JP2004300844A - 巻上げ式ロールブラインド - Google Patents

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Abstract

【課題】シート、布などの柔らかい材質を用い、容易に巻き上げることができ、従来の金属製ブラインドとは異なり柔らかいイメージを有するため、オフィスはもちろん、家庭、喫茶店、レストランなどで広く用いられている巻上げ式ロールブラインドであって、各種プロジェクターの映写スクリーンとしても用いることができる巻上げ式ロールブラインドを提供する。
【解決手段】ブラインドシート部が、透明ないし半透明の樹脂組成物からなり、かつ、光拡散機能を有する光拡散層、光拡散層からの光を反射する中間層、および、遮光性を有する樹脂組成物からなる遮光層をこの順で有する巻上げ式ロールブラインド。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常のロールブラインドとしてはもちろん、映写機、各種プロジェクター等のスクリーンとしても用いることができる巻上げ式ロールブラインドに関する。
【0002】
【従来の技術】
過去、OHPや実物投影機などが用いられてきたプレゼンテーションも液晶プロジェクターを用いることが一般的となり、あるいは、液晶プロジェクターを用いて、喫茶店、レストランなどでも、スクリーンを備え、サッカーなどの試合の同時放映や録画放映などを行うようになってきたが、そのためには専用のスクリーンを必要とする。
【0003】
また、いわゆるホームシアター設備を備える家庭も増えてきたものの、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイを用いるシステムは、未だに極めて高価であり、これらによる大画面の達成にはコスト的に困難があり、比較的実現が容易なプロジェクタを用いたシステムの場合であっても、スクリーンの設置場所に問題が生じやすい。
【0004】
ここで、ロール式のブラインド、いわゆるロールブラインドが特開2002−213158公報(特許文献1)などで広く知られている。このものは通常のブラインドであって、映写スクリーンとしては用いられてなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−185992公報(第2〜3頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シート、布などの柔らかい材質を用い、容易に巻き上げることができ、従来の金属製ブラインドとは異なり柔らかいイメージを有するため、オフィスはもちろん、家庭、喫茶店、レストランなどで広く用いられている巻上げ式ロールブラインドであって、各種プロジェクターの映写スクリーンとしても用いることができる巻上げ式ロールブラインドを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の巻上げ式ロールブラインドは上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、ブラインドシート部が、透明ないし半透明の樹脂組成物からなり、かつ、光拡散機能を有する光拡散層、光拡散層からの光を反射する中間層、および、遮光性を有する樹脂組成物からなる遮光層をこの順で有する巻上げ式ロールブラインドである。
【0008】
このような構成により、ロールブラインドとして充分な遮光性を備え、かつ、必要に応じて映写スクリーンとしても用いることができ、映写スクリーンとして用いた場合、鑑賞可能範囲が広く、明るく、かつ、眩しくない、視認性に優れた映写用スクリーンとなり、室内照明下でも映写が可能となるとともに、映写スクリーンの非使用時の収納スペースの問題も同時に解消される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の巻上げ式ロールブラインドは遮光層に通常の太陽光線が当たった場合であっても光拡散層側では映写スクリーンとして用いた場合に鑑賞者にその光が認識されない程度の光非透過性が求められる。このような巻上げ式ロールブラインドの光非透過性は巻上げ式ロールブラインド全体として達成されればよい。
【0010】
ここで遮光層を構成する遮光性を有する樹脂組成物としては、カーボンブラックを0.1重量%以上10重量%以下、および、酸化チタンを30重量%以下含むものであることが望ましい。カーボンブラックの配合量が0.1重量%未満であると遮光層として求められる遮光性が不足しやすく、一方、30重量%超添加しても、遮光性の向上はほとんどなく、巻上げ式ロールブラインドとして求められる柔軟性が不足しやすい。最適な範囲は1重量%以上3重量%以下である。
【0011】
また、隠蔽性を高めるため酸化チタンを0.1重量%以上含んでいることが望ましく、また、その含有量は30重量%以下であることが望ましい。0.1重量%未満であると添加による隠蔽性向上効果が乏しく、一方、30重量%を超えてさらに添加しても隠蔽性向上効果は増加しない。最適な範囲は2重量%以上7重量%以下である。
【0012】
遮光性を有する樹脂組成物のベース樹脂としてはロールブラインドとして求められる難燃性ないし防炎性、柔軟性を勘案すると塩化ビニル樹脂、難燃化ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
【0013】
遮光層の厚さとしては、遮光性、および、ロールブラインドとして求められる柔軟性、耐久性を勘案して決定するが通常200μm以上800μm以下である。なお遮光層の強度を向上させるために天然・合成繊維や布・不織布などによる強化を行っても良い。
【0014】
本発明において反射層は光拡散層を通過してきた光を、再度、光拡散層を通して鑑賞者側へ反射する機能を果たす。このため、反射層の光反射材としては光の反射率の高いものが好ましく、たとえば、アルミニウム、クロム、インジウム、ニッケルおよびこれらの合金による金属からなる層が挙げられるが、実用性、コストを勘案するとアルミニウムであることが望ましい。なお、これら金属からなる層は反射を行うとともに光をほとんど通過しないので、上記遮光層とともに、ロールブラインド自体に光非透過性を付与する。
【0015】
ここで、金属からなる層としては金属箔を用いて達成しても良いが、反射効率、コスト、生産性、あるいは、巻上げ式ロールブラインドとしての巻き取り性を勘案すると、蒸着等の真空応用技術を用いて形成したものがよい。このとき金属層の厚さは100Å以上1500Å以下であることが好ましい。100Å未満であると反射率が小さくなりやすく、一方、1500Å超であるとコストアップとなり実用的ではない。
【0016】
金属層は、光拡散層あるいは遮光層に直接設けても良いが、蒸着等の真空応用技術により金属層を設ける場合、一般に製膜装置内にセットできるシート(「シート」としてはいわゆるシート状のものを指し、薄いシート、すなわち通常はフィルムとして分類されるものであっても「シート」と云う。以下同じ)の長さが長いほど、コスト的に有利である。すなわち、製膜処理速度は一般に非常に早いのに対して、製膜装置内への原料シートのセット、蒸着源の交換、閉扉、所定圧力への減圧、処理後の常圧への復帰、開扉、製膜されたシートの取り出し、装置内清掃などのいわゆる段取りが製膜コストに大きく影響する。このため、1バッチ当たりに処理できるシート長さが長い方が有利であるが、上記遮光層や後述する光拡散層の厚さは比較的厚いものとなる。
【0017】
このため、金属層製膜に有利な、薄いシートの少なくとも一方の面に金属層に形成してなる、金属層を有するシートを熱ラミネーションにより、あるいは、透明ないし半透明の接着層を介して光拡散層あるいは遮光層(遮光層側に貼り付ける際には不透明な接着剤を用いることができる)に貼り合わせることが有利である。
【0018】
このような金属層を設けるシートは映写面側から視認される部分に配される場合、材質としては透明ないし半透明であることが望ましく、このようなものとしてポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の透明蒸着用フィルム(厚さ:7〜100μ)が挙げられる。
【0019】
また、金属層を設ける上記シートの厚さは7μm以上100μm以下であることが好ましく、7μm未満では取り扱いが困難となりやすく、一方、100μm超であると硬くなり柔軟性に欠けるため、巻き取り、ロールブラインドとしては問題が生じ、また、蒸着等の真空応用技術により金属層を設ける場合には1バッチあたりの処理可能面積が少なくなりコスト高となる。金属層は通常、シートの片面に設けるが、両面に設けても良く、このときブラインドとしての遮光性が向上する。
【0020】
本発明における光拡散層は、映写スクリーンとした場合、プロジェクタからの光を拡散して反射層に供給し、かつ、反射層によって反射された光をさらに拡散して鑑賞者側に供給する機能を有し、この光拡散層の働きにより、映写された映像を鑑賞可能な範囲が拡大されたり、防眩(スクリーン状の映像を見たときに、プロジェクタの光源の反射がはっきりと視認される場合には眩しく感じ、このとき、映像の視認性が著しく低下する)効果が得られる。
【0021】
ここで、光拡散層としては、サンドブラスト加工、あるいは、ヘアライン加工によるものが挙げられる。ここで光拡散層となるシート自体をこのような処理を行ったものであっても、あるいは、シート製造時のロール等にこのような処理を施し、光拡散層となるシートに転写したものであっても良い。
【0022】
しかしながら、一方の面に多数の六角錐体がハニカム状に形成され、かつ、該六角錐体の側面に微細な凹凸が形成されているシートを光拡散層として用いた場合、上記のようなサンドブラスト加工、あるいは、ヘアライン加工を行ったシートを光拡散層として用いる場合よりも、より広い範囲で、より明るい画面で、かつ、眩しくなく映像の視認(鑑賞)が可能となるので好ましい。
本発明において、光拡散層の多数の六角錐体は、映写スクリーンとして用いる場合の表面側に設ける。
【0023】
六角錐体の底面は通常、正六角形とするが、特定の対向する1組の辺のみが他の4辺より長くなった底面形状であっても良い。六角錐体の底面の辺の長さは0.3mm以上3.0mm以下とすることが望ましい。すなわち 0.3mm未満であると、鑑賞可能範囲が広くなると云う本発明の効果が得られにくくなり、一方、3mm超であると鑑賞者に六角錐体が視認され、却って映像、文字などが見にくくなる場合がある。さらに好ましい範囲は0.6mm以上0.8mm以下である
【0024】
一方、六角錐体の高さはすべての六角錐体において実質等しいことが望ましい。
六角錐体の高さの好ましい範囲としては10μm以上0.3mm以下であることが望ましい。すなわち10μm未満であると光の拡散が不充分となりやすく、0.3mm超であると映写シートとして重くなり、取り扱い性が低くなる場合がある。
【0025】
本発明において多数の六角錐体が透明ないし半透明のシートの映写面側の面に多数の六角錐体が該シートと一体にハニカム状に形成されているとは六角錐体の底面の辺を隣り合う別の六角錐体の底面の辺と共用するか、あるいは六角錐体の底面の辺が隣接する六角錐体の底面の辺と平行になるように、透明ないし半透明のシートに一体に設けられていることを云う。
【0026】
すなわち、このような多数の六角錐体は一般的には金型、ないし、対応する型が形成されたロールによって形成されるが、それらの型ないし型ロールの稜線がナイフエッジ状であると上記のシートに形成された六角錐体の底面の辺を隣り合う別の六角錐体の底面の辺と共用する形状となる。
【0027】
しかし、このとき、型ないし型ロールの精度良い形成が困難であったり、あるいは、実際の使用時にこのナイフエッジ状の稜線が摩耗したり破壊されやすくなるなどの製造上の欠点が生じる場合がある。このため、これら型ないし型ロールの稜線をナイフエッジ状ではなく、細い平らなバンド状の稜線とすると、上記のシートに形成された六角錐体の底面の辺が隣接する六角錐体の底面の辺と平行になる形状となる。
【0028】
このようなハニカム紋シート、すなわち、一方の面に多数の六角錐体がハニカム状にシート自体に一体に形成された透明ないし半透明のシートの厚さは20μm以上600μm以下であることが望ましい。
【0029】
ここで、本発明で云う六角錐体が設けられているシートの厚さとは、そのシートの六角錐体の底面から他の面までの厚さである。シートの厚さが20μm未満であると六角錐体が正しく形成されにくく、600μm超であると重くなり、ロールブラインドとしての取り扱いに適さないようになるおそれがある。
上記ハニカム紋シートは透明ないし半透明であることが必要である。
【0030】
ここで、このようなハニカム紋シートの一例をモデル的に図1に示す。
図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のAAにおける断面図、図1(c)は図1(a)のBBにおける断面図、図1(d)は図1(a)のCCにおける断面図である。この例では六角錐体の底面は正六角形であり、この正六角形の各辺の長さはU/2である。従って図1(b)における山と谷との1サイクルの長さは(√3)U/2である。また、六角錐体の高さはh、シートの厚さはdでそれぞれ表されている。この例ではハニカム紋シートは稜線がナイフエッジ状の型ロールによって形成されたものであり、シートの一方の面に形成された六角錐体の底面の辺は隣り合う別の六角錐体と共用されている形状となっている。
【0031】
ハニカム紋シートが有する光拡散層としての機能について説明するモデル図を図2に示す。
図2に示されるように、入射光はハニカム紋シートを通過し、光拡散層からの光を反射する中間層に達して反射され、再度ハニカム紋シートを通過して、反射光となる。このとき、六角錐体によるプリズム効果によりマイルドな乱反射が生じ、映写スクリーンとして用いたときに広角で眩しくない鑑賞が可能となる。
【0032】
さらに、本発明に係るロールブラインドで光拡散層として用いられるハニカム紋シートは、それらの六角錐体の側面に、微細な凹凸が形成されているので、この凹凸により光が拡散され、シート自体の透明性を失うことなく映写スクリーンとして用いたときの鑑賞可能範囲は充分に大きくなり、眩しさが充分に軽減される。上記微少な凹凸としては、顕微鏡やあるいは電子顕微鏡で観察し、その大きさが0.1μm以上50μm以下の範囲であると、効果が高いので望ましい。
【0033】
ここで六角錐体を形成する側面に、微細な凹凸が形成されている場合の効果についてモデル図を図3に示す。
図3に示されるように、入射光はハニカム紋シートを通過して中間層に達して反射され、再度ハニカム紋シートを通過して、反射光となる。このとき、六角錐体自体による比較的大きなプリズム効果と、その側面に形成された高低差の少ない微細な凹凸による微細なプリズム効果とにより、よりマイルドな乱反射が生じ、映写スクリーンとして用いたときに充分に広角で、充分に眩しくない鑑賞が可能となる。この六角錐体の側面に形成された微細の凹凸が高低差の少ないものであるときにはハニカム紋シート自体は比較的透明に見える。
【0034】
一方、上記微細な凹凸が比較的高低差の大きいものであると、ハニカム紋シートは半透明に見える。このような微細な凹凸はたとえば型ないし型ロールへのサンドブラスト処理により型ないし型ロール自体に微細な凹凸を設けることで達成できる。ここでそのサンドブラスト処理の処理条件で上記微細な凹凸の状態を制御できる。
【0035】
しかしながら、本発明におけるハニカム紋シートにおける微少な凹凸は従来の平面状のフィルム表面のヘアライン処理あるいはサンドブラスト処理によるものとは異なり、ハニカム紋シートの六角錐体の側面における微細な凹凸であるため、そのときの光の拡散は六角錐体の形状によって規制されているので、明るさが極端に減じることがなく、むしろ、映写スクリーンとして用いたときの鑑賞可能範囲はさらに大きくなるとともに、眩しさがさらに軽減される等、ハニカム紋シートによる効果が増大する。
【0036】
また、上記のような高低差の大きな微細な凹凸を設ける方法以外の、ハニカム紋シートを半透明にする別の方法として、ハニカム紋シートに微量の光を散乱するフィラー(シリカの微粉末、炭酸カルシウムの微粉末、タルクの微粉末等)を含有させることが挙げられる。上記六角錐体側面への凹凸形成と組み合わせることにより、さらに乱反射となり、鑑賞可能範囲はさらに広角で、そのときにさらに眩しくない鑑賞が可能となる。
【0037】
光を散乱するフィラーとしては微粉末シリカであることが透明性の点で望ましく、その粒径は0.01μm以上20μm以下の範囲であることが望ましい。すなわち粒径が0.01μm未満であると鑑賞可能範囲拡大の効果が少なく、一方、20μm超であるとハニカム紋シート自体の透明性を損なう場合がある。ここで粒径は顕微鏡、電子顕微鏡あるいはそれらによる写真により確認できる。
【0038】
また、光を散乱するフィラーの配合量としてはハニカム紋シート中の量が0.01重量%以上5重量%以下の範囲であることが望ましく、0.01重量%未満であると鑑賞可能範囲拡大の効果が少なく、一方、5重量%超となるとハニカム紋シートの透明性が損なわれるおそれがある。
【0039】
ここでハニカム紋シート内に微量のフィラーが配され、かつ、六角錐体を形成する側面に、高低差の少ない微細な凹凸が形成されている場合の効果についてモデル図を図4に示す。
【0040】
図4に示されるように、入射光はハニカム紋シートを通過して金属層に達して反射され、再度ハニカム紋シートを通過して、反射光となる。このとき、光はハニカム紋シート内の微量のフィラーにより分散されるとともに、六角錐体自体およびその側面に形成された微細な凹凸によるプリズム効果により、映写スクリーンとして用いたときにさらにより広角で、さらにより眩しくない鑑賞が可能となる。
【0041】
ハニカム紋シートは、たとえばカレンダー法、T第押出し法などの通常のシート作製方法において、多数の六角錐体に対応する凹凸を有する型ロールを用いることで生産性良く、かつ、精度良く製造することができるが、本発明は多数の六角錐体が形成されたシートの製造方法には限定されない。このようなシートの原料としては、ハニカム紋シートとしたときに透明性を満足するものであればよく、このうち、防炎性を兼ね備えるので塩化ビニル樹脂であることが望ましい。
【0042】
本発明のロールブラインドのブラインドシート部はこれら光拡散層、中間層、および遮光層を積層して構成される。積層に当たっては、シート成型時に押出しラミネート、ドライラミネートなどの方法を用いることができるが、接着によって積層しても良い。
【0043】
このとき接着剤からなる接着層の厚さとしては、0.5μm以上10μm以下であることが望ましい。0.5μm未満であると接着強度不足となることがあり、一方、10μm超であると乾燥のための時間が長く生産性が低下する。
【0044】
用いる接着剤としては反射層よりも光拡散層側で用いられる場合には透明ないし半透明であることが求められ、このような接着剤としてはエステル系、ウレタン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系などの接着剤が挙げられる。
【0045】
積層に際して、中間層が金属層を一方の面に有するシート場合、その金属層側ができるだけ早い段階で光拡散層、あるいは、遮光層に貼り合わせられるように積層することが重要である。このような積層によりその後の工程での取り扱いでも金属層が保護されており、その結果、瑕疵の発生が予防される。
【0046】
図5に本発明のロールブラインドのブラインドシート部の一例について、その断面をモデル的に示す。
【0047】
すなわち、ブラインドシート部が、上(窓用ロールブラインドとしたときに室内側)から、透明ないし半透明の樹脂組成物からなり、かつ、光拡散機能を有する光拡散層、接着剤層(透明ないし半透明)、光拡散層からの光を反射する中間層、接着剤層(不透明であっても良い)、および、遮光性を有する樹脂組成物からなる遮光層をこの順で有する巻上げ式ロールブラインドのブラインドシート部である。
【0048】
このような積層によって得られたブラインドシート部を用いて、巻上げ式ロールブラインドを作製する。このとき巻上げ式ロールブラインドとしては通常の形式のものでよく、スプリングによる自動・半自動巻上げ式、電動式などの形式を問わずに応用できる。
【0049】
図6に本発明に係る巻上げ式ロールブラインドの一例のモデル図を示す。
図6(a)はブラインドシート部全体が光拡散層、中間層および遮光層からなる例、図6(b)はブラインドシート部の中央部にのみ光拡散層および中間層が積層され、縁の部分は遮光層のみからなる例をそれぞれ示す。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に示す。
<カレンダー用ロールの作製>
機械彫りによりミリロール上に多数の六角錐体をハニカム状に作製し、これをエンボスロールに転写させた。粒径が約90μmの微細な砂粒を水に混合し、これを高圧でこのロールに吹き付けてサンドブラスト方法により高低差の少ない微細な凹凸を形成した。
【0051】
<ハニカム紋シートの作製>
塩化ビニル樹脂を用いて、上記ロールを用いたカレンダー法によりハニカム紋シートα1、すなわち、透明のシートの一方の面に多数の六角錐体が形成され、かつ、該多数の六角錐体がハニカム状に一体に設けられているシートであって、六角錐体を形成する側面に微細な凹凸が形成されているシートα1を連続的に作製した。なお、上記のように塩化ビニル樹脂を用いたのは充分な防炎性、柔軟性を有するためである。
【0052】
なお、上記と同じの塩化ビニル樹脂100重量部当たり、光を散乱するフィラーとして微粉末シリカ(平均粒径:3μm)を0.5重量部(0.5重量%)混練したフィラー混原料樹脂組成物から同様にしてハニカム紋シートβ1、すなわち、透明のシートの一方の面に多数の六角錐体が形成され、かつ、該多数の六角錐体がハニカム状に一体に設けられているシートであって、六角錐体を形成する側面に微細な凹凸が形成されているシートβ1を得た
【0053】
これらシートα1およびβ1の六角錐体の高さは300μm、シートの厚さは300μm、六角錐体の底面の形状は正六角形であり、この正六角形の一辺の長さは0.83mmである。また、これら六角錐体の側面に形成された微細な凹凸は断面の電子顕微鏡による観察を行った結果、深さは2μmであった。
【0054】
<片面に金属層が形成されたシート>
厚さ12μmのポリエステル製シートの片面にアルミニウム膜を蒸着法で形成し、片面に金属層が形成されたシートγを得た。
【0055】
<基材シート>
基材シートδとして、カレンダー法によって、塩化ビニル樹脂製シート(厚さ:300mm)を用いた。このものは防炎性と裏面からの光を遮る遮光性、柔軟性をそれぞれ充分に有するものであった。
【0056】
<積層シートの作製>
上記ハニカム紋シートα1の六角錐体が形成されていない面にポリエステル系接着剤層(厚さ:3μm)を介して、片面に金属層が形成されたシートγを貼合せ、積層シートα3を得た。なお、このとき、片面に金属層が形成されたシートのシート面がハニカム紋シート側となるようにした。
また、ハニカム紋シートβ1と片面に金属層が形成されたシートγとから同様にして積層シートβ3を得た。
【0057】
<ブラインドシートの作製>
上記積層シートα3およびβ3のそれぞれ六角錐体が形成されていない面(裏面)に基材シートδを貼り合わせて、ブラインドシートα4およびβ4をそれぞれ得た。これらブラインドシートα4およびβ4はともに巻き取り可能な柔軟なものであった。
【0058】
また、本発明のブラインドシートの映写スクリーン機能を一般的な映写スクリーンの性能と比較するため単純な白色の映写スクリーンε(キクチ科学研究所製KPS−60WB)を準備した。
【0059】
さらに、蒸着層を有するブラインドシートζ(上記の片面に金属層が形成されたシートγの金属層側に基材シートδを貼り合わせて作製したもの)、一方の面にヘアライン加工を施したポリエステルフィルムの他方の面に金属蒸着を行って作製したブラインドシートηを準備した。
【0060】
<評価>
上記のすべてのブラインドシート(映写スクリーンεをのぞく)は巻上げ式ロールブラインド用ブラインドシートとして必要な柔軟性、取り扱い性、遮光性を有していた。
【0061】
本発明に係る巻上げ式ロールブラインド用ブラインドシートの映写スクリーン機能としての評価として光反射率を調べた。すなわち、図7に示すような方法により調べた。
【0062】
光源としてはプロジェクタを用い、サンプルのブラインドシート部(あるいは映写スクリーン)の正面、中央に正対する位置に設置した。光源の光量を調整して、サンプルのスクリーン中央の照度を8000ルクスに調整した。
このとき、ブラインドシート部(スクリーン)中央からの等距離となる位置で、かつ、光源からスクリーンへの垂線に対する角度θにおける箇所の照度を照度計を用いて調べた。
結果を図8に示す。
【0063】
図8から、本願発明に係る巻上げ式ロールブラインドのブラインドシート部α4およびβ4では0±30℃の範囲で明るく、かつ、照度の差が少なく、この範囲では眩しくなく、かつ、通常の照明下での鑑賞が可能であることが判る。一方、比較例ε(映写スクリーン)、ζおよびηのブラインドシート部ではブラインドシート部α4およびβ4より防眩性が低いか、比較的狭い範囲のみの鑑賞が可能であり、その映像も暗くなると云う結果が判った。なお、これらε、ζおよびηは総合的に判断すると低いながらも同等のレベルの映写スクリーン機能を有していると判断された。
【0064】
【発明の効果】
本発明の巻上げ式ロールブラインドは従来の巻上げ式ロールブラインドとしての機能をすべて兼ね備えていながら、映画、各種プロジェクターなどの映像・文字表示用の映写スクリーンとしての機能を有するため、トータルのコストが安くなり、また設置可能な場所も多い。
【図面の簡単な説明】
【図1】光拡散層として用いることができる透明ないし半透明のシートであって、その一方の面に多数の六角錐体が形成され、かつ、該多数の六角錐体がハニカム状に上記透明ないし半透明のシートと一体に設けられているシート(ハニカム紋シート)の一例をモデル的に示す図である。
(a)上面図
(b)(a)のAAでの断面図
(c)(a)のBBでの断面図
(d)(a)のCCでの断面図
【図2】ハニカム紋シートの効果を説明するためのモデル図である。
【図3】ハニカム紋シートにおける六角錐体の側面に微細な凹凸を設けた場合の効果について説明するためのモデル図である。
【図4】ハニカム紋シート内にフィラーを配し、かつ、六角錐体の側面に微細な凹凸を設けた場合の効果について説明するためのモデル図である。
【図5】本発明に係る巻上げ式ロールブラインドのブラインドシート部の構成の一例を示すモデル図である。
【図6】本発明に係る巻上げ式ロールブラインドを示すモデル図である。
(a)ブラインドシート部全体に光拡散層と中間層とを設けた例
(b)ブラインドシート部の中央にのみ光拡散層と中間層とを設けた例
【図7】巻上げ式ロールブラインドの映写スクリーン機能の評価方法を示すモデル図である。
【図8】本発明に係る巻上げ式ロールブラインドの映写スクリーン機能および従来技術に係る映写スクリーンの評価結果を示す図である。

Claims (5)

  1. ブラインドシート部が、透明ないし半透明の樹脂組成物からなり、かつ、光拡散機能を有する光拡散層、光拡散層からの光を反射する中間層、および、遮光性を有する樹脂組成物からなる遮光層をこの順で有することを特徴とする巻上げ式ロールブラインド。
  2. 上記遮光性を有する樹脂組成物が、カーボンブラックを0.1重量%以上10重量%以下、および、酸化チタンを30重量%以下含むものであることを特徴とする巻上げ式ロールブラインド。
  3. 上記中間層が金属蒸着膜を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻上げ式ロールブラインド。
  4. 上記光拡散層の表面に多数の六角錐体がハニカム状に形成され、かつ、該六角錐体の側面に微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の巻上げ式ロールブラインド。
  5. 上記光拡散層を構成する透明ないし半透明の樹脂組成物が粉末状フィラーを0.05重量%以上5重量%以下含有することを特徴とする巻上げ式ロールブラインド。
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