JP2004293625A - 弁装置及びその異物除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】弁体と弁座との間で異物が噛み込まれた場合に、該異物を除去することができる弁装置を提供すること。
【解決手段】弁体34と弁座35とは、バネ収容孔36内に収容された付勢バネ39によって接離可能となっており、該付勢バネ39の付勢力は、スプール38及び作動ロッド40を介して、弁体34の弁開方向に作用する。スプール38には伝達部材としてのストッパ38aが形成されている。また、バネ収容孔36の開口には加圧機構としてのネジ機構42がネジ止めによって装着されている。
【選択図】 図2
【解決手段】弁体34と弁座35とは、バネ収容孔36内に収容された付勢バネ39によって接離可能となっており、該付勢バネ39の付勢力は、スプール38及び作動ロッド40を介して、弁体34の弁開方向に作用する。スプール38には伝達部材としてのストッパ38aが形成されている。また、バネ収容孔36の開口には加圧機構としてのネジ機構42がネジ止めによって装着されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、車両用空調装置の冷凍サイクルに用いられる容量可変型圧縮機の吐出容量を調節するための弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷凍サイクルを構成する容量可変型斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)に用いられる弁装置の弁体としては様々な形状のものがあり、球状の弁体を用いたタイプのものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、前記圧縮機は、斜板収容室たるクランク室の圧力を調節することで、吐出容量を変更可能である。圧縮機のクランク室と、冷凍サイクルの吸入圧領域とは、連通路を介して接続されている。
【0004】
前記弁装置は、連通路を開閉するため、球状の弁体と弁座とが接離可能となっている。前記弁体は、スプールを介して付勢バネにより常に弁座を閉鎖する方向に付勢されている。そして、前記弁装置は弁座に弁体が当接することで弁装置が閉塞されるとともに、弁体に作用するクランク室の圧力が所定値を超えると、該弁体が付勢バネに抗して連通路を開放する。従って、クランク室の圧力を吸入室に還元できる。よって、クランク室の圧力が過大に上昇することはなく、該圧力の過大な上昇に起因した、圧縮機や配管等の不具合を防止することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−164043号公報(公報中の第5図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記冷凍サイクルを流れる冷媒中には、異物が含まれている。従って、冷媒を取り扱う弁装置においては、弁座と弁体との間に異物を噛み込んでしまうおそれがある。弁座と弁体との間で異物が噛み込まれると、弁装置を完全に閉塞することができなくなり、適正な容量制御が期待できなくなってしまう。
【0007】
本発明は、弁体と弁座との間で異物が噛み込まれた場合に、該異物を除去することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1に記載の弁装置は、流路の一部を構成する弁座と、該弁座に接離し前記流路の開度を調節可能な弁体と、前記弁体に閉弁方向の付勢力を作用させ、通常は常に弁体を弁座に着座させる付勢手段と、弁体と付勢手段とを作動連結し、付勢手段の付勢力を弁体に伝達するロッドとを備え、前記付勢力によって閉弁方向へ付勢されている前記弁体を強制的に前記弁座へ押圧する押圧手段を備えたことを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、押圧手段によって強制的に弁体を弁座へ押圧することができる。従って、例えば、流路を流れる流体中の異物が弁座と弁体との間に噛み込んだ場合、前記押圧手段を用いることによって弁体を弁座に押圧し、前記異物を押し潰すことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、押圧手段は、弁体を押圧するための押圧力を発生させる加圧機構と前記押圧力を弁体に伝達するための伝達部材とからなることを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、加圧機構を用いることにより、確実に押圧力を発生させることができ、伝達部材を用いることにより、前記押圧力を確実に弁体へ伝えることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、ロッドは、伝達部材を兼ねることを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、ロッドが伝達部材を兼ねることにより、前記ロッドは付勢力を弁体に作用させることに加え、押圧力を弁体に伝達することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、加圧機構は、ネジ機構であることを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、ネジ機構によって加圧するため、単純に加圧する場合(例えば、押し込む等)に比べて、更に確実に、かつ強力に押圧力を発生させることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、弁装置は車両用の圧縮機に用いられることを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、押圧手段(伝達部材及び加圧機構)を備えることによって弁装置の体格は不要に増大することはないので、小型化が望まれる圧縮機に用いることができ、特に車両用の圧縮機に用いることが好適である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、弁装置の異物除去方法であって、流路の一部を構成する弁座と、該弁座に接離し前記流路の開度を調節可能な弁体と、前記弁体に閉弁方向の付勢力を作用させ、通常は常に弁体を弁座に着座させる付勢手段と、弁体と付勢手段とを作動連結し、付勢手段の付勢力を弁体に伝達するロッドとを備えた弁装置において、前記弁体を前記弁座へ押圧する押圧手段を備え、前記弁体と前記弁座との間に異物が介在したとき、前記押圧手段によって前記弁体を前記弁座に押圧することによって異物を押し潰し、次に前記押圧手段による前記弁体と前記弁座との押圧状態を解除してから、流体の流れによって押し潰した異物を除去することを要旨とする。
【0019】
この発明によれば、流体中の異物が弁座と弁体との間に噛み込んだとき、押圧手段によって弁体を弁座に押圧し、該押圧によって弁座と弁体との間に噛み込んだ異物を押し潰すことができる。異物を押し潰した後、押圧手段による弁体と弁座との押圧状態を解除する。そして、押し潰された異物は流体の流れによって外部へ除去することができ、弁装置は適正な容量制御を行なうことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の弁装置を、車両用空調装置の冷凍サイクルを構成する容量可変型斜板式圧縮機に用いられるバイパス弁において具体化した一実施形態について説明する。
【0021】
(容量可変型斜板式圧縮機)
容量可変型斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)の基本構成を図1に示す。圧縮機は、シリンダブロック11と、その前端に接合されるフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に弁・ポート形成体13を介して接合されるリヤハウジング14とを備えている。
【0022】
前記シリンダブロック11とフロントハウジング12との間にはクランク室15が区画形成されている。そして、該クランク室15を挿通するようにして、駆動軸16が回転可能に配設されている。駆動軸16は、車両の走行駆動源である図示しないエンジンに作動連結されており、エンジンから動力の供給を受けて回転される。
【0023】
前記クランク室15において駆動軸16には、ラグプレート17が一体回転可能に固定されている。クランク室15内には、斜板18が収容されている。斜板18の中央部に設けられた挿通孔18aには駆動軸16が挿通されており、斜板18は駆動軸16にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ラグプレート17と斜板18との間にはヒンジ機構19が介在されている。斜板18は、ヒンジ機構19を介したラグプレート17との間でのヒンジ連結、及び挿通孔18aを介した駆動軸16の支持により、ラグプレート17及び駆動軸16と同期回転可能であるとともに、駆動軸16の軸線方向へのスライド移動を伴いながら、駆動軸16に対して傾動可能となっている。
【0024】
複数のシリンダボア11a(図面においては一箇所のみ示す)は、前記シリンダブロック11において駆動軸16を取り囲むようにして、駆動軸16と平行に貫通形成されている。片頭型のピストン20は、各シリンダボア11aに往復動可能に収容されている。シリンダボア11aの前後開口は、弁・ポート形成体13及びピストン20によって閉塞されており、このシリンダボア11a内にはピストン20の往復運動に応じて容積変化する圧縮室21が区画されている。各ピストン20は、それぞれ半球状をなす一対のシュー22を介して斜板18の外周部に係留されている。従って、駆動軸16の回転にともなう斜板18の回転運動が、シュー22を介してピストン20の往復直線運動に変換される。
【0025】
前記弁・ポート形成体13とリヤハウジング14との間には、吸入室23及び吐出室24がそれぞれ区画形成されている。そして、吸入室23の冷媒ガスは、各ピストン20の上死点位置から下死点側への移動により、弁・ポート形成体13に形成された吸入ポート25及び吸入弁26を介して圧縮室21に吸入される。圧縮室21に吸入された冷媒ガスは、ピストン20の下死点位置から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体13に形成された吐出ポート27及び吐出弁28を介して吐出室24に吐出される。
【0026】
図1に示すように、シリンダブロック11、弁・ポート形成体13及びリヤハウジング14には、抽気通路29及び給気通路30並びに制御弁31が設けられている。抽気通路29はクランク室15と吸入室23とを接続する。給気通路30は吐出室24とクランク室15とを接続し、その途中には電磁弁よりなる制御弁31が配設されている。
【0027】
前記制御弁31の開度を調節することで、給気通路30を介したクランク室15への高圧な吐出ガスの導入量と抽気通路29を介したクランク室15からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク室15の内圧が決定される。クランク室15の内圧の変更に応じてクランク室15の内圧と圧縮室24の内圧との差が変更され、斜板18の傾斜角度が変更される結果、ピストン20のストローク、すなわち圧縮機の吐出容量が調整される。
【0028】
例えば、前記制御弁31の開度が減少してクランク室15の内圧が低下されると、斜板18の傾斜角度が増大し、ピストン20のストロークが増大して圧縮機の吐出容量が増大される。図1において、二点鎖線は斜板18の最大傾斜角度状態を示している。逆に、制御弁31の開度が増大してクランク室15の内圧が上昇されると、斜板18の傾斜角度が減少し、ピストン20のストロークが減少して圧縮機の吐出容量が減少される。図1において実線は斜板18の最小傾斜角度状態を示している。
【0029】
前記圧縮機のハウジング内には、吐出室24とクランク室15とを接続するバイパス通路32が設けられている。つまり、バイパス通路32は流体としての冷媒の流路である。
【0030】
前記バイパス通路32の途中には、該バイパス通路32を開閉するための弁装置としてのバイパス弁33が配設されている。バイパス弁33は、常にはバイパス通路32を閉塞しており、吐出室24の圧力が所定値を超えて上昇した場合には、該圧力に基づく内部自律的な動作によってバイパス通路32を開放する。
【0031】
(バイパス弁)
次に、前記バイパス弁33について詳述する。
図2(a)に示すように、前記圧縮機のリヤハウジング14内のバイパス弁33には、バイパス通路32の一部を構成する円筒状の弁収容孔33aが、図面の上下方向に形成されている。弁収容孔33aの一端側(図面の下方側)には、バイパス通路32の吐出室24側の部分つまり上流側部分32aが接続されている。弁収容孔33aの側方には、バイパス通路32のクランク室15側の部分つまり下流側部分32bが接続されている。
【0032】
前記弁収容孔33a内には、球状をなす弁体34が収容されている。弁体34は、弁収容孔33aと、該孔33aよりも小径なバイパス通路32の上流側部分32aとの境界に位置する弁座35に対して、接離可能である。該弁座35に弁体34が当接することで、バイパス通路32の上流側部分32aが閉塞されるとともに、該弁座35から弁体34が離間することで上流側部分32aが弁収容孔33aに開放される。なお、弁体34には、バイパス通路32の上流側部分32aの圧力、つまり吐出室24側の圧力が、弁開方向に作用している。
【0033】
前記圧縮機のリヤハウジング14内のバイパス弁33において、弁収容孔33aの他端側(図面の上方側)には、該弁収容孔33aよりも大径なバネ収容孔36が連続して形成されている。バネ収容孔36内には、弁収容孔33aとの境界に位置する段差36aまで隔壁37が圧入され、該隔壁37によって弁収容孔33aの他端側が閉塞されている。また、前記隔壁37に対して弁体34と反対側には、伝達部材の一部を構成し、該隔壁37側が底となる有底円筒状のスプール38が配置されている。該スプール38は付勢バネ39によって隔壁37側に付勢されており、スプール38の筒内には、伝達部材の一部を構成するストッパ38aが一体形成されている。
【0034】
前記隔壁37には挿通孔37aが貫通形成されており、該挿通孔37aには伝達部材の一部を構成する作動ロッド40が挿通されている。該作動ロッド40は、円柱状のロッド本体40aと、同じく円柱状をなす弁支持体部40bとからなっている。作動ロッド40は、ロッド本体40aにて隔壁37の挿通孔37aに挿通されており、ロッド本体40aの端面にてスプール38に当接されているとともに、弁支持体部40bの端面にて弁体34に当接されている。つまり、弁体34と付勢バネ39とは、作動ロッド40及びスプール38を介して作動連結されており、付勢バネ39の付勢力は、弁体34に対して閉弁方向に作用する。また、ロッド本体40aの外周面には、弁収容孔33aの内周面との間をシールするゴム製のOリング41が装着されている。
【0035】
リヤハウジング14においてバネ収容孔36の開口には加圧機構としてのネジ機構42が装着されている。該ネジ機構42の側面には螺旋状の溝42a(図中においては模式的に表示)が設けてあり、ネジ機構42の底面にはネジ山42b(図2(b)参照)が設けてあるので、ネジ機構42はリヤハウジング14にネジ止め可能となる。前記バネ収容孔36内は、ネジ機構42と隔壁37とによって収容室43が区画形成されている。なお、ネジ機構42には透孔42cが形成されており、収容室43は透孔42cを介して大気に開放されている。
【0036】
前記バイパス弁33は、常には、付勢バネ39の付勢力によって弁体34が弁座35に着座してバイパス通路32を閉塞している。そして、バイパス弁33は、弁体34に作用する吐出室24の吐出圧力が所定値を超えると、該弁体34が付勢バネ39に抗して内部自律的に移動してバイパス通路32を開放する。従って、吐出室24の吐出圧力がクランク室15に導入されて該クランク室15の圧力が上昇し、圧縮機の吐出容量が低下される。よって、吐出室24の吐出圧力が過大に上昇することはなく、該圧力の過大な上昇に起因した、圧縮機や配管等の不具合の発生を防止することができる。
【0037】
さて、本発明のバイパス弁33がバイパス通路32を開放したとき、吐出室24からクランク室15へ冷媒が流れ込む。前記冷媒中には異物が含まれているため、図3(a)に示すように、バイパス通路32が閉じたとき、異物44が弁体34と弁座35との間に噛み込むことがある。そして、前記異物44が弁体34と弁座35との間に噛み込むと、バイパス通路32が常に開放状態となってしまい、必要な吐出圧力が得られなくなってしまうおそれがある。
【0038】
そこで、このような状態になった場合、まず図3(b)に示すように、ネジ機構42を締め込み、ストッパ38aに当接させる。ネジ機構42とストッパ38aとが当接後、図3(c)に示すように、更にネジ機構42を締め込む。これにより、ネジ機構42によって発生された押圧力は、ストッパ38a、ストッパ38aと一体に形成されているスプール38及び作動ロッド40を介して弁体34に伝達される。すなわち、ストッパ38a、スプール38及び作動ロッド40が伝達部材を構成している。前記押圧力を受けた弁体34は弁座35に押圧されるため、弁体34と弁座35との間に噛み込まれた異物44は、前記押圧力によって押し潰される。その後、締め込んだときとは逆方向へ回転させることによってネジ機構42を緩める。ネジ機構42を緩めることにより、ネジ機構42とストッパ38aとの当接が解除され、ネジ機構42を初期位置(図3(a)の位置)まで戻す。
【0039】
そして弁体34と弁座35との間で押し潰された異物44は、冷媒の流れによって除去される。すなわち、ネジ機構42(加圧機構)とスプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40(伝達部材)とが異物44を押し潰すための押圧手段を構成し、該押圧手段を用いることにより、異物除去が可能となる。
【0040】
なお、異物除去をより確実に行なうためには、以下のようにする。
【0041】
異物44を押し潰した後、ネジ機構42を緩めることによって弁体34と弁座35との押圧状態を解除し、前記ネジ機構42を初期位置まで戻す。そして、初期位置まで戻されたネジ機構42を更に緩めることによって、弁体34と弁座35とが離間され、バイパス通路32が開放状態となる。前記バイパス通路32の開放により、吐出室24からクランク室15へ冷媒が流れるので、押し潰された異物44は冷媒の流れによって除去される。異物44が除去された後、ネジ機構42を初期位置まで締め込むことにより、異物が噛み込む前の正常な状態に戻る。
【0042】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のバイパス弁33では、押圧手段を備えている。よって、例えば、弁体34と弁座35との間に異物44が噛み込んだ場合、バイパス弁33が常に開放状態になってしまい、必要な吐出容量が得られなくなってしまう。しかし、前記押圧手段を用いることによって異物44を押し潰し、該押し潰された異物44は冷媒の流れによって除去され、バイパス弁33は正常な開閉動作を取り戻すことができる。すなわち、バイパス弁33は、吐出室29の吐出圧力が所定値を超えた場合には、速やかにバイパス通路32を開放することができ、吐出圧力の過大な上昇を確実に抑制することができる。
【0043】
(2)本実施形態では、押圧手段としてネジ機構42(加圧機構)とスプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40(伝達部材)とを用いている。ネジ機構42を用いることにより、ネジの特性を利用し、確実で強力な押圧力を得ることができる。また、スプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40を用いることによりネジ機構42によって得られた押圧力を確実に弁体34へ伝達することができる。よって、ネジ機構42とスプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40とを用いることによって、異物44を容易に押し潰すことが可能となる。
【0044】
(3)バイパス弁33は、吐出圧力の過大な上昇による冷凍サイクルの各機器及び配管の破損を避けるために、緊急避難的にバイパス通路32の開度を調節する弁装置である。従って、バイパス弁33は、例えば、動作不良が空調フィーリングの低下を招く程度の制御弁31と比較して、より確実な動作保証が要求される。そういった意味において、本発明をバイパス弁33に具体化して動作の信頼性を確保できることは、冷凍サイクル全体の信頼性を確保する上でも特に有効となる。
【0045】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下の態様でも実施できる。
○前記実施形態において、押圧手段として加圧機構(ネジ機構42)と伝達部材(スプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40)とを用いていた。これを変更し、例えば図4に示すように、伝達部材を構成するストッパ38bを加圧機構としても用いること。
【0046】
以下に、図4の態様について詳述するが、該図において上記実施形態と同一又は相当部材には、同じ番号を付して説明を省略する。
【0047】
スプール38の筒内には、加圧機構及び伝達部材としてのストッパ38bが一体形成されている。また、リヤハウジング14においてバネ収容孔36の開口には蓋45が装着されている。蓋45には透孔45aが形成されており、収容室43は透孔45aを介して大気に開放されている。前記透孔45aはストッパ38aよりも大径で形成されており、該ストッパ38bの端面38cは蓋45の底面45bまで延設している。
【0048】
この場合においても、弁体34と弁座35との間に異物が介在した場合、加圧機構(ストッパ38b)の端面38cを押圧することにより、伝達部材(ストッパ38b、スプール38及び作動ロッド40)を介して弁体34を弁座35に押圧することができ、異物を押し潰すことが可能となる。
【0049】
○前記実施形態では、弁体34と作動ロッド40とは別体で形成されていた。これを変更し、弁体と作動ロッドとを一体とすること。この場合、一体形成された弁体及び作動ロッドに、ネジ機構42からの押圧力を伝達する伝達部材は、スプール38及びストッパ38a(38b)となる。
【0050】
○前記実施形態では、弁支持体部40bは、ロッド(ロッド本体40a)に一体形成されていた。これを変更し、弁支持体をロッドとは別体とすること。この場合、弁支持体と弁体とは、前記実施形態のように別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0051】
○前記実施形態では、伝達部材(スプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40)は、スプール38にストッパ38aとが一体形成され、作動ロッド40は別体で形成されていた。これを変更し、スプールとストッパとは別体とすること。あるいは、スプール、ストッパ及び作動ロッドを全て一体形成とすること。この場合、弁体と作動ロッドとは、前記実施形態のように別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0052】
○前記実施形態では、伝達部材の一部としてストッパ38aを用いていた。これを変更して、例えば、図5に示すように、スプール38の円筒面38dを延設し、伝達部材をスプール38(円筒面38d)と作動ロッド40とで構成すること。
【0053】
○前記実施形態では、ストッパ38aは、スプール38に一体形成されていた。これを変更して、ネジ機構に伝達部材を構成するストッパを形成すること。この場合、ストッパとネジ機構とは別体であってもよいし、一体であってもよい。一体で形成されている場合は、加圧機構としてのネジ機構が伝達部材の一部としての機能も備える。
【0054】
○本発明の弁装置は、容量可変型圧縮機のバイパス弁、つまり緊急避難的な容量変更に用いられる弁装置において具体化することに限定されるものではない。例えば、冷房負荷等に応じて容量可変型圧縮機の吐出容量を調節する弁装置(例えば前記実施形態の制御弁31)において、弁体と弁座との接離によって制御弁を開閉する場合には、該弁装置に本発明を適用してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、弁体と弁座との間で異物が噛み込まれた場合に、該異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】容量可変型斜板式圧縮機の縦断面図。
【図2】(a)は図1におけるバイパス弁付近の拡大図、(b)はバイパス弁の底面図。
【図3】(a)はバイパス弁に異物が噛み込んだ状態を示す図、(b)は蓋とストッパが当接した状態を示す図、(c)は異物を押し潰した状態を示す図。
【図4】別例のバイパス弁の断面図。
【図5】別例のバイパス弁の断面図。
【符号の説明】
32…流路としてのバイパス通路、33…弁装置としてのバイパス弁、34…弁体、35…弁座、38…伝達部材としてのスプール、38a…伝達部材としてのストッパ、38b…加圧機構及び伝達部材としてのストッパ、38d…伝達部材としての円筒面、39…付勢手段としての付勢バネ、40…伝達部材としての作動ロッド、42…加圧機構としてのネジ機構。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、車両用空調装置の冷凍サイクルに用いられる容量可変型圧縮機の吐出容量を調節するための弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷凍サイクルを構成する容量可変型斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)に用いられる弁装置の弁体としては様々な形状のものがあり、球状の弁体を用いたタイプのものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、前記圧縮機は、斜板収容室たるクランク室の圧力を調節することで、吐出容量を変更可能である。圧縮機のクランク室と、冷凍サイクルの吸入圧領域とは、連通路を介して接続されている。
【0004】
前記弁装置は、連通路を開閉するため、球状の弁体と弁座とが接離可能となっている。前記弁体は、スプールを介して付勢バネにより常に弁座を閉鎖する方向に付勢されている。そして、前記弁装置は弁座に弁体が当接することで弁装置が閉塞されるとともに、弁体に作用するクランク室の圧力が所定値を超えると、該弁体が付勢バネに抗して連通路を開放する。従って、クランク室の圧力を吸入室に還元できる。よって、クランク室の圧力が過大に上昇することはなく、該圧力の過大な上昇に起因した、圧縮機や配管等の不具合を防止することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−164043号公報(公報中の第5図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記冷凍サイクルを流れる冷媒中には、異物が含まれている。従って、冷媒を取り扱う弁装置においては、弁座と弁体との間に異物を噛み込んでしまうおそれがある。弁座と弁体との間で異物が噛み込まれると、弁装置を完全に閉塞することができなくなり、適正な容量制御が期待できなくなってしまう。
【0007】
本発明は、弁体と弁座との間で異物が噛み込まれた場合に、該異物を除去することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1に記載の弁装置は、流路の一部を構成する弁座と、該弁座に接離し前記流路の開度を調節可能な弁体と、前記弁体に閉弁方向の付勢力を作用させ、通常は常に弁体を弁座に着座させる付勢手段と、弁体と付勢手段とを作動連結し、付勢手段の付勢力を弁体に伝達するロッドとを備え、前記付勢力によって閉弁方向へ付勢されている前記弁体を強制的に前記弁座へ押圧する押圧手段を備えたことを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、押圧手段によって強制的に弁体を弁座へ押圧することができる。従って、例えば、流路を流れる流体中の異物が弁座と弁体との間に噛み込んだ場合、前記押圧手段を用いることによって弁体を弁座に押圧し、前記異物を押し潰すことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、押圧手段は、弁体を押圧するための押圧力を発生させる加圧機構と前記押圧力を弁体に伝達するための伝達部材とからなることを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、加圧機構を用いることにより、確実に押圧力を発生させることができ、伝達部材を用いることにより、前記押圧力を確実に弁体へ伝えることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、ロッドは、伝達部材を兼ねることを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、ロッドが伝達部材を兼ねることにより、前記ロッドは付勢力を弁体に作用させることに加え、押圧力を弁体に伝達することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、加圧機構は、ネジ機構であることを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、ネジ機構によって加圧するため、単純に加圧する場合(例えば、押し込む等)に比べて、更に確実に、かつ強力に押圧力を発生させることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、弁装置は車両用の圧縮機に用いられることを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、押圧手段(伝達部材及び加圧機構)を備えることによって弁装置の体格は不要に増大することはないので、小型化が望まれる圧縮機に用いることができ、特に車両用の圧縮機に用いることが好適である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、弁装置の異物除去方法であって、流路の一部を構成する弁座と、該弁座に接離し前記流路の開度を調節可能な弁体と、前記弁体に閉弁方向の付勢力を作用させ、通常は常に弁体を弁座に着座させる付勢手段と、弁体と付勢手段とを作動連結し、付勢手段の付勢力を弁体に伝達するロッドとを備えた弁装置において、前記弁体を前記弁座へ押圧する押圧手段を備え、前記弁体と前記弁座との間に異物が介在したとき、前記押圧手段によって前記弁体を前記弁座に押圧することによって異物を押し潰し、次に前記押圧手段による前記弁体と前記弁座との押圧状態を解除してから、流体の流れによって押し潰した異物を除去することを要旨とする。
【0019】
この発明によれば、流体中の異物が弁座と弁体との間に噛み込んだとき、押圧手段によって弁体を弁座に押圧し、該押圧によって弁座と弁体との間に噛み込んだ異物を押し潰すことができる。異物を押し潰した後、押圧手段による弁体と弁座との押圧状態を解除する。そして、押し潰された異物は流体の流れによって外部へ除去することができ、弁装置は適正な容量制御を行なうことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の弁装置を、車両用空調装置の冷凍サイクルを構成する容量可変型斜板式圧縮機に用いられるバイパス弁において具体化した一実施形態について説明する。
【0021】
(容量可変型斜板式圧縮機)
容量可変型斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)の基本構成を図1に示す。圧縮機は、シリンダブロック11と、その前端に接合されるフロントハウジング12と、シリンダブロック11の後端に弁・ポート形成体13を介して接合されるリヤハウジング14とを備えている。
【0022】
前記シリンダブロック11とフロントハウジング12との間にはクランク室15が区画形成されている。そして、該クランク室15を挿通するようにして、駆動軸16が回転可能に配設されている。駆動軸16は、車両の走行駆動源である図示しないエンジンに作動連結されており、エンジンから動力の供給を受けて回転される。
【0023】
前記クランク室15において駆動軸16には、ラグプレート17が一体回転可能に固定されている。クランク室15内には、斜板18が収容されている。斜板18の中央部に設けられた挿通孔18aには駆動軸16が挿通されており、斜板18は駆動軸16にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ラグプレート17と斜板18との間にはヒンジ機構19が介在されている。斜板18は、ヒンジ機構19を介したラグプレート17との間でのヒンジ連結、及び挿通孔18aを介した駆動軸16の支持により、ラグプレート17及び駆動軸16と同期回転可能であるとともに、駆動軸16の軸線方向へのスライド移動を伴いながら、駆動軸16に対して傾動可能となっている。
【0024】
複数のシリンダボア11a(図面においては一箇所のみ示す)は、前記シリンダブロック11において駆動軸16を取り囲むようにして、駆動軸16と平行に貫通形成されている。片頭型のピストン20は、各シリンダボア11aに往復動可能に収容されている。シリンダボア11aの前後開口は、弁・ポート形成体13及びピストン20によって閉塞されており、このシリンダボア11a内にはピストン20の往復運動に応じて容積変化する圧縮室21が区画されている。各ピストン20は、それぞれ半球状をなす一対のシュー22を介して斜板18の外周部に係留されている。従って、駆動軸16の回転にともなう斜板18の回転運動が、シュー22を介してピストン20の往復直線運動に変換される。
【0025】
前記弁・ポート形成体13とリヤハウジング14との間には、吸入室23及び吐出室24がそれぞれ区画形成されている。そして、吸入室23の冷媒ガスは、各ピストン20の上死点位置から下死点側への移動により、弁・ポート形成体13に形成された吸入ポート25及び吸入弁26を介して圧縮室21に吸入される。圧縮室21に吸入された冷媒ガスは、ピストン20の下死点位置から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体13に形成された吐出ポート27及び吐出弁28を介して吐出室24に吐出される。
【0026】
図1に示すように、シリンダブロック11、弁・ポート形成体13及びリヤハウジング14には、抽気通路29及び給気通路30並びに制御弁31が設けられている。抽気通路29はクランク室15と吸入室23とを接続する。給気通路30は吐出室24とクランク室15とを接続し、その途中には電磁弁よりなる制御弁31が配設されている。
【0027】
前記制御弁31の開度を調節することで、給気通路30を介したクランク室15への高圧な吐出ガスの導入量と抽気通路29を介したクランク室15からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク室15の内圧が決定される。クランク室15の内圧の変更に応じてクランク室15の内圧と圧縮室24の内圧との差が変更され、斜板18の傾斜角度が変更される結果、ピストン20のストローク、すなわち圧縮機の吐出容量が調整される。
【0028】
例えば、前記制御弁31の開度が減少してクランク室15の内圧が低下されると、斜板18の傾斜角度が増大し、ピストン20のストロークが増大して圧縮機の吐出容量が増大される。図1において、二点鎖線は斜板18の最大傾斜角度状態を示している。逆に、制御弁31の開度が増大してクランク室15の内圧が上昇されると、斜板18の傾斜角度が減少し、ピストン20のストロークが減少して圧縮機の吐出容量が減少される。図1において実線は斜板18の最小傾斜角度状態を示している。
【0029】
前記圧縮機のハウジング内には、吐出室24とクランク室15とを接続するバイパス通路32が設けられている。つまり、バイパス通路32は流体としての冷媒の流路である。
【0030】
前記バイパス通路32の途中には、該バイパス通路32を開閉するための弁装置としてのバイパス弁33が配設されている。バイパス弁33は、常にはバイパス通路32を閉塞しており、吐出室24の圧力が所定値を超えて上昇した場合には、該圧力に基づく内部自律的な動作によってバイパス通路32を開放する。
【0031】
(バイパス弁)
次に、前記バイパス弁33について詳述する。
図2(a)に示すように、前記圧縮機のリヤハウジング14内のバイパス弁33には、バイパス通路32の一部を構成する円筒状の弁収容孔33aが、図面の上下方向に形成されている。弁収容孔33aの一端側(図面の下方側)には、バイパス通路32の吐出室24側の部分つまり上流側部分32aが接続されている。弁収容孔33aの側方には、バイパス通路32のクランク室15側の部分つまり下流側部分32bが接続されている。
【0032】
前記弁収容孔33a内には、球状をなす弁体34が収容されている。弁体34は、弁収容孔33aと、該孔33aよりも小径なバイパス通路32の上流側部分32aとの境界に位置する弁座35に対して、接離可能である。該弁座35に弁体34が当接することで、バイパス通路32の上流側部分32aが閉塞されるとともに、該弁座35から弁体34が離間することで上流側部分32aが弁収容孔33aに開放される。なお、弁体34には、バイパス通路32の上流側部分32aの圧力、つまり吐出室24側の圧力が、弁開方向に作用している。
【0033】
前記圧縮機のリヤハウジング14内のバイパス弁33において、弁収容孔33aの他端側(図面の上方側)には、該弁収容孔33aよりも大径なバネ収容孔36が連続して形成されている。バネ収容孔36内には、弁収容孔33aとの境界に位置する段差36aまで隔壁37が圧入され、該隔壁37によって弁収容孔33aの他端側が閉塞されている。また、前記隔壁37に対して弁体34と反対側には、伝達部材の一部を構成し、該隔壁37側が底となる有底円筒状のスプール38が配置されている。該スプール38は付勢バネ39によって隔壁37側に付勢されており、スプール38の筒内には、伝達部材の一部を構成するストッパ38aが一体形成されている。
【0034】
前記隔壁37には挿通孔37aが貫通形成されており、該挿通孔37aには伝達部材の一部を構成する作動ロッド40が挿通されている。該作動ロッド40は、円柱状のロッド本体40aと、同じく円柱状をなす弁支持体部40bとからなっている。作動ロッド40は、ロッド本体40aにて隔壁37の挿通孔37aに挿通されており、ロッド本体40aの端面にてスプール38に当接されているとともに、弁支持体部40bの端面にて弁体34に当接されている。つまり、弁体34と付勢バネ39とは、作動ロッド40及びスプール38を介して作動連結されており、付勢バネ39の付勢力は、弁体34に対して閉弁方向に作用する。また、ロッド本体40aの外周面には、弁収容孔33aの内周面との間をシールするゴム製のOリング41が装着されている。
【0035】
リヤハウジング14においてバネ収容孔36の開口には加圧機構としてのネジ機構42が装着されている。該ネジ機構42の側面には螺旋状の溝42a(図中においては模式的に表示)が設けてあり、ネジ機構42の底面にはネジ山42b(図2(b)参照)が設けてあるので、ネジ機構42はリヤハウジング14にネジ止め可能となる。前記バネ収容孔36内は、ネジ機構42と隔壁37とによって収容室43が区画形成されている。なお、ネジ機構42には透孔42cが形成されており、収容室43は透孔42cを介して大気に開放されている。
【0036】
前記バイパス弁33は、常には、付勢バネ39の付勢力によって弁体34が弁座35に着座してバイパス通路32を閉塞している。そして、バイパス弁33は、弁体34に作用する吐出室24の吐出圧力が所定値を超えると、該弁体34が付勢バネ39に抗して内部自律的に移動してバイパス通路32を開放する。従って、吐出室24の吐出圧力がクランク室15に導入されて該クランク室15の圧力が上昇し、圧縮機の吐出容量が低下される。よって、吐出室24の吐出圧力が過大に上昇することはなく、該圧力の過大な上昇に起因した、圧縮機や配管等の不具合の発生を防止することができる。
【0037】
さて、本発明のバイパス弁33がバイパス通路32を開放したとき、吐出室24からクランク室15へ冷媒が流れ込む。前記冷媒中には異物が含まれているため、図3(a)に示すように、バイパス通路32が閉じたとき、異物44が弁体34と弁座35との間に噛み込むことがある。そして、前記異物44が弁体34と弁座35との間に噛み込むと、バイパス通路32が常に開放状態となってしまい、必要な吐出圧力が得られなくなってしまうおそれがある。
【0038】
そこで、このような状態になった場合、まず図3(b)に示すように、ネジ機構42を締め込み、ストッパ38aに当接させる。ネジ機構42とストッパ38aとが当接後、図3(c)に示すように、更にネジ機構42を締め込む。これにより、ネジ機構42によって発生された押圧力は、ストッパ38a、ストッパ38aと一体に形成されているスプール38及び作動ロッド40を介して弁体34に伝達される。すなわち、ストッパ38a、スプール38及び作動ロッド40が伝達部材を構成している。前記押圧力を受けた弁体34は弁座35に押圧されるため、弁体34と弁座35との間に噛み込まれた異物44は、前記押圧力によって押し潰される。その後、締め込んだときとは逆方向へ回転させることによってネジ機構42を緩める。ネジ機構42を緩めることにより、ネジ機構42とストッパ38aとの当接が解除され、ネジ機構42を初期位置(図3(a)の位置)まで戻す。
【0039】
そして弁体34と弁座35との間で押し潰された異物44は、冷媒の流れによって除去される。すなわち、ネジ機構42(加圧機構)とスプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40(伝達部材)とが異物44を押し潰すための押圧手段を構成し、該押圧手段を用いることにより、異物除去が可能となる。
【0040】
なお、異物除去をより確実に行なうためには、以下のようにする。
【0041】
異物44を押し潰した後、ネジ機構42を緩めることによって弁体34と弁座35との押圧状態を解除し、前記ネジ機構42を初期位置まで戻す。そして、初期位置まで戻されたネジ機構42を更に緩めることによって、弁体34と弁座35とが離間され、バイパス通路32が開放状態となる。前記バイパス通路32の開放により、吐出室24からクランク室15へ冷媒が流れるので、押し潰された異物44は冷媒の流れによって除去される。異物44が除去された後、ネジ機構42を初期位置まで締め込むことにより、異物が噛み込む前の正常な状態に戻る。
【0042】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のバイパス弁33では、押圧手段を備えている。よって、例えば、弁体34と弁座35との間に異物44が噛み込んだ場合、バイパス弁33が常に開放状態になってしまい、必要な吐出容量が得られなくなってしまう。しかし、前記押圧手段を用いることによって異物44を押し潰し、該押し潰された異物44は冷媒の流れによって除去され、バイパス弁33は正常な開閉動作を取り戻すことができる。すなわち、バイパス弁33は、吐出室29の吐出圧力が所定値を超えた場合には、速やかにバイパス通路32を開放することができ、吐出圧力の過大な上昇を確実に抑制することができる。
【0043】
(2)本実施形態では、押圧手段としてネジ機構42(加圧機構)とスプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40(伝達部材)とを用いている。ネジ機構42を用いることにより、ネジの特性を利用し、確実で強力な押圧力を得ることができる。また、スプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40を用いることによりネジ機構42によって得られた押圧力を確実に弁体34へ伝達することができる。よって、ネジ機構42とスプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40とを用いることによって、異物44を容易に押し潰すことが可能となる。
【0044】
(3)バイパス弁33は、吐出圧力の過大な上昇による冷凍サイクルの各機器及び配管の破損を避けるために、緊急避難的にバイパス通路32の開度を調節する弁装置である。従って、バイパス弁33は、例えば、動作不良が空調フィーリングの低下を招く程度の制御弁31と比較して、より確実な動作保証が要求される。そういった意味において、本発明をバイパス弁33に具体化して動作の信頼性を確保できることは、冷凍サイクル全体の信頼性を確保する上でも特に有効となる。
【0045】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下の態様でも実施できる。
○前記実施形態において、押圧手段として加圧機構(ネジ機構42)と伝達部材(スプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40)とを用いていた。これを変更し、例えば図4に示すように、伝達部材を構成するストッパ38bを加圧機構としても用いること。
【0046】
以下に、図4の態様について詳述するが、該図において上記実施形態と同一又は相当部材には、同じ番号を付して説明を省略する。
【0047】
スプール38の筒内には、加圧機構及び伝達部材としてのストッパ38bが一体形成されている。また、リヤハウジング14においてバネ収容孔36の開口には蓋45が装着されている。蓋45には透孔45aが形成されており、収容室43は透孔45aを介して大気に開放されている。前記透孔45aはストッパ38aよりも大径で形成されており、該ストッパ38bの端面38cは蓋45の底面45bまで延設している。
【0048】
この場合においても、弁体34と弁座35との間に異物が介在した場合、加圧機構(ストッパ38b)の端面38cを押圧することにより、伝達部材(ストッパ38b、スプール38及び作動ロッド40)を介して弁体34を弁座35に押圧することができ、異物を押し潰すことが可能となる。
【0049】
○前記実施形態では、弁体34と作動ロッド40とは別体で形成されていた。これを変更し、弁体と作動ロッドとを一体とすること。この場合、一体形成された弁体及び作動ロッドに、ネジ機構42からの押圧力を伝達する伝達部材は、スプール38及びストッパ38a(38b)となる。
【0050】
○前記実施形態では、弁支持体部40bは、ロッド(ロッド本体40a)に一体形成されていた。これを変更し、弁支持体をロッドとは別体とすること。この場合、弁支持体と弁体とは、前記実施形態のように別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0051】
○前記実施形態では、伝達部材(スプール38、ストッパ38a及び作動ロッド40)は、スプール38にストッパ38aとが一体形成され、作動ロッド40は別体で形成されていた。これを変更し、スプールとストッパとは別体とすること。あるいは、スプール、ストッパ及び作動ロッドを全て一体形成とすること。この場合、弁体と作動ロッドとは、前記実施形態のように別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0052】
○前記実施形態では、伝達部材の一部としてストッパ38aを用いていた。これを変更して、例えば、図5に示すように、スプール38の円筒面38dを延設し、伝達部材をスプール38(円筒面38d)と作動ロッド40とで構成すること。
【0053】
○前記実施形態では、ストッパ38aは、スプール38に一体形成されていた。これを変更して、ネジ機構に伝達部材を構成するストッパを形成すること。この場合、ストッパとネジ機構とは別体であってもよいし、一体であってもよい。一体で形成されている場合は、加圧機構としてのネジ機構が伝達部材の一部としての機能も備える。
【0054】
○本発明の弁装置は、容量可変型圧縮機のバイパス弁、つまり緊急避難的な容量変更に用いられる弁装置において具体化することに限定されるものではない。例えば、冷房負荷等に応じて容量可変型圧縮機の吐出容量を調節する弁装置(例えば前記実施形態の制御弁31)において、弁体と弁座との接離によって制御弁を開閉する場合には、該弁装置に本発明を適用してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、弁体と弁座との間で異物が噛み込まれた場合に、該異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】容量可変型斜板式圧縮機の縦断面図。
【図2】(a)は図1におけるバイパス弁付近の拡大図、(b)はバイパス弁の底面図。
【図3】(a)はバイパス弁に異物が噛み込んだ状態を示す図、(b)は蓋とストッパが当接した状態を示す図、(c)は異物を押し潰した状態を示す図。
【図4】別例のバイパス弁の断面図。
【図5】別例のバイパス弁の断面図。
【符号の説明】
32…流路としてのバイパス通路、33…弁装置としてのバイパス弁、34…弁体、35…弁座、38…伝達部材としてのスプール、38a…伝達部材としてのストッパ、38b…加圧機構及び伝達部材としてのストッパ、38d…伝達部材としての円筒面、39…付勢手段としての付勢バネ、40…伝達部材としての作動ロッド、42…加圧機構としてのネジ機構。
Claims (6)
- 流体が流れる流路の開度を調節するための弁装置であって、
前記流路の一部を構成する弁座と、該弁座に接離し前記流路の開度を調節可能な弁体と、前記弁体に閉弁方向の付勢力を作用させ、通常は常に弁体を弁座に着座させる付勢手段と、弁体と付勢手段とを作動連結し、付勢手段の付勢力を弁体に伝達するロッドとを備えた弁装置において、
前記付勢力によって閉弁方向へ付勢されている前記弁体を強制的に前記弁座へ押圧する押圧手段を備えたことを特徴とする弁装置。 - 前記押圧手段は、弁体を押圧するための押圧力を発生させる加圧機構と前記押圧力を弁体に伝達するための伝達部材とからなることを特徴とする請求項1記載の弁装置。
- 前記ロッドは、前記伝達部材を兼ねることを特徴とする請求項2記載の弁装置。
- 前記加圧機構は、ネジ機構であることを特徴とする請求項2又は3に記載の弁装置。
- 前記弁装置は車両用の圧縮機に用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の弁装置。
- 液体が流れる流路の開度を調節するための弁装置であって、
前記流路の一部を構成する弁座と、該弁座に接離し前記流路の開度を調節可能な弁体と、前記弁体に閉弁方向の付勢力を作用させ、通常は常に弁体を弁座に着座させる付勢手段と、弁体と付勢手段とを作動連結し、付勢手段の付勢力を弁体に伝達するロッドとを備えた弁装置において、
前記弁体を前記弁座へ押圧する押圧手段を備え、前記弁体と前記弁座との間に異物が介在したとき、前記押圧手段によって前記弁体を前記弁座に押圧することによって異物を押し潰し、次に前記押圧手段による前記弁体と前記弁座との押圧状態を解除してから、流体の流れによって押し潰した異物を除去することを特徴とする弁装置の異物除去方法。
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Cited By (2)
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EP1840428A1 (en) | 2006-03-30 | 2007-10-03 | Yamada Manufacturing Co., Ltd. | Relief valve |
KR101017244B1 (ko) | 2008-07-24 | 2011-02-25 | 현대제철 주식회사 | 비례제어밸브용 오작동 감지장치 |
-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003084840A patent/JP2004293625A/ja active Pending
Cited By (2)
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KR101017244B1 (ko) | 2008-07-24 | 2011-02-25 | 현대제철 주식회사 | 비례제어밸브용 오작동 감지장치 |
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