JP2004294252A - 溶融用キャニスタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放射性雑固体廃棄物を溶融固化処理するための溶融用キャニスタの上部開口縁に、内庇部2を形成する溢流防止リング3を設ける。溢流防止リング3はキャニスタ上部開口縁に接着または嵌め込みにより取り付けた構造とすることができる。また溢流防止リング3の材質は溶融温度に耐えうる材質であればよく、特にキャニスタと同材質とすれば、熱応力による割れを防止することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力施設から発生する放射性雑固体廃棄物を溶融固化処理するために使用される溶融用キャニスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特許第3096184号公報
【0003】原子力発電所その他の原子力施設から発生する金属、コンクリート、ガラスなどの放射性雑固体廃棄物は、従来から高周波誘導加熱炉において溶融されたうえ固化処理されており、このためにセラミックス製のキャニスタが用いられている。放射性雑固体廃棄物はキャニスタ内で1400〜1500℃程度の高温で溶融処理されるが、放射性雑固体廃棄物中に低沸点成分が含まれていると、キャニスタ内の溶湯に投入したときに気化して発泡し、溶湯面が暴れる場合がある。このときには図5に示されるように溶湯表面に多量の跳ね散りが生じ、キャニスタ外部に溢流するおそれがある。このような溢流が生じるとキャニスタの昇降部分に付着して昇降が円滑に行えなくなったり、炉内に放射性物質が付着するという問題を招く。なお低沸点成分の代表的なものは沸点が約930℃の亜鉛であり、亜鉛めっきされた鉄製品に多く含まれている。
【0004】このため多量の低沸点物質を含む放射性雑固体廃棄物を処理する場合には、溶湯面が一時的に上昇したときにも跳ね散りによる溢流が生じないようキャニスタに投入する放射性雑固体廃棄物を少なめにするか、低沸点物質を前処理して完全に除去する必要があった。しかし放射性雑固体廃棄物の投入量を減少させると容積効率が低下するという問題がある。また、前処理工程において完全に低沸点廃棄物を除去することは難しいという問題があった。
【0005】そこで前記の特許文献1には、放射性雑固体廃棄物について低沸点物質を含んだ固体廃棄物とそれ以外の固体廃棄物に分別したうえ溶融処理させる方法が記載されている。しかしこの方法では、完全に除去できなかった低沸点成分による溶湯溢流を防止できないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来の問題点を解決し、低沸点物質を含む放射性雑固体廃棄物を溶融処理する場合にも、キャニスタからの溢流を防止することができ、従ってキャニスタへの投入量を下げる必要がなく、また前処理により除去できなかった低沸点成分が混入した場合についても安定した処理が可能な溶融用キャニスタを提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するためになされた本発明は、放射性雑固体廃棄物を溶融固化処理するための溶融用キャニスタにおいて、キャニスタ上部開口縁に内庇部を形成する溢流防止リングを設けたことを特徴とするものである。この溢流防止リングをキャニスタ上部開口縁に接着または嵌め込みにより取り付けた構造とすることができ、材質としては溶融温度に耐えうる材質であればよく、特に熱応力を抑制するために溢流防止リングをキャニスタと同材質とすることが好ましい。
【0008】本発明の溶融用キャニスタは、上部開口縁に溢流防止リングを設けたため、低沸点物質を含む放射性雑固体廃棄物を溶融処理する際に溶湯面が一時的に上昇して暴れても、跳ね散った溶湯の飛散を溢流防止リングで防止することができる。このため通常の放射性雑固体廃棄物を溶融処理する場合と同様に、溶融処理が可能となる。この溢流防止リングは接着または嵌め込みによって容易に取り付けることができ、材質は溶融温度に耐えうるものであればどのような材質を用いてもよいが、特にキャニスタと同材質としておけば熱膨張差による割れが生じることもない。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】図1において、1は高周波による誘導加熱ができる導電性セラミックスよりなるキャニスタである。該キャニスタ1はカーボンを含有させたアルミナ系またはジルコニア系などのセラミックスよりなり、例えば直径480mm、厚み30mmのものである。キャニスタ1の上部開口縁には、水平な内庇部2を形成する溢流防止リング3が設けてある。図1における溢流防止リング3は厚みを例えば10mmとした平板リング状のもので、内庇部2はキャニスタ1の内側に25mm程度張出すようになっている。この溢流防止リング3は、溶融温度に耐えうる材質であれば問題ないが、特に、キャニスタ1と同材質としておけば、熱膨張率が等しくなるため、加熱時の熱応力による亀裂発生や破損を防止することができる。図1の溢流防止リング3は、接着剤によりキャニスタ1の上部開口縁に接着されている。
【0010】図1の溢流防止リング3は平板リング状のものであるが、図2に示されるように数十mmの高さを持たせて内庇部2の内側を上向き傾斜面としてもよい。内庇部2を上向き傾斜面とすることにより、溶湯の跳ね散り方向を内向きに変えることができるので、跳ね散りが溢流防止リング3上に落ちることがなくなり、キャニスタ1の外部への溢流をより確実に防止できることとなる。このため内庇部2を上向き傾斜とした溢流防止リング3の場合は、内庇部2を若干小さくすることができる。
【0011】なお、溢流防止リング3の高さを高くし過ぎると溶融時に必要な上部クリアランスが確保できなくなる。また溢流防止リング3はキャニスタ1から取り外されることなくそのままドラム缶に収納して保管されるため、溢流防止リング3の高さを高くし過ぎると切断等の作業が必要となる。溢流防止リングの高さは、炉内上部クリアランス、並びにドラム缶高さとの関係から設定する必要がある。
【0012】図2の溢流防止リング3も接着剤によりキャニスタ1の上部開口縁に接着されているが、図3に示すように溢流防止リング3にキャニスタ1の開口縁内周に嵌りこむ段部4を設けておき、嵌めこみ式とすることもできる。この場合には接着工程が不要となる。ただしキャニスタ1の開口縁内周に嵌め込むと外径が大きくなってドラム缶に収納しにくくなるため、図3のように内周嵌めこみ型とすることが好ましい。
【0013】次に、図4に示す高周波溶融炉10による放射性雑固体廃棄物の溶融処理方法を説明する。先ず、図4に一点鎖線で示されるように、下降位置にある昇降台11上にキャニスタ1を載置したうえ、昇降装置を駆動して図4の実線で示されるようにキャニスタ1を炉本体12内に下方から挿入する。キャニスタ1内には予め所定量の放射性雑固体廃棄物が収納されている。
【0014】その後、誘導加熱コイル13に高周波電力を加えて導電性セラミックスよりなるキャニスタ1を1400〜1500℃に誘導加熱し、放射性雑固体を溶融させる。溶融に伴い液面が低下するので、廃棄物廃棄物投入口14を介してキャニスタ1内に放射性雑固体廃棄物を追加投入して溶融処理させる。このとき投入した放射性雑固体廃棄物に亜鉛等の低沸点物質が含まれていると、低沸点物質が溶湯内で気化して発泡し、キャニスタ1内の溶湯が一時的に上昇する。
【0015】この一時的な溶湯面の上昇時、溶湯表面では多量の跳ね散りが発生する。しかし外部に飛び出しやすいキャニスタ周縁部で生じる跳ね散りはキャニスタ1の開口上縁に設けた溢流防止リング3の内庇部2にぶつかって止められるので、跳ね散る溶湯がキャニスタ1の外部に溢流することは防止される。また図2、3に示されるような内庇部内側を上向き傾斜とした溢流防止リング3の場合、上向き傾斜の内庇部2は内庇部内側を水平としたものより、跳ね散る溶湯の方向を内側に向け、溢流をより的確に防止できることとなる。
【0016】このようにして溢流を防止しつつキャニスタ1内に放射性雑固体廃棄物を投入して溶融し、キャニスタ1内の溶湯面が所定のレベルに達したら、昇降台16を降下させて、支台23上からキャニスタ1を搬出する。前記したように、溢流防止リング3はキャニスタ1に取り付けられたままとする。搬出されたキャニスタ1は冷却されて溶湯を固化させ、ドラム缶内に収納してセメントモルタルが注入され、輸送及び貯蔵に適した安定した溶融固化体となる。
【0017】
【発明の効果】本発明は前記説明によって明らかなように、放射性雑固体廃棄物を溶融させる溶融炉に用いるキャニスタの上部開口縁に内庇部を形成する溢流防止リングを設けたことにより、溶湯内に投入された低沸点物質が気化して溶湯面の一時的な上昇が生じたり、溶湯表面からの跳ね散りが生じても、溢流を防止することができる。このためキャニスタへの収容量を減らす必要がない。放射性雑固体廃棄物前処理時に分別できなかった低沸点成分が混入した場合についても安定した処理が可能である。
【0018】また請求項2のように、溢流防止リングをキャニスタ上部開口縁に接着または内嵌めにより取り付ければ、キャニスタの製作コストが大幅に上昇することはなく、請求項3のように溢流防止リングを溶融温度に耐えうる材質であればどのような材質を用いてもよいので、コストや成形性等の条件下において最適な材質を選択することができる。特に請求項4のように溢流防止リングをキャニスタと同材質とすることにより、熱膨張率による亀裂や破損を的確に抑えることができる。従って、本発明は従来の問題点を解消した溶融用キャニスタとして業界の発展に寄与するところ大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す断面図である。
【図4】高周波溶融炉を示す一部切欠正面図である。
【図5】従来技術における溢流の発生を示す説明図である。
【符号の説明】
1 キャニスタ、2 内庇部、3 溢流防止リング、10 高周波溶融炉、11 昇降台、12 炉本体、13 誘導加熱コイル、14 廃棄物廃棄物投入口
Claims (4)
- 放射性雑固体廃棄物を溶融固化処理するための溶融用キャニスタにおいて、キャニスタ上部開口縁に内庇部を形成する溢流防止リングを設けたことを特徴とする溶融用キャニスタ。
- 溢流防止リングをキャニスタ上部開口縁に接着または嵌め込みにより取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の溶融用キャニスタ。
- 溢流防止リングを溶融温度に耐えうる材質としたことを特徴とする請求項1または2に記載の溶融用キャニスタ。
- 溢流防止リングをキャニスタと同材質としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の溶融用キャニスタ。
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JP2003086769A JP4001561B2 (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 溶融用キャニスタ |
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JP2003086769A Expired - Lifetime JP4001561B2 (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 溶融用キャニスタ |
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JP2007271184A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 燃焼炎のキャニスタ外周への回り込みを防止する溶融炉構造 |
JP2021028615A (ja) * | 2019-08-09 | 2021-02-25 | 株式会社神戸製鋼所 | 塊状金属物品の製造方法 |
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2003
- 2003-03-27 JP JP2003086769A patent/JP4001561B2/ja not_active Expired - Lifetime
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