JP2004297025A - 高効率太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】光エネルギーを有効に電気エネルギーに変え、太陽電池の出力向上を可能とする波長変換素子とその構造を提供する。
【解決手段】波長変換素子(PMMAに蛍光染料をドープしたもの)を太陽電池上に載せることで波長変換素子内部の蛍光分子が太陽電池の分光感度の低い波長域の光を吸収し、分光感度の高い波長域の光に変換して太陽電池に照射できる。これにより太陽電池の光起電力向上が可能となる。さらに波長変換素子の表面形状に理想的な凹凸を設ける事で素子の集光・出力能力の向上を図ることが可能となる。さらに蛍光染料は複数種あり、各太陽電池の分光感度特性にフィットする吸収・蛍光特性の染料を選定することで、多くの種類の太陽電池への適用が可能である。
【選択図】 図2
【解決手段】波長変換素子(PMMAに蛍光染料をドープしたもの)を太陽電池上に載せることで波長変換素子内部の蛍光分子が太陽電池の分光感度の低い波長域の光を吸収し、分光感度の高い波長域の光に変換して太陽電池に照射できる。これにより太陽電池の光起電力向上が可能となる。さらに波長変換素子の表面形状に理想的な凹凸を設ける事で素子の集光・出力能力の向上を図ることが可能となる。さらに蛍光染料は複数種あり、各太陽電池の分光感度特性にフィットする吸収・蛍光特性の染料を選定することで、多くの種類の太陽電池への適用が可能である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光染料を利用した製品に係るもので、特に太陽電池への適用を考慮した波長変換素子の構造とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】
「太陽エネルギー利用ハンドブック」日本太陽エネルギー学会,1985年,p.581参照
太陽電池の変換効率は、通常10〜20%であり、熱→電気エネルギー変換の効率と比べるとかなり低い。これは太陽光スペクトルが0.3μm〜数μmと広範囲にわたっていることに起因している。この内、特に
▲1▼吸収されない長波長フォトンによる損失(hν<Eg、ν:フォトンの周波数、h:プランク定数)
▲2▼利用されない短波長フォトンによる損失(hν−Eg)
▲3▼禁制帯幅と開放電圧Vocの差による損失:電圧因子
の損失過程だけで約75%のエネルギーが失われる。これらの損失成分は主に半導体の禁制帯幅Egに依存する。
【0003】
上記の理由により、太陽電池は原材料の種類によりEgが異なるため太陽光エネルギーの利用波長域が異なる。太陽電池には波長ごとのエネルギー利用率を表す指標があり、これを分光感度という(波長ごとの利用率の相対比で表している)。太陽電池の発電損失の大半はこの分光感度と太陽光スペクトルのミスマッチによるものである。一例として図1(a)にCdS/CdTe太陽電池の構造の概念図、図1(b)にCdS/CdTe太陽電池分光感度特性と太陽光スペクトル特性を示す。太陽光は反射防止膜101、ガラス基板102、CdS層103、CdTe層104、の順に通過し、その過程でCdS層103、CdTe層104の2層にエネルギーを与える。その結果2層から生じる電力を電極105から取り出す。このときCdS/CdTe太陽電池に照射される太陽光スペクトルは480nm付近で最大となるような特性である。一方CdS/CdTe太陽電池の分光感度は500nm付近で立ち上がり550nm以降に高い値を示す。このような関係によりCdS/CdTe太陽電池は太陽光エネルギーが最も大きい波長域の光を有効に利用できていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、太陽電池へ照射される太陽光エネルギーにおける太陽電池のミスマッチの領域の光を分光感度の高い領域の光へ波長変換することによりその光エネルギーを有効に電気エネルギーに変え、太陽電池の出力向上を可能とする波長変換素子とその構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の波長変換素子では太陽電池の分光感度の高い領域に蛍光する蛍光染料、例えばドイツBASF社製ペリレン系蛍光染料を採用する。この染料はPMMAとの相性が良いため非常に混ざりやすく、2000時間に渡る対候性テストにも残留蛍光が90%前後と長期の使用にも適している。また種類もバイオレット、イエロー、オレンジ、レッドの4種類があり、複数種の太陽電池への適用を考慮した場合に選択の幅が広く対応しやすい。またPMMA自体も加工が容易、比較的安価であるといった利点がある。
【0006】
【発明実施の形態】
図2(a)に波長変換素子を載せたCdS/CdTe太陽電池の構造の概念図、図2(b)にCdS/CdTe太陽電池の分光感度特性と波長変換素子から出力される蛍光スペクトル特性示す。波長変換素子208を介したことで太陽光が波長変換され、蛍光染料の特性に沿ったスペクトル特性となって波長変換素子の下面より出力し、空気層207を通過し反射防止膜201に入射する。この後の過程は段落
【0003】で説明したものと同様である。この結果、太陽光の600nm以下のエネルギーは600nm以上の光に変換され出力するため図2(b)のような特性となり、CdS/CdTe太陽電池上に照射される光のスペクトル特性は、分光感度特性にマッチしたものとなる。以上の効果により太陽電池の起電力、及びエネルギー変換効率の向上を可能とする。
【0007】
波長変換素子の形状に関しては、蛍光分子からの蛍光を有効に出力させるための工夫が必要である。その要因としてPMMAと空気の屈折率差から求まる臨界角は42.2°でありPMMAより外界(空気)へ光が出力するためには境界面でこの角度より鋭い角度で入射する必要があるからである。そこで素子の形状に関しては上面に傾斜を設けてある。こうすることで内部の蛍光分子から全方位へと放射される蛍光の中で上方向へ蛍光する光を上面で反射させ下面へ鋭い角度で入射させる事で臨界角の関係で下面から出力しない蛍光も効果的に出力させる事が可能となる。また入射光に関しても上面に傾斜を設けることで表面積、即ち入射光の入射面積が増加、及び臨界角が改善されることにより入射光量が増加する効果も期待できる。
【0008】
素子内部の蛍光分子より放射する蛍光を効果的に下面より出力させるために有効な上面傾斜角θを算出した。素子の周りの媒質は空気であると想定した。上面への蛍光を1回反射、下方面への蛍光を2回反射で下面より出力させるために有効な上面傾斜角θを算出する。ちなみに下方面への蛍光に関しては一度全反射した(下面への入射角42.2°以上の)光に限定して考慮している。反射の回数に関しては光路の長距離化による減衰、また蛍光分子による蛍光の再吸収を避けるためにできる限り少ない回数で下面より出力するよう、上面、下面での反射回数は最低となる1回と2回に限定した。
【0009】
このことを図3(a)で説明する。この図においてθ(>0)は素子の傾斜角、θ1(>0)は蛍光分子から上面に向け放射する蛍光の水平面に対する角度、θ2(>0)は同様に下面に放射する蛍光の水平面に対する角度である。このように定義した場合、上面への蛍光が1回反射で下面に到達するときの入射角θupper、及び下面への蛍光が2回反射で下面に再到達するときの入射角θlowerは以下の式で与えられる。
θupper=90°−(2θ+θ1)
θlower=90°−(2θ+θ2)
これを一般的に表現すると
上面への蛍光がn回反射で下面に到達するときの入射角θupper,nは
θupper,n=90°−{(n+1)θ+θ1}
下面への蛍光がn回反射で下面に到達するときの入射角θlower,nは
θlower,n=90°−(nθ+θ2)
で与えられる。
上記の関係を利用し、上面への蛍光に関して考慮すると、
n回の反射で出力するときのθ1の範囲は
90°−{(n+1)θ+θ1}<42.2°
これを変形して
【数1】
θ1<47.8°−(n+1)θ
で与えられる。
このような関係から、任意の反射回数nについてθ1の値が大きい程、出力する範囲が大きくなり有利という事になる。またθ1>0の範囲でθの値を変化させることによって蛍光の反射回数nが定まる。この関係から蛍光が反射回数1回以内に(n=1とする)外界へ出力するようなθの範囲を算出した。その結果θ>23.9°の範囲にθをとると上面への蛍光は1回反射以内に外界へ出力する。従ってこの場合はθlの範囲が最大となる23.9°が最適となる。
同様の方法で下面への蛍光に関して反射回数2回以内に(n=2とする)外界へ出力するようなθの範囲を算出した。その結果 θ>23.9°の範囲にθをとると下面への蛍光は2回反射以内に外界へ出力する。
上面への蛍光と同様に考慮すると最適なθの値は23.9°となる。
以上より、傾斜角θが23.9°のときに1回反射、2回反射による下面からの
蛍光量が最大となる。また上記以外の傾斜角であっても
【数1】の式から任意のnに関してθ1>0となるようなθの範囲内であれば蛍光量の出力向上は可能である。以上の値を考慮して実際に設計した波長変換素子が図3(b)である。このような形状のPMMAに対象の太陽電池の分光感度特性にマッチした蛍光特性の蛍光染料を混ぜる事で理想の波長変換素子が完成する。
【0010】
【発明の効果】
以上の説明により、波長変換素子を適用した太陽電池は幅広い波長域の太陽光エネルギーを利用する事が可能となり、波長変換素子の集光素子としての機能も併せて従来の太陽電池と比較し、大幅なエネルギー利用率の向上を図ることが可能となる。図4は2002年9月20日13時に東京理科大学1号館屋上(地上51m)にて撮影した太陽光入射時の波長変換素子の出力スペクトルである。蛍光染料にはドイツBASF社製ペリレン系蛍光染料RED−300を採用し、凹凸加工後の波長変換素子の上面傾斜角は23.9°とした。撮影時における波長変換素子の傾斜角は水平面に対して35.5度、方位は真南とした。凹凸加工後のスペクトルと従来の平板型を比較すると全波長域で出力の向上が確認できるが特に蛍光領域(580〜780nm)において大幅な蛍光量増加が見込めることが分かる。この領域のエネルギー値を積分すると凹凸加工後は平板時の260%となった。また吸収領域(380〜580nm)においても凹凸加工後は太陽光を上回るエネルギー値を示している。これは傾斜を設けたことにより入射光に関する臨界角が改善され、より多くの光を入射させることが可能となったことによる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CdS/CdTe太陽電池の構造の概念図、及びCdS/CdTe太陽電池の分光感度特性と太陽光スペクトル特性
分光感度特性は規格化しており、最大値は1である
【図2】波長変換素子を載せたCdS/CdTe太陽電池の構造の概念図、及びCdS/CdTe太陽電池の分光感度特性と波長変換素子から出力される蛍光スペクトル特性
分光感度特性は規格化しており、最大値は1である
【図3】本発明の波長変換素子内部の蛍光の光路イメージを示す概念図、及び凹凸加工波長変換素子の設計図
【図4】従来の平板型と凹凸加工後の波長変換素子の出力スペクトル特性
【符号の説明】
101:反射防止膜
102:ガラス基板
103:CdS層
104:CdTe層
105:カーボン層
106:電極(AgIn)
201:反射防止膜
202:ガラス基板
203:CdS層
204:CdTe層
205:カーボン層
206:電極(AgIn)
207:空気層
208:波長変換素子
301:蛍光分子
302:蛍光分子より上方向への蛍光
303:蛍光分子より下方向への蛍光
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光染料を利用した製品に係るもので、特に太陽電池への適用を考慮した波長変換素子の構造とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】
「太陽エネルギー利用ハンドブック」日本太陽エネルギー学会,1985年,p.581参照
太陽電池の変換効率は、通常10〜20%であり、熱→電気エネルギー変換の効率と比べるとかなり低い。これは太陽光スペクトルが0.3μm〜数μmと広範囲にわたっていることに起因している。この内、特に
▲1▼吸収されない長波長フォトンによる損失(hν<Eg、ν:フォトンの周波数、h:プランク定数)
▲2▼利用されない短波長フォトンによる損失(hν−Eg)
▲3▼禁制帯幅と開放電圧Vocの差による損失:電圧因子
の損失過程だけで約75%のエネルギーが失われる。これらの損失成分は主に半導体の禁制帯幅Egに依存する。
【0003】
上記の理由により、太陽電池は原材料の種類によりEgが異なるため太陽光エネルギーの利用波長域が異なる。太陽電池には波長ごとのエネルギー利用率を表す指標があり、これを分光感度という(波長ごとの利用率の相対比で表している)。太陽電池の発電損失の大半はこの分光感度と太陽光スペクトルのミスマッチによるものである。一例として図1(a)にCdS/CdTe太陽電池の構造の概念図、図1(b)にCdS/CdTe太陽電池分光感度特性と太陽光スペクトル特性を示す。太陽光は反射防止膜101、ガラス基板102、CdS層103、CdTe層104、の順に通過し、その過程でCdS層103、CdTe層104の2層にエネルギーを与える。その結果2層から生じる電力を電極105から取り出す。このときCdS/CdTe太陽電池に照射される太陽光スペクトルは480nm付近で最大となるような特性である。一方CdS/CdTe太陽電池の分光感度は500nm付近で立ち上がり550nm以降に高い値を示す。このような関係によりCdS/CdTe太陽電池は太陽光エネルギーが最も大きい波長域の光を有効に利用できていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、太陽電池へ照射される太陽光エネルギーにおける太陽電池のミスマッチの領域の光を分光感度の高い領域の光へ波長変換することによりその光エネルギーを有効に電気エネルギーに変え、太陽電池の出力向上を可能とする波長変換素子とその構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の波長変換素子では太陽電池の分光感度の高い領域に蛍光する蛍光染料、例えばドイツBASF社製ペリレン系蛍光染料を採用する。この染料はPMMAとの相性が良いため非常に混ざりやすく、2000時間に渡る対候性テストにも残留蛍光が90%前後と長期の使用にも適している。また種類もバイオレット、イエロー、オレンジ、レッドの4種類があり、複数種の太陽電池への適用を考慮した場合に選択の幅が広く対応しやすい。またPMMA自体も加工が容易、比較的安価であるといった利点がある。
【0006】
【発明実施の形態】
図2(a)に波長変換素子を載せたCdS/CdTe太陽電池の構造の概念図、図2(b)にCdS/CdTe太陽電池の分光感度特性と波長変換素子から出力される蛍光スペクトル特性示す。波長変換素子208を介したことで太陽光が波長変換され、蛍光染料の特性に沿ったスペクトル特性となって波長変換素子の下面より出力し、空気層207を通過し反射防止膜201に入射する。この後の過程は段落
【0003】で説明したものと同様である。この結果、太陽光の600nm以下のエネルギーは600nm以上の光に変換され出力するため図2(b)のような特性となり、CdS/CdTe太陽電池上に照射される光のスペクトル特性は、分光感度特性にマッチしたものとなる。以上の効果により太陽電池の起電力、及びエネルギー変換効率の向上を可能とする。
【0007】
波長変換素子の形状に関しては、蛍光分子からの蛍光を有効に出力させるための工夫が必要である。その要因としてPMMAと空気の屈折率差から求まる臨界角は42.2°でありPMMAより外界(空気)へ光が出力するためには境界面でこの角度より鋭い角度で入射する必要があるからである。そこで素子の形状に関しては上面に傾斜を設けてある。こうすることで内部の蛍光分子から全方位へと放射される蛍光の中で上方向へ蛍光する光を上面で反射させ下面へ鋭い角度で入射させる事で臨界角の関係で下面から出力しない蛍光も効果的に出力させる事が可能となる。また入射光に関しても上面に傾斜を設けることで表面積、即ち入射光の入射面積が増加、及び臨界角が改善されることにより入射光量が増加する効果も期待できる。
【0008】
素子内部の蛍光分子より放射する蛍光を効果的に下面より出力させるために有効な上面傾斜角θを算出した。素子の周りの媒質は空気であると想定した。上面への蛍光を1回反射、下方面への蛍光を2回反射で下面より出力させるために有効な上面傾斜角θを算出する。ちなみに下方面への蛍光に関しては一度全反射した(下面への入射角42.2°以上の)光に限定して考慮している。反射の回数に関しては光路の長距離化による減衰、また蛍光分子による蛍光の再吸収を避けるためにできる限り少ない回数で下面より出力するよう、上面、下面での反射回数は最低となる1回と2回に限定した。
【0009】
このことを図3(a)で説明する。この図においてθ(>0)は素子の傾斜角、θ1(>0)は蛍光分子から上面に向け放射する蛍光の水平面に対する角度、θ2(>0)は同様に下面に放射する蛍光の水平面に対する角度である。このように定義した場合、上面への蛍光が1回反射で下面に到達するときの入射角θupper、及び下面への蛍光が2回反射で下面に再到達するときの入射角θlowerは以下の式で与えられる。
θupper=90°−(2θ+θ1)
θlower=90°−(2θ+θ2)
これを一般的に表現すると
上面への蛍光がn回反射で下面に到達するときの入射角θupper,nは
θupper,n=90°−{(n+1)θ+θ1}
下面への蛍光がn回反射で下面に到達するときの入射角θlower,nは
θlower,n=90°−(nθ+θ2)
で与えられる。
上記の関係を利用し、上面への蛍光に関して考慮すると、
n回の反射で出力するときのθ1の範囲は
90°−{(n+1)θ+θ1}<42.2°
これを変形して
【数1】
θ1<47.8°−(n+1)θ
で与えられる。
このような関係から、任意の反射回数nについてθ1の値が大きい程、出力する範囲が大きくなり有利という事になる。またθ1>0の範囲でθの値を変化させることによって蛍光の反射回数nが定まる。この関係から蛍光が反射回数1回以内に(n=1とする)外界へ出力するようなθの範囲を算出した。その結果θ>23.9°の範囲にθをとると上面への蛍光は1回反射以内に外界へ出力する。従ってこの場合はθlの範囲が最大となる23.9°が最適となる。
同様の方法で下面への蛍光に関して反射回数2回以内に(n=2とする)外界へ出力するようなθの範囲を算出した。その結果 θ>23.9°の範囲にθをとると下面への蛍光は2回反射以内に外界へ出力する。
上面への蛍光と同様に考慮すると最適なθの値は23.9°となる。
以上より、傾斜角θが23.9°のときに1回反射、2回反射による下面からの
蛍光量が最大となる。また上記以外の傾斜角であっても
【数1】の式から任意のnに関してθ1>0となるようなθの範囲内であれば蛍光量の出力向上は可能である。以上の値を考慮して実際に設計した波長変換素子が図3(b)である。このような形状のPMMAに対象の太陽電池の分光感度特性にマッチした蛍光特性の蛍光染料を混ぜる事で理想の波長変換素子が完成する。
【0010】
【発明の効果】
以上の説明により、波長変換素子を適用した太陽電池は幅広い波長域の太陽光エネルギーを利用する事が可能となり、波長変換素子の集光素子としての機能も併せて従来の太陽電池と比較し、大幅なエネルギー利用率の向上を図ることが可能となる。図4は2002年9月20日13時に東京理科大学1号館屋上(地上51m)にて撮影した太陽光入射時の波長変換素子の出力スペクトルである。蛍光染料にはドイツBASF社製ペリレン系蛍光染料RED−300を採用し、凹凸加工後の波長変換素子の上面傾斜角は23.9°とした。撮影時における波長変換素子の傾斜角は水平面に対して35.5度、方位は真南とした。凹凸加工後のスペクトルと従来の平板型を比較すると全波長域で出力の向上が確認できるが特に蛍光領域(580〜780nm)において大幅な蛍光量増加が見込めることが分かる。この領域のエネルギー値を積分すると凹凸加工後は平板時の260%となった。また吸収領域(380〜580nm)においても凹凸加工後は太陽光を上回るエネルギー値を示している。これは傾斜を設けたことにより入射光に関する臨界角が改善され、より多くの光を入射させることが可能となったことによる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CdS/CdTe太陽電池の構造の概念図、及びCdS/CdTe太陽電池の分光感度特性と太陽光スペクトル特性
分光感度特性は規格化しており、最大値は1である
【図2】波長変換素子を載せたCdS/CdTe太陽電池の構造の概念図、及びCdS/CdTe太陽電池の分光感度特性と波長変換素子から出力される蛍光スペクトル特性
分光感度特性は規格化しており、最大値は1である
【図3】本発明の波長変換素子内部の蛍光の光路イメージを示す概念図、及び凹凸加工波長変換素子の設計図
【図4】従来の平板型と凹凸加工後の波長変換素子の出力スペクトル特性
【符号の説明】
101:反射防止膜
102:ガラス基板
103:CdS層
104:CdTe層
105:カーボン層
106:電極(AgIn)
201:反射防止膜
202:ガラス基板
203:CdS層
204:CdTe層
205:カーボン層
206:電極(AgIn)
207:空気層
208:波長変換素子
301:蛍光分子
302:蛍光分子より上方向への蛍光
303:蛍光分子より下方向への蛍光
Claims (2)
- 太陽電池において、蛍光染料をPMMA(ポリメチルメタアクリレート)て構成される波長変換素子を太陽電池のセル上に接して置くことを特徴とした高効率太陽電池。
- 請求範囲第一項の高効率太陽電池において、前記波長変換素子の太陽電池のセルと接した面の反対の面を凹凸にしたことを特徴とする高効率太陽電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003126761A JP2004297025A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 高効率太陽電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003126761A JP2004297025A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 高効率太陽電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004297025A true JP2004297025A (ja) | 2004-10-21 |
Family
ID=33410328
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003126761A Pending JP2004297025A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 高効率太陽電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004297025A (ja) |
Cited By (17)
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