JP2004301557A - 観察対象物の加工方法及び微細加工方法 - Google Patents

観察対象物の加工方法及び微細加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】観察対象物に膜を形成する時間を短縮できる観察対象物の加工方法及び微細加工方法を提供する。
【解決手段】観察対象物であるスライダ107のエアベアリング面109上の異物Dを観察するために、エアベアリング面109に異物Dを含む観察領域117を想定する。そして、観察領域117を第1の保護膜121で覆う。続いて、観察領域117の周辺をFIB加工により除去する。続いて、プローブ129の先端部129aを第1の保護膜121に接触させ、第1の保護膜121の観察領域117を覆う部分とプローブ129の先端部129aとを第2の保護膜131で覆う。そして、プローブ129を移動することにより、微小サンプル127をスライダ107から取り出す。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、観察対象物の加工方法及び微細加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
観察対象物の内部状態や表面状態などを観察・解析する方法としては、観察対象物の微小部分をサンプルとして切り出し、このサンプルを透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、以下TEMという)などを用いて観察・解析する方法がある。この方法は、例えば非特許文献1に開示されている。この方法では、まず観察対象物において観察したい部分を確認し、観察領域を想定する。そして、観察領域を保護する保護膜を形成した後、観察領域周辺を収束イオンビーム(Focused Ion Beam、以下FIBという)加工により除去する。続いて、プローブを保護膜上に固定し、観察対象物の観察領域を含む微小部分をサンプルとして切り出す。最後に、プローブを移動することによりサンプルを観察用の台に移し、サンプルをFIB加工によって薄膜化した後、観察領域の断面をTEMなどを用いて観察し、解析する。
【0003】
【非特許文献1】
平坂雅男・朝倉健太郎共編「FIB・イオンミリング技法Q&A」アグネ承風社p32、p44、及びp73
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した方法においては、観察領域周辺の除去及びサンプルの薄膜化の際に行うFIB加工に対して観察領域を充分に保護できる厚さの保護膜を最初に形成しており、この保護膜形成のために一定の時間を必要とする。また、プローブをサンプルに固定する際にも膜を用いるため、この膜形成にも一定の時間を必要とする。このように、上記した方法では、観察対象物への膜の形成のために長時間が必要であり非効率的であった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するために、観察対象物(加工対象物)に膜を形成する時間を短縮できる観察対象物の加工方法及び微細加工方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による観察対象物の加工方法は、観察対象物の主面上に想定された観察領域を第1の保護膜で覆う工程と、観察対象物の観察領域周辺を除去して観察領域を含むサンプルを形成する工程と、サンプルにプローブの先端部を接触させる工程と、第1の保護膜の観察領域を覆う部分及びプローブの先端部を第2の保護膜で覆う工程と、プローブを移動させることにより、サンプルを観察対象物から取り出す工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明による観察対象物の加工方法では、第1の保護膜の観察領域を覆う部分及びプローブの先端部を第2の保護膜で覆っている。すなわち、観察領域を保護するための保護膜を、第1の保護膜及び第2の保護膜に分けて形成している。そして、第2の保護膜は、プローブをサンプルに固定する機能を兼ねている。これによって、プローブをサンプルに固定するための膜を形成する時間を削減できるので、観察対象物に膜を形成する時間を短縮することができる。
【0008】
また、観察対象物の加工方法は、第1の保護膜及び第2の保護膜が、同一の材料からなることを特徴としてもよい。これによって、第1の保護膜及び第2の保護膜の互いの接着力が強固となり、プローブの先端部をサンプルにより強く固定することができる。
【0009】
また、本発明による微細加工方法は、加工対象物の主面上に想定された所定領域を第1の保護膜で覆う工程と、加工対象物の所定領域周辺を除去して所定領域を含むサンプルを形成する工程と、サンプルにプローブの先端部を接触させる工程と、第1の保護膜の所定領域を覆う部分及びプローブの先端部を第2の保護膜で覆う工程と、プローブを移動させることにより、サンプルを加工対象物から取り出す工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明による微細加工方法では、第1の保護膜の所定領域を覆う部分及びプローブの先端部を第2の保護膜で覆っている。すなわち、所定領域を保護するための保護膜を、第1の保護膜及び第2の保護膜に分けて形成している。そして、第2の保護膜は、プローブをサンプルに固定する機能を兼ねている。これによって、プローブをサンプルに固定するための膜を形成する時間を削減できるので、加工対象物に膜を形成する時間を短縮することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による観察対象物の加工方法及び微細加工方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0012】
(実施の形態)
まず、本発明による観察対象物の加工方法及び微細加工方法の実施形態を説明する前に、本実施形態において用いられるFIB装置について説明する。図1は、本実施形態に用いられるFIB装置1を示す図である。
【0013】
FIB装置1は、加工対象である観察対象物2から微小サンプルを切り出して観察・解析するための装置である。図1を参照すると、FIB装置1は、試料室3、イオン光学系5、イオン源7、ステージ9、真空排気系11、ノズル13、検出器15、及びプローブ129を備えている。また、FIB装置1は、イオン源7、ノズル13、及び検出器15を制御するための制御装置17、及び制御装置17に接続された表示装置19をさらに備えている。
【0014】
試料室3は、観察対象物2の周囲を真空状態とするための容器である。試料室3の内部は密閉されており、真空排気系11によって内部の空気が排出されて真空状態となる。また、試料室3には観察対象物2を載置するステージ9と、微小サンプルを移動するためのプローブ129が設けられている。
【0015】
試料室3の上方には、観察対象物2にイオンビームIを照射するためのイオン光学系5が設けられている。イオンビームIは、微小サンプルを保護するデポジション膜の形成、並びに微小サンプルの切り出し(スパッタエッチング)及び観察に用いられる。図2は、イオン光学系5を示す図である。図2を参照すると、イオン光学系5は、イオン源7、サプレッサー23、引出し電極25、第1のレンズ27、絞り29、非点補正電極31、第2のレンズ33、及び偏向電極35を備えている。
【0016】
イオン源7は、イオンを発生するための装置である。イオンとしては、例えばGaイオンが用いられる。イオン源7には、電源37の正電極が接続されており、電気的ポテンシャルを付与されている。なお、電源37の負電極は接地されている。また、サプレッサー23には電源41の正電極が接続され、引出し電極25には電源39の負電極が接続されている。電源41の負電極及び電源39の正電極は、電源37の正電極に接続されている。こうしてサプレッサー23及び引出し電極25に印加された電圧によって、イオン源7からイオンが引き出される。
【0017】
イオン源7から引き出されたイオンは、第1のレンズ27、絞り29、非点補正電極31、及び第2のレンズ33によってビーム状に収束され、イオンビームIとなる。イオンビームIは、偏向電極35によって向きを変えられて、試料室3にセットされた観察対象物2の主面2aに照射される。
【0018】
再び図1を参照すると、ノズル13がその出射口を観察対象物2へ向けて設けられている。ノズル13は、観察対象物2の観察領域をイオンビームIから保護するためのデポジション膜を観察対象物2の観察領域上に形成するための装置である。ノズル13は、出射口からデポジションガスGを噴射する。
【0019】
ここで、図3は、デポジション膜を形成する過程を示す図である。なお、以下に説明するデポジション膜の形成方法は、イオンビームアシステッド法、あるいはFIB−CVD法と呼ばれる。図3を参照すると、観察対象物2の主面2aに、ノズル13からデポジションガスGが噴射されている。そこへ、イオン光学系5によりイオンビームIを照射する。すると、主面2a上においてイオンビームIによりデポジションガスGが分解され、主面2a上に分解された成分が到達する。ここで、イオンビームIは、イオン光学系5の偏向電極35(図2を参照)により徐々に偏向され、観察対象物2の主面2a上を走査(スキャン)する。こうして、デポジション膜43が形成される。なお、デポジション膜43としては様々な材料を用いることが可能である。一例としては、W、C、Pt、Auなどが挙げられる。また、例えばCからなるデポジション膜43を形成する場合には、デポジションガスGとしてピレン等が用いられる。
【0020】
再び図1を参照すると、検出器15がその入射口を観察対象物2に向けて設けられている。検出器15は、観察対象物2の主面2aにイオンビームIを照射することにより発生する2次電子を検出するための装置である。FIB装置1では、観察対象物2の表面をイオンビームIにより走査し、発生した2次電子を検出器15により検出することによって観察対象物2の主面2aの表面形状を観察することができる(Scanning Ion Microscope、SIMと呼ばれる)。検出器15により検出された2次電子は制御装置17によって解析されて、観察対象物2の主面2aの表面形状が求められ、表示装置19に表示される。
【0021】
次に、本実施形態における観察対象物について説明する。本実施形態では、情報処理装置などに用いられるハードディスク装置が有するスライダを観察対象物とし、このスライダに付着した微小な異物を含む領域を観察領域とする。図4は、ハードディスク装置の構成を示す斜視図である。ハードディスク装置100は、ヘッドジンバルアセンブリ103を作動させて、高速回転するハードディスク101の記録面101aに、薄膜磁気ヘッド105によって磁気情報(磁気信号)を記録及び再生するものである。ヘッドジンバルアセンブリ103は、薄膜磁気ヘッド105が形成されたスライダ(磁気ヘッドスライダ)107を搭載したジンバル111と、これが接続されたサスペンションアーム113とを備え、支軸115まわりに回転可能となっている。ヘッドジンバルアセンブリ103を回転させると、スライダ107は、ハードディスク101の半径方向を横切る方向に移動する。
【0022】
図5は、スライダ107の斜視拡大図である。スライダ107は、AlTiCからなり、略直方体形状を呈している。また、スライダ107の基台107aの先端面上に薄膜磁気ヘッド105が形成されている。薄膜磁気ヘッド105は、図示しないオーバーコート層によって保護されている。図5における手前側の面は、ハードディスク101の記録面101aに対向する面であり、エアベアリング面(ABS:Air Bearing Surface)109と称されるものである。ハードディスク101が回転する際、この回転に伴う空気流によってスライダ107が浮上し、エアベアリング面109はハードディスク101の記録面101aから隔離する。このとき、エアベアリング面109とハードディスク101の記録面101aとの間隔はわずかであり、微小な異物、例えば最大径が0.5μm以下の異物がエアベアリング面109に付着すると上記した動作に支障をきたす。従って、このような微小な異物をTEM、FIB、SEMなどによって観察・解析することが必要となる。本実施形態では、このようにスライダ107のエアベアリング面109に付着した微小な異物を含む領域を所定の観察領域として想定する。
【0023】
図6〜図10は、上記したFIB装置1を用いて、スライダ107から微小な異物が付着した部分を微小サンプルとして切り出して観察・解析する方法を説明するための図である。
【0024】
図6(a)は、スライダ107のエアベアリング面109の一部を拡大した図である。また、図6(b)は、図6(a)に示されたスライダ107のI−I断面を示す断面図である。FIB装置1にスライダ107をセットした後、検出器15によりエアベアリング面109を観察しながら異物Dを探し当てる。以下において、異物Dを含む領域を所定の観察領域117として説明する。なお、異物Dの断面を観察したいときは、図6(a)に示されるように観察領域117の幅を異物Dの径より細く想定するとよい。そして、後の工程において切り出した微小サンプルを観察領域117の幅に基づいて薄膜化することにより、異物Dの断面を観察することができる。
【0025】
次に、図6(c)及び(d)に示されるように、観察領域117の位置を示すための目印119を観察領域117の近傍に形成する。目印119の形成方法としては、例えばFIB装置1のイオン光学系5からイオンビームI(図1参照)を照射して、観察領域117近傍の所望の位置に溝状の目印119を形成するとよい。あるいは、デポジションガスGを噴射しながらイオンビームIを観察領域117近傍の所望の位置に照射してデポジション膜を形成し、このデポジション膜を目印119としてもよい。
【0026】
続いて、図6(e)及び(f)に示されるように、スライダ107のエアベアリング面109における観察領域117を覆う領域に、デポジションガスGを噴射するとともにイオンビームIを照射してデポジション膜からなる第1の保護膜121を形成する。この第1の保護膜121は、微小サンプルの一部をなし、微小サンプルを切り出す際にイオンビームIによって微小サンプルが損傷しないように微小サンプルを保護するための保護膜となる。後の工程においてこの第1の保護膜121の上にさらに第2の保護膜を形成するので、第1の保護膜121の厚さは、後述する観察領域117の周辺を除去する工程において観察領域117を保護できる程度(例えば0.5μm程度)であればよい。なお、第1の保護膜121の大きさは、観察領域117を覆うのに充分な大きさとするとよい。例えば、第1の保護膜121を長さ10〜20μm、幅2〜4μmに形成する。
【0027】
続いて、図7(a)及び(b)に示されるように、観察領域117の長手方向と交差する方向の遠方から観察領域117に近づくに従って階段状に深くなるようにスライダ107のエアベアリング面109をイオンビームIにより除去して、階段状の溝125aを形成する。このとき、目印119に基づいて観察領域117の位置を認識しながら溝125aを形成する。階段状に除去するのは、後の工程においてイオンビームIが微小サンプルの底面を斜め方向から切ることができるようにするためである。こうして、微小サンプルの前面が形成される。
【0028】
続いて、図7(c)及び(d)に示されるように、観察領域117の周囲をイオンビームIにより除去して、溝125bを形成する。こうして、微小サンプル127の背面及び両側面が形成される。このとき、微小サンプル127の周囲の一部を連結部分128として残す。続いて、図7(e)及び(f)に示されるように、微小サンプル127の底部をイオンビームIにより斜め方向から除去する。こうして、微小サンプル127の底面が形成される。
【0029】
続いて、図8(a)〜(e)は、微小サンプル127にプローブ129の先端部129aを接触させる工程と、第1の保護膜121の観察領域117を覆う部分及びプローブ129の先端部129aを第2の保護膜131で覆う工程とを説明するための図である。図8(a)は、観察領域117を含むスライダ107のエアベアリング面109を示す図である。また、図8(b)は、図8(a)に示されたスライダ107のII−II断面を示す断面図である。なお、前述したように、微小サンプル127は第1の保護膜121を有している。図8(a)及び(b)に示されるように、微小サンプル127を取り出すためのプローブ129を微小サンプル127に固定するために、プローブ129の先端部129aを微小サンプル127の第1の保護膜121の上面に接触させる。このとき、プローブ129の先端部129aを接触させる位置は、微小サンプル127の表面上であればどこでも可能である。後の工程で微小サンプル127を観察領域117の厚さまで薄膜化することを考慮して、プローブ129の先端部129aを微小サンプル127の端部に接触させればより好適である。
【0030】
続いて、図8(c)〜(e)に示されるように、プローブ129の先端部129aと第1の保護膜121とをデポジション膜からなる第2の保護膜131で覆う。ここで、図8(e)は、図8(c)に示されたスライダ107のIII−III断面を示す断面図である。このとき、第2の保護膜131を、第1の保護膜121の観察領域117を覆う部分とプローブ129の先端部129aとを覆うように形成する。こうして、第2の保護膜131は、プローブ129の先端部129aと微小サンプル127とを互いに固定する。なお、プローブ129をより強固に微小サンプル127に固定するために、第2の保護膜131を、第1の保護膜121と同じ材料により形成するとよい。
【0031】
また、第2の保護膜131は、前述した観察領域117の周辺を除去する工程(図7(a)〜(d)参照)において第1の保護膜121が削られた分の保護膜を補う。すなわち、本実施形態では、スライダ107がイオンビームIに対して硬いAlTiCからなるので、FIB加工に長時間を要する。このため、観察領域117の周辺を除去する工程において、第1の保護膜121がイオンビームIが回り込むことによって削られる。第2の保護膜131は、第1の保護膜121のイオンビームIにより削られた部分を補う。
【0032】
また、第2の保護膜131は、後述する微小サンプル127を薄膜化する工程において観察領域117を保護する。すなわち、既に形成されている第1の保護膜121は、観察領域117の周辺を除去する工程において観察領域117を保護できる程度の厚さに形成されているので、微小サンプル127を薄膜化する工程において観察領域117を保護するのに充分な厚さを有していない。従って、第2の保護膜131を第1の保護膜121の観察領域117を覆う部分に追加して形成することにより、微小サンプル127を薄膜化する工程において観察領域117をイオンビームIから保護する。なお、第2の保護膜131の厚さは、微小サンプル127を薄膜化する工程において観察領域117を充分に保護できるとともに、プローブ129を充分な強度で固定できる厚さ(例えば0.5〜1.0μm)とする。また、第2の保護膜131の大きさとしては、例えば長さ15μm、幅3〜4μmに形成する。
【0033】
続いて、図9(a)〜(c)に示されるように、図8(c)及び(d)に示された連結部分128をイオンビームIにより除去して、微小サンプル127を取り出す。このとき、微小サンプル127に固定されたプローブ129を操作することにより、微小サンプル127を移動させる。
【0034】
続いて、図9(d)及び(e)に示されるように、微小サンプル127を支持台21上に固定する。なお、図9(e)は、図9(d)に示された微小サンプル127のIV−IV断面を示す断面図である。このとき、微小サンプル127が支持台21に接するように微小サンプル127を移動し、デポジション膜135を微小サンプル127の一側面上から支持台21上にわたって形成する。加えて、デポジション膜133を微小サンプル127の背面上から支持台21上にわたって形成する。このデポジション膜133及び135により、微小サンプル127が支持台21上に固定される。そして、プローブ129をイオンビームIにより切断する。
【0035】
続いて、図9(f)及び(g)に示されるように、微小サンプル127の前面及び背面の近傍部分をイオンビームIにより除去して、微小サンプル127を観察領域117の幅まで薄膜化する。こうして、スライダ107及び異物Dの断面をTEMにより観察するための薄膜部分127aが形成される。なお、この薄膜化は、微小サンプル127の前面及び背面のいずれか一方の近傍部分を除去することにより行ってもよい。
【0036】
図10は、微小サンプル127の薄膜部分127aを観察するためのTEM50を示す図である。TEM50は、電子発生装置51、及び検出装置53を備えている。微小サンプル127の薄膜部分127aは、電子発生装置51と検出装置53との間にセットされる。電子発生装置51は電子銃及び集束レンズなどから構成されており、薄膜部分127aに電子ビームE1を照射する。そして、電子ビームE1のうち薄膜部分127aを透過することができた電子が、電子ビームE2として検出装置53に入射する。検出装置53は、対物レンズ、投影レンズ、及び蛍光スクリーンなどから構成されており、電子ビームE2に基づいて蛍光スクリーン上に像を形成する。こうして、薄膜部分127aの像が得られ、例えば異物Dの組成などを観察・解析することができる。
【0037】
以上に説明した本実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法は、以下の効果を有する。すなわち、本実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法では、所定の観察領域117を保護するための保護膜を、第1の保護膜121及び第2の保護膜131に分けて形成している。そして、第2の保護膜131は、プローブ129を微小サンプル127に固定するための機能を兼ねている。これによって、従来必要であった、プローブ129を微小サンプル127に固定するための膜を形成する時間を削減できるので、観察対象物に膜を形成する時間を短縮することができる。
【0038】
ここで、図13(a)〜(c)は、従来の観察対象物の加工方法においてプローブ129を微小サンプル127に固定する工程を示す図である。なお、図13(b)は、図13(a)に示されたスライダ107のV−V断面を示す断面図である。また、図13(c)は、図13(a)に示されたスライダ107のVI−VI断面を示す断面図である。図13(a)〜(c)を参照すると、従来の観察対象物の加工方法では、プローブ129を微小サンプル127に固定するためのデポジション膜132を、プローブ129の先端部129aと保護膜122の一部とを覆うように形成している。つまり、デポジション膜132はプローブ129を微小サンプル127に固定するためだけに形成されている。
【0039】
また、従来の観察対象物の加工方法では、観察領域117を保護するための保護膜122が厚く形成されている。これは、観察領域117の周辺を除去する工程と微小サンプル127を薄膜化する工程との両方の工程において、保護膜122がイオンビームIの回り込みにより削られることを考慮しているためである。また、観察領域117周辺を除去する作業に長時間を要する場合などには、削られた保護膜122を補うために保護膜を追加して形成する場合もある。
【0040】
このように、従来の観察対象物の加工方法では、観察領域117の周辺を除去する工程及び微小サンプル127を薄膜化する工程の両方において観察領域117を充分に保護できる厚さの保護膜122を形成する必要があり、この保護膜122を形成するために一定の時間を必要とする。また、プローブ129を微小サンプル127に固定するためのデポジション膜132を形成する時間も必要となる。従って、従来の観察対象物の加工方法では、観察領域117を保護する保護膜122、及びプローブ129を微小サンプル127に固定するデポジション膜132などの膜の形成のために長時間が必要であり非効率的であった。
【0041】
これに対し、本実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法では、微小サンプル127を薄膜化する工程において観察領域117を保護するために、第2の保護膜131が観察領域117を覆うように形成されている。従って、第1の保護膜121を形成する際に微小サンプル127を薄膜化する工程まで考慮した厚さに形成する必要がなく、第1の保護膜121を形成する時間を短縮できる。また、微小サンプル127を薄膜化する工程において観察領域117を保護するための保護膜と、プローブ129を固定するための膜とを第2の保護膜として同時に形成するので、これらを個別に形成する方法に比べて膜形成時間を短縮できる。すなわち、本実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法によれば、観察対象物に膜を形成する時間を短縮することができる。
【0042】
また、本実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法によれば、プローブ129の固定強度を高めることができる。すなわち、図13(a)〜(c)に示された従来の観察対象物の加工方法では、デポジション膜132と保護膜122とが互いに接する面積が少ないので、プローブ129及び微小サンプル127を互いに固定するための強度が不足し、作業中にプローブ129と微小サンプル127とが外れる場合がある。これに対して、本実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法によれば、第1の保護膜121と第2の保護膜131とが互いに接する面積が広くなるので、プローブ129及び微小サンプル127を互いに固定するための強度を高めることができる。
【0043】
また、プローブ129は使用するたびに先端部129aが切り落とされるので、特に図8(b)に示されるようにプローブ129がテーパ状を呈している場合、使用を繰り返すに従い先端部129aが太くなってくる。プローブ129の先端部129aが太くなると、プローブ129及び微小サンプル127を固定する際に充分な強度をもたせることが次第に困難となる。このような場合でも、本実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法によれば、プローブ129及び微小サンプル127を充分な強度で互いに固定することができる。
【0044】
また、本実施形態による観察対象物の加工方法は、第1の保護膜121及び第2の保護膜131が、同一の材料により形成されている。これによって、第1の保護膜121及び第2の保護膜131の互いの接着力が強固となり、プローブ129の先端部129aを微小サンプル127により強く固定することができる。
【0045】
図11は、本実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法の変形例を示す図である。図11に示される工程は、微小サンプル127にプローブ129の先端部129aを接触させ、第1の保護膜121の観察領域117を覆う部分及びプローブ129の先端部129aを第2の保護膜131で覆う工程である(図8参照)。本変形例では、プローブ129の先端部129aを、微小サンプル127の表面のうち第1の保護膜121ではない表面に接触させ、第2の保護膜131で覆っている。このように、プローブ129の先端部129aを微小サンプル127のどの位置に接触させてもよい。例えば、プローブ129の先端部129aをエアベアリング面109に対して垂直な方向から微小サンプル127の側面付近に差し入れて該側面に接触させ、第2の保護膜131で覆う方法なども可能である。
【0046】
(実施例)
図12(a)及び(b)は、上記した実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法の実施例を示す写真である。図12(a)は、観察領域117の周辺を除去する工程(図7(c)及び(d)参照)の直後を示す写真である。この写真では、第1の保護膜121がイオンビームIの回り込みによって削られ、薄くなっている。なお、観察領域117周辺の斑模様は、イオンビームIの回り込みによってエアベアリング面109が損傷したものである。また、図12(b)は、第2保護膜131を形成する工程(図8(c)〜(e)参照)の直後を示す写真である。図12(b)を参照すると、第1の保護膜121の観察領域117を覆う部分とプローブ129の先端部129aとを第2の保護膜131で覆っていることがわかる。
【0047】
本発明による観察対象物の加工方法及び微細加工方法は、上記した実施形態及び実施例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記した実施形態ではAlTiCからなるスライダ107を観察対象物としたが、これ以外にも様々なものを観察対象物とすることができる。特に、イオンビームIに対して硬い材料(例えばAl、TiC、BNなど)からなる観察対象物は、FIB加工に時間がかかるので保護膜を厚く形成する必要がある。このようにイオンビームIに対して硬い材料からなる観察対象物に対しては、本発明による観察対象物の加工方法及び微細加工方法を用いることによって膜の形成時間を効果的に短縮することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明による観察対象物の加工方法及び微細加工方法によれば、観察対象物に膜を形成する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、FIB装置を示す図である。
【図2】図2は、イオン光学系を示す図である。
【図3】図3は、デポジション膜を形成する過程を示す図である。
【図4】図4は、ハードディスク装置の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、スライダの斜視拡大図である。
【図6】図6(a)〜(f)は、FIB装置を用いて、スライダから微小な異物が付着した部分を微小サンプルとして切り出して観察・解析する方法を説明するための図である。
【図7】図7(a)〜(f)は、FIB装置を用いて、スライダから微小な異物が付着した部分を微小サンプルとして切り出して観察・解析する方法を説明するための図である。
【図8】図8(a)〜(e)は、FIB装置を用いて、スライダから微小な異物が付着した部分を微小サンプルとして切り出して観察・解析する方法を説明するための図である。
【図9】図9(a)〜(f)は、FIB装置を用いて、スライダから微小な異物が付着した部分を微小サンプルとして切り出して観察・解析する方法を説明するための図である。
【図10】図10は、微小サンプルの薄膜部分を観察するためのTEMを示す図である。
【図11】図11は、本実施形態による観察対象物の加工方法及び微細加工方法の変形例を示す図である。
【図12】図12(a)及び(b)は、観察対象物の加工方法及び微細加工方法の実施例を示す写真である。
【図13】図13(a)〜(c)は、従来の観察対象物の加工方法においてプローブを微小サンプルに固定する工程を示す図である。
【符号の説明】
1…FIB装置、2…観察対象物、2a…主面、3…試料室、5…イオン光学系、7…イオン源、9…ステージ、11…真空排気系、13…ノズル、15…検出器、17…制御装置、19…表示装置、21…支持台、23…サプレッサー、25…電極、27…レンズ、31…非点補正電極、33…レンズ、35…偏向電極、37、39、41…電源、43…デポジション膜、50…TEM、51…電子発生装置、53…検出装置、100…ハードディスク装置、101…ハードディスク、101a…記録面、103…ヘッドジンバルアセンブリ、105…薄膜磁気ヘッド、107…スライダ、107a…基台、109…エアベアリング面、111…ジンバル、113…サスペンションアーム、115…支軸、117…観察領域、119…目印、121…第1の保護膜、125a、125b…溝、127a…薄膜部分、127…微小サンプル、128…連結部分、129…プローブ、129a…先端部、131…第2の保護膜、133、135…デポジション膜。

Claims (3)

  1. 観察対象物の主面上に想定された観察領域を第1の保護膜で覆う工程と、
    前記観察対象物の前記観察領域周辺を除去して前記観察領域を含むサンプルを形成する工程と、
    前記サンプルにプローブの先端部を接触させる工程と、
    前記第1の保護膜の前記観察領域を覆う部分及び前記プローブの前記先端部を第2の保護膜で覆う工程と、
    前記プローブを移動させることにより、前記サンプルを前記観察対象物から取り出す工程と
    を備えることを特徴とする観察対象物の加工方法。
  2. 前記第1の保護膜及び前記第2の保護膜が、同一の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の観察対象物の加工方法。
  3. 加工対象物の主面上に想定された所定領域を第1の保護膜で覆う工程と、
    前記加工対象物の前記所定領域周辺を除去して前記所定領域を含むサンプルを形成する工程と、
    前記サンプルにプローブの先端部を接触させる工程と、
    前記第1の保護膜の前記所定領域を覆う部分及び前記プローブの前記先端部を第2の保護膜で覆う工程と、
    前記プローブを移動させることにより、前記サンプルを前記加工対象物から取り出す工程と
    を備えることを特徴とする微細加工方法。
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