JP2004295715A - 乗車列車同定サーバ及び乗車列車同定システム - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄道利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易な方法で実現する。
【解決手段】乗車列車同定サーバ30は、随時、無線通信サーバ1から送信される携帯電話機40と通信可能な基地局12の基地局No.及び当該携帯電話機40の識別情報(電話番号等)を受信するとともに、運行管理システム22から送信される列車運行情報を受信している。この列車運行情報には、運行時刻情報や在線情報が含まれる。そして、所定時間毎に、受信した基地局No.に対応する区間を走行中の列車を、受信した列車運行情報を参照して推定して、各推定に共通な列車を乗車列車として確定する。
【選択図】 図1
【解決手段】乗車列車同定サーバ30は、随時、無線通信サーバ1から送信される携帯電話機40と通信可能な基地局12の基地局No.及び当該携帯電話機40の識別情報(電話番号等)を受信するとともに、運行管理システム22から送信される列車運行情報を受信している。この列車運行情報には、運行時刻情報や在線情報が含まれる。そして、所定時間毎に、受信した基地局No.に対応する区間を走行中の列車を、受信した列車運行情報を参照して推定して、各推定に共通な列車を乗車列車として確定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗車列車同定サーバ及び乗車列車同定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、人物の位置の推定方法として、当該人物が保持する携帯電話機やPHS等の基地局からの情報を元にして同定する方法や、GPS衛星との通信を利用した方法がある。そして、このような位置の推定方法を利用した技術として、鉄道分野では、次の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、利用者が保持する携帯電話機の位置を検知して最寄り駅を判断するとともに、この最寄り駅から利用者によって入力された目的駅までの経路や発車時刻を検索して、携帯電話機に送信して表示させる列車の案内方法等が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、携帯電話機の位置を移動通信網に対して予め位置登録しておき、利用者によって携帯電話機から目的駅が入力されると、目的駅方向の路線の時刻表を検索し、携帯電話機に対して提供する移動通信システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、携帯電話端末を列車に搭載するとともに、列車が走行する軌道に沿って携帯電話サービス網の無線基地局を配置して、無線ゾーンレベルでの列車位置情報を発生する列車位置情報発生装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−293241号公報
【特許文献2】
特開2001−022216号公報
【特許文献3】
特開2000−071985号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の基地局からの情報による推定方法では、基地局の通信エリアを単位として位置を推測しているため、精度が数百m〜数km程度しか得られない。従って、ピンポイントでの位置の推定、即ち同定は困難であった。一方、GPSによる同定方法では、基地局による位置の同定方法と比較して精度良く同定することができるが、GPS衛星との通信が不可能な地下やトンネル等では検出ができないという問題がある。このため、鉄道分野における鉄道利用者の位置の同定方法として、適当であるとは言えなかった。
【0008】
例えば、特許文献1に記載の技術は、利用者の位置を携帯電話機の基地局を利用して検出しているため、駅間の距離が短い地域や、複数路線の駅が接近して設けられている地域では、最寄り駅を確実に判断できるとは言い難かった。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術は、携帯電話機の基地局を利用して該当する路線を推測している。即ち、利用者が乗車している列車の同定まで行うものではないため、例えば都心部などの複数の路線が平行している地域では、利用者が所望する時刻表を確実に提供できない可能性もあった。
【0010】
ところで、鉄道分野での利用者の位置の同定は、各利用者毎に、より適切なサービスを提供するために望まれているものである。そして、鉄道分野におけるサービスとしては、乗車列車に関わる情報提供(リアルタイムな乗換案内や遅延情報の報知等)がある。このため、利用者の位置そのものよりも、乗車中の列車(乗車しようとする列車)を高確度に同定することが望まれる。
【0011】
上記問題に鑑み、本発明は、鉄道利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易な方法で実現することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
▲1▼所定の公衆無線通信網を利用した無線通信を行う携帯型の利用者端末(例えば、図1の携帯電話機40)が存在する位置を、当該公衆無線通信網における無線通信状況から存在推定域(例えば、図1の基地局12の通信エリア)として推定する存在域推定手段を備えた無線通信システム(例えば、図1の無線通信システム10)、及び、▲2▼列車運行情報を管理する運行情報管理手段を備えた運行管理システム(例えば、図1の運行管理システム22)、と所定の通信回線を介して接続された乗車列車同定サーバ(例えば、図1の乗車列車同定サーバ30)であって、
前記運行管理システムから列車運行情報を受信する運行情報受信手段と、
前記無線通信システムから前記利用者端末の存在推定域の情報を受信する存在推定域受信手段と、
前記運行情報受信手段により受信される列車運行情報と、前記存在推定域受信手段により受信される存在推定域の情報とに基づいて、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を備えることを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、
所定の公衆無線通信網を利用した無線通信を行う携帯型の利用者端末が存在する位置を、当該公衆無線通信網における無線通信状況から存在推定域として推定する存在域推定手段を備えた無線通信システムと所定の通信回線を介して接続された乗車列車同定システムであって、
列車運行情報を管理する運行情報管理手段と、
前記無線通信システムから前記利用者端末の存在推定域の情報を受信する存在推定域受信手段と、
前記運行情報管理手段により管理されている列車運行情報と、前記存在推定域受信手段により受信される存在推定域の情報とに基づいて、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を備えることを特徴としている。
【0014】
この請求項1又は4に記載の発明によれば、運行情報管理手段によって管理される列車運行情報と、存在域推定手段によって推定される存在推定域の情報とに基づいて、利用者端末の保持者の乗車列車を同定することができる。ここで、列車運行情報には、列車の番号や駅の番線(ホーム番号)、駅間の閉塞区間等の軌道回路を単位とした列車の位置の情報である在線情報、駅の発着時刻等の時刻情報である運行時刻情報、等が含まれる。
【0015】
従って、列車に乗車中の鉄道利用者が利用者端末を保持し、且つ、列車運行情報に含まれる在線情報をリアルタイムに取得することとすれば、広さを持つ存在推定域として利用者端末の位置を推定した情報と、列車運行情報に含まれる在線情報とを組み合わせることで、利用者端末の保持者、即ち、鉄道利用者の乗車列車を同定することが可能となる。
【0016】
また、在線情報をリアルタイムに取得できない場合であっても、更に、運行時刻情報を組み合わせることで、蓄積したデータを用いて乗車列車の同定を行うことも可能となる。
【0017】
また、無線通信システムを、携帯電話機やPHS等の公知の移動電話システムによって実現し、基地局からの情報を元にして利用者端末の位置を推定するとともに、運行管理システムを、公知の鉄道システムによって実現することとすれば、既存の情報を利用することができるので、乗車列車の同定をより簡易に実現することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の乗車列車同定サーバにおいて、
前記乗車列車同定手段は、前記受信される列車運行情報と存在推定域の情報とを連続的に照査することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することとしても良い。
【0019】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項4に記載の乗車列車同定システムにおいて、
前記乗車列車同定手段は、前記運行情報管理手段により管理されている列車運行情報と、前記存在推定域受信手段により受信される存在推定域の情報とを連続的に照査することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することとしても良い。
【0020】
この請求項2又は5に記載の発明によれば、請求項1又は4に記載の発明と同様の効果を奏するとともに、受信される列車運行情報と存在推定域の情報とを連続的に照査することにより、利用者端末の保持者の乗車列車を同定することができる。即ち、連続的に照査することで、同定の精度をより高めることができる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1に記載の乗車列車同定サーバにおいて、
前記乗車列車同定手段は、前記受信される列車運行情報と存在推定域の情報との所定のタイミングでの照査を繰り返し実行することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することとしても良い。
【0022】
また、請求項6に記載の発明のように、請求項4に記載の乗車列車同定システムにおいて、
前記乗車列車同定手段は、前記受信される列車運行情報と存在推定域の情報との所定のタイミングでの照査を繰り返し実行することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することとしても良い。
【0023】
この請求項3又は6に記載の発明によれば、請求項1又は4に記載の発明と同様の効果を奏するとともに、受信される列車運行情報と存在推定域の情報との所定のタイミングでの照査を繰り返し実行することにより、利用者端末の保持者の乗車列車を同定することができる。ここで、所定のタイミングとして、例えば、受信される利用者端末の存在推定域が変化した場合や、利用者者端末の保持者の乗車列車と思われる推定列車の位置が変化した場合とすることで、乗車列車の同定を効率良く実現することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。尚、以下においては、鉄道利用者が現在乗車中の列車を同定する乗車列車同定システムに本発明を適用した場合について説明するが、本発明の適用がこれに限定されるものではない。
【0025】
〔第1の実施の形態〕
先ず、第1の実施の形態を説明する。
【0026】
[システム構成]
図1は、第1の実施の形態における乗車列車同定システム1の概略構成を示す図である。同図によれば、乗車列車同定システム1は、無線通信システム10、鉄道システム20、乗車列車同定サーバ30、鉄道利用者(以下、単に「利用者」と称する。)が保持する携帯電話機40、を備えて構成される。
【0027】
無線通信システム10は、例えば携帯電話事業者によって運営される公知の携帯電話システムにより実現され、これには、無線通信サーバ11、無線通信サーバ11に接続された複数の無線基地局(以下、単に「基地局」と称する。)12、が含まれる。
【0028】
基地局12は、無線通信網を形成するために各地に設置されるものであり、駅構内や駅間を走行する列車の軌道周辺にも設置されている。また、基地局12には、当該基地局12を識別するための基地局No.が割り当てられている。携帯電話機40は、基地局12の通信エリアによって形成される無線通信網を利用して、無線通信を行う。
【0029】
無線通信サーバ11は、CPU、ハードディスク等の記憶装置、CD或いはMOといった外部記憶媒体に記憶された情報を読込自在な記憶媒体読込装置、当該無線通信サーバ11外部とデータ通信を行う通信装置等がシステムバスを介して接続される、公知の汎用サーバ装置によって構成される。
【0030】
また、無線通信サーバ11は、電話回線網やインターネット等の無線/有線の通信回線を介して乗車列車同定サーバ30と通信可能に接続されている。そして、基地局12の通信エリアによって形成される無線通信網を利用した携帯電話機40の無線通信を制御するとともに、携帯電話機40と通信可能な基地局12(以下、適宜「通信可能基地局」と称する。)に割り当てられている基地局No.と、当該携帯電話機40の識別番号(本実施の形態では、電話番号であるとする。)とを含む通信エリア情報を、随時、乗車列車同定サーバ30へ送信する。
【0031】
鉄道システム20は、例えば鉄道事業者によって運営される公知の鉄道システムにより実現され、これには、改札システム21、運行管理システム22、が含まれる。また、鉄道システム20は、電話通信網やインターネット等の有線/無線の通信回線を介して、乗車列車同定サーバ30と通信可能に接続されている。
【0032】
改札システム21は、各駅の改札に設置されて改札業務を実現する改札装置等を有するSuica(登録商標)等の改札システムであり、利用者の駅構内への入場や駅構内からの出場を管理するシステムである。そして、改札を通過する(即ち、駅構内へ入場/駅構内から出場する)利用者が所有する定期券の磁気記録部等に記憶された定期券コードを読み取ると、読み取った定期券コードや駅コードを含む入場/出場情報を、乗車列車同定サーバ30へ送信する。
【0033】
運行管理システム22は、運行ダイヤの管理や進路制御、運行表示、運転整理等をコンピュータ等によって集中制御するシステムである。そして、列車の運行に関する情報である列車運行情報を、随時、乗車列車同定サーバ30へ送信する。この列車運行情報には、列車番号や駅の番線(ホーム番号)、在線情報(駅間の閉塞区間等の軌道回路を単位とした列車の位置の情報)、駅の発着時刻の情報(運行時刻情報)、閉塞区間の在線(通過)時間等が含まれる。
【0034】
乗車列車同定サーバ30は、CPU、ハードディスク等の記憶装置、CD或いはMOといった外部記憶媒体に記憶された情報を読込自在な記憶媒体読込装置、当該乗車列車同定サーバ30外部とデータ通信を行う通信装置等がシステムバスを介して接続される、公知の汎用サーバ装置により構成される。
【0035】
また、乗車列車同定サーバ30は、電話通信網やインターネット等の有線/無線の通信回線を介して、無線通信サーバ11及び鉄道システム20と通信可能に接続されている。また、無線通信サーバ11から送信される通信エリア情報、改札システム21から送信される入場/出場信号、運行管理システム22から送信される運行管理情報、をリアルタイムに受信している。
【0036】
そして、乗車列車推定サーバ30は、改札システム21から送信される入場情報を受信すると、無線通信サーバ11から送信される通信エリア情報及び運行管理システム22から送信される列車運行情報に基づいて、利用者の乗車列車の同定を行う。具体的には、所定時間(例えは、第1実施の形態では「1分」とするが、これに限定されないのは勿論である。)毎に、通信エリア情報及び列車運行情報に含まれる運行時刻情報の照査を実行して乗車列車を推定することで、最終的に1台の列車を乗車列車として同定する。
【0037】
また、乗車列車同定サーバ30が有する記憶装置には、基地局12の設置位置の情報である基地局設置位置情報31、利用者の情報である利用者情報32、運行管理システム22から受信した列車運行情報に含まれる運行時刻情報を蓄積する運行時刻テーブル33、乗車列車の推定結果を蓄積する推定結果テーブル34、が記憶される。
【0038】
図2は、基地局設置位置情報31のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、基地局設置位置情報31には、駅構内或いは駅間を表す区間(31a)毎に、当該区間において携帯電話機40と通信可能な位置に設置された基地局12の基地局No.(31b)、が対応付けて格納される。この基地局設置位置情報31は、基地局12の設置位置に基づいて予め設定される固定的な情報である。
【0039】
即ち、同図に示す例では、携帯電話機40は、当該携帯電話機40の保持者がA駅構内にいる場合には、基地局No.11及び12の基地局と通信可能であり、A駅〜B駅間を走行中の列車に乗車中の場合には、基地局No.12〜17の何れかの基地局と通信可能であり、B駅構内にいる場合には、基地局No.17及び18の基地局と通信可能である。
【0040】
図3は、利用者情報32のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、利用者情報32には、利用者毎に、当該利用者の名前(32a)、保持する携帯電話機40の電話番号(32b)、メールアドレス(32c)、所有する定期券(但し、有効期間内のものに限る。)を識別する定期券コード(32d)、が対応付けて格納される。
【0041】
図4は、運行時刻テーブル33のデータ蓄積の一例を示す図であり、7:22におけるデータ蓄積例が示されている。同図によれば、運行時刻テーブル33には、列車(33b)毎の運行時刻(33a)が蓄積されている。運行時刻(33a)には、実際の各駅での発着時刻が含まれる。尚、図中の記号「*」はデータ無しを表している。また、この運行時刻テーブル33は、無線通信サーバ11から受信する運行時刻情報に基づいて、適宜更新される。
【0042】
即ち、同図に示す例では、現時点(7:22の時点)で、列車W及び列車XはA駅〜B駅間を走行中であり、列車YはB駅に停車中であり、列車ZはB駅〜C駅間を走行中である。
【0043】
図5は、推定結果テーブル34のデータ蓄積の一例を示す図であり、同図では、一の利用者(詳細には、当該利用者が保持する携帯電話機40である。)についての推定結果が示されている。同図によれば、推定結果テーブル34には、推定を行った時刻(34a)毎に、通信可能基地局の基地局No.(34b)、基地局No.(34b)から判断した乗車列車の候補(34c)、乗車列車の候補(34c)の内から推定した乗車列車(34d)、が格納される。尚、この推定結果テーブル34は、乗車列車同定サーバ30による乗車列車の推定に応じて、適宜更新される。同図に示す例では、7:20から同定を開始して、1分毎に推定を繰り返し行い、4分経過後の7:24の時点で、列車Xを乗車列車として確定(同定)した場合を示している。
【0044】
携帯電話機40は、CPU、RAM、ROM、数字キーや操作キー等の入力装置、小型液晶ディスプレイ等の表示装置、無線通信を行う無線通信装置等がシステムバスを介して接続された、公知の無線電話機能を有する無線電話機によって構成される。尚、本実施の形態において、携帯電話機40は、1人の利用者によって保持されていることとする。
【0045】
[処理の流れ]
第1の実施の形態における処理の流れを説明する。
【0046】
図6は、乗車列車の同定に係る処理の流れを示す図である。
但し、当該処理の実行に際して、乗車列車同定サーバ30は、随時、無線通信サーバ11から送信される通信エリア情報を受信しているとともに、運行管理システム22から送信される列車運行情報を受信しており、受信した列車運行情報に含まれる運行時刻情報に基づいて、適宜、運行時刻テーブル33を更新しているものとする。
【0047】
同図によれば、利用者が改札を通過して駅構内へ入場すると、利用者の所有する定期券の定期券コードが改札システム21によって読み取られ、当該定期券コードを含む入場情報が、乗車列車同定サーバ30へ送信される。
【0048】
そして、乗車列車同定サーバ30は、入場情報を受信すると(ステップS11:YES)、受信した入場情報に含まれる定期券コードから、利用者情報32を参照して、駅構内へ入場した利用者を判断する。次いで、所定時間(具体的には、1分)毎に以下の処理を繰り返し実行して、当該利用者の乗車列車を同定する。
【0049】
即ち、乗車列車同定サーバ30は、利用者情報32を参照して利用者に対応する電話番号を判断し、無線通信システム10より受信している通信エリア情報から、当該電話番号に該当する通信エリア情報を選択する。そして、基地局設置位置情報31を参照して、選択した通信エリア情報に含まれる基地局No.に対応する区間を判断し、次いで、運行時刻テーブル33を参照して、判断した区間を現在走行中の列車を抽出し、乗車列車の候補とする(ステップS12)。
【0050】
続いて、乗車列車同定サーバ30は、推定結果テーブル34を参照して、乗車列車の候補の内、直前に推定した乗車列車と共通の列車を、現時点での乗車列車と推定する(ステップS13)。
【0051】
乗車列車を推定すると、乗車列車同定サーバ30は、推定した列車を乗車列車として確定するか否かを判断する。具体的には、推定した列車が1台であり、且つ、3回連続して当該列車のみを乗車列車として推定している場合に、乗車列車として確定する。尚、この判断基準としての連続推定回数は3回に限らず、これ以外の回数(2回又は4回以上)であっても良いし、また、推定した列車が1台となった時点で確定することとしても良い。
【0052】
判断の結果、乗車列車として確定できなければ(ステップS14:NO)、再度ステップS12に戻り、乗車列車として確定するまでの間、同様の処理を繰り返す。
【0053】
ステップS12〜S14の処理を、具体例を挙げて説明する。
図7は、利用者がA駅に入場し、列車Xに乗車した場合の状態遷移を示す概略図である。同図において、破線又は太線で示されている円は、各基地局12の通信エリアを表しており、当該通信エリアに付されているNo.は、該当する基地局12の基地局No.を表している。
【0054】
図7(a)は、1回目の推定を行った時刻7:20の状態を示す図である。このとき、無線通信システム10により、携帯電話機40と通信可能な基地局12として、基地局No.12が検出される。
【0055】
すると、乗車列車同定サーバ30は、基地局設置位置情報31を参照して、基地局No.12に対応する区間として“A駅〜B駅間”を判断し、次いで、運行時刻テーブル33を参照して、判断した区間“A駅〜B駅間”を現在走行中の列車として、列車X、列車Y及び列車Zの3台を、乗車列車の候補として抽出する。
【0056】
この時点では1回目の推定であるので、乗車列車同定サーバ30は、続いて、抽出した3台の列車を、そのまま、乗車列車として推定する。即ち、列車X、列車Y及び列車Zの何れかが、利用者が乗車中の列車であると推定する。従って、3台の列車を乗車列車として推定しているので、この時点では未だ確定できないと判断し、所定時間として1分経過後、再度同様の処理を実行する。
【0057】
図7(b)は、同図(a)から1分経過後の7:21の状態を示す図である。このとき、無線通信システム10により、携帯電話機40と通信可能な基地局12として、基地局No.14及び15が検出される。
【0058】
すると、乗車列車同定サーバ30は、基地局設置位置情報31を参照して、基地局No.14及び15に対応する区間として“A駅〜B駅間”を判断し、次いで、運行時刻テーブル33を参照して、判断した区間“A駅〜B駅間”を現在走行中の列車として、列車X及び列車Yの2台を、乗車列車の候補として抽出する。
【0059】
続いて、乗車列車同定サーバ30は、推定結果テーブル34を参照して、直前に推定した乗車列車(即ち、列車X、列車Y及び列車Z)と共通の列車である列車X及び列車Yを、乗車列車として推定する。従って、2台の列車を推定しているので、この時点では乗車列車を未だ確定できないと判断し、1分経過した後、再度同様の処理を実行する。
【0060】
図7(c)は、同図(b)から1分経過後の7:22の状態を示す図である。このとき、無線通信システム10により、携帯電話機40と通信可能な基地局12として基地局No.17が検出される。
【0061】
すると、乗車列車同定サーバ30は、基地局設置位置情報31を参照して、基地局No.17に対応する区間として“A駅〜B駅間”を判断し、次いで、運行時刻テーブル33を参照して、判断した区間“A駅〜B駅間”を現在走行中の列車として、列車W及び列車Xの2台を、乗車列車として抽出する。
【0062】
続いて、乗車列車同定サーバ30は、推定結果テーブル34を参照して、直前に推定した乗車列車(即ち、列車X及び列車Y)と共通の列車である列車Xを、乗車列車であると推定する。即ち、1台の列車を推定しているが、当該列車Xのみの推定回数が3回に達していないので、この時点では、乗車列車を未だ確定できないと判断し、更に1分経過した後、再度同様の処理を実行する。
【0063】
そして、1分経過後の7:23の時点、及び、更にその1分経過後の7:24の時点においても、列車Xのみを乗車列車として推定する。即ち、連続して3回、列車Xのみを乗車列車として推定しているので、ここで、列車Xを乗車列車として確定する。この時点(7:24)での推定結果テーブル34は、図5に示すように蓄積されている。
【0064】
このように、通信エリア情報及び運行時刻情報を照査して乗車列車の推定を繰り返し、1台の列車を乗車列車として確定すると(ステップS14:YES)、乗車列車同定サーバ30は、確定した列車に応じた各種サービスを実行する。尚、このサービスの詳細については後述する。
【0065】
その後、利用者が改札を通過して駅構内から出場すると、改札システム21によって再度定期券コードが読み取られ、当該定期券コードを含む出場情報が、乗車列車同定サーバ30へ送信される。そして、乗車列車同定サーバ30は、出場信号を受信すると、当該利用者の駅構内からの出場を判断して(ステップS16:YES)、本処理を終了する。
【0066】
[同定結果を利用した各種サービス]
ここで、確定された乗車列車に基づいて実行される(図6のステップS15)サービスの具体例を説明する。
【0067】
(1)列車運行メールサービス
利用者が乗車している列車の運行に乱れ(遅延や運転区間の変更等)があった場合に、その旨の内容のメールを、利用者の携帯電話機40のメールアドレス宛に発信する。このメールの内容には、運行乱れ通知の他、他線の運行状況が掲載されているホームページへの案内も含まれ、利用者は、ホームページを閲覧することでより詳細な内容を知ることができる。
【0068】
(2)位置情報サービス
同定した利用者の乗車列車を、当該利用者或いは利用者が予め指定する他者に通知する。具体的には、▲1▼乗車列車同定サーバ30が、利用者によって予め指定されている他者に対して、当該利用者の乗車列車や駅到着予定時刻等を、例えばメール等によって知らせる、▲2▼利用者が、乗車列車同定サーバから通知された情報を、自身が所望する他者へ、例えばメール等によって知らせる、といったことができる。
【0069】
(3)乗換案内サービス
乗車列車或いは現在いる駅を起点とした乗換案内を行う。この場合、運行管理システム22から送信される最新の運行状況に基づいて経路等を検索することとすれば、列車の運行に乱れが発生した場合であっても、より的確な乗換案内を行うことができる。また、利用者にとっては、慣れない土地等、現在位置がよく判らなくとも、目的地のみを入力することで、目的地までの経路等を容易に知ることが可能となる。
【0070】
(4)列車事故名簿サービス
万が一列車事故が発生した場合に、当該事故列車に乗車中の乗客の情報を集約して乗客名簿を作成し、公開することができる。
【0071】
[まとめ]
以上、第1の実施の形態によれば、利用者の駅構内への入場が検知されると、乗車列車同定サーバ30は、所定時間毎に、無線通信システム10から受信した通信エリア情報及び鉄道管理システム20から受信した運行管理情報に含まれる運行時刻情報を照査して乗車列車の推定を行うことで、1台の列車を利用者の乗車列車として確定(同定)する。即ち、基地局12の通信エリアを元にした携帯電話機40の位置の情報(通信エリア情報)及び列車運行情報に含まれる運行時刻情報といった既存の情報を利用して、利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易に実現することができる。
【0072】
尚、第1の実施の形態においては、乗車列車同定サーバ30は、無線通信サーバ11及び運行管理システム22から送信される各種情報をリアルタイムに受信することとしたが、リアルタイムに受信しなくとも良い。この場合、無線通信サーバ11により通信エリア情報に時刻情報が付加されて送信されることとし、また、受信した通信エリア情報を蓄積しておくことで、後ほど、当該時刻情報を基準にして乗車列車の同定を行うことが可能となる。従って、処理能力が比較的低いサーバ装置によって乗車列車同定サーバ30が実現される場合であっても、乗車列車の同定を行うことが可能となる。
【0073】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態を説明する。尚、以下の説明において、上述した第1の実施の形態と同一要素については同符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0074】
[システム構成]
第2の実施の形態における乗車列車同定システム2は、上述した第1の実施の形態における乗車列車同定システム1において、乗車列車同定サーバ30のみが異なって構成される。
【0075】
即ち、第2の実施の形態における乗車列車同定サーバ(以下、適宜「乗車列車同定サーバ50」と称する。)は、無線通信サーバ11から受信した通信エリア情報及び運行管理システム22から受信した列車運行情報に基づいて、利用者の乗車列車の同定を行う。具体的には、通信エリア情報と列車運行情報に含まれる在線情報との照査を所定時間(例えば、本第2の実施の形態では「1秒」とするが、後述のように乗車列車の同定が連続性(リアルタイム性)を有して実現される程度に短時間であれば構わない。)毎に実行して乗車列車を推定することで、最終的に1台の列車を乗車列車として同定する。ここで、在線情報とは、現在の列車の位置を、駅の番線或いは閉塞区間等の軌道回路を単位として表す情報である。
【0076】
また、乗車列車同定サーバ50が有する記憶装置には、基地局12の設置位置の情報である基地局設置位置情報51、乗車列車の推定結果を蓄積する推定結果テーブル54、が記憶される。
【0077】
図8は、基地局設置位置情報51のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、基地局設置位置情報51には、駅の番線(ホーム番号)や駅間の閉塞区間といった区間(51a)毎に、当該区間(51a)において携帯電話機40と通信可能な位置に設置された基地局12の基地局No.(51b)が対応付けて格納されている。ここで、区間(51a)は、在線情報によって列車の位置として表される区間に相当する。
【0078】
図9は、推定結果テーブル54のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、推定結果テーブル54には、受信した通信エリア情報を元に判断した乗車列車の候補(54a)及び乗車列車の候補(54a)から推定した乗車列車(54b)のそれぞれについての暫定解及び最新解が格納される。この推定結果テーブル54は、乗車列車同定サーバ50による乗車列車の推定毎に、適宜更新される。具体的には、推定に先立ち、先ず、乗車列車の候補及び推定した乗車列車の最新解が暫定解に再設定され、推定の結果得られた乗車列車の候補及び推定した乗車列車が、最新解として格納される。
【0079】
[処理の流れ]
第2の実施の形態における処理の流れを説明する。
第2の実施の形態における乗車列車の同定に係る処理は、上述した第1の実施の形態における処理の流れ(図6参照)とほぼ同様にして実行される。このため、第2の実施の形態における乗車列車の同定に係る処理の流れを、図6を参照して説明する。
【0080】
即ち、乗車列車同定サーバ50は、利用者の駅構内への入場を検出すると(ステップS11:YES)、無線通信サーバ11より受信した通信エリア情報及び運行管理システム22から受信した列車運行情報に基づいて、1秒毎に乗車列車の推定を行う。
【0081】
具体的には、乗車列車同定サーバ50は、基地局設置位置情報51を参照して、受信した通信エリア情報に含まれる基地局No.に対応する区間を判断する。そして、運行管理システム22から受信した列車運行情報に含まれる在線情報を参照して、判断した区間に現在位置する列車を乗車列車の候補の最新解として、推定結果テーブル54に格納する(ステップS12)。
【0082】
次いで、乗車列車同定サーバ50は、推定結果テーブル54を参照して、乗車列車の候補の最新解の内、推定した乗車列車の暫定解と共通の列車を、推定した乗車列車の最新解として、推定結果テーブル54に格納する(ステップS13)。その後、上述した第1の実施の形態と同様に、推定した乗車列車の最新解を乗車列車として確定するか否かを判定する。
【0083】
その結果、乗車列車として確定しないと判定した場合には(ステップS14:NO)、ステップS12に移行し、1秒経過後、ステップS12〜S13を同様に実行する。一方、乗車列車として確定すると判定した場合には(ステップS14:YES)、続いて、確定した列車に応じた各種サービスを実行する(ステップS15)。その後、利用者の駅構内からの出場を検出すると(ステップS16:YES)、本処理を終了する。
【0084】
[まとめ]
以上、第2の実施の形態によれば、利用者の駅構内への入場が検知されると、乗車列車同定サーバ50は、所定時間間隔(例えば、1秒毎)に無線通信サーバ11から受信した通信エリア情報及び運行管理システム20から受信した運行管理情報に含まれる在線情報を照査して乗車列車の推定を行うことで、1台の列車を利用者の乗車列車として確定(同定)する。即ち、基地局12の通信エリアを元にした携帯電話機40の位置の情報(通信エリア情報)及び列車運行情報に含まれる在線情報といった既存の情報を利用して、利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易に実現することができる。また、乗車列車の推定を短時間間隔で繰り返し行うことで、連続性(リアルタイム性)を有する乗車列車の同定を実現することができる。
【0085】
[変形例]
尚、本発明の適用は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、次の変形例が挙げられる。
【0086】
(1)乗車列車の推定のタイミング
上述した第1及び第2の実施の形態では、所定時間(1分或いは1秒)間隔で乗車列車の推定を繰り返し実行することとした(図6のステップS12〜S13)が、これを、受信した各情報に基づく所定のタイミングで実行することとしても良い。
【0087】
▲1▼推定した乗車列車の移動時
例えば、運行管理システム22から受信した列車運行情報に含まれる在線情報を常時監視し、推定した乗車列車の位置(駅の番線や閉塞区間)が変化した場合に、次回の推定を行うこととしても良い。例えば、推定結果テーブル54が図9に示す状態では、受信した列車運行情報に含まれる在線情報の内、推定した乗車列車の最新解である列車Xに該当する在線情報を監視し、これが変化した場合に、次回の推定を行う。
【0088】
▲2▼利用者の移動時
また、無線通信サーバ11から受信した通信エリア情報を常時監視し、通信可能基地局が変化した場合に、次回の推定を行うこととしても良い。
【0089】
このように、列車或いは利用者の移動のタイミングに応じて推定を行うことで、より効率良く短時間で乗車列車を確定(同定)することが可能となる。
【0090】
(2)乗車列車同定システム1の構成
また、上述した実施の形態においては、乗車列車同定システム1は、無線通信システム10、鉄道システム20及び乗車列車同定サーバ30を備えて構成されるとしたが、乗車列車同定システム1を、無線通信システム10及び列車推定サーバ30を備えて構成し、鉄道システム20を外部システムとしても良い。また、乗車列車同定システム1を、鉄道システム20及び列車推定サーバ30を備えて構成し、無線通信システム10を外部システムとしても良い。乗車列車同定サーバ30は、無線通信システム10及び鉄道システム20と別個独立に構成することが可能であるため、携帯電話事業者等の無線通信事業者又は鉄道事業者が運営するシステムの一部としても良いものである。
【0091】
(3)携帯電話機40の台数
また、上述した実施の形態においては、特定の携帯電話機40の位置を同定する場合について説明したが、複数台の携帯電話機40それぞれの位置を同定することとしても良い。この場合、各携帯電話機40毎に図5に示した推定結果テーブル34を用意し、携帯電話機40毎に図6に示した乗車列車の推定を行うことにより実現することができる。
【0092】
(4)利用者の駅構内への入場/駅構内からの出場検出
また、上述した実施の形態においては、改札システム21によって利用者の駅構内への入場が検出されることとしたが、無線通信システム10から受信する通信エリア情報に基づいて検出することとしても良い。具体的には、携帯電話機40と通信可能な基地局12が、駅構内を通信エリアとする基地局12へ変化した場合に、当該駅構内への入場を検出する。そして、携帯電話機40と通信可能な基地局12が、図12に示した基地局設置位置情報31に登録されていない基地局12となった場合に、駅構内からの出場を検出する。尚、駅構内や駅間を通信エリアとする基地局を基地局設置位置情報31に登録することとしたが、駅構内や駅間を通信エリアとしない基地局も、鉄道施設外の基地局として基地局設置位置情報31に登録することとし、携帯電話機40と通信可能な基地局がこの鉄道施設外の基地局となった場合に駅構内からの出場を検出することとしても良い。
【0093】
また、上述した実施の形態においては、改札システム21が改札を通過する利用者が所有する定期券の情報を読み取り、読み取った定期券コードを乗車列車同定サーバ30に送信することで、利用者の駅構内への入場/駅構内からの出場を検出することとしたが、以下のように実現しても良い。
【0094】
即ち、▲1▼携帯電話機40がICチップを内蔵して構成されることとし、改札システム21は、改札を通過する利用者が保持する携帯電話機40のICチップに記憶された電話番号を読み取り、乗車列車同定サーバ30に送信する。そして、乗車列車同定サーバ30は、受信した電話番号から利用者の駅構内への入場/駅構内からの出場を検出する。
【0095】
また、▲2▼利用者が所有する定期券の磁気記録部等に、当該利用者が保持する携帯電話機40の電話番号の情報を記憶しておき、改札システム21は、改札を通過する利用者が所有する定期券に記憶された電話番号を読み取り、乗車列車同定サーバ30に送信する。そして、乗車列車同定サーバ30は、受信した電話番号から利用者の駅構内への入場/駅構内からの出場を検出する。
【0096】
この▲1▼又は▲2▼の何れの場合も、乗車列車同定サーバ30は、改札システム21から送信される携帯電番号によって利用者の駅構内への入場/出場を検出するので、図3に示した利用者情報32における定期券コード(32d)の情報が不要となる。
【0097】
(5)携帯電話機40に代わる利用者端末
また、本実施の形態においては、利用者端末として携帯電話機40を適用した場合について説明したが、本発明が適用可能なものはこれに限らない。例えば、PHS網や無線データ通信網等に対して本発明を適用することも勿論可能である。その場合、携帯電話機40の代わりに、PHSや無線通信機能を有する携帯型のコンピュータ等の位置を同定することとなる。
【0098】
(6)鉄道システム20に代わるシステム
更に、本実施の形態においては、運行管理システム22を備えた鉄道システム40について説明したが、乗り物の運行経路が予め定められており、且つ、その乗り物の位置が管理されている(運行情報が取得可能な)交通機関システム(例えば、バスに関する交通システム等)についても同様に適用可能である。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、運行情報管理手段によって管理される列車運行情報と、存在域推定手段によって推定される存在推定域の情報とに基づいて、利用者端末の保持者の乗車列車を同定することができる。ここで、列車運行情報には、駅の番線(ホーム番号)や駅間の閉塞区間等の軌道回路を単位とした列車の位置の情報である在線情報、駅の発着時刻等の時刻情報である運行時刻情報、等が含まれる。
【0100】
従って、列車に乗車中の鉄道利用者が利用者端末を保持し、且つ、列車運行情報に含まれる在線情報をリアルタイムに取得することとすれば、広さを持つ存在推定域として利用者端末の位置を推定した情報と、列車運行情報に含まれる在線情報とを組み合わせることで、利用者端末の保持者、即ち、鉄道利用者の乗車列車を同定することが可能となる。
【0101】
また、無線通信システムを、携帯電話機やPHS等の公知の移動電話システムによって実現し、基地局からの情報を元にして利用者端末の位置を推定するとともに、運行管理システムを、公知の鉄道システムによって実現することとすれば、既存の情報を利用することができるので、乗車列車の同定をより簡易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における乗車列車同定システムの構成例を示す図。
【図2】第1の実施の形態における基地局設置位置情報のデータ構成例を示す図。
【図3】第1の実施の形態における利用者情報のデータ構成例を示す図。
【図4】第1の実施の形態における運行時刻情報のデータ蓄積例を示す図。
【図5】第1の実施の形態における推定結果テーブルのデータ蓄積例を示す図。
【図6】第1の実施の形態における乗車列車の同定に係る処理の流れを示す図。
【図7】第1の実施の形態における乗車列車の同定の具体例を示す概略図。
【図8】第2の実施の形態における基地局設置位置情報のデータ構成例を示す図。
【図9】第2の実施の形態における推定結果テーブルのデータ構成例を示す図。
【符号の説明】
1、2 乗車列車同定システム
10 無線通信システム
11 無線通信サーバ
12 基地局
20 鉄道システム
21 改札システム
22 運行管理システム
30、50 乗車列車同定サーバ
31、51 基地局設置位置情報
32 利用者情報
33 運行時刻テーブル
34、54 推定結果テーブル
40 携帯電話機
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗車列車同定サーバ及び乗車列車同定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、人物の位置の推定方法として、当該人物が保持する携帯電話機やPHS等の基地局からの情報を元にして同定する方法や、GPS衛星との通信を利用した方法がある。そして、このような位置の推定方法を利用した技術として、鉄道分野では、次の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、利用者が保持する携帯電話機の位置を検知して最寄り駅を判断するとともに、この最寄り駅から利用者によって入力された目的駅までの経路や発車時刻を検索して、携帯電話機に送信して表示させる列車の案内方法等が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、携帯電話機の位置を移動通信網に対して予め位置登録しておき、利用者によって携帯電話機から目的駅が入力されると、目的駅方向の路線の時刻表を検索し、携帯電話機に対して提供する移動通信システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、携帯電話端末を列車に搭載するとともに、列車が走行する軌道に沿って携帯電話サービス網の無線基地局を配置して、無線ゾーンレベルでの列車位置情報を発生する列車位置情報発生装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−293241号公報
【特許文献2】
特開2001−022216号公報
【特許文献3】
特開2000−071985号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の基地局からの情報による推定方法では、基地局の通信エリアを単位として位置を推測しているため、精度が数百m〜数km程度しか得られない。従って、ピンポイントでの位置の推定、即ち同定は困難であった。一方、GPSによる同定方法では、基地局による位置の同定方法と比較して精度良く同定することができるが、GPS衛星との通信が不可能な地下やトンネル等では検出ができないという問題がある。このため、鉄道分野における鉄道利用者の位置の同定方法として、適当であるとは言えなかった。
【0008】
例えば、特許文献1に記載の技術は、利用者の位置を携帯電話機の基地局を利用して検出しているため、駅間の距離が短い地域や、複数路線の駅が接近して設けられている地域では、最寄り駅を確実に判断できるとは言い難かった。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術は、携帯電話機の基地局を利用して該当する路線を推測している。即ち、利用者が乗車している列車の同定まで行うものではないため、例えば都心部などの複数の路線が平行している地域では、利用者が所望する時刻表を確実に提供できない可能性もあった。
【0010】
ところで、鉄道分野での利用者の位置の同定は、各利用者毎に、より適切なサービスを提供するために望まれているものである。そして、鉄道分野におけるサービスとしては、乗車列車に関わる情報提供(リアルタイムな乗換案内や遅延情報の報知等)がある。このため、利用者の位置そのものよりも、乗車中の列車(乗車しようとする列車)を高確度に同定することが望まれる。
【0011】
上記問題に鑑み、本発明は、鉄道利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易な方法で実現することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
▲1▼所定の公衆無線通信網を利用した無線通信を行う携帯型の利用者端末(例えば、図1の携帯電話機40)が存在する位置を、当該公衆無線通信網における無線通信状況から存在推定域(例えば、図1の基地局12の通信エリア)として推定する存在域推定手段を備えた無線通信システム(例えば、図1の無線通信システム10)、及び、▲2▼列車運行情報を管理する運行情報管理手段を備えた運行管理システム(例えば、図1の運行管理システム22)、と所定の通信回線を介して接続された乗車列車同定サーバ(例えば、図1の乗車列車同定サーバ30)であって、
前記運行管理システムから列車運行情報を受信する運行情報受信手段と、
前記無線通信システムから前記利用者端末の存在推定域の情報を受信する存在推定域受信手段と、
前記運行情報受信手段により受信される列車運行情報と、前記存在推定域受信手段により受信される存在推定域の情報とに基づいて、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を備えることを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、
所定の公衆無線通信網を利用した無線通信を行う携帯型の利用者端末が存在する位置を、当該公衆無線通信網における無線通信状況から存在推定域として推定する存在域推定手段を備えた無線通信システムと所定の通信回線を介して接続された乗車列車同定システムであって、
列車運行情報を管理する運行情報管理手段と、
前記無線通信システムから前記利用者端末の存在推定域の情報を受信する存在推定域受信手段と、
前記運行情報管理手段により管理されている列車運行情報と、前記存在推定域受信手段により受信される存在推定域の情報とに基づいて、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を備えることを特徴としている。
【0014】
この請求項1又は4に記載の発明によれば、運行情報管理手段によって管理される列車運行情報と、存在域推定手段によって推定される存在推定域の情報とに基づいて、利用者端末の保持者の乗車列車を同定することができる。ここで、列車運行情報には、列車の番号や駅の番線(ホーム番号)、駅間の閉塞区間等の軌道回路を単位とした列車の位置の情報である在線情報、駅の発着時刻等の時刻情報である運行時刻情報、等が含まれる。
【0015】
従って、列車に乗車中の鉄道利用者が利用者端末を保持し、且つ、列車運行情報に含まれる在線情報をリアルタイムに取得することとすれば、広さを持つ存在推定域として利用者端末の位置を推定した情報と、列車運行情報に含まれる在線情報とを組み合わせることで、利用者端末の保持者、即ち、鉄道利用者の乗車列車を同定することが可能となる。
【0016】
また、在線情報をリアルタイムに取得できない場合であっても、更に、運行時刻情報を組み合わせることで、蓄積したデータを用いて乗車列車の同定を行うことも可能となる。
【0017】
また、無線通信システムを、携帯電話機やPHS等の公知の移動電話システムによって実現し、基地局からの情報を元にして利用者端末の位置を推定するとともに、運行管理システムを、公知の鉄道システムによって実現することとすれば、既存の情報を利用することができるので、乗車列車の同定をより簡易に実現することができる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の乗車列車同定サーバにおいて、
前記乗車列車同定手段は、前記受信される列車運行情報と存在推定域の情報とを連続的に照査することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することとしても良い。
【0019】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項4に記載の乗車列車同定システムにおいて、
前記乗車列車同定手段は、前記運行情報管理手段により管理されている列車運行情報と、前記存在推定域受信手段により受信される存在推定域の情報とを連続的に照査することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することとしても良い。
【0020】
この請求項2又は5に記載の発明によれば、請求項1又は4に記載の発明と同様の効果を奏するとともに、受信される列車運行情報と存在推定域の情報とを連続的に照査することにより、利用者端末の保持者の乗車列車を同定することができる。即ち、連続的に照査することで、同定の精度をより高めることができる。
【0021】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1に記載の乗車列車同定サーバにおいて、
前記乗車列車同定手段は、前記受信される列車運行情報と存在推定域の情報との所定のタイミングでの照査を繰り返し実行することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することとしても良い。
【0022】
また、請求項6に記載の発明のように、請求項4に記載の乗車列車同定システムにおいて、
前記乗車列車同定手段は、前記受信される列車運行情報と存在推定域の情報との所定のタイミングでの照査を繰り返し実行することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することとしても良い。
【0023】
この請求項3又は6に記載の発明によれば、請求項1又は4に記載の発明と同様の効果を奏するとともに、受信される列車運行情報と存在推定域の情報との所定のタイミングでの照査を繰り返し実行することにより、利用者端末の保持者の乗車列車を同定することができる。ここで、所定のタイミングとして、例えば、受信される利用者端末の存在推定域が変化した場合や、利用者者端末の保持者の乗車列車と思われる推定列車の位置が変化した場合とすることで、乗車列車の同定を効率良く実現することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。尚、以下においては、鉄道利用者が現在乗車中の列車を同定する乗車列車同定システムに本発明を適用した場合について説明するが、本発明の適用がこれに限定されるものではない。
【0025】
〔第1の実施の形態〕
先ず、第1の実施の形態を説明する。
【0026】
[システム構成]
図1は、第1の実施の形態における乗車列車同定システム1の概略構成を示す図である。同図によれば、乗車列車同定システム1は、無線通信システム10、鉄道システム20、乗車列車同定サーバ30、鉄道利用者(以下、単に「利用者」と称する。)が保持する携帯電話機40、を備えて構成される。
【0027】
無線通信システム10は、例えば携帯電話事業者によって運営される公知の携帯電話システムにより実現され、これには、無線通信サーバ11、無線通信サーバ11に接続された複数の無線基地局(以下、単に「基地局」と称する。)12、が含まれる。
【0028】
基地局12は、無線通信網を形成するために各地に設置されるものであり、駅構内や駅間を走行する列車の軌道周辺にも設置されている。また、基地局12には、当該基地局12を識別するための基地局No.が割り当てられている。携帯電話機40は、基地局12の通信エリアによって形成される無線通信網を利用して、無線通信を行う。
【0029】
無線通信サーバ11は、CPU、ハードディスク等の記憶装置、CD或いはMOといった外部記憶媒体に記憶された情報を読込自在な記憶媒体読込装置、当該無線通信サーバ11外部とデータ通信を行う通信装置等がシステムバスを介して接続される、公知の汎用サーバ装置によって構成される。
【0030】
また、無線通信サーバ11は、電話回線網やインターネット等の無線/有線の通信回線を介して乗車列車同定サーバ30と通信可能に接続されている。そして、基地局12の通信エリアによって形成される無線通信網を利用した携帯電話機40の無線通信を制御するとともに、携帯電話機40と通信可能な基地局12(以下、適宜「通信可能基地局」と称する。)に割り当てられている基地局No.と、当該携帯電話機40の識別番号(本実施の形態では、電話番号であるとする。)とを含む通信エリア情報を、随時、乗車列車同定サーバ30へ送信する。
【0031】
鉄道システム20は、例えば鉄道事業者によって運営される公知の鉄道システムにより実現され、これには、改札システム21、運行管理システム22、が含まれる。また、鉄道システム20は、電話通信網やインターネット等の有線/無線の通信回線を介して、乗車列車同定サーバ30と通信可能に接続されている。
【0032】
改札システム21は、各駅の改札に設置されて改札業務を実現する改札装置等を有するSuica(登録商標)等の改札システムであり、利用者の駅構内への入場や駅構内からの出場を管理するシステムである。そして、改札を通過する(即ち、駅構内へ入場/駅構内から出場する)利用者が所有する定期券の磁気記録部等に記憶された定期券コードを読み取ると、読み取った定期券コードや駅コードを含む入場/出場情報を、乗車列車同定サーバ30へ送信する。
【0033】
運行管理システム22は、運行ダイヤの管理や進路制御、運行表示、運転整理等をコンピュータ等によって集中制御するシステムである。そして、列車の運行に関する情報である列車運行情報を、随時、乗車列車同定サーバ30へ送信する。この列車運行情報には、列車番号や駅の番線(ホーム番号)、在線情報(駅間の閉塞区間等の軌道回路を単位とした列車の位置の情報)、駅の発着時刻の情報(運行時刻情報)、閉塞区間の在線(通過)時間等が含まれる。
【0034】
乗車列車同定サーバ30は、CPU、ハードディスク等の記憶装置、CD或いはMOといった外部記憶媒体に記憶された情報を読込自在な記憶媒体読込装置、当該乗車列車同定サーバ30外部とデータ通信を行う通信装置等がシステムバスを介して接続される、公知の汎用サーバ装置により構成される。
【0035】
また、乗車列車同定サーバ30は、電話通信網やインターネット等の有線/無線の通信回線を介して、無線通信サーバ11及び鉄道システム20と通信可能に接続されている。また、無線通信サーバ11から送信される通信エリア情報、改札システム21から送信される入場/出場信号、運行管理システム22から送信される運行管理情報、をリアルタイムに受信している。
【0036】
そして、乗車列車推定サーバ30は、改札システム21から送信される入場情報を受信すると、無線通信サーバ11から送信される通信エリア情報及び運行管理システム22から送信される列車運行情報に基づいて、利用者の乗車列車の同定を行う。具体的には、所定時間(例えは、第1実施の形態では「1分」とするが、これに限定されないのは勿論である。)毎に、通信エリア情報及び列車運行情報に含まれる運行時刻情報の照査を実行して乗車列車を推定することで、最終的に1台の列車を乗車列車として同定する。
【0037】
また、乗車列車同定サーバ30が有する記憶装置には、基地局12の設置位置の情報である基地局設置位置情報31、利用者の情報である利用者情報32、運行管理システム22から受信した列車運行情報に含まれる運行時刻情報を蓄積する運行時刻テーブル33、乗車列車の推定結果を蓄積する推定結果テーブル34、が記憶される。
【0038】
図2は、基地局設置位置情報31のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、基地局設置位置情報31には、駅構内或いは駅間を表す区間(31a)毎に、当該区間において携帯電話機40と通信可能な位置に設置された基地局12の基地局No.(31b)、が対応付けて格納される。この基地局設置位置情報31は、基地局12の設置位置に基づいて予め設定される固定的な情報である。
【0039】
即ち、同図に示す例では、携帯電話機40は、当該携帯電話機40の保持者がA駅構内にいる場合には、基地局No.11及び12の基地局と通信可能であり、A駅〜B駅間を走行中の列車に乗車中の場合には、基地局No.12〜17の何れかの基地局と通信可能であり、B駅構内にいる場合には、基地局No.17及び18の基地局と通信可能である。
【0040】
図3は、利用者情報32のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、利用者情報32には、利用者毎に、当該利用者の名前(32a)、保持する携帯電話機40の電話番号(32b)、メールアドレス(32c)、所有する定期券(但し、有効期間内のものに限る。)を識別する定期券コード(32d)、が対応付けて格納される。
【0041】
図4は、運行時刻テーブル33のデータ蓄積の一例を示す図であり、7:22におけるデータ蓄積例が示されている。同図によれば、運行時刻テーブル33には、列車(33b)毎の運行時刻(33a)が蓄積されている。運行時刻(33a)には、実際の各駅での発着時刻が含まれる。尚、図中の記号「*」はデータ無しを表している。また、この運行時刻テーブル33は、無線通信サーバ11から受信する運行時刻情報に基づいて、適宜更新される。
【0042】
即ち、同図に示す例では、現時点(7:22の時点)で、列車W及び列車XはA駅〜B駅間を走行中であり、列車YはB駅に停車中であり、列車ZはB駅〜C駅間を走行中である。
【0043】
図5は、推定結果テーブル34のデータ蓄積の一例を示す図であり、同図では、一の利用者(詳細には、当該利用者が保持する携帯電話機40である。)についての推定結果が示されている。同図によれば、推定結果テーブル34には、推定を行った時刻(34a)毎に、通信可能基地局の基地局No.(34b)、基地局No.(34b)から判断した乗車列車の候補(34c)、乗車列車の候補(34c)の内から推定した乗車列車(34d)、が格納される。尚、この推定結果テーブル34は、乗車列車同定サーバ30による乗車列車の推定に応じて、適宜更新される。同図に示す例では、7:20から同定を開始して、1分毎に推定を繰り返し行い、4分経過後の7:24の時点で、列車Xを乗車列車として確定(同定)した場合を示している。
【0044】
携帯電話機40は、CPU、RAM、ROM、数字キーや操作キー等の入力装置、小型液晶ディスプレイ等の表示装置、無線通信を行う無線通信装置等がシステムバスを介して接続された、公知の無線電話機能を有する無線電話機によって構成される。尚、本実施の形態において、携帯電話機40は、1人の利用者によって保持されていることとする。
【0045】
[処理の流れ]
第1の実施の形態における処理の流れを説明する。
【0046】
図6は、乗車列車の同定に係る処理の流れを示す図である。
但し、当該処理の実行に際して、乗車列車同定サーバ30は、随時、無線通信サーバ11から送信される通信エリア情報を受信しているとともに、運行管理システム22から送信される列車運行情報を受信しており、受信した列車運行情報に含まれる運行時刻情報に基づいて、適宜、運行時刻テーブル33を更新しているものとする。
【0047】
同図によれば、利用者が改札を通過して駅構内へ入場すると、利用者の所有する定期券の定期券コードが改札システム21によって読み取られ、当該定期券コードを含む入場情報が、乗車列車同定サーバ30へ送信される。
【0048】
そして、乗車列車同定サーバ30は、入場情報を受信すると(ステップS11:YES)、受信した入場情報に含まれる定期券コードから、利用者情報32を参照して、駅構内へ入場した利用者を判断する。次いで、所定時間(具体的には、1分)毎に以下の処理を繰り返し実行して、当該利用者の乗車列車を同定する。
【0049】
即ち、乗車列車同定サーバ30は、利用者情報32を参照して利用者に対応する電話番号を判断し、無線通信システム10より受信している通信エリア情報から、当該電話番号に該当する通信エリア情報を選択する。そして、基地局設置位置情報31を参照して、選択した通信エリア情報に含まれる基地局No.に対応する区間を判断し、次いで、運行時刻テーブル33を参照して、判断した区間を現在走行中の列車を抽出し、乗車列車の候補とする(ステップS12)。
【0050】
続いて、乗車列車同定サーバ30は、推定結果テーブル34を参照して、乗車列車の候補の内、直前に推定した乗車列車と共通の列車を、現時点での乗車列車と推定する(ステップS13)。
【0051】
乗車列車を推定すると、乗車列車同定サーバ30は、推定した列車を乗車列車として確定するか否かを判断する。具体的には、推定した列車が1台であり、且つ、3回連続して当該列車のみを乗車列車として推定している場合に、乗車列車として確定する。尚、この判断基準としての連続推定回数は3回に限らず、これ以外の回数(2回又は4回以上)であっても良いし、また、推定した列車が1台となった時点で確定することとしても良い。
【0052】
判断の結果、乗車列車として確定できなければ(ステップS14:NO)、再度ステップS12に戻り、乗車列車として確定するまでの間、同様の処理を繰り返す。
【0053】
ステップS12〜S14の処理を、具体例を挙げて説明する。
図7は、利用者がA駅に入場し、列車Xに乗車した場合の状態遷移を示す概略図である。同図において、破線又は太線で示されている円は、各基地局12の通信エリアを表しており、当該通信エリアに付されているNo.は、該当する基地局12の基地局No.を表している。
【0054】
図7(a)は、1回目の推定を行った時刻7:20の状態を示す図である。このとき、無線通信システム10により、携帯電話機40と通信可能な基地局12として、基地局No.12が検出される。
【0055】
すると、乗車列車同定サーバ30は、基地局設置位置情報31を参照して、基地局No.12に対応する区間として“A駅〜B駅間”を判断し、次いで、運行時刻テーブル33を参照して、判断した区間“A駅〜B駅間”を現在走行中の列車として、列車X、列車Y及び列車Zの3台を、乗車列車の候補として抽出する。
【0056】
この時点では1回目の推定であるので、乗車列車同定サーバ30は、続いて、抽出した3台の列車を、そのまま、乗車列車として推定する。即ち、列車X、列車Y及び列車Zの何れかが、利用者が乗車中の列車であると推定する。従って、3台の列車を乗車列車として推定しているので、この時点では未だ確定できないと判断し、所定時間として1分経過後、再度同様の処理を実行する。
【0057】
図7(b)は、同図(a)から1分経過後の7:21の状態を示す図である。このとき、無線通信システム10により、携帯電話機40と通信可能な基地局12として、基地局No.14及び15が検出される。
【0058】
すると、乗車列車同定サーバ30は、基地局設置位置情報31を参照して、基地局No.14及び15に対応する区間として“A駅〜B駅間”を判断し、次いで、運行時刻テーブル33を参照して、判断した区間“A駅〜B駅間”を現在走行中の列車として、列車X及び列車Yの2台を、乗車列車の候補として抽出する。
【0059】
続いて、乗車列車同定サーバ30は、推定結果テーブル34を参照して、直前に推定した乗車列車(即ち、列車X、列車Y及び列車Z)と共通の列車である列車X及び列車Yを、乗車列車として推定する。従って、2台の列車を推定しているので、この時点では乗車列車を未だ確定できないと判断し、1分経過した後、再度同様の処理を実行する。
【0060】
図7(c)は、同図(b)から1分経過後の7:22の状態を示す図である。このとき、無線通信システム10により、携帯電話機40と通信可能な基地局12として基地局No.17が検出される。
【0061】
すると、乗車列車同定サーバ30は、基地局設置位置情報31を参照して、基地局No.17に対応する区間として“A駅〜B駅間”を判断し、次いで、運行時刻テーブル33を参照して、判断した区間“A駅〜B駅間”を現在走行中の列車として、列車W及び列車Xの2台を、乗車列車として抽出する。
【0062】
続いて、乗車列車同定サーバ30は、推定結果テーブル34を参照して、直前に推定した乗車列車(即ち、列車X及び列車Y)と共通の列車である列車Xを、乗車列車であると推定する。即ち、1台の列車を推定しているが、当該列車Xのみの推定回数が3回に達していないので、この時点では、乗車列車を未だ確定できないと判断し、更に1分経過した後、再度同様の処理を実行する。
【0063】
そして、1分経過後の7:23の時点、及び、更にその1分経過後の7:24の時点においても、列車Xのみを乗車列車として推定する。即ち、連続して3回、列車Xのみを乗車列車として推定しているので、ここで、列車Xを乗車列車として確定する。この時点(7:24)での推定結果テーブル34は、図5に示すように蓄積されている。
【0064】
このように、通信エリア情報及び運行時刻情報を照査して乗車列車の推定を繰り返し、1台の列車を乗車列車として確定すると(ステップS14:YES)、乗車列車同定サーバ30は、確定した列車に応じた各種サービスを実行する。尚、このサービスの詳細については後述する。
【0065】
その後、利用者が改札を通過して駅構内から出場すると、改札システム21によって再度定期券コードが読み取られ、当該定期券コードを含む出場情報が、乗車列車同定サーバ30へ送信される。そして、乗車列車同定サーバ30は、出場信号を受信すると、当該利用者の駅構内からの出場を判断して(ステップS16:YES)、本処理を終了する。
【0066】
[同定結果を利用した各種サービス]
ここで、確定された乗車列車に基づいて実行される(図6のステップS15)サービスの具体例を説明する。
【0067】
(1)列車運行メールサービス
利用者が乗車している列車の運行に乱れ(遅延や運転区間の変更等)があった場合に、その旨の内容のメールを、利用者の携帯電話機40のメールアドレス宛に発信する。このメールの内容には、運行乱れ通知の他、他線の運行状況が掲載されているホームページへの案内も含まれ、利用者は、ホームページを閲覧することでより詳細な内容を知ることができる。
【0068】
(2)位置情報サービス
同定した利用者の乗車列車を、当該利用者或いは利用者が予め指定する他者に通知する。具体的には、▲1▼乗車列車同定サーバ30が、利用者によって予め指定されている他者に対して、当該利用者の乗車列車や駅到着予定時刻等を、例えばメール等によって知らせる、▲2▼利用者が、乗車列車同定サーバから通知された情報を、自身が所望する他者へ、例えばメール等によって知らせる、といったことができる。
【0069】
(3)乗換案内サービス
乗車列車或いは現在いる駅を起点とした乗換案内を行う。この場合、運行管理システム22から送信される最新の運行状況に基づいて経路等を検索することとすれば、列車の運行に乱れが発生した場合であっても、より的確な乗換案内を行うことができる。また、利用者にとっては、慣れない土地等、現在位置がよく判らなくとも、目的地のみを入力することで、目的地までの経路等を容易に知ることが可能となる。
【0070】
(4)列車事故名簿サービス
万が一列車事故が発生した場合に、当該事故列車に乗車中の乗客の情報を集約して乗客名簿を作成し、公開することができる。
【0071】
[まとめ]
以上、第1の実施の形態によれば、利用者の駅構内への入場が検知されると、乗車列車同定サーバ30は、所定時間毎に、無線通信システム10から受信した通信エリア情報及び鉄道管理システム20から受信した運行管理情報に含まれる運行時刻情報を照査して乗車列車の推定を行うことで、1台の列車を利用者の乗車列車として確定(同定)する。即ち、基地局12の通信エリアを元にした携帯電話機40の位置の情報(通信エリア情報)及び列車運行情報に含まれる運行時刻情報といった既存の情報を利用して、利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易に実現することができる。
【0072】
尚、第1の実施の形態においては、乗車列車同定サーバ30は、無線通信サーバ11及び運行管理システム22から送信される各種情報をリアルタイムに受信することとしたが、リアルタイムに受信しなくとも良い。この場合、無線通信サーバ11により通信エリア情報に時刻情報が付加されて送信されることとし、また、受信した通信エリア情報を蓄積しておくことで、後ほど、当該時刻情報を基準にして乗車列車の同定を行うことが可能となる。従って、処理能力が比較的低いサーバ装置によって乗車列車同定サーバ30が実現される場合であっても、乗車列車の同定を行うことが可能となる。
【0073】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態を説明する。尚、以下の説明において、上述した第1の実施の形態と同一要素については同符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0074】
[システム構成]
第2の実施の形態における乗車列車同定システム2は、上述した第1の実施の形態における乗車列車同定システム1において、乗車列車同定サーバ30のみが異なって構成される。
【0075】
即ち、第2の実施の形態における乗車列車同定サーバ(以下、適宜「乗車列車同定サーバ50」と称する。)は、無線通信サーバ11から受信した通信エリア情報及び運行管理システム22から受信した列車運行情報に基づいて、利用者の乗車列車の同定を行う。具体的には、通信エリア情報と列車運行情報に含まれる在線情報との照査を所定時間(例えば、本第2の実施の形態では「1秒」とするが、後述のように乗車列車の同定が連続性(リアルタイム性)を有して実現される程度に短時間であれば構わない。)毎に実行して乗車列車を推定することで、最終的に1台の列車を乗車列車として同定する。ここで、在線情報とは、現在の列車の位置を、駅の番線或いは閉塞区間等の軌道回路を単位として表す情報である。
【0076】
また、乗車列車同定サーバ50が有する記憶装置には、基地局12の設置位置の情報である基地局設置位置情報51、乗車列車の推定結果を蓄積する推定結果テーブル54、が記憶される。
【0077】
図8は、基地局設置位置情報51のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、基地局設置位置情報51には、駅の番線(ホーム番号)や駅間の閉塞区間といった区間(51a)毎に、当該区間(51a)において携帯電話機40と通信可能な位置に設置された基地局12の基地局No.(51b)が対応付けて格納されている。ここで、区間(51a)は、在線情報によって列車の位置として表される区間に相当する。
【0078】
図9は、推定結果テーブル54のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、推定結果テーブル54には、受信した通信エリア情報を元に判断した乗車列車の候補(54a)及び乗車列車の候補(54a)から推定した乗車列車(54b)のそれぞれについての暫定解及び最新解が格納される。この推定結果テーブル54は、乗車列車同定サーバ50による乗車列車の推定毎に、適宜更新される。具体的には、推定に先立ち、先ず、乗車列車の候補及び推定した乗車列車の最新解が暫定解に再設定され、推定の結果得られた乗車列車の候補及び推定した乗車列車が、最新解として格納される。
【0079】
[処理の流れ]
第2の実施の形態における処理の流れを説明する。
第2の実施の形態における乗車列車の同定に係る処理は、上述した第1の実施の形態における処理の流れ(図6参照)とほぼ同様にして実行される。このため、第2の実施の形態における乗車列車の同定に係る処理の流れを、図6を参照して説明する。
【0080】
即ち、乗車列車同定サーバ50は、利用者の駅構内への入場を検出すると(ステップS11:YES)、無線通信サーバ11より受信した通信エリア情報及び運行管理システム22から受信した列車運行情報に基づいて、1秒毎に乗車列車の推定を行う。
【0081】
具体的には、乗車列車同定サーバ50は、基地局設置位置情報51を参照して、受信した通信エリア情報に含まれる基地局No.に対応する区間を判断する。そして、運行管理システム22から受信した列車運行情報に含まれる在線情報を参照して、判断した区間に現在位置する列車を乗車列車の候補の最新解として、推定結果テーブル54に格納する(ステップS12)。
【0082】
次いで、乗車列車同定サーバ50は、推定結果テーブル54を参照して、乗車列車の候補の最新解の内、推定した乗車列車の暫定解と共通の列車を、推定した乗車列車の最新解として、推定結果テーブル54に格納する(ステップS13)。その後、上述した第1の実施の形態と同様に、推定した乗車列車の最新解を乗車列車として確定するか否かを判定する。
【0083】
その結果、乗車列車として確定しないと判定した場合には(ステップS14:NO)、ステップS12に移行し、1秒経過後、ステップS12〜S13を同様に実行する。一方、乗車列車として確定すると判定した場合には(ステップS14:YES)、続いて、確定した列車に応じた各種サービスを実行する(ステップS15)。その後、利用者の駅構内からの出場を検出すると(ステップS16:YES)、本処理を終了する。
【0084】
[まとめ]
以上、第2の実施の形態によれば、利用者の駅構内への入場が検知されると、乗車列車同定サーバ50は、所定時間間隔(例えば、1秒毎)に無線通信サーバ11から受信した通信エリア情報及び運行管理システム20から受信した運行管理情報に含まれる在線情報を照査して乗車列車の推定を行うことで、1台の列車を利用者の乗車列車として確定(同定)する。即ち、基地局12の通信エリアを元にした携帯電話機40の位置の情報(通信エリア情報)及び列車運行情報に含まれる在線情報といった既存の情報を利用して、利用者の乗車列車の同定を、精度良く且つ簡易に実現することができる。また、乗車列車の推定を短時間間隔で繰り返し行うことで、連続性(リアルタイム性)を有する乗車列車の同定を実現することができる。
【0085】
[変形例]
尚、本発明の適用は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、次の変形例が挙げられる。
【0086】
(1)乗車列車の推定のタイミング
上述した第1及び第2の実施の形態では、所定時間(1分或いは1秒)間隔で乗車列車の推定を繰り返し実行することとした(図6のステップS12〜S13)が、これを、受信した各情報に基づく所定のタイミングで実行することとしても良い。
【0087】
▲1▼推定した乗車列車の移動時
例えば、運行管理システム22から受信した列車運行情報に含まれる在線情報を常時監視し、推定した乗車列車の位置(駅の番線や閉塞区間)が変化した場合に、次回の推定を行うこととしても良い。例えば、推定結果テーブル54が図9に示す状態では、受信した列車運行情報に含まれる在線情報の内、推定した乗車列車の最新解である列車Xに該当する在線情報を監視し、これが変化した場合に、次回の推定を行う。
【0088】
▲2▼利用者の移動時
また、無線通信サーバ11から受信した通信エリア情報を常時監視し、通信可能基地局が変化した場合に、次回の推定を行うこととしても良い。
【0089】
このように、列車或いは利用者の移動のタイミングに応じて推定を行うことで、より効率良く短時間で乗車列車を確定(同定)することが可能となる。
【0090】
(2)乗車列車同定システム1の構成
また、上述した実施の形態においては、乗車列車同定システム1は、無線通信システム10、鉄道システム20及び乗車列車同定サーバ30を備えて構成されるとしたが、乗車列車同定システム1を、無線通信システム10及び列車推定サーバ30を備えて構成し、鉄道システム20を外部システムとしても良い。また、乗車列車同定システム1を、鉄道システム20及び列車推定サーバ30を備えて構成し、無線通信システム10を外部システムとしても良い。乗車列車同定サーバ30は、無線通信システム10及び鉄道システム20と別個独立に構成することが可能であるため、携帯電話事業者等の無線通信事業者又は鉄道事業者が運営するシステムの一部としても良いものである。
【0091】
(3)携帯電話機40の台数
また、上述した実施の形態においては、特定の携帯電話機40の位置を同定する場合について説明したが、複数台の携帯電話機40それぞれの位置を同定することとしても良い。この場合、各携帯電話機40毎に図5に示した推定結果テーブル34を用意し、携帯電話機40毎に図6に示した乗車列車の推定を行うことにより実現することができる。
【0092】
(4)利用者の駅構内への入場/駅構内からの出場検出
また、上述した実施の形態においては、改札システム21によって利用者の駅構内への入場が検出されることとしたが、無線通信システム10から受信する通信エリア情報に基づいて検出することとしても良い。具体的には、携帯電話機40と通信可能な基地局12が、駅構内を通信エリアとする基地局12へ変化した場合に、当該駅構内への入場を検出する。そして、携帯電話機40と通信可能な基地局12が、図12に示した基地局設置位置情報31に登録されていない基地局12となった場合に、駅構内からの出場を検出する。尚、駅構内や駅間を通信エリアとする基地局を基地局設置位置情報31に登録することとしたが、駅構内や駅間を通信エリアとしない基地局も、鉄道施設外の基地局として基地局設置位置情報31に登録することとし、携帯電話機40と通信可能な基地局がこの鉄道施設外の基地局となった場合に駅構内からの出場を検出することとしても良い。
【0093】
また、上述した実施の形態においては、改札システム21が改札を通過する利用者が所有する定期券の情報を読み取り、読み取った定期券コードを乗車列車同定サーバ30に送信することで、利用者の駅構内への入場/駅構内からの出場を検出することとしたが、以下のように実現しても良い。
【0094】
即ち、▲1▼携帯電話機40がICチップを内蔵して構成されることとし、改札システム21は、改札を通過する利用者が保持する携帯電話機40のICチップに記憶された電話番号を読み取り、乗車列車同定サーバ30に送信する。そして、乗車列車同定サーバ30は、受信した電話番号から利用者の駅構内への入場/駅構内からの出場を検出する。
【0095】
また、▲2▼利用者が所有する定期券の磁気記録部等に、当該利用者が保持する携帯電話機40の電話番号の情報を記憶しておき、改札システム21は、改札を通過する利用者が所有する定期券に記憶された電話番号を読み取り、乗車列車同定サーバ30に送信する。そして、乗車列車同定サーバ30は、受信した電話番号から利用者の駅構内への入場/駅構内からの出場を検出する。
【0096】
この▲1▼又は▲2▼の何れの場合も、乗車列車同定サーバ30は、改札システム21から送信される携帯電番号によって利用者の駅構内への入場/出場を検出するので、図3に示した利用者情報32における定期券コード(32d)の情報が不要となる。
【0097】
(5)携帯電話機40に代わる利用者端末
また、本実施の形態においては、利用者端末として携帯電話機40を適用した場合について説明したが、本発明が適用可能なものはこれに限らない。例えば、PHS網や無線データ通信網等に対して本発明を適用することも勿論可能である。その場合、携帯電話機40の代わりに、PHSや無線通信機能を有する携帯型のコンピュータ等の位置を同定することとなる。
【0098】
(6)鉄道システム20に代わるシステム
更に、本実施の形態においては、運行管理システム22を備えた鉄道システム40について説明したが、乗り物の運行経路が予め定められており、且つ、その乗り物の位置が管理されている(運行情報が取得可能な)交通機関システム(例えば、バスに関する交通システム等)についても同様に適用可能である。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、運行情報管理手段によって管理される列車運行情報と、存在域推定手段によって推定される存在推定域の情報とに基づいて、利用者端末の保持者の乗車列車を同定することができる。ここで、列車運行情報には、駅の番線(ホーム番号)や駅間の閉塞区間等の軌道回路を単位とした列車の位置の情報である在線情報、駅の発着時刻等の時刻情報である運行時刻情報、等が含まれる。
【0100】
従って、列車に乗車中の鉄道利用者が利用者端末を保持し、且つ、列車運行情報に含まれる在線情報をリアルタイムに取得することとすれば、広さを持つ存在推定域として利用者端末の位置を推定した情報と、列車運行情報に含まれる在線情報とを組み合わせることで、利用者端末の保持者、即ち、鉄道利用者の乗車列車を同定することが可能となる。
【0101】
また、無線通信システムを、携帯電話機やPHS等の公知の移動電話システムによって実現し、基地局からの情報を元にして利用者端末の位置を推定するとともに、運行管理システムを、公知の鉄道システムによって実現することとすれば、既存の情報を利用することができるので、乗車列車の同定をより簡易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における乗車列車同定システムの構成例を示す図。
【図2】第1の実施の形態における基地局設置位置情報のデータ構成例を示す図。
【図3】第1の実施の形態における利用者情報のデータ構成例を示す図。
【図4】第1の実施の形態における運行時刻情報のデータ蓄積例を示す図。
【図5】第1の実施の形態における推定結果テーブルのデータ蓄積例を示す図。
【図6】第1の実施の形態における乗車列車の同定に係る処理の流れを示す図。
【図7】第1の実施の形態における乗車列車の同定の具体例を示す概略図。
【図8】第2の実施の形態における基地局設置位置情報のデータ構成例を示す図。
【図9】第2の実施の形態における推定結果テーブルのデータ構成例を示す図。
【符号の説明】
1、2 乗車列車同定システム
10 無線通信システム
11 無線通信サーバ
12 基地局
20 鉄道システム
21 改札システム
22 運行管理システム
30、50 乗車列車同定サーバ
31、51 基地局設置位置情報
32 利用者情報
33 運行時刻テーブル
34、54 推定結果テーブル
40 携帯電話機
Claims (6)
- ▲1▼所定の公衆無線通信網を利用した無線通信を行う携帯型の利用者端末が存在する位置を、当該公衆無線通信網における無線通信状況から存在推定域として推定する存在域推定手段を備えた無線通信システム、及び、▲2▼列車運行情報を管理する運行情報管理手段を備えた運行管理システム、と所定の通信回線を介して接続された乗車列車同定サーバであって、
前記運行管理システムから列車運行情報を受信する運行情報受信手段と、
前記無線通信システムから前記利用者端末の存在推定域の情報を受信する存在推定域受信手段と、
前記運行情報受信手段により受信される列車運行情報と、前記存在推定域受信手段により受信される存在推定域の情報とに基づいて、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を備えることを特徴とする乗車列車同定サーバ。 - 前記乗車列車同定手段は、前記受信される列車運行情報と存在推定域の情報とを連続的に照査することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することを特徴とする請求項1に記載の乗車列車同定サーバ。
- 前記乗車列車同定手段は、前記受信される列車運行情報と存在推定域の情報との所定のタイミングでの照査を繰り返し実行することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することを特徴とする請求項1に記載の乗車列車同定サーバ。
- 所定の公衆無線通信網を利用した無線通信を行う携帯型の利用者端末が存在する位置を、当該公衆無線通信網における無線通信状況から存在推定域として推定する存在域推定手段を備えた無線通信システムと所定の通信回線を介して接続された乗車列車同定システムであって、
列車運行情報を管理する運行情報管理手段と、
前記無線通信システムから前記利用者端末の存在推定域の情報を受信する存在推定域受信手段と、
前記運行情報管理手段により管理されている列車運行情報と、前記存在推定域受信手段により受信される存在推定域の情報とに基づいて、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定する乗車列車同定手段と、
を備えることを特徴とする乗車列車同定システム。 - 前記乗車列車同定手段は、前記運行情報管理手段により管理されている列車運行情報と、前記存在推定域受信手段により受信される存在推定域の情報とを連続的に照査することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することを特徴とする請求項4に記載の乗車列車同定システム。
- 前記乗車列車同定手段は、前記受信される列車運行情報と存在推定域の情報との所定のタイミングでの照査を繰り返し実行することにより、前記利用者端末の保持者の乗車列車を同定することを特徴とする請求項4に記載の乗車列車同定システム。
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JP (1) | JP2004295715A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009193251A (ja) * | 2008-02-13 | 2009-08-27 | Toshiba Corp | 予約管理システムおよび予約管理方法 |
JP2009218670A (ja) * | 2008-03-07 | 2009-09-24 | Fujitsu Ltd | ページング制御システム |
JP2012226503A (ja) * | 2011-04-19 | 2012-11-15 | Hitachi Ltd | 移動分析方法および移動分析装置 |
JP2012256137A (ja) * | 2011-06-08 | 2012-12-27 | Nec Engineering Ltd | 交通料金課金システム |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003089663A patent/JP2004295715A/ja active Pending
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JP2009193251A (ja) * | 2008-02-13 | 2009-08-27 | Toshiba Corp | 予約管理システムおよび予約管理方法 |
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