図1は、本発明の第1の実施形態に係る電波腕時計100を示す平面図である。同図には、電波腕時計100の外装である胴1、胴1内に配置された文字板2と時刻を示す指針である時針3、分針4及び秒針5が同軸上に配置されて示されている。文字板2は、衛星から到達する電波が透過し、文字板2の背後に配置されたパッチアンテナで受信されるよう、非磁性かつ非導電性の材料、例えば、合成樹脂で形成される。また、時針3、分針4及び秒針5とは別の軸上に、電波腕時計100の状態を表示する指針である状態表示針6が配置されており、文字板2上には、電波腕時計100の種々の状態を示す目盛である状態表示目盛7が記されている。また、胴1の3時側の側面には使用者が種々の操作を行うための竜頭8、ボタン9が配置されている。胴1の12時側及び6時側の側面からは、バンドを固定するためのバンド固定部10が伸びている。
なお、同図に示した電波腕時計100のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴1を丸型でなく角型にしてもよいし、竜頭8やボタン9の有無、数、配置は任意である。また、本実施形態では、指針を時針3、分針4、秒針5及び状態表示針の4本としているが、これに限定されず、秒針5を省略したり別軸で設けたり、あるいは秒針5を状態表示針6を兼ねるものとしてもよい。さらに、曜日、タイムゾーンやサマータイムの有無、電池の残量等、各種の表示を行う指針や、日付表示等を追加したりしてもよく、状態表示針6がこれらの表示を兼ねるものとしても良い。
なお、本明細書では、電波腕時計という用語を、腕時計であって、かつ、外部からの電波を受信し、当該電波に含まれる時刻に関する情報に基づき、腕時計内部に保持している時刻の情報である内部時刻を修正する機能を有している腕時計を指すものとして用いる。
図2は、電波腕時計100の内部に配置された部材の位置関係を示す図である。同図では、参考のため、胴をはじめとする電波腕時計100の外装を二点鎖線で示した。
符号11で示されているのは、GPS衛星からの電波を受信するパッチアンテナであり、その受信面が風防側を向くように配置される。パッチアンテナの横には、電池12が配置される。本実施形態では、電池12は充電可能な二次電池であり、ボタン型のリチウムイオン二次電池を用いている。そして、文字板に形成され、あるいは文字板の背後に設置された太陽電池により発電された電力が蓄積されるようになっている。
ところで、一般に長波帯を用いて地上局から送信される標準電波を用いて時刻修正を行う電波時計では、フェライトあるいはアモルファス合金等の磁芯にコイルを巻いた形式のいわゆるバーアンテナが用いられることが多い。これに対し、本実施形態に係る電波腕時計100では、はるかに周波数の高いUHF帯を用いてGPS衛星から送信される信号を受信する。そのため、UHF帯の信号の受信に適した小型のアンテナとして、パッチアンテナ11を用いている。
また、本実施形態では、電波腕時計100は太陽光発電による電力により駆動し、蓄電可能な二次電池を備えたものとして示したが、これに換え、一次電池を使用するものとしてもよい。その場合には、太陽電池は不要である。また、電池12の形状はボタン型に限定されず、任意である。さらに、二次電池としてリチウムイオン二次電池以外のもの、例えば、リチウムイオンキャパシタやニッケル水素畜電池を用いてもよい。
符号13は、電波腕時計100全体の動作を制御するとともに、内部回路により時刻を計時するコントローラである。またパッチアンテナ11及び電池12を挟んだ反対側には、パッチアンテナ11により受信された信号をベースバンド信号へと変換する高周波回路14及び、ベースバンド信号より情報を抽出するデコード回路15の位置が示されている。
なお、ここで示したコントローラ13、高周波回路14及びデコード回路15の配置は一例である。特に、本実施形態では高周波回路14とデコード回路15は、回路基板の両面の相対する位置に配置されており、両者をスルーホールで接続することにより、両者を結ぶ配線経路を短くし、寄生容量やインピーダンスを小さくしてノイズの影響を低減している。しかしながら、これに限定されず、高周波回路14とデコード回路15を回路基板の同一の面に配置してもよいし、高周波回路14とデコード回路15の機能を統合したワンチップの集積回路を用いてもよい。
図3は、本実施形態に係る電波腕時計100の機能ブロック図である。パッチアンテナ11により受信されたGPS衛星からの電波は、高周波回路14によりベースバンド信号に変換され、デコード回路15により時刻に関する情報であるTOWや必要に応じてWNWeek Number)、あるいは現在の閏秒に関する情報である現在の閏秒ΔtLSが抽出され、コントローラ13へと受け渡される。コントローラ13は、電波腕時計100全体の動作を制御するマイクロコンピュータであると同時に、その内部に時計回路を有しており、かかる時計回路が保持する時刻である、内部時刻を計時する機能を有している。時計回路の精度は、用いる水晶振動子の精度や温度等の使用環境にも依存するが、月差±15秒程度である。もちろん、この精度は、必要に応じて任意に設定して良い。また、時計回路により保持される内部時刻は、受信された時刻に関する情報及び現在の閏秒に関する情報に基づいて適宜修正されることにより、正確に保たれる。
コントローラ13には、使用者等による外部からの操作を受け付ける入力手段(竜頭8、ボタン9)からの信号が入力される。また、コントローラ13からは、内部時刻に基づいてモータ17を駆動する信号が出力され、指針(時針3、分針4及び秒針5)を駆動し、時刻が表示される。さらに、電波腕時計100の状態に応じた信号がモータ17に出力され、状態表示針6が駆動される。なお、指針を駆動するモータ16は1つに限定されず、独立して動作させたい指針の数に応じて複数のモータを設けてよい。
また、太陽電池18による発電により得られた電力は、電池12に蓄積される。そして、電池12からは、高周波回路14、デコード回路15及びコントローラ13に電力が供給される。スイッチ19は、高周波回路14及びデコード回路15への電力供給のオン/オフを切り替えるスイッチであり、コントローラ13により制御される。高周波数で動作する高周波回路14とデコード回路15はその消費電力が大きいため、コントローラ13は、衛星からの電波を受信する時のみスイッチ19をオンとして高周波回路14及びデコード回路15を動作させ、それ以外の時はスイッチ19をオフとして、消費電力を低減する。
なお、太陽電池18からは、その発電量を示す情報がコントローラ13に入力されるようにされているが、これは、必要無ければ省略してもよい。
電波の受信は、竜頭8やボタン9等の入力手段による使用者からの要求がなされた時や、あらかじめ定められた時刻となったとき、前回の時刻修正があった時刻からの経過時間、あるいは太陽電池18の発電量やその他の電波腕時計100の周囲の環境を示す情報等に基づいて行うようにして良い。受信時の動作については、その詳細を後述する。
そして、符号20は、音を発生する音発生手段、または振動を発生する振動発生手段であり、本実施形態では、音発生手段であるブザーとなっている。音発生手段または振動発生手段にはどのようなものを用いてもよく、例えば、音発生手段としては圧電ブザーを、振動発生手段としては偏心モータを用いて良い。あるいは、音発生手段と振動発生手段の双方を備えるようにしても良い。
続いて、本実施形態に係る電波腕時計が受信するGPS衛星からの信号について説明する。GPS衛星から送信される信号は、L1帯と呼ばれる1575.42MHzをキャリア周波数としており、1.023MHzの周期でBPSK(二位相偏移変調)により変調された各GPS衛星固有のC/Aコードにより符号化され、いわゆるCDMA(Code Division Multiple Access;符号分割多元接続)の手法により多重化されている。C/Aコード自体は1023ビット長であり、信号に乗せられるメッセージ・データは20個のC/Aコード毎に変化する。すなわち、1ビットの情報は、20msの信号として送信される。
GPS衛星から送信される信号は、1500ビット、すなわち30秒を単位とするフレームに区切られ、さらに、フレームは5つのサブフレームに分けられる。図4は、GPS衛星から送信される信号のサブフレームの構成を示す概略図である。各サブフレームは、300ビットの情報を含む6秒間の信号であり、順番に1から5のサブフレーム番号が付けられている。GPS衛星は、サブフレーム1から順次送信を行い、サブフレーム5の送信を終えると、再度サブフレーム1の送信に戻り、以降同様に繰り返す。
各サブフレームの先頭では、TLMとして示すテレメトリワードが送信される。TLMは、各サブフレームの先頭を示すコードと、地上管制局の情報を含んでいる。続いて、HOWとして示すハンドオーバワードが送信させる。HOWには、Zカウントとも呼ばれる現在の時刻に関する情報であるTOW(Time Of Week)が含まれている。これは、GPS時刻の日曜日の午前0時からカウントした1.5秒単位の時間であり、次のサブフレームが開始される時刻を示している。
HOWに続く情報は、各サブフレームごとに異なっており、サブフレーム1には、衛星時計の補正データが含まれている。図5は、サブフレーム1の構成を示す図である。サブフレーム1には、HOWに続いてWN(Week Number)として示す週番号が含まれている。WNは、1980年1月6日を0週としてカウントした現在の週を示す数値である。したがって、WN及びTOWを受信することにより、GPS時刻における正確な日時が得られる。なお、WNは一度受信に成功すれば、電波腕時計が内部時刻を何らかの理由、例えば、電池切れ等により失わない限り、内部時刻の計時により正しい値を知ることができるため、再度の受信は必要ない。なお、WNは10ビットであるため、1024週を経過すると再び0に戻る。また、GPS衛星からの信号には、この他にも種々の情報が含まれるが、本発明に直接関係の無い情報については、図に示すにとどめ、その説明は省略する。
再び図4に戻ると、サブフレーム2及びサブフレーム3にはHOWに続いてエフェメリスと呼ばれる各衛星の軌道情報が含まれているが、その説明は本明細書では割愛する。
さらに、サブフレーム4及び5には、HOWに続いてアルマナックと呼ばれる全GPS衛星の概略軌道情報が含まれる。サブフレーム4及び5に収容される情報は、その情報量が多いため、ページと呼ばれる単位に分割されて送信される。そして、サブフレーム4及び5により送信されるデータはそれぞれページ1〜25に分割されており、フレームごとに異なるページの内容が順番に送信される。したがって、全てのページの内容を送信するには25フレーム、すなわち、12.5分を要することになる。
図6は、サブフレーム4のページ18の構成を示す図である。同図に示すように、サブフレーム4のページ18の241ビット目には、現在の閏秒に関する情報である現在の閏秒ΔtLSが含まれる。ΔtLSは、UTCとGPS時刻とのずれを秒数で示したものであり、GPS時刻にΔtLSを加算することによりUTCが求められる。
以上の説明より明らかなように、TOWは全てのサブフレームに含まれているために6秒毎に、WNはサブフレーム1に含まれているために30秒毎に取得可能であるのに対し、ΔtLSは25フレームに一度しか送信されないため、12.5分毎にしか取得することができない。
なお、ここで閏秒について簡単に説明しておくと、閏秒は、地球の自転周期のずれ等を補正するためのものであり、天文学的な観測結果に基づき、必要に応じて毎月1日の午前0時に追加あるいは削除されうるものである。しかしながら、これまでのところ、不定期に1月1日午前0時又は7月1日午前0時のいずれか若しくはその両方における追加のみがなされている。GPS衛星からの信号に含まれるΔtLSは、かかる閏秒の追加により累積されたGPS時刻とUTCとのずれを示すものであり、UTCに閏秒の追加が行われた際に更新されるものと思われる。
再び図1に戻ると、状態表示目盛7には、状態表示針6が指し示す種々の電波腕時計100の状態が記されており、本実施形態では、それらは、受信動作表示部21、受信環境表示部22及び、時刻精度表示部23に分けられる。
受信動作表示部21は、電波腕時計100が現在受信に関するどのような動作中であるかを示す表示であり、「R」及び「W」の表示からなる。「R」は電波腕時計100が現在電波を受信中、すなわち、高周波回路及びデコーダ回路を動作させていることを示している。一方、「W」は、次回の現在の閏秒に関する情報である、ΔtLSを受信することを予告する表示である。前述したとおり、ΔtLSは12.5分に一度しか送信されない。そのため、ΔtLSが送信されるまでの長時間にわたり、高周波回路及びデコーダ回路に電力を供給し続けることは、電力消費の無駄となる。そこで、コントローラは、ΔtLSを受信しようとする際には、次回ΔtLSが送信される直前に高周波回路及びデコーダ回路を動作させ、それまでの時間においては、高周波回路及びデコーダ回路に電力を供給をせず、消費電力を削減する。「W」は、かかる状態、すなわち、現時点では高周波回路及びデコーダ回路は動作していないが、次回のΔtLSの送信時に高周波回路及びデコーダ回路が動作させられることを示している。換言すれば、当該表示は、現在の閏秒に関する情報の次回の送信時に、前記現在の閏秒に関する情報の受信を試みることを示す、閏秒受信予告情報を表示するものである。また、かかる受信予告情報、すなわち、受信動作表示部21の「W」を状態表示針6が指し示している際には、状態表示針6は、閏秒受信予告情報表示手段として機能していることになる。なお、ここで、「次回」とは、現時点からみて、ΔtLSが送信される最も近いタイミングのことを指している。
受信環境表示部22は、電波腕時計100がおかれている環境が衛星からの電波の受信にどれほど適しているかを示す表示である。本実施形態では、太陽電池からの発電量(又は出力電圧)に基づいて、受信環境を「1」、「2」及び「3」の3段階で示す。これは、太陽電池に強い光があたり、発電量が高い状況は、日中の屋外や窓際など、直接衛星が見通せる環境にある可能性が高いことに基づいている。なお、これは一例であり、この他にも、光センサや紫外線センサなどの受光手段を設け、その出力に基づいて受信環境を示しても、一時的に高周波回路を動作させ、任意のGPS衛星を示すC/Aコードと受信電波との相関をとり、得られた相関値に基づいて受信環境を表示するなどしてもよい。また、受信環境を示す表示の具体的な内容や、段階を変更、例えば、2段階や4段階以上の複数段階表示としたり、連続的な表示としてもよい。
時刻精度表示部23は、電波腕時計100の内部時刻の精度に関する情報を示す表示である。かかる表示には、種々の形態が考えられるが、本実施形態では、現在の時刻に関する情報の信頼性及び現在の閏秒に関する情報の信頼性を直接示す表示を採用している。そして、現在の時刻に関する情報とは、パッチアンテナにより受信されたTOWであり、現在の閏秒に関する情報とは、同様に受信されたΔtLSを意味することになる。時刻精度表示部23において、「PFT」とあるのは、TOW及びΔtLSの双方に信頼性がある状態を示している。「TW」は、TOWの信頼性が無い状態を、「LS」は、ΔtLSの信頼性が無い状態を、そして、「TL」はTOW及びΔtLSの双方の信頼性が無い状態を意味している。なお、ここで示した具体的な表示の内容は一例であり、各状態をどのように表現するかは任意である。また、ここでは、「PFT」は”Perfect”を、「LS」は”Leap Second”をそれぞれ略して示したものである。
ここで、現在の時刻に関する情報の信頼性及び現在の閏秒に関する情報の信頼性について考察する。まず、現在の時刻に関する情報の信頼性、すなわち、TOWの信頼性については、最後にTOWを受信した時点からの経過時間に依存する。本実施形態の電波腕時計100の時計回路は、月差±15秒程度の精度であるから、最後にTOWを受信した時点からの経過時間が48時間(すなわち、2日)を超えると、現在の正確な時刻と内部時刻とのずれが1秒を超える可能性が生じる。そこで、一例として、最後にTOWを受信した時点からの経過時間が48時間以内であれば現在の時刻に関する情報の信頼性があると判定し、それを超えると現在の時刻に関する情報の信頼性がないと判定することが考えられる。もちろん、判定に用いる経過時間をどのようにするかは、時計回路の精度や正確な時刻とのずれをどの程度許容するかに依存するため、任意に設定して良い。あるいは、日付が変わると、すなわち、午前零時を過ぎると一律に、現在の時刻に関する情報の信頼性がないと判定するようにしてもよい。いずれにせよ、現在の時刻に関する情報の信頼性は、最後に現在の時刻に関する情報を受信した時点からの経過時間に基づくか、若しくは、現在の時刻に関する情報の受信後、あらかじめ定められた時刻を経過するか否かに基づいて定めてよい。
また、現在の閏秒に関する情報の信頼性について、前述の通り、閏秒は毎月1日の午前0時に追加あるいは削除される可能性がある。従って、現在の閏秒に関する情報、すなわち、ΔtLSの信頼性は、ΔtLSを受信した時点より後の閏秒が追加あるいは削除されうる時点を経過しているか否かに基づいて定めるとよい。具体的には、ΔtLSを受信してから、翌月の1日午前0時を経過するまでは現在の閏秒に関する情報の信頼性があるとし、経過後は現在の閏秒に関する情報の信頼性がないとする。もしくは、これまでのところ、閏秒の追加が1月1日又は7月1日の午前0時にしかなされていないことを考慮すると、ΔtLSを受信してから、次の1月1日又は7月1日の午前0時を経過するまでは現在の閏秒に関する情報の信頼性があるとすることも考えられる。この場合には、ΔtLSを受信した時点より後の閏秒が追加あるいは削除されうる時点を1月1日又は7月1日の午前0時であるとみなしていることになる。
なお、これまでのところ、概ね年に1回ほどの頻度で閏秒の追加が行われていることに鑑みて、現在の閏秒に関する情報の信頼性を、最後に現在の閏秒に関する情報を受信した時点から所定の時間、例えば、1年を経過するか否かによって定めることも考えられる。
また、電波腕時計100が、長時間充電されることなく稼働するなどして、電源電圧が下がり、いわゆるパワーオフの状態となった場合や、何らかの原因により電波腕時計100の初期化が行われた場合から再び起動した場合には、TOW、ΔtLSに加え、WNについても正しい値ではないと考えられる。このような場合には、現在の時刻に関する情報の信頼性及び現在の閏秒に関する情報の信頼性の双方が無いとすることはもちろん、現在の日付に関する情報についても信頼性が無いと考えられる。本実施形態に係る電波腕時計100では、現在の日付に関する情報についての信頼性の有無は特に表示を行っていないが、これを表示するようにしても良い。
なお、状態表示針6は、以上の状態表示目盛7に含まれる各表示を指し示す指針であるため、受信動作表示部21を指し示している際には、電波腕時計100が現在受信に関するどのような動作中であるかを示す受信動作表示手段として、受信環境表示部22を指し示している際には、電波腕時計100がおかれている環境が衛星からの電波の受信にどれほど適しているかを示す受信環境表示手段として、また、時刻精度表示部23を指し示している際には、電波腕時計100の内部時刻の精度に関する情報を示す時刻精度表示手段として機能することになる。
また、受信環境表示部22及び時刻精度表示部23は、本実施形態において必須のものではなく、省略しても差し支えない。
続いて、本実施形態に係る電波腕時計の受信の際の動作を説明する。
図7乃至図9は、本実施形態に係る電波腕時計の、受信の際の動作を示すフローチャートである。この動作は、前述したように、例えば、ボタン等による使用者からの要求がなされた時や、あらかじめ定められた時刻となったとき、前回の時刻修正があった時刻からの経過時間、あるいは太陽電池18の発電量やその他の電波腕時計100の周囲の環境を示す情報等に基づいて実行するようにして良い。
まず、コントローラは、ステップS1で、TOWに信頼性があるか否かを判定する。TOWに信頼性がある場合には、すぐにステップS6へと進み、信頼性がない場合にはTOWの受信をすべく、ステップS2へと進む。ステップS2では、状態表示針を動作状態表示部の「R」を表示するよう動作させる。次いでステップS3で、コントローラは、高周波回路及びデコード回路に給電し、TOWの受信を試みる。ステップS4では、TOWの受信に成功したか否かを判定し、受信に成功していれば内部時刻を正しい値に修正し(ステップS5)ステップS6へと進み、受信に失敗していれば図8のステップS22へと進む。
なお、現在の日付に関する情報についての信頼性、すなわち、WNの信頼性が無い場合には、ステップS3におけるTOWの受信時に、同時にWNを受信するよう試みても良い。あるいは、WNを単独で受信するようにしても良い。電波腕時計が時刻表示のみを行う場合には、必ずしもWNの取得は必須ではないが、ΔtLSの信頼性を正確に管理する上では、現在の日付を得る必要があるからである。もちろん、電波腕時計が日付表示をするもので有ればWNを取得することが望ましい。しかしながら、この場合においてもWNの取得は必須ではなく、例えば、使用者が現在の日付を設定するようにしてもよい。
ここで、最初にTOWに信頼性があるか否かを調べ、なければTOWの受信をするようにしているのは、ΔtLSが送信されるタイミングを正確に予測するため、電波腕時計の内部時刻を正確な値に校正しておく必要があるからである。
ステップS6では、ΔtLSに信頼性があるか否かを判定する。ΔtLSに信頼性がある場合には、ΔtLSを受信する必要はないので図9のステップS22へと進む。ΔtLSに信頼性がない場合には、ステップS7へと進み、送信待ち時間twを算出する。送信待ち時間twは、現在時刻から次のΔtLSの送信がされるまでの時間である。先に説明したとおり、ΔtLSはサブフレーム4、ページ18の241ビット目から送信され、各フレームは30秒で、すべてのページは12.5分で一巡するように繰り返し送信されるため、GPS時刻が正確に分かっている、すなわち、受信したTOWの信頼性がある状態では、ΔtLSが送信される最も早いタイミングは容易に予測される。
そして、ステップS8で、送信待ち時間が最大待ち時間tmaxより大きいか否か判定する。大きい場合は、図9のステップS22へと進み、そうでなければステップS9へと進む。この判定は、送信待ち時間twが長すぎる場合には、ΔtLSの受信を取りやめるというものである。換言すれば、現時点から現在の閏秒に関する情報の次回の送信時までの時間である送信待ち時間twに応じて、前記現在の閏秒に関する情報の受信を制限するものである。その閾値である最大待ち時間tmaxは、例えば、6分としてよい。もちろん、最大待ち時間tmaxは任意でありどのように定めてもよく、また、使用者が最大待ち時間tmaxを設定できるようにすることも好ましい。なお、かかる判定は必須のものではなく、不要であればステップS8は省略しても差し支えない。ステップS9では、状態表示針を動作状態表示部の「W」を表示するよう動作させ、次回の現在の閏秒に関する情報である、ΔtLSを受信することを予告する。
次いで、ステップS10へと進み、ΔtLSの受信のタイミングが到来したか否かを判定する。ΔtLSの受信のタイミングは、高周波回路及びデコード回路の起動時間や、衛星からの送信波と同調を取る時間、内部時刻の誤差等を考慮し、内部時刻より予測されるΔtLSの送信のタイミングより若干早め、例えば、1〜2秒程度早めにするとよい。このタイミングは、ΔtLSの受信に支障のない限り内部時刻より予測されるΔtLSの送信のタイミングに近い方が、高周波回路及びデコード回路を動作させる時間が短くなり、消費電力を節減する観点からは望ましい。
ΔtLSの受信のタイミングが到来していない場合は、ステップS11へと進み、現時点での送信待ち時間twに関する情報を使用者に通知する。この通知は種々の方法を用いて良く、その具体的な方法については後述する。
ステップS12では、使用者による時刻表示指示がされているか否かを判定する。これは、電波腕時計が現時点での送信待ち時間twに関する情報を使用者に通知している状態では、後述する例で示すように、現在時刻が完全に表示されない場合があるため、そのような場合に、使用者が正確な現在時刻を知りたいときに、一時的に現在時刻の表示をさせる指示である。この時刻表示指示は、どのような手段によってなされても良いが、ここでは、ボタンを短押し(例えば、ボタンを1秒未満の時間で押下する状態)することにより、時刻表示指示がなされることとする。
時刻表示指示が無ければ、ステップS13へと進み、使用者による中断指示がされているか否かを判定する。使用者による中断指示もまた、どのような手段によってもよいが、例えば、ボタンを操作することにより受け付けられる。ここでは、特に、ボタンを長押し(例えば、ボタンを1秒以上押し続ける状態)することにより、中断指示がなされることとする。これにより、ボタンの短押しにより指示される時刻表示指示と区別される。かかる中断指示は、例えば、先のステップS11により示された送信待ち時間twが長い、あるいは、ΔtLSの受信のタイミングで電波環境が悪いことが予想される等の場合になされうる。使用者による中断指示がなされている場合には、図9のステップS22へと進みΔtLSの受信を取りやめる。
なお、本実施形態では、時刻表示指示の有無の判定を行った後に中断指示の有無を判定するようにしている。これは、時刻表示指示及び中断指示が同一のボタンを操作することによりなされ、かつ、時刻表示指示が短押しによる指示であり、中断指示が長押しによる指示であることから、時刻表示指示が中断指示より短い時間で検知されることによる。もちろん、時刻表示指示及び中断指示の指示方法は同一のボタンの短押し及び長押しによる指示に限定されず、他にも、異なるボタンの押下により両者を区別して指示する等してもよい。この場合は、時刻表示指示の有無の判定と、中断指示の有無の判定を行う順番を入れ替えても良い。
ステップS13において中断指示が無ければステップS10へと戻り、ΔtLSが送信されるタイミングが到来するまで繰り返す。一方、ステップS12において時刻表示指示があれば、さらにステップS14へと進み、ΔtLSが送信されるタイミングまでの残り時間が所定時間、例えば、1分以下であるか否かを判定する。これは、ΔtLSが送信されるタイミングまでの残り時間が少ない場合には、時刻表示をするための指針の駆動中にΔtLSが送信されるタイミングが到来する可能性があるため、現在時刻の表示を禁止する趣旨である。残り時間に余裕が無ければステップS10へと戻り、残り時間に余裕がある場合にはステップS15へと進み、指針を駆動し、現在時刻の表示を行う。
その後ステップS16へと進み、現在時刻の表示を行ってから一定時間、例えば、30秒が経過したか否かを判定する。既に一定時間が経過しているならば、現在時刻の表示を終了し、再び送信待ち時間twに関する情報を使用者に通知すべく、ステップS10へと戻る。
一定時間がいまだ経過していない場合には、続くステップS17において、使用者による復帰指示がされているか否かを判定する。この復帰指示とは、現在時刻を表示する状態から、送信待ち時間twに関する情報を通知する状態へと復帰するよう指示するものであり、例えば、使用者が現在時刻の確認を終えた後に当該指示をすることが考えられる。この復帰指示もまた、どのような手段によってなされても良いが、ここでは、ボタンの短押しによるものとする。復帰指示がある場合には、ステップS10へと戻り送信待ち時間twに関する情報を使用者に通知し、復帰支持が無い場合には、ステップS15へと戻り現在時刻の表示を継続する。
なお、使用者による中断指示を受け付けるか否か、あるいは、時刻表示指示を受け付けるか否かは任意であり、不要であればこのステップS12乃至S17を省略してもよい。その場合には、ステップS11による送信待ち時間twに関する情報の通知後、直ちにステップS10へと戻ることになる。
ΔtLSの受信のタイミングが到来した場合には、ステップS10からステップS18へと進み、状態表示針を動作状態表示部の「R」を表示するよう動作させ、続くステップS19で、コントローラは高周波回路及びデコード回路に給電し、ΔtLSの受信を試みる。なお、この際に、6秒に一度送信されるTOWを併せて受信してもよい。その場合、受信するTOWは、ΔtLSと同じサブフレーム4のページ18中のHOWに含まれるものであってもよいし、サブフレーム4に続けて送信されるサブフレーム5に含まれるものであってもよい(図4参照)。
受信の試みが終了すると、ステップS20へと進み、ΔtLSの受信が成功したか否かを判定する。受信に成功していれば内部時刻を受信されたΔtLSを反映した正しい値に修正し(ステップS21)、受信に失敗していればステップS22へと進む。
ステップS22では、電波腕時計の表示を、通常の時刻を表示する状態へと復帰ざせる。本実施形態の場合、図1に示すように、時針3、分針4及び秒針5により内部時刻に基づく現在時刻を表示するとともに、状態表示針6は、TOWの信頼性及びΔtLSの信頼性に基づいて、時刻精度表示部23のいずれかの位置を表示する状態となる。なお、このとき、状態表示針6の中立位置がある場合には、かかる中立位置を示すようにしてもよい。あるいは、秒針5が状態表示針6の機能を兼ねている場合には、受信結果、すなわち、時刻精度表示部23のいずれかの位置を一定時間表示した後、現在時刻の秒を示すようにしてもよい。電波腕時計の表示が通常の時刻を表示する状態へと復帰すれば、受信の際の動作は終了である。
なお、図7乃至9に示したフローチャートは電波腕時計の制御の一例であり、これに限定されない。同様の機能を発現できる制御で有ればどのようなものを用いてもよい。
図10は、本実施形態に係る電波腕時計100が送信待ち時間twに関する情報を使用者に通知している例を示す図である。
本実施形態の電波腕時計100は、時針3が、分針4及び秒針5と独立して駆動されるものとする。そして、時針3を、送信待ち時間twに関する情報を使用者に通知する送信待ち時間通知手段として用いるものである。すなわち、同図に示すように、状態表示針6は、次回のΔtLSを受信することを予告するため、受信動作表示部21の「W」を指し示している。そして、時針3は、通常の時刻の時ではなく、送信待ち時間twを分単位で示している。例えば、6時位置であれば残りの送信待ち時間twが6分、3時位置であれば送信待ち時間twが3分といった具合である。時針3は本実施形態では逆回転、すなわち、反時計回りに駆動されることになる。また、時針3の駆動はいわゆるステップ運針により分単位で行ってもよいし、連続的に行ってもよい。図9は、送信待ち時間twが4分から3分になった時点での時針3の動きを示している。
なお、送信待ち時間twを示す指針は、時針3に限定されず、分針4や秒針5であってもよい。その場合、送信待ち時間twを示す指針が他の指針から独立して駆動できるものであるとよい。
また、コントローラは、送信待ち時間twに関する情報として、ΔtLSの受信のタイミングが近づいたことを音や振動を用いて使用者に通知する。本実施形態では、例えば、受信1分前になると、ブザー20(図3参照)よりアラーム音を発し、使用者にΔtLSの受信が近いことを通知する。これにより、使用者は、電波腕時計100を衛星からの受信に適した場所や姿勢に保つことができ、受信が成功する可能性が高められる。
なお、ここで、「送信待ち時間twに関する情報」とは、送信待ち時間twを使用者が認識する上で有用な情報であればよく、送信待ち時間twそのものでなくともよい。例えば、前述したように、送信待ち時間twを分単位に丸めたものであってもよいし、ΔtLSの受信のタイミングが近づいたこと、すなわち、送信待ち時間twがある値になったことであってもよい。
図11は、本実施形態に係る電波腕時計100が送信待ち時間twに関する情報を使用者に通知している別の例を示す図である。本例では、時針3に換え、秒針5により送信待ち時間twを分単位で示すようにしている。すなわち、秒針3が6時位置であれば残りの送信待ち時間twが6分、3時位置であれば送信待ち時間twが3分といった具合である。そして、本例では、分針4と秒針5は連動して動作する。
同図は、送信待ち時間twが4分から3分になった時点での秒針5及び分針4の動きを示している。秒針5は、送信待ち時間twが4分であること示す位置、すなわち、4時の位置から、順回転、すなわち、時計回りに、矢印Aで示すように早送りで駆動され、送信待ち時間twが3分であること示す位置、すなわち、3時の位置へと送られる。このときの秒針5の移動量は、通常の時刻表示では55秒分に相当する。そして、分針4は秒針5と連動しているため、矢印Bで示すように、分針4もまた通常の時刻表示では55秒分に相当する量だけ送られる。
このようにすると、送信待ち時間twすなわち現実の時間が1分経過する毎に、電波腕時計100の文字板2上では、分針4及び秒針5はほぼ1分に近い55秒に相当する量だけ送られていくことになる。そのため、かかる送信待ち時間twに関する情報の通知方法を用いれば、時針3及び分針4が指し示す時刻は、現実の時刻をほぼ正確に示すものとなる。
本例による送信待ち時間twに関する情報の表示にあたっては、秒針5を必ず順回転(時計まわり)に送るようにして、送信待ち時間twに対応する時表示の位置に移動させるようにすることが好ましい。このようにすると、通常の時刻表示を行っている状態から、送信待ち時間twに関する情報を表示する状態に遷移する際に、分針4及び秒針5は、表示上の時刻を進める方向に駆動されることになる。このとき、秒針5は一回転以上はしないため、分針4が指し示す時刻のずれは60秒未満で進んでいることになる。
そして、前述したとおり、ΔtLSの受信のタイミングが到来するまで、1分毎に分針4及び秒針5は55秒に相当する量だけ順回転で送られる。すなわち、分針4は、1分毎に5秒ずつ遅れていくことになる。ここで、ΔtLSの送信は12.5分に一回であるから、分針4の遅れは、最大で12回×5秒=60秒となる。なぜなら、13回目の時点では必ずΔtLSの受信のタイミングが到来していることになるため、状態表示針6は「R」位置を示し、分針3及び秒針4は通常の時刻表示となるからである。すなわち、ΔtLSの受信のタイミングが到来するまで、分針は最大で60秒遅れることになる。
以上の通り、分針3の表示する時刻は、送信待ち時間twに関する情報を表示する状態に遷移する際に60秒未満で進み、ΔtLSの受信のタイミングが到来するまでに最大60秒遅れるのであるから、その時刻表示の誤差は、±1分以内となる。
本例では、送信待ち時間twに関する情報を表示する際に、秒針5及び分針4が連動していても良いのであるから、時針3、分針4及び秒針5が全て連動している場合にも適用できる。そのため、独立して駆動する指針数が少なくて済み、モータの数が少なくてよいのでコスト面で有利である。
図12は、本実施形態に係る電波腕時計100が送信待ち時間twに関する情報を使用者に通知しているさらに別の例を示す図である。本例では、秒針5により待ち時間twを分単位で示すが、その表示方法が先の2例とは異なっている。なお、本例では、時針3、分針4及び秒針5の連動非連動は特に問わない。
本例では、秒針の複数秒運針により送信待ち時間twを使用者に通知している。ここで、複数秒運針とは、一般に、2秒運針や4秒運針などとして知られている、秒針の特殊な運針方法である。いわゆるステップ運針を行う秒針は、通常、1秒毎に1秒分の動作をする運針を行っているが、複数秒運針では、秒針は複数秒毎に、複数秒分の運針を行う。すなわち、n秒毎に運針を行うn秒運針では、秒針は、n秒毎に、文字盤上の位置がn秒分まとめて進むように動作させられることになる。
そして、ここでは、2秒運針であれば送信待ち時間twが2分であり、3秒運針であれば送信待ち時間twが3分であるといった具合に、n秒運針により送信待ち時間twがn分であることを示す。同図は、送信待ち時間twが2分の時点において、秒針5が2秒運針を行っている様子を示している。なお、各種の複数秒運針と、送信待ち時間twとの対応関係をどのように設定するかは任意である。
また、送信待ち時間twは最大で12.5分であるから、本例では、秒針5は最大で13秒運針がなされることになる。しかしながら、n秒運針のnが大きくなると一見して分かりづらくなるため、送信待ち時間twがある一定時間以上であれば同一量の複数秒運針を行うようにしてもよい。例えば、送信待ち時間twが5分より大きい場合には、6秒運針を行うことが考えられる。
さらに、本実施形態に係る電波腕時計が送信待ち時間twに関する情報を使用者に通知するさらに別の例として、音または振動を用いてもよい。すなわち、ブザー20(図4参照)を用い、送信待ち時間twが残り4分で有れば短いアラーム音を4回鳴らし、送信待ち時間twが残り3分で有れば短いアラーム音を3回鳴らすといった具合にアラーム音により送信待ち時間twを使用者に通知してよい。なお、アラーム音のパターンと、送信待ち時間twとの対応関係は任意である。また、アラーム音は必ずしも1分毎に鳴らさずとも良い。例えば、送信待ち時間twが、10分、5分、3分、2分、1分の時点でアラーム音を鳴らすようにしてもよい。もちろん、音に換え、振動発生手段を用いた振動により使用者に通知するようにしてもよく、音と振動の両方を用いても良い。
続いて、本発明の第2の実施形態を図13を用いて説明する。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る電波腕時計200の平面図である。本実施形態では、状態表示針は設けられておらず、代わりに、秒針5が状態表示針の機能を兼ねている。秒針5が秒を示す状態である時刻表示モードと、秒針5が電波腕時計200の各種状態を表示する状態表示モードとは、使用者が入力手段を操作することにより、例えば、ボタン9を操作することにより切り替えられるようになっている。
電波腕時計200の胴1の外周部には、状態表示目盛7が刻印や印刷等により記されている。状態表示目盛7が受信動作表示部21、受信環境表示部22及び時刻精度表示部23を有するのは、第1の実施形態と同様である。なお、状態表示目盛7は、胴1でなく、文字板2の外周部に設けるようにしてもよい。
受信環境表示部22及び時刻精度表示部23の表示内容及び意味は第1の実施形態と同様であるから、その詳細な説明は省略する。一方、受信動作表示部21は、第1の実施形態同様の「W」、「R」の表示に加え、「1」乃至「12」の表示を有している。そして、「1」の隣の0に相当する位置に「R」が記されている。
本実施形態においては、ΔtLSの受信を行う際に、秒針5は一旦「W」を指し示す。これは、ΔtLSの次回の送信時に、ΔtLSの受信を試みることの予告である。したがって、本実施形態では、秒針5は、現在の閏秒に関する情報の次回の送信時に、現在の閏秒に関する情報の受信を試みることを示す閏秒受信予告情報を表示する閏秒受信予告情報表示手段に相当する。
秒針5は、一定あるいは任意の時間「W」を示した後、送信待ち時間twに応じて受信動作表示部21に記された数字を指し示す。例えば、送信待ち時間twが3分で有れば「3」を指す。また、送信待ち時間twが0となるときは、ΔtLSの受信のタイミングであるから、秒針5は「R」を指し示す。
なお、ここで示した状態表示目盛7の配置や具体的な表示は一例であり、これに限定されない。電波腕時計200の仕様やデザインに応じて種々の変形を行って差し支えない。
また、電波腕時計200の内部構造や、制御については、ここで説明した部分以外は第1の実施形態と同様である。
以上説明した各実施形態に係る電波腕時計では、GPS衛星からの送信波を受信する際に指針(時針、分針、秒針及び状態表示針)を駆動するにあたっては、受信しなければならない情報が送信されていない時間帯に行うことが望ましい。すなわち、受信しようとする情報である、TOW、WN、ΔtLSおよび、TLMに含まれる同期用プリアンブルが送信されている時間帯以外の時間帯、例えば、エフェメリスやアルマナックが送信されている時間帯で行うことが望ましい。もし、指針を駆動するタイミングと、これら受信しようとする情報が送信する時間帯が重複する場合には、指針の駆動を一時停止するか、受信しようとする情報の受信タイミングを、次に送信するタイミングまで待つようにするとよい。例えば、受信しようとする情報がTOWであれば、現在のサブフレームでなく、次のサブフレームに含まれるTOWを受信する。このようにすることで、指針を駆動する際にモータ等により発生するノイズにより、衛星からの送信波の受信が阻害され、受信の成功確率が低下することを避ける。
また、以上説明した各実施形態では、衛星からの電波として、GPS衛星からの送信波を用いるものとして説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、衛星における時刻の情報が送信される間隔に比して、衛星における自国と協定世界時とのずれを示す情報が送信される間隔が長い信号を送信する衛星であればどのようなものであってもよい。その場合、本明細書中で用いたTOW、WNやΔtLSなどの呼び名やフォーマットは、適宜その衛星に合わせて読み換えて良い。