JP2004294559A - 誘導加熱を用いた定着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この発明の定着装置1は、低電圧(コモン)側の電力が供給される電線をまとめて(一括して)配置する配線経路が形成される芯材を有するコイルユニット110と、入力電圧および電流の周波数に応じて電磁誘導により所定磁界を発生するコイルユニット110から発生される磁界により発熱する加熱ローラ101と、加熱ローラ101に所定の圧力な提供可能な加圧ローラ102とを有する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複写機やプリンタなどの画像形成装置に搭載され、用紙上の現像剤像を定着させる定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル技術を利用した画像形成装置たとえば電子複写機は、加熱により溶融された現像剤像を圧力を加えることで用紙に定着させる定着装置を有している。
【0003】
例えば、電子複写機では、原稿からの反射光を光電変換素子たとえばCCD(charge coupled device)により光電変換して得られる画像信号に応じた静電潜像が感光体に形成される。この静電潜像は、現像剤(トナー)が選択的に付着されることで顕像化される。感光体上の現像剤像は、所定のタイミングで供給される用紙に転写され、定着装置で用紙に定着される。
【0004】
定着装置は、現像剤すなわちトナーと溶融させる加熱部材と、この加熱部材に所定の圧力を提供する加圧部材とを備え、加熱部材と加圧部材との間で、加熱部材からの熱によって用紙上の現像剤像を溶かし、加圧部材からの圧力で用紙に定着させる。
定着装置の加熱部材を加熱する熱源として、誘導加熱方式がある。誘導加熱方式は、コイルを用い、コイルに高周波電流を流してコイルから所定の磁界を発生させ、その磁界によって生じた渦電流によるジュール熱で加熱部材そのものを発熱させる方式である。
【0005】
この誘導加熱方式を利用した定着装置として、複数のコイルを有する誘導コイルに高周波電流を流して発生させた磁界により、加熱部材を発熱させるものがある(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−312165号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら通常、1つのコイルに対して2本の引き出し線が必要であり、複数のコイルを組み合わせて用いる場合には、コイルの数に応じて引き出し線が増加し、電流回路(高周波回路)との接続が複雑になるという問題がある。
【0008】
また、コイルには高周波電流が供給されているため、コイルからの引き出し線を複数本まとめるとしても、高電圧側とコモン側を独立に配置することが好ましい。この場合、供給される高周波電流の高電圧側とコモン側の数に応じて絶縁対策が施された電線通路が増加し、配線通路が形成される部品の構造が複雑になるという問題がある。
【0009】
この発明の目的は、電流回路(高周波回路)から所定の電流が供給されるコイルを有する定着装置において、コイルとこの回路とを接続する引き出し線の配線構造を簡略化できる加熱装置および定着装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、第1の電力が供給される第1のコイルと、前記第1の電力と異なる第2の電力が供給される第2のコイルと、少なくとも3以上の溝を有し、前記第1のコイルと前記第2のコイルを保持する棒状の保持部材と、中空円筒状または無端ベルト状であって、円筒状である場合はその周面、またはベルト状である場合には、ベルト面が所定の速度で移動可能に形成され、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルからの誘導加熱により発熱し、熱溶融性の物質および上記熱溶融性の物質を保持している基材に所定の熱を供給可能な加熱部材と、前記加熱部材に所定の圧力を提供可能な加圧部材とを有し、前記第1のコイルと前記第2のコイルに同じ電圧レベルの電力を供給する電線は、前記保持部材の同じ溝に配置されることを特徴とする定着装置を提供するものである。
【0011】
また、この発明は、軸方向に延びた複数本の溝を有する芯材と、外面と内面を有し、前記芯材の外側に前記軸方向に所定の長さが与えられた複数のコイル保持体と、このコイル保持体の上記外面に所定方向に巻きつけられ、所定周波数の電圧および電流が供給されることで、磁界を発生するとともに、一端が前記芯材の任意の溝を通じて電源部と接続され、他端が前記芯材の残りの溝を通じて電源部と接続されるコイル体と、このコイル体の外周に、前記コイル体により提供される磁界に応じて渦電流が生じるように位置された金属体とを有する加熱装置と、前記コイル体に前記所定の周波数の電圧および電流を供給する電源装置と、前記金属体に所定の圧力を提供可能な加圧部材とを有することを特徴とする定着装置を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、画像形成装置としての複合型電子複写機1の一例を示している。複合型電子複写機1の上面部には、原稿Dがセットされる原稿台(ガラス板)2が設けられている。原稿台2に沿って移動可能に設けられたキャリッジ4の照明露光ランプ5からの照明光により、原稿台2に載置されている原稿Dが照明される。
【0014】
原稿Dからの反射光は、例えばCCD(charge coupled device)に代表される光電変換素子10により光電変換される。これにより、原稿Dの画像情報に対応した画像信号が得られる。CCD10から出力される画像信号は、画像処理部でデジタル信号に変換され、さらに所定の画像処理が施されて、レーザユニット27に供給される。レーザユニット27により、画像処理部で画像処理された出力信号に応じてレーザビームBが、以下に説明する感光体20に照明される。
【0015】
複写機1内の所定の位置には、感光体ドラム20が帯電された状態で光が照射されることで、潜像を保持できるように設けられている。感光体ドラム20の周囲には、帯電器21、現像ユニット22、転写器23、剥離器24、クリーナ25、及び除電器26等が順次に設けられている。以下、詳述しないが、レーザユニット27からのレーザビームBにより感光体ドラム20に潜像が形成される。感光体ドラム20に形成された潜像は、現像ユニットより選択的に供給されるトナーにより現像され、所定のタイミングで供給されるコピー用紙に転写される。コピー用紙に転写されたトナーは、後述する定着装置100により、コピー用紙に定着される。
【0016】
図2は、定着装置100の一例を示している。
【0017】
定着装置100は、コピー用紙Sのトナーが付着している面に接触可能で、トナーTおよび用紙Sを加熱する加熱ローラ101と、加熱ローラ101に所定の圧力を与える加圧ローラ102とが設けられている。加熱ローラ101と加圧102との接触部は、ニップ幅と呼ばれる弾性変形領域を呈する。
【0018】
加熱ローラ101は、例えば鉄などの導電性材料が円筒状に形成されたローラ体の外周面に、例えば、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂などを被覆されたものである。加熱ローラ101は、図示しない駆動モータなどにより矢印方向(この例ではCW方向)に回転される。加圧ローラ102は、加熱ローラ101と接触されることで矢印方向(この例ではCCW方向)に回転される。
【0019】
加熱ローラ101と加圧ローラ102との接触部に案内されたコピー用紙Sは、加熱ローラ101から熱を受けることにより、コピー用紙S上の現像剤像Tが溶融され、加圧ローラ102からの圧力によりコピー用紙Sに定着される。
【0020】
加熱ローラ101の周囲には、コピー用紙Sを加熱ローラ101から剥離するための隔離爪103、上記加熱ローラ101上に残るトナー及び紙屑等を除去するためのクリーニング部材104、上記加熱ローラ101の表面に離型剤を塗布するための塗布ローラ105とが配設されている。
【0021】
加熱ローラ101の内部には、誘導加熱用のコイルユニット110が収容されている。コイルユニット110は、コイル111としての電線が周面に巻かれたコイルボビン110Aと、そのコイルボビン110Aを保持する保持部材110Bとにより構成される。コイルボビン110Aは、コイル111が複数のコイルからなる場合、コイルの数に応じた複数のコイルボビン110A(110A1、…)で構成するようにしても良い。コイルユニット110の個々のコイルに、後述する回路により高周波電力が与えられることで、誘導加熱用の高周波磁界が得られる。この高周波磁界が発せられることにより、加熱ローラ101に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で加熱ローラ101から所定の熱が発生される。
【0022】
図3は、複合型電子複写機の制御回路を示すものである。図3から明らかなように、メインCPU50には、制御プログラム記憶用のROM51、データ記憶用のRAM52、画素カウンタ53、画像処理部55、ページメモリコントローラ56、ハードディスクユニット58、ネットインタフェース59、及びFAX送受信ユニット60等が接続されている。また、メインCPU50には、スキャンCPU70、コントロールパネルCPU80、及びプリントCPU90等が接続されている。
【0023】
メインCPU50は、スキャンCPU70、コントロールパネルCPU80、及びプリントCPU90を統括的に制御するもので、コピーキーの操作に応じたコピーモードの制御手段、ネットインタフェース59への画像入力に応じたプリンタモードの制御手段、及びFAX送受信ユニット60での画像受信に応じたファクシミリモードの制御手段として機能する。
【0024】
ページメモリコントローラ56は、ページメモリ57に対する画像データの書込み及び読み出しを制御する。また、画像処理部55、ページメモリコントローラ56、ページメモリ57、ハードディスクユニット58、ネットインタフェース59、及びFAX送受信ユニット60とは、画像データバス61により相互に接続されている。
【0025】
ネットインタフェース59は、外部機器から伝送されてくる画像(画像データ)が入力されるプリンタモード用の入力部として機能する。このネットインタフェース59には、LANあるいはインターネットなどの通信ネットワーク201が接続され、その通信ネットワーク201に外部機器、例えば複数台のパーソナルコンピュータ202が接続されている。これらパーソナルコンピュータ202は、コントローラ203、ディスプレイ204、操作ユニット205などを備えている。
【0026】
FAX送受信ユニット60は、電話回線210に接続されており、その電話回線210を介してファクシミリ送信されてくる画像(画像データ)を受信するファクシミリモード用の受信部として機能する。
【0027】
スキャンCPU70には、制御プログラム記憶用のROM71、データ記憶用のRAM72、CCD10の出力を処理して画像データバス61に供給する信号処理部73、CCDドライバ74、スキャンモータドライバ75、露光ランプ5、自動原稿送り装置40、及び、複数の原稿センサ11などが接続されている。
【0028】
CCDドライバ74は、CCD10を駆動する。スキャンモータドライバ75は、キャリッジ駆動用のスキャンモータ76を駆動する。自動原稿送り装置40は、トレイ41にセットされる原稿D及びそのサイズを検知するための原稿センサ43を有している。
【0029】
コントロールパネルCPU80には、コントロールパネルのタッチパネル式液晶表示部14、テンキー15、オールリセットキー16、コピーキー17、及びストップキー18とが接続されている。
【0030】
プリントCPU90には、制御プログラム記憶用のROM91、データ記憶用のRAM92、プリントエンジン93、用紙搬送ユニット94、プロセスユニット95、定着装置100とが接続されている。プリントエンジン93は、レーザユニット27及びその駆動回路などにより構成されている。用紙搬送ユニット94は、給紙カセット30からトレイ38にかけての用紙搬送機構及びその駆動回路などにより構成されている。プロセスユニット95は、感光体ドラム20及びその周辺部などにより構成されている。
【0031】
プリントCPU90及びその周辺構成を主体にして、画像処理部55で処理された画像を用紙Pにプリントするプリント部が構成されている。
【0032】
図4は、定着装置100の電気回路の構成例を示すものである。
【0033】
加熱ローラ101内のコイルユニット110は、複数のコイルからなるコイル111を有しているものとする。図4に示すように、本実施の形態に適用可能なコイル111は、3つのコイル111a,111b,111cを有する。コイル111aは、加熱ローラ101の中央部に、コイル111b,111cは、加熱ローラ101内のコイル111aを挟む両側位置に、それぞれ配置される。これらコイル111a,111b,111cは、高周波発生回路120に接続されている。
【0034】
また、加熱ローラ101の中央部には、温度センサ112が設けられている。温度センサ112は、加熱ローラ101の中央部の温度を検知する。また、加熱ローラ101の一端部には、温度センサ113が設けられている。温度センサ113は、加熱ローラ101の一端部の温度を検知する。これらの温度センサ112,113は、加熱ローラ101を回転するための駆動ユニット160と共に、プリントCPU90に接続されている。
【0035】
プリントCPU90は、駆動ユニット160を制御する機能に加え、コイル111aを構成要素とする後述する第1共振回路(出力電力P1)の動作、及びコイル111b,111cを構成要素とする後述する第2共振回路(出力電力P2)の動作を指定するためのP1/P2切替信号を発する機能、各共振回路の出力電力、温度センサ112,113の検知温度に応じて制御する機能を備えている。
【0036】
高周波発生回路120は、高周波磁界発生用の高周波電力を発生するもので、整流回路121及びこの整流回路121の出力端に接続されたスイッチング回路122を備えている。整流回路121は、商用交流電源130の交流電圧を整流する。スイッチング回路122は、コイル111aにより第1共振回路を形成し、コイル111b,111cにより第2共振回路を形成している。また、第1共振回路及び第2共振回路は、スイッチング回路122内に設けられた図示しないスイッチング素子(例えば、FET等のトランジスタ)により選択的に励起される。
【0037】
第1共振回路は、コイル111aのインダクタンス及びスイッチング回路122内のコンデンサ(図示しない)の静電容量等により定まる共振周波数f1を有している。第2共振回路は、コイル111b及び111cのインダクタンス及びスイッチング回路122内のコンデンサ(図示しない)の静電容量等により定まる共振周波数f2を有している。
【0038】
スイッチング回路122は、プリントCPU90からのP1/P2切替信号に従い、コントローラ140によりオン,オフ駆動される。コントローラ140は、発振回路141及びCPU142を備えている。発振回路141は、スイッチング回路122に対する所定周波数の駆動信号を発する。CPU142は、発振回路141の発振周波数(駆動信号の周波数)を制御するものである。
【0039】
次に、定着装置100の電気回路の作用について説明する。
第1共振回路の共振周波数f1と同じ周波数の駆動信号が発振回路141から発せられると、その駆動信号によりスイッチング回路122がオン,オフされ、第1共振回路が励起される。この励起により、コイル111aから高周波磁界が発生し、その高周波磁界によって加熱ローラ101の軸方向中央部に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で加熱ローラ101の軸方向中央部から所定の熱が発生される。
【0040】
第2共振回路の共振周波数f2と同じ周波数の駆動信号が発振回路141から発せられると、その駆動信号によりスイッチング回路122がオン,オフされ、第2共振回路が励起される。この励起によりコイル111b,111cから高周波磁界が発生し、その高周波磁界によって加熱ローラ101の軸方向両側部に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で加熱ローラ101の軸方向両側部から所定の熱が発生される。
【0041】
図5は、図2に示す定着装置に組み込まれる第1共振回路の出力電力P1と第1共振回路を励起する周波数との関係、及び図2に示す定着装置に組み込まれる第2共振回路の出力電力P2と第2共振回路を励起する周波数との関係を示す図である。
【0042】
図5に示すように、第1共振回路の出力電力P1は、その第1共振回路の共振周波数f1と同じ周波数で励起される場合にピークレベルとなり、励起される周波数が共振周波数f1から離れるに従って山なりに徐々に減少するパターンとなる。
【0043】
同様に、第2共振回路の出力電力P2は、その第2共振回路の共振周波数f2と同じ周波数で励起される場合にピークレベルとなり、励起される周波数が共振周波数f2から離れるに従って山なりに徐々に減少するパターンとなる。
【0044】
大きいサイズの用紙Sに対する定着に際しては、第1及び第2共振回路が共に励起され、全てのコイル111a,111b,111cから高周波磁界が発せられる。この高周波磁界により加熱ローラ101の全体に渦電流が生じ、その渦電流によるジュール熱で加熱ローラ101の全体から所定の熱が発生される。
【0045】
次に、コイルユニット110の構成について説明する。
【0046】
はじめに、図6および図8を用いて、本実施の形態に適用可能なコイルユニット110の一例を説明する。
【0047】
図6(a)に示されるように、コイルユニット110は、コイルボビン110Aa,110Abおよび110Acにそれぞれ所定の断面積の電線が巻かれているコイル111a,111bおよび111cを有する。コイルボビン110Aaは、両端のコイルボビン110Abおよび110Acより長手方向に長く形成されている。すなわちコイル111aの巻き数はコイル111bまたは111cの巻き数より多く、この例では2倍である。
図6(b)に示されるように、コイル111aの端部P2,111bの端部P3、および111cの端部P6は接続部C11に、コイル111aの端部P11は端子P11に、コイル111bの端部P1、および111cの端部P5は、接続部P12にそれぞれ接続される。接続部C11には、出力電力P1,P2の低電圧(コモン)側の同一レベルの電力(すなわち電圧と電力の積)が供給される。また、接続部P11,P12には、それぞれ出力電力P1,P2の高電圧側の電力が供給される。
【0048】
それぞれのコイル111a,111bおよび111cは、図8に示されるようなコイルボビン251により、一体的に組み立てられている。
【0049】
図8(a)に示すように、コイルボビン251は、所定の中空部を有する円筒形状であり、周面のうち電線が巻かれる表面部表面部252と、表面部252の両端に形成される縁部253,254とを有する。縁部253には、表面部252と中空部との間に電線を通すために利用される配線用の切り欠き部255a,255bが形成されている。また、縁部254には、切り欠き256が形成されている。なお、コイルボビン251の縁部253,254には、各表面部に巻きつけられる電線がボビンから外れることを防止するフランジ部が形成されてもよい。
【0050】
コイルボビン251は、中空部に挿入可能な保持部材260により保持される。図8(b)に示すように、保持部材260は、それぞれ切り欠き部255a,255bおよび256からの電線すなわちコイル111a,111bおよび111cの端部P1ないしP6である引き出し線(接続部に接続される)を収容可能に形成される溝部261,262および263を有する。溝部261,262および263は、それぞれ所定の断面積を有し、それぞれの内部に電線を収容した状態で、コイルボビン251と保持部材260との間に所定の空間を維持できる。なお、溝部263は、溝部261,262より大きい断面積を有し、溝部261と溝部262は、概ね等しい断面積を有している。
【0051】
コイルユニット110では、接続部C11,P11,P12を、それぞれ保持部材260の溝部263,261,262から引き出すことができる。
【0052】
詳細に説明すると、コイル111aの端部P4(ここでは、高電圧側とする)は、切り欠き部255aにより中空部に案内され、溝部261を通って接続部P11に接続される。また、コイル111bの端部P1,111cの端部P5(ここでは、高電圧側とする)は、切り欠き部255bにより中空部に案内され、溝部262を通って接続部P12に接続される。これに対し、コイル111aの端部P5,111bの端部P1および111cの端部P5(すなわち、各コイルの低電圧(コモン)側)は、切り欠き部256により中空部に案内され、溝部263を通って接続部C11に接続される。
【0053】
次に、図7および図8を用いて、図2に示されるコイルユニット110に適用可能な他の例を説明する。
【0054】
図7(a)に示されるように、コイルユニット210は、長手方向に配置された複数のコイルを有する。例えば、コイルユニット210は、コイルボビン221CBないし232CBにそれぞれ所定の電線が巻かれている12個のコイル221ないし232を有する。保持部材220Bにより所定の配列で保持されるコイル221ないし232は、複写装置1に要求される仕様や入力可能な電力の大きさに応じて、所定のコイルグループに分けられ接続される。
【0055】
図7(b)に示されるように、コイル221ないし232は、例えば、それぞれ3つのコイルが並列接続される4つのコイルコイルグループP(コイル221−223),Q(コイル224−226),R(コイル227−229),S(コイル230−232)に分けられる。コイルグループPは、端部P21およびP22を、コイルグループQは、端部P23およびP24を、コイルグループRは、端部P25およびP26を、コイルグループSは、端部P27およびP28を、それぞれ有する。
【0056】
図7(c)に示されるように、コイルグループQ,Rは第1のコイルグループとして接続され、コイルグループP,Sは第2のコイルグループとして接続されている。第1,2のコイルグループには同じ大きさの電力あるいは大きさの異なる電力が供給される。第1,2のコイルグループに供給される電力のうち、(すなわち、コモンと呼称される)低電圧側の値が同一である。このため、接続部C31には、コイルグループP,Q,R,Sのそれぞれの端部P22,P23,P26,P27が接続される。なお、図7(c)を用いて上に説明したように、端部P22,P23は、互いに隣接するコイル223,224により発生される磁界の影響を考慮して、同一レベルの電力が供給されるように接続されている。同様に影響を考慮して、端部P26,P27は、互いに隣接するコイル229,230により発生する磁界の影響を考慮して、同一レベルの電力が供給されるように接続されている。
【0057】
また、第1のコイルグループであるコイルグループQ,Rの端部P24,P25は、接続部P31に接続される。接続部P31には、第1のコイルグループに供給される電力のうちの高電圧側の電力が供給される。同様にして、第2のコイルグループであるコイルグループP,Sの端部P21,P28は、接続部P32に接続される。接続部P32には、第2のコイルグループに供給される電力の高電圧側の電力が供給される。なお、図7(c)を用いて上に説明したように、端部P24,P25は、互いに隣接するコイル226,227により発生される磁界の影響を考慮して、同一レベルの電力が供給されるように接続されている。
【0058】
それぞれのコイル221ないし232は、図8を用いて上に説明したコイルボビン251により、一体的に組み立てられる。
【0059】
このコイルボビン251と保持部260を利用したコイルユニット220では、接続部C31,P31,P32を、それぞれ保持部材260の溝部263,261,262から引き出すことができる。
【0060】
詳細に説明すると、コイルグループQにおいて、図7(b)に示される端部P24である224,225,226の一端(ここでは、高電圧側とする)は、切り欠き部255aにより中空部に案内され、溝部261を通って接続部P31に接続される。同様にしてコイルグループRの端部P25であるコイル227,228,229の一端(ここでは、高電圧側とする)は、切り欠き部255aにより中空部に案内され、溝部261を通って接続部P32に接続される。
【0061】
また、コイルグループPの端子P21であるコイル221,222,223の一端(ここでは、高電圧側とする)は、切り欠き部255aにより中空部に案内され、溝部261を通って接続部P31に接続される。同様にしてコイルグループSの端部P28であるコイル230,231,232の一端(ここでは、高電圧側とする)は、切り欠き部255aにより中空部に案内され、溝部261を通って接続部P32に接続される。
【0062】
これに対し、コイル221ないし232の他の一端(すなわち、各コイルの低電圧(コモン)側)は、切り欠き部256により中空部に案内され、溝部263を通って接続部C31に接続される。
【0063】
従って、コイルユニット220では、それぞれ同一レベルの電力が供給される電線を、同じ溝部に収納したことにより、例えば磁界の影響等を考慮することなく、高周波電力が供給できる。
【0064】
さらに、図8に示す保持部材260を利用することにより、複数のコイルを有するコイルユニット220の構成が簡素化されるため、配線操作(作業)が容易である。
【0065】
また、上に説明したように、第1,2のコイルグループの低電圧(コモン)側の電力が供給される電線を溝部263にまとめて(一括して)配置したことで、コイルユニット220が小型化・簡素化される。
【0066】
このとき、保持部材260には、それぞれのコイルに順次あるいは同時に所定の電力が供給されることで、順次あるいは同時に発熱するコイルグループの数をAと定義すると、これらコイルの電線が配置される電線通路である溝部の数は、A+1以上である。第1,2のコイルグループとして接続されたコイルユニット220においては、コイルグループの数Aは、A=2であるから、3つの溝部261ないし263を含む保持体260において、前記A+1が成り立つ。
【0067】
次に、図7および図9を用いて、図2に示されるコイルユニット110に適用可能な異なる他の例を説明する。
【0068】
図7(b)に示される4つのコイルコイルグループP,Q,R,Sにおいて、コイルグループP,Qは第1のコイルグループとして接続され、コイルグループRは第2のコイルグループとして接続される。従って、コイルグループSは第3のコイルグループとなる。第1,2および3のコイルグループは、それぞれ高電圧側のレベルが異なり、低電圧(コモン)側のレベルが同じ電力が供給される。つまり、それぞれのコイルグループP,Q,R,Sのそれぞれの端部P22,P23,P26,P27には、同一レベルの低電圧側の電力が供給される。また、コイルグループP,Qの端部P21,P24には第1のコイルグループの高電圧側の電力が供給され、コイルグループRの端部P25には第2のコイルグループの高電圧側の電力が供給され、コイルグループSの端部P28には第3のコイルグループの高電圧側の電力が供給される。なお、第1のコイルグループと第2のコイルグループに供給される電力の高電圧側のレベルは実質的に同じレベルであってもよい。
【0069】
それぞれのコイル221ないし232は、図9に示されるようなコイルボビン281により、一体的に組み立てられている。
【0070】
図9(a)に示すように、コイルボビン281は、所定の中空部を有する円筒形状であり、周面のうち電線が巻かれる表面部282と、表面部282の両端に形成される縁部283,284とを有する。縁部283には、切り欠き部285a,285bおよび285cが形成される。また、縁部284には、切り欠き部286が形成される。なお、コイルボビン281の縁部283,284には、各表面部に巻きつけられる電線がボビンから外れることを防止するフランジ部が形成されてもよい。
【0071】
コイルボビン281は、中空部に挿入可能な保持部材290により保持される。図9(b)に示すように、保持部材290は、それぞれ切り欠き部285a,285b,285cおよび286から電線すなわちコイル221ないし232の端部P21およびP28である引き出し線を収容可能に形成される溝部291,292,293および294を有する。溝部291,292,293および294は、それぞれ所定の断面積を有し、それぞれの内部に電線を収容した状態で、コイルボビン261と保持部材290との間に所定の空間を維持できる。なお、溝部294は、溝部291,292および293より大きい断面積を有し、溝部291,292および293は、概ね等しい断面積を有している。
【0072】
このコイルボビン281と保持部290を利用した図7(a)に示すコイルユニット220は、コイル221ないし232の電線を、それぞれ保持部材290の溝部291,292,293および294から引き出すことができる。
【0073】
詳細に説明すると、コイルグループPにおいて、図7(b)に示される端部P21であるコイル221,222,223の一端(ここでは、高電圧側とする)は、切り欠き部285aにより中空部に案内され、溝部291を通って第1のコイルグループに供給される電力の高電圧側のレベルの電力が供給される接続部(高電圧側接続部)に接続される。同様にして、コイルグループQの端子P24であるコイル224,225,226の一端(ここでは、高電圧側とする)は、切り欠き部285aにより中空部に案内され、溝部281を通って第1のコイルグループの高電圧側の接続部に接続される。
【0074】
また、コイルグループRの端部P25であるコイル227,228,229の一端(ここでは、高電圧側とする)は、切り欠き部285bにより中空部に案内され、溝部292を通って第2のコイルグループに供給される電力の高電圧側の接続部に接続される。
【0075】
さらに、コイルグループSの端部P28を構成するコイル230,231,232の一端は、切り欠き部285cにより中空部に案内され、溝部293を通って第3コイルグループに供給される電力の高電圧側の接続部に接続される。
【0076】
従って、コイルユニット220では、それぞれ同一レベルの電力が供給される電線を、同じ溝部に収納したことにより、例えば磁界の影響等を考慮することなく、高周波電力が供給できる。なお、第1,2および3のコイルグループとして接続されたコイルユニット220においては、コイルグループの数Aは、A=3であるから、前に説明したように、“A+1=4”以上であればよい。
【0077】
なお、図9に示されるコイルボビン281と保持部材290を利用したコイルユニット220は、上に説明するコイルグループおよび供給される電力に限られず、供給される電力のレベルに応じて溝部に配線される組み合わせが選択される。例えば、高電圧側の電圧レベルが異なる場合、すなわち、それぞれのコイルグループに独立した大きさの電力が供給される場合に、特に有益である。
【0078】
図10は、図8および図9に示した保持部材260と組み合わせられるためのコイルボビンの一例を説明する斜視図である。
【0079】
図10(a)に示されるように、コイルボビン310は、所定の中空部を有する円筒形状であり、外周面のうち電線が巻かれる表面部311と、表面部311の一方の縁部に形成される切り欠き部312a,312bを含む切り欠き部312と、表面部311の他の一方の縁部に形成される切り欠き部313とを有する。また、コイルボビン310の中空部側の内周面には、保持部材260の溝部の形状に応じて形成される凸部315,316および317が設けられる。凸部315,316および317は、保持部材260上で矢印MあるいはNで示される方向に移動することを抑止する機能を有している。また、凸部315,316および317は、保持部材260に保持された際、それぞれ溝部に配置される電線と表面部に巻かれている電線とが一定の距離を保持するように、任意な形状に形成できる。さらに、凸部315,316および317は、表面部に巻かれている電線の端部がコイルボビンの中空部に案内されるため、縁部から所定の距離に離れたコイルボビン内周面において長手方向に形成できる。
【0080】
凸部315,316は、保持される際、図10(c)により説明する保持部材260のコイルボビンガイド部264を挟むように位置される。また、凸部317は、保持される際、溝部263の開口部に挟まれるように位置される。よって、コイルボビン312は、保持部材260の溝部に沿って長手方向に移動できる。
【0081】
なお、図10(d)に示されるように、保持部材260は、ストッパ301が設けられ、コイル310が保持部材260の長手方向に移動すること抑止される。
【0082】
次に、図10(b)を用いて、保持部材260と組み合わせられるためのコイルボビンの他の例を説明する。
【0083】
図10(b)に示されるように、コイルボビン320は、所定の中空部を有する円筒形状であり、外周面のうち電線が巻かれる表面部321と、外周面のうち表面部321の一方の端に形成される穴322a,322bを含む穴部322と、外周面のうち表面部321の他の一方の端に形成される穴323とを有する。穴322a,322bおよび323は、表面部321と中空部との間に電線を通すために利用され、それぞれの穴322a,322bおよび323に電線を通した状態で、表面部321に巻きつけられる電線がボビンから外れることを防止できる。
【0084】
また、コイルボビン320の中空部側の内周面には、図10(a)を用いて説明したコイルボビン311に形成される凸部315,316および317と同じ機能を有する凸部325,326および327が設けられる。
【0085】
図11(a),(b)は、図10(a),(b)に説明したコイルボビン310,320の長手方向の断面図であって、以下、コイルボビン310,320に巻かれるコイルの配線について説明する。
【0086】
図11(a)に示されるように、コイルボビン310は、表面部311に巻かれた電線314を有し、一方の端部314aを縁部に形成される切り欠き部312の切り欠き部312a,312bのいずれか一方により中空部に案内される。中空部に案内された一方の端部314a、および縁部に形成される切り欠き部313により案内される他の一方の端部314bは、所定の配線経路である溝部にそれぞれ引き出される。なお、コイルボビン310の縁部の両側あるいは一方側には、表面部に巻かれる電線を保持するフランジ部が形成されてもよい。
【0087】
図11(b)に示されるように、コイルボビン320は、表面部321に巻かれた電線324を有し、一方の端部324aを外周面のうち表面部321の一方の端に形成される穴部322の穴322a,322bのいずれか一方を通して中空部に案内される。中空部に案内された一方の端部324a、および縁部に形成される穴323を通して案内される他の一方の端部324bは、所定の配線経路である溝部にそれぞれ引き出される。このため、端部324a,324bは、それぞれの穴322a,322bおよび323に通された状態で、中空部から引き出され、電線は表面部321に巻きつけられた状態を維持できる。
【0088】
なお、コイルユニット110は、上に説明するコイルボビン251,281,310および320と保持部材260および290とを任意に組み合わせて、任意の配列で形成できる。
【0089】
図12は、図7(c)に示したコイルグループP,Q,RおよびSの接続、および図8(b)に示した保持体の位置関係をより詳細に説明する概略図である。
【0090】
図12に示される一点鎖線は、図8(b)の断面図に示した溝部263に該当する。よって、図7(c)を用いて上で説明したとおり、第1,2のコイルグループの低電圧(コモン)側の電力が供給される電線は、溝部263にまとめて(一括して)配置されている。
【0091】
また、図12に示されるように、コイル221ないし232がお互い隣接する端部においては、お互いに隣接するコイルにより発生する磁界の影響を考慮して、概ね等しいレベルの電力が供給される。この場合、コイル221ないし232は、図7(c)における矢印Fの方向から見て、お互いに隣接するコイルの巻き方向が異なるように配置されることによって、同じ方向に電流が流れる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、絶縁対策が施された電線通路が引き出し線に供給される電流に応じて形成されるため、コイルに電流を供給する回路との接続を簡略化できる。
【0093】
また、供給される電力に応じて形成される電線通路に、低電圧(コモン)側の電力が供給される電線をまとめて(一括して)配置したことで、コイルユニット220を小型化・簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の定着装置が組み込まれる画像形成装置としての複合型電子複写機の一例を説明する概略図。
【図2】図1に示した複合型電子複写機に利用可能な定着装置の一例を説明する概略図。
【図3】図1に示した複合型電子複写機の制御系を説明するブロック図。
【図4】図2に示した定着装置の制御系を説明するブロック図
【図5】図5は、図2に示す定着装置に組み込まれる第1共振回路の出力電力P1と第1共振回路を励起する周波数との関係、及び図2に示す定着装置に組み込まれる第2共振回路の出力電力P2と第2共振回路を励起する周波数との関係を示す図である。
【図6】本実施の形態に適用可能なコイルユニットの一例を説明する概略図。
【図7】本実施の形態に適用可能なコイルユニットの他の例を説明する概略図。
【図8】図6および図7に示したコイルユニットに組み込まれるコイルボビンおよび保持部材の一例を説明する斜視図。
【図9】図6および図7に示したコイルユニットに組み込まれるコイルボビンおよび保持部材の他の例を説明する斜視図。
【図10】図8および図9に示した保持部材260と組み合わせられるためのコイルボビンの一例を説明する斜視図である。
【図11】図10(a),(b)に説明したコイルボビン310,320の長手方向の断面図。
【図12】図7(c)に示したコイルの接続をより詳細に説明する概略図。
【符号の説明】100・・・定着装置、101・・・加熱ローラ、102・・・加圧ローラ、110・・・コイルユニット、110A・・・コイルボビン、110B・・・保持部材。
Claims (8)
- 第1の電力が供給される第1のコイルと、
前記第1の電力と異なる第2の電力が供給される第2のコイルと、
少なくとも3以上の溝を有し、前記第1のコイルと前記第2のコイルを保持する棒状の保持部材と、
中空円筒状または無端ベルト状であって、円筒状である場合はその周面、またはベルト状である場合には、ベルト面が所定の速度で移動可能に形成され、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルからの誘導加熱により発熱し、熱溶融性の物質および上記熱溶融性の物質を保持している基材に所定の熱を供給可能な加熱部材と、
前記加熱部材に所定の圧力を提供可能な加圧部材とを有し、
前記第1のコイルと前記第2のコイルに同じ電圧レベルの電力を供給する電線は、前記保持部材の同じ溝に配置されることを特徴とする定着装置。 - 前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、前記棒状の保持部材とは異なる複数の第2の保持部材に巻回され、
この第2の保持部材は、前記棒状の保持部材の外側に配置され、且つ、前記溝に対応する位置に前記電線を通す切り欠き部を有することを特徴とする請求項1記載の定着装置。 - 軸方向に延びた複数本の溝を有する芯材と、外面と内面を有し、前記芯材の外側に前記軸方向に所定の長さが与えられた複数のコイル保持体と、このコイル保持体の上記外面に所定方向に巻きつけられ、所定周波数の電圧および電流が供給されることで、磁界を発生するとともに、一端が前記芯材の任意の溝を通じて電源部と接続され、他端が前記芯材の残りの溝を通じて電源部と接続されるコイル体と、このコイル体の外周に、前記コイル体により提供される磁界に応じて渦電流が生じるように位置された金属体とを有する加熱装置と、
前記コイル体に前記所定の周波数の電圧および電流を供給する電源装置と、
前記金属体に所定の圧力を提供可能な加圧部材と
を有することを特徴とする定着装置。 - 前記コイル体は、偶数であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
- 前記コイル体は、所定個数ごとに同一回路であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
- 前記芯材の上記溝は、上記回路数+1であることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
- 上記同一回路のコモン側がセットされる溝の断面積は、残りの溝の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
- 上記同一回路の非コモン側がセットされる溝は、回路ごとに独立していることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
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