JP2004296471A - トランスの実装構造 - Google Patents

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淳 八鍬
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Abstract

【課題】小型薄肉化、軽量化、高信頼性、高効率化、高生産性が実現できるトランスの実装構造の提供。
【解決手段】プリント基板1に形成された貫通穴2にトランス10が挿入されてプリント基板に固定されるトランスの実装構造である。トランスのコイルボビン上に2次コイルが巻回され、コイルボビンには互いに反対方向に延びる支持脚16が一体に設けられ、支持脚はプリント基板の一面側の貫通穴の開口端面に跨って架け渡されて、トランスはプリント基板に懸架される。各支持脚にはピン17が植設され、プリント基板をピンが貫通して、トランスはプリント基板に固定される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトランスの実装構造に関し、特にスイッチング電源装置におけるカレントトランスの実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
スイッチング電源装置は、テレビやPC等の家電製品、産業分野で使用される設備類の制御電源、最近では環境問題に対応すべく、排気ガスの発生のないモータ駆動の電気自動車、燃料電池車、またガソリンエンジンとモータ併用のハイブリッド車に用いられる車載電源装置として、用途が拡大している。これら電源装置では、小型薄肉化、軽量化、高信頼性、高効率化が求められている。そしてこれらスイッチング電源装置では、装置内素子や機器に対する過電流保護や出力電圧の安定制御のために、電流変動を検出するためのカレントトランスが設けられる。
【0003】
図7、図8は、従来のカレントトランス60のプリント基板51に対する実装構造を示す。カレントトランス60は、コア61、コイルボビン63、スイッチング電源装置の電流(被検出電流)を流すための入力側の一次コイル64、一次コイル64に電流が流れるとコア61を介して電流が流れる検出回路側の二次コイル73を備えている。一次コイル64と二次コイル73は同一のコイルボビン63上に巻かれる。そしてカレントトランス60は、プリント基板51の上面側に載置され固定されている。一般にカレントトランス60は、他の機器と比べても嵩張るため、図示された構成では、カレントトランス60の嵩にプリント基板51の厚さが加わり、装置全体として小型化、薄肉化の要請に応えることができない。
【0004】
またプリント基板51の下側のスイッチング電源装置の被検出電流をトランス60側に、即ちプリント基板51の上側に取出すために、接続端子71を別に設けて、一次コイル64に接続しなければならず、そのために部品点数が増えて、製造コストの低減が期待できない。
【0005】
トランス実装構造の薄肉化を図るため、プリント基板にトランスを挿通、嵌合させる程度の大きさの貫通穴を形成する技術が提案されている。トランスを貫通穴で支持することにより、トランスとプリント基板とが重複している部分だけ、電源装置全体の厚さを減らすことができ、薄肉化を図ることができる。(例えば特許文献1参照)。なお電流検出器の実装構造を記載するものとして、特許文献2、3がある。
【特許文献1】
特開2002−270990号公報
【特許文献2】
特開2000−162246号公報
【特許文献3】
特開平7−326530号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1記載のトランスの実装構造では、嵌合穴でトランスを支持するために、嵌合穴の形状とトランスの断面輪郭形状とを合致させる必要があり、高度な寸法精度が要求される。特にトランスは重量のある機器であるために、支持が不十分であるとトランスが脱落し装置の信頼性が低下する。特に自動車などの振動環境化に置かれるときはこの問題が顕著となる。
【0007】
そこで特許文献1では、プリント基板の貫通穴とトランスとの間に接着剤を充填することで、トランスのプリント基板への支持を確保することが記載されている。しかし、接着剤の充填により、他の電子機器に誤って接着剤が滴下するおそれがあり、すると装置の故障、誤動作の原因となる。
【0008】
そこで本発明は、小型薄肉化、軽量化、高信頼性、高効率化、高生産性が実現できるトランスの実装構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、プリント基板に形成された貫通穴内にトランスが挿入固定されたトランスの実装構造において、該トランスはコアと、一次コイル材と、該コアの周囲に配置されたコイルボビンと、該コイルボビン上に巻回された二次コイルとを備え、該コイルボビンは、内周面側に該コアを挿通させ外周面側に該二次コイルを巻回するコイルボビン本体と、該コイルボビン本体の端部において互いに反対方向に延びる少なくとも1対の支持脚部とを有し、該少なくとも1対の支持脚は該プリント基板の一面側の貫通穴の開口端面に跨って架け渡されて、該支持脚を除いた該トランスが該貫通穴内を挿通した状態で該トランスが該プリント基板に懸架固定されるトランスの実装構造を提供している。
【0010】
ここで、該少なくとも1対の支持脚には、それぞれ導電性のピンが貫通固定され、それぞれのピンは該プリント基板を貫通して該トランスを該プリント基板に固定し、1対のピンは接続用の端子をなすと共に該二次コイルに電気的に接続されている。また、該プリント基板の貫通穴のサイズは、該支持脚を除いたトランスの投影面積よりも大きく形成されている。また、該コアは、第1のコア部材と第2のコア部材とを有する。また、該一次コイル材は、該プリント基板の他面側に配置されたスイッチング電源装置の配線であり、該第1のコア部材は略U字状の空間を提供して、該配線が該U字状空間内に交差配置され、該トランスが該スイッチング電源装置を流れる電流検出用カレントトランスとして機能する。また、該支持脚は、該コイルボビン本体の一端部において互いに反対方向に延び該貫通穴の一端部に架け渡される第1の支持脚対と、該コイルボビン本体の他端部において互いに反対方向に延び該貫通穴の他端部に架け渡される第2の支持脚対とを有する。また、該コアはロの字形状をなし、中央部が開口して該1次コイル材が該開口内に挿通される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態によるトランスの実装構造について図1乃至図6に基づき説明する。本実施の形態によるトランス10は、カレントトランスとして機能し、スイッチング電源装置の主回路に流れる電流変動を検出するためのものである。図1に示されるように、スイッチング電源装置のプリント基板1には貫通穴2が形成され、プリント基板1の下面1A側には、スイッチング電源装置を構成する各種電子部品やバスバー3等の配線が配置される。
【0012】
プリント基板1の貫通穴2内にはトランス10が配置される。トランス10はU字状(コの字状)の第1のコア部材11と、第1のコア部材11に当接する棒状の第2のコア部材12と、第2のコア部材12の周囲に配置されたコイルボビン13と、コイルボビン13上に巻回され検出電流を発生する二次コイル14とを備える。ここで上述したバスバー3は入力側一次コイルとして機能し、第1のコア部材11のU字状空間内に交差配置される。第1のコア部材11と第2のコア部材12とにより、中央開口が形成されたロの字状のコアが提供される。
【0013】
コイルボビン13は合成樹脂製の成型物であり、内周面15a(図5)側に第2のコア部材12を挿通させ外周面15b側に二次コイル14を巻回する筒状のコイルボビン本体15と、コイルボビン本体15の軸方向両端部においてそれぞれ互いに反対方向に、コイルボビン本体の軸に対して対称に合計4本の支持脚16とを有する。ここで支持脚16は、トランス10を貫通穴2内に挿通したとき、それぞれの1対の支持脚16がプリント基板1の上面側の貫通穴2の開口端面に跨って架け渡され、トランス10がプリント基板2に懸架される程度の長さを有する。また各支持脚16には、それぞれ導電性のピン17A〜17Dが圧入により植設され、それぞれのピン17A〜17Dはプリント基板1を貫通して基板1上にハンダ付けされることで、トランス10はプリント基板1に固定される。またピン17A、17Bはそれぞれ二次コイル14に電気的に接続されて、検出信号が所定の回路に出力される。
【0014】
ここで、貫通穴2の寸法は、二次コイル14部分の平面視(図1)投影寸法よりも大きく形成されており、そのためトランス10は容易且つ確実に貫通穴2内に挿通でき、組立性を向上できる。またトランス10を貫通穴2に嵌合する必要がなく、また接着剤の充填も不要なので、貫通穴2とトランス10との間での厳密な寸法精度が要求されず、製造が簡単になる。
【0015】
このように支持脚16がプリント基板1の上面側の貫通穴2の開口端面に跨って架け渡されて、支持脚16を除いたトランス10が貫通穴2内を挿通した状態でトランス10がプリント基板2に懸架固定されるので、トランス10をプリント基板1上に配置した構成と比較して、トランス10がプリント基板1の貫通穴2に入っている部分だけ、全体の高さを小さくでき、装置の薄型化を図ることができる。また、トランス10自体が重量物であっても、支持脚16がプリント基板1の上面側に係止される構造なので、トランス10は確実にプリント基板1に支持できる。特に本実施の形態による実装構造を振動を受けやすい環境下、例えば車載用に用いても、トランス10は確実にプリント基板1に固定できるので、所望の性能を維持できる。
【0016】
上述したバスバー3は、第1のコア部材11のU字状空間内に交差配置されており一次コイルを兼ねている。従って一般的なトランスのように第1のコア部材の回りに導線を巻回した一次コイルと比較すれば、配線であるバスバー3をそのまま一次コイルとして利用でき、スイッチング電源装置の主回路とトランスの一次コイルとの電気的接続端子が不要となり、その分省スペースを図ることができる。またトランス10のプリント基板1に対する懸架構造により、第1のコア部材11は、プリント基板1の下面側に位置することになる。よって、第1のコア部材11はプリント基板1の下面側にある一次コイルとしてのバスバー3と同じ側に位置することになり、スイッチング電源装置の主回路の電流検出のためにプリント基板の上面側に導線を引き出す必要がなくなる。
【0017】
本発明によるトランスの実装構造は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、一次コイルとしてのバスバー3に代えて、被覆電線のようなスイッチング電源装置の他の配線を用いてもよい。
【0018】
また、上述した実施の形態では、U字状(コの字状)の第1のコア部材11と、第1のコア部材11に当接する棒状の第2のコア部材12とによりロの字状のコアが提供されているが、U字状の第1のコア部材の一方の腕を他方の腕よりも長くし、長い腕の端面を棒状の第2のコア部材と当接させ、短い腕の端面と棒状の第2のコア部材との間に隙間を形成するようにしてもよい。また、その隙間にポリエステル等の樹脂からなるフィルムギャップを介装してもよい。また、U字状の第1のコア部材の腕の長さを互いに同じにしつつも、それぞれの腕の端面と棒状の第2コア部材12との間にそれぞれフィルムギャップを介装させてもよい。更に、第1のコア部材と第2のコア材をそれぞれU字状(コの字状)、逆U字状(逆コの字状)とし、上述したような、ロの字状コアとしたり、隙間を形成したり、隙間にフィルムギャップを介装させてもよい。更に、コアは全体を棒状としてもよい。
【0019】
【発明の効果】
請求項1記載のトランスの実装構造によれば、少なくとも1対の支持脚がプリント基板の一面側の貫通穴の開口端面に跨って架け渡されて、支持脚を除いたトランスが貫通穴内を挿通した状態でトランスがプリント基板に懸架固定されるので、トランスをプリント基板上に配置した構成と比較して、トランスがプリント基板の貫通穴に入っている部分だけ、全体の高さを小さくでき、装置の薄型化を図ることができる。
【0020】
また、トランス自体が重量物であっても、支持脚がプリント基板の一面側に当接することにより、トランスは確実にプリント基板に支持される。特に本構造を振動を受けやすい環境下、例えば車載用に用いても、トランスは確実にプリント基板に支持できるので、所望の性能を維持できる。
【0021】
更に、トランスを貫通穴に固定するための接着剤が不要となるので、接着剤充填の手間や、誤ってプリント基板上にある電子部品へ接着剤を滴下するおそれがなくなる。
【0022】
請求項2記載のトランスの実装構造によれば、少なくとも1対の支持脚には、それぞれ導電性のピンが貫通固定され、それぞれのピンはプリント基板を貫通してトランスをプリント基板に固定し、1対のピンは二次コイルに電気的に接続されている構造なので、ピン自体が電気的な接続手段とトランスの固定手段を兼ねることができ、部品点数を低減でき、トランスを確実にプリント基板に固定することができる。
【0023】
請求項3記載のトランスの実装構造によれば、プリント基板の貫通穴のサイズは、支持脚を除いたトランスの投影面積よりも大きく形成されているので、トランスは容易且つ確実に貫通穴内に挿通でき、組立性を向上できる。また貫通穴とトランスとの間での厳密な寸法精度が要求されず、生産性を向上できる。
【0024】
請求項4記載のトランスの実装構造によれば、コアは、第1のコア部材と第2のコア部材とにより別部材で構成されるので、製造が簡単になる。
【0025】
請求項5記載のトランスの実装構造によれば、一次コイル材は、プリント基板の他面側に配置されたスイッチング電源装置の配線、例えばバスバーであり、第1のコア部材は略U字状の空間を提供して、配線がU字状空間内に交差配置され、トランスがスイッチング電源装置主回路を流れる電流検出用カレントトランスとして機能する構成であるので、配線をそのまま一次コイルとして利用でき、スイッチング電源の主回路とトランス一次コイルとの電気的接続端子が不要となり、その分省スペースを図ることができる。
【0026】
加えて請求項1によるトランスのプリント基板に対する懸架構造により、第1のコア部材は、プリント基板の他面側に位置することになるので、一次コイルもプリント基板の他面側に配置でき、プリント基板の他面側にあるスイッチング電源装置の主回路の電流検出のためにプリント基板の一面側に導線を引き出す必要がなくなる。
【0027】
請求項6記載のトランスの実装構造によれば、トランスの該プリント基板の一面側4隅に支持脚をそれぞれ延設した構造となるので、支持脚を対称形にレイアウトでき、プリント基板に対するトランスの支持を安定化させることができる。
【0028】
請求項7記載のトランスの実装構造によれば、コアはロの字形状をなし、中央部が開口するので、開口に1次コイル材を挿通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるトランスの実装構造を示す平面図。
【図2】本発明の実施の形態によるトランスの実装構造の裏面側の斜視図。
【図3】本発明の実施の形態によるトランスの実装構造を示すIII−III線に沿った断面図。
【図4】本発明の実施の形態によるトランス及びスイッチング電源装置の配線の一部との位置関係を示すため基板を省略した斜視図。
【図5】本発明の実施の形態によるトランスの実装構造に用いられるトランスのコイルボビンを示す斜視図。
【図6】本発明の実施の形態によるトランスの実装構造に用いられるトランスの斜視図。
【図7】従来のトランスの実装構造を示す斜視図。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿った断面図。
【符号の説明】
1・・・プリント基板
2・・・貫通穴
3・・・バスバー
10・・・トランス
11・・・第1のコア部材
12・・・第2のコア部材
13・・・コイルボビン
14・・・二次コイル
15・・・コイルボビン本体
16・・・支持脚
17A、17B、17C、17D・・・ピン

Claims (7)

  1. プリント基板に形成された貫通穴内にトランスが挿入固定されたトランスの実装構造において、
    該トランスはコアと、一次コイル材と、該コアの周囲に配置されたコイルボビンと、該コイルボビン上に巻回された二次コイルとを備え、
    該コイルボビンは、内周面側に該コアを挿通させ外周面側に該二次コイルを巻回するコイルボビン本体と、該コイルボビン本体の端部において互いに反対方向に延びる少なくとも1対の支持脚部とを有し、該少なくとも1対の支持脚は該プリント基板の一面側の貫通穴の開口端面に跨って架け渡されて、該支持脚を除いた該トランスが該貫通穴内を挿通した状態で該トランスが該プリント基板に懸架固定されることを特徴とするトランスの実装構造。
  2. 該少なくとも1対の支持脚には、それぞれ導電性のピンが貫通固定され、それぞれのピンは該プリント基板を貫通して該トランスを該プリント基板に固定し、1対のピンは接続用の端子をなすと共に該二次コイルに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載のトランスの実装構造。
  3. 該プリント基板の貫通穴のサイズは、該支持脚を除いたトランスの投影面積よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のトランスの実装構造。
  4. 該コアは、第1のコア部材と第2のコア部材とを有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のトランスの実装構造。
  5. 該一次コイル材は、該プリント基板の他面側に配置されたスイッチング電源装置の配線であり、該第1のコア部材は略U字状の空間を提供して、該配線が該U字状空間内に交差配置され、該トランスが該スイッチング電源装置を流れる電流検出用カレントトランスとして機能することを特徴とする請求項4記載のトランスの実装構造。
  6. 該支持脚は、該コイルボビン本体の一端部において互いに反対方向に延び該貫通穴の一端部に架け渡される第1の支持脚対と、該コイルボビン本体の他端部において互いに反対方向に延び該貫通穴の他端部に架け渡される第2の支持脚対とを有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載のトランスの実装構造。
  7. 該コアはロの字形状をなし、中央部が開口して該1次コイル材が該開口内に挿通されることを特徴とする請求項1乃至6記載のトランスの実装構造。
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