JP2004300611A - 繊維トウの切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】切断刃の刃こぼれ、刃折れが少なく、繊維トウを所定寸法にて連続的に切断する繊維の切断方法を提供する。
【解決手段】回転ローターに、回転ローターの中心より放射状に任意の間隔をもって等間隔に切断刃の刃先が外側となるように切断刃を配設し、その回転ローターの側面に、回転ローターと対面させた回転する回転押さえロールを配位し、回転ローターに巻きつけた繊維トウを、切断刃と該回転押さえロールの円周面との間で狭圧して繊維トウを切断する繊維トウの切断方法において、切断刃の回転ローターの回転軸方向に対する傾斜角をθとするとき、切断刃を10°≦θ≦70°となるように傾けた状態で配設してなる回転ローターを用いることにより、切断刃の刃こぼれ、刃折れを減少させる。
【選択図】 図1
【解決手段】回転ローターに、回転ローターの中心より放射状に任意の間隔をもって等間隔に切断刃の刃先が外側となるように切断刃を配設し、その回転ローターの側面に、回転ローターと対面させた回転する回転押さえロールを配位し、回転ローターに巻きつけた繊維トウを、切断刃と該回転押さえロールの円周面との間で狭圧して繊維トウを切断する繊維トウの切断方法において、切断刃の回転ローターの回転軸方向に対する傾斜角をθとするとき、切断刃を10°≦θ≦70°となるように傾けた状態で配設してなる回転ローターを用いることにより、切断刃の刃こぼれ、刃折れを減少させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は切断刃の刃こぼれ、刃折れが少なく、繊維トウを所定寸法にて連続的に切断する繊維の切断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転ローターに該回転ローターの中心より放射状に任意の間隔をもって等間隔に切断刃の刃先が外側となるように切断刃を配設し、その該回転ローターの側面に該回転ローターと対面させた回転する回転押さえロールを配位させ、該回転ローターに巻きつけられた繊維トウを該切断刃と該回転押さえロールの円周面との間で狭圧して該繊維トウを押し切ることによって短繊維を得る、繊維トウの切断方法においては、実開昭62−36076号公報、実開昭63−7177号公報、特開昭51−102123号公報、特開昭51−139932号公報に記載されていて通常鋭利な切断刃を回転ローターに、該回転ローターの回転軸に対して平行に配設されてなる回転ローターが用いられている。
【0003】
また特開昭61−75822号公報、特開昭61−83323号公報においては回転ローターの内部側が刃先となるように切断刃が該回転ローターの中心より放射状に等間隔に配設された回転ローターを用い、該回転ローターの内部に繊維トウを通し、該繊維トウを該回転ローターに配設された切断刃の刃先に内接するように巻きつけ、押さえロールによって繊維トウを該切断刃の刃先との間に狭圧し、繊維トウを押し切ることによって短繊維を得る繊維トウの切断方法並びに装置の開示がなされている。
【0004】
また特開平5−263322号公報には、回転ローターの外周に複数の係止突起を配設したローターを用い、繊維トウを千鳥状に該回転ローターに巻きかけて該係止突起とベルトによって該繊維トウを狭圧して移送した後に、該繊維トウの回転運動に伴なう切断刃の衝撃力により繊維トウを切断する方並びに装置が教示されている。
【0005】
さらに特開平9−119025号公報には、外周面に切断刃を複数放射状に有するカッターローラーと、該カッターローラーに対向するゴムローラーとの間に繊維トウを送り込み、該カッターローラーと該ゴムローラの回転速度を変え、その回転速度差によって繊維トウを切断する方法が開示されている。
【0006】
【実用新案文献1】
実開昭62−36076号公報
【0007】
【実用新案文献2】
実開昭63−7177号公報
【0008】
【特許文献1】
特開昭51−102123号公報
【0009】
【特許文献2】
特開昭51−139932号公報
【0010】
【特許文献3】
特開昭61−75822号公報
【0011】
【特許文献4】
特開昭61−83323号公報
【0012】
【特許文献5】
特開平5−263322号公報
【0013】
【特許文献6】
特開平9−119025号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の上記の方法には以下のような様々な問題点がある。まず、実開昭62−36076号公報、実開昭63−7177号公報、特開昭51−102123号公報、特開昭51−139932号公報などに記載されている方法は、切断刃は繊維トウに対し直角に配設されているため、繊維トウの切断は、回転ローターに配設されている切断刃への繊維トウの締め付けによる圧接力と、押さえローラーの押し圧のみ、いわゆる押し切りのみによって切断する方法である。したがって、切断刃の刃先の鋭利さが失われやすい。また、切断刃の刃先の鋭利さが失われれば、繊維トウの切れ味が悪くなるため、押し圧を大きくする必要があったり、繊維トウの締め付けによる圧接力が大きくなったりして、その結果、切断刃の破損・欠損、繊維トウの不必要な延伸、更には不均一な繊維長を有する短繊維が発生する原因となる。
【0015】
上記の繊維トウの締め付けによる圧接力の増加の問題を解決するために、特開昭61−75822号公報、並びに特開昭61−83323号公報では、回転ローターの内側に切断刃の刃先を配設すると同時に、該回転ローターの内側に繊維トウを送り込み押さえローラーによって狭圧することによって、上記のような回転ローターに配設される切断刃に対する繊維トウの締め付けによる圧接力は掛からないために、切断刃の破損、繊維トウの不必要な延伸は改善はされるが、やはり、切断刃は繊維トウに対し直角に配されているため、繊維トウは押し切りのみによって切断するため、本件においても切断刃の刃先の鋭利さが失われ易く、円滑な繊維トウの切断は望まれない。
【0016】
さらに特開平5−263322号公報では、繊維トウの切断においては切断刃の刃先の鋭利さよりもむしろ、繊維トウの回転運動に伴なう切断刃への衝撃力のほうの要因が大きいため、該切断刃の刃先の鋭利さが失われても切断能力の低下は上記の技術ほど蒙らない。しかしながら、やはり、切断刃を繊維トウに対し直角に配設すれば、切断刃の刃先の鋭利さが失われやすい。また、本件では切断装置自体が大掛かりなものとなり、繊維トウの接断長を変えるための回転ローター交換においても上記のものに比べれば容易さにかけ、切断作業の円滑さを低下させる要因となりかねない。
【0017】
また特開平9−119025号公報においては、上述(実開昭62−36076号公報以下四件)のような回転ローターに配設される切断刃に対する繊維トウの締め付けによる圧接力は掛からないが、本件においても、切断刃を繊維トウに対し直角に配設すれば、切断刃の刃先の鋭利さが失われやすい。また、カッターローラーに配設されている切断刃とゴムローラーとの間に繊維トウを送り込み該繊維トウを切断する際に、該切断刃が繊維トウもしくはゴムローラーの動摩擦により撓むために切断刃の変形もしくは破損を引き起こしかねない。
【0018】
本発明者らは以上の従来技術における問題を鑑み、切断刃の破損・欠損を少なくし、比較的簡潔な装置にて、繊維トウを円滑に安定して切断するための方法を見出した。
【0019】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、回転ローターに、該回転ローターの中心より放射状に任意の間隔をもって等間隔に切断刃の刃先が外側となるように切断刃を配設し、その該回転ローターの側面に、該回転ローターと対面させた回転する回転押さえロールを配位し、該回転ローターに巻きつけた繊維トウを、該切断刃と該回転押さえロールの円周面との間で狭圧して該繊維トウを切断する繊維トウの切断方法において、該切断刃の該回転ローターの回転軸方向に対する傾斜角をθとするとき、該切断刃を10°≦θ≦70°となるように傾けた状態で配設してなる回転ローターを用いることを特徴とする繊維トウの切断方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、上記目的を達成するため研究を進めた結果、繊維トウの締め付けによる圧接力を小さく、かつ、切断刃の鋭利さを失わないようにするには、該切断刃の該回転ローターの回転軸方向に対する傾斜角をθとするとき、該切断刃を10°≦θ≦70°となるように傾けた状態で配設してなる回転ローターを用いればよいことを知った。すなわち、切断刃を繊維トウに対し傾斜して配設することによって、繊維トウを巻き付けた際、該繊維トウが切断刃の傾斜に沿って移動するため、切断刃に対する負担が小さくなり、かつ、刃先の鋭利さが失われにくくなる。その結果、長期間にわたって、繊維トウを円滑に安定して切断することができることが判明し本発明に至った。
【0021】
本発明において、切断刃の傾斜角は、回転ローターの回転軸方向に対して傾斜角をθとするとき、10°≦θ≦70°とする。好ましくは30°≦θ≦50°である。ここで回転ローターの回転軸方向とは、回転ローターの回転方向に対して垂直の方向を意味し、またここでいう傾斜角とは図1に記載の様に回転ローターの回転軸方向Cと切断刃の刃先の延長方向Dとの角度θを意味する。この際このθの値が10°未満であれば、切断刃が回転ローターの回転方向に対し垂直の状態に近くなるために、回転ローターに配設される切断刃に対する繊維トウの締め付けによる圧接力が大きくなり、押し切りのみとなって、該切断刃の破損・欠損を引き起こし、繊維トウの不必要な延伸を引き起こしかねないので好ましくない。一方、θの値が70°を越えると、切断刃が回転ローターの回転方向と平行の状態に近くなるために、繊維トウを切断する切断面積が小さくなり、繊維トウのミスカットなどが起こり易くなり安定して繊維トウの切断ができなくなるために好ましくない。
【0022】
本発明において使用する切断刃の素材は特には限定はないが、強度、耐久性などの点から炭素鋼系、合金鋼系、ステンレス鋼系、セラミック鋼系などを使用することが好ましい。
【0023】
本発明の繊維トウの切断方法では切断可能な繊維としては特に限定はないが、有機合成繊維の切断に最適である。ここでいう有機合成繊維とは、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維をはじめとするポリエステル系繊維、ナイロン繊維をはじめとするポリアミド繊維、アクリル繊維、また再生繊維であるレーヨン繊維、半合成繊維であるアセテート繊維などである。またこれらの繊維の繊維形状には限定はなく、単一繊維、或いは二種以上の成分を有した複合繊維であっても構わない。また単繊維繊度は生産工程上0.5〜300dtexが好ましい。また繊維トウの繊度は30万〜100万dtexが好ましい。また切断可能な繊維切断長は3〜20mmが好ましい。
【0024】
【実施例】
本発明を以下実施例を図にてさらに詳しく説明する。
【0025】
二枚の円盤を軸方向に小間隔を開けて連結し形成したローターの、円盤間の外周部に切断刃(6)を切断刃固定金具(4)、(5)によって、該切断刃の刃先(7)が外側になるように、該回転ローターの回転軸中心に対し放射状に固定する。この切断刃固定金具(4)、(5)には切断刃(6)の断面の大きさの穴があいており、その穴に切断刃を挿入することによって固定できる。そして、切断刃の上方の切断刃固定金具(4)を動かすことによって、切断刃を傾斜させ、該回転ローターの回転軸方向に対して角度θを設けることによって、本発明に使用される切断刃の装着が完了する。該切断刃(6)の間隔は切断しようとする所望の繊維トウの切断長の長さに応じて適宜変えればよい。
【0026】
[実施例1]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=30°とし、被切断繊維として、芯成分としてポリプロピレン樹脂、鞘成分としてエチレン−プロピレン共重合体樹脂を配した単繊維繊度2.2dtexの芯鞘型複合繊維(商品名NBF(P)−2:ダイワボウポリテック(株)製)を使用した。また切断刃(5)はステンレス製を使用し、切断刃(5)の配設間隔を5mmとした。
【0027】
該芯鞘型複合繊維を総繊度が56万dtexとなるように繊維トウとなし、切断刃が配設された回転ローターに繊維トウを巻きつけ、回転押さえロールの円周面との間で狭圧によって該繊維トウを切断した。繊維トウは滞りなく切断され、切断面、切断長ともに均一で安定生産ができた。また繊維トウを10t切断した後に切断刃の様子を観察したが、刃毀れなどの刃の損壊場所は見当たらなかった。
【0028】
[実施例2]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=60°とした以外は、実施例1と同様に繊維トウを切断した。実施例1と同様に繊維トウは滞りなく切断され、切断面、切断長ともに均一で安定生産ができ、また繊維トウを10t切断した後に切断刃の様子を観察したが、刃毀れなどの刃の欠損場所は見当たらなかった。
【0029】
[比較例1]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=5°とした以外は、実施例1と同様に繊維トウを切断した。しかしながら、繊維トウを3t切断した時点で数本切断刃が損壊し、それ以上切断を行うことはできなかった。
【0030】
[比較例2]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=0°とした以外は、実施例1と同様に繊維トウを切断した。しかしながら、繊維トウを2.5t切断した時点で数本切断刃が損壊し、それ以上切断を行うことはできなかった。
【0031】
[比較例3]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=80°とした以外は、実施例1と同様に繊維トウを切断した。しかしながら、繊維トウのミスカット(切断されていない部分)が目立ち円滑に切断することはできなかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、回転ローターに該切断刃を該回転ローターの回転軸方向に対しての傾斜角をθとするとき10°≦θ≦70°となるように傾けた状態で配設させることにより、繊維トウを切断する際に該切断刃にかかる負荷を低減させることにより切断刃の破損・欠損を少なくし、かつ、円滑に安定して繊維トウを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する回転ローターの断面図である。
【図2】本発明に使用する回転ローターの上面図である。
【符号の説明】
1 上部円盤
2 下部円盤
3 回転ローターの回転軸
4 切断固定金具
5 切断固定金具
6 切断刃
7 切断刃の刃先
A 回転ローターの回転軸中心線
B 回転ローターの回転軸中心線の平行線
C 切断刃の刃先の延長線
θ 切断刃の回転ローター回転軸方向に対する傾斜角
【発明の属する技術分野】
本発明は切断刃の刃こぼれ、刃折れが少なく、繊維トウを所定寸法にて連続的に切断する繊維の切断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転ローターに該回転ローターの中心より放射状に任意の間隔をもって等間隔に切断刃の刃先が外側となるように切断刃を配設し、その該回転ローターの側面に該回転ローターと対面させた回転する回転押さえロールを配位させ、該回転ローターに巻きつけられた繊維トウを該切断刃と該回転押さえロールの円周面との間で狭圧して該繊維トウを押し切ることによって短繊維を得る、繊維トウの切断方法においては、実開昭62−36076号公報、実開昭63−7177号公報、特開昭51−102123号公報、特開昭51−139932号公報に記載されていて通常鋭利な切断刃を回転ローターに、該回転ローターの回転軸に対して平行に配設されてなる回転ローターが用いられている。
【0003】
また特開昭61−75822号公報、特開昭61−83323号公報においては回転ローターの内部側が刃先となるように切断刃が該回転ローターの中心より放射状に等間隔に配設された回転ローターを用い、該回転ローターの内部に繊維トウを通し、該繊維トウを該回転ローターに配設された切断刃の刃先に内接するように巻きつけ、押さえロールによって繊維トウを該切断刃の刃先との間に狭圧し、繊維トウを押し切ることによって短繊維を得る繊維トウの切断方法並びに装置の開示がなされている。
【0004】
また特開平5−263322号公報には、回転ローターの外周に複数の係止突起を配設したローターを用い、繊維トウを千鳥状に該回転ローターに巻きかけて該係止突起とベルトによって該繊維トウを狭圧して移送した後に、該繊維トウの回転運動に伴なう切断刃の衝撃力により繊維トウを切断する方並びに装置が教示されている。
【0005】
さらに特開平9−119025号公報には、外周面に切断刃を複数放射状に有するカッターローラーと、該カッターローラーに対向するゴムローラーとの間に繊維トウを送り込み、該カッターローラーと該ゴムローラの回転速度を変え、その回転速度差によって繊維トウを切断する方法が開示されている。
【0006】
【実用新案文献1】
実開昭62−36076号公報
【0007】
【実用新案文献2】
実開昭63−7177号公報
【0008】
【特許文献1】
特開昭51−102123号公報
【0009】
【特許文献2】
特開昭51−139932号公報
【0010】
【特許文献3】
特開昭61−75822号公報
【0011】
【特許文献4】
特開昭61−83323号公報
【0012】
【特許文献5】
特開平5−263322号公報
【0013】
【特許文献6】
特開平9−119025号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の上記の方法には以下のような様々な問題点がある。まず、実開昭62−36076号公報、実開昭63−7177号公報、特開昭51−102123号公報、特開昭51−139932号公報などに記載されている方法は、切断刃は繊維トウに対し直角に配設されているため、繊維トウの切断は、回転ローターに配設されている切断刃への繊維トウの締め付けによる圧接力と、押さえローラーの押し圧のみ、いわゆる押し切りのみによって切断する方法である。したがって、切断刃の刃先の鋭利さが失われやすい。また、切断刃の刃先の鋭利さが失われれば、繊維トウの切れ味が悪くなるため、押し圧を大きくする必要があったり、繊維トウの締め付けによる圧接力が大きくなったりして、その結果、切断刃の破損・欠損、繊維トウの不必要な延伸、更には不均一な繊維長を有する短繊維が発生する原因となる。
【0015】
上記の繊維トウの締め付けによる圧接力の増加の問題を解決するために、特開昭61−75822号公報、並びに特開昭61−83323号公報では、回転ローターの内側に切断刃の刃先を配設すると同時に、該回転ローターの内側に繊維トウを送り込み押さえローラーによって狭圧することによって、上記のような回転ローターに配設される切断刃に対する繊維トウの締め付けによる圧接力は掛からないために、切断刃の破損、繊維トウの不必要な延伸は改善はされるが、やはり、切断刃は繊維トウに対し直角に配されているため、繊維トウは押し切りのみによって切断するため、本件においても切断刃の刃先の鋭利さが失われ易く、円滑な繊維トウの切断は望まれない。
【0016】
さらに特開平5−263322号公報では、繊維トウの切断においては切断刃の刃先の鋭利さよりもむしろ、繊維トウの回転運動に伴なう切断刃への衝撃力のほうの要因が大きいため、該切断刃の刃先の鋭利さが失われても切断能力の低下は上記の技術ほど蒙らない。しかしながら、やはり、切断刃を繊維トウに対し直角に配設すれば、切断刃の刃先の鋭利さが失われやすい。また、本件では切断装置自体が大掛かりなものとなり、繊維トウの接断長を変えるための回転ローター交換においても上記のものに比べれば容易さにかけ、切断作業の円滑さを低下させる要因となりかねない。
【0017】
また特開平9−119025号公報においては、上述(実開昭62−36076号公報以下四件)のような回転ローターに配設される切断刃に対する繊維トウの締め付けによる圧接力は掛からないが、本件においても、切断刃を繊維トウに対し直角に配設すれば、切断刃の刃先の鋭利さが失われやすい。また、カッターローラーに配設されている切断刃とゴムローラーとの間に繊維トウを送り込み該繊維トウを切断する際に、該切断刃が繊維トウもしくはゴムローラーの動摩擦により撓むために切断刃の変形もしくは破損を引き起こしかねない。
【0018】
本発明者らは以上の従来技術における問題を鑑み、切断刃の破損・欠損を少なくし、比較的簡潔な装置にて、繊維トウを円滑に安定して切断するための方法を見出した。
【0019】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、回転ローターに、該回転ローターの中心より放射状に任意の間隔をもって等間隔に切断刃の刃先が外側となるように切断刃を配設し、その該回転ローターの側面に、該回転ローターと対面させた回転する回転押さえロールを配位し、該回転ローターに巻きつけた繊維トウを、該切断刃と該回転押さえロールの円周面との間で狭圧して該繊維トウを切断する繊維トウの切断方法において、該切断刃の該回転ローターの回転軸方向に対する傾斜角をθとするとき、該切断刃を10°≦θ≦70°となるように傾けた状態で配設してなる回転ローターを用いることを特徴とする繊維トウの切断方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、上記目的を達成するため研究を進めた結果、繊維トウの締め付けによる圧接力を小さく、かつ、切断刃の鋭利さを失わないようにするには、該切断刃の該回転ローターの回転軸方向に対する傾斜角をθとするとき、該切断刃を10°≦θ≦70°となるように傾けた状態で配設してなる回転ローターを用いればよいことを知った。すなわち、切断刃を繊維トウに対し傾斜して配設することによって、繊維トウを巻き付けた際、該繊維トウが切断刃の傾斜に沿って移動するため、切断刃に対する負担が小さくなり、かつ、刃先の鋭利さが失われにくくなる。その結果、長期間にわたって、繊維トウを円滑に安定して切断することができることが判明し本発明に至った。
【0021】
本発明において、切断刃の傾斜角は、回転ローターの回転軸方向に対して傾斜角をθとするとき、10°≦θ≦70°とする。好ましくは30°≦θ≦50°である。ここで回転ローターの回転軸方向とは、回転ローターの回転方向に対して垂直の方向を意味し、またここでいう傾斜角とは図1に記載の様に回転ローターの回転軸方向Cと切断刃の刃先の延長方向Dとの角度θを意味する。この際このθの値が10°未満であれば、切断刃が回転ローターの回転方向に対し垂直の状態に近くなるために、回転ローターに配設される切断刃に対する繊維トウの締め付けによる圧接力が大きくなり、押し切りのみとなって、該切断刃の破損・欠損を引き起こし、繊維トウの不必要な延伸を引き起こしかねないので好ましくない。一方、θの値が70°を越えると、切断刃が回転ローターの回転方向と平行の状態に近くなるために、繊維トウを切断する切断面積が小さくなり、繊維トウのミスカットなどが起こり易くなり安定して繊維トウの切断ができなくなるために好ましくない。
【0022】
本発明において使用する切断刃の素材は特には限定はないが、強度、耐久性などの点から炭素鋼系、合金鋼系、ステンレス鋼系、セラミック鋼系などを使用することが好ましい。
【0023】
本発明の繊維トウの切断方法では切断可能な繊維としては特に限定はないが、有機合成繊維の切断に最適である。ここでいう有機合成繊維とは、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維をはじめとするポリエステル系繊維、ナイロン繊維をはじめとするポリアミド繊維、アクリル繊維、また再生繊維であるレーヨン繊維、半合成繊維であるアセテート繊維などである。またこれらの繊維の繊維形状には限定はなく、単一繊維、或いは二種以上の成分を有した複合繊維であっても構わない。また単繊維繊度は生産工程上0.5〜300dtexが好ましい。また繊維トウの繊度は30万〜100万dtexが好ましい。また切断可能な繊維切断長は3〜20mmが好ましい。
【0024】
【実施例】
本発明を以下実施例を図にてさらに詳しく説明する。
【0025】
二枚の円盤を軸方向に小間隔を開けて連結し形成したローターの、円盤間の外周部に切断刃(6)を切断刃固定金具(4)、(5)によって、該切断刃の刃先(7)が外側になるように、該回転ローターの回転軸中心に対し放射状に固定する。この切断刃固定金具(4)、(5)には切断刃(6)の断面の大きさの穴があいており、その穴に切断刃を挿入することによって固定できる。そして、切断刃の上方の切断刃固定金具(4)を動かすことによって、切断刃を傾斜させ、該回転ローターの回転軸方向に対して角度θを設けることによって、本発明に使用される切断刃の装着が完了する。該切断刃(6)の間隔は切断しようとする所望の繊維トウの切断長の長さに応じて適宜変えればよい。
【0026】
[実施例1]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=30°とし、被切断繊維として、芯成分としてポリプロピレン樹脂、鞘成分としてエチレン−プロピレン共重合体樹脂を配した単繊維繊度2.2dtexの芯鞘型複合繊維(商品名NBF(P)−2:ダイワボウポリテック(株)製)を使用した。また切断刃(5)はステンレス製を使用し、切断刃(5)の配設間隔を5mmとした。
【0027】
該芯鞘型複合繊維を総繊度が56万dtexとなるように繊維トウとなし、切断刃が配設された回転ローターに繊維トウを巻きつけ、回転押さえロールの円周面との間で狭圧によって該繊維トウを切断した。繊維トウは滞りなく切断され、切断面、切断長ともに均一で安定生産ができた。また繊維トウを10t切断した後に切断刃の様子を観察したが、刃毀れなどの刃の損壊場所は見当たらなかった。
【0028】
[実施例2]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=60°とした以外は、実施例1と同様に繊維トウを切断した。実施例1と同様に繊維トウは滞りなく切断され、切断面、切断長ともに均一で安定生産ができ、また繊維トウを10t切断した後に切断刃の様子を観察したが、刃毀れなどの刃の欠損場所は見当たらなかった。
【0029】
[比較例1]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=5°とした以外は、実施例1と同様に繊維トウを切断した。しかしながら、繊維トウを3t切断した時点で数本切断刃が損壊し、それ以上切断を行うことはできなかった。
【0030】
[比較例2]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=0°とした以外は、実施例1と同様に繊維トウを切断した。しかしながら、繊維トウを2.5t切断した時点で数本切断刃が損壊し、それ以上切断を行うことはできなかった。
【0031】
[比較例3]
切断刃(6)の傾斜角θをθ=80°とした以外は、実施例1と同様に繊維トウを切断した。しかしながら、繊維トウのミスカット(切断されていない部分)が目立ち円滑に切断することはできなかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、回転ローターに該切断刃を該回転ローターの回転軸方向に対しての傾斜角をθとするとき10°≦θ≦70°となるように傾けた状態で配設させることにより、繊維トウを切断する際に該切断刃にかかる負荷を低減させることにより切断刃の破損・欠損を少なくし、かつ、円滑に安定して繊維トウを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する回転ローターの断面図である。
【図2】本発明に使用する回転ローターの上面図である。
【符号の説明】
1 上部円盤
2 下部円盤
3 回転ローターの回転軸
4 切断固定金具
5 切断固定金具
6 切断刃
7 切断刃の刃先
A 回転ローターの回転軸中心線
B 回転ローターの回転軸中心線の平行線
C 切断刃の刃先の延長線
θ 切断刃の回転ローター回転軸方向に対する傾斜角
Claims (1)
- 回転ローターに、該回転ローターの中心より放射状に任意の間隔をもって等間隔に切断刃の刃先が外側となるように切断刃を配設し、その該回転ローターの側面に、該回転ローターと対面させた回転する回転押さえロールを配位し、該回転ローターに巻きつけた繊維トウを、該切断刃と該回転押さえロールの円周面との間で狭圧して該繊維トウを切断する繊維トウの切断方法において、該切断刃の該回転ローターの回転軸方向に対する傾斜角をθとするとき、該切断刃を10°≦θ≦70°となるように傾けた状態で配設してなる回転ローターを用いることを特徴とする繊維トウの切断方法。
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---|---|---|---|
JP2003094179A JP2004300611A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 繊維トウの切断方法 |
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003094179A patent/JP2004300611A/ja active Pending
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