JP2004301109A - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の排気浄化システムにおいて、複数の還元剤供給手段の中から最適な手段を選択してNOxの還元を行う技術を提供する。
【解決手段】NOx触媒と、複数の還元剤供給手段と、NOx触媒に吸蔵されるNOxの吸蔵速度を推定するNOx吸蔵速度推定手段と、を備え、NOx吸蔵速度が低くなるに従って、還元剤を供給可能な機会がより増加する還元剤供給手段により還元剤を供給する。また、NOx吸蔵速度が低くなるに従い、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域がより広くなる還元剤供給手段を選択可能とし、選択可能とされ、且つ、還元剤供給可能な運転領域となっている中で、一番NOx還元効率が高い還元剤供給手段を選択して還元剤を供給させても良い。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
吸蔵還元型NOx触媒を内燃機関の排気系に配置し、還元雰囲気のときに排気中の窒素酸化物(NOx)を吸蔵(吸着、吸収、付着でも良い。)し、酸化雰囲気となったときは吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されていたNOxを還元して排気中のNOxを浄化する技術が知られている。
【0003】
そして、NOx触媒に流入する排気中の酸素濃度を比較的に短い周期でスパイク的(短時間)に低くする、所謂リッチスパイクによりNOxを浄化する技術として例えば、NOx吸蔵量が所定量以上となったときにNOx還元のためのリッチスパイクを実施する技術(例えば、特許文献1参照)、低温燃焼によりリッチスパイクを実施する技術(例えば、特許文献2参照)、排気上死点での気筒内への燃料噴射によりリッチスパイクを実施する技術(例えば、特許文献3参照)、減速時の気筒内への燃料噴射によりリッチスパイクを実施する技術(例えば、特許文献4参照)、排気系への燃料添加によりリッチスパイクを実施する技術(例えば、特許文献5参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−139340号公報(第4−9頁)
【特許文献2】
特開平11−36923号公報(第4−9頁)
【特許文献3】
特開2001−329900号公報(第3−10頁)
【特許文献4】
特開平6−200739号公報(第3−6頁)
【特許文献5】
特開平7−259541号公報(第4−7頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リッチスパイクを行う手段は上記のように複数あるが、そのNOx還元効率は夫々異なる。また、リッチスパイクを実施可能な内燃機関の運転領域も夫々異なる。ここで、適切な手段によりリッチスパイクを行えば、NOx還元効率を高く、また、還元を行う機会をより多く確保することが可能となる。
【0006】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の排気浄化システムにおいて、複数の還元剤供給手段の中から最適な手段を選択してNOxの還元を行う技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために本発明の内燃機関の排気浄化システムは、以下の手段を採用した。即ち、第1の発明は、
酸化雰囲気のときにNOxを吸蔵し還元雰囲気で吸蔵していたNOxを還元するNOx触媒と、
前記NOx触媒へ還元剤を供給し、且つ、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域の少なくとも一部が異なる複数の還元剤供給手段と、
前記NOx触媒に吸蔵されるNOxの吸蔵速度を推定するNOx吸蔵速度推定手段と、
を備え、
前記NOx吸蔵速度推定手段により推定されたNOx吸蔵速度が低くなるに従って、還元剤を供給可能な機会がより増加する還元剤供給手段により還元剤を供給することを特徴とする。
【0008】
本発明の最大の特徴は、NOx吸蔵速度が低下したときに、還元剤供給可能な機会がより多い還元剤供給手段により還元剤を供給して、還元剤供給の機会を増加させることにある。
【0009】
ここで、「NOx吸蔵速度」とは、単位時間あたりにNOx触媒に吸蔵されるNOxの量で表される。
【0010】
そして、NOx触媒に還元剤を供給する手段としては、例えば、気筒内での燃料の燃焼により内燃機関からリッチ空燃比の排気を排出する、車両減速時に気筒内へ燃料噴射を行いリッチ空燃比の排気を排出する、内燃機関の排気系に還元剤を添加する等の複数の手段がある。これらの手段は、夫々、実施可能な内燃機関の運転領域や、NOx還元効率が異なる。ここで、NOxの吸蔵速度が高い場合には、NOx触媒のNOx吸蔵能力が十分であるため、還元剤を供給可能な運転状態となる機会が少なくても、還元剤供給可能な運転状態となるまでNOx触媒にNOxを吸蔵しておくことが可能である。この場合、例え還元剤を供給可能な運転領域となる機会が少なくても、NOx還元効率の高い手段により還元剤の供給を行えば、還元剤を供給可能な運転領域でない場合にはNOx触媒にNOxを吸蔵することができ、また、還元剤を供給可能な運転領域である場合にはNOx還元効率の高い手段による還元剤の供給を行うことができる。これにより、還元剤の消費を抑制することができる。そして、還元剤に燃料を用いている場合には、燃費を向上させることが可能となる。例えば、気筒内での燃料の燃焼により内燃機関からリッチ空燃比の排気を排出させてNOx触媒に還元剤を供給する場合には、NOx還元効率が高い。そして、NOxの吸蔵速度が高い場合には、NOx還元効率が低い手段による還元剤の供給を行わないようにすれば、燃費の悪化を抑制することが可能となる。
【0011】
一方、NOxの吸蔵速度が低い場合には、NOx触媒のNOx吸蔵能力が低下するため、NOx触媒に吸蔵されたNOxを早期に還元する必要がある。このような場合には、還元剤を供給可能な機会がより多い還元剤供給手段により還元剤の供給を行う。これにより、還元剤供給の機会を増加させることができるのでNOxの還元を早期に行うことが可能となる。例えば、排気系の燃料添加では、内燃機関の運転領域には殆ど影響されずにNOx触媒に還元剤を供給することが可能である。また、例えば、車両減速時の気筒内への燃料噴射では、NOx還元効率及び還元剤供給の機会の多さにおいて、気筒内での燃料の燃焼による還元剤の供給と、排気系の燃料添加と、の中間となる。
【0012】
上記課題を達成するために本発明の内燃機関の排気浄化システムは、以下の手段を採用した。即ち、第2の発明は、
酸化雰囲気のときにNOxを吸蔵し還元雰囲気で吸蔵していたNOxを還元するNOx触媒と、
前記NOx触媒へ還元剤を供給し、且つ、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域の少なくとも一部若しくはNOx還元効率が異なる複数の還元剤供給手段と、
前記NOx触媒に吸蔵されるNOxの吸蔵速度を推定するNOx吸蔵速度推定手段と、
前記NOx吸蔵速度推定手段により推定されたNOx吸蔵速度が低くなるに従って、還元剤を供給可能な機会がより増加する還元剤供給手段をも選択可能として、選択可能な還元剤供給手段を増加させる選択範囲設定手段と、
前記選択範囲設定手段により選択可能とされた還元剤供給手段の中で、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域となっており、且つ、NOx還元効率が一番高い還元剤供給手段を選択して還元剤を供給させる選択手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の最大の特徴は、NOx吸蔵速度が低下するに従い、還元剤を供給可能な機会がより多くなる還元剤供給手段をも選択可能として選択可能な還元剤供給手段の数を増加させ、NOx還元の機会を増加させつつ、その中でNOx還元効率の高い還元手段を優先して適用することにより、還元剤の消費量を低減させることにある。
【0014】
ここで、「NOx吸蔵速度」については前記したものと同様である。
【0015】
また、NOx還元効率が高いほど少量の還元剤でNOxを還元することが可能となる。換言すると、同量の還元剤を消費する場合には、NOx還元効率が高いほど、より多くのNOxを還元することが可能となる。
【0016】
前記したように、複数ある還元剤供給手段は、夫々、実施可能な内燃機関の運転領域や、NOx還元効率が異なる。
【0017】
そして、NOxの吸蔵速度が低い場合には、NOx触媒のNOx吸蔵能力が低下するため、NOx触媒に吸蔵されたNOxを早期に還元する必要がある。このような場合には、還元剤を供給可能な機会がより多い還元剤供給手段をも選択可能とする。これにより、選択可能な還元剤供給手段の数が増加し、これらの手段は夫々還元剤供給可能な運転領域が異なるため、還元剤供給の機会を増加させることができ、NOxの還元を早期に行うことが可能となる。そして、NOx吸蔵速度が低下した場合であっても、NOx還元効率のより高い還元剤供給手段により還元剤の供給が可能な場合には、この手段を選択して還元剤の供給を行う。これにより、NOx触媒に吸蔵されたNOxの早期還元及び還元剤消費量の低減が可能となる。
【0018】
上記課題を達成するために本発明の内燃機関の排気浄化システムは、以下の手段を採用した。即ち、第3の発明は、
酸化雰囲気のときにNOxを吸蔵し還元雰囲気で吸蔵していたNOxを還元するNOx触媒と、
前記NOx触媒へ還元剤を供給し、且つ、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域の少なくとも一部若しくはNOx還元効率が異なる複数の還元剤供給手段と、
前記NOx触媒に吸蔵されるNOxの吸蔵速度を推定するNOx吸蔵速度推定手段と、
前記NOx吸蔵速度推定手段により推定されたNOx吸蔵速度が低くなるに従って、NOx還元効率がより低くなる還元剤供給手段をも選択可能として、選択可能な還元剤供給手段を増加させる選択範囲設定手段と、
前記選択範囲設定手段により選択可能とされた還元剤供給手段の中で、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域となっており、且つ、NOx還元効率が一番高い還元剤供給手段を選択して還元剤を供給させる選択手段と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の最大の特徴は、NOx吸蔵速度が低下するに従い、NOx還元効率の低い還元剤供給手段をも選択可能として選択可能な還元剤供給手段の数を増加させ、NOx還元の機会を増加させつつ、その中でNOx還元効率の高い還元手段を優先して適用することにより、還元剤の消費量を低減させることにある。
【0020】
ここで、「NOx吸蔵速度」については前記したものと同様である。
【0021】
そして、NOxの吸蔵速度が低い場合には、NOx触媒のNOx吸蔵能力が低下するため、NOx触媒に吸蔵されたNOxを早期に還元する必要がある。このような場合には、NOx還元効率のより低い還元剤供給手段をも選択可能とする。ここで、NOx還元効率の低いNOx還元手段によりNOxの還元を行うと、還元剤の消費量が多くなってしまう。しかし、NOx吸蔵速度が低下した場合には、早期にNOxを還元させる必要があるため、NOx還元効率の低い手段をも選択可能とする。これにより、選択可能な還元剤供給手段の数が増加し、これらの手段は夫々還元剤供給可能な運転領域が異なるため、還元剤供給の機会を増加させることができ、NOxの還元を早期に行うことが可能となる。そして、NOx吸蔵速度が低下した場合であっても、NOx還元効率のより高い還元剤供給手段により還元剤の供給が可能な場合には、この手段を選択して還元剤の供給を行う。これにより、NOx触媒に吸蔵されたNOxの早期還元及び還元剤消費量の低減が可能となる。
【0022】
また、NOx吸蔵速度が高い場合には、NOx還元効率の低い還元剤供給手段を選択することはできないので、還元剤消費量を低減させることが可能となる。
【0023】
第1から第3の発明においては、前記還元剤供給手段は、燃焼室内の既燃ガス成分を煤の発生量が最大となるよりも増加させて前記内燃機関を運転させる低温燃焼、排気上死点での気筒内への燃料噴射による燃焼、燃料主噴射後の膨張行程若しくは排気行程中に再度燃料を噴射させる副噴射、予混合圧縮着火燃焼、減速時の燃料噴射、排気系への燃料添加の少なくとも2つであっても良い。
【0024】
ここで、低温燃焼、排気上死点での燃料噴射、燃料主噴射後の膨張行程若しくは排気行程中に再度燃料を噴射させる副噴射、予混合圧縮着火燃焼では、気筒内で燃料を燃焼させるので、排気中の残留酸素が少なく、また、排気中に含まれる還元剤としてのCOやHCもガス化しているため、NOx触媒でのNOx還元効率が高い。その一方で、気筒内での燃焼の安定性や、燃焼騒音の発生、スモークの発生等により実施可能な内燃機関の運転領域が低回転軽負荷時に限られる。
【0025】
また、減速時の燃料噴射では、内燃機関の吸入空気量が少ない状態で燃料を燃焼させることができるので、少量の燃料でリッチ空燃比の排気を排出することができる。そして、排気中には残留酸素が存在するものの、燃料の一部はガス化しておりNOx触媒にCO、HCを供給することができる。しかし、この手段による還元剤の供給は、当然に減速状態でなければ実施することができない。また、減速感を得るために、減速時であっても燃料噴射を実施することができない場合がある。
【0026】
排気系への燃料添加では、触媒の温度が活性化温度に達していれば実施することが可能であり、内燃機関のほぼ全運転領域で実施することが可能である。その一方で、排気中には残留酸素が存在し、還元剤も液体の状態で噴射されるので、NOx触媒の上流側ではNOx還元効率が低くなり、全体としてもNOx還元効率が低い。
【0027】
このように、NOx還元効率の点では、低温燃焼、排気上死点での燃料噴射、燃料主噴射後の膨張行程若しくは排気行程中に再度燃料を噴射させる副噴射、予混合圧縮着火燃焼等の気筒内での燃焼による還元剤の供給が一番優れており、減速時の燃料噴射、排気系への燃料添加が順に続く。また、還元剤を供給可能な機会が多いという点では、排気系への燃料添加が一番優れており、減速時の気筒内燃料噴射、気筒内での燃焼による還元剤の供給が順に続く。
【0028】
以上のことから、NOx吸蔵速度が高い場合には、NOx還元効率が高い気筒内での燃焼による還元剤の供給に限り行う。そして、第1の発明においては、NOx吸蔵速度が低くなるに従い、還元剤を供給可能な機会がより多い減速時の燃料噴射、更には排気系への燃料添加により還元剤の供給を行う。また、第2及び第3の発明においては、NOx吸蔵速度が低くなるに従い、還元剤を供給可能な機会がより多い減速時の燃料噴射、更には排気系への燃料添加を選択可能にする。ただし、還元剤の供給は、内燃機関の運転領域により実施可能である還元剤供給手段の中で一番NOx還元効率の高い手段により還元剤の供給を行う。これにより、大気中へのNOxの放出を抑制しつつ、還元剤の消費量を低減させることが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化システムの具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る内燃機関の排気浄化システムを車両駆動用のディーゼル機関に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態に係る排気浄化システムを適用するエンジン1とその吸排気系の概略構成を示す図である。
【0031】
図1に示すエンジン1は、4つの気筒2を有する水冷式の4サイクル・ディーゼル機関である。
【0032】
エンジン1は、各気筒2の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁3を備えている。各燃料噴射弁3は、燃料を所定圧まで蓄圧する蓄圧室(コモンレール)4と接続されている。
【0033】
前記コモンレール4は、燃料供給管5を介して燃料ポンプ6と連通している。この燃料ポンプ6は、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源として作動するポンプであり、該燃料ポンプ6の入力軸に取り付けられたポンププーリ6aがエンジン1の出力軸(クランクシャフト)に取り付けられたクランクプーリ1aとベルト7を介して連結されている。
【0034】
このように構成された燃料噴射系では、燃料ポンプ6は、クランクシャフトから該燃料ポンプ6の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で燃料を吐出する。燃料ポンプ6から吐出された燃料は、燃料供給管5を介してコモンレール4へ供給され、コモンレール4にて所定圧まで蓄圧されて各気筒2の燃料噴射弁3へ分配される。そして、燃料噴射弁3に駆動電流が印加されると、燃料噴射弁3が開弁し、その結果、燃料噴射弁3から気筒2内へ燃料が噴射される。
【0035】
次に、エンジン1には、吸気枝管8が接続されており、吸気枝管8の各枝管は、各気筒2の燃焼室と吸気ポート(図示省略)を介して連通している。
【0036】
前記吸気枝管8は吸気管9に接続されている。吸気管9には、該吸気管9内を流通する吸気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ10が取り付けられている。
【0037】
前記吸気管9における吸気枝管8の直上流に位置する部位には、該吸気管9内を流通する吸気の流量を調節する吸気絞り弁11が設けられている。この吸気絞り弁11には、ステップモータ等で構成されて該吸気絞り弁11を開閉駆動する吸気絞り用アクチュエータ12が取り付けられている。
【0038】
このように構成された吸気系では、吸気は、吸気管9を介して吸気枝管8に流入する。吸気枝管8に流入した吸気は、各枝管を介して各気筒2の燃焼室へ分配され、各気筒2の燃料噴射弁3から噴射された燃料を着火源として燃焼される。
【0039】
一方、エンジン1には、排気枝管13が接続され、排気枝管13の各枝管が排気ポート1bを介して各気筒2の燃焼室と連通している。
【0040】
前記排気枝管13は、排気管14と接続され、この排気管14は、下流にて大気へと通じている。
【0041】
前記排気管14の途中には、排気中に含まれる浮遊粒子状物質である煤に代表されるパティキュレートマター(Particulate Matter:以下、「PM」という。)を捕獲するためのパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタという。)15が設けられている。このフィルタ15には、吸蔵還元型NOx触媒(以下、単にNOx触媒とする。)が担持されている。本実施の形態では、アルミナからなる担体上にバリウム(Ba)と白金(Pt)とを担持し、更に酸素貯蔵(Oストレージ)能のある例えばセリア(CeO)等の遷移金属が添加されている。
【0042】
また、本実施の形態においては、フィルタ15にNOx触媒を担持した場合について説明するが、フィルタ構造を有しない単なるNOx触媒についても適用することができる。
【0043】
NOx触媒は、該フィルタ15に流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中のNOxを吸蔵(吸収、吸着、付着でも良い。)し、一方、該フィルタ15に流入する排気の酸素濃度が低下したときは吸蔵していたNOxを放出する。その際、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、放出されたNOxが還元される。また、セリア(CeO)等の遷移金属は、排気の特性に応じて酸素を一時的に保持し、活性化酸素として放出する能力を有する。
【0044】
フィルタ15より下流の排気管14には、該排気管14内を流通する排気中のNOx濃度に対応した電気信号を出力するNOxセンサ16が取り付けられている。
【0045】
このように構成された排気系では、エンジン1の各気筒2で燃焼された混合気(既燃ガス)が排気ポート1bを介して排気枝管13へ排出され、次いで排気枝管13から排気管14を介してフィルタ15へ流入し、排気中のNOxが吸蔵され、PMが捕獲される。その後、排気は排気管14を流通して大気中へと放出される。
【0046】
また、排気枝管13と吸気枝管8とは、排気枝管13内を流通する排気の一部を吸気枝管8へ再循環させる排気再循環通路(EGR通路)17を介して連通されている。このEGR通路17の途中には、電磁弁等で構成され、印加電力の大きさに応じて前記EGR通路17内を流通する排気(以下、EGRガスと称する)の流量を変更する流量調整弁(EGR弁)18が設けられている。
【0047】
ところで、エンジン1が希薄燃焼運転されている場合は、エンジン1から排出される排気の空燃比がリーンとなり排気中の酸素濃度が高くなるため、排気中に含まれるNOxがNOx触媒に吸蔵されることになるが、エンジン1の希薄燃焼運転が長期間継続されると、NOx触媒のNOx吸蔵能力が飽和し、排気中のNOxがNOx触媒にて吸蔵されずに大気中へ放出されてしまう。
【0048】
ここで、「排気の空燃比がリーン」である状態とは、例えば理論空燃比の混合気を燃焼して得られる排気中の成分比(酸化成分と還元成分の比)よりも、酸化成分が多い(濃い)状態に相当する。換言すると、吸気系へ排気が還流されたり、還元成分が直接排気系に供給されたりといった外乱がない場合、機関燃焼に供される混合気の空燃比が、概ね「14.6」(理論空燃比)よりも大きい(リーン寄りである)ときの排気の状態を意味する。一方、「排気の空燃比がリッチ」である状態とは、同じく吸気系へ排気が還流されたり、還元成分が直接排気系に供給されたりといった外乱がない場合、機関燃焼に供される混合気の空燃比が、概ね「14.6」(理論空燃比)よりも小さい(リッチ寄りである)ときの排気の状態を意味する。
【0049】
特に、エンジン1のようなディーゼル機関では、大部分の運転領域においてリーン空燃比の混合気が燃焼され、それに応じて大部分の運転領域において排気の空燃比がリーン空燃比となるため、NOx触媒のNOx吸蔵能力が飽和し易い。
【0050】
従って、エンジン1が希薄燃焼運転されている場合は、NOx触媒のNOx吸蔵能力が飽和する前にNOx触媒に流入する排気中の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高め、NOx触媒に吸蔵されたNOxを還元させる必要がある。
【0051】
例えば、排気中の燃料添加では、フィルタ15より上流の排気管14を流通する排気中に還元剤たる燃料(軽油)を添加する還元剤供給機構を備え、この還元剤供給機構から排気中へ燃料を添加することにより、フィルタ15に流入する排気の酸素濃度を低下させるとともに還元剤の濃度を高めることができる。
【0052】
還元剤供給機構は、図1に示されるように、その噴孔が排気枝管13内に臨むように取り付けられ、後述するECU21からの信号により開弁して燃料を噴射する燃料添加弁19と、前述した燃料ポンプ6から吐出された燃料を前記燃料添加弁19へ導く還元剤供給路20と、を備えている。
【0053】
このような還元剤供給機構では、燃料ポンプ6から吐出された高圧の燃料が還元剤供給路20を介して燃料添加弁19へ印加される。そして、ECU21からの信号により該燃料添加弁19が開弁して排気枝管13内へ還元剤としての燃料が噴射される。
【0054】
燃料添加弁19から排気枝管13内へ噴射された燃料は、排気枝管13の上流から流れてきた排気の酸素濃度を低下させると共に、フィルタ15に到達し、フィルタ15に吸蔵されていたNOxを還元することになる。
【0055】
その後、ECU21からの信号により燃料添加弁19が閉弁し、排気枝管13内への燃料の添加が停止される。
【0056】
また、エンジン1には、クランクシャフトの回転位置に対応した電気信号を出力するクランクポジションセンサ22が設けられている。
【0057】
以上述べたように構成されたエンジン1には、該エンジン1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)21が併設されている。このECU21は、エンジン1の運転条件や運転者の要求に応じてエンジン1の運転状態を制御するユニットである。
【0058】
ECU21には、各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号の他、運転者がアクセルを踏み込んだ量に応じた電気信号を出力するアクセル開度センサ23の出力信号が入力されるようになっている。
【0059】
一方、ECU21には、燃料噴射弁3、吸気絞り用アクチュエータ12、燃料添加弁19等が電気配線を介して接続され、上記した各部をECU21により制御することが可能になっている。
【0060】
例えば、NOx浄化制御では、ECU21は、フィルタ15に流入する排気中の酸素濃度を比較的に短い周期でスパイク的(短時間)に低くする、所謂リッチスパイク制御を実行する。
【0061】
このように排気中の酸素濃度を比較的に短い周期でスパイク的に低くする方法としては、例えば、前記した排気中への燃料添加の他に、再循環するEGRガス量を増大させて煤の発生量が増加して最大となるよりも、更にEGRガス量を増大させる低温燃焼(特許第3116876号)、燃料主噴射後の膨張行程若しくは排気行程中に再度燃料を噴射させる副噴射、排気行程終期若しくは吸気行程初期のピストンが上死点付近にあるときに行う燃料噴射、吸気行程若しくは排気行程中に燃料を予め燃料を噴射させて圧縮着火を行う予混合圧縮着火燃焼、車両減速時の燃料噴射等の方法が考えられる。
【0062】
前記低温燃焼では、燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温度が低いためにHCの成長が煤に至る前の途中の段階で停止する。このHCは、NOx触媒にて還元剤として働く。
【0063】
燃料主噴射後の膨張行程若しくは排気行程中に再度燃料を噴射させる副噴射では、エンジン1から未燃燃料であるHCが多く排出される。このHCは、NOx触媒にて還元剤として働く。
【0064】
排気行程終期若しくは吸気行程初期のピストンが上死点付近にあるときに行う燃料噴射では、吸気行程中及び圧縮行程中で燃料が蒸発して着火しやすいものとなるので、気筒内での空燃比を低くしても燃焼状態を安定させることができる。そして、空燃比を低下させることにより、NOx触媒に還元剤としてのHCを供給することが可能となる。
【0065】
吸気行程中若しくは圧縮行程中に燃料を予め噴射させて圧縮着火を行う予混合圧縮着火燃焼では、吸気行程中若しくは圧縮行程中で燃料が蒸発して着火しやすいものとなるので、気筒内での空燃比を低くしても燃焼状態を安定させることができる。そして、空燃比を低下させることにより、NOx触媒に還元剤としてのHCを供給することが可能となる。
【0066】
車両減速時の燃料噴射では、吸気絞り弁11が閉弁されるのでエンジン1の吸入空気量が減少する。従って、少量の燃料で空燃比を低下させ、NOx触媒にHCを供給することが可能となる。
【0067】
このように、NOx触媒に還元剤を供給する方法は複数ある。そして、NOx還元効率及び実施可能な運転領域は夫々異なる。
【0068】
例えば、低温燃焼、排気上死点での燃料噴射、副噴射、予混合圧縮着火燃焼等の気筒2内で燃料を燃焼させてNOx触媒に還元剤を供給する方法(以下、単に「気筒2内で燃料を燃焼させてNOx触媒に還元剤を供給する方法」とする。)では、気筒2内で燃料を燃焼させるため排気中の残留酸素が少なく、また、還元剤としてのCOやHCもガス化しているためNOx触媒での反応性が良い。そのため、NOx還元効率が高くなる。ここで、本願発明においては、「NOx還元効率」を「NOx触媒における還元剤の反応性」若しくは「NOx触媒における還元剤の反応のしやすさ」と置き換えて適用しても良い。その一方で、これらの方法では、気筒2内での燃焼安定性確保や、燃焼騒音の発生の抑制、スモークの発生の抑制等を考慮すると、エンジン1の運転領域が低回転軽負荷のときに限り実施可能である。
【0069】
また、減速時の気筒2内への燃料噴射では、還元剤の供給は減速状態でなければ行うことができない。また、減速時であっても減速感を得るために燃料噴射を実施することができない場合もある。一方、減速時の気筒2内への燃料噴射では、排気中には残留酸素が存在するものの、燃料の一部はガス化しておりNOx触媒にCO、HCを供給することができる。
【0070】
そして、排気系への燃料添加では、触媒の温度が活性化温度に達していれば、燃料添加を実施することが可能であり、燃料添加を実施可能なエンジン運転領域が広い(燃料添加を実施可能な機会が多い)。その一方で、排気中には残留酸素が多く存在し、還元剤も液体の状態で噴射されるので、NOx触媒の上流側ではNOx還元効率が低くなる。
【0071】
このように、NOx還元効率の点では、気筒2内での燃焼による還元剤の供給が一番優れており、減速時の気筒2内への燃料噴射、排気系への燃料添加がそれに続く。また、NOx触媒への還元剤供給の機会を多く取ることができるという点では、排気系への燃料添加が一番優れており、次に、減速時の気筒2内への燃料噴射、そして、気筒2内での燃焼による還元剤の供給がそれに続く。
【0072】
ここで、従来の内燃機関の排気浄化システムでは、前記複数の還元剤供給手段による還元剤の供給を適切に使い分けてはいなかった。即ち、還元効率を優先させて還元剤を供給可能なエンジン運転領域が狭いもののみを使用していたり、NOx還元の機会の増加を優先させてNOx還元効率が低いもののみを使用していたりした。還元効率を優先させた場合には、還元剤供給可能なエンジン運転領域が狭いために、エンジン1の運転領域によってはNOxの還元を行うことができなかった。また、NOx還元の機会の増加を優先させた場合には、NOx還元効率の低下により、燃費の悪化を誘発していた。
【0073】
その点、本実施の形態では、NOx吸蔵速度を三段階に分けて、各段階毎に還元剤の供給を行う手段を予め定めておく。
【0074】
即ち、NOx吸蔵速度が高い段階の場合には、NOx還元効率が高い方法による還元剤の供給を行う。そして、NOx吸蔵速度が低下した段階となるに従って、還元剤供給の機会がより増加する方法により還元剤の供給を行う。
【0075】
NOx吸蔵速度が一番高い段階の場合には、還元剤を供給することができなくても、NOx触媒にNOxが吸蔵されるため、NOxが大気中へ放出されることは殆どない。この場合、NOx還元効率の一番高い気筒2内での燃焼による還元剤の供給を行う。気筒2内での燃焼による還元剤の供給では、実施可能なエンジン1の運転領域が限られているが、NOxの還元ができない状態であってもNOx触媒にNOxが吸蔵されるため、大気中へのNOxの放出は殆どない。このようにして、NOx吸蔵速度が高い場合には、NOx還元効率の高い方法によりNOxの還元を行い、燃費の悪化を抑制することができる。
【0076】
また、NOx吸蔵速度が低下して次の段階となった場合には、減速時の気筒2内への燃料噴射により還元剤の供給を行う。これにより、還元剤供給可能な機会が増加し、NOx吸蔵速度を高めることができる。
【0077】
更に、NOx吸蔵速度が低下して一番低い段階となった場合には、排気系への燃料添加により還元剤の供給を行う。この場合には、NOx吸蔵速度を早期に高める必要があるため、NOx還元効率は劣るが実施可能な機会が多い排気系の燃料添加を行って、還元剤供給の機会を増加させる。これにより、早期にNOx吸蔵速度を上昇させることができる。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態によれば、NOx吸蔵速度が高い場合には、NOx還元効率の高い還元剤の供給手段を適用して還元剤の消費を抑制することができる。そして、NOx触媒のNOx吸蔵速度が低くなるに従い、還元剤を供給可能な機会が多い還元剤の供給手段を適用して、還元剤の供給の機会を増加させることが可能となり、大気中へのNOxの放出を抑制することができる。
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、NOx吸蔵速度が低下した場合であっても、NOx還元効率の高いNOx還元手段により還元剤の供給を可能としている点で相違する。尚、本実施の形態においては、適用対象となるエンジンやその他ハードウェアの基本構成については、第1の実施の形態と共通なので説明を割愛する。
【0079】
本実施の形態では、NOx吸蔵速度を三段階に分けて、各段階毎に選択可能な還元剤供給手段を予め定めておき、その中で、還元剤供給可能なエンジン1の運転領域となっており、且つ、NOx還元効率が一番高い還元剤供給手段を優先して選択し、還元剤の供給を行う。
【0080】
即ち、NOx吸蔵速度が高い段階の場合には、NOx還元効率が高い方法による還元剤の供給のみを行う。そして、NOx吸蔵速度が低下した段階となるに従って、NOx還元効率がより低くなる方法を順次選択可能とする。ここで、エンジン1の運転領域によっては、NOx還元効率が高い方法を実施することができるため、そのときには、NOx還元効率が高い方法による還元剤の供給を優先して実施する。
【0081】
図2は、NOx吸蔵速度と還元剤供給手段との関係を示した図である。(1)は、気筒2内での燃焼による、(2)は、減速時の気筒2内への燃料噴射による、(3)は、排気系の燃料添加による還元剤の供給を行う範囲を示している。また、要求吸蔵速度とは、NOxの浄化率を想定範囲内に維持するためにNOx触媒に要求されるNOxの吸蔵速度である。この想定範囲は、規制値等に基づいて定められる。
【0082】
また、図3は、NOx吸蔵量とNOx吸蔵速度との関係を示した図である。ここで、NOx吸蔵量が多くなるほど、NOx吸蔵速度は遅くなる。
【0083】
NOx吸蔵量が少ない、即ち、NOx吸蔵速度が高い場合には、NOx触媒にNOxが吸蔵されるため、NOxが大気中へ放出されることは殆どない。この場合、NOx還元効率の一番高い気筒2内での燃焼による還元剤の供給を行う。気筒2内での燃焼による還元剤の供給では、実施可能なエンジン1の運転領域が限られているが、NOxの還元ができない状態であってもNOx触媒にNOxが吸蔵されるため、大気中へのNOxの放出は殆どない。このように、NOx触媒の吸蔵速度が十分に高い場合には、気筒2内での燃焼による還元剤の供給に限り行う。このようにして、NOx還元効率の高い方法によりNOxの還元を行い、燃費の悪化を抑制することができる。
【0084】
また、NOx吸蔵速度が要求吸蔵速度近辺まで低下した場合には、気筒2内での燃焼、若しくは、減速時の気筒2内への燃料噴射の何れかにより還元剤の供給を行う。この場合、気筒2内での燃焼による還元剤の供給を行うことができるエンジン運転領域では、こちらを優先的に行う。これにより、NOx還元効率の低下を抑制しつつ、還元剤供給可能な機会を増加させ、NOx吸蔵速度が要求吸蔵速度以下となることを抑制することができる。
【0085】
更に、NOx吸蔵速度が要求吸蔵速度よりも低下した場合には、気筒2内での燃焼、減速時の気筒2内への燃料噴射、排気系への燃料添加の何れかにより還元剤の供給を行う。NOx吸蔵速度が要求吸蔵速度よりも低下した場合には、NOx吸蔵速度を早期に高める必要があるため、NOx還元効率は劣るが実施可能なエンジン運転領域が広い(実施可能な機会が多い)排気系の燃料添加を行って、還元剤供給の機会を増加させる。この場合、気筒2内での燃焼による還元剤の供給を行うことができるエンジン運転領域では、こちらを優先的に行う。また、気筒2内での燃焼による還元剤の供給を行うことができないエンジン運転領域であっても、減速時の気筒2内への燃料噴射を行うことができるエンジン運転領域であれば、減速時の気筒2内への燃料噴射を優先的に行う。これにより、NOx還元効率の低下を抑制しつつ、早期にNOx吸蔵速度を上昇させることができる。
【0086】
ここで、NOx吸蔵速度は、先ずNOx吸蔵量を求め、このNOx吸蔵量を図3へ代入して得ることができる。NOx吸蔵量は、エンジン回転数とエンジン負荷とエンジン1からのNOx排出量との関係を予め実験等により求めてマップ化しECU21に記憶させておく。このマップへエンジン回転数(クランクポジションセンサ22からの出力信号)及びエンジン負荷(燃料噴射量若しくはアクセル開度センサ23からの出力信号)を代入して得られるNOx排出量を積算してNOx吸蔵量を得ることができる。
【0087】
尚、本実施の形態では、NOx吸蔵速度に代えて、NOx吸蔵量に基づいてNOx触媒に還元剤を供給しても良い。即ち、NOx吸蔵量を三段階に分けて、各段階毎に選択可能な還元剤供給手段を予め定めておき、その中で、NOx還元効率が一番高い還元剤供給手段を優先して実施するようにしても良い。
【0088】
また、本実施の形態においては、NOx触媒下流のNOxセンサ16により検出されたNOx濃度に応じてNOx吸蔵速度を求めても良い。
【0089】
更に、本実施の形態では、NOx吸蔵速度に代えて、NOx触媒下流の排気中のNOx濃度に基づいてNOx触媒に還元剤を供給しても良い。
【0090】
図4は、単位時間あたりにNOx触媒から放出されるNOx量と還元剤供給手段との関係を示した図である。(1)は、気筒2内での燃焼による、(2)は、減速時の気筒2内への燃料噴射による、(3)は、排気系の燃料添加による還元剤の供給を行う範囲を示している。また、要求出ガスNOxクライテリアとは、大気中へのNOxの放出量を想定範囲内に維持するためにNOx触媒に要求される単位時間当たりのNOxの放出量である。この想定範囲は、規制値等に基づいて定められる。また、単位時間あたりにNOx触媒から放出されるNOx量は、NOxセンサにより検出されるNOx濃度とエンジン1の吸入空気量とから得ることができる。
【0091】
ここで、図3に示すように、NOx触媒に吸蔵されているNOx量が多くなるほど、NOx吸蔵速度が低くなる。そして、NOxの吸蔵速度を上回る量のNOxがNOx触媒へ流入すると、NOx触媒に吸蔵されないNOxが該NOx触媒下流へ流出することがある。この流出したNOxは、NOxセンサ16により検出される。そして、NOxセンサ16により検出されるNOx濃度と吸入空気量とから単位時間当たりに流出するNOx量を求めることができる。
【0092】
単位時間あたりにNOx触媒から放出されるNOx量が少ない場合、即ち、NOx触媒からのNOx放出量が要求出ガスNOxクライテリアよりも十分低い場合には、NOxはNOx触媒に吸蔵されていると考えられる。この場合、NOx還元効率の一番高い気筒2内での燃焼による還元剤の供給を行う。気筒2内での燃焼による還元剤の供給では、実施可能なエンジン1の運転領域が限られているが、還元剤を供給することができない運転領域であっても、NOxはNOx触媒に吸蔵されるので、大気中へはNOxが殆ど放出されない。このようにして、NOx還元効率の高い方法によりNOxの還元を行い、燃費の悪化を抑制する。
【0093】
また、単位時間あたりにNOx触媒から放出されるNOx量が要求出ガスNOxクライテリア近辺まで上昇した場合には、気筒2内での燃焼、若しくは、減速時の気筒2内への燃料噴射の何れかにより還元剤の供給を行う。この場合、気筒2内での燃焼による還元剤の供給を行うことができるエンジン運転領域では、こちらを優先的に行う。これにより、NOx還元効率の低下を抑制しつつ、還元剤供給可能な機会が多くなり、単位時間あたりにNOx触媒から放出されるNOx量が要求出ガスNOxクライテリア以上となることを抑制することができる。
【0094】
更に、単位時間あたりにNOx触媒から放出されるNOx量が要求出ガスNOxクライテリアよりも多くなった場合には、気筒2内での燃焼、減速時の気筒2内への燃料噴射、排気系への燃料添加の何れかにより還元剤の供給を行う。この場合には、NOx触媒から流出するNOx量を早期に減少させる必要があるため、NOx還元効率は劣るが実施可能なエンジン運転領域が広い排気系の燃料添加を行って、還元剤供給の機会を増加させる。この場合、気筒2内での燃焼による還元剤の供給を行うことができるエンジン運転領域では、こちらを優先的に行う。また、気筒2内での燃焼による還元剤の供給を行うことができないエンジン運転領域であっても、減速時の気筒2内への燃料噴射を行うことができるエンジン運転領域であれば、減速時の気筒2内への燃料噴射を優先的に行う。これにより、NOx還元効率の低下を抑制しつつ、早期にNOxの流出を低減させることができる。
【0095】
以上説明したように、本実施の形態によれば、NOx還元効率の高い還元剤の供給手段を優先的に適用し、還元剤の消費を抑制することが可能となる。そして、NOx触媒のNOx吸蔵速度が低くなるに従い、還元剤を供給可能なエンジン運転領域が異なる還元剤の供給手段を選択可能とし、還元剤の供給の機会を増加させることが可能となる。
<その他の実施の形態>
第1及び第2の実施の形態においては、気筒2内での燃焼は、低温燃焼、排気上死点での燃料噴射、副噴射、予混合圧縮着火燃焼等の何れか1つでも良いし、2つ以上を選択可能としても良い。2つ以上とした場合には、これらのNOx還元効率及び実施可能なエンジン運転領域は、設計要件等により異なるため、予め実験等によりNOx還元効率及び実施可能なエンジン運転領域を求め、還元効率の高い順に優先的に実施するようにしても良い。
【0096】
また、第1及び第2の実施の形態においては、NOx吸蔵速度、若しくは単位時間あたりにNOx触媒から放出されるNOx量をその大きさにより三段階に分け、各段階毎に選択可能な還元剤供給手段を設定した例について説明したが、これに代えて、二段階若しくは四段階以上に分けて、各段階毎に選択可能な還元剤供給手段を設定しても良い。ここで、低温燃焼、排気上死点での燃料噴射、副噴射、予混合圧縮着火燃焼等の気筒2内での燃焼による還元剤の供給を夫々別の段階としても良い。これらのNOx還元効率及び実施可能なエンジン運転領域は、設計要件等により異なるため、予め実験等によりNOx還元効率及び実施可能なエンジン運転領域を求め、還元効率の高い順に優先的に実施するようにしても良い。
【0097】
第1及び第2の実施の形態においては、排気中への燃料添加、低温燃焼、排気行程終期若しくは吸気行程初期のピストンが上死点付近にあるときに行う燃料噴射、副噴射、予混合圧縮着火燃焼、車両減速時の燃料噴射を還元剤供給手段として適用した例について説明したが、これらに限らず、他の還元剤供給手段についても適用することもできる。この場合、NOx還元効率及び実施可能なエンジン運転領域を予め求めておき、NOx還元効率の高いものを優先的に適用する。
【0098】
【発明の効果】
本発明に係る内燃機関の排気浄化システムでは、NOx吸蔵速度が高い場合には、NOx還元効率の高い還元剤供給手段を優先的に適用し、還元剤の消費を抑制することができる。そして、NOx触媒のNOx吸蔵速度が低くなるほど、還元剤を供給することができる機会がより多い還元剤供給手段により還元剤の供給を行うことができ、還元剤の供給の機会を増加させることができる。
【0099】
以上により、還元剤に燃料を使用している場合には燃費の悪化を抑制することができる。また、NOxが大気中へ放出されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る排気浄化システムを適用するエンジンとその吸排気系の概略構成を示す図である。
【図2】NOx吸蔵速度と還元剤供給手段との関係を示した図である。
【図3】NOx吸蔵量とNOx吸蔵速度との関係を示した図である。
【図4】単位時間あたりにNOx触媒から放出されるNOx量と還元剤供給手段との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 エンジン
1a クランクプーリ
1b 排気ポート
2 気筒
3 燃料噴射弁
4 コモンレール
5 燃料供給管
6 燃料ポンプ
6a ポンププーリ
7 ベルト
8 吸気枝管
9 吸気管
10 エアフローメータ
11 吸気絞り弁
12 吸気絞り用アクチュエータ
13 排気枝管
14 排気管
15 パティキュレートフィルタ(吸蔵還元型NOx触媒)
16 NOxセンサ
17 EGR通路
18 EGR弁
19 燃料添加弁
20 還元剤供給路
21 ECU
22 クランクポジションセンサ
23 アクセル開度センサ

Claims (4)

  1. 酸化雰囲気のときにNOxを吸蔵し還元雰囲気で吸蔵していたNOxを還元するNOx触媒と、
    前記NOx触媒へ還元剤を供給し、且つ、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域の少なくとも一部が異なる複数の還元剤供給手段と、
    前記NOx触媒に吸蔵されるNOxの吸蔵速度を推定するNOx吸蔵速度推定手段と、
    を備え、
    前記NOx吸蔵速度推定手段により推定されたNOx吸蔵速度が低くなるに従って、還元剤を供給可能な機会がより増加する還元剤供給手段により還元剤を供給することを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 酸化雰囲気のときにNOxを吸蔵し還元雰囲気で吸蔵していたNOxを還元するNOx触媒と、
    前記NOx触媒へ還元剤を供給し、且つ、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域の少なくとも一部若しくはNOx還元効率が異なる複数の還元剤供給手段と、
    前記NOx触媒に吸蔵されるNOxの吸蔵速度を推定するNOx吸蔵速度推定手段と、
    前記NOx吸蔵速度推定手段により推定されたNOx吸蔵速度が低くなるに従って、還元剤を供給可能な機会がより増加する還元剤供給手段をも選択可能として、選択可能な還元剤供給手段を増加させる選択範囲設定手段と、
    前記選択範囲設定手段により選択可能とされた還元剤供給手段の中で、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域となっており、且つ、NOx還元効率が一番高い還元剤供給手段を選択して還元剤を供給させる選択手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  3. 酸化雰囲気のときにNOxを吸蔵し還元雰囲気で吸蔵していたNOxを還元するNOx触媒と、
    前記NOx触媒へ還元剤を供給し、且つ、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域の少なくとも一部若しくはNOx還元効率が異なる複数の還元剤供給手段と、
    前記NOx触媒に吸蔵されるNOxの吸蔵速度を推定するNOx吸蔵速度推定手段と、
    前記NOx吸蔵速度推定手段により推定されたNOx吸蔵速度が低くなるに従って、NOx還元効率がより低くなる還元剤供給手段をも選択可能として、選択可能な還元剤供給手段を増加させる選択範囲設定手段と、
    前記選択範囲設定手段により選択可能とされた還元剤供給手段の中で、還元剤を供給可能な内燃機関の運転領域となっており、且つ、NOx還元効率が一番高い還元剤供給手段を選択して還元剤を供給させる選択手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  4. 前記還元剤供給手段は、燃焼室内の既燃ガス成分を煤の発生量が最大となるよりも増加させて前記内燃機関を運転させる低温燃焼、排気上死点での気筒内への燃料噴射による燃焼、燃料主噴射後の膨張行程若しくは排気行程中に再度燃料を噴射させる副噴射、予混合圧縮着火燃焼、減速時の燃料噴射、排気系への燃料添加の少なくとも2つであることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
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