JP2004300526A - 金属多孔質焼結体およびフィルター - Google Patents

金属多孔質焼結体およびフィルター Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、煤等の微細な被除去物の捕捉率が高いフィルター等に用いることができる金属多孔質焼結体およびそれを用いたフィルターを提供することである。
【解決手段】本発明者は、細い骨格の3次元網目構造ではなく、連通する空洞状の空間が分散し、その空洞の壁に比較的大径の細孔が形成された金属製の多孔質焼結体構造を採用することにより、煤の捕捉性能等を大きく改善できることを見いだし本発明に到達した。
すなわち本発明は、内部に一部もしくは全部が連通する空洞状の空間が分散しており、該空間を構成する壁面に細孔が形成された金属多孔質焼結体であって、BET表面積が700cm/cm以上、水銀圧入法により測定する壁面の細孔の平均直径が1μm以上であることを特徴とする金属多孔質焼結体である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス中の煤を除去するためのフィルター材、即ち、ディーゼルパテキュラーフィルター(以下DPFと略す。)や焼却炉および火力発電所の燃焼ガス等の集塵機用フィルター等に使用することが出来る金属多孔質焼結体およびそれを用いたフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、DPF用フィルターとしては、耐熱性があるコージェライト(セラミックス)製ハニカムが用いられている。しかし、セラミックスは振動や熱衝撃により破損しやすく、また、低熱伝導のためにフィルターに捕捉された炭素を主成分とする煤が燃焼するときに局所的な加熱(ヒートスポット)が発生し、クラックや溶損が発生し問題となっている。そこで、セラミックスよりも強度があり熱伝導率の高い金属製のDPF用フィルターの提案がなされている。
たとえば、3次元網目構造を持つ金属製ポーラス体をフィルターとして採用することが提案されている(特許文献1参照。)。この提案は、耐クラック、耐溶損性という点で優れたものであり、また、構造的にもハニカムに比べ簡略化できる。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−312017号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した3次元網目構造の金属製ポーラス体は、熱衝撃による耐クラック性や耐溶損の点では有利であるものの、煤の捕捉性能が低いという問題がある。これは、従来の3次元網目構造の金属製ポーラス体は、骨格が細いために表面積が小さい。このために、煤粒子の骨格への衝突の確率が低く、また、骨格表面が滑らかなために、付着した煤が不安定であり、ある程度付着すると骨格から剥離してしまうために、捕捉率が低いと考えられる。この結果、エンジンで発生した煤がフィルターで捕捉されずにそのまま大気中へ放出される割合が高くなる。また、捕捉率を上げるには、フィルターを厚く大きくする必要があり、DPF自体が大きなものになってしまい、車載用としては問題が出てくる。
本発明の目的は、煤等の微細な被除去物の捕捉率が高いフィルター等に用いることができる金属多孔質焼結体およびそれを用いたフィルターを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、細い骨格の3次元網目構造ではなく、連通する空洞状の空間が分散し、その空洞の壁に比較的大径の細孔が形成された金属製の多孔質焼結体構造を採用することにより、煤の捕捉性能等を大きく改善できることを見いだし本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、内部に一部もしくは全部が連通する空洞状の空間が分散しており、該空間を構成する壁面に細孔が形成された金属多孔質焼結体であって、BET表面積が700cm/cm以上、水銀圧入法により測定する壁面の細孔の平均直径が1μm以上であることを特徴とする金属多孔質焼結体である。
好ましくは、空隙率が85%以上から95%以下とする。
また、上記の金属多孔質焼結体はフィルター用途に好適である。
【0007】
【発明の実施の形態】
上述したように、本発明の重要な特徴は空洞状の空間が分散し、その空洞の壁に比較的大径の細孔が形成された金属多孔質焼結体構造を採用したことにある。金属多孔質焼結体をフィルターとして用いた場合、煤等の微小な被除去物がフィルターに吸着する確率を増やすには、焼結体内部をガスが通過する際に、ガス中の被除去物が衝突可能な焼結体部分の面積を増加させることが有効である。本発明では被除去物が衝突し吸着する部分を従来の骨格の細い網目構造ではなく、空洞状の空間を分散させて構成する壁面として比表面積の向上を図る。加えて、空間を構成する壁面に細孔を形成することで壁面の面粗さを増加し、一層高い比表面積を達成することにより、より吸着の確率を増やすのである。以上の特徴を具体的に例えば、BET法による比表面積として評価すると、本発明では従来の3次元網目構造の金属製ポーラス体では困難であった700cm/cm以上の高い比表面積とすることができる。これにより被除去物が吸着する確率を増やし、被除去物の捕捉性能を上げるというものである。BET法による比表面積は900cm/cm以上であることが好ましい。
【0008】
また、壁面に形成させる細孔は比表面積を増加させ、壁面上の凹凸となって被除去物を付着しやすくするだけでなく、壁面に細孔による通気性を確保することで、壁面にろ過の機能を付加する。この際、壁面に形成された細孔の水銀圧入法による平均の細孔径(直径)は、1μm以上である必要がある。1μmより小さい場合は、捕捉率が下がる傾向があるためである。これは、壁面の細孔が小さいとガスが壁面を透過し難くなり、ガスが壁面に沿って流れてしまい、ガス中の被除去物が壁面に捕捉されずに、そのまま連通孔から壁面の外へ流出する割合が増加するためと考えられる。好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。
【0009】
以上に述べた本発明の金属多孔質焼結体内部に形成する空洞状の空間は、その一部もしくは全部が連通している必要がある。
金属多孔質焼結体をフィルターとして用いる場合には、被除去物を含むガス等が焼結体内部を通過する。各空洞が孤立しているとガス等は空洞状の空間を構成する壁面を透過しなければない。本発明では、壁面には細孔が存在するので通気性はあるが、ガスの経路が細孔のみではフィルター通過時のガスの圧損が高くなりすぎる場合がある。特にDPF等のフィルターとして使用するには煤等の被除去物の捕捉量の増加に伴い、細孔の目詰まりによる急激な圧損の上昇がおこる。従って、空洞状の空間は、その一部もしくは全部が連通していることが必要である。なお、連通している空間の開口寸法が大きな程、また、連通の頻度が高い程圧損は低減する。
以上の条件を満足することにより、多孔質体の各空洞状の空間は、被除去物のトラップとして機能する。
【0010】
本発明では、焼結体使用時の振動や熱衝撃による破損や、特にDPF用フィルターとして用いた際における煤の燃焼時のヒートスポットによるクラックや溶損を防止するために、セラミックスに比べ振動や衝撃に強く、高熱伝導であるために熱がこもり難い金属の焼結体を使用する。この際、フィルターは排気ガスにより加熱され、DPFの方式によってはフィルターの再生のために煤の発火温度である600℃以上の高温に加熱される場合もあり、高温での耐食性が要求されるため、使用条件にあった材質の選定が必要である。
【0011】
本発明の金属多孔質焼結体では、空隙率は85%以上95%以下であることが好ましい。
空洞状の空間とその壁面により構成する本発明の金属多孔質焼結体では、空隙率が85%よりも低い場合は、空洞間の連通が不足するため、フィルターとして用いた場合には圧損が高くなる。一方、95%より高くなると壁面が少なくなり、金属多孔質焼結体の強度が不足すると共に、フィルターとして用いた場合の被除去物の捕捉性能が落ちて本素材の特徴が失われる。
【0012】
また、厚さ10mmの本発明の金属多孔質焼結体において、23℃における流量5m/sで大気を流した場合の圧損は、1kPa以上10kPa以下であることが好ましい。
金属多孔質焼結体の空洞の連通度は、マクロ的には上記の圧損として評価できる。1kPa未満では連通度が高すぎるためフィルターとして用いた際に、被除去物と壁面との衝突の頻度が低くなり、補足率が低下する。一方、10kPaより高くなると、空洞の連通度が低いために、フィルターとして用いた場合に、早い時期から被除去物による目詰まりが発生し、圧損の上昇が高いために、例えば、DPF用フィルターとして使った場合、エンジンの出力低下の原因になる。
【0013】
上述した本発明に適用する金属多孔質焼結体の製造方法としては、例えば以下の方法が適用できる。
まず、金属粉末を準備する。金属多孔質焼結体をDPF用フィルターとして用いる場合には、フィルターを600℃以上の高温で加熱再生する方式のフィルター用途にも対応させるため、Cr:16wt%以上含有するステンレス鋼や高温でアルミナ皮膜を生成するAl:1〜10wt%、Cr:5〜30wt%を含有する耐熱鋼等の金属粉末が有効である。その粒径としては、平均粒径200μm以下が好ましい。この金属粉末に樹脂粒、バインダを混合する。樹脂粒は焼結体に空洞を造ることを目的として混合するが、その平均粒径は0.1mm〜10mmが好ましい。樹脂粒は焼結時に気化させるか、または金属粉末を成形体とした後、焼結前に溶剤を用いて溶解、除去を行う。焼結時における樹脂粒の溶融や気化に伴う焼結体の変形や崩壊が問題となる場合には、後者の溶解による除去が好ましい。
【0014】
また、後者の樹脂粒を溶解除去する方法は、厚さ10mm以上の多孔質焼結体の安定した製造が可能であり、厚さに対する自由度が増し、有効な製法である。また、プロセス的にも、溶剤と樹脂の組み合わせによっては、処理後の溶剤は蒸留により、樹脂、溶剤ともにリサイクルできるという利点もある。
バインダとしては樹脂を用いることもできるが、溶剤で樹脂粒を除去するという方法を適用する場合は、溶剤に溶け合わない例えばメチルセルロースと水を主成分とするバインダを使用することが有効である。
【0015】
ついで成形体を作製する。成形の際は、樹脂粒が粉砕しない程度の圧力をかけることにより、樹脂粒どうしの接触面積を上げることが好ましい。これにより、できあがった多孔質体における空間の連通部分の開口寸法は大きくなり、連通の頻度も高くなる。この後、成形体を加熱脱脂、焼結する。水をバインダに入れる場合は、成形後に乾燥工程を入れることが好ましく、樹脂粒を溶剤で除去する場合は、加熱脱脂の前に、溶剤抽出、乾燥の工程を付与することが好ましい。
【0016】
以上に述べた空洞の壁面に比較的大径の細孔を有しかつ比表面積の大きい本発明の金属多孔質焼結体は、比表面積が大きく、通気性があることことからフィルターとしての用途の他、触媒担体に用いることができる。また、空洞や壁面の細孔には、毛細管現象により液体を吸収、保持したり、水蒸気等の蒸気を毛管凝縮する特徴があることから、直接メタノール型燃料電池の燃料をタンクから燃料電極へ輸送するための吸収体や、ガス中の水蒸気の分離部材の用途にも適する。
【0017】
【実施例】
(試験片の作製)
平均粒径60μmのSUS316L水アトマイズ粉末、市販のメチルセルロース、および樹脂粒として不定形の平均粒径2.5mmのパラフィンワックス粒を混合し、水、可塑剤を加えて混合・混練し混練体を作製した。なお、樹脂粒の混合量としては、金属粉末と樹脂粒を合わせた体積を100%とした場合、樹脂粒の体積率が90%になるように設定した。
【0018】
その後、プレス機により混練体を0.7MPaの圧力でプレス成形して円盤を作製し、50℃で乾燥した。次に成形体から溶剤にて成形体中のパラフィンワックス粒を抽出し、90℃で乾燥を行った。続いて窒素中において600℃で加熱脱脂後、1200℃の真空中で焼結することにより、厚さがそれぞれ7mmと10mm、直径がいずれもφ144mmの2種類の円盤状の試験片を作製した。以下、厚さ7mmの試験片を本発明例1、厚さ10mmの試験片を本発明例2とする。
【0019】
本発明例1、2の場合と同じ条件で作製した混練体をローラーで延ばして成形し、その成形体を再び本発明例1、2と同じ工程で処理し、厚さ10mmで直径φ144mmの円盤状の試験片を作製した。以下、この試験片を本発明例3とする。
また、比較例として導電処理されたウレタンフォームをベースにメッキ法により、Ni−Cr合金の3次元網目構造を持つ金属製ポーラス体の試験片を作製した。これを厚さ10mmで直径φ144mmの円盤状に加工した。
【0020】
(断面形態の比較)
本発明例1、3及び比較例の断面形態の一例である走査電子顕微鏡写真(SEM写真)および光学顕微鏡写真をそれぞれ図1〜3に示す。SEM写真は、試験片を2つに割った破断面を観察したものであり、断面組織写真(光学顕微鏡写真)は、樹脂に埋めた試験片を研磨することにより、試験片の断面を観察したものである。
本発明例1では、隣接する空洞に連通孔があいていることがわかる。また、壁面は金属粉末を焼結した構造となっており、凹凸および細孔が見られる。なお、本発明例2でも同様の形態が確認できた。
本発明例3でも、本発明例1と比べると空洞の連通の度合が小さいものの隣接する空洞に連通孔があいていることがわかる。また、壁面は本発明例1と同様に金属粉末を焼結した構造となっており、凹凸および細孔が見られる。
これらの本発明例に対し、比較例では骨格は細く、中空で、表面は滑らかで細孔は存在していない。
【0021】
(表面積等の比較)
本発明例1〜3及び比較例における単位体積あたりの表面積(BET表面積)、細孔径(平均直径)、空隙率、大気を透過させた際の圧損を測定した。単位体積あたりの表面積はBET法、細孔径の平均直径は水銀圧入法、圧損は23℃での流量5m/sの大気を透過た際の差圧により測定した。
なお、表面が平滑である比較例については細孔径の測定は行っていない。また、BET比表面積については、本発明例では壁面を構成する焼結体部分、比較例では骨格部分の1g当たりの比表面積を計測し、空隙率を使って多孔質体1cm当たりの比表面積に換算したものである。さらに、比較例については、骨格部が中空であるので、断面組織の画像処理のデータを使って、フィルター性能に寄与しない中空部の表面積を差し引いて補正した値を示している。結果を表1に示す。
【0022】
本発明例は、比較例と比べて空隙率は同程度であるが、比表面積は本発明の方が2倍近く大きいことがわかる。また、先に示した断面形態と表1の結果とから、本発明例では空洞部の連通の度合が高いほど、多孔質体の厚さが薄いほど、圧損が低くなることがわかる。
また、比較例の圧損は本発明例に比べて非常に低いことがわかる。これは、比較例の構造が滑らかな細い骨格による網目構造のため、本発明例の上記の構造に比べ、多孔質体の透過するガス流に対する抵抗が小さいためと考えられる。
【0023】
【表1】
Figure 2004300526
【0024】
(フィルター特性の評価)
本発明例1〜3および比較例をフィルターとして用いて、炭素微粒子の投入量と圧力損失の関係および炭素微粒子の捕捉率について評価をおこなった。
【0025】
−評価法−
まず、試験片をあらかじめ130℃で2時間乾燥後、秤量する。ついで、図4に示すようにホルダー1内に試験片2をシール材3を介してセットし、流量が5m/sで一定になるように片側から吸引し、もう片側から平均粒径0.042μmの炭素微粒子を0.1g/minの割合で投入して、投入量に対する試験片での圧損の変化を調査した。この時の試験片の通風部は試験片中央部のφ139.5とした。圧損は、試験片の前後の差圧より求めた。なお、試験は気温が23℃に保持された部屋でおこなった。
【0026】
試験は流量を5m/sで一定に制御ができなくなった時点で終了し、ホルダーより試験片を取り出す。その後、130℃で2時間乾燥後秤量し、試験片の増加量から炭素微粒子の捕捉量を求め、その捕捉量を試験中の炭素微粒子の全投入量で割った値をその試験片の捕捉率とした。また、試験片への炭素微粒子の付着状態についても調査した。
【0027】
−評価結果−
炭素微粒子の投入量と圧損の関係を図5に、各試験片の試験終了後に測定した捕捉率を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 2004300526
【0029】
厚さが同じ10mmの(本発明例2)と(本発明例3)の試験片を比較した場合、圧損は空洞の貫通の度合が高い(本発明例2)の方が低く、捕捉率は空洞の貫通の度合が低い(本発明例3)の方が高いことがわかる。
また、厚さ7mmの(本発明例1)と10mmの(本発明例2)の試験片を比較した場合、圧損は厚さの薄い(本発明例1)の方が低く、捕捉率は厚さの厚い(本発明例2)の方が高いことがわかる。
さらに、厚さ7mmの(本発明例1)を図4に示すように3mmの隙間を設けて3枚重ねた場合には、圧損は(本発明例3)よりも低いが、捕捉率は95.2%と(本発明例3)と同等な高い値を示すことがわかる。
【0030】
以上より、空洞の連通の度合い、金属多孔質焼結体の厚さ、および重ねる枚数により圧損および捕捉率の制御が可能であることがわかる。
【0031】
一方(比較例)は、(本発明例1)〜(本発明例3)に比べ圧損は低く、また、炭素微粒子の投入量に対しても圧損の上昇は見られないものの、捕捉率は2.7%と非常に低いことがわかる。(本発明例)と同等レベルに捕捉率を上げるためには、かなりの厚さにする必要があることが推測される。従って、高捕捉率が要求されるフィルターとして使う場合には、非常に容積が大きなものとなってしまう。
【0032】
試験後の厚さ7mmの(本発明例1)の試験片を割った破断面の炭素微粒子投入側の面(表面)付近、および、裏面付近のSEM写真を図6に、炭素微粒子が堆積している壁面の破断部(壁面の断面)を拡大したSEM写真を図7に示す。また、試験後の(比較例)を表面および裏面から内部の骨格への炭素微粒子の付着状態を観察した光学顕微鏡写真を図8に示す。
(本発明例1)は、図6から炭素微粒子の投入側から反対側にかけて、炭素微粒子の流れに対向する各空洞の壁面に炭素微粒子が溜まっていることが確認できた。また、図7において白く見える微粒子が炭素微粒子であるが、これから(本発明例1)では炭素微粒子が連通する空洞状の空間を構成する壁面に堆積しているのと同時に、細孔内にも堆積していることが確認できた。
一方、(比較例)は、図8から細長い滑らかな骨格の炭素微粒子投入側の面に付着していることがわる。また、投入側の面でも付着していない部分があることがわかる。
【0033】
以上のことから、本発明では、金属多孔質焼結体内部の各空洞がトラップとして機能しており、さらに空洞の細孔を持つ壁面がフィルターとして被除去物の捕捉に大きく寄与していることがわかる。また、捕捉後の被除去物は、壁面が十分な面積をもち、焼結構造による大きな凹凸があるために、比較例に比べ、安定して付着していることがわかる。
一方、比較例は、黒鉛微粒子が衝突して付着できる面が細く狭いために付着量がすぐに飽和してしまうと考えられる。また、骨格表面が滑らかでなためにある程度付着すると剥がれ落ちてしまうことが考えられる。このために、炭素微粒子の投入量に関係なく圧損が低い値で一定であり、捕捉率が低いと考えられる。
【0034】
【発明の効果】
本発明により、煤等の微細な被除去物の捕捉率が高いフィルター等に用いることができる金属多孔質焼結体を提供することができる。また、比較的大径の細孔を有しかつ比表面積の大きい本発明の金属多孔質焼結体は、フィルターとしての用途の他、比表面積が大きく、通気性があることことから触媒担体に用いることができる。さらに、空洞や壁面の細孔には、毛細管現象により液体を吸収、保持したり、水蒸気等の蒸気を毛管凝縮する特徴があることから、液体の吸収体や保持体、ガス中の水蒸気の分離用部材の用途にも適することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例1の断面形態を示す走査電子顕微鏡写真(SEM写真)、及び光学顕微鏡写真である。
【図2】本発明例3の断面形態を示す走査電子顕微鏡写真(SEM写真)、及び光学顕微鏡写真である。
【図3】比較例の断面形態を示す走査電子顕微鏡写真(SEM写真)、及び光学顕微鏡写真である。
【図4】フィルター特性の評価手法(試験片をセットした状態)を示す模式図である。
【図5】炭素微粒子の投入量と圧損の関係および捕捉率を示す図である。
【図6】捕捉率評価試験後の(本発明例1)試験片への炭素微粒子の付着状況を示す走査電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
【図7】(本発明例1)試験片の壁面部への炭素微粒子の付着状況を示す走査電子顕微鏡写真(SEM写真)である。
【図8】捕捉率評価試験後の(比較例)試験片への炭素微粒子の付着状況を示す光学顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1.ホルダー 2.試験片 3.シール材

Claims (3)

  1. 内部に一部もしくは全部が連通する空洞状の空間が分散しており、該空間を構成する壁面に細孔が形成された金属多孔質焼結体であって、BET表面積が700cm/cm以上、水銀圧入法により測定する壁面の細孔の平均直径が1μm以上であることを特徴とする金属多孔質焼結体。
  2. 空隙率が85%以上から95%以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質焼結体。
  3. 請求項1または2に記載の金属多孔質焼結体を用いてなるフィルター。
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