JP2004300962A - エンジンの始動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動的停止状態にあるエンジンを甚作かつ適正に再始動させる。
【解決手段】エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、実質的な膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、ECU30からなる再始動制御手段により制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのアイドリング運転時等において自動的に停止状態となったエンジンを再始動させるエンジンの始動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費の低減およびCO排出量の抑制等を目的として、エンジンがアイドリング状態にある場合等に、エンジンを自動的に停止させるとともに、その後に発進操作が行われる等により再始動条件が成立したときにエンジンを自動的に再始動させるように構成されたエンジンの始動装置が開発されている。このように自動停止状態となったエンジンを運転者の発進操作等に応じて自動的に再始動させる場合、迅速な始動性が要求されるために、始動用モータ(スタータ)によりエンジンの出力軸を駆動するクランキングを経てエンジンを始動させるような方法は、エンジンの始動が完了するまでにかなりの時間を要し、かつ上記始動用モータに負荷が掛かるとともに、大きな騒音が発生するので好ましくない。
【0003】
そこで、例えば特許文献1,2に示されるように、エンジンの自動停止時に膨張行程にある気筒を検出し、この気筒内に燃料を噴射して点火することにより発生した燃焼エネルギーに応じ、ピストンを駆動してエンジンを迅速に始動させるようにしたエンジンの始動装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献3に示されるように、多気筒エンジンにおいて、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒で初回の燃焼を実行することにより、この気筒のピストンを押し下げるとともに、これに伴い膨張行程にある気筒のピストンを上昇させてその筒内圧力を高めた状態で、この気筒に燃料を噴射して点火するように工夫したエンジンの始動装置が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−125136号公報
【特許文献2】
特開2002−4985号公報
【特許文献3】
国際公開01/38726号パンフレット
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1,2に示された始動装置によると、エンジンの停止時にピストンが適正な位置にないと、正常にエンジンを始動させることができない可能性がある。例えばエンジンの停止時に、膨張行程にある気筒のピストンが上死点に近い位置にある場合には、エンジンが停止している間に上記気筒内の空気が外部に漏出することにより、空気の残存量が極めて少なくなり、これに対応して燃料噴射量も少なく設定する必要があるため、充分な燃焼エネルギーが得られず、エンジンを正常に始動させることが困難である。逆に、上記ピストンが下死点に近い位置にある場合には、筒内の空気量および燃料噴射量をある程度は確保することができるが、その燃焼時に発生した燃焼エネルギーをピストンに作用させる行程、つまりビストンの停止位置から排気弁が開弁するまでの行程が短すぎることに起因してエンジンの回転数を充分に上昇させることができず、上記気筒の燃焼に続いて他の気筒を燃焼させる際にエンジンが停止状態となり易いという問題があった。
【0007】
また、上記特許文献3に示された始動装置によると、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒では、初回の燃焼により少しだけエンジンが逆回転してピストンが押し下げられた後、エンジンの停止時に膨張行程にある他の気筒で燃焼が行われてエンジンが正回転するのに応じ、上記気筒(エンジン停止時に圧縮行程にあった気筒)のピストンが上昇した後に、圧縮上死点を経て燃焼を伴う膨張行程に移行するが、エンジンを逆回転させる初回の燃焼で空気が既に使われているため、上記圧縮上死点付近における本来の燃焼時(エンジンを正回転させる第2回目の燃焼時)に、必要な量の空気が気筒内に存在していない状態となる。したがって、エンジンを正回転させる本来の燃焼が充分に行われず、エンジンの停止時に膨張行程にある上記気筒で燃焼が行われた後、別の気筒で次の燃焼が行われるまでの間隔が長くなり、この間にエンジンの回転速度が低下して始動性が悪化するという問題があった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑み、自動停止状態にあるエンジンを迅速かつ適正に再始動させることができるエンジンの始動装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置を検出するピストン位置検出手段と、このピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が相対的に上死点側にある場合に、エンジンの再始動開始時点から何れかの気筒が上死点を迎えるまでの間における第1行程で、吸気行程にある気筒の吸気弁を閉止して、この気筒と第1行程で膨張行程にある気筒との両方にそれぞれ燃料を噴射して点火するように制御する再始動制御手段とを備えたものである。
【0010】
上記構成によれば、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置が相対的に上死点側にある場合には、第1行程の燃焼に利用される上記気筒内の空気量が少ないために第2行程に移行させることが困難である反面、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒の圧力を充分に高めた状態で第2行程の燃焼を行い得る状態にあるので、第1行程で吸気行程にある気筒と、膨張行程にある気筒との両方で燃焼を行い、この第1行程で充分な燃焼エネルギーを発生させて第2行程に移行させることにより、エンジンの始動性を効果的に向上させることが可能となる。
【0011】
請求項2に係る発明は、エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置を検出するピストン位置検出手段と、このピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が相対的に下死点側にある場合に、エンジンの再始動開始時点から何れかの気筒が上死点を迎えるまでの間における第1行程で、吸気行程にある気筒の吸気弁を閉止して、この気筒と第1行程で膨張行程にある気筒との両方にそれぞれ燃料を噴射するとともに、これらの気筒のうち少なくとも第1行程で吸気行程にある上記気筒を理論空燃比よりもリーンな空燃比で初回の燃焼を行わせ、この気筒の膨張行程で第2回目の燃焼を行わせるように制御する再始動制御手段とを備えたものである。
【0012】
上記構成によれば、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置が相対的に下死点側にある場合には、上記第1行程の燃焼に利用される空気量が多いために第1行程から第2行程に移行させるための燃焼エネルギーを充分に確保できる反面、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒内の空気量が少ないことに起因して第2行程で得られる燃焼エネルギーが不充分になる傾向にある。このため、上記第1行程で吸気行程にある気筒と、膨張行程にある気筒との両方で燃焼を行ってエンジン回転数を充分に高めた状態で第2行程に移行させるとともに、第3行程で上記第2回目の燃焼を行わせることにより、エンジン回転数を効果的に上昇させてエンジンの始動性を向上させることが可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載のエンジンの再始動装置において、エンジンの停止時に排気行程にある気筒の排気弁を第1行程の途中で閉止するとともに、この気筒が吸気行程となる第2行程で、その吸気弁を閉止して、この気筒と、第2行程で膨張行程となる気筒との両方を燃焼させるように、それぞれ所定のタイミングで燃料を噴射して点火するものである。
【0014】
上記構成によれば、エンジンの再始動時には、まず第1行程で吸気行程にある気筒と、膨張行程にある気筒との両方で燃焼が行われた後、この第1行程から次の気筒が上死点を迎えるまでの間における第2行程で、吸気行程にある気筒と膨張行程にある気筒との両方で燃焼が行われることにより、エンジン回転数を速やかに上昇させてエンジンを効果的に始動させることが可能となる。
【0015】
請求項4に係る発明は、上記請求項3に記載のエンジンの始動装置において、エンジンの停止時に排気行程にある気筒の空燃比を理論空燃比よりもリーンに設定して上記第2行程における初回の燃焼を行わせるとともに、この気筒が次の排気行程となるまでの間に第2回目の燃焼を行わせるものである。
【0016】
上記構成によれば、エンジンの停止時に排気行程にある気筒の空燃比が理論空燃比よりもリーンとなるように制御されることにより、この気筒において第2行程(吸気行程)における初回の燃焼が行われた後に多くの空気が残存するため、この気筒が膨張行程となった第4行程における第2回目の燃焼(本来の燃焼)を、上記初回の燃焼に連続させて行うことが可能となり、これによってエンジンの始動時に回転数がスムーズに立ち上げられることになる。
【0017】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4の何れかの1項に記載のエンジンの始動装置において、ピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が、上記第1行程における燃焼によってエンジンの再始動を行い得る範囲よりも上死点側または下死点側にある場合には、スタータを作動させてエンジンを始動させるものである。
【0018】
上記構成によれば、エンジン停止時に実質的な膨張行程にある気筒のピストンの停止位置が下死点側または上死点側の何れかに偏っているために、第1行程で上記燃料噴射および点火を行ってもエンジンを適正に再始動させることが困難な状態にある場合には、スタータを作動させることにより、エンジンを迅速かつ確実に再始動させることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明の一実施形態によるエンジンの概略構成を示している。これらの図において、エンジン本体は、シリンダヘッド1およびシリンダブロック2で構成された複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒3A〜3Dを有している。各気筒3A〜3Dにはそれぞれピストン4が嵌挿され、ピストン4の上方に燃焼室5が形成されている。上記ピストン4はコンロッドを介してクランクシャフト6に連結されている。
【0020】
各気筒3A〜3Dの燃焼室5の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室5内に臨んでいる。さらに、燃焼室5の側方部には、この燃焼室5内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁8が設けられている。この燃料噴射弁8は、図略のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。そして、上記燃料噴射弁8から点火プラグ7付近に向けて燃料が噴射されるように、燃料噴射弁8の燃料噴射方向が設定されている。なお、図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料噴射弁8に燃料が供給され、かつ、圧縮行程における燃焼室5内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0021】
また、各気筒3A〜3Dの燃焼室5に対して吸気ポート9および排気ポート10が開口し、これらのポート9,10に吸気弁11および排気弁12が装備されている。これらの吸気弁11および排気弁12は、図外のカムシャフト等からなる動弁機構により駆動される。そして、後に詳述するように各気筒が所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、各気筒の吸・排気弁11,12の開閉タイミングが設定されている。
【0022】
吸気ポート9および排気ポート10には吸気通路15および排気通路16が接続されている。吸気通路15には、吸気量調節手段としてのスロットル弁(吸気通路面積を調節するバルブ)が設けられ、当実施形態では、吸気量を制御する際における応答性を高めるため分岐吸気通路15aにスロットル弁17が設けられている。すなわち、吸気通路15は、サージタンク15bの下流に気筒別の分岐吸気通路15aを有し、各分岐吸気通路15aの下流端が各気筒の吸気ポート9に連通するが、その各分岐吸気通路15aの下流端近傍に、各分岐吸気通路15aを同時に絞り調節する多連型のロータリバルブからなるスロットル弁17が配設されている。このスロットル弁17は、アクチュエータ18により駆動されるように構成されている。
【0023】
上記吸気通路15におけるサージタンク15bの上流に位置する共通吸気通路15cには、吸気量を検出するエアフローセンサ20が設けられている。また、上記クランクシャフト6に対し、その回転角を検出するクランク角センサが設けられており、当実施形態では、後に詳述するように、互いに一定量だけ位相のずれたクランク角信号を出力する2つのクランク角センサ21,22が設けられている。さらに上記クランクシャフト6に対し、その特定回転位置を検出することで気筒識別信号を与えることのできるカム角センサ23が設けられている。なお、この他にもエンジンの制御に必要な検出要素として、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ24、アクセル開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ25等が装備されている。
【0024】
図1において30は、制御手段としての機能を有するECU(エンジンコントロールユニット)であり、上記各センサ20〜25からの信号を受け、上記燃料噴射弁8に対して燃料噴射量および噴射時期を制御する制御信号を出力するとともに、点火プラグ7に対して点火時期を制御する制御信号を出力し、さらにスロットル弁17のアクチュエータ18に対してスロットル開度を制御する制御信号を出力するように構成されている。
【0025】
そして、エンジンのアイドリング状態で、予め設定されたエンジン停止条件が成立したときに、燃料噴射弁8からの燃料の噴射を停止するとともに、点火プラグ7の点火動作を停止する等により、自動的にエンジンを停止させるとともに、その後にエンジンの再始動条件が成立したときに、エンジンを自動的に再始動させる制御が実行されるようになっている。
【0026】
また、上記エンジンの自動停止時に、圧縮行程にある気筒および膨張行程にある気筒において、ピストン4が上死点方向に移動する際における抵抗を大きくすべく、少なくともこれらの気筒に対する吸気量を増大させ、特に膨張行程となる気筒に対してより多く吸気を供給するように、上記スロットル弁17をエンジンの停止動作期間中における所定期間だけ所定の開状態とする制御が実行される。
【0027】
上記のように自動停止状態となったエンジンを再始動させる際には、エンジン停止時のピストン位置が所定範囲にある場合に、エンジンの再始動開始時点から何れかの気筒が上死点を迎えるまでの間における第1行程で、吸気行程にある気筒の吸気弁を閉止して、この気筒と第1行程で膨張行程にある気筒との両方にそれぞれ燃料を噴射して点火することにより燃焼を行わせた後、上記第1行程から次の気筒が上死点を迎える第2行程で、吸気行程にある気筒の吸気弁を閉止して、この気筒と、第2行程で膨張行程となる気筒との両方を燃焼させるように、それぞれ所定のタイミングで燃料を噴射して点火することにより、エンジンを正転させる方向に駆動して再始動させる制御を実行する。
【0028】
当実施形態では、上述のように第1行程において吸気行程にある気筒と膨張行程にある気筒との両方を燃焼させるが、第1行程で吸気行程にある気筒が本来の燃焼時期となった時点で第2回目の燃焼を行わせない第1再始動制御モードと、第1行程において吸気行程にある気筒と膨張行程にある気筒との両方を燃焼させるとともに、上記第1行程で吸気行程にある気筒が排気行程となるまでの間に第2回目の燃焼を行わせる第2再始動制御モードと、スタータ(始動用モータ)31でアシストしつつ、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒と、圧縮行程にある気筒とを連続して燃焼させることによりエンジンを始動させる第3再始動制御モードとを、ピストンの停止位置に応じて選択的に実行するようになっている。
【0029】
上記ECU30によるエンジン停止および再始動の基本制御動作を、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートに示す処理は、エンジンが運転されている状態からスタートし、ECU30において、まず自動停止条件が成立したか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、車速およびエンジン温度(エンジン冷却水の温度)等の検出値に基づき、例えば車速が0の停車状態が所定時間以上に亘って持続し、かつエンジン温度が所定範囲内にあり、さらにエンジンを停止させることに格別の不都合がない状況にある場合等に、自動停止条件が成立したと判定される。
【0030】
上記自動停止条件が成立したときは、エンジンの各気筒に対する燃料供給を停止した後(ステップS2)、一旦スロットル弁17を所定開度に開いた後(ステップS3)、エンジン回転数が所定回転数以下となるまで、上記スロットル弁17を開放状態に保持するとともに(ステップS4)、エンジン回転数が所定回転数以下となった時点で上記スロットル弁17を閉止状態とする(ステップS5)。
【0031】
続いて、ステップS6でエンジンが停止状態となったか否かを判定し、エンジンが停止状態となると、後述の図5に示す停止位置検出ルーチンによるピストン停止位置の検出結果に基づき、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン4の停止位置が所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS7)。この場合に、上記ピストン4が、図4中に斜線を付して示した範囲A、つまり膨張行程の中期領域に相当する範囲を所定範囲とする。
【0032】
そして、上記ピストン4が所定範囲A内にあると判定された場合には、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒が、上記ピストン4の停止位置が所定位置よりもTDC(上死点)側にあるか否かを判定する(ステップS8)。すなわち、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が、図4に示す所定範囲A内において、その中間位置A0よりもTDC寄りの範囲A1内にあるか否かを判定する。
【0033】
上記ステップS7,S8の判定に基づき、ピストン4の停止位置が所定範囲A内であって、そのTDC側(範囲A1内)にあることが確認された場合には、後述するように図7に示す第1再始動制御モードである第1サブルーチン(R1)の制御を実行し、ピストン4の停止位置が上記所定範囲A内であって、そのBDC(下死点)側の範囲A2内にあることが確認された場合には、第2再始動制御モードである第2サブルーチン(R2)の制御を実行する。また、上記ピストン4の停止位置が所定範囲A外であることが確認された場合は、第3再始動制御モードである第3サブルーチン(R3)の制御を実行する。
【0034】
図5は、ECU30に設けられたピストン位置検出手段において実行されるピストン停止位置の検出ルーチンを示している。この検出ルーチンの制御がスタートすると、第1クランク角信号CA1(第1クランク角センサからの信号)および第2クランク角信号CA2(第2クランク角センサからの信号)に基づき、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowであるか否か、または第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighであるか否かを判定する。要するに、エンジンの停止動作時における上記信号CA1,CA2の位相の関係が、図6(a)のようになるか、それとも図6(b)のようになるかを判別することにより、エンジンが正転状態にあるか逆転状態にあるかを判別する(ステップS11)。
【0035】
すなわち、エンジンの正転時には、図6(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図6(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。
【0036】
そこで、ステップS11の判定がYESであれば、エンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし(ステップS12)、ステップS11の判定がNOの場合は、上記CAカウンタをダウンする(ステップS13)。そして、エンジン停止後に上記CAカウンタの計測値を調べることでピストン停止位置を求める(ステップS14)。
【0037】
図7は、図3のフローチャート中のステップS8でYESと判定され、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が、予め設定された上記範囲A内であって、そのTDC側(範囲A1内)にあることが確認された場合に実行される第1再始動制御モードの第1サブルーチンR1を示している。この第3サブルーチンR1の制御動作がスタートすると、まず予め設定されたエンジンの再始動条件が成立したか否かを判定し(ステップS21)、NOと判定された場合には、そのままリターンすることにより待機する。
【0038】
上記ステップS21でYESと判定され、停車状態にある車両を発進するためにアクセル操作等が行われたり、バッテリー電圧が低下したりする等により、エンジンの再始動条件が成立したことが確認された場合には、上記ピストン停止位置に基づき、例えば図8に示すように、エンジンの再始動開始時点tにおいて、エンジンの停止時に圧縮行程にあるNo.1気筒および膨張行程にあるNo.2気筒内の空気量をそれぞれ算出する(ステップS22)。具体的には、図5に示す停止位置検出ルーチンにより検出されたピストン停止位置から上記両気筒の燃焼室容積が求められる。また、エンジン停止の際には、燃料カットされた時点からエンジンが数回転した後に停止するので、上記膨張行程にあるNo.2気筒内もある程度新気で満たされた状態にあり、かつエンジンの停止中に上記各気筒の筒内圧力は略大気圧となっているので、上記燃焼室容積から各気筒内の新気量を求めることができる。なお、燃料カット前に運転状態がλ=1のアイドル運転の場合は、スロットル弁17が閉じているため、エンジン停止までの掃気が不充分な場合があり、エンジン停止の際における吸気圧力と停止までのエンジン回転数(サイクル数)から精度良く新気を求めるようにしてもよい。
【0039】
また、エンジンの停止時に吸気行程にあるNo.3気筒が下死点Bとなる前、つまり上記第1行程が終了する前の所定時期に、このNo.3気筒の吸気弁が閉止状態となるように、この吸気弁の閉止タイミングを早閉じに設定するとともに、この吸気弁が閉止状態となった時点における上記No.3気筒内の空気量を算出する(ステップS23)。ただし、吸気弁閉止位置よりも上死点T側に停止した場合は、エンジンの停止時に圧縮行程にあるNo.1気筒や膨張行程にあるNo.2気筒の場合と同様に停止位置から新気量を算出する。
【0040】
上記ステップS22,S23で算出されたNo.2気筒およびNo.3気筒内の空気量、つまりエンジンの停止時に膨張行程および吸気行程にある気筒内の新気量に基づき、これらの筒内に燃料を噴射することにより生成される混合気の空燃比が所定値(例えばλ=1の近傍またはλ≦1のリッチ)となるように算出された量の燃料噴射F11,F12を、上記両気筒に対して実行する(ステップS24)。そして、エンジンの再始動開始時点tから何れかの気筒(No.1気筒およびNo.4気筒)が上死点Tを迎えるまでの間の第1行程において、上記燃料が気化するのに要する所定時間が経過した時点で、上記No.2,No.3気筒に対して点火S11,S12を実行するとともに、No.2気筒の排気弁が下死点Bの近傍で開放状態となるように、図8の矢印に示すように上記排気弁の開放タイミングを遅開きに設定し、No.3気筒の排気弁も同じタイミングで開放状態とする(ステップS25)。
【0041】
次に、エンジンの停止時に排気行程にあるNo.4気筒が上死点Tとなる前、つまり上記第1行程が終了する前の所定時期に、このNo.4気筒の排気弁が閉止状態となるように、この排気弁の閉止タイミングを早閉じに設定するとともに、この排気弁が閉止状態となった時点における上記No.4気筒内の空気量を算出する(ステップS26)。
【0042】
そして、上記ステップS22および上記ステップS26で算出されたNo.1気筒およびNo.4気筒内の空気量、つまりエンジンの停止時に圧縮行程および排気行程にある両気筒内の新気量に基づき、No.1筒内に燃料を噴射することにより生成される混合気の空燃比が、例えばλ=1の近傍またはλ≦1のリッチとなるように算出された量の燃料噴射F21を、上記No.1気筒に対して実行するとともに、No.4筒内に燃料を噴射することにより生成される混合気の空燃比が、例えばλ=2程度またはλ>2の大幅なリーンとなるように設定された量の燃料噴射F22を、上記No.4気筒に対して実行する(ステップS27)。
【0043】
また、エンジンの停止時に排気行程にあるNo.4気筒の吸気弁を閉止状態に維持しつつ(ステップS28)、上記No.1,No.4気筒のピストンが上死点Tを超えた所定の時点、つまり上記第1行程から次の気筒が上死点を迎えるまでの間における第2行程で、上記No.1,No.4気筒の点火S21,S22を実行する(ステップS29)。
【0044】
上記第2行程に続く第3行程で、エンジンの停止時に排気行程にあるNo.4気筒が圧縮行程となるため、この圧縮行程における所定時期に上記No.4気筒に対する燃料噴射F4を実行するとともに、その圧縮上死点Tの近傍で点火T4を実行する(ステップS30)。また、上記第3行程で、エンジンの停止時に吸気行程にあるNo.3気筒が圧縮行程となるが、このNo.3気筒に対する燃焼噴射および点火を行うことなく、その排気弁を開放状態に維持しつつ、上記No.3気筒の排気行程(第4行程)が終了した後の本来のタイミングで上記排気弁を閉止した後(ステップS31)、通常の制御状態に移行する(ステップS32)。
【0045】
図9は、図3のフローチャート中のステップS8でNOと判定され、エンジン停止時に膨張行程にあるピストン4の停止位置が、予め設定された所定範囲A内であって、そのBDC側(範囲A2内)にあることが確認された場合に実行される第2再始動制御モード、つまり第2サブルーチンR2の制御動作を示すタイムチャートである。この第2サブルーチンR2の制御時には、エンジンの停止時に吸気行程にあるNo.3気筒に第1行程で燃料噴射F12を実行することにより生成される混合気の空燃比を、例えばλ=2程度またはλ>2の大幅なリーンとなるように設定して点火S12(初回の燃焼)を行った後、これに続く第2行程で、上記No.3気筒の排気弁を開放することなく閉止状態に維持しつつ、この第3気筒の圧縮行程で燃料噴射F3を行うとともに、その上死点Tの付近でNo.3気筒の点火S3(第2回目の燃焼)を行うようにように構成した点を除いて、図9に示す第1再始動制御モード、つまり第1サブルーチンR1の制御動作と同様に設定されている。
【0046】
図10は、図3のフローチャート中のステップS7においてNO判定され、エンジン停止時に膨張行程にあるピストン4の停止位置が、予め設定された所定範囲A外にあるときに実行される第3再始動制御モードの第3サブルーチンR3を示している。この第3サブルーチンR3の制御動作がスタートすると、まず所定のエンジン再始動条件が成立したか否かを判定し、NOと判定された場合には、そのままリターンすることにより待機する(ステップS51)。
【0047】
エンジンの再始動条件成立時(ステップS51の判定がYESのとき)には、スタータ31の駆動を開始するとともに(ステップS52)、エンジンの停止時におけるピストンの停止位置に基づき、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒および膨張行程にある気筒の空気量を算出した後(ステップS53)、両気筒内におけるの各空燃比が理論空燃比付近(λ=1)となるように燃料を噴射する(ステップS54)。
【0048】
そして、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒に対する燃料の噴射後に、この燃料の気化時間を考慮して設定された時間が経過した時点で、上記気筒に対する点火を実行する(ステップS55)。また、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒が所定クランク角となった時点で、この気筒に対する点火を実行した後(ステップS56)、通常の制御状態に移行するとともに(ステップS57)、スタータ31の駆動を停止する(ステップS58)。
【0049】
以上のように、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張および排気の各行程からなるサイクルを行うように構成された多気筒4サイクルエンジンにおいて、エンジンの出力を要しない所定のアイドリング状態となってエンジンの停止条件が成立した場合には、この停止条件の成立時点で燃料供給が停止されることにより、エンジン回転数が次第に低下してエンジンが自動停止状態となる。
【0050】
そして、エンジンの停止時に実質的な膨張行程にある気筒のピストン停止位置が相対的に上死点側にある場合、つまり図4の範囲A1内にある場合には、エンジンの自動停止後に再始動条件が成立した時点で、図8に示すように、再始動開始時点tから膨張行程にあるNo.2気筒が下死点Bを迎えるまでの間における第1行程で、吸気行程にあるNo.3気筒の吸気弁を閉止して、このNo.3気筒と膨張行程にあるNo.2気筒との両方に燃料噴射F11,F12を行うとともに、点火S11,S12を行ってそれぞれ燃焼させるように構成したため、自動停止状態にあるエンジンを迅速かつ適正に再始動させることができるという利点がある。
【0051】
すなわち、エンジンの停止時に膨張行程にあるNo.2気筒のピストン停止位置が相対的に上死点側にある場合には、このNo.2気筒を第1行程で燃焼させる際に利用し得る空気量が少ないため、この第1行程から第2行程に移行させることが困難な傾向にある反面、エンジンの停止時に圧縮行程にあるNo.1気筒内には所定量の空気が存在しているために、上記第1行程から第2行程に移行をスムーズに行うことができれば、上記No.3気筒内の圧力を第2行程で充分に高めた状態で燃焼を行うことが可能な状態にある。したがって、エンジンの再始動開始時点から何れかの気筒が上死点を迎えるまでの間における第1行程で、上記のように吸気行程にあるNo.3気筒と、膨張行程にあるNo.2気筒との両方で燃焼を行い、上記第1行程で充分な燃焼エネルギーを発生させて第2行程に移行させることにより、この第1行程から第2行程への移行時にエンジン回転数が低下してエンジンが停止状態となるのを防止し、エンジンの始動性を効果的に向上させることができる。
【0052】
一方、エンジンの停止時に実質的な膨張行程にある気筒のピストン停止位置が相対的に下死点側にある場合、つまり図4の範囲A2内にある場合には、上記気筒を第1行程で燃焼させる際に利用し得る空気量が多いために第1行程から第2行程に移行させるための燃焼エネルギーを充分に確保することが可能である反面、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒内の空気量が少ないために上記第1行程に続く第2行程で得られる燃焼エネルギーが少なく、第2行程でエンジン回転数を充分に上昇させることが困難であり、この第2行程から第3行程への移行後にエンジンが停止状態となり易い傾向にある。
【0053】
したがって、上記のようにエンジンの停止時に実質的な膨張行程にある気筒のピストン停止位置が相対的に下死点側にある場合には、エンジンの自動停止後に再始動条件が成立した時点で、図9に示すように、エンジンの再始動開始時点tから何れかの気筒が上死点を迎えるまでの間における第1行程で、吸気行程にあるNo.3気筒の吸気弁を閉止して、このNo.3気筒と第1行程で膨張行程にあるNo.2気筒との両方にそれぞれ燃料噴射F11,F12を行うとともに、これらの気筒のうち少なくとも第1行程で吸気行程にある上記No.3気筒内に存在する充分な量の空気を利用して、このNo.3気筒を理論空燃比よりもリーンな空燃比で初回の燃焼を行わせた後に、このNo.3気筒の膨張行程となる第3行程で第2回目の燃焼を行わせるように所定のタイミングで燃焼噴射F4および点火S4を行うことにより、第2行程から第3行程への移行後にエンジン回転数が低下してエンジンが停止状態なるという事態の発生を効果的に防止し、エンジンの始動性を向上させることができるという利点がある。
【0054】
また、上記実施形態では、エンジンの停止時に実質的な膨張行程にある気筒のピストン停止位置が相対的に上死点側の範囲A1にある場合、または相対的に下死点側の範囲A2にある場合に、図8および図9に示すように、エンジンの停止時に排気行程にあるNo.4気筒の排気弁を第1行程の途中で閉止するとともに、このNo.4気筒が吸気行程となる第2行程で、その吸気弁を閉止して、このNo.4気筒と、第2行程で膨張行程となるNo.1気筒との両方を燃焼させるように、それぞれ所定のタイミングで燃料噴射F21,F22を行うとともに、点火S21,S22を行うように構成したため、上記第2行程でエンジン回転数を速やかに上昇させてエンジンをスムーズに再始動させることができる。
【0055】
すなわち、図8および図9に示すように、第2行程で吸気行程となるNo.4気筒の排気弁の閉止タイミングを早閉じに設定して、この排気弁を第1行程(排気行程)の途中で閉止することにより、この第1行程でNo.4気筒内に燃料噴射F22を実行できるとともに、第2行程で上記No.2気筒の吸気弁を閉止した状態でも、No.2気筒内に所定量の空気を確保し、燃料噴射F22のタイミングから燃料を気化・霧化させるための所定時間を経た後に、点火S22を行うことができ、これによってエンジンを始動させるために必要な燃焼エネルギーを効果的に得られるという利点がある。
【0056】
具体的には、図11に示すように、吸気弁および排気弁の動弁機構に、各弁の開閉タイミングを変更可能にするバルブタイミング可変機構40,41を設け、エンジンの再始動時に、ECU30から排気弁用のバルブタイミング可変機構41に出力される制御信号に応じて第2行程で吸気行程となる気筒の排気弁を通常時よりも早いタイミングで閉止するとともに、ECU30から吸気弁用のバルブタイミング可変機構40に出力される制御信号に応じて上記気筒の吸気弁を閉止状態に維持することにより、上記気筒内に所定量の空気を確保した状態で、その吸気行程で燃焼を行わせることができる。
【0057】
さらに、上記実施形態では、図8および図9に示すように、エンジンの停止時に排気行程にあるNo.4気筒の空燃比を理論空燃比よりもリーンに設定して上記第2行程における初回の燃焼(S22)を行わせるとともに、このNo.4気筒が次の排気行程となるまでの間に第2回目の燃焼(S4)を行わせるように構成したため、上記No.4気筒が吸気行程となる第2行程で初回の燃焼行わせた後に残存する空気を有効に利用して、このNo.4気筒が膨張行程となった第3行程で第2回目の燃焼(本来の燃焼)を行わせることにより、エンジンの始動時に回転数を、さらにスムーズに立ち上げることができるという利点がある。
【0058】
また、エンジンの停止時に実質的な膨張行程にある気筒のピストン停止位置が相対的に上死点側の範囲A1にある場合に、図8に示す例において、第1行程で膨張行程にあるNo.2気筒および吸気行程にあるNo.3気筒の空燃比が、それぞれ理論空燃比よりもリッチとなるように、上記No.2,No.3気筒に対する燃料の噴射量を制御して両気筒で燃焼(S11,S12)を行わせるように構成した場合には、エンジンの始動時に実質的な膨張行程にある上記No.2,No.3気筒内の空気量が少ないにも拘わらず、上記第1行程でエンジン回転数を速やかに上昇させるための燃焼エネルギーを充分に確保できるという利点がある。
【0059】
さらに、上記実施形態では、例えば図8および図9に示すように、エンジンの停止時に実質的な膨張行程にあるNo.2,No.3気筒に対して第1行程で燃料噴射F11,F12を行った後に、点火S11,S12を行うとともに、上記No.2,No.3気筒の排気弁を下死点Bの近傍で開放することにより、図の矢印に示すように上記排気弁の開放タイミングを遅開きに設定するように構成したため、上記第1行程で発生した燃焼エネルギーをクランクシャフト6に伝達する行程を可及的に長くすることができる。
【0060】
上記の構成によれば、エンジン停止時に膨張行程にあるNo.2気筒のピストン停止位置が相対的に下死点B寄りとなって、ピストン4の下降距離が短い状態にある場合においても、この第1行程の全域で上記燃焼エネルギーをピストン4に効果的に伝達することが可能となり、エンジン回転数を充分に上昇させてエンジンを適正に始動させ得るという利点がある。例えば、通常時に上死点前52°程度に設定された排気弁の開放タイミングを、上死点前35°程度に設定して遅開き状態とした場合には、図12に示すように、通常時に比べてエンジン回転数を迅速かつ顕著に上昇させ得ることが実験データにより確認された。
【0061】
また、上記実施形態に示すように、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストン4の停止位置を検出するピストン位置検出手段をECU30に設け、このピストン位置検出手段により検出された上記ピストン4の停止位置に応じた燃焼制御を実行するように構成したため、上記第1行程および第2行程における燃焼によってエンジンの再始動を行い得る範囲A内において、上記ピストン4の停止位置が相対的に下死点側または上死点側のいずれにある場合においても、エンジンを適正に再始動させることができる。
【0062】
さらに、上記実施形態では、エンジンの停止時にピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が、上記第1行程および第2行程における燃焼によってエンジンの再始動を行い得る範囲(A)外にある場合、つまりエンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が上記範囲Aよりも上死点側にあって、上記気筒内の空気量が少なすぎる状態にある場合、または上記気筒のピストン停止位置が上記範囲Aよりも下死点側にあって、第1行程で上記気筒の燃焼により発生した燃焼エネルギーをピストン4に作用させる期間が短すぎる状態にある場合に、スタータ31を作動させてエンジンを始動させるように構成したため、エンジンを迅速かつ確実に再始動させることができるという利点がある。
【0063】
また、上記のようにエンジンの自動停止条件が成立した時点で、スロットル弁17を所定開度に開き、その後にエンジン回転数が予め設定された所定回転数まで低下した時点でスロットル弁17を閉じるように制御することにより、気筒内の空気の圧力を利用してエンジン停止位置が好ましい範囲内となる確率を高めることができる。すなわち、上記自動停止条件の成立時点から所定時間に亘りスロットル弁17が所定開度に開かれることにより、多少の時間的遅れをもって一時的に吸気負圧が減少(吸気量が増大)し、その後に吸気圧負圧が増大(吸気量が減少)するが、一時的に吸気負圧が減少する期間が、エンジン停止時に膨張行程となる気筒の吸気行程の期間に概ね対応するように予め上記所定回転数等が設定されている。これにより、エンジンの自動停止条件が成立した時点で、直ちにスロットル弁17が閉じられる場合と比べ、エンジン停止前に各気筒に吸入される空気量が増加し、そのうちでも特にエンジン停止時に膨張行程となる気筒に流入する吸気量が多くなる。
【0064】
そして、エンジン停止に至るときには、圧縮行程にある気筒ではピストン4が上死点に近づくにつれて当該気筒内の空気が圧縮されてピストン4を押し返す方向に圧力が作用し、これによりエンジンが逆転して圧縮行程にある気筒のピストン4が下死点側に押し返されると、膨張行程にある気筒のピストン4が上死点側に移動し、それに伴い当該気筒内の空気が圧縮され、その圧力で膨張行程にある気筒のピストン4が下死点側に押し返される。このようにしてピストン4がある程度振動してから停止し、この際、圧縮行程にある気筒および膨張行程にある気筒においてそれぞれピストン4が上死点に近いほどこれを押し戻す力が大きいため、ピストン4の停止位置は行程中間部に近い位置となる場合が多い。
【0065】
特に、上記のようにエンジン停止前に吸気量が増加されることにより、上死点に近づいたときにピストン4を押し戻す力が増大するので、ピストン4が行程中間部に近い所定範囲内に停止する確率が高くなる。さらに、上記のようなスロットル弁17の制御により膨張行程にある気筒の吸気量が圧縮行程にある気筒と比べて多くなるようにすれば、膨張行程にある気筒においてピストン4が行程中間部に近い範囲のうちでも多少下死点寄りに停止することが多くなる。
【0066】
なお、燃料カットからエンジンが完全に停止するまでに慣性でエンジンが数回転するため、ある程度既燃ガスは排出され、膨張行程といえども筒内はある程度新気で満たされた状態ととなる。また、エンジンが停止すると圧縮行程気筒でも圧力は直ぐにリークする。したがって、エンジン停止後は、いずれの気筒も筒内には略大気圧となった比較的多くの新気が存在する状態となる。
【0067】
ところで、上記実施形態では、前述のようにエンジン停止の際、燃料供給停止後に所定期間だけスロットル弁17を所定の開状態として吸気量を増加させることにより、エンジン停止時に圧縮行程となる気筒および膨張行程となる気筒においてピストンの上死点方向への移動に対する抵抗を大きくし、かつ上記膨張行程気筒の吸気量をより多くしているため、図13に示すように、エンジン停止時の膨張行程におけるピストン位置は、その行程の中間部付近の所定範囲A内となることが殆どであり、そのうちでも比較的に下死点BOC側の範囲A2内となることが多く、このように停止位置が調整されることでエンジンの再始動が効果的に行われる。
【0068】
すなわち、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が上記範囲Aよりも上死点TDC側(圧縮行程気筒の下死点側)に近づきすぎた場合には、上記膨張行程にある気筒の空気量が少なくなるので、この気筒での燃焼により得られるトルクが少なくなり、また、上記範囲Aよりも下死点BDC側(圧縮行程気筒の上死点側)に近づきすぎた場合には、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒の空気量が少なくなるので第2行程の燃焼エネルギーが充分に得られなくなる。これに対し、ピストン停止位置が上記範囲A内にあれば、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒での燃焼が良好に行われるとともに、その燃焼エネルギーを充分にピストンに作用させることができ、特にピストン停止位置が上記範囲A内で下死点BDC寄りの範囲A2にあれば上記膨張行程にある気筒の空気量を充分に多く確保でき、この気筒での燃焼エネルギーを増大させ、エンジンの始動性を高めることができる。
【0069】
【発明の効果】
以上のように請求項1に係る発明は、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置が相対的に上死点側にある場合に、エンジンの再始動開始時点から何れかの気筒が上死点を迎えるまでの間における第1行程で、吸気行程にある気筒の吸気弁を閉止して、この気筒と第1行程で膨張行程にある気筒との両方にそれぞれ燃料を噴射して点火するように構成したため、第1行程で実質的な膨張行程にある気筒の燃焼に利用される空気量が少ないことに起因して第2行程に移行させることが困難な状態であっても、第1行程で吸気行程にある気筒と、膨張行程にある気筒との両方で燃焼を行い、この第1行程で充分な燃焼エネルギーを発生させて第2行程に移行させることにより、エンジンの始動性を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0070】
また、請求項2に係る発明は、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置が相対的に下死点側にある場合に、エンジンの再始動開始時点から何れかの気筒が上死点を迎えるまでの間における第1行程で、吸気行程にある気筒の吸気弁を閉止して、この気筒と第1行程で膨張行程にある気筒との両方にそれぞれ燃料を噴射するとともに、これらの気筒のうち少なくとも第1行程で吸気行程にある上記気筒を理論空燃比よりもリーンな空燃比で初回の燃焼を行わせ、この気筒の膨張行程で第2回目の燃焼を行わせるように構成したため、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒内の空気量が少ないことに起因して上記第1行程に続く第2行程で得られる燃焼エネルギーが少なく、第2行程でエンジン回転数を充分に上昇させることが困難な状態であっても、上記第1行程で吸気行程にある気筒と、膨張行程にある気筒との両方で燃焼を行ってエンジン回転数を充分に高めた状態で第2行程に移行させるとともに、第3行程で上記第2回目の燃焼を行わせることにより、この第2行程から第3行程への移行後にエンジン回転数が低下してエンジンが停止状態となるという事態の発生を効果的に防止し、エンジン回転数を速やかに上昇させてエンジンを適正に始動させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による始動装置を備えたエンジンの概略断面図である。
【図2】上記エンジンの概略平面図である。
【図3】制御手段によるエンジンの停止および再始動時の制御動作を示すフローチャートである。
【図4】エンジン停止時のピストン位置に応じた再始動制御モード選択のための範囲の設定を示す説明図である。
【図5】エンジン停止時のピストン位置を検出するための処理を示すフローチャートである。
【図6】2つのクランク角センサからのクランク角信号を示すものであって、(a)はエンジン正転時の信号、(b)はエンジン逆転時の信号である。
【図7】第1再始動制御モードの制御動作を示すフローチャートである。
【図8】第1再始動制御モードにおけるエンジン再始動時の各気筒のサイクルおよび燃焼動作を示す説明図である。
【図9】第2再始動制御モードにおけるエンジン再始動時の各気筒のサイクルおよび燃焼動作を示す説明図である。
【図10】第3再始動制御モードの制御動作を示すフローチャートである。
【図11】バルブタイミングの制御系統を示すブロック図である。
【図12】エンジンの始動時における排気弁の開放タイミングとエンジン回転数の上昇度合いとの関係を示すグラフである。
【図13】エンジン停止時のピストン位置と圧縮行程気筒および膨張行程気筒の空気量と発生頻度との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
3A〜3D 気筒
4 ピストン
7 点火プラグ
8 燃料噴射弁
17 スロットル弁(吸気量調節手段)
21,22 クランク角センサ
30 ECU(再始動制御手段)
31 スタータ

Claims (5)

  1. エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置を検出するピストン位置検出手段と、このピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が相対的に上死点側にある場合に、エンジンの再始動開始時点から何れかの気筒が上死点を迎えるまでの間における第1行程で、吸気行程にある気筒の吸気弁を閉止して、この気筒と第1行程で膨張行程にある気筒との両方にそれぞれ燃料を噴射して点火するように制御する再始動制御手段とを備えたことを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置を検出するピストン位置検出手段と、このピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が相対的に下死点側にある場合に、エンジンの再始動開始時点から何れかの気筒が上死点を迎えるまでの間における第1行程で、吸気行程にある気筒の吸気弁を閉止して、この気筒と第1行程で膨張行程にある気筒との両方にそれぞれ燃料を噴射するとともに、これらの気筒のうち少なくとも第1行程で吸気行程にある上記気筒を理論空燃比よりもリーンな空燃比で初回の燃焼を行わせ、この気筒の膨張行程で第2回目の燃焼を行わせるように制御する再始動制御手段とを備えたことを特徴とするエンジンの始動装置。
  3. エンジンの停止時に排気行程にある気筒の排気弁を第1行程の途中で閉止するとともに、この気筒が吸気行程となる第2行程で、その吸気弁を閉止して、この気筒と、第2行程で膨張行程となる気筒との両方で燃焼を行わせるるように、それぞれ所定のタイミングで燃料を噴射して点火することを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの始動装置。
  4. エンジンの停止時に排気行程にある気筒の空燃比を理論空燃比よりもリーンに設定して上記第2行程における初回の燃焼を行わせるとともに、この気筒が次の排気行程となるまでの間に第2回目の燃焼を行わせることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの始動装置。
  5. ピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が、上記第1行程における燃焼によってエンジンの再始動を行い得る範囲よりも上死点側または下死点側にある場合には、スタータを作動させてエンジンを始動させることを特徴とする請求項1〜4の何れかの1項に記載のエンジンの始動装置。
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