JP2004293594A - ピストン体 - Google Patents
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Abstract
【課題】油圧緩衝器類におけるピストン部を形成する上で、所定の機械的強度を具有するのはもちろんのこと、ピストン部の軽量化を可能にして、その汎用性の向上を期待するのに最適となるピストン体を提供すること。
【解決手段】樹脂材を基材にして射出成形されるピストン体1において、基材がポリフェニレンサルファイドあるいはポリエーテルサルフォンなどの重合材にカーボンファイバーを10〜50%の割合で混入してなると共に、環状リーフバルブ(V,V1)の内周側固定部を定着させるボス部1aが金属材Mで補強されてなる。
【選択図】 図3
【解決手段】樹脂材を基材にして射出成形されるピストン体1において、基材がポリフェニレンサルファイドあるいはポリエーテルサルフォンなどの重合材にカーボンファイバーを10〜50%の割合で混入してなると共に、環状リーフバルブ(V,V1)の内周側固定部を定着させるボス部1aが金属材Mで補強されてなる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、油圧緩衝器類におけるピストン部を形成するピストン体の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧緩衝器やガススプリングさらにはシートダンパなどにおけるピストン部を形成するピストン体については、これまでの鉄系基材で焼結成形されることに代えて、アルミ系基材でダイカスト成形されるとする提案がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、これまで、ピストン体は、所定の機械的強度を保障する上から、鉄系基材で焼結成形されていたが、アルミ系基材でダイカスト成形されるピストン体にあっても、基材における成分配合の如何で、所定の機械的強度を保障し得ることになる。
【0004】
そして、アルミ系基材でダイカスト成形されるピストン体にあっては、焼結成形されるピストン体に比較して、基材重量から看て絶対値が小さいから、油圧緩衝器類におけるピストン部の質量を小さくし得ることになり、その結果、ピストン部がシリンダ内で摺動するときの慣性を低く抑えるためのピストン部の軽量化に寄与し得ることになる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63‐270933号公報(特許請求の範囲(1),同(2))
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピストン体をアルミ系基材でダイカスト成形するとしても、ピストン体を樹脂材で射出成形する場合に比較すると、絶対重量は大きくなる。
【0007】
のみならず、バルブシート面のポーラス仕上げや材料コストのことを勘案すると、ピストン体をアルミ系基材でダイカスト成形するよりも、ダイカスト成形において、鋳巣が発生することを考慮すると樹脂材で射出成形する場合の方が有利と言い得る。
【0008】
この発明は、このような現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、油圧緩衝器類におけるピストン部を形成する上で、所定の機械的強度を具有するのはもちろんのこと、ピストン部の軽量化を可能にして、その汎用性の向上を期待するのに最適となるピストン体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明によるピストン体の構成を、基本的には、樹脂材を基材にして射出成形されるピストン体において、基材がポリフェニレンサルファイドあるいはポリエーテルサルフォンなどの重合材にカーボンファイバーを10〜50%の割合で混入してなると共に、環状リーフバルブの内周側固定部を定着させるボス部が金属材で補強されてなるとする。
【0010】
それゆえ、樹脂材で形成されるピストン体にあっては、アルミ系基材で形成されるピストン体に比較して、基材重量から看て絶対値が小さくなり、ピストン体自体の軽量化が可能になる。
【0011】
また、樹脂材からなるピストン体における熱膨張率がシリンダを構成する鉄材やアルミ材における熱膨張率に近似するから、作動油の粘性が温度変化で変化する場合にも、ピストン体とシリンダとの間に出現する隙間を同じ油温下でのピストン体とシリンダの膨張率の変化で対応でき、油温変化によるシリンダ内でのピストン部における摺動性の変化を抑制し得る。
【0012】
そして、カーボンファイバーの混入割合を10〜50%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体として必要な所定の機械的強度を任意に設定できる。
【0013】
さらに、ピストン体が射出成形されるから、ピストン体にあって、バルブシート面やポートあるいはポートが開口する開口窓や環状溝などを射出成形後に切削などの後加工で形成せずして、あらかじめ形成しておくことが可能になる。
【0014】
そして、上記した構成において、より具体的には、基材にテフロン(登録商標、以下、同じ)を1〜10%の割合で混入させてなるとするのが好ましい。
【0015】
それゆえ、テフロンの混入割合を1〜10%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体のシリンダ内周に対する摺動性を任意に設定でき、したがって、テフロンの混入割合の適宜如何でピストン体の外周にピストンシールをモールドせずしてピストン体を直摺動型に設定し得る。
【0016】
また、ボス部を形成する金属材が射出成形時に芯材とされ、あるいは、射出成形後に軸芯部に圧入されてなるとするのが好ましい。
【0017】
それゆえ、ボス部を形成する金属材を射出成形時の芯材とすることで、射出成形時に別途に芯材を準備しなくて済み、また、ボス部を形成する金属材を射出成形後に軸芯部に圧入することで、ボス部を形成する金属材を自由に選択できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるピストン体1は、図1に示すように、環状リーフバルブV,V1の配在下にピストンロッドRに連設され、油圧緩衝器SAを構成すべくシリンダC内に摺動可能に収装されるピストン部Pを形成するとしている。
【0019】
このとき、射出成形時のピストン体1は、後述するピストン体1の直摺動の観点からすれば、この実施形態では、単一の型で同一形状のものを多数個形成する方法によるとするのが好ましい。
【0020】
ただ、後述するピストン体1の直摺動性が、たとえば、湯道Lを切削などして撤去する際の加工技術の精緻性で保障される場合には、図2に示すように、多数個が湯道Lで連結されて整列されてなるとしても良いと言い得る。
【0021】
ちなみに、この発明が意図するところからすれば、ピストン体1は、同一形状のものが多数個形成されれば足り、したがって、上記のように多数個が湯道Lで連結されて整列されてなることを、また、単一の型で同一形状のものを多数個形成することを絶対的な要件にはしていない。
【0022】
むしろ、一般的に言って、型を利用する場合でも、凡そ同一形状のものを多数個形成する際には、製作誤差を生じ得るのが常態であるとすれば、多数の型を利用して同一形状のものを多数個形成することに比較して、単一の型で同一形状のものを多数個形成する場合の方が、製作誤差を小さくする上では好ましいと言い得る。
【0023】
ところで、上記のピストン体1は、樹脂材を基材にして射出成形されるが、このときの基材は、この発明では、ポリフェニレンサルファイドあるいはポリエーテルサルフォンなどの重合材にカーボンファイバーを10〜50%の割合で混入してなるとしている。
【0024】
これによって、射出性が良くなると共に、使用中の高温化による劣化性を抑制できることになる。
【0025】
そして、このピストン体1にあっては、図3に示すように、環状リーフバルブV,V1の内周側固定部を定着させるボス部1aが金属材Mで補強されてなるとしている。
【0026】
それゆえ、このピストン体1にあっては、樹脂材で形成されるから、アルミ系基材で形成される場合に比較して、基材重量から看て絶対値が小さくなり、ピストン体1自体の軽量化が可能になる。
【0027】
また、このピストン体1にあっては、ピストン体1が射出成形されるから、ピストン体1の射出成形時に、バルブシート面1b,1c,1dやポート1e,1fあるいはポート1e,1fが開口する開口窓(図示せず)や環状溝(符示せず)などを射出成形後に切削などの後加工で形成せずして、あらかじめ形成しておくことが可能になる。
【0028】
そして、このピストン体1にあっては、ピストン体1における熱膨張率がシリンダCを構成する鉄材やアルミ材における熱膨張率に近似するから、作動油の粘性が温度変化で変化する場合にも、ピストン体1とシリンダCとの間に出現する隙間(符示せず)を同じ油温下でのピストン体1とシリンダCの膨張率の変化で対応でき、油温変化によるシリンダC内でのピストン部Pにおける摺動性の変化を抑制し得る。
【0029】
そして、後述するカーボンファイバーの混入割合で、このピストン体1における熱膨張率を任意に設定できる。
【0030】
ところで、前述したように、この発明のピストン体1にあっては、環状リーフバルブV,V1の内周側固定部を定着させるボス部1aが金属材Mで補強されてなるとしている。
【0031】
このとき、この金属材Mは、たとえば、アルミ材からなるとし、ピストン体1の射出成形時に、すなわち、ボス部1aが形成される際に芯材とされ、この芯材に言わばピストン体1を射出成形するとしている。
【0032】
それゆえ、このピストン体1にあっては、ボス部1aが他部、すなわち、樹脂材のみからなる部位に比較して、高強度となり、前記した環状リーフバルブV,V1の内周側固定部をこのボス部1aに定着させるためにピストンナットN(図1参照)をいわゆる締め上げるようにしても、ボス部1aに変形が招来されなくなる。
【0033】
そして、このボス部1aを形成する金属材Mを射出成形時の芯材とすることで、射出成形時に別途に芯材を準備しなくて済む点で有利となる。
【0034】
ちなみに、上記の金属材Mの形状についてであるが、ボス部1aに固定状態に定着される限りには、任意の形状が選択されて良く、たとえば、図するように、中央部の外周が凹むように成形されてもよく、図示しないが、中央部の外周が出っ張るように成形されるとしても良い。
【0035】
そして、この金属材Mは、ピストン体1の射出成形時に一体化されるのに代えて、図示しないが、ピストン本体1の射出成形後に軸芯部に圧入されてボス部1aを補強するとしても良い。
【0036】
この場合には、ボス部1aを形成する金属材Mをピストン体1の射出成形後に軸芯部に圧入することになるから、ボス部1aを形成する金属材Mをアルミ材から鉄材に代えるなど、自由に選択できることになる。
【0037】
なお、この圧入の際には、多くの場合に、肉厚の筒状に形成された金属材Mの外周にローレット掛けなどのいわゆる抜け止めの処置が施されるであろう。
【0038】
一方、この発明にあって、ピストン体1を形成する基材には、カーボンファイバーを10〜50%の範囲内で混入してなるとしている。
【0039】
それゆえ、このピストン体1にあっては、基材中に混入されるカーボンファイバーの割合を10〜50%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体1として必要な所定の機械的強度を任意に設定できることになる。
【0040】
特に、この発明では、ピストン体1が射出成形されるとしているので、前記したように、ピストン体1の射出成形時に、バルブシート面1b,1c,1dやポート1e,1fあるいはポート1e,1fが開口する開口窓や環状溝などを同時に形成し得ることを鑑みると、基材へのカーボンファイバーの混入は、ピストン体1におけるいわゆる強度アップに、また、硬度が増すことによるピストン体1のいわゆる型離れが良化される点でより効果的になると言い得る。
【0041】
上記したところがこの発明にピストン体1における基本的な構成であるが、ピストン体1の直摺動性を保障するために、以下のような配慮がなされるとしても良い。
【0042】
すなわち、この発明の実施形態では、前記した基材にテフロンを1〜10%の割合で混入させるのが好ましいとしている。
【0043】
それゆえ、ピストン体1の形成にあって、基材にテフロンの混入割合を1〜10%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体1のシリンダC内周に対する摺動性を任意に設定できることになる。
【0044】
そして、テフロンの混入割合の適宜如何でピストン体1のシリンダC内周に対する摺動性を任意に保障し得ることからすれば、図示しないが、ピストン体1の外周にピストンシールをモールドせずして、ピストン体1を直摺動型に設定し得ることになる。
【0045】
ちなみに、ピストン体1の外周にピストンシールをモールドしても良いことはもちろんであるが、その場合には、ピストン体1の形成にあって、基材へのテフロンの混入を省略する方が好ましいと言い得る。
【0046】
前記したところは、この発明によるピストン体1が油圧緩衝器SAおけるピストン部Pを形成する場合を例にして説明したものであるが、この発明のピストン体1にあっては、図示しないが、これが油圧緩衝器SAおけるベースバルブ部を形成するバルブディスク体とされる場合であっても同様の作用効果を望めることはもちろんである。
【0047】
そして、バルブディスク体を形成する場合には、前記したように、基材へのテフロンの混入を省略する方が好ましい。
【0048】
また、前記したところでは、この発明によるピストン体1が油圧緩衝器SAおけるピストン部Pを形成する場合を例にしたが、この発明が意図するところからすれば、ガススプリングやシートダンパにおけるピストン部の形成に利用するとしても良いことはもちろんである。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明にあっては、ピストン体が樹脂材で形成されるから、アルミ系基材で形成される場合に比較して、基材重量から看て絶対値が小さくなり、ピストン体自体の軽量化が可能になる。
【0050】
また、樹脂材からなるピストン体にあっては、熱膨張率がシリンダを構成する鉄材やアルミ材における熱膨張率に近似するから、作動油の粘性が温度変化で変化する場合にも、ピストン体とシリンダとの間に出現する隙間を同じ油温下でのピストン体とシリンダの膨張率の変化で対応でき、油温変化によるシリンダ内でのピストン部における摺動性の変化を抑制し得る。
【0051】
そして、カーボンファイバーの混入割合を10〜50%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体として必要な所定の機械的強度を任意に設定できる。
【0052】
さらに、ピストン体が射出成形されるから、ピストン体にあって、バルブシート面やポートあるいはポートが開口する開口窓や環状溝などを射出成形後に切削などの後加工で形成せずして、あらかじめ形成しておくことが可能になる。
【0053】
そして、請求項2の発明にあっては、テフロンの混入割合を1〜10%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体のシリンダ内周に対する摺動性を任意に設定でき、したがって、テフロンの混入割合の適宜如何でピストン体の外周にピストンシールをモールドせずしてピストン体を直摺動型に設定し得る。
【0054】
また、請求項3の発明にあっては、ボス部を形成する金属材を射出成形時の芯材とすることで、射出成形時に別途に芯材を準備しなくて済み、また、請求項4の発明にあっては、ボス部を形成する金属材を射出成形後に軸芯部に圧入することで、ボス部を形成する金属材を自由に選択できる。
【0055】
その結果、この発明によれば、油圧緩衝器類におけるピストン部を形成する上で、所定の機械的強度を具有するのはもちろんのこと、ピストン部の軽量化を可能にして、その汎用性の向上を期待するのに最適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるピストン体を利用して油圧緩衝器におけるピストン部を形成した状態を示す部分縦断面図である。
【図2】この発明によるピストン体を射出成形した一実施形態を示す平面図である。
【図3】この発明によるピストン体を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ピストン体
1a ボス部
1b,1c,1d バルブシート面
1e,1f ポート
C シリンダ
L 湯道
M 金属材
N ピストンナット
P ピストン部
R ピストンロッド
SA 油圧緩衝器
V,V1 減衰バルブ
【発明の属する技術分野】
この発明は、油圧緩衝器類におけるピストン部を形成するピストン体の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧緩衝器やガススプリングさらにはシートダンパなどにおけるピストン部を形成するピストン体については、これまでの鉄系基材で焼結成形されることに代えて、アルミ系基材でダイカスト成形されるとする提案がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、これまで、ピストン体は、所定の機械的強度を保障する上から、鉄系基材で焼結成形されていたが、アルミ系基材でダイカスト成形されるピストン体にあっても、基材における成分配合の如何で、所定の機械的強度を保障し得ることになる。
【0004】
そして、アルミ系基材でダイカスト成形されるピストン体にあっては、焼結成形されるピストン体に比較して、基材重量から看て絶対値が小さいから、油圧緩衝器類におけるピストン部の質量を小さくし得ることになり、その結果、ピストン部がシリンダ内で摺動するときの慣性を低く抑えるためのピストン部の軽量化に寄与し得ることになる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63‐270933号公報(特許請求の範囲(1),同(2))
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピストン体をアルミ系基材でダイカスト成形するとしても、ピストン体を樹脂材で射出成形する場合に比較すると、絶対重量は大きくなる。
【0007】
のみならず、バルブシート面のポーラス仕上げや材料コストのことを勘案すると、ピストン体をアルミ系基材でダイカスト成形するよりも、ダイカスト成形において、鋳巣が発生することを考慮すると樹脂材で射出成形する場合の方が有利と言い得る。
【0008】
この発明は、このような現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、油圧緩衝器類におけるピストン部を形成する上で、所定の機械的強度を具有するのはもちろんのこと、ピストン部の軽量化を可能にして、その汎用性の向上を期待するのに最適となるピストン体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、この発明によるピストン体の構成を、基本的には、樹脂材を基材にして射出成形されるピストン体において、基材がポリフェニレンサルファイドあるいはポリエーテルサルフォンなどの重合材にカーボンファイバーを10〜50%の割合で混入してなると共に、環状リーフバルブの内周側固定部を定着させるボス部が金属材で補強されてなるとする。
【0010】
それゆえ、樹脂材で形成されるピストン体にあっては、アルミ系基材で形成されるピストン体に比較して、基材重量から看て絶対値が小さくなり、ピストン体自体の軽量化が可能になる。
【0011】
また、樹脂材からなるピストン体における熱膨張率がシリンダを構成する鉄材やアルミ材における熱膨張率に近似するから、作動油の粘性が温度変化で変化する場合にも、ピストン体とシリンダとの間に出現する隙間を同じ油温下でのピストン体とシリンダの膨張率の変化で対応でき、油温変化によるシリンダ内でのピストン部における摺動性の変化を抑制し得る。
【0012】
そして、カーボンファイバーの混入割合を10〜50%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体として必要な所定の機械的強度を任意に設定できる。
【0013】
さらに、ピストン体が射出成形されるから、ピストン体にあって、バルブシート面やポートあるいはポートが開口する開口窓や環状溝などを射出成形後に切削などの後加工で形成せずして、あらかじめ形成しておくことが可能になる。
【0014】
そして、上記した構成において、より具体的には、基材にテフロン(登録商標、以下、同じ)を1〜10%の割合で混入させてなるとするのが好ましい。
【0015】
それゆえ、テフロンの混入割合を1〜10%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体のシリンダ内周に対する摺動性を任意に設定でき、したがって、テフロンの混入割合の適宜如何でピストン体の外周にピストンシールをモールドせずしてピストン体を直摺動型に設定し得る。
【0016】
また、ボス部を形成する金属材が射出成形時に芯材とされ、あるいは、射出成形後に軸芯部に圧入されてなるとするのが好ましい。
【0017】
それゆえ、ボス部を形成する金属材を射出成形時の芯材とすることで、射出成形時に別途に芯材を準備しなくて済み、また、ボス部を形成する金属材を射出成形後に軸芯部に圧入することで、ボス部を形成する金属材を自由に選択できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるピストン体1は、図1に示すように、環状リーフバルブV,V1の配在下にピストンロッドRに連設され、油圧緩衝器SAを構成すべくシリンダC内に摺動可能に収装されるピストン部Pを形成するとしている。
【0019】
このとき、射出成形時のピストン体1は、後述するピストン体1の直摺動の観点からすれば、この実施形態では、単一の型で同一形状のものを多数個形成する方法によるとするのが好ましい。
【0020】
ただ、後述するピストン体1の直摺動性が、たとえば、湯道Lを切削などして撤去する際の加工技術の精緻性で保障される場合には、図2に示すように、多数個が湯道Lで連結されて整列されてなるとしても良いと言い得る。
【0021】
ちなみに、この発明が意図するところからすれば、ピストン体1は、同一形状のものが多数個形成されれば足り、したがって、上記のように多数個が湯道Lで連結されて整列されてなることを、また、単一の型で同一形状のものを多数個形成することを絶対的な要件にはしていない。
【0022】
むしろ、一般的に言って、型を利用する場合でも、凡そ同一形状のものを多数個形成する際には、製作誤差を生じ得るのが常態であるとすれば、多数の型を利用して同一形状のものを多数個形成することに比較して、単一の型で同一形状のものを多数個形成する場合の方が、製作誤差を小さくする上では好ましいと言い得る。
【0023】
ところで、上記のピストン体1は、樹脂材を基材にして射出成形されるが、このときの基材は、この発明では、ポリフェニレンサルファイドあるいはポリエーテルサルフォンなどの重合材にカーボンファイバーを10〜50%の割合で混入してなるとしている。
【0024】
これによって、射出性が良くなると共に、使用中の高温化による劣化性を抑制できることになる。
【0025】
そして、このピストン体1にあっては、図3に示すように、環状リーフバルブV,V1の内周側固定部を定着させるボス部1aが金属材Mで補強されてなるとしている。
【0026】
それゆえ、このピストン体1にあっては、樹脂材で形成されるから、アルミ系基材で形成される場合に比較して、基材重量から看て絶対値が小さくなり、ピストン体1自体の軽量化が可能になる。
【0027】
また、このピストン体1にあっては、ピストン体1が射出成形されるから、ピストン体1の射出成形時に、バルブシート面1b,1c,1dやポート1e,1fあるいはポート1e,1fが開口する開口窓(図示せず)や環状溝(符示せず)などを射出成形後に切削などの後加工で形成せずして、あらかじめ形成しておくことが可能になる。
【0028】
そして、このピストン体1にあっては、ピストン体1における熱膨張率がシリンダCを構成する鉄材やアルミ材における熱膨張率に近似するから、作動油の粘性が温度変化で変化する場合にも、ピストン体1とシリンダCとの間に出現する隙間(符示せず)を同じ油温下でのピストン体1とシリンダCの膨張率の変化で対応でき、油温変化によるシリンダC内でのピストン部Pにおける摺動性の変化を抑制し得る。
【0029】
そして、後述するカーボンファイバーの混入割合で、このピストン体1における熱膨張率を任意に設定できる。
【0030】
ところで、前述したように、この発明のピストン体1にあっては、環状リーフバルブV,V1の内周側固定部を定着させるボス部1aが金属材Mで補強されてなるとしている。
【0031】
このとき、この金属材Mは、たとえば、アルミ材からなるとし、ピストン体1の射出成形時に、すなわち、ボス部1aが形成される際に芯材とされ、この芯材に言わばピストン体1を射出成形するとしている。
【0032】
それゆえ、このピストン体1にあっては、ボス部1aが他部、すなわち、樹脂材のみからなる部位に比較して、高強度となり、前記した環状リーフバルブV,V1の内周側固定部をこのボス部1aに定着させるためにピストンナットN(図1参照)をいわゆる締め上げるようにしても、ボス部1aに変形が招来されなくなる。
【0033】
そして、このボス部1aを形成する金属材Mを射出成形時の芯材とすることで、射出成形時に別途に芯材を準備しなくて済む点で有利となる。
【0034】
ちなみに、上記の金属材Mの形状についてであるが、ボス部1aに固定状態に定着される限りには、任意の形状が選択されて良く、たとえば、図するように、中央部の外周が凹むように成形されてもよく、図示しないが、中央部の外周が出っ張るように成形されるとしても良い。
【0035】
そして、この金属材Mは、ピストン体1の射出成形時に一体化されるのに代えて、図示しないが、ピストン本体1の射出成形後に軸芯部に圧入されてボス部1aを補強するとしても良い。
【0036】
この場合には、ボス部1aを形成する金属材Mをピストン体1の射出成形後に軸芯部に圧入することになるから、ボス部1aを形成する金属材Mをアルミ材から鉄材に代えるなど、自由に選択できることになる。
【0037】
なお、この圧入の際には、多くの場合に、肉厚の筒状に形成された金属材Mの外周にローレット掛けなどのいわゆる抜け止めの処置が施されるであろう。
【0038】
一方、この発明にあって、ピストン体1を形成する基材には、カーボンファイバーを10〜50%の範囲内で混入してなるとしている。
【0039】
それゆえ、このピストン体1にあっては、基材中に混入されるカーボンファイバーの割合を10〜50%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体1として必要な所定の機械的強度を任意に設定できることになる。
【0040】
特に、この発明では、ピストン体1が射出成形されるとしているので、前記したように、ピストン体1の射出成形時に、バルブシート面1b,1c,1dやポート1e,1fあるいはポート1e,1fが開口する開口窓や環状溝などを同時に形成し得ることを鑑みると、基材へのカーボンファイバーの混入は、ピストン体1におけるいわゆる強度アップに、また、硬度が増すことによるピストン体1のいわゆる型離れが良化される点でより効果的になると言い得る。
【0041】
上記したところがこの発明にピストン体1における基本的な構成であるが、ピストン体1の直摺動性を保障するために、以下のような配慮がなされるとしても良い。
【0042】
すなわち、この発明の実施形態では、前記した基材にテフロンを1〜10%の割合で混入させるのが好ましいとしている。
【0043】
それゆえ、ピストン体1の形成にあって、基材にテフロンの混入割合を1〜10%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体1のシリンダC内周に対する摺動性を任意に設定できることになる。
【0044】
そして、テフロンの混入割合の適宜如何でピストン体1のシリンダC内周に対する摺動性を任意に保障し得ることからすれば、図示しないが、ピストン体1の外周にピストンシールをモールドせずして、ピストン体1を直摺動型に設定し得ることになる。
【0045】
ちなみに、ピストン体1の外周にピストンシールをモールドしても良いことはもちろんであるが、その場合には、ピストン体1の形成にあって、基材へのテフロンの混入を省略する方が好ましいと言い得る。
【0046】
前記したところは、この発明によるピストン体1が油圧緩衝器SAおけるピストン部Pを形成する場合を例にして説明したものであるが、この発明のピストン体1にあっては、図示しないが、これが油圧緩衝器SAおけるベースバルブ部を形成するバルブディスク体とされる場合であっても同様の作用効果を望めることはもちろんである。
【0047】
そして、バルブディスク体を形成する場合には、前記したように、基材へのテフロンの混入を省略する方が好ましい。
【0048】
また、前記したところでは、この発明によるピストン体1が油圧緩衝器SAおけるピストン部Pを形成する場合を例にしたが、この発明が意図するところからすれば、ガススプリングやシートダンパにおけるピストン部の形成に利用するとしても良いことはもちろんである。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明にあっては、ピストン体が樹脂材で形成されるから、アルミ系基材で形成される場合に比較して、基材重量から看て絶対値が小さくなり、ピストン体自体の軽量化が可能になる。
【0050】
また、樹脂材からなるピストン体にあっては、熱膨張率がシリンダを構成する鉄材やアルミ材における熱膨張率に近似するから、作動油の粘性が温度変化で変化する場合にも、ピストン体とシリンダとの間に出現する隙間を同じ油温下でのピストン体とシリンダの膨張率の変化で対応でき、油温変化によるシリンダ内でのピストン部における摺動性の変化を抑制し得る。
【0051】
そして、カーボンファイバーの混入割合を10〜50%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体として必要な所定の機械的強度を任意に設定できる。
【0052】
さらに、ピストン体が射出成形されるから、ピストン体にあって、バルブシート面やポートあるいはポートが開口する開口窓や環状溝などを射出成形後に切削などの後加工で形成せずして、あらかじめ形成しておくことが可能になる。
【0053】
そして、請求項2の発明にあっては、テフロンの混入割合を1〜10%の範囲内で適宜に選択することで、ピストン体のシリンダ内周に対する摺動性を任意に設定でき、したがって、テフロンの混入割合の適宜如何でピストン体の外周にピストンシールをモールドせずしてピストン体を直摺動型に設定し得る。
【0054】
また、請求項3の発明にあっては、ボス部を形成する金属材を射出成形時の芯材とすることで、射出成形時に別途に芯材を準備しなくて済み、また、請求項4の発明にあっては、ボス部を形成する金属材を射出成形後に軸芯部に圧入することで、ボス部を形成する金属材を自由に選択できる。
【0055】
その結果、この発明によれば、油圧緩衝器類におけるピストン部を形成する上で、所定の機械的強度を具有するのはもちろんのこと、ピストン部の軽量化を可能にして、その汎用性の向上を期待するのに最適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるピストン体を利用して油圧緩衝器におけるピストン部を形成した状態を示す部分縦断面図である。
【図2】この発明によるピストン体を射出成形した一実施形態を示す平面図である。
【図3】この発明によるピストン体を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ピストン体
1a ボス部
1b,1c,1d バルブシート面
1e,1f ポート
C シリンダ
L 湯道
M 金属材
N ピストンナット
P ピストン部
R ピストンロッド
SA 油圧緩衝器
V,V1 減衰バルブ
Claims (3)
- 樹脂材を基材にして射出成形されるピストン体において、基材がポリフェニレンサルファイドあるいはポリエーテルサルフォンなどの重合材にカーボンファイバーを10〜50%の割合で混入してなると共に、環状リーフバルブの内周側固定部を定着させるボス部が金属材で補強されてなることを特徴とするピストン体
- 基材にテフロン(登録商標)が1〜10%の割合で混入されてなる請求項1に記載のピストン体
- ボス部を形成する金属材が射出成形時に芯材とされ、あるいは、射出成形後に軸芯部に圧入されてなる請求項1に記載のピストン体
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---|---|---|---|
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ID=33399293
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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ES2275403A1 (es) * | 2005-04-29 | 2007-06-01 | Kyb Suspensions Europe, S.A. | Piston para amortiguadores hidraulicos. |
JP2009036260A (ja) * | 2007-07-31 | 2009-02-19 | Kayaba Ind Co Ltd | ピストン |
KR101113648B1 (ko) * | 2009-11-16 | 2012-02-14 | 현대자동차주식회사 | 차량용 가스리프터 |
-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003084040A patent/JP2004293594A/ja active Pending
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JP2009036260A (ja) * | 2007-07-31 | 2009-02-19 | Kayaba Ind Co Ltd | ピストン |
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