JP2004294560A - 誘導加熱を用いた定着装置 - Google Patents

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修 高木
Kazuhiko Kikuchi
和彦 菊地
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Abstract

【目的】誘導加熱方式を利用した定着装置において、所定の磁界を発生させるコイルと、この磁界により生じた渦電流によるジュール熱によって熱が発生される加熱部材との組み合わせの操作(作業)を簡略化する。
【解決手段】以上説明したように、この発明によれば、定着装置100に組み込まれる加熱部材101に誘導加熱方法を用いて所定の熱を発生させるコイル体111において、このコイル(電線)が外周に巻かれているコイルボビン110Aは、この電線がコイルの長手方向に外れることを抑止可能なフランジ部を有する。このフランジ部の高さは、コイルボビン8の外周面に巻き付けられる電線の径に応じた半径と上述の加熱部材との間の間隔とにより定義される高さに形成される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機やプリンタなどの画像形成装置に搭載され、用紙上の現像剤像を定着させる定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル技術を利用した画像形成装置たとえば電子複写機は、加熱により溶融された現像剤像を圧力を加えることで用紙に定着させる定着装置を有している。
【0003】
例えば、電子複写機では、原稿からの反射光を光電変換素子たとえばCCD(charge coupled device)により光電変換して得られる画像信号に応じた静電潜像が感光体に形成される。この静電潜像は、現像剤(トナー)が選択的に付着されることで顕像化される。感光体上の現像剤像は、所定のタイミングで供給される用紙に転写され、定着装置で用紙に定着される。
【0004】
定着装置は、現像剤すなわちトナーと溶融させる加熱部材と、この加熱部材に所定の圧力を提供する加圧部材とを備え、加熱部材と加圧部材との間で、加熱部材からの熱によって用紙上の現像剤像を溶かし、加圧部材からの圧力で用紙に定着させる。
定着装置の加熱部材を加熱する熱源として、誘導加熱方式がある。誘導加熱方式は、コイルを用い、コイルに高周波電流を流してコイルから所定の磁界を発生させ、その磁界によって生じた渦電流によるジュール熱で加熱部材そのものを発熱させる方式である。
【0005】
この誘導加熱方式を利用した定着装置として、複数のコイルを有する誘導コイルに高周波電流を流して発生させた磁界により、加熱部材を発熱させるものがある(特許文献1)。
【0006】
また、この誘導加熱方式を利用した定着装置として、定着装置に組み込まれる加熱ローラの円周方向に巻かれた複数に分割された誘導コイルを加熱ローラの軸方向に並列に配置し、互いに隣り合う分割された誘導コイルの間に電気絶縁体を設けたものがある(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−312165号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2001−319763号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら通常、1つのコイルに対して2本の引き出し線が必要であり、複数のコイルを組み合わせて用いる場合には、コイルの数に応じて引き出し線が増加し、電流回路(高周波回路)との接続が複雑になるという問題がある。
【0010】
また、加熱装置は、複数のコイルと加熱部材とを含み、このコイルには高周波電流が供給されているため、供給される高周波電流に応じて絶縁対策が施された電線通路が増加し、配線通路が形成される部品の構造が複雑になるという問題がある。
【0011】
この発明の目的は、誘導加熱方式を利用した定着装置において、所定の磁界を発生させるコイルと、この磁界により生じた渦電流によるジュール熱によって熱が発生される加熱部材との組み合わせの操作(作業)を簡略化できる加熱装置および定着装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、所定の周波数の電圧および電流が供給されることで、磁界を発生する電線を外面に巻きつける保持体と、中空円筒状または無端ベルト状であって、前記保持体の外周に、前記電線により提供される磁界に応じて渦電流が生じるように位置された発熱体と、前記保持体の外面の所定部分に設けられ、上記電線と前記発熱体との距離を一定に保つフランジ部とを有する加熱装置と、前記電線に前記所定の周波数の電圧および電流を供給する電源装置と、前記発熱体との間で所定の圧力を有するよう配置された加圧部材とを有することを特徴とする定着装置。
【0013】
を提供するものである。
【0014】
また、この発明は、軸方向に沿って配置され、上記軸方向と直交する面内で上記外面よりも大きな径を有する少なくとも1つのフランジ部が形成された第1の保持体と、所定の周波数の電圧および電流が供給されることで、磁界を発生する電線からなる複数個の単コイルとを含む第1のコイル体と、前記第1のコイル体の上記軸に沿った方向の両側に、同軸に位置され、上記軸方向と直交する面内で上記外面よりも大きな径を有する少なくとも1つのフランジ部が形成された第2の保持体と、所定の周波数の電圧および電流が供給されることで、磁界を発生する電線からなる複数個の単コイルを含む第2のコイル体と、中空円筒状または無体ベルト状であって、前記第1のコイル体の外周に、前記電線により提供される磁界に応じて渦電流が生じるように位置された発熱体と、前記発熱体との間で所定の圧力を有するよう配置された加圧部材とを有し、前記フランジ部は前記発熱体内面に当接することで、前記単コイルと前記発熱体との間のギャップを所定距離に保つことを特徴とする定着装置を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、画像形成装置としての複合型電子複写機1の一例を示している。複合型電子複写機1の上面部には、原稿Dがセットされる原稿台(ガラス板)2が設けられている。原稿台2に沿って移動可能に設けられたキャリッジ4の照明露光ランプ5からの照明光により、原稿台2に載置されている原稿Dが照明される。
【0016】
原稿Dからの反射光は、例えばCCD(charge coupled device)に代表される光電変換素子10により光電変換される。これにより、原稿Dの画像情報に対応した画像信号が得られる。CCD10から出力される画像信号は、画像処理部でデジタル信号に変換され、さらに所定の画像処理が施されて、レーザユニット27に供給される。レーザユニット27により、画像処理部で画像処理された出力信号に応じてレーザビームBが、以下に説明する感光体20に照明される。
【0017】
複写機1内の所定の位置には、感光体ドラム20が帯電された状態で光が照射されることで、潜像を保持できるように設けられている。感光体ドラム20の周囲には、帯電器21、現像ユニット22、転写器23、剥離器24、クリーナ25、及び除電器26等が順次に設けられている。以下、詳述しないが、レーザユニット27からのレーザビームBにより感光体ドラム20に潜像が形成される。感光体ドラム20に形成された潜像は、現像ユニットより選択的に供給されるトナーにより現像され、所定のタイミングで供給されるコピー用紙に転写される。コピー用紙に転写されたトナーは、後述する定着装置100により、コピー用紙に定着される。
【0018】
図2は、定着装置100の一例を示している。
定着装置100は、コピー用紙Sのトナーが付着している面に接触可能で、トナーTおよび用紙Sを加熱する加熱ローラ101と、加熱ローラ101に所定の圧力を与える加圧ローラ102とが設けられている。加熱ローラ101と加圧102との接触部は、ニップ幅と呼ばれる弾性変形領域を呈する。
【0019】
加熱ローラ101は、例えば鉄などの導電性材料が円筒状に形成されたローラ体の外周面に、例えば、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂などを被覆されたものである。加熱ローラ101は、図示しない駆動モータなどにより矢印方向に(この例ではCW方向)回転される。加圧ローラ102は、加熱ローラ101と接触されることで矢印方向(この例ではCCW方向)に回転される。
【0020】
加熱ローラ101と加圧ローラ102との接触部に案内されたコピー用紙Sは、加熱ローラ101から熱を受けることにより、コピー用紙S上の現像剤像Tが溶融され、加圧ローラ102からの圧力によりコピー用紙Sに定着される。
【0021】
加熱ローラ101の周囲には、コピー用紙Sを加熱ローラ101から剥離するための隔離爪103、上記加熱ローラ101上に残るトナー及び紙屑等を除去するためのクリーニング部材104、上記加熱ローラ101の表面に離型剤を塗布するための塗布ローラ105とが配設されている。
【0022】
上記加熱ローラ101の内部には、誘導加熱用のコイルユニット110が収容されている。上記コイルユニット110は、コイル111としての電線が周面に巻かれたコイルボビン110Aと、そのコイルボビン110Aを保持する保持部材110Bとにより構成される。上記コイルボビン110Aは、コイル111が複数のコイルからなる場合、コイルの数に応じた複数のコイルボビン110A(110A1、…)で構成するようにしても良い。コイルユニット110の個々のコイルに、後述する回路により高周波電力が与えられることで、誘導加熱用の高周波磁界が得られる。この高周波磁界が発せられることにより、加熱ローラ101に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で加熱ローラ101から所定の熱が発生される。
【0023】
図3は、複合型電子複写機の制御回路を示すものである。図3から明らかなように、メインCPU50には、制御プログラム記憶用のROM51、データ記憶用のRAM52、画素カウンタ53、画像処理部55、ページメモリコントローラ56、ハードディスクユニット58、ネットインタフェース59、及びFAX送受信ユニット60等が接続されている。また、メインCPU50には、スキャンCPU70、コントロールパネルCPU80、及びプリントCPU90等が接続されている。
メインCPU50は、上記スキャンCPU70、上記コントロールパネルCPU80、及び上記プリントCPU90を統括的に制御するもので、コピーキーの操作に応じたコピーモードの制御手段、ネットインタフェース59への画像入力に応じたプリンタモードの制御手段、及びFAX送受信ユニット60での画像受信に応じたファクシミリモードの制御手段として機能する。
【0024】
上記ページメモリコントローラ56は、上記ページメモリ57に対する画像データの書込み及び読み出しを制御する。また、上記画像処理部55、上記ページメモリコントローラ56、上記ページメモリ57、上記ハードディスクユニット58、上記ネットインタフェース59、及び上記FAX送受信ユニット60とは、上記画像データバス61により相互に接続されている。
【0025】
上記ネットインタフェース59は、外部機器から伝送されてくる画像(画像データ)が入力されるプリンタモード用の入力部として機能する。このネットインタフェース59には、LANあるいはインターネットなどの通信ネットワーク201が接続され、その通信ネットワーク201に外部機器、例えば複数台のパーソナルコンピュータ202が接続されている。これらパーソナルコンピュータ202は、コントローラ203、ディスプレイ204、操作ユニット205などを備えている。
上記FAX送受信ユニット60は、電話回線210に接続されており、その電話回線210を介してファクシミリ送信されてくる画像(画像データ)を受信するファクシミリモード用の受信部として機能する。
【0026】
上記スキャンCPU70には、制御プログラム記憶用のROM71、データ記憶用のRAM72、CCD10の出力を処理して画像データバス61に供給する信号処理部73、CCDドライバ74、スキャンモータドライバ75、露光ランプ5、自動原稿送り装置40、及び、複数の原稿センサ11などが接続されている。
【0027】
上記CCDドライバ74は、上記CCD10を駆動する。上記スキャンモータドライバ75は、キャリッジ駆動用のスキャンモータ76を駆動する。上記自動原稿送り装置40は、トレイ41にセットされる原稿D及びそのサイズを検知するための原稿センサ43を有している。
【0028】
上記コントロールパネルCPU80には、コントロールパネルのタッチパネル式液晶表示部14、テンキー15、オールリセットキー16、コピーキー17、及びストップキー18とが接続されている。
【0029】
上記プリントCPU90には、制御プログラム記憶用のROM91、データ記憶用のRAM92、プリントエンジン93、用紙搬送ユニット94、プロセスユニット95、定着装置100とが接続されている。プリントエンジン93は、レーザユニット27及びその駆動回路などにより構成されている。用紙搬送ユニット94は、給紙カセット30からトレイ38にかけての用紙搬送機構及びその駆動回路などにより構成されている。プロセスユニット95は、感光体ドラム20及びその周辺部などにより構成されている。
上記プリントCPU90及びその周辺構成を主体にして、上記画像処理部55で処理された画像を用紙Pにプリントするプリント部が構成されている。
【0030】
図4は、定着装置100の電気回路の構成例を示すものである。
上記加熱ローラ101内のコイルユニット110は、複数のコイルからなるコイル111を有しているものとする。図4に示すように、本実施の形態に適用可能なコイル111は、3つのコイル111a,111b,111cを有する。コイル111aは、加熱ローラ101の中央部に、コイル111b,111cは、加熱ローラ101内のコイル111aを挟む両側位置に、それぞれ配置される。これらコイル111a,111b,111cは、高周波発生回路120に接続されている。
【0031】
また、加熱ローラ101の中央部には、温度センサ112が設けられている。温度センサ112は、加熱ローラ101の中央部の温度を検知する。また、加熱ローラ101の一端部には、温度センサ113が設けられている。温度センサ113は、加熱ローラ101の一端部の温度を検知する。これらの温度センサ112,113は、加熱ローラ101を回転するための駆動ユニット160と共に、プリントCPU90に接続されている。
【0032】
プリントCPU90は、駆動ユニット160を制御する機能に加え、コイル111aを構成要素とする後述する第1共振回路(出力電力P1)の動作、及びコイル111b,111cを構成要素とする後述する第2共振回路(出力電力P2)の動作を指定するためのP1/P2切替信号を発する機能、各共振回路の出力電力、温度センサ112,113の検知温度に応じて制御する機能を備えている。
【0033】
高周波発生回路120は、高周波磁界発生用の高周波電力を発生するもので、整流回路121及びこの整流回路121の出力端に接続されたスイッチング回路122を備えている。整流回路121は、商用交流電源130の交流電圧を整流する。スイッチング回路122は、コイル111aにより第1共振回路を形成し、コイル111b,111cにより第2共振回路を形成している。また、第1共振回路及び第2共振回路は、スイッチング回路122内に設けられた図示しないスイッチング素子(例えば、FET等のトランジスタ)により選択的に励起される。
【0034】
第1共振回路は、コイル111aのインダクタンス及びスイッチング回路122内のコンデンサ(図示しない)の静電容量等により定まる共振周波数f1を有している。第2共振回路は、コイル111b及び111cのインダクタンス及びスイッチング回路122内のコンデンサ(図示しない)の静電容量等により定まる共振周波数f2を有している。
【0035】
スイッチング回路122は、プリントCPU90からのP1/P2切替信号に従い、コントローラ140によりオン,オフ駆動される。コントローラ140は、発振回路141及びCPU142を備えている。発振回路141は、スイッチング回路122に対する所定周波数の駆動信号を発する。CPU142は、発振回路141の発振周波数(駆動信号の周波数)を制御するものである。
【0036】
次に、定着装置100の電気回路の作用について説明する。
第1共振回路の共振周波数f1と同じ周波数の駆動信号が発振回路141から発せられると、その駆動信号によりスイッチング回路122がオン,オフされ、第1共振回路が励起される。この励起により、コイル111aから高周波磁界が発生し、その高周波磁界によって加熱ローラ101の軸方向中央部に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で加熱ローラ101の軸方向中央部から所定の熱が発生される。
【0037】
第2共振回路の共振周波数f2と同じ周波数の駆動信号が発振回路141から発せられると、その駆動信号によりスイッチング回路122がオン,オフされ、第2共振回路が励起される。この励起によりコイル111b,111cから高周波磁界が発生し、その高周波磁界によって加熱ローラ101の軸方向両側部に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で加熱ローラ101の軸方向両側部から所定の熱が発生される。
【0038】
図5は、図2に示す定着装置に組み込まれる第1共振回路の出力電力P1と第1共振回路を励起する周波数との関係、及び図2に示す定着装置に組み込まれる第2共振回路の出力電力P2と第2共振回路を励起する周波数との関係を示す図である。
【0039】
図5に示すように、第1共振回路の出力電力P1は、その第1共振回路の共振周波数f1と同じ周波数で励起される場合にピークレベルとなり、励起される周波数が共振周波数f1から離れるに従って山なりに徐々に減少するパターンとなる。
【0040】
同様に、第2共振回路の出力電力P2は、その第2共振回路の共振周波数f2と同じ周波数で励起される場合にピークレベルとなり、励起される周波数が共振周波数f2から離れるに従って山なりに徐々に減少するパターンとなる。
【0041】
大きいサイズの用紙Sに対する定着に際しては、第1及び第2共振回路が共に励起され、全てのコイル111a,111b,111cから高周波磁界が発せられる。この高周波磁界により加熱ローラ101の全体に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で加熱ローラ101の全体から所定の熱が発生される。
【0042】
はじめに、図6(a)および図8を用いて、図2を用いて説明した定着装置に利用可能なコイルユニットの一例を説明する。
【0043】
図6(a)に示されるように、コイルユニット110は、コイルボビン110Aa,110Abおよび110Acにそれぞれ所定の断面積の電線が巻かれている第1ないし第3のコイル111a,111bおよび111cを有する。それぞれのコイル111a,111bおよび111cは、図6(a)では見えない保持部材により、図4を用いて説明したような所定の配列で保持されている。
【0044】
第1ないし第3のコイル111a,111bおよび111cには、図8(a)を用いて以下に説明するコイルボビン510が用いられている。
【0045】
図8(a)に示すように、コイルボビン510は、中心軸から半径R11で形成された外周面と中空部(符号なし)とを有する円筒形状であり、外周面のうち電線が巻かれるコイル領域511と、コイル領域511の両端に形成される縁部512,513とを有する。縁部512および縁部513の所定の位置には、コイル領域511に巻き付けられる電線をコイルボビン510の内側の中空部に案内するために利用される配線部X1,Y1およびZ1ならびに配線部X2,Y2およびZ2が形成されている。
【0046】
コイル領域511の両端に設けられた縁部512には、図8(c)および図8(d)に示すような形状が与えられ、コイル領域511に巻かれる電線がコイルの長手方向に外れることを抑止可能なフランジ部512a,512bおよび512cならびにフランジ部513a,513bおよび513cが形成されている。
【0047】
フランジ部512a,512b,512c,513a,513bおよび513cは、図6(a)に示すように、加熱ローラ101の内面と接触することで、加熱ローラ101とコイル111との間の間隔を、一定の距離に維持できる。換言すると、フランジ部512a,512b,512c,513a,513bおよび513cの高さR12は、コイルボビン510の外周面に巻き付けられる電線の径に応じた半径と上述の加熱ローラ101との間の間隔とにより定義される高さに形成される。
【0048】
フランジ部512a,512bおよび512cならびにフランジ部513a,513bおよび513cは、コイルボビン510の円周上に、概ね等しい間隔で設けられる。なお、フランジ部512(a,b,c)とフランジ部513(a,b,c)とは、図8(c)および図8(d)から明らかなように、図示しないコイルボビン510の中心として定義される軸線と直交する面内において、中心軸を通りボビン510の円周上の任意の一点を原点として見た状態での位相が所定の量だけずれるように形成されている。なお、位相のずれの大きさおよび有無は、任意に設定できる。
【0049】
なお、コイルボビン510は、後に説明する凸部を中空部側の内周面備えてもよい。この凸部は、コイルボビン510が保持部材110Bに保持された際、円周方向の回転を抑制する機能を有する。
【0050】
コイルユニット110は、例えば配線部X1とX2,Y1とY2,Z1とZ2がそれぞれ向かい合うような配列で複数(この例では3個)のコイルボビン510を保持している。
【0051】
従って、コイルユニット110のコイル111a,111bおよび111cは、両端においてはそれぞれ概ね等しい間隔で備えられたフランジ部512a,512bおよび512cあるいはフランジ部513a,513bおよび513cによって、加熱ベルト101に対して所定の距離が維持できる。さらに、3個のコイルボビン510がそれぞれ隣り合う場所においては、それぞれのコイルボビンのフランジ部512a,512bおよび512cあるいはフランジ部513a,513bおよび513cの少なくとも1つが加熱ローラ101の内周と接触するため、長手方向に長いコイルユニットやローラ体に換えて用いられることのあるベルト状の加熱部材が利用される場合であっても、コイルと加熱部材との間の距離を一定に維持できる。
【0052】
なお、コイルボビン510に換えて、図8(b)に示すようなフランジ部が縁部522と523のうちの一方のみに形成されたコイルボビン520を用いても同様の効果が得られる。
【0053】
このとき、コイルボビン520は、図6(c)に示されるように、保持部材110Bに保持され、図6(b)に示されるように、ストッパ301により、保持部材260の長手方向に移動すること抑止される。
【0054】
コイルユニットとしては、図6(b)に示すように、コイルボビン110Abおよび110Acのうち、コイルボビン110Aaと接しない側の端にのみフランジ部が形成されたコイルユニット220を用いても同様の効果が得られる。
【0055】
次に、図7(a)および図9を用いて、図2を用いて説明した定着装置に利用可能なコイルユニットの別の一例を説明する。
【0056】
図7(a)に示されるように、コイルユニット310は、図9(a)を用いて以下に説明するコイルボビン610にそれぞれ所定の断面積の電線が巻かれているコイル311ないし322を有する。
【0057】
図9(a)に示すように、コイルボビン610は、中心軸から半径R21で形成された外周面と中空部(符号なし)とを有する円筒形状であり、外周面のうち電線が巻かれるコイル領域611と、コイル領域611の両端に形成される縁部612,613とを有する。縁部612および縁部613の所定の位置には、コイル領域611に巻き付けられる電線をコイルボビン610の内側の中空部に案内するために利用される配線部X31,Y31およびZ31ならびに配線部X32,Y32およびZ32が形成されている。
【0058】
コイル領域611の両端に設けられた縁部612には、図9(c)および図9(d)に示すような形状が与えられ、コイル領域611に巻かれる電線がコイルの長手方向に外れることを抑止可能なフランジ部612a,612b,612cおよび612dならびにフランジ部613a,613b,613cおよび613dが形成されている。
【0059】
フランジ部612a,612b,612c,612d,613a,613b,613cおよび613dは、図7(a)に示すように、加熱ローラ101の内面と接触することで、加熱ローラ101とコイル311ないし322との間の間隔を、一定の距離に維持できる。換言すると、フランジ部612a,612b,612c,612d,613a,613b,613cおよび613dの高さR22は、コイルボビン610の外周面に巻き付けられる電線の径に応じた半径と上述の加熱ローラ101との間の間隔とにより定義される高さに形成される。
【0060】
フランジ部612a,612b,612cおよび612dならびにフランジ部613a,613b,613cおよび613dは、コイルボビン610の円周上に、概ね等しい間隔で設けられる。なお、フランジ部612(a,b,c,d)とフランジ部613(a,b,c,d)とは、図9(c)および図9(d)から明らかなように、図示しないコイルボビン610の中心として定義される軸線と直交する面内において、中心軸を通りボビン610の円周上の任意の一点を原点として見た状態での位相が所定の量だけずれるように形成されている。なお、位相のずれの大きさおよび有無は、任意に設定できる。
【0061】
なお、コイルボビン610は、後に説明する凸部を中空部側の内周面備えてもよい。この凸部は、コイルボビン610が保持部材110Bに保持された際、円周方向の回転を抑制する機能を有する。
【0062】
コイルユニット1310は、例えば配線部X31とX32,Y31とY32,Z31とZ32がそれぞれ向かい合うような配列で複数(この例では12個)のコイルボビン610を保持している。
【0063】
従って、コイルユニット310のコイル311ないし322は、両端においてはそれぞれ概ね等しい間隔で備えられたフランジ部612a,612b,612cおよび612dあるいはフランジ部613a,613b,613cおよび613dによって、加熱ベルト101に対して所定の距離が維持できる。さらに、12個のコイルボビン610がそれぞれ隣り合う場所においては、それぞれのコイルボビンのフランジ部612a,612b,612cおよび612dあるいはフランジ部613a,613b,613cおよび613dの少なくとも1つが加熱ローラ101の内周と接触するため、長手方向に長いコイルユニットやローラ体に換えて用いられることのあるベルト状の加熱部材が利用される場合であっても、コイルと加熱部材との間の距離を一定に維持できる。
【0064】
なお、コイルボビン610に換えて、図9(b)に示すようなフランジ部が縁部622と623のうちの一方のみに形成されたコイルボビン620を用いても同様の効果が得られる。例えば、図7(b)に示されるコイルボビン410は、両端にコイルボビン620を備える。
【0065】
コメント参照!!!US出願の際に、図面を追加する!!
図10は、図2に示される定着装置100に適用可能な定着装置の一例を説明する概略図である。
【0066】
図10において定着装置800は、コピー用紙Sのトナーが付着している面に接触可能で、トナーTおよび用紙Sを加熱する加熱部材801と、加熱部材801に所定の圧力を与える加圧ローラ802とが設けられている。加熱部材801と加圧ローラ802との接触部は、ニップ幅と呼ばれる弾性変形領域を呈する。この加熱部材801と加圧ローラ802との接触部は、加熱部材801が所定位置に移動される方向に所定のニップ幅を持つ平面であってもよい。また、定着装置800は、例えば、加圧ローラ802が加熱部材801の所定部分にめり込んで接触してもよい。
【0067】
加熱部材801は、例えばニッケル、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、ステンレス鋼とアルミニウムとの合金あるいは鉄等の導電性材料を用いて、所定の円周を有する円筒状に形成された無端ベルトであって、所定の硬性を有し、外力により所定の形状で維持される。加熱部材801は、この導電性材料の外周面に、例えば、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂などを被覆されたものである。また、加熱部材801の外周面には、例えば、シリコーンゴムあるいはフッ素ゴム等の弾性層や、あるいはPFA(ポリフォルムアルデヒド=耐熱性樹脂)等の剥離層が形成される。さらに、加熱部材801の内周面には、例えば、PFA(ポリフォルムアルデヒド=耐熱性樹脂)等の滑り層が形成され、もしくは図示しないオイル塗布機構から供給されるオイルが塗布され、導電性材料のベルトが滑らかに移動できる。
【0068】
加熱部材801の周囲には、コピー用紙Sを加熱部材801から剥離するための隔離爪803、加熱部材801上に残るトナー及び紙屑等を除去するためのクリーニング部材804、加熱部材801の表面に離型剤を塗布するための塗布ローラ805とが配設されている。
【0069】
加熱部材801の内部には、誘導加熱用のコイルユニット810が収容されている。コイルユニット810は、コイルボビン810Aにそれぞれ所定の断面積の電線が巻かれているコイル811と、コイルボビン810Aを保持する保持部材810Bとを有する。
【0070】
コイルボビン810Aのコイル長手方向の両端には、外周に巻かれている電線がコイルの長手方向に外れることを抑止可能なフランジ部810Fa,810Fbおよび810Fcが形成される。フランジ部810Fa,810Fbおよび810Fcは、加熱部材801の内面と接触することで、加熱部材801とコイル811との間の間隔を、一定の距離に維持できる。換言すると、フランジ部810Fa,810Fbおよび810Fcの高さは、コイルボビン810Aの外周面に巻き付けられる電線の径に応じた半径と上述の加熱部材801との間の間隔とにより定義される高さに形成される。
【0071】
コイルボビン810Aは、コイル811が複数のコイルからなる場合、コイルの数に応じた複数のコイルボビン810A(810A1、…)で構成するようにしても良い。
【0072】
加圧ローラ802は、図示しない駆動モータなどにより矢印方向(この例ではCCW方向)に回転される。加熱部材801は、加圧ローラ101と接触されることで矢印方向(この例ではCW方向)に回転される。
【0073】
加熱部材801と加圧ローラ802との接触部に案内されたコピー用紙Sは、加熱部材801から熱を受けることにより、コピー用紙S上の現像剤像Tが溶融され、加圧ローラ802からの圧力によりコピー用紙Sに定着される。
【0074】
コイルユニット810には、図4に示した回路により高周波電力が与えられ、誘導加熱用の高周波磁界を発する。この高周波磁界が発せられることによって生じた渦電流によるジュール熱で加熱部材801から所定の熱が発生される。
【0075】
なお、コイルボビン810に換えて、図8(a),(b)に示すようなコイルボビン510,520や、図9(a),(b)に示すような4つのフランジ部が形成されたコイルボビン610,620を用いても同様の効果が得られる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、誘導加熱方式を利用した加熱装置において、所定の磁界を発生させるコイルユニットの所定の位置に、この磁界により生じた渦電流によるジュール熱によって熱が発生される加熱部材をガイドするフランジ部が一体的に設けられることにより、加熱装置の組み立て操作(作業)を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の定着装置が組み込まれる画像形成装置としての複合型電子複写機の一例を説明する概略図。
【図2】図1に示した複合型電子複写機に利用可能な定着装置の一例を説明する概略図。
【図3】図1に示した複合型電子複写機の制御系を説明するブロック図。
【図4】図2に示した定着装置の制御系を説明するブロック図
【図5】図5は、図2に示す定着装置に組み込まれる第1共振回路の出力電力P1と第1共振回路を励起する周波数との関係、及び図2に示す定着装置に組み込まれる第2共振回路の出力電力P2と第2共振回路を励起する周波数との関係を示す図である。
【図6】本実施の形態に適用可能なコイルユニットの一例を説明する概略図。
【図7】本実施の形態に適用可能なコイルユニットの他の例を説明する概略図。
【図8】図6および図7に示したコイルユニットに組み込まれるコイルボビンの一例を説明する斜視図。
【図9】図6および図7に示したコイルユニットに組み込まれるコイルボビンの別の例を説明する斜視図。
【図10】図1に示した複合型電子複写機に利用可能な定着装置の別の例を説明する概略図。
【符号の説明】
100・・・定着装置、101・・・加熱部材、102・・・加圧ローラ、110・・・コイルユニット、110A・・・コイルボビン、110B・・・保持部材、512a,512b,512c・・・フランジ部。

Claims (7)

  1. 所定の周波数の電圧および電流が供給されることで、磁界を発生する電線を外面に巻きつける保持体と、
    中空円筒状または無端ベルト状であって、前記保持体の外周に、前記電線により提供される磁界に応じて渦電流が生じるように位置された発熱体と、前記保持体の外面の所定部分に設けられ、上記電線と前記発熱体との距離を一定に保つフランジ部とを有する加熱装置と、
    前記電線に前記所定の周波数の電圧および電流を供給する電源装置と、
    前記発熱体との間で所定の圧力を有するよう配置された加圧部材と
    を有することを特徴とする定着装置。
  2. 前記フランジ部は、前記保持体の端部の少なくとも一方に設けられることを特徴とする請求項1に記載する定着装置。
  3. 前記保持体は、前記発熱体の軸方向長さを所定の長さに分割して得られる長さが与えられ、前記発熱体の軸方向の全長を加熱できることを特徴とする請求項1に記載する定着装置。
  4. 軸方向に沿って配置され、上記軸方向と直交する面内で上記外面よりも大きな径を有する少なくとも1つのフランジ部が形成された第1の保持体と、所定の周波数の電圧および電流が供給されることで、磁界を発生する電線からなる複数個の単コイルとを含む第1のコイル体と、
    前記第1のコイル体の上記軸に沿った方向の両側に、同軸に位置され、上記軸方向と直交する面内で上記外面よりも大きな径を有する少なくとも1つのフランジ部が形成された第2の保持体と、所定の周波数の電圧および電流が供給されることで、磁界を発生する電線からなる複数個の単コイルを含む第2のコイル体と、
    中空円筒状または無体ベルト状であって、前記第1のコイル体の外周に、前記電線により提供される磁界に応じて渦電流が生じるように位置された発熱体と、
    前記発熱体との間で所定の圧力を有するよう配置された加圧部材と
    を有し、
    前記フランジ部は前記発熱体内面に当接することで、前記単コイルと前記発熱体との間のギャップを所定距離に保つことを特徴とする定着装置。
  5. 上記フランジ部は、上記第1および第2の保持体の両端部に設けられることを特徴とする請求項4に記載する定着装置。
  6. 上記フランジ部は、上記第1および第2の保持体の端部の少なくとも一方に設けられることを特徴とする請求項4に記載する定着装置。
  7. 上記フランジ部は、前記第1のコイル体と接しない側の端に位置する前記第2のコイル体の上記第2の保持体の単部の少なくとも一方に設けられることを特徴とする請求項4に記載する定着装置。
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