JP2004301872A - 電子写真装置用現像ローラー - Google Patents
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Abstract
【課題】表面層が、フッ素系樹脂の持つ利点を有しつつも、トナー搬送性、可撓性、追従性に優れたものとなりうる電子写真装置用現像ローラーを提供する。
【解決手段】本発明に係る電子写真装置用現像ローラーは、弾性を有する弾性基材層の表面に表面層が備えられてなる電子写真装置用現像ローラーであって、
前記表面層は、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂と無機微粒子とが配合された樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物は、JIS K7113の引張試験において、2号試験片の伸び率が100%以上で且つ降伏点を有さず、伸び率100%での応力が25MPa以下となるものであることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明に係る電子写真装置用現像ローラーは、弾性を有する弾性基材層の表面に表面層が備えられてなる電子写真装置用現像ローラーであって、
前記表面層は、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂と無機微粒子とが配合された樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物は、JIS K7113の引張試験において、2号試験片の伸び率が100%以上で且つ降伏点を有さず、伸び率100%での応力が25MPa以下となるものであることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファックス等の電子写真装置に使用される電子写真装置用現像ローラーに関し、詳しくは、外周表面にトナーを薄層化して担持し、該トナーを感光体に供給する電子写真装置用現像ローラーに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
電子写真装置の現像部(感光体にトナー像を形成する部分)に於いては、外周表面にトナーを薄層化して担持し、該トナーを感光体に供給する現像ローラーが使用されている。
斯かる現像ローラーは、該現像ローラー等との摩擦によって帯電(正電荷)の与えられたトナーを、表面に担持し、感光体に圧接される際に、感光体の静電潜像の形成された部分にトナーを移動させ、感光体にトナー像を形成させるものである。
【0003】
従来、この種の電子写真装置用現像ローラーとしては、所定弾性を有する弾性基材層の表面に、表面層が備えられてなるものであって、該表面層として、負帯電性が高く、トナーへの帯電性付与性能の優れたフッ素系樹脂の配合されてなるものが知られており、具体的には、表面層が、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂との配合された樹脂組成物からなるものが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−154456号公報
【特許文献2】
特開平10−90972号公報
【0005】
フッ素系樹脂は、元来、硬く、脆い性質があり、更に、他物質との親和性が低く弾性基材層との密着性が悪いものであるところ、上記構成の現像ローラーに於いては、表面層を構成する樹脂組成物として、フッ素系樹脂の中では比較的柔軟性を有するフッ素含有オレフィン樹脂と、弾性基材層との密着性を有するアクリル系樹脂とが配合されたものが用いられているため、表面層は、可撓性及び追従性(変形に対する追従性)を備え、ローラーが変形した際に、シワ、割れ、剥離等が発生し難いものとなっている。
【0006】
ところで、現像ローラーの表面粗度を調整することは、トナー搬送性(即ち、トナー搬送量をコントロールしたり、安定化させたりできる性能)を向上させるために重要であり、従来、現像ローラーの表面粗度を調整する方法として、表面層を比較的厚くする(通常5〜50μm)と共に、表面層を構成する樹脂組成物に、無機微粒子を混合分散させる方法が採用されている。
【0007】
しかしながら、表面層を構成する樹脂組成物に無機微粒子を配合すると、表面層の可撓性の低下を招き、上記の如く、フッ素系樹脂としてフッ素含有オレフィン樹脂が用いられたものであっても、表面層の可撓性、追従性が不十分となりやすく、感光体との圧接時等に於いて弾性基材層の変形に対して追従できず、表面層にしわ、割れが生じたり、表面層が弾性基材層から剥離したりする虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、表面層が、フッ素系樹脂の持つ利点を有しつつも、トナー搬送性、可撓性、追従性に優れたものとなりうる電子写真装置用現像ローラーを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明に係る電子写真装置用現像ローラーは、弾性を有する弾性基材層の表面に表面層が備えられてなる電子写真装置用現像ローラーであって、
前記表面層は、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂と無機微粒子とが配合された樹脂組成物からなり、
前記樹脂組成物は、JIS K7113の引張試験において、2号試験片の伸び率が100%以上で且つ降伏点を有さず、伸び率100%での応力が25MPa以下となるものであることを特徴とする。
【0010】
斯かる構成からなる電子写真装置用現像ローラーに於いて、表面層は、フッ素含有オレフィン樹脂の配合された樹脂組成物からなるので、フッ素系樹脂の持つ利点を有しうる。また、該樹脂組成物には、無機微粒子も配合されてなるので、トナー搬送性にも優れたものとなりうる。
しかも、表面層を構成する樹脂組成物は、表面層に柔軟性を付与するフッ素含有オレフィン樹脂と、弾性基材層への密着性や適度な腰を付与するアクリル系樹脂とが配合されて、JIS K7113の引張試験において、2号試験片の伸び率が100%以上で且つ降伏点を有さず、伸び率100%での応力が25MPa以下となるものに調整されていることから、表面層は、無機微粒子が配合されていても可撓性、追従性に優れたものとなりうる。
【0011】
本発明に於いて、フッ素含有オレフィン樹脂としては、表面層をコートし易いという観点から、溶剤可溶性のフッ素含有オレフィン樹脂が好ましく、該溶剤可溶性のフッ素含有オレフィン樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフロロプロピレン、フッ化ビニルエーテル等を挙げることができる。
中でも、アクリル系樹脂との優れた相溶性や柔軟性を有する点で、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
また、アクリル系樹脂としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジブチルフマル酸エステル、ジメチルフマル酸エステル等の1種又は2種以上を挙げることができる。
中でも、弾性基材層との密着性及びフッ素含有オレフィン樹脂との優れた相溶性を有する点でメタクリル酸メチルが好ましい。
尚、フッ素含有オレフィン樹脂の配合量は、固形分換算で、通常、樹脂組成物中40〜90重量%、好ましくは、60〜80重量%、アクリル系樹脂の配合量は、通常、10〜60重量%、好ましくは20〜40重量%である。
【0012】
本発明に於いて、前記表面層は、一層であり、前記弾性基材層に直接密着されているものが好ましい。
前記樹脂組成物からなる表面層は、上述の如く、可撓性、追従性に優れており、他の層を介さずに弾性基材層に直接密着させても剥離の虞が殆どないことから、一層で弾性基材層に直接密着されている構成とすることができる。そして、斯かる構成を備えた現像ローラーは、弾性基材層の表面に多層の表面層を備えたものに比して、表面層の形成作業が簡便なものとなる。
【0013】
本発明に於いて、無機微粒子としては、化学的に安定で配合により表面層材料と化学反応を起こして表面層物性を変化させない無機微粒子が好ましく、該無機微粒子としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタンが好ましい。
これらの無機微粒子は、樹脂組成物の溶液中での分散安定性に優れていることから、斯かる無機微粒子を採用した現像ローラーは、樹脂組成物の溶液中に無機微粒子を十分に分散させて表面層を形成することができ、表面層に無機微粒子が十分に分散したものとなりうる。
尚、本発明に於いて、樹脂組成物中の無機微粒子の配合量は、固形分換算で、通常、1〜60重量%、好ましくは、10〜40重量%である。
【0014】
更に、本発明に於いて、前記無機微粒子としては、平均粒子径が1〜10μmであるものが好ましい。
平均粒子径が斯かる範囲のものであれば、表面層の表面粗さRz及び凹凸平均間隔Smを小さくでき、トナー搬送性の極めて優れたものとなりうる。
ここで、平均粒子径は、水媒中で超音波分散30sec処理したときのレーザー回析法での粒子径測定に於けるmvを意味する。
【0015】
本発明に於いては、通常、表面粗さRzが1〜10μm、好ましくは、2〜10μm、表面層の厚さdがd≧0.5Rz、表面の凹凸の平均間隔Smが500μm以下に設定される。
表面層の表面粗さRzを斯かる範囲とすることにより、トナー搬送性に非常に優れたものとなる。
ここで、表面粗さRzは、JIS B0601−1994にそれぞれ規定される10点平均粗さRz、凹凸の平均間隔Smにて測定される値である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に付いて、図面を参照しつつ説明する。
先ず、本実施形態の電子写真装置用現像ローラーが使用される電子写真装置の印刷画像形成プロセスの一例に付いて説明する。
図1は、電子写真装置の一例を示す概略図である。
図1に示すように、電子写真装置は、感光体ドラム1の周囲に、帯電部、露光部、現像部、転写部、クリーニング部を備えて構成されている。
【0017】
図1において、感光体ドラム1は、駆動手段(図示せず)により矢印Aの方向に回転しながら、帯電部に備えられたコロナチャージャー2によって一様に帯電(電荷)が付与される構成である。
帯電が付与された感光体ドラム1は、露光部においてレーザー光3が照射され、該レーザー光3が照射されることにより静電潜像が形成される。
【0018】
静電潜像が形成された感光体ドラム1は、現像部において、現像ローラー4と当接する。現像部においては、現像ローラー4に担持され且つ帯電の付与されたトナー5が静電潜像上に移動し、感光体ドラム1に、トナー像6が形成される。
現像部において形成されたトナー像6は、転写部において、記録紙7等に転写され、定着工程(図示せず)を経て、印刷画像として記録紙上に形成される。
尚、感光体ドラム1表面に残留したトナー5は、クリーニングブレード8によって取り除かれる。
【0019】
前記現像部において、現像ローラー4は矢印Bの方向に回転駆動されてなり、該現像ローラー4の表面と該現像ローラー4の近傍に備えられた現像ブレード10との摩擦によって正帯電の付与されたトナー5は、負に帯電した現像ローラー4の表面に付着して担持される。
尚、現像ローラー表面に担持されるトナー量は、該現像ブレード10によって一定に保たれる。
この現像ローラー4へのトナー5の供給は、矢印Cの方向に回転駆動された供給ローラー9によって行われる。
【0020】
次に、本実施形態の電子写真装置用現像ローラーについて説明する。
図2は、電子写真装置の印刷画像形成プロセス等において使用される本実施形態の現像ローラー4を示す斜視図である。
該現像ローラー4は、中心に回転軸4aを備え、円柱状に形成される。
回転軸4aとして高剛性で且つ曲がりにくいステンレスや表面処理鋼が使用される。
【0021】
この回転軸4aの外周面には、所定弾性(通常、表面層4cよりも低弾性)を有する弾性基材層4bが回転軸4aを軸として円柱状(筒状)となるように全周に亘って形成されており、該弾性基材層4bは、極性基によって電気的に極性を有するゴムを含むゴム組成物から構成され、通常、JIS−A硬度が20〜60度の範囲に設定される。
また、該弾性基材層4bは、通常、カーボンブラックなどの導電性付与材が添加されて、通常、電気抵抗が103〜1010Ωに設定される。
更に、弾性基材層4bの厚さは、通常、1〜10mmに設定される。
尚、前記極性を有するゴムとしては、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、ヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、クロロプレンゴム、アクリルゴムの1種又は2種以上を挙げることができる。
【0022】
弾性基材層4bを回転軸4a外周に形成する方法として、例えば、弾性基材層としてウレタンゴムをベースポリマーとする場合には、ポリウレタン等の液状原料を使用し、回転軸4a用の芯金に該液状原料を金型に注入硬化させる注型法を挙げることができる。また、弾性基材層としてヒドリン、NBR等をベースポリマーとする場合には、ヒドリン、NBR等の未加硫ゴムを加圧によって金型に充填した後に加硫するプレス法や、トランスファー法等を挙げることができる。
【0023】
この弾性基材層4bの外周面には、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物からなる一層の表面層4cが直接密着されてる。この表面層4cの厚さは、好ましくは3〜70μm、より好ましくは5〜40μmである。
尚、フッ素含有オレフィン樹脂として、好ましくは、ポリフッ化ビニリデンが使用され、アクリル系樹脂として、好ましくは、メタクリル酸メチルが使用される。
【0024】
尚、この表面層4cを構成する樹脂組成物には、通常、2次粒子の平均粒子径が1〜10μmの水酸化マグネシウム及び/又は炭酸マグネシウムが10〜30重量%(固形分換算)配合されている。
【0025】
この表面層を弾性基材層の外周面に形成する方法としては、所定の樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解させ、更に、無機微粒子(カーボンブラック等の導電性調整剤を含む)を添加して原料液を調整し、該原料液に、回転軸の外周に弾性基材層の形成されたものを浸漬して乾燥させる方法(Dip法)等を採用することができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、更に、詳細に説明する。
〈弾性基材層の製造〉
ひまし油系ジオール(商品名「ニッポラン4032」、豊国製油社製)40重量部と、トリレンジイソシアナート(商品名「コロネートT80」、日本ポリウレタン工業社製)15重量部と、カーボンブラック(商品名「ケッチェンブラックEC」、ライオンアクゾ社製)1重量部とを混合攪拌して弾性基材層用の原料液(熱硬化性)を調製した。
次いで、ステンレス製回転軸を円筒状の金型内に固定し、該金型を100℃に加熱した後、前記原料液を注入した。
注入後、2時間150℃に保持し、前記原料液を硬化させ、脱型後に110℃で2時間放置した後、外周部を研磨して回転軸外周に表面粗さRzが6μmの弾性基材層を形成した。この弾性基材層のJIS−A硬度は、42度、電気抵抗は2×104〜8×104Ωcmであった。
【0027】
実施例1〜4、比較例1〜5
下記表1に示す配合にて各材料を配合した樹脂組成物に、固形分濃度が5重量%となるように溶剤を加え、ビーズミルにて均一に分散させて表面層用のコート液を調製した。溶剤としては、MEK(メチルエチルケトン)/MIBK(メチルイソブチルケトン)/トルエン=80/15/5(vol%)の混合溶液を使用した。
【0028】
【表1】
【0029】
尚、表1中の数値は、それぞれ重量部である。
また、表1中、フッ素含有オレフィン樹脂としては、MEK/MIBK/トルエン可溶のポリフッ化ビニリデン樹脂(溶液)を用いた。アクリル系樹脂1としては、MMA−BMA系共重合体(メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート系共重合体)で、Tg=84℃(DSC法)のものを、アクリル系樹脂2としては、EA−BA系共重合体(エチルアクリレート−ブチルアクリレート系共重合体)でTg=−38℃(DSC法)のものを用いた。
また、水酸化マグネシウムA、水酸化マグネシウムB、炭酸カルシウムA、炭酸カルシウムBとして、2次粒子の平均粒子径がそれぞれ6.2μm、15.8μm、3.6μm、17.6μmのものを使用した。
【0030】
得られた各コート液を用いて、JIS K 7113−1995に準拠して、2号試験片を調製した。
得られた各試験片を用い、JIS K7113−1995に準拠して、伸び率50%、100%における応力(MPa)、引張試験TB(引張強さMPa)、EB(伸び率%)、降伏点の有無、及び降伏点がある場合のその時の伸び率(%)を測定した。尚、試験速度としては、速度G(JIS K7113 6.2)を採用した。
測定結果を下記表2に示す。
【0031】
また、各コート液を用い、Dip法にて弾性基材層の表面に厚さ約6μmの表面層を形成し、それぞれ実施例1〜4、比較例1〜5の現像ローラーを得た。
得られた各現像ローラーの抵抗値、Rz、Smを測定した。
尚、ローラーの抵抗値としては、ローラーの両端に0.5kg(計1kg)の加重をかけ、100Vの電圧を印加し、アドバンテスト社製「R8340A ULTRA RESISTANCE METER」(商品名)を用いて、60秒後の抵抗値を測定した。
Rz、Smは、それぞれJIS B0601−1994により測定した。
【0032】
更に、得られた各ローラーを、市販の電子写真プリンター(「ブラザーHL−1240」、ブラザー社製)に組み込み、それぞれ同一の画像(黒ベタ部分、ハーフトーン部分、白色部分を含む)を連続5000枚印刷した。その際、下記項目▲1▼〜▲5▼の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0033】
▲1▼〈使用前の表面層の表面状態〉
各ローラーをプリンターに組み込む前に、表面層の表面状態を目視にて観察した。表面層の剥がれ、クラックの全くないものを○、それ以外を×で評価した。
▲2▼〈初期セット時のニップ部のしわ〉
各ローラーをプリンターに組み込んだ際に、ニップ部(感光体に当接する部分)のしわの有無を目視にて判断し、しわが全くないものを○、僅かに確認できるものを△、ハッキリ確認できるものを×で評価した。
▲3▼〈初期の表面層の剥がれ及びクラック〉
10枚印刷後の表面層の剥がれ及びクラックの有無をそれぞれ目視にて判断し、全くないものを○、僅かに確認できるものを△、ハッキリ確認できるものを×で評価した。
▲4▼〈初期画像の画像濃度、地肌かぶり、ハーフトーンの画像あれ(ハーフトーンの濃淡ムラ)、黒ベタ部の抜け〉
10枚印刷後、最後に印刷した印刷画像を、評価の対象とした。
画像濃度、地肌かぶりについては、RD918(Gretag Macbeth社製)により測定した。
ハーフトーンの画像あれ、黒ベタ部の抜けについては、目視により判断し、全く認められないものを○、僅かに確認できるものを△、ハッキリ確認できるものを×で評価した。
▲5▼<5000枚印刷後の表面層の剥がれ、表面クラック、画像濃度、地肌かぶり、ハーフトーンの画像あれ、黒ベタ部の抜け>
5000枚印刷後、上記▲3▼、▲4▼に準じてそれぞれ評価した。
尚、比較例1のものは、3000枚印刷後に画像を形成することが困難であっため、その時点で印刷を中止した。
【0034】
【表2】
【0035】
表2から明らかなように、表面層にアクリル系樹脂を含まない比較例1は、初期段階で表面層の剥離やクラックが発生しているのに対し、実施例1〜4は、5000枚印刷後においても表面層の剥離やクラックが確認できず、印刷画像も良好で、表面層の可撓性及び追従性が非常に優れていた。
一方、伸び率100%未満で且つ降伏点を持つ比較例2は、5000枚印刷後に於いて、表面層の剥離やクラックを生じ、また、ハーフトーン画像あれ、黒ベタ部の抜けが見られた。
また、降伏点を有する比較例3、4、5に於いては、ハーフトーン画像あれ、黒ベタ部の抜けが見られ、特に、伸び率100%での応力が25Mpaより大きい比較例3、4は、5000枚印刷後に於いて、表面層のクラックを生じた。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電子写真装置用現像ローラーは、表面層が、フッ素含有樹脂の持つ利点を有しつつも、トナー搬送性、可撓性に優れたものとなりうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の現像ローラーを使用した電子写真装置を示す概略図。
【図2】同実施形態の現像ローラーを示す斜視図。
【符号の説明】
4b・・・弾性基材層、4c・・・表面層
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファックス等の電子写真装置に使用される電子写真装置用現像ローラーに関し、詳しくは、外周表面にトナーを薄層化して担持し、該トナーを感光体に供給する電子写真装置用現像ローラーに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
電子写真装置の現像部(感光体にトナー像を形成する部分)に於いては、外周表面にトナーを薄層化して担持し、該トナーを感光体に供給する現像ローラーが使用されている。
斯かる現像ローラーは、該現像ローラー等との摩擦によって帯電(正電荷)の与えられたトナーを、表面に担持し、感光体に圧接される際に、感光体の静電潜像の形成された部分にトナーを移動させ、感光体にトナー像を形成させるものである。
【0003】
従来、この種の電子写真装置用現像ローラーとしては、所定弾性を有する弾性基材層の表面に、表面層が備えられてなるものであって、該表面層として、負帯電性が高く、トナーへの帯電性付与性能の優れたフッ素系樹脂の配合されてなるものが知られており、具体的には、表面層が、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂との配合された樹脂組成物からなるものが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−154456号公報
【特許文献2】
特開平10−90972号公報
【0005】
フッ素系樹脂は、元来、硬く、脆い性質があり、更に、他物質との親和性が低く弾性基材層との密着性が悪いものであるところ、上記構成の現像ローラーに於いては、表面層を構成する樹脂組成物として、フッ素系樹脂の中では比較的柔軟性を有するフッ素含有オレフィン樹脂と、弾性基材層との密着性を有するアクリル系樹脂とが配合されたものが用いられているため、表面層は、可撓性及び追従性(変形に対する追従性)を備え、ローラーが変形した際に、シワ、割れ、剥離等が発生し難いものとなっている。
【0006】
ところで、現像ローラーの表面粗度を調整することは、トナー搬送性(即ち、トナー搬送量をコントロールしたり、安定化させたりできる性能)を向上させるために重要であり、従来、現像ローラーの表面粗度を調整する方法として、表面層を比較的厚くする(通常5〜50μm)と共に、表面層を構成する樹脂組成物に、無機微粒子を混合分散させる方法が採用されている。
【0007】
しかしながら、表面層を構成する樹脂組成物に無機微粒子を配合すると、表面層の可撓性の低下を招き、上記の如く、フッ素系樹脂としてフッ素含有オレフィン樹脂が用いられたものであっても、表面層の可撓性、追従性が不十分となりやすく、感光体との圧接時等に於いて弾性基材層の変形に対して追従できず、表面層にしわ、割れが生じたり、表面層が弾性基材層から剥離したりする虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、表面層が、フッ素系樹脂の持つ利点を有しつつも、トナー搬送性、可撓性、追従性に優れたものとなりうる電子写真装置用現像ローラーを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明に係る電子写真装置用現像ローラーは、弾性を有する弾性基材層の表面に表面層が備えられてなる電子写真装置用現像ローラーであって、
前記表面層は、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂と無機微粒子とが配合された樹脂組成物からなり、
前記樹脂組成物は、JIS K7113の引張試験において、2号試験片の伸び率が100%以上で且つ降伏点を有さず、伸び率100%での応力が25MPa以下となるものであることを特徴とする。
【0010】
斯かる構成からなる電子写真装置用現像ローラーに於いて、表面層は、フッ素含有オレフィン樹脂の配合された樹脂組成物からなるので、フッ素系樹脂の持つ利点を有しうる。また、該樹脂組成物には、無機微粒子も配合されてなるので、トナー搬送性にも優れたものとなりうる。
しかも、表面層を構成する樹脂組成物は、表面層に柔軟性を付与するフッ素含有オレフィン樹脂と、弾性基材層への密着性や適度な腰を付与するアクリル系樹脂とが配合されて、JIS K7113の引張試験において、2号試験片の伸び率が100%以上で且つ降伏点を有さず、伸び率100%での応力が25MPa以下となるものに調整されていることから、表面層は、無機微粒子が配合されていても可撓性、追従性に優れたものとなりうる。
【0011】
本発明に於いて、フッ素含有オレフィン樹脂としては、表面層をコートし易いという観点から、溶剤可溶性のフッ素含有オレフィン樹脂が好ましく、該溶剤可溶性のフッ素含有オレフィン樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフロロプロピレン、フッ化ビニルエーテル等を挙げることができる。
中でも、アクリル系樹脂との優れた相溶性や柔軟性を有する点で、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
また、アクリル系樹脂としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジブチルフマル酸エステル、ジメチルフマル酸エステル等の1種又は2種以上を挙げることができる。
中でも、弾性基材層との密着性及びフッ素含有オレフィン樹脂との優れた相溶性を有する点でメタクリル酸メチルが好ましい。
尚、フッ素含有オレフィン樹脂の配合量は、固形分換算で、通常、樹脂組成物中40〜90重量%、好ましくは、60〜80重量%、アクリル系樹脂の配合量は、通常、10〜60重量%、好ましくは20〜40重量%である。
【0012】
本発明に於いて、前記表面層は、一層であり、前記弾性基材層に直接密着されているものが好ましい。
前記樹脂組成物からなる表面層は、上述の如く、可撓性、追従性に優れており、他の層を介さずに弾性基材層に直接密着させても剥離の虞が殆どないことから、一層で弾性基材層に直接密着されている構成とすることができる。そして、斯かる構成を備えた現像ローラーは、弾性基材層の表面に多層の表面層を備えたものに比して、表面層の形成作業が簡便なものとなる。
【0013】
本発明に於いて、無機微粒子としては、化学的に安定で配合により表面層材料と化学反応を起こして表面層物性を変化させない無機微粒子が好ましく、該無機微粒子としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタンが好ましい。
これらの無機微粒子は、樹脂組成物の溶液中での分散安定性に優れていることから、斯かる無機微粒子を採用した現像ローラーは、樹脂組成物の溶液中に無機微粒子を十分に分散させて表面層を形成することができ、表面層に無機微粒子が十分に分散したものとなりうる。
尚、本発明に於いて、樹脂組成物中の無機微粒子の配合量は、固形分換算で、通常、1〜60重量%、好ましくは、10〜40重量%である。
【0014】
更に、本発明に於いて、前記無機微粒子としては、平均粒子径が1〜10μmであるものが好ましい。
平均粒子径が斯かる範囲のものであれば、表面層の表面粗さRz及び凹凸平均間隔Smを小さくでき、トナー搬送性の極めて優れたものとなりうる。
ここで、平均粒子径は、水媒中で超音波分散30sec処理したときのレーザー回析法での粒子径測定に於けるmvを意味する。
【0015】
本発明に於いては、通常、表面粗さRzが1〜10μm、好ましくは、2〜10μm、表面層の厚さdがd≧0.5Rz、表面の凹凸の平均間隔Smが500μm以下に設定される。
表面層の表面粗さRzを斯かる範囲とすることにより、トナー搬送性に非常に優れたものとなる。
ここで、表面粗さRzは、JIS B0601−1994にそれぞれ規定される10点平均粗さRz、凹凸の平均間隔Smにて測定される値である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に付いて、図面を参照しつつ説明する。
先ず、本実施形態の電子写真装置用現像ローラーが使用される電子写真装置の印刷画像形成プロセスの一例に付いて説明する。
図1は、電子写真装置の一例を示す概略図である。
図1に示すように、電子写真装置は、感光体ドラム1の周囲に、帯電部、露光部、現像部、転写部、クリーニング部を備えて構成されている。
【0017】
図1において、感光体ドラム1は、駆動手段(図示せず)により矢印Aの方向に回転しながら、帯電部に備えられたコロナチャージャー2によって一様に帯電(電荷)が付与される構成である。
帯電が付与された感光体ドラム1は、露光部においてレーザー光3が照射され、該レーザー光3が照射されることにより静電潜像が形成される。
【0018】
静電潜像が形成された感光体ドラム1は、現像部において、現像ローラー4と当接する。現像部においては、現像ローラー4に担持され且つ帯電の付与されたトナー5が静電潜像上に移動し、感光体ドラム1に、トナー像6が形成される。
現像部において形成されたトナー像6は、転写部において、記録紙7等に転写され、定着工程(図示せず)を経て、印刷画像として記録紙上に形成される。
尚、感光体ドラム1表面に残留したトナー5は、クリーニングブレード8によって取り除かれる。
【0019】
前記現像部において、現像ローラー4は矢印Bの方向に回転駆動されてなり、該現像ローラー4の表面と該現像ローラー4の近傍に備えられた現像ブレード10との摩擦によって正帯電の付与されたトナー5は、負に帯電した現像ローラー4の表面に付着して担持される。
尚、現像ローラー表面に担持されるトナー量は、該現像ブレード10によって一定に保たれる。
この現像ローラー4へのトナー5の供給は、矢印Cの方向に回転駆動された供給ローラー9によって行われる。
【0020】
次に、本実施形態の電子写真装置用現像ローラーについて説明する。
図2は、電子写真装置の印刷画像形成プロセス等において使用される本実施形態の現像ローラー4を示す斜視図である。
該現像ローラー4は、中心に回転軸4aを備え、円柱状に形成される。
回転軸4aとして高剛性で且つ曲がりにくいステンレスや表面処理鋼が使用される。
【0021】
この回転軸4aの外周面には、所定弾性(通常、表面層4cよりも低弾性)を有する弾性基材層4bが回転軸4aを軸として円柱状(筒状)となるように全周に亘って形成されており、該弾性基材層4bは、極性基によって電気的に極性を有するゴムを含むゴム組成物から構成され、通常、JIS−A硬度が20〜60度の範囲に設定される。
また、該弾性基材層4bは、通常、カーボンブラックなどの導電性付与材が添加されて、通常、電気抵抗が103〜1010Ωに設定される。
更に、弾性基材層4bの厚さは、通常、1〜10mmに設定される。
尚、前記極性を有するゴムとしては、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、ヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、クロロプレンゴム、アクリルゴムの1種又は2種以上を挙げることができる。
【0022】
弾性基材層4bを回転軸4a外周に形成する方法として、例えば、弾性基材層としてウレタンゴムをベースポリマーとする場合には、ポリウレタン等の液状原料を使用し、回転軸4a用の芯金に該液状原料を金型に注入硬化させる注型法を挙げることができる。また、弾性基材層としてヒドリン、NBR等をベースポリマーとする場合には、ヒドリン、NBR等の未加硫ゴムを加圧によって金型に充填した後に加硫するプレス法や、トランスファー法等を挙げることができる。
【0023】
この弾性基材層4bの外周面には、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物からなる一層の表面層4cが直接密着されてる。この表面層4cの厚さは、好ましくは3〜70μm、より好ましくは5〜40μmである。
尚、フッ素含有オレフィン樹脂として、好ましくは、ポリフッ化ビニリデンが使用され、アクリル系樹脂として、好ましくは、メタクリル酸メチルが使用される。
【0024】
尚、この表面層4cを構成する樹脂組成物には、通常、2次粒子の平均粒子径が1〜10μmの水酸化マグネシウム及び/又は炭酸マグネシウムが10〜30重量%(固形分換算)配合されている。
【0025】
この表面層を弾性基材層の外周面に形成する方法としては、所定の樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解させ、更に、無機微粒子(カーボンブラック等の導電性調整剤を含む)を添加して原料液を調整し、該原料液に、回転軸の外周に弾性基材層の形成されたものを浸漬して乾燥させる方法(Dip法)等を採用することができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、更に、詳細に説明する。
〈弾性基材層の製造〉
ひまし油系ジオール(商品名「ニッポラン4032」、豊国製油社製)40重量部と、トリレンジイソシアナート(商品名「コロネートT80」、日本ポリウレタン工業社製)15重量部と、カーボンブラック(商品名「ケッチェンブラックEC」、ライオンアクゾ社製)1重量部とを混合攪拌して弾性基材層用の原料液(熱硬化性)を調製した。
次いで、ステンレス製回転軸を円筒状の金型内に固定し、該金型を100℃に加熱した後、前記原料液を注入した。
注入後、2時間150℃に保持し、前記原料液を硬化させ、脱型後に110℃で2時間放置した後、外周部を研磨して回転軸外周に表面粗さRzが6μmの弾性基材層を形成した。この弾性基材層のJIS−A硬度は、42度、電気抵抗は2×104〜8×104Ωcmであった。
【0027】
実施例1〜4、比較例1〜5
下記表1に示す配合にて各材料を配合した樹脂組成物に、固形分濃度が5重量%となるように溶剤を加え、ビーズミルにて均一に分散させて表面層用のコート液を調製した。溶剤としては、MEK(メチルエチルケトン)/MIBK(メチルイソブチルケトン)/トルエン=80/15/5(vol%)の混合溶液を使用した。
【0028】
【表1】
【0029】
尚、表1中の数値は、それぞれ重量部である。
また、表1中、フッ素含有オレフィン樹脂としては、MEK/MIBK/トルエン可溶のポリフッ化ビニリデン樹脂(溶液)を用いた。アクリル系樹脂1としては、MMA−BMA系共重合体(メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート系共重合体)で、Tg=84℃(DSC法)のものを、アクリル系樹脂2としては、EA−BA系共重合体(エチルアクリレート−ブチルアクリレート系共重合体)でTg=−38℃(DSC法)のものを用いた。
また、水酸化マグネシウムA、水酸化マグネシウムB、炭酸カルシウムA、炭酸カルシウムBとして、2次粒子の平均粒子径がそれぞれ6.2μm、15.8μm、3.6μm、17.6μmのものを使用した。
【0030】
得られた各コート液を用いて、JIS K 7113−1995に準拠して、2号試験片を調製した。
得られた各試験片を用い、JIS K7113−1995に準拠して、伸び率50%、100%における応力(MPa)、引張試験TB(引張強さMPa)、EB(伸び率%)、降伏点の有無、及び降伏点がある場合のその時の伸び率(%)を測定した。尚、試験速度としては、速度G(JIS K7113 6.2)を採用した。
測定結果を下記表2に示す。
【0031】
また、各コート液を用い、Dip法にて弾性基材層の表面に厚さ約6μmの表面層を形成し、それぞれ実施例1〜4、比較例1〜5の現像ローラーを得た。
得られた各現像ローラーの抵抗値、Rz、Smを測定した。
尚、ローラーの抵抗値としては、ローラーの両端に0.5kg(計1kg)の加重をかけ、100Vの電圧を印加し、アドバンテスト社製「R8340A ULTRA RESISTANCE METER」(商品名)を用いて、60秒後の抵抗値を測定した。
Rz、Smは、それぞれJIS B0601−1994により測定した。
【0032】
更に、得られた各ローラーを、市販の電子写真プリンター(「ブラザーHL−1240」、ブラザー社製)に組み込み、それぞれ同一の画像(黒ベタ部分、ハーフトーン部分、白色部分を含む)を連続5000枚印刷した。その際、下記項目▲1▼〜▲5▼の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0033】
▲1▼〈使用前の表面層の表面状態〉
各ローラーをプリンターに組み込む前に、表面層の表面状態を目視にて観察した。表面層の剥がれ、クラックの全くないものを○、それ以外を×で評価した。
▲2▼〈初期セット時のニップ部のしわ〉
各ローラーをプリンターに組み込んだ際に、ニップ部(感光体に当接する部分)のしわの有無を目視にて判断し、しわが全くないものを○、僅かに確認できるものを△、ハッキリ確認できるものを×で評価した。
▲3▼〈初期の表面層の剥がれ及びクラック〉
10枚印刷後の表面層の剥がれ及びクラックの有無をそれぞれ目視にて判断し、全くないものを○、僅かに確認できるものを△、ハッキリ確認できるものを×で評価した。
▲4▼〈初期画像の画像濃度、地肌かぶり、ハーフトーンの画像あれ(ハーフトーンの濃淡ムラ)、黒ベタ部の抜け〉
10枚印刷後、最後に印刷した印刷画像を、評価の対象とした。
画像濃度、地肌かぶりについては、RD918(Gretag Macbeth社製)により測定した。
ハーフトーンの画像あれ、黒ベタ部の抜けについては、目視により判断し、全く認められないものを○、僅かに確認できるものを△、ハッキリ確認できるものを×で評価した。
▲5▼<5000枚印刷後の表面層の剥がれ、表面クラック、画像濃度、地肌かぶり、ハーフトーンの画像あれ、黒ベタ部の抜け>
5000枚印刷後、上記▲3▼、▲4▼に準じてそれぞれ評価した。
尚、比較例1のものは、3000枚印刷後に画像を形成することが困難であっため、その時点で印刷を中止した。
【0034】
【表2】
【0035】
表2から明らかなように、表面層にアクリル系樹脂を含まない比較例1は、初期段階で表面層の剥離やクラックが発生しているのに対し、実施例1〜4は、5000枚印刷後においても表面層の剥離やクラックが確認できず、印刷画像も良好で、表面層の可撓性及び追従性が非常に優れていた。
一方、伸び率100%未満で且つ降伏点を持つ比較例2は、5000枚印刷後に於いて、表面層の剥離やクラックを生じ、また、ハーフトーン画像あれ、黒ベタ部の抜けが見られた。
また、降伏点を有する比較例3、4、5に於いては、ハーフトーン画像あれ、黒ベタ部の抜けが見られ、特に、伸び率100%での応力が25Mpaより大きい比較例3、4は、5000枚印刷後に於いて、表面層のクラックを生じた。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電子写真装置用現像ローラーは、表面層が、フッ素含有樹脂の持つ利点を有しつつも、トナー搬送性、可撓性に優れたものとなりうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の現像ローラーを使用した電子写真装置を示す概略図。
【図2】同実施形態の現像ローラーを示す斜視図。
【符号の説明】
4b・・・弾性基材層、4c・・・表面層
Claims (4)
- 弾性を有する弾性基材層の表面に表面層が備えられてなる電子写真装置用現像ローラーであって、
前記表面層は、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂と無機微粒子とが配合された樹脂組成物からなり、
前記樹脂組成物は、JIS K7113の引張試験において、2号試験片の伸び率が100%以上で且つ降伏点を有さず、伸び率100%での応力が25MPa以下となるものであることを特徴とする電子写真装置用現像ローラー。 - 前記表面層は、一層であり、前記弾性基材層に直接密着されている請求項1記載の電子写真装置用現像ローラー。
- 前記無機微粒子が、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタンの群から選ばれし少なくとも1種である請求項1又は2記載の電子写真装置用現像ローラー。
- 前記無機微粒子の平均粒子径が1〜10μmである請求項1乃至3の何れかに記載の電子写真装置用現像ローラー。
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JP2003091252A JP2004301872A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 電子写真装置用現像ローラー |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008272603A (ja) * | 2007-04-25 | 2008-11-13 | Bridgestone Corp | 導電性ローラの製造方法 |
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-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003091252A patent/JP2004301872A/ja not_active Withdrawn
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