JP2007296431A - 金属多孔質焼結体製フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガスなどの被処理物に対し、煤等の微細な被除去物の捕捉性能が高い金属多孔質体を使い、更に低圧力損失のフィルタを提供することである。
【解決手段】 内部に一部もしくは全部が連通する空洞状の空間が分散しており、該空間を構成する壁面に細孔が形成された金属多孔質焼結体製フィルタであって、フィルタは有底の筒形状であり、かつ、筒形状を構成する側面がテーパを有することを特徴とする金属多孔体焼結体製フィルタである。好ましくはBET表面積が700cm/cm以上、水銀圧入法により測定する壁面の細孔の平均直径が1μm以上であり、あるいは更に、空隙率が85%以上から95%以下のフィルタである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス中の煤を除去するためのフィルタ材、すなわち、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFと略す)や焼却炉および火力発電所の燃焼ガス等の集塵機用フィルタ等に使用することができる金属多孔質焼結体製フィルタに関する。
従来、DPF用フィルタとしては、耐熱性があるコージェライト(セラミックス)製ハニカムが用いられている。しかし、セラミックスは振動や熱衝撃により破損しやすく、また、低熱伝導のためにフィルタに捕捉された炭素を主成分とする煤が燃焼するときに局所的な加熱(ヒートスポット)が発生し、クラックや溶損が発生し問題となっている。そこで、セラミックスよりも強度があり熱伝導率の高い金属製のDPF用フィルタの提案がなされている。
例えば、3次元網目構造を持つ金属製ポーラス体でなるディーゼルエンジン排気ガス浄化用パティキュレートトラップが提案されている(特許文献1参照)。そして、本出願人は、内部に一部もしくは全部が連通する空洞状の空間が分散しており、該空間を構成する壁面に細孔が形成された金属多孔質焼結体をフィルタとして採用するものを提案した(特許文献2参照)。これらの提案は、耐クラック、耐溶損性という点で優れたフィルタであり、また、構造的にもハニカムに比べ簡略化できる。
特開平5−312017号公報 特開2004−300526号公報
上記の中でも、特に特許文献2のフィルタは、熱衝撃による耐クラック性や耐溶損の点で有利であると同時に、特許文献1のフィルタに比べて煤の捕捉性能が高いことが特徴であるが、一方では、圧力損失が高いという問題がある。これは、特許文献1のフィルタの骨格が細く、流体(被処理物)が流れるときの抵抗が少ないのに対して、特許文献2のフィルタが流体中の被除去物の衝突確率を高めて捕捉率を上げる構造であるために、流体への抵抗が大きくなるためと考えられる。これに対し、圧力損失を下げるには、フィルタ厚さを薄くしたり、空孔径を大きくすることで対策が可能であるが、これは捕捉性能を落とすことになる。
そこで本発明の目的は、ガスなどの被処理物に対し煤等の微細な被除去物の捕捉性能が高い部材である、本出願人が提案した特許文献2の金属多孔質体を使うことに加え、更に低圧力損失のフィルタを提供することである。
本発明者は、細い骨格の3次元網目構造ではなく、連通する空洞状の空間が分散し、その空洞の壁に比較的大径の細孔が形成された金属製の多孔質焼結体の内部構造を採用することに加え、更にはフィルタとしての外部形状自体の有効面積を上げることにより、煤の捕捉性能を下げることなく、圧力損失を低減できることを見いだし本発明に到達した。
すなわち本発明は、内部に一部もしくは全部が連通する空洞状の空間が分散しており、該空間を構成する壁面に細孔が形成された金属多孔質焼結体製フィルタであって、フィルタは有底の筒形状であり、かつ、筒形状を構成する側面がテーパを有することを特徴とする金属多孔体焼結体製フィルタである。好ましくは、BET表面積が700cm/cm以上、水銀圧入法により測定する壁面の細孔の平均直径が1μm以上であり、あるいは更に、空隙率が85%以上から95%以下のフィルタである。
本発明により、煤等の微細な被除去物の捕捉率が高く、圧力損失の低いフィルタを提供することができる。
本発明の重要な特徴は、空洞状の空間が分散し、その空洞の壁に比較的大径の細孔が形成された金属多孔質焼結体の内部構造を採用したことも然ることながら、外部形状を有底の筒形状とし、かつ、筒形状を構成する側面がテーパを有する形状としたことにある。
まず、フィルタの内部構造については、金属多孔質焼結体を用いた場合、煤等の微小な被除去物がフィルタに吸着する確率を増やすには、焼結体内部をガスが通過する際に、ガス中の被除去物が衝突可能な焼結体部分の面積を増加させることが有効である。本発明では、被除去物が衝突し吸着する部分を従来の骨格の細い網目構造ではなく、空洞状の空間を分散させて構成する壁面として比表面積の向上を図る。加えて、空間を構成する壁面に細孔を形成することで壁面の面粗さを増加し、一層高い比表面積を達成することにより、より吸着の確率を増やすものである。
上記の金属多孔質焼結体よりなる本発明のフィルタの内部構造は、空洞状の空間が形成され、その一部もしくは全部が連通しているので、被除去物を含むガス等がフィルタ内部を通過する。ここで各空洞が孤立していると、ガス等は空洞状の空間を構成する壁面を透過しなければないが、本発明の場合、壁面にも細孔が存在するので通気性は確保されている。しかしながら、ガスの経路が細孔のみではフィルタ通過時のガスの圧損が高くなりすぎる場合があり、特にDPF等のフィルタとして使用するには、煤等の被除去物の捕捉量の増加に伴い、細孔の目詰まりによる急激な圧損の上昇がおこる。従って、空洞状の空間は、その一部もしくは全部が連通していることが必要である。なお、連通している空間の開口寸法が大きな程、また、連通の頻度が高い程、圧損は低減する。以上の条件を満足することにより、フィルタ内部の各空洞状の空間は、被除去物のトラップとして機能する。
また、フィルタの分野においては、その使用時の振動や熱衝撃による破損、特にDPF用フィルタとして用いた際における煤の燃焼時のヒートスポットによるクラックや溶損を防止するために、その対策を要する。金属でなる本発明のフィルタの場合、セラミックスに比べ振動や衝撃に強く、高熱伝導であるために熱がこもり難い。この際の具体的な金属種においては、フィルタは排気ガスにより加熱され、DPFの方式によってはフィルタの再生のために煤の発火温度である600℃以上の高温に加熱される場合もあり、高温での耐食性が要求されるため、使用条件にあった材質の選定が必要である。
次に本発明では、上記の内部構造にとってこその、最適なフィルタの外部形状があることを見いだした。すなわち、有底の筒形状であり、かつ、筒形状を構成する側面がテーパを有する外部形状のフィルタである。これにより、限られた空間に設置されたフィルタの有効面積を大きくすることができ、かつ被処理物の流れ方向に対してフィルタの有効面ががテーパを有するように設置すれば、フィルタ単位面積あたりの被処理物の流量および捕捉量を減らすことができ、初期の圧力損失(以下、圧損と略す)および捕捉量の増加にともなう圧損の上昇を抑えることが可能である。
フィルタの分野においては、圧損と捕捉率とはトレードオフの関係があるところ、本発明の内部構造および外部形状の関係を有したフィルタであれば、初期圧損および、捕捉量の増加にともなう圧損の上昇も抑えることができる。特に、DPFを想定した場合のフィルタは限られた狭スペース内に納める必要があり、この限られた空間内で流体の流れを極力乱すことなく広いフィルタ有効面積を確保する必要がある。このためには、フィルタの外部形状を例えばコーン形状やカップ形状、あるいは更にそれらの類似形状といった、有底の筒形状として、その筒形状を構成する側面にテーパを持たせるものとする。また更には、該側面上に襞(ひだ)を付けることも有効と考えられ、好ましい。
以上の特徴でなる本発明のフィルタをBET法による比表面積として評価すると、従来の3次元網目構造の金属製ポーラス体では困難であった700cm/cm以上の高い比表面積とすることができる。これにより被除去物が吸着する確率を増やし、被除去物の捕捉性能を上げるというものである。BET法による比表面積は900cm/cm以上であることが好ましい。
また、壁面に形成させる細孔は比表面積を増加させ、壁面上の凹凸となって被除去物を付着しやすくするだけでなく、壁面に細孔による通気性を確保することで、壁面にろ過の機能を付加する。この際、壁面に形成された細孔の、水銀圧入法による平均の細孔径(直径)は、1μm以上であることが望ましい。1μmより小さい場合は、捕捉率が下がる傾向があるためである。これは、壁面の細孔が小さいとガスが壁面を透過し難くなり、ガスが壁面に沿って流れてしまい、ガス中の被除去物が壁面に捕捉されずにそのまま連通孔から壁面の外へ流出する割合が増加するためと考えられる。より好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上である。
そして、本発明のフィルタでは、その空隙率は85%以上95%以下であることが好ましい。空洞状の空間とその壁面により構成される金属多孔質焼結体でなる本発明のフィルタは、空隙率が85%よりも低い場合は、空洞間の連通が不足するため、使用時の圧損が高くなる。一方、95%より高くなると壁面が少なくなり、フィルタの強度が不足すると共に、使用時の被除去物の捕捉性能が落ちて本焼結体の特徴が失われる。
また、本発明のフィルタにおいては、その厚さ10mmの部位において、23℃における流量5m/sで大気を流した場合の圧損は、1kPa以上10kPa以下であることが好ましい。つまり、フィルタ内部の空洞の連通度は、マクロ的には上記の圧損として評価ができ、それが1kPa未満では連通度が高すぎるため被除去物と壁面との衝突の頻度が低くなり、捕捉率が低下する。一方、10kPaより高くなると、空洞の連通度が低いために早い時期から被除去物による目詰まりが発生し、圧損の上昇が高くなり、例えば、DPF用フィルタとして使った場合、エンジンの出力低下の原因になる。
上述した本発明のフィルタの製造方法としては、例えば以下の方法が適用できる。
まず、金属粉末を準備する。金属の種類においては、作製するフィルタをDPF用フィルタとして用いる場合には、600℃以上の高温で加熱再生する方式のフィルタ用途にも対応させるため、Cr:16質量%以上を含有するステンレス鋼や、高温でアルミナ皮膜を生成するAl:1〜10質量%、Cr:5〜30質量%を含有する耐熱鋼等の金属粉末が有効である。そして、その粒径としては、平均粒径200μm以下が好ましい。
次に、上記の金属粉末に樹脂粒、バインダを混合する。樹脂粒は、焼結体に空洞を造ることを目的として混合するが、その平均粒径は0.1〜10mmが好ましい。樹脂粒は焼結時に気化させるか、または金属粉末を成形体とした後、焼結前に溶剤を用いて溶解、除去を行う。焼結時における樹脂粒の溶融や気化に伴う、焼結体の変形や崩壊が問題となる場合には、後者の溶解による除去が好ましい。
また、後者の焼結前に樹脂粒を溶解除去する方法は、厚さ10mm以上の多孔質焼結体の安定した製造が可能であり、厚さに対する自由度が増し、有効な製法である。そして、プロセス的にも、溶剤と樹脂の組合せによっては、処理後の溶剤は蒸留により、樹脂、溶剤ともにリサイクルできるという利点もある。
バインダとしては、樹脂を用いることもできるが、溶剤で樹脂粒を除去するという方法を適用する場合は、溶剤に溶け合わない、例えばメチルセルロースと水を主成分とするバインダを使用することが有効である。
次いで、上記の混合した混練体より成形体を作製する。成形の際は樹脂粒が粉砕しない程度の圧力をかけることにより、樹脂粒どうしの接触面積を上げることが好ましい。これにより、できあがった多孔質体(フィルタ)における空間の連通部分の開口寸法は大きくなり、連通の頻度も高くなる。そして、成形する形状については、本発明のフィルタ形状に直接成形しても良いし、各々の例えば平板状のパーツに分割して成形し、後で組み立てても良い。これについては、パーツに分割した成形体を、下述する樹脂粒を抽出後の状態で組み立てても良いし、焼結後に組み立てても良い。
そして、この後、成形体を加熱脱脂、焼結する。水をバインダに入れる場合は、成形後に乾燥工程を入れることが好ましく、樹脂粒を溶剤で除去する場合は、加熱脱脂の前に、溶剤抽出、乾燥の工程を付与することが好ましい。
(フィルタ試験片の作製)
平均粒径60μmのSUS316L水アトマイズ粉末、市販のメチルセルロース、および樹脂粒として不定形の平均粒径2.5mmのパラフィンワックス粒を混合し、水、可塑剤を加えて混合・混練し混練体を作製した。なお、樹脂粒の混合量としては、金属粉末と樹脂粒を合わせた体積を100%とした場合、樹脂粒の体積率が90%になるように設定した。
その後、プレス機により混練体を0.7MPaの圧力でプレス成形してコーン状の成形体を作製し、50℃で乾燥した。次に成形体から溶剤にて成形体中のパラフィンワックス粒を抽出し、治具にセットして90℃で乾燥を行った。続いて耐火物でできた治具に成形体をセットして窒素中において600℃で加熱脱脂後、1150℃の真空中で焼結することにより、厚さが12mmのコーン状の試験片を作製した。以下、この試験片を本発明例とする。また、図1に本発明の試験片の形状を示す。
また、本発明例と同じ材料を使って本発明例と同条件で円盤状の成形体を製作し、更に本発明例と同条件にてパラフィン粒の抽出、脱脂、焼結を行うことにより厚さ7mm、直径φ144mmの円盤状試験片を作製した。以下、この試験片を比較例1とする。
そして、導電処理されたウレタンフォームをベースにメッキ法により、Ni−Cr合金の3次元網目構造を持つ金属製ポーラス体の試験片を準備した。これを厚さ10mmで直径φ144mmの円盤状に加工した。以下、この試験片を比較例2とする。
(断面形態の比較)
本発明例及び比較例1の断面形態を走査電子顕微鏡(SEM)および光学顕微鏡でそれぞれ観察した。SEMは、試験片を2つに割った破断面を観察したものであり、断面組織は、樹脂に埋めた試験片を研磨することにより、試験片の断面を光学顕微鏡にて観察したものである。その結果、これらは、本出願人が先に提案した特許文献2(特開2004−300526号公報)の図1に相当した、共に同じ形態を示しており、隣接する空洞に連通孔があいているが認められた。また、壁面は金属粉末を焼結した構造となっており、凹凸および細孔が観察された。
そして、これらの本発明例および比較例1に対し、比較例2は、本出願人が先に提案した特許文献2(特開2004−300526号公報)の図3に相当する断面形態を呈しており、骨格は細く、中空で、表面は滑らかで細孔は存在していない。
(表面積等の比較)
本発明例と比較例1、2における単位体積あたりの表面積(BET表面積)、細孔径(平均直径)、空隙率、大気を透過させた際の圧損を測定した。単位体積あたりの表面積はBET法、細孔径の平均直径は水銀圧入法、圧損は23℃での流量5m/sの大気を透過した際の差圧により測定した。なお、表面が平滑である比較例3については、細孔径の測定は行っていない。
BET比表面積については、本発明例および比較例1では壁面を構成する焼結体部分、比較例2では骨格部分の1g当たりの比表面積を計測し、空隙率を使って多孔質体1cm当たりの比表面積に換算したものである。さらに、比較例2については、骨格部が中空であるので、断面組織の画像処理のデータを使って、フィルタ性能に寄与しない中空部の表面積を差し引いて補正した値を示している。有効面積とは、圧損測定時においての、大気流が当たる部分表面積(=片表面積)である。結果を表1に示す。
本発明例および比較例1は、比較例2と比べて空隙率は同程度であるが、比表面積は本発明および比較例1が、比較例2の2倍近く大きいことがわかる。また、本発明例は、比較例1に比べて2倍近い厚さにも関わらず、圧損が低いことがわかる。これは、本発明例が比較例1に対し、約3倍の有効面積を持つため、単位面積あたりを流れるガス流の流量が相対的に減少したためと考えられる。なお、比較例2の圧損が本発明例に比べて非常に低いのは、比較例2の構造が滑らかな細い骨格による網目構造のため、本発明例の上記の構造に比べ、多孔質体の透過するガス流に対する抵抗が小さいためと考えられる。
(フィルタ特性の評価)
本発明例および比較例1,2のフィルタ試験片に被除去物を流した時の捕捉能力を調べるべく、炭素微粒子の投入量と圧力損失の関係および炭素微粒子の捕捉率について評価を行った。
−評価法−
まず、試験片をあらかじめ130℃で2時間乾燥後、秤量する。次いで、図2に示すようにホルダ1内に試験片2をセットし、流量が5.7m/sで一定になるように片側から吸引し、もう片側から平均粒径0.042μmの炭素微粒子を0.09g/minの割合で投入して、投入量に対する試験片2での圧損の変化を調査した。この時の試験片2の通風部は試験片中央部のφ137mmとした。圧損は、試験片の前後の差圧より求めた。なお、試験は気温が23℃に保持された室内で行った。比較例1、2についても上記に同様の条件としたが、ただし、試験片の通風部は試験片中央部のφ139.5mmであり、流量は5m/sである。
試験は流量を一定に制御ができなくなった時点で終了し、ホルダ1より試験片2を取り出す。その後、130℃で2時間乾燥後秤量し、試験片の増加量から炭素微粒子の捕捉量を求め、その捕捉量を試験中の炭素微粒子の全投入量で割った値をその試験片の捕捉率とした。また、試験片への炭素微粒子の付着状態についても調査した。
−評価結果−
炭素微粒子の投入量と圧損の関係を図3に、各試験片の試験終了後に測定した捕捉率を表2に示す。
本発明例と比較例1を比較した場合、フィルタ面積の大きい本発明例の方が、黒鉛微粒子の投入量に対する圧損の上昇が非常に低いことがわかる。また、捕捉率が高くなっていることがわかる。これは、有効面積を大きくできることにより、フィルタ単位面積あたりの黒鉛微粒子の捕捉量が低減できたことと、フィルタを厚くすることにより捕捉性能が向上したことによると考えられる。以上より、多孔質の内部構造と、フィルタの有効面積および厚さを共に最適化したことにより、さらに高い捕捉性能と低圧損化が可能であることがわかる。
一方、比較例2は、本発明例および比較例1に比べ圧損は低く、また、炭素微粒子の投入量に対しても圧損の上昇は見られないものの、捕捉率は2.7%と非常に低いことがわかる。本発明例と同等レベルに捕捉率を上げるためには、かなりの厚さにする必要があることが推測される。従って、高捕捉率が要求されるフィルタにおいては、非常に容積が大きなものとなってしまう。
試験後の比較例1の試験片を割った破断面の、炭素微粒子投入側の面(表面)付近、および、裏面付近をSEMで観察したところ、その形態は、本出願人が先に提案した特許文献2の図6のような、炭素微粒子の投入側から反対側にかけての、炭素微粒子の流れに対抗する各空洞の壁面に炭素微粒子が溜まっていることが確認できた。そして、炭素微粒子が堆積している壁面の破断部(壁面の断面)をSEMで観察すると、やはり特許文献2の図7の通りの、炭素微粒子が連通する空洞状の空間を構成する壁面に堆積しているのと同時に、細孔部にも堆積していることが確認できた。また、試験後の比較例2の、表面および裏面から内部の骨格への炭素微粒子の付着状態を観察すると、特許文献2の図8の光学顕微鏡写真に相当する通りの、細長い滑らかな骨格の炭素微粒子投入側の面に付着していた。また、投入側の面でも付着していない部分があった。
これに対し、本発明例は、特許文献2の図6、7に同様、炭素微粒子の投入側から反対側にかけて、炭素微粒子の流れに対向する各空洞の壁面に炭素微粒子が溜まっていることが確認できた。以上のことから、本発明例では、フィルタ内部の各空洞がトラップとして機能しており、さらに空洞の細孔を持つ壁面がフィルタとして被除去物の捕捉に大きく寄与していることがわかる。また、捕捉後の被除去物は、壁面が十分な面積を持ち、焼結構造による大きな凹凸があるために、比較例2に比べて、安定して付着していることがわかる。さらに、フィルタの有効面積を広げることにより、初期圧損およびフィルタへの被除去物の堆積に伴う圧損の上昇を抑えることができることがわかる。
一方、比較例2は、黒鉛微粒子が衝突して付着できる面が細く狭いために付着量がすぐに飽和してしまうと考えられる。また、骨格表面が滑らかなために、ある程度付着すると剥がれ落ちてしまうことが考えられる。このために、炭素微粒子の投入量に関係なく圧損が低い値で一定であり、捕捉率が低いと考えられる。
内部構造が比較的大径の細孔を有しかつ、比表面積の大きい本発明のフィルタは、その用途の他、比表面積が大きく、通気性があることから、触媒担体に用いることができる。更に、空洞や壁面の細孔には、毛細管現象により液体を吸収、保持したり、水蒸気等の蒸気を毛管凝縮する特徴があることから、気体と液体を反応させるリアクタや保持体、ガス中の水蒸気の分離用部材の用途にも適することができる。
本発明のフィルタの一例を示す図である。 実施例で用いたフィルタ特性の評価手法(試験片をセットした状態)を示す模式図である。 炭素微粒子の投入量と圧損の関係および捕捉率を示す図であり、本発明の効果の一例を示す図である。
符号の説明
1.ホルダ 2.試験片

Claims (3)

  1. 内部に一部もしくは全部が連通する空洞状の空間が分散しており、該空間を構成する壁面に細孔が形成された金属多孔質焼結体製フィルタであって、フィルタは有底の筒形状であり、かつ、筒形状を構成する側面がテーパを有することを特徴とする金属多孔質焼結体製フィルタ。
  2. BET表面積が700cm/cm以上、水銀圧入法により測定する壁面の細孔の平均直径が1μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質焼結体製フィルタ。
  3. 空隙率が85%以上から95%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属多孔質焼結体製フィルタ。
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JP2011176613A (ja) * 2010-02-24 2011-09-08 Audio Technica Corp 単一指向性コンデンサマイクロホン

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