JP2004292437A - 異常プリオン蛋白質の増殖の抑制方法 - Google Patents
異常プリオン蛋白質の増殖の抑制方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 必須アミノ酸の中でも分岐鎖を有するロイシン、イソロイシンまたはバリンのいずれか、またはトレハロースを全身的、経口的、脳内または髄腔内に投与することにより異常プリオンの増殖を抑制させる方法であり、好ましくは、ロイシンを投与する方法、当該異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法である。
【選択図】 図1
Description
分岐鎖を有する必須アミノ酸が、異常プリオン蛋白質の増殖反応に与える影響を、以下の実験により検討した。
1.方法
PMCA(protein misfolding cyclic amplification)法を用いて、異常プリオン蛋白質をin vitroで増幅した。
健常羊の脳を0.5%TritonX−0.05%SDS−PBS(プロテアーゼインヒビターを含む)でホモジナイズし、10%(w/v)溶液を作製した。健常の羊由来の脳ホモジネート10μLに、スクレイピーの羊由来の脳ホモジネートを1/100量を加え、PMCA増幅を行った。このときロイシンを最終濃度15mg/mLで加えたサンプルも作製した。
ロイシン非添加群では、PMCA処理を行うことによって、PK(Proteinase K)抵抗性のバンドが明らかに増強され(10サイクル処理で5倍)、増強の程度は、サイクル数に依存していた。
一方、ロイシン添加群では、10サイクル処理のサンプルにおいても、PK抵抗性のバンドの蓄積は認められなかった。
したがって、以上の結果から、ロイシンの添加により試験管内での異常プリオン蛋白質増殖反応は効果的に抑制されていることが判明する。
図1にECL+plusで発光反応させた結果を示した。図中、左図はロイシン添加群であり、右図はロイシン無添加群の結果である。
分岐鎖を有する必須アミノ酸が、異常プリオン蛋白質の増殖反応に与える影響を、さらに以下の実験により検討した。
1.方法
PMCA(protein misfolding cyclic amplification)法を用いて、異常プリオン蛋白質をin vitroで増幅した。
健常羊の脳を0.5%TritonX−0.05%SDS−PBS(プロテアーゼインヒビターを含む)でホモジナイズし、10%(w/v)溶液を作製した。スクレイピーの羊由来の脳ホモジネートを、健常の羊由来の脳ホモジネート10%(w/v)溶液にて、1/250に希釈した。
ロイシンおよびイソロイシンを脳ホモジネート作成用緩衝液、0.5%TritonX−0.05%SDS−PBSで完全に溶解し、脳ホモジネートと等量混合した(ロイシン、イソロイシンのアミノ酸濃度は、最終的に10mg/mLまたは1mmg/mLの2種類)。
同時にコントロールとして、緩衝液のみと混合したアミノ酸無添加のサンプルを作成した。
ロイシン添加によるPMCA反応抑制効果を再確認した。ロイシンの1mmg/mL濃度の添加でも効果が認められた。また、イソロイシンの添加によっても、コントロール群と比較してバンドは薄いものの、PMCA増幅無し(0サイクル)のサンプルでもバンド濃度は他よりも濃いものであり、イソロイシンは、PKによる消化作用自体を抑制しているもと考えられた。
したがって、以上の結果から、ロイシンならびにイソロイシンの添加により試験管内での異常プリオン蛋白質増殖反応は、効果的に抑制されていることが判明する。
図2にECL+plusで発光反応させた結果を示した。図中、左図はPMCAで増幅(10サイクル)の結果であり、右図はPMCA増幅無し(0サイクル)の結果である。
マウスにプリオン病を発症させ、分岐鎖を有する必須アミノ酸の治療効果を以下の実験により検討した。
試験動物:Balb/cマウス;雌性6週齢
薬剤:
イソロイシン:イソロイシン粉末を蒸留水で溶解し、10mg/mL濃度で使用した。
ロイシン:ロイシン粉末を蒸留水で溶解し、10mg/mL濃度で使用した。
1.方法
Balb/cマウスに、異常型プリオン(PrPSC)1%含有のマウスプリオン脳乳剤25μLを脳内に投与し、プリオン病を発症させた。これを一群10匹/イソロイシン飲水群およびロイシン飲水群の各群と、コントロールとして通常の飲水群の3群に分けその生存(延命)を確認した。
各群の生存が確認された投与98日後(14週後)に、各群の中から4〜5匹を屠殺し、脳および脾臓組織を採取し、異常型プリオン(PrPSC)蛋白質の有無を、ウエスタンブロッティング法で検出した。
残りのマウスは、継続してその延命を観察した。
脳および脾臓組織における異常型プリオン(PrPSC)蛋白質の有無を検討したウエスタンブロッティング法の結果を図3および図4に示し、マウスの生存率を図5に示した。
また、図6および図7に、コントロールマウス(プリオン病発症)と、ロイシン投与マウスの毛並みの状態を示した。
図3および図4に示した結果からも判明するように、ロイシンを投与したマウス(10−14)にあっては、コントロール群のマウス(1−4)に比較して、異常型プリオン(PrPSC)蛋白質の増殖が抑制されていることが理解される。
また、図5に示した結果からも判明するように、ロイシンを投与したマウスの生存率は、コントロールマウス、イソロイシン投与マウスに比較してその生存が長いものであることが理解される。
さらに、コントロールマウス(プリオン病発症マウス)(図6)と、ロイシン投与マウス(図7)の毛並みの状態を比較すると、ロイシン投与マウスの毛並みの艶が良く、健康状態が維持されていることが理解される。
Claims (14)
- 分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを全身投与、経口投与、脳内または髄腔内に投与することによる異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法。
- 分岐鎖を有する必須アミノ酸が、ロイシン、イソロイシンまたはバリンである請求項1に記載する異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法。
- ロイシンを全身投与、経口投与、経口、脳内または髄腔内に投与することによる異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法。
- 異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるために、全身的、経口的、脳内または髄腔内に分岐鎖を有する必須アミノ酸またはトレハロースを投与する方法。
- 分岐鎖を有する必須アミノ酸が、ロイシン、イソロイシンまたはバリンである請求項4に記載する方法。
- 異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるために、全身的、経口的、脳内または髄腔内にロイシンを投与する方法。
- 分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを有効成分として含有する異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤。
- 分岐鎖を有する必須アミノ酸が、ロイシン、イソロイシンまたはバリンである請求項7に記載する異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤。
- ロイシンを有効成分として含有する異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤。
- 異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるために、全身投与、経口投与、脳内または髄腔内に投与する分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースの使用方法。
- 分岐鎖を有する必須アミノ酸が、ロイシン、イソロイシンまたはバリンである請求項10に記載する方法。
- 異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるために、全身投与、経口投与、脳内または髄腔内に投与するロイシンの使用方法。
- 分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを含有する溶液により、脳、臓器、骨、肉等を洗浄することからなることを特徴とする異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法。
- 分岐鎖を有する必須アミノ酸が、ロイシン、イソロイシンまたはバリンである請求項13に記載する方法。
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