との接着性に優れた電子写真用感光体を製造することができる。
【0026】
本発明の第6の態様は、第5の態様に係る電子写真用感光体の製造方法において、前記電荷発生層の有機顔料蒸着膜と前記中間層の樹脂との質量比が1対0.5〜3の範囲であるものである。
【0027】
この方法によれば、電荷発生層の有機顔料蒸着膜の質量1に対する中間層の樹脂の質量比を0.5〜3の範囲に含めることで、より環境安定性に優れ、かつ、導電性支持体との接着性に優れた電子写真用感光体を製造することができる。
【0028】
本発明の第7の態様に係る電子写真用感光体の製造方法は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、中間層、電荷輸送層の順に積層してなる電子写真用感光体の製造方法において、電子写真特性の必要な領域にのみ有機顔料を蒸着することにより前記電荷発生層を形成する工程と、導電性支持体上全域に樹脂を主成分とする塗料を用いて前記中間層を形成する工程と、中間層塗布領域と同じ領域に前記電荷輸送層を形成する工程とを含むようにしたものである。
【0029】
この方法によれば、電子写真特性を必要とする領域にのみ電荷発生層を設ける一方、導電性支持体上全域に樹脂を主成分とする中間層及び電荷輸送層を設けることで、電荷発生層が設けられていない領域において電荷輸送層の導電性支持体に対する密着性が向上した電子写真用感光体を製造することができる。
【0030】
本発明の第8の態様は、第7の態様に係る電子写真用感光体の製造方法において、前記中間層の樹脂がポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)とブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)との混合物であるものである。
【0031】
この方法によれば、有機顔料の蒸着膜からなる電荷発生層上に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)と、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)とからなる中間層を形成することで、電荷発生層が設けられていない領域において電荷輸送層の導電性支持体に対する密着性を向上する効果を得るとともに、電荷輸送層との接着性を向上しつつ、高温高湿又は低温低湿環境化における電位変動等の環境安定性をも向上することができる。この結果、環境安定性に優れ、かつ、導電性支持体との接着性に優れた電子写真用感光体を製造することができる。
【0032】
本発明の第9の態様に係る画像形成装置は、電子写真用感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニング工程を経て画像形成を行う画像形成装置において、第1の態様から第4の態様のいずれかの電子写真用感光体を用いる構成を採る。
【0033】
この構成によれば、画像形成装置において、第1の態様から第4の態様のいずれかの電子写真用感光体が奏する効果を得ることができる。この結果、どのような環境下でも安定した画像が得ることができる画像形成装置を実現することができる。
【0034】
本発明の第10の態様は、第9の態様に係る画像形成装置において、前記電子写真用感光体と現像工程に用いられる現像ローラとの間隔を保持する部材が、当該電子写真用感光体の最表面層で接触する構成を採る。
【0035】
この構成によれば、電子写真用感光体と現像ローラとの間隔を保持する部材を当該電子写真用感光体の最表面層で接触させるので、簡単な構成で電子写真用感光体と現像ローラとの間隔を一定間隔に維持することができ、電子写真用感光体と現像ローラとの間隔を一定間隔に保持する機構を別途設ける必要がない。
【0036】
なお、当該部材を電子写真用感光体の最表面層で接触させた場合には、電子写真用感光体の表面層の剥離が問題として発生し得るが、本画像形成装置においては、特に第1から第4の態様のいずれかの電子写真用感光体を用いて各層の密着性を高めているため、かかる問題の発生を低減することができる。
【0037】
本発明の第11の態様に係るプロセスカートリッジは、電子写真用感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニング工程を経て画像形成を行う画像形成装置に使用するプロセスカートリッジにおいて、第1の態様から第4の態様のいずれかに記載の電子写真用感光体と、帯電部、像露光部、現像部、転写又は分離部、クリーニング部のいずれか1つとを組み合わせてつくられている構成を採る。
【0038】
この構成によれば、画像形成装置に使用するプロセスカートリッジにおいて、第1の態様から第4の態様のいずれかの電子写真用感光体が奏する効果を得ることができる。この結果、どのような環境下でも安定した画像が得ることができるプロセスカートリッジを実現することができる。
【0039】
本発明の第12の態様は、第11の態様に係るプロセスカートリッジにおいて、前記電子写真用感光体と現像部の現像ローラとの間隔を保持する部材が、当該電子写真用感光体の最表面層で接触する構成を採る。
【0040】
この構成によれば、電子写真用感光体と現像ローラとの間隔を保持する部材を当該電子写真用感光体の最表面層で接触させるので、簡単な構成で電子写真用感光体と現像ローラとの間隔を一定間隔に維持することができ、電子写真用感光体と現像ローラとの間隔を一定間隔に保持する機構を別途設ける必要がない。
【0041】
なお、当該部材を電子写真用感光体の最表面層で接触させた場合には、電子写真用感光体の表面層の剥離が問題として発生し得るが、本プロセスカートリッジにおいては、特に第1から第4の態様のいずれかの電子写真用感光体を用いて各層の密着性を高めているため、かかる問題の発生を低減することができる。
【0042】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子写真用感光体の構成を模式的に示した断面図である。図1において、電子写真用感光体10は、導電性支持体11上に電荷発生層12、中間層13、電荷輸送層14を積層して形成されている。
【0044】
導電性支持体11は、従来から知られている導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウムなどの金属材料からなる管(円筒状)、板、シート状支持体、プラスティックや紙などからなる管、板、シート状支持体上に金属材料を蒸着あるいは導電性塗料により導電性を付与したもの、導電性プラスティックを成形してなる管、板、シート状支持体などが用いられる。
【0045】
特に、アルミニウム合金に切削等の加工を施した管やポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着したシートなどがよく用いられる。また、導電性支持体11に、アルミニウム管を用いる場合には、電荷発生層12を形成する前に、界面活性剤、有機溶剤を用いた洗浄や真空中グロー放電処理による支持体表面の浄化が必要である。アルミニウム管の洗浄の不備は、付着している金属切削粉による電気的障害から起こる画像欠陥や、本発明で課題としている接着性の低下を引き起こす。
【0046】
導電性支持体11上に形成される電荷発生層12は、電荷発生物質として有機顔料を用い、6×10−3Pa以下の圧力下、抵抗加熱による蒸着法にて0.03〜0.5μmの範囲の薄膜を形成することにより得られる。長さ254mm、外径30mmのアルミニウム管上に、1本当りの付着量はおおよそ1〜10mgである。
【0047】
有機顔料としては、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、スクアリリウム系顔料などを用いることができる。その中でも、フタロシアニン系顔料が好適であり、特にオキソチタニウムフタロシアニンが用いられる。これらの有機顔料は、公知の合成法にて得られた粗顔料を洗浄にて高結晶性顔料とするか、あるいはそれを昇華精製したものを用いる。
【0048】
有機顔料を蒸着するための蒸着装置は、導電性支持体11の全体に均一に成膜できるものであればよく、導電性支持体11がアルミニウム管であれば、図2に示すような装置が用いられる。図2は、蒸着装置のチャンバー21の内部を示した概略図である。
【0049】
図2に示す蒸着装置においては、チャンバー21の内部に装着されたアルミニウム管22がチャンバー21内を自公転し、蒸着源23の上部にて成膜される。排気口24には、油拡散ポンプなどを装着し、6×10−3Pa以下(単位)の圧力を達成する。蒸着源23は、融点が蒸着する有機顔料の昇華点(約500℃)以上の金属であればよく、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブあるいはそれらの合金など高融点金属がよく用いられる。
【0050】
さらに、直流電源により電流を与えることにより蒸着源23を加熱し、蒸着源23に充填した有機顔料20を昇華させ、導電性支持体であるアルミニウム管22上に堆積させ所定の膜厚を得るものである。膜厚が所定膜厚以下であれば、感光体として必要な感度が得られず、所定膜厚以上であれば、感光体として必要な帯電性が得られない。
【0051】
このようにして形成された有機顔料の蒸着膜は非晶質状態であり、有機系溶剤の蒸気にさらすか、あるいは有機系溶剤中に浸漬することにより結晶化することができる。もちろん中間層あるいは電荷輸送層形成時に塗料中に浸漬することによっても結晶変換させることも可能である。
【0052】
導電性支持体11上に電荷発生層12を形成した後、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)とブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)からなる中間層13を電荷発生層12上に形成する。この際、上述の樹脂及び有機系溶剤からなる中間層用塗料を用い、浸漬塗工法などの公知の塗工手段にて電荷発生層12上に形成する。
【0053】
前記ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)は、一般式(化2)で示されるもので、分子量1×10〜15×10、ブチラール化度50%以上のものが好ましい。同様に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)は、一般式(化3)で示されるもので、分子量1×10〜15×10、ブチラール化度50%以上のものが好ましい。
【0054】
これらの樹脂(I)と樹脂(II)との割合は、全体量に対して、樹脂(II)が5%から50%含まれていることが好ましい。樹脂(II)を含まないと電荷輸送層との密着性が低下する。一方、樹脂(II)の量が多いと高温高湿、低温低湿環境下における電子写真特性変動は大きくなる。
【0055】
【化2】
Figure 2004302252
【化3】
Figure 2004302252
【0056】
さらに、中間層用塗料を調整するために樹脂を溶解する有機系溶剤としては、アルコール類、エチレングリコール誘導体類、ケトン系、芳香族炭化水素系などの有機系溶剤を用いることができる。溶剤は、蒸着された有機顔料の求められる結晶状態に応じて選択し、所定量を電荷発生層上に形成するために、樹脂分濃度を1〜5%に調整する。電荷発生層の蒸着された有機顔料1重量部に対して、0.5重量部より少ないと、高温高湿と低温低湿環境下における電子写真特性、特に、露光後電位に差が生じる。また、3重量部より多いと、繰り返し印字により露光後電位が上昇する。
【0057】
また、図3に示すような浸漬塗工装置31にて中間層を形成する。具体的には、循環用ポンプ35及びフィルタユニット36が配管されたポット32に中間層用塗料30を満たし、電荷発生物質が蒸着された導電性支持体であるアルミニウム管33を、把持装置を備えた可動部34に装着し、可動部を上下動作させることにより浸漬塗工する。
【0058】
引上げ速度は、10〜300mm/分で、所定量の中間層が形成できるように調整する。また、有機顔料の状態によっては、スプレー塗工法にて形成することも可能である。最終的には、塗工後、自然乾燥あるいは加熱乾燥することで、中間層が形成される。
【0059】
このように導電性支持体11上に電荷発生層12、中間層13が形成された後、電荷輸送物質とバインダ樹脂からなる電荷輸送層14が、電荷輸送物質、バインダ樹脂並びに有機系溶剤からなる電荷輸送層用塗料を用いて、浸漬塗工法などの公知の塗工手段にて中間層13上に積層される。
【0060】
電荷輸送物質としては、電子供与性のオキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、テトラフェニルブタジエン化合物、ビフェニル化合物、及びこれらの化合物の誘導体を用いることができる。また、これらの化合物を2種以上混合して用いることもできる。
【0061】
バインダ樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレートなどの樹脂を用いることができるが、電荷輸送物質との相溶性、膜強度、塗料化溶剤への溶解性、塗料としての安定性の点からポリカーボネートが好ましい。
【0062】
これらのバインダ樹脂と前記電荷輸送物質の構成比は、重量比でバインダ樹脂1に対して0.25から3の範囲で用いられる。また、電荷輸送物質、バインダ樹脂の他に、これらの物質の劣化を防止するために酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加することもできる。
【0063】
さらに、これらの電荷輸送物質とバインダ樹脂を溶解し、電荷輸送層用塗料とするための有機系溶剤としては、ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系炭化水素類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素類などが用いられる。これらの有機系溶剤は、1種あるいは2種以上を混合して用いることができ、電荷輸送層用塗料中の不揮発分の濃度を10から40重量%の範囲に調整して用いる。
【0064】
一般的には、このようにして調整された電荷輸送層用塗料を用い、図4に示すような浸漬塗工装置41にて電荷輸送層14を形成する。具体的には、電荷発生層12及び中間層13が形成された導電性支持体であるアルミニウム管43を、把持装置を備えた可動部44に装着し、電荷輸送層用塗料40の入ったにポット42に浸漬した後、所定の速度で引き上げることにより電荷輸送層が形成される。ポット42には循環用ポンプ45及びフィルタユニット46が配管されている。浸漬塗工後、熱風乾燥機などにより有機系溶剤分を揮発させ、乾燥後膜厚として5から40μm程度の範囲の電荷輸送層が形成される。
【0065】
このように実施の形態1の電子写真用感光体10によれば、有機顔料の蒸着膜からなる電荷発生層12上に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)と、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)とからなる中間層13を形成することで、電荷輸送層14との接着性を向上しつつ、高温高湿又は低温低湿環境化における電位変動等の環境安定性をも向上することができる。この結果、環境安定性に優れ、かつ、導電性支持体との接着性に優れた電子写真用感光体を実現することができる。
【0066】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態1に係る電子写真用感光体が導電性支持体の全領域に電荷発生層を形成するのに対し、実施の形態2に係る電子写真用感光体は、当該感光体の電子写真特性を必要とする領域にのみ電荷発生層を形成する点で相違する。
【0067】
図5は、本発明の実施の形態2に係る電子写真用感光体の構成を模式的に示している。図5においては、その一例として、上方に円筒状アルミニウム管上に形成した電子写真用感光体(以下、「円筒状電子写真用感光体」という)の構成を模式的に示す表面図を示し、下方に円筒状電子写真用感光体の構成を模式的に示す断面図を示している。
【0068】
図5において、円筒状電子写真用感光体50は、図1と同様、導電性支持体51上に、電荷発生層52、中間層53、電荷輸送層54の順に積層して形成されたものである。各構成は、図1と同様のものであるが、実施の形態2に係る電子写真用感光体50は、感光体の電子写真特性を必要とする領域55にのみ電荷発生層を形成した構成になっている。
【0069】
具体的には、図2の蒸着装置において、導電性支持体51の両端部に有機顔料が付着しないように遮蔽板を装着して電荷発生層52を形成する。これにより、電子写真特定を必要としない部分である導電性支持体51の両端部には有機顔料が付着するのを防止できる。さらに、その上に中間層53及び電荷輸送層54を電荷発生層52が形成された導電性支持体51の全領域に順次積層し、円筒状電子写真用感光体50を完成する。
【0070】
このように実施の形態2の円筒状電子写真用感光体50によれば、電子写真特性を必要とする領域にのみ電荷発生層52を形成する一方、導電性支持体51上全域に樹脂を主成分とする中間層53及び電荷輸送層54を形成することで、電荷発生層52が形成されていない領域において電荷輸送層54の導電性支持体51に対する密着性を向上することができる。
【0071】
また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、電荷発生層52上に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)と、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)とからなる中間層53を形成することで、電荷輸送層54との接着性を向上しつつ、高温高湿又は低温低湿環境化における電位変動等の環境安定性をも向上することができる。この結果、環境安定性に優れ、かつ、導電性支持体との接着性に優れた電子写真用感光体を実現することができる。
【0072】
図6は、本発明の実施の形態1及び実施の形態2に係る電子写真用感光体10及び50を搭載した画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【0073】
同図に示す画像形成装置は、筐体601上部に原稿を走査して画像を読取る読取りユニット602が設けられ、読取りユニット602の上面に原稿読取り面を開閉する上部カバー603が開閉自在に取り付けられている。
【0074】
筐体601には、読取りユニット602の下方部に記録紙を排出するための排出空間604が形成されており、排出空間604の下面が排紙トレイ605として機能する。また、筐体601下部に記録紙を収納する給紙カセット606が配置されている。
【0075】
給紙カセット606の給紙側端部上方にピックアップローラ607が昇降自在に配置され、ピックアップローラ607に近接して給紙ローラ608及び分離ローラ609が対向配置される。給紙ローラ608は、ピックアップローラ607により給紙カセット606から取り出された記録紙を搬送路へ繰出すためのローラであり、分離ローラ609は、給紙カセット606から重ねて取り出された複数枚の記録紙から1枚を分離するためのローラである。
【0076】
記録紙の搬送路が筐体601下部より略垂直上方に向けて形成されている。この搬送路上に本発明に係る電子写真用感光体10(50)が配置されている。電子写真用感光体10(50)を通過する記録紙の搬送タイミングを制御するレジストローラ610が搬送路の入り口付近に配置されている。電子写真用感光体10(50)はプロセスカートリッジ611に保持されている。プロセスカートリッジ611よりも装置の内側にレーザスキャンユニット(LSU)612が配置されている。LSU612は、電子写真用感光体10(50)に潜像を形成する。また、電子写真用感光体10(50)に転写ローラ613が対向配置されており、かかる転写ローラ613は、電子写真用感光体10(50)に付着したトナーを記録紙へ転写する。
【0077】
記録紙の搬送路におけるプロセスカートリッジ611よりも下流側に定着ユニット614が設置されている。定着ユニット614は、定着ローラ615とこの定着ローラ615に対して所定の圧力で押圧される加圧ローラ616とを有する。定着ローラ615及び加圧ローラ616から送り出された記録紙は、定着ユニット614の排出空間604側に設けられた排出ローラ617により排紙トレイ605に排出される。
【0078】
図7は、本発明に係る電子写真用感光体10(50)を保持したプロセスカートリッジ611を拡大した概略断面図である。
【0079】
プロセスカートリッジ611において、電子写真用感光体10(50)は、回転軸を通じて接地され、図中矢印で示すように反時計方向に駆動回転される。電子写真用感光体10(50)に対する帯電は、帯電部701の帯電ローラ702で行う。具体的には、帯電ローラ702が直流バイアスあるいは交流バイアスを重畳し電子写真用感光体10(50)上に均一な電荷を与える。
【0080】
電子写真用感光体10(50)に対して一様に帯電された後、上述のLSU612からの画像信号に基づいた像露光が行われる。LSU612に用いられる光源は半導体レーザであり、ポリゴンミラー、fθレンズ等の光学系によりレーザ光が電子写真用感光体10(50)上に走査され、電子写真用感光体10(50)の光電変換機能により電子写真用感光体10(50)上に静電潜像が形成される。
【0081】
次いで、静電潜像は現像部703にて現像され、電子写真用感光体10(50)上にトナー像が形成される。具体的には、磁性一成分トナーの場合、マグネット704を内蔵する現像ローラ705上に現像ブレード706にて規制されたトナー層を形成し、電子写真用感光体10(50)と現像ローラ705との間に直流バイアスあるいは交流バイアスをかけて現像が行われる。なお、現像ローラ705は、図中矢印で示すように時計方向に駆動回転する。
【0082】
現像ローラ705と電子写真用感光体10(50)との間隔は、現像ローラ705に取り付けられたギャップスペーサ707により一定に維持されている。ギャップスペーサ707は、現像ローラ705における周面の両端部(図7に示す奥側と手前側の端部)に取り付けられ、電子写真用感光体10(50)の最表面層(周面)の両端部に接触する。特に実施の形態2に係る電子写真用感光体50においては、電荷発生層52を形成していない部分において接触する。
【0083】
このように電子写真用感光体10(50)と現像ローラ705との間隔を保持する部材であるギャップスペーサ707を当該電子写真用感光体10(50)の最表面層で接触させるので、簡単な構成で電子写真用感光体10(50)と現像ローラ705との間隔を一定間隔に維持することができ、電子写真用感光体10(50)と現像ローラ705との間隔を一定間隔に保持する機構を別途設ける必要がない。
【0084】
なお、ギャップスペーサ707を電子写真用感光体10(50)の最表面層で接触させた場合には、電子写真用感光体10(50)の表面層の剥離が問題と発生し得るが、本画像形成装置においては、上述の各層の密着性を向上させた電子写真用感光体10(50)を用いているため、かかる問題の発生を低減することができる。特に実施の形態2に係る電子写真用感光体50を用いた場合には、より密着性が向上している電子写真用感光体50の両端でギャップスペーサ707と接触するため、かかる問題の発生をより低減させることができる。
【0085】
電子写真用感光体10(50)上に形成されたトナー像は、上述の転写ローラ613によって給紙カセット606から供給された記録紙に対して転写される。トナー像が転写された記録紙は、電子写真用感光体10(50)から分離され、定着ユニット614に送り込まれる。定着ユニット614で記録紙にトナー像が加熱定着された後、記録紙は、排紙トレイ605に排出される。
【0086】
一方、電子写真用感光体10(50)においては、クリーニング部708のクリーンングブレード709の圧接により残留トナーを除去し、表面が清掃された状態で帯電部701に戻り、次なる画像形成のプロセスに入る。
【0087】
なお、以上の説明から明らかなように、図7に示すプロセスカートリッジ611は、電子写真用感光体10(50)、帯電ローラ702を有する帯電部701、現像ローラ705を有する現像部703、クリーニングブレード709を有するクリーニング部708を一体として備えた構成になっている。しかし、これらの機能を全て備える場合に限定されず、プロセスカートリッジ611の構成としては、これらの機能の一部を組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0088】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態に係る電子写真用感光体における具体的な実施例及び比較例を説明する。
【0089】
(実施例1)
外径30mm、内径28.5mm、長さ254mmのアルミニウム(アルミニウム−マグネシウム−シリコン系合金)切削管を、脱脂用洗剤(花王株式会社製クリンスルーLC870)及びイオン交換水にて洗浄し、図2の蒸着装置に装着する。5×10−3Paの減圧下、アルミニウム管上にオキソチタニウムフタロシアニン蒸着膜を形成した。アルミニウム管1本当りのオキソチタニウムフタロシアニン量は、2mgであった。
【0090】
次に、エタノール(関東化学株式会社製一級試薬)100重量部に対してポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)(積水化学工業株式会社製 エスレックBL−1)を2重量部、ブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)(積水化学工業株式会社製 エスレックBX−1)を0.5重量部添加した溶液中に、蒸着膜が形成されたアルミニウム管を図3の浸漬処理装置にて中間層を浸漬塗工する。中間層のアルミニウム管1本当りの樹脂量は、3mgであった。すなわち、電荷発生層の有機顔料蒸着膜であるオキソチタニウムフタロシアニン量2mgの1.5倍の量である。引き続き、2−メチル−4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン18重量部と1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン2重量部、ポリカーボネート(出光興産株式会社製タフゼットP−300)20重量部、ジクロロメタン100重量部からなる塗料を用い、図4の浸漬塗工装置にて乾燥後膜厚が25μmになるように電荷輸送層を設け感光体を完成させた。
【0091】
評価は、松下電送システム株式会社製パナファックスUF770のプロセスカートリッジに得られた感光体を装着し、現像部分に表面電位計(トレック社製 MODEL344)を取り付け、現像器位置での帯電電位V0及び露光後電位VLを測定した。この電位測定の結果を表1に示す。また、同様の測定を、高温高湿環境下(35℃70%)及び低温低湿環境下(10℃15%)でも行った。さらに、繰り返し8000枚印字後の電位測定結果(8000枚印字後特性)、及び低温低湿環境下で現像ローラ705との間隔を保持するギャップスペーサ707で感光層の剥れ(ギャップ部剥れ)が発生した印字枚数もあわせて表1に示す。
【0092】
(実施例2)
実施例2では、実施例1における樹脂(I)を2.25重量部、樹脂(II)を0.25重量部にした以外は、実施例1と同様に感光体を作成し評価を行った。この結果を表1に示す。
【0093】
(実施例3)
実施例3では、実施例1における樹脂(I)を1.25重量部、樹脂(II)を1.25重量部にした以外は、実施例1と同様に感光体を作成し評価を行った。この結果を表1に示す。
【0094】
(実施例4)
実施例4では、中間層塗料の樹脂分濃度を1.8%にし、実施例1における中間層のアルミニウム管1本当りの樹脂量を2mgにした以外は、実施例1と同様に感光体を作成し評価を行った。すなわち、中間層の樹脂量が電荷発生層の有機顔料蒸着膜であるオキソチタニウムフタロシアニン量2mgと同量の場合である。この結果を表1に示す。
【0095】
(実施例5)
実施例5では、中間層塗料の樹脂分濃度を3%にし、実施例1における中間層のアルミニウム管1本当りの樹脂量を4mgにした以外は、実施例1と同様に感光体を作成し評価を行った。中間層の樹脂量が電荷発生層の有機顔料蒸着膜であるオキソチタニウムフタロシアニン量2mgの2倍の量の場合である。この結果を表1に示す。
【0096】
(実施例6)
実施例6では、オキソチタニウムフタロシアニン蒸着膜形成の際に、蒸着装置内部に遮蔽板を設け、アルミニウム管の両端部10mmに蒸着膜が付着しないようにした。それ以外は、実施例1と同様に感光体を作成し評価を行った。すなわち、上述の実施の形態2に係る電子写真用感光体50を用いて評価を行ったものである。この結果を表1に示す。ここでは、表1に示すように、特にギャップ部剥れの評価において良好な結果を得ることができた。
【0097】
(比較例1)
比較例1では、実施例1における中間層を設けない以外、実施例1と同様に感光体を作成し評価を行った。この結果を表1に示す。ここでは、表1に示すように、特に環境変動及び繰り返し変動に大きな変動が生じていることが分かる。また、ギャップ部剥れの評価においても、感光層の膜強度が不足していることが認識できる。
【0098】
(比較例2)
比較例2では、実施例1における樹脂(I)を2.5重量部で樹脂(II)を用いない以外、実施例1と同様に感光体を作成し評価を行った。この結果を表1に示す。ここでは、ギャップ部剥れの評価において、実施例1等の評価に比べて感光層の膜強度が不足していることが認識できる。
【0099】
(比較例3)
比較例3では、実施例1における樹脂(II)を2.5重量部で樹脂(I)を用いない以外、実施例1と同様に感光体を作成し評価を行った。この結果を表1に示す。ここでは、ギャップ部剥れの評価において多少の改善はみられるものの、環境変動及び繰り返し変動、特に高温多湿における環境変動及び繰り返し変動に大きな変動が生じていることが分かる。
【0100】
(比較例4)
比較例4では、中間層塗料の樹脂分濃度を5%にし、実施例1における中間層のアルミニウム管1本当りの樹脂量を7mgにした以外は、実施例1と同様に感光体を作成し評価を行った。中間層の樹脂量が電荷発生層の有機顔料蒸着膜であるオキソチタニウムフタロシアニン量2mgの3.5倍の量の場合である。この結果を表1に示す。ここでは、環境変動及び繰り返し変動、特に高温多湿における環境変動及び繰り返し変動に大きな変動が生じていることが分かる。
【0101】
【表1】
Figure 2004302252
表1に示す結果から明らかなように、本実施の形態に係る電子写真用感光体では、良好な電子写真特性を示すとともに、環境変動、繰り返し変動が小さく、感光層の膜強度も優れた性能を示す。特に、上記実施例では、中間層を形成しない場合(比較例1)、中間層の樹脂量を、電荷発生層の有機顔料蒸着膜であるオキソチタニウムフタロシアニン量2mgと同量にした場合(実施例4)、オキソチタニウムフタロシアニン量2mgの1.5倍にした場合(実施例1)、2場合にした場合(実施例5)及び3.5倍にした場合(比較例4)について評価を行っている。この評価結果から中間層の樹脂量は、電荷発生層の有機顔料蒸着膜の質量の0.5〜3倍の量とした場合に良好な電子写真特性を示すとともに、環境変動、繰り返し変動が小さく、感光層の膜強度も優れた性能を示すことが認識できる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、環境安定性に優れ、接着性が高く、半導体レーザ光に対して高感度を示すとともに、感度や帯電性、これらの感光体特性の繰り返し安定性にも優れた電子写真用感光体及びその製造方法を提供することができる。
【0103】
また、その電子写真用感光体を用いることにより、どのような環境下でも安定した画像が得ることができる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子写真用感光体の構成を模式的に示した断面図
【図2】本発明の実施例で使用した蒸着装置の構成を示した概略図
【図3】本発明の実施例で使用した中間層形成用浸漬塗工装置の構成を示した概略図
【図4】本発明の実施例で使用した電荷輸送層形成用浸漬塗工装置の構成を示した概略図
【図5】本発明の実施の形態に係る電子写真用感光体の構成を模式的に示した断面図
【図6】本発明の実施の形態に係る電子写真用感光体を搭載した画像形成装置の断面図
【図7】本発明の実施の形態に係る電子写真用感光体を搭載したプロセスユニットの断面図
【符号の説明】
10 電子写真用感光体
11 導電性支持体
12 電荷発生層
13 中間層
14 電荷輸送層
20 有機顔料(電荷発生物質(オキソチタニウムフタロシアニン))
21 蒸着装置のチャンバー
22 アルミニウム管(導電性支持体)
23 蒸着源
24 排気口
30 中間層用塗料
31 浸漬塗工装置
32 ポット
33 アルミニウム管(電荷発生物質が蒸着された導電性支持体)
34 把持装置を備えた可動部
35 循環用ポンプ
36 フィルタユニット
40 電荷輸送層用塗料
41 浸漬塗工装置
42 ポット
43 アルミニウム管(電荷発生層、中間層が形成された導電性支持体)
44 把持装置を備えた可動部
45 循環用ポンプ
46 フィルタユニット
50 電子写真用感光体(円筒状電子写真用感光体)
51 導電性支持体(アルミニウム管)
52 電荷発生層
53 中間層
54 電荷輸送層
55 電子写真特性が必要な領域
606 給紙カセット
611 プロセスカートリッジ
612 レーザスキャンユニット(LSU)
613 転写ローラ
614 定着ユニット
701 帯電部
702 帯電ローラ
703 現像部
705 現像ローラ
706 現像ブレード
708 クリーニング部
709 クリーニングブレード

Claims (12)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、中間層、電荷輸送層の順に積層してなる電子写真用感光体において、前記電荷発生層が有機顔料の蒸着膜であり、前記中間層に、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)とブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)を含有することを特徴とする電子写真用感光体。
  2. 前記電荷発生層の有機顔料蒸着膜と前記中間層の樹脂の質量比が1対0.5〜3の範囲であることを特徴とする請求項1記載の電子写真用感光体。
  3. 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、中間層、電荷輸送層の順に積層してなる電子写真用感光体において、前記電荷発生層が電子写真特性の必要な領域にのみ設けられた有機顔料の蒸着膜であり、前記中間層が導電性支持体上全域に設けられた樹脂を主成分とする塗布膜であり、当該塗布膜は少なくとも電荷輸送物質とバインダ樹脂とからなる前記電荷輸送層が中間層塗布領域と同じ領域に設けられていることを特徴とする電子写真用感光体。
  4. 前記中間層の樹脂がポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)とブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)との混合物であることを特徴とする請求項3記載の電子写真用感光体。
  5. 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、中間層、電荷輸送層の順に積層してなる電子写真用感光体の製造方法において、有機顔料を蒸着することにより前記電荷発生層を形成する工程と、さらにポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)とブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)からなる塗料を用いて前記中間層を形成する工程とを含むことを特徴とする電子写真用感光体の製造方法。
  6. 前記電荷発生層の有機顔料蒸着膜と前記中間層の樹脂との質量比が1対0.5〜3の範囲であることを特徴とする請求項5記載の電子写真用感光体の製造方法。
  7. 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、中間層、電荷輸送層の順に積層してなる電子写真用感光体の製造方法において、電子写真特性の必要な領域にのみ有機顔料を蒸着することにより前記電荷発生層を形成する工程と、導電性支持体上全域に樹脂を主成分とする塗料を用いて前記中間層を形成する工程と、中間層塗布領域と同じ領域に前記電荷輸送層を形成する工程とを含むことを特徴とする電子写真用感光体の製造方法。
  8. 前記中間層の樹脂がポリビニルアルコールをブチルアルデヒドにてアセタール化した樹脂(I)とブチルアルデヒド以外のアルデヒドにてアセタール化した樹脂(II)との混合物であることを特徴とする請求項7記載の電子写真用感光体の製造方法。
  9. 電子写真用感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニング工程を経て画像形成を行う画像形成装置において、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子写真用感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
  10. 前記電子写真用感光体と現像工程に用いられる現像ローラとの間隔を保持する部材が、当該電子写真用感光体の最表面層で接触することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
  11. 電子写真用感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニング工程を経て画像形成を行う画像形成装置に使用するプロセスカートリッジにおいて、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子写真用感光体と、帯電部、像露光部、現像部、転写又は分離部、クリーニング部のいずれか1つとを組み合わせてつくられていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 前記電子写真用感光体と現像部の現像ローラとの間隔を保持する部材が、当該電子写真用感光体の最表面層で接触することを特徴とする請求項11記載のプロセスカートリッジ。
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