JP2004296226A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機EL素子としての特性をバランス良く発揮させることができる有機EL素子及びその作製方法を提供する。
【解決手段】有機EL素子11は陽極12と陰極13との間に有機層が設けられて構成され、該有機層は陽極12側から順に正孔注入層14、正孔輸送層15及び電子輸送性発光層16で構成されている。有機層のうちの正孔輸送層15は、層安定性を有する高分子材料であるポリビニルカルバゾール(PVK)とキャリア輸送性を有する低分子材料であるメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)との混合物により構成されている。高分子材料と低分子材料との混合比率は重量比で1:0.05〜20であることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】有機EL素子11は陽極12と陰極13との間に有機層が設けられて構成され、該有機層は陽極12側から順に正孔注入層14、正孔輸送層15及び電子輸送性発光層16で構成されている。有機層のうちの正孔輸送層15は、層安定性を有する高分子材料であるポリビニルカルバゾール(PVK)とキャリア輸送性を有する低分子材料であるメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)との混合物により構成されている。高分子材料と低分子材料との混合比率は重量比で1:0.05〜20であることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば携帯電話、オーディオ等の表示素子として利用される有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、本明細書では有機EL素子と称する)及びその作製方法に関するものである。さらに詳しくは、有機EL素子としての特性をバランス良く発揮させることができる有機EL素子及びその作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の有機EL素子は陽極と陰極との間に、複数の有機層として例えば陽極側から順に正孔注入層、正孔輸送層及び電子輸送性発光層が積層されて構成されている。そして、陽極側から正孔(ホール)が正孔注入層、正孔輸送層を介して供給され、陰極から電子が供給され、電子輸送性発光層において正孔と電子が再結合して発光される。このような有機EL素子として例えば非特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
すなわち、正孔注入層は2種類の高分子材料であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸塩(PSS)との混合物により構成されている。正孔輸送層は正孔輸送性材料としてのメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)により構成されている。電子輸送性発光層は電子輸送性材料としてのガリウム錯体等の金属キレート化合物により構成されている。
【0004】
【非特許文献1】
Advanced Materials 2001,13,No23,December3 1811〜1813頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来技術においては、正孔注入層が2種類の高分子材料のみで構成されていることから、高分子材料のもつ機能が発揮されて有機EL素子の電流効率は良くなるものの、輝度が低く、発光閾値電圧は高いという問題があった。正孔輸送層は正孔輸送性材料として低分子のメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)によって構成されている。このため、低分子の正孔輸送性材料であるTDAPBのもつ機能に基づいて有機EL素子の発光閾値電圧は低くできるものの、輝度及び電流効率が低いという問題があった。従って、有機EL素子全体としての特性をバランス良く発揮することができなかったという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、有機EL素子としての特性をバランス良く発揮させることができる有機EL素子及びその作製方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極との間には、陽極側から正孔を注入して輸送すると共に、陰極側から電子を注入して輸送し、正孔と電子とからなるキャリアの再結合により発光させるための複数の有機層を備え、該有機層のうち少なくとも一層は層安定性を有する高分子材料とキャリア輸送性を有する低分子材料との混合物により構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、請求項1に記載の発明において、前記有機層は陽極側から順に正孔注入層、正孔輸送層及び電子輸送性発光層で構成され、前記正孔輸送層は層安定性を有する高分子材料とキャリア輸送性を有する低分子材料との混合物により構成されているものである。
【0009】
請求項3に記載の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記高分子材料と低分子材料との混合比率は重量比で1:0.05〜20であるものである。
【0010】
請求項4に記載の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製方法は、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製方法であって、陽極上に、層安定性を有する高分子材料とキャリア輸送性を有する低分子材料との混合物の有機溶剤溶液を用いて塗工することによって有機層を形成した後、その有機層上に他の有機層を有機溶剤を用いて浸漬法、インクジェット法、グラビア法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法又はフローコート法により形成し、その上に陰極を形成することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、有機EL素子11は陽極12と陰極13との間に陽極側から順に正孔注入層14、正孔輸送層15及び電子輸送性発光層16の複数(3層)の有機層が積層されて構成されている。この有機EL素子11においては、陽極12から正孔が正孔注入層14に注入され、更に正孔輸送層15に輸送され、一方陰極13から電子が電子輸送性発光層16に注入されてその電子輸送性発光層16で正孔と電子が再結合する。これらのキャリア(正孔と電子)の再結合エネルギーによって発光中心(正孔と電子で対をなす励起子)が励起されて有機EL素子11が発光するのである。すなわち、有機EL素子11は直流動作型の発光素子である。
【0012】
有機層中へのキャリアの注入は、化学的にはラジカルカチオン(正孔)とラジカルアニオン(電子)の注入である。すなわち、陽極12と有機層との界面においては有機分子の電子が奪われ酸化されてラジカルカチオンが形成され、陰極13と有機層との界面においては有機分子に電子を与え還元してラジカルアニオンが形成される。ここで、ラジカルカチオンは有機分子の最高被占分子軌道(HOMO)の電子を引き抜くことにより形成され、ラジカルアニオンは有機分子の最低空分子軌道(LUMO)に電子を注入することにより形成される。
【0013】
前記陽極12はガラス基板17上に形成されたインジウム−スズ酸化物(ITO)の被膜18によって構成されている。このITOの被膜18のイオン化ポテンシャル(仕事関数)は通常4.8〜5.2eVである。
【0014】
正孔注入層14はITOの被膜18上に、正孔輸送性を有する水系の高分子材料によって50〜60nmの厚みに形成されている。この高分子材料として具体的にはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸塩(PSS)とが重量比で10:1に混合されたものが用いられる。両高分子材料の混合物によって正孔注入層14の安定性が図られる。この正孔注入層14のHOMOのイオン化ポテンシャルは4.7〜5.3eVであることが好ましい。
【0015】
正孔輸送層15は正孔注入層14上に、層安定性を有する高分子材料と正孔輸送性を有する低分子材料との混合物により30〜100nmの厚みに形成されている。高分子材料を低分子材料に混合することにより、耐熱性、非晶質性等の層安定性が向上し、より高電圧、大電流領域での駆動を行うことができ、最高輝度の向上を図ることができる。高分子材料は更に低級アルコール、ケトン等の有機溶剤に対する耐溶剤性をも有している。そのため、正孔輸送層15上に電子輸送性発光層16等の有機層を有機溶剤を用いた塗工法によって容易に形成することができる。また、低分子材料に基づき正孔を低電圧でより多く輸送することができ、発光閾値電圧を低電圧化することができる。
【0016】
前記高分子材料は、正孔輸送層15が電子輸送性発光層16と電気的に接触したときLUMOのイオン化ポテンシャルが電子輸送性発光層16のLUMOのイオン化ポテンシャルより高くなるような電気伝導性を有することが必要である。かつ高分子材料は、正孔注入層14のHOMOのイオン化ポテンシャルとの差が小さくなるような電気伝導性を有することが望ましい。高分子材料の重量平均分子量は、10,000〜10,000,000であることが好ましい。そのような高分子材料として具体的にはポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)等が用いられる。
【0017】
低分子材料は、上記の高分子材料の性能に加えて、高分子材料よりも高い電気伝導性を有することが望ましい。また、低分子材料の重量平均分子量は前記高分子材料の重量平均分子量よりも小さく、従って10,000未満であることが好ましい。そのような低分子材料として具体的にはメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)、4,4’,4”−トリス〔3−メチル(フェニル)アミノ〕トリフェニルアミン(m−MTDATA)等が用いられる。また、有機溶剤としてクロロホルムが用いられる。
【0018】
正孔輸送層15中の高分子材料と低分子材料との混合比率は重量比で1:0.05〜20であることが好ましい。この比率が1:0.05未満の場合には低分子材料による正孔輸送性等の機能が低下し、1:20を越える場合には層安定性が低下する傾向となる。正孔輸送層15を有機溶剤を用いて浸漬法等により形成するときには、PVK等とTDAPB等が重量比で1:0.05〜20となるように、有機溶剤100重量部に対してPVK等が0.1〜1.9重量部で、TDAPB等が1.9〜0.1重量部であることが好ましい。
【0019】
この正孔輸送層15のHOMOのイオン化ポテンシャルは4.6〜5.4eVであることが好ましい。一方、正孔輸送層15のLUMOのイオン化ポテンシャルは、電子を陽極12側に流れ込ませないために、電子輸送性発光層16のLUMOのイオン化ポテンシャルに対して障壁が十分高くなるように設定する必要がある。従って、正孔輸送層15のLUMOのイオン化ポテンシャルは、2.1〜2.7eVであることが好ましい。
【0020】
電子輸送性発光層16は正孔輸送層15上に、電子輸送性材料としてのガリウム錯体等の金属キレート化合物によって60nm以下の厚みで形成されている。ガリウム錯体としては例えば、ビス−(8−ヒドロキシキナルジン)ガリウムピバレート〔bis−(8−hydroxyquinaldine)gallium pivalate〕、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体等が用いられる。ガリウム錯体の溶剤としてはメタノール等が使用される。この電子輸送性発光層16は、発光される光の波長が可視光域である必要があると共に、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等の金属又はフッ化リチウム(LiF)等の金属化合物を陰極13としたときのその陰極13との界面でエネルギー障壁がないことが好ましい。このため、電子輸送性発光層16のLUMOのイオン化ポテンシャルは、2.7〜3.3eVであることが好ましい。一方、電子輸送性発光層16のHOMOのイオン化ポテンシャルは、5.4〜6.0eVであることが好ましい。
【0021】
陰極13はアルミニウム、マグネシウム、リチウム等の被膜が真空蒸着法によって電子輸送性発光層16上に蒸着されることにより形成される。
次に、有機EL素子11の作製方法について説明する。
【0022】
まず、ガラス基板17上に真空蒸着法やスパッタリング法によってITOの被膜18が形成されることにより陽極12が得られる。そのITOの被膜18上には、正孔注入層14が正孔輸送性を有する水系の高分子材料を浸漬法(ディップコート法)、スピンコート法等によってコーティングすることにより形成される。図2に示すように、ディップコート法では、例えばポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸塩との混合物の水分散液20が収容された収容槽21中に、ITOの被膜18が形成されたガラス基板17を浸漬して引き上げることにより行なわれる。
【0023】
正孔注入層14上には正孔輸送層15が、前記PVKとTDAPBをクロロホルム等に溶解した溶液をディップコート法、スピンコート法等によって塗工することにより形成される。すなわち、陽極12上には正孔注入層14及び正孔輸送層15が積層された積層体19が形成される。この積層体19の正孔輸送層15上には電子輸送性発光層16が、ガリウム錯体を蒸着法により、或いはガリウム錯体を低級アルコール、ケトン等に溶解させた溶液を用いて浸漬法、インクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法又はフローコート法により形成される。これらの方法は、正孔輸送層15に対する機械的応力がスピンコート法による機械的応力ほどには加わらない方法である。各方法は、常法に従って実施される。
【0024】
最後に、電子輸送性発光層16上にアルミニウムの被膜が蒸着法によって形成されることにより、陰極13が得られる。このようにして、陽極12、正孔注入層14、正孔輸送層15、電子輸送性発光層16及び陰極13が順に積層されて有機EL素子11が作製される。
【0025】
さて、有機EL素子11の正孔輸送層15を正孔注入層14上に形成する場合には、前記高分子材料としてのPVKと低分子材料としてのTDAPBを含む有機溶剤溶液をディップコート法、スピンコート法等によって塗工することにより形成される。このようにして得られる正孔輸送層15は高分子材料と低分子材料との双方によって構成されていることから、耐熱性、非晶質性等の層安定性が良好になると共に、正孔輸送性が良好になる。
【0026】
電子輸送性発光層16を正孔輸送層15上に形成する場合には、ガリウム錯体を低級アルコール、ケトン等に溶解させた溶液を用いて浸漬法等により形成される。このとき、正孔輸送層15は有機溶剤に耐性を有する高分子材料としてのPVKが低分子材料としてのTDAPBに混合されている。このPVKが低級アルコール、ケトン等に耐性を示すことから、正孔輸送層15中のTDAPBが内部に保持され、外部へ溶出されるのが抑制される。
【0027】
そして、有機EL素子11を直流電源に接続して動作させると、陽極12から正孔が正孔注入層14に注入され、注入された正孔は正孔輸送層15へと輸送され、更に電子輸送性発光層16へと輸送される。一方、陰極13からは電子輸送性発光層16に電子が注入され、電子輸送性発光層16において前記正孔と電子が再結合する。この再結合エネルギーによって有機EL素子11が発光する。このとき、有機層は正孔注入層14、正孔輸送層15及び電子輸送性発光層16の3層から構成されているため、キャリア輸送と発光の機能が分離されて各機能がそれぞれ十分に発揮される。しかも、正孔輸送層15は有機溶剤に対して耐性を有することから、正孔輸送の機能が低下することなく安定して発揮される。
【0028】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。・ 本実施形態の有機EL素子11は、その正孔輸送層15が高分子材料と低分子材料の双方で構成されていることから両材料の機能をバランス良く発揮することができる。すなわち、高分子材料により、耐熱性、非晶質性等の層安定性が向上し、より高電圧、大電流領域での駆動を行うことができ、最高輝度の向上を図ることができると共に、耐溶剤性に基づいて正孔輸送層15上に電子輸送性発光層16等の有機層を有機溶剤を用いた塗工法によって容易に形成することができる。一方、低分子材料に基づき正孔を低電圧でより多く輸送することができ、発光閾値電圧を低電圧化することができる。
【0029】
具体的には、正孔輸送層15が正孔輸送性を有する低分子材料としてのTDAPBと低級アルコール、ケトン等に対して耐性を有する高分子材料としてのPVKとの混合物により構成されている。このため、電子輸送性発光層16を電子輸送性材料としてのガリウム錯体がメタノールに溶解された溶液を用いて浸漬法等により正孔輸送層15上に形成する場合に、正孔輸送層15中の高分子材料がメタノールに侵されるのが防止され、正孔輸送層15が安定した状態で保持される。従って、正孔輸送層15中のTDAPBにより正孔輸送性能が十分に発揮され、より高電圧で大電流の領域にて有機EL素子11の駆動を行うことができる。その結果、有機EL素子11の最高輝度を向上させることができると共に、電流効率も向上させることができる。
【0030】
また、低分子材料としてTDAPBを用いたことによって、正孔輸送層15における正孔を低電圧でより多く輸送することができ、閾値電圧(発光輝度が0.1cd/m2に達したときの駆動電圧値)を低くすることができる。
【0031】
・ 正孔輸送層15を構成する高分子材料と低分子材料との混合比率は、好ましくは1:0.05〜20に設定される。高分子材料は低分子材料に比べて粘度が高いことから、両者の混合比率を調整することにより、高分子材料が多いときには正孔輸送層15の厚みを厚くすることができ、低分子材料が多いときには正孔輸送層15の厚みを薄くすることができる。従って、高分子材料と低分子材料との混合比率によって、高分子材料の耐溶剤性と低分子材料の正孔輸送性能の両者の機能のいずれかの機能を選択的に高めることができる。
【0032】
・ 有機EL素子11の正孔輸送層15は、陽極12上に設けられた正孔注入層14上に正孔輸送性を有する低分子材料と低級アルコール、ケトン等に対して溶解性の低い高分子材料との混合物を有機溶剤に溶解した溶液を塗工、乾燥することにより得られる。電子輸送性発光層16は、正孔輸送層15上に電子輸送性発光層16を形成する材料を低級アルコール、ケトン等に溶解させた溶液を用いて前述した浸漬法、インクジェット法、グラビア印刷法等により形成される。すなわち、いずれも塗工法によって行なわれ、有機EL素子11を効率良く製造することができる。
【0033】
なお、スピンコート法によって正孔輸送層15上に電子輸送性発光層16が形成されると、スピンコート法における機械的な応力(回転力)により正孔輸送層15中のTDAPBが外部へ飛ばされる場合があった。しかも、電子輸送性発光層16を形成する場合の有機溶剤である低級アルコール、ケトン等が正孔輸送層15中のTDAPBを溶解する場合があった。これらの場合には、有機EL素子11の輝度、電流効率等の有機EL素子11としての特性が低下するが、本実施形態では機械的応力がスピンコート法のように加わらない塗工法が採用されるため、そのような事態を回避することができる。
【0034】
【実施例】
以下、前記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
まず、表面に陽極12としてのITOの被膜18が形成されたガラス基板17のITOの被膜18上に、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸塩とが重量比で10:1に混合された混合物をスピンコート法によって塗工した。その後、乾燥することによって厚み50nmの正孔注入層14を得た。続いて、正孔注入層14上にポリビニルカルバゾールと1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼンとが重量比で1:1に混合された混合物をディップコート法によって塗工し、乾燥することによって厚み50nmの正孔輸送層15を形成した。
【0035】
次に、正孔輸送層15上にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体を蒸着法によって被覆し、厚み55nmの電子輸送性発光層16を形成した。更に、その電子輸送性発光層16上にフッ化リチウムを蒸着法によって被覆し、厚み0.6nmの陰極界面層を形成した。最後に、その陰極界面層上にアルミニウムを蒸着法によって被覆し、厚み250nmの陰極13を形成した。このようにして、積層構造を有する有機EL素子11を作製した。得られた有機EL素子11について、最高輝度(cd/m2)、電流効率(cd/A)、発光閾値電圧(V)及び発光ピーク波長(nm)を下記に示す方法に基づいて測定した。その結果を表1に示した。
【0036】
最高輝度(cd/m2):輝度計(BM−8、TOPCON社製)にて、電圧を上昇させて最も輝度が高いところを測定した。
電流効率(cd/A):ソースメジャーユニット(238 HIGH CURRENT SOURCEMEASUREMENT UNIT,KEITHLEY社製)で電流及び電圧を測定後、輝度(cd/m2)/〔電流(A)×発光面積(m2)〕の値を算出した。
【0037】
発光閾値電圧(V):輝度が0.1(cd/m2)となったときの電圧を測定した。
発光ピーク波長(nm):Photonic Multi−Channel Analyzer−10(PMA−10、浜松ホトニクス社製)で発光強度が最も高い波長を測定した。
(比較例1)
実施例1において、正孔輸送層15を形成する材料を高分子材料であるポリビニルカルバゾール(PVK)のみとし、その他は実施例1と同様にして有機EL素子11を作製した。得られた有機EL素子11について、実施例1と同様に最高輝度、電流効率、発光閾値電圧及び発光ピーク波長を測定し、その結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1において、正孔輸送層15を形成する材料を低分子材料である1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)のみとし、その他は実施例1と同様にして有機EL素子11を作製した。得られた有機EL素子11について、実施例1と同様に最高輝度、電流効率、発光閾値電圧及び発光ピーク波長を測定し、その結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
表1に示したように、実施例1では最高輝度及び電流効率を高くすることができた。更に、発光閾値電圧を低電圧化することができた。一方、正孔輸送層15が高分子材料のみで構成されている比較例1では電流効率は高いものの、最高輝度が低く、かつ発光閾値電圧が高い結果であった。正孔輸送層15が低分子材料のみで構成されている比較例2では発光閾値電圧が低いものの、最高輝度及び電流効率は低いという結果であった。
【0039】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 有機層を正孔輸送層15と電子輸送性発光層16の2層で構成したり、電子輸送層と正孔輸送性発光層の2層で構成したり、正孔輸送層15と電子輸送層との間に発光層を設けた3層で構成したり、更には4層以上で構成したりすることも可能である。
【0040】
・ 正孔注入層14を、高分子材料としてのポリビニルカルバゾール(PVK)と低分子材料としてのメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)との混合物を用いて形成することもできる。
【0041】
・ 実施例1における電子輸送性発光層16を、低級アルコール、ケトン等の有機溶剤に溶解させた溶液を用いて浸漬法等により形成することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0042】
・ 前記他の有機層を塗工法により形成するための有機溶剤は低級アルコール又はケトンである。このように構成した場合、例えば電子輸送性材料を容易に溶解させることができる。
【0043】
・ 高分子材料の重量平均分子量は10,000〜10,000,000であり、低分子材料の重量平均分子量は10,000未満である。このように構成した場合、高分子材料は有機溶剤に対して十分な耐性を発揮でき、低分子材料はキャリア輸送性を十分に発揮することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の有機EL素子によれば、有機EL素子としての特性をバランス良く発揮させることができる。
【0045】
請求項2に記載の発明の有機EL素子によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、正孔輸送層が層安定性と正孔輸送性との両特性を発揮させることができる。
【0046】
請求項3に記載の発明の有機EL素子によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、有機EL素子としての特性を調整することができる。
請求項4に記載の発明の有機EL素子の製造方法によれば、請求項1に記載の発明の効果を奏する有機EL素子を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における有機EL素子を示す概略断面図。
【図2】浸漬法のための塗工装置を示す概略説明図。
【符号の説明】
11…有機EL素子、12…陽極、13…陰極、14…正孔注入層、15…正孔輸送層、16…電子輸送性発光層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば携帯電話、オーディオ等の表示素子として利用される有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、本明細書では有機EL素子と称する)及びその作製方法に関するものである。さらに詳しくは、有機EL素子としての特性をバランス良く発揮させることができる有機EL素子及びその作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の有機EL素子は陽極と陰極との間に、複数の有機層として例えば陽極側から順に正孔注入層、正孔輸送層及び電子輸送性発光層が積層されて構成されている。そして、陽極側から正孔(ホール)が正孔注入層、正孔輸送層を介して供給され、陰極から電子が供給され、電子輸送性発光層において正孔と電子が再結合して発光される。このような有機EL素子として例えば非特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
すなわち、正孔注入層は2種類の高分子材料であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸塩(PSS)との混合物により構成されている。正孔輸送層は正孔輸送性材料としてのメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)により構成されている。電子輸送性発光層は電子輸送性材料としてのガリウム錯体等の金属キレート化合物により構成されている。
【0004】
【非特許文献1】
Advanced Materials 2001,13,No23,December3 1811〜1813頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来技術においては、正孔注入層が2種類の高分子材料のみで構成されていることから、高分子材料のもつ機能が発揮されて有機EL素子の電流効率は良くなるものの、輝度が低く、発光閾値電圧は高いという問題があった。正孔輸送層は正孔輸送性材料として低分子のメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)によって構成されている。このため、低分子の正孔輸送性材料であるTDAPBのもつ機能に基づいて有機EL素子の発光閾値電圧は低くできるものの、輝度及び電流効率が低いという問題があった。従って、有機EL素子全体としての特性をバランス良く発揮することができなかったという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、有機EL素子としての特性をバランス良く発揮させることができる有機EL素子及びその作製方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極との間には、陽極側から正孔を注入して輸送すると共に、陰極側から電子を注入して輸送し、正孔と電子とからなるキャリアの再結合により発光させるための複数の有機層を備え、該有機層のうち少なくとも一層は層安定性を有する高分子材料とキャリア輸送性を有する低分子材料との混合物により構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、請求項1に記載の発明において、前記有機層は陽極側から順に正孔注入層、正孔輸送層及び電子輸送性発光層で構成され、前記正孔輸送層は層安定性を有する高分子材料とキャリア輸送性を有する低分子材料との混合物により構成されているものである。
【0009】
請求項3に記載の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記高分子材料と低分子材料との混合比率は重量比で1:0.05〜20であるものである。
【0010】
請求項4に記載の発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製方法は、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製方法であって、陽極上に、層安定性を有する高分子材料とキャリア輸送性を有する低分子材料との混合物の有機溶剤溶液を用いて塗工することによって有機層を形成した後、その有機層上に他の有機層を有機溶剤を用いて浸漬法、インクジェット法、グラビア法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法又はフローコート法により形成し、その上に陰極を形成することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、有機EL素子11は陽極12と陰極13との間に陽極側から順に正孔注入層14、正孔輸送層15及び電子輸送性発光層16の複数(3層)の有機層が積層されて構成されている。この有機EL素子11においては、陽極12から正孔が正孔注入層14に注入され、更に正孔輸送層15に輸送され、一方陰極13から電子が電子輸送性発光層16に注入されてその電子輸送性発光層16で正孔と電子が再結合する。これらのキャリア(正孔と電子)の再結合エネルギーによって発光中心(正孔と電子で対をなす励起子)が励起されて有機EL素子11が発光するのである。すなわち、有機EL素子11は直流動作型の発光素子である。
【0012】
有機層中へのキャリアの注入は、化学的にはラジカルカチオン(正孔)とラジカルアニオン(電子)の注入である。すなわち、陽極12と有機層との界面においては有機分子の電子が奪われ酸化されてラジカルカチオンが形成され、陰極13と有機層との界面においては有機分子に電子を与え還元してラジカルアニオンが形成される。ここで、ラジカルカチオンは有機分子の最高被占分子軌道(HOMO)の電子を引き抜くことにより形成され、ラジカルアニオンは有機分子の最低空分子軌道(LUMO)に電子を注入することにより形成される。
【0013】
前記陽極12はガラス基板17上に形成されたインジウム−スズ酸化物(ITO)の被膜18によって構成されている。このITOの被膜18のイオン化ポテンシャル(仕事関数)は通常4.8〜5.2eVである。
【0014】
正孔注入層14はITOの被膜18上に、正孔輸送性を有する水系の高分子材料によって50〜60nmの厚みに形成されている。この高分子材料として具体的にはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸塩(PSS)とが重量比で10:1に混合されたものが用いられる。両高分子材料の混合物によって正孔注入層14の安定性が図られる。この正孔注入層14のHOMOのイオン化ポテンシャルは4.7〜5.3eVであることが好ましい。
【0015】
正孔輸送層15は正孔注入層14上に、層安定性を有する高分子材料と正孔輸送性を有する低分子材料との混合物により30〜100nmの厚みに形成されている。高分子材料を低分子材料に混合することにより、耐熱性、非晶質性等の層安定性が向上し、より高電圧、大電流領域での駆動を行うことができ、最高輝度の向上を図ることができる。高分子材料は更に低級アルコール、ケトン等の有機溶剤に対する耐溶剤性をも有している。そのため、正孔輸送層15上に電子輸送性発光層16等の有機層を有機溶剤を用いた塗工法によって容易に形成することができる。また、低分子材料に基づき正孔を低電圧でより多く輸送することができ、発光閾値電圧を低電圧化することができる。
【0016】
前記高分子材料は、正孔輸送層15が電子輸送性発光層16と電気的に接触したときLUMOのイオン化ポテンシャルが電子輸送性発光層16のLUMOのイオン化ポテンシャルより高くなるような電気伝導性を有することが必要である。かつ高分子材料は、正孔注入層14のHOMOのイオン化ポテンシャルとの差が小さくなるような電気伝導性を有することが望ましい。高分子材料の重量平均分子量は、10,000〜10,000,000であることが好ましい。そのような高分子材料として具体的にはポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)等が用いられる。
【0017】
低分子材料は、上記の高分子材料の性能に加えて、高分子材料よりも高い電気伝導性を有することが望ましい。また、低分子材料の重量平均分子量は前記高分子材料の重量平均分子量よりも小さく、従って10,000未満であることが好ましい。そのような低分子材料として具体的にはメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)、4,4’,4”−トリス〔3−メチル(フェニル)アミノ〕トリフェニルアミン(m−MTDATA)等が用いられる。また、有機溶剤としてクロロホルムが用いられる。
【0018】
正孔輸送層15中の高分子材料と低分子材料との混合比率は重量比で1:0.05〜20であることが好ましい。この比率が1:0.05未満の場合には低分子材料による正孔輸送性等の機能が低下し、1:20を越える場合には層安定性が低下する傾向となる。正孔輸送層15を有機溶剤を用いて浸漬法等により形成するときには、PVK等とTDAPB等が重量比で1:0.05〜20となるように、有機溶剤100重量部に対してPVK等が0.1〜1.9重量部で、TDAPB等が1.9〜0.1重量部であることが好ましい。
【0019】
この正孔輸送層15のHOMOのイオン化ポテンシャルは4.6〜5.4eVであることが好ましい。一方、正孔輸送層15のLUMOのイオン化ポテンシャルは、電子を陽極12側に流れ込ませないために、電子輸送性発光層16のLUMOのイオン化ポテンシャルに対して障壁が十分高くなるように設定する必要がある。従って、正孔輸送層15のLUMOのイオン化ポテンシャルは、2.1〜2.7eVであることが好ましい。
【0020】
電子輸送性発光層16は正孔輸送層15上に、電子輸送性材料としてのガリウム錯体等の金属キレート化合物によって60nm以下の厚みで形成されている。ガリウム錯体としては例えば、ビス−(8−ヒドロキシキナルジン)ガリウムピバレート〔bis−(8−hydroxyquinaldine)gallium pivalate〕、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体等が用いられる。ガリウム錯体の溶剤としてはメタノール等が使用される。この電子輸送性発光層16は、発光される光の波長が可視光域である必要があると共に、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等の金属又はフッ化リチウム(LiF)等の金属化合物を陰極13としたときのその陰極13との界面でエネルギー障壁がないことが好ましい。このため、電子輸送性発光層16のLUMOのイオン化ポテンシャルは、2.7〜3.3eVであることが好ましい。一方、電子輸送性発光層16のHOMOのイオン化ポテンシャルは、5.4〜6.0eVであることが好ましい。
【0021】
陰極13はアルミニウム、マグネシウム、リチウム等の被膜が真空蒸着法によって電子輸送性発光層16上に蒸着されることにより形成される。
次に、有機EL素子11の作製方法について説明する。
【0022】
まず、ガラス基板17上に真空蒸着法やスパッタリング法によってITOの被膜18が形成されることにより陽極12が得られる。そのITOの被膜18上には、正孔注入層14が正孔輸送性を有する水系の高分子材料を浸漬法(ディップコート法)、スピンコート法等によってコーティングすることにより形成される。図2に示すように、ディップコート法では、例えばポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸塩との混合物の水分散液20が収容された収容槽21中に、ITOの被膜18が形成されたガラス基板17を浸漬して引き上げることにより行なわれる。
【0023】
正孔注入層14上には正孔輸送層15が、前記PVKとTDAPBをクロロホルム等に溶解した溶液をディップコート法、スピンコート法等によって塗工することにより形成される。すなわち、陽極12上には正孔注入層14及び正孔輸送層15が積層された積層体19が形成される。この積層体19の正孔輸送層15上には電子輸送性発光層16が、ガリウム錯体を蒸着法により、或いはガリウム錯体を低級アルコール、ケトン等に溶解させた溶液を用いて浸漬法、インクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法又はフローコート法により形成される。これらの方法は、正孔輸送層15に対する機械的応力がスピンコート法による機械的応力ほどには加わらない方法である。各方法は、常法に従って実施される。
【0024】
最後に、電子輸送性発光層16上にアルミニウムの被膜が蒸着法によって形成されることにより、陰極13が得られる。このようにして、陽極12、正孔注入層14、正孔輸送層15、電子輸送性発光層16及び陰極13が順に積層されて有機EL素子11が作製される。
【0025】
さて、有機EL素子11の正孔輸送層15を正孔注入層14上に形成する場合には、前記高分子材料としてのPVKと低分子材料としてのTDAPBを含む有機溶剤溶液をディップコート法、スピンコート法等によって塗工することにより形成される。このようにして得られる正孔輸送層15は高分子材料と低分子材料との双方によって構成されていることから、耐熱性、非晶質性等の層安定性が良好になると共に、正孔輸送性が良好になる。
【0026】
電子輸送性発光層16を正孔輸送層15上に形成する場合には、ガリウム錯体を低級アルコール、ケトン等に溶解させた溶液を用いて浸漬法等により形成される。このとき、正孔輸送層15は有機溶剤に耐性を有する高分子材料としてのPVKが低分子材料としてのTDAPBに混合されている。このPVKが低級アルコール、ケトン等に耐性を示すことから、正孔輸送層15中のTDAPBが内部に保持され、外部へ溶出されるのが抑制される。
【0027】
そして、有機EL素子11を直流電源に接続して動作させると、陽極12から正孔が正孔注入層14に注入され、注入された正孔は正孔輸送層15へと輸送され、更に電子輸送性発光層16へと輸送される。一方、陰極13からは電子輸送性発光層16に電子が注入され、電子輸送性発光層16において前記正孔と電子が再結合する。この再結合エネルギーによって有機EL素子11が発光する。このとき、有機層は正孔注入層14、正孔輸送層15及び電子輸送性発光層16の3層から構成されているため、キャリア輸送と発光の機能が分離されて各機能がそれぞれ十分に発揮される。しかも、正孔輸送層15は有機溶剤に対して耐性を有することから、正孔輸送の機能が低下することなく安定して発揮される。
【0028】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。・ 本実施形態の有機EL素子11は、その正孔輸送層15が高分子材料と低分子材料の双方で構成されていることから両材料の機能をバランス良く発揮することができる。すなわち、高分子材料により、耐熱性、非晶質性等の層安定性が向上し、より高電圧、大電流領域での駆動を行うことができ、最高輝度の向上を図ることができると共に、耐溶剤性に基づいて正孔輸送層15上に電子輸送性発光層16等の有機層を有機溶剤を用いた塗工法によって容易に形成することができる。一方、低分子材料に基づき正孔を低電圧でより多く輸送することができ、発光閾値電圧を低電圧化することができる。
【0029】
具体的には、正孔輸送層15が正孔輸送性を有する低分子材料としてのTDAPBと低級アルコール、ケトン等に対して耐性を有する高分子材料としてのPVKとの混合物により構成されている。このため、電子輸送性発光層16を電子輸送性材料としてのガリウム錯体がメタノールに溶解された溶液を用いて浸漬法等により正孔輸送層15上に形成する場合に、正孔輸送層15中の高分子材料がメタノールに侵されるのが防止され、正孔輸送層15が安定した状態で保持される。従って、正孔輸送層15中のTDAPBにより正孔輸送性能が十分に発揮され、より高電圧で大電流の領域にて有機EL素子11の駆動を行うことができる。その結果、有機EL素子11の最高輝度を向上させることができると共に、電流効率も向上させることができる。
【0030】
また、低分子材料としてTDAPBを用いたことによって、正孔輸送層15における正孔を低電圧でより多く輸送することができ、閾値電圧(発光輝度が0.1cd/m2に達したときの駆動電圧値)を低くすることができる。
【0031】
・ 正孔輸送層15を構成する高分子材料と低分子材料との混合比率は、好ましくは1:0.05〜20に設定される。高分子材料は低分子材料に比べて粘度が高いことから、両者の混合比率を調整することにより、高分子材料が多いときには正孔輸送層15の厚みを厚くすることができ、低分子材料が多いときには正孔輸送層15の厚みを薄くすることができる。従って、高分子材料と低分子材料との混合比率によって、高分子材料の耐溶剤性と低分子材料の正孔輸送性能の両者の機能のいずれかの機能を選択的に高めることができる。
【0032】
・ 有機EL素子11の正孔輸送層15は、陽極12上に設けられた正孔注入層14上に正孔輸送性を有する低分子材料と低級アルコール、ケトン等に対して溶解性の低い高分子材料との混合物を有機溶剤に溶解した溶液を塗工、乾燥することにより得られる。電子輸送性発光層16は、正孔輸送層15上に電子輸送性発光層16を形成する材料を低級アルコール、ケトン等に溶解させた溶液を用いて前述した浸漬法、インクジェット法、グラビア印刷法等により形成される。すなわち、いずれも塗工法によって行なわれ、有機EL素子11を効率良く製造することができる。
【0033】
なお、スピンコート法によって正孔輸送層15上に電子輸送性発光層16が形成されると、スピンコート法における機械的な応力(回転力)により正孔輸送層15中のTDAPBが外部へ飛ばされる場合があった。しかも、電子輸送性発光層16を形成する場合の有機溶剤である低級アルコール、ケトン等が正孔輸送層15中のTDAPBを溶解する場合があった。これらの場合には、有機EL素子11の輝度、電流効率等の有機EL素子11としての特性が低下するが、本実施形態では機械的応力がスピンコート法のように加わらない塗工法が採用されるため、そのような事態を回避することができる。
【0034】
【実施例】
以下、前記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
まず、表面に陽極12としてのITOの被膜18が形成されたガラス基板17のITOの被膜18上に、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸塩とが重量比で10:1に混合された混合物をスピンコート法によって塗工した。その後、乾燥することによって厚み50nmの正孔注入層14を得た。続いて、正孔注入層14上にポリビニルカルバゾールと1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼンとが重量比で1:1に混合された混合物をディップコート法によって塗工し、乾燥することによって厚み50nmの正孔輸送層15を形成した。
【0035】
次に、正孔輸送層15上にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体を蒸着法によって被覆し、厚み55nmの電子輸送性発光層16を形成した。更に、その電子輸送性発光層16上にフッ化リチウムを蒸着法によって被覆し、厚み0.6nmの陰極界面層を形成した。最後に、その陰極界面層上にアルミニウムを蒸着法によって被覆し、厚み250nmの陰極13を形成した。このようにして、積層構造を有する有機EL素子11を作製した。得られた有機EL素子11について、最高輝度(cd/m2)、電流効率(cd/A)、発光閾値電圧(V)及び発光ピーク波長(nm)を下記に示す方法に基づいて測定した。その結果を表1に示した。
【0036】
最高輝度(cd/m2):輝度計(BM−8、TOPCON社製)にて、電圧を上昇させて最も輝度が高いところを測定した。
電流効率(cd/A):ソースメジャーユニット(238 HIGH CURRENT SOURCEMEASUREMENT UNIT,KEITHLEY社製)で電流及び電圧を測定後、輝度(cd/m2)/〔電流(A)×発光面積(m2)〕の値を算出した。
【0037】
発光閾値電圧(V):輝度が0.1(cd/m2)となったときの電圧を測定した。
発光ピーク波長(nm):Photonic Multi−Channel Analyzer−10(PMA−10、浜松ホトニクス社製)で発光強度が最も高い波長を測定した。
(比較例1)
実施例1において、正孔輸送層15を形成する材料を高分子材料であるポリビニルカルバゾール(PVK)のみとし、その他は実施例1と同様にして有機EL素子11を作製した。得られた有機EL素子11について、実施例1と同様に最高輝度、電流効率、発光閾値電圧及び発光ピーク波長を測定し、その結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1において、正孔輸送層15を形成する材料を低分子材料である1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)のみとし、その他は実施例1と同様にして有機EL素子11を作製した。得られた有機EL素子11について、実施例1と同様に最高輝度、電流効率、発光閾値電圧及び発光ピーク波長を測定し、その結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
表1に示したように、実施例1では最高輝度及び電流効率を高くすることができた。更に、発光閾値電圧を低電圧化することができた。一方、正孔輸送層15が高分子材料のみで構成されている比較例1では電流効率は高いものの、最高輝度が低く、かつ発光閾値電圧が高い結果であった。正孔輸送層15が低分子材料のみで構成されている比較例2では発光閾値電圧が低いものの、最高輝度及び電流効率は低いという結果であった。
【0039】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 有機層を正孔輸送層15と電子輸送性発光層16の2層で構成したり、電子輸送層と正孔輸送性発光層の2層で構成したり、正孔輸送層15と電子輸送層との間に発光層を設けた3層で構成したり、更には4層以上で構成したりすることも可能である。
【0040】
・ 正孔注入層14を、高分子材料としてのポリビニルカルバゾール(PVK)と低分子材料としてのメトキシ置換された1,3,5−トリス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕ベンゼン(TDAPB)との混合物を用いて形成することもできる。
【0041】
・ 実施例1における電子輸送性発光層16を、低級アルコール、ケトン等の有機溶剤に溶解させた溶液を用いて浸漬法等により形成することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0042】
・ 前記他の有機層を塗工法により形成するための有機溶剤は低級アルコール又はケトンである。このように構成した場合、例えば電子輸送性材料を容易に溶解させることができる。
【0043】
・ 高分子材料の重量平均分子量は10,000〜10,000,000であり、低分子材料の重量平均分子量は10,000未満である。このように構成した場合、高分子材料は有機溶剤に対して十分な耐性を発揮でき、低分子材料はキャリア輸送性を十分に発揮することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の有機EL素子によれば、有機EL素子としての特性をバランス良く発揮させることができる。
【0045】
請求項2に記載の発明の有機EL素子によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、正孔輸送層が層安定性と正孔輸送性との両特性を発揮させることができる。
【0046】
請求項3に記載の発明の有機EL素子によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、有機EL素子としての特性を調整することができる。
請求項4に記載の発明の有機EL素子の製造方法によれば、請求項1に記載の発明の効果を奏する有機EL素子を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における有機EL素子を示す概略断面図。
【図2】浸漬法のための塗工装置を示す概略説明図。
【符号の説明】
11…有機EL素子、12…陽極、13…陰極、14…正孔注入層、15…正孔輸送層、16…電子輸送性発光層。
Claims (4)
- 陽極と陰極との間には、陽極側から正孔を注入して輸送すると共に、陰極側から電子を注入して輸送し、正孔と電子とからなるキャリアの再結合により発光させるための複数の有機層を備え、該有機層のうち少なくとも一層は層安定性を有する高分子材料とキャリア輸送性を有する低分子材料との混合物により構成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記有機層は陽極側から順に正孔注入層、正孔輸送層及び電子輸送性発光層で構成され、前記正孔輸送層は層安定性を有する高分子材料とキャリア輸送性を有する低分子材料との混合物により構成されている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記高分子材料と低分子材料との混合比率は重量比で1:0.05〜20である請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の作製方法であって、
陽極上に、層安定性を有する高分子材料とキャリア輸送性を有する低分子材料との混合物の有機溶剤溶液を用いて塗工することによって有機層を形成した後、その有機層上に他の有機層を有機溶剤を用いて浸漬法、インクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ロールコート法、スプレーコート法、カーテンコート法又はフローコート法により形成し、その上に陰極を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の作製方法。
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