JP2004296407A - 発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】フルカラーディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源やプリンター等の光源アレイなどに有効に利用でき、耐久性に優れ、発光効率および発光輝度が高い発光素子を提供する。
【解決手段】一対の電極間に発光層を含む有機層を有する発光素子であって、発光層には燐光発光性化合物と、ホスト化合物としてジアミン基を含む特定構造の繰り返し単位を有する化合物とが含有されている。
【選択図】 なし
【解決手段】一対の電極間に発光層を含む有機層を有する発光素子であって、発光層には燐光発光性化合物と、ホスト化合物としてジアミン基を含む特定構造の繰り返し単位を有する化合物とが含有されている。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光層に燐光発光性化合物および高分子ホスト化合物に用いた発光効率および発光輝度に優れ発光素子に関し、特に有機電界発光素子として好適に利用できる。
本発明の発光素子は、フルカラーディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源やプリンター等の光源アレイ等に有効に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
有機物質を使用した有機電界発光素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に有機電界発光素子は、発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導体から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0003】
しかしながら、このような有機電界発光素子の場合、無機LED素子や、蛍光管に比べ非常に発光効率が低いという大きな問題がある。現在提案されている有機電界発光素子の殆どは、有機発光材料の一重項励起子から得られる蛍光発光を利用したものである。単純な量子化学のメカニズムにおいては、励起子状態において、蛍光発光が得られる一重項励起子と、燐光発光が得られる三重項励起子との比は、1対3であり、蛍光発光を利用している限りは励起子の25%しか有効活用できず発光効率の低いものとなる。それに対して三重項励起子から得られる燐光を利用できるようになれば、発光効率を向上できることになる。
【0004】
三重項励起子を利用した湿式製膜型発光素子は、ほとんど報告されていない。また、発光効率・発光輝度が高く、製造コストが低くて、大面積化が可能な有機電界発光素子は未だ提供されておらず、その提供が強く望まれているのが現状である。その理由は効率よく燐光発光材へエネルギー移動させるための高分子型ホスト材料が無いことにある。共役系高分子を用いる三重項ELホスト材料が提案されている(特許文献1及び非特許文献1参照)が、発光効率は低くかつ赤色燐光発光材にしか適用できない。また、一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物を正孔注入層に含有する有機電界発光素子が開示されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−280183号公報
【特許文献2】
特開2000−36390号公報
【非特許文献1】
フィジカル レビュウーB、63巻、235206頁、2001年
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、効率よく燐光発光材料へエネルギー移動させることのできる高分子ホスト材料を用い、発光効率および発光輝度に優れ、かつ製造コストを低減した発光素子を提供することにある。
本発明の他の目的は、フルカラーディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源や、プリンター等の光源アレイなどに有効に利用できる発光素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記構成の発光素子が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
1.一対の電極間に少なくとも一層の発光層を含む有機層を有する発光素子であって、
該発光層の少なくとも一層が、燐光発光性化合物と、ホスト化合物として下記一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する化合物とを含有することを特徴とする発光素子。
一般式(1)
【0008】
【化3】
【0009】
(一般式(1)中、Ar1、Ar2、Ar4、Ar5は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表す。Ar3は置換基を有しても良い一価の芳香族環基を表す。Xは、単結合またはスルホン基、カルボニル基、及びアルキレン基から選ばれる連結基を表す。)
一般式(2)
【0010】
【化4】
【0011】
(一般式(2)中、Ar6、Ar8、Ar9、Ar10は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表し、二個存在するAr7は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い芳香族環基を表す。Yは、単結合またはスルホン基、カルボニル基、及びアルキレン基から選ばれる連結基を表す。)
2.一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物の質量平均分子量が、5,000以上1,000,000以下であることを特徴とする上記1に記載の発光素子。
3.該発光層が、電子受容性化合物をさらに含むことを特徴とする上記1または2に記載の発光素子。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の発光素子は、基板上に透明電極、少なくとも一層の発光層を含む有機層及び背面電極が積層されており、さらに必要に応じて保護層等のその他の層を有している。
なお、これらの各層を形成するための具体的な化合物例については、例えば「月刊ディスプレイ 1998 10月号別冊の『有機ELディスプレイ』(テクノタイムズ社発行)」の28頁〜36頁などに記載されている。
【0013】
−有機層−
本発明において、有機層は、少なくとも一層の発光層を有し、さらに必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロッキング層等を有する。
【0014】
−発光層−
発光層は、少なくとも一種の燐光発光性化合物と、ホスト化合物として下記一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する化合物(以下、本発明の化合物と称することがある)を少なくとも一種含有する。
一般式(1)
【0015】
【化5】
【0016】
(一般式(1)において、Ar1、Ar2、Ar4、Ar5は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表す。Ar3は、置換基を有しても良い一価の芳香族環基を表す。Xは、単結合またはスルホン基、カルボニル基、及びアルキレン基から選ばれる連結基を表す。)
一般式(2)
【0017】
【化6】
【0018】
(一般式(2)において、Ar6、Ar8、Ar9、Ar10は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表す。二個存在するAr7は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い芳香族環基を表す。Yは、単結合またはスルホン基、カルボニル基、及びアルキレン基から選ばれる連結基を表す。)
【0019】
本発明の化合物において一般式(1)と一般式(2)との比率は特に限定されることはなく、一般式(1):一般式(2)のモル比が0:100〜100:0であってよいが、一般式(1)を主成分とする化合物であることが好ましい。
【0020】
発光層は、さらに必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、他のホスト化合物を含んでも良い。また必要に応じて適宜選択したポリマーバインダー等その他の成分を含有してもよい。
【0021】
本発明で、燐光発光性化合物とは、主として三重項励起子から発光することのできる化合物(主たる発光が燐光由来であるが、蛍光由来の発光を含んでいてもよい)のことであり、特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体が好ましい。
【0022】
上記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」71〜77頁、135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。オルトメタル化金属錯体を含む発光層は、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
【0023】
オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有しても良い。
オルトメタル化金属錯体は、前記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
【0024】
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体は Inorg.Chem. 1991年, 30号, 1685頁 、同 1988年, 27号, 3464頁 、同 1994年, 33号, 545頁、 Inorg.Chim.Acta 1991年,181号, 245頁、 J.Organomet.Chem. 1987年, 335号, 293頁、J.Am.Chem.Soc. 1985年, 107号, 1431頁. 等、種々の公知の手法で合成することができる。
前記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
燐光発光性化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
燐光発光性化合物の発光層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜70質量%であり、1〜20質量%が好ましい。
燐光発光性化合物の含有量が0.1〜70質量%でない場合にはその含有効果が十分に発揮されないことがあり、1〜20質量%であるとその含有効果が十分である。
【0026】
本発明において、高分子ホスト化合物として、一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物を含有する。該高分子化合物は、例えば、Polymers for Advanced Technologies、7巻、31頁、1996年に従い合成することができる。ホスト化合物とは、励起子エネルギーを発光材にエネルギー移動できる化合物のことである。
【0027】
また、一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物は、特開2000−36390号公報に開示されている化合物を挙げることができ、好適に用いることができる。
例えば一般式(1)において、Ar1、Ar2、Ar4、Ar5は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を示し、例えば、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル基、アントラセン環等を挙げることができる。置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基等を挙げることができる。Ar3は置換基を有しても良い芳香族環基を示し、置換基としては同上である。
Xは、単結合または連結基であり、連結基としては、スルホン基、カルボニル基、アルキレン基が挙げられる。
一般式(2)において、Ar6、Ar8、Ar9、Ar10は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表し、例えば、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル基、アントラセン環等を挙げることができる。置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基等を挙げることができる。
二個存在するAr7は、置換基を有しても良い芳香族環基を表し、置換基としては、Ar6などの場合と同じである。
Yは、単結合または連結基であり、連結基としては、スルホン基、カルボニル基、アルキレン基が挙げられる。
【0028】
一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物の分子量は質量平均分子量が5,000以上1,000,000以下であることが好ましく、更に好ましくは質量平均分子量が10,000以上700,000以下である。これよりも小さいと製膜、乾燥時に膜に成りにくく、またこれよりも大きいと溶剤に溶解しにくく、また溶解後も粘度が大きくなり取り扱いが不便になる。ここで、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定され、ポリスチレン換算値である。
【0029】
一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物の発光層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発光層に99.9〜10質量%含有され、99〜50質量%含有されるのが好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物の含有量が99.9〜10質量%でない場合にはその含有効果が十分に発揮されないことがある。
【0030】
また本発明においては、駆動電圧の低下の目的で発光層に電子受容性化合物を含有させることができる。
電子受容性化合物を添加することにより、一般式(1)または(2)で表されるジアミン基を含む繰り返し単位を有する高分子化合物は電子受容性化合物に電子を取られ、正孔を生じ、正孔移動度が増加し駆動電圧を下げることができる。
電子受容性化合物としては特に限定されることはなく、一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物から電子を取る化合物で有れば良い。
電子受容性化合物としては例えば、塩化鉄等のハロゲン化鉄、塩化アルミ等のハロゲン化アルミ、塩化錫等のハロゲン化錫、塩化アンチモン等のハロゲン化アンチモン等の無機ルイス酸化合物、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート等の有機アンチモン塩、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン等の有機化合物を挙げることができる。
電子受容性化合物の含有量は、一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物に対して0.1−50質量%が好ましく、更に好ましくは1−30質量%である。これよりも少ないと電子受容性化合物を含有する効果が少なくなり、これよりも多いと発光層の膜質が悪くなり好ましくない。
【0031】
必要に応じて用いられる正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、高分子正孔輸送材いずれも用いることができ、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば限定されることはなく、例えば以下の材料を挙げることができる。
カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
必要に応じて用いられる電子輸送材としては電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく例えば以下の材料を挙げることができる。
トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。
【0033】
必要に応じて用いられるホスト材としては励起子エネルギーを発光材にエネルギー移動できる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
ホスト化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
その他の成分としては、特に本発明においては発光層には必要に応じて、電気的に不活性なポリマーバインダーを用いることができる。
必要に応じて用いられる電気的に不活性なポリマーバインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
発光層がポリマーバインダーを含有していると、発光層を湿式製膜法により容易にかつ大面積に塗布形成することができる点で有利である。
【0035】
発光層を湿式製膜法により塗布形成する場合、発光層の材料を溶解して塗布液を調整する際に用いられる溶剤としては、特に制限はなく、正孔輸送材、オルトメタル化錯体、ホスト材、ポリマーバインダー等の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
なお、塗布液における固形分量溶剤に対する固形分量としては、特に制限はなく、その粘度も湿式製膜方法に応じて任意に選択することができる。
【0036】
発光層の厚みとしては、10〜200nmが好ましく、20〜150nmがよりに好ましく、20〜80nmがさらに好ましい。
厚みが、200nmを越えると駆動電圧が上昇することがあり、10nm未満であると発光素子が短絡することがある。
【0037】
本発明において、発光層は正孔輸送層と共に積層形成されてもよい。
正孔注入層の材料としては、透明電極から正孔を注入可能であるか、あるいは背面電極から注入された電子を障壁可能であればよく、例えば、P型無機半導体やP型の導電性高分子を挙げることができる。これらの材料は、駆動電圧がほとんど上昇させることなく、発光素子の膜厚を大きくすることができ、輝度ムラやショートを改善することができる点で有利である。
【0038】
正孔注入層の厚みとしては、5〜1000nm程度が好ましく、10〜500nmが好ましい。
【0039】
本発明において、発光層は電子輸送層と共に積層形成されてもよい。
電子輸送層は、少なくとも電子輸送材を含有してなり、また必要に応じて適宜選択したポリマーバインダー等その他の成分を含有してなる。
【0040】
電子輸送材としては電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく、例えば前記で記載した材料を挙げることができる。
電子輸送層の厚みとしては、10〜200nmが好ましく、20〜80nmがより好ましい。
電子輸送層の厚みが、200nmを越えると駆動電圧が上昇することがあり、10nm未満であると発光素子が短絡することがある。
【0041】
本発明において、電子輸送層は電子注入層と共に積層形成されてもよい。
電子注入層の材料としては、背面電極から電子を注入可能であるか、あるいは透明電極から注入された正孔を障壁可能であればよく、例えば、酸化アルミニウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム等の無機絶縁体、n型シリコン、二酸化チタン等のn型無機半導体、ナフタレンテトラカルボキシリックジイミド等のn型有機半導体、などが挙げられる。P型無機半導体やP型の導電性高分子を挙げることができる。
電子注入層の厚みとしては、0.1〜10nm程度である。
【0042】
−有機層の構成−
有機層の発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、透明電極上に又は背面電極上に形成されるのが好ましい。
有機層の形状、大きさ、厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0043】
発光層と透明電極との間には、正孔注入層を形成してもよく、また後述する背面電極と電子輸送層との間には電子注入層を形成してもよい。
具体的な層構成としては、透明電極/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極、透明電極/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極、等が挙げられる。
いずれにおいても、発光は、通常、透明電極から取り出される。
【0044】
−有機層の形成−
有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
なかでも、湿式製膜法による塗布形成の場合、有機層を容易に大面積化することができ、高輝度で発光効率に優れた発光素子が低コストで効率よく得られる点で有利である。
また、本発明においては、湿式製膜された有機層を転写法により形成しても良く、転写法を用いることにより、より容易に発光素子を作成することができる。
なお、これらの製膜法の種類の選択は、有機層の材料に応じて適宜おこなうことができる。
湿式製膜法により製膜した場合は、製膜した後、適宜乾燥を行うことができ、乾燥の条件としては特に制限はないが、塗布形成した層が損傷しない範囲の温度等を採用することができる。
【0045】
−基材−
その上に電極や有機層が設けられる基材の材料としては、水分を透過させない材料又は水分透過率の極めて低い材料が好ましく、また、有機層から発せられる光を散乱乃至減衰等のさせることのない材料が好ましく、例えばYSZ(ジルコニア安定化イットリウム)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の合成樹脂等の有機材料、などが挙げられる。有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、低吸湿性等に優れていることが好ましい。透明電極の材料が透明電極の材料として好適に使用される酸化錫インジウム(ITO)である場合には、酸化錫インジウム(ITO)との格子定数の差が小さい材料が好ましい。
これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
基材の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、形状としては、板状である。構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基材は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明であるのが好ましい。
【0047】
基材には、その表面又は裏面(前記透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けるのが好ましい。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
基材には、さらに必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0048】
−透明電極−
透明電極としては、通常、有機層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
透明電極を陰極として機能させることもでき、この場合、背面電極を陽極として機能させるようにすればよい。
【0049】
透明電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0050】
透明電極は例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から透明電極の材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って基板上に形成することができる。例えば、透明電極の材料として、ITOを選択する場合には、透明電極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。また透明電極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行うことができる。
【0051】
透明電極の発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、基板上に形成されるのが好ましい。この場合、透明電極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0052】
なお、透明電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0053】
透明電極の厚みとしては、透明電極の材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
透明電極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。
透明電極は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、透明電極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0054】
なお、透明電極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した透明電極が好ましい。
【0055】
−背面電極−
背面電極としては、通常、有機層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
背面電極を陽極として機能させることもでき、この場合、透明電極を陰極として機能させるようにすればよい。
【0056】
背面電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0057】
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ度類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0058】
なお、背面電極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。
【0059】
背面電極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から背面電極の材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って基板上に形成することができる。例えば、背面電極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0060】
なお、背面電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0061】
背面電極の発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、有機層上に形成されるのが好ましい。この場合、背面電極は、有機層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、背面電極と有機層との間にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。
なお、誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0062】
−その他の層−
その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層などが挙げられる。
保護層としては、例えば、特開平7−85974号公報、同7−192866号公報、同8−22891号公報、同10−275682号公報、同10−106746号公報等に記載のものが好適に挙げられる。
保護層は、発光素子において、その最表面に、例えば、基材、透明電極、有機層、及び背面電極がこの順に積層される場合には、背面電極上に形成され、基材、背面電極、有機層、及び透明電極がこの順に積層される場合には、透明電極上に形成される。
保護層の形状、大きさ、厚み等については、適宜選択することができ、その材料としては、水分や酸素等の発光素子を劣化させ得るものを発光素子内に侵入乃至透過させるのを抑制する機能を有していれば特に制限はなく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウム、等が挙げられる。
【0063】
保護層の形成方法としては、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子センエピタキシ法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法、などが挙げられる。
【0064】
更に、本発明においては、発光素子を構成する各層への水分や酸素の侵入を防止する目的で、封止層を設けるのも好ましい。
記封止層の材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含む共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Tl、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等の液状フッ素化炭素、液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたもの、などが挙げられる。
【0065】
また、本発明においては、発光素子を外部との水分や酸素の遮断の目的で封止板、封止容器により、封止剤を用いて封止することが好ましい。
封止板、封止容器に用いられる材質としては、ガラス、ステンレス、アルミ等の金属、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリエステル、ポリカーボネート等のプラスティックやセラミック等を用いることができる。封止剤としては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、二液型硬化樹脂いずれも用いることができる。
【0066】
さらに本発明においては、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤または不活性液体を設けることができる。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0067】
本発明の発光素子は、透明電極と背面電極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の発光素子の駆動については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同241047号、米国特許5828429号、同6023308号、日本特許第2784615号、等に記載の方法を利用することができる。
【0068】
【実施例】
以下に、本発明の発光素子の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0069】
(実施例1)
基材として厚みが0.5mmで2.5cm角のガラス板を用い、この基材を真空チャンバー内に導入し、SnO2含有率が10質量%であるITOタ−ゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタ(条件:基材温度250℃、酸素圧1×10−3Pa)により、透明電極としてのITO薄膜(厚み0.2μm)を形成した。ITO薄膜の表面抵抗は10Ω/□であった。
【0070】
次に、透明電極を形成したガラス基板を洗浄容器に入れ、IPA洗浄した後、これに酸素プラズマ処理を行った。そして、透明電極の表面に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸水分散物(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3%)をスピンコートした後、150℃、2時間真空乾燥して厚みが100nmの正孔輸送層を形成した。
【0071】
そして、この正孔輸送層上に、高分子ホスト材料としての下記表1の化合物1(Mw=100,000)と燐光発光材としてのトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体とを20:1の質量比でジクロロエタンに溶解して得た発光層塗布液をスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥させることにより厚みが40nmの発光層を形成した。
【0072】
次にこの発光層上に電子輸送材として2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[3−(2−メチルフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン]を1nm/秒の速度で蒸着して24nmの電子輸送層を設けた。
さらにこの上に電子注入層としてLiFを1nm/秒の速度で蒸着して2nmの電子注入層を設けた。
【0073】
さらにこの電子注入層上にパターニングしたマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、蒸着装置内でアルミニウムを0.25μm蒸着し、背面電極を形成した。
形成された透明電極(陽極として機能する)及び背面電極より、それぞれアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。
【0074】
ここで得られた積層構造体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止容器で紫外線硬化型接着剤(長瀬チバ製、XNR5516HV)を用いて封止した。以上により、実施例1の発光素子を作成した。
【0075】
この発光素子を用いて、以下の方法で評価した。
東洋テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。その時の最高輝度をLmax、Lmaxが得られた時の電圧をVmaxとした。さらに200Cd/m2時の発光効率を(η200)、2000Cd/m2時の発光効率を外部量子効率(η2000)として表3に示した。
また、初期輝度2000Cd/m2で駆動耐久性試験を実施し、輝度が半分になった時間を半減時間(T1/2)として、試験結果を表3に示した。
【0076】
(実施例2〜12)
実施例1において、高分子ホスト材料として、それぞれ表1及び表2に示した材料を用いる以外は実施例1と同様にして、発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0077】
(実施例13)
実施例1において、発光層塗布液として、高分子ホスト材料としての表1の化合物1(Mw=100,000)と燐光発光材としてのトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体と電子受容性化合物としてのトリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートを20:1:5の質量比でジクロロエタンに溶解して得た発光層塗布液を用いる以外は実施例1と同様にして、発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0078】
(比較例1)
実施例1において、高分子ホスト材料としてポリビニルカルバゾール(質量平均分子量63000、アルドリッチ製)を用いる以外は実施例1と同様にして、発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
表3に示される結果からわかるように、本発明における高分子ホスト材料を用いた発光素子は、従来の発光素子に比べ、輝度、発光効率、駆動耐久性いずれも優れている。
【0083】
【発明の効果】
本発明によると、三重項励起子を有効に利用し、高輝度で発光効率が極めて高く、耐久性に優れ、大面積化が可能であり、しかも低コストで容易に製造可能な発光素子が提供される。本発明の発光素子は、フルカラーディスプレイ、バックライト等の面光源やプリンター等の光源アレイなどに有効に利用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光層に燐光発光性化合物および高分子ホスト化合物に用いた発光効率および発光輝度に優れ発光素子に関し、特に有機電界発光素子として好適に利用できる。
本発明の発光素子は、フルカラーディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源やプリンター等の光源アレイ等に有効に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
有機物質を使用した有機電界発光素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に有機電界発光素子は、発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導体から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0003】
しかしながら、このような有機電界発光素子の場合、無機LED素子や、蛍光管に比べ非常に発光効率が低いという大きな問題がある。現在提案されている有機電界発光素子の殆どは、有機発光材料の一重項励起子から得られる蛍光発光を利用したものである。単純な量子化学のメカニズムにおいては、励起子状態において、蛍光発光が得られる一重項励起子と、燐光発光が得られる三重項励起子との比は、1対3であり、蛍光発光を利用している限りは励起子の25%しか有効活用できず発光効率の低いものとなる。それに対して三重項励起子から得られる燐光を利用できるようになれば、発光効率を向上できることになる。
【0004】
三重項励起子を利用した湿式製膜型発光素子は、ほとんど報告されていない。また、発光効率・発光輝度が高く、製造コストが低くて、大面積化が可能な有機電界発光素子は未だ提供されておらず、その提供が強く望まれているのが現状である。その理由は効率よく燐光発光材へエネルギー移動させるための高分子型ホスト材料が無いことにある。共役系高分子を用いる三重項ELホスト材料が提案されている(特許文献1及び非特許文献1参照)が、発光効率は低くかつ赤色燐光発光材にしか適用できない。また、一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物を正孔注入層に含有する有機電界発光素子が開示されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−280183号公報
【特許文献2】
特開2000−36390号公報
【非特許文献1】
フィジカル レビュウーB、63巻、235206頁、2001年
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、効率よく燐光発光材料へエネルギー移動させることのできる高分子ホスト材料を用い、発光効率および発光輝度に優れ、かつ製造コストを低減した発光素子を提供することにある。
本発明の他の目的は、フルカラーディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源や、プリンター等の光源アレイなどに有効に利用できる発光素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記構成の発光素子が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
1.一対の電極間に少なくとも一層の発光層を含む有機層を有する発光素子であって、
該発光層の少なくとも一層が、燐光発光性化合物と、ホスト化合物として下記一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する化合物とを含有することを特徴とする発光素子。
一般式(1)
【0008】
【化3】
【0009】
(一般式(1)中、Ar1、Ar2、Ar4、Ar5は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表す。Ar3は置換基を有しても良い一価の芳香族環基を表す。Xは、単結合またはスルホン基、カルボニル基、及びアルキレン基から選ばれる連結基を表す。)
一般式(2)
【0010】
【化4】
【0011】
(一般式(2)中、Ar6、Ar8、Ar9、Ar10は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表し、二個存在するAr7は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い芳香族環基を表す。Yは、単結合またはスルホン基、カルボニル基、及びアルキレン基から選ばれる連結基を表す。)
2.一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物の質量平均分子量が、5,000以上1,000,000以下であることを特徴とする上記1に記載の発光素子。
3.該発光層が、電子受容性化合物をさらに含むことを特徴とする上記1または2に記載の発光素子。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の発光素子は、基板上に透明電極、少なくとも一層の発光層を含む有機層及び背面電極が積層されており、さらに必要に応じて保護層等のその他の層を有している。
なお、これらの各層を形成するための具体的な化合物例については、例えば「月刊ディスプレイ 1998 10月号別冊の『有機ELディスプレイ』(テクノタイムズ社発行)」の28頁〜36頁などに記載されている。
【0013】
−有機層−
本発明において、有機層は、少なくとも一層の発光層を有し、さらに必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロッキング層等を有する。
【0014】
−発光層−
発光層は、少なくとも一種の燐光発光性化合物と、ホスト化合物として下記一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する化合物(以下、本発明の化合物と称することがある)を少なくとも一種含有する。
一般式(1)
【0015】
【化5】
【0016】
(一般式(1)において、Ar1、Ar2、Ar4、Ar5は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表す。Ar3は、置換基を有しても良い一価の芳香族環基を表す。Xは、単結合またはスルホン基、カルボニル基、及びアルキレン基から選ばれる連結基を表す。)
一般式(2)
【0017】
【化6】
【0018】
(一般式(2)において、Ar6、Ar8、Ar9、Ar10は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表す。二個存在するAr7は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い芳香族環基を表す。Yは、単結合またはスルホン基、カルボニル基、及びアルキレン基から選ばれる連結基を表す。)
【0019】
本発明の化合物において一般式(1)と一般式(2)との比率は特に限定されることはなく、一般式(1):一般式(2)のモル比が0:100〜100:0であってよいが、一般式(1)を主成分とする化合物であることが好ましい。
【0020】
発光層は、さらに必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、他のホスト化合物を含んでも良い。また必要に応じて適宜選択したポリマーバインダー等その他の成分を含有してもよい。
【0021】
本発明で、燐光発光性化合物とは、主として三重項励起子から発光することのできる化合物(主たる発光が燐光由来であるが、蛍光由来の発光を含んでいてもよい)のことであり、特に限定されることはないが、オルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体が好ましい。
【0022】
上記オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」71〜77頁、135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。オルトメタル化金属錯体を含む発光層は、高輝度で発光効率に優れる点で有利である。
【0023】
オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有しても良い。
オルトメタル化金属錯体は、前記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
【0024】
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体は Inorg.Chem. 1991年, 30号, 1685頁 、同 1988年, 27号, 3464頁 、同 1994年, 33号, 545頁、 Inorg.Chim.Acta 1991年,181号, 245頁、 J.Organomet.Chem. 1987年, 335号, 293頁、J.Am.Chem.Soc. 1985年, 107号, 1431頁. 等、種々の公知の手法で合成することができる。
前記オルトメタル化錯体の中でも、三重項励起子から発光する化合物が本発明においては発光効率向上の観点から好適に使用することができる。
また、ポルフィリン金属錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。
燐光発光性化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
燐光発光性化合物の発光層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜70質量%であり、1〜20質量%が好ましい。
燐光発光性化合物の含有量が0.1〜70質量%でない場合にはその含有効果が十分に発揮されないことがあり、1〜20質量%であるとその含有効果が十分である。
【0026】
本発明において、高分子ホスト化合物として、一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物を含有する。該高分子化合物は、例えば、Polymers for Advanced Technologies、7巻、31頁、1996年に従い合成することができる。ホスト化合物とは、励起子エネルギーを発光材にエネルギー移動できる化合物のことである。
【0027】
また、一般式(1)及び一般式(2)で表されるジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物は、特開2000−36390号公報に開示されている化合物を挙げることができ、好適に用いることができる。
例えば一般式(1)において、Ar1、Ar2、Ar4、Ar5は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を示し、例えば、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル基、アントラセン環等を挙げることができる。置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基等を挙げることができる。Ar3は置換基を有しても良い芳香族環基を示し、置換基としては同上である。
Xは、単結合または連結基であり、連結基としては、スルホン基、カルボニル基、アルキレン基が挙げられる。
一般式(2)において、Ar6、Ar8、Ar9、Ar10は、それぞれ独立に、置換基を有しても良い2価の芳香族環基を表し、例えば、2価のベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル基、アントラセン環等を挙げることができる。置換基としては例えばアルキル基、アルコキシ基等を挙げることができる。
二個存在するAr7は、置換基を有しても良い芳香族環基を表し、置換基としては、Ar6などの場合と同じである。
Yは、単結合または連結基であり、連結基としては、スルホン基、カルボニル基、アルキレン基が挙げられる。
【0028】
一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物の分子量は質量平均分子量が5,000以上1,000,000以下であることが好ましく、更に好ましくは質量平均分子量が10,000以上700,000以下である。これよりも小さいと製膜、乾燥時に膜に成りにくく、またこれよりも大きいと溶剤に溶解しにくく、また溶解後も粘度が大きくなり取り扱いが不便になる。ここで、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定され、ポリスチレン換算値である。
【0029】
一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物の発光層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発光層に99.9〜10質量%含有され、99〜50質量%含有されるのが好ましい。
一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物の含有量が99.9〜10質量%でない場合にはその含有効果が十分に発揮されないことがある。
【0030】
また本発明においては、駆動電圧の低下の目的で発光層に電子受容性化合物を含有させることができる。
電子受容性化合物を添加することにより、一般式(1)または(2)で表されるジアミン基を含む繰り返し単位を有する高分子化合物は電子受容性化合物に電子を取られ、正孔を生じ、正孔移動度が増加し駆動電圧を下げることができる。
電子受容性化合物としては特に限定されることはなく、一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物から電子を取る化合物で有れば良い。
電子受容性化合物としては例えば、塩化鉄等のハロゲン化鉄、塩化アルミ等のハロゲン化アルミ、塩化錫等のハロゲン化錫、塩化アンチモン等のハロゲン化アンチモン等の無機ルイス酸化合物、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート等の有機アンチモン塩、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン等の有機化合物を挙げることができる。
電子受容性化合物の含有量は、一般式(1)及び一般式(2)で表され、ジアミン基を含む繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物に対して0.1−50質量%が好ましく、更に好ましくは1−30質量%である。これよりも少ないと電子受容性化合物を含有する効果が少なくなり、これよりも多いと発光層の膜質が悪くなり好ましくない。
【0031】
必要に応じて用いられる正孔輸送材としては、低分子正孔輸送材、高分子正孔輸送材いずれも用いることができ、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば限定されることはなく、例えば以下の材料を挙げることができる。
カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
必要に応じて用いられる電子輸送材としては電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく例えば以下の材料を挙げることができる。
トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物を挙げることができる。
【0033】
必要に応じて用いられるホスト材としては励起子エネルギーを発光材にエネルギー移動できる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的にはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
ホスト化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
その他の成分としては、特に本発明においては発光層には必要に応じて、電気的に不活性なポリマーバインダーを用いることができる。
必要に応じて用いられる電気的に不活性なポリマーバインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
発光層がポリマーバインダーを含有していると、発光層を湿式製膜法により容易にかつ大面積に塗布形成することができる点で有利である。
【0035】
発光層を湿式製膜法により塗布形成する場合、発光層の材料を溶解して塗布液を調整する際に用いられる溶剤としては、特に制限はなく、正孔輸送材、オルトメタル化錯体、ホスト材、ポリマーバインダー等の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
なお、塗布液における固形分量溶剤に対する固形分量としては、特に制限はなく、その粘度も湿式製膜方法に応じて任意に選択することができる。
【0036】
発光層の厚みとしては、10〜200nmが好ましく、20〜150nmがよりに好ましく、20〜80nmがさらに好ましい。
厚みが、200nmを越えると駆動電圧が上昇することがあり、10nm未満であると発光素子が短絡することがある。
【0037】
本発明において、発光層は正孔輸送層と共に積層形成されてもよい。
正孔注入層の材料としては、透明電極から正孔を注入可能であるか、あるいは背面電極から注入された電子を障壁可能であればよく、例えば、P型無機半導体やP型の導電性高分子を挙げることができる。これらの材料は、駆動電圧がほとんど上昇させることなく、発光素子の膜厚を大きくすることができ、輝度ムラやショートを改善することができる点で有利である。
【0038】
正孔注入層の厚みとしては、5〜1000nm程度が好ましく、10〜500nmが好ましい。
【0039】
本発明において、発光層は電子輸送層と共に積層形成されてもよい。
電子輸送層は、少なくとも電子輸送材を含有してなり、また必要に応じて適宜選択したポリマーバインダー等その他の成分を含有してなる。
【0040】
電子輸送材としては電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれかを有しているもので有れば制限されることはなく、例えば前記で記載した材料を挙げることができる。
電子輸送層の厚みとしては、10〜200nmが好ましく、20〜80nmがより好ましい。
電子輸送層の厚みが、200nmを越えると駆動電圧が上昇することがあり、10nm未満であると発光素子が短絡することがある。
【0041】
本発明において、電子輸送層は電子注入層と共に積層形成されてもよい。
電子注入層の材料としては、背面電極から電子を注入可能であるか、あるいは透明電極から注入された正孔を障壁可能であればよく、例えば、酸化アルミニウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム等の無機絶縁体、n型シリコン、二酸化チタン等のn型無機半導体、ナフタレンテトラカルボキシリックジイミド等のn型有機半導体、などが挙げられる。P型無機半導体やP型の導電性高分子を挙げることができる。
電子注入層の厚みとしては、0.1〜10nm程度である。
【0042】
−有機層の構成−
有機層の発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、透明電極上に又は背面電極上に形成されるのが好ましい。
有機層の形状、大きさ、厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0043】
発光層と透明電極との間には、正孔注入層を形成してもよく、また後述する背面電極と電子輸送層との間には電子注入層を形成してもよい。
具体的な層構成としては、透明電極/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/背面電極、透明電極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極、透明電極/発光層/電子輸送層/電子注入層/背面電極、等が挙げられる。
いずれにおいても、発光は、通常、透明電極から取り出される。
【0044】
−有機層の形成−
有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法いずれによっても好適に製膜することができる。
なかでも、湿式製膜法による塗布形成の場合、有機層を容易に大面積化することができ、高輝度で発光効率に優れた発光素子が低コストで効率よく得られる点で有利である。
また、本発明においては、湿式製膜された有機層を転写法により形成しても良く、転写法を用いることにより、より容易に発光素子を作成することができる。
なお、これらの製膜法の種類の選択は、有機層の材料に応じて適宜おこなうことができる。
湿式製膜法により製膜した場合は、製膜した後、適宜乾燥を行うことができ、乾燥の条件としては特に制限はないが、塗布形成した層が損傷しない範囲の温度等を採用することができる。
【0045】
−基材−
その上に電極や有機層が設けられる基材の材料としては、水分を透過させない材料又は水分透過率の極めて低い材料が好ましく、また、有機層から発せられる光を散乱乃至減衰等のさせることのない材料が好ましく、例えばYSZ(ジルコニア安定化イットリウム)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の合成樹脂等の有機材料、などが挙げられる。有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、低吸湿性等に優れていることが好ましい。透明電極の材料が透明電極の材料として好適に使用される酸化錫インジウム(ITO)である場合には、酸化錫インジウム(ITO)との格子定数の差が小さい材料が好ましい。
これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
基材の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、形状としては、板状である。構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基材は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明であるのが好ましい。
【0047】
基材には、その表面又は裏面(前記透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けるのが好ましい。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
基材には、さらに必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0048】
−透明電極−
透明電極としては、通常、有機層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
透明電極を陰極として機能させることもでき、この場合、背面電極を陽極として機能させるようにすればよい。
【0049】
透明電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
【0050】
透明電極は例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から透明電極の材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って基板上に形成することができる。例えば、透明電極の材料として、ITOを選択する場合には、透明電極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。また透明電極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式製膜法に従って行うことができる。
【0051】
透明電極の発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、基板上に形成されるのが好ましい。この場合、透明電極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0052】
なお、透明電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0053】
透明電極の厚みとしては、透明電極の材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
透明電極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。
透明電極は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、透明電極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0054】
なお、透明電極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した透明電極が好ましい。
【0055】
−背面電極−
背面電極としては、通常、有機層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
背面電極を陽極として機能させることもでき、この場合、透明電極を陰極として機能させるようにすればよい。
【0056】
背面電極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0057】
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ度類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0058】
なお、背面電極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。
【0059】
背面電極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から背面電極の材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って基板上に形成することができる。例えば、背面電極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0060】
なお、背面電極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
【0061】
背面電極の発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、有機層上に形成されるのが好ましい。この場合、背面電極は、有機層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、背面電極と有機層との間にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。
なお、誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0062】
−その他の層−
その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層などが挙げられる。
保護層としては、例えば、特開平7−85974号公報、同7−192866号公報、同8−22891号公報、同10−275682号公報、同10−106746号公報等に記載のものが好適に挙げられる。
保護層は、発光素子において、その最表面に、例えば、基材、透明電極、有機層、及び背面電極がこの順に積層される場合には、背面電極上に形成され、基材、背面電極、有機層、及び透明電極がこの順に積層される場合には、透明電極上に形成される。
保護層の形状、大きさ、厚み等については、適宜選択することができ、その材料としては、水分や酸素等の発光素子を劣化させ得るものを発光素子内に侵入乃至透過させるのを抑制する機能を有していれば特に制限はなく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウム、等が挙げられる。
【0063】
保護層の形成方法としては、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子センエピタキシ法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法、などが挙げられる。
【0064】
更に、本発明においては、発光素子を構成する各層への水分や酸素の侵入を防止する目的で、封止層を設けるのも好ましい。
記封止層の材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含む共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Tl、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等の液状フッ素化炭素、液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたもの、などが挙げられる。
【0065】
また、本発明においては、発光素子を外部との水分や酸素の遮断の目的で封止板、封止容器により、封止剤を用いて封止することが好ましい。
封止板、封止容器に用いられる材質としては、ガラス、ステンレス、アルミ等の金属、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリエステル、ポリカーボネート等のプラスティックやセラミック等を用いることができる。封止剤としては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、二液型硬化樹脂いずれも用いることができる。
【0066】
さらに本発明においては、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤または不活性液体を設けることができる。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0067】
本発明の発光素子は、透明電極と背面電極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の発光素子の駆動については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同241047号、米国特許5828429号、同6023308号、日本特許第2784615号、等に記載の方法を利用することができる。
【0068】
【実施例】
以下に、本発明の発光素子の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0069】
(実施例1)
基材として厚みが0.5mmで2.5cm角のガラス板を用い、この基材を真空チャンバー内に導入し、SnO2含有率が10質量%であるITOタ−ゲット(インジウム:錫=95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタ(条件:基材温度250℃、酸素圧1×10−3Pa)により、透明電極としてのITO薄膜(厚み0.2μm)を形成した。ITO薄膜の表面抵抗は10Ω/□であった。
【0070】
次に、透明電極を形成したガラス基板を洗浄容器に入れ、IPA洗浄した後、これに酸素プラズマ処理を行った。そして、透明電極の表面に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸水分散物(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3%)をスピンコートした後、150℃、2時間真空乾燥して厚みが100nmの正孔輸送層を形成した。
【0071】
そして、この正孔輸送層上に、高分子ホスト材料としての下記表1の化合物1(Mw=100,000)と燐光発光材としてのトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体とを20:1の質量比でジクロロエタンに溶解して得た発光層塗布液をスピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥させることにより厚みが40nmの発光層を形成した。
【0072】
次にこの発光層上に電子輸送材として2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[3−(2−メチルフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン]を1nm/秒の速度で蒸着して24nmの電子輸送層を設けた。
さらにこの上に電子注入層としてLiFを1nm/秒の速度で蒸着して2nmの電子注入層を設けた。
【0073】
さらにこの電子注入層上にパターニングしたマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、蒸着装置内でアルミニウムを0.25μm蒸着し、背面電極を形成した。
形成された透明電極(陽極として機能する)及び背面電極より、それぞれアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。
【0074】
ここで得られた積層構造体を、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止容器で紫外線硬化型接着剤(長瀬チバ製、XNR5516HV)を用いて封止した。以上により、実施例1の発光素子を作成した。
【0075】
この発光素子を用いて、以下の方法で評価した。
東洋テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。その時の最高輝度をLmax、Lmaxが得られた時の電圧をVmaxとした。さらに200Cd/m2時の発光効率を(η200)、2000Cd/m2時の発光効率を外部量子効率(η2000)として表3に示した。
また、初期輝度2000Cd/m2で駆動耐久性試験を実施し、輝度が半分になった時間を半減時間(T1/2)として、試験結果を表3に示した。
【0076】
(実施例2〜12)
実施例1において、高分子ホスト材料として、それぞれ表1及び表2に示した材料を用いる以外は実施例1と同様にして、発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0077】
(実施例13)
実施例1において、発光層塗布液として、高分子ホスト材料としての表1の化合物1(Mw=100,000)と燐光発光材としてのトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体と電子受容性化合物としてのトリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートを20:1:5の質量比でジクロロエタンに溶解して得た発光層塗布液を用いる以外は実施例1と同様にして、発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0078】
(比較例1)
実施例1において、高分子ホスト材料としてポリビニルカルバゾール(質量平均分子量63000、アルドリッチ製)を用いる以外は実施例1と同様にして、発光素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
表3に示される結果からわかるように、本発明における高分子ホスト材料を用いた発光素子は、従来の発光素子に比べ、輝度、発光効率、駆動耐久性いずれも優れている。
【0083】
【発明の効果】
本発明によると、三重項励起子を有効に利用し、高輝度で発光効率が極めて高く、耐久性に優れ、大面積化が可能であり、しかも低コストで容易に製造可能な発光素子が提供される。本発明の発光素子は、フルカラーディスプレイ、バックライト等の面光源やプリンター等の光源アレイなどに有効に利用できる。
Claims (3)
- 一対の電極間に少なくとも一層の発光層を含む有機層を有する発光素子であって、
該発光層の少なくとも一層が、燐光発光性化合物と、ホスト化合物として下記一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する化合物とを含有することを特徴とする発光素子。
一般式(1)
一般式(2)
- 一般式(1)及び一般式(2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有する高分子化合物の質量平均分子量が、5,000以上1,000,000以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 該発光層が、電子受容性化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子。
Priority Applications (1)
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JP2003090713A JP2004296407A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 発光素子 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005158561A (ja) * | 2003-11-27 | 2005-06-16 | Fuji Xerox Co Ltd | 有機電界発光素子 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003090713A patent/JP2004296407A/ja active Pending
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