JP2004301559A - プローブ固相化反応アレイおよび該アレイの使用 - Google Patents
プローブ固相化反応アレイおよび該アレイの使用 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、高効率、高精度で試料被検試料の低減が可能であり、且つ迅速なマイクロアレイ解析が可能なプローブ固相化反応アレイ、並びに該アレイを使用した解析方法を提供することを目的とする。
【解決手段】プローブが支持体に固相化されたプローブ固相化反応アレイであって、該支持体は、前記支持体に独立して形成された第1から第nまでの複数の反応部(ここでnは2以上の整数である)を備え、該反応部は、反応部毎に独立した項目の解析を行うためのプローブが固定化されており、これにより複数項目解析が可能なプローブ固相化反応アレイを提供する。さらに、各反応部ごとに異なった項目で複数項目解析を行うための、該プローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】プローブが支持体に固相化されたプローブ固相化反応アレイであって、該支持体は、前記支持体に独立して形成された第1から第nまでの複数の反応部(ここでnは2以上の整数である)を備え、該反応部は、反応部毎に独立した項目の解析を行うためのプローブが固定化されており、これにより複数項目解析が可能なプローブ固相化反応アレイを提供する。さらに、各反応部ごとに異なった項目で複数項目解析を行うための、該プローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プローブ固相化反応アレイに関する。具体的には、核酸およびタンパク質などの解析に使用するためのプローブ固相化反応アレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子発現頻度を検出する手法の一つとして、プローブアレイを使用した解析が行われている。従来、このプローブアレイ解析では、核酸ハイブリダイゼーション反応による検出を行う基板としてナイロン膜を使用し、DNAの有するマイナス電荷によってプローブDNAを基板上に固相化していた(特許文献1を参照)。また、ハイブリダイゼーション反応後の検出は、化学発光またはラジオアイソトープによって行われていた。
【0003】
近年、マイクロアレイ技術によって一定規格のスライドグラス(約7.5cm×2.5cm)に多種類のプローブDNAを高密度に固相する方法(特許文献2を参照)、およびフォトリソグラフィー技術によって半導体基板においてDNAプローブを合成する方法などが知られている。これらのマイクロアレイ技術を用いることにより、従来のナイロン膜では一つのスポットが3mm〜5mmであったが、ガラス基板では、100um〜300umの極微小なスポットが可能になり、スポットの高密度化が可能となった。そのため、一枚のマイクロアレイ上に数千から数万のプローブを配置することが可能となり、大規模な遺伝子発現頻度解析の有用な手段となっている。その他にも、検出感度の向上、マイクロ化による被検試料の節約、データ取得の自動化およびデータ処理の簡便化などの点で、マイクロアレイ技術が期待されている。
【0004】
現在行われている遺伝子発現頻度解析の主流は、二蛍光標識法において上記のようなDNAマイクロアレイを使用して、ディファレンシャルな遺伝子発現を見る系である。その原理は、二つの検体における遺伝子発現頻度差を検出するものである。すなわち、二つの検体から得たmRNAまたはtRNAに対して異なる蛍光物質を標識し、これら二検体を、DNAマイクロアレイ上で競合的にハイブリダイゼーション反応させ、そのDNAマイクロアレイ上に得られる両方の蛍光を測定することにより、二検体の遺伝子発現を比較する方法である。
【0005】
マイクロアレイ解析は、遺伝子発現頻度解析のみならず、疾患との関連性が注目されている遺伝子多型の検出をも可能とする。この検出は、遺伝子多型を含む領域をPCRで増幅し、増幅産物をターゲットとしてハイブリダイゼーションを行うことによってなされるのが一般的である。また、この他にも、抗体をプローブとして基板上に固定化し、抗原抗体反応を行うようなアプリケーションも行われてつつある。このように、マイクロアレイ解析では、固定化するプローブによって様々な解析が可能となってきている。
【0006】
現在のDNAマイクロアレイ基板は、その形状としてスライドグラス規格または各メーカー特有のカセット形状のものが使用されている。しかし、これらの基板では、同一基板上において一検体の反応を行うことしかできないため、スループットがよくないという問題を有している(たとえば、特許文献1を参照)。すなわち、一検体について数千、数万という多数のプローブに対して解析する場合には、一基板上に多種類のプローブを固定化した基板が有効であるが、解析対象が絞られている場合には、一アレイ一検体という解析では無駄が多く、従来のアレイは不向きであると考えられる。今後研究が進行し、解析対象とする遺伝子が数百程度に絞られてきた場合には、特に一基板上で複数被検試料、複数項目の検出を行うことができる基板が望まれるであろう。また、従来は、複数項目の解析を行う場合、それぞれの解析項目ごとに独立したアレイ基板を使用して解析を行っていた。したがって、同一被検試料について複数項目を使用する場合にも異なった基板を使用しなければならず、解析効率はよくないという問題があった。また、多数の基板を使用するため、基板の取り違え等による個人データの取り扱いについてもミスが発生し易いという問題があった。そこで、一枚の基板上で複数項目の解析が可能なアレイ基板が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−135081号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような状況に鑑み、本発明は、高効率、高精度で被検試料の低減が可能であり、且つ迅速なマイクロアレイ解析が可能なプローブ固相化反応アレイ、並びに該アレイを使用した解析方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、従来マイクロアレイ解析は一枚のアレイ基板上で一項目の解析を行うものであったが、キャピラリ形状などの複数の反応部を有するプローブ固相化反応アレイを使用して、一枚の基板上で複数項目について解析することにより上記の課題を解決し目的を達成する手段を開発した。さらに、同一基板上において、多種類のプローブを使用して複数項目を解析するという大胆な発想に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の一つの態様において、プローブが支持体に固相化されたプローブ固相化反応アレイであって、
前記支持体は、前記支持体に独立して形成された第1から第nまでの複数の反応部(ここでnは2以上の整数である)を備え、
前記反応部には、反応部毎に独立した項目の解析を行うためのプローブが固定化されており、
これにより複数項目解析が可能なプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0011】
また、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記複数項目解析は、遺伝子発現頻度解析、遺伝子多型解析、タンパク質発現頻度解析、抗体抗原反応解析またはこれらを組み合わせた複数項目解析であることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0012】
さらに、請求項1または2に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部は、キャピラリ形状またはウェル形状であることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0013】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブは、ビーズに固定されたプローブにより間接的に支持体に固相化されているプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0014】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部に固相化されたプローブは、反応部毎に異なった種類のプローブを配置することを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0015】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部に固相化されたプローブは、核酸、タンパク質、抗体または抗原からなるプローブ群から選択される一以上のプローブであることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0016】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、核酸プローブが含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0017】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、タンパク質プローブが含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0018】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、抗体が含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0019】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、抗原が含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0020】
また、本発明のもう一つの態様において、各反応部ごとに異なった項目で複数項目解析を行うための、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0021】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、各反応部への注入試薬の成分が異なって制御されることにより、所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0022】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、核酸、ペプチド、タンパク質、抗原および抗体からなる群より選択される標的物質を含む被検試料を反応させることにより、各反応部毎に所望の被検試料について所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0023】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、前記注入試薬または被検試料が蛍光標識されていることを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0024】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、各反応部毎に反応条件を制御することにより、各反応部毎に異なる被検試料を反応させ、各反応部毎に所望の被検試料について所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0025】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、各反応部毎に反応条件を制御することにより、各反応部に同一個体由来の被検試料を反応させ、各反応部毎に所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0026】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、自動化装置によって上記解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0027】
【発明の実施の形態】
ここで、本明細書において使用される「核酸」の語は天然に存在する種々のDNAおよびRNA、並びにペプチド核酸、モルホリノ核酸、メチルフォスフォネート核酸およびS−オリゴ核酸などの人工的に合成された核酸類似体などを指す。
【0028】
本明細書において使用される「標的物質」の語は、プローブにより検出されるべき物質をいう。たとえば、核酸、タンパク質などが含まれ、より詳細には、ペプチド、抗原および抗体なども含まれる。一般的に、核酸プローブであれば、標的核酸に相補的な塩基配列を有するように設計される。また、標的物質が抗原であれば、該抗原に特異的に結合可能な抗体がプローブとして使用される。被検試料に含まれる被検核酸が標的配列が有する塩基配列を有している場合には、核酸プローブと標的配列の間にハイブリダイゼーションが生じる。したがって、このハイブリダイゼーションを検出することにより被検試料に含まれる核酸を解析することが可能である。ハイブリダイゼーションの検出はそれ自身公知の手段により行ってよい。標的核酸の標的になる塩基配列を「標的配列」と称す。
【0029】
本明細書において使用される「被検試料」の語は、生物個体から採取した細胞、組織、臓器、血液、血清、リンパ液、組織、毛髪および耳垢などの生物試料を所望に応じて調製した試料や、人工的に合成または製造した物質を含む試験に供したい試料をいう。また、「被検試料」は必要に応じて、生物試料をホモジネートおよび抽出などの必要な任意の前処理を行って得た試料であってもよい。このような前処理は、対象となる生物試料に応じて当業者によって選択され得るであろう。
【0030】
本明細書において使用される「個体」の語は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジ、及びサルを含む任意の哺乳動物、並びに植物および昆虫など哺乳動物以外の生物を示す。
【0031】
以下、上述のように複数項目解析が可能なプローブ固相化反応アレイについて、反応部がキャピラリ形状のアレイを例にしてその一実施形態を説明する(図1)。
【0032】
図1(A)は、本発明であるプローブ固相化反応アレイを上面から見た平面図である。プローブ固相化反応アレイ1は、透明なガラス製の基板30とシリコン基板31を用いて製造されたプローブ固相化反応アレイの例である。
【0033】
プローブ固相化反応アレイ1の基板の内部には複数のキャピラリ2、3、4、5、6、7および8が、同一平面上に並列して平行に形成されている。それぞれのキャピラリは互いに独立して形成されるので、他のキャピラリに含まれる流体と互いに混じり合うことはない。また、それぞれのキャピラリの両端には、開口部が形成されている。具体的には、キャピラリ2、3、4、5、6、7および8には、それぞれ試料注入口16、17、18、19、20、21および22と、試料排出口23、24、25、26、27、28および29が形成されている。キャピラリ2、3、4、5、6、7および8の内部には、それぞれの解析項目により、適切なプローブ群9〜プローブ群15が固定されている。
【0034】
解析項目の種類としては、プローブと標的物質のハイブリダイゼーションまたは結合を検出することによって解析を行うものであれば、どのような解析であってもよい。たとえば遺伝子発現頻度解析、遺伝子多型解析、タンパク質発現頻度解析またはこれらを組み合わせた解析などがあげられる。
【0035】
また、同一基板上で行う解析項目は、複数種類でなければならないが、同一項目の解析が含まれていてもよい。本発明のように、複数の反応部を有するプローブ固相化反応アレイを使用することにより、項目毎に独立したキャピラリで反応を行うことが可能となり、同一基板上で複数項目の解析を行うことができる。
【0036】
それぞれのキャピラリには、所望の解析項目に応じたプローブを固定化する。解析する項目により、プローブとしてDNA、RNA等の核酸に変えて、タンパク質およびその他の物質をプローブとして使用することができる。たとえば、ペプチド、抗原または抗体、あるいはその組み合わせを使用することができる。その場合、検出すべき標的物質に特異的に結合する物質をプローブとして使用する。たとえば、抗原をプローブと使用したときは、その抗原に特異的に結合する抗体を検出することができる。解析する項目により、キャピラリ毎に使用するプローブを変更し、所望のプローブを所望の配置で支持体に固定すればよい。使用するプローブは、当業者であれば解析項目に応じて容易に選択することが可能であろう。たとえば、遺伝子発現頻度解析を行うのであれば、発現頻度を解析する遺伝子とハイブリダイズ可能な配列を有するプローブを使用する。遺伝子多型解析を行うのであれば、多型部位を含む配列とハイブリダイズ可能なプローブを使用する。また、タンパク質発現頻度解析であれば、解析したいタンパク質に対する抗体をプローブとして固定化することができる。
【0037】
近年、複数のタンパク質やペプチドを支持体に固定したプロテインチップが幾つか開示されている。たとえば、DNAマイクロアレイ用のスポッターを用いて1万を越えるタンパク質を固定したチップを開示している(Science(2000)Sep 8;289(5485):1673)。また、サイファージェン社では、プロテインチップと質量分析機を組み合わせたタンパク質の構造解析、およびそれらの相互作用解析システムを提案している。本発明は、このようなそれ自身公知の従来のプロテインチップを応用することが可能である。
【0038】
上述したとおり、一枚のプローブ固相化反応アレイに固定化されるプローブの種類は、一種類に限定されず、解析項目に応じて複数種類のプローブが固定化されていてもよい。たとえば、核酸とタンパク質が異なる反応部に固定化されていてもよい。この場合、一度に核酸に関する解析とタンパク質に関する解析を行うことが可能となり、検査の効率化を図ることができる。たとえば、一枚のアレイにおいて、一個体に由来する種々の被検試料を使用した解析を行うことが可能となり、検体間の被検試料の取り扱いについてミスを減少することが可能となる。また、たとえば図1において、キャピラリ2および5を使用して遺伝子発現頻度解析を行い、キャピラリ3および6を使用して遺伝子発多型解析を行い、キャピラリ4および7を使用してタンパク質発現頻度解析を行い、キャピラリ8は対照用としていずれの解析も行わないとすることもできる。この場合、キャピラリ2、3および4を使用して1検体に由来する被検試料の解析を行い、キャピラリ5、6および7を使用して別の検体に由来する被検試料の解析を行い、同時に2検体について複数項目解析を行うことができる。
【0039】
図1(B)は、本態様であるプローブ固相化反応アレイ1をキャピラリ4に沿って切断した断面図である。
【0040】
上記のプローブ固相化反応アレイ1は、たとえば、次のように製造することが可能である。同じ大きさのガラス基板とシリコン基板を用意し、基板30と基板31とする。基板31にエッチングにより溝を形成する。上述したように、解析項目に応じて所望のプローブを予め準備しておく。これらのプローブは、各反応部毎に各反応部の溝の底部に対してスポッティングすることによって固定すればよい。一方、基板30には、基板31の溝の両端に対応する部分に対して貫通穴が空けられる。次に、基板30と基板31を接合する。それぞれの開口部に所望の長さのガラス管を接着することにより連結部34aおよび34bを形成するとともに、キャピラリ2〜8を形成する。キャピラリ形状の空間のサイズは、用途に合わせて種々の大きさに設定することができるが、実用的には幅が10μm〜数mm、深さ1μm〜500μm、長さ数mm〜100mm、キャピラリ間隔10μm〜数mm程度で充分である。ただし、反応の効率性を考えると、測定対象となるmRNA、またはmRNAから合成または逆転写したcDNAなどの核酸の拡散速度は毎秒数μmと遅いので、キャピラリ形状の空間の断面形状は、幅を広くしても深さは浅くするような扁平構造をとることにより、反応時間の短縮、試料の微量化、観察視野の増加等が期待できる。
【0041】
上記の例では、基板31に溝を形成したが、基板30でもよいし基板30と基板31の両方に形成されていてもよい。また、支持体の材料として、蓋として用いる基板にはガラス製基板を使用し、溝を形成する基板にはシリコン基板を使用したが、これに限定されるものではなく、蓋として用いる基板にシリコン基板を使用し、溝を形成する基板にガラス製基板を使用してもよい。また、使用される2枚の基板を同じ材質としてもよい。また、観察の方向に透過性部材が配置されるように、使用する部材を決定してもよい。あるいは、プラスチック樹脂やゴムなどで形成された支持体を使用してもよい。また、これらの材質、ガラス、シリコン、プラスチック樹脂およびゴムなどの材質で形成された支持体を組み合わせて使用してもよい。また、上記の例では支持体として板状の基板を使用しているが、これに限定されるものではない。
【0042】
ガラスやシリコンウエハ様の基板では、たとえば、フォトリソ−エッチングなどの技術により溝および貫通穴を形成することが可能である。また、プラスチック樹脂やゴムなどの場合には機械加工やモールド加工などにより溝および貫通穴を形成することが可能である。
【0043】
プローブの固定手段は、それ自身公知の何れかの手段を使用してよい。たとえば、核酸プローブの固定化であれば、スポッティング法および光固相化法などを使用してよい。上記の例では、基板31の溝の底部にプローブを固定したが、基板30にそれを固定してもよく、また、各反応部の側面にそれを固定してもよい。基板には、プローブを固相化するために適切な表面処理、たとえば、ポリLリジン処理、アミノシラン処理および酸化膜処理等の表面処理を行うことが可能である。
【0044】
さらに、固定化するプローブは、ビーズにあらかじめ固定化されたプローブを使用してもよい。この場合、プローブが固定化されたビーズを基板に固定化することとなる。このようなビーズに所望の核酸プローブを固相するためのプローブ供給手段は、基体の材料により、それ自身公知の何れかの手段を使用することができる。公知の手段を、立体状基体または粒状基体の曲面、特に球面に適用し得るように改良することが可能である。たとえば、曲面体に加工を施した基体上に核酸プローブを配するためには、光固相方式および点着方式の2つの手法を適宜組み合わせて用いることによって曲面の部分領域に対して定量的に核酸プローブを固相することが可能となる。
【0045】
上記ビーズを基板に固定化するには、たとえばそれ自体公知のいずれの手段を使用してもよい。たとえば、ビーズが磁性粒子であれば、あらかじめキャピラリ内の所望の位置に磁石を固定化しておくことにより、磁力でビーズを固定することも可能である。
【0046】
また、図1では、1つのキャピラリに種々の数のスポットが存在する例を示した。しかしながら、1キャピラリに固相化されるスポット数はこれに限定されるものではない。解析項目に応じて、スポットの数は1以上であれば任意の数でスポットしてもよい。したがって、キャピラリ毎に異なるスポット数としてもよい。また、プローブ固相化反応アレイに含まれる全てのキャピラリが複数種類のプローブを含んでいる必要はなく、また、何も固相化していない対照用のキャピラリを具備していてもよい。
【0047】
また、2枚の基板の接合は、それ自身公知の手段により、プローブの固定の前または固定後に行われればよい。たとえば、核酸プローブを固定前に接合した場合には、光固相化法(たとえば特表平6−504997参照)を適用して核酸プローブを固定化するのが好ましい。たとえば、シリコン−石英ガラスの場合には、接着剤をスクリーン印刷機により印刷して接着すればよい。たとえば、シリコン−パイレックスガラスの場合には、半導体プロセスで使用される陽極接合法により、高温および高電圧の下で接合を行えばよい。
【0048】
このように形成したプローブ固相化反応アレイ1は、それぞれの反応部に具備されるプローブに適した反応条件でハイブリダイゼーションが行われる。ハイブリダイゼーション条件は、たとえば、それぞれのキャピラリ毎に温度管理をしてもよい。また、全ての反応部を一定の温度に維持してイオン濃度および塩濃度によって至適反応条件を得てもよい。
【0049】
たとえば、1つのヒータ33だけを使用して、至適反応温度の異なる全ての反応部について夫々の至適温度を維持しようとする場合には、ハイブリダイゼーション時に使用する反応液を調節すればよい。すなわち、核酸ハイブリダイゼーションを行う場合に、各反応部における至適濃度が異なっているときであっても、たとえば標的核酸を含む被検試料の溶液として使用する緩衝液等の塩濃度を反応部毎に調節することによって達成することが可能である。また、実際のハイブリダイゼーション反応において用いられる溶液の成分にDNAの変性剤などが含まれる場合には、適宜、さらに塩濃度等を調整する必要がある。
【0050】
また、ハイブリダイゼーション反応後の処理としての洗浄も、精密な反応を実現するためには大切である。たとえば、DNAハイブリダイゼーション反応では、ミスマッチをできるだけ少なくし、かつ、できるだけ標的核酸とのハイブリダイゼーション効率を高める必要がある。そのためには、正常にハイブリダイゼーション反応が生じている標的核酸は除去しないように、ミスマッチにより核酸プローブと結合している被検核酸だけを取り除く必要がある。ミスマッチした核酸の場合、核酸プローブと問題の被検核酸とにより形成される2本鎖における水素結合の数はマッチした場合に比較して少ない。したがって、ミスマッチの場合のTmはより低くなる。したがって、温度または洗浄液の塩濃度を制御することにより、ミスマッチした被検核酸を特異的に取り除くことが期待される。ミスマッチした被検核酸は、ミスマッチの箇所や数によりTmが変わるので、そのTmをどのような場合についても一括してここに定義することは難しい。このような条件は、解析項目ごとに独立したキャピラリで実験を行うことにより、所望の解析における最適条件を設定することが可能である。このような最適条件における使用も本発明の範囲内に含まれる。
【0051】
本発明の態様に従い、プローブ固相化反応アレイ1を利用することにより、ハイブリダイゼーション反応時の条件設定や洗浄の条件設定を、キャピラリ毎に個別に、または複数のキャピラリからなる単位毎に行うことが可能である。したがって、本発明の態様に従えば、再現性に優れ且つ高精度に標的配列の検出を行うことが可能となる。また、さらにハイブリダイゼーションにおける非特異的反応を防止することも可能である。
【0052】
本発明に従うプローブ固相化反応アレイに具備される反応部は、その領域において、化学反応または生化学反応等の使用者が意図する反応および処理を行う領域をいう。したがって、本実施の形態では、プローブ固相化反応アレイ1に含まれる反応部の形状をキャピラリとしたが、この形状に限定されるものではない。たとえば、反応部の形状は、底面が角型、円または楕円であるようなウェル形状であってもよい。また、反応部の底面と天井面の面積は、等しくても異なっていてもよい。ここで使用される「ウェル形状」とは、たとえば、キャピラリ形状のように反応部の底面および天井面が特定の方向へのみに広がりを示すような形態ではなく、底面や天井面を構成する二次元の何れの方向に対してもある程度同じような広がりを示すような形状で、かつ複数のプローブ固定部位がグループとして一括処理できる程度に分割された凹部もしくは多孔質部を有するものを指す(たとえば、特表平9−504864を参照)。
【0053】
また、本発明のプローブ固相化反応アレイは、物理的に互いに隔離された反応部が形成されたデバイス構造の種々の構造が考えられる。上記の例では、プローブ固相化反応アレイ1に含まれる反応部を7つとし、反応部のそれぞれに試料注入口および/または試料排出口として使用できる1以上の開口部を形成したが、この数に限定されるものではなく、1以上の反応部を具備すればよい。すなわち、該反応部は、互いに独立していればよく、たとえば、凹部または凸部により仕切られた領域に開口部を有する蓋または底部を配置し、有効容積のある反応部を形成すればよい。
【0054】
また、本発明の態様に従うと、基板内部に内腔よりなる反応部を形成した閉鎖系の反応アレイばかりではなく、互いに独立し、かつ任意の方向に並列して複数の反応部を支持体に備えたものであれば、単に凹部または凸部により仕切られた容器に対しても、または平面からなる特に仕切のない領域であっても、充分に離間しているかあるいは多数の垂直孔によって液の拡散が妨げられていることで、互いに独立していれば本発明の態様に使用することが可能である。このような装置およびその使用も本発明の範囲に含まれる。
【0055】
また、本実施の形態では、ヒータが本発明に従う反応アレイと別体である1例を示したが、ヒータおよびセンサ並びに必要な配線等が反応アレイ中に組み込まれていてもよく、これらを具備していない反応アレイであってもよい。
【0056】
以下に、本発明のプローブ固相化反応アレイの使用の例を示す。即ち、本発明のプローブ固相化反応アレイを使用して遺伝子発現頻度解析、遺伝子多型解析、タンパク質発現頻度解析を行う方法について図1を参照して示す。
【0057】
たとえば、キャピラリ1において遺伝子発現頻度解析を行い、キャピラリ2において遺伝子多型解析を行い、キャピラリ3においてタンパク質発現頻度解析を行う場合を考える。まず、上記の通りの方法に従って、解析項目に応じたプローブが基体(キャピラリ)に固相化されたプローブ固相化反応アレイを得る。この場合、キャピラリ2には発現頻度を解析したい遺伝子とハイブリダイズ可能な核酸プローブを、キャピラリ3には多型を検出したい遺伝子とハイブリダイズ可能なプローブを、キャピラリ4には発現頻度を解析したIタンパク質に対する抗体プローブを固定化しておく。残りのキャピラリは、プローブが固定化されていなくてもよいが、さらに、解析項目に応じたプローブを固定化したものを使用すれば、同時により多くの解析を行うことができる。次いで、各キャピラリに所望の被検試料由来の被検試料含有液を注入する。たとえば、キャピラリ2、3には、被検試料由来のcDNA含有液を、キャピラリ4には、被検試料由来のタンパク質含有溶液を注入し、適切な条件下でハイブリダイゼーション反応および結合反応を行う。この場合、標的物質には、標識可能な光学的または物理的標識が行われていることが望ましい。標的核酸として1種類の標識核酸だけでなく、2種類以上の標的核酸を混合させて行うことも可能である。ここで、標的物質としては、追跡可能な標識分子、たとえば、蛍光色素、発光色素等で標識された物質を検体として使用することが考えられる。標的物質を含む被検試料の標識は、たとえば、標的物質が核酸であれば、蛍光標識されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dUTP)を取り込みながら標識を行う方法、またはあらかじめ蛍光標識されたプライマーにより増幅を行って、標識物を導入する方法を使用することができる。その他にも、増幅後に色素を結合させる方法などを使用することができるが、これらに限定されない。使用可能な標識としては、Cy3、FITCおよびビオチン等であるが、これに限定されるものではない。また、非標識の標識物質を使用して、ハイブリダイゼーション後の偏光性の変化を検出する方法なども使用可能である。
【0058】
また、ハイブリダイゼーション反応は、核酸の場合、一般的に45℃から65℃前後の恒温状態で、1時間から一晩の間、標的核酸と核酸プローブとの反応が行われるが、検出するべき核酸等の条件に応じて反応条件を変更することが可能である。その他、標的物質がタンパク質の場合、たとえば抗原を抗体プローブを反応させるには、一般的に室温等において1時間から一晩の間反応が行われるが、使用する適切な反応条件は、当業者であれば容易に選択可能であろう。
【0059】
その後、プレートウォッシャー等を用いて洗浄操作を行う。このような洗浄操作を施すことにより、未反応の標的核酸を除去する。次いで、使用した標識に適した方法で標識の検出を行えばよい。すなわち、各反応部ごとに、アレイ上に残った標識物質の有無または量を、標識物質の位置または標識物質の種類毎に分類しながら適宜の計測手段およびデータ処理手段によって決定することができる。特に、反応によって生じた結合は、支持体に含まれたままで観察され得ることが好ましい。たとえば、上述のように被検試料を視覚的に認識可能な標識(蛍光色素など)で標識しておくことにより、プローブと結合した標的物質の蛍光をそのまま視覚的に認識できるであろう。
【0060】
上述のように、本発明のプローブ固相化反応アレイの使用により、各反応部ごとに異なった項目で複数項目解析が可能となる。すなわち、一枚の基板上で複数項目解析を行うことができる。たとえば、本発明のプローブ固相化反応アレイの使用により、一個体に由来する種々の被検試料を使用した解析を行うことが可能となり、検体間の被検試料の取り扱いについてミスを減少することが可能となる。また、本発明のプローブ固相化反応アレイの使用により、複数項目解析を行うことができ、解析時間の短縮、迅速化が可能となる。
【0061】
【実施例】
マイクロアレイ解析は、遺伝子発現頻度解析のみならず、近年疾患との関連性が注目されている遺伝子多型の検出をも可能とする。本実施例では、遺伝子発現頻度解析および遺伝子多型解析を同時に行うアレイの作製について説明する。
【0062】
TNFファミリー遺伝子発現頻度およびFcγレセプター遺伝子多型の同時解析
TNF (tumor necrosis factor:腫瘍壊死因子)は、多くのファミリーメンバーが同定されており、リガンドおよびレセプターを合わせて40以上の遺伝子がスーパーファミリーを形成している。その機能としては、アポトーシスの誘導、阻害、細胞増殖や分化の促進などの多岐にわたっている。このため個体の発生分化から免疫応答まで、さまざまな生命現象において重要な役割を果たしている。
【0063】
これらのTNFファミリー遺伝子を解析することにより、病気の診断、TNFファミリー遺伝子の機能解析等の基礎研究に応用することが可能となり、有用な解析ツールとなり得る。また、近年では、遺伝子多型と細胞機能との関連を示す研究が多数行われている。これらのうち、FcγレセプターIIIA遺伝子(FcγRIIIA)にも遺伝子多型が存在し、多型により免疫複合体に対する貪食能の違いが生まれる事が知られており、感染症発症後の予後を左右することが分かっている。FcγRIIIAは、176番目のアミノ酸をフェニルアラニンからバリンに変化させる多型が存在している。これらは、それぞれF176、V176多型と呼ばれている。このような免疫機能に重要な役割を果たしている遺伝子群について、遺伝子発現頻度解析および遺伝子多型解析を同時に行うことにより、効率の良い解析を行うことを目的とした。
【0064】
遺伝子発現頻度解析におけるターゲット試料の調製は、通常組織または細胞より抽出したmRNAまたはtotal RNAからcDNAを合成する際に、Cy3−dUTPまたはCy5−dUTPなどの追跡可能な標識法を使用して行う。蛍光、化学発光、ラジオアイソトープ等、標識手法は特に限定されないが、オリゴdTプライマーまたはランダムプライマーおよび逆転写酵素を用いて第一鎖cDNAを合成する際にラベリングする場合が多い。本実施例では、単球系の培養細胞であるU937細胞のtRNAを鋳型とし、オリゴdTプライマーにより第一鎖cDNA合成時に色素の取り込みを行わせた。これを、GFXカラムフィルターによって精製した。
【0065】
一方、遺伝子多型解析用の試料作製手法としては、まず遺伝子多型を含む領域が増幅されるようにPCR反応が行われる。次いで、この増幅産物をターゲットとしてハイブリダイゼーション反応を行うことが一般的である。本実施例では、ヒト細胞より抽出したゲノムDNAを鋳型とし、この多型を含む領域をPCR反応により増幅した。5’末端を蛍光色素Cy3で標識したプライマーを使用してPCR反応を行い、ターゲットDNAに対する標識および増幅を行った。PCR反応により、遺伝子変異部を含む260bp領域が増幅された。PCR条件は、96℃ 10分で変性後、96℃(1分)〜58℃(1分)〜72℃(1分)を30サイクル繰り返して増幅を行った。 本実施例では、図2のようにアレイ基板に表面処理を行った後、TNFファミリー遺伝子解析用プローブDNAおよび、FcγRIIIA遺伝子多型に対応するプローブDNAをDNAマイクロアレイ作製装置SPBIO (日立ソフトウェアエンジニアリング(株))を用いて、アレイ基板に固相化した。本実施例では、一枚の基板上に5本のキャピラリ構造があるアレイを使用した。各キャピラリに、遺伝子発現頻度解析用プローブ、および遺伝子多型解析用プローブの固定化を行った。
【0066】
プローブを固相化した基板をブロッキング処理した後、キャピラリを装着してハイブリダイゼーション反応に使用した。ハイブリダイゼーション反応は、温度45℃、湿潤状態で8時間行った。ハイブリダイゼーション反応後、1×SSC、0.1%SDS溶液にて10分間の洗浄を行い、基板を乾燥させた。検出は、マイクロアレイ用蛍光観察装置GenePix4000(Axon社)を使用して行った。
【0067】
解析結果を、図3に示す。反応にはキャピラリアレイモジュールを使用し、点線はキャピラリを示している。遺伝子多型解析用キャピラリが1〜3、遺伝子発現頻度解析用キャピラリが4および5であり、各キャピラリに目的毎の試料の注入を行った。
【0068】
FcγRIIIA遺伝子多型解析用プローブを固定化したキャピラリについては、固定化したプローブは、Fアリル検出用プローブ(Fプローブ)、Vアリル検出用プローブ(Vプローブ)および多型部位にさらに異なる塩基を導入した(FプローブおよびVプローブの双方に反応しない)ミスマッチプローブ(MMプローブ)の3種類である。キャピラリ1にはVアリルのホモ接合体を、キャピラリ2にはFアリルのホモ接合体を、キャピラリ3にはVアリルのホモ接合体を注入した。キャピラリに入された検体同士のコンタミネーションが生じていない事が分かる。各検体は、それぞれMMプローブには反応しなかった。一方、他のプローブでは、各遺伝子多型に対応したハイブリダイゼーション結果が得られている。
【0069】
TNFファミリー遺伝子解析用プローブを固定化したキャピラリについては、U937由来のcDNAをハイブリダイゼーション試料として用いていた。キャピラリ4には通常状態のU937細胞を、キャピラリ5には、リポポリサッカライド(LPS)刺激を行った細胞を由来のcDNAを使用した。
【0070】
このように、異なるプローブ群であるTNFファミリー遺伝子およびFcγRIIIA遺伝子を同一アレイ上で解析した場合でも、試料のコンタミネーション等を起こすことなかった。各キャピラリにおいて複数項目の解析を行うことができた。
【0071】
これらの結果から、キャピラリモジュールを用いたハイブリダイゼーションにより、非常に精度良く、遺伝子発現頻度解析および遺伝子多型の同定を行うことが可能であることが示された。
【0072】
【発明の効果】
本発明のアレイによれば、プローブの種類毎に至適な反応条件を適用し、それぞれの反応に応じたターゲットを使用してハイブリダイゼーションを行うことが可能である。したがって、一枚の基板状で、複数項目のアレイ解析が可能となる。これまでのマイクロアレイ解析では、複数項目の解析を同時に行うことが困難であったが、本発明により、省資源化、低コスト化が図られ、迅速に精度良く、遺伝子発現頻度および遺伝子多型解析等のハイブリダイゼーションを基本とした解析を行うことが可能となる。従来別々のアレイ上で行っていた検査について、一度に複数項目の解析が可能となる。たとえば、検査の効率化が図れるとともに、解析時における個人データの取り扱いについてミスが少なくなるであろう。
【0073】
また、キャピラリアレイでは、反応自動化装置を使用することにより、多数キャピラリでの反応を自動で行うことが可能である。したがって、多量検体の解析もハイスループットで行うことが可能である。
【0074】
さらに、本発明によれば、多検体を高速で解析でき、しかも検体および試料は微量で解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るプローブ固相化反応アレイを示す図。
【図2】マイクロアレイの実験手順を示すフローチャート図。
【図3】遺伝子多型および遺伝子発現頻度の同時解析例を示す図。
【符号の説明】
1 プローブ固相化反応アレイ
2,3,4,5,6,7,8,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48 キャピラリ(反応部)
9,10,11,12,13,14,15 プローブ群
16,17,18,19,20,21,22 試料注入口
23,24,25,26,27,28,29 試料排出口
30,31 基板
33 ヒータ
34a、34b 連結部
【発明の属する技術分野】
本発明は、プローブ固相化反応アレイに関する。具体的には、核酸およびタンパク質などの解析に使用するためのプローブ固相化反応アレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子発現頻度を検出する手法の一つとして、プローブアレイを使用した解析が行われている。従来、このプローブアレイ解析では、核酸ハイブリダイゼーション反応による検出を行う基板としてナイロン膜を使用し、DNAの有するマイナス電荷によってプローブDNAを基板上に固相化していた(特許文献1を参照)。また、ハイブリダイゼーション反応後の検出は、化学発光またはラジオアイソトープによって行われていた。
【0003】
近年、マイクロアレイ技術によって一定規格のスライドグラス(約7.5cm×2.5cm)に多種類のプローブDNAを高密度に固相する方法(特許文献2を参照)、およびフォトリソグラフィー技術によって半導体基板においてDNAプローブを合成する方法などが知られている。これらのマイクロアレイ技術を用いることにより、従来のナイロン膜では一つのスポットが3mm〜5mmであったが、ガラス基板では、100um〜300umの極微小なスポットが可能になり、スポットの高密度化が可能となった。そのため、一枚のマイクロアレイ上に数千から数万のプローブを配置することが可能となり、大規模な遺伝子発現頻度解析の有用な手段となっている。その他にも、検出感度の向上、マイクロ化による被検試料の節約、データ取得の自動化およびデータ処理の簡便化などの点で、マイクロアレイ技術が期待されている。
【0004】
現在行われている遺伝子発現頻度解析の主流は、二蛍光標識法において上記のようなDNAマイクロアレイを使用して、ディファレンシャルな遺伝子発現を見る系である。その原理は、二つの検体における遺伝子発現頻度差を検出するものである。すなわち、二つの検体から得たmRNAまたはtRNAに対して異なる蛍光物質を標識し、これら二検体を、DNAマイクロアレイ上で競合的にハイブリダイゼーション反応させ、そのDNAマイクロアレイ上に得られる両方の蛍光を測定することにより、二検体の遺伝子発現を比較する方法である。
【0005】
マイクロアレイ解析は、遺伝子発現頻度解析のみならず、疾患との関連性が注目されている遺伝子多型の検出をも可能とする。この検出は、遺伝子多型を含む領域をPCRで増幅し、増幅産物をターゲットとしてハイブリダイゼーションを行うことによってなされるのが一般的である。また、この他にも、抗体をプローブとして基板上に固定化し、抗原抗体反応を行うようなアプリケーションも行われてつつある。このように、マイクロアレイ解析では、固定化するプローブによって様々な解析が可能となってきている。
【0006】
現在のDNAマイクロアレイ基板は、その形状としてスライドグラス規格または各メーカー特有のカセット形状のものが使用されている。しかし、これらの基板では、同一基板上において一検体の反応を行うことしかできないため、スループットがよくないという問題を有している(たとえば、特許文献1を参照)。すなわち、一検体について数千、数万という多数のプローブに対して解析する場合には、一基板上に多種類のプローブを固定化した基板が有効であるが、解析対象が絞られている場合には、一アレイ一検体という解析では無駄が多く、従来のアレイは不向きであると考えられる。今後研究が進行し、解析対象とする遺伝子が数百程度に絞られてきた場合には、特に一基板上で複数被検試料、複数項目の検出を行うことができる基板が望まれるであろう。また、従来は、複数項目の解析を行う場合、それぞれの解析項目ごとに独立したアレイ基板を使用して解析を行っていた。したがって、同一被検試料について複数項目を使用する場合にも異なった基板を使用しなければならず、解析効率はよくないという問題があった。また、多数の基板を使用するため、基板の取り違え等による個人データの取り扱いについてもミスが発生し易いという問題があった。そこで、一枚の基板上で複数項目の解析が可能なアレイ基板が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−135081号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような状況に鑑み、本発明は、高効率、高精度で被検試料の低減が可能であり、且つ迅速なマイクロアレイ解析が可能なプローブ固相化反応アレイ、並びに該アレイを使用した解析方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、従来マイクロアレイ解析は一枚のアレイ基板上で一項目の解析を行うものであったが、キャピラリ形状などの複数の反応部を有するプローブ固相化反応アレイを使用して、一枚の基板上で複数項目について解析することにより上記の課題を解決し目的を達成する手段を開発した。さらに、同一基板上において、多種類のプローブを使用して複数項目を解析するという大胆な発想に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の一つの態様において、プローブが支持体に固相化されたプローブ固相化反応アレイであって、
前記支持体は、前記支持体に独立して形成された第1から第nまでの複数の反応部(ここでnは2以上の整数である)を備え、
前記反応部には、反応部毎に独立した項目の解析を行うためのプローブが固定化されており、
これにより複数項目解析が可能なプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0011】
また、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記複数項目解析は、遺伝子発現頻度解析、遺伝子多型解析、タンパク質発現頻度解析、抗体抗原反応解析またはこれらを組み合わせた複数項目解析であることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0012】
さらに、請求項1または2に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部は、キャピラリ形状またはウェル形状であることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0013】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブは、ビーズに固定されたプローブにより間接的に支持体に固相化されているプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0014】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部に固相化されたプローブは、反応部毎に異なった種類のプローブを配置することを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0015】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部に固相化されたプローブは、核酸、タンパク質、抗体または抗原からなるプローブ群から選択される一以上のプローブであることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0016】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、核酸プローブが含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0017】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、タンパク質プローブが含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0018】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、抗体が含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0019】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、抗原が含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイを提供する。
【0020】
また、本発明のもう一つの態様において、各反応部ごとに異なった項目で複数項目解析を行うための、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0021】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、各反応部への注入試薬の成分が異なって制御されることにより、所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0022】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、核酸、ペプチド、タンパク質、抗原および抗体からなる群より選択される標的物質を含む被検試料を反応させることにより、各反応部毎に所望の被検試料について所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0023】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、前記注入試薬または被検試料が蛍光標識されていることを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0024】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、各反応部毎に反応条件を制御することにより、各反応部毎に異なる被検試料を反応させ、各反応部毎に所望の被検試料について所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0025】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、各反応部毎に反応条件を制御することにより、各反応部に同一個体由来の被検試料を反応させ、各反応部毎に所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0026】
さらに、上記記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、自動化装置によって上記解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用を提供する。
【0027】
【発明の実施の形態】
ここで、本明細書において使用される「核酸」の語は天然に存在する種々のDNAおよびRNA、並びにペプチド核酸、モルホリノ核酸、メチルフォスフォネート核酸およびS−オリゴ核酸などの人工的に合成された核酸類似体などを指す。
【0028】
本明細書において使用される「標的物質」の語は、プローブにより検出されるべき物質をいう。たとえば、核酸、タンパク質などが含まれ、より詳細には、ペプチド、抗原および抗体なども含まれる。一般的に、核酸プローブであれば、標的核酸に相補的な塩基配列を有するように設計される。また、標的物質が抗原であれば、該抗原に特異的に結合可能な抗体がプローブとして使用される。被検試料に含まれる被検核酸が標的配列が有する塩基配列を有している場合には、核酸プローブと標的配列の間にハイブリダイゼーションが生じる。したがって、このハイブリダイゼーションを検出することにより被検試料に含まれる核酸を解析することが可能である。ハイブリダイゼーションの検出はそれ自身公知の手段により行ってよい。標的核酸の標的になる塩基配列を「標的配列」と称す。
【0029】
本明細書において使用される「被検試料」の語は、生物個体から採取した細胞、組織、臓器、血液、血清、リンパ液、組織、毛髪および耳垢などの生物試料を所望に応じて調製した試料や、人工的に合成または製造した物質を含む試験に供したい試料をいう。また、「被検試料」は必要に応じて、生物試料をホモジネートおよび抽出などの必要な任意の前処理を行って得た試料であってもよい。このような前処理は、対象となる生物試料に応じて当業者によって選択され得るであろう。
【0030】
本明細書において使用される「個体」の語は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジ、及びサルを含む任意の哺乳動物、並びに植物および昆虫など哺乳動物以外の生物を示す。
【0031】
以下、上述のように複数項目解析が可能なプローブ固相化反応アレイについて、反応部がキャピラリ形状のアレイを例にしてその一実施形態を説明する(図1)。
【0032】
図1(A)は、本発明であるプローブ固相化反応アレイを上面から見た平面図である。プローブ固相化反応アレイ1は、透明なガラス製の基板30とシリコン基板31を用いて製造されたプローブ固相化反応アレイの例である。
【0033】
プローブ固相化反応アレイ1の基板の内部には複数のキャピラリ2、3、4、5、6、7および8が、同一平面上に並列して平行に形成されている。それぞれのキャピラリは互いに独立して形成されるので、他のキャピラリに含まれる流体と互いに混じり合うことはない。また、それぞれのキャピラリの両端には、開口部が形成されている。具体的には、キャピラリ2、3、4、5、6、7および8には、それぞれ試料注入口16、17、18、19、20、21および22と、試料排出口23、24、25、26、27、28および29が形成されている。キャピラリ2、3、4、5、6、7および8の内部には、それぞれの解析項目により、適切なプローブ群9〜プローブ群15が固定されている。
【0034】
解析項目の種類としては、プローブと標的物質のハイブリダイゼーションまたは結合を検出することによって解析を行うものであれば、どのような解析であってもよい。たとえば遺伝子発現頻度解析、遺伝子多型解析、タンパク質発現頻度解析またはこれらを組み合わせた解析などがあげられる。
【0035】
また、同一基板上で行う解析項目は、複数種類でなければならないが、同一項目の解析が含まれていてもよい。本発明のように、複数の反応部を有するプローブ固相化反応アレイを使用することにより、項目毎に独立したキャピラリで反応を行うことが可能となり、同一基板上で複数項目の解析を行うことができる。
【0036】
それぞれのキャピラリには、所望の解析項目に応じたプローブを固定化する。解析する項目により、プローブとしてDNA、RNA等の核酸に変えて、タンパク質およびその他の物質をプローブとして使用することができる。たとえば、ペプチド、抗原または抗体、あるいはその組み合わせを使用することができる。その場合、検出すべき標的物質に特異的に結合する物質をプローブとして使用する。たとえば、抗原をプローブと使用したときは、その抗原に特異的に結合する抗体を検出することができる。解析する項目により、キャピラリ毎に使用するプローブを変更し、所望のプローブを所望の配置で支持体に固定すればよい。使用するプローブは、当業者であれば解析項目に応じて容易に選択することが可能であろう。たとえば、遺伝子発現頻度解析を行うのであれば、発現頻度を解析する遺伝子とハイブリダイズ可能な配列を有するプローブを使用する。遺伝子多型解析を行うのであれば、多型部位を含む配列とハイブリダイズ可能なプローブを使用する。また、タンパク質発現頻度解析であれば、解析したいタンパク質に対する抗体をプローブとして固定化することができる。
【0037】
近年、複数のタンパク質やペプチドを支持体に固定したプロテインチップが幾つか開示されている。たとえば、DNAマイクロアレイ用のスポッターを用いて1万を越えるタンパク質を固定したチップを開示している(Science(2000)Sep 8;289(5485):1673)。また、サイファージェン社では、プロテインチップと質量分析機を組み合わせたタンパク質の構造解析、およびそれらの相互作用解析システムを提案している。本発明は、このようなそれ自身公知の従来のプロテインチップを応用することが可能である。
【0038】
上述したとおり、一枚のプローブ固相化反応アレイに固定化されるプローブの種類は、一種類に限定されず、解析項目に応じて複数種類のプローブが固定化されていてもよい。たとえば、核酸とタンパク質が異なる反応部に固定化されていてもよい。この場合、一度に核酸に関する解析とタンパク質に関する解析を行うことが可能となり、検査の効率化を図ることができる。たとえば、一枚のアレイにおいて、一個体に由来する種々の被検試料を使用した解析を行うことが可能となり、検体間の被検試料の取り扱いについてミスを減少することが可能となる。また、たとえば図1において、キャピラリ2および5を使用して遺伝子発現頻度解析を行い、キャピラリ3および6を使用して遺伝子発多型解析を行い、キャピラリ4および7を使用してタンパク質発現頻度解析を行い、キャピラリ8は対照用としていずれの解析も行わないとすることもできる。この場合、キャピラリ2、3および4を使用して1検体に由来する被検試料の解析を行い、キャピラリ5、6および7を使用して別の検体に由来する被検試料の解析を行い、同時に2検体について複数項目解析を行うことができる。
【0039】
図1(B)は、本態様であるプローブ固相化反応アレイ1をキャピラリ4に沿って切断した断面図である。
【0040】
上記のプローブ固相化反応アレイ1は、たとえば、次のように製造することが可能である。同じ大きさのガラス基板とシリコン基板を用意し、基板30と基板31とする。基板31にエッチングにより溝を形成する。上述したように、解析項目に応じて所望のプローブを予め準備しておく。これらのプローブは、各反応部毎に各反応部の溝の底部に対してスポッティングすることによって固定すればよい。一方、基板30には、基板31の溝の両端に対応する部分に対して貫通穴が空けられる。次に、基板30と基板31を接合する。それぞれの開口部に所望の長さのガラス管を接着することにより連結部34aおよび34bを形成するとともに、キャピラリ2〜8を形成する。キャピラリ形状の空間のサイズは、用途に合わせて種々の大きさに設定することができるが、実用的には幅が10μm〜数mm、深さ1μm〜500μm、長さ数mm〜100mm、キャピラリ間隔10μm〜数mm程度で充分である。ただし、反応の効率性を考えると、測定対象となるmRNA、またはmRNAから合成または逆転写したcDNAなどの核酸の拡散速度は毎秒数μmと遅いので、キャピラリ形状の空間の断面形状は、幅を広くしても深さは浅くするような扁平構造をとることにより、反応時間の短縮、試料の微量化、観察視野の増加等が期待できる。
【0041】
上記の例では、基板31に溝を形成したが、基板30でもよいし基板30と基板31の両方に形成されていてもよい。また、支持体の材料として、蓋として用いる基板にはガラス製基板を使用し、溝を形成する基板にはシリコン基板を使用したが、これに限定されるものではなく、蓋として用いる基板にシリコン基板を使用し、溝を形成する基板にガラス製基板を使用してもよい。また、使用される2枚の基板を同じ材質としてもよい。また、観察の方向に透過性部材が配置されるように、使用する部材を決定してもよい。あるいは、プラスチック樹脂やゴムなどで形成された支持体を使用してもよい。また、これらの材質、ガラス、シリコン、プラスチック樹脂およびゴムなどの材質で形成された支持体を組み合わせて使用してもよい。また、上記の例では支持体として板状の基板を使用しているが、これに限定されるものではない。
【0042】
ガラスやシリコンウエハ様の基板では、たとえば、フォトリソ−エッチングなどの技術により溝および貫通穴を形成することが可能である。また、プラスチック樹脂やゴムなどの場合には機械加工やモールド加工などにより溝および貫通穴を形成することが可能である。
【0043】
プローブの固定手段は、それ自身公知の何れかの手段を使用してよい。たとえば、核酸プローブの固定化であれば、スポッティング法および光固相化法などを使用してよい。上記の例では、基板31の溝の底部にプローブを固定したが、基板30にそれを固定してもよく、また、各反応部の側面にそれを固定してもよい。基板には、プローブを固相化するために適切な表面処理、たとえば、ポリLリジン処理、アミノシラン処理および酸化膜処理等の表面処理を行うことが可能である。
【0044】
さらに、固定化するプローブは、ビーズにあらかじめ固定化されたプローブを使用してもよい。この場合、プローブが固定化されたビーズを基板に固定化することとなる。このようなビーズに所望の核酸プローブを固相するためのプローブ供給手段は、基体の材料により、それ自身公知の何れかの手段を使用することができる。公知の手段を、立体状基体または粒状基体の曲面、特に球面に適用し得るように改良することが可能である。たとえば、曲面体に加工を施した基体上に核酸プローブを配するためには、光固相方式および点着方式の2つの手法を適宜組み合わせて用いることによって曲面の部分領域に対して定量的に核酸プローブを固相することが可能となる。
【0045】
上記ビーズを基板に固定化するには、たとえばそれ自体公知のいずれの手段を使用してもよい。たとえば、ビーズが磁性粒子であれば、あらかじめキャピラリ内の所望の位置に磁石を固定化しておくことにより、磁力でビーズを固定することも可能である。
【0046】
また、図1では、1つのキャピラリに種々の数のスポットが存在する例を示した。しかしながら、1キャピラリに固相化されるスポット数はこれに限定されるものではない。解析項目に応じて、スポットの数は1以上であれば任意の数でスポットしてもよい。したがって、キャピラリ毎に異なるスポット数としてもよい。また、プローブ固相化反応アレイに含まれる全てのキャピラリが複数種類のプローブを含んでいる必要はなく、また、何も固相化していない対照用のキャピラリを具備していてもよい。
【0047】
また、2枚の基板の接合は、それ自身公知の手段により、プローブの固定の前または固定後に行われればよい。たとえば、核酸プローブを固定前に接合した場合には、光固相化法(たとえば特表平6−504997参照)を適用して核酸プローブを固定化するのが好ましい。たとえば、シリコン−石英ガラスの場合には、接着剤をスクリーン印刷機により印刷して接着すればよい。たとえば、シリコン−パイレックスガラスの場合には、半導体プロセスで使用される陽極接合法により、高温および高電圧の下で接合を行えばよい。
【0048】
このように形成したプローブ固相化反応アレイ1は、それぞれの反応部に具備されるプローブに適した反応条件でハイブリダイゼーションが行われる。ハイブリダイゼーション条件は、たとえば、それぞれのキャピラリ毎に温度管理をしてもよい。また、全ての反応部を一定の温度に維持してイオン濃度および塩濃度によって至適反応条件を得てもよい。
【0049】
たとえば、1つのヒータ33だけを使用して、至適反応温度の異なる全ての反応部について夫々の至適温度を維持しようとする場合には、ハイブリダイゼーション時に使用する反応液を調節すればよい。すなわち、核酸ハイブリダイゼーションを行う場合に、各反応部における至適濃度が異なっているときであっても、たとえば標的核酸を含む被検試料の溶液として使用する緩衝液等の塩濃度を反応部毎に調節することによって達成することが可能である。また、実際のハイブリダイゼーション反応において用いられる溶液の成分にDNAの変性剤などが含まれる場合には、適宜、さらに塩濃度等を調整する必要がある。
【0050】
また、ハイブリダイゼーション反応後の処理としての洗浄も、精密な反応を実現するためには大切である。たとえば、DNAハイブリダイゼーション反応では、ミスマッチをできるだけ少なくし、かつ、できるだけ標的核酸とのハイブリダイゼーション効率を高める必要がある。そのためには、正常にハイブリダイゼーション反応が生じている標的核酸は除去しないように、ミスマッチにより核酸プローブと結合している被検核酸だけを取り除く必要がある。ミスマッチした核酸の場合、核酸プローブと問題の被検核酸とにより形成される2本鎖における水素結合の数はマッチした場合に比較して少ない。したがって、ミスマッチの場合のTmはより低くなる。したがって、温度または洗浄液の塩濃度を制御することにより、ミスマッチした被検核酸を特異的に取り除くことが期待される。ミスマッチした被検核酸は、ミスマッチの箇所や数によりTmが変わるので、そのTmをどのような場合についても一括してここに定義することは難しい。このような条件は、解析項目ごとに独立したキャピラリで実験を行うことにより、所望の解析における最適条件を設定することが可能である。このような最適条件における使用も本発明の範囲内に含まれる。
【0051】
本発明の態様に従い、プローブ固相化反応アレイ1を利用することにより、ハイブリダイゼーション反応時の条件設定や洗浄の条件設定を、キャピラリ毎に個別に、または複数のキャピラリからなる単位毎に行うことが可能である。したがって、本発明の態様に従えば、再現性に優れ且つ高精度に標的配列の検出を行うことが可能となる。また、さらにハイブリダイゼーションにおける非特異的反応を防止することも可能である。
【0052】
本発明に従うプローブ固相化反応アレイに具備される反応部は、その領域において、化学反応または生化学反応等の使用者が意図する反応および処理を行う領域をいう。したがって、本実施の形態では、プローブ固相化反応アレイ1に含まれる反応部の形状をキャピラリとしたが、この形状に限定されるものではない。たとえば、反応部の形状は、底面が角型、円または楕円であるようなウェル形状であってもよい。また、反応部の底面と天井面の面積は、等しくても異なっていてもよい。ここで使用される「ウェル形状」とは、たとえば、キャピラリ形状のように反応部の底面および天井面が特定の方向へのみに広がりを示すような形態ではなく、底面や天井面を構成する二次元の何れの方向に対してもある程度同じような広がりを示すような形状で、かつ複数のプローブ固定部位がグループとして一括処理できる程度に分割された凹部もしくは多孔質部を有するものを指す(たとえば、特表平9−504864を参照)。
【0053】
また、本発明のプローブ固相化反応アレイは、物理的に互いに隔離された反応部が形成されたデバイス構造の種々の構造が考えられる。上記の例では、プローブ固相化反応アレイ1に含まれる反応部を7つとし、反応部のそれぞれに試料注入口および/または試料排出口として使用できる1以上の開口部を形成したが、この数に限定されるものではなく、1以上の反応部を具備すればよい。すなわち、該反応部は、互いに独立していればよく、たとえば、凹部または凸部により仕切られた領域に開口部を有する蓋または底部を配置し、有効容積のある反応部を形成すればよい。
【0054】
また、本発明の態様に従うと、基板内部に内腔よりなる反応部を形成した閉鎖系の反応アレイばかりではなく、互いに独立し、かつ任意の方向に並列して複数の反応部を支持体に備えたものであれば、単に凹部または凸部により仕切られた容器に対しても、または平面からなる特に仕切のない領域であっても、充分に離間しているかあるいは多数の垂直孔によって液の拡散が妨げられていることで、互いに独立していれば本発明の態様に使用することが可能である。このような装置およびその使用も本発明の範囲に含まれる。
【0055】
また、本実施の形態では、ヒータが本発明に従う反応アレイと別体である1例を示したが、ヒータおよびセンサ並びに必要な配線等が反応アレイ中に組み込まれていてもよく、これらを具備していない反応アレイであってもよい。
【0056】
以下に、本発明のプローブ固相化反応アレイの使用の例を示す。即ち、本発明のプローブ固相化反応アレイを使用して遺伝子発現頻度解析、遺伝子多型解析、タンパク質発現頻度解析を行う方法について図1を参照して示す。
【0057】
たとえば、キャピラリ1において遺伝子発現頻度解析を行い、キャピラリ2において遺伝子多型解析を行い、キャピラリ3においてタンパク質発現頻度解析を行う場合を考える。まず、上記の通りの方法に従って、解析項目に応じたプローブが基体(キャピラリ)に固相化されたプローブ固相化反応アレイを得る。この場合、キャピラリ2には発現頻度を解析したい遺伝子とハイブリダイズ可能な核酸プローブを、キャピラリ3には多型を検出したい遺伝子とハイブリダイズ可能なプローブを、キャピラリ4には発現頻度を解析したIタンパク質に対する抗体プローブを固定化しておく。残りのキャピラリは、プローブが固定化されていなくてもよいが、さらに、解析項目に応じたプローブを固定化したものを使用すれば、同時により多くの解析を行うことができる。次いで、各キャピラリに所望の被検試料由来の被検試料含有液を注入する。たとえば、キャピラリ2、3には、被検試料由来のcDNA含有液を、キャピラリ4には、被検試料由来のタンパク質含有溶液を注入し、適切な条件下でハイブリダイゼーション反応および結合反応を行う。この場合、標的物質には、標識可能な光学的または物理的標識が行われていることが望ましい。標的核酸として1種類の標識核酸だけでなく、2種類以上の標的核酸を混合させて行うことも可能である。ここで、標的物質としては、追跡可能な標識分子、たとえば、蛍光色素、発光色素等で標識された物質を検体として使用することが考えられる。標的物質を含む被検試料の標識は、たとえば、標的物質が核酸であれば、蛍光標識されたデオキシヌクレオチド三リン酸(dUTP)を取り込みながら標識を行う方法、またはあらかじめ蛍光標識されたプライマーにより増幅を行って、標識物を導入する方法を使用することができる。その他にも、増幅後に色素を結合させる方法などを使用することができるが、これらに限定されない。使用可能な標識としては、Cy3、FITCおよびビオチン等であるが、これに限定されるものではない。また、非標識の標識物質を使用して、ハイブリダイゼーション後の偏光性の変化を検出する方法なども使用可能である。
【0058】
また、ハイブリダイゼーション反応は、核酸の場合、一般的に45℃から65℃前後の恒温状態で、1時間から一晩の間、標的核酸と核酸プローブとの反応が行われるが、検出するべき核酸等の条件に応じて反応条件を変更することが可能である。その他、標的物質がタンパク質の場合、たとえば抗原を抗体プローブを反応させるには、一般的に室温等において1時間から一晩の間反応が行われるが、使用する適切な反応条件は、当業者であれば容易に選択可能であろう。
【0059】
その後、プレートウォッシャー等を用いて洗浄操作を行う。このような洗浄操作を施すことにより、未反応の標的核酸を除去する。次いで、使用した標識に適した方法で標識の検出を行えばよい。すなわち、各反応部ごとに、アレイ上に残った標識物質の有無または量を、標識物質の位置または標識物質の種類毎に分類しながら適宜の計測手段およびデータ処理手段によって決定することができる。特に、反応によって生じた結合は、支持体に含まれたままで観察され得ることが好ましい。たとえば、上述のように被検試料を視覚的に認識可能な標識(蛍光色素など)で標識しておくことにより、プローブと結合した標的物質の蛍光をそのまま視覚的に認識できるであろう。
【0060】
上述のように、本発明のプローブ固相化反応アレイの使用により、各反応部ごとに異なった項目で複数項目解析が可能となる。すなわち、一枚の基板上で複数項目解析を行うことができる。たとえば、本発明のプローブ固相化反応アレイの使用により、一個体に由来する種々の被検試料を使用した解析を行うことが可能となり、検体間の被検試料の取り扱いについてミスを減少することが可能となる。また、本発明のプローブ固相化反応アレイの使用により、複数項目解析を行うことができ、解析時間の短縮、迅速化が可能となる。
【0061】
【実施例】
マイクロアレイ解析は、遺伝子発現頻度解析のみならず、近年疾患との関連性が注目されている遺伝子多型の検出をも可能とする。本実施例では、遺伝子発現頻度解析および遺伝子多型解析を同時に行うアレイの作製について説明する。
【0062】
TNFファミリー遺伝子発現頻度およびFcγレセプター遺伝子多型の同時解析
TNF (tumor necrosis factor:腫瘍壊死因子)は、多くのファミリーメンバーが同定されており、リガンドおよびレセプターを合わせて40以上の遺伝子がスーパーファミリーを形成している。その機能としては、アポトーシスの誘導、阻害、細胞増殖や分化の促進などの多岐にわたっている。このため個体の発生分化から免疫応答まで、さまざまな生命現象において重要な役割を果たしている。
【0063】
これらのTNFファミリー遺伝子を解析することにより、病気の診断、TNFファミリー遺伝子の機能解析等の基礎研究に応用することが可能となり、有用な解析ツールとなり得る。また、近年では、遺伝子多型と細胞機能との関連を示す研究が多数行われている。これらのうち、FcγレセプターIIIA遺伝子(FcγRIIIA)にも遺伝子多型が存在し、多型により免疫複合体に対する貪食能の違いが生まれる事が知られており、感染症発症後の予後を左右することが分かっている。FcγRIIIAは、176番目のアミノ酸をフェニルアラニンからバリンに変化させる多型が存在している。これらは、それぞれF176、V176多型と呼ばれている。このような免疫機能に重要な役割を果たしている遺伝子群について、遺伝子発現頻度解析および遺伝子多型解析を同時に行うことにより、効率の良い解析を行うことを目的とした。
【0064】
遺伝子発現頻度解析におけるターゲット試料の調製は、通常組織または細胞より抽出したmRNAまたはtotal RNAからcDNAを合成する際に、Cy3−dUTPまたはCy5−dUTPなどの追跡可能な標識法を使用して行う。蛍光、化学発光、ラジオアイソトープ等、標識手法は特に限定されないが、オリゴdTプライマーまたはランダムプライマーおよび逆転写酵素を用いて第一鎖cDNAを合成する際にラベリングする場合が多い。本実施例では、単球系の培養細胞であるU937細胞のtRNAを鋳型とし、オリゴdTプライマーにより第一鎖cDNA合成時に色素の取り込みを行わせた。これを、GFXカラムフィルターによって精製した。
【0065】
一方、遺伝子多型解析用の試料作製手法としては、まず遺伝子多型を含む領域が増幅されるようにPCR反応が行われる。次いで、この増幅産物をターゲットとしてハイブリダイゼーション反応を行うことが一般的である。本実施例では、ヒト細胞より抽出したゲノムDNAを鋳型とし、この多型を含む領域をPCR反応により増幅した。5’末端を蛍光色素Cy3で標識したプライマーを使用してPCR反応を行い、ターゲットDNAに対する標識および増幅を行った。PCR反応により、遺伝子変異部を含む260bp領域が増幅された。PCR条件は、96℃ 10分で変性後、96℃(1分)〜58℃(1分)〜72℃(1分)を30サイクル繰り返して増幅を行った。 本実施例では、図2のようにアレイ基板に表面処理を行った後、TNFファミリー遺伝子解析用プローブDNAおよび、FcγRIIIA遺伝子多型に対応するプローブDNAをDNAマイクロアレイ作製装置SPBIO (日立ソフトウェアエンジニアリング(株))を用いて、アレイ基板に固相化した。本実施例では、一枚の基板上に5本のキャピラリ構造があるアレイを使用した。各キャピラリに、遺伝子発現頻度解析用プローブ、および遺伝子多型解析用プローブの固定化を行った。
【0066】
プローブを固相化した基板をブロッキング処理した後、キャピラリを装着してハイブリダイゼーション反応に使用した。ハイブリダイゼーション反応は、温度45℃、湿潤状態で8時間行った。ハイブリダイゼーション反応後、1×SSC、0.1%SDS溶液にて10分間の洗浄を行い、基板を乾燥させた。検出は、マイクロアレイ用蛍光観察装置GenePix4000(Axon社)を使用して行った。
【0067】
解析結果を、図3に示す。反応にはキャピラリアレイモジュールを使用し、点線はキャピラリを示している。遺伝子多型解析用キャピラリが1〜3、遺伝子発現頻度解析用キャピラリが4および5であり、各キャピラリに目的毎の試料の注入を行った。
【0068】
FcγRIIIA遺伝子多型解析用プローブを固定化したキャピラリについては、固定化したプローブは、Fアリル検出用プローブ(Fプローブ)、Vアリル検出用プローブ(Vプローブ)および多型部位にさらに異なる塩基を導入した(FプローブおよびVプローブの双方に反応しない)ミスマッチプローブ(MMプローブ)の3種類である。キャピラリ1にはVアリルのホモ接合体を、キャピラリ2にはFアリルのホモ接合体を、キャピラリ3にはVアリルのホモ接合体を注入した。キャピラリに入された検体同士のコンタミネーションが生じていない事が分かる。各検体は、それぞれMMプローブには反応しなかった。一方、他のプローブでは、各遺伝子多型に対応したハイブリダイゼーション結果が得られている。
【0069】
TNFファミリー遺伝子解析用プローブを固定化したキャピラリについては、U937由来のcDNAをハイブリダイゼーション試料として用いていた。キャピラリ4には通常状態のU937細胞を、キャピラリ5には、リポポリサッカライド(LPS)刺激を行った細胞を由来のcDNAを使用した。
【0070】
このように、異なるプローブ群であるTNFファミリー遺伝子およびFcγRIIIA遺伝子を同一アレイ上で解析した場合でも、試料のコンタミネーション等を起こすことなかった。各キャピラリにおいて複数項目の解析を行うことができた。
【0071】
これらの結果から、キャピラリモジュールを用いたハイブリダイゼーションにより、非常に精度良く、遺伝子発現頻度解析および遺伝子多型の同定を行うことが可能であることが示された。
【0072】
【発明の効果】
本発明のアレイによれば、プローブの種類毎に至適な反応条件を適用し、それぞれの反応に応じたターゲットを使用してハイブリダイゼーションを行うことが可能である。したがって、一枚の基板状で、複数項目のアレイ解析が可能となる。これまでのマイクロアレイ解析では、複数項目の解析を同時に行うことが困難であったが、本発明により、省資源化、低コスト化が図られ、迅速に精度良く、遺伝子発現頻度および遺伝子多型解析等のハイブリダイゼーションを基本とした解析を行うことが可能となる。従来別々のアレイ上で行っていた検査について、一度に複数項目の解析が可能となる。たとえば、検査の効率化が図れるとともに、解析時における個人データの取り扱いについてミスが少なくなるであろう。
【0073】
また、キャピラリアレイでは、反応自動化装置を使用することにより、多数キャピラリでの反応を自動で行うことが可能である。したがって、多量検体の解析もハイスループットで行うことが可能である。
【0074】
さらに、本発明によれば、多検体を高速で解析でき、しかも検体および試料は微量で解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るプローブ固相化反応アレイを示す図。
【図2】マイクロアレイの実験手順を示すフローチャート図。
【図3】遺伝子多型および遺伝子発現頻度の同時解析例を示す図。
【符号の説明】
1 プローブ固相化反応アレイ
2,3,4,5,6,7,8,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48 キャピラリ(反応部)
9,10,11,12,13,14,15 プローブ群
16,17,18,19,20,21,22 試料注入口
23,24,25,26,27,28,29 試料排出口
30,31 基板
33 ヒータ
34a、34b 連結部
Claims (18)
- プローブが支持体に固相化されたプローブ固相化反応アレイであって、
前記支持体は、前記支持体に独立して形成された第1から第nまでの複数の反応部(ここでnは2以上の整数である)を備え、
前記反応部には、反応部毎に独立した項目の解析を行うためのプローブが固定化されており、
これにより複数項目解析が可能なプローブ固相化反応アレイ。 - 請求項1に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記複数項目解析は、遺伝子発現頻度解析、遺伝子多型解析、タンパク質発現頻度解析、抗体抗原反応解析またはこれらを組み合わせた複数項目解析であることを特徴とするプローブ固相化反応アレイ。
- 請求項1または2に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部は、キャピラリ形状であることを特徴とするプローブ固相化反応アレイ。
- 請求項1または2に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部は、ウェル形状であることを特徴とするプローブ固相化反応アレイ。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブは、ビーズに固定されたプローブにより間接的に支持体に固相化されているプローブ固相化反応アレイ。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部に固相化されたプローブは、反応部毎に異なった種類のプローブを配置することを特徴とするプローブ固相化反応アレイ。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記反応部に固相化されたプローブは、核酸、タンパク質、抗体または抗原からなるプローブ群から選択される一以上のプローブであることを特徴とするプローブ固相化反応アレイ。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、核酸プローブが含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイ。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、タンパク質プローブが含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイ。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、抗体が含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイ。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイであって、前記プローブには、抗原が含まれることを特徴とするプローブ固相化反応アレイ。
- 各反応部ごとに異なった項目で複数項目解析を行うための、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイの使用。
- 各反応部ごとに異なった項目で複数項目解析を行うための、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、各反応部への注入試薬の成分が異なって制御されることにより、所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用。
- 各反応部ごとに異なった項目で複数項目解析を行うための、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、核酸、ペプチド、タンパク質、抗原および抗体からなる群より選択される標的物質を含む被検試料を反応させることにより、各反応部毎に所望の被検試料について所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用。
- 請求項13または14に記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、前記注入試薬または被検試料が蛍光標識されていることを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用。
- 請求項12〜15のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、各反応部毎に反応条件を制御することにより、各反応部毎に異なる被検試料を反応させ、各反応部毎に所望の被検試料について所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用。
- 請求項12〜15のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、各反応部毎に反応条件を制御することにより、各反応部に同一個体由来の被検試料を反応させ、各反応部毎に所望の項目の解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用。
- 請求項12〜17のいずれか一項に記載のプローブ固相化反応アレイの使用であって、自動化装置によって解析を行うことを特徴とするプローブ固相化反応アレイの使用。
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