JP2004298846A - ろ過フィルタ及びろ過フィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カートリッジ型の糸巻きフィルタに代替可能な低圧力損失長寿命の性能を有したフィルタを得る
【解決手段】短繊維の集合体からなるろ過フィルタにおいて、構成する短繊維の長さがランダムであり、捲縮可能な長さ以上の該短繊維は捲縮され、繊維集合体内の短繊維軸がランダムな方向に配列され、且つ、短繊維同士のすべての交差点または一部の交差点で接着された繊維構造体からろ過フィルタを構成している。
上記繊維構造体が合成繊維および/または天然繊維、および前記繊維よりも低融点である合成繊維よりなり、該低融点である合成繊維が加熱により少なくともその表面が溶融し、前記短繊維同士の接触箇所を接着したように構成している。
【選択図】 図6
【解決手段】短繊維の集合体からなるろ過フィルタにおいて、構成する短繊維の長さがランダムであり、捲縮可能な長さ以上の該短繊維は捲縮され、繊維集合体内の短繊維軸がランダムな方向に配列され、且つ、短繊維同士のすべての交差点または一部の交差点で接着された繊維構造体からろ過フィルタを構成している。
上記繊維構造体が合成繊維および/または天然繊維、および前記繊維よりも低融点である合成繊維よりなり、該低融点である合成繊維が加熱により少なくともその表面が溶融し、前記短繊維同士の接触箇所を接着したように構成している。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体、液体用ろ過フィルタおよび筒状ろ過フィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、気体や液体中の微粒子をろ過するためのカートリッジ型ろ過フィルタは各種形式のものが公知である。例えば、多く糸巻きフィルタ、プリーツ型フィルタなどが上げられる。また、ろ過材として金属メッシュ、ポーラスなセラミックス、織物や不織布などが多く用いられて来た。
【0003】
例えば、糸巻きフィルタでは、綿糸、ポリプロピレン等の紡績糸を孔のあいた芯棒に巻きつけてろ過フィルタとしている。使用する原綿の種類と番手、製造時の条件である巻き張力と巻き数および綾角度等を変えることでろ過粒子の大きさを決定していた。その場合、SSや微粒子を糸と糸の間の間隙を利用して圧力損失を少なくして、内層部へSS部を侵入させた後、捕捉しているが、短繊維間の間隙と糸間の間隙の差が大きいため、どちらかに偏りすぎ、短繊維間でSSを捕捉しようとするとフィルタを通過する微粒子径が大きくなり、糸の間隔でSSを捕捉しようとすると微粒子成分が細かすぎてすぐに目詰まりを生じていた。
【0004】
また、プリーツ型フィルタでは、ろ過紙のようなろ過面によってろ過微粒子を捕捉する場合に、ろ過粒子がろ過紙の上に堆積すると目詰まりしてろ過しなくなるので、プリーツ状にすることで、ろ過面積を大きく取り、性能の向上を図っているが、形態上、ろ過面積を広げるには限度があった。
【0005】
ろ過材としてポーラスなセラミックスでろ過することも提供されているが、構造体の中のポーラス部とセラミックス部とは均質な構成になっていて、ろ過流量が限定され、ポーラス部分にろ過物が堆積し圧力損失が増加するなどの問題があった。
【0006】
発明者らは、通液性、ろ過寿命、ろ過精度などに関する上記問題点を解決する為に、鋭意検討を重ね、流体ろ過フィルタを捲縮された短繊維を積層圧縮ブロック状態で構成し、かつ各短繊維同士を接触箇所で接着するとともに繊維積層方向のみに圧縮して繊維積層方向と直交する方向に優先的に通液可能なろ過フィルタを発明し、特願2002−240996号として出願したが、ろ過フィルタとして通液方向に限定があるなどのさらなる改良点を残していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ろ過フィルタに求められる性能としては、低圧力損失、長寿命、対薬品性、抗菌性、粒子捕捉性(洩れシール性)、形態安定性、耐圧性、均一性、経済性(安価)、安全性、廃棄のし易さなどが上げられる。特に、ろ過する粒子径が同じであれば、低圧力損失、長寿命が望まれる。
【0008】
ここで、圧力損失の発生を少なくすることにより、流体をろ過フィルタに時間あたり多量に流すことが出来、その結果、1本当たりのろ過フィルタに流れる流量が多く取れるために装置の小型化が図れる。さらに、微粒子を含む流体をろ過フィルタに通したときに、ろ過フィルタ内に捕捉される固形分の重量が多く、且つ、SS濃度が一定であればろ過フィルタの寿命は長くなり、経済性に富む。本発明は上記理由に基づき、特に、カートリッジ型の糸巻きフィルタに代替可能な低圧力損失長寿命の性能を有したフィルタを得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明では、短繊維の集合体からなるろ過フィルタにおいて、構成する短繊維の長さがランダムであり、捲縮可能な長さ以上の該短繊維は捲縮され、繊維集合体内の短繊維軸がランダムな方向に配列され、且つ、短繊維同士のすべての交差点または一部の交差点で接着された繊維構造体からろ過フィルタを構成している。
【0010】
また、上記繊維構造体が合成繊維および/または天然繊維、および前記繊維よりも低融点である合成繊維よりなり、該低融点である合成繊維が加熱により少なくともその表面が溶融し、前記繊維同士の接触箇所を接着したように構成している。
【0011】
さらに、上記低融点である合成繊維が、鞘が低融点ポリマからなる芯鞘構造の合成繊維よりなっている。
【0012】
本発明のろ過フィルタのフィルタは、低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をネップ(毛玉)状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形して成っている。
【0013】
本発明のろ過フィルタのフィルタの他の成形方法として低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をマット状に成形し、しかる後圧縮加熱により固定して繊維ブロックを形成し、該繊維ブロックをを破砕して粒状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形することにより成っている。
【0014】
上記フィルタに粒状および/または繊維状の固形物を分散させたことによりよりろ過性能をあげている。
【0015】
上記フィルタのかさ密度を20g/Lから300g/Lとすることが好ましい。
【0016】
本発明では、上記フィルタの外層部および/または内層部をろ過性能を持つ不織布、ろ過紙および/または透過性のある補強材で被覆しさらにろ過性能を上げている。
【0017】
本発明のろ過フィルタの製造方法としては、低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をネップ(毛玉)状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形する方法を用いている。
【0018】
また、ろ過フィルタの他の製造方法としては、低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をマット状に成形し、しかる後圧縮加熱により固定して繊維ブロックを形成し、該繊維ブロックをを破砕して粒状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形する方法を用いている。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明における、ろ過フィルタ1の繊維構造体2の構成を図1に示す。繊維構造体2を構成する主基材としての短繊維4は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアミドなどの合成繊維、異種の合成繊維同士の混合繊維や、木綿、麻、へちま等の植物繊維と合成繊維との混合繊維の短繊維4からなり、いずれも適用できる。さらには、主基材が短繊維4の集合体であることから、リサイクルとして衣料製品や寝具などの製造過程で発生するくず綿やそれらの再生品からほぐした原綿などを有効に用いることもできる。但し、好ましくは、形態保持性能に優れるポリエステルが最も良い材料である。
【0020】
繊維構造体2を構成する短繊維4はその繊度が0.5デニール〜20デニールの範囲で、短繊維4の長さ100mm以下にすると良い。繊度が小さい(細い)と捕捉する微粒子が細かくなり捕捉性は良くなるが、繊度が0.5デニール以下の場合は、短繊維4が製造工程においてもつれやすく生産性が悪くなる。また、短繊維4の繊度を逆に大きく(太く)し、20デニール以上とした場合は後述の副基材である熱融着性繊維5による接着強度が低下して形態安定性に欠ける。また、短繊維4の長さが100mmより長くなると該短繊維4同士が絡みすぎて製造工程にて扱いが難しくなる。
【0021】
また、副基材として、熱融着性繊維5は、主基材の短繊維4より相対的に低融点であって、加熱により少なくともその表面が溶融し接触した箇所で接着し得る繊維状のものを選択する。この様な熱融着性繊維5としては、低融点の共重合ポリエステル系繊維、ポリオレフェン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維等が良い。特に低融点ポリマー成分を有する複合繊維は形態保持性に優れるのでなお好ましい。複合繊維が、芯鞘状複合繊維の場合には、鞘成分に低融点成分を配置したものを用いるのが望ましい。
【0022】
副基材として用いられる前記熱融着性繊維5は、短くすることが望ましい。その理由は、短くすることによって繊維構造体2の全体に均一に分散させ、主基材としての短繊維4同士を均一に接着出来て形態が強固に保たれるからである。また、熱融着性繊維5の分散性を良くするため、熱融着性繊維5は混合する主基材の短繊維4との関係から繊度を2デニール〜10デニール、長さを100mm以下にすることが好ましい。
【0023】
次ぎに、熱融着性繊維5の混合比率であるが、繊維構造体2全体に対し重量比率として10%〜60%とすると良い。熱融着性繊維5が繊維構造体2全体の重量比率10%以下の場合、主基材の短繊維4同士の接着が不十分になって使用中のフィルタ6としての形態保持が困難になる。また、熱融着性繊維5が繊維構造体2全体の重量比率60%以上の場合、熱融着性繊維5が溶け出して主基材の短繊維4間の空隙を塞ぎろ過性能が著しく低下する。
【0024】
また、主基材の短繊維4として天然繊維を用いる場合に副基材の熱融着性繊維5の変わりに、低融点ポリマーの粉末を繊維構造体2全体に重量比率10%〜60%をブレンドして成形することもできる。
【0025】
繊維構造体2に対して必要な空隙率を付与し、当該流体内のろ過する微粒子50の粒径を任意に設定するために、主基材の短繊維4に捲縮を与える。捲縮数は通常短繊維4長さの一インチ間あたりの山数を5山〜20山の範囲に設定する。捲縮数が短繊維4長さ一インチ間あたり5山以下の場合は、製造工程で短繊維4同士が絡まった繊維構造体2になりにくく、捲縮数が短繊維4長さ一インチ間あたり20山以上の場合は短繊維4が絡み過ぎて毛玉になり繊維構造体2内にむらが出来てまいフィルタ6を成形する材料として適さない。尚、製造工程において、極端に短い短繊維4に対しては、捲縮が無い場合があるが、これは捲縮を持った短繊維4が破砕の段階で出来たもので支障は無い。
【0026】
上記の様に設定された主基材である短繊維4と副基材としての熱融着性繊維5からなる繊維構造体2は内部の繊維密度に粗密な部分が混在し、短繊維4の軸がランダムな方向を向いていて、微細な空隙に大小を生じるが、全体として均一な分布となっている。この様に、繊維構造体2の中にミクロな繊維密度むらがあると流体の流れは繊維密度の低い方に多量の流体が流れ、繊維密度の高い方には流れが少ない状態になる。この作用により後述するが繊維構造体2をフィルタ6として成形した際の繊維塊3が極小微粒子50cを捕捉するというろ過性能をもたらしている。
【0027】
上記の繊維構造体2を用いて、フィルタ6として成形する製造方法としては、上記繊維構造体2をネップ(毛玉)状の繊維塊3にした後、成形容器にしかるべき繊維密度で平均的に充填し熱固着する方法が良い。また他のフィルタ6製造方法として、上記繊維構造体2をマット状に形成し、しかる後、圧縮加熱で固定して任意の繊維密度を持った繊維ブロックとする。この繊維ブロックを破砕機で粒状に破砕し繊維塊3とした後、フィルタ6の形状をした筒状成形容器に繊維密度が平均的になるように調整して充填し、熱固着する方法が用いられる。
【0028】
上記の様な好ましいろ過性能の状態を形成するためには主基材である短繊維4と副基材としての熱融着性繊維5からなる繊維塊3のフィルタ6としてのかさ密度を20g/Lから300g/Lにすると良い。
【0029】
図5に示す様に、一定濃度の微粒子50を含む流体をろ過すると、まず、繊維密度の低いところで大径微粒子50aがろ過され始め、圧力損失が上昇すると繊維密度の高い部分に流体は流れて、その結果、フィルタ6が捕捉する小径微粒子50bが繊維塊3のあちらこちらで捕捉される。さらに、極小微粒子50cが繊維塊3にひっつく様に捕捉されるので、体積あたりの捕捉した微粒子50の重量が大きくなる。また、フィルタ6が立体構造であるので、ミクロな迷路のような空隙があって、一旦微粒子50が空隙に入り込むと強固に捕捉される。
【0030】
また、図4に示す様に、微粒子50のろ過性能を上げ、且つ液体中の特定の溶解成分を吸着させるために、製作途上で異種の粒状物および/または繊維状固形物、例えば活性炭7を混入させることも容易である。この特性を利用して、粒状および/または繊維状の固形物として顆粒状の活性炭7を混入させて水中の有機物を吸着させたり、繊維表面に銅を蒸着させた繊維状固形物を混入させて雑菌が発生しにくくするという機能をフィルタ6に付加することもできる。
【0031】
このフィルタ6の形状としては、多く図2に示される様に、筒の周囲を最外層不織布20a、筒の内側を最内層不織布20bおよび筒状の軸方向の両端を端面テール板10でフィルタ6を包んだように形成した円筒状のろ過フィルタ1の様に円筒状ろ過フィルタ8として成形される。
【0032】
本発明のフィルタ6に最外層不織布20a最内層不織布20bで包みろ過フィルタ1とする理由は次ぎから成る。フィルタ6は繊維塊3間のろ過層の厚みによって微粒子50を統計的に捕捉する。従い、他のフィルタ6同様微粒子50が捕捉されないで通過してしまう可能性は否定できない。その微粒子50の通過を防ぐため、図6に示す最外層不織布20a、最内層不織布20bの様に、フィルタ6の繊維塊3の表面および/または内面に微粒子50のろ過精度が均一な不織布、織物および/またはろ過紙などで被覆すると、表面ろ過が安定してろ過量が増すとともに微粒子50がフィルタ6を通過してしまうプッシュアウト現象の解消対策となる。
【0033】
図3に示される様に、円筒状ろ過フィルタ8のフィルタ6は繊維塊3から成るので繊維密度によってはろ過する流体の圧力を受けて、たわみを生じる場合がある。これを補強する為に、中心部に強度補強用の透過性のある補強材として、多数の穴のあいたプラスチックの円筒を補強材30として挿入することができる。当該補強材30の材料としてはポリプロピレンなどが適切である。
【0034】
(作用)本発明のフィルタ6の作用について図5を用いて説明する。大径微粒子50aは表面で阻止されるが、小径微粒子50bはフィルタ6の表面のネップ(毛玉)状の繊維塊3の空隙をぬって通過する。ある通路で微粒子50は繊維塊3に阻まれて次々と捕捉されると限界が来た時点でその通路は閉塞し、流体はその他の通路へと方向を変える。次々に各通路の空隙が微粒子50で閉塞すると最後にネップ(毛玉)状の繊維塊3のフィルタ6の厚みの奥部分にまで流体が及び、極小微粒子50cでネップ(毛玉)状の繊維塊3まで閉塞して該フィルタ6の寿命は終わる。すなわち、本発明のフィルタ6はランダムな粒径を捕捉する構造となっており、ランダムな粒径の微粒子50を含む流体の微粒子50を捕捉するのに効果的である。
【0035】
また、図6にフィルタ6の最外内層に最外層不織布20a最内層不織布20bを配置した本発明のフィルタ6のモデル図を示す。最外層部の不織布は流体内の大径微粒子50aを意図的に表面ろ過で捕捉して、当該繊維塊3でしか捕捉できない粒径の小径微粒子50b、極小微粒子50cのみを繊維塊3で捕捉する。大径微粒子50aは粒子間のすき間も大きく流体は容易に通過する。最内層不織布20bは当該フィルタ6で捕捉する目的の粒径の微粒子50が通過しない様にガードするように作用する。
【0036】
【実施例】
(実施例1)熱融着性繊維5として、低融点ポリマーを鞘に持つ芯鞘構造のポリエステル繊維(繊度2デニール、繊維長38mm)と、短繊維4としてポリエステル短繊維(繊度6デニール、繊維長64mm)とを8対2の割合で混紡した原綿を繊維構造体2として、180℃の加熱炉で圧縮固定して繊維ブロックを形成した。しかる後、この繊維構造体2を豆粒状に裁断し繊維塊3を形成した。当該繊維塊3をフィルタ6として成形すべく、外形68mm内径32mm長さ250mmの円筒状金型に詰め、200℃で再熱処理を行った。該フィルタ6を用いて図2に示す様な、繊維密度が125g/Lの円筒状ろ過フィルタ8を製作した。
【0037】
本円筒状ろ過フィルタ8と従来の25μろ過の糸巻きフィルタとのろ過性能を比較したところ、ろ過性能についてはほとんど差異は見られなかったが、重量において本円筒状ろ過フィルタ8は30%軽量であった。
【0038】
(実施例2)短繊維4として布団として使用済のポリエステルと綿の混紡した寝具の原綿を打ち直したものと、熱融着性繊維5としてカード工程で低融点を鞘に持つ繊度4デニール、繊維長51mmの芯鞘構造のポリエステル繊維とを50%の割合で混紡したカードウェブの繊維構造体2を形成した。この繊維構造体2を積層して200℃の加熱炉で圧縮固定した繊維ブロックを成形した。しかる後、この繊維ブロックを豆粒状に裁断し繊維塊3を形成した。当該繊維塊3を外形68mm内径32mm長さ250mmの円筒状金型に詰め、210℃の加熱炉で再熱処理を行い、繊維塊3を一体成形させて、フィルタ6を製作した。
【0039】
この結果、本フィルタ6のコストは短繊維4の材料としてリサイクル品を用いたことにより、実施例1に比べ大幅に低下した。本フィルタ6にベントナイトを含んだ建設泥水にPAC凝集剤でフロックを作り凝集沈殿させた後、上水を本フィルタ6に通過させてろ過したところ、綿を含んでいることにより、合成繊維100%からなるフィルタ6と比べて、ベントナイト除去率が20%向上した。
【0040】
(実施例3)実施例1で製作したフィルタ6の最外層不織布20a、最内層不織布20bとして、目付け30g/m2のポリエステルの不織布を用い、図2に示す円筒状ろ過フィルタ8を作成した。この円筒状ろ過フィルタ8とろ過密度25ミクロン相当の糸巻フィルタとに30ミクロンの標準微粒子を含んだ5ppmの液体を10リットル/分の流量を24時間連続通過させた。その後、各々のフィルタ表面を洗浄し、フィルタ内部に補足した微粒子50の重量を計測したところ、本円筒状ろ過フィルタ8は比較のため用いた糸巻フィルタに比べて35%多くの微粒子50をフィルタ6内部に捕捉していた。
【0041】
(実施例4)実施例1に記載した繊維塊3とともに、平均粒径が200μmのヤシ殻からなる活性炭7を重量比で10%混ぜて、同様に円筒状金型に均一分散させて詰め熱処理を行い、固形成分が混入した繊維フィルタ6を製作した。本フィルタ6を赤錆の発生した水道水の蛇口に取り付けたところ、水道管から発生した赤錆がろ過され、且つ、水道水に0.15ppm含まれていた次亜塩素酸ソーダの濃度が0.01ppm以下になった。それにより、雑菌の繁殖が抑制された塩素臭の無い飲料に適する水道水を得ることが出来た。
【0042】
(実施例5)汚れた河川水に水酸化第二鉄を混合して100ppmのフロックをつくり、この濁水を10リットル/分の流速で実施例1で使用したフィルタ6と従来のろ過密度25ミクロン相当の糸巻フィルタにてろ過した。ろ過後各々のフィルタについて差圧60キロパスカル時のフィルタ体積内のSS捕捉量を測定したところ、実施例1で使用したフィルタ6は13.6グラム重、比較に用いた従来の糸巻フィルタは8.3グラム重であり、明らかにSS捕捉量に差があって、本発明のろ過フィルタ6が凝集ろ過後のフィルタとして有効であることが確認できた。
【0043】
【発明の効果】
本発明におけるろ過フィルタは、捲縮のある短繊維と低融点高分子の混合物から構成されているので、ろ過したい微粒子のサイズに合わせて、繊維構造体を用いてフィルタを成形でき、目的に合わせた効率の良いろ過フィルタを得ることが出きる。また、繊維構造体を加熱圧縮して成形し、裁断して繊維塊として後、金型に詰めて再処理するのでろ過フィルタの寸法および形状を用途に応じて任意に変更することができる。
【0044】
本発明のろ過フィルタは製法が簡単なために、均質で且つ必要な性能のものを大量に生産できる。
【0045】
ろ過と同じに異種の粒状物および/または繊維状固形物を混入させることも容易であることから、流体内の溶解物を吸着作用で取り除く機能を併用することができる。
【0046】
繊維構造体の材料としてリサイクル原綿を用いることにより、安価なろ過フィルタを得ることができる。
【0047】
本発明によるろ過フィルタの繊維構造タイの材料としての短繊維に捲縮を持たせてあるので、寿命後の当該ろ過フィルタを高温の状態にすることにより、体積膨張が生じ、もとの体積に復元しようとする性質があることから、ろ過フィルタ内の捕捉微粒子とろ過フィルタの繊維塊とを物理的に容易に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維構造体の構成を説明する図である。
【図2】本発明の円筒状ろ過フィルタの構造を表す図である。
【図3】本発明の補強材を挿入した円筒状ろ過フィルタの構造を表す図である。
【図4】本発明のフィルタの構成の模式図である。
【図5】本発明のフィルタの作用を示す模式図である。
【図6】本発明のろ過フィルタの作用を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ろ過フィルタ
2 繊維構造体
3 繊維塊
4 短繊維
5 熱融着性繊維
6 フィルタ
7 活性炭
8 円筒状ろ過フィルタ
10 端面テール板
20a 最外層不織布
20b 最内層不織布
30 補強材
50 微粒子
50a 大径微粒子
50b 小径微粒子
50c 極小微粒子
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体、液体用ろ過フィルタおよび筒状ろ過フィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、気体や液体中の微粒子をろ過するためのカートリッジ型ろ過フィルタは各種形式のものが公知である。例えば、多く糸巻きフィルタ、プリーツ型フィルタなどが上げられる。また、ろ過材として金属メッシュ、ポーラスなセラミックス、織物や不織布などが多く用いられて来た。
【0003】
例えば、糸巻きフィルタでは、綿糸、ポリプロピレン等の紡績糸を孔のあいた芯棒に巻きつけてろ過フィルタとしている。使用する原綿の種類と番手、製造時の条件である巻き張力と巻き数および綾角度等を変えることでろ過粒子の大きさを決定していた。その場合、SSや微粒子を糸と糸の間の間隙を利用して圧力損失を少なくして、内層部へSS部を侵入させた後、捕捉しているが、短繊維間の間隙と糸間の間隙の差が大きいため、どちらかに偏りすぎ、短繊維間でSSを捕捉しようとするとフィルタを通過する微粒子径が大きくなり、糸の間隔でSSを捕捉しようとすると微粒子成分が細かすぎてすぐに目詰まりを生じていた。
【0004】
また、プリーツ型フィルタでは、ろ過紙のようなろ過面によってろ過微粒子を捕捉する場合に、ろ過粒子がろ過紙の上に堆積すると目詰まりしてろ過しなくなるので、プリーツ状にすることで、ろ過面積を大きく取り、性能の向上を図っているが、形態上、ろ過面積を広げるには限度があった。
【0005】
ろ過材としてポーラスなセラミックスでろ過することも提供されているが、構造体の中のポーラス部とセラミックス部とは均質な構成になっていて、ろ過流量が限定され、ポーラス部分にろ過物が堆積し圧力損失が増加するなどの問題があった。
【0006】
発明者らは、通液性、ろ過寿命、ろ過精度などに関する上記問題点を解決する為に、鋭意検討を重ね、流体ろ過フィルタを捲縮された短繊維を積層圧縮ブロック状態で構成し、かつ各短繊維同士を接触箇所で接着するとともに繊維積層方向のみに圧縮して繊維積層方向と直交する方向に優先的に通液可能なろ過フィルタを発明し、特願2002−240996号として出願したが、ろ過フィルタとして通液方向に限定があるなどのさらなる改良点を残していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ろ過フィルタに求められる性能としては、低圧力損失、長寿命、対薬品性、抗菌性、粒子捕捉性(洩れシール性)、形態安定性、耐圧性、均一性、経済性(安価)、安全性、廃棄のし易さなどが上げられる。特に、ろ過する粒子径が同じであれば、低圧力損失、長寿命が望まれる。
【0008】
ここで、圧力損失の発生を少なくすることにより、流体をろ過フィルタに時間あたり多量に流すことが出来、その結果、1本当たりのろ過フィルタに流れる流量が多く取れるために装置の小型化が図れる。さらに、微粒子を含む流体をろ過フィルタに通したときに、ろ過フィルタ内に捕捉される固形分の重量が多く、且つ、SS濃度が一定であればろ過フィルタの寿命は長くなり、経済性に富む。本発明は上記理由に基づき、特に、カートリッジ型の糸巻きフィルタに代替可能な低圧力損失長寿命の性能を有したフィルタを得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明では、短繊維の集合体からなるろ過フィルタにおいて、構成する短繊維の長さがランダムであり、捲縮可能な長さ以上の該短繊維は捲縮され、繊維集合体内の短繊維軸がランダムな方向に配列され、且つ、短繊維同士のすべての交差点または一部の交差点で接着された繊維構造体からろ過フィルタを構成している。
【0010】
また、上記繊維構造体が合成繊維および/または天然繊維、および前記繊維よりも低融点である合成繊維よりなり、該低融点である合成繊維が加熱により少なくともその表面が溶融し、前記繊維同士の接触箇所を接着したように構成している。
【0011】
さらに、上記低融点である合成繊維が、鞘が低融点ポリマからなる芯鞘構造の合成繊維よりなっている。
【0012】
本発明のろ過フィルタのフィルタは、低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をネップ(毛玉)状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形して成っている。
【0013】
本発明のろ過フィルタのフィルタの他の成形方法として低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をマット状に成形し、しかる後圧縮加熱により固定して繊維ブロックを形成し、該繊維ブロックをを破砕して粒状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形することにより成っている。
【0014】
上記フィルタに粒状および/または繊維状の固形物を分散させたことによりよりろ過性能をあげている。
【0015】
上記フィルタのかさ密度を20g/Lから300g/Lとすることが好ましい。
【0016】
本発明では、上記フィルタの外層部および/または内層部をろ過性能を持つ不織布、ろ過紙および/または透過性のある補強材で被覆しさらにろ過性能を上げている。
【0017】
本発明のろ過フィルタの製造方法としては、低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をネップ(毛玉)状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形する方法を用いている。
【0018】
また、ろ過フィルタの他の製造方法としては、低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をマット状に成形し、しかる後圧縮加熱により固定して繊維ブロックを形成し、該繊維ブロックをを破砕して粒状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形する方法を用いている。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明における、ろ過フィルタ1の繊維構造体2の構成を図1に示す。繊維構造体2を構成する主基材としての短繊維4は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアミドなどの合成繊維、異種の合成繊維同士の混合繊維や、木綿、麻、へちま等の植物繊維と合成繊維との混合繊維の短繊維4からなり、いずれも適用できる。さらには、主基材が短繊維4の集合体であることから、リサイクルとして衣料製品や寝具などの製造過程で発生するくず綿やそれらの再生品からほぐした原綿などを有効に用いることもできる。但し、好ましくは、形態保持性能に優れるポリエステルが最も良い材料である。
【0020】
繊維構造体2を構成する短繊維4はその繊度が0.5デニール〜20デニールの範囲で、短繊維4の長さ100mm以下にすると良い。繊度が小さい(細い)と捕捉する微粒子が細かくなり捕捉性は良くなるが、繊度が0.5デニール以下の場合は、短繊維4が製造工程においてもつれやすく生産性が悪くなる。また、短繊維4の繊度を逆に大きく(太く)し、20デニール以上とした場合は後述の副基材である熱融着性繊維5による接着強度が低下して形態安定性に欠ける。また、短繊維4の長さが100mmより長くなると該短繊維4同士が絡みすぎて製造工程にて扱いが難しくなる。
【0021】
また、副基材として、熱融着性繊維5は、主基材の短繊維4より相対的に低融点であって、加熱により少なくともその表面が溶融し接触した箇所で接着し得る繊維状のものを選択する。この様な熱融着性繊維5としては、低融点の共重合ポリエステル系繊維、ポリオレフェン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維等が良い。特に低融点ポリマー成分を有する複合繊維は形態保持性に優れるのでなお好ましい。複合繊維が、芯鞘状複合繊維の場合には、鞘成分に低融点成分を配置したものを用いるのが望ましい。
【0022】
副基材として用いられる前記熱融着性繊維5は、短くすることが望ましい。その理由は、短くすることによって繊維構造体2の全体に均一に分散させ、主基材としての短繊維4同士を均一に接着出来て形態が強固に保たれるからである。また、熱融着性繊維5の分散性を良くするため、熱融着性繊維5は混合する主基材の短繊維4との関係から繊度を2デニール〜10デニール、長さを100mm以下にすることが好ましい。
【0023】
次ぎに、熱融着性繊維5の混合比率であるが、繊維構造体2全体に対し重量比率として10%〜60%とすると良い。熱融着性繊維5が繊維構造体2全体の重量比率10%以下の場合、主基材の短繊維4同士の接着が不十分になって使用中のフィルタ6としての形態保持が困難になる。また、熱融着性繊維5が繊維構造体2全体の重量比率60%以上の場合、熱融着性繊維5が溶け出して主基材の短繊維4間の空隙を塞ぎろ過性能が著しく低下する。
【0024】
また、主基材の短繊維4として天然繊維を用いる場合に副基材の熱融着性繊維5の変わりに、低融点ポリマーの粉末を繊維構造体2全体に重量比率10%〜60%をブレンドして成形することもできる。
【0025】
繊維構造体2に対して必要な空隙率を付与し、当該流体内のろ過する微粒子50の粒径を任意に設定するために、主基材の短繊維4に捲縮を与える。捲縮数は通常短繊維4長さの一インチ間あたりの山数を5山〜20山の範囲に設定する。捲縮数が短繊維4長さ一インチ間あたり5山以下の場合は、製造工程で短繊維4同士が絡まった繊維構造体2になりにくく、捲縮数が短繊維4長さ一インチ間あたり20山以上の場合は短繊維4が絡み過ぎて毛玉になり繊維構造体2内にむらが出来てまいフィルタ6を成形する材料として適さない。尚、製造工程において、極端に短い短繊維4に対しては、捲縮が無い場合があるが、これは捲縮を持った短繊維4が破砕の段階で出来たもので支障は無い。
【0026】
上記の様に設定された主基材である短繊維4と副基材としての熱融着性繊維5からなる繊維構造体2は内部の繊維密度に粗密な部分が混在し、短繊維4の軸がランダムな方向を向いていて、微細な空隙に大小を生じるが、全体として均一な分布となっている。この様に、繊維構造体2の中にミクロな繊維密度むらがあると流体の流れは繊維密度の低い方に多量の流体が流れ、繊維密度の高い方には流れが少ない状態になる。この作用により後述するが繊維構造体2をフィルタ6として成形した際の繊維塊3が極小微粒子50cを捕捉するというろ過性能をもたらしている。
【0027】
上記の繊維構造体2を用いて、フィルタ6として成形する製造方法としては、上記繊維構造体2をネップ(毛玉)状の繊維塊3にした後、成形容器にしかるべき繊維密度で平均的に充填し熱固着する方法が良い。また他のフィルタ6製造方法として、上記繊維構造体2をマット状に形成し、しかる後、圧縮加熱で固定して任意の繊維密度を持った繊維ブロックとする。この繊維ブロックを破砕機で粒状に破砕し繊維塊3とした後、フィルタ6の形状をした筒状成形容器に繊維密度が平均的になるように調整して充填し、熱固着する方法が用いられる。
【0028】
上記の様な好ましいろ過性能の状態を形成するためには主基材である短繊維4と副基材としての熱融着性繊維5からなる繊維塊3のフィルタ6としてのかさ密度を20g/Lから300g/Lにすると良い。
【0029】
図5に示す様に、一定濃度の微粒子50を含む流体をろ過すると、まず、繊維密度の低いところで大径微粒子50aがろ過され始め、圧力損失が上昇すると繊維密度の高い部分に流体は流れて、その結果、フィルタ6が捕捉する小径微粒子50bが繊維塊3のあちらこちらで捕捉される。さらに、極小微粒子50cが繊維塊3にひっつく様に捕捉されるので、体積あたりの捕捉した微粒子50の重量が大きくなる。また、フィルタ6が立体構造であるので、ミクロな迷路のような空隙があって、一旦微粒子50が空隙に入り込むと強固に捕捉される。
【0030】
また、図4に示す様に、微粒子50のろ過性能を上げ、且つ液体中の特定の溶解成分を吸着させるために、製作途上で異種の粒状物および/または繊維状固形物、例えば活性炭7を混入させることも容易である。この特性を利用して、粒状および/または繊維状の固形物として顆粒状の活性炭7を混入させて水中の有機物を吸着させたり、繊維表面に銅を蒸着させた繊維状固形物を混入させて雑菌が発生しにくくするという機能をフィルタ6に付加することもできる。
【0031】
このフィルタ6の形状としては、多く図2に示される様に、筒の周囲を最外層不織布20a、筒の内側を最内層不織布20bおよび筒状の軸方向の両端を端面テール板10でフィルタ6を包んだように形成した円筒状のろ過フィルタ1の様に円筒状ろ過フィルタ8として成形される。
【0032】
本発明のフィルタ6に最外層不織布20a最内層不織布20bで包みろ過フィルタ1とする理由は次ぎから成る。フィルタ6は繊維塊3間のろ過層の厚みによって微粒子50を統計的に捕捉する。従い、他のフィルタ6同様微粒子50が捕捉されないで通過してしまう可能性は否定できない。その微粒子50の通過を防ぐため、図6に示す最外層不織布20a、最内層不織布20bの様に、フィルタ6の繊維塊3の表面および/または内面に微粒子50のろ過精度が均一な不織布、織物および/またはろ過紙などで被覆すると、表面ろ過が安定してろ過量が増すとともに微粒子50がフィルタ6を通過してしまうプッシュアウト現象の解消対策となる。
【0033】
図3に示される様に、円筒状ろ過フィルタ8のフィルタ6は繊維塊3から成るので繊維密度によってはろ過する流体の圧力を受けて、たわみを生じる場合がある。これを補強する為に、中心部に強度補強用の透過性のある補強材として、多数の穴のあいたプラスチックの円筒を補強材30として挿入することができる。当該補強材30の材料としてはポリプロピレンなどが適切である。
【0034】
(作用)本発明のフィルタ6の作用について図5を用いて説明する。大径微粒子50aは表面で阻止されるが、小径微粒子50bはフィルタ6の表面のネップ(毛玉)状の繊維塊3の空隙をぬって通過する。ある通路で微粒子50は繊維塊3に阻まれて次々と捕捉されると限界が来た時点でその通路は閉塞し、流体はその他の通路へと方向を変える。次々に各通路の空隙が微粒子50で閉塞すると最後にネップ(毛玉)状の繊維塊3のフィルタ6の厚みの奥部分にまで流体が及び、極小微粒子50cでネップ(毛玉)状の繊維塊3まで閉塞して該フィルタ6の寿命は終わる。すなわち、本発明のフィルタ6はランダムな粒径を捕捉する構造となっており、ランダムな粒径の微粒子50を含む流体の微粒子50を捕捉するのに効果的である。
【0035】
また、図6にフィルタ6の最外内層に最外層不織布20a最内層不織布20bを配置した本発明のフィルタ6のモデル図を示す。最外層部の不織布は流体内の大径微粒子50aを意図的に表面ろ過で捕捉して、当該繊維塊3でしか捕捉できない粒径の小径微粒子50b、極小微粒子50cのみを繊維塊3で捕捉する。大径微粒子50aは粒子間のすき間も大きく流体は容易に通過する。最内層不織布20bは当該フィルタ6で捕捉する目的の粒径の微粒子50が通過しない様にガードするように作用する。
【0036】
【実施例】
(実施例1)熱融着性繊維5として、低融点ポリマーを鞘に持つ芯鞘構造のポリエステル繊維(繊度2デニール、繊維長38mm)と、短繊維4としてポリエステル短繊維(繊度6デニール、繊維長64mm)とを8対2の割合で混紡した原綿を繊維構造体2として、180℃の加熱炉で圧縮固定して繊維ブロックを形成した。しかる後、この繊維構造体2を豆粒状に裁断し繊維塊3を形成した。当該繊維塊3をフィルタ6として成形すべく、外形68mm内径32mm長さ250mmの円筒状金型に詰め、200℃で再熱処理を行った。該フィルタ6を用いて図2に示す様な、繊維密度が125g/Lの円筒状ろ過フィルタ8を製作した。
【0037】
本円筒状ろ過フィルタ8と従来の25μろ過の糸巻きフィルタとのろ過性能を比較したところ、ろ過性能についてはほとんど差異は見られなかったが、重量において本円筒状ろ過フィルタ8は30%軽量であった。
【0038】
(実施例2)短繊維4として布団として使用済のポリエステルと綿の混紡した寝具の原綿を打ち直したものと、熱融着性繊維5としてカード工程で低融点を鞘に持つ繊度4デニール、繊維長51mmの芯鞘構造のポリエステル繊維とを50%の割合で混紡したカードウェブの繊維構造体2を形成した。この繊維構造体2を積層して200℃の加熱炉で圧縮固定した繊維ブロックを成形した。しかる後、この繊維ブロックを豆粒状に裁断し繊維塊3を形成した。当該繊維塊3を外形68mm内径32mm長さ250mmの円筒状金型に詰め、210℃の加熱炉で再熱処理を行い、繊維塊3を一体成形させて、フィルタ6を製作した。
【0039】
この結果、本フィルタ6のコストは短繊維4の材料としてリサイクル品を用いたことにより、実施例1に比べ大幅に低下した。本フィルタ6にベントナイトを含んだ建設泥水にPAC凝集剤でフロックを作り凝集沈殿させた後、上水を本フィルタ6に通過させてろ過したところ、綿を含んでいることにより、合成繊維100%からなるフィルタ6と比べて、ベントナイト除去率が20%向上した。
【0040】
(実施例3)実施例1で製作したフィルタ6の最外層不織布20a、最内層不織布20bとして、目付け30g/m2のポリエステルの不織布を用い、図2に示す円筒状ろ過フィルタ8を作成した。この円筒状ろ過フィルタ8とろ過密度25ミクロン相当の糸巻フィルタとに30ミクロンの標準微粒子を含んだ5ppmの液体を10リットル/分の流量を24時間連続通過させた。その後、各々のフィルタ表面を洗浄し、フィルタ内部に補足した微粒子50の重量を計測したところ、本円筒状ろ過フィルタ8は比較のため用いた糸巻フィルタに比べて35%多くの微粒子50をフィルタ6内部に捕捉していた。
【0041】
(実施例4)実施例1に記載した繊維塊3とともに、平均粒径が200μmのヤシ殻からなる活性炭7を重量比で10%混ぜて、同様に円筒状金型に均一分散させて詰め熱処理を行い、固形成分が混入した繊維フィルタ6を製作した。本フィルタ6を赤錆の発生した水道水の蛇口に取り付けたところ、水道管から発生した赤錆がろ過され、且つ、水道水に0.15ppm含まれていた次亜塩素酸ソーダの濃度が0.01ppm以下になった。それにより、雑菌の繁殖が抑制された塩素臭の無い飲料に適する水道水を得ることが出来た。
【0042】
(実施例5)汚れた河川水に水酸化第二鉄を混合して100ppmのフロックをつくり、この濁水を10リットル/分の流速で実施例1で使用したフィルタ6と従来のろ過密度25ミクロン相当の糸巻フィルタにてろ過した。ろ過後各々のフィルタについて差圧60キロパスカル時のフィルタ体積内のSS捕捉量を測定したところ、実施例1で使用したフィルタ6は13.6グラム重、比較に用いた従来の糸巻フィルタは8.3グラム重であり、明らかにSS捕捉量に差があって、本発明のろ過フィルタ6が凝集ろ過後のフィルタとして有効であることが確認できた。
【0043】
【発明の効果】
本発明におけるろ過フィルタは、捲縮のある短繊維と低融点高分子の混合物から構成されているので、ろ過したい微粒子のサイズに合わせて、繊維構造体を用いてフィルタを成形でき、目的に合わせた効率の良いろ過フィルタを得ることが出きる。また、繊維構造体を加熱圧縮して成形し、裁断して繊維塊として後、金型に詰めて再処理するのでろ過フィルタの寸法および形状を用途に応じて任意に変更することができる。
【0044】
本発明のろ過フィルタは製法が簡単なために、均質で且つ必要な性能のものを大量に生産できる。
【0045】
ろ過と同じに異種の粒状物および/または繊維状固形物を混入させることも容易であることから、流体内の溶解物を吸着作用で取り除く機能を併用することができる。
【0046】
繊維構造体の材料としてリサイクル原綿を用いることにより、安価なろ過フィルタを得ることができる。
【0047】
本発明によるろ過フィルタの繊維構造タイの材料としての短繊維に捲縮を持たせてあるので、寿命後の当該ろ過フィルタを高温の状態にすることにより、体積膨張が生じ、もとの体積に復元しようとする性質があることから、ろ過フィルタ内の捕捉微粒子とろ過フィルタの繊維塊とを物理的に容易に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維構造体の構成を説明する図である。
【図2】本発明の円筒状ろ過フィルタの構造を表す図である。
【図3】本発明の補強材を挿入した円筒状ろ過フィルタの構造を表す図である。
【図4】本発明のフィルタの構成の模式図である。
【図5】本発明のフィルタの作用を示す模式図である。
【図6】本発明のろ過フィルタの作用を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ろ過フィルタ
2 繊維構造体
3 繊維塊
4 短繊維
5 熱融着性繊維
6 フィルタ
7 活性炭
8 円筒状ろ過フィルタ
10 端面テール板
20a 最外層不織布
20b 最内層不織布
30 補強材
50 微粒子
50a 大径微粒子
50b 小径微粒子
50c 極小微粒子
Claims (10)
- 短繊維の集合体からなるろ過フィルタにおいて、構成する短繊維の長さがランダムであり、捲縮可能な長さ以上の該短繊維は捲縮され、繊維集合体内の短繊維軸がランダムな方向に配列され、且つ、短繊維同士のすべての交差点または一部の交差点で接着された繊維構造体からなることを特徴とするろ過フィルタ。
- 繊維構造体が合成繊維および/または天然繊維、および前記繊維よりも低融点である合成繊維よりなり、該低融点である合成繊維が加熱により少なくともその表面が溶融し、前記繊維同士の接触箇所を接着していることを特徴とする請求項1に記載のろ過フィルタ。
- 低融点である合成繊維が、鞘が低融点ポリマからなる芯鞘構造の合成繊維であることを特徴とする請求項2に記載のろ過フィルタ。
- 低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をネップ(毛玉)状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形して成ることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の請求項に記載のろ過フィルタ。
- 低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をマット状に成形し、しかる後圧縮加熱により固定して繊維ブロックを形成し、該繊維ブロックをを破砕して粒状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形して成ることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の請求項に記載のろ過フィルタ。
- フィルタに粒状および/または繊維状の固形物を分散させたことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の請求項に記載のろ過フィルタ。
- フィルタのかさ密度が20g/Lから300g/Lであることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の請求項に記載のろ過フィルタ。
- フィルタの外層部および/または内層部をろ過性能を持つ不織布、ろ過紙および/または透過性のある補強材で被覆したことを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の請求項に記載のろ過フィルタ。
- 請求項1から6のいずれかの請求項に記載のろ過フィルタにおいて、低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をネップ(毛玉)状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形することを特徴とするろ過フィルタの製造方法。
- 請求項1から6のいずれかの請求項に記載のろ過フィルタにおいて、低融点である合成繊維を含有した繊維構造体をマット状に成形し、しかる後圧縮加熱により固定して繊維ブロックを形成し、該繊維ブロックをを破砕して粒状の繊維塊にした後、フィルタの形状をした成形容器に充填し、しかる後熱固着してフィルタを成形することを特徴とするろ過フィルタの製造方法。
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JP2003098371A JP2004298846A (ja) | 2003-04-01 | 2003-04-01 | ろ過フィルタ及びろ過フィルタの製造方法 |
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Cited By (2)
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KR101669275B1 (ko) * | 2008-09-12 | 2016-10-25 | 스미또모 가가꾸 가부시끼가이샤 | 구조체, 이 구조체의 제조 방법, 증산 장치, 증산 방법 및 증산용 키트 |
CN114277505A (zh) * | 2021-12-10 | 2022-04-05 | 东莞市利韬过滤材料有限公司 | 短纤水驻极静电骨架及其制备过程 |
-
2003
- 2003-04-01 JP JP2003098371A patent/JP2004298846A/ja active Pending
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