JP2004301736A - 電子機器および時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部磁界を良好かつ正確に検出できる電子機器および外部磁界を除去して正確な時刻情報を受信して時刻を修正できる時計を提供すること。
【解決手段】時刻情報を受信するアンテナ21の軸線21Aと、アンテナ21の周囲に存在する外部磁界を検出する駆動コイル33の軸線33Aとを電波時計1の平面視においてほぼ平行に、また側面視において同一線上に配置する。外部磁界が駆動コイル33に印加されると、駆動コイル33に誘起電圧が誘起されて、外部磁界を検出できる。アンテナ21に影響する外部磁界を駆動コイル33で良好に再現できるので、アンテナ21周囲の外部磁界をより正確に検出でき、より正確な時刻情報を受信して、正確に時刻を修正できる。
【選択図】 図6
【解決手段】時刻情報を受信するアンテナ21の軸線21Aと、アンテナ21の周囲に存在する外部磁界を検出する駆動コイル33の軸線33Aとを電波時計1の平面視においてほぼ平行に、また側面視において同一線上に配置する。外部磁界が駆動コイル33に印加されると、駆動コイル33に誘起電圧が誘起されて、外部磁界を検出できる。アンテナ21に影響する外部磁界を駆動コイル33で良好に再現できるので、アンテナ21周囲の外部磁界をより正確に検出でき、より正確な時刻情報を受信して、正確に時刻を修正できる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部からの無線情報を受信して動作修正等の処理を行う電子機器、および外部からの時刻情報を受信して時刻修正を行う時計に関する。
【0002】
【背景技術】
外部からの無線情報を受信して動作修正等を行う電子機器、例えば、外部からの時刻情報を受信して時刻修正を行う電波時計などが知られている。
この電波時計は、外部からの時刻情報を受けるアンテナと、アンテナで受けた情報を処理する受信手段と、受信手段からの情報を記憶する記憶手段と、記憶された時刻情報に従って駆動制御されるステッピングモータと、このステッピングモータによって運針され時刻を示す指針とを備えて構成されている。
このような構成によれば、正確な時刻情報を載せた電波をアンテナで受ける。すると、この時刻情報が受信手段によって処理(例えば、増幅、復調など)され、一連の時刻情報が記憶手段に記憶されていく。記憶された時刻情報に基づいてステッピングモータが駆動制御され、指針が回転駆動されることにより正確な時刻が示される。このような作業が自動でなされ、かつ、正確な時刻を表示できることから、電波時計は優れた利便性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電波時計が正確な時刻修正を行うためには、外部からの時刻情報を正確に受信することが必要となる。しかしながら、電波時計のアンテナの周囲に磁界が存在すると時刻情報を正確に受信できないという問題がある。これは、磁界が時刻情報をのせた電波と干渉するため、時刻情報の電波波形が変形されてしまうためである。
壁掛け時計のようにその設置位置が固定されていれば、磁界の影響を受けにくい位置に設置することで対応することができる。しかし、例えば、腕時計のように常時移動される場合には、磁界の影響を避けることができないという問題が残る。
【0004】
一方、本出願人は先に、電磁発電装置を内蔵した電波時計について電磁発電による電磁ノイズの影響を受けない電波時計を提案している(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−166071号公報
【0006】
この電磁発電装置を内蔵した電波時計は、前述の電波時計に、電磁発電によって発電する発電手段と、この発電手段の発電状態を電流検出によって検出する発電状態検出手段と、発電状態検出手段からの検出信号に基づいて受信手段による受信を禁止する受信禁止手段とを備えた構成である。
このような構成によれば、発電状態検出手段によって、発電手段の発電状態を検出する。発電状態が検出されると、発電状態検出手段から検出信号が発信され、受信手段による時刻情報の受信が禁止される。よって、発電手段が発電することにより発生される電磁ノイズが存在する間は時刻情報を受信しない。発電手段が発電せず、発電手段からの電磁ノイズが存在しないときのみ受信手段によって時刻情報が受信される。その結果、時刻情報が正確に受信され、電波時計の時刻修正が正確に行われる。
【0007】
ところで、電波時計のアンテナの周囲に存在する磁界の発生源は必ずしも電波時計に内蔵された電磁発電装置に限られない。例えば、電灯等の明るさコントローラや電気毛布等の温度コントローラ、さらには、一般の家電製品からも磁界は発生される。
このような電波時計の外部にある磁界発生源に対しては、前記電磁発電装置を内蔵した電波時計では対応できないという問題がある。すなわち、前記発電状態検出手段は、内蔵された発電手段からの電流を検出して制御しており、外部からの磁界は認識できないためである。そのため、磁界の影響下でも時刻情報の受信動作を行うことになり、時刻修正が誤ったものとなる可能性がある。したがって、アンテナ周囲の外部磁界を何らかの方法で時刻情報から除去し、正確な時刻情報を受信する必要がある。そして、この際、アンテナ周囲に存在する磁界の向きは様々であり、アンテナに実際に影響のある外部磁界を検出することが、正確な時刻情報を受信する上で非常に重要となる。
このような問題は電波時計に限らず、外部無線情報を受信して何らかの処理を行う電子機器に共通する問題である。
【0008】
本発明の目的は、従来の問題を解決し、外部磁界を正確に検出できる電子機器および時計を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、外部磁界を正確に検出することにより、外部無線情報を正確に受信できる電子機器、および外部から時刻情報を正確に受信して時刻修正できる時計を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子機器は、ステッピングモータユニットと、外部無線情報を受信する外部無線情報受信ユニットとを備えた電子機器であって、ステッピングモータユニットは、駆動コイルを有するステッピングモータと、ステッピングモータの駆動を制御する駆動制御手段と、駆動コイルの誘起電圧によって外部に存在する外部磁界を検出する外部磁界検出手段とを備え、外部無線情報受信ユニットは、外部無線情報を受けるアンテナと、アンテナから受けた外部無線情報を処理する受信手段とを備え、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とは、ほぼ平行に配置されていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ステッピングモータの周囲に外部磁界が存在すると、ステッピングモータの駆動コイルに外部磁界が印加され、駆動コイルに誘起電圧が誘起される。駆動コイルに誘起された誘起電圧を検出することにより、駆動コイルは、外部磁界を検出する外部磁界検出手段としての作用を奏することができ、アンテナの周囲に存在する外部磁界を検出することができる。
この際、ステッピングモータの駆動コイルの軸線と外部無線情報を受けるアンテナの軸線とが互いにほぼ平行に配置されているので、駆動コイルで外部磁界を検出する際には、駆動コイルでは、アンテナが受ける外部磁界とほぼ平行な向きの外部磁界を検出することとなる。つまり、駆動コイルで検出する外部磁界によって、アンテナが受ける外部磁界を良好に再現できるので、外部磁界の検出精度を高めることができる。
また、ステッピングモータの駆動コイルがモータの駆動コイルの役割とともに、外部磁界のアンテナの役割も果たすことができる。つまり、ステッピングモータの駆動コイルを利用して外部磁界検出手段を構成することにより、外部磁界検出のための検出手段を別体として設ける必要がないので、電子機器を小型化することができる。
【0011】
なお、外部磁界検出手段には、外部磁界とともに外部無線情報も入ってくるが、外部磁界と外部無線情報とではパワーが異なるので、外部磁界検出手段において外部磁界と外部無線情報とを区別することは可能である。外部磁界とは、外部無線情報の信号出力に比べてパワーが大きく、アンテナで外部無線情報を受けるのに障害となる交流磁界や高周波磁界などであるので、例えば、外部磁界検出手段でのしきい値を所定以上の大きさに設定しておけば、外部無線情報ではなく外部磁界だけを検出することができる。
【0012】
また、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがほぼ平行に配置されている、とは、アンテナによる外部無線情報の受信の際に外乱として影響する外部磁界が、駆動コイルに同様に印加されて当該外部磁界を良好に検出できる向きに、駆動コイルの軸線が配置されていることをいう。つまり駆動コイルおよびアンテナの各軸線は、厳密に平行に配置されていなくても、例えばシールドを設けるなどの適宜な方法によれば、外部磁界の向きをある程度限定することができるので、その向きに応じて各軸線を配置すればよい。したがって、この時限定された向き以外の方向については、駆動コイルおよびアンテナの軸線がある程度角度を有して配置されていてもよい。つまり、ほぼ平行とは、例えば駆動コイルおよびアンテナの軸線が電子機器の平面視においてほぼ平行となっているものや、電子機器の側面視においてほぼ平行となっているものなどが考えられ、平面視および側面視のいずれかにおいてほぼ平行であればよい。
なお、平面視とは、ある任意の方向から電子機器を投影した場合の投影面から見た状態をいい、また側面視とは、平面視の方向と直交する方向の投影面から見た状態をいう。
【0013】
本発明の電子機器は、ステッピングモータユニットと、外部無線情報を受信する外部無線情報受信ユニットとを備えた電子機器であって、ステッピングモータユニットは、駆動コイルを有するステッピングモータと、ステッピングモータの駆動を制御する駆動制御手段と、駆動コイルの誘起電圧によって外部に存在する外部磁界を検出する外部磁界検出手段とを備え、外部無線情報受信ユニットは、外部無線情報を受けるアンテナと、アンテナから受けた外部無線情報を処理する受信手段とを備え、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とは、両軸線のなす角度が所定角度以内となるように配置されていることを特徴とする。
この発明によれば、ステッピングモータの周囲に外部磁界が存在すると、ステッピングモータの駆動コイルに外部磁界が印加され、駆動コイルに誘起電圧が誘起される。駆動コイルに誘起された誘起電圧を検出することにより、駆動コイルは、外部磁界を検出する外部磁界検出手段としての作用を奏することができ、アンテナの周囲に存在する外部磁界を検出することができる。
この際、ステッピングモータの駆動コイルの軸線と外部無線情報を受けるアンテナの軸線とがなす角度は所定角度以内に配置されているので、駆動コイルで外部磁界を検出する際には、駆動コイルでは、アンテナが受ける外部磁界と同様な向きの外部磁界を検出することとなる。つまり、駆動コイルで検出する外部磁界によって、アンテナが受ける外部磁界を良好に再現できるので、外部磁界の検出精度を高めることができる。
また、ステッピングモータの駆動コイルがモータの駆動コイルの役割とともに、外部磁界のアンテナの役割も果たすことができる。つまり、ステッピングモータの駆動コイルを利用して外部磁界検出手段を構成することにより、外部磁界検出のための検出手段を別体として設ける必要がないので、電子機器を小型化することができる。
【0014】
本発明では、外部磁界検出手段は、外部磁界の検出に応じて外部磁界検出信号を出力し、外部磁界を検出しない場合には外部磁界非検出信号を出力するように構成され、ステッピングモータユニットは、外部磁界検出手段から出力された外部磁界検出信号および外部磁界非検出信号の入力に応じて外部無線情報受信ユニットを制御する受信制御手段を有することが望ましい。
この発明によれば、外部磁界検出手段が外部磁界検出信号および外部磁界非検出信号を出力するので、制御手段は外部磁界非検出信号が出力されている間に受信した外部無線情報を用いることができ、また、外部磁界検出信号が出力された場合には受信回数を増やすなど、外部磁界の検出結果に応じた制御を行うことができるので、受信動作における外部磁界の影響を低減でき、より正確な外部無線情報を受信できる。これにより、本発明の第二の目的が達成できる。
ここで、外部磁界検出信号と外部磁界非検出信号とは表裏の関係にあり、外部磁界非検出信号として外部磁界検出信号とは別個の信号が出力されてもよく、また、外部磁界検出信号が出力されていない状態を外部磁界非検出信号が出力されているものとしてもよい。
【0015】
本発明では、アンテナは、ループアンテナであることが望ましい。
この発明によれば、アンテナがループアンテナなので、アンテナの軸線を駆動コイルの軸線にほぼ平行に配置すると、アンテナが受ける外部磁界の向きと、駆動コイルが検出する外部磁界の向きとが略一致する。したがって、駆動コイルにおいてアンテナの受信動作に影響する外部磁界が良好に再現され、駆動コイルの外部磁界の検出精度が向上する。
【0016】
本発明では、駆動コイルの軸線およびアンテナの軸線がなす角度は、当該電子機器における平面視で30°以内であることが望ましい。
この発明によれば、駆動コイルの軸線およびアンテナの軸線が平面視で30°以内の角度を有して配置されているので、駆動コイルの向きがアンテナの向きとがほぼ等しくなる。したがって、駆動コイルで検出した外部磁界がアンテナ周囲に存在する外部磁界を良好に再現でき、駆動コイルによるアンテナ周囲の外部磁界の検出精度をより一層高めることができる。
なお、駆動コイルおよびアンテナの軸線が平面視で30°より大きな角度で交わる場合でも、外部磁界のパワーが大きい等の条件下では駆動コイルによって外部磁界を検出できることもある。ただし、駆動コイルおよびアンテナの軸線がなす角度が大きくなる程、外部磁界を正確に検出できる条件が厳しくなる。一方、駆動コイルおよびアンテナの軸線が平面視で30°以内であれば、様々な条件の変化が生じても、駆動コイルが良好に外部磁界を検出できる。また、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度は、より望ましくは平面視で20°以内であり、20°以内であれば駆動コイルにおいてアンテナに影響する外部磁界をより正確に検出できる。そして駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度は、さらに望ましくは平面視で10°以内であり、10°以内であれば駆動コイルがアンテナに影響する外部磁界をさらに一層正確に検出できる。
【0017】
本発明では、コイルの軸線およびアンテナの軸線がなす角度は、当該電子機器における側面視で30°以内であることが望ましい。
この発明によれば、駆動コイルの軸線およびアンテナの軸線が側面視で30°以内の角度を有して配置されているので、駆動コイルおよびアンテナの軸線が平面視で30°以内に配置されている場合と同様に、駆動コイルの向きがアンテナの向きとほぼ等しくなる。したがって、駆動コイルで検出した外部磁界がアンテナ周囲に存在する外部磁界を良好に再現でき、駆動コイルによるアンテナ周囲の外部磁界の検出精度をより一層高めることができる。
なお、駆動コイルおよびアンテナの軸線が側面視で30°より大きな角度で交わる場合でも、外部磁界のパワーが大きい等の条件下では駆動コイルによって外部磁界を検出できることもある。ただし、駆動コイルおよびアンテナの軸線がなす角度が大きくなる程、外部磁界を正確に検出できる条件が厳しくなる。一方、駆動コイルおよびアンテナの軸線が側面視で30°以内であれば、様々な条件の変化が生じても、駆動コイルが良好に外部磁界を検出できる。また、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度は、より望ましくは側縁視で20°以内であり、20°以内であれば駆動コイルにおいてアンテナに影響する外部磁界をより正確に検出できる。そして駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度は、さらに望ましくは側面視で10°以内であり、10°以内であれば駆動コイルがアンテナに影響する外部磁界をさらに一層正確に検出できる。
【0018】
本発明の時計は、前述の電子機器を用いた時計であって、ステッピングモータで駆動される指針を備え、駆動制御手段は、標準時刻が重畳された外部無線情報にしたがってステッピングモータを駆動し、指針の表示時刻を修正することを特徴とする。
この発明によれば、前述のような電子機器を用いているので、前述のような効果を奏することができる。
つまり、ステッピングモータの周囲に外部磁界が存在すると、ステッピングモータの駆動コイルに外部磁界が印加され、駆動コイルに誘起電圧が誘起される。駆動コイルに誘起された誘起電圧を検出することにより、駆動コイルは、外部磁界を検出する外部磁界検出手段としての作用を奏することができ、アンテナの周囲に存在する外部磁界を検出することができる。
【0019】
この際、ステッピングモータの駆動コイルの軸線と外部無線情報を受けるアンテナの軸線とが互いにほぼ平行に配置されているので、駆動コイルで外部磁界を検出する際には、駆動コイルでは、アンテナが受ける外部磁界とほぼ平行な向きの外部磁界を検出することとなる。つまり、駆動コイルで検出する外部磁界によって、アンテナが受ける外部磁界を良好に再現できるので、外部磁界の検出精度を高めることができる。そして、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度が適切に設定されているので、アンテナに影響する外部磁界を駆動コイルによってより確実かつ正確に検出できる。
また、ステッピングモータの駆動コイルがモータの駆動コイルの役割とともに、外部磁界のアンテナの役割も果たすことができる。つまり、ステッピングモータの駆動コイルを利用して外部磁界検出手段を構成することにより、外部磁界検出のための検出手段を別体として設ける必要がないので、電子機器を小型化することができる。
さらに、制御手段が外部磁界検出信号に応じて外部無線情報の受信動作を制御することにより、外部磁界の影響を最小限に抑制でき、正確な標準時刻を受信でき、時刻修正を正確に行うことができる。
【0020】
本発明では、12時間式の文字板を備え、駆動コイルの軸線およびアンテナの軸線は、文字板の3時と9時とを結ぶ方向に対してそれぞれ15°以内であることが望ましい。
例えば本発明の時計を腕時計に使用する場合では、文字板の12時方向と6時方向にベルトが設けられることがある。この時、ベルトが金属製であると、駆動コイルの軸線またはアンテナの軸線の延長線上に金属ベルトが配置されることとなり、この金属ベルトが外部無線情報の受信または外部磁界の検出を阻害する可能性がある。
これに対し、この発明によれば、駆動コイルおよびアンテナの軸線が、文字板の3時と9時とを結ぶ方向に対してそれぞれ所定角度、つまり15°以内に配置されているので、時計を腕時計に用いた場合でも、駆動コイルおよびアンテナの軸線が3時および9時を結ぶ方向に対してほぼ平行に配置され、アンテナが受信する外部無線情報が金属ベルトなどの遮蔽物に干渉することなく、良好に受信できる。また、駆動コイルも同様に、良好に外部磁界を検出できる。
なお、駆動コイルまたはアンテナの軸線が文字板の3時と9時とを結ぶ方向に対して15°より大きい角度で配置されている場合には、駆動コイルまたはアンテナの軸線が金属ベルトなどの遮蔽物に干渉するおそれがあり、アンテナが外部無線情報を良好に受信することができず、また駆動コイルは外部磁界を良好に受信することができない。
【0021】
本発明では、当該時計の駆動電源と、ステッピングモータの駆動力を指針に伝達する輪列とを備え、駆動コイルおよびアンテナは、駆動電源および輪列を挟んで互いに反対側に配置されていることが望ましい。
この発明によれば、駆動コイルおよびアンテナが駆動電源および輪列を挟んで互いに反対側に配置されているので、時計内のスペースを有効に利用して時計のスペース効率を向上させることができ、またこれにより時計の小型化を促進できる。
また、ステッピングモータが駆動する際には、駆動パルスによって駆動コイルには微弱な磁界が発生する。この発明によれば、駆動コイルが駆動電源および輪列を挟んでアンテナとは反対側に配置されているので、時計内部において駆動コイルとアンテナとが離れて配置される。このため、駆動コイルより発生した磁界がアンテナでノイズとして受信されにくく、よってより高精度な外部無線情報の受信動作が可能となる。
この時、駆動電源は通常金属缶を有し、また輪列は通常スチール鋼などの金属製の歯車が複数個配列されて構成されているので、駆動コイルから発生した磁界は駆動電源や輪列に吸収される。したがって、駆動電源や輪列の反対側に配置されたアンテナには、駆動コイルからの磁界によるノイズが受信されにくくなる。したがって、より一層高精度に外部無線情報が受信される。
ここで、駆動電源としては、ボタン型電池などの一次電池や、充電可能な二次電池などを採用できる。二次電池であれば、例えば回転錘の回転を利用して発電力を得るものや、太陽電池のように太陽熱を利用して発電力を得るものなど、任意の電池を採用できる。
【0022】
本発明では、当該時計の駆動電源を備え、駆動コイルおよびアンテナの軸線方向延長線には、駆動電源が配置されていないことが望ましい。
この発明によれば、駆動コイルおよびアンテナの軸線方向には金属缶を有する駆動電源が配置されていないので、アンテナが外部無線情報を受信する際に、駆動電源がその受信動作を妨害することがなく、アンテナが良好に外部無線情報を受信できる。また、駆動コイルも、駆動電源による外部磁界の影響を受けることなく外部磁界を検出でき、アンテナ周囲の外部磁界を良好に再現できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の電子機器に係る実施形態としての携帯型、特に腕時計タイプの電波時計(時計)1のブロック図である。
この電波時計1は、外部無線情報受信ユニット2と、ステッピングモータユニット3とを備えて構成されている。
外部無線情報受信ユニット2は、外部無線情報としての時刻情報が重畳された長波標準電波を受けるフェライトアンテナなどのアンテナ21と、アンテナ21で受けた長波標準電波を処理して時刻情報として出力する受信手段としての受信回路22と、受信回路22から出力された時刻情報を記憶する記憶回路28とを備えている。
ステッピングモータユニット3は、時刻を示す指針をステッピングモータ32(図5参照)によって駆動する運針部31と、ステッピングモータ32を駆動するモータ駆動回路42と、装置全体を制御する駆動制御手段としての中央制御部47と、指針位置を検出する針位置検出回路60と、駆動電源としての電池61とを備える。
【0024】
アンテナ21は、時刻情報が重畳された長波標準電波を受ける。
図2に、時刻情報が重畳された長波標準電波の信号タイムコードフォーマットを示す。このタイムコードフォーマットは、1秒ごとに一つの信号が送信され、60秒で1レコードとして構成されている。
図2に示されるように、長波標準電波信号のタイムコードフォーマットは、項目として現在時刻の分、時、現在年の1月1日からの通算日、年(西暦下2桁)、曜日およびうるう秒の各桁データを含んで構成されている。各項目の値は、各秒毎に割り当てられた数値(ビットデータ)の組み合わせによって構成され、この組み合わせのON、OFFが信号の種類から判断される。
【0025】
図3に示されるように、長波標準電波信号として送信されてくる信号の種類は、3種類あり、“1”、“0”あるいは“P”を表す信号が送信される。これらの信号の種類は、各信号の振幅変調時間の長短により判断される。図3(a)は、信号の種類が“1”となる信号波形を示しており、信号の立ち上がりから0.5秒間振幅が継続した場合に信号の種類が“1”であると判断される。図3(b)は、信号の種類が“0”となる信号波形を示しており、信号の立ち上がりから0.8秒間振幅が継続した場合に“0”信号であると判断される。また、図3(c)は、信号の種類が“P”となる信号波形を示しており、信号の立ち上がりから0.2秒間振幅が継続した場合に“P”信号であると判断される。
【0026】
“1”を表す信号に対しては、“ON”状態となり、その項目に対応付けられた数値は時分等を算出する際の加算の対象となる。図2において、長波標準電波信号のタイムコードフォーマット上に“N”が記されている項目は、“1”を表す信号が送信されてきた状態を示す。
“1”以外の信号が送信されてきた場合には、“OFF”状態となり、その項目に対応付けられた数値は時分等を算出する際の加算の対象外となることを示している。
例えば、分に該当する8秒間に長波標準電波信号が“1、0、1、0、0、1、1、1”と送信されてきた場合には、現在時刻の分が“40+10+4+2+1=57”分であることを示している。長波標準電波信号のタイムコードフォーマット上に“P”が記されている項目については、固定項目であり、長波標準電波信号とタイムコードフォーマットとの同期を取るために用いられる。タイムコードの先頭の“P”は、正分(毎分0秒)の立ち上がりに対応していて、秒が“00”秒であることを示し、分が次の分に切り替わることを示している。
ちなみに、長波標準電波はセシウム原子時計を基準としているため、この長波標準電波を受信して時刻を修正する電波時計は、誤差が10万年に1秒という非常に高い精度を得ることができる。
【0027】
受信回路22は、図4に示されるように、アンテナ21によって受信された長波標準電波信号を増幅する増幅回路23と、増幅された長波標準電波信号から所望の周波数成分のみを抜き出すバンドパスフィルタ24と、長波標準電波信号を平滑化し復調する復調回路25と、増幅回路23のゲインコントロールを行ない長波標準電波信号の受信レベルが一定になるように制御するAGC(Automatic Gain Control)回路26と、復調された長波標準電波信号をデコードして出力するデコード回路27とを備えて構成されている。このような構成により、受信回路によって、受信情報処理工程が行われる。
受信回路22に入力される受信制御信号は、中央制御部47から供給され、受信回路22の動作モードを制御しているが、詳しくは後述する。
【0028】
図5に、運針部31と、中央制御部47と、モータ駆動回路42とを示す。
運針部31は、ステッピングモータ32と、ステッピングモータ32の動きを伝達する輪列38と、輪列38によって運針される秒針39、分針40、時針41とを備えている。
ステッピングモータ32は、モータ駆動回路42から供給される駆動パルスによって磁力を発生する駆動コイル33と、この駆動コイル33が一端に巻き付けられるコアを有するとともに、駆動コイル33によって励磁されるステータ34と、ステータ34の内部において励磁される磁界により回転するロータ37とを備えている。
ロータ37はディスク状の2極の永久磁石である。
ステータ34には、駆動コイル33で発生した磁力によって異なった磁極がロータ37の回りのそれぞれの相(極)に発生するように磁気飽和部35が設けられている。
ロータ37の回転方向を規定するために、ステータ34の内周の適当な位置には内ノッチ36が設けられており、コギングトルクを発生させてロータ37が適当な位置に停止するようにしている。
【0029】
ステッピングモータ32のロータ37の回転は、かなを介してロータ37に噛合された五番車38a、四番車38b、三番車38c、二番車38d、日の裏車38eおよび筒車38fからなる輪列38によって各針に伝達される。四番車38bの軸には秒針39が接続され、二番車38dには分針40が接続され、さらに、筒車38fには時針41が接続されており、ロータ37の回転に連動してこれらの各針によって時刻が表示される。輪列38には、さらに、年月日などの表示を行うための伝達系など(不図示)を接続することももちろん可能である。
【0030】
図6および図7に、運針部31およびアンテナ21の電波時計1内での実際の配置を示す。
これらの図6および図7において、運針部31や指針、アンテナ21などの電波時計1の構成部品のほぼ全部は電波時計1のケース71の略中央に形成された略円筒状の収納部711に収納されている。収納部711の開口部分両端は、無機ガラス、有機ガラス、その他の透明材料で構成されたカバー72と、非磁性の金属等で構成された裏蓋73とでそれぞれ覆われている。また、ケース71の平面視の両端には皮や金属などで構成されたベルト712が取り付けられている。
カバー72と裏蓋73との間には、黄銅、アルミニウム等の非磁性の金属やプラスチック、その他の材料で構成された文字板74が設けられており、この文字板74はカバー72外部から視認可能となっている。文字板74のカバー72側の面には、周囲に沿って12時間式の目盛(不図示)が形成され、12時および6時を結ぶ方向は、ケース71においてベルト712が取り付けられた方向と一致している。また、ケース71において、文字板74の3時方向には指針の時刻を手動調整するための竜頭713が設けられている。
なお、図6においては、説明のためカバー72、指針、および文字板74の図示を省略してある。
【0031】
文字板74と裏蓋73との間において、収納部711の平面視で略中央には、輪列38が配置されている。輪列38の二番車38d、四番車38b、および筒車38fは同軸上に配置され、これらの二番車38d、四番車38b、および筒車38fにそれぞれ固定されている秒針39、分針40、および時針41は文字板74を貫通して文字板74とカバー72との間に配置され、これらの指針が文字板74上の目盛を指し示すことで時刻を表示する。二番車38d、四番車38b、および筒車38fの周囲には、これらの歯車の所定のいずれかに噛合する三番車38cおよび日の裏車38eが配置されている。
なお、輪列38を構成する材料は、全ての部材が金属製であってもよいし、またはそれぞれのかなのみがスチール鋼などの金属製で、かなに固定された歯車がプラスチック製である等、時計の仕様に応じて適宜設定すればよい。
輪列38を挟んで文字板74の9時方向には外側ケースが金属板で構成された電池61が、また反対側の3時方向には中央制御部47が配置されている。
【0032】
輪列38を挟んで文字板74の12時方向には、アンテナ21が、また6時方向にはステッピングモータ32が配置されている。アンテナ21は、フェライト棒などの高透磁率材からなるアンテナコアの周囲にアンテナコイルが巻き付けられて構成されたループアンテナである。また、ステッピングモータ32の駆動コイル33は、ステータ34の一部に形成されたステータコアの周囲に導線が巻き付けられて構成されている。これらのアンテナコアおよびステータコアにそれぞれ外部磁界や長波標準電波が通過すると、その周囲のコイル(アンテナコイルや駆動コイル33)に誘起電流が発生するようになっている。
アンテナ21およびステッピングモータ32は、アンテナ21の軸線21Aと、ステッピングモータ32の駆動コイル33の軸線33Aが文字板74の3時方向および9時方向を結んだ方向(図6に方向線Xで図示)に対して電波時計1の平面視で、それぞれほぼ平行に配置されている。また、これらの軸線21A,33Aは、電波時計1の側面視において同一線上に配置されている。
なお、電池61は、軸線21A,33Aの延長線上の間に配置され、これら軸線21A,33Aの延長線上には電池61が配置されていない。なた、これらの軸線21A,33Aの延長線上には、輪列38も干渉しないように配置されている。
【0033】
図5に戻って、中央制御部47は、水晶振動子などの基準発振源49を高周波発振させる発振回路や分周回路を含んで構成され、基準周波数の基準パルスやパルス幅およびタイミングの異なるパルス信号を発生するパルス合成回路48と、パルス合成回路48から供給された種々のパルス信号に基づきステッピングモータ32を制御する制御回路50と、制御回路50からの信号に基づき受信回路22の動作モードを制御する受信制御手段55と、受信回路22からの時刻情報に基づいて時刻修正を行う時刻修正回路59とを備えている。
【0034】
制御回路50は、モータ駆動回路42を制御する駆動制御回路51と、回転検出および磁界検出を行う検出回路52とを備えている。
駆動制御回路51は、駆動パルス供給部51aと、回転検出パルス供給部51bと、磁界検出パルス供給部51cと、補助パルス供給部51dと、消磁パルス供給部51eとを備えて構成されている。
駆動パルス供給部51aは、モータ駆動回路42を介して駆動コイル33に対し、ロータ37を駆動するための駆動パルスを供給する。
回転検出パルス供給部51bは、駆動パルスに続いてロータ37の回転検出用に誘導電圧を誘起する回転検出パルスを出力する。
磁界検出パルス供給部51cは、駆動パルスに先立って、ステッピングモータ32に対する外部磁界を検出するための誘導電圧を誘起する磁界検出パルスを出力する。
補助パルス供給部51dは、ロータ37が回転しないか、または、外部磁界が検出された場合に、駆動パルスより実効電力の大きな補助パルスを出力する。この補助パルス供給部51dにより特殊駆動パルス生成手段が構成されている。
消磁パルス供給部51eは、補助パルスに続いて消磁用に補助パルスと極性の異なる消磁パルスを出力する。
【0035】
検出回路52は、回転検出パルスによって得られた回転検出用の誘導電圧を設定値と比較して回転の有無を検出する回転判定部53と、磁界検出パルスによって得られた磁界検出用の誘導電圧を設定値と比較して磁界の有無を判定する磁界判定部54を備えている。
回転判定部53は、図8に示すように、2つのコンパレータ53aおよび53bとオアゲート53cとを備える。駆動コイル33に生じた双方向の誘起電圧の値を設定値SV1と比較してロータ37が回転したか否かを確認する。判定結果はオアゲート53cを介し、回転判定信号として駆動制御回路51にフィードバックされる。
【0036】
磁界判定部54は、2つのインバータ54aおよび54bとオアゲート54cとを備える。外部磁界によって駆動コイル33に生じた双方向の誘起電圧の値をインバータのしきい値(設定値SV2)と比較し、磁界の有無を判定する。判定結果はオアゲート54cを介し、磁界判定信号として駆動制御回路51にフィードバックされるとともに、受信制御手段55に出力される。つまり、外部磁界が検出された場合は、受信制御手段55に外部磁界検出信号が出力される。外部磁界が検出されなかった場合は、受信制御手段55に外部磁界非検出信号が出力される。
この磁界判定部54によって誘起電圧検出手段が構成されるとともに、磁界判定部54を含む制御回路50、ステッピングモータ32の駆動コイル33およびモータ駆動回路42によって外部磁界検出手段が構成されており、外部磁界検出工程が行われる。
【0037】
モータ駆動回路42は、ブリッジ回路43と、回転検出用抵抗45a、45bと、これらの抵抗45aおよび45bにチョッパパルスを供給するためのサンプリング用のpチャンネルMOS46aおよび46bとを備えて構成されている。
ブリッジ回路43は、直列に接続されたpチャンネルMOS43aとnチャンネルMOS44a、およびpチャンネルMOS43bとnチャンネルMOS44bによって構成される。
回転検出用抵抗45a、45bは、pチャンネルMOS43aおよび43bとそれぞれ並列に接続されている。
これらによって電池61からステッピングモータ32に供給される電力が制御される。
これらのMOS43a、43b、44a、44b、46aおよび46bの各ゲート電極に駆動制御回路51の各パルス供給部51a〜51eからそれぞれのタイミングで極性およびパルス幅の異なる制御パルスが印加されることにより、駆動コイル33に極性の異なる駆動パルスが供給され、あるいは、ロータ37の回転検出用および磁界検出用の誘起電圧を励起する検出用パルスが供給される。
【0038】
図9(A)に駆動制御回路51からモータ駆動回路42に供給される制御信号のタイミングチャートの例を示す。ここで、pチャンネルMOS43aのゲートをGP1、nチャンネルMOS44aのゲートをGN1、pチャンネルMOS46aのゲートをGS1、pチャンネルMOS43bのゲートをGP2、nチャンネルMOS44bのゲートをGN2、pチャンネルMOS46bのゲートをGS2とする。
GP1、GN1およびGS1に供給される信号は、ステッピングモータ32の駆動コイル33の一方の極を励磁する。GP2、GN2およびGS2に供給される信号は逆方向の極を励磁する。
【0039】
このステッピングモータ32は、1秒ごとの運針を行うようになっており、モータ駆動回路42に1連の制御信号が供給される。
各サイクルの始めには、磁界検出用パルスSP0およびSP1が出力される。
時刻t1に磁界検出用パルスSP0が出力される。
この磁界検出パルスSP0は、20ms程度の幅の連続した制御パルスであり電気毛布や電気こたつといった家庭用電気製品のスイッチングなどに伴う高周波ノイズ(50Hz〜60Hz)によるノイズ磁界を検出するためのものである。
磁界検出パルスSP0を出力するための制御信号が磁界検出パルス供給部51cから駆動側(駆動極側)のゲートGP1に供給され、一方の極だけがONになり、駆動コイル33が外部磁界のアンテナとして機能する。すると、外部磁界によって駆動コイル33に誘起電圧が誘起されている場合は、誘起された誘起電圧のレベルを磁界判定部54のインバータ54a、54bのしきい値と比較することができる。よって、外部磁界が検出される。
【0040】
時刻t2に磁界検出用パルスSP1が出力される。
この磁界検出用パルスSP1はデューティー比が1/8程度の断続的なチョッパパルスであり、モータを備える電気かみそり、ドライヤーなどの一般家電製品から発生されるモータノイズなどの交流磁界を検出するためのものである。
磁界検出用パルスSP1を出力するための制御信号が磁界検出パルス供給部51cから駆動極側とは反対(逆極)のゲートGP2に供給され、一方の極がON、OFFされる。すると、チョッパ増幅によって駆動コイル33に誘起されている誘起電圧が大幅に増幅され(チョッパ増幅)、これによって交流磁界により駆動コイル33に誘起される電流が電圧の形でサンプリングされ、検出回路52の磁界判定部54で判定される。
【0041】
時刻t3に駆動パルスP1を出力するための制御パルスが駆動制御回路51の駆動パルス供給部51aからゲートGN1およびゲートGP1に供給される。駆動パルスP1の実効電力はロータ37が回転する限界程度までに減少されており、例えば、時刻t3にはパルス幅W10の駆動パルスP1が供給されるようになっている。駆動パルスP1を出力するための制御信号は、駆動パルスのパルス幅を変えて実効電力を制御できるようになっており、ロータ37が回転せずに補助パルスP2が出力されるとパルス幅を広げて実効電力を大きくする。一方、同一のパルス幅で連続して所定の回数だけロータ37を駆動できるとパルス幅を狭めて実効電力を減少できるようになっている。
【0042】
時刻t4にロータ37の回転検出を行う回転検出用のパルスSP2を出力するための制御パルスが駆動制御回路51の回転検出パルス供給部51bからゲートGP1およびゲートGS1に供給される。この回転検出パルスSP2は、デューティーが1/2程度のチョッパパルスであり、ロータ37が回転したときに駆動コイル33に励起される誘導電流を回転検出用抵抗45aの出力電圧として得られるようにしている。そして、回転検出用抵抗45aの電圧が検出回路52の回転判定部53で設定値SV1と比較され、ロータ37が回転したか否かが判るようになっている。
【0043】
回転検出パルスSP2によって励起される誘導電圧が設定値SV1に達しない場合は、ロータ37が回転しなかったものと判断され、時刻t6に補助パルスP2を出力するための制御信号が駆動制御回路51の補助パルス供給部51dからゲートGN1およびゲートGP1に供給される。補助パルスP2は、ロータ37が必ず回転する程度のエネルギーをもった駆動パルスP1よりも実効電力の大きなパルス幅W20の駆動用のパルスである。この補助パルスP2は、ロータ37の回転が検出されない場合の他に、磁界検出用のパルスSP0およびSP1のいずれかによって磁界が検出されたときに駆動パルスP1に代わって出力される。
【0044】
ステッピングモータ32の周囲に磁界が存在すると、回転検出パルスSP2によってロータ37が回転していなくともノイズである磁界が検出されて、回転したと誤検出される可能性があり、運針ミスを引き起こす可能性がある。従って、磁界が検出された場合は回転検出の不要な補助パルスP2を出力することによって消費電力は増大することになるが運針ミスが発生するのを防止している。
【0045】
時刻t8に消磁用のパルスPEを出力するための制御パルスが駆動制御回路51の消磁パルス供給部51eからゲートGN2およびゲートGP2に供給される。この消磁パルスPEは、実効電力の大きな補助パルスP2によって発生した駆動コイル33の残留磁束を低減するためのものであり、補助パルスP2とは逆極となるパルスを供給することによって実現している。消磁パルスPEを供給することによりステッピングモータ32を1ステップアングル回転駆動する一連のサイクルは終了する。
【0046】
時刻t1から1秒経過した時刻t11からステッピングモータ32をさらに1ステップアングル回転するための次のサイクルが開始される。このサイクルでは、前のサイクルと反対側のMOS43b、44bおよび46bが駆動極側になる。先のサイクルと同様に、まず、時刻t11に高周波ノイズによる磁束ノイズを検出するためのパルスSP0が出力され、次に時刻t12に交流磁界によるノイズを検出するためのパルスSP1が出力される。そして、磁界ノイズが検出されない場合は時刻t13に駆動パルスP1が出力される。前回のサイクルで補助パルスP2が出力されているので、駆動パルスP1の実効電力が増加されており、先のサイクルの駆動パルスより広いパルス幅W11の駆動パルスP1が時刻t13に出力される。さらに、時刻t14に回転検出用のパルスSP2が出力され、これによってロータ37の回転が検出されるとこの段階でサイクルが終了する。
【0047】
図10に、以上に説明した制御回路50の動きである駆動制御工程をフローチャートにまとめて示す。まず、ステップST1で計時用の基準パルスをカウントして1秒を計測する。1秒が経過すると、ステップST2において磁界検出パルスSP0を用いて高周波磁界を検出する。高周波磁界が検出されるとステップST7において実効電力の大きな補助パルスP2を駆動パルスP1に代わって供給し、誤検出による運針ミスを防止する。高周波磁界が検出されない場合は、ステップST3において、磁界検出パルスSP1を用いて低周波磁界である交流磁界の有無を確認する。交流磁界がある場合は、上記と同様にステップST7において補助パルスP2を出力し、運針ミスを防止する。
【0048】
これらのステップにおいて磁界が検出されない場合は、ステップST4において駆動パルスP1を出力し、続いて、ステップST5で回転検出パルスSP2を出力してロータ37の回転の有無を確認する。回転が確認できない場合はステップST7において実効電力の大きな補助パルスP2を供給してロータ37を確実に回転させる。補助パルスP2が出力されるとステップST8において消磁パルスPEを出力し、さらに、ステップST10において補助パルスが出力された後の駆動パルスP1のレベル調整(第1のレベル調整)を行う。ステップST5において回転不良となった場合は同じ実効電力の駆動パルスP1を供給しても回転不良を繰り返すことになる。このため、ステップST11で補助パルスP2が出力された要因を判別し、ステップST12で実効電力の1段高い駆動パルスP1を出力できるようにセットをしてステップST1に戻り計時動作を行う。
【0049】
一方、ステップST5において、駆動パルスP1によるロータ37の回転が判別できた場合は、ステップST6において駆動パルスP1の実効電力を下げるレベル調整(第2のレベル調整)を行う。多くのケースでは、同じ実効電力の駆動パルスP1によって複数回ロータ37が回転したことを確認して駆動パルスの実効電力を低減するようにしている。このような制御を行うことによって、駆動パルスP1の消費電力を低減すると共に、電気製品からの磁界がある場所においても運針ミスをなくせるので、信頼性が高く消費電力の低い計時装置を提供することができる。
【0050】
受信制御手段55は、図11に示されるように、受信動作禁止手段56と、受信動作再開手段57と、受信サイクル制御手段58とを備える。
受信動作禁止手段56は、磁界判定部54から外部磁界検出信号が出力されると、受信制御信号として受信回路22での受信動作を禁止させる受信動作禁止信号を出力する。受信回路22が受信動作禁止信号を受けると、受信回路22での受信動作が行われない。
受信動作再開手段57は、磁界判定部54から外部磁界非検出信号が出力されると、受信制御信号として受信回路22での受信動作を再開させる受信動作再開信号を出力する。このような構成により受信制御工程が行われる。受信回路22が受信動作再開信号を受けると、アンテナ21で受けた長波標準電波の信号処理を行い、時刻情報が記憶回路28に送られ、記憶工程によって時刻情報が記憶される。
【0051】
受信サイクル制御手段58は、駆動制御回路51の時刻情報を受けて、受信回路22の受信動作を開始させる時刻および受信動作を終了する時刻からなるスケジュール情報を記憶しているとともに、外部磁界の検出に応じて、このスケジュール情報を変更する。スケジュール情報としては、例えば、1日に一回午前2時から2時5分まで時刻情報を受信するように設定される。
受信開始時刻に達する前、もしくは受信動作中に外部磁界検出信号が検出されると、受信動作が禁止されるとともに、スケジュール情報に設定された受信終了時刻は無効とされる。外部磁界非検出信号の出力により、受信回路22が時刻情報の受信を再開し、一連の時刻情報を設定された時間受信すると受信が完了される。
【0052】
なお、受信動作禁止手段56と受信動作再開手段57は、受信サイクル制御手段58に設定されているスケジュール情報に基づいて、受信開始時刻の直前から受信終了までの間において動作状態になり、それ以外は非動作状態にしてもよい。このようにすると、消費電力を低減することができる。
【0053】
図9(B)に、磁界判定部54から出力される磁界判定信号である外部磁界検出信号および外部磁界非検出信号と、受信制御手段55から出力される受信制御信号との関係を表すタイミングチャートの一例を示す。図9(A)において、外部磁界を検出するためのパルス(高周波磁界検出パルスSP0、交流磁界検出パルスSP1)によって、外部磁界が検出されると、外部磁界検出信号が出力される。図中で、外部磁界検出信号は“H”によって示される。外部磁界を検出するためのパルスSP0、SP1によって外部磁界が検出されない場合は、外部磁界非検出信号が出力される。図中では、外部磁界非検出信号は“L”で示されている。
受信制御手段55は、受信サイクル制御手段58のスケジュール情報に基づいて、受信開始時刻に至った場合において、外部磁界検出信号が出力されると、受信動作禁止信号を発信する。図中、受信動作禁止信号は“L”で示されている。受信制御手段55は、外部磁界非検出信号が出力されると、受信動作再開信号を発信する。図中、受信動作再開信号は“H”で示される。
【0054】
高周波磁界検出パルスSP0による外部磁界の検出に応答して、受信制御信号SG1が出力され、交流磁界検出パルスSP1による外部磁界の検出に応答して、受信制御信号SG2が出力される。これらの受信制御信号SG1およびSG2をOR回路で結んだ結果である受信制御信号SG3が最終的な結果として受信制御手段55から出力される。
つまり、SP0およびSP1による外部磁界検出によって、いずれか一方でも外部磁界検出信号が発信されると、受信制御手段55によって受信動作禁止信号が出力され、受信動作が禁止される。
SP0およびSP1による外部磁界検出によって、いずれも外部磁界非検出信号が出力されると、受信制御手段55によって受信動作再開信号が出力され、受信回路22による受信動作が開始される。すると、時刻情報が受信され、この時刻情報に従ってステッピングモータ32が駆動され、時刻の修正が行われる。
【0055】
図12に、受信制御手段55の動きを含めた時刻修正のフローチャートを示す。
まず、ST21において、長波標準電波を受信する受信時刻になったことを判断する。この受信時刻は、受信サイクル制御手段58に受信開始時刻として設定されているものである。すると、高周波磁界を検出するST22と交流磁界を検出するST23から構成される外部磁界検出工程によって、外部磁界の検出が行われる。この外部磁界検出工程は1秒間隔で実行される。ST22およびST23のいずれか一方でも外部磁界を検出すると磁界判定部54から外部磁界検出信号が出力され、受信制御手段55から受信回路22に受信動作禁止信号が出力される。受信回路22が受信動作禁止信号を受けると、受信回路22における受信動作が禁止される(ST25)。受信動作が禁止されると、ST22およびST23の磁界検出が繰り返される。
外部磁界検出工程ST22、ST23のいずれにおいても外部磁界が検出されない場合は、磁界判定部54から外部磁界非検出信号が出力され、受信制御手段55によって受信動作再開信号が受信回路22に出力される。すると、ST24において受信動作が再開され、受信回路22による受信情報処理工程ST26が行われ、処理された時刻情報は記憶工程ST27において記憶回路28に記憶される。
なお、ステッピングモータ3が作動によって駆動コイル33から微弱な磁界が発生することがある。この際、これらST22からST24までの一連の受信動作においては、駆動コイル33からの磁界がノイズとなってアンテナ21で受信され、受信性能に影響を及ぼす可能性がある場合には、ステッピングモータ3の駆動を停止するように構成してもよい。
【0056】
次に、ST28において、一連の時刻情報が記憶されたことが判断される。時刻情報は60秒で1レコードであり、この1レコードを受信している最中に外部磁界検出信号が出力されると、受信動作禁止手段56によって受信が禁止される。1レコードを受信していない場合は、外部磁界非検出信号が出力されて時刻情報を受信できるまで、外部磁界の検出と受信が繰り返される。
一連の時刻情報が記憶されると、記憶回路28から中央制御部47の時刻修正回路59に時刻情報が出力され、ST29の時刻修正が行われる。これは、針位置検出回路60によって検出された針位置と、受信された時刻情報を比較して、針位置を受信された時刻情報と一致させるように、針を早送りまたは逆回転させるようにステッピングモータ32を駆動制御することによって行われる。
【0057】
以上、このような構成によれば、次のような効果を奏する。
駆動コイル33に外部磁界が印加されると、駆動コイル33に誘起電圧が誘起されることにより、この駆動コイル33が外部磁界検出手段として機能するので、アンテナ21の周囲に存在する外部磁界を検出することができる。この時、アンテナ21がループアンテナであるから、駆動コイル33の軸線33Aと、アンテナ21の軸線21Aとが電波時計1の平面視でほぼ平行に配置されていると、アンテナ21の受信動作に影響する外部磁界の向きと、駆動コイル33で検出できる外部磁界の向きとを近似させることができる。したがって、アンテナ21の外部磁界を駆動コイル33で良好に再現でき、駆動コイル33がアンテナ21の外部磁界を正確に検出できる。
また、駆動コイル33の軸線33Aと、アンテナ21の軸線21Aとが電波時計1の側面視において同一線上に配置されているので、これによってもアンテナ21の受信動作に影響する外部磁界を駆動コイル33で良好に再現でき、したがって外部磁界を精度よく検出できる。
【0058】
そして、外部磁界検出手段で外部磁界を検出すると、受信制御手段55によって受信回路22での時刻情報の受信が禁止されるので、外部磁界中で時刻情報を誤受信することを防ぐことができる。磁界判定部54によって外部磁界が検出されなかったときは、受信制御手段55によって受信回路22での時刻情報の受信が再開される。すると、外部磁界が存在しない状態で正確に時刻情報を受信し、この正確な時刻情報に基づいて時刻を修正することができる。よって、本実施形態の電波時計によれば、正確に受信した時刻情報にのみ基づいた正確な時刻表示をすることができる。
さらに、外部磁界が検出されたときは、受信回路22の受信動作が禁止されて受信動作をしないので、電力を無駄に消費することを防ぐことができる。
【0059】
駆動コイル33の軸線33Aと、アンテナ21の軸線21Aとが文字板74の3時および9時を結ぶ方向線Xに平行に配置されている。例えばベルト712が金属製の場合には、ベルト712がアンテナ21の軸線21Aに干渉すると、外部無線情報の受信動作を妨害してしまい、良好な受信動作を行えない可能性がある。また、ベルト712が駆動コイル33の軸線33Aに干渉すると、駆動コイル33に作用する外部磁界の一部が妨害され、アンテナ21周囲の外部磁界を良好に検出できない可能性がある。本実施形態では、これらの軸線21A,33Aの延長線上には、ベルト712が配置されていないので、アンテナ21では良好に外部無線情報を受信でき、駆動コイル33では良好かつ確実に外部磁界を検出できる。
【0060】
駆動コイル33の軸線33Aおよびアンテナ21の軸線21Aの延長線上には電池61が配置されていないので、電池61によって駆動コイル33で検出する外部磁界や、アンテナ21で受信する長波標準電波が遮られるのを防止できる。したがって、駆動コイル33によって良好にアンテナ21周囲の外部磁界を検出でき、またアンテナ21によって良好に長波標準電波を受信できる。
また、駆動コイル33およびアンテナ21が、輪列38を挟んで互いに反対側に配置されているので、ケース71内のスペース効率を向上させることができ、電波時計1の小型化を促進できる。
【0061】
本実施形態においては、外部磁界によってステッピングモータ32の駆動コイル33に誘起される誘起電圧を駆動制御回路51から出力されるパルス(SP0、SP1)によって検出する。駆動対象であるステッピングモータ自体を利用して外部磁界検出手段を構成するとともに、外部磁界の検出結果は、ステッピングモータの駆動制御と外部無線情報の受信制御に共用される。よって、外部磁界検出のために別途装置を必要としないことと、さらに、ステッピングモータを駆動制御するための外部磁界検出手段と受信制御用の外部磁界検出手段を別個必要としないので、電波時計1を小型化することができるとともに、部品点数を少なくでき、コストを低減することができる。
【0062】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、駆動コイル33の軸線33Aとアンテナ21の軸線21Aとは、電波時計1の平面視でほぼ平行に配置されていたが、これに限らず、駆動コイル33は、アンテナ21による外部無線情報の受信動作に際して影響を及ぼす方向の外部磁界を良好に検出できる方向に配置されていればよい。
例えば、図13(A)に示されるように、駆動コイル33の軸線33Aとアンテナ21の軸線21Aとがなす角度Cが30°以内であれば、駆動コイル33でアンテナ21周囲の外部磁界を良好に検出できる。
【0063】
また、アンテナ21の軸線21Aと方向線Xとは、ほぼ平行に配置されていたが、これに限らず、図13(A)および図13(B)に示されるように、軸線21Aおよび方向線Xがなす角度Aが15°以内であれば、アンテナ21の軸線21Aが金属ベルトに干渉するというような不具合が生じず、良好に外部無線情報を受信できる。
同様に、駆動コイル33の軸線33Aと方向線Xとは、ほぼ平行に配置されていたが、これに限らず軸線33Aおよび方向線Xがなす角度Bが15°以内であれば、駆動コイル33の軸線33Aが金属ベルトに干渉するというような不具合が生じず、駆動コイル33で良好に外部磁界を検出できる。
この時、軸線21Aおよび軸線33Aは、図13(A)に示されるように方向線Xに対して対称な方向に角度を有するものや、図13(B)のように方向線Xに対してそれぞれ角度A、Bを有し、かつ軸線21A,33Aが互いにほぼ平行に配置されているものなど、様々な配置を採用できる。
なお、軸線21A,33Aの配置は、前記実施形態の図6や、前述の図13(A)および図13(B)に示されるものに限定されるものではなく、本発明の趣旨に沿うものであれば、これら以外の配置でもよい。例えば、図6において、軸線21A,33Aは文字板74の12時と6時とを結ぶ線、つまりバンド712の中央位置を結ぶ方向にほぼ平行に配置されていてもよい。また、図13(A)および図13(B)においても、例えば軸線21A,33Aが図示された向きとは逆に、文字板74の12時と6時とを結ぶ線に対して対称の位置に配置されていてもよい。つまり、例えば図13(A)であれば、アンテナ21の軸線21Aおよび駆動コイル33の軸線33Aが3時方向に傾斜するように配置され、これらと方向線Xがなす角度A,Bがそれぞれ所定の角度以内となるように配置されていたり、あるいは、軸線21A,33Aがなす角度Cが所定角度以内となるように配置されていてもよい。
また、軸線21Aと方向線Xとがなす角度A、または軸線33Aと方向線Xとがなす角度Bは、15°以内に限られず、15°より大きな角度であっても、革ベルトを使用する場合などでは不具合が生じず良好に外部磁界の検出および外部無線情報の受信を行うことができるので、本発明の目的を達成できる。
【0064】
駆動コイル33の軸線33Aとアンテナ21の軸線21Aとは、電波時計1の側面視で同一線上に配置されていたが、これに限らず例えば図14(A)に示されるように、側面視でほぼ平行に配置されていれば、本発明の目的を達成できる。この際、軸線33A,21Aは側面視において文字板74と交差する角度D、Eが15°以内であれば、電波時計1の厚み方向両側に配置された裏蓋73やその他の部材が磁性材料であっても、軸線33A,21Aに対する磁性材料の干渉を最小限に抑制でき、駆動コイル33が良好に外部磁界を検出でき、またアンテナ21が良好に外部無線情報を受信できる。
なお、軸線33A,21Aが文字板74となす角度D、Eは、15°以内に限られず、15°より大きな角度であっても、電波時計1の主要な構成部品を非磁性材料で構成すれば、駆動コイル33の外部磁界検出およびアンテナ21の外部無線情報の受信を良好に行うことができるので、本発明の目的を達成できる。
また、図14(B)に示されるように、電波時計1の側面視において、軸線21Aおよび軸線33Aがなす角度Fが30°以内であれば、駆動コイル33でアンテナ21周囲の外部磁界良好に検出できる。
要するに、駆動コイル33は、電波時計1の側面視において、アンテナ21による外部無線情報の受信動作に際して影響を及ぼす方向の外部磁界を良好に検出できる方向に配置されていればよい。
また、図15に示されるように、前記実施形態では軸線21Aおよび軸線33Aは側面視において同一線上に配置されており、軸線21Aと軸線33Aとの距離mは、0であったが、これに限らず例えば図16に示されるように、アンテナ21のコイルの巻数と、駆動コイル33のコイルの巻数が異なる場合など、電波時計1の側面視において、軸線21Aおよび軸線33Aとが平行に配置され、かつ距離mを有して配置されていてもよい。
【0065】
外部無線情報受信ユニット2は、駆動コイル33からの外部磁界検出信号が出力されると受信動作禁止手段56によって受信回路22の受信動作を禁止し、また外部磁界非検出信号が出力されると受信動作再開手段57によって受信動作を再開するように制御されていたが、これに限らず、例えば外部磁界検出信号が出力されている間は、受信回路で外部無線情報を受信しても駆動制御手段がその情報を無効化する処理を行ったり、ステッピングモータを停止させるなどの制御を行ってもよい。要するに、駆動コイルによって検出した(あるいは検出しなかった)外部磁界の検出信号の処理方法や検出信号に応じた電子機器の制御は、電子機器の仕様や用途などを勘案して適宜設定してよい。
【0066】
本発明は計時装置に限られず、ステッピングモータ32を備え、外部無線情報を受信する電子機器であればよい。携帯ラジオやオルゴール、携帯電話など種々の電子機器に適用できる。例えば、気圧、ガス濃度、電圧、電流などの物理特性の測定結果が無線情報で送信され、その無線情報を受信する電子機器がステッピングモータにより指針を駆動して測定値をアナログ表示するなどでもよい。
また、外部無線情報は長波標準電波による時刻情報に限られない。例えば、FMやGPSあるいはブルーツースや非接触ICカードでの無線情報でもよく、ニュースや天気予報など外部無線情報の内容も限定されない。ちなみに、電波の種類によって、アンテナ21や受信回路22の構成などは適宜変更されるのは言うまでもない。
受信された外部無線情報は、例えば、天気予報であれば、予め設けられた晴れ、曇り、雨といった情報を指針で指し示すように、ステッピングモータ32による指針駆動によって表示されてもよく、また、ニュースや株価情報などは液晶表示装置などの電子表示装置によって表示されてもよい。
【0067】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0068】
【発明の効果】
このような本発明によれば、駆動コイルとアンテナとがほぼ平行に配置されているので、アンテナの外部磁界による影響を駆動コイルによって良好に再現でき、外部磁界をより一層正確に検出して時刻を正確に修正できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子機器にかかる本実施形態のブロック図。
【図2】長波標準電波としての時刻情報のタイムコードフォーマットを示す図。
【図3】前記タイムコードフォーマットの信号の種類を示す図。
【図4】前記実施形態における受信回路を示す図。
【図5】前記実施形態における運針部、中央制御部、モータ駆動回路を示す図。
【図6】前記実施形態における駆動コイルおよびアンテナの配置を示す平面図。
【図7】図6の側断面図。
【図8】前記実施形態における検出回路を示す図。
【図9】(A)駆動制御回路から出力される制御信号のタイミングチャートを示す図。(B)外部磁界検出に対する受信制御信号のタイミングチャートを示す図。
【図10】前記第一実施形態における制御回路の働きを示すフローチャート。
【図11】前記第一実施形態における受信制御手段を示す図。
【図12】前記第実施形態における時刻情報の受信による時刻修正のフローチャートを示す図。
【図13】本発明の駆動コイルおよびアンテナの平面視における配置を示す図。
【図14】本発明の駆動コイルおよびアンテナの側面視における配置を示す図。
【図15】本発明の駆動コイルおよびアンテナの側面視における別の配置を示す図。
【図16】本発明の駆動コイルおよびアンテナの側面視におけるさらに別の配置を示す図。
【符号の説明】
1…電波時計(時計、電子機器)、2…外部無線情報受信ユニット、3…ステッピングモータユニット、21…アンテナ、22…受信回路(受信手段)、32…ステッピングモータ、33…駆動コイル、47…中央制御部(駆動制御手段)、55…受信制御手段、61…電源(駆動電源)74…文字板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部からの無線情報を受信して動作修正等の処理を行う電子機器、および外部からの時刻情報を受信して時刻修正を行う時計に関する。
【0002】
【背景技術】
外部からの無線情報を受信して動作修正等を行う電子機器、例えば、外部からの時刻情報を受信して時刻修正を行う電波時計などが知られている。
この電波時計は、外部からの時刻情報を受けるアンテナと、アンテナで受けた情報を処理する受信手段と、受信手段からの情報を記憶する記憶手段と、記憶された時刻情報に従って駆動制御されるステッピングモータと、このステッピングモータによって運針され時刻を示す指針とを備えて構成されている。
このような構成によれば、正確な時刻情報を載せた電波をアンテナで受ける。すると、この時刻情報が受信手段によって処理(例えば、増幅、復調など)され、一連の時刻情報が記憶手段に記憶されていく。記憶された時刻情報に基づいてステッピングモータが駆動制御され、指針が回転駆動されることにより正確な時刻が示される。このような作業が自動でなされ、かつ、正確な時刻を表示できることから、電波時計は優れた利便性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電波時計が正確な時刻修正を行うためには、外部からの時刻情報を正確に受信することが必要となる。しかしながら、電波時計のアンテナの周囲に磁界が存在すると時刻情報を正確に受信できないという問題がある。これは、磁界が時刻情報をのせた電波と干渉するため、時刻情報の電波波形が変形されてしまうためである。
壁掛け時計のようにその設置位置が固定されていれば、磁界の影響を受けにくい位置に設置することで対応することができる。しかし、例えば、腕時計のように常時移動される場合には、磁界の影響を避けることができないという問題が残る。
【0004】
一方、本出願人は先に、電磁発電装置を内蔵した電波時計について電磁発電による電磁ノイズの影響を受けない電波時計を提案している(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−166071号公報
【0006】
この電磁発電装置を内蔵した電波時計は、前述の電波時計に、電磁発電によって発電する発電手段と、この発電手段の発電状態を電流検出によって検出する発電状態検出手段と、発電状態検出手段からの検出信号に基づいて受信手段による受信を禁止する受信禁止手段とを備えた構成である。
このような構成によれば、発電状態検出手段によって、発電手段の発電状態を検出する。発電状態が検出されると、発電状態検出手段から検出信号が発信され、受信手段による時刻情報の受信が禁止される。よって、発電手段が発電することにより発生される電磁ノイズが存在する間は時刻情報を受信しない。発電手段が発電せず、発電手段からの電磁ノイズが存在しないときのみ受信手段によって時刻情報が受信される。その結果、時刻情報が正確に受信され、電波時計の時刻修正が正確に行われる。
【0007】
ところで、電波時計のアンテナの周囲に存在する磁界の発生源は必ずしも電波時計に内蔵された電磁発電装置に限られない。例えば、電灯等の明るさコントローラや電気毛布等の温度コントローラ、さらには、一般の家電製品からも磁界は発生される。
このような電波時計の外部にある磁界発生源に対しては、前記電磁発電装置を内蔵した電波時計では対応できないという問題がある。すなわち、前記発電状態検出手段は、内蔵された発電手段からの電流を検出して制御しており、外部からの磁界は認識できないためである。そのため、磁界の影響下でも時刻情報の受信動作を行うことになり、時刻修正が誤ったものとなる可能性がある。したがって、アンテナ周囲の外部磁界を何らかの方法で時刻情報から除去し、正確な時刻情報を受信する必要がある。そして、この際、アンテナ周囲に存在する磁界の向きは様々であり、アンテナに実際に影響のある外部磁界を検出することが、正確な時刻情報を受信する上で非常に重要となる。
このような問題は電波時計に限らず、外部無線情報を受信して何らかの処理を行う電子機器に共通する問題である。
【0008】
本発明の目的は、従来の問題を解決し、外部磁界を正確に検出できる電子機器および時計を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、外部磁界を正確に検出することにより、外部無線情報を正確に受信できる電子機器、および外部から時刻情報を正確に受信して時刻修正できる時計を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子機器は、ステッピングモータユニットと、外部無線情報を受信する外部無線情報受信ユニットとを備えた電子機器であって、ステッピングモータユニットは、駆動コイルを有するステッピングモータと、ステッピングモータの駆動を制御する駆動制御手段と、駆動コイルの誘起電圧によって外部に存在する外部磁界を検出する外部磁界検出手段とを備え、外部無線情報受信ユニットは、外部無線情報を受けるアンテナと、アンテナから受けた外部無線情報を処理する受信手段とを備え、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とは、ほぼ平行に配置されていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ステッピングモータの周囲に外部磁界が存在すると、ステッピングモータの駆動コイルに外部磁界が印加され、駆動コイルに誘起電圧が誘起される。駆動コイルに誘起された誘起電圧を検出することにより、駆動コイルは、外部磁界を検出する外部磁界検出手段としての作用を奏することができ、アンテナの周囲に存在する外部磁界を検出することができる。
この際、ステッピングモータの駆動コイルの軸線と外部無線情報を受けるアンテナの軸線とが互いにほぼ平行に配置されているので、駆動コイルで外部磁界を検出する際には、駆動コイルでは、アンテナが受ける外部磁界とほぼ平行な向きの外部磁界を検出することとなる。つまり、駆動コイルで検出する外部磁界によって、アンテナが受ける外部磁界を良好に再現できるので、外部磁界の検出精度を高めることができる。
また、ステッピングモータの駆動コイルがモータの駆動コイルの役割とともに、外部磁界のアンテナの役割も果たすことができる。つまり、ステッピングモータの駆動コイルを利用して外部磁界検出手段を構成することにより、外部磁界検出のための検出手段を別体として設ける必要がないので、電子機器を小型化することができる。
【0011】
なお、外部磁界検出手段には、外部磁界とともに外部無線情報も入ってくるが、外部磁界と外部無線情報とではパワーが異なるので、外部磁界検出手段において外部磁界と外部無線情報とを区別することは可能である。外部磁界とは、外部無線情報の信号出力に比べてパワーが大きく、アンテナで外部無線情報を受けるのに障害となる交流磁界や高周波磁界などであるので、例えば、外部磁界検出手段でのしきい値を所定以上の大きさに設定しておけば、外部無線情報ではなく外部磁界だけを検出することができる。
【0012】
また、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがほぼ平行に配置されている、とは、アンテナによる外部無線情報の受信の際に外乱として影響する外部磁界が、駆動コイルに同様に印加されて当該外部磁界を良好に検出できる向きに、駆動コイルの軸線が配置されていることをいう。つまり駆動コイルおよびアンテナの各軸線は、厳密に平行に配置されていなくても、例えばシールドを設けるなどの適宜な方法によれば、外部磁界の向きをある程度限定することができるので、その向きに応じて各軸線を配置すればよい。したがって、この時限定された向き以外の方向については、駆動コイルおよびアンテナの軸線がある程度角度を有して配置されていてもよい。つまり、ほぼ平行とは、例えば駆動コイルおよびアンテナの軸線が電子機器の平面視においてほぼ平行となっているものや、電子機器の側面視においてほぼ平行となっているものなどが考えられ、平面視および側面視のいずれかにおいてほぼ平行であればよい。
なお、平面視とは、ある任意の方向から電子機器を投影した場合の投影面から見た状態をいい、また側面視とは、平面視の方向と直交する方向の投影面から見た状態をいう。
【0013】
本発明の電子機器は、ステッピングモータユニットと、外部無線情報を受信する外部無線情報受信ユニットとを備えた電子機器であって、ステッピングモータユニットは、駆動コイルを有するステッピングモータと、ステッピングモータの駆動を制御する駆動制御手段と、駆動コイルの誘起電圧によって外部に存在する外部磁界を検出する外部磁界検出手段とを備え、外部無線情報受信ユニットは、外部無線情報を受けるアンテナと、アンテナから受けた外部無線情報を処理する受信手段とを備え、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とは、両軸線のなす角度が所定角度以内となるように配置されていることを特徴とする。
この発明によれば、ステッピングモータの周囲に外部磁界が存在すると、ステッピングモータの駆動コイルに外部磁界が印加され、駆動コイルに誘起電圧が誘起される。駆動コイルに誘起された誘起電圧を検出することにより、駆動コイルは、外部磁界を検出する外部磁界検出手段としての作用を奏することができ、アンテナの周囲に存在する外部磁界を検出することができる。
この際、ステッピングモータの駆動コイルの軸線と外部無線情報を受けるアンテナの軸線とがなす角度は所定角度以内に配置されているので、駆動コイルで外部磁界を検出する際には、駆動コイルでは、アンテナが受ける外部磁界と同様な向きの外部磁界を検出することとなる。つまり、駆動コイルで検出する外部磁界によって、アンテナが受ける外部磁界を良好に再現できるので、外部磁界の検出精度を高めることができる。
また、ステッピングモータの駆動コイルがモータの駆動コイルの役割とともに、外部磁界のアンテナの役割も果たすことができる。つまり、ステッピングモータの駆動コイルを利用して外部磁界検出手段を構成することにより、外部磁界検出のための検出手段を別体として設ける必要がないので、電子機器を小型化することができる。
【0014】
本発明では、外部磁界検出手段は、外部磁界の検出に応じて外部磁界検出信号を出力し、外部磁界を検出しない場合には外部磁界非検出信号を出力するように構成され、ステッピングモータユニットは、外部磁界検出手段から出力された外部磁界検出信号および外部磁界非検出信号の入力に応じて外部無線情報受信ユニットを制御する受信制御手段を有することが望ましい。
この発明によれば、外部磁界検出手段が外部磁界検出信号および外部磁界非検出信号を出力するので、制御手段は外部磁界非検出信号が出力されている間に受信した外部無線情報を用いることができ、また、外部磁界検出信号が出力された場合には受信回数を増やすなど、外部磁界の検出結果に応じた制御を行うことができるので、受信動作における外部磁界の影響を低減でき、より正確な外部無線情報を受信できる。これにより、本発明の第二の目的が達成できる。
ここで、外部磁界検出信号と外部磁界非検出信号とは表裏の関係にあり、外部磁界非検出信号として外部磁界検出信号とは別個の信号が出力されてもよく、また、外部磁界検出信号が出力されていない状態を外部磁界非検出信号が出力されているものとしてもよい。
【0015】
本発明では、アンテナは、ループアンテナであることが望ましい。
この発明によれば、アンテナがループアンテナなので、アンテナの軸線を駆動コイルの軸線にほぼ平行に配置すると、アンテナが受ける外部磁界の向きと、駆動コイルが検出する外部磁界の向きとが略一致する。したがって、駆動コイルにおいてアンテナの受信動作に影響する外部磁界が良好に再現され、駆動コイルの外部磁界の検出精度が向上する。
【0016】
本発明では、駆動コイルの軸線およびアンテナの軸線がなす角度は、当該電子機器における平面視で30°以内であることが望ましい。
この発明によれば、駆動コイルの軸線およびアンテナの軸線が平面視で30°以内の角度を有して配置されているので、駆動コイルの向きがアンテナの向きとがほぼ等しくなる。したがって、駆動コイルで検出した外部磁界がアンテナ周囲に存在する外部磁界を良好に再現でき、駆動コイルによるアンテナ周囲の外部磁界の検出精度をより一層高めることができる。
なお、駆動コイルおよびアンテナの軸線が平面視で30°より大きな角度で交わる場合でも、外部磁界のパワーが大きい等の条件下では駆動コイルによって外部磁界を検出できることもある。ただし、駆動コイルおよびアンテナの軸線がなす角度が大きくなる程、外部磁界を正確に検出できる条件が厳しくなる。一方、駆動コイルおよびアンテナの軸線が平面視で30°以内であれば、様々な条件の変化が生じても、駆動コイルが良好に外部磁界を検出できる。また、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度は、より望ましくは平面視で20°以内であり、20°以内であれば駆動コイルにおいてアンテナに影響する外部磁界をより正確に検出できる。そして駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度は、さらに望ましくは平面視で10°以内であり、10°以内であれば駆動コイルがアンテナに影響する外部磁界をさらに一層正確に検出できる。
【0017】
本発明では、コイルの軸線およびアンテナの軸線がなす角度は、当該電子機器における側面視で30°以内であることが望ましい。
この発明によれば、駆動コイルの軸線およびアンテナの軸線が側面視で30°以内の角度を有して配置されているので、駆動コイルおよびアンテナの軸線が平面視で30°以内に配置されている場合と同様に、駆動コイルの向きがアンテナの向きとほぼ等しくなる。したがって、駆動コイルで検出した外部磁界がアンテナ周囲に存在する外部磁界を良好に再現でき、駆動コイルによるアンテナ周囲の外部磁界の検出精度をより一層高めることができる。
なお、駆動コイルおよびアンテナの軸線が側面視で30°より大きな角度で交わる場合でも、外部磁界のパワーが大きい等の条件下では駆動コイルによって外部磁界を検出できることもある。ただし、駆動コイルおよびアンテナの軸線がなす角度が大きくなる程、外部磁界を正確に検出できる条件が厳しくなる。一方、駆動コイルおよびアンテナの軸線が側面視で30°以内であれば、様々な条件の変化が生じても、駆動コイルが良好に外部磁界を検出できる。また、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度は、より望ましくは側縁視で20°以内であり、20°以内であれば駆動コイルにおいてアンテナに影響する外部磁界をより正確に検出できる。そして駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度は、さらに望ましくは側面視で10°以内であり、10°以内であれば駆動コイルがアンテナに影響する外部磁界をさらに一層正確に検出できる。
【0018】
本発明の時計は、前述の電子機器を用いた時計であって、ステッピングモータで駆動される指針を備え、駆動制御手段は、標準時刻が重畳された外部無線情報にしたがってステッピングモータを駆動し、指針の表示時刻を修正することを特徴とする。
この発明によれば、前述のような電子機器を用いているので、前述のような効果を奏することができる。
つまり、ステッピングモータの周囲に外部磁界が存在すると、ステッピングモータの駆動コイルに外部磁界が印加され、駆動コイルに誘起電圧が誘起される。駆動コイルに誘起された誘起電圧を検出することにより、駆動コイルは、外部磁界を検出する外部磁界検出手段としての作用を奏することができ、アンテナの周囲に存在する外部磁界を検出することができる。
【0019】
この際、ステッピングモータの駆動コイルの軸線と外部無線情報を受けるアンテナの軸線とが互いにほぼ平行に配置されているので、駆動コイルで外部磁界を検出する際には、駆動コイルでは、アンテナが受ける外部磁界とほぼ平行な向きの外部磁界を検出することとなる。つまり、駆動コイルで検出する外部磁界によって、アンテナが受ける外部磁界を良好に再現できるので、外部磁界の検出精度を高めることができる。そして、駆動コイルの軸線とアンテナの軸線とがなす角度が適切に設定されているので、アンテナに影響する外部磁界を駆動コイルによってより確実かつ正確に検出できる。
また、ステッピングモータの駆動コイルがモータの駆動コイルの役割とともに、外部磁界のアンテナの役割も果たすことができる。つまり、ステッピングモータの駆動コイルを利用して外部磁界検出手段を構成することにより、外部磁界検出のための検出手段を別体として設ける必要がないので、電子機器を小型化することができる。
さらに、制御手段が外部磁界検出信号に応じて外部無線情報の受信動作を制御することにより、外部磁界の影響を最小限に抑制でき、正確な標準時刻を受信でき、時刻修正を正確に行うことができる。
【0020】
本発明では、12時間式の文字板を備え、駆動コイルの軸線およびアンテナの軸線は、文字板の3時と9時とを結ぶ方向に対してそれぞれ15°以内であることが望ましい。
例えば本発明の時計を腕時計に使用する場合では、文字板の12時方向と6時方向にベルトが設けられることがある。この時、ベルトが金属製であると、駆動コイルの軸線またはアンテナの軸線の延長線上に金属ベルトが配置されることとなり、この金属ベルトが外部無線情報の受信または外部磁界の検出を阻害する可能性がある。
これに対し、この発明によれば、駆動コイルおよびアンテナの軸線が、文字板の3時と9時とを結ぶ方向に対してそれぞれ所定角度、つまり15°以内に配置されているので、時計を腕時計に用いた場合でも、駆動コイルおよびアンテナの軸線が3時および9時を結ぶ方向に対してほぼ平行に配置され、アンテナが受信する外部無線情報が金属ベルトなどの遮蔽物に干渉することなく、良好に受信できる。また、駆動コイルも同様に、良好に外部磁界を検出できる。
なお、駆動コイルまたはアンテナの軸線が文字板の3時と9時とを結ぶ方向に対して15°より大きい角度で配置されている場合には、駆動コイルまたはアンテナの軸線が金属ベルトなどの遮蔽物に干渉するおそれがあり、アンテナが外部無線情報を良好に受信することができず、また駆動コイルは外部磁界を良好に受信することができない。
【0021】
本発明では、当該時計の駆動電源と、ステッピングモータの駆動力を指針に伝達する輪列とを備え、駆動コイルおよびアンテナは、駆動電源および輪列を挟んで互いに反対側に配置されていることが望ましい。
この発明によれば、駆動コイルおよびアンテナが駆動電源および輪列を挟んで互いに反対側に配置されているので、時計内のスペースを有効に利用して時計のスペース効率を向上させることができ、またこれにより時計の小型化を促進できる。
また、ステッピングモータが駆動する際には、駆動パルスによって駆動コイルには微弱な磁界が発生する。この発明によれば、駆動コイルが駆動電源および輪列を挟んでアンテナとは反対側に配置されているので、時計内部において駆動コイルとアンテナとが離れて配置される。このため、駆動コイルより発生した磁界がアンテナでノイズとして受信されにくく、よってより高精度な外部無線情報の受信動作が可能となる。
この時、駆動電源は通常金属缶を有し、また輪列は通常スチール鋼などの金属製の歯車が複数個配列されて構成されているので、駆動コイルから発生した磁界は駆動電源や輪列に吸収される。したがって、駆動電源や輪列の反対側に配置されたアンテナには、駆動コイルからの磁界によるノイズが受信されにくくなる。したがって、より一層高精度に外部無線情報が受信される。
ここで、駆動電源としては、ボタン型電池などの一次電池や、充電可能な二次電池などを採用できる。二次電池であれば、例えば回転錘の回転を利用して発電力を得るものや、太陽電池のように太陽熱を利用して発電力を得るものなど、任意の電池を採用できる。
【0022】
本発明では、当該時計の駆動電源を備え、駆動コイルおよびアンテナの軸線方向延長線には、駆動電源が配置されていないことが望ましい。
この発明によれば、駆動コイルおよびアンテナの軸線方向には金属缶を有する駆動電源が配置されていないので、アンテナが外部無線情報を受信する際に、駆動電源がその受信動作を妨害することがなく、アンテナが良好に外部無線情報を受信できる。また、駆動コイルも、駆動電源による外部磁界の影響を受けることなく外部磁界を検出でき、アンテナ周囲の外部磁界を良好に再現できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の電子機器に係る実施形態としての携帯型、特に腕時計タイプの電波時計(時計)1のブロック図である。
この電波時計1は、外部無線情報受信ユニット2と、ステッピングモータユニット3とを備えて構成されている。
外部無線情報受信ユニット2は、外部無線情報としての時刻情報が重畳された長波標準電波を受けるフェライトアンテナなどのアンテナ21と、アンテナ21で受けた長波標準電波を処理して時刻情報として出力する受信手段としての受信回路22と、受信回路22から出力された時刻情報を記憶する記憶回路28とを備えている。
ステッピングモータユニット3は、時刻を示す指針をステッピングモータ32(図5参照)によって駆動する運針部31と、ステッピングモータ32を駆動するモータ駆動回路42と、装置全体を制御する駆動制御手段としての中央制御部47と、指針位置を検出する針位置検出回路60と、駆動電源としての電池61とを備える。
【0024】
アンテナ21は、時刻情報が重畳された長波標準電波を受ける。
図2に、時刻情報が重畳された長波標準電波の信号タイムコードフォーマットを示す。このタイムコードフォーマットは、1秒ごとに一つの信号が送信され、60秒で1レコードとして構成されている。
図2に示されるように、長波標準電波信号のタイムコードフォーマットは、項目として現在時刻の分、時、現在年の1月1日からの通算日、年(西暦下2桁)、曜日およびうるう秒の各桁データを含んで構成されている。各項目の値は、各秒毎に割り当てられた数値(ビットデータ)の組み合わせによって構成され、この組み合わせのON、OFFが信号の種類から判断される。
【0025】
図3に示されるように、長波標準電波信号として送信されてくる信号の種類は、3種類あり、“1”、“0”あるいは“P”を表す信号が送信される。これらの信号の種類は、各信号の振幅変調時間の長短により判断される。図3(a)は、信号の種類が“1”となる信号波形を示しており、信号の立ち上がりから0.5秒間振幅が継続した場合に信号の種類が“1”であると判断される。図3(b)は、信号の種類が“0”となる信号波形を示しており、信号の立ち上がりから0.8秒間振幅が継続した場合に“0”信号であると判断される。また、図3(c)は、信号の種類が“P”となる信号波形を示しており、信号の立ち上がりから0.2秒間振幅が継続した場合に“P”信号であると判断される。
【0026】
“1”を表す信号に対しては、“ON”状態となり、その項目に対応付けられた数値は時分等を算出する際の加算の対象となる。図2において、長波標準電波信号のタイムコードフォーマット上に“N”が記されている項目は、“1”を表す信号が送信されてきた状態を示す。
“1”以外の信号が送信されてきた場合には、“OFF”状態となり、その項目に対応付けられた数値は時分等を算出する際の加算の対象外となることを示している。
例えば、分に該当する8秒間に長波標準電波信号が“1、0、1、0、0、1、1、1”と送信されてきた場合には、現在時刻の分が“40+10+4+2+1=57”分であることを示している。長波標準電波信号のタイムコードフォーマット上に“P”が記されている項目については、固定項目であり、長波標準電波信号とタイムコードフォーマットとの同期を取るために用いられる。タイムコードの先頭の“P”は、正分(毎分0秒)の立ち上がりに対応していて、秒が“00”秒であることを示し、分が次の分に切り替わることを示している。
ちなみに、長波標準電波はセシウム原子時計を基準としているため、この長波標準電波を受信して時刻を修正する電波時計は、誤差が10万年に1秒という非常に高い精度を得ることができる。
【0027】
受信回路22は、図4に示されるように、アンテナ21によって受信された長波標準電波信号を増幅する増幅回路23と、増幅された長波標準電波信号から所望の周波数成分のみを抜き出すバンドパスフィルタ24と、長波標準電波信号を平滑化し復調する復調回路25と、増幅回路23のゲインコントロールを行ない長波標準電波信号の受信レベルが一定になるように制御するAGC(Automatic Gain Control)回路26と、復調された長波標準電波信号をデコードして出力するデコード回路27とを備えて構成されている。このような構成により、受信回路によって、受信情報処理工程が行われる。
受信回路22に入力される受信制御信号は、中央制御部47から供給され、受信回路22の動作モードを制御しているが、詳しくは後述する。
【0028】
図5に、運針部31と、中央制御部47と、モータ駆動回路42とを示す。
運針部31は、ステッピングモータ32と、ステッピングモータ32の動きを伝達する輪列38と、輪列38によって運針される秒針39、分針40、時針41とを備えている。
ステッピングモータ32は、モータ駆動回路42から供給される駆動パルスによって磁力を発生する駆動コイル33と、この駆動コイル33が一端に巻き付けられるコアを有するとともに、駆動コイル33によって励磁されるステータ34と、ステータ34の内部において励磁される磁界により回転するロータ37とを備えている。
ロータ37はディスク状の2極の永久磁石である。
ステータ34には、駆動コイル33で発生した磁力によって異なった磁極がロータ37の回りのそれぞれの相(極)に発生するように磁気飽和部35が設けられている。
ロータ37の回転方向を規定するために、ステータ34の内周の適当な位置には内ノッチ36が設けられており、コギングトルクを発生させてロータ37が適当な位置に停止するようにしている。
【0029】
ステッピングモータ32のロータ37の回転は、かなを介してロータ37に噛合された五番車38a、四番車38b、三番車38c、二番車38d、日の裏車38eおよび筒車38fからなる輪列38によって各針に伝達される。四番車38bの軸には秒針39が接続され、二番車38dには分針40が接続され、さらに、筒車38fには時針41が接続されており、ロータ37の回転に連動してこれらの各針によって時刻が表示される。輪列38には、さらに、年月日などの表示を行うための伝達系など(不図示)を接続することももちろん可能である。
【0030】
図6および図7に、運針部31およびアンテナ21の電波時計1内での実際の配置を示す。
これらの図6および図7において、運針部31や指針、アンテナ21などの電波時計1の構成部品のほぼ全部は電波時計1のケース71の略中央に形成された略円筒状の収納部711に収納されている。収納部711の開口部分両端は、無機ガラス、有機ガラス、その他の透明材料で構成されたカバー72と、非磁性の金属等で構成された裏蓋73とでそれぞれ覆われている。また、ケース71の平面視の両端には皮や金属などで構成されたベルト712が取り付けられている。
カバー72と裏蓋73との間には、黄銅、アルミニウム等の非磁性の金属やプラスチック、その他の材料で構成された文字板74が設けられており、この文字板74はカバー72外部から視認可能となっている。文字板74のカバー72側の面には、周囲に沿って12時間式の目盛(不図示)が形成され、12時および6時を結ぶ方向は、ケース71においてベルト712が取り付けられた方向と一致している。また、ケース71において、文字板74の3時方向には指針の時刻を手動調整するための竜頭713が設けられている。
なお、図6においては、説明のためカバー72、指針、および文字板74の図示を省略してある。
【0031】
文字板74と裏蓋73との間において、収納部711の平面視で略中央には、輪列38が配置されている。輪列38の二番車38d、四番車38b、および筒車38fは同軸上に配置され、これらの二番車38d、四番車38b、および筒車38fにそれぞれ固定されている秒針39、分針40、および時針41は文字板74を貫通して文字板74とカバー72との間に配置され、これらの指針が文字板74上の目盛を指し示すことで時刻を表示する。二番車38d、四番車38b、および筒車38fの周囲には、これらの歯車の所定のいずれかに噛合する三番車38cおよび日の裏車38eが配置されている。
なお、輪列38を構成する材料は、全ての部材が金属製であってもよいし、またはそれぞれのかなのみがスチール鋼などの金属製で、かなに固定された歯車がプラスチック製である等、時計の仕様に応じて適宜設定すればよい。
輪列38を挟んで文字板74の9時方向には外側ケースが金属板で構成された電池61が、また反対側の3時方向には中央制御部47が配置されている。
【0032】
輪列38を挟んで文字板74の12時方向には、アンテナ21が、また6時方向にはステッピングモータ32が配置されている。アンテナ21は、フェライト棒などの高透磁率材からなるアンテナコアの周囲にアンテナコイルが巻き付けられて構成されたループアンテナである。また、ステッピングモータ32の駆動コイル33は、ステータ34の一部に形成されたステータコアの周囲に導線が巻き付けられて構成されている。これらのアンテナコアおよびステータコアにそれぞれ外部磁界や長波標準電波が通過すると、その周囲のコイル(アンテナコイルや駆動コイル33)に誘起電流が発生するようになっている。
アンテナ21およびステッピングモータ32は、アンテナ21の軸線21Aと、ステッピングモータ32の駆動コイル33の軸線33Aが文字板74の3時方向および9時方向を結んだ方向(図6に方向線Xで図示)に対して電波時計1の平面視で、それぞれほぼ平行に配置されている。また、これらの軸線21A,33Aは、電波時計1の側面視において同一線上に配置されている。
なお、電池61は、軸線21A,33Aの延長線上の間に配置され、これら軸線21A,33Aの延長線上には電池61が配置されていない。なた、これらの軸線21A,33Aの延長線上には、輪列38も干渉しないように配置されている。
【0033】
図5に戻って、中央制御部47は、水晶振動子などの基準発振源49を高周波発振させる発振回路や分周回路を含んで構成され、基準周波数の基準パルスやパルス幅およびタイミングの異なるパルス信号を発生するパルス合成回路48と、パルス合成回路48から供給された種々のパルス信号に基づきステッピングモータ32を制御する制御回路50と、制御回路50からの信号に基づき受信回路22の動作モードを制御する受信制御手段55と、受信回路22からの時刻情報に基づいて時刻修正を行う時刻修正回路59とを備えている。
【0034】
制御回路50は、モータ駆動回路42を制御する駆動制御回路51と、回転検出および磁界検出を行う検出回路52とを備えている。
駆動制御回路51は、駆動パルス供給部51aと、回転検出パルス供給部51bと、磁界検出パルス供給部51cと、補助パルス供給部51dと、消磁パルス供給部51eとを備えて構成されている。
駆動パルス供給部51aは、モータ駆動回路42を介して駆動コイル33に対し、ロータ37を駆動するための駆動パルスを供給する。
回転検出パルス供給部51bは、駆動パルスに続いてロータ37の回転検出用に誘導電圧を誘起する回転検出パルスを出力する。
磁界検出パルス供給部51cは、駆動パルスに先立って、ステッピングモータ32に対する外部磁界を検出するための誘導電圧を誘起する磁界検出パルスを出力する。
補助パルス供給部51dは、ロータ37が回転しないか、または、外部磁界が検出された場合に、駆動パルスより実効電力の大きな補助パルスを出力する。この補助パルス供給部51dにより特殊駆動パルス生成手段が構成されている。
消磁パルス供給部51eは、補助パルスに続いて消磁用に補助パルスと極性の異なる消磁パルスを出力する。
【0035】
検出回路52は、回転検出パルスによって得られた回転検出用の誘導電圧を設定値と比較して回転の有無を検出する回転判定部53と、磁界検出パルスによって得られた磁界検出用の誘導電圧を設定値と比較して磁界の有無を判定する磁界判定部54を備えている。
回転判定部53は、図8に示すように、2つのコンパレータ53aおよび53bとオアゲート53cとを備える。駆動コイル33に生じた双方向の誘起電圧の値を設定値SV1と比較してロータ37が回転したか否かを確認する。判定結果はオアゲート53cを介し、回転判定信号として駆動制御回路51にフィードバックされる。
【0036】
磁界判定部54は、2つのインバータ54aおよび54bとオアゲート54cとを備える。外部磁界によって駆動コイル33に生じた双方向の誘起電圧の値をインバータのしきい値(設定値SV2)と比較し、磁界の有無を判定する。判定結果はオアゲート54cを介し、磁界判定信号として駆動制御回路51にフィードバックされるとともに、受信制御手段55に出力される。つまり、外部磁界が検出された場合は、受信制御手段55に外部磁界検出信号が出力される。外部磁界が検出されなかった場合は、受信制御手段55に外部磁界非検出信号が出力される。
この磁界判定部54によって誘起電圧検出手段が構成されるとともに、磁界判定部54を含む制御回路50、ステッピングモータ32の駆動コイル33およびモータ駆動回路42によって外部磁界検出手段が構成されており、外部磁界検出工程が行われる。
【0037】
モータ駆動回路42は、ブリッジ回路43と、回転検出用抵抗45a、45bと、これらの抵抗45aおよび45bにチョッパパルスを供給するためのサンプリング用のpチャンネルMOS46aおよび46bとを備えて構成されている。
ブリッジ回路43は、直列に接続されたpチャンネルMOS43aとnチャンネルMOS44a、およびpチャンネルMOS43bとnチャンネルMOS44bによって構成される。
回転検出用抵抗45a、45bは、pチャンネルMOS43aおよび43bとそれぞれ並列に接続されている。
これらによって電池61からステッピングモータ32に供給される電力が制御される。
これらのMOS43a、43b、44a、44b、46aおよび46bの各ゲート電極に駆動制御回路51の各パルス供給部51a〜51eからそれぞれのタイミングで極性およびパルス幅の異なる制御パルスが印加されることにより、駆動コイル33に極性の異なる駆動パルスが供給され、あるいは、ロータ37の回転検出用および磁界検出用の誘起電圧を励起する検出用パルスが供給される。
【0038】
図9(A)に駆動制御回路51からモータ駆動回路42に供給される制御信号のタイミングチャートの例を示す。ここで、pチャンネルMOS43aのゲートをGP1、nチャンネルMOS44aのゲートをGN1、pチャンネルMOS46aのゲートをGS1、pチャンネルMOS43bのゲートをGP2、nチャンネルMOS44bのゲートをGN2、pチャンネルMOS46bのゲートをGS2とする。
GP1、GN1およびGS1に供給される信号は、ステッピングモータ32の駆動コイル33の一方の極を励磁する。GP2、GN2およびGS2に供給される信号は逆方向の極を励磁する。
【0039】
このステッピングモータ32は、1秒ごとの運針を行うようになっており、モータ駆動回路42に1連の制御信号が供給される。
各サイクルの始めには、磁界検出用パルスSP0およびSP1が出力される。
時刻t1に磁界検出用パルスSP0が出力される。
この磁界検出パルスSP0は、20ms程度の幅の連続した制御パルスであり電気毛布や電気こたつといった家庭用電気製品のスイッチングなどに伴う高周波ノイズ(50Hz〜60Hz)によるノイズ磁界を検出するためのものである。
磁界検出パルスSP0を出力するための制御信号が磁界検出パルス供給部51cから駆動側(駆動極側)のゲートGP1に供給され、一方の極だけがONになり、駆動コイル33が外部磁界のアンテナとして機能する。すると、外部磁界によって駆動コイル33に誘起電圧が誘起されている場合は、誘起された誘起電圧のレベルを磁界判定部54のインバータ54a、54bのしきい値と比較することができる。よって、外部磁界が検出される。
【0040】
時刻t2に磁界検出用パルスSP1が出力される。
この磁界検出用パルスSP1はデューティー比が1/8程度の断続的なチョッパパルスであり、モータを備える電気かみそり、ドライヤーなどの一般家電製品から発生されるモータノイズなどの交流磁界を検出するためのものである。
磁界検出用パルスSP1を出力するための制御信号が磁界検出パルス供給部51cから駆動極側とは反対(逆極)のゲートGP2に供給され、一方の極がON、OFFされる。すると、チョッパ増幅によって駆動コイル33に誘起されている誘起電圧が大幅に増幅され(チョッパ増幅)、これによって交流磁界により駆動コイル33に誘起される電流が電圧の形でサンプリングされ、検出回路52の磁界判定部54で判定される。
【0041】
時刻t3に駆動パルスP1を出力するための制御パルスが駆動制御回路51の駆動パルス供給部51aからゲートGN1およびゲートGP1に供給される。駆動パルスP1の実効電力はロータ37が回転する限界程度までに減少されており、例えば、時刻t3にはパルス幅W10の駆動パルスP1が供給されるようになっている。駆動パルスP1を出力するための制御信号は、駆動パルスのパルス幅を変えて実効電力を制御できるようになっており、ロータ37が回転せずに補助パルスP2が出力されるとパルス幅を広げて実効電力を大きくする。一方、同一のパルス幅で連続して所定の回数だけロータ37を駆動できるとパルス幅を狭めて実効電力を減少できるようになっている。
【0042】
時刻t4にロータ37の回転検出を行う回転検出用のパルスSP2を出力するための制御パルスが駆動制御回路51の回転検出パルス供給部51bからゲートGP1およびゲートGS1に供給される。この回転検出パルスSP2は、デューティーが1/2程度のチョッパパルスであり、ロータ37が回転したときに駆動コイル33に励起される誘導電流を回転検出用抵抗45aの出力電圧として得られるようにしている。そして、回転検出用抵抗45aの電圧が検出回路52の回転判定部53で設定値SV1と比較され、ロータ37が回転したか否かが判るようになっている。
【0043】
回転検出パルスSP2によって励起される誘導電圧が設定値SV1に達しない場合は、ロータ37が回転しなかったものと判断され、時刻t6に補助パルスP2を出力するための制御信号が駆動制御回路51の補助パルス供給部51dからゲートGN1およびゲートGP1に供給される。補助パルスP2は、ロータ37が必ず回転する程度のエネルギーをもった駆動パルスP1よりも実効電力の大きなパルス幅W20の駆動用のパルスである。この補助パルスP2は、ロータ37の回転が検出されない場合の他に、磁界検出用のパルスSP0およびSP1のいずれかによって磁界が検出されたときに駆動パルスP1に代わって出力される。
【0044】
ステッピングモータ32の周囲に磁界が存在すると、回転検出パルスSP2によってロータ37が回転していなくともノイズである磁界が検出されて、回転したと誤検出される可能性があり、運針ミスを引き起こす可能性がある。従って、磁界が検出された場合は回転検出の不要な補助パルスP2を出力することによって消費電力は増大することになるが運針ミスが発生するのを防止している。
【0045】
時刻t8に消磁用のパルスPEを出力するための制御パルスが駆動制御回路51の消磁パルス供給部51eからゲートGN2およびゲートGP2に供給される。この消磁パルスPEは、実効電力の大きな補助パルスP2によって発生した駆動コイル33の残留磁束を低減するためのものであり、補助パルスP2とは逆極となるパルスを供給することによって実現している。消磁パルスPEを供給することによりステッピングモータ32を1ステップアングル回転駆動する一連のサイクルは終了する。
【0046】
時刻t1から1秒経過した時刻t11からステッピングモータ32をさらに1ステップアングル回転するための次のサイクルが開始される。このサイクルでは、前のサイクルと反対側のMOS43b、44bおよび46bが駆動極側になる。先のサイクルと同様に、まず、時刻t11に高周波ノイズによる磁束ノイズを検出するためのパルスSP0が出力され、次に時刻t12に交流磁界によるノイズを検出するためのパルスSP1が出力される。そして、磁界ノイズが検出されない場合は時刻t13に駆動パルスP1が出力される。前回のサイクルで補助パルスP2が出力されているので、駆動パルスP1の実効電力が増加されており、先のサイクルの駆動パルスより広いパルス幅W11の駆動パルスP1が時刻t13に出力される。さらに、時刻t14に回転検出用のパルスSP2が出力され、これによってロータ37の回転が検出されるとこの段階でサイクルが終了する。
【0047】
図10に、以上に説明した制御回路50の動きである駆動制御工程をフローチャートにまとめて示す。まず、ステップST1で計時用の基準パルスをカウントして1秒を計測する。1秒が経過すると、ステップST2において磁界検出パルスSP0を用いて高周波磁界を検出する。高周波磁界が検出されるとステップST7において実効電力の大きな補助パルスP2を駆動パルスP1に代わって供給し、誤検出による運針ミスを防止する。高周波磁界が検出されない場合は、ステップST3において、磁界検出パルスSP1を用いて低周波磁界である交流磁界の有無を確認する。交流磁界がある場合は、上記と同様にステップST7において補助パルスP2を出力し、運針ミスを防止する。
【0048】
これらのステップにおいて磁界が検出されない場合は、ステップST4において駆動パルスP1を出力し、続いて、ステップST5で回転検出パルスSP2を出力してロータ37の回転の有無を確認する。回転が確認できない場合はステップST7において実効電力の大きな補助パルスP2を供給してロータ37を確実に回転させる。補助パルスP2が出力されるとステップST8において消磁パルスPEを出力し、さらに、ステップST10において補助パルスが出力された後の駆動パルスP1のレベル調整(第1のレベル調整)を行う。ステップST5において回転不良となった場合は同じ実効電力の駆動パルスP1を供給しても回転不良を繰り返すことになる。このため、ステップST11で補助パルスP2が出力された要因を判別し、ステップST12で実効電力の1段高い駆動パルスP1を出力できるようにセットをしてステップST1に戻り計時動作を行う。
【0049】
一方、ステップST5において、駆動パルスP1によるロータ37の回転が判別できた場合は、ステップST6において駆動パルスP1の実効電力を下げるレベル調整(第2のレベル調整)を行う。多くのケースでは、同じ実効電力の駆動パルスP1によって複数回ロータ37が回転したことを確認して駆動パルスの実効電力を低減するようにしている。このような制御を行うことによって、駆動パルスP1の消費電力を低減すると共に、電気製品からの磁界がある場所においても運針ミスをなくせるので、信頼性が高く消費電力の低い計時装置を提供することができる。
【0050】
受信制御手段55は、図11に示されるように、受信動作禁止手段56と、受信動作再開手段57と、受信サイクル制御手段58とを備える。
受信動作禁止手段56は、磁界判定部54から外部磁界検出信号が出力されると、受信制御信号として受信回路22での受信動作を禁止させる受信動作禁止信号を出力する。受信回路22が受信動作禁止信号を受けると、受信回路22での受信動作が行われない。
受信動作再開手段57は、磁界判定部54から外部磁界非検出信号が出力されると、受信制御信号として受信回路22での受信動作を再開させる受信動作再開信号を出力する。このような構成により受信制御工程が行われる。受信回路22が受信動作再開信号を受けると、アンテナ21で受けた長波標準電波の信号処理を行い、時刻情報が記憶回路28に送られ、記憶工程によって時刻情報が記憶される。
【0051】
受信サイクル制御手段58は、駆動制御回路51の時刻情報を受けて、受信回路22の受信動作を開始させる時刻および受信動作を終了する時刻からなるスケジュール情報を記憶しているとともに、外部磁界の検出に応じて、このスケジュール情報を変更する。スケジュール情報としては、例えば、1日に一回午前2時から2時5分まで時刻情報を受信するように設定される。
受信開始時刻に達する前、もしくは受信動作中に外部磁界検出信号が検出されると、受信動作が禁止されるとともに、スケジュール情報に設定された受信終了時刻は無効とされる。外部磁界非検出信号の出力により、受信回路22が時刻情報の受信を再開し、一連の時刻情報を設定された時間受信すると受信が完了される。
【0052】
なお、受信動作禁止手段56と受信動作再開手段57は、受信サイクル制御手段58に設定されているスケジュール情報に基づいて、受信開始時刻の直前から受信終了までの間において動作状態になり、それ以外は非動作状態にしてもよい。このようにすると、消費電力を低減することができる。
【0053】
図9(B)に、磁界判定部54から出力される磁界判定信号である外部磁界検出信号および外部磁界非検出信号と、受信制御手段55から出力される受信制御信号との関係を表すタイミングチャートの一例を示す。図9(A)において、外部磁界を検出するためのパルス(高周波磁界検出パルスSP0、交流磁界検出パルスSP1)によって、外部磁界が検出されると、外部磁界検出信号が出力される。図中で、外部磁界検出信号は“H”によって示される。外部磁界を検出するためのパルスSP0、SP1によって外部磁界が検出されない場合は、外部磁界非検出信号が出力される。図中では、外部磁界非検出信号は“L”で示されている。
受信制御手段55は、受信サイクル制御手段58のスケジュール情報に基づいて、受信開始時刻に至った場合において、外部磁界検出信号が出力されると、受信動作禁止信号を発信する。図中、受信動作禁止信号は“L”で示されている。受信制御手段55は、外部磁界非検出信号が出力されると、受信動作再開信号を発信する。図中、受信動作再開信号は“H”で示される。
【0054】
高周波磁界検出パルスSP0による外部磁界の検出に応答して、受信制御信号SG1が出力され、交流磁界検出パルスSP1による外部磁界の検出に応答して、受信制御信号SG2が出力される。これらの受信制御信号SG1およびSG2をOR回路で結んだ結果である受信制御信号SG3が最終的な結果として受信制御手段55から出力される。
つまり、SP0およびSP1による外部磁界検出によって、いずれか一方でも外部磁界検出信号が発信されると、受信制御手段55によって受信動作禁止信号が出力され、受信動作が禁止される。
SP0およびSP1による外部磁界検出によって、いずれも外部磁界非検出信号が出力されると、受信制御手段55によって受信動作再開信号が出力され、受信回路22による受信動作が開始される。すると、時刻情報が受信され、この時刻情報に従ってステッピングモータ32が駆動され、時刻の修正が行われる。
【0055】
図12に、受信制御手段55の動きを含めた時刻修正のフローチャートを示す。
まず、ST21において、長波標準電波を受信する受信時刻になったことを判断する。この受信時刻は、受信サイクル制御手段58に受信開始時刻として設定されているものである。すると、高周波磁界を検出するST22と交流磁界を検出するST23から構成される外部磁界検出工程によって、外部磁界の検出が行われる。この外部磁界検出工程は1秒間隔で実行される。ST22およびST23のいずれか一方でも外部磁界を検出すると磁界判定部54から外部磁界検出信号が出力され、受信制御手段55から受信回路22に受信動作禁止信号が出力される。受信回路22が受信動作禁止信号を受けると、受信回路22における受信動作が禁止される(ST25)。受信動作が禁止されると、ST22およびST23の磁界検出が繰り返される。
外部磁界検出工程ST22、ST23のいずれにおいても外部磁界が検出されない場合は、磁界判定部54から外部磁界非検出信号が出力され、受信制御手段55によって受信動作再開信号が受信回路22に出力される。すると、ST24において受信動作が再開され、受信回路22による受信情報処理工程ST26が行われ、処理された時刻情報は記憶工程ST27において記憶回路28に記憶される。
なお、ステッピングモータ3が作動によって駆動コイル33から微弱な磁界が発生することがある。この際、これらST22からST24までの一連の受信動作においては、駆動コイル33からの磁界がノイズとなってアンテナ21で受信され、受信性能に影響を及ぼす可能性がある場合には、ステッピングモータ3の駆動を停止するように構成してもよい。
【0056】
次に、ST28において、一連の時刻情報が記憶されたことが判断される。時刻情報は60秒で1レコードであり、この1レコードを受信している最中に外部磁界検出信号が出力されると、受信動作禁止手段56によって受信が禁止される。1レコードを受信していない場合は、外部磁界非検出信号が出力されて時刻情報を受信できるまで、外部磁界の検出と受信が繰り返される。
一連の時刻情報が記憶されると、記憶回路28から中央制御部47の時刻修正回路59に時刻情報が出力され、ST29の時刻修正が行われる。これは、針位置検出回路60によって検出された針位置と、受信された時刻情報を比較して、針位置を受信された時刻情報と一致させるように、針を早送りまたは逆回転させるようにステッピングモータ32を駆動制御することによって行われる。
【0057】
以上、このような構成によれば、次のような効果を奏する。
駆動コイル33に外部磁界が印加されると、駆動コイル33に誘起電圧が誘起されることにより、この駆動コイル33が外部磁界検出手段として機能するので、アンテナ21の周囲に存在する外部磁界を検出することができる。この時、アンテナ21がループアンテナであるから、駆動コイル33の軸線33Aと、アンテナ21の軸線21Aとが電波時計1の平面視でほぼ平行に配置されていると、アンテナ21の受信動作に影響する外部磁界の向きと、駆動コイル33で検出できる外部磁界の向きとを近似させることができる。したがって、アンテナ21の外部磁界を駆動コイル33で良好に再現でき、駆動コイル33がアンテナ21の外部磁界を正確に検出できる。
また、駆動コイル33の軸線33Aと、アンテナ21の軸線21Aとが電波時計1の側面視において同一線上に配置されているので、これによってもアンテナ21の受信動作に影響する外部磁界を駆動コイル33で良好に再現でき、したがって外部磁界を精度よく検出できる。
【0058】
そして、外部磁界検出手段で外部磁界を検出すると、受信制御手段55によって受信回路22での時刻情報の受信が禁止されるので、外部磁界中で時刻情報を誤受信することを防ぐことができる。磁界判定部54によって外部磁界が検出されなかったときは、受信制御手段55によって受信回路22での時刻情報の受信が再開される。すると、外部磁界が存在しない状態で正確に時刻情報を受信し、この正確な時刻情報に基づいて時刻を修正することができる。よって、本実施形態の電波時計によれば、正確に受信した時刻情報にのみ基づいた正確な時刻表示をすることができる。
さらに、外部磁界が検出されたときは、受信回路22の受信動作が禁止されて受信動作をしないので、電力を無駄に消費することを防ぐことができる。
【0059】
駆動コイル33の軸線33Aと、アンテナ21の軸線21Aとが文字板74の3時および9時を結ぶ方向線Xに平行に配置されている。例えばベルト712が金属製の場合には、ベルト712がアンテナ21の軸線21Aに干渉すると、外部無線情報の受信動作を妨害してしまい、良好な受信動作を行えない可能性がある。また、ベルト712が駆動コイル33の軸線33Aに干渉すると、駆動コイル33に作用する外部磁界の一部が妨害され、アンテナ21周囲の外部磁界を良好に検出できない可能性がある。本実施形態では、これらの軸線21A,33Aの延長線上には、ベルト712が配置されていないので、アンテナ21では良好に外部無線情報を受信でき、駆動コイル33では良好かつ確実に外部磁界を検出できる。
【0060】
駆動コイル33の軸線33Aおよびアンテナ21の軸線21Aの延長線上には電池61が配置されていないので、電池61によって駆動コイル33で検出する外部磁界や、アンテナ21で受信する長波標準電波が遮られるのを防止できる。したがって、駆動コイル33によって良好にアンテナ21周囲の外部磁界を検出でき、またアンテナ21によって良好に長波標準電波を受信できる。
また、駆動コイル33およびアンテナ21が、輪列38を挟んで互いに反対側に配置されているので、ケース71内のスペース効率を向上させることができ、電波時計1の小型化を促進できる。
【0061】
本実施形態においては、外部磁界によってステッピングモータ32の駆動コイル33に誘起される誘起電圧を駆動制御回路51から出力されるパルス(SP0、SP1)によって検出する。駆動対象であるステッピングモータ自体を利用して外部磁界検出手段を構成するとともに、外部磁界の検出結果は、ステッピングモータの駆動制御と外部無線情報の受信制御に共用される。よって、外部磁界検出のために別途装置を必要としないことと、さらに、ステッピングモータを駆動制御するための外部磁界検出手段と受信制御用の外部磁界検出手段を別個必要としないので、電波時計1を小型化することができるとともに、部品点数を少なくでき、コストを低減することができる。
【0062】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、駆動コイル33の軸線33Aとアンテナ21の軸線21Aとは、電波時計1の平面視でほぼ平行に配置されていたが、これに限らず、駆動コイル33は、アンテナ21による外部無線情報の受信動作に際して影響を及ぼす方向の外部磁界を良好に検出できる方向に配置されていればよい。
例えば、図13(A)に示されるように、駆動コイル33の軸線33Aとアンテナ21の軸線21Aとがなす角度Cが30°以内であれば、駆動コイル33でアンテナ21周囲の外部磁界を良好に検出できる。
【0063】
また、アンテナ21の軸線21Aと方向線Xとは、ほぼ平行に配置されていたが、これに限らず、図13(A)および図13(B)に示されるように、軸線21Aおよび方向線Xがなす角度Aが15°以内であれば、アンテナ21の軸線21Aが金属ベルトに干渉するというような不具合が生じず、良好に外部無線情報を受信できる。
同様に、駆動コイル33の軸線33Aと方向線Xとは、ほぼ平行に配置されていたが、これに限らず軸線33Aおよび方向線Xがなす角度Bが15°以内であれば、駆動コイル33の軸線33Aが金属ベルトに干渉するというような不具合が生じず、駆動コイル33で良好に外部磁界を検出できる。
この時、軸線21Aおよび軸線33Aは、図13(A)に示されるように方向線Xに対して対称な方向に角度を有するものや、図13(B)のように方向線Xに対してそれぞれ角度A、Bを有し、かつ軸線21A,33Aが互いにほぼ平行に配置されているものなど、様々な配置を採用できる。
なお、軸線21A,33Aの配置は、前記実施形態の図6や、前述の図13(A)および図13(B)に示されるものに限定されるものではなく、本発明の趣旨に沿うものであれば、これら以外の配置でもよい。例えば、図6において、軸線21A,33Aは文字板74の12時と6時とを結ぶ線、つまりバンド712の中央位置を結ぶ方向にほぼ平行に配置されていてもよい。また、図13(A)および図13(B)においても、例えば軸線21A,33Aが図示された向きとは逆に、文字板74の12時と6時とを結ぶ線に対して対称の位置に配置されていてもよい。つまり、例えば図13(A)であれば、アンテナ21の軸線21Aおよび駆動コイル33の軸線33Aが3時方向に傾斜するように配置され、これらと方向線Xがなす角度A,Bがそれぞれ所定の角度以内となるように配置されていたり、あるいは、軸線21A,33Aがなす角度Cが所定角度以内となるように配置されていてもよい。
また、軸線21Aと方向線Xとがなす角度A、または軸線33Aと方向線Xとがなす角度Bは、15°以内に限られず、15°より大きな角度であっても、革ベルトを使用する場合などでは不具合が生じず良好に外部磁界の検出および外部無線情報の受信を行うことができるので、本発明の目的を達成できる。
【0064】
駆動コイル33の軸線33Aとアンテナ21の軸線21Aとは、電波時計1の側面視で同一線上に配置されていたが、これに限らず例えば図14(A)に示されるように、側面視でほぼ平行に配置されていれば、本発明の目的を達成できる。この際、軸線33A,21Aは側面視において文字板74と交差する角度D、Eが15°以内であれば、電波時計1の厚み方向両側に配置された裏蓋73やその他の部材が磁性材料であっても、軸線33A,21Aに対する磁性材料の干渉を最小限に抑制でき、駆動コイル33が良好に外部磁界を検出でき、またアンテナ21が良好に外部無線情報を受信できる。
なお、軸線33A,21Aが文字板74となす角度D、Eは、15°以内に限られず、15°より大きな角度であっても、電波時計1の主要な構成部品を非磁性材料で構成すれば、駆動コイル33の外部磁界検出およびアンテナ21の外部無線情報の受信を良好に行うことができるので、本発明の目的を達成できる。
また、図14(B)に示されるように、電波時計1の側面視において、軸線21Aおよび軸線33Aがなす角度Fが30°以内であれば、駆動コイル33でアンテナ21周囲の外部磁界良好に検出できる。
要するに、駆動コイル33は、電波時計1の側面視において、アンテナ21による外部無線情報の受信動作に際して影響を及ぼす方向の外部磁界を良好に検出できる方向に配置されていればよい。
また、図15に示されるように、前記実施形態では軸線21Aおよび軸線33Aは側面視において同一線上に配置されており、軸線21Aと軸線33Aとの距離mは、0であったが、これに限らず例えば図16に示されるように、アンテナ21のコイルの巻数と、駆動コイル33のコイルの巻数が異なる場合など、電波時計1の側面視において、軸線21Aおよび軸線33Aとが平行に配置され、かつ距離mを有して配置されていてもよい。
【0065】
外部無線情報受信ユニット2は、駆動コイル33からの外部磁界検出信号が出力されると受信動作禁止手段56によって受信回路22の受信動作を禁止し、また外部磁界非検出信号が出力されると受信動作再開手段57によって受信動作を再開するように制御されていたが、これに限らず、例えば外部磁界検出信号が出力されている間は、受信回路で外部無線情報を受信しても駆動制御手段がその情報を無効化する処理を行ったり、ステッピングモータを停止させるなどの制御を行ってもよい。要するに、駆動コイルによって検出した(あるいは検出しなかった)外部磁界の検出信号の処理方法や検出信号に応じた電子機器の制御は、電子機器の仕様や用途などを勘案して適宜設定してよい。
【0066】
本発明は計時装置に限られず、ステッピングモータ32を備え、外部無線情報を受信する電子機器であればよい。携帯ラジオやオルゴール、携帯電話など種々の電子機器に適用できる。例えば、気圧、ガス濃度、電圧、電流などの物理特性の測定結果が無線情報で送信され、その無線情報を受信する電子機器がステッピングモータにより指針を駆動して測定値をアナログ表示するなどでもよい。
また、外部無線情報は長波標準電波による時刻情報に限られない。例えば、FMやGPSあるいはブルーツースや非接触ICカードでの無線情報でもよく、ニュースや天気予報など外部無線情報の内容も限定されない。ちなみに、電波の種類によって、アンテナ21や受信回路22の構成などは適宜変更されるのは言うまでもない。
受信された外部無線情報は、例えば、天気予報であれば、予め設けられた晴れ、曇り、雨といった情報を指針で指し示すように、ステッピングモータ32による指針駆動によって表示されてもよく、また、ニュースや株価情報などは液晶表示装置などの電子表示装置によって表示されてもよい。
【0067】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0068】
【発明の効果】
このような本発明によれば、駆動コイルとアンテナとがほぼ平行に配置されているので、アンテナの外部磁界による影響を駆動コイルによって良好に再現でき、外部磁界をより一層正確に検出して時刻を正確に修正できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子機器にかかる本実施形態のブロック図。
【図2】長波標準電波としての時刻情報のタイムコードフォーマットを示す図。
【図3】前記タイムコードフォーマットの信号の種類を示す図。
【図4】前記実施形態における受信回路を示す図。
【図5】前記実施形態における運針部、中央制御部、モータ駆動回路を示す図。
【図6】前記実施形態における駆動コイルおよびアンテナの配置を示す平面図。
【図7】図6の側断面図。
【図8】前記実施形態における検出回路を示す図。
【図9】(A)駆動制御回路から出力される制御信号のタイミングチャートを示す図。(B)外部磁界検出に対する受信制御信号のタイミングチャートを示す図。
【図10】前記第一実施形態における制御回路の働きを示すフローチャート。
【図11】前記第一実施形態における受信制御手段を示す図。
【図12】前記第実施形態における時刻情報の受信による時刻修正のフローチャートを示す図。
【図13】本発明の駆動コイルおよびアンテナの平面視における配置を示す図。
【図14】本発明の駆動コイルおよびアンテナの側面視における配置を示す図。
【図15】本発明の駆動コイルおよびアンテナの側面視における別の配置を示す図。
【図16】本発明の駆動コイルおよびアンテナの側面視におけるさらに別の配置を示す図。
【符号の説明】
1…電波時計(時計、電子機器)、2…外部無線情報受信ユニット、3…ステッピングモータユニット、21…アンテナ、22…受信回路(受信手段)、32…ステッピングモータ、33…駆動コイル、47…中央制御部(駆動制御手段)、55…受信制御手段、61…電源(駆動電源)74…文字板。
Claims (10)
- ステッピングモータユニットと、外部無線情報を受信する外部無線情報受信ユニットとを備えた電子機器であって、
前記ステッピングモータユニットは、駆動コイルを有するステッピングモータと、前記ステッピングモータの駆動を制御する駆動制御手段と、前記駆動コイルの誘起電圧によって外部に存在する外部磁界を検出する外部磁界検出手段とを備え、
前記外部無線情報受信ユニットは、前記外部無線情報を受けるアンテナと、前記アンテナから受けた前記外部無線情報を処理する受信手段とを備え、
前記駆動コイルの軸線と前記アンテナの軸線とは、ほぼ平行に配置されていることを特徴とする電子機器。 - ステッピングモータユニットと、外部無線情報を受信する外部無線情報受信ユニットとを備えた電子機器であって、
前記ステッピングモータユニットは、駆動コイルを有するステッピングモータと、前記ステッピングモータの駆動を制御する駆動制御手段と、前記駆動コイルの誘起電圧によって外部に存在する外部磁界を検出する外部磁界検出手段とを備え、
前記外部無線情報受信ユニットは、前記外部無線情報を受けるアンテナと、前記アンテナから受けた前記外部無線情報を処理する受信手段とを備え、
前記駆動コイルの軸線と前記アンテナの軸線とは、両軸線のなす角度が所定角度以内となるように配置されていることを特徴とする電子機器。 - 請求項1または請求項2に記載の電子機器において、前記外部磁界検出手段は、外部磁界の検出に応じて外部磁界検出信号を出力し、外部磁界を検出しない場合には外部磁界非検出信号を出力するように構成され、
前記ステッピングモータユニットは、前記外部磁界検出手段から出力された前記外部磁界検出信号および前記外部磁界非検出信号の入力に応じて前記外部無線情報受信ユニットを制御する受信制御手段を有することを特徴とする電子機器。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子機器において、
前記アンテナは、ループアンテナであることを特徴とする電子機器。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器において、
前記駆動コイルの軸線および前記アンテナの軸線がなす角度は、当該電子機器における平面視で30°以内であることを特徴とする電子機器。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子機器において、
前記駆動コイルの軸線および前記アンテナの軸線がなす角度は、当該電子機器における側面視で30°以内であることを特徴とする電子機器。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子機器を用いた時計であって、前記ステッピングモータで駆動される指針を備え、前記駆動制御手段は、標準時刻が重畳された外部無線情報にしたがって前記ステッピングモータを駆動し、前記指針の表示時刻を修正することを特徴とする時計。
- 請求項7に記載の時計において、12時間式の文字板を備え、前記駆動コイルの軸線および前記アンテナの軸線は、前記文字板の3時と9時とを結ぶ方向に対してそれぞれ15°以内であることを特徴とする時計。
- 請求項7または請求項8のいずれかに記載の時計において、当該時計の駆動電源と、前記ステッピングモータの駆動力を前記指針に伝達する輪列とを備え、
前記駆動コイルおよび前記アンテナは、前記駆動電源および前記輪列を挟んで互いに反対側に配置されていることを特徴とする時計。 - 請求項7から請求項9のいずれかに記載の時計において、当該時計の駆動電源を備え、前記駆動コイルおよび前記アンテナの軸線方向延長線には、前記駆動電源が配置されていないことを特徴とする時計。
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JP2003096332A JP2004301736A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 電子機器および時計 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012205321A (ja) * | 2011-03-23 | 2012-10-22 | Seiko Clock Inc | ステップモータ駆動装置及びステップモータ駆動方法 |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003096332A patent/JP2004301736A/ja not_active Withdrawn
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