JP2004301322A - 磁気軸受装置及び該磁気軸受装置を搭載したターボ分子ポンプ - Google Patents

磁気軸受装置及び該磁気軸受装置を搭載したターボ分子ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】 電磁石を励磁駆動するアンプ回路の素子数を減らすとともに、電磁石とアンプ回路との間を結ぶケーブルの本数を減らし、ターボ分子ポンプの製造、設置等に必要なコストを減少させることのできる磁気軸受装置及び該磁気軸受装置を搭載したターボ分子ポンプを提供する。
【解決手段】 電磁石巻線151は、その一端が共通ノードRに接続されている。また、その他端は、1つのトランジスタ411と1つのダイオード415とから構成されるアンプ回路410に接続されている。そして、電磁石巻線151の一端は、各電磁石において共通となっており、この共通ノードRは、中間電圧維持回路451により、中間電圧Vcを維持するように制御されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は磁気軸受装置及び該磁気軸受装置を搭載したターボ分子ポンプに係わり、特に、電磁石を励磁駆動するアンプ回路の素子数を減らすとともに、電磁石とアンプ回路との間を結ぶケーブルの本数を減らし、ターボ分子ポンプの製造、設置等に必要なコストを減少させることのできる磁気軸受装置及び該磁気軸受装置を搭載したターボ分子ポンプに関する。
近年のエレクトロニクスの発展に伴い、メモリや集積回路といった半導体の需要が急激に増大している。
これらの半導体は、極めて純度の高い半導体基板に不純物をドープして電気的性質を与えたり、半導体基板上に微細な回路パターンを形成し、これを積層するなどして製造される。
そして、これらの作業は空気中の塵等による影響を避けるため高真空状態のチャンバ内で行われる必要がある。このチャンバの排気には、一般に真空ポンプが用いられているが、特に残留ガスが少なく、保守が容易である等の点からターボ分子ポンプが多用されている。
また、半導体の製造工程では、さまざまなプロセスガスを半導体の基板に作用させる工程が数多くあり、ターボ分子ポンプはチャンバ内を真空にするのみならず、これらのプロセスガスをチャンバ内から排気するのにも使用される。
さらに、ターボ分子ポンプは、電子顕微鏡等の設備において、粉塵等の存在による電子ビームの屈折等を防止するため、電子顕微鏡等のチャンバ内の環境を高度の真空状態にするのにも用いられている。
そして、このようなターボ分子ポンプは、半導体製造装置や電子顕微鏡等のチャンバからガスを吸引排気するためのターボ分子ポンプ本体と、このターボ分子ポンプ本体を制御する制御装置とから構成されている。
ターボ分子ポンプ本体の縦断面図を図14に示す。
図14において、ターボ分子ポンプ本体100は、円筒状の外筒127の上端に吸気口101が形成されている。そして、外筒127の内方には、ガスを吸引排気するためのタービンブレードによる複数の回転翼102a、102b、102c・・・を周部に放射状かつ多段に形成した回転体103が備えられている。
この回転体103の中心にはロータ軸113が取り付けられており、このロータ軸113は、例えば5軸制御の磁気軸受により空中に浮上支持かつ位置制御されている。
上側径方向電磁石104は、4個の電磁石がX軸とY軸にかつ+方向と−方向に、それぞれの対をなして配置されている(図示しないが、必要に応じて電磁石104X+、104X−、104Y+、104Y−という)。そして、この上側径方向電磁石104に近接かつ対応されて4個の電磁石からなる上側径方向センサ107が備えられている。この上側径方向センサ107は回転体103の径方向変位を検出し、制御装置200(図15に示す)に送るように構成されている。
そして、この制御装置200においては、上側径方向センサ107が検出した変位信号に基づき、PID調節機能を有する磁気軸受制御回路201により上側径方向電磁石104を励磁制御し、ロータ軸113の上側の径方向位置を調整する。
そして、このロータ軸113は、高透磁率材(鉄など)などにより形成され、上側径方向電磁石104の磁力により吸引されるようになっている。かかる調整は、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ独立して行われる。
また、下側径方向電磁石105及び下側径方向センサ108は、上側径方向電磁石104及び上側径方向センサ107と同様に配置され、ロータ軸113の下側の径方向位置を上側の径方向位置と同様に調整している(下側径方向電磁石105についても、必要に応じて電磁石105X+、105X−、105Y+、105−という)。
さらに、軸方向電磁石106A、106Bは、ロータ軸113の下部に備えた円板状の金属ディスク111を上下に挟んで配置されている。金属ディスク111は、鉄などの高透磁率材で構成されている。ロータ軸113の軸方向変位を検出するために軸方向センサ109が備えられ、その軸方向変位信号が制御装置200に送られるように構成されている。
そして、軸方向電磁石106A、106Bは、この軸方向変位信号に基づき、PID調節機能を有する磁気軸受制御回路201により、励磁制御されるようになっている。軸方向電磁石106Aは、磁力により金属ディスク111を上方に吸引し、軸方向電磁石106Bは、金属ディスク111を下方に吸引する。
このように、軸方向電磁石106A、106Bが金属ディスク111に及ぼす磁力を適当に調節することで、ロータ軸113は軸方向に磁気浮上され、かつ空間に非接触で保持されるようになっている。
なお、この磁気軸受制御回路201に関しては、後述にて、さらに詳細に説明する。
一方、モータ121は、ロータ軸113を取り囲むように周状に配置された複数の磁極を備えている。各磁極は、ロータ軸113との間に作用する電磁力を介してロータ軸113を回転駆動するように、制御装置200によって制御されている。
また、モータ121には図示しない回転数センサが組み込まれており、この回転数センサの検出信号によりロータ軸113の回転数が検出されるようになっている。
さらに、例えば下側径方向センサ108近傍に、図示しない位相センサが取り付けてあり、ロータ軸113の回転の位相を検出するようになっている。制御装置200では、この位相センサと回転数センサの検出信号を共に用いて磁極の位置を検出するようになっている。
回転翼102a、102b、102c・・・とわずかの空隙を隔てて複数枚の固定翼123a、123b、123c・・・が配設されている。回転翼102a、102b、102c・・・は、それぞれ排気ガスの分子を衝突により下方向に移送するため、ロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成されている。
また、固定翼123も、同様にロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成され、かつ外筒127の内方に向けて回転翼102の段と互い違いに配設されている。
そして、固定翼123の一端は、複数の段積みされた固定翼スペーサ125a、125b、125c・・・の間に嵌挿された状態で支持されている。
固定翼スペーサ125はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
固定翼スペーサ125の外周には、わずかの空隙を隔てて外筒127が固定されている。外筒127の底部にはベース部129が配設され、固定翼スペーサ125の下部とベース部129の間にはネジ付きスペーサ131が配設されている。そして、ベース部129中のネジ付きスペーサ131の下部には排気口133が形成され、外部に連通されている。
ネジ付きスペーサ131は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、又はこれらの金属を成分とする合金などの金属によって構成された円筒状の部材であり、その内周面に螺旋状のネジ溝131aが複数条刻設されている。
ネジ溝131aの螺旋の方向は、回転体103の回転方向に排気ガスの分子が移動したときに、この分子が排気口133の方へ移送される方向である。
回転体103の回転翼102a、102b、102c・・・に続く最下部には回転翼102dが垂下されている。この回転翼102dの外周面は、円筒状で、かつネジ付きスペーサ131の内周面に向かって張り出されており、このネジ付きスペーサ131の内周面と所定の隙間を隔てて近接されている。
ベース部129は、ターボ分子ポンプ本体100の基底部を構成する円盤状の部材であり、一般には鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属によって構成されている。
ベース部129はターボ分子ポンプ本体100を物理的に保持すると共に、熱の伝導路の機能も兼ね備えているので、鉄、アルミニウムや銅などの剛性があり、熱伝導率も高い金属が使用されるのが望ましい。
かかる構成において、回転翼102がモータ121により駆動されてロータ軸113と共に回転すると、回転翼102と固定翼123の作用により、吸気口101を通じてチャンバからの排気ガスが吸気される。
吸気口101から吸気された排気ガスは、回転翼102と固定翼123の間を通り、ベース部129へ移送される。このとき、排気ガスが回転翼102に接触する際に生ずる摩擦熱や、モータ121で発生した熱の伝導などにより、回転翼102の温度は上昇するが、この熱は、輻射又は排気ガスの気体分子などによる伝導により固定翼123側に伝達される。
固定翼スペーサ125は、外周部で互いに接合しており、固定翼123が回転翼102から受け取った熱や排気ガスが固定翼123に接触する際に生ずる摩擦熱などを外部へと伝達する。
ベース部129に移送されてきた排気ガスは、ネジ付きスペーサ131のネジ溝131aに案内されつつ排気口133へと送られる。
なお、上記では、ネジ付きスペーサ131は回転翼102dの外周に配設し、ネジ付きスペーサ131の内周面にネジ溝131aが刻設されているとして説明した。しかしながら、これとは逆に回転翼102dの外周面にネジ溝が刻設され、その周囲に円筒状の内周面を有するスペーサが配置される場合もある。
また、吸気口101から吸引されたガスがモータ121、下側径方向電磁石105、下側径方向センサ108、上側径方向電磁石104、上側径方向センサ107などで構成される電装部側に侵入することのないよう、電装部は周囲をステータコラム122で覆われ、この電装部内はパージガスにて所定圧に保たれている。
このため、ベース部129には図示しない配管が配設され、この配管を通じてパージガスが導入される。導入されたパージガスは、保護ベアリング120とロータ軸113間、モータ121のロータとステータ間、ステータコラム122と回転翼102間の隙間を通じて排気口133へ送出される。
ここに、ターボ分子ポンプ本体100は、個々に調整された固有のパラメータ(例えば、機種の特定、機種に対応する諸特性)に基づいた制御を要する。この制御パラメータを格納するために、上記ターボ分子ポンプ本体100は、その本体内に電子回路部141を備えている。電子回路部141は、EEP−ROM等の半導体メモリ及びそのアクセスのための半導体素子等の電子部品、その実装用の基板143等から構成される。
この電子回路部141は、ターボ分子ポンプ本体100の下部を構成するベース部129の中央付近の図示しない回転数センサの下部に収容され、気密性の底蓋145によって閉じられている。
ところで、プロセスガスは、反応性を高めるため高温の状態でチャンバに導入されることがある。そして、これらのプロセスガスは、排気される際に冷却されてある温度になると固体となり排気系に生成物を析出する場合がある。そして、この種のプロセスガスがターボ分子ポンプ本体100内で低温となって固体状となり、ターボ分子ポンプ本体100内部に付着して堆積する。
例えば、Alエッチング装置にプロセスガスとしてSiCl4が使用された場合、低真空(760[torr]〜10-2[torr])かつ、低温(約20[℃])のとき、固体生成物(例えばAlCl3)が析出し、ターボ分子ポンプ本体100内部に付着堆積することが蒸気圧曲線からわかる。これにより、ターボ分子ポンプ本体100内部にプロセスガスの析出物が堆積すると、この堆積物がポンプ流路を狭め、ターボ分子ポンプ本体100の性能を低下させる原因となる。そして、前述した生成物は排気口付近の温度が低い部分、特に回転翼102及びネジ付きスペーサ131付近で凝固、付着し易い状況にあった。
そのため、この問題を解決するために、従来はベース部129等の外周に図示しないヒータや環状の水冷管149を巻着させ、かつ例えばベース部129に図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)を埋め込み、この温度センサの信号に基づきベース部129の温度を一定の高い温度(設定温度)に保つようにヒータの加熱や水冷管149による冷却の制御(以下TMSという。TMS;Temperature Management System)が行われている。
次に、このように構成されるターボ分子ポンプ本体100及び制御装置200に関し、上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bを励磁駆動する磁気軸受制御回路201について、詳細に説明する。
磁気軸受制御回路及び制御回路の構成図を図15に示す。
図15において、制御装置200は、上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105等の各電磁石に対応して設けられた磁気軸受制御回路201を備えている。そして、磁気軸受が5軸制御の場合には、制御装置200内に10個の磁気軸受制御回路201が存在している(全ては図示せず)。
ここに、磁気軸受制御回路201においては、そのPID制御回路203に上側径方向センサ107等からの変位信号が入力されるようになっている。そして、PID制御回路203では、入力された変位信号に対してPID制御を行い、上側径方向電磁石104の駆動に必要な電流値(以下、電流指令値という)を電流指令信号として電流誤差演算器205に出力するようになっている。
また、電流誤差演算器205では、PID制御回路203から出力された電流指令信号と、後述するアンプ回路210から出力される電磁石電流検出信号との誤差(以下、電流誤差値という)を算出するようになっている。そして、電流誤差演算器205は、この電流誤差値を電流誤差信号としてパルス制御回路207に出力するようになっている。
次に、このパルス制御回路207をアンプ回路210とともに説明する。
アンプ回路の回路図を図16に示す。
図16において、上側径方向電磁石104等の各電磁石を構成する電磁石巻線151は、その一端がトランジスタ211を介して電源221の正極221aに接続されている。また、その他端は電磁石電流検出回路231及びトランジスタ212を介して電源221の負極221bに接続されている。
ここに、トランジスタ211、212は、いわゆるN型のパワーMOSFETである。そして、トランジスタ211は、その一端であるドレイン端子211aが正極221aに接続されるとともに、その他端であるソース端子211bが電磁石巻線151の一端と接続されるようになっている。また、トランジスタ212は、その一端であるドレイン端子212aが電磁石電流検出回路231に接続されるとともに、その他端であるソース端子212bが負極221bと接続されるようになっている。
一方、電流回生用のダイオード215は、そのカソード端子215aが電磁石巻線151の一端に接続されるとともに、そのアノード端子215bが負極221bに接続されるようになっている。また、これと同様に、ダイオード216は、そのカソード端子216aが正極221aに接続されるとともに、そのアノード端子216bが電磁石電流検出回路231を介して電磁石巻線151の他端に接続されるようになっている。
そして、電磁石電流検出回路231は、例えばホールセンサ式電流センサであり、電磁石巻線151に流れる電流(以下、電磁石電流iLという)の大きさを検出し、この検出した電流値(以下、検出電流値という)を電磁石電流検出信号として電流誤差演算器205に出力するようになっている。
さらに、電源221の正極221aと負極221bとの間には、電源221の安定化のために、安定化キャパシタ223が接続されている。
なお、電磁石巻線151の一端とトランジスタ211との間(以下、ノードPという)や、電磁石巻線151の他端と電磁石電流検出回路231との間(以下、ノードQという)は、電磁石巻線151がターボ分子ポンプ本体100側の素子であるため、図15に示すように、制御装置200とターボ分子ポンプ本体100との間を接続するためのケーブル170を構成する配線となっている。
そして、以上のように構成されるアンプ回路210は、磁気軸受制御回路201が、上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105等の各電磁石に対応して設けられることを受けて、(上側径方向電磁石104以外の)他の下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bについても同様のアンプ回路210が構成されるようになっている。
一方、パルス制御回路207は、電流誤差演算器205から出力される電流誤差信号に基づいて、電磁石電流iLを増減させるべく、PWM制御による1周期である制御サイクルTs内に発生させるパルス幅の大きさ(パルス幅時間Tp1、Tp2)を決めるようになっている。この際、パルス制御回路207には、所定周期(例えば25kHz)を有する搬送波が入力されるようになっており、この搬送波の持つ周期に基づき制御サイクルTsが決められるようになっている。その結果、制御サイクルTs内に、パルス幅時間Tp1、Tp2を有する信号(以下、ゲート駆動信号という)をトランジスタ211、212のゲート端子に出力し、トランジスタ211、212のon/offを切り替えるようになっている。
かかる構成において、PID制御回路203から出力される電流指令値が電磁石電流検出回路231で検出された電流検出値より大きい場合、すなわち電磁石電流iLを増加させる場合には、図17に示すように、制御サイクルTs中で、パルス幅時間Tp1に相当する時間分だけトランジスタ211、212の両方をonにし、パルス幅時間Tp2(=Ts−Tp1)だけトランジスタ211、212の両方をoffにする。
このとき、トランジスタ211、212が両方onのときは、正極221aから負極221bへ、トランジスタ211、電磁石巻線151及びトランジスタ212を介して流れる電磁石電流iLが、電磁石巻線151に供給される(このとき電磁石電流iLは増加する)。一方、トランジスタ211、212が両方offのときは、負極221bから正極221aへ、ダイオード215、電磁石巻線151及びダイオード216を介して回生する電磁石電流iLが、電磁石巻線151に供給される(このとき電磁石電流iLは、トランジスタ211、212が両方onの場合よりも減少する)。
従って、パルス幅時間Tp1をパルス幅時間Tp2よりも長くすることで、制御サイクルTs内の電磁石電流iLが(結果的に)増加される。
一方、PID制御回路203から出力される電流指令値が電磁石電流検出回路231で検出された電流検出値より小さい場合、すなわち電磁石電流iLを減少させる場合には、上記と逆の考え方により、パルス幅時間Tp2をパルス幅時間Tp1よりも長くすることで、制御サイクルTs内における電磁石電流iLが減少される。
なお、このアンプ回路210において、トランジスタ211、212のどちらか1個をonとすることで、特許文献1に示されるように、アンプ回路210内でフライホイール電流が保持される(図示略)。
特許3176584号公報
そして、アンプ回路210内にフライホイール電流を保持することで、アンプ回路210におけるヒステリシス損を減少させ、回路全体としての消費電力を低く抑えることができる。また、このようにトランジスタ211、212を制御することで、ターボ分子ポンプ本体100に生じる高調波等の高周波ノイズを低減することができる。
ところで、上述のように、磁気軸受制御回路201は、上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105等の各電磁石に対応して配置されるものであるため、制御装置200内には10個のアンプ回路210が存在する。そして、このアンプ回路210が、1個の電磁石巻線151につき2個のトランジスタ211、212と2個のダイオード215、216が必要であることを考慮すると、全ての電磁石を励磁駆動するために、制御装置200内に20個のトランジスタとダイオードとが必要となる。
その一方で、これらのトランジスタ211、212やダイオード215、216は、いずれも電磁石巻線151に大きな電流を供給するため、その素子のサイズ(トランジスタであればチャンネル幅、ダイオードであれば接合面積)を大きくする必要がある。
従って、電磁石巻線151への十分な電流供給を可能にしつつ、アンプ回路210の小型化を図るのは困難であり、その結果として、制御装置200の小型化を図ることも困難であった。
そのため、ターボ分子ポンプ本体100及び制御装置200をクリーンルーム等に設置する場合にも、制御装置200に大きな面積が必要となってしまい、設置のためのコストが上昇するおそれがあった。
これに加え、上述のようにアンプ回路210と電磁石巻線151との間を結ぶノードP、Qは、制御装置200とターボ分子ポンプ本体100との間のケーブル170を構成する配線となっている。そして、アンプ回路210が制御装置200内に10個存在することを考慮すると、ケーブル170にはノードP、Qとして20本の配線が存在する。
従って、ケーブル170の本数を減らすことができず、ケーブル170自体のコストの低減が困難であった。
さらに、このノードP、Qの配線に関しては、電磁石巻線151への大きな電流伝送するため、その配線の径を大きくする必要がある。
そのため、ケーブル170の径の小径化も困難であり、その結果として、ケーブル170のターボ分子ポンプ本体100側の入出口となるコネクタ(図示せず)の小型化も困難であった。特に、ターボ分子ポンプ本体100側のコネクタは、ターボ分子ポンプ本体100内部の真空状態を維持しつつ、ケーブル170の入出力を可能にするという特殊性を有するため、このコネクタの小型化が困難であると、ターボ分子ポンプ全体としての製造コストの上昇に直結するおそれがあった。
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、電磁石を励磁駆動するアンプ回路の素子数を減らすとともに、電磁石とアンプ回路との間を結ぶケーブルの本数を減らし、ターボ分子ポンプの製造、設置等に必要なコストを減少させることのできる磁気軸受装置及び該磁気軸受装置を搭載したターボ分子ポンプを提供することを目的とする。
このため本発明は、回転体と、該回転体の半径方向位置及び/又は軸方向位置を電磁石により制御する位置制御手段と、第1の正極と負極との間に第1の電圧を発生する第1の電圧発生手段と、前記第1の正極と異なる第2の正極と前記負極との間に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を発生し、該第2の電圧を維持する第2の電圧発生/維持手段と、前記第2の正極から前記負極へ供給される第1の供給電流及び/又は前記第2の正極から前記第1の正極へ回生される第1の回生電流により、前記電磁石を励磁制御する第1の励磁制御手段とを備えた磁気軸受装置であって、前記第1の励磁制御手段は、前記第1の供給電流の断接を行う第1のスイッチ素子と、該第1のスイッチ素子の断接を制御する第1の制御回路と、前記第1の回生電流を該回生の向きに流す第1の整流素子とを備えて構成した。
電磁石の駆動に際し、第1のスイッチ素子を接続することで、電磁石に第2の正極から負極に向かう第1の供給電流が供給される。一方、第1のスイッチ素子を切断することで、電磁石に第2の正極から第1の正極に向かう第1の回生電流が流れる。このとき、第2の正極は、第1の励磁制御手段により電圧が下降する方向に作用される。しかし、いずれの場合であっても、第2の電圧発生/維持手段により、第2の正極は、第2の電圧に維持される。従って、第1の励磁制御手段と第2の電圧発生/維持手段の作用により、電磁石に流れる電流の増減が可能となる。
このことにより、第1の励磁制御手段を第1のスイッチ素子と第1の整流素子のみで構成しても、電磁石の励磁制御が可能となる。
そのため、第1の励磁制御手段を構成する素子が減少し、これを備えた磁気軸受装置の故障率を下げることができる。これに加え、磁気軸受装置で消費する電力や、磁気軸受装置が発する熱を減らすことができる。
なお、第2の電圧は、第1の電圧の半分程度の大きさであることが望ましい。
また、本発明は、回転体と、該回転体の半径方向位置及び/又は軸方向位置を電磁石により制御する位置制御手段と、第1の正極と負極との間に第1の電圧を発生する第1の電圧発生手段と、前記第1の正極と異なる第2の正極と前記負極との間に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を発生し、該第2の電圧を維持する第2の電圧発生/維持手段と、前記第1の正極から前記第2の正極へ供給される第2の供給電流及び/又は前記負極から前記第2の正極へ回生される第2の回生電流により、前記電磁石を励磁制御する第2の励磁制御手段とを備えた磁気軸受装置であって、前記第2の励磁制御手段は、前記第2の供給電流の断接を行う第2のスイッチ素子と、該第2のスイッチ素子の断接を制御する第2の制御回路と、前記第2の回生電流を該回生の向きに流す第2の整流素子とを備えて構成した。
電磁石の駆動に際し、第2のスイッチ素子を接続することで、電磁石に第1の正極から第2の正極に向かう第2の供給電流が供給される。一方、第2のスイッチを切断することで、電磁石に負極から第2の正極に向かう第2の回生電流が流れる。このとき、第2の正極は、第2の励磁制御手段により電圧が上昇する方向に作用される。しかし、いずれの場合であっても、第2の電圧発生/維持手段により、第2の正極は、第2の電圧に維持される。従って、第2の励磁制御手段と第2の電圧発生/維持手段の作用により、電磁石に流れる電流の増減が可能となる。
このことにより、第2の励磁制御手段を第2のスイッチ素子と第2の整流素子のみで構成しても、請求項1と同様に、電磁石の励磁制御が可能となる。
従って、磁気軸受装置の設計において、設計容易な構成を選択可能であり、かつその制御においても、制御容易な構成を選択可能となる。
さらに、本発明は、回転体と、該回転体の半径方向位置及び/又は軸方向位置を複数個の電磁石により制御する位置制御手段と、第1の正極と負極との間に第1の電圧を発生する第1の電圧発生手段と、前記第1の正極と異なる第2の正極と前記負極との間に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を発生し、該第2の電圧を維持する第2の電圧発生/維持手段と、前記第2の正極から前記負極へ供給される第1の供給電流及び/又は前記第2の正極から前記第1の正極へ回生される第1の回生電流により、前記複数個の電磁石のうち少なくとも1個を励磁制御する第1の励磁制御手段と、前記第1の正極から前記第2の正極へ供給される第2の供給電流及び/又は前記負極から前記第2の正極へ回生される第2の回生電流により、前記第1の励磁制御手段により励磁制御される電磁石以外の電磁石のうち少なくとも1個を励磁制御する第2の励磁制御手段とを備えた磁気軸受装置であって、前記第1の励磁制御手段は、前記第1の供給電流の断接を行う第1のスイッチ素子と、該第1のスイッチ素子の断接を制御する第1の制御回路と、前記第1の回生電流を該回生の向きに流す第1の整流素子とを有し、前記第2の励磁制御手段は、前記第2の供給電流の断接を行う第2のスイッチ素子と、該第2のスイッチ素子の断接を制御する第2の制御回路と、前記第2の回生電流を該回生の向きに流す第2の整流素子とを有して構成した。
第2の電圧発生/維持手段により、第2の正極は、第2の電圧に維持される。従って、第1の励磁制御手段と第2の電圧発生/維持手段の作用により、また第2の励磁制御手段と第2の電圧発生/維持手段の作用により、電磁石に流れる電流の増減が可能となる。
このことにより、請求項1及び請求項2と同様の効果を得ることができる。
さらに、本発明は、前記第1の正極から前記第2の正極へ流れる電流と、該第2の正極から前記負極へ流れる電流とがほぼ均等化されるように、前記第1の励磁制御手段により励磁制御される電磁石と前記第2の励磁制御手段により励磁制御される電磁石とに、グループ分けして構成されたことを特徴とする。
複数個の電磁石が、第1の正極から第2の正極へ流れる電流と、第2の正極から負極へ流れる電流とがほぼ均等化するようにグループ分けされることで、第2の電圧発生/維持手段から供給しなければならない電流を減らすことができる。
従って、第2の電圧発生/維持手段を構成する回路のサイズを小さく構成でき、磁気軸受装置の一層の小型化を図ることができる。
さらに、本発明は、前記負極に一端が接続された抵抗と、該抵抗に対して前記電磁石に供給及び/又は該電磁石により回生される電流を流すことで、該電流の値を検出する電磁石電流検出手段とを備えて構成した。
電磁石電流検出手段は、一端が負極に接続された抵抗を用いて電磁石に供給等される電流の値を検出する。そのため、電磁石電流検出手段に高い電圧が入力されることはない。従って、電磁石電流検出手段に、例えば差動増幅器等を用いてもノイズが乗り難く、精度良く電流を検出することが可能となる。また、高精度な差動増幅器を用いたり、高価なホールセンサ式電流センサ等を用いたりする必要もないため、電磁石電流検出手段を簡単に構成することができ、部品コストを下げることができる。
さらに、本発明は、前記電磁石は複数個設けられており、該電磁石の一端は共通のノードであり、かつ該ノードは前記第2の電圧発生/維持手段によって前記第2の電圧に維持されることを特徴とする。
電磁石の一端が共通のノードとなっており、かつこのノードが第2の電圧発生/維持手段によって第2の電圧に維持されるため、第1の励磁制御手段(あるいは第2の励磁制御手段)及び第2の電圧発生/維持手段と、電磁石との間を結ぶ配線は、電磁石の一端の共通のノードと各電磁石の他端の配線のみとなる。
従って、これらの間に必要な配線数が減り、配線のためのコストを下げることができる。
さらに、本発明は、前記第2の電圧発生/維持手段は、前記電磁石の一端の電圧と電圧指令値との誤差を算出する電圧誤差演算器と、該電圧誤差演算器で算出された誤差に基づいて前記第2の電圧を調整するレギュレータ回路とを備えて構成した。
このことにより、第2の電圧発生/維持手段は、実際の電磁石の一端の電圧に基づき、この電圧を第2の電圧に維持するよう制御される。従って、第2の電圧発生/維持手段は、第1の励磁制御手段と第2の励磁制御手段とに共通に構成可能である。
さらに、本発明は、前記第2の電圧発生/維持手段は、前記第2の電圧を調整するレギュレータ回路を備え、前記レギュレータ回路と前記電磁石の一端との間に流れる電流の値が所定の制限値を超えないように制御されることを特徴とする。
レギュレータ回路では、レギュレータ回路と電磁石の一端との間に流れる電流の値が制限値を超えないように、この電流が制御される。そのため、制限値を適当な値とすることで、レギュレータ回路と電磁石の一端との間に流れる電流のリップルを減らすことができる。
従って、レギュレータ回路を構成する素子等に流れる電流を減らすことができるので、これらの素子からの発熱を減らすことができ、寿命を延ばすことができる。また、部品コストを下げることができ、かつ磁気軸受装置の信頼性を向上させることができる。
さらに、電磁石の一端の電圧のリップルを減らせるため、例えば電磁石の一端の電圧の安定化のために設けられる安定化キャパシタ等の容積を小さくすることができ、磁気軸受装置の小型化を図ることができる。
さらに、本発明は、前記制限値は、前記電磁石の一端の電圧と電圧指令値との誤差に基づき変更されることを特徴とする。
レギュレータ回路と電磁石の一端との間に流れる電流の制限値は、電磁石の一端の電圧と電圧指令値との誤差に基づき適宜変更される。従って、この誤差が大きいときには制限値を大きな値とすることで、制限値に影響を受けることなく、レギュレータ回路の制御を行うことが可能である。一方、誤差が小さいときには制限値を小さな値に変更することで、このときの電流のリップルを減らすことができる。
さらに、本発明は、前記レギュレータ回路は、前記電磁石の一端に接続されたチョークコイルと、該チョークコイルと前記負極との間に流れる電流の断接を行う第3のスイッチ素子と、前記負極から前記チョークコイルに向かって電流を流す第3の整流素子と、前記第1の正極と前記チョークコイルとの間に流れる電流の断接を行う第4のスイッチ素子と、前記チョークコイルから前記第1の正極に向かって電流を流す第4の整流素子とを備え、前記電磁石の一端の電圧を上昇させるとき、前記第4のスイッチ素子の断接を制御する一方で、前記第3のスイッチ素子を切断し続け、前記電磁石の一端の電圧を下降させるとき、前記第3のスイッチ素子の断接を制御する一方で、前記第4のスイッチ素子を切断し続けることを特徴とする。
電磁石の一端の電圧を上昇させるときには、第4のスイッチ素子に対して断接の制御を行う一方で、第3のスイッチ素子を切断し続ける。このとき、第4のスイッチ素子を接続している期間は電磁石の一端に供給される電流が増加するが、この第4のスイッチ素子を切断すると第3の整流素子を介した回生電流により電磁石の一端に供給される電流が減少する。そして、この電流を減少させるときには、第3のスイッチ素子が切断されているため、この電磁石の一端に供給される電流が負になることはない。
また、電磁石の一端の電圧を下降させる場合には、第3のスイッチ素子に対して断接の制御を行う一方で、第4のスイッチ素子を切断し続ける。このとき、第3のスイッチ素子を接続している期間は電磁石の一端に供給される電流が減少するが、この第3のスイッチ素子を切断すると第4の整流素子を介した回生電流により電磁石の一端に供給される電流が増加する。そして、この電流を増加させるときには、第4のスイッチ素子が切断されているため、この電磁石の一端に供給される電流が正になることはない。
従って、レギュレータ回路と電磁石の一端との間に流れる電流のリップルを減らすことができる。
さらに、本発明は、磁気軸受装置を搭載したターボ分子ポンプであって、前記回転体は、回転翼及び該回転翼の中央に配設されたロータ軸を有し、前記位置制御手段は、該ロータ軸を空中に磁気浮上させることを特徴とする。
磁気軸受装置は、ターボ分子ポンプに搭載される。このことにより、この磁気軸受装置を搭載したターボ分子ポンプの小型化を図ることができる。
さらに、本発明は、少なくとも前記回転体及び前記位置制御手段を有するターボ分子ポンプ本体と、少なくとも前記第1の励磁制御手段又は前記第2の励磁制御手段を有する制御装置とを備え、前記ターボ分子ポンプ本体と制御装置とが一体化されたことを特徴とする。
上述した第1の励磁制御手段や第2の励磁制御手段は、小型化が可能である。従って、この第1の励磁制御手段や第2の励磁制御手段を有する制御装置も小型化が可能となる。
そのため、制御装置とターボ分子ポンプ本体とは一体化が可能となり、制御装置とターボ分子ポンプ本体との間を結ぶ配線等を無くすことができる。
このことにより、ターボ分子ポンプの製造、配置等に必要なコストを減少させることができる。
以上説明したように本発明によれば、電磁石を第2の正極から負極に向かう第1の供給電流と、第2の正極から第1の正極に向かう第1の回生電流により励磁制御し、かつ第2の正極を第2の電圧に維持する第2の電圧発生/維持手段を備えて構成したので、電磁石を励磁駆動するアンプ回路の素子数を減らすことができる。
また、電磁石の一端を共通のノードとし、このノードを第2の電圧に維持するように構成したので、電磁石とアンプ回路との間を結ぶケーブルの本数を減らし、ターボ分子ポンプの製造、設置等に必要なコストを減少させることができる。
さらに、一端が負極に接続された抵抗を用いて電磁石に供給等される電流の値を検出する電磁石電流検出手段を備えて構成したので、電磁石電流検出手段に高い電圧が入力されるのを避け、精度良く電流を検出することが可能となる。そのため、電磁石電流検出手段を簡単に構成することができ、部品コストを下げることができる。
また、レギュレータ回路と電磁石の一端との間に流れる電流の値が制限値を超えないように、この電流が制御されるので、制限値を適当な値とすることで、レギュレータ回路と電磁石の一端との間に流れる電流のリップルを減らすことができる。
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
本発明の第1実施形態である磁気軸受制御回路及び制御回路の構成図を図1に示す。なお、図15と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。
図1において、ターボ分子ポンプ本体300は、その上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105等の各電磁石を構成する電磁石巻線151の一端が、それぞれの電磁石において共通のノードとなっている(このノードを共通ノードRとする)。
これに対し、制御装置400は、上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105等の各電磁石に対応して設けられた磁気軸受制御回路401を備えている。そして、磁気軸受が5軸制御の場合には、制御装置400内に10個の磁気軸受制御回路401が存在している。
ここに、磁気軸受制御回路401においては、従来と同様に、上側径方向センサ107等からの変位信号に基づいて、PID制御回路203及び電流誤差演算器205の制御により、電流誤差演算器205から電流誤差信号がパルス制御回路407に出力されるようになっている。
このパルス制御回路407をアンプ回路410とともに説明する。
アンプ回路の回路図を図2に示す。なお、図16と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。
図2において、電磁石巻線151は、その一端が共通ノードRに接続されている。また、その他端は、電磁石電流検出回路231及びトランジスタ411を介して電源221の負極221bに接続されている。
ここに、トランジスタ411は、従来と同様に、N型のパワーMOSFETであり、その一端であるドレイン端子411aが電磁石電流検出回路231に接続されるとともに、その他端であるソース端子411bが負極221bと接続されている。
また、電流回生用のダイオード415は、そのカソード端子415aが電源221の正極221aに接続されるとともに、そのアノード端子415bがトランジスタ411のドレイン端子411aに接続されるようになっている。
そして、電磁石電流検出回路231は、電磁石巻線151に流れる電磁石電流iLの大きさを検出し、この検出した電流値を電磁石電流検出信号として電流誤差演算器205に出力するようになっている。なお、この電磁石電流検出回路231は、例えばホールセンサ式電流センサである。
また、この電磁石電流検出回路231は、ホールセンサ式電流センサで構成するほかに、例えば図3に示すように、電磁石巻線151の他端とトランジスタ411のドレイン端子411aとの間に直列接続された検出抵抗232と、この検出抵抗232の両端の電位差を増幅し、検出抵抗232に流れる電流を検出するための差動増幅器237とで構成されても良い。この場合、検出抵抗232の一端は、抵抗233を介して、差動増幅器237の−側の入力端と接続されている。また、この差動増幅器237の−側の入力端は、抵抗235を介して、差動増幅器237の出力端と接続されている。さらに、検出抵抗232の他端は、抵抗234を介して、差動増幅器237の+側の入力端と接続されている。また、この差動増幅器237の+側の入力端は、抵抗236を介して、接地されている。なお、これらの抵抗233、…、236は、配線の寄生抵抗等のほかに、差動増幅器237のオフセット電圧の調整用に別途用意された抵抗素子をも含むものであり、抵抗233と抵抗234との抵抗値を一致させ、さらに抵抗235と抵抗236との抵抗値を一致させることで、差動増幅器237のオフセット電圧を小さくできるようになっている。
なお、この電磁石電流検出回路231は、電磁石巻線151の他端側ではなく、電磁石巻線151の一端側に接続されていても良い。
さらに、電源221の正極221aと共通ノードRとの間及び負極221bと共通ノードRとの間には、電源221と共通ノードRの電圧の安定化のために、それぞれに安定化キャパシタ423a、423bが接続されている。
なお、電磁石巻線151の他端とトランジスタ411との間(以下、ノードSという)は、電磁石巻線151がターボ分子ポンプ本体300側の素子であるため、従来と同様に、制御装置400とターボ分子ポンプ本体300との間のケーブル170を構成する配線となっている。
そして、以上のように構成されるアンプ回路410は、磁気軸受制御回路401が上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105等の各電磁石に対応して設けられることを受けて、従来と同様に、他の下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bについても同様のアンプ回路410が構成されるようになっている。
一方、パルス制御回路407は、電流誤差演算器205から出力される電流誤差信号に基づいて、電磁石電流iLを増減させるべく、制御サイクルTs内に発生させるパルス幅時間Tp1、Tp2を決めるようになっている。そして、パルス制御回路407は、このパルス幅時間Tp1、Tp2を有するゲート駆動信号をトランジスタ411のゲート端子に出力して、トランジスタ411のon/offを切り替えるようになっている。
さらに、図1において、制御装置400は、上記のような磁気軸受制御回路401に加え、共通ノードRに対して設けられた中間電圧維持回路451を備えている。
この中間電圧維持回路451では、その指令値設定回路453に、共通ノードRの電位を何ボルトに設定するか決めるための設定信号が入力されるようになっている。そして、この指令値設定回路453は、入力された設定信号に基づき、共通ノードRに必要な電圧値(以下、電圧指令値という)を電圧誤差演算器455に出力するようになっている。
また、電圧誤差演算器455では、指令値設定回路453から出力された電圧指令値と共通ノードRの電圧値(以下、実電圧値という)との誤差(以下、電圧誤差値という)を算出するようになっている。そのため、この共通ノードRの実電圧値は、そのまま電圧誤差演算器455に送られるようになっている。そして、電圧誤差演算器455は、この電圧誤差値を電圧誤差信号としてレギュレータ制御回路457に出力するようになっている。
このレギュレータ制御回路457をレギュレータ回路460とともに説明する。
図2において、共通ノードRは、チョークコイル471及びレギュレータ電流検出回路472を順に介して、トランジスタ461、462及びダイオード465、466に接続されるようになっている(以下、このトランジスタ461等の接続ノードをノードTという)。
ここに、トランジスタ461、462は、トランジスタ411等と同様に、N型のパワーMOSFETである。そして、このトランジスタ461は、その一端であるドレイン端子461aがノードTに接続されるとともに、その他端であるソース端子461bが(アンプ回路410と同じ)負極221bに接続されるようになっている。また、トランジスタ462は、その一端であるドレイン端子462aが(アンプ回路410と同じ)正極221aに接続されるとともに、その他端であるソース端子462bがノードTに接続されるようになっている。
さらに、ダイオード465は、そのカソード端子465aがノードTに接続されるとともに、そのアノード端子465bが負極221bに接続されるようになっている。また、ダイオード466は、そのカソード端子466aが正極221aに接続されるとともに、そのアノード端子466bがノードTに接続されるようになっている。
なお、チョークコイル471は、トランジスタ461、462からの急激な電流の増減によるノードTの揺れ(すなわち、レギュレータ回路460から生じるリップル電流等に伴うノイズ)が直接共通ノードRに伝わらないようにするための素子となっている。
また、このノードTに接続されたレギュレータ電流検出回路472では、レギュレータ回路460から共通ノードRに流れる電流を検知するようになっている。そして、トランジスタ411、ダイオード415等が破壊して、万一、チョークコイル471を流れる電流が増加しても、このレギュレータ電流検出回路472によりレギュレータ回路460から流れる電流を検知することで、ターボ分子ポンプ全体の破壊を未然に防ぎ、これを保護できるようになっている。
さらに、トランジスタ462に関しては、正極221aの電圧Vhを十分に転送できるようにするため、そのゲート端子に電圧Vh以上の電圧を印加することが望ましい。このとき、トランジスタ462のゲート端子には、例えばレギュレータ制御回路457からのレギュレータ駆動信号に対して簡易なブースト回路を介した信号を入力することにより、十分に電圧Vhを転送できるようになる。
また、電磁石巻線151の一端とレギュレータ回路460とを結ぶ共通ノードRは、レギュレータ回路460が制御装置400側の回路であるため、図1に示すように、制御装置400とターボ分子ポンプ本体300との間のケーブル170を構成する配線となっている。
一方、レギュレータ制御回路457は、電圧誤差演算器455から出力される電圧誤差信号に基づいて、共通ノードRを所定の中間電圧Vcに維持すべく、このノードTを正極221a又は負極221bに接続する時間を決めるようになっている。このとき、レギュレータ制御回路457による制御は、電圧誤差演算器455から出力される電圧誤差信号のみに基づき、他のタイミング等にはよらないようになっている。その結果、レギュレータ制御回路457は、レギュレータ駆動信号をトランジスタ461、462のゲート端子に出力し、トランジスタ461、462のon/offを切り替えるようになっている。
なお、レギュレータ回路460において維持される中間電圧Vcとしては、正極221aの電圧(電圧Vhとする)と負極221bの電圧(電圧Vlとする)の半分の電圧、すなわち(Vh+Vl)/2であることが望ましい。
かかる構成において、ある電磁石巻線151A(他の電磁石巻線と区別するため添字Aを付す、以下同旨)についてのアンプ回路410Aで電磁石電流iLAを増加させる場合には、図4に示すように、制御サイクルTs中で、パルス幅時間Tp1Aに相当する時間分だけトランジスタ411Aをonにし、パルス幅時間Tp2Aだけトランジスタ411Aをoffにする。
このとき、トランジスタ411Aがonのときは、共通ノードR(中間電圧Vcを維持しているとする)から負極221bへ、電磁石巻線151及びトランジスタ411Aを介して流れる電磁石電流iLが、電磁石巻線151に供給される。一方、トランジスタ411Aがoffのときは、共通ノードRからアンプ回路410Aの正極221aへ、電磁石巻線151、ノードS及びダイオード415Aを介して回生する電磁石電流iLが、電磁石巻線151に供給される。
従って、パルス幅時間Tp1Aをパルス幅時間Tp2Aよりも長くすることで、制御サイクルTs内の電磁石電流iLAが増加される。
一方、電磁石巻線151Aとは別の電磁石巻線151B(添字Bを付す、以下同旨)についてのアンプ回路410Bで電磁石電流iLBを減少させる場合には、上記と逆の考え方により、パルス幅時間Tp2Bをパルス幅時間Tp1Bよりも長くすることで、制御サイクルTs内における電磁石電流iLBが減少される。
ここで、ある制御サイクルTs内で、上記のアンプ回路410A、410Bのみに電磁石電流iLの増減があったとすると、その場合のレギュレータ回路460の制御は、以下のようになる。
アンプ回路410A、410Bで流す電磁石電流iLA、iLBの和である全電磁石電流iLtotは、共通ノードRの電圧を中間電圧Vcより下降させる。そして、共通ノードRの電圧値が電圧誤差演算器455に送られると、電圧誤差演算器455は、レギュレータ制御回路457に共通ノードRの電圧を上昇させる旨の電圧誤差信号を出力する。その結果、レギュレータ制御回路457では、正極221a側に接続されているトランジスタ462をonにして、共通ノードRの電圧を上昇させる。なお、この間トランジスタ461はoffにされる。
一方、共通ノードRの電圧が中間電圧Vc以上になった場合には、トランジスタ462はoffにされる。
そして、このようなレギュレータ回路460における制御は、アンプ回路410が2個であっても、10個であっても変わることはない。
以上により、アンプ回路410を1つのトランジスタ411と1つのダイオード415のみで構成しても、レギュレータ回路460で全電磁石電流iLtotに対する制御を適宜行うことで、電磁石電流iLの増減の制御が可能となる。
そのため、アンプ回路410を構成する素子が減少し、制御装置400の小型化を図ることが可能となる。従って、制御装置400等をクリーンルーム等に設置する場合にも、制御装置400を省スペースに設置することができ、設置のためのコストを下げることができる。
また、制御装置400を構成する素子数が減るため、この制御装置400の故障率を下げることができる。さらに、制御装置400として消費する電力や、これが発する熱を減らすことができる。
これに加え、アンプ回路410と電磁石巻線151の他端とを結ぶ配線はノードSのみとなるため、5軸制御の磁気軸受であってもノードSとしての配線は10本である。また、共通ノードRについての配線もターボ分子ポンプ本体300からレギュレータ回路460に向かう1本だけであるため、全体として、制御装置400と各電磁石の間を接続する配線が11本となる。従って、ケーブル170自体のコストを下げることができる。
また、ケーブル170を構成する配線数が減るため、ケーブル170の径の小径化ができ、ターボ分子ポンプ本体300側の入出口となるコネクタも小型化することができる。従って、このコネクタに要するコストを低減することができる。
さらに、制御装置400自体の小型化により、制御装置400の機能を容易にターボ分子ポンプ本体300側に組み入れることができる。従って、制御装置400とターボ分子ポンプ本体300の一体化も可能であるため、これらの間を結ぶケーブル170やコネクタが不要となり、ターボ分子ポンプの製造、配置等に必要なコストを減少させることができる。
なお、本実施形態においては、レギュレータ回路460のトランジスタ462は、N型のパワーMOSFETであるとして説明したが、これに限られない。すなわち、トランジスタ462は、P型のパワーMOSFETであっても良い。このとき、トランジスタ462には、そのゲート端子を駆動するためのブースト回路等を設ける必要が無くなる。そして、トランジスタ462をP型のパワーMOSFETとした場合には、N型のパワーMOSFETを用いた場合の逆相のゲート駆動信号をトランジスタ462に入力すれば良い。
また、本実施形態においては、レギュレータ制御回路457によるレギュレータ回路460に対する制御は、電圧誤差演算器455から出力される電圧誤差信号のみに基づき、他のタイミング等にはよらない(すなわち、共通ノードRの電圧と中間電圧Vcとの比較結果に応じてのみトランジスタ461、462のon/offが制御される)として説明してきたが、これに限られない。すなわち、レギュレータ回路460に対する制御を所定の周期によりPWM制御を行っても良い。
このとき、図1において、中間電圧維持回路451のレギュレータ制御回路457には、所定の周期Tr(以下、制御サイクルTrという)を有する搬送波(図示略)が入力されるようになっている。そして、このレギュレータ制御回路457では、PWM制御による1制御サイクルTr中にトランジスタ461、462へ出力するレギュレータ駆動信号のパルス幅を制御するようになっている。
かかる構成において、共通ノードRの電圧を上昇させるときのレギュレータ回路の制御を示すタイムチャートを図5に示す。なお、図5中、レギュレータ回路から供給される電流(以下、レギュレータ電流iRという)はノードTから共通ノードRへの向きを正としている。
図5において、レギュレータ回路460のトランジスタ461、462は、制御サイクルTr中に所定時間だけ1回onにされるようになっており、これらのトランジスタ461、462は、両方が同時にonになったり、offになったりすることがないように制御されている。
そして、トランジスタ462のみがonにされている時間は、ノードTが正極221aと接続されるので、正極221aからノードT及びチョークコイル471を介して共通ノードRに電流が流れて、レギュレータ電流iRは増加するようになる。一方、トランジスタ461のみがoffにされると、ノードTが負極221bと接続されるので、共通ノードRからチョークコイル471及びノードTを介して負極221bに電流が流れて、レギュレータ電流iRは減少するようになる。
そして、共通ノードRの実電圧値が電圧指令値に比べ相当程度低く電圧誤差が大きいときには、この電圧誤差に応じて制御サイクルTr中でトランジスタ462をonにする時間が、トランジスタ461をonにする時間よりも長くされる。これにより、1制御サイクルTr内ではレギュレータ電流iRが増加される時間の方が長くなるため、制御サイクルTr平均でのレギュレータ電流iRは制御サイクルTr毎に増加するようになる。そのため、共通ノードRの電圧は上昇するようになる。なお、共通ノードRの電圧を上昇させる動作であるにもかかわらず、制御サイクルTr中に負極221b側のトランジスタ461をonにしているのは、共通ノードRの電圧をあまりにも急激に上昇させるとレギュレータ回路460及びレギュレータ制御回路457で構成するフィードバックループのゲインが大きくなり過ぎてしまい、系が発振するおそれがあるからである。
一方、共通ノードRの実電圧値が電圧指令値よりも僅かに低く電圧誤差が小さいときには、この電圧誤差に応じて制御サイクルTr中でトランジスタ462をonにする時間とトランジスタ461をonにする時間とがほぼ同じになるように制御される。そのため、制御サイクルTr平均でのレギュレータ電流iRは略ゼロとなり、共通ノードRの電圧が中間電圧Vcに向かって収束するようになる。
なお、この場合制御サイクルTr平均でのレギュレータ電流iRは略ゼロであるが、制御サイクルTr中でいずれかのトランジスタ461、462が常にonにされるように制御されるため、1制御サイクルTr内ではレギュレータ電流iRの増加及び減少が生じている。
以上により、レギュレータ回路460に対してPWM制御を行っても、共通ノードRの電圧を中間電圧Vcに維持することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2実施形態である制御装置は、第1実施形態である制御装置400に対して、そのアンプ回路410の構成のみを変更したものである。そのため、本実施形態における磁気軸受制御回路及び中間電圧維持回路の構成は、アンプ回路以外は第1実施形態の磁気軸受制御回路401及び中間電圧維持回路451と同様となっている。
本発明の第2実施形態であるアンプ回路の回路図を図6に示す。なお、図2、図16と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。
図6において、電磁石巻線151は、第1実施形態と同様に、その一端が共通ノードRに接続されている。また、その他端も、第1実施形態と同様に、電磁石電流検出回路231及びトランジスタ511を介して電源221の正極221aに接続されている。
ここに、トランジスタ511は、いわゆるN型のパワーMOSFETであり、その一端であるドレイン端子511aが正極221aに接続されるとともに、その他端であるソース端子511bが電磁石電流検出回路231と接続されるようになっている。
また、電流回生用のダイオード515は、そのカソード端子515aがトランジスタ511のソース端子511bに接続されるとともに、そのアノード端子515bが負極221bに接続されるようになっている。
なお、トランジスタ511に関しては、トランジスタ462と同様に、正極221aの電圧Vhを十分に転送できるようにするため、そのゲート端子に電圧Vh以上の電圧を印加することが望ましい。このとき、トランジスタ511のゲート端子には、例えばパルス制御回路407からのゲート駆動信号に対して簡易なブースト回路を介した信号を入力することにより、十分に電圧Vhを転送できるようになる。
そして、以上のように構成されるアンプ回路510は、第1実施形態と同様に、他の下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bについても同様のアンプ回路510が構成されるようになっている。
かかる構成において、アンプ回路510で電磁石電流iLを増加させる場合には、制御サイクルTs中で、パルス幅時間Tp1に相当する時間分だけトランジスタ511をonにし、パルス幅時間Tp2だけトランジスタ511をoffにする。
このとき、トランジスタ511がonのときは、正極221aから共通ノードRへ、トランジスタ511及び電磁石巻線151を介して流れる電磁石電流iLが、電磁石巻線151に供給される。一方、トランジスタ511Bがoffのときは、アンプ回路510の負極221bから共通ノードRへ、ダイオード515、ノードS及び電磁石巻線151を介して回生する電磁石電流iLが、電磁石巻線151に供給される。
従って、パルス幅時間Tp1をパルス幅時間Tp2よりも長くすることで、制御サイクルTs内の電磁石電流iLが増加される。
一方、アンプ回路510で電磁石電流iLを減少させる場合には、上記と逆の考え方により、パルス幅時間Tp2をパルス幅時間Tp1よりも長くすることで、制御サイクルTs内における電磁石電流iLが減少される。
これに対し、アンプ回路510を用いた場合の共通ノードRに対するレギュレータ回路460の制御は、第1実施形態とほぼ同様であるが、アンプ回路410の場合と異なり、アンプ回路510は共通ノードRに対してその電位を上昇させる方向に作用する。
アンプ回路510A、510Bで流す電磁石電流iLA、iLBの和である全電磁石電流iLtotは、共通ノードRの電圧を中間電圧Vcより上昇させる。そして、共通ノードRの電圧値が電圧誤差演算器455に送られると、電圧誤差演算器455は、レギュレータ制御回路457に共通ノードRの電圧を下降させる旨の電圧誤差信号を出力する。その結果、レギュレータ制御回路457では、負極221b側に接続されているトランジスタ461をonにして、共通ノードRの電圧を下降させる。なお、この間トランジスタ462はoffにされる。
一方、共通ノードRの電圧が中間電圧Vc以下になった場合には、トランジスタ461はoffにされる。
そして、このようなレギュレータ回路460における制御は、アンプ回路510が2個であっても、10個であっても変わることはない。
また、このような制御に代えて、本実施形態においても、第1実施形態で説明した図5の制御と同様に、レギュレータ回路460に対してPWM制御を行っても良い。この場合にも、中間電圧維持回路451のレギュレータ制御回路457には、制御サイクルTrを1周期とする搬送波(図示略)が入力されるようになっている。
次に、共通ノードRの電圧を下降させるときのレギュレータ回路の制御を示すタイムチャートを図7に示す(共通ノードRの電圧を上昇させるときの制御については図5参照)。
図7において、レギュレータ回路460のトランジスタ461、462は、図5と同様に、制御サイクルTr中に所定時間だけ1回onにされるようになっている。
そして、共通ノードRの実電圧値が電圧指令値に比べ相当程度高く電圧誤差が大きいときには、制御サイクルTr中でトランジスタ461をonにする時間が、トランジスタ462をonにする時間よりも長くされることにより、制御サイクルTr平均でのレギュレータ電流iRが制御サイクルTr毎に減少するようになる。そのため、共通ノードRの電圧が下降するようになる。
一方、共通ノードRの実電圧値が電圧指令値よりも僅かに高く電圧誤差が小さいときには、トランジスタ462をonにする時間とトランジスタ461をonにする時間とはほぼ同じになるように制御される。これにより、制御サイクルTr平均でのレギュレータ電流iRは略ゼロとなり、共通ノードRの電圧が中間電圧Vcに向かって収束するようになる。
このように、レギュレータ回路460では、共通ノードRの電圧を検知しながらこの電圧の維持を行っているため、第1実施形態のようなアンプ回路410(図2)が負荷とされても、本実施形態のアンプ回路510(図6)が負荷とされても、負荷側の構成によらずレギュレータ回路460への制御を同じにすることができる。従って、本実施形態においても、第1実施形態と同じレギュレータ回路460を用いることができる。
そして、図6に示すような第1実施形態と異なるアンプ回路510の構成を採用しても、第1実施形態と同様に、1つのトランジスタ511と1つのダイオード515のみで電磁石電流iLの増減を行うことができるので、アンプ回路の設計において、設計容易な回路構成を選択可能であり、その制御においても、制御容易な回路を選択可能となる。
なお、本実施形態においては、アンプ回路510のトランジスタ511は、N型のパワーMOSFETであるとして説明したが、これに限られない。すなわち、トランジスタ511は、トランジスタ462と同様に、P型のパワーMOSFETであっても良い。このとき、トランジスタ511には、そのゲート端子を駆動するためのブースト回路等を設ける必要が無くなる。そして、トランジスタ511をP型のパワーMOSFETとした場合には、N型のパワーMOSFETを用いた場合の逆相のゲート駆動信号をトランジスタ511に入力すれば良い。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3実施形態である制御装置は、第1実施形態の制御装置400(あるいは第2実施形態の制御装置)に対して、そのアンプ回路410、510の構成の仕方を変更したものである。従って、本実施形態における磁気軸受制御回路及び中間電圧維持回路の構成は、アンプ回路以外は第1実施形態の磁気軸受制御回路401及び中間電圧維持回路451(あるいは第2実施形態の磁気軸受制御回路及び中間電圧維持回路)と同様である。
本発明の第3実施形態であるアンプ回路の回路図を図8に示す。なお、図1、図2、図16と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。また、上側径方向電磁石104や下側径方向電磁石105等を構成する電磁石巻線151A、B、C・・・(以下、電磁石巻線151A、B、C・・・に合わせて添字A、B、C・・・を付す、以下同旨)についても同時に示すものとする。
図8において、電磁石巻線151Aに関するアンプ回路610Aでは、第1実施形態のトランジスタ411、ダイオード415と同一構成を有するトランジスタ611A、ダイオード615Aが、アンプ回路410と同じ接続関係になっている。
これに対し、電磁石巻線151Aと別の電磁石巻線151Bに関するアンプ回路610Bでは、第2実施形態のトランジスタ511、ダイオード515と同一構成を有するトランジスタ611B、ダイオード615Bが、アンプ回路510と同じ接続関係になっている。
さらに、電磁石巻線151A、151Bと別の電磁石巻線151Cに関するアンプ回路610Cでは、アンプ回路610Aと同様に、第1実施形態と同様の構成となっている。
このように本実施形態においては、各電磁石に対するアンプ回路610A、B、C・・・が、第1実施形態と同様の構成(アンプ回路410)を有するグループと、第2実施形態と同様の構成(アンプ回路510)を有するグループとの2つのグループに分けられている。
そして、このグループ分けの仕方についての具体的な一例を挙げるために、上側径方向電磁石104の電磁石104X+、104X−と、下側径方向電磁石105の電磁石105X+、105X−との関係について説明する。
例えば、回転体103全体をX軸の+方向に位置制御する場合には、電磁石104X+、105X+に流れる電磁石電流iLを増加させ、電磁石104X−、105X−に流れる電磁石電流iLを減少させる。逆に、回転体103全体をX軸の−方向に位置制御する場合には、電磁石104X+、105X+に流れる電磁石電流iLを減少させ、電磁石104X−、105X−に流れる電磁石電流iLを増加させる。
このように、回転体103の位置制御に関し、上側径方向電磁石104と下側径方向電磁石105のX軸方向への制御は、ほぼ同様の制御をすることが多く、上側径方向電磁石104(例えば電磁石104X+)に流れる電磁石電流iLが増えると、下側径方向電磁石105(電磁石105X+)に流れる電磁石電流iLも増える傾向にある。そのため、電磁石104X+、104X−と、電磁石105X+、105X−とを異なるグループに入れることで、上側径方向電磁石104で共通ノードRから負極221bに電流が流れるときには、下側径方向電磁石105で正極221aから共通ノードRに電流が流れるようになり、共通ノードRの中間電圧Vcを維持するために必要な全電磁石電流iLtotを減らすことができる。
従って、これ以外の上側径方向電磁石104の電磁石104Y+、104Y−と、下側径方向電磁石105の電磁石105Y+、105Y−との関係においても、異なるグループに入れることが望ましい。
なお、これに対して、例えば上側径方向電磁石104の電磁石104X+と電磁石104X−の関係については、回転体103をX軸の+方向に位置制御する場合、電磁石104X+の電磁石電流iLが増加され、電磁石104X−の電磁石電流iLが減少される傾向にあるので、これらは同一グループに入れることが望ましい。そのため、これ以外の電磁石104Y+と電磁石104Y−、下側径方向電磁石105の電磁石105X+と電磁石105X−や電磁石105Y+と電磁石105Y−、さらに軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bの関係においても、それぞれ同一グループに入れることが望ましい。
かかる構成において、第1実施形態と同様の構成を有するアンプ回路610A等における電磁石電流iLの制御の仕方は、第1実施形態と同様である。また、第2実施形態と同様の構成を有するアンプ回路610B等における電磁石電流iLの制御の仕方も、第2実施形態と同様である。
また、レギュレータ回路460の制御に関しても、第1実施形態や第2実施形態と同様に、共通ノードRの電圧を検知しながらその電圧の維持を行っている。従って、アンプ回路610A等が共通ノードRを下降させるように作用し、アンプ回路610Bが共通ノードRを上昇させるように作用するため両方のトランジスタ461、462のon/offの制御がほぼ同時期に行われる点が第1実施形態や第2実施形態と異なるが、基本的にレギュレータ回路460の制御の仕方に変更はない。
また、このような制御に代えて、レギュレータ回路460に対してPWM制御を行った場合でも、共通ノードRを上昇させる動作(図5)と共通ノードRを下降させる動作(図7)とが適宜行われること以外は、これらと異ならない。
このことにより、第1実施形態や第2実施形態と異なるアンプ回路の構成の仕方を採用しても、これらと同様の作用、効果を得ることができる。
さらに、各電磁石について適宜グループ分けを行うことで、共通ノードRの中間電圧Vcを維持するために必要な全電磁石電流iLtotを減らすことができる。従って、レギュレータ回路460を構成するトランジスタ461、462のサイズを小さく構成できるため、制御装置の一層の小型化を図ることができる。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第1実施形態(図2)等で用いていた電磁石電流検出回路231は負極221bから浮いた位置(すなわち、共通ノードR付近)に配置され、かつ第1実施形態のアンプ回路410でトランジスタ411がoff等にされたときに電磁石電流検出回路231には高い電圧(すなわち、中間電圧Vc程度)が入力されることから、図3に示したような差動増幅器237を有する電磁石電流検出回路231を用いると、オフセット電圧が拡大されてノイズが乗ってしまい、高精度に電磁石電流iLを検出するのが困難となる場合があった。そのため、精度良く電磁石電流iLの検出を行うために高精度な差動増幅器を用いたり、非接触型のホールセンサ式電流センサを用いる必要があり、部品コストが上昇する場合があった。
そこで、第4実施形態のアンプ回路は、第1実施形態等のアンプ回路で用いられていた電磁石電流検出回路231の構成を、一端を負極221bに接続するように変更したものである。
本発明の第4実施形態であるアンプ回路の回路図を図9に示す。なお、本実施形態では、第3実施形態の構成(図8)に基づき説明を行うが、第1実施形態及び第2実施形態の構成(図2、図6)でも同様である。
図9において、第1実施形態と同様の構成を有するアンプ回路810A、810Cでは、図8において電磁石巻線151A、151Cとトランジスタ611A、611Cとの間に直列接続されていた電磁石電流検出回路231A、231Cの代わりに、トランジスタ611A、611Cと負極221bとの間に電磁石電流検出回路831A、831Cがそれぞれ直列接続されている。
一方、第2実施形態と同様の構成を有するアンプ回路810Bでは、図8において電磁石巻線151Bとトランジスタ611Bとの間に直列接続されていた電磁石電流検出回路231Bの代わりに、ダイオード615Bと負極221bとの間に電磁石電流検出回路831Bが直列接続されている。
そして、これらの電磁石電流検出回路831A、831B、831Cには、それぞれの一端が負極221bに接続され、かつそれぞれの他端がトランジスタ611A、ダイオード615B、トランジスタ611Cに接続された検出抵抗832が設けられている。また、それぞれの検出抵抗832の他端には、この検出抵抗832に電流を流すことで、検出抵抗832の他端の電圧から電磁石電流iLを検出するための検出器833が設けられている。そして、この検出器833は電磁石電流検出信号を出力するようになっている。
さらに、電源221の正極221aのうち、安定化キャパシタ423aに近い場所には、正極221aの電源線に対して直列接続された検出抵抗842と、この検出抵抗842の両端の電位差を検出するための検出器843とからなる電源保護回路841が設けられている。そして、この電源保護回路841により、アンプ回路810A等に過大な電流が供給されるのを防止できるようになっている。
かかる構成において、アンプ回路810A、810Cでは、第1実施形態で説明したように、トランジスタ611A、611Cがonにされたときに共通ノードRから負極221bへ向かって電磁石電流iLが流れる。また、トランジスタ611A、611Cがoffにされたときに共通ノードRから正極221aへ向かって電磁石電流iLが流れる。そのため、電磁石電流検出回路831A、831Cには、トランジスタ611A、611Cがonにされているときに電流が流れるので、このときに電磁石電流iLの検出が行われる。一方、アンプ回路810Bでは、第2実施形態で説明したように、トランジスタ611Bがonにされたときに正極221aから共通ノードRへ向かって電磁石電流iLが流れる。また、トランジスタ611Bがoffにされたときに負極221bから共通ノードRへ向かって電磁石電流iLが流れる。そのため、電磁石電流検出回路831Bには、トランジスタ611Bがoffにされているときに回生電流が流れるので、このときに電磁石電流iLの検出が行われる。以上の関係を図10に示す。
なお、この図10の関係から、電磁石電流検出回路831A、831Cで電磁石電流iLを検出するときの電磁石電流iLの向きと、電磁石電流検出回路831Bで電磁石電流iLを検出するときの電磁石電流iLの向きとは、互いに逆向きになる。
また、本実施形態の場合、電磁石電流検出回路831で電磁石電流iLを検出できるのは制御サイクルTs中の半分程度の時間となるが、制御サイクルTs中に一回程度電磁石電流iLを検出できれば制御には十分なので、常時検出できなくても良い。
以上から、第1実施形態等と異なる電磁石電流検出回路831A、831B、831Cを用いても電磁石電流iLの検出を行うことができ、この検出結果に基づいて、アンプ回路810A、810B、810Cを制御することができる。
また、第1実施形態の電磁石電流検出回路231にはトランジスタ411がoff等にされたときに高い電圧が入力されるため、高精度に電磁石電流iLを検出するのが困難となる場合があったが、本実施形態の電磁石電流検出回路831A、831B、831Cでは、一端が負極221bに接続された検出抵抗832を有し、この検出抵抗832の他端の電圧が検出器833に入力されるため、常に検出器833に高い電圧が入力されることはない。従って、検出器833にはオフセット電圧が生じないのでノイズが乗り難く、精度良く電磁石電流iLを検出することが可能となる。そのため、高精度な差動増幅器を用いたり、高価なホールセンサ式電流センサを用いたりする必要もないため、電磁石電流検出回路831を簡単に構成することができ、部品コストを下げることができる。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
第5実施形態である制御装置は、第1実施形態等の制御装置に対して、レギュレータ回路460の制御の仕方を変更したものである。
本発明の第5実施形態であるアンプ回路の回路図を図11に示す。なお、本実施形態では、第4実施形態の構成(図9)に基づき説明を行うが、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態の構成(図2、図6及び図8)でも同様である。また、本実施形態では、レギュレータ回路に対して、図5、図7に示したようにPWM制御を行うものを例に説明する。
図11において、レギュレータ回路960は、ノードTとチョークコイル471との間にレギュレータ電流検出回路972を有している。このレギュレータ電流検出回路972は、第1実施形態等のレギュレータ電流検出回路472が有していたターボ分子ポンプの保護機能を有するほかに、このレギュレータ電流検出回路972で検出されたレギュレータ電流iRの値を示すレギュレータ電流検出信号がレギュレータ制御回路957に入力されるようになっている。
また、このレギュレータ制御回路957には、図1に示す電圧誤差演算器455で演算された共通ノードRの実電圧値と電圧指令値との誤差(電圧誤差信号)が入力されるようになっており、レギュレータ制御回路957では、レギュレータ電流iRの値及び電圧誤差に基づいて、カレントモードコントロールが行われるようになっている。
ここで、本実施形態でいうカレントモードコントロールとは、レギュレータ制御回路957において、共通ノードRへの電圧指令値と共通ノードRの実電圧値との誤差に応じてレギュレータ回路960から供給されるレギュレータ電流iRの制限値iRL(正側を制限値+iRLといい、負側を制限値−iRLという)を変更し、さらに、この制限値iRLを超えた場合にはトランジスタ461、462へ出力するレギュレータ駆動信号の出力を停止する制御をいう。そして、このレギュレータ制御回路957では、電圧指令値と実電圧値との誤差が大きいときには制限値iRLを大きな値に変更し、電圧の誤差が小さいときにはレギュレータ電流iRの制限値iRLを小さな値に変更するようになっている。
かかる構成において、カレントモードコントロールにより共通ノードRの電圧を上昇させるときのレギュレータ回路の制御を示すタイムチャートを図12に示す。
図12において、レギュレータ回路960では、正極221aに接続されたトランジスタ462が、制御サイクルTr中に制御サイクルTrの開始時間から所定時間だけ1回onにされるようになっている。これに対し、負極221bに接続されたトランジスタ461は制御サイクルTr中offにされ続ける。
そして、トランジスタ462がonにされている時間は、ノードTが正極221aと接続されるので、レギュレータ電流iRは増加するようになる。一方、トランジスタ462がoffにされると、両方のトランジスタ461、462がoffになるが、ダイオード465を介して負極221bから共通ノードRに向かって回生電流が流れるため、レギュレータ電流iRは減少するようになる。
なお、上述した図5の場合には、レギュレータ電流iRを減少させる際に、トランジスタ461をonにして、このトランジスタ461を介してレギュレータ電流iRを減少させていたが、本実施形態では、トランジスタ461をonにしないでダイオード465を介した回生電流によりレギュレータ電流iRが減少される。そのため、図5の制御と本実施形態の制御とでは、レギュレータ電流iRの減少のさせ方が異なるが、ダイオード465の順方向抵抗をトランジスタ461のon抵抗と同等に調整することで、それぞれを流れる電流を同等にできるから、レギュレータ電流iRの減少の程度を同じにすることもできる。
そして、このようなレギュレータ回路960において、共通ノードRの実電圧値が電圧指令値に比べ相当程度低く電圧誤差が大きいときには、この電圧誤差に応じて制御サイクルTr中でトランジスタ462をonにする時間が、制御サイクルTr中の1/2より長くされる。これにより、1制御サイクルTr内ではレギュレータ電流iRが増加される時間の方が長くなるため、制御サイクルTr平均でのレギュレータ電流iRは制御サイクルTr毎に増加するようになる。そのため、共通ノードRの電圧は上昇するようになる。
また、このときは、電圧指令値と実電圧値との誤差が大きいことから、カレントモードコントロールによりレギュレータ制御回路957でのレギュレータ電流iRの制限値+iRLが十分に大きな値に設定される。そのため、実際にレギュレータ回路960から供給されるレギュレータ電流iRが制限値+iRLを超えることは少なく、この制限値+iRLがレギュレータ回路960の制御に影響を与えることはない。
従って、この場合のタイムチャートは、図5の場合と略同様になる。
一方、共通ノードRの実電圧値が電圧指令値よりも僅かに低く電圧誤差が小さいときには、トランジスタ462が僅かな時間だけonにされる(すなわち、トランジスタ462への出力パルスのデューティが小さい)。そして、レギュレータ制御回路957において、電圧指令値と実電圧値との誤差が小さいときにはレギュレータ電流iRの制限値+iRLがカレントモードコントロールにより小さな値に変更される。このレギュレータ制御回路957においてレギュレータ電流検出回路972で検出されたレギュレータ電流iRが制限値+iRLを超えたと判断した場合には、トランジスタ462がすぐにoffにされる。
そのため、トランジスタ462がonにされた僅かな時間に応じた分しかレギュレータ電流iRが増加しないため、共通ノードRの電圧も僅かずつしか上昇しなくなる。
なお、このようにトランジスタ462がoffにされることで、ダイオード465を介した回生電流によりレギュレータ電流iRが減少するが、本実施形態ではトランジスタ461がonにされることがないため、レギュレータ電流iRが負になることはない。
次に、カレントモードコントロールにより共通ノードRの電圧を下降させるときのレギュレータ回路の制御を示すタイムチャートを図13に示す。
図13において、レギュレータ回路960では、負極221bに接続されたトランジスタ461が、制御サイクルTr中に所定時間だけ1回onにされるようになっている。このとき、トランジスタ461がonにされる時間が制御サイクルTrの1/2以下の場合には、制御サイクルTrの1/2の時間を経過した時間からonにされるが、トランジスタ461がonにされる時間が制御サイクルTrの1/2より長い場合には、制御サイクルTrの1/2の時間以前から適宜onにされる。これに対し、正極221aに接続されたトランジスタ462は制御サイクルTr中offにされ続ける。
そして、トランジスタ461がonにされている時間は、ノードTが負極221bと接続されるので、レギュレータ電流iRは減少するようになる。一方、トランジスタ461をoffにすると、ダイオード466を介して回生電流が流れるため、レギュレータ電流iRが増加するようになる。
その結果、共通ノードRの実電圧値が電圧指令値に比べ相当程度高く電圧誤差が大きいときには、制御サイクルTr中でトランジスタ461をonにする時間が、制御サイクルTr中の1/2より長くされることで、制御サイクルTr平均でのレギュレータ電流iRは制御サイクルTr毎に減少するようになる。そのため、共通ノードRの電圧が下降するようになる。
また、このときは、電圧指令値と実電圧値との誤差が大きいことから、カレントモードコントロールによりレギュレータ電流iRの制限値−iRLの絶対値が十分に大きな値にされる。そのため、この制限値−iRLがレギュレータ回路960の制御に影響を与えることは少なく、この場合のタイムチャートは、図7の場合と略同様になる。
一方、共通ノードRの実電圧値が電圧指令値よりも僅かに高く電圧誤差が小さいときには、トランジスタ461が僅かな時間しかonにされない。これは、上述と同様に、レギュレータ制御回路957において、カレントモードコントロールによりレギュレータ電流iRの制限値−iRLが小さな値に変更されるため、すぐにトランジスタ461がoffにされるからである。
そのため、トランジスタ461がonにされた僅かな時間に応じた分だけしかレギュレータ電流iRが減少しないため、共通ノードRの電圧も僅かずつしか下降しなくなり、共通ノードRの電圧が中間電圧Vcに向かって収束するようになる。
なお、トランジスタ461がoffにされることで、ダイオード466を介した回生電流によりレギュレータ電流iRが増加するが、本実施形態ではトランジスタ462がonにされることはないため、レギュレータ電流iRが正になることはない。
以上により、レギュレータ電流iRの値及び電圧誤差に基づいて、適宜共通ノードRの電圧を上昇させたり、共通ノードRの電圧を下降させたりすることで、カレントモードコントロールにより共通ノードRの電圧を中間電圧Vcに維持することができる。
そして、本実施形態のカレントモードコントロールでは、電圧指令値と実電圧値との誤差が大きいときにはレギュレータ電流iRの制限値iRLが大きな値にされることから、この制限値iRLがレギュレータ回路960の制御に影響を与えることは少ない。
また、電圧指令値と実電圧値との誤差が小さいとき、図5及び図7の場合には、制御サイクルTr中に常に一方のトランジスタ461、462がonにされていたため、制御サイクルTr平均でのレギュレータ電流iRの増減は僅かであっても、1制御サイクルTr内でレギュレータ電流iRに大きな増減が生じていた。これに対し、本実施形態のカレントモードコントロールでは、レギュレータ電流iRの制限値iRLが小さな値に変更され、レギュレータ電流iRがこの制限値iRLを超えないようにレギュレータ駆動信号の出力パルスのデューティが小さくされる。さらに、共通ノードRの電圧を上昇させる際にはレギュレータ電流iRが負になることはなく、かつ共通ノードRの電圧を下降させる際にはレギュレータ電流iRが正になることはない。そのため、電圧指令値と実電圧値との誤差が小さいときのレギュレータ電流iRのリップルを減らすことができる。
従って、トランジスタ461、462、チョークコイル471及び安定化キャパシタ423a、423bに流れる電流を減らすことができるので、これらの素子からの発熱を減らすことができ、寿命を延ばすことができる。そのため、部品コストを下げることができ、かつターボ分子ポンプ全体の信頼性を向上させることができる。
また、共通ノードRの電圧のリップルを減らせるため、安定化キャパシタ423a、423bの容積を小さくすることができる。そのため、制御装置の小型化を図ることが可能となり、制御装置等の設置のためのコストを下げることができる。
本発明の第1実施形態の磁気軸受制御回路及び制御回路の構成図 本発明の第1実施形態のアンプ回路の回路図 電磁石電流検出回路の回路図 アンプ回路の制御を示すタイムチャート レギュレータ回路の制御を示すタイムチャート(共通ノードRの電圧を上昇させるとき) 本発明の第2実施形態のアンプ回路の回路図 レギュレータ回路の制御を示すタイムチャート(共通ノードRの電圧を下降させるとき) 本発明の第3実施形態のアンプ回路の回路図 本発明の第4実施形態のアンプ回路の回路図 電磁石電流検出回路における電流検出のタイミングを示した図 本発明の第5実施形態のアンプ回路の回路図 カレントモードコントロールによるレギュレータ回路の制御を示すタイムチャート(共通ノードRの電圧を上昇させるとき) カレントモードコントロールによるレギュレータ回路の制御を示すタイムチャート(共通ノードRの電圧を下降させるとき) ターボ分子ポンプ本体の縦断面図 従来の磁気軸受制御回路及び制御回路の構成図 従来のアンプ回路の回路図 従来のアンプ回路の制御を示すタイムチャート
符号の説明
100、300 ターボ分子ポンプ本体
103 回転体
104 上側径方向電磁石
105 下側径方向電磁石
106A 軸方向電磁石
106B 軸方向電磁石
151 電磁石巻線
170 ケーブル
200、400 制御装置
201、401 磁気軸受制御回路
205 電流誤差演算器
207、407 パルス制御回路
210、410、510、610、810 アンプ回路
231、831 電磁石電流検出回路
451 中間電圧維持回路
455 電圧誤差演算器
457、957 レギュレータ制御回路
460、960 レギュレータ回路
472、972 レギュレータ電流検出回路
R 共通ノード

Claims (12)

  1. 回転体と、
    該回転体の半径方向位置及び/又は軸方向位置を電磁石により制御する位置制御手段と、
    第1の正極と負極との間に第1の電圧を発生する第1の電圧発生手段と、
    前記第1の正極と異なる第2の正極と前記負極との間に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を発生し、該第2の電圧を維持する第2の電圧発生/維持手段と、
    前記第2の正極から前記負極へ供給される第1の供給電流及び/又は前記第2の正極から前記第1の正極へ回生される第1の回生電流により、前記電磁石を励磁制御する第1の励磁制御手段とを備えた磁気軸受装置であって、
    前記第1の励磁制御手段は、
    前記第1の供給電流の断接を行う第1のスイッチ素子と、
    該第1のスイッチ素子の断接を制御する第1の制御回路と、
    前記第1の回生電流を該回生の向きに流す第1の整流素子とを備えたことを特徴とする磁気軸受装置。
  2. 回転体と、
    該回転体の半径方向位置及び/又は軸方向位置を電磁石により制御する位置制御手段と、
    第1の正極と負極との間に第1の電圧を発生する第1の電圧発生手段と、
    前記第1の正極と異なる第2の正極と前記負極との間に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を発生し、該第2の電圧を維持する第2の電圧発生/維持手段と、
    前記第1の正極から前記第2の正極へ供給される第2の供給電流及び/又は前記負極から前記第2の正極へ回生される第2の回生電流により、前記電磁石を励磁制御する第2の励磁制御手段とを備えた磁気軸受装置であって、
    前記第2の励磁制御手段は、
    前記第2の供給電流の断接を行う第2のスイッチ素子と、
    該第2のスイッチ素子の断接を制御する第2の制御回路と、
    前記第2の回生電流を該回生の向きに流す第2の整流素子とを備えたことを特徴とする磁気軸受装置。
  3. 回転体と、
    該回転体の半径方向位置及び/又は軸方向位置を複数個の電磁石により制御する位置制御手段と、
    第1の正極と負極との間に第1の電圧を発生する第1の電圧発生手段と、
    前記第1の正極と異なる第2の正極と前記負極との間に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を発生し、該第2の電圧を維持する第2の電圧発生/維持手段と、
    前記第2の正極から前記負極へ供給される第1の供給電流及び/又は前記第2の正極から前記第1の正極へ回生される第1の回生電流により、前記複数個の電磁石のうち少なくとも1個を励磁制御する第1の励磁制御手段と、
    前記第1の正極から前記第2の正極へ供給される第2の供給電流及び/又は前記負極から前記第2の正極へ回生される第2の回生電流により、前記第1の励磁制御手段により励磁制御される電磁石以外の電磁石のうち少なくとも1個を励磁制御する第2の励磁制御手段とを備えた磁気軸受装置であって、
    前記第1の励磁制御手段は、
    前記第1の供給電流の断接を行う第1のスイッチ素子と、
    該第1のスイッチ素子の断接を制御する第1の制御回路と、
    前記第1の回生電流を該回生の向きに流す第1の整流素子とを有し、
    前記第2の励磁制御手段は、
    前記第2の供給電流の断接を行う第2のスイッチ素子と、
    該第2のスイッチ素子の断接を制御する第2の制御回路と、
    前記第2の回生電流を該回生の向きに流す第2の整流素子とを有することを特徴とする磁気軸受装置。
  4. 前記第1の正極から前記第2の正極へ流れる電流と、該第2の正極から前記負極へ流れる電流とがほぼ均等化されるように、
    前記第1の励磁制御手段により励磁制御される電磁石と前記第2の励磁制御手段により励磁制御される電磁石とに、グループ分けして構成されたことを特徴とする請求項3記載の磁気軸受装置。
  5. 前記負極に一端が接続された抵抗と、
    該抵抗に対して前記電磁石に供給及び/又は該電磁石により回生される電流を流すことで、該電流の値を検出する電磁石電流検出手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気軸受装置。
  6. 前記電磁石は複数個設けられており、
    該電磁石の一端は共通のノードであり、かつ該ノードは前記第2の電圧発生/維持手段によって前記第2の電圧に維持されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気軸受装置。
  7. 前記第2の電圧発生/維持手段は、
    前記電磁石の一端の電圧と電圧指令値との誤差を算出する電圧誤差演算器と、
    該電圧誤差演算器で算出された誤差に基づいて前記第2の電圧を調整するレギュレータ回路とを備えたことを特徴とする請求項6記載の磁気軸受装置。
  8. 前記第2の電圧発生/維持手段は、前記第2の電圧を調整するレギュレータ回路を備え、
    前記レギュレータ回路と前記電磁石の一端との間に流れる電流の値が所定の制限値を超えないように制御されることを特徴とする請求項6記載の磁気軸受装置。
  9. 前記制限値は、前記電磁石の一端の電圧と電圧指令値との誤差に基づき変更されることを特徴とする請求項8記載の磁気軸受装置。
  10. 前記レギュレータ回路は、
    前記電磁石の一端に接続されたチョークコイルと、
    該チョークコイルと前記負極との間に流れる電流の断接を行う第3のスイッチ素子と、
    前記負極から前記チョークコイルに向かって電流を流す第3の整流素子と、
    前記第1の正極と前記チョークコイルとの間に流れる電流の断接を行う第4のスイッチ素子と、
    前記チョークコイルから前記第1の正極に向かって電流を流す第4の整流素子とを備え、
    前記電磁石の一端の電圧を上昇させるとき、前記第4のスイッチ素子の断接を制御する一方で、前記第3のスイッチ素子を切断し続け、
    前記電磁石の一端の電圧を下降させるとき、前記第3のスイッチ素子の断接を制御する一方で、前記第4のスイッチ素子を切断し続けることを特徴とする請求項8又は請求項9記載の磁気軸受装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁気軸受装置を搭載したターボ分子ポンプであって、
    前記回転体は、回転翼及び該回転翼の中央に配設されたロータ軸を有し、
    前記位置制御手段は、該ロータ軸を空中に磁気浮上させることを特徴とするターボ分子ポンプ。
  12. 少なくとも前記回転体及び前記位置制御手段を有するターボ分子ポンプ本体と、
    少なくとも前記第1の励磁制御手段又は前記第2の励磁制御手段を有する制御装置とを備え、
    前記ターボ分子ポンプ本体と制御装置とが一体化されたことを特徴とする請求項11記載のターボ分子ポンプ。
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