JP2004296373A - 光増感型太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、表面に色素が担持された半導体電極と、半導体電極に離間対向して配置され、表面に導電層を有する対向基板と、半導体電極と導電層との間に設けられ、平均粒径が40nm以上800nm以下であり、かつ長径と短径の比が1.2以下である球状絶縁粒子と、ヨウ素分子及びヨウ化物を含む電解質とを有する電解質層とを具備することを特徴とする光増感型太陽電池を提供する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な光増感型太陽電池として、金属酸化物の微粒子からなる半導体層の表面に色素を担持させたものから構成された電極(半導体電極)と、この電極と対向する透明電極(導電層)と、2つの電極間に介在される液状のキャリア移動層(電解質層)とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前述したような光増感型太陽電池は、以下の過程を経て動作する。すなわち、半導体電極に入射した光は、半導体電極表面に担持された色素に到達し、この色素を励起する。励起した色素は、速やかに半導体電極へ電子を渡す。一方、電子を失うことによって正に帯電した色素は、電解質層から拡散してきたイオンから電子を受け取ることによって電気的に中和される。電子を渡したイオンは透明電極に拡散して、電子を受け取る。この半導体電極とこれに対向する透明電極とを、それぞれ負極および正極とすることにより、湿式光増感型太陽電池が作動する。
【0004】
光増感型太陽電池では、半導体電極に入射した光が半導体電極表面に担持された色素に到達した後、一部はこの半導体電極を透過して、電解質層に抜けてしまう。電解質層としては、酸化還元対としてヨウ素とヨウ化物との混合物から供給される還元対を用いたものが多いことから、電解質層に入った光は電解質層に吸収されてしまう。このため、光が無駄になってしまい、光利用効率が低下すると言う問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−289268公報(第3−14頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの問題に鑑み、高効率な光増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、表面に色素が担持された半導体電極と、半導体電極に離間対向して配置され、表面に導電層を有する対向基板と、半導体電極と導電層との間に設けられ、平均粒径が40nm以上800nm以下であり、かつ長径と短径の比が1.2以下である球状絶縁粒子と、ヨウ素分子及びヨウ化物を含む電解質とを有する電解質層とを具備することを特徴とする光増感型太陽電池を提供する。
【0008】
本発明においては、球状絶縁粒子が、セラミック粒子であっても良い。
【0009】
また本発明においては、球状絶縁粒子が電解質層中に0.05体積%以上2体積%以下含まれても良い。
【0010】
また本発明においては、電解質がゲル電解質であっても良い。
【0011】
また本発明においては、半導体電極の、電解質層側の面とは反対側の面に、支持基板が配置され、支持基板及び対向基板の少なくとも一方がプラスチック基板であっても良い。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
本発明の光増感型太陽電池は、平均粒径が約40nm以上約800nm以下であり、かつ長径と短径の比が約1.2以下である球状絶縁粒子と、ヨウ素分子及びヨウ化物を含む電解質とを有する電解質層を具備するものである。本発明の光増感型太陽電池が、これらを有することが必要である理由を以下に示す。
【0014】
光増感型太陽電池においては、入射した光を、半導体電極表面に担持された色素で全て吸収することが最も好ましい。しかしながら、この光の一部は、半導体電極を透過して電解質層に抜けてしまい、電解質層にヨウ素分子及びヨウ化物を含むことからこの光が吸収され、光利用効率が低下してしまう。そこで本発明では、電解質層中に、平均粒径が約40nm以上約800nm以下であり、かつ長径と短径の比が約1.2以下である球状絶縁粒子を含むものである。
【0015】
この球状絶縁粒子は、電解質層のキャリア移動特性を低下させない為に、絶縁性のものを用いる。
【0016】
そして、球状絶縁粒子の平均粒径を約40nm以上約800nm以下とすることにより、電解質層にはいってきた光を散乱させて半導体電極に戻し、半導体電極表面に担持された色素に吸収させて、光利用効率を高めることができる。色素の吸収波長領域は可視域、つまり約400nm以上約800nm以下であることから、平均粒径が約40nm未満であるとレイリー散乱の生じる範囲から外れてしまい、平均粒径が約800nmを超えるとミー散乱の生じる範囲から外れてしまい、可視域の光を散乱させて半導体電極に戻すことが出来なくなってしまう。
【0017】
このとき、球状絶縁粒子の長径と短径の比は、1.2以下とすることが必要である。これは、この絶縁粒子が球状でなく、長径と短径の比が1.2を超えると、光の散乱特性が低下してしまう為である。ここで球状とは、光の散乱特性が低下しない程度であれば小さな凹凸を有していてもよく、概略球状であれば良い。
【0018】
本発明の光増感型太陽電池においては、球状絶縁粒子は電解質層中に入れられることから、溶剤耐性および電気的安定性が必要である為、セラミック粒子であることが好ましい。用いられるセラミクスは特に限定されず、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニアなどがあげられる。また、この絶縁粒子は光散乱特性を高める為に球状であることが必要なことから、シリカゲル、活性アルミナなどの多孔質のものを用いることは出来ない。
【0019】
ところで、対向基板や、半導体電極を支持する支持基板として、柔軟性を持つプラスチック基板を用い、平面のセルをある曲面形状に変化させた場合、応力が集中する場所では半導体電極と対向する導電層との間隔が変化し、狭くなる恐れがある。また、使用時に部分的に圧力がかかるなどの場合にも間隔が狭くなる。このような場合、半導体電極と導電層とが接触すると、内部短絡するという問題がある。しかしながら、本発明の光増感型太陽電池においては、球状絶縁粒子を電解質中に添加することから、太陽電池セルの、半導体電極と対向基板に設けられた導電層とが接触せず、内部短絡を防止することが可能である。従って、対向基板や支持基板をプラスチック基板とすることが可能になる。従来から、電解質層中には、スペーサが入れられているが、スペーサは量が少なく、また粒径が大きく光散乱特性も得られないことから本発明の効果をえることは出来ない。
【0020】
球状絶縁粒子は、光散乱特性の向上や、内部短絡の防止のために、電解質層中に約0.05体積%以上約2体積%以下含まれていることが好ましい。約0.05体積%以上含まれていることにより光散乱が効果的に起こり、内部短絡も防止でき、好ましい。約2体積%以下含まれていることにより、電解質の粘度が上昇せずに太陽電池に容易に注入可能となる。
【0021】
また、本発明においては、電解質としてゲル電解質を用いることが好ましい。ゲル電解質を用いることにより、球状絶縁粒子が流動性のないゲル電解質中に保持されるために球状絶縁粒子の分散状態が変化してしまう問題がなくなるために望ましい。
【0022】
次に、本発明の光増感型太陽電池に用いられる電解質層について詳しく説明する。
【0023】
本発明の電解質層は、平均粒径が約40nm以上約800nm以下であり、かつ長径と短径の比が約1.2以下である球状絶縁粒子と、ヨウ素分子(I2)及びヨウ化物を含む電解質とを具備する。
(電解質)
本発明に用いられる電解質は、ヨウ素(I)を含み、I−とI3 −とからなる可逆的な酸化還元対を含む。可逆的な酸化還元対は、ヨウ素分子(I2)と、ヨウ化物との混合物から供給することができる。
【0024】
上述したような酸化還元対は、後述する色素の酸化電位よりも0.1〜0.6V程度小さい酸化還元電位を示すことが望ましい。色素の酸化電位よりも0.1〜0.6V小さい酸化還元電位を示す酸化還元対は、例えば、I−のような還元種が、酸化された色素から正孔を受け取ることができる。こうした酸化還元対が電解質中に含有されることによって、半導体電極と導電層との間の電荷輸送の速度を速くすることができるとともに、開放電圧を高くすることができる。
【0025】
電解質中のヨウ化物としては、例えば、アルカリ金属のヨウ化物、有機化合物のヨウ化物、およびヨウ化物の溶融塩等が挙げられる。
【0026】
ヨウ化物の溶融塩としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、第4級アンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、イソチアゾリジニウム塩、およびイソオキサゾリジニウム塩等の複素環含窒素化合物のヨウ化物等を使用することができる。
【0027】
ヨウ化物の溶融塩としては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソヘキシル(分岐)イミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、およびピロリジニウムアイオダイド等を挙げることができる。こうしたヨウ化物の溶融塩は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、その含有量は、電解質中0.005mol/l以上7mol/l以下程度であることが好ましい。0.005mol/l以上とすることにより、効果を十分に得ることができる。一方、7mol/l以下とすることにより、粘度を低く保ちイオン伝導性を高く保つことができる。
【0028】
アルカリ金属のヨウ化物としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等を使用することができる。
【0029】
有機化合物のヨウ化物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等を使用することができる。
【0030】
電解質中のヨウ素分子の含有量は0.01mol/L以上3mol/L以下であることが好ましい。ヨウ素は、電解質中で、ヨウ化物と混合して可逆的な酸化還元対として作用する。したがって、ヨウ素の含有量を0.01mol/L以上とすることにより、十分な酸化還元対が得られ電荷を輸送することが可能となる。一方、3mol/L以下とすることにより、溶液の光吸収を減少させ、半導体電極に効率よく光を与えることができる。なお、ヨウ素の含有量は、0.03mol/L以上1.0mol/L以下であることがより好ましい。
【0031】
本発明における電解質は、液体状およびゲル状のいずれであってもよく、有機溶媒を含有することができる。有機溶媒を含有することによって、電解質の粘度をよりいっそう低下させることができるため、n型半導体電極へ浸透されやすくなる。
【0032】
使用し得る有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、およびジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオン酸メチル、およびプロピオン酸エチルなどが挙げられる。さらに、テトラヒドロフラン、および2一メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;ジメトキシエタン、およびジエトキシエタンなどの鎖状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、グルタロニトリル、およびメトキシプロピオニトリルなどのニトリル系溶剤などが挙げられる。こうした有機溶媒は、単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0033】
有機溶媒の含有量は、特に限定されないが電解質中80重量%以下にすることが好ましい。有機溶媒の含有量が80重量%を越えると、揮発による性能劣化のおそれがある。有機溶媒の含有量は、30重量%以下にすることがより好ましい。
【0034】
ゲル状の電解質層とする場合は、上述した電解質に加え、ゲル化剤を含有してもよい。ゲル化剤はハロゲン含有化合物あるいは二価以上の金属化合物の少なくとも一種類と、N、P及びSよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含み、ハロゲン含有化合物とはオニウム塩を形成することが可能であり、金属化合物とは錯体を形成することが可能である化合物(以下、化合物Aと称す)とを含む。上述したように、本発明においては、ゲル状の電解質層とすることにより球状絶縁粒子が流動性のないゲル電解質中に保持されるために球状絶縁粒子の分散状態が変化してしまう問題がなくなるために望ましい。
【0035】
化合物Aは、N、P及びSよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含み、ハロゲン含有化合物とはオニウム塩を形成することが可能である。また、化合物Aは、N、P及びSよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含み、金属化合物とは錯体を形成することが可能である。
【0036】
化合物Aにおいては、N、P及びSよりなる群から選択される少なくとも1種類の原子を含む基(N、P、S含有基)を1分子当り2つ以上持つことが好ましい。1分子中に存在するN、P、S含有基を同一種類にしても良いが、1分子中に互いに異なる2種類以上のN、P、S含有基を持っていても良い。1分子当りのN、P、S含有基の数が1個であると、化合物Aとハロゲン含有化合物とから形成されるオニウム塩、あるいは金属有化合物とから形成される錯体の反応生成物の重合度が低くなって電解質のゲル化が困難になる恐れがある。1分子当りのN、P、S含有基数のより好ましい範囲は、2以上、1,000,000以下である。
【0037】
化合物Aの形態は、例えば、モノマー、オリゴマー、ポリマー等にすることができる。
【0038】
化合物Aとしては、例えば、N、P及びSよりなる群から選択される少なくとも1種類の原子を含む置換基(N、P、S含有置換基)を主鎖または側鎖に持つものなどを挙げることができる。N、P、S含有置換基の位置は、目的とする重合体が得られる限り、特に限定されない。
【0039】
化合物Aの主鎖の骨格は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等にすることができる。
【0040】
N、P、S含有置換基としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、フォスフィン基(PH2−)及び含窒素複素環化合物から導かれる基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基を使用することができる。化合物Aは、1分子中に存在するN、P、S含有置換基を同一種類にしても良いが、1分子中に互いに異なる2種類以上のN、P、S含有置換基を持っていても良い。中でも、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基が好ましい。
【0041】
化合物Aのうち、Nを含有する化合物としては、例えば、ポリビニルイミダゾール、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(3−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリベンズイミダゾール、ビピリジル、ターピリジル、ポリビニルピロール、1,3,5−トリス(3−ジメチルアミノ)プロピルヘキサヒドロ−1,3,5トリアジン、トリス−2アミノエチルアミン、ポリジアリルメチルアミン、ポリアリルジメチルアミン、ポリジメチルアリルアミン、ポリアリルアミン、ポリジメチルアミノエチルメチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート等を挙げることができる。こうした化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、ポリビニルイミダゾール、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(3−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリベンズイミダゾール等は、少量で電解質をゲル化することが出来るので好ましい。
【0042】
化合物Aのうち、Pを含有する化合物としては、例えば、フォスフィン基を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマー等を挙げることができる。具体的には、ポリビニルフェニルジフェニルホスフィン、1,2−フェニレンビスホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン等を挙げることができる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
化合物Aのうち、Sを含有する化合物としては、例えば、チオエーテル構造を含むものを挙げることができる。具体的には、ビス(メチルチオ)メタン、1,1−ビス(メチルチオ)−2−ニトロエチレン、(ジ)エチルスルフィド、ポリビニルフェニルフェニルチオエーテル、エチル(ビスエチルチオ)アセテート等を挙げることができる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
化合物Aとオニウム塩の重合体を形成するハロゲン含有化合物としては、有機ハロゲン化物が好ましい。有機ハロゲン化物は、オニウム塩を形成しやすく、また、多官能とすることにより架橋密度を上げることができるので好ましい。
【0045】
ハロゲン含有化合物は、1分子当りのハロゲン原子数が2以上であることが好ましい。このような化合物においては、1分子中に異なるハロゲン原子を存在させ、ハロゲン原子数の総量を2以上としてもよいが、1分子中に1種類のハロゲン原子を2つ以上存在させてもよい。1分子当りのハロゲン原子数が1個である場合には、上述した化合物Aとハロゲン含有化合物とから得られる重合体の重合度が低くなり、電解質のゲル化が困難になるおそれがある。1分子当りのハロゲン原子数は、2以上1,000,000以下であることがより好ましい。
【0046】
1分子当りのハロゲン原子数が2以上であるハロゲン含有化合物としては、例えば、ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ジブロモブタン、ジブロモペンタン、ジブロモヘキサン、ジブロモヘプタン、ジブロモオクタン、ジブロモノナン、ジブロモデカン、ジブロモウンデカン、ジブロモドデカン、ジブロモトリデカン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタン、ジクロロペンタン、ジクロロヘキサン、ジクロロヘプタン、ジクロロオクタン、ジクロロノナン、ジクロロデカン、ジクロロウンデカン、ジクロロドデカン、ジクロロトリデカン、ジヨードメタン、ジヨードエタン、ジヨードプロパン、ジヨードブタン、ジヨードペンタン、ジヨードヘキサン、ジヨードヘプタン、ジヨードオクタン、ジヨードノナン、ジヨードデカン、ジヨードウンデカン、ジヨードドデカン、ジヨードトリデカン、1,2,4,5−テトラキスブロモメチルベンゼン、エピクロロヒドリンオリゴマー、エピブロモヒドリンオリゴマー、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス(3,3−ジブロモ−2−ブロモプロピル)イソシアヌル酸、1,2,3−トリブロモプロパン、ジヨードパーフルオロエタン、ジヨードパーフルオロプロパン、ジヨードパーフルオロヘキサン、ポリエピクロルヒドリン、ポリエピクロルヒドリンとポリエチレンエーテルとの共重合体、ポリエピブロモヒドリン及びポリ塩化ビニルなどの多官能ハロゲン化物が挙げられる。ハロゲン含有化合物としては、単独でまたは2種以上の有機ハロゲン化物を組み合わせて使用することができる。中でも、1分子当りのハロゲン原子数が2つの有機ハロゲン化物が好ましい。
【0047】
化合物Aと錯体を形成する金属化合物は、金属の価数を二価以上にすることによって、この金属化合物間に金属イオンによって架橋構造を形成することができるため、この架橋構造を持つ金属塩により電解質をゲル化させることができる。またこの金属化合物を含むゲル化剤は、太陽電池を長期間に亘って使用し、太陽電池の温度が太陽光の照射で50〜70℃程度に上昇した際にも安定であるため、ゲル電解質に相転移が生じるのを回避することができる。その結果、温度上昇時の液漏れを防止することができると共に、温度上昇時も高いエネルギー変換効率を維持することができる。
【0048】
二価以上の金属化合物としては、例えば、Mgのハロゲン化物、Caのハロゲン化物、Baのハロゲン化物、遷移金属のハロゲン化物等を挙げることができる。使用する金属化合物は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。具体的には、ZnI2、MgI2、MgCl2、CaI2、CuI2、ZnI2、RuI3,PtI4、MnI2、OsCl3、IrBr3、RhI3、PdI2、FeI2などを挙げることができる。中でも、金属ヨウ化物を使用することが好ましい。さらに、ハロゲン原子以外の酢酸基、シュウ酸基などの有機酸基;炭酸基、硝酸基などの無機酸基などの配位子を有する金属化合物も用いることが出来る。
【0049】
上述した電解質をゲル状とする方法としては、次の方法等が挙げられる。
【0050】
電解質にハロゲン含有化合物あるいは二価以上の金属化合物の少なくとも一種類を溶解させることにより電解質Aを調製し、かつ電解質に化合物Aを溶解させることにより電解質Bを調製し、得られた電解質Aと電解質Bを含む原料キットを保管する。保管された電解質Aと電解質Bを必要な時に混合し、得られた混合電解質をゲル状電解質として使用する。
(球状絶縁粒子)
上述した電解質中に添加される球状絶縁粒子としては、電解質中の電気化学反応に関与しない絶縁物であることが必要である。そのため、球状絶縁粒子は、無機のセラミクス粒子か有機のプラスチック粒子であることが望ましい。セラミクス粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどがあげられるが、限定されるものではない。また、プラスチック粒子としては、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどがあげられるが、限定されるものではない。溶剤耐性および電気的安定性を考えると無機セラミクスであることが望ましい。
【0051】
平均粒径が約40nm以上約800nm以下であり、かつ長径と短径の比が約1.2以下である球状絶縁粒子の製造方法としては、火炎加水分解法、湿式法などが用いられる。球状絶縁粒子の比重は、電解質の比重と近づけることにより、電解質中の球状絶縁粒子の分散が容易となり好ましい。また、球状絶縁粒子の表面が親水性であることが好ましい為、球状絶縁粒子の表面末端には水酸基があることが好ましい。
【0052】
次に、この電解質層を用いた光増感型太陽電池の実施の態様について説明する。
【0053】
この実施の態様では、光受光面を有する支持基板と、支持基板の一方の面に形成される透明導電膜と、透明導電膜に形成され、かつ表面に色素が吸着されている半導体電極と、半導体電極と対向する対向基板及び、対向基板の半導体電極と対向する面に形成される導電層(対向電極)と、導電層と半導体電極との間に存在する電解質とを具備し、太陽光が支持基板から入射するタイプの構造である。
【0054】
以下、支持基板、透明導電膜、半導体電極、対向基板及び導電層について説明する。
(ア)支持基板
支持基板は、光受光面を有することから、ガラス基板、プラスチック基板などの可視光領域の吸収が少ないものが好ましい。
(イ)透明導電膜
透明導電膜は、支持基板上に設けられ、可視光領域の吸収が少なく、かつ導電性を有することが好ましい。この透明導電膜には、フッ素あるいはインジウムなどがドープされた酸化スズ膜、フッ素あるいはインジウムなどがドープされた酸化亜鉛膜などが好ましい。また、伝導性を向上させて抵抗の上昇を防ぐ観点から、透明導電膜と併用して低抵抗な金属マトリクスを配線することが望ましい。
(ウ)半導体電極
半導体電極は、可視光領域の吸収が少ない透明な半導体から構成することが望ましい。かかる半導体としては、金属酸化物半導体が好ましい。具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、亜鉛、インジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンあるいはタングステンなどの遷移金属の酸化物、SrTiO3、CaTiO3、BaTiO3、MgTiO3、SrNb2O6のようなペロブスカイト、あるいはこれら複合酸化物または酸化物の混合物、GaNなどを挙げることができる。
【0055】
半導体電極の表面に吸着される色素としては、例えば、ルテニウム−トリス型の遷移金属錯体、ルテニウム−ビス型の遷移金属錯体、オスミウム−トリス型の遷移金属錯体、オスミウム−ビス型の遷移金属錯体、ルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体、フタロシアニン、ポルフィリン等を挙げることができる。
(エ)対向基板
対向基板は、可視光領域の吸収が少なく、かつ導電性を有することが好ましい。この対向基板には、酸化スズ膜、フッ素がドープされた酸化スズ膜、酸化亜鉛膜などが好ましい。このような対向基板には、白金またはカーボンが付着していることが好ましい。白金は、電気化学的またはスパッタリングなどにより対向基板に付着させることができる。
(オ)導電層
この導電層は、例えば、白金、金、銀のような金属、または炭素、多孔質の炭素などから形成することができる。電解質に対する耐久性を考慮すると、白金が最も好ましい。これらの導電層の膜厚を薄くすることにより、可視光領域の吸収が少なく、透明な導電層を得ることが出来る。
【0056】
本発明の光増感型太陽電池は、例えば、以下に説明する方法で製造してもよい。
【0057】
まず、光受光面を有する支持基板を用意し、その一方の面に透明導電膜および半導体電極を順次形成する。そして、半導体電極の表面に色素を吸着させる。一方、表面に導電層が設けられた対向基板を準備して、この導電層と前述の半導体電極とを離間対向して配置して、電池ユニットを組み立てる。
【0058】
次いで、球状絶縁粒子を分散させた電解質を、前述の半導体電極と導電層との間隙に注入して、電解質層とする。ゲル状電解質層とする場合には、電解質前駆体をゲル化させる。引き続き、電池ユニットを密封することにより、本発明の光増感型太陽電池が得られる。
【0059】
ゲル状の電解質層を得る場合には、電解質前駆体のゲル化の際には、電池ユニットを加熱することが好ましい。加熱処理の温度は、50〜200℃の範囲内にすることが好ましい。これは、次のような理由によるものである。すなわち、熱処理温度が50℃未満の場合には、ゲルの重合度が低下して、ゲル状とするのが困難になるおそれがある。一方、200℃を越える高温で熱処理を行なった場合には、色素の分解が起こりやすくなる。なお、より好ましくは、熱処理温度は70〜150℃である。
【0060】
【実施例】
以下、図面を参照して、具体例をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
まず、n型半導体電極の材料として、平均一次粒径が約25nmの高純度酸化チタン(アナターゼ)粉末(デグサ社P25)1gを15%の酸化チタンコロイド分散液0.1gと混合してペースト状にした。
【0061】
図1(a)に示すように、PET基板(支持基板)1上に、厚さ約200μmのITO電極(透明導電膜)2を形成する。ITO電極2上に、酸化チタンペーストをドクターブレード法によって塗布し、酸化チタン粒子3からなる面積1cm×1cmの大きさのn型半導体電極4を作成した。このn型半導体電極4を100度で1時間焼成した。このn型半導体電極4のラフネスファクターは500であった。ラフネスファクターは、基板の投影面積に対する、窒素吸着量から求めた。
【0062】
一方、シス−ビス(シオシアナト)−N,N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)二水和物)を乾燥エタノールに溶解して、3×10−4Mの乾燥エタノール溶液を調製した。前述のn型半導体電極4を、この溶液(温度約80℃)に4時間浸漬した後、アルゴン気流中で引き上げた。これによって、n型半導体電極4表面には、色素であるルテニウム錯体が担持された。
【0063】
また、日本アエロジル社製のシリカ微粒子12(球状絶縁粒子)、アエロジルOX50を少量のエタノールと混ぜペースト状にした。このペーストをドクターブレード法で色素が担持された電極4表面に塗布した。このシリカ微粒子は、平均粒径が40nmであり、長径と短径の比が1.0である球状であった。
【0064】
他方、表面に白金を付着させたITO電極5(導電層)を形成したPET基板を対向基板6として、前述のn型半導体電極4が作製された支持基板1上に所定間隔隔てて設置した。その後、50℃程度でエタノールを除去した。さらに、電解質の注入口を残して、周囲をエポキシ系樹脂7で固めて固定した。
【0065】
以上の操作によって、図1(a)に示すような光電変換素子ユニットが得られた。
【0066】
電解質は、アセトニトリル100ml中に、リチウムヨウダイド0.5mol/L、メチルヘキシルイミダソリウムヨウダイド0.3mol/L、t−ブチルピリジン0.5mol/L、および、ヨウ素0.05mol/Lを溶解させることによって調製した。
【0067】
次いで、図1(b)に示すように、光電変換ユニットの開口部に注入口8から電解質9を注入した。電解質9は、図1(c)に示されるように、n型半導体電極4に浸透するとともに、n型半導体電極4とITO電極5との間にも注入された。また、電解質9が注入されることにより、電解質9中に1.0体積%の球状絶縁粒子12が均一に分散された電解質層が形成された。
【0068】
引き続き、図1(d)に示すように、光電変換ユニットの開口部をエポキシ樹脂10で封口した後、光電変換素子、すなわち光増感型太陽電池を完成した。得られた太陽電池の断面図を図2に示す。
【0069】
図2に示されるように、支持基板1上には、透明導電膜2および透明なn型半導体電極4が順次形成されている。このn型半導体電極4は、酸化チタン粒子3の集合体から形成されるため、表面積が極めて大きい。また、n型半導体電極4の表面には色素が単分子吸着しており、その表面は、樹脂状構造のように自己相似性を有したフラクタル形状とすることが可能である。一方の対向基板6は、ガラス基板6と、このガラス基板6におけるn型半導体電極4側の面に形成された導電層5とから構成される。
【0070】
そして、電解質9は、透明なn型半導体電極4中の細孔に保持されるとともに、n型半導体電極4と導電膜6との間に介在される。また電解質9中には球状絶縁粒子12が均一に分散される。このような光増感型太陽電池においてガラス基板1側から光11が入射されると、まず、n型半導体電極4の表面に吸着されている色素が、入射光11を吸収して励起される。色素が吸収しなかった光は、電解質9中に漏れるが、電解質9中の球状絶縁粒子12に当たって散乱され、一部がまたn型半導体電極4へと戻り、色素に吸収される。励起した色素が、n型半導体電極4へ電子を渡すとともに、電解質9にホールを渡すことによって光電変換が行なわれる。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ3.0%であり、十分高いエネルギー変換効率が得られた。これは、電解質9中に球状絶縁粒子12を含むことから光が散乱されて光利用効率を高く出来たものである。
【0071】
(実施例2)
実施例1のシリカ微粒子を、平均粒径が300nmであり、長径と短径の比が1.1である球状のアルミナ微粒子に替え、同様の手法により本実施例の光増感型太陽電池を製造した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ3.2%であった。本実施例においても、球状絶縁粒子を含むことから、十分高いエネルギー変換効率を得ることが出来た。
【0072】
(実施例3)
1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウダイド中によう素0.3M、t−ブチルピリジン0.58M、LiI0.5Mの溶液に水10wt%加えた電解液を用いる以外は実施例1と同様の太陽電池を作成した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ2.0%であった。本実施例においても、球状絶縁粒子を含むことから、十分高いエネルギー変換効率を得ることが出来た。
【0073】
(実施例4)
1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウダイド5ml中によう素0.3M、ポリビニルピリジン0.24g、1,6−ジブロモヘキサン0.24gを加えた電解液を用いる以外は実施例1と同様の太陽電池を作成した。この電解液は注入後、反応によってゲル化した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ2.0%であった。また、擬似太陽光(AM1.5)を100時間照射した後に、再度エネルギー変換効率を測定したところ、2.0%であった。本実施例においても、球状絶縁粒子を含むことから、十分高いエネルギー変換効率を得ることが出来ただけでなく、ゲル状電解質を用いることにより、耐久性も高いことが分かる。
【0074】
(実施例5)
実施例1と同様の方法によってn型半導体基板を作成した。これを密閉容器中に半導体電極が上に向くように入れた。2つあるコックの両方を開け、一方のコックから実施例1と同様のシリカ微粒子をエアで吹き飛ばし半導体電極上に約20μmの厚さで堆積させた。後は同様の方法で対極を形成し太陽電池を作成した。本実施例においても、電解質9中に1.0体積%の球状絶縁粒子12が均一に分散された電解質層が形成された。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ2.0%であった。本実施例においても、球状絶縁粒子を含むことから、十分高いエネルギー変換効率を得ることが出来た。
【0075】
(実施例6)
実施例1と同様の方法によってn型半導体基板を作成した。次に実施例1と同様の対向基板を、50μmのギャップとして接着した。1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウダイド5ml中によう素0.3M、ポリビニルピリジン0.24g、1,6−ジブロモヘキサン0.24gを加えた電解液に平均粒径300nmであり、長径と短径の比が1.1であるチタニア微粒子を1体積%混合した電解質を注入した。後は同様の方法で対極を形成し太陽電池を作成した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ2.2%であった。本実施例においても、球状絶縁粒子を含むことから、十分高いエネルギー変換効率を得ることが出来た。
【0076】
(実施例7)
チタニア微粒子を0.1体積%用いる以外は実施例6と同様の太陽電池を作成した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ2.1%であった。本実施例においても、球状絶縁粒子を含むことから、十分高いエネルギー変換効率を得ることが出来た。
【0077】
(実施例8)
粒径が100nmのチタニア微粒子を1体積%用いる以外は実施例6と同様の太陽電池を作成した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ2.2%であった。本実施例においても、球状絶縁粒子を含むことから、十分高いエネルギー変換効率を得ることが出来た。
【0078】
(実施例9)
粒径が800nmのチタニア微粒子を1体積%用いる以外は実施例6と同様の太陽電池を作成した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ2.2%であった。本実施例においても、球状絶縁粒子を含むことから、十分高いエネルギー変換効率を得ることが出来た。
【0079】
実施例1〜9の太陽電池の中心を指で押したがセル中に微粒子が存在するためセルギャップが大きく変化するようなことはなかった。また、n型半導体電極と対極が接触し内部短絡することはなかった。
【0080】
(比較例1)
チタニア微粒子を用いない以外は実施例6と同様の太陽電池を作成した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ1.8%であった。本比較例では、球状絶縁粒子を含まないことから、エネルギー変換効率が低下したものと思われる。また、この太陽電池を曲げたところ内部短絡が生じた。
【0081】
(比較例2)
粒径が10nmのシリカ微粒子を1体積%用いる以外は実施例6と同様の太陽電池を作成した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ1.8%であった。本比較例では、球状絶縁粒子の粒径が小さく、光散乱特性が低いことから、エネルギー変換効率が低下したものと思われる。
【0082】
(比較例3)
粒径が1μmのシリカ微粒子を1体積%用いる以外は実施例6と同様の太陽電池を作成した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ1.8%であった。本比較例では、球状絶縁粒子の粒径が大きく、光散乱特性が低いことから、エネルギー変換効率が低下したものと思われる。
【0083】
(比較例4)
粒径が10nmのシリカ微粒子を5体積%用いる以外は実施例6と同様の太陽電池を作成したところ、この電解質はシリカ微粒子の量が多すぎて流動性が無く、セル内に注入できなかった。
【0084】
(比較例5)
直径が30nmで長さが1μmのシリカからなるファイバーを1体積%用いる以外は実施例6と同様の太陽電池を作成した。この太陽電池のエネルギー変換効率を測定したところ1.8%であった。本比較例では、絶縁粒子が球状でないことから、光散乱特性が低く、エネルギー変換効率が低下したものと思われる。
【0085】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば高効率な光増感型太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)、(d)とも、本発明の実施形態に係る光増感型太陽電池の製造工程の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光増感型太陽電池の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…支持基板
2…透明導電膜
3…酸化チタン粒子
4…n型半導体電極
5…導電層
6…対向基板
7、10…エポキシ系樹脂
8…注入口
9…電解質
11…入射光
12…球状絶縁粒子
Claims (5)
- 表面に色素が担持された半導体電極と、
前記半導体電極に離間対向して配置され、表面に導電層を有する対向基板と、
前記半導体電極と前記導電層との間に設けられ、平均粒径が40nm以上800nm以下であり、かつ長径と短径の比が1.2以下である球状絶縁粒子と、ヨウ素分子及びヨウ化物を含む電解質とを有する電解質層と
を具備することを特徴とする光増感型太陽電池。 - 前記球状絶縁粒子が、セラミック粒子であることを特徴とする請求項1記載の光増感型太陽電池。
- 前記球状絶縁粒子が前記電解質層中に0.05体積%以上2体積%以下含まれることを特徴とする請求項1記載の光増感型太陽電池。
- 前記電解質がゲル電解質であることを特徴とする請求項1記載の光増感型太陽電池。
- 前記半導体電極の、前記電解質層側の面とは反対側の面に、支持基板が配置され、前記支持基板及び前記対向基板の少なくとも一方がプラスチック基板であることを特徴とする請求項1記載の光増感型太陽電池。
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