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異常プリオン蛋白質の増殖の抑制方法 Download PDF

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本発明は、異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法に係り、詳細には、必須アミノ酸の中でも分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを投与することによる異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法に関する。更にまた本発明は、分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを使用した異常プリオン蛋白質の増殖抑制方法にも関する。
異常プリオン蛋白質の増殖による疾患として最初に発見されたのが、スクレイピー(Scrapie)というヒツジにみられる運動機能失調にかかわる疾患であり、脳にはスポンジ状の穴があくという特徴的な疾患である。その後、この異常プリオン蛋白質の増殖による疾患として、牛の狂牛病(牛海綿状脳症:BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)、ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD:Creutzfeldt Jakob Disease)や、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS:Gerstmann-Staussler-Scheinker Syndrome)などが知られている。また、脳に対するそれに類する症候として、アルツハイマー症候群(Alzheimer's Syndrome)も知られている。
これらの疾患はウイルス感染によるものではなく、また既知の病原体は発見されておらず、特異的な蛋白質が共通に存在するところから、これが伝達〜感染を起こす病原物質と思われ、「蛋白質性感染粒子“プリオン”:small proteinaceous infectious particle:prion」が提唱され、上記した各種の特異的疾患は、プリオン病と称されるようになった。
これらプリオン病のなかでも、家族性プリオン病であるゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)では、プリオン蛋白質の変異(点突然変異:point mutation)で100%発症することが判明している。すなわち、プリオン蛋白質のなかにあるアミノ酸が一つ変化(ロイシンへの変化)するだけで、GSSになることが確認されている。
ところで、プリオン蛋白質遺伝子は、第20番染色体上に存在し、プリオン蛋白質は、235個のアミノ酸により構成されていることが判明している。感染因子プリオンの主な構成成分はこのプリオン蛋白質と考えられており、感染因子を構成するプリオン蛋白質をスクレイピー型または異常型プリオン(PrPSC)と称し、正常型のプリオン蛋白質を正常プリオン(PrP)と称している。
上記したゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)でみられたプリオン蛋白質の変異(点突然変異)による発症は、他の症状の発症においても観察されている。例えば、プリオン蛋白質のコドン102番におけるプロリン(Pro)からロイシン(Leu)への置換は小脳失調症を発症させ、コドン102/219(Lys)におけるプロリン(Pro)からロイシン(Leu)への置換は痴呆または小脳失調症を発症させ、コドン105/129(Val)におけるプロリン(Pro)からロイシン(Leu)への置換は痙性四肢麻痺を発症させている。また、頑固な不眠症を主徴とし、1年以内に死亡する致死性家族性不眠症(FFI:Fatal Familial Insomnia)では、プリオン蛋白質コドン178番におけるアスパラギン酸(Asp)がアスパラギン(Asn)に置換されている。
このようなプリオン蛋白質の突然変異による疾患は、各種動物でも観察されており、動物種の違いによる異常プリオンでの感染が、異種の動物間でも観察されている。例えば、スクレイピーに感染したヒツジ材料の動物飼料への混入により牛の狂牛病(BSE)が牛に感染し、そのBSEに感染した牛材料を含む飼料を食した猫に、猫海綿状脳症(FSE)が発症している。したがって、最近の研究では、特にBSEがヒトへ感染する可能性が濃厚となっていると報告されている(非特許文献1)。
Collinge J. et al., Nature 第383号、685-690頁、1996年
異常プリオン蛋白質による感染の様式は、現在のところ詳細には判明していないが、プリオンは蛋白質でありながら高圧滅菌、乾燥滅菌によってもその感染性が死滅することはなく、またホルマリン、またはアルコール或いはフェノールによっても蛋白質の変性を受けない。したがって、異常プリオン蛋白質による感染を受けた場合には、かかる異常プリオンの増殖を極力抑制させることが、プリオン病の発症を抑えることとなる。しかしながら、これまでに異常プリオン蛋白質の増殖を有効に抑制させる方法等は、詳細に検討されておらず、それに基づくプリオン病の発症を抑制しようとする試みも、何らなされされていないのが現状である。
したがって本発明は、かかる現状に鑑み、異常プリオン蛋白質に感染したヒトを含む動物、牛、ヒツジ等の家畜、ネコ、鹿、ミンクなどの動物において、当該異常プリオンの増殖を抑制させることを一義的な課題とし、究極的には、異常プリオン蛋白質の感染によるプリオン病の発症を抑えることを課題とする。
かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、必須アミノ酸のなかでも分岐鎖を有する必須アミノ酸が、異常プリオン蛋白質の増殖を有効に抑制することを見出し、かかる分岐鎖を有する必須アミノ酸が異常プリオン増殖抑制剤となることを確認した。更に本発明者らは、神経に蛋白質を蓄積させないというトレハロースが有する作用に注目し、かかるトレハロースが異常プリオン蛋白質の増殖を有効に抑制することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の基本的な態様の一つは、分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを全身投与、経口投与、脳内または髄腔内に高濃度で投与することによる異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法である。
本発明で使用される分岐鎖を有する必須アミノ酸の具体的なものとしては、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)またはバリン(Val)を挙げることができる。そのなかでも本発明者らの検討によれば、ロイシンが異常プリオン蛋白質の増殖をより効果的に抑制させることが判明した。したがって、最も好ましい具体的な本発明は、ロイシンを全身投与、経口投与、脳内または髄腔内に高濃度で投与することによる異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法である。
さらに本発明は、第二の基本的な態様として、異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるために、全身的、経口的、脳内または髄腔内に分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを高濃度で投与する方法である。
より具体的には、異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるために、分岐鎖を有する必須アミノ酸としてロイシン、イソロイシンまたはバリンのいずれかを全身的、経口的、脳内または髄腔内に投与する方法であり、最も好ましくは、ロイシンを投与する方法である。
また、本発明は第三の基本的態様として、分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを有効成分として含有する異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤である。具体的には、分岐鎖を有する必須アミノ酸としてロイシン、イソロイシンまたはバリンを有効成分として含有する異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤であり、最も好ましい具体的態様は、ロイシンを有効成分として含有する異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤である。
さらに本発明の第四の基本的態様としては、異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるために、全身投与、経口投与、脳内または髄腔内に投与する分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースの使用方法である。
具体的には、分岐鎖を有する必須アミノ酸がロイシン、イソロイシンまたはバリンであり、最も好ましくは、異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるために、全身投与、経口投与、脳内または髄腔内に投与するロイシンの使用方法である。
さらに本発明の基本的な態様としては、分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを含有する溶液により、脳、臓器、肉等を洗浄することからなることを特徴とする異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法であり、好ましくは、分岐鎖を有する必須アミノ酸としてロイシン、イソロイシンまたはバリンである溶液により脳、臓器、肉等を洗浄することからなることを特徴とする異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法である。
本発明が提供する分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロース、特にロイシンを投与することにより、異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させることができる。これまでに、かかる異常プリオン蛋白質の増殖を効果的に抑制させる方法がなかった現状下では、本発明の異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法により、究極的には、異常プリオン蛋白質の感染によるプリオン病の発症を抑えることができる。したがって、今日大きな問題となっている牛の狂牛病(BSE)、ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)等の治療に一つの活路を与えるものである。
本発明の基本は、分岐鎖を有する必須アミノ酸、具体的には、ロイシン、イソロイシンまたはバリンのいずれか、またはトレハロースを全身投与、経口投与、脳内または髄腔内に高濃度で投与することによる異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法である。
すなわち、本発明で使用する分岐鎖を有する必須アミノ酸、具体的には、ロイシン、イソロイシンまたはバリンは、安全性の高い化合物であり、必須アミノ酸として人体の発育、健康維持に不可欠なアミノ酸である。また天然の糖質の一種であるトレハロースも安全性の高い化合物であことより、本発明が提供する異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法は、極めて効果的なものであるといえる。
その場合のこれら分岐鎖を有する必須アミノ酸のなかでも、ロイシンが特に好結果を与えた。異常プリオン蛋白質は、正常プリオン蛋白質の変異(点突然変異)によるもので、なかでもアミノ酸の一つがロイシンに置換されることにより感染性の異常プリオンとなることからみれば、かかるロイシンを投与することが、何らかの形で異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させていることが考えられる。
異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるためには、かかるロイシン等の分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを全身的、すなわち注射投与、経口的、更には、脳内或いは髄腔内、具体的には脳髄、脊髄内に投与すればよい。
その投与量は、一概に限定し得ないが、異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるに十分な量を投与すればよく、具体的には、5〜15g/kgの大量を投与すればよい。投与に当たっては、例えば、20〜40mg/mLの高濃度溶液を用いるか、固形のまま経口投与すればよい。なお、かかるアミノ酸、またはトレハロースの投与形態としては、適宜濃度を調整した溶液の形態、錠剤、粉末製剤等をとることができる。
また、本発明の異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる方法にあっては、ロイシン等の分岐鎖を有する必須アミノ酸、またはトレハロースを含有する溶液で、脳、臓器、肉等を洗浄すればよく、かかる溶液の濃度は、必須アミノ酸、またはトレハロースにより異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させ得る濃度であればよい。
この洗浄による異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる手段は、例えば狂牛病に罹患した牛の脳、臓器、骨、肉等を洗浄することにより、効果的に異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させる結果、狂牛病の感染自体を防止し得るものとなる。
また、異常プリオン蛋白質の増殖を押さえることは、アルツハイマー症候群(Alzheimer's Syndrome)における脳の空洞化現象を抑制するものでもあり、したがって分岐鎖を有する必須アミノ酸、すなわち、ロイシン、イソロイシンまたはバリンである分岐鎖必須アミノ酸、特にロイシンにより、かかるアルツハイマー病に対する効果的な治療剤を提供するものでもあるといえる。
以下に、異常プリオン蛋白質としてクレスピー羊由来の異常プリオン蛋白質を使用し、その増殖が抑制された試験結果を説明することにより、本発明を詳細に説明する。
試験例1
分岐鎖を有する必須アミノ酸が、異常プリオン蛋白質の増殖反応に与える影響を、以下の実験により検討した。
1.方法
PMCA(protein misfolding cyclic amplification)法を用いて、異常プリオン蛋白質をin vitroで増幅した。
健常羊の脳を0.5%TritonX−0.05%SDS−PBS(プロテアーゼインヒビターを含む)でホモジナイズし、10%(w/v)溶液を作製した。健常の羊由来の脳ホモジネート10μLに、スクレイピーの羊由来の脳ホモジネートを1/100量を加え、PMCA増幅を行った。このときロイシンを最終濃度15mg/mLで加えたサンプルも作製した。
脳ホモジネートを混合後、37℃で攪拌しながら1時間インキュベーし、Branson社のDigital Sonifier450Dを用いて超音波処理を行った。処理条件は、出力を100%に設定し、0.2秒発振−0.1秒停止のサイクルを5回行った。
インキュベーション−超音波処理を0回(コントロール)、1回、10回繰り返したサンプルを作製した。Proteinase K(PK)を最終濃度50μg/mLになるように各サンプルに添加し、37℃で1時間インキュベートとした。
異常プリオン蛋白質は、ウエスタンブロッティング法で検出した。10%SDS−PAGEで分離・泳動後メンブランに転写し、ブロッキング後、ウサギ抗Pr94−1129IgG抗体を1時間室温で反応させた。メンブランを洗浄後、HRP標識抗ウサギIgG抗体でさらに反応させた。メンブランを洗浄後、ECL+plusで発光反応を検出した。
2.結果
ロイシン非添加群では、PMCA処理を行うことによって、PK(Proteinase K)抵抗性のバンドが明らかに増強され(10サイクル処理で5倍)、増強の程度は、サイクル数に依存していた。
一方、ロイシン添加群では、10サイクル処理のサンプルにおいても、PK抵抗性のバンドの蓄積は認められなかった。
したがって、以上の結果から、ロイシンの添加により試験管内での異常プリオン蛋白質増殖反応は効果的に抑制されていることが判明する。
図1にECL+plusで発光反応させた結果を示した。図中、左図はロイシン添加群であり、右図はロイシン無添加群の結果である。
試験例2
分岐鎖を有する必須アミノ酸が、異常プリオン蛋白質の増殖反応に与える影響を、さらに以下の実験により検討した。
1.方法
PMCA(protein misfolding cyclic amplification)法を用いて、異常プリオン蛋白質をin vitroで増幅した。
健常羊の脳を0.5%TritonX−0.05%SDS−PBS(プロテアーゼインヒビターを含む)でホモジナイズし、10%(w/v)溶液を作製した。スクレイピーの羊由来の脳ホモジネートを、健常の羊由来の脳ホモジネート10%(w/v)溶液にて、1/250に希釈した。
ロイシンおよびイソロイシンを脳ホモジネート作成用緩衝液、0.5%TritonX−0.05%SDS−PBSで完全に溶解し、脳ホモジネートと等量混合した(ロイシン、イソロイシンのアミノ酸濃度は、最終的に10mg/mLまたは1mmg/mLの2種類)。
同時にコントロールとして、緩衝液のみと混合したアミノ酸無添加のサンプルを作成した。
PMCA増幅を行った。脳ホモジネートを混合後、37℃で攪拌しながら1時間インキュベーし、Branson社のDigital Sonifier450Dを用いて超音波処理を行った。処理条件は、出力を100%に設定し、0.2秒発振−0.1秒停止のサイクルを5回行った。
インキュベーション−超音波処理を0回(コントロール)、1回、10回繰り返したサンプルを作製した。Proteinase K(PK)を最終濃度50μg/mLになるように各サンプルに添加し、37℃で1時間インキュベートとした。
異常プリオン蛋白質は、ウエスタンブロッティング法で検出した。10%SDS−PAGEで分離・泳動後メンブランに転写し、ブロッキング後、ウサギ抗Pr94−1129IgG抗体を1時間室温で反応させた。メンブランを洗浄後、HRP標識抗ウサギIgG抗体でさらに反応させた。メンブランを洗浄後、ECL+plusで発光反応を検出した。
2.結果
ロイシン添加によるPMCA反応抑制効果を再確認した。ロイシンの1mmg/mL濃度の添加でも効果が認められた。また、イソロイシンの添加によっても、コントロール群と比較してバンドは薄いものの、PMCA増幅無し(0サイクル)のサンプルでもバンド濃度は他よりも濃いものであり、イソロイシンは、PKによる消化作用自体を抑制しているもと考えられた。
したがって、以上の結果から、ロイシンならびにイソロイシンの添加により試験管内での異常プリオン蛋白質増殖反応は、効果的に抑制されていることが判明する。
図2にECL+plusで発光反応させた結果を示した。図中、左図はPMCAで増幅(10サイクル)の結果であり、右図はPMCA増幅無し(0サイクル)の結果である。
試験例3プリオン病発症マウスにおける治療効果
マウスにプリオン病を発症させ、分岐鎖を有する必須アミノ酸の治療効果を以下の実験により検討した。
試験動物:Balb/cマウス;雌性6週齢
薬剤:
イソロイシン:イソロイシン粉末を蒸留水で溶解し、10mg/mL濃度で使用した。
ロイシン:ロイシン粉末を蒸留水で溶解し、10mg/mL濃度で使用した。
1.方法
Balb/cマウスに、異常型プリオン(PrPSC)1%含有のマウスプリオン脳乳剤25μLを脳内に投与し、プリオン病を発症させた。これを一群10匹/イソロイシン飲水群およびロイシン飲水群の各群と、コントロールとして通常の飲水群の3群に分けその生存(延命)を確認した。
各群の生存が確認された投与98日後(14週後)に、各群の中から4〜5匹を屠殺し、脳および脾臓組織を採取し、異常型プリオン(PrPSC)蛋白質の有無を、ウエスタンブロッティング法で検出した。
残りのマウスは、継続してその延命を観察した。
2.結果
脳および脾臓組織における異常型プリオン(PrPSC)蛋白質の有無を検討したウエスタンブロッティング法の結果を図3および図4に示し、マウスの生存率を図5に示した。
また、図6および図7に、コントロールマウス(プリオン病発症)と、ロイシン投与マウスの毛並みの状態を示した。
図3および図4に示した結果からも判明するように、ロイシンを投与したマウス(10−14)にあっては、コントロール群のマウス(1−4)に比較して、異常型プリオン(PrPSC)蛋白質の増殖が抑制されていることが理解される。
また、図5に示した結果からも判明するように、ロイシンを投与したマウスの生存率は、コントロールマウス、イソロイシン投与マウスに比較してその生存が長いものであることが理解される。
さらに、コントロールマウス(プリオン病発症マウス)(図6)と、ロイシン投与マウス(図7)の毛並みの状態を比較すると、ロイシン投与マウスの毛並みの艶が良く、健康状態が維持されていることが理解される。
以上記載のように、本発明が提供する分岐鎖を有する必須アミノ酸、特にロイシンを添加する方法により、異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させることができる。これまでに、かかる異常プリオン蛋白質の増殖を効果的に抑制させる方法がなかった現状下では、異常プリオン蛋白質の増殖を抑制させるにより、究極的には、異常プリオン蛋白質の感染によるプリオン病の発症を抑えることができ、今日大きな問題となっている牛の狂牛病(BSE)、ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)等の治療に一つの活路を与えるものである。
図1は、試験例1のウエスタンブロッッティング法に基づくECL発光反応の結果を示す写真である。 図2は、試験例2のウエスタンブロッッティング法に基づくECL発光反応の結果を示す写真である。 図3は、試験例3のウエスタンブロッッティング法に基づく脳臓組織における異常型プリオン(PrPSC)蛋白質の有無を示す電気泳動写真である(No.1〜4:コントロールマウス、No.5〜9:イソロイシン投与マウス、No.10〜14:ロイシン投与マウス)。 図4は、試験例3のウエスタンブロッッティング法に基づく脾臓組織における異常型プリオン(PrPSC)蛋白質の有無を示す電気泳動写真である(No.1〜4:コントロールマウス、No.5〜9:イソロイシン投与マウス、No.10〜14:ロイシン投与マウス)。 図5は、試験例3におけるマウスの生存率を示すグラフである。 図6は、試験例3におけるコントロールマウスの毛並みの状態を示す写真である。 図7は、試験例3におけるロイシン投与マウスの毛並みの状態を示す写真である。

Claims (4)

  1. 分岐鎖を有する必須アミノ酸を有効成分として含有する異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤。
  2. 分岐鎖を有する必須アミノ酸が、ロイシン、イソロイシンまたはバリンである請求項1に記載する異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤。
  3. ロイシンを有効成分として含有する異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤。
  4. 全身投与、経口投与、脳内または髄腔内に投与する形態にある請求項1ないし3のいずれかに記載の異常プリオン蛋白質の増殖抑制剤。
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