JP2004292260A - 燃料改質用触媒反応装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】CO低減を高効率に維持できるように温度調整した燃料改質用触媒反応装置を提供する。
【解決手段】発熱反応を生じる触媒反応層2aと、発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が触媒反応層2aよりも低い触媒反応層3aと、触媒反応層2aと熱交換可能な冷媒層2bと、触媒反応層3aと熱交換可能であって、冷媒層2aと連通する冷媒層3bと、を備える。また、冷媒層2b、3bに水蒸気を流通する水蒸気配管21と、を備える。冷媒層2aを流通する水蒸気を、気相のみからなる乾き水蒸気とし、冷媒層3aを流通する水蒸気を、気相と液相とからなる湿り水蒸気とする。
【選択図】 図1
【解決手段】発熱反応を生じる触媒反応層2aと、発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が触媒反応層2aよりも低い触媒反応層3aと、触媒反応層2aと熱交換可能な冷媒層2bと、触媒反応層3aと熱交換可能であって、冷媒層2aと連通する冷媒層3bと、を備える。また、冷媒層2b、3bに水蒸気を流通する水蒸気配管21と、を備える。冷媒層2aを流通する水蒸気を、気相のみからなる乾き水蒸気とし、冷媒層3aを流通する水蒸気を、気相と液相とからなる湿り水蒸気とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料改質用触媒反応装置に関する。特に、触媒反応装置内部の温度調整を行うための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
発熱反応を生じる触媒反応層を蒸気との熱交換により温度調整することによって、触媒反応層を触媒活性温度に維持することができ、反応効率を高くすることができる。例えば、特開2002−37603号においては、炭化水素系燃料を改質して得られた改質ガス中の一酸化炭素を低減する触媒反応層を、水蒸気との熱交換により温度調整することによって、一酸化炭素低減効率を高くする。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−37603号公報
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
燃料改質システムに用いる一酸化炭素低減装置の触媒反応層は、一酸化炭素低減効率を高めるために、反応温度範囲が異なる複数段から構成される。例えば、一酸化炭素と水分との反応により二酸化炭素と水素とを生成するシフト反応を用いる場合においては、触媒反応層を二段として、各々の反応温度範囲を約400〜300℃、約300〜200℃とする。また、シフト反応と、一酸化炭素と酸素との反応により二酸化炭素を生成する選択酸化反応と、を組み合わせて用いる場合には、各々の反応温度範囲を約400〜250℃、約250〜100℃とする。
【0005】
しかしながら、反応温度範囲が異なる触媒反応層を、水蒸気との熱交換により温度調整する場合、水蒸気の温度が一定(水の沸点)となってしまうため、温度調整の条件を各々の触媒反応層に対して最適にすることができず、一酸化炭素低減効率を十分に高くすることが困難であるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題を鑑みて、一酸化炭素低減を高効率に維持できるように温度調整した燃料改質用触媒反応装置を提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、発熱反応を生じる第1触媒反応層と、発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が前記第1触媒反応層よりも低い第2触媒反応層と、前記第1触媒反応層と熱交換可能な第1冷媒層と、を備える。また、前記第2触媒反応層と熱交換可能であって、前記第1冷媒層と連通する第2冷媒層と、前記第1および第2冷媒層に蒸気を流通する蒸気流通手段と、を備える。前記第1冷媒層を流通する蒸気を、気相の乾き蒸気とし、前記第2冷媒層を流通する蒸気を、気相と液相とが存在する湿り蒸気とする。
【0008】
または、発熱を伴う反応を促進する触媒を担持した、反応温度範囲の異なる複数の触媒反応層と、前記複数の触媒反応層に対して、それぞれで生じる熱を除去するための冷媒を流通させる複数の冷媒層と、前記複数の冷媒層のうち少なくとも一部を連通することにより冷媒を流通させる冷媒流通手段と、を備える。前記冷媒層のうち比較的反応温度範囲が高い前記触媒反応層の熱を除去するものには、気体状態の冷媒を流通させ、前記冷媒層のうち比較的反応温度範囲が低い前記触媒反応層の熱を除去するものには、気体と液体の混合状態の冷媒を流通させる。
【0009】
【作用及び効果】
第1冷媒層を流通する蒸気を、気相の乾き蒸気とし、第2冷媒層を流通する蒸気を、気相と液相とが存在する湿り蒸気とする。これにより、第1冷媒層と第2冷媒層とで、蒸気の乾き度が変わるので、熱交換特性を変更することができる。これにより、反応温度範囲が異なる第1触媒反応層と第2触媒反応層との温度調整の条件を最適にすることができるので、反応効率を高くすることができる。
【0010】
また、冷媒層のうち比較的反応温度範囲が高い触媒反応層の熱を除去するものには、気体状態の冷媒を流通させ、冷媒層のうち比較的反応温度範囲が低い触媒反応層の熱を除去するものには、気体と液体の混合状態の冷媒を流通させる。これにより、比較的温度の高い触媒反応層においては、冷媒の気化に伴う熱の吸収による過度の冷却を防ぐことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる触媒反応装置について説明する。ここでは、触媒反応装置として、燃料改質システムに用いる一酸化炭素低減装置(以下、CO低減装置)1を用いる。CO低減装置1では、改質触媒を備えた燃料改質装置において生成した一酸化炭素(以下、CO)を含む水素リッチな改質ガス中のCOを低減する。図1にCO低減装置1の概略構成図を示す。
【0012】
CO低減装置1として、高温シフト反応器2と、低温シフト反応器3と、減圧弁4と、を備える。また、CO低減装置1内でシフト反応器2、3に改質ガスを流通させる改質ガス配管20、水蒸気を流通させる水蒸気配管21を備える。さらに、それらを接続する配管を備える。高温シフト反応器2は、触媒反応層2aと、これと熱交換可能に配置された冷媒層2bと、を備える。触媒反応層2aには、発熱を伴うシフト反応(CO+H2O→CO2+H2)が約400〜300℃において活性化する触媒を充填する。例えば、触媒反応層2aの材料として、Pt/Al2O3を用いる。触媒反応層2aでは、改質ガスを供給してシフト反応を生じることにより、改質ガス中のCO濃度を低減する。冷媒層2bには、冷媒として蒸気を供給する。ここでは、図示しない燃料改質装置における改質反応に用いる水蒸気を用いる。冷媒層2bに流通させる水蒸気は、拡散した液相を含まない、気相のみからなる乾き水蒸気とする。
【0013】
一方、低温シフト反応器3は、触媒反応層3aと、これと熱交換可能に配置された冷媒層3bと、を備える。触媒反応層3aには、発熱を伴うシフト反応(CO+H2O→CO2+H2)が触媒反応層2aよりも相対的に低い約300〜200℃において活性化する触媒を充填する。例えば、触媒反応層3aの材料として、Cu/ZnOを用いる。触媒反応層3aでは、改質ガスを供給してシフト反応を生じることにより、改質ガス中のCO濃度をさらに低減する。冷媒層3bには、冷媒としての水蒸気を供給する。ここでは、この水蒸気を拡散した液相が存在する、気相と液相からなる湿り水蒸気とする。
【0014】
反応ガスである改質ガスは、図示しない燃料改質装置から、触媒反応層2a、3aを介して、図示しない燃料電池に流通する。また、冷媒としての水蒸気は、図示しない水貯蔵部(水タンク)から、図示しない水予熱装置を通して予め加熱された後、冷媒層3b、減圧弁4、冷媒層2bを介して、図示しない燃料改質装置に接続する。減圧弁4は、低温シフト反応器3の冷媒層3a内に存在する水蒸気の圧力を調整する手段となる。言い換えれば、低温シフト反応器3内の冷媒である水蒸気の湿潤状態を調整する手段である。この減圧弁4の上流側の圧力に対して下流側を低圧とすることで、高温蒸気の状態を湿り水蒸気から乾き水蒸気に変化させることができる。
【0015】
なお、触媒反応層2a、3aの反応温度範囲および触媒種類については、上記に限定するものではない。
【0016】
次に、このように構成したCO低減装置1に供給される改質ガスの流れ(改質ガス系)について説明する。
【0017】
改質ガスは、図示しない燃料改質装置において、炭化水素系燃料(例えば、脱硫ガソリン)と空気と水蒸気との改質反応により生成される。この改質ガスは、COを含有している(含有率は、例えば約10%程度である。)。
【0018】
生成された改質ガスは、まず、触媒反応層2a内を流通してシフト反応を生じることにより、CO濃度を約2%まで低減する。このときに生じる反応熱は冷媒層2bに吸収されるので、触媒反応層2aは所定の反応温度に維持される。ここでは、この反応温度範囲を約400〜300℃とする。
【0019】
次に、改質ガスは触媒反応層3aを流通してシフト反応を生じることにより、CO濃度を約0.5%まで低減する。このときに生じる反応熱は冷媒層3bに吸収されるので、触媒反応層3aは所定の反応温度に維持される。ここではこの反応温度範囲を約300〜200℃とする。
【0020】
その後、改質ガスは図示しない選択酸化反応器を流通して選択酸化反応を生じることにより、CO濃度を約10ppmまで低減する。このように低CO濃度となった水素リッチな改質ガスを図示しない燃料電池に供給して発電に用いる。
【0021】
次に、触媒反応層2a、3aの温度を調整する水蒸気系について説明する。本実施形態では、図示しない水予熱装置により生成した水蒸気を低温シフト反応器3の冷媒層3bに供給し、減圧弁4において減圧してから高温シフト反応器2の冷媒層2bに供給し、さらに図示しない燃料改質装置に供給する。
【0022】
各触媒反応層2a、3aを適切な反応温度範囲に調整するために、乾き度や温度を調整した水蒸気を流通させて触媒反応層2a、3aを冷却する。ここで、乾き度は、蒸気の単位単位体積当たりの全質量に対する乾き飽和蒸気の占める質量の割合を示すものである。乾き度が1近傍の時には、ガスの流れの中を液滴が噴霧状に流れている噴霧流の状態となっていることを示している。逆に乾き度が0近傍の時には、液の流れの中を気泡が流れている気泡流の状態となっていることを示している。
【0023】
図示しない水予熱装置において水蒸気を生成する。このとき、水蒸気を乾き度が小さい湿潤状態とする。つまり、水蒸気を、水蒸気中に液相が拡散した状態、換言すると、気相と液相とからなる気液二相状態の湿り水蒸気を生成する。
【0024】
この水蒸気を、まず、低温シフト反応器3の冷媒層3bに流通させる。冷媒層3bにおいて、触媒反応層3aから反応熱を吸収することにより、触媒反応層3aを所定の温度(約300〜200℃)に維持する。ここで、水蒸気は、下流に設置された減圧弁4によって加圧しておく。例えば、約1MPaに加圧しておく。また、水蒸気は、低温シフト反応器3において触媒反応層3aから吸収した反応熱によって気相のみからなる乾き水蒸気とならないように、図示しない水予熱装置において予熱量を調整しておく。
【0025】
このような水蒸気が低温シフト反応器3から排出され、減圧弁4を通過する。減圧弁4を通過する際に水蒸気は減圧される。ここでは、大気圧程度にまで減圧される。水蒸気は、減圧弁4の上流側において過熱状態となっているため、減圧弁4の下流側でフラッシュ蒸発し、乾き水蒸気に変化する。このような乾き水蒸気を、高温シフト反応器2の冷媒層2bに流通させ、触媒反応2aから反応熱を吸収することにより、触媒反応層2aを所定の温度に維持する。
【0026】
水蒸気は、その後、図示しない燃料改質装置に供給されて、改質反応に使用される。
【0027】
次に、このようなCO低減装置1における高温シフト反応器2と低温シフト反応器3の内部温度分布について説明する。
【0028】
まず、図2を用いて、従来の湿り水蒸気のみを用いて触媒反応層2a、3aの温度調整を行う場合について説明する。
【0029】
冷媒層2b、3b内は常に湿り水蒸気が供給される。このとき、触媒反応層2a、3aから吸収された熱は水の気化に消費されるため、冷媒層2b、3bの温度は一定となる。ここでは水の沸点となる。そのため、高温シフト反応器2の触媒反応層2aに対しては、触媒温度が最適な反応温度範囲よりも低くなる。一方、低温シフト反応器3の触媒反応層3aに対しては、触媒温度が最適な反応温度範囲よりも高くなってしまう。反応温度が低すぎる場合には反応速度が低くなり、反応温度が高すぎる場合には副反応である逆シフト反応(CO2+H2→CO+H2O)の反応速度が大きくなる。その結果、十分なCO低減効率を維持することができない。
【0030】
これに対して、本実施形態の高温シフト反応器2と低温シフト反応器3の内部温度状態を図3に示す。
【0031】
高温シフト反応器2の冷媒層2bには、乾き水蒸気を流通させるため、湿り水蒸気を流通させる場合に比べて熱伝達率が極端に小さくなる。ここでは、おおよそ湿り水蒸気の10分の1となる。熱伝達率の低下により、触媒反応層2aから冷媒層2bへの熱通過が適度に抑制されるので、触媒反応層2aに対しては触媒温度が過度に低くなるのを抑制することができる。また、水蒸気の温度を従来に比べて低く設定できるので、触媒反応層3aに対しては触媒温度が過度に高くなるのを抑制することができる。
【0032】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0033】
発熱反応を生じる触媒反応層2aと、発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が触媒反応層2aよりも低い触媒反応層3aと、触媒反応層2aと熱交換可能な冷媒層2bと、触媒反応層3aと熱交換可能であって、冷媒層2aと連通する冷媒層3bと、を備える。また、冷媒層2b、3bに水蒸気を流通する水蒸気配管21と、を備える。冷媒層2aを流通する水蒸気を、気相のみからなる乾き水蒸気とし、冷媒層3aを流通する水蒸気を、気相と液相からなる湿り水蒸気とする。このように、冷媒層2bと冷媒層3bとで水蒸気の乾き度が変わるので、熱交換特性が変わる。反応温度範囲が比較的高い高温シフト反応器2には、熱交換率の低い乾き水蒸気を流通させ、反応温度範囲が比較的低い低温シフト反応器3には熱交換率の高い湿り水蒸気を供給する。高温シフト反応器2に用いる冷媒を乾き水蒸気とすることで、液相が気相となる際に吸収される顕熱により触媒反応層2aが過度に冷却されるのを防ぐことができる。また、水蒸気の温度を低く設定することができ、低シフト反応器3の温度が過度に高くなるのを抑制することができる。これにより、反応温度範囲が異なる触媒反応層2aと触媒反応層3aとの温度条件を最適にすることができるので反応効率を高くすることができる。
【0034】
また、水蒸気配管21は、水蒸気を冷媒層3bから冷媒層2bに流通する。これにより、簡単な装置構成により各冷媒層2b、3bの熱交換特性を変化させることができ、簡単な装置構成で反応効率を高くすることができる。通常は、下流にいくに従って、冷媒温度は上昇するので冷媒効率が低下する。そこで、冷媒としての水蒸気を、比較的大きな冷却効率が必要な低シフト反応器3から比較的小さな冷却効率が必要な高シフト反応器4へ移動するように構成する。つまり、下流にいくに従って必要な水蒸気の冷却効率を低下させることで、効率良く温度調整を行うことができる。
【0035】
冷媒層3bと冷媒層2bとの間に減圧弁4を備える。水蒸気は、減圧弁4の上流側において過熱状態となっているため、減圧弁4の下流側でフラッシュ蒸発し、乾き水蒸気に変化する。つまり、減圧弁4の上流側における水蒸気の熱交換率に比較して、下流側の水蒸気の熱交換率を小さくすることができる。これにより、簡単な装置構成により各冷媒層の熱交換特性を変化させることができ、簡単な装置構成で反応効率を高くすることができる。
【0036】
導入される改質ガスの流れ方向に対して、触媒反応層2aを触媒反応層3aよりも上流側に配置する。また、触媒反応層2aと触媒反応層3aにおいて、COとH2Oを反応させることによりCO2とH2を生成する。つまり、CO低減装置1として、シフト反応を促進する複数のCO変成触媒を組み合わせたものを用いる。その結果、燃料改質システムに用いるシフト反応の温度調整を適切に行って、シフト反応の反応効率を高くすることができ、COを十分に低減することができる。
【0037】
なお、このような構成は、燃料改質用の触媒反応装置以外にも適用することができる。つまり触媒反応装置において、発熱反応を生じる第1触媒反応層と、発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が第1触媒反応層よりも低い第2触媒反応層と、第1触媒反応層と熱交換可能な第1冷媒層と、第2触媒反応層と熱交換可能であって第1冷媒層と連通する第2冷媒層を備える。また、第1または第2冷媒層に冷媒を流通する冷媒流通手段と、を備える。冷媒流通手段は、第1冷媒層を流通する冷媒を気体状態とし、第2冷媒層を流通する冷媒を気体状態と液体状態の混合状態とする。これにより、比較的温度の高い第1触媒反応層において、冷媒の気化に伴う熱の吸収による過度の冷却を防ぐことができる。
【0038】
また、触媒反応層2、3は二層に限らず、複数層であればよい。つまり、発熱を伴う反応を促進する触媒を担持した、反応温度範囲の異なる複数の触媒反応層と、触媒反応層に対して、それぞれで生じる熱を除去するための冷媒を流通させる冷媒層と、冷媒層を連通する流通手段と、を備える。冷媒層のうち反応温度範囲が高い触媒反応層の熱を除去するものには、気体状態の冷媒を流通させ、冷媒層のうち反応温度範囲が低い触媒反応層の熱を除去するものには、気体と液体の混合状態の冷媒を流通させる。これにより、複数の触媒反応層を有する触媒反応装置に対して本実施形態を適用することができる。
【0039】
次に、第2の実施形態について説明する。ここで用いるCO低減装置5の構成を図4に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
第1の実施形態に用いる反応器が、高温シフト反応器2、低温シフト反応器3であるのに対して、ここでは、シフト反応器7と選択酸化反応器8を用いる。また、シフト反応器7と選択酸化反応器8との間に、改質ガスに空気を混入する空気混合器6を備える。
【0041】
シフト反応器7には、触媒反応層7aと、これと熱交換可能に配置された冷媒層7bとを備える。触媒反応層7aには、約400〜200℃においてシフト反応が活性化する触媒、例えばPt/Al2O3を充填する。触媒反応層7aには、改質ガスを供給して改質ガス中のCOを低減するシフト反応を生じる。冷媒層7bには乾き水蒸気を供給して、触媒反応層7aと熱交換を行うことにより、触媒反応層7aの温度を調整する。
【0042】
一方、選択酸化反応器8には、触媒反応層8aと、これと熱交換可能に配置された冷媒層8bを備える。触媒反応層8aには、触媒反応層7aよりも相対的に低温の約200〜100℃において選択酸化反応(2CO+O2→2CO2)が活性化する触媒を充填する。例えば、Ru/Al2O3からなる触媒を充填する。触媒反応層8aには、改質ガスを供給して改質ガス中のCOを低減する選択酸化反応を生じる。冷媒層8bには湿り水蒸気を供給して、触媒反応層8aと熱交換を行うことにより、触媒反応層8aの温度を調整する。
【0043】
なお、触媒反応層7a、8aの反応温度範囲、触媒種類については、上記に限定するものではない。
【0044】
次に、このように構成したCO除去装置1の改質ガス系について説明する。
【0045】
水素リッチな改質ガスは、まずシフト反応器7の触媒反応器7aを流通する際にシフト反応を生じることにより、COを0.5%程度まで低減する。このとき生じる反応を、冷媒層7bに吸収することにより、触媒反応層7aを所定温度、ここでは約400〜200℃に維持する。
【0046】
CO低減された改質ガスは、シフト反応器7から空気混合器6を介して選択酸化反応器8に供給される。空気混合器6では、酸化剤ガスが混合される。ここでは、外部から空気を供給して混合する。選択酸化反応器8の触媒反応器8aでは、この空気中の酸素を用いてCOの選択酸化反応を生じることにより、COを約10ppmまで低減する。このとき生じる反応熱を冷媒層8bに吸収することにより、触媒反応層8aを所定温度、ここでは約200〜100℃に維持する。
【0047】
次に、水蒸気系について説明する。
【0048】
図示しない水予熱装置により生成された水蒸気を、選択酸化反応器8の冷媒層8bに流通させて、触媒反応層8aで生じる反応熱を吸収することにより、触媒反応層8aを所定の温度に維持する。ここで、水蒸気は下流に設置された減圧弁4によって加圧しておく。ここでは例えば、約0.5MPaに加圧しておく。また、水蒸気は触媒反応層8aから吸収した反応熱で乾き水蒸気とならないように、図示しない水予熱装置において予熱量を調整する。
【0049】
選択酸化反応器8の触媒反応層8aの冷却を行うことにより昇温した水蒸気は、減圧弁4を通過する際に減圧する。ここでは、例えば大気圧程度にまで減圧させる。水蒸気は、減圧弁4の上流側で過熱状態となっているため、減圧弁4の下流側においてフラッシュ蒸発し、乾き水蒸気に変化する。
【0050】
このような乾き水蒸気を、シフト反応器7の冷媒層7bに流通させ、触媒反応層7aからの反応熱を吸収することにより、触媒反応層7aを所定の温度に維持する。
【0051】
次に、このようなCO低減装置5におけるシフト反応器7と選択酸化反応器8の内部温度分布について説明する。まず、図5を用いて、従来の湿り水蒸気のみを用いて触媒反応層7a、8aを温度調整する場合について説明する。
【0052】
冷媒層7b、8b内の温度が一定、ここでは水の沸点程度の温度となるため、シフト反応器7の触媒反応層7aに対しては、触媒温度が最適な反応温度範囲よりも低くなってしまう。一方、選択酸化反応器8の触媒反応層8aに対しては、触媒温度が最適な反応温度範囲よりも高くなってしまう。触媒温度が低すぎる場合には反応速度が低くなり、CO低減効率を十分高く維持するのが困難となってしまう。一方、触媒温度が高すぎると、副反応である逆シフト反応の反応速度が高くなることにより、CO低減効率を十分に高く維持することが困難である。また、副反応である水素の酸化反応(2H2+O2→2H2O)の反応速度が高くなり、燃料電池の反応ガスである水素を無駄に消費してしまう。
【0053】
これに対して、本実施形態におけるシフト反応器7と選択酸化反応器8の内部温度分布を図6に示す。
【0054】
シフト反応器7の冷媒層7bには乾き水蒸気が流通するため、熱伝達率が極端に小さくなる。ここではおおよそ湿り水蒸気の10分の1程度となる。熱伝達率の低下により、触媒反応層7aから冷媒層7bへの熱通過を適度に抑制することができるので、触媒反応層7aに対しては、反応温度範囲が低くなりすぎるのを抑制することができる。また、水蒸気の温度を従来よりも低く設定することができるので、選択酸化反応器8の触媒反応層8aに対しては、反応温度範囲が高くなりすぎるのを抑制することができる。
【0055】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0056】
触媒反応層7aを、改質ガスの流れ方向に対して触媒反応層8aよりも上流側に配置する。触媒反応層7aにおいて、COとH2Oとの反応を生じることによりCO2とH2とを生成し、触媒反応層8aにおいて、COとO2との反応を生じることによりCO2を生成する。つまり、CO低減装置5として、シフト反応を促進するCO変成触媒と、CO選択酸化反応を促進する選択酸化触媒とを備えた装置を用いる。これにより、シフト反応のみならず選択酸化反応の温調を適切に調整することができるので、選択酸化反応の反応効率を高くして十分なCO低減を行うことができる。
【0057】
次に、第3の実施形態について説明する。ここで用いるCO低減装置9の構成を図7に示す。以下、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0058】
ここでは、減圧弁4の替わりに、気液分離器10を備える。つまり、選択酸化反応器8の冷却に用いられた水蒸気は、気液分離器10を通ってからシフト反応器7の冷却に用いられる。
【0059】
選択酸化反応器8の冷媒層8bから排出された湿り水蒸気は、気液分離器10を通過する際に、乾き水蒸気と気化していない水とに分離される。その後、乾き水蒸気はシフト反応器7の冷媒層7bに供給される。一方、分離された水はドレンとして排出される。なお、ドレンとして排出される分の水蒸気が全量の水蒸気から減少するため、水蒸気を予め過剰に流通してもよい。このように構成することで、第2実施形態と同様に図6に示すような温度分布を得ることができる。
【0060】
なお、ここではシフト反応器7と選択酸化反応器8を用いたCO低減装置9について説明したが、第1実施形態と同様に高温シフト反応器2と低温シフト反応器3を用いたCO低減装置1において、減圧弁4の替わりに気液分離器10を用いても良い。
【0061】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第2実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0062】
冷媒層8bと冷媒層7bとの間に気液分離器10を備える。これにより、冷媒層7bに供給する水蒸気を確実に乾き水蒸気に調整することができる。このように、簡単な装置構成により各冷媒層の熱交換特性を変化させ、反応効率を高くすることができる。
【0063】
次に、第4の実施形態について説明する。ここで用いるCO低減装置11の構成を図8に示す。以下、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0064】
減圧弁4の替わりに、三方弁12、熱交換器13、温度センサ14、迂回路22を備える。熱交換器13は、シフト反応器7から排出された改質ガスと、選択酸化反応器8の触媒反応層8bを流通した水蒸気との間で熱交換を行う装置である。通常時には、改質ガスが加熱源、水蒸気が冷却源として用いられる。迂回路22は熱交換器13を水蒸気が迂回する際に流通する流路である。選択酸化反応器8から排出された水蒸気を、熱交換器13を介さずにシフト反応器7に供給する。つまり、ここでは熱交換器13を流れて昇温される水蒸気流量と、迂回路22を流れる水蒸気流量を調整することにより、シフト反応器7に供給する水蒸気の乾き度および温度を調整する。三方弁12は、この熱交換器13に流通させる水蒸気の流量を制御する手段である。三方弁12のポート12aを選択酸化反応器8の冷媒層8bの排出側に連通させ、ポート12bを熱交換器13側に、ポート12cを熱交換器13を迂回する側に接続する。
【0065】
温度センサ14を、熱交換器13を通過した水蒸気と、熱交換器13を迂回した水蒸気の合流部より下流側に配置する。温度センサ14は、温度調整した水蒸気の温度を検出する手段である。この温度センサ14により、シフト反応器7の冷媒層7bに供給される水蒸気の温度を検出する。
【0066】
改質ガス系について説明する。
【0067】
シフト反応器7においてCO低減された改質ガスを熱交換器13に流通させる。このとき、水蒸気と熱交換を行うことにより改質ガス温度が低下する。その後、空気混合器6において空気が混合され、選択酸化反応器8に供給される。
【0068】
次に、水蒸気系について説明する。
【0069】
選択酸化反応器8の冷媒層8bから流出した湿り水蒸気は、三方弁12により熱交換器13を通過する経路と、熱交換器13を迂回する経路に分岐する。熱交換器13を通過する水蒸気は、改質ガスから熱を吸収して乾き水蒸気となる。この乾き水蒸気と、熱交換器13を迂回した湿り水蒸気とを合流させ、シフト反応器7の冷媒層7bに供給する。ここで、三方弁12の開度αは、温度センサ14により検出する合流した水蒸気の温度に応じて調整する。熱交換器13を迂回する水蒸気流量がゼロの場合に三方弁12の開度αを1、全水蒸気が熱交換器13を迂回する場合には三方弁12の開度αを0とする。
【0070】
このようなCO低減装置11を制御するためのコントローラ23を備える。コントローラ23で行う制御を図9のフローチャートを用いて説明する。
【0071】
ステップS1において、温度センサ14を用いてシフト反応器7に供給される水蒸気の検出温度Tを検出する。次に、ステップS2において、検出温度Tと温度閾値T0とを比較する。ここで、温度閾値T0は水蒸気の乾き度が1となる温度である。水蒸気温度が過度に高い場合にはシフト反応器7の触媒反応層7aの冷媒としての性能が劣化する。また、水蒸気温度が過度に低い場合には、液体として存在する水が、シフト反応器7内で蒸発する際に顕熱を吸収する可能性がある。この場合にはシフト反応器7内で過度に冷却が行われる可能性が生じる。そこで本実施形態では、シフト反応器7に供給する水蒸気の温度を乾き度が1となる下限温度である温度閾値T0近傍に調整することで、水蒸気の冷却性能の低下を抑制するとともに、シフト反応器7の過度の冷却を抑制する。本実施形態では沸点が100℃となる圧力で運転しているので、余裕をみて120℃程度とする。
【0072】
ステップS2において、T<T0の場合、すなわち、水蒸気の乾き度が1を下回る(湿り水蒸気のままである)場合には、冷媒層7bに湿り水蒸気が流入する可能性があると判断して、ステップS3に進む。ステップS3において、三方弁12の開度αを大きくすることにより、熱交換器13を流通する水蒸気流量を増大する。これにより、水蒸気の加熱量が増大して、水蒸気の乾き度が上昇する。
【0073】
一方、ステップS2においてT>T 0 の場合、すなわち、水蒸気の加熱量が過剰である場合には、触媒反応層7aの温度調整が不十分となる可能性があると判断して、ステップS4に進む。ステップS4において、三方弁12の開度αを小さくすることにより、熱交換器13を迂回する水蒸気流量を増大する。これにより、水蒸気の加熱量を低減して、水蒸気温度を抑制する。
【0074】
一方、ステップS2において、T=T0の場合には、シフト反応器7に流入する水蒸気は、冷却性能を維持しつつ、顕熱による過度の冷却を行うことはないと判断して、三方弁12の開度αを維持する。
【0075】
ステップS3〜S5において三方弁12の開度αを調整したら本制御を終了する。ここでは、このフローを繰り返し行うことで、CO低減装置11の温度調整を行う。
【0076】
このように制御した際の、シフト反応器7と選択酸化反応器8の内部温度分布を図10に示す。触媒反応層7aおよび8aの温度が、反応に適した温度範囲内に収まっており、従来に比較して、CO低減効率を高くすることができる。
【0077】
なお、ここではCO低減装置11にシフト反応器7と選択酸化反応器8を備えたが、第1の実施形態と同様に高温シフト反応器2、低温シフト反応器8を備えても良い。また、水蒸気の温度・乾き度の状態を判断する際に、温度閾値T0に応じて判断したが、この温度閾値T0を温度範囲としても良い。これは、水蒸気の乾き度が1であり、かつ、シフト反応器7の触媒反応層7aの冷却を行うことができる温度範囲とする。
【0078】
次に、本実施形態の効果を説明する。ここでは、第2の実施形態に加えて以下のような効果を得ることができる。
【0079】
冷媒層8bと冷媒層7bとの間に蒸気加熱手段を備える。水蒸気の冷媒層8bまたはそれ以前の行程において給する熱量が変化した場合にも、冷媒層7bに供給する水蒸気に熱を与えることができる。これにより、冷媒層7bに流入する水蒸気の乾き度を安定化することができる。
【0080】
蒸気加熱手段として、冷媒層7bに導入される水蒸気温度を検出する温度センサ14と、温度センサ14の温度検出値Tに基づいて水蒸気の加熱量を調節する加熱量調節手段と、を備える。これにより、水蒸気の加熱量を過不足なく調節することができ、冷媒層7bに流入する水蒸気の乾き度の安定化を確実にすることができる。
【0081】
加熱量調節手段では、温度検出値Tが、水蒸気の凝縮温度よりも高い所定温度値、ここでは温度閾値T0になるように加熱量を調節する。これにより、冷媒層7bに供給する水蒸気の乾き度を1にすることができ、冷媒層7bにおいて過度の冷却が行われるのを防ぐことができる。
【0082】
蒸気加熱手段は、冷媒層7bに導入される水蒸気温度を検出する温度センサ14と、触媒反応層7aから排出された高温の改質ガスと冷媒層7bに供給する水蒸気の少なくとも一部との間で熱交換を行う熱交換器13と、を備える。さらに、蒸気加熱手段は、熱交換器13を迂回する水蒸気の迂回路22と、温度センサ14の温度検出値Tに基づいて熱交換器13に流通させる水蒸気量を調整することにより水蒸気の加熱量を調節する三方弁12と、を備える。これにより、水蒸気の加熱に既存の熱源を用いることができるので、無駄なエネルギを消費することなく水蒸気の乾き度および温度を調節することができる。
【0083】
このように、熱交換器13において水蒸気が吸収する熱量の自由度が高いため、冷媒層8bや予熱装置において吸収される熱量が変動する場合にも、水蒸気が吸収する熱量を補償することができる。その結果、冷媒層7bに流入する水蒸気の乾き度を安定化することができる。
【0084】
次に、第5の実施形態について説明する。図11に、本実施形態で用いるCO低減装置15の概略構成図を示す。以下、第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0085】
選択酸化反応器8に供給する改質ガス中に供給する酸化剤流量を調整する調節弁16を備える。ここでは、調節弁16を外気から空気混合器6に空気を取り込む配管に配置する。
【0086】
空気混合器6において、改質ガスに混合される空気流量は、調節弁16により調節される。調節弁16の開度βは、基本的には当該運転負荷における標準開度βiに基づくが、温度センサ14の検出値Tに応じて補正を行う。なお、開度βは全開の場合に1とする。また、標準開度βiは、予め実験等により特性を求めてコントローラ23に記憶させておく。
【0087】
開度βの補正は、三方弁12の開度αの調節と連携して行う。この調節方法を図12のフローチャートを用いて説明する。
【0088】
ステップS11において、温度センサ14を用いて水蒸気の検出温度Tを読み込む。ステップS12において、検出温度Tと温度閾値T0とを比較する。ステップS12において、T<T0、すなわち乾き度が1を下回って湿り水蒸気がシフト反応器7に供給される可能性があると判断された場合には、水蒸気の加熱を促進する行程に進む。
【0089】
まず、ステップS13において、α<1であるかどうかを判断する。つまり、熱交換器13を迂回する水蒸気が存在するかどうかを判断する。α<1であり、迂回する水蒸気が存在する場合には、ステップS14に進み三方弁12の開度αを増大する。これにより、熱交換器13に供給される水蒸気流量が増大して、水蒸気の加熱量を増大することができる。一方、α=1、すなわち、水蒸気の吸熱量が上限に達している場合もある。これは、改質ガスの流量が所定値よりも少なく、熱交換器13で得られる熱量が小さい場合などである。この場合には、ステップS15に進み、調整弁16の開度βを大きくする。これにより、選択酸化反応器8の上流側に改質ガスに混入する空気流量を増加し、触媒反応層8aで生じる反応熱を増大することにより不足する熱量を補う。
【0090】
一方、ステップS12において、T>T0、すなわち水蒸気の加熱量が過剰である場合には、触媒反応層7aの温度調整が不十分となるので、水蒸気の加熱を抑制する行程に進む。
【0091】
まず、ステップS16において調節弁16の標準開度βiを読み込む。これは、運転負荷に応じて設定される値である。次に、ステップS17において、調節弁16の開度βと標準開度βiを比較する。ステップS17において、β>βi、すなわち改質ガスに混合ガスが余剰である場合には、ステップS18に進み、開度βを小さくする。これにより、選択酸化反応器8の触媒反応層8aで生じる反応熱を低減する。その結果、水蒸気の検出値Tが低下する。一方、β=βi、すなわち改質ガスに混合する空気が運転負荷に応じた流量である場合には、ステップS19に進み、三方弁13の開度αを小さくする。これにより、熱交換器13を流通する水蒸気量を低減して、水蒸気の加熱量を低減する。
【0092】
さらに、ステップS12において、T=T0の場合には、三方弁12の開度α、調節弁16の開度βを維持する。
【0093】
このように、三方弁12の開度α、調節弁16の開度βを調整したら、本フローを終了する。このような制御を繰り返し行うことで、CO低減装置15の温度を調整する。CO低減装置15内の温度分布は、第4実施形態と同様に図10に示される。
【0094】
なお、ステップS15において、βを大きくして改質ガスに混合する空気流量を増大すると、触媒反応層8aにおける選択酸化反応の副反応である水素の酸化反応(2H2+O2→2H2O)が余剰に進行する。その結果、CO低減装置15から排出される水素が僅かに消費されてしまう。しかしながら、触媒反応層7aの反応効率を高く維持することができるので、熱量不足により触媒反応層7aの反応効率が低減する場合に比較すると、総合的な反応効率を高くすることができる。
【0095】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第4実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0096】
冷媒層8bと冷媒層7bとの間に蒸気加熱手段を備える。蒸気加熱手段として、冷媒層7bに導入される水蒸気温度を検出する温度センサ14と、温度センサ14の温度検出値Tに基づいて水蒸気の加熱量を調節する三方弁12と、温度センサ14の検出値Tに基づいて、触媒反応層8bに流入する改質ガスの酸素濃度を調整する調節弁16と、を備える。このように、空気混合器6に供給する空気流量を調整可能とすることで、水蒸気が吸収する熱量の自由度をさらに高くすることができる。その結果、冷媒層8bや水予熱装置において吸収する熱量が変動する場合のみならず、改質ガスの流量が所定量よりも少なく、熱交換器13において吸収する熱量が不足する場合などにも、水蒸気に吸収する熱量を確保することができる。これにより、シフト反応器7の冷媒層7bに流入する水蒸気の乾き度をさらに安定化することができる。このとき、選択酸化反応の反応効率が僅かに低下するが、シフト反応の反応効率を高く維持することができ、熱量不足によりシフト反応の反応効率が低くなる場合に比較すると、総合的な反応効率を高くすることができる。
【0097】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更を為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図2】従来のシフト反応を用いたCO低減装置における内部温度分布図である。
【図3】第1の実施形態に用いるCO低減装置における内部温度分布図である。
【図4】第2の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図5】従来のシフト反応と選択酸化反応を用いたCO低減装置における内部温度分布図である。
【図6】第2の実施形態に用いるCO低減装置における内部温度分布図である。
【図7】第3の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図8】第4の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図9】第4の実施形態におけるCO低減装置の温度制御のフローチャートである。
【図10】第4の実施形態に用いるCO低減装置における内部温度分布図である。
【図11】第5の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図12】第5の実施形態に用いるCO低減装置の温度制御のフローチャートである。
【符号の説明】
1、5、9、11、15 CO低減装置(一酸化炭素低減装置)
2 高温シフト反応器
2a 触媒反応層(第1触媒反応層)
2b 冷媒層(第1冷媒層)
3 低温シフト反応器
3a 触媒反応層(第2触媒反応層)
3b 冷媒層(第2冷媒層)
4 減圧弁(減圧手段)
6 空気混合器
7 シフト反応器
7a 触媒反応層(第1触媒反応層)
7b 冷媒層(第1冷媒層)
8 選択酸化反応器
8a 触媒反応層(第2触媒反応層)
8b 冷媒層(第2冷媒層)
10 気液分離器(気液分離手段)
12 三方弁(加熱量調整手段)
13 熱交換器(蒸気加熱手段)
14 温度センサ(蒸気温度検出手段)
16 調節弁(酸素濃度調節手段)
21 水蒸気配管(蒸気流通手段)
22 迂回路
【産業上の利用分野】
本発明は、燃料改質用触媒反応装置に関する。特に、触媒反応装置内部の温度調整を行うための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
発熱反応を生じる触媒反応層を蒸気との熱交換により温度調整することによって、触媒反応層を触媒活性温度に維持することができ、反応効率を高くすることができる。例えば、特開2002−37603号においては、炭化水素系燃料を改質して得られた改質ガス中の一酸化炭素を低減する触媒反応層を、水蒸気との熱交換により温度調整することによって、一酸化炭素低減効率を高くする。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−37603号公報
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
燃料改質システムに用いる一酸化炭素低減装置の触媒反応層は、一酸化炭素低減効率を高めるために、反応温度範囲が異なる複数段から構成される。例えば、一酸化炭素と水分との反応により二酸化炭素と水素とを生成するシフト反応を用いる場合においては、触媒反応層を二段として、各々の反応温度範囲を約400〜300℃、約300〜200℃とする。また、シフト反応と、一酸化炭素と酸素との反応により二酸化炭素を生成する選択酸化反応と、を組み合わせて用いる場合には、各々の反応温度範囲を約400〜250℃、約250〜100℃とする。
【0005】
しかしながら、反応温度範囲が異なる触媒反応層を、水蒸気との熱交換により温度調整する場合、水蒸気の温度が一定(水の沸点)となってしまうため、温度調整の条件を各々の触媒反応層に対して最適にすることができず、一酸化炭素低減効率を十分に高くすることが困難であるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題を鑑みて、一酸化炭素低減を高効率に維持できるように温度調整した燃料改質用触媒反応装置を提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、発熱反応を生じる第1触媒反応層と、発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が前記第1触媒反応層よりも低い第2触媒反応層と、前記第1触媒反応層と熱交換可能な第1冷媒層と、を備える。また、前記第2触媒反応層と熱交換可能であって、前記第1冷媒層と連通する第2冷媒層と、前記第1および第2冷媒層に蒸気を流通する蒸気流通手段と、を備える。前記第1冷媒層を流通する蒸気を、気相の乾き蒸気とし、前記第2冷媒層を流通する蒸気を、気相と液相とが存在する湿り蒸気とする。
【0008】
または、発熱を伴う反応を促進する触媒を担持した、反応温度範囲の異なる複数の触媒反応層と、前記複数の触媒反応層に対して、それぞれで生じる熱を除去するための冷媒を流通させる複数の冷媒層と、前記複数の冷媒層のうち少なくとも一部を連通することにより冷媒を流通させる冷媒流通手段と、を備える。前記冷媒層のうち比較的反応温度範囲が高い前記触媒反応層の熱を除去するものには、気体状態の冷媒を流通させ、前記冷媒層のうち比較的反応温度範囲が低い前記触媒反応層の熱を除去するものには、気体と液体の混合状態の冷媒を流通させる。
【0009】
【作用及び効果】
第1冷媒層を流通する蒸気を、気相の乾き蒸気とし、第2冷媒層を流通する蒸気を、気相と液相とが存在する湿り蒸気とする。これにより、第1冷媒層と第2冷媒層とで、蒸気の乾き度が変わるので、熱交換特性を変更することができる。これにより、反応温度範囲が異なる第1触媒反応層と第2触媒反応層との温度調整の条件を最適にすることができるので、反応効率を高くすることができる。
【0010】
また、冷媒層のうち比較的反応温度範囲が高い触媒反応層の熱を除去するものには、気体状態の冷媒を流通させ、冷媒層のうち比較的反応温度範囲が低い触媒反応層の熱を除去するものには、気体と液体の混合状態の冷媒を流通させる。これにより、比較的温度の高い触媒反応層においては、冷媒の気化に伴う熱の吸収による過度の冷却を防ぐことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態に用いる触媒反応装置について説明する。ここでは、触媒反応装置として、燃料改質システムに用いる一酸化炭素低減装置(以下、CO低減装置)1を用いる。CO低減装置1では、改質触媒を備えた燃料改質装置において生成した一酸化炭素(以下、CO)を含む水素リッチな改質ガス中のCOを低減する。図1にCO低減装置1の概略構成図を示す。
【0012】
CO低減装置1として、高温シフト反応器2と、低温シフト反応器3と、減圧弁4と、を備える。また、CO低減装置1内でシフト反応器2、3に改質ガスを流通させる改質ガス配管20、水蒸気を流通させる水蒸気配管21を備える。さらに、それらを接続する配管を備える。高温シフト反応器2は、触媒反応層2aと、これと熱交換可能に配置された冷媒層2bと、を備える。触媒反応層2aには、発熱を伴うシフト反応(CO+H2O→CO2+H2)が約400〜300℃において活性化する触媒を充填する。例えば、触媒反応層2aの材料として、Pt/Al2O3を用いる。触媒反応層2aでは、改質ガスを供給してシフト反応を生じることにより、改質ガス中のCO濃度を低減する。冷媒層2bには、冷媒として蒸気を供給する。ここでは、図示しない燃料改質装置における改質反応に用いる水蒸気を用いる。冷媒層2bに流通させる水蒸気は、拡散した液相を含まない、気相のみからなる乾き水蒸気とする。
【0013】
一方、低温シフト反応器3は、触媒反応層3aと、これと熱交換可能に配置された冷媒層3bと、を備える。触媒反応層3aには、発熱を伴うシフト反応(CO+H2O→CO2+H2)が触媒反応層2aよりも相対的に低い約300〜200℃において活性化する触媒を充填する。例えば、触媒反応層3aの材料として、Cu/ZnOを用いる。触媒反応層3aでは、改質ガスを供給してシフト反応を生じることにより、改質ガス中のCO濃度をさらに低減する。冷媒層3bには、冷媒としての水蒸気を供給する。ここでは、この水蒸気を拡散した液相が存在する、気相と液相からなる湿り水蒸気とする。
【0014】
反応ガスである改質ガスは、図示しない燃料改質装置から、触媒反応層2a、3aを介して、図示しない燃料電池に流通する。また、冷媒としての水蒸気は、図示しない水貯蔵部(水タンク)から、図示しない水予熱装置を通して予め加熱された後、冷媒層3b、減圧弁4、冷媒層2bを介して、図示しない燃料改質装置に接続する。減圧弁4は、低温シフト反応器3の冷媒層3a内に存在する水蒸気の圧力を調整する手段となる。言い換えれば、低温シフト反応器3内の冷媒である水蒸気の湿潤状態を調整する手段である。この減圧弁4の上流側の圧力に対して下流側を低圧とすることで、高温蒸気の状態を湿り水蒸気から乾き水蒸気に変化させることができる。
【0015】
なお、触媒反応層2a、3aの反応温度範囲および触媒種類については、上記に限定するものではない。
【0016】
次に、このように構成したCO低減装置1に供給される改質ガスの流れ(改質ガス系)について説明する。
【0017】
改質ガスは、図示しない燃料改質装置において、炭化水素系燃料(例えば、脱硫ガソリン)と空気と水蒸気との改質反応により生成される。この改質ガスは、COを含有している(含有率は、例えば約10%程度である。)。
【0018】
生成された改質ガスは、まず、触媒反応層2a内を流通してシフト反応を生じることにより、CO濃度を約2%まで低減する。このときに生じる反応熱は冷媒層2bに吸収されるので、触媒反応層2aは所定の反応温度に維持される。ここでは、この反応温度範囲を約400〜300℃とする。
【0019】
次に、改質ガスは触媒反応層3aを流通してシフト反応を生じることにより、CO濃度を約0.5%まで低減する。このときに生じる反応熱は冷媒層3bに吸収されるので、触媒反応層3aは所定の反応温度に維持される。ここではこの反応温度範囲を約300〜200℃とする。
【0020】
その後、改質ガスは図示しない選択酸化反応器を流通して選択酸化反応を生じることにより、CO濃度を約10ppmまで低減する。このように低CO濃度となった水素リッチな改質ガスを図示しない燃料電池に供給して発電に用いる。
【0021】
次に、触媒反応層2a、3aの温度を調整する水蒸気系について説明する。本実施形態では、図示しない水予熱装置により生成した水蒸気を低温シフト反応器3の冷媒層3bに供給し、減圧弁4において減圧してから高温シフト反応器2の冷媒層2bに供給し、さらに図示しない燃料改質装置に供給する。
【0022】
各触媒反応層2a、3aを適切な反応温度範囲に調整するために、乾き度や温度を調整した水蒸気を流通させて触媒反応層2a、3aを冷却する。ここで、乾き度は、蒸気の単位単位体積当たりの全質量に対する乾き飽和蒸気の占める質量の割合を示すものである。乾き度が1近傍の時には、ガスの流れの中を液滴が噴霧状に流れている噴霧流の状態となっていることを示している。逆に乾き度が0近傍の時には、液の流れの中を気泡が流れている気泡流の状態となっていることを示している。
【0023】
図示しない水予熱装置において水蒸気を生成する。このとき、水蒸気を乾き度が小さい湿潤状態とする。つまり、水蒸気を、水蒸気中に液相が拡散した状態、換言すると、気相と液相とからなる気液二相状態の湿り水蒸気を生成する。
【0024】
この水蒸気を、まず、低温シフト反応器3の冷媒層3bに流通させる。冷媒層3bにおいて、触媒反応層3aから反応熱を吸収することにより、触媒反応層3aを所定の温度(約300〜200℃)に維持する。ここで、水蒸気は、下流に設置された減圧弁4によって加圧しておく。例えば、約1MPaに加圧しておく。また、水蒸気は、低温シフト反応器3において触媒反応層3aから吸収した反応熱によって気相のみからなる乾き水蒸気とならないように、図示しない水予熱装置において予熱量を調整しておく。
【0025】
このような水蒸気が低温シフト反応器3から排出され、減圧弁4を通過する。減圧弁4を通過する際に水蒸気は減圧される。ここでは、大気圧程度にまで減圧される。水蒸気は、減圧弁4の上流側において過熱状態となっているため、減圧弁4の下流側でフラッシュ蒸発し、乾き水蒸気に変化する。このような乾き水蒸気を、高温シフト反応器2の冷媒層2bに流通させ、触媒反応2aから反応熱を吸収することにより、触媒反応層2aを所定の温度に維持する。
【0026】
水蒸気は、その後、図示しない燃料改質装置に供給されて、改質反応に使用される。
【0027】
次に、このようなCO低減装置1における高温シフト反応器2と低温シフト反応器3の内部温度分布について説明する。
【0028】
まず、図2を用いて、従来の湿り水蒸気のみを用いて触媒反応層2a、3aの温度調整を行う場合について説明する。
【0029】
冷媒層2b、3b内は常に湿り水蒸気が供給される。このとき、触媒反応層2a、3aから吸収された熱は水の気化に消費されるため、冷媒層2b、3bの温度は一定となる。ここでは水の沸点となる。そのため、高温シフト反応器2の触媒反応層2aに対しては、触媒温度が最適な反応温度範囲よりも低くなる。一方、低温シフト反応器3の触媒反応層3aに対しては、触媒温度が最適な反応温度範囲よりも高くなってしまう。反応温度が低すぎる場合には反応速度が低くなり、反応温度が高すぎる場合には副反応である逆シフト反応(CO2+H2→CO+H2O)の反応速度が大きくなる。その結果、十分なCO低減効率を維持することができない。
【0030】
これに対して、本実施形態の高温シフト反応器2と低温シフト反応器3の内部温度状態を図3に示す。
【0031】
高温シフト反応器2の冷媒層2bには、乾き水蒸気を流通させるため、湿り水蒸気を流通させる場合に比べて熱伝達率が極端に小さくなる。ここでは、おおよそ湿り水蒸気の10分の1となる。熱伝達率の低下により、触媒反応層2aから冷媒層2bへの熱通過が適度に抑制されるので、触媒反応層2aに対しては触媒温度が過度に低くなるのを抑制することができる。また、水蒸気の温度を従来に比べて低く設定できるので、触媒反応層3aに対しては触媒温度が過度に高くなるのを抑制することができる。
【0032】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0033】
発熱反応を生じる触媒反応層2aと、発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が触媒反応層2aよりも低い触媒反応層3aと、触媒反応層2aと熱交換可能な冷媒層2bと、触媒反応層3aと熱交換可能であって、冷媒層2aと連通する冷媒層3bと、を備える。また、冷媒層2b、3bに水蒸気を流通する水蒸気配管21と、を備える。冷媒層2aを流通する水蒸気を、気相のみからなる乾き水蒸気とし、冷媒層3aを流通する水蒸気を、気相と液相からなる湿り水蒸気とする。このように、冷媒層2bと冷媒層3bとで水蒸気の乾き度が変わるので、熱交換特性が変わる。反応温度範囲が比較的高い高温シフト反応器2には、熱交換率の低い乾き水蒸気を流通させ、反応温度範囲が比較的低い低温シフト反応器3には熱交換率の高い湿り水蒸気を供給する。高温シフト反応器2に用いる冷媒を乾き水蒸気とすることで、液相が気相となる際に吸収される顕熱により触媒反応層2aが過度に冷却されるのを防ぐことができる。また、水蒸気の温度を低く設定することができ、低シフト反応器3の温度が過度に高くなるのを抑制することができる。これにより、反応温度範囲が異なる触媒反応層2aと触媒反応層3aとの温度条件を最適にすることができるので反応効率を高くすることができる。
【0034】
また、水蒸気配管21は、水蒸気を冷媒層3bから冷媒層2bに流通する。これにより、簡単な装置構成により各冷媒層2b、3bの熱交換特性を変化させることができ、簡単な装置構成で反応効率を高くすることができる。通常は、下流にいくに従って、冷媒温度は上昇するので冷媒効率が低下する。そこで、冷媒としての水蒸気を、比較的大きな冷却効率が必要な低シフト反応器3から比較的小さな冷却効率が必要な高シフト反応器4へ移動するように構成する。つまり、下流にいくに従って必要な水蒸気の冷却効率を低下させることで、効率良く温度調整を行うことができる。
【0035】
冷媒層3bと冷媒層2bとの間に減圧弁4を備える。水蒸気は、減圧弁4の上流側において過熱状態となっているため、減圧弁4の下流側でフラッシュ蒸発し、乾き水蒸気に変化する。つまり、減圧弁4の上流側における水蒸気の熱交換率に比較して、下流側の水蒸気の熱交換率を小さくすることができる。これにより、簡単な装置構成により各冷媒層の熱交換特性を変化させることができ、簡単な装置構成で反応効率を高くすることができる。
【0036】
導入される改質ガスの流れ方向に対して、触媒反応層2aを触媒反応層3aよりも上流側に配置する。また、触媒反応層2aと触媒反応層3aにおいて、COとH2Oを反応させることによりCO2とH2を生成する。つまり、CO低減装置1として、シフト反応を促進する複数のCO変成触媒を組み合わせたものを用いる。その結果、燃料改質システムに用いるシフト反応の温度調整を適切に行って、シフト反応の反応効率を高くすることができ、COを十分に低減することができる。
【0037】
なお、このような構成は、燃料改質用の触媒反応装置以外にも適用することができる。つまり触媒反応装置において、発熱反応を生じる第1触媒反応層と、発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が第1触媒反応層よりも低い第2触媒反応層と、第1触媒反応層と熱交換可能な第1冷媒層と、第2触媒反応層と熱交換可能であって第1冷媒層と連通する第2冷媒層を備える。また、第1または第2冷媒層に冷媒を流通する冷媒流通手段と、を備える。冷媒流通手段は、第1冷媒層を流通する冷媒を気体状態とし、第2冷媒層を流通する冷媒を気体状態と液体状態の混合状態とする。これにより、比較的温度の高い第1触媒反応層において、冷媒の気化に伴う熱の吸収による過度の冷却を防ぐことができる。
【0038】
また、触媒反応層2、3は二層に限らず、複数層であればよい。つまり、発熱を伴う反応を促進する触媒を担持した、反応温度範囲の異なる複数の触媒反応層と、触媒反応層に対して、それぞれで生じる熱を除去するための冷媒を流通させる冷媒層と、冷媒層を連通する流通手段と、を備える。冷媒層のうち反応温度範囲が高い触媒反応層の熱を除去するものには、気体状態の冷媒を流通させ、冷媒層のうち反応温度範囲が低い触媒反応層の熱を除去するものには、気体と液体の混合状態の冷媒を流通させる。これにより、複数の触媒反応層を有する触媒反応装置に対して本実施形態を適用することができる。
【0039】
次に、第2の実施形態について説明する。ここで用いるCO低減装置5の構成を図4に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
第1の実施形態に用いる反応器が、高温シフト反応器2、低温シフト反応器3であるのに対して、ここでは、シフト反応器7と選択酸化反応器8を用いる。また、シフト反応器7と選択酸化反応器8との間に、改質ガスに空気を混入する空気混合器6を備える。
【0041】
シフト反応器7には、触媒反応層7aと、これと熱交換可能に配置された冷媒層7bとを備える。触媒反応層7aには、約400〜200℃においてシフト反応が活性化する触媒、例えばPt/Al2O3を充填する。触媒反応層7aには、改質ガスを供給して改質ガス中のCOを低減するシフト反応を生じる。冷媒層7bには乾き水蒸気を供給して、触媒反応層7aと熱交換を行うことにより、触媒反応層7aの温度を調整する。
【0042】
一方、選択酸化反応器8には、触媒反応層8aと、これと熱交換可能に配置された冷媒層8bを備える。触媒反応層8aには、触媒反応層7aよりも相対的に低温の約200〜100℃において選択酸化反応(2CO+O2→2CO2)が活性化する触媒を充填する。例えば、Ru/Al2O3からなる触媒を充填する。触媒反応層8aには、改質ガスを供給して改質ガス中のCOを低減する選択酸化反応を生じる。冷媒層8bには湿り水蒸気を供給して、触媒反応層8aと熱交換を行うことにより、触媒反応層8aの温度を調整する。
【0043】
なお、触媒反応層7a、8aの反応温度範囲、触媒種類については、上記に限定するものではない。
【0044】
次に、このように構成したCO除去装置1の改質ガス系について説明する。
【0045】
水素リッチな改質ガスは、まずシフト反応器7の触媒反応器7aを流通する際にシフト反応を生じることにより、COを0.5%程度まで低減する。このとき生じる反応を、冷媒層7bに吸収することにより、触媒反応層7aを所定温度、ここでは約400〜200℃に維持する。
【0046】
CO低減された改質ガスは、シフト反応器7から空気混合器6を介して選択酸化反応器8に供給される。空気混合器6では、酸化剤ガスが混合される。ここでは、外部から空気を供給して混合する。選択酸化反応器8の触媒反応器8aでは、この空気中の酸素を用いてCOの選択酸化反応を生じることにより、COを約10ppmまで低減する。このとき生じる反応熱を冷媒層8bに吸収することにより、触媒反応層8aを所定温度、ここでは約200〜100℃に維持する。
【0047】
次に、水蒸気系について説明する。
【0048】
図示しない水予熱装置により生成された水蒸気を、選択酸化反応器8の冷媒層8bに流通させて、触媒反応層8aで生じる反応熱を吸収することにより、触媒反応層8aを所定の温度に維持する。ここで、水蒸気は下流に設置された減圧弁4によって加圧しておく。ここでは例えば、約0.5MPaに加圧しておく。また、水蒸気は触媒反応層8aから吸収した反応熱で乾き水蒸気とならないように、図示しない水予熱装置において予熱量を調整する。
【0049】
選択酸化反応器8の触媒反応層8aの冷却を行うことにより昇温した水蒸気は、減圧弁4を通過する際に減圧する。ここでは、例えば大気圧程度にまで減圧させる。水蒸気は、減圧弁4の上流側で過熱状態となっているため、減圧弁4の下流側においてフラッシュ蒸発し、乾き水蒸気に変化する。
【0050】
このような乾き水蒸気を、シフト反応器7の冷媒層7bに流通させ、触媒反応層7aからの反応熱を吸収することにより、触媒反応層7aを所定の温度に維持する。
【0051】
次に、このようなCO低減装置5におけるシフト反応器7と選択酸化反応器8の内部温度分布について説明する。まず、図5を用いて、従来の湿り水蒸気のみを用いて触媒反応層7a、8aを温度調整する場合について説明する。
【0052】
冷媒層7b、8b内の温度が一定、ここでは水の沸点程度の温度となるため、シフト反応器7の触媒反応層7aに対しては、触媒温度が最適な反応温度範囲よりも低くなってしまう。一方、選択酸化反応器8の触媒反応層8aに対しては、触媒温度が最適な反応温度範囲よりも高くなってしまう。触媒温度が低すぎる場合には反応速度が低くなり、CO低減効率を十分高く維持するのが困難となってしまう。一方、触媒温度が高すぎると、副反応である逆シフト反応の反応速度が高くなることにより、CO低減効率を十分に高く維持することが困難である。また、副反応である水素の酸化反応(2H2+O2→2H2O)の反応速度が高くなり、燃料電池の反応ガスである水素を無駄に消費してしまう。
【0053】
これに対して、本実施形態におけるシフト反応器7と選択酸化反応器8の内部温度分布を図6に示す。
【0054】
シフト反応器7の冷媒層7bには乾き水蒸気が流通するため、熱伝達率が極端に小さくなる。ここではおおよそ湿り水蒸気の10分の1程度となる。熱伝達率の低下により、触媒反応層7aから冷媒層7bへの熱通過を適度に抑制することができるので、触媒反応層7aに対しては、反応温度範囲が低くなりすぎるのを抑制することができる。また、水蒸気の温度を従来よりも低く設定することができるので、選択酸化反応器8の触媒反応層8aに対しては、反応温度範囲が高くなりすぎるのを抑制することができる。
【0055】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0056】
触媒反応層7aを、改質ガスの流れ方向に対して触媒反応層8aよりも上流側に配置する。触媒反応層7aにおいて、COとH2Oとの反応を生じることによりCO2とH2とを生成し、触媒反応層8aにおいて、COとO2との反応を生じることによりCO2を生成する。つまり、CO低減装置5として、シフト反応を促進するCO変成触媒と、CO選択酸化反応を促進する選択酸化触媒とを備えた装置を用いる。これにより、シフト反応のみならず選択酸化反応の温調を適切に調整することができるので、選択酸化反応の反応効率を高くして十分なCO低減を行うことができる。
【0057】
次に、第3の実施形態について説明する。ここで用いるCO低減装置9の構成を図7に示す。以下、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0058】
ここでは、減圧弁4の替わりに、気液分離器10を備える。つまり、選択酸化反応器8の冷却に用いられた水蒸気は、気液分離器10を通ってからシフト反応器7の冷却に用いられる。
【0059】
選択酸化反応器8の冷媒層8bから排出された湿り水蒸気は、気液分離器10を通過する際に、乾き水蒸気と気化していない水とに分離される。その後、乾き水蒸気はシフト反応器7の冷媒層7bに供給される。一方、分離された水はドレンとして排出される。なお、ドレンとして排出される分の水蒸気が全量の水蒸気から減少するため、水蒸気を予め過剰に流通してもよい。このように構成することで、第2実施形態と同様に図6に示すような温度分布を得ることができる。
【0060】
なお、ここではシフト反応器7と選択酸化反応器8を用いたCO低減装置9について説明したが、第1実施形態と同様に高温シフト反応器2と低温シフト反応器3を用いたCO低減装置1において、減圧弁4の替わりに気液分離器10を用いても良い。
【0061】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第2実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0062】
冷媒層8bと冷媒層7bとの間に気液分離器10を備える。これにより、冷媒層7bに供給する水蒸気を確実に乾き水蒸気に調整することができる。このように、簡単な装置構成により各冷媒層の熱交換特性を変化させ、反応効率を高くすることができる。
【0063】
次に、第4の実施形態について説明する。ここで用いるCO低減装置11の構成を図8に示す。以下、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0064】
減圧弁4の替わりに、三方弁12、熱交換器13、温度センサ14、迂回路22を備える。熱交換器13は、シフト反応器7から排出された改質ガスと、選択酸化反応器8の触媒反応層8bを流通した水蒸気との間で熱交換を行う装置である。通常時には、改質ガスが加熱源、水蒸気が冷却源として用いられる。迂回路22は熱交換器13を水蒸気が迂回する際に流通する流路である。選択酸化反応器8から排出された水蒸気を、熱交換器13を介さずにシフト反応器7に供給する。つまり、ここでは熱交換器13を流れて昇温される水蒸気流量と、迂回路22を流れる水蒸気流量を調整することにより、シフト反応器7に供給する水蒸気の乾き度および温度を調整する。三方弁12は、この熱交換器13に流通させる水蒸気の流量を制御する手段である。三方弁12のポート12aを選択酸化反応器8の冷媒層8bの排出側に連通させ、ポート12bを熱交換器13側に、ポート12cを熱交換器13を迂回する側に接続する。
【0065】
温度センサ14を、熱交換器13を通過した水蒸気と、熱交換器13を迂回した水蒸気の合流部より下流側に配置する。温度センサ14は、温度調整した水蒸気の温度を検出する手段である。この温度センサ14により、シフト反応器7の冷媒層7bに供給される水蒸気の温度を検出する。
【0066】
改質ガス系について説明する。
【0067】
シフト反応器7においてCO低減された改質ガスを熱交換器13に流通させる。このとき、水蒸気と熱交換を行うことにより改質ガス温度が低下する。その後、空気混合器6において空気が混合され、選択酸化反応器8に供給される。
【0068】
次に、水蒸気系について説明する。
【0069】
選択酸化反応器8の冷媒層8bから流出した湿り水蒸気は、三方弁12により熱交換器13を通過する経路と、熱交換器13を迂回する経路に分岐する。熱交換器13を通過する水蒸気は、改質ガスから熱を吸収して乾き水蒸気となる。この乾き水蒸気と、熱交換器13を迂回した湿り水蒸気とを合流させ、シフト反応器7の冷媒層7bに供給する。ここで、三方弁12の開度αは、温度センサ14により検出する合流した水蒸気の温度に応じて調整する。熱交換器13を迂回する水蒸気流量がゼロの場合に三方弁12の開度αを1、全水蒸気が熱交換器13を迂回する場合には三方弁12の開度αを0とする。
【0070】
このようなCO低減装置11を制御するためのコントローラ23を備える。コントローラ23で行う制御を図9のフローチャートを用いて説明する。
【0071】
ステップS1において、温度センサ14を用いてシフト反応器7に供給される水蒸気の検出温度Tを検出する。次に、ステップS2において、検出温度Tと温度閾値T0とを比較する。ここで、温度閾値T0は水蒸気の乾き度が1となる温度である。水蒸気温度が過度に高い場合にはシフト反応器7の触媒反応層7aの冷媒としての性能が劣化する。また、水蒸気温度が過度に低い場合には、液体として存在する水が、シフト反応器7内で蒸発する際に顕熱を吸収する可能性がある。この場合にはシフト反応器7内で過度に冷却が行われる可能性が生じる。そこで本実施形態では、シフト反応器7に供給する水蒸気の温度を乾き度が1となる下限温度である温度閾値T0近傍に調整することで、水蒸気の冷却性能の低下を抑制するとともに、シフト反応器7の過度の冷却を抑制する。本実施形態では沸点が100℃となる圧力で運転しているので、余裕をみて120℃程度とする。
【0072】
ステップS2において、T<T0の場合、すなわち、水蒸気の乾き度が1を下回る(湿り水蒸気のままである)場合には、冷媒層7bに湿り水蒸気が流入する可能性があると判断して、ステップS3に進む。ステップS3において、三方弁12の開度αを大きくすることにより、熱交換器13を流通する水蒸気流量を増大する。これにより、水蒸気の加熱量が増大して、水蒸気の乾き度が上昇する。
【0073】
一方、ステップS2においてT>T 0 の場合、すなわち、水蒸気の加熱量が過剰である場合には、触媒反応層7aの温度調整が不十分となる可能性があると判断して、ステップS4に進む。ステップS4において、三方弁12の開度αを小さくすることにより、熱交換器13を迂回する水蒸気流量を増大する。これにより、水蒸気の加熱量を低減して、水蒸気温度を抑制する。
【0074】
一方、ステップS2において、T=T0の場合には、シフト反応器7に流入する水蒸気は、冷却性能を維持しつつ、顕熱による過度の冷却を行うことはないと判断して、三方弁12の開度αを維持する。
【0075】
ステップS3〜S5において三方弁12の開度αを調整したら本制御を終了する。ここでは、このフローを繰り返し行うことで、CO低減装置11の温度調整を行う。
【0076】
このように制御した際の、シフト反応器7と選択酸化反応器8の内部温度分布を図10に示す。触媒反応層7aおよび8aの温度が、反応に適した温度範囲内に収まっており、従来に比較して、CO低減効率を高くすることができる。
【0077】
なお、ここではCO低減装置11にシフト反応器7と選択酸化反応器8を備えたが、第1の実施形態と同様に高温シフト反応器2、低温シフト反応器8を備えても良い。また、水蒸気の温度・乾き度の状態を判断する際に、温度閾値T0に応じて判断したが、この温度閾値T0を温度範囲としても良い。これは、水蒸気の乾き度が1であり、かつ、シフト反応器7の触媒反応層7aの冷却を行うことができる温度範囲とする。
【0078】
次に、本実施形態の効果を説明する。ここでは、第2の実施形態に加えて以下のような効果を得ることができる。
【0079】
冷媒層8bと冷媒層7bとの間に蒸気加熱手段を備える。水蒸気の冷媒層8bまたはそれ以前の行程において給する熱量が変化した場合にも、冷媒層7bに供給する水蒸気に熱を与えることができる。これにより、冷媒層7bに流入する水蒸気の乾き度を安定化することができる。
【0080】
蒸気加熱手段として、冷媒層7bに導入される水蒸気温度を検出する温度センサ14と、温度センサ14の温度検出値Tに基づいて水蒸気の加熱量を調節する加熱量調節手段と、を備える。これにより、水蒸気の加熱量を過不足なく調節することができ、冷媒層7bに流入する水蒸気の乾き度の安定化を確実にすることができる。
【0081】
加熱量調節手段では、温度検出値Tが、水蒸気の凝縮温度よりも高い所定温度値、ここでは温度閾値T0になるように加熱量を調節する。これにより、冷媒層7bに供給する水蒸気の乾き度を1にすることができ、冷媒層7bにおいて過度の冷却が行われるのを防ぐことができる。
【0082】
蒸気加熱手段は、冷媒層7bに導入される水蒸気温度を検出する温度センサ14と、触媒反応層7aから排出された高温の改質ガスと冷媒層7bに供給する水蒸気の少なくとも一部との間で熱交換を行う熱交換器13と、を備える。さらに、蒸気加熱手段は、熱交換器13を迂回する水蒸気の迂回路22と、温度センサ14の温度検出値Tに基づいて熱交換器13に流通させる水蒸気量を調整することにより水蒸気の加熱量を調節する三方弁12と、を備える。これにより、水蒸気の加熱に既存の熱源を用いることができるので、無駄なエネルギを消費することなく水蒸気の乾き度および温度を調節することができる。
【0083】
このように、熱交換器13において水蒸気が吸収する熱量の自由度が高いため、冷媒層8bや予熱装置において吸収される熱量が変動する場合にも、水蒸気が吸収する熱量を補償することができる。その結果、冷媒層7bに流入する水蒸気の乾き度を安定化することができる。
【0084】
次に、第5の実施形態について説明する。図11に、本実施形態で用いるCO低減装置15の概略構成図を示す。以下、第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0085】
選択酸化反応器8に供給する改質ガス中に供給する酸化剤流量を調整する調節弁16を備える。ここでは、調節弁16を外気から空気混合器6に空気を取り込む配管に配置する。
【0086】
空気混合器6において、改質ガスに混合される空気流量は、調節弁16により調節される。調節弁16の開度βは、基本的には当該運転負荷における標準開度βiに基づくが、温度センサ14の検出値Tに応じて補正を行う。なお、開度βは全開の場合に1とする。また、標準開度βiは、予め実験等により特性を求めてコントローラ23に記憶させておく。
【0087】
開度βの補正は、三方弁12の開度αの調節と連携して行う。この調節方法を図12のフローチャートを用いて説明する。
【0088】
ステップS11において、温度センサ14を用いて水蒸気の検出温度Tを読み込む。ステップS12において、検出温度Tと温度閾値T0とを比較する。ステップS12において、T<T0、すなわち乾き度が1を下回って湿り水蒸気がシフト反応器7に供給される可能性があると判断された場合には、水蒸気の加熱を促進する行程に進む。
【0089】
まず、ステップS13において、α<1であるかどうかを判断する。つまり、熱交換器13を迂回する水蒸気が存在するかどうかを判断する。α<1であり、迂回する水蒸気が存在する場合には、ステップS14に進み三方弁12の開度αを増大する。これにより、熱交換器13に供給される水蒸気流量が増大して、水蒸気の加熱量を増大することができる。一方、α=1、すなわち、水蒸気の吸熱量が上限に達している場合もある。これは、改質ガスの流量が所定値よりも少なく、熱交換器13で得られる熱量が小さい場合などである。この場合には、ステップS15に進み、調整弁16の開度βを大きくする。これにより、選択酸化反応器8の上流側に改質ガスに混入する空気流量を増加し、触媒反応層8aで生じる反応熱を増大することにより不足する熱量を補う。
【0090】
一方、ステップS12において、T>T0、すなわち水蒸気の加熱量が過剰である場合には、触媒反応層7aの温度調整が不十分となるので、水蒸気の加熱を抑制する行程に進む。
【0091】
まず、ステップS16において調節弁16の標準開度βiを読み込む。これは、運転負荷に応じて設定される値である。次に、ステップS17において、調節弁16の開度βと標準開度βiを比較する。ステップS17において、β>βi、すなわち改質ガスに混合ガスが余剰である場合には、ステップS18に進み、開度βを小さくする。これにより、選択酸化反応器8の触媒反応層8aで生じる反応熱を低減する。その結果、水蒸気の検出値Tが低下する。一方、β=βi、すなわち改質ガスに混合する空気が運転負荷に応じた流量である場合には、ステップS19に進み、三方弁13の開度αを小さくする。これにより、熱交換器13を流通する水蒸気量を低減して、水蒸気の加熱量を低減する。
【0092】
さらに、ステップS12において、T=T0の場合には、三方弁12の開度α、調節弁16の開度βを維持する。
【0093】
このように、三方弁12の開度α、調節弁16の開度βを調整したら、本フローを終了する。このような制御を繰り返し行うことで、CO低減装置15の温度を調整する。CO低減装置15内の温度分布は、第4実施形態と同様に図10に示される。
【0094】
なお、ステップS15において、βを大きくして改質ガスに混合する空気流量を増大すると、触媒反応層8aにおける選択酸化反応の副反応である水素の酸化反応(2H2+O2→2H2O)が余剰に進行する。その結果、CO低減装置15から排出される水素が僅かに消費されてしまう。しかしながら、触媒反応層7aの反応効率を高く維持することができるので、熱量不足により触媒反応層7aの反応効率が低減する場合に比較すると、総合的な反応効率を高くすることができる。
【0095】
次に、本実施形態の効果を説明する。以下、第4実施形態と異なる効果のみを説明する。
【0096】
冷媒層8bと冷媒層7bとの間に蒸気加熱手段を備える。蒸気加熱手段として、冷媒層7bに導入される水蒸気温度を検出する温度センサ14と、温度センサ14の温度検出値Tに基づいて水蒸気の加熱量を調節する三方弁12と、温度センサ14の検出値Tに基づいて、触媒反応層8bに流入する改質ガスの酸素濃度を調整する調節弁16と、を備える。このように、空気混合器6に供給する空気流量を調整可能とすることで、水蒸気が吸収する熱量の自由度をさらに高くすることができる。その結果、冷媒層8bや水予熱装置において吸収する熱量が変動する場合のみならず、改質ガスの流量が所定量よりも少なく、熱交換器13において吸収する熱量が不足する場合などにも、水蒸気に吸収する熱量を確保することができる。これにより、シフト反応器7の冷媒層7bに流入する水蒸気の乾き度をさらに安定化することができる。このとき、選択酸化反応の反応効率が僅かに低下するが、シフト反応の反応効率を高く維持することができ、熱量不足によりシフト反応の反応効率が低くなる場合に比較すると、総合的な反応効率を高くすることができる。
【0097】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更を為し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図2】従来のシフト反応を用いたCO低減装置における内部温度分布図である。
【図3】第1の実施形態に用いるCO低減装置における内部温度分布図である。
【図4】第2の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図5】従来のシフト反応と選択酸化反応を用いたCO低減装置における内部温度分布図である。
【図6】第2の実施形態に用いるCO低減装置における内部温度分布図である。
【図7】第3の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図8】第4の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図9】第4の実施形態におけるCO低減装置の温度制御のフローチャートである。
【図10】第4の実施形態に用いるCO低減装置における内部温度分布図である。
【図11】第5の実施形態に用いるCO低減装置の構成図である。
【図12】第5の実施形態に用いるCO低減装置の温度制御のフローチャートである。
【符号の説明】
1、5、9、11、15 CO低減装置(一酸化炭素低減装置)
2 高温シフト反応器
2a 触媒反応層(第1触媒反応層)
2b 冷媒層(第1冷媒層)
3 低温シフト反応器
3a 触媒反応層(第2触媒反応層)
3b 冷媒層(第2冷媒層)
4 減圧弁(減圧手段)
6 空気混合器
7 シフト反応器
7a 触媒反応層(第1触媒反応層)
7b 冷媒層(第1冷媒層)
8 選択酸化反応器
8a 触媒反応層(第2触媒反応層)
8b 冷媒層(第2冷媒層)
10 気液分離器(気液分離手段)
12 三方弁(加熱量調整手段)
13 熱交換器(蒸気加熱手段)
14 温度センサ(蒸気温度検出手段)
16 調節弁(酸素濃度調節手段)
21 水蒸気配管(蒸気流通手段)
22 迂回路
Claims (14)
- 発熱反応を生じる第1触媒反応層と、
発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が前記第1触媒反応層よりも低い第2触媒反応層と、
前記第1触媒反応層と熱交換可能な第1冷媒層と、
前記第2触媒反応層と熱交換可能であって、前記第1冷媒層と連通する第2冷媒層と、
前記第1および第2冷媒層に蒸気を流通する蒸気流通手段と、を備え、
前記第1冷媒層を流通する蒸気を、気相の乾き蒸気とし、
前記第2冷媒層を流通する蒸気を、気相と液相とが存在する湿り蒸気とすることを特徴とする燃料改質用触媒反応装置。 - 前記蒸気流通手段は、蒸気を前記第2冷媒層から前記第1冷媒層に流通する請求項1に記載の燃料改質用触媒反応装置。
- 前記第2冷媒層と前記第1冷媒層との間に減圧手段を備える請求項2に記載の燃料改質用触媒反応装置。
- 前記第2冷媒層と前記第1冷媒層との間に気液分離手段を備える請求項2に記載の燃料改質用触媒反応装置。
- 前記第2冷媒層と前記第1冷媒層との間に蒸気加熱手段を備える請求項2に記載の燃料改質用触媒反応装置。
- 前記蒸気加熱手段は、前記第1冷媒層に導入される蒸気温度を検出する蒸気温度検出手段と、
前記蒸気温度検出手段の温度検出値に基づいて蒸気の加熱量を調節する加熱量調節手段と、を備える請求項5に記載の燃料改質用触媒反応装置。 - 前記蒸気加熱手段は、前記第1冷媒層に導入される蒸気温度を検出する蒸気温度検出手段と、
前記第1触媒反応層から排出された高温反応ガスと、前記第1冷媒層に供給する蒸気の少なくとも一部との間で熱交換を行う熱交換手段と、
前記熱交換手段を迂回する蒸気の迂回路と、
前記蒸気温度検出手段の温度検出値に基づいて前記熱交換手段に流通させる蒸気量を調整することにより蒸気の加熱量を調節する加熱量調整手段と、を備える請求項5に記載の改質用触媒反応装置。 - 前記加熱量調節手段は、前記温度検出値が、蒸気の凝縮温度よりも高い所定温度値になるように加熱量を調節する請求項6または7に記載の燃料改質用触媒反応装置。
- 導入される反応ガスの流れ方向に対して、前記第1触媒反応層を前記第2触媒反応層よりも上流側に配置し、
前記第1触媒反応層と前記第2触媒反応層において、一酸化炭素と水分とを反応させることにより二酸化炭素と水素とを生成する請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の燃料改質用触媒反応装置。 - 前記第1触媒反応層を、反応ガスの流れ方向に対して前記第2触媒反応層よりも上流側に配置し、
前記第1触媒反応層において、一酸化炭素と水分とを反応させることにより二酸化炭素と水素とを生成し、
前記第2触媒反応層において、一酸化炭素と酸素とを反応させることにより二酸化炭素を生成する請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の燃料改質用触媒反応装置。 - 前記第2冷媒層と前記第1冷媒層との間に蒸気加熱手段を備え、
さらに前記蒸気加熱手段として、前記第1冷媒層に導入される蒸気温度を検出する蒸気温度検出手段と、
前記蒸気温度検出手段の温度検出値に基づいて、蒸気の加熱量を調節する加熱量調節手段と、
前記蒸気温度検出手段の検出値に基づいて、前記第2触媒反応層に流入する反応ガスの酸素濃度を調整する酸素濃度調整手段と、を備える請求項10に記載の燃料改質用触媒反応装置。 - 前記反応ガスとして、改質反応により生成した水素リッチな改質ガスを用い、
前記蒸気として、改質ガスの生成原料となる水蒸気を用いる請求項1に記載の燃料改質用触媒反応装置。 - 発熱を伴う反応を促進する触媒を担持した、反応温度範囲の異なる複数の触媒反応層と、
前記複数の触媒反応層に対して、それぞれで生じる熱を除去するための冷媒を流通させる複数の冷媒層と、
前記複数の冷媒層のうち少なくとも一部を連通することにより冷媒を流通させる冷媒流通手段と、を備え、
前記冷媒層のうち比較的反応温度範囲が高い前記触媒反応層の熱を除去するものには、気体状態の冷媒を流通させ、
前記冷媒層のうち比較的反応温度範囲が低い前記触媒反応層の熱を除去するものには、気体と液体の混合状態の冷媒を流通させることを特徴とする触媒反応装置。 - 前記触媒反応層として、発熱反応を生じる第1触媒反応層と、発熱反応を生じる触媒反応層であって反応温度範囲が第1触媒反応層よりも低い第2触媒反応層と、を備え、
前記冷媒層として、前記第1触媒反応層と熱交換可能な第1冷媒層と、前記第2触媒反応層と熱交換可能であって前記第1冷媒層と連通する第2冷媒層と、を備え、
前記第1冷媒層には気相からなる冷媒を流通させ、前記第2冷媒層には気相と液相とからなる冷媒を流通させる請求項13に記載の触媒反応装置。
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