JP2004298166A - 植物の栽培基体並びに栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境および植物に負荷をかける因子を持たず、あらゆる栽培形態および幅広い種類の植物に対して長期にわたる栽培に適した栽培基体並びに栽培方法を提供すること。
【解決手段】異なる材料からなる二つの部位を有する基体であって、主たる部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体並びに前記栽培基体の他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することを特徴とする植物の栽培方法。
【選択図】 なし
【解決手段】異なる材料からなる二つの部位を有する基体であって、主たる部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体並びに前記栽培基体の他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することを特徴とする植物の栽培方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は植物の栽培基体並びに該栽培基体を用いての栽培方法に関するものである。更に詳細には主に連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなる栽培基体並びに該栽培基体を用いての栽培方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、植物の栽培基体としては主に有機、無機あるいはこれらの混合物からなる天然栽培基体が用いられてきた。
これらの天然栽培基体としては各種土類、各種砂類、各種小石類、腐葉土、水苔、ココピート、ピートモス、やしがら、堆肥パルプ等があって、単独あるいは混合物の形で用いられてきた。
しかしながら天然土壌の場合▲1▼天然土壌を介して病害虫が発生すること▲2▼連作ができない等の問題があり、人工栽培基体が開発されてトマト、ネギ、レタス等の野菜分野を中心に水耕栽培が実用化されてきた。
【0003】
これらの人工栽培基体としてはロックウール、連続気泡フェノールフォーム、連続気泡ポリウレタンフォーム等が知られている。
ロックウールは吸水性並びに保水性がよいことから幅広く水耕栽培に使用されているが、無機物質がゆえ燃えない、腐らないなどの産業廃棄物問題並びに保水性が大きすぎることに起因して過湿状態でのカビ、苔並びに病気発生が多いなどの問題を有している。
またフェノールフォームを代表とする縮合系合成樹脂フォームは燃え難く、生分解しにくいといったロックウールと同様の産廃問題のほかに、さらにホルムアルデヒドが放出されるなど生活環境汚染の問題をも有しており、問題視され始めている。
【0004】
一方連続気泡性ポリウレタンフォームの場合には▲1▼過湿にならず病気・根腐れなどが発生しない▲2▼連作が可能▲3▼燃え易い▲4▼生分解し易い▲5▼ホルムアルデヒドを放出させないなどの利点を有するものの、保水性が低い。
【0005】
ところで連続気泡性ポリウレタンフォームを植物の栽培基体として使用する試みは古くは特開昭48−67018,特開昭51−135228,特開昭52−93512,特開昭54−10108,特開昭57−99130、実開昭52−47149,特開昭56−15619,実開昭52−107241,実開昭53−5938等に提案がなされ、現在に至るまでに多くの提案がされている。これらのことからブロック状の定形品の各種ポリウレタンフォーム並びにそのポリウレタンフォームをチップ化したものを植物の栽培基体として使用することは公知である。
しかし従来の連続気泡性ポリウレタンフォームでは、保水性が低いことから自動給水管理が徹底された工業的水耕栽培、あるいは専門業者による特定の植物の苗に限定された挿し木、挿し芽等の苗木栽培といった利用範囲に限定されているのが実情であり、その後もポリウレタンフォームの親水化についての多くの提案がなされたが、やはり吸水性が低いなどの問題があり前述の利用範囲にとどまっている。
【0006】
そこで従来の天然栽培基体や人工栽培基体のように、環境および植物に負荷をかける因子を持たない植物の栽培基体、すなわち▲1▼過湿にならず病気・根腐れなどが発生しない▲2▼連作が可能▲3▼燃え易い▲4▼生分解し易い▲5▼ホルムアルデヒドを放出させないなどの特徴を持ちながら、なおかつ自動給水管理の工業的水耕栽培あるいは挿し木等の短期な苗木栽培に限定されずあらゆる栽培形態が可能であり、さらに専門業者だけに限定されずに一般家庭などにおいても長期に渡って幅広い種類の植物の栽培に適合可能な植物の栽培基体の開発並びに栽培方法が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開昭48−67018号公報(2頁右上欄4行〜3頁右上欄20行)
【0008】
【特許文献2】
実開昭52−47149(2頁上段2行〜2頁上段16行)
【0009】
【特許文献3】
実開昭53−39738(2頁上段16行〜2頁上段20行)
【0010】
【特許文献4】
特開昭56−15619(2頁左上欄12行〜2頁右上欄7行)
【0011】
【特許文献5】
特開平7−327483(段落
【0007】〜
【0008】)
【0012】
【特許文献6】
特開平9−168341(段落
【0011】〜
【0014】)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、環境および植物に負荷をかける因子を持たず、あらゆる栽培形態および幅広い種類の植物に対して長期にわたる栽培に適した栽培基体並びに栽培方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願第一の発明は、異なる材料からなる二つの部位を有する基体であって、主たる部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体である。
本願第二の発明は、前記栽培基体を用い、しかも前記栽培基体の他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することを特徴とする植物の栽培方法である。
本発明により、環境および植物に負荷をかける因子を持たない栽培基体を提供し、一般の土壌による植物栽培と同様なあらゆる栽培形態および幅広い種類の植物に適した栽培方法を提供することができる。
【0015】
【実施の形態】
本発明について更に詳細に説明する。
本発明に於ける植物の栽培基体は、異なる材料からなる二つの部位を有する基体であって、主たる部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体である。
本発明の植物の栽培基体においては、主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームには、吸水速度が10秒以下の容易に水を吸収する連続気泡性親水ポリウレタンフォームであることが必要である。また、他の部位の材料としては、天然土壌、繊維質材料あるいはSiO2系発泡体から少なくとも一つを選択することが必要である。
吸水速度が10秒より遅い支持体では親水性及び吸水性が低く、栽培自体に適さないため本願の要求を満たさない。植え付け当初及び散水時の吸水しやすさの点から5秒以下、更に好ましくは3秒以下の支持体とするのが良い。
【0016】
本発明の植物栽培基体の、他の部位の材料である前記天然土壌としては、従来公知の土、砂、パーミキュライトなどを用いることができる。また、前記繊維質材料としては、例えばココピート、ピートモス、水苔、腐葉土、やしがら、パルプ、堆肥、もみがらを用いることができるが、特にココピート、ピートモス、水苔、腐葉土、やしがら、パルプが吸水性、保水性並びに取り扱い性の面で好ましい。これらの材料は単独で使用しても組み合わせても良く、使用する植物の種類等に合わせて自由に選択するのが良い。
また、SiO2系発泡体とは特殊の火成岩等を適正粒度に粉砕した後焼成して膨張発泡させた軽量、吸水性並びに保水性の大きい材料であり、パーライトあるいはイソライト等の商品名で広く販売されており、これらの材料は単独で使用しても組み合わせても良く、使用する植物の種類等に合わせて自由に選択するのが良い。
【0017】
ここで主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームは他の部位の材料に比較して嵩密度が非常に小さいことから、空気の供給並びに空気の保持性が高い特徴がある。また他の部位の材料は嵩密度が大きく空気の供給並びに空気の保持性は低いが、一般に吸水量が大きく水の保持性(保水性)が高い。本願の栽培基体においては、栽培基体の中央部近辺に他の部位を位置させ、その周辺を連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなる主たる部位を位置させる。もちろん栽培基体が十分に大きい場合には、ひとつの栽培基体に複数個の他の部位を配置し、それぞれの周辺に連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなる主たる部位を位置させたものでも良く、本願の特許請求範囲に包含される。このようにすることにより、他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培した時には植物の根が360度均等条件で伸びていき、根元には他の部位の材料、根の先には主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームとなり、植物に十分な水分と空気がバランス良く、しかも安定して供給されることになり病気・根腐れなども発生せずに植物の成長が早く丈夫に育つ。
これは同じ体積の土壌と、連続気泡性親水ポリウレタンフォームとを比べてみたときに、例えば黒土は固相50%,液相(水)30%,気相(空気)20%からなるが、連続気泡性親水ポリウレタンフォームは固相5%,液相(水)40%,気相(空気)55%であり固相の割合が土壌に比べて圧倒的に少なく、更には液相の割合は保水量の加減により調整できるため、常に植物の根に十分な水分と空気をバランス良く、しかも安定して供給することができるからと考えられる。
【0018】
また、前述の理由以外に別の理由も考えられる。一般に植物は単に土壌から水や養分を、根を通じて吸収している以外に植物の根の周辺には各種のバクテリアが存在していて、植物との間で共生関係を保っていることが知られている。この共生関係が植物の生育に大きく関係しており本発明の栽培基体のなかで、主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームが十分な空気を供給し、他の部位の材料によるこのような共生関係が相乗効果をもたらし、良好な生育に寄与しているとも考えられる。
本発明により水管理が非常に簡単になると共に植物の生育が良好となり、あらゆる栽培形態および幅広い種類の植物に対して長期にわたる栽培に適した植物栽培基体となる。
【0019】
本発明の植物の栽培基体に於いては、前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームの保水量が、0.4g/cm3以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.5g/cm3以上が良い。
ここで、保水量が0.4g/cm3以上であれば、栽培する植物や栽培期間、あるいは連続気泡性親水ポリウレタンフォーム定形品の大きさやチップ品を入れた栽培容器の大きさ等によるので一概には言えないが、散水が2〜3日に一度くらいの頻度で済むため水管理が非常に簡単になる。
本発明において保水量とは、縦3cm×横3cm×高さ3cmの立方体フォームを25℃の蒸留水中に浮かべ5分後に引き上げ5メッシュ状の金網の上に1時間置いて測定するとき、元のフォームの重量をG1、引き上げ1時間放置後の重量をG2、フォーム体積をVとし、次式より算出する。
【0020】
また、本発明の植物の栽培基体に於いては、前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームは定形品でもチップ品でもどちらでも良い。ここで定形品とは直方体や円柱体等の形状を有し、該直方体や円柱体1個当たり1本以上の植物を植えることのできる大きさを有する植物の栽培基体を指す。チップ品とは連続気泡性親水ポリウレタンフォームを小片にしたものを指し、複数集まって植物の栽培基体となるものを指す。主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームを定形品にするか、チップ品にするかは栽培方法並びに植物の種類に合わせて適宜選択使用すればよい。
定形品で使用される連続気泡性親水ポリウレタンフォームは、一般に小サイズ品は播種あるいは挿し木・挿し芽等の育苗用に用いられ、大サイズ品は苗木を定植するのに用いられる。例えば縦30mm×横30mm×高さ30mmあるいは縦100mm×横100mm×高さ75mm等のサイズを有した定形品を好適に用いることができる。
チップ品で使用される連続気泡性親水ポリウレタンフォームとしては、例えば縦15mm×横15mm×高さ10mmあるいは縦10mm×横10mm×高さ5mmなどの直方体状のチップ、あるいは一般の羽根あるいはスクリュー等で剪断カットされた直径が30mm以下の不定形チップ、あるいは直径が30mm以下乃至1mm程度の粒状チップが挙げられる。これらのチップは例えば、縦50cm×高さ50cm×長さ数mの栽培容器に入れ、バラ等を長期に渡り栽培するのに適する。また縦40cm×高さ50cm×長さ60cm程度のコンクリート製プランター、あるいは一般の鉢などに入れ花等を移植して使用することができる。
【0021】
定形品として使用する場合の連続気泡性親水ポリウレタンフォームの物理特性は、見掛け密度が10kg/m3〜40kg/m3、伸びが130%以下、通気度が40cc/cm2/sec〜400cc/cm2/sec、圧縮強度が0.8N/cm2〜3.5N/cm2、水吸上げ高さが3mm以上であることが好ましい。
見掛け密度が10kg/m3に満たない連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは苗を保持する支持力に欠け、40kg/m3より大きな連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは根が成長するにつれ過密となって酸素の供給が不十分となり、生育が遅れるため本願の要求を満たさない。苗の支持力、酸素の供給からみて見掛け密度は10kg/m3〜30kg/m3の連続気泡性親水ポリウレタンフォームがより好ましい。
伸びが130%より大きな連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは、苗を保持する支持力に欠け十分に固定することができないため本願の要求を満たさない。また、苗の保持力、根の成長しやすさの観点からみて伸びは15%以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームがより好ましい。
【0022】
通気度が40cc/cm2/secより低い連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは酸素の供給が不足し根の成長を阻害し、400cc/cm2/secより高い連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは、水を保持する保水性に欠け、水の供給が不足しがちとなるため本願の要求を満たさない。保水性、空気の供給のバランスからみて通気度は50cc/cm2/sec〜300cc/cm2/secの連続気泡性親水ポリウレタンフォームがより好ましく、更に好ましくは60cc/cm2/sec〜200cc/cm2/secの連続気泡性親水ポリウレタンフォームとするのがよい。
また圧縮強度が0.8N/cm2より小さい連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは苗の支持力に欠け、3.5N/cm2より大きな支持体では、根が太く成長しようとする際にフォーム強度が大きすぎて根の成長を阻害するため本願の要求を満たさない。苗の支持力、根の成長のしやすさの観点からみて圧縮強度は1.0N/cm2〜2.5N/cm2の連続気泡性親水ポリウレタンフォームがより好ましい。
水吸上げ高さが3mmより低い連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは親水性が不足しており容易にポリウレタンフォーム中に水が浸透せず、苗を枯らしてしまうことになる。
【0023】
一方、チップ品で使用する場合には、チップにする前の連続気泡性親水ポリウレタンフォームブロックの状態での物理特性が、圧縮強度は0.8N/cm2〜20N/cm2、通気度は5cc/cm2/sec〜400cc/cm2/secが好ましい。チップ品の場合、植物の根は連続気泡性親水ポリウレタンフォーム中を貫通する必要はなくチップ品とチップ品との隙間に根が成長するため、多少圧縮強度が大きく、あるいは通気度が低くても植物の成長に大きな影響を与えないためである。
【0024】
なお、本発明に於いて各物理特性は次のように算出した。密度、伸び、通気度はJISK6400によって測定した。特に通気度は10mm厚さで測定した。また圧縮強度とは、JISK6400の硬さ測定に用いる試験機を使用して、直径20cmの円盤で縦75mm×横75mm×高さ50mmのサンプルを高さ方向で50%圧縮した時点の応力をいう。水吸上げ高さとは、縦20mm×横20mm×高さ60mmのサンプルを、縦450mm×横350mm×深さ20mmのステンレス製バットの中に置き、バットの底から10mmの高さまで蒸留水を注ぎ入れ、60分間放置したときサンプルの水面高さ10mmを除いたフォーム吸水高さをいう(疑似毛細管法)。吸水時間とは、縦50mm×横50mm×高さ50mmのサンプル上表面に針規格22G×11/4〃(ニプロ社製)付き注射器で蒸留水1滴を滴下したとき、支持体中に完全に吸収されるまでに要した時間をいう(水滴滴下法)。
【0025】
本発明に於ける植物の栽培基体は、具体的には次のようなものである。
定形品で使用する場合には例えば、ブロック状の連続気泡性親水ポリウレタンフォームの中心を円筒形に打ち抜いてその中に他の部位の材料を詰めたり、打ち抜いた円筒形部分を縦に2分割してそのあいだに他の部位の材料を挟んだのちに円筒形部分を元の場所に戻したものである。ここで他の材料は、主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームの、上部から下部に至るまで貫通して配置されていてもよいし、上部より底に近い位置まで入れられているが下面に届くまでは至っていなくてもよいし、またその逆でもよい。
また、連続気泡性親水ポリウレタンフォームのチップ品を用いる場合は、鉢などの栽培容器の底にチップフォームを入れ、中心に他の部位の材料を入れ、その周りにチップフォームを入れるようにする。ここで他の部位の材料がチップフォームと混ざらないようにするために、薄いフィルムなどを用いて区分けできるようにするなどしてもよい。このとき、フィルムは透水性もしくは水溶性のものを用いてそのまま栽培しても良いし、それ以外のフィルムであっても播種あるいは植付け後にフィルムを引き抜いて栽培すれば良い。他の材料は、主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームの上部から下部に至るまで貫通して配置されていてもよいし、上部より底に近い位置まで入れられているが下面に届くまでは至っていなくてもよいし、またその逆でもよいし、上面にも下面にも至らず中間位置に配置されていてもよい。この他の材料の配置については、植物の種類により適宜選択すれば良い。特に好湿性植物の場合には該他の部位を垂直方向に貫通して使用すれば良く、逆に好干性植物の場合には貫通しない状態で使用すれば良い。
また本発明において、一つの基体に対して複数個の他の部位があってもよい。その場合植物を生育させる予定の位置を予測してその位置を決定すればよい。さらに、必要に応じて適宜肥料、除草剤、防カビ剤、殺虫剤などを予め混ぜておいても良い。
【0026】
本発明に於ける植物の栽培方法について以下に説明する。
本栽培方法は、異なる材料からなる二つの部位を有する基体であって、主たる部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体を用い、しかも該他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することを特徴とする植物の栽培方法である。本発明の植物の栽培方法においては、植物を該他の部位に植え付けて使用する。ここで連続気泡性親水ポリウレタンフォームは定形品であっても、チップ品であってもよい。
該他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することにより、前述のとおり植物の根が360度均等条件で伸びていき、根元には他の部位の材料、根の先には主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームとなり、植物に十分な水分と空気がバランス良く、しかも安定して供給されることになり病気・根腐れなども発生しない。これにより、植物が丈夫に早く育つと共に水管理が非常に簡単になる。
【0027】
具体的には播種から始まる栽培に於いては連続気泡性親水ポリウレタンフォームの上に播種するのではなく、他の部位に播種する。
トマト、ナス等の苗を移植するに当たっては連続気泡性親水ポリウレタンフォームに苗を移植するのではなく、他の部位に移植するかあるいは他の材料で根をくるんだ状態等で連続気泡性親水ポリウレタンフォーム中に移植する。またガーベラ、リーガルベコニヤあるいはバラ等の花の苗も、トマトやナス同様に該他の部位の材料で根を包んだ状態で連続気泡性親水ポリウレタンフォームの中に移植するのが良い。
連続気泡性親水ポリウレタンフォームのチップ品を使用する場合にはプランターあるいは鉢等の栽培容器にチップ品を入れ、この中に該他の部位としてココピート等の材料で植物の根を包んだ状態にして移植するか、別に該他の部位の材料に播種した後、育苗工程を経て他の部位の材料ごとチップ品の入った栽培容器に移植するのが良い。又、栽培容器の中にチップ品とフィルムで区分けされた他の部位からなる栽培基体であれば、該他の部位に播種あるいは植物を植付けた後でフィルムを引き抜くなどして栽培すれば良い。さらに、必要に応じて適宜肥料などを与えても良い。
この栽培方法においては、主たる部位の連続気泡性親水ポリウレタンフォームは、水をやりすぎてもそれぞれ固有の保水量以上には保水しないので、水をやりすぎて過湿になり根腐されや病気を起こしてしまうことがない。
【0028】
本発明の植物の栽培基体を主に構成する連続気泡性親水ポリウレタンフォームを製造する方法としては従来公知の製造方法を用いることができる。
なお、連続気泡性親水ポリウレタンフォームには主にイソシアネートインデックスが1.0以下の低インデックスで発泡させるポリウレタンフォーム、イソシアネートインデックスが1.0〜1.1の通常インデックスで発泡させるポリウレタンフォーム,イソシアネートインデックスが1.0より大きいイソシアヌレート結合を含むポリウレタンフォーム等がある。
前者は特開昭46−741,特開昭48−25098,特開昭49−97897、特開平2−14209,特開平9−328531において詳細に説明されている。具体的には、ポリオールとして、主にオキシエチレン含有ポリオキシアルキレンエーテルポリオールを使用してポリウレタンフォームを製造するのであるが、イソシアネートインデックスを例えば0.5〜0.9としてポリウレタンフォーム中にポリオール中のOH基を残存させて親水化並びに連続気泡化したポリウレタンフォームを製造する方法である。
ここで、イソシアネートインデックスとは、ポリウレタンフォーム中の末端水酸基(−OH)の当量とイソシアネート中のイソシアネート基(−NCO)の当量とから求められるNCO/OHの比率である。イソシアネートインデックスが1.0〜1.1の特許としては特開昭50−151646,特開昭54−10108などがある。
また、後者は特開平11−193320において詳細に説明されている。具体的には、ポリオールとして主に高オキシエチレン含有ポリオキシアルキレンエーテルポリオールを使用し、イソシアネートインデックスを1.0より大きく設定するとともに例えばポリオキシアルキレングリコール末端OH基を活性水素を有さない化合物でキャップした親水性可塑剤を併用する方法であり、親水化並びに連続気泡化したイソシアヌレート結合を含むポリウレタンフォームを製造する方法である。
【0029】
【実施例】
以下実施例を挙げて、更に詳細に説明する。
1.連続気泡性親水ポリウレタンフォームブロックの作成
連続気泡性親水ポリウレタンフォームAの作成
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを80/20の割合でランダム付加させた分子量2000のジオール100重量部、H2O7.5部、トリス(3ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロs−トリアジン1.8重量部、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(ジメチルシロキサン単位20,オキシアルキレン付加メチルシロキサン単位1.3,ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレンとオキシプロピレンの割合は80/20,ポリオキシアルキレン末端はメトキシ、ポリオキシアルキレンの分子量1600)4重量部、イオネットDO−600(三洋化成工業社製)110重量部、炭酸カルシウム10重量部を十分に撹拌混合した後、クルードMDIを350部加えて更に撹拌してポリイソシアヌレートフォームを得た。フォーム物性を表−1に示す。
【0030】
連続気泡性親水ポリウレタンフォームBの作成
グリセリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを55/45の割合でランダム付加させた分子量3000のポリオール65部、グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合した分子量5000のポリオール6重量部、エチレンジアミンにエチレンオキサイドを付加重合した分子量300のポリオール16重量部、ショ糖にプロピレンオキサイドを付加重合したOH価430のポリオール13重量部、ニューコール271A(日本乳化剤社製)3部、イオネットDO−600(三洋化成工業社製)10部、シリコン界面活性剤SH−194(東レダウコーニングシリコン社製)1.6重量部,H2O 3.6部,HCF141b 30重量部、トリス(ジエチルアミノプロピル)トリアジン2重量部、トリメチルアミノエチルピペラジン0.9重量部を十分に撹拌混合した後,NCOインデックス100でクルードMDIを加えて撹拌混合して連続気泡性親水ポリウレタンフォームを作成した。基本物性を表−1に示す。
【0031】
【0032】
2.栽培基体の作成例について具体的に図1をもって説明する。
【実施例1】
連続気泡性親水ポリウレタンフォームAを発泡後1昼夜放置し、縦100mm×横100mm×高さ75mmの定形品1に切り出した。本定形品の中央を円柱の直径は30mmφにして円筒形ポリウレタンフォームを取り出した。その後、円筒形ポリウレタンフォームを取り出したところにピートモスを充填し、本発明の植物栽培基体3を得た。
【0033】
3.栽培方法の一例について具体的に図2〜図3をもって説明する。
【実施例2】
以下、図2を参照して説明する。
連続気泡性親水ポリウレタンフォームBを発泡後1昼夜放置し、縦100mm×横100mm×高さ75mmの定形品11に切り出した。本定形品の中央を円柱の直径は30mmφにして円筒形ポリウレタンフォーム13を取り出した。このとき同時に円筒形ポリウレタンフォーム13を、2等分線14で縦に2分割して半割の円筒形ポリウレタンフォームにした。次いでトマト苗15の根をピートモス12で包んだ状態で図2のようにして移植した。ここでピートモスは定形品のほぼ上部から下部に至るまで連続して根を包んでいる状態である。
本トマト移植定形品を固定用の容器に入れ、2日に1回30分間の条件で根元まで冠水させて栽培したところ、良好な栽培結果を得た。
【0034】
【実施例3】
以下、図3を参照して説明する。
連続気泡性親水ポリウレタンフォームAをロータリークラッシャー(美善社製、PKS−7型)を用いて粒径20mm以下の不定形の連続気泡性親水ポリウレタンフォームチップ品21を得た。本チップ品21を下部120mmφ、上部220mmφ、高さ180mmφのプラスチック鉢20の底にチップ品21を入れ、トマト苗25をやしがら22に包んだ状態で入れ、その周りにチップ品21を入れた。ここではやしがらは上部より底に近い位置まで入れられているが下面に届くまでは至っていない。次いで、上部より水道水を10分間散水した。この間、体積が低下したため、更にチップ品21を追加した。
本トマト移植鉢を1日に1回30分間の条件で根元まで冠水させて栽培したところ、良好な栽培結果を得た。
【0035】
(比較例1)
トマトの苗を移植するに当たりピートモスで包まなかった以外は実施例2と同様に行った。
一週間後は葉は元気であったが、二週間後には少々生長したようにも見られたが1ヶ月後にはほとんど枯れるに近い状態となった。
【0036】
(比較例2)
トマトの苗をやしがらで包まなかった以外は実施例3と同様に行った。一週間後には葉が元気のない状態となり、1ヶ月後に至ってもほとんど生長は見られなかった。2ヶ月後には枯れる寸前の状態であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の栽培基体によれば、十分な空気を植物に供給する部位(連続気泡性親水ポリウレタンフォーム)と十分な水分を植物に供給する部位(他の部位の材料)とを有していることから、給水時であってもあるいは非給水時であっても植物に水分と空気がバランス良く、しかも安定して供給することができる。これにより環境および植物に負荷をかける因子を持たない、すなわち▲1▼過湿にならず病気・根腐れなどが発生しない▲2▼連作が可能▲3▼燃え易い▲4▼生分解し易い▲5▼ホルムアルデヒドを放出させないなどの特徴を持ちながら、なおかつ自動給水管理の工業的水耕栽培あるいは挿し木等の短期な苗木栽培に限定されずあらゆる栽培形態が可能であり、さらに専門業者だけに限定されずに一般家庭などにおいても長期に渡って幅広い種類の植物の栽培に適合可能な栽培基体を提供することができる。
またこの栽培基体を使用し、他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することにより、従来ほとんど使用されていなかったポリウレタンフォームによる一般の土壌と同様な植物の栽培が可能となる栽培方法を提供できる。
本発明により環境および植物に負荷をかける因子を持たない栽培基体を提供し、水耕栽培や苗木栽培に限定されず、一般の土壌と同様に播種から育成、枯れるまであるいは挿し木、苗の植え付けから育成、枯れるまで等あらゆる栽培形態および幅広い種類の植物に対して長期に渡る栽培が可能となり、土が嫌いな人にも特別の管理なしに様々な栽培形態で植物の栽培を楽しめる栽培基体並びに栽培
【産業上の利用分野】
本発明は植物の栽培基体並びに該栽培基体を用いての栽培方法に関するものである。更に詳細には主に連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなる栽培基体並びに該栽培基体を用いての栽培方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、植物の栽培基体としては主に有機、無機あるいはこれらの混合物からなる天然栽培基体が用いられてきた。
これらの天然栽培基体としては各種土類、各種砂類、各種小石類、腐葉土、水苔、ココピート、ピートモス、やしがら、堆肥パルプ等があって、単独あるいは混合物の形で用いられてきた。
しかしながら天然土壌の場合▲1▼天然土壌を介して病害虫が発生すること▲2▼連作ができない等の問題があり、人工栽培基体が開発されてトマト、ネギ、レタス等の野菜分野を中心に水耕栽培が実用化されてきた。
【0003】
これらの人工栽培基体としてはロックウール、連続気泡フェノールフォーム、連続気泡ポリウレタンフォーム等が知られている。
ロックウールは吸水性並びに保水性がよいことから幅広く水耕栽培に使用されているが、無機物質がゆえ燃えない、腐らないなどの産業廃棄物問題並びに保水性が大きすぎることに起因して過湿状態でのカビ、苔並びに病気発生が多いなどの問題を有している。
またフェノールフォームを代表とする縮合系合成樹脂フォームは燃え難く、生分解しにくいといったロックウールと同様の産廃問題のほかに、さらにホルムアルデヒドが放出されるなど生活環境汚染の問題をも有しており、問題視され始めている。
【0004】
一方連続気泡性ポリウレタンフォームの場合には▲1▼過湿にならず病気・根腐れなどが発生しない▲2▼連作が可能▲3▼燃え易い▲4▼生分解し易い▲5▼ホルムアルデヒドを放出させないなどの利点を有するものの、保水性が低い。
【0005】
ところで連続気泡性ポリウレタンフォームを植物の栽培基体として使用する試みは古くは特開昭48−67018,特開昭51−135228,特開昭52−93512,特開昭54−10108,特開昭57−99130、実開昭52−47149,特開昭56−15619,実開昭52−107241,実開昭53−5938等に提案がなされ、現在に至るまでに多くの提案がされている。これらのことからブロック状の定形品の各種ポリウレタンフォーム並びにそのポリウレタンフォームをチップ化したものを植物の栽培基体として使用することは公知である。
しかし従来の連続気泡性ポリウレタンフォームでは、保水性が低いことから自動給水管理が徹底された工業的水耕栽培、あるいは専門業者による特定の植物の苗に限定された挿し木、挿し芽等の苗木栽培といった利用範囲に限定されているのが実情であり、その後もポリウレタンフォームの親水化についての多くの提案がなされたが、やはり吸水性が低いなどの問題があり前述の利用範囲にとどまっている。
【0006】
そこで従来の天然栽培基体や人工栽培基体のように、環境および植物に負荷をかける因子を持たない植物の栽培基体、すなわち▲1▼過湿にならず病気・根腐れなどが発生しない▲2▼連作が可能▲3▼燃え易い▲4▼生分解し易い▲5▼ホルムアルデヒドを放出させないなどの特徴を持ちながら、なおかつ自動給水管理の工業的水耕栽培あるいは挿し木等の短期な苗木栽培に限定されずあらゆる栽培形態が可能であり、さらに専門業者だけに限定されずに一般家庭などにおいても長期に渡って幅広い種類の植物の栽培に適合可能な植物の栽培基体の開発並びに栽培方法が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】
特開昭48−67018号公報(2頁右上欄4行〜3頁右上欄20行)
【0008】
【特許文献2】
実開昭52−47149(2頁上段2行〜2頁上段16行)
【0009】
【特許文献3】
実開昭53−39738(2頁上段16行〜2頁上段20行)
【0010】
【特許文献4】
特開昭56−15619(2頁左上欄12行〜2頁右上欄7行)
【0011】
【特許文献5】
特開平7−327483(段落
【0007】〜
【0008】)
【0012】
【特許文献6】
特開平9−168341(段落
【0011】〜
【0014】)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、環境および植物に負荷をかける因子を持たず、あらゆる栽培形態および幅広い種類の植物に対して長期にわたる栽培に適した栽培基体並びに栽培方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願第一の発明は、異なる材料からなる二つの部位を有する基体であって、主たる部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体である。
本願第二の発明は、前記栽培基体を用い、しかも前記栽培基体の他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することを特徴とする植物の栽培方法である。
本発明により、環境および植物に負荷をかける因子を持たない栽培基体を提供し、一般の土壌による植物栽培と同様なあらゆる栽培形態および幅広い種類の植物に適した栽培方法を提供することができる。
【0015】
【実施の形態】
本発明について更に詳細に説明する。
本発明に於ける植物の栽培基体は、異なる材料からなる二つの部位を有する基体であって、主たる部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体である。
本発明の植物の栽培基体においては、主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームには、吸水速度が10秒以下の容易に水を吸収する連続気泡性親水ポリウレタンフォームであることが必要である。また、他の部位の材料としては、天然土壌、繊維質材料あるいはSiO2系発泡体から少なくとも一つを選択することが必要である。
吸水速度が10秒より遅い支持体では親水性及び吸水性が低く、栽培自体に適さないため本願の要求を満たさない。植え付け当初及び散水時の吸水しやすさの点から5秒以下、更に好ましくは3秒以下の支持体とするのが良い。
【0016】
本発明の植物栽培基体の、他の部位の材料である前記天然土壌としては、従来公知の土、砂、パーミキュライトなどを用いることができる。また、前記繊維質材料としては、例えばココピート、ピートモス、水苔、腐葉土、やしがら、パルプ、堆肥、もみがらを用いることができるが、特にココピート、ピートモス、水苔、腐葉土、やしがら、パルプが吸水性、保水性並びに取り扱い性の面で好ましい。これらの材料は単独で使用しても組み合わせても良く、使用する植物の種類等に合わせて自由に選択するのが良い。
また、SiO2系発泡体とは特殊の火成岩等を適正粒度に粉砕した後焼成して膨張発泡させた軽量、吸水性並びに保水性の大きい材料であり、パーライトあるいはイソライト等の商品名で広く販売されており、これらの材料は単独で使用しても組み合わせても良く、使用する植物の種類等に合わせて自由に選択するのが良い。
【0017】
ここで主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームは他の部位の材料に比較して嵩密度が非常に小さいことから、空気の供給並びに空気の保持性が高い特徴がある。また他の部位の材料は嵩密度が大きく空気の供給並びに空気の保持性は低いが、一般に吸水量が大きく水の保持性(保水性)が高い。本願の栽培基体においては、栽培基体の中央部近辺に他の部位を位置させ、その周辺を連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなる主たる部位を位置させる。もちろん栽培基体が十分に大きい場合には、ひとつの栽培基体に複数個の他の部位を配置し、それぞれの周辺に連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなる主たる部位を位置させたものでも良く、本願の特許請求範囲に包含される。このようにすることにより、他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培した時には植物の根が360度均等条件で伸びていき、根元には他の部位の材料、根の先には主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームとなり、植物に十分な水分と空気がバランス良く、しかも安定して供給されることになり病気・根腐れなども発生せずに植物の成長が早く丈夫に育つ。
これは同じ体積の土壌と、連続気泡性親水ポリウレタンフォームとを比べてみたときに、例えば黒土は固相50%,液相(水)30%,気相(空気)20%からなるが、連続気泡性親水ポリウレタンフォームは固相5%,液相(水)40%,気相(空気)55%であり固相の割合が土壌に比べて圧倒的に少なく、更には液相の割合は保水量の加減により調整できるため、常に植物の根に十分な水分と空気をバランス良く、しかも安定して供給することができるからと考えられる。
【0018】
また、前述の理由以外に別の理由も考えられる。一般に植物は単に土壌から水や養分を、根を通じて吸収している以外に植物の根の周辺には各種のバクテリアが存在していて、植物との間で共生関係を保っていることが知られている。この共生関係が植物の生育に大きく関係しており本発明の栽培基体のなかで、主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームが十分な空気を供給し、他の部位の材料によるこのような共生関係が相乗効果をもたらし、良好な生育に寄与しているとも考えられる。
本発明により水管理が非常に簡単になると共に植物の生育が良好となり、あらゆる栽培形態および幅広い種類の植物に対して長期にわたる栽培に適した植物栽培基体となる。
【0019】
本発明の植物の栽培基体に於いては、前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームの保水量が、0.4g/cm3以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.5g/cm3以上が良い。
ここで、保水量が0.4g/cm3以上であれば、栽培する植物や栽培期間、あるいは連続気泡性親水ポリウレタンフォーム定形品の大きさやチップ品を入れた栽培容器の大きさ等によるので一概には言えないが、散水が2〜3日に一度くらいの頻度で済むため水管理が非常に簡単になる。
本発明において保水量とは、縦3cm×横3cm×高さ3cmの立方体フォームを25℃の蒸留水中に浮かべ5分後に引き上げ5メッシュ状の金網の上に1時間置いて測定するとき、元のフォームの重量をG1、引き上げ1時間放置後の重量をG2、フォーム体積をVとし、次式より算出する。
【0020】
また、本発明の植物の栽培基体に於いては、前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームは定形品でもチップ品でもどちらでも良い。ここで定形品とは直方体や円柱体等の形状を有し、該直方体や円柱体1個当たり1本以上の植物を植えることのできる大きさを有する植物の栽培基体を指す。チップ品とは連続気泡性親水ポリウレタンフォームを小片にしたものを指し、複数集まって植物の栽培基体となるものを指す。主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームを定形品にするか、チップ品にするかは栽培方法並びに植物の種類に合わせて適宜選択使用すればよい。
定形品で使用される連続気泡性親水ポリウレタンフォームは、一般に小サイズ品は播種あるいは挿し木・挿し芽等の育苗用に用いられ、大サイズ品は苗木を定植するのに用いられる。例えば縦30mm×横30mm×高さ30mmあるいは縦100mm×横100mm×高さ75mm等のサイズを有した定形品を好適に用いることができる。
チップ品で使用される連続気泡性親水ポリウレタンフォームとしては、例えば縦15mm×横15mm×高さ10mmあるいは縦10mm×横10mm×高さ5mmなどの直方体状のチップ、あるいは一般の羽根あるいはスクリュー等で剪断カットされた直径が30mm以下の不定形チップ、あるいは直径が30mm以下乃至1mm程度の粒状チップが挙げられる。これらのチップは例えば、縦50cm×高さ50cm×長さ数mの栽培容器に入れ、バラ等を長期に渡り栽培するのに適する。また縦40cm×高さ50cm×長さ60cm程度のコンクリート製プランター、あるいは一般の鉢などに入れ花等を移植して使用することができる。
【0021】
定形品として使用する場合の連続気泡性親水ポリウレタンフォームの物理特性は、見掛け密度が10kg/m3〜40kg/m3、伸びが130%以下、通気度が40cc/cm2/sec〜400cc/cm2/sec、圧縮強度が0.8N/cm2〜3.5N/cm2、水吸上げ高さが3mm以上であることが好ましい。
見掛け密度が10kg/m3に満たない連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは苗を保持する支持力に欠け、40kg/m3より大きな連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは根が成長するにつれ過密となって酸素の供給が不十分となり、生育が遅れるため本願の要求を満たさない。苗の支持力、酸素の供給からみて見掛け密度は10kg/m3〜30kg/m3の連続気泡性親水ポリウレタンフォームがより好ましい。
伸びが130%より大きな連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは、苗を保持する支持力に欠け十分に固定することができないため本願の要求を満たさない。また、苗の保持力、根の成長しやすさの観点からみて伸びは15%以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームがより好ましい。
【0022】
通気度が40cc/cm2/secより低い連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは酸素の供給が不足し根の成長を阻害し、400cc/cm2/secより高い連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは、水を保持する保水性に欠け、水の供給が不足しがちとなるため本願の要求を満たさない。保水性、空気の供給のバランスからみて通気度は50cc/cm2/sec〜300cc/cm2/secの連続気泡性親水ポリウレタンフォームがより好ましく、更に好ましくは60cc/cm2/sec〜200cc/cm2/secの連続気泡性親水ポリウレタンフォームとするのがよい。
また圧縮強度が0.8N/cm2より小さい連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは苗の支持力に欠け、3.5N/cm2より大きな支持体では、根が太く成長しようとする際にフォーム強度が大きすぎて根の成長を阻害するため本願の要求を満たさない。苗の支持力、根の成長のしやすさの観点からみて圧縮強度は1.0N/cm2〜2.5N/cm2の連続気泡性親水ポリウレタンフォームがより好ましい。
水吸上げ高さが3mmより低い連続気泡性親水ポリウレタンフォームでは親水性が不足しており容易にポリウレタンフォーム中に水が浸透せず、苗を枯らしてしまうことになる。
【0023】
一方、チップ品で使用する場合には、チップにする前の連続気泡性親水ポリウレタンフォームブロックの状態での物理特性が、圧縮強度は0.8N/cm2〜20N/cm2、通気度は5cc/cm2/sec〜400cc/cm2/secが好ましい。チップ品の場合、植物の根は連続気泡性親水ポリウレタンフォーム中を貫通する必要はなくチップ品とチップ品との隙間に根が成長するため、多少圧縮強度が大きく、あるいは通気度が低くても植物の成長に大きな影響を与えないためである。
【0024】
なお、本発明に於いて各物理特性は次のように算出した。密度、伸び、通気度はJISK6400によって測定した。特に通気度は10mm厚さで測定した。また圧縮強度とは、JISK6400の硬さ測定に用いる試験機を使用して、直径20cmの円盤で縦75mm×横75mm×高さ50mmのサンプルを高さ方向で50%圧縮した時点の応力をいう。水吸上げ高さとは、縦20mm×横20mm×高さ60mmのサンプルを、縦450mm×横350mm×深さ20mmのステンレス製バットの中に置き、バットの底から10mmの高さまで蒸留水を注ぎ入れ、60分間放置したときサンプルの水面高さ10mmを除いたフォーム吸水高さをいう(疑似毛細管法)。吸水時間とは、縦50mm×横50mm×高さ50mmのサンプル上表面に針規格22G×11/4〃(ニプロ社製)付き注射器で蒸留水1滴を滴下したとき、支持体中に完全に吸収されるまでに要した時間をいう(水滴滴下法)。
【0025】
本発明に於ける植物の栽培基体は、具体的には次のようなものである。
定形品で使用する場合には例えば、ブロック状の連続気泡性親水ポリウレタンフォームの中心を円筒形に打ち抜いてその中に他の部位の材料を詰めたり、打ち抜いた円筒形部分を縦に2分割してそのあいだに他の部位の材料を挟んだのちに円筒形部分を元の場所に戻したものである。ここで他の材料は、主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームの、上部から下部に至るまで貫通して配置されていてもよいし、上部より底に近い位置まで入れられているが下面に届くまでは至っていなくてもよいし、またその逆でもよい。
また、連続気泡性親水ポリウレタンフォームのチップ品を用いる場合は、鉢などの栽培容器の底にチップフォームを入れ、中心に他の部位の材料を入れ、その周りにチップフォームを入れるようにする。ここで他の部位の材料がチップフォームと混ざらないようにするために、薄いフィルムなどを用いて区分けできるようにするなどしてもよい。このとき、フィルムは透水性もしくは水溶性のものを用いてそのまま栽培しても良いし、それ以外のフィルムであっても播種あるいは植付け後にフィルムを引き抜いて栽培すれば良い。他の材料は、主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームの上部から下部に至るまで貫通して配置されていてもよいし、上部より底に近い位置まで入れられているが下面に届くまでは至っていなくてもよいし、またその逆でもよいし、上面にも下面にも至らず中間位置に配置されていてもよい。この他の材料の配置については、植物の種類により適宜選択すれば良い。特に好湿性植物の場合には該他の部位を垂直方向に貫通して使用すれば良く、逆に好干性植物の場合には貫通しない状態で使用すれば良い。
また本発明において、一つの基体に対して複数個の他の部位があってもよい。その場合植物を生育させる予定の位置を予測してその位置を決定すればよい。さらに、必要に応じて適宜肥料、除草剤、防カビ剤、殺虫剤などを予め混ぜておいても良い。
【0026】
本発明に於ける植物の栽培方法について以下に説明する。
本栽培方法は、異なる材料からなる二つの部位を有する基体であって、主たる部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体を用い、しかも該他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することを特徴とする植物の栽培方法である。本発明の植物の栽培方法においては、植物を該他の部位に植え付けて使用する。ここで連続気泡性親水ポリウレタンフォームは定形品であっても、チップ品であってもよい。
該他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することにより、前述のとおり植物の根が360度均等条件で伸びていき、根元には他の部位の材料、根の先には主たる部位の材料である連続気泡性親水ポリウレタンフォームとなり、植物に十分な水分と空気がバランス良く、しかも安定して供給されることになり病気・根腐れなども発生しない。これにより、植物が丈夫に早く育つと共に水管理が非常に簡単になる。
【0027】
具体的には播種から始まる栽培に於いては連続気泡性親水ポリウレタンフォームの上に播種するのではなく、他の部位に播種する。
トマト、ナス等の苗を移植するに当たっては連続気泡性親水ポリウレタンフォームに苗を移植するのではなく、他の部位に移植するかあるいは他の材料で根をくるんだ状態等で連続気泡性親水ポリウレタンフォーム中に移植する。またガーベラ、リーガルベコニヤあるいはバラ等の花の苗も、トマトやナス同様に該他の部位の材料で根を包んだ状態で連続気泡性親水ポリウレタンフォームの中に移植するのが良い。
連続気泡性親水ポリウレタンフォームのチップ品を使用する場合にはプランターあるいは鉢等の栽培容器にチップ品を入れ、この中に該他の部位としてココピート等の材料で植物の根を包んだ状態にして移植するか、別に該他の部位の材料に播種した後、育苗工程を経て他の部位の材料ごとチップ品の入った栽培容器に移植するのが良い。又、栽培容器の中にチップ品とフィルムで区分けされた他の部位からなる栽培基体であれば、該他の部位に播種あるいは植物を植付けた後でフィルムを引き抜くなどして栽培すれば良い。さらに、必要に応じて適宜肥料などを与えても良い。
この栽培方法においては、主たる部位の連続気泡性親水ポリウレタンフォームは、水をやりすぎてもそれぞれ固有の保水量以上には保水しないので、水をやりすぎて過湿になり根腐されや病気を起こしてしまうことがない。
【0028】
本発明の植物の栽培基体を主に構成する連続気泡性親水ポリウレタンフォームを製造する方法としては従来公知の製造方法を用いることができる。
なお、連続気泡性親水ポリウレタンフォームには主にイソシアネートインデックスが1.0以下の低インデックスで発泡させるポリウレタンフォーム、イソシアネートインデックスが1.0〜1.1の通常インデックスで発泡させるポリウレタンフォーム,イソシアネートインデックスが1.0より大きいイソシアヌレート結合を含むポリウレタンフォーム等がある。
前者は特開昭46−741,特開昭48−25098,特開昭49−97897、特開平2−14209,特開平9−328531において詳細に説明されている。具体的には、ポリオールとして、主にオキシエチレン含有ポリオキシアルキレンエーテルポリオールを使用してポリウレタンフォームを製造するのであるが、イソシアネートインデックスを例えば0.5〜0.9としてポリウレタンフォーム中にポリオール中のOH基を残存させて親水化並びに連続気泡化したポリウレタンフォームを製造する方法である。
ここで、イソシアネートインデックスとは、ポリウレタンフォーム中の末端水酸基(−OH)の当量とイソシアネート中のイソシアネート基(−NCO)の当量とから求められるNCO/OHの比率である。イソシアネートインデックスが1.0〜1.1の特許としては特開昭50−151646,特開昭54−10108などがある。
また、後者は特開平11−193320において詳細に説明されている。具体的には、ポリオールとして主に高オキシエチレン含有ポリオキシアルキレンエーテルポリオールを使用し、イソシアネートインデックスを1.0より大きく設定するとともに例えばポリオキシアルキレングリコール末端OH基を活性水素を有さない化合物でキャップした親水性可塑剤を併用する方法であり、親水化並びに連続気泡化したイソシアヌレート結合を含むポリウレタンフォームを製造する方法である。
【0029】
【実施例】
以下実施例を挙げて、更に詳細に説明する。
1.連続気泡性親水ポリウレタンフォームブロックの作成
連続気泡性親水ポリウレタンフォームAの作成
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを80/20の割合でランダム付加させた分子量2000のジオール100重量部、H2O7.5部、トリス(3ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロs−トリアジン1.8重量部、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(ジメチルシロキサン単位20,オキシアルキレン付加メチルシロキサン単位1.3,ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレンとオキシプロピレンの割合は80/20,ポリオキシアルキレン末端はメトキシ、ポリオキシアルキレンの分子量1600)4重量部、イオネットDO−600(三洋化成工業社製)110重量部、炭酸カルシウム10重量部を十分に撹拌混合した後、クルードMDIを350部加えて更に撹拌してポリイソシアヌレートフォームを得た。フォーム物性を表−1に示す。
【0030】
連続気泡性親水ポリウレタンフォームBの作成
グリセリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを55/45の割合でランダム付加させた分子量3000のポリオール65部、グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合した分子量5000のポリオール6重量部、エチレンジアミンにエチレンオキサイドを付加重合した分子量300のポリオール16重量部、ショ糖にプロピレンオキサイドを付加重合したOH価430のポリオール13重量部、ニューコール271A(日本乳化剤社製)3部、イオネットDO−600(三洋化成工業社製)10部、シリコン界面活性剤SH−194(東レダウコーニングシリコン社製)1.6重量部,H2O 3.6部,HCF141b 30重量部、トリス(ジエチルアミノプロピル)トリアジン2重量部、トリメチルアミノエチルピペラジン0.9重量部を十分に撹拌混合した後,NCOインデックス100でクルードMDIを加えて撹拌混合して連続気泡性親水ポリウレタンフォームを作成した。基本物性を表−1に示す。
【0031】
【0032】
2.栽培基体の作成例について具体的に図1をもって説明する。
【実施例1】
連続気泡性親水ポリウレタンフォームAを発泡後1昼夜放置し、縦100mm×横100mm×高さ75mmの定形品1に切り出した。本定形品の中央を円柱の直径は30mmφにして円筒形ポリウレタンフォームを取り出した。その後、円筒形ポリウレタンフォームを取り出したところにピートモスを充填し、本発明の植物栽培基体3を得た。
【0033】
3.栽培方法の一例について具体的に図2〜図3をもって説明する。
【実施例2】
以下、図2を参照して説明する。
連続気泡性親水ポリウレタンフォームBを発泡後1昼夜放置し、縦100mm×横100mm×高さ75mmの定形品11に切り出した。本定形品の中央を円柱の直径は30mmφにして円筒形ポリウレタンフォーム13を取り出した。このとき同時に円筒形ポリウレタンフォーム13を、2等分線14で縦に2分割して半割の円筒形ポリウレタンフォームにした。次いでトマト苗15の根をピートモス12で包んだ状態で図2のようにして移植した。ここでピートモスは定形品のほぼ上部から下部に至るまで連続して根を包んでいる状態である。
本トマト移植定形品を固定用の容器に入れ、2日に1回30分間の条件で根元まで冠水させて栽培したところ、良好な栽培結果を得た。
【0034】
【実施例3】
以下、図3を参照して説明する。
連続気泡性親水ポリウレタンフォームAをロータリークラッシャー(美善社製、PKS−7型)を用いて粒径20mm以下の不定形の連続気泡性親水ポリウレタンフォームチップ品21を得た。本チップ品21を下部120mmφ、上部220mmφ、高さ180mmφのプラスチック鉢20の底にチップ品21を入れ、トマト苗25をやしがら22に包んだ状態で入れ、その周りにチップ品21を入れた。ここではやしがらは上部より底に近い位置まで入れられているが下面に届くまでは至っていない。次いで、上部より水道水を10分間散水した。この間、体積が低下したため、更にチップ品21を追加した。
本トマト移植鉢を1日に1回30分間の条件で根元まで冠水させて栽培したところ、良好な栽培結果を得た。
【0035】
(比較例1)
トマトの苗を移植するに当たりピートモスで包まなかった以外は実施例2と同様に行った。
一週間後は葉は元気であったが、二週間後には少々生長したようにも見られたが1ヶ月後にはほとんど枯れるに近い状態となった。
【0036】
(比較例2)
トマトの苗をやしがらで包まなかった以外は実施例3と同様に行った。一週間後には葉が元気のない状態となり、1ヶ月後に至ってもほとんど生長は見られなかった。2ヶ月後には枯れる寸前の状態であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の栽培基体によれば、十分な空気を植物に供給する部位(連続気泡性親水ポリウレタンフォーム)と十分な水分を植物に供給する部位(他の部位の材料)とを有していることから、給水時であってもあるいは非給水時であっても植物に水分と空気がバランス良く、しかも安定して供給することができる。これにより環境および植物に負荷をかける因子を持たない、すなわち▲1▼過湿にならず病気・根腐れなどが発生しない▲2▼連作が可能▲3▼燃え易い▲4▼生分解し易い▲5▼ホルムアルデヒドを放出させないなどの特徴を持ちながら、なおかつ自動給水管理の工業的水耕栽培あるいは挿し木等の短期な苗木栽培に限定されずあらゆる栽培形態が可能であり、さらに専門業者だけに限定されずに一般家庭などにおいても長期に渡って幅広い種類の植物の栽培に適合可能な栽培基体を提供することができる。
またこの栽培基体を使用し、他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することにより、従来ほとんど使用されていなかったポリウレタンフォームによる一般の土壌と同様な植物の栽培が可能となる栽培方法を提供できる。
本発明により環境および植物に負荷をかける因子を持たない栽培基体を提供し、水耕栽培や苗木栽培に限定されず、一般の土壌と同様に播種から育成、枯れるまであるいは挿し木、苗の植え付けから育成、枯れるまで等あらゆる栽培形態および幅広い種類の植物に対して長期に渡る栽培が可能となり、土が嫌いな人にも特別の管理なしに様々な栽培形態で植物の栽培を楽しめる栽培基体並びに栽培
Claims (10)
- 異なる材料からなる二つの部位を有する基体であって、主たる部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体。
- 前記繊維質材料が、ココピート、ピートモス、水苔、腐葉土、やしがら、パルプであることを特徴とする請求項1記載の植物の栽培基体。
- 前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームの保水量が、0.4g/cm3以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項2いずれか1項記載の植物の栽培基体。
- 前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームが、定形品であることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか1項記載の植物の栽培基体。
- 前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームが、チップ品であることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか1項記載の植物の栽培基体。
- 異なる材料からなる二つ以上の部位を有する基体であって、主たる一つの部位の材料が吸水速度10秒以下の連続気泡性親水ポリウレタンフォームからなり、他の部位の材料が天然土壌、繊維質材料、あるいはSiO2系発泡体から、少なくとも一つを選択することを特徴とする植物の栽培基体を用い、しかも該他の部位に播種あるいは植物を植えつけて栽培することを特徴とする植物の栽培方法。
- 前記繊維質材料が、ココピート、ピートモス、水苔、腐葉土、やしがら、パルプであることを特徴とする請求項6記載の植物の栽培方法。
- 前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームの保水量が、0.4g/cm3以上であることを特徴とする請求項6乃至請求項7いずれか1項記載の植物の栽培方法。
- 前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームが、定形品であることを特徴とする請求項6乃至請求項8いずれか1項記載の植物の栽培方法。
- 前記連続気泡性親水ポリウレタンフォームがチップ品であって、チップ品を栽培容器に入れて栽培するにあたり、栽培容器として鉢またはプランターのいずれかを使用することを特徴とする請求項6乃至請求項8いずれか1項記載の植物の栽培方法。
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003128484A patent/JP2004298166A/ja active Pending
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