JP2020062594A - 炭化ケイ素多孔質体を用いた粒子状物質捕集用フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関、特にガソリン直噴エンジンやディーゼルエンジンの排気微粒子を効率良く除去できる粒子状物質捕集用フィルタを提供すること。【解決手段】スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む、粒子状物質捕集用フィルタであって、前記炭化ケイ素多孔質体が、(1)65〜95%の空孔率、及び(2)0.09〜0.64mmの空孔径、を有し、かつ、(3)粒子状物質捕集用フィルタに含まれる前記炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが、25〜100mm、であることを特徴とする、粒子状物質捕集用フィルタを提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、粒子状物質捕集用フィルタ、例えば、排ガス浄化フィルタ又はGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルタ)に関する。
地球環境保護や資源節約の観点から自動車の燃費低減が求められている。特に乗用車では、燃費効率が良いガソリン直噴エンジンやディーゼルエンジンの使用が増えてきている。従来、ガソリンエンジンは、吸気ポート燃焼噴射の方式を採用していたため、燃料が不完全燃焼されること等により生成する煤や、燃料や潤滑油に含まれる鉱物が酸化されること等により生成する灰(アッシュ)等の粒子状物質(PM:Particulate Matter)があまり発生しなかった。しかし、最近新たに開発されたガソリン直噴エンジンは、これら煤や灰(アッシュ)等の粒子状物質(PM)が発生する問題がある。欧州ではガソリン直噴エンジン車に対する粒子個数の排出規制が2014年9月に始まり、2017年9月に規制強化されていて、粒子状物質(PM)を効率よく排除する新たな方策が求められている。
一方、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質を除去するための捕集フィルタとして、ハニカム構造体が用いられている。このようなハニカム構造体として、例えば、両端面の所定の位置に目封止部を備えたウォールフロー型フィルタが提案されている。ディーセル乗用車では、炭化ケイ素(SiC)を使用したハニカム状のディーゼル・パーティキュレート・フィルタ(DPF)でPMを捕集する技術がしばしば用いられる。捕集されたPMは、定期的に強制燃焼され、二酸化炭素として放出してDPFが再生される。しかしながら、一部の煤や煤より細かい灰(アッシュ)等のPMの一部がハニカム内部に堆積し、フィルタの目詰まりを起こすことがあった。
ハニカム内部に堆積した灰(アッシュ)は堆積しても圧力損失(圧損)上昇が少ない大きさになっているものの、特に排ガス流量の多いガソリン直噴エンジンではハニカム型フィルタ内部への堆積が問題になっていた。煤は燃焼することによって除去することができるが、灰は除去することができず、フィルタを目詰まりさせ、圧力損失が増大してしまうためである。さらに、DPFとは異なり、より簡易的でコンパクトなPM除去フィルタが求められるGPF、特にガソリン直噴エンジン用のGPFにおいては、新たなPM除去手段の要求が高かった。
一方、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質を除去するための捕集フィルタとして、ハニカム構造体が用いられている。このようなハニカム構造体として、例えば、両端面の所定の位置に目封止部を備えたウォールフロー型フィルタが提案されている。ディーセル乗用車では、炭化ケイ素(SiC)を使用したハニカム状のディーゼル・パーティキュレート・フィルタ(DPF)でPMを捕集する技術がしばしば用いられる。捕集されたPMは、定期的に強制燃焼され、二酸化炭素として放出してDPFが再生される。しかしながら、一部の煤や煤より細かい灰(アッシュ)等のPMの一部がハニカム内部に堆積し、フィルタの目詰まりを起こすことがあった。
ハニカム内部に堆積した灰(アッシュ)は堆積しても圧力損失(圧損)上昇が少ない大きさになっているものの、特に排ガス流量の多いガソリン直噴エンジンではハニカム型フィルタ内部への堆積が問題になっていた。煤は燃焼することによって除去することができるが、灰は除去することができず、フィルタを目詰まりさせ、圧力損失が増大してしまうためである。さらに、DPFとは異なり、より簡易的でコンパクトなPM除去フィルタが求められるGPF、特にガソリン直噴エンジン用のGPFにおいては、新たなPM除去手段の要求が高かった。
実際、特許文献1に記載されているハニカム構造体、特許文献2に記載されているハニカムフィルタでは、アッシュ成分がフィルタの内部に堆積する。これらのフィルタ等において、煤は燃焼することによって除去することができるが、灰は除去する事ができず、フィルタを目詰まりさせ、圧力損失が増大してしまう問題があった。特許文献3に記載されている排気ガス浄化装置では、粒子状物質を帯電させるための放電装置が必要であった。特許文献4に記載されている熱処理では、排ガスの温度以上に温度を上げる必要があり燃費効率が悪くなるという問題や、筐体の耐熱性(1000℃)が問題であった。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、炭化ケイ素スポンジの気孔径、空孔率、厚さの要素を組み合わせる事により、上記目的を達成できる粒子状物質捕集用フィルタを提供できることを見出した。具体的に、本発明は以下の通りであり得る。
〔1〕
スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む、粒子状物質捕集用フィルタであって、前記炭化ケイ素多孔質体が、
(1)65〜95%の空孔率、及び
(2)0.09〜0.64mmの空孔径、
を有し、かつ、
(3)粒子状物質捕集用フィルタに含まれる前記炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが、25〜100mm、
であることを特徴とする、粒子状物質捕集用フィルタ。
〔2〕
前記(1)空孔率が、75〜85%である、前記〔1〕に記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔3〕
前記(2)空孔径が、0.23〜0.34mmである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔4〕
前記粒子状物質捕集用フィルタが、複数の前記炭化ケイ素多孔質体の積層体として含み、各炭化ケイ素多孔質体の厚さが5〜10mmである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔5〕
前記粒子状物質捕集用フィルタが、複数の前記炭化ケイ素多孔質体の積層体として含み、前記粒子状物質捕集用フィルタの上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体が、下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体よりも大きな空孔径を有する、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔6〕
[前記上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]:[前記下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]の比が、1.1:1〜4:1である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔7〕
前記粒子状物質が、内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔8〕
前記内燃機関が、ガソリン直噴エンジンである、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集方法。
〔9〕
前記スポンジ状多孔質構造が、スポンジ状多孔質基材を、溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂を含むスラリーに、前記スポンジ状多孔質の空孔が塞がれないように含浸させて、スポンジ状多孔質基材の含浸体を得る工程、前記スポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、乾燥多孔質含浸体を得る工程、前記乾燥多孔質含浸体を不活性ガス雰囲気下で焼成して多孔質炭化体を得る工程、及び、前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程、によって形成されたものである、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔10〕
前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタの製造方法であって、前記スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体が、
(a)スポンジ状多孔質基材を、溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂を含むスラリーに、前記スポンジ状多孔質の空孔が塞がれないように含浸させて、スポンジ状多孔質基材の含浸体を得る工程、
(b)前記スポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、乾燥多孔質含浸体を得る工程、
(c)前記乾燥多孔質含浸体を不活性ガス雰囲気下で焼成して多孔質炭化体を得る工程、及び、
(d)前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程、
を含む工程によって製造される、粒子状物質捕集用フィルタの製造方法。
〔11〕
前記(d)工程が、前記多孔質炭化体の表面にシリコン粒子を配置し、該シリコン粒子を溶融して得た溶融シリコンに前記多孔質炭化体を含浸し、前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程である、前記〔10〕に記載の粒子状物質捕集用フィルタの製造方法。
〔12〕
前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタに内燃機関からの排ガスを通過させ、前記排ガスに含まれる粒子状物質を捕集する工程を含む、粒子状物質捕集方法。
〔13〕
前記粒子状物質捕集用フィルタの断面流速が、平均粒径60nmの炭素粒子を使用して測定した場合、1〜100cm/sである、前記〔12〕に記載の粒子状物質捕集方法。
〔14〕
前記内燃機関が、ガソリン直噴エンジンである、前記〔12〕又は〔13〕に記載の粒子状物質捕集方法。
〔1〕
スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む、粒子状物質捕集用フィルタであって、前記炭化ケイ素多孔質体が、
(1)65〜95%の空孔率、及び
(2)0.09〜0.64mmの空孔径、
を有し、かつ、
(3)粒子状物質捕集用フィルタに含まれる前記炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが、25〜100mm、
であることを特徴とする、粒子状物質捕集用フィルタ。
〔2〕
前記(1)空孔率が、75〜85%である、前記〔1〕に記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔3〕
前記(2)空孔径が、0.23〜0.34mmである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔4〕
前記粒子状物質捕集用フィルタが、複数の前記炭化ケイ素多孔質体の積層体として含み、各炭化ケイ素多孔質体の厚さが5〜10mmである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔5〕
前記粒子状物質捕集用フィルタが、複数の前記炭化ケイ素多孔質体の積層体として含み、前記粒子状物質捕集用フィルタの上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体が、下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体よりも大きな空孔径を有する、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔6〕
[前記上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]:[前記下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]の比が、1.1:1〜4:1である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔7〕
前記粒子状物質が、内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔8〕
前記内燃機関が、ガソリン直噴エンジンである、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集方法。
〔9〕
前記スポンジ状多孔質構造が、スポンジ状多孔質基材を、溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂を含むスラリーに、前記スポンジ状多孔質の空孔が塞がれないように含浸させて、スポンジ状多孔質基材の含浸体を得る工程、前記スポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、乾燥多孔質含浸体を得る工程、前記乾燥多孔質含浸体を不活性ガス雰囲気下で焼成して多孔質炭化体を得る工程、及び、前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程、によって形成されたものである、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
〔10〕
前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタの製造方法であって、前記スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体が、
(a)スポンジ状多孔質基材を、溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂を含むスラリーに、前記スポンジ状多孔質の空孔が塞がれないように含浸させて、スポンジ状多孔質基材の含浸体を得る工程、
(b)前記スポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、乾燥多孔質含浸体を得る工程、
(c)前記乾燥多孔質含浸体を不活性ガス雰囲気下で焼成して多孔質炭化体を得る工程、及び、
(d)前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程、
を含む工程によって製造される、粒子状物質捕集用フィルタの製造方法。
〔11〕
前記(d)工程が、前記多孔質炭化体の表面にシリコン粒子を配置し、該シリコン粒子を溶融して得た溶融シリコンに前記多孔質炭化体を含浸し、前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程である、前記〔10〕に記載の粒子状物質捕集用フィルタの製造方法。
〔12〕
前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタに内燃機関からの排ガスを通過させ、前記排ガスに含まれる粒子状物質を捕集する工程を含む、粒子状物質捕集方法。
〔13〕
前記粒子状物質捕集用フィルタの断面流速が、平均粒径60nmの炭素粒子を使用して測定した場合、1〜100cm/sである、前記〔12〕に記載の粒子状物質捕集方法。
〔14〕
前記内燃機関が、ガソリン直噴エンジンである、前記〔12〕又は〔13〕に記載の粒子状物質捕集方法。
本発明によれば、内燃機関、特にガソリン直噴エンジンやディーゼルエンジンの排気微粒子(PM)を効率良く捕集し、除去できる。具体的には、内燃機関の排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)のうち、煤(カーボン)成分は、本発明のフィルタに捕集し、定期的に本発明のフィルタを再生することによって(排ガスの温度を利用し、酸素を導入して強制的に燃焼して二酸化炭素として放出)、低圧損を実現しつつ高効率で捕集することができる。灰(アッシュ)成分(燃料や潤滑油に含まれる鉱物が酸化されること等により生成する灰)は、本発明のフィルタを通過させて、堆積、目詰まりすることによる圧損上昇を回避し、フィルタの長寿命化、コンパクト化を図ることができる。
[粒子状物質捕集用フィルタ]
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む、粒子状物質捕集用フィルタであって、前記炭化ケイ素多孔質体が、(1)65〜95%の空孔率、及び(2)0.09〜0.64mmの空孔径、を有し、かつ、(3)粒子状物質捕集用フィルタに含まれる前記炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが、25〜100mm、であることを特徴とする、粒子状物質捕集用フィルタである。以下、詳細に説明する。
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む、粒子状物質捕集用フィルタであって、前記炭化ケイ素多孔質体が、(1)65〜95%の空孔率、及び(2)0.09〜0.64mmの空孔径、を有し、かつ、(3)粒子状物質捕集用フィルタに含まれる前記炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが、25〜100mm、であることを特徴とする、粒子状物質捕集用フィルタである。以下、詳細に説明する。
<粒子状物質捕集用フィルタ>
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む。
ここで、粒子状物質とは、PM(Particulate Matter)ともよばれ、煤(カーボン)が主成分、エンジンオイル由来の灰(アッシュ)成分が極微量含まれている。平成25年12月16日付独立行政法人国立環境研究所の研究発表では、国産直噴ガソリン車からの排出粒子を粒径別に分析した結果、粒子中の有機炭素(炭化水素)や元素に対して、エンジンオイルの寄与は10〜30%程度であり、大半はガソリン等の燃料(未燃または燃焼生成物・熱分解物)起源と推定される。よって、粒子の主成分である元素状炭素に対してもガソリン等の燃料の寄与が大きいと推測されている。
ディーゼルエンジンから排出する粒子状物質の平均粒径は、例えば、0.001〜100μm程度、通常は0.005〜50μm程度であり、煤(カーボン)成分の平均粒径は、一次粒子は、0.05〜1.0μm程度、凝集して二次粒子形成して、0.5〜20μm程度であり、当該二次粒子が回収除去の主対象である。灰(アッシュ)成分の平均粒径は、例えば 0.5〜1.0μm程度、通常はカーボン粒子と混在して同じ粒度1〜20μm程度である。
ガソリン直噴エンジンから排出する回収の主対象の粒子状物質の平均粒径は、0.01〜0.2μm程度である。ディーゼルと比べて粒子径が小さいので、総量は少ないが、粒子数は、ディーゼルに匹敵するくらい多い。例えば、平成25年12月16日付独立行政法人国立環境研究所の研究発表では、国産基準の直噴ガソリンエンジンから排出されるPM粒子数は、1×1012個程度、欧州基準の直噴ガソリンエンジンから排出されるPM粒子数は、6×1012個程度である。
なお、特に断りがない限り、本明細書中で平均粒径とは、粒子直径の平均値(平均粒子径)とも言い、レーザ回折散乱法で測定した平均粒径を言う。例えば、図12のような粒度分布の場合、平均粒径は60μmとなる。粒子状物質は、通常は固体塊状物質であり、中でも平均粒径が0.1μm以下のものはマイクロPMと呼ばれる。
ディーゼルエンジンの場合、粒子状物質はフィルタによって捕集、排ガス温度を強制的に煤が燃焼する温度まで上げて、フィルタを再生している。灰(アッシュ)成分は、燃焼しないので、そのままフィルタ内に堆積している。フィルタにアッシュが堆積すると、圧損が上昇、燃費効率が悪くなる。ガソリン直噴エンジンは排ガス流量が多く、ディーゼル車と同じシステムを採用するのは難しい。ガソリン直噴エンジンの粒子状物質は、エンジン性能、コンピュータ制御技術で、燃料を完全燃焼させて、発生量を軽減しているが、まだ、十分に除去できていない。
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む。
ここで、粒子状物質とは、PM(Particulate Matter)ともよばれ、煤(カーボン)が主成分、エンジンオイル由来の灰(アッシュ)成分が極微量含まれている。平成25年12月16日付独立行政法人国立環境研究所の研究発表では、国産直噴ガソリン車からの排出粒子を粒径別に分析した結果、粒子中の有機炭素(炭化水素)や元素に対して、エンジンオイルの寄与は10〜30%程度であり、大半はガソリン等の燃料(未燃または燃焼生成物・熱分解物)起源と推定される。よって、粒子の主成分である元素状炭素に対してもガソリン等の燃料の寄与が大きいと推測されている。
ディーゼルエンジンから排出する粒子状物質の平均粒径は、例えば、0.001〜100μm程度、通常は0.005〜50μm程度であり、煤(カーボン)成分の平均粒径は、一次粒子は、0.05〜1.0μm程度、凝集して二次粒子形成して、0.5〜20μm程度であり、当該二次粒子が回収除去の主対象である。灰(アッシュ)成分の平均粒径は、例えば 0.5〜1.0μm程度、通常はカーボン粒子と混在して同じ粒度1〜20μm程度である。
ガソリン直噴エンジンから排出する回収の主対象の粒子状物質の平均粒径は、0.01〜0.2μm程度である。ディーゼルと比べて粒子径が小さいので、総量は少ないが、粒子数は、ディーゼルに匹敵するくらい多い。例えば、平成25年12月16日付独立行政法人国立環境研究所の研究発表では、国産基準の直噴ガソリンエンジンから排出されるPM粒子数は、1×1012個程度、欧州基準の直噴ガソリンエンジンから排出されるPM粒子数は、6×1012個程度である。
なお、特に断りがない限り、本明細書中で平均粒径とは、粒子直径の平均値(平均粒子径)とも言い、レーザ回折散乱法で測定した平均粒径を言う。例えば、図12のような粒度分布の場合、平均粒径は60μmとなる。粒子状物質は、通常は固体塊状物質であり、中でも平均粒径が0.1μm以下のものはマイクロPMと呼ばれる。
ディーゼルエンジンの場合、粒子状物質はフィルタによって捕集、排ガス温度を強制的に煤が燃焼する温度まで上げて、フィルタを再生している。灰(アッシュ)成分は、燃焼しないので、そのままフィルタ内に堆積している。フィルタにアッシュが堆積すると、圧損が上昇、燃費効率が悪くなる。ガソリン直噴エンジンは排ガス流量が多く、ディーゼル車と同じシステムを採用するのは難しい。ガソリン直噴エンジンの粒子状物質は、エンジン性能、コンピュータ制御技術で、燃料を完全燃焼させて、発生量を軽減しているが、まだ、十分に除去できていない。
<スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体>
スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体は、スポンジ状多孔質基材をスラリーに含浸させ、得られたスポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、さらに焼成・焼結することによって得られる多孔質体である。炭化ケイ素は耐熱衝撃性が強く、高温かつ振動に晒される内燃機関用の粒子状物質捕集用フィルタとして適している。
炭化ケイ素多孔質体は、スポンジ状多孔質基材の構造に由来するスポンジ状構造、すなわちスポンジ状の多孔質構造を有している。ここで、スポンジ状多孔質基材は、ゴム、ポリウレタン及びポリエチレン等の樹脂、段ボール等の紙、ポリウレタンスポンジフォーム等から任意に選択できる。スポンジ状多孔質基材の空孔率、空孔径及び、見かけ密度は、本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の空孔率、空孔径及び、見かけ密度とほぼ一致するが、例えば、空孔率は、65〜95%、好ましくは70〜90%、より好ましくは75〜85%であることが適当である。スポンジ状多孔質基材の空孔径は、例えば、0.009〜0.64mm、好ましくは0.15〜0.5mm、より好ましくは0.23〜0.34mmであることが適当である。スポンジ状多孔質基材の見かけ密度(空孔部分を含めた密度)は、例えば、0.01〜10/cm3、好ましくは0.05〜5/cm3、より好ましくは0.1〜1/cm3、さらに好ましくは0.05〜5/cm3であることが適当である。空孔率、及び空孔径の定義は以下で説明するものと同一である。
スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体は、スポンジ状多孔質基材をスラリーに含浸させ、得られたスポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、さらに焼成・焼結することによって得られる多孔質体である。炭化ケイ素は耐熱衝撃性が強く、高温かつ振動に晒される内燃機関用の粒子状物質捕集用フィルタとして適している。
炭化ケイ素多孔質体は、スポンジ状多孔質基材の構造に由来するスポンジ状構造、すなわちスポンジ状の多孔質構造を有している。ここで、スポンジ状多孔質基材は、ゴム、ポリウレタン及びポリエチレン等の樹脂、段ボール等の紙、ポリウレタンスポンジフォーム等から任意に選択できる。スポンジ状多孔質基材の空孔率、空孔径及び、見かけ密度は、本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の空孔率、空孔径及び、見かけ密度とほぼ一致するが、例えば、空孔率は、65〜95%、好ましくは70〜90%、より好ましくは75〜85%であることが適当である。スポンジ状多孔質基材の空孔径は、例えば、0.009〜0.64mm、好ましくは0.15〜0.5mm、より好ましくは0.23〜0.34mmであることが適当である。スポンジ状多孔質基材の見かけ密度(空孔部分を含めた密度)は、例えば、0.01〜10/cm3、好ましくは0.05〜5/cm3、より好ましくは0.1〜1/cm3、さらに好ましくは0.05〜5/cm3であることが適当である。空孔率、及び空孔径の定義は以下で説明するものと同一である。
スラリーとしては、溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂を含むスラリーを用いることができる。
スラリーを構成するための溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、水などを使用することができる。
シリコンとしては、シリコン(Si)を含む限り、シリコン粉末、炭化ケイ素粉末、及びこれらの混合物等を使用することができる。シリコン粉末としては、シリコン金属の純度が高い(例えば、99%以上、好ましくは100%)シリコン金属粉末を使用することができる。上記粉末の平均粒径は、例えば0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度、より好ましくは5〜10μm程度である。
スラリーを構成するための溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、水などを使用することができる。
シリコンとしては、シリコン(Si)を含む限り、シリコン粉末、炭化ケイ素粉末、及びこれらの混合物等を使用することができる。シリコン粉末としては、シリコン金属の純度が高い(例えば、99%以上、好ましくは100%)シリコン金属粉末を使用することができる。上記粉末の平均粒径は、例えば0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度、より好ましくは5〜10μm程度である。
樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
上記スラリーに含まれる成分の他に、他の添加成分、例えば、窒化ケイ素、炭化ホウ素、ジルコニア、アルミナ、ホウ素、炭素、黒鉛、カーボンブラック等を添加してもよい。さらに、他の金属類、例えば、4A、5A、6A、7A、8、1B、及び2B族の元素、好ましくは、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛等を添加してもよい。
スラリー中の溶媒は、スラリー全体を100質量%とした場合、例えば、50〜55質量%、好ましくは40〜50質量%、より好ましくは35〜40質量%含まれ得る。スラリー中のシリコン(シリコン粉末、炭化ケイ素粉末、及びこれらの混合物等を含む意味)は、スラリー全体を100質量%とした場合、例えば、40〜45質量%、好ましくは45〜50質量%、より好ましくは51〜60質量%含まれ得る。スラリー中の樹脂は、例えば、7.0〜7.9質量%、好ましくは8.0〜9.7質量%、より好ましくは9.8〜12質量%含まれ得る。溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂以外の、他の添加成分及び他の金属類は、スラリー全体を100質量%とした場合、例えば、0〜0.3質量%、好ましくは0〜0.05質量%、より好ましくは0〜0.01質量%含まれ得る。
シリコン単体(炭化ケイ素を除く)と炭素のモル比は、例えば、Si/C=0.6〜4、好ましくは0.65〜3、より好ましくは0.7〜2.5、さらに好ましくは0.8±0.1であることが適当である。
上記スラリーに含まれる成分の他に、他の添加成分、例えば、窒化ケイ素、炭化ホウ素、ジルコニア、アルミナ、ホウ素、炭素、黒鉛、カーボンブラック等を添加してもよい。さらに、他の金属類、例えば、4A、5A、6A、7A、8、1B、及び2B族の元素、好ましくは、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛等を添加してもよい。
スラリー中の溶媒は、スラリー全体を100質量%とした場合、例えば、50〜55質量%、好ましくは40〜50質量%、より好ましくは35〜40質量%含まれ得る。スラリー中のシリコン(シリコン粉末、炭化ケイ素粉末、及びこれらの混合物等を含む意味)は、スラリー全体を100質量%とした場合、例えば、40〜45質量%、好ましくは45〜50質量%、より好ましくは51〜60質量%含まれ得る。スラリー中の樹脂は、例えば、7.0〜7.9質量%、好ましくは8.0〜9.7質量%、より好ましくは9.8〜12質量%含まれ得る。溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂以外の、他の添加成分及び他の金属類は、スラリー全体を100質量%とした場合、例えば、0〜0.3質量%、好ましくは0〜0.05質量%、より好ましくは0〜0.01質量%含まれ得る。
シリコン単体(炭化ケイ素を除く)と炭素のモル比は、例えば、Si/C=0.6〜4、好ましくは0.65〜3、より好ましくは0.7〜2.5、さらに好ましくは0.8±0.1であることが適当である。
<炭化ケイ素多孔質体の特性>
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体は、上記ポンジ状多孔質基材の構造に由来するスポンジ状多孔質構造を有する、炭化ケイ素から実質的になる多孔質体である。炭化ケイ素を構成するシリコンと炭素のモル比は、例えばSi/C=0.1〜2、好ましくは 0.2〜1.5、より好ましくは0.3〜1.2、さらに好ましくは0.3〜0.8、特に好ましくは0.4〜0.6であることが適当である。炭化ケイ素多孔質体は、上述した他の添加成分等をも含むスラリーを焼結等して得られたものであるので、上記他の添加成分及び他の金属類をも含み得る。炭化ケイ素以外の他の添加成分及び他の金属類は、炭化ケイ素多孔質体の質量を100質量%とした場合、例えば、0.001〜0.1質量%、好ましくは0.005〜0.08質量%、より好ましくは0.01〜0.05質量%含まれ得る。
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の好ましい物理的特性は以下の通りである。以下に説明する空孔率、空孔径、厚さの組み合わせにより、PM捕集率と圧損をコントロールできる。
(1)空孔率
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の空孔率は、例えば65〜95%、好ましくは70〜90%、より好ましくは75〜85%、特に好ましくは78〜83%であることが適当である。65%以上であれば、圧損が高くなることもなく、また、95%以下であれば強度が弱くなることもないので好ましい。ここで、空孔率は、空孔部分の体積割合を%で示したものであり、例えば、炭化ケイ素多孔質体の空孔部分を含めた密度を見かけ密度とし、炭化ケイ素多孔質体の空孔部分を含めない、真の多孔質体部分のみの密度を真密度とした場合、
空孔率(%)=(1−[炭化ケイ素多孔質体の見かけ密度]/[炭化ケイ素多孔質体の真密度])×100
に従って算出することができる。
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体は、上記ポンジ状多孔質基材の構造に由来するスポンジ状多孔質構造を有する、炭化ケイ素から実質的になる多孔質体である。炭化ケイ素を構成するシリコンと炭素のモル比は、例えばSi/C=0.1〜2、好ましくは 0.2〜1.5、より好ましくは0.3〜1.2、さらに好ましくは0.3〜0.8、特に好ましくは0.4〜0.6であることが適当である。炭化ケイ素多孔質体は、上述した他の添加成分等をも含むスラリーを焼結等して得られたものであるので、上記他の添加成分及び他の金属類をも含み得る。炭化ケイ素以外の他の添加成分及び他の金属類は、炭化ケイ素多孔質体の質量を100質量%とした場合、例えば、0.001〜0.1質量%、好ましくは0.005〜0.08質量%、より好ましくは0.01〜0.05質量%含まれ得る。
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の好ましい物理的特性は以下の通りである。以下に説明する空孔率、空孔径、厚さの組み合わせにより、PM捕集率と圧損をコントロールできる。
(1)空孔率
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の空孔率は、例えば65〜95%、好ましくは70〜90%、より好ましくは75〜85%、特に好ましくは78〜83%であることが適当である。65%以上であれば、圧損が高くなることもなく、また、95%以下であれば強度が弱くなることもないので好ましい。ここで、空孔率は、空孔部分の体積割合を%で示したものであり、例えば、炭化ケイ素多孔質体の空孔部分を含めた密度を見かけ密度とし、炭化ケイ素多孔質体の空孔部分を含めない、真の多孔質体部分のみの密度を真密度とした場合、
空孔率(%)=(1−[炭化ケイ素多孔質体の見かけ密度]/[炭化ケイ素多孔質体の真密度])×100
に従って算出することができる。
(2)空孔径
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の空孔径は、例えば0.09〜0.64mm、好ましくは0.15〜0.5mm、より好ましくは0.23〜0.34mmであることが適当である。ここで、空孔径は、25.4mm(1インチ)の長さに空孔を連続的に配置した場合の空孔数を測定し、[空孔径(mm)=25.4(mm)/空孔数]から求めた。また、孔径は、1インチの長さに空孔を連続的に配置した場合の空孔数を示すポアパーインチ(ppi)に基づき、例えば40〜300ppi、好ましくは50〜170ppi、より好ましくは75〜110ppiであってもよい。
(3)圧縮強度
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の圧縮強度は、例えば0.01〜10kN、好ましくは0.05〜5kN、より好ましくは0.1〜1kN、さらに好ましくは0.05〜10kNであることが適当である。ここで、圧縮強度は、例えば、AUTOGRAPH AG−20kN(島津製作所)を使用し、炭化ケイ素多孔質体の試験片:SiC円片形(25.3mmφ×厚さ6.2mm)を用い、試験速度2.0mm/分にて、圧縮強度の最大点試験力(上記試験片が圧縮によって破裂する瞬間の力、最大耐圧加重とも言う)を測定することによって求めることができる。
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の空孔径は、例えば0.09〜0.64mm、好ましくは0.15〜0.5mm、より好ましくは0.23〜0.34mmであることが適当である。ここで、空孔径は、25.4mm(1インチ)の長さに空孔を連続的に配置した場合の空孔数を測定し、[空孔径(mm)=25.4(mm)/空孔数]から求めた。また、孔径は、1インチの長さに空孔を連続的に配置した場合の空孔数を示すポアパーインチ(ppi)に基づき、例えば40〜300ppi、好ましくは50〜170ppi、より好ましくは75〜110ppiであってもよい。
(3)圧縮強度
本発明で使用し得る炭化ケイ素多孔質体の圧縮強度は、例えば0.01〜10kN、好ましくは0.05〜5kN、より好ましくは0.1〜1kN、さらに好ましくは0.05〜10kNであることが適当である。ここで、圧縮強度は、例えば、AUTOGRAPH AG−20kN(島津製作所)を使用し、炭化ケイ素多孔質体の試験片:SiC円片形(25.3mmφ×厚さ6.2mm)を用い、試験速度2.0mm/分にて、圧縮強度の最大点試験力(上記試験片が圧縮によって破裂する瞬間の力、最大耐圧加重とも言う)を測定することによって求めることができる。
<粒子状物質捕集用フィルタの構成>
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、単数の炭化ケイ素多孔質体からなっていてもよいし、複数の炭化ケイ素多孔質体を積層体として含んでいてもよい。本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタが複数の炭化ケイ素多孔質体を積層体として含む場合、排ガスの流れの方向に対し、粒子状物質捕集用フィルタの上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体は、下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体よりも大きな空孔径を有することが好ましい。このように空孔径の異なる炭化ケイ素多孔質体を傾斜積層することにより、高い捕集率を維持しつつ、圧損上昇を抑えることができ、また、圧損上昇を抑えつつ、フィルタを厚くして捕集率を向上することもできる。具体的には、[前記上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]:[前記下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]の比が、1.1:1〜4:1であることが好ましく、より好ましくは1.2:1〜2:1であり、さらに好ましくは1.4:1〜1.8:1である。当該比は、隣接する炭化ケイ素多孔質体の比であってもよいし、隣接しない、例えば最上流と最下流の炭化ケイ素多孔質体の比であってもよい。
このように構成された粒子状物質捕集用フィルタは、60nmの平均粒径を有する炭素粒子を使用して測定した場合、その断面流速が、例えば1〜100cm/sであり、好ましくは、5〜50cm/sであり、より好ましくは、10〜30cm/sであることが適当である。
複数の炭化ケイ素多孔質体を積層体として含む場合、上記空孔径の値は、最も上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体のみ、あるいは、比較的上流側に位置し、最も合計の厚さが厚い同一空孔径の炭化ケイ素多孔質体群が満たしていてもかまわない。まず排ガスの流れの方向の上流側で適宜PMを捕集し、その後捕集率の向上のためにさらに空孔径の小さな炭化ケイ素多孔質体を配置することが好ましいためである。
複数の炭化ケイ素多孔質体を積層体として含む場合、積層体中の炭化ケイ素多孔質体の枚数は、例えば、2〜20枚、好ましくは4〜15枚、より好ましくは5〜12枚であることが適当である。また、種類(特に空孔径)の異なる炭化ケイ素多孔質体を例えば2〜5種類、好ましくは2〜4種類、より好ましくは3種類含み、各種類の炭化ケイ素多孔質体群が、例えば1〜6枚、好ましくは2〜5枚、より好ましくは2〜4枚の炭化ケイ素多孔質体を含んでいることが適当である。なお、積層体は、排ガスの流れの方向に対して垂直に積層されていることが適当である。
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、単数の炭化ケイ素多孔質体からなっていてもよいし、複数の炭化ケイ素多孔質体を積層体として含んでいてもよい。本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタが複数の炭化ケイ素多孔質体を積層体として含む場合、排ガスの流れの方向に対し、粒子状物質捕集用フィルタの上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体は、下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体よりも大きな空孔径を有することが好ましい。このように空孔径の異なる炭化ケイ素多孔質体を傾斜積層することにより、高い捕集率を維持しつつ、圧損上昇を抑えることができ、また、圧損上昇を抑えつつ、フィルタを厚くして捕集率を向上することもできる。具体的には、[前記上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]:[前記下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]の比が、1.1:1〜4:1であることが好ましく、より好ましくは1.2:1〜2:1であり、さらに好ましくは1.4:1〜1.8:1である。当該比は、隣接する炭化ケイ素多孔質体の比であってもよいし、隣接しない、例えば最上流と最下流の炭化ケイ素多孔質体の比であってもよい。
このように構成された粒子状物質捕集用フィルタは、60nmの平均粒径を有する炭素粒子を使用して測定した場合、その断面流速が、例えば1〜100cm/sであり、好ましくは、5〜50cm/sであり、より好ましくは、10〜30cm/sであることが適当である。
複数の炭化ケイ素多孔質体を積層体として含む場合、上記空孔径の値は、最も上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体のみ、あるいは、比較的上流側に位置し、最も合計の厚さが厚い同一空孔径の炭化ケイ素多孔質体群が満たしていてもかまわない。まず排ガスの流れの方向の上流側で適宜PMを捕集し、その後捕集率の向上のためにさらに空孔径の小さな炭化ケイ素多孔質体を配置することが好ましいためである。
複数の炭化ケイ素多孔質体を積層体として含む場合、積層体中の炭化ケイ素多孔質体の枚数は、例えば、2〜20枚、好ましくは4〜15枚、より好ましくは5〜12枚であることが適当である。また、種類(特に空孔径)の異なる炭化ケイ素多孔質体を例えば2〜5種類、好ましくは2〜4種類、より好ましくは3種類含み、各種類の炭化ケイ素多孔質体群が、例えば1〜6枚、好ましくは2〜5枚、より好ましくは2〜4枚の炭化ケイ素多孔質体を含んでいることが適当である。なお、積層体は、排ガスの流れの方向に対して垂直に積層されていることが適当である。
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、当該フィルタの厚さを100%とした場合、炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが50%以上、あるいは50%超であることが適当である。好ましくは、炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、殊更好ましくは99%や100%であることが適当である。
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、炭化ケイ素多孔質体の他、他の多孔質体やハニカムフィルタと組み合わせてもよい。他の多孔質体としては、セラミックス多孔質体、金属多孔質体等が挙げられる。ハニカムフィルタとしては、例えば、チタン、アルミニウム、これらの合金等を利用した金属製フィルタ、セラミックス製フィルタ等を挙げることができる。ハニカム構造としては、10〜50mmφの交互目封じ等を採用することができる。他の多孔質体やハニカムフィルタの厚さは、本発明の炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さに対し、例えば20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下であり、また、1%程度存在してもよく、3%以上、あるいは5%以上は許容範囲である。
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、排ガスの流れの方向に対して上記多孔質体等が存在しない空隙部分があってもよい。空隙部分は、粒子状物質捕集用フィルタの厚さを100%とした場合、例えば20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下であり、また、1%程度存在してもよく、3%以上、あるいは5%以上は許容範囲である。
特に好ましい粒子状物質捕集用フィルタは、ガソリン直噴エンジン用のGPF用の、スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む、粒子状物質捕集用フィルタであって、前記炭化ケイ素多孔質体が、(1)70〜80%又は80%±5%の空孔率、及び(2)0.15〜0.28mm又は0.15〜0.30mmの空孔径、を有し、かつ、(3)粒子状物質捕集用フィルタに含まれる前記炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが、35〜50mm、であることを特徴とする、粒子状物質捕集用フィルタである。殊更好ましい粒子状物質捕集用フィルタは、さらに炭化ケイ素多孔質体の積層体として含むものであって、各炭化ケイ素多孔質体が、(1)70〜80%の空孔率、及び(2)排ガスの上流側のフィルタから、0.28mm±3mmの空孔径の炭化ケイ素多孔質体を厚さ5〜25mm分、0.15mm±3mmの空孔径の炭化ケイ素多孔質体を厚さ4〜10mm分、及び0.10mm±3mmの空孔径の炭化ケイ素多孔質体から構成される炭化ケイ素多孔質体を厚さ2〜5mm分含む、ガソリン直噴エンジン用のGPF用の、粒子状物質捕集用フィルタである。
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、炭化ケイ素多孔質体の他、他の多孔質体やハニカムフィルタと組み合わせてもよい。他の多孔質体としては、セラミックス多孔質体、金属多孔質体等が挙げられる。ハニカムフィルタとしては、例えば、チタン、アルミニウム、これらの合金等を利用した金属製フィルタ、セラミックス製フィルタ等を挙げることができる。ハニカム構造としては、10〜50mmφの交互目封じ等を採用することができる。他の多孔質体やハニカムフィルタの厚さは、本発明の炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さに対し、例えば20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下であり、また、1%程度存在してもよく、3%以上、あるいは5%以上は許容範囲である。
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、排ガスの流れの方向に対して上記多孔質体等が存在しない空隙部分があってもよい。空隙部分は、粒子状物質捕集用フィルタの厚さを100%とした場合、例えば20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下であり、また、1%程度存在してもよく、3%以上、あるいは5%以上は許容範囲である。
特に好ましい粒子状物質捕集用フィルタは、ガソリン直噴エンジン用のGPF用の、スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む、粒子状物質捕集用フィルタであって、前記炭化ケイ素多孔質体が、(1)70〜80%又は80%±5%の空孔率、及び(2)0.15〜0.28mm又は0.15〜0.30mmの空孔径、を有し、かつ、(3)粒子状物質捕集用フィルタに含まれる前記炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが、35〜50mm、であることを特徴とする、粒子状物質捕集用フィルタである。殊更好ましい粒子状物質捕集用フィルタは、さらに炭化ケイ素多孔質体の積層体として含むものであって、各炭化ケイ素多孔質体が、(1)70〜80%の空孔率、及び(2)排ガスの上流側のフィルタから、0.28mm±3mmの空孔径の炭化ケイ素多孔質体を厚さ5〜25mm分、0.15mm±3mmの空孔径の炭化ケイ素多孔質体を厚さ4〜10mm分、及び0.10mm±3mmの空孔径の炭化ケイ素多孔質体から構成される炭化ケイ素多孔質体を厚さ2〜5mm分含む、ガソリン直噴エンジン用のGPF用の、粒子状物質捕集用フィルタである。
[粒子状物質捕集用フィルタの製造方法]
ここで、粒子状物質捕集用フィルタの製造方法について説明する。炭化ケイ素多孔質体におけるスポンジ状多孔質構造は、スポンジ状多孔質基材をスラリーに含浸させ、得られたスポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、さらに焼成・焼結することによって製造される。より具体的には、
(a)スポンジ状多孔質基材を、溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂を含むスラリーに、前記スポンジ状多孔質の空孔が塞がれないように含浸させて、スポンジ状多孔質基材の含浸体を得る工程、
(b)前記スポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、乾燥多孔質含浸体を得る工程、
(c)前記乾燥多孔質含浸体を不活性ガス雰囲気下で焼成して多孔質炭化体を得る工程、及び、
(d)前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程、
を含む。
(a)工程において、「空孔が塞がれないように含浸」するためには、スポンジ状多孔質に含浸するスラリーの量を調節する方法、スラリー含浸後のスポンジ状多孔質からスラリーが適度に除去されるまで一定期間放置する方法、及び、スラリー含浸後のスポンジ状多孔質を絞る方法等が挙げられる。
(b)工程の乾燥は、溶媒を除去できる限り、例えば大気中、好ましくは、真空中、例えば室温(25℃)〜150℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは80〜100℃で、例えば1〜24時間、好ましくは2〜12時間、より好ましくは3〜8時間行われてもよい。
(c)工程の焼成は、乾燥した多孔質含浸体を炭化して、多孔質炭化体を得ることができる限り、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下において、例えば、800〜1500℃、好ましくは900〜1100℃で、例えば1〜60時間、好ましくは6〜48時間、より好ましくは12〜24時間行われてもよい。
ここで、粒子状物質捕集用フィルタの製造方法について説明する。炭化ケイ素多孔質体におけるスポンジ状多孔質構造は、スポンジ状多孔質基材をスラリーに含浸させ、得られたスポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、さらに焼成・焼結することによって製造される。より具体的には、
(a)スポンジ状多孔質基材を、溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂を含むスラリーに、前記スポンジ状多孔質の空孔が塞がれないように含浸させて、スポンジ状多孔質基材の含浸体を得る工程、
(b)前記スポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、乾燥多孔質含浸体を得る工程、
(c)前記乾燥多孔質含浸体を不活性ガス雰囲気下で焼成して多孔質炭化体を得る工程、及び、
(d)前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程、
を含む。
(a)工程において、「空孔が塞がれないように含浸」するためには、スポンジ状多孔質に含浸するスラリーの量を調節する方法、スラリー含浸後のスポンジ状多孔質からスラリーが適度に除去されるまで一定期間放置する方法、及び、スラリー含浸後のスポンジ状多孔質を絞る方法等が挙げられる。
(b)工程の乾燥は、溶媒を除去できる限り、例えば大気中、好ましくは、真空中、例えば室温(25℃)〜150℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは80〜100℃で、例えば1〜24時間、好ましくは2〜12時間、より好ましくは3〜8時間行われてもよい。
(c)工程の焼成は、乾燥した多孔質含浸体を炭化して、多孔質炭化体を得ることができる限り、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下において、例えば、800〜1500℃、好ましくは900〜1100℃で、例えば1〜60時間、好ましくは6〜48時間、より好ましくは12〜24時間行われてもよい。
(d)工程の焼結は、多孔質炭化体をさらに焼結して、炭化ケイ素多孔質体を得ることができる限り、大気、真空、若しくはヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下において、例えば、800〜3000℃、好ましくは1200〜2000℃で、例えば1〜24時間、好ましくは2〜12時間、より好ましくは3〜8時間行われてもよい。
(d)工程は、(c)工程で得られた多孔質炭化体の表面に、さらにシリコン粒子を配置し、該シリコン粒子を溶融して得た溶融シリコンに前記多孔質炭化体を含浸し、前記多孔質炭化体を焼結し、炭化ケイ素多孔質体を得る工程であってもよい。このようにシリコン粒子をさらに配置して焼結することにより、焼結により得られる炭化ケイ素多孔質体の強度を向上することができる。ここで使用し得るシリコン粒子としては、上述したシリコン、すなわち、上述したシリコン粉末、炭化ケイ素粉末、及びこれらの混合物等を使用することができる。シリコン粒子の平均粒径は、例えば0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度、より好ましくは5〜10μm程度である。
また、得られた焼結体を含浸するための溶融シリコンとしては、シリコン粉末、シリコン顆粒も原料として用いることができる。
(d)工程は、(c)工程で得られた多孔質炭化体の表面に、さらにシリコン粒子を配置し、該シリコン粒子を溶融して得た溶融シリコンに前記多孔質炭化体を含浸し、前記多孔質炭化体を焼結し、炭化ケイ素多孔質体を得る工程であってもよい。このようにシリコン粒子をさらに配置して焼結することにより、焼結により得られる炭化ケイ素多孔質体の強度を向上することができる。ここで使用し得るシリコン粒子としては、上述したシリコン、すなわち、上述したシリコン粉末、炭化ケイ素粉末、及びこれらの混合物等を使用することができる。シリコン粒子の平均粒径は、例えば0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度、より好ましくは5〜10μm程度である。
また、得られた焼結体を含浸するための溶融シリコンとしては、シリコン粉末、シリコン顆粒も原料として用いることができる。
[粒子状物質捕集用フィルタの用途]
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、ディーゼルエンジン及びガソリンエンジン等の内燃機関、特に、ガソリン直噴エンジンからの排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を除去するのに適している。ガソリン直噴エンジンは、構造上、通常のガソリンエンジンよりも粒子の細かい煤や灰などの粒子状物質(PM)が生成しやすく、かつ、ガソリン直噴エンジンが搭載される自動車等の車両の大きさが比較的コンパクトであるため、よりコンパクトで高性能なPM除去フィルタが求められてきた。従って、本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、このような内燃機関の下流に設置され、当該粒子状物質捕集用フィルタに内燃機関から排出される排ガスを通過させ、当該排ガスに含まれる粒子状物質を捕集し、適宜除去するために顕著な効果を発揮するものである。特に本発明の粒子物質捕集用フィルタは、高いPM捕集率と圧損の上昇を十分に抑制したものであり、従来のフィルタに比べてフィルタの厚さを厚くしなくてもPM捕集率を向上できると共に、フィルタの厚さを薄くして粒子物質捕集用フィルタの軽量化及びコンパクト化を図ることもできる。
本発明で使用し得る粒子物質捕集用フィルタは、特定形状の粒子状物質捕集装置に配置することができる。粒子物質捕集装置は、内燃機関からの排ガスが通過する流路に粒子物質捕集用フィルタが隙間なく配置できるものであれば、その形状はいかなるものであってもよいが、例えば断面が円形、三角形、四角形、5〜10角の多角形等の筒型、好ましくは断面が円形又は四角形の中空筒型であって、その中空部分(排ガスが通過する流路)の端部又は途中に粒子物質捕集用フィルタが配置され、排ガスが必ず当該粒子物質捕集用フィルタを通過する構造であることが好ましい。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、ディーゼルエンジン及びガソリンエンジン等の内燃機関、特に、ガソリン直噴エンジンからの排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を除去するのに適している。ガソリン直噴エンジンは、構造上、通常のガソリンエンジンよりも粒子の細かい煤や灰などの粒子状物質(PM)が生成しやすく、かつ、ガソリン直噴エンジンが搭載される自動車等の車両の大きさが比較的コンパクトであるため、よりコンパクトで高性能なPM除去フィルタが求められてきた。従って、本発明で使用し得る粒子状物質捕集用フィルタは、このような内燃機関の下流に設置され、当該粒子状物質捕集用フィルタに内燃機関から排出される排ガスを通過させ、当該排ガスに含まれる粒子状物質を捕集し、適宜除去するために顕著な効果を発揮するものである。特に本発明の粒子物質捕集用フィルタは、高いPM捕集率と圧損の上昇を十分に抑制したものであり、従来のフィルタに比べてフィルタの厚さを厚くしなくてもPM捕集率を向上できると共に、フィルタの厚さを薄くして粒子物質捕集用フィルタの軽量化及びコンパクト化を図ることもできる。
本発明で使用し得る粒子物質捕集用フィルタは、特定形状の粒子状物質捕集装置に配置することができる。粒子物質捕集装置は、内燃機関からの排ガスが通過する流路に粒子物質捕集用フィルタが隙間なく配置できるものであれば、その形状はいかなるものであってもよいが、例えば断面が円形、三角形、四角形、5〜10角の多角形等の筒型、好ましくは断面が円形又は四角形の中空筒型であって、その中空部分(排ガスが通過する流路)の端部又は途中に粒子物質捕集用フィルタが配置され、排ガスが必ず当該粒子物質捕集用フィルタを通過する構造であることが好ましい。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
[製造実施例1]
1.炭化ケイ素多孔体製造方法
(a1)スポンジ状多孔質基材の調製
ポリウレタンスポンジ(イノアック製、品番MF−DS、85×60×厚さ5mm、質量2.12g)を使用した。スポンジ状多孔質基材の空孔率は92%であり、空孔径は、0.27mmであり、見かけ密度(空孔部分を含めた密度)は0.083g/cm3であった。ここで、空孔率、空孔径及び圧縮強度の定義は上述したとおりである。
(a2)スポンジ状多孔質基材に含浸するスラリーの調製
フェノール樹脂(住友ベークライト製 品番PR−51794)1.0gをエタノール(日本アルコール(株)製、品番AP−7)3.8gに溶解した。次いで、シリコン粉末(福田金属箔粉(株)製、品番Si−S−10μm)を、上記フェノール樹脂からの炭素とシリコン粉末からのシリコン元素とのモル比がSi/C=0.8になるように調整して添加した(2.6g)。その後さらにシリコン粉末と同じ質量(2.6g)の炭化ケイ素粉末((株)フジミインコーポレーデット製、品番C#4000)を加えて、ボールミックス((株)比良セラミックス製、品番AL9−15)で1日間混合した。
1.炭化ケイ素多孔体製造方法
(a1)スポンジ状多孔質基材の調製
ポリウレタンスポンジ(イノアック製、品番MF−DS、85×60×厚さ5mm、質量2.12g)を使用した。スポンジ状多孔質基材の空孔率は92%であり、空孔径は、0.27mmであり、見かけ密度(空孔部分を含めた密度)は0.083g/cm3であった。ここで、空孔率、空孔径及び圧縮強度の定義は上述したとおりである。
(a2)スポンジ状多孔質基材に含浸するスラリーの調製
フェノール樹脂(住友ベークライト製 品番PR−51794)1.0gをエタノール(日本アルコール(株)製、品番AP−7)3.8gに溶解した。次いで、シリコン粉末(福田金属箔粉(株)製、品番Si−S−10μm)を、上記フェノール樹脂からの炭素とシリコン粉末からのシリコン元素とのモル比がSi/C=0.8になるように調整して添加した(2.6g)。その後さらにシリコン粉末と同じ質量(2.6g)の炭化ケイ素粉末((株)フジミインコーポレーデット製、品番C#4000)を加えて、ボールミックス((株)比良セラミックス製、品番AL9−15)で1日間混合した。
(a3)スラリーの含侵工程
上述のようにして得たスラリーを、上記スポンジ状多孔質基材としてのポリウレタンスポンジに含浸した後、スポンジ状多孔質基材を絞って余分なスラリーを除去し、スポンジ状多孔質基材の空孔が塞がれていないスポンジ状多孔質基材の含浸体を得た。
(b)含浸体の乾燥
上述のようにして得たスポンジ状多孔質基材の含浸体を、70℃で6時間乾燥して溶媒としてのエタノールを除去し、乾燥多孔質含浸体を得た。
(c)炭化工程
上記で得られた乾燥多孔質含浸体を不活性ガスとしてのアルゴンで満たした炭化炉(アジア理化(株)製、品番TS−2)に配置し、1000℃で20時間焼成して乾燥多孔質含浸体を炭化し、多孔質炭化体を得た。
上述のようにして得たスラリーを、上記スポンジ状多孔質基材としてのポリウレタンスポンジに含浸した後、スポンジ状多孔質基材を絞って余分なスラリーを除去し、スポンジ状多孔質基材の空孔が塞がれていないスポンジ状多孔質基材の含浸体を得た。
(b)含浸体の乾燥
上述のようにして得たスポンジ状多孔質基材の含浸体を、70℃で6時間乾燥して溶媒としてのエタノールを除去し、乾燥多孔質含浸体を得た。
(c)炭化工程
上記で得られた乾燥多孔質含浸体を不活性ガスとしてのアルゴンで満たした炭化炉(アジア理化(株)製、品番TS−2)に配置し、1000℃で20時間焼成して乾燥多孔質含浸体を炭化し、多孔質炭化体を得た。
(d)焼結工程及びシリコンの溶融含浸工程
上記(c)で得られた多孔質炭化体に、シリコンの顆粒(5.8g、福田金属箔粉(株)製、品番Si−S1−3m/m)を載置し、真空中1450℃で1時間反応焼結し、シリコン顆粒を溶融した後、炭化ケイ素多孔質体を得た。得られた炭化ケイ素多孔体は、見かけ密度0.6g/cm3、空孔率80%。空孔径200μmを有していた。また、炭化ケイ素を構成するシリコンと炭素のモル比は、Si/C=0.5であった(炭化ケイ素純度99%)。
他の空孔率、空孔径の異なる各試料(表1〜8に示されている試料)もスラリーの含浸量を調節しつつ、上記と同様に調製した。
上記(c)で得られた多孔質炭化体に、シリコンの顆粒(5.8g、福田金属箔粉(株)製、品番Si−S1−3m/m)を載置し、真空中1450℃で1時間反応焼結し、シリコン顆粒を溶融した後、炭化ケイ素多孔質体を得た。得られた炭化ケイ素多孔体は、見かけ密度0.6g/cm3、空孔率80%。空孔径200μmを有していた。また、炭化ケイ素を構成するシリコンと炭素のモル比は、Si/C=0.5であった(炭化ケイ素純度99%)。
他の空孔率、空孔径の異なる各試料(表1〜8に示されている試料)もスラリーの含浸量を調節しつつ、上記と同様に調製した。
[PM捕集率(fN)の測定方法]
粒子状物質捕集装置として、各粒子物質捕集用フィルタ試料を設置した石英管(内径26mmφ)を準備した。カーボン粒子発生装置(PALAS社製、品番DNP-2000)を用いて、ナノサイズのPM粒子(走査式ナノ粒子粒径分布計測器SMPSで測定した平均粒径63nm、ピークの粒径:60nm、粒子発生量:0.9×106個/cm3)を発生させ、前記石英管に流量:5L/分(流速:15.6cm/秒)で通過させた。図12に当該PM粒子のPM粒子の大きさと粒子数(個数濃度)の関係を示す。各粒子物質捕集用フィルタ試料の上流部の圧力、粒子物質捕集用フィルタを通過する前後のPM粒子の数を計測して、捕集率(fN)(%)を測定した。なお、捕集率は以下の計算に基づいて算出した。
捕集率(fN)[%]=([フィルタを通過する前のPM粒子の数]−[フィルタを通過した後のPM粒子の数])/[フィルタを通過する前のPM粒子の数]×100
粒子状物質捕集装置として、各粒子物質捕集用フィルタ試料を設置した石英管(内径26mmφ)を準備した。カーボン粒子発生装置(PALAS社製、品番DNP-2000)を用いて、ナノサイズのPM粒子(走査式ナノ粒子粒径分布計測器SMPSで測定した平均粒径63nm、ピークの粒径:60nm、粒子発生量:0.9×106個/cm3)を発生させ、前記石英管に流量:5L/分(流速:15.6cm/秒)で通過させた。図12に当該PM粒子のPM粒子の大きさと粒子数(個数濃度)の関係を示す。各粒子物質捕集用フィルタ試料の上流部の圧力、粒子物質捕集用フィルタを通過する前後のPM粒子の数を計測して、捕集率(fN)(%)を測定した。なお、捕集率は以下の計算に基づいて算出した。
捕集率(fN)[%]=([フィルタを通過する前のPM粒子の数]−[フィルタを通過した後のPM粒子の数])/[フィルタを通過する前のPM粒子の数]×100
[圧損の測定方法]
圧力損失(圧損)は、PM捕集率(fN)の測定方法と同様にしてカーボン粒子発生装置から発生した粒子物質を各試料のフィルタに通過させ、粒子物質捕集用フィルタの通過前後に設置した2つの圧力センサ(VALCOM社製VHR3)を用いて各圧力を計測して比較した。
[圧縮強度の測定方法]
炭化ケイ素多孔質体の圧縮強度を、AUTOGRAPH AG−20kN(島津製作所)を使用して測定した。具体的には、炭化ケイ素多孔質体の 試験片:SiC円片形(25.3mmφ×厚さ6.2mm)を用い、試験速度2.0mm/分にて、圧縮強度の最大点試験力(最大耐圧加重)を測定した。
[透過係数の測定及び算出方法]
炭化ケイ素多孔質体のガス透過性をパームボロメータ(PMI社)により測定した。具体的には、スポンジ状多孔質基材の試験片、及び、ハニカムを構成するフィルタ部分の壁を平板状に切断加工した試験片に対し、垂直方向に大気を透過させた際の圧力と流量の関係であるダルシ―の法則から測定した。透過係数は、ダルシーの法則により以下の式に基づいて算出した。
K=UηL/ΔP (I)
式(I)中、
K:透過係数(m2)
U:流速(ms-1)=0.17
η:ガスの粘性係数(Pa・s)=1.76×10-5
L:ガスが試験片を通過する距離(透過距離)(m)
ΔP:フィルタ前後の圧力差(差圧、Pa)
圧力損失(圧損)は、PM捕集率(fN)の測定方法と同様にしてカーボン粒子発生装置から発生した粒子物質を各試料のフィルタに通過させ、粒子物質捕集用フィルタの通過前後に設置した2つの圧力センサ(VALCOM社製VHR3)を用いて各圧力を計測して比較した。
[圧縮強度の測定方法]
炭化ケイ素多孔質体の圧縮強度を、AUTOGRAPH AG−20kN(島津製作所)を使用して測定した。具体的には、炭化ケイ素多孔質体の 試験片:SiC円片形(25.3mmφ×厚さ6.2mm)を用い、試験速度2.0mm/分にて、圧縮強度の最大点試験力(最大耐圧加重)を測定した。
[透過係数の測定及び算出方法]
炭化ケイ素多孔質体のガス透過性をパームボロメータ(PMI社)により測定した。具体的には、スポンジ状多孔質基材の試験片、及び、ハニカムを構成するフィルタ部分の壁を平板状に切断加工した試験片に対し、垂直方向に大気を透過させた際の圧力と流量の関係であるダルシ―の法則から測定した。透過係数は、ダルシーの法則により以下の式に基づいて算出した。
K=UηL/ΔP (I)
式(I)中、
K:透過係数(m2)
U:流速(ms-1)=0.17
η:ガスの粘性係数(Pa・s)=1.76×10-5
L:ガスが試験片を通過する距離(透過距離)(m)
ΔP:フィルタ前後の圧力差(差圧、Pa)
[実施例1]空孔率の比較
空孔径が同一で空孔率が異なる以下表1に記載の3種類の粒子物質捕集用フィルタを使用し、捕集率(fN)を測定した。捕集率(fN)は、図5に示す。
表1
図5に示されたとおり、空孔率70%の試料SC90-E70は、捕集率(fN)が90%以上となったが、圧損も1kPa以上と高かった。空孔率80%の試料SC90-E80及び90%の試料SC90-E90は、捕集率が60〜80%以上ではあるが、圧損0.5kPa以下であり、優れた圧損抑制能力を示した。
空孔径が同一で空孔率が異なる以下表1に記載の3種類の粒子物質捕集用フィルタを使用し、捕集率(fN)を測定した。捕集率(fN)は、図5に示す。
表1
図5に示されたとおり、空孔率70%の試料SC90-E70は、捕集率(fN)が90%以上となったが、圧損も1kPa以上と高かった。空孔率80%の試料SC90-E80及び90%の試料SC90-E90は、捕集率が60〜80%以上ではあるが、圧損0.5kPa以下であり、優れた圧損抑制能力を示した。
[実施例2]厚さの比較
粒子物質捕集用フィルタを構成する炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さを変化させた以下表2に記載の4種類の粒子物質捕集用フィルタを使用し、捕集率(fN)を測定した。捕集率(fN)は、図6に示す。
表2
粒子物質捕集用フィルタを構成する炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さを変化させた以下表2に記載の4種類の粒子物質捕集用フィルタを使用し、捕集率(fN)を測定した。捕集率(fN)は、図6に示す。
表2
図6から理解できるように、試料SC90-E80-4の捕集率は40〜70%であり、比較的低かったが、試料SC90-E80-6、SC90-E80-8、SC90-E80-9は捕集率が70〜80%であり、十分な捕集率が達成できていた。また、試料SC90-E80-4及び試料SC90-E80-6の圧損は低く抑えられていたが、試料SC90-E80-8及び試料SC90-E80-9の圧損は比較的高かった。
[実施例3]空孔径の比較
空孔率が同一で空孔径が異なる以下表3に記載の4種類の粒子物質捕集用フィルタを使用し、捕集率(fN)を測定した。捕集率(fN)は、図7に示す。
表3
空孔率が同一で空孔径が異なる以下表3に記載の4種類の粒子物質捕集用フィルタを使用し、捕集率(fN)を測定した。捕集率(fN)は、図7に示す。
表3
また、これら試料の圧損及び捕集率の、測定開始3分後(表4中矢印左側)と30分後(表4中矢印右側)との値の変化を表4に示す。
表4
表4に示されているとおり、試料SC55-E80及びSC75-E80は、圧損が低いが捕集率が低い。試料SC80-E170は、捕集率が高いが圧損も高い。最もバランスが取れていた試料はSC90-E80であると言える。
表4
表4に示されているとおり、試料SC55-E80及びSC75-E80は、圧損が低いが捕集率が低い。試料SC80-E170は、捕集率が高いが圧損も高い。最もバランスが取れていた試料はSC90-E80であると言える。
[実施例4]空孔径の異なる炭化ケイ素多孔体の傾斜積層体
空孔径の異なる炭化ケイ素多孔体(表5)を積層した積層体(傾斜積層体)を作成し(表6)、傾斜積層していない積層体と対比して検討した。捕集率(fN)は、図8に示す。
表5
空孔径の異なる炭化ケイ素多孔体(表5)を積層した積層体(傾斜積層体)を作成し(表6)、傾斜積層していない積層体と対比して検討した。捕集率(fN)は、図8に示す。
表5
表6
表6の積層体2は、積層体1と比較して捕集率は60〜70%とほぼ同じであるが(図8)、圧損(圧力損失)が、約30%低下していた(図9)。積層体3は積層体1及び2に比べて炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さを2倍としたものであり、積層体3は、圧損を積層体1と同程度に維持しつつ、高い捕集率を達成できることがわかった(図8及び図9)。
[実施例5]密度と圧縮強度の測定
表7に示す各試料について、圧縮強度(最大耐圧加重)を測定した。
表7
表7に示すように、各試料において、空孔率が高いと圧縮密度(最大耐圧加重)が低くなる傾向が見てとれる。空孔率は90%以下が好ましい。
表7に示す各試料について、圧縮強度(最大耐圧加重)を測定した。
表7
表7に示すように、各試料において、空孔率が高いと圧縮密度(最大耐圧加重)が低くなる傾向が見てとれる。空孔率は90%以下が好ましい。
[実施例6]ハニカム構造を有する粒子状物質捕集用フィルタとの比較1
表8に示す各粒子状物質捕集用フィルタを使用して、ガス透過性を測定した。ガス透過性の測定には、上述した透過係数の測定及び算出方法に沿って透過係数を算出した。各試料として使用した粒子状物質捕集用フィルタの寸法は25.3mmφ×厚さ(=L:透過距離)6.2mmである。ハニカムフィルタの透過係数は、公益社団法人自動車技術会 2018年春季大会学術講演会予稿集、講演番号403、文献番号20185403、田中淳、佐藤あけみ、三好直人「低圧損・高性能GPFの開発」の図6、7及び9のデータから取得した。
表8
表8に示す各粒子状物質捕集用フィルタを使用して、ガス透過性を測定した。ガス透過性の測定には、上述した透過係数の測定及び算出方法に沿って透過係数を算出した。各試料として使用した粒子状物質捕集用フィルタの寸法は25.3mmφ×厚さ(=L:透過距離)6.2mmである。ハニカムフィルタの透過係数は、公益社団法人自動車技術会 2018年春季大会学術講演会予稿集、講演番号403、文献番号20185403、田中淳、佐藤あけみ、三好直人「低圧損・高性能GPFの開発」の図6、7及び9のデータから取得した。
表8
[実施例7]ハニカム構造を有する粒子状物質捕集用フィルタとの比較2
実施例1の表1に示した試料SC90-E90-6との対比において、PMの捕集率及び圧損をハニカムフィルタのデータと比較した。PMの捕集率の測定及び圧損の測定には、上記[PM捕集率(fN)の測定方法]及び[圧損の測定方法]に示した方法を用いた。また、ハニカムフィルタとして、株式会社TYK製、26mmφ×厚さ20mm、交互目封じ型、セル数300(25.4×25.4mmの孔の数)、フィルタの壁の厚さ250μm、空孔径11μm、空孔率42%のハニカムフィルタを使用し、PM捕集率及び圧損のデータを測定した。結果を図10〜11に示す。
図10〜11から、ハニカムフィルタでは使用開始直後から高いPM捕集率(97.9%)を示しているのに対し、本発明の試料SC90-E90-6は使用開始直後のPM捕集率は比較的低かった(54.9%)。しかし、使用を続けるにつれて十分なPM捕集率を達成できた。一方、圧損に関し試料SC90-E90-6もハニカムフィルタと遜色ない程度の圧損に維持できた。
実施例1の表1に示した試料SC90-E90-6との対比において、PMの捕集率及び圧損をハニカムフィルタのデータと比較した。PMの捕集率の測定及び圧損の測定には、上記[PM捕集率(fN)の測定方法]及び[圧損の測定方法]に示した方法を用いた。また、ハニカムフィルタとして、株式会社TYK製、26mmφ×厚さ20mm、交互目封じ型、セル数300(25.4×25.4mmの孔の数)、フィルタの壁の厚さ250μm、空孔径11μm、空孔率42%のハニカムフィルタを使用し、PM捕集率及び圧損のデータを測定した。結果を図10〜11に示す。
図10〜11から、ハニカムフィルタでは使用開始直後から高いPM捕集率(97.9%)を示しているのに対し、本発明の試料SC90-E90-6は使用開始直後のPM捕集率は比較的低かった(54.9%)。しかし、使用を続けるにつれて十分なPM捕集率を達成できた。一方、圧損に関し試料SC90-E90-6もハニカムフィルタと遜色ない程度の圧損に維持できた。
Claims (14)
- スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体を含む、粒子状物質捕集用フィルタであって、前記炭化ケイ素多孔質体が、
(1)65〜95%の空孔率、及び
(2)0.09〜0.64mmの空孔径、
を有し、かつ、
(3)粒子状物質捕集用フィルタに含まれる前記炭化ケイ素多孔質体の合計の厚さが、25〜100mm、
であることを特徴とする、粒子状物質捕集用フィルタ。 - 前記(1)空孔率が、75〜85%である、請求項1に記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
- 前記(2)空孔径が、0.23〜0.34mmである、請求項1又は2に記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
- 前記粒子状物質捕集用フィルタが、複数の前記炭化ケイ素多孔質体の積層体として含み、各炭化ケイ素多孔質体の厚さが5〜10mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
- 前記粒子状物質捕集用フィルタが、複数の前記炭化ケイ素多孔質体の積層体として含み、前記粒子状物質捕集用フィルタの上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体が、下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体よりも大きな空孔径を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
- [前記上流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]:[前記下流側に位置する炭化ケイ素多孔質体の空孔径]の比が、1.1:1〜4:1である、請求項1〜5のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
- 前記粒子状物質が、内燃機関からの排ガスに含まれる粒子状物質である、請求項1〜6のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
- 前記内燃機関が、ガソリン直噴エンジンである、請求項1〜7のいずれかに記載の粒子状物質捕集方法。
- 前記スポンジ状多孔質構造が、スポンジ状多孔質基材を、溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂を含むスラリーに、前記スポンジ状多孔質の空孔が塞がれないように含浸させて、スポンジ状多孔質基材の含浸体を得る工程、前記スポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、乾燥多孔質含浸体を得る工程、前記乾燥多孔質含浸体を不活性ガス雰囲気下で焼成して多孔質炭化体を得る工程、及び、前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程、によって形成されたものである、請求項1〜8のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタ。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタの製造方法であって、前記スポンジ状多孔質構造を有する炭化ケイ素多孔質体が、
(a)スポンジ状多孔質基材を、溶媒、シリコン、及び炭素源としての樹脂を含むスラリーに、前記スポンジ状多孔質の空孔が塞がれないように含浸させて、スポンジ状多孔質基材の含浸体を得る工程、
(b)前記スポンジ状多孔質基材の含浸体を乾燥して溶媒を除去し、乾燥多孔質含浸体を得る工程、
(c)前記乾燥多孔質含浸体を不活性ガス雰囲気下で焼成して多孔質炭化体を得る工程、及び、
(d)前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程、
を含む工程によって製造される、粒子状物質捕集用フィルタの製造方法。 - 前記(d)工程が、前記多孔質炭化体の表面にシリコン粒子を配置し、該シリコン粒子を溶融して得た溶融シリコンに前記多孔質炭化体を含浸し、前記多孔質炭化体を焼結して炭化ケイ素多孔質体を得る工程である、請求項10に記載の粒子状物質捕集用フィルタの製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の粒子状物質捕集用フィルタに内燃機関からの排ガスを通過させ、前記排ガスに含まれる粒子状物質を捕集する工程を含む、粒子状物質捕集方法。
- 前記粒子状物質捕集用フィルタの断面流速が、平均粒径60nmの炭素粒子を使用して測定した場合、1〜100cm/sである、請求項12に記載の粒子状物質捕集方法。
- 前記内燃機関が、ガソリン直噴エンジンである、請求項12又は13に記載の粒子状物質捕集方法。
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Cited By (1)
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WO2021200375A1 (ja) | 2020-03-31 | 2021-10-07 | ダイキン工業株式会社 | 駆動装置 |
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