JP2004291604A - 画像形成方法及び画像出力システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プルーフ画像出力装置1に、複数の異なる色が組み合わされて、任意の色調を表現できるプルーフ階調画像を形成させるために、測定手段3で測定した値を基に、パラメータ演算手段9により、目標印刷物の複数のインキが重なった重なり部分の色を再現するための濃度を、前記重なり部分の上側に刷り重ねる上側インキの組成に応じた所定係数を用いて計算を行って決定し、決定した濃度で前記画像出力装置にプルーフ階調画像の形成を行わせる。
【選択図】図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ユーザがコンピュータを操作して印刷物の仕上がりを事前に確認するプルーフを生成するため、、画像形成方法及び画像出力システムに関するものである。又、プルーフ画像の形成方法において、特にハロゲン化銀感光材料或いはハロゲン化銀カラー感光材料(以下、単に感光材料という)を好ましく用いることができるデジタルカラープルーフの生成に関する技術であり、少ない取得データから種々の印刷条件、特に、重ね刷りに対応した再現性のよい高画質のプルーフ画像を効率的に得ることのできるデジタルカラープルーフの生成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷分野において、ハロゲン化銀感光材料は、高感度であること、色再現性に優れていること、連続処理に適していることから今日盛んに用いられている。こうした特徴からハロゲン化銀感光材料は、写真の分野のみではなく、印刷の分野でも、印刷の途中の段階で仕上がりの印刷物の状態をチェックするためのいわゆるプルーフの分野で広く用いられるようになってきている。
【0003】
プルーフの分野では、コンピュータ上で編集された画像を印刷用フィルムに出力し、現像済みのフィルムを適宜交換しつつ分解露光することによってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像を形成させ、最終印刷物の画像をカラー印画紙上に形成させることにより、最終印刷物のレイアウトや色の適否を判断することが行われていた。
【0004】
最近では、コンピュータ上で編集された画像を直接印刷版に出力する方式が徐々に普及してきており、このような場合にはコンピュータ上のデータからフィルムを介することなく直接カラー画像を得ることが望まれていた。
【0005】
このような目的には、昇華型・溶融熱転写方式や電子写真方式、インキジェット方式等種々の方式の応用が試みられてきたが、高画質な画像が得られる方式では費用がかかり生産性が劣るという欠点があり、費用が少なくてすみ生産性に優れた方式では画質が劣るという欠点があった。ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムでは、優れた鮮鋭性等から、正確な網点画像が形成できるなど高画質な画像形成が可能であり、一方で上述したように連続した処理が可能であることや、複数の色画像形成ユニットに同時に画像を書き込むことができることから高い生産性を実現することが可能であった。
【0006】
近年、印刷の分野でいわゆるデジタル化が進みコンピュータ内のデータから直接画像を得る要求が強まっているが前記したような理由によって、ハロゲン化銀感光材料がこの分野で有利に使われ始めている。
【0007】
このような方式においては、網点をさらに小さな単位(ここではこれを画素と表現した)に分割し、この画素を適切な露光量で露光する事によってその集合体として網点を再現することが可能である。例えとして簡単な例を挙げれば、1つの網点が100個の画素で構成されるのであれば、50個の画素を現像可能なように露光する事により網%が50%の網点を形成する事ができる。印刷の特性を表現するのにドットゲインというパラメータが用いられるが、前記現像可能となる画素の数を変化させることによりドットゲインを変えることができる。この画素が、例えば印刷のイエロー(Y)のインキとマゼンダ(M)のインキの重なった場所に存在する場合には、この画素を赤に発色させることにより再現することが可能となる。この時、プルーフ上では必ずしもYとMをえる条件を組み合わせる必要はなく別途(例えば、直接にY+M相当の色を)設定することが可能である。これにより、色材の相違による視覚的なズレの調整などの大きなメリットを得ることができる。
【0008】
また、印刷物においては、プロセスインキでは表現できない色や特殊な印刷効果を狙って、特色インキを使った印刷が行われる場合がある。
【0009】
ハロゲン化銀感光材料を用いてデジタルデータに基づき面積階調画像を形成するシステムでは、各層の露光量を任意に変化させることにより、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の濃度を変化させて、この3色の濃度成分の発色比で決められる一定の色域の中で、任意の色調を再現することが可能である。すなわち、プロセスインキのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の組み合わせで表現可能な白を除く15色以外に、ほぼ無限に近い色調表現が可能であるため前述の特色に近似した色調を再現することが可能である。
【0010】
プロセスインキの組み合わせで表現される色調および特色等の任意の色調を、ハロゲン化銀感光材料を用いて再現するためには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の発色する濃度成分を適宜露光光量を調整して組み合わせる必要がある。
【0011】
ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムは、このように非常に有用なプルーフシステムを実現可能なものであるが、以上説明したように、目標とする印刷物の色版の数が増えるに伴い、この条件をどのように規定するかが非常に大きな課題であった。
【0012】
さらに、ハロゲン化銀感光材料を用いたシステムでは、印刷と同じ色材を使用する事ができないため、視覚的に近似した画像を得るためには、例えばCIELAB色空間の測定値としてずれた色に調整する必要があるなどの課題を有していた。
【0013】
特許文献1の請求項には、AOM(音響光学変調器)に印加するON、OFF電圧値を制御することで、透過する光量を調整し、カラー感光材料の発色濃度を調整するカラー画像校正装置について開示されており、これにより発色濃度、ヌケ部の濃度が可変となり、印刷と近似した画像を形成することができ、特色印刷の校正が可能となることが開示されている。しかしながら、画像出力の条件をどのように決めればよいかなどの具体的な手段については何ら述べられていないし、示唆もされていない。
【0014】
プルーフ画像作成装置としてハロゲン化銀感光材料を用いる装置が提案されており、網点の濃度を可変にできることが開示されている(デジタルコンセンサスプロ パンフレット、コニカグラフィックイメージング(株)(2002))。
【0015】
特許文献2の請求項には、直接変調したLEDを光源とする濃度とドットゲインを独立に調整する画像形成方法が開示されており、印刷画像との差異の小さいプルーフ画像が容易に得られることを開示している。しかし、各色をどのように調整することで目視での画像再現性が満足されるかについて何も述べられていないし、示唆もされておらず、また、なによりも本発明はこのような装置をより有効に使用するための技術に関するものである。
【0016】
特許文献3の請求項には、特色版を使用する印刷物に対するプルーフ画像形成方法として、プロセス色変換過程、特色参照過程、特色変換過程、プロセス色変換画像データと前記特色変換画像データを組み合わせる合成過程、出力過程からなる画像形成方法を開示している。印刷物の色とプルーフの色をどのように調整するかという最も簡単なモデルは、濃度あるいはL*、a*、b*の値を両者で同じになるようにすることであるが、前述のように、ハロゲン化銀感光材料を用いたカラープルーフでは、印刷との色材の違いから色調を調整することが必要であるという課題がある。特許文献3には、こうした課題についての記載はなく、また、簡便に色を決める方法についての示唆もない。
【0017】
特許文献4の請求項には、本印刷機における各色の刷順と透過度とに基づいて前記各色の刷り重ねの模擬演算を行う色校正方法が開示され、これにより、特色インキを刷り重ねる順番と特色インキの透過度とが考慮され色再現性が良好な色校正方法が提供される。しかし、特許文献4の公報カラム0008には、「透過度は隠蔽性を有するインキ(不透過色インキ)によって隠蔽されていない面積率(%)、すなわち、下の色が印刷物の表面から見た色に影響する程度(%)のことである」と記載されており、「前記模擬演算過程は、刷り重ねにおいて下の色に影響されない不透過色については画素値と透過度を乗算した値(実効のある画素値)をその不透過色を刷り重ねる演算の前の透過度から減算して新たな透過度を生成し、その新たな透過度を刷順が次の下の色の実効画素値演算過程で用いる色校正方法」であると記載している。すなわち、不透過色インキ(光を全く透過しない)が上にあるか下にあるかの区別する上において刷り順が考慮されている。本願発明と同様に、演算により再現する色を決定しているが、開示されている内容は限られた方法に関するものであり、また、本願発明が、印刷インキの透明度等の特性を考慮してノセ色部分の着色量を一定の規則に基づき決定し、再現性の良好なプルーフ画像を得ることに特徴があるものであり、前記公報にはこうした取り扱いを示唆する記載は見あたらない。
【0018】
【特許文献1】
特開平5−66557号公報[請求項]
【特許文献2】
特開2001−305701号公報[請求項]
【特許文献3】
特開平10−248017号公報[請求項]
【特許文献4】
特開平11−296664号公報[請求項]
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、印刷物の仕上がりを事前に確認するプルーフ、特に刷り重ね色の濃度を印刷インキの構成に応じて簡易かつ精度よく設定することにより、特色を使用した刷り重ねの印刷物の仕上がりを良好とすることができるデジタルカラープルーフを形成できる画像情報処理方法、画像形成方法及び画像出力システムを提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の構成を下記のようにした。
【0021】
請求項1記載の発明は、プルーフ画像出力装置に、複数の異なる色が組み合わされて、任意の色調を表現できるプルーフ階調画像を形成させる画像形成方法において、目標印刷物の複数のインキが重なった重なり部分の色を再現するための濃度を、前記重なり部分の上側に刷り重ねる上側インキの組成に応じた所定係数を用いて計算を行って決定し、決定した濃度で前記画像出力装置にプルーフ階調画像の形成を行わせることを特徴とする。
【0022】
請求項2記載の発明は、前記上側インキの組成は、添加剤成分を有し、前記所定係数は、前記添加剤の種類によって定められることを特徴とする。
【0023】
請求項3記載の発明は、前記上側インキの添加剤成分は、メジウムを含む透明性を有する成分、白インキを含む下地色を隠蔽する成分及び金属色顔料を含む成分に分類され、その分類のそれぞれに応じて前記所定係数を決定することを特徴とする。
【0024】
請求項4記載の発明は、前記再現するための濃度の計算は、前記上側インキの濃度、前記重なり部分の下側になる下側インキの濃度、透明度係数及びトラッピング率を基に行い、前記所定係数は、前記透明度係数であることを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の発明は、プルーフ画像出力装置に、シアン、マゼンタ及びイエローの各濃度の組み合わせで着色可能なプルーフ用画像形成材料を用いて、目標印刷物の複数版の刷り重ね部分の色調を再現するための濃度で、プルーフ階調画像を形成させる画像形成方法において、前記再現するための濃度は、前記目標印刷物における下側インキの単色の色調又は濃度と、上に刷り重ねられる上側インキの単色の色調又は濃度と、上に刷り重ねられる上側インキの単色の色調又は濃度と、前記上側インキの主要構成成分と、前記上側インキに添加される添加剤の成分に基づき、決定されることを特徴とする。
【0026】
請求項6記載の発明は、前記上側インキの添加剤の成分は、メジウムを含む透明性を有する成分、白インキを含む下地色を隠蔽する成分及び金属色顔料を含む成分のそれぞれに応じて前記再現する濃度を決定することを特徴とする。
【0027】
請求項7記載の発明は、プルーフ画像出力装置は、少なくともシアン、マゼンタ及びイエローを発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を、前記目標印刷物の画像データに基づいて光量を変化させて画像露光を行った後、発色現像処理することを特徴とする。
【0028】
請求項8記載の発明は、目標印刷物がブラック、シアン、マゼンタ及びイエロー以外の特色を含む画像を再現するプルーフ画像であることを特徴とする。
【0029】
請求項9記載の発明は、2種以上のインキ層を刷り重ねて色調を表現する目標印刷物に対応して、n種の色を発色させて組み合わせて表現するプルーフとしての面積階調画像をプルーフ画像出力装置に形成させる画像形成方法であって、
前記目標印刷物の刷り重ね部分の濃度Dを、上色濃度O、下色濃度Uにより、下記の式で算出し、その濃度Dに対応して前記プルーフ画像出力装置に前記プルーフを出力させることを特徴とする。
Dj=Aj×Oj+Bj×Uj
但し、j:2からnまでの整数、
Aj:トラッピング率、0≦Aj≦1、ただし少なくとも、Ajの内、1つが0よりも大きく1よりも小さい。
Bj:透明度係数 0<Bj<1
【0030】
請求項11記載の発明は、2種以上のインキ層を刷り重ねて色調を表現する目標印刷物に対応して、n種の色を発色させて組み合わせて表現するプルーフとしての面積階調画像をプルーフ画像出力装置に形成させる画像出力システムであって、予め、前記プルーフ画像出力装置の露光を行うための目標印刷物に対する基本色の濃度をカラーコレクションテーブルとして記憶する記憶する記憶手段と、前記目標印刷物の刷り重ね部分の濃度Dを、上色濃度O、下色濃度Uにより、下記の式で算出し、その濃度Dに対応して前記プルーフ画像出力装置に前記プルーフを出力させる画像情報処理装置を備えたことを特徴とする画像形成システム。
Dj=Aj×Oj+Bj×Uj
但し、j:2からnまでの整数、
Oj、Uj:前記カラーコレクションテーブルの内の1つの色の濃度
Aj:トラッピング率、0≦Aj≦1、ただし少なくとも、Ajの内、1つが0よりも大きく1よりも小さい。
Bj:透明度係数 0<Bj<1
【0031】
請求項12記載の発明は、請求項10及び11の発明において、前記透明度係数が次の通りであることを特徴とする。0.9≦Bj<1(Ojのインキの添加剤が透明性成分の場合)
0.3≦Bj≦0.97(Ojのインキの添加剤が隠蔽性成分の場合)
0.05≦Bj≦0.97(Ojのインキの添加剤が金属顔料成分の場合)
【0032】
請求項13記載の発明は、請求項11および12記載の発明において、目標印刷物の色の色特性を取得する取得手段と、前記色特性を基に前記色特性に対する基本色の濃度を求め、前記カラーコレクションテーブルを作るために前記記憶手段に送る変換手段とを備えた。
【0033】
【発明の実施の形態】
先ず、理解を深めるために、本発明に係る用語と用語に係る技術について説明する。
【0034】
[用語と関与技術の説明]
(1)色の表記
この明細書中の説明に使用する印刷インキの色の表記は、図13に従う。
【0035】
(2)網点画像(色、特色)の形成
従来技術でも簡単に説明しているが、追加説明しておく。図1にデジタルカラープルーフにおける網点の模式図を示す。図1に示すように、画像は画素(図中では○で表した)に分割され、網点はこの画素の集合体として表される。その際、網点の重なった部分は、画素を共有することになる。例えば、図1は、基本色としてY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各網点としているので、Yの網点とMの網点が共有する(重なっている)画素は赤、Yの網点とCの網点が共有する画素は緑(G)、Y、M、Cの網点が共有する画素はグレー(GY:灰色とも言われる。)で表される。
【0036】
また、印刷物によっては、YMC、或いはYMCK以外の特別な色、いわゆる「特色」が用いられることがある。この特色のインキの版は「特色版」と呼ばれる。特色インキとしては、緑色、オレンジ色などのインキの他に、金色、銀色その他のメタリックカラーのインキ等の各種のインキが用いられる。さらに特色インキは、濃度が均一でない場合があり、ラメや金粉の混ざったものなどが用いられることもある。特色版は、ロゴのように予め特色であることが指定されている画像部品を再現する場合や、特色インキで刷ることによってカラー画像の色再現性を高めたい場合などに用いられることが多い。図1には示していないが、特色版の網点がある場合には、該当する画素の色を特色に近似な色に調整することによりこれを表現することができるし、さらに特色版と他の版で共有されている画素を、刷り重ねの順序、個々の版の色、各インキの特性(透明度、インキののりやすさ等)を考慮した色に調整することにより表現することができる。
【0037】
(3)目標印刷物と測定(色データの取得)
画像形成(印刷)条件を決めるためには、実際の印刷物では各色がどのように再現されるかを調べる必要がある。このため、実際の印刷で用いられるインキ、プルーフ画像出力装置を使った印刷物で基本となるデータを取得する必要がある。本発明ではこれを目標印刷物と呼ぶ。このようにすることで、色再現に必要な条件を精度よく決めることが可能となる。したがって、目標印刷物は、少なくともY、M、C、Kの各プロセスインキでの印刷物を含むことが好ましく、さらにKとY等が重なったオーバープリント色を含むことが好ましい。特色を含んだ印刷では、プロセスインキでの印刷物に加えて特色インキでの印刷物を含むことが好ましく、特色インキのプロセスインキの刷り重ねられた印刷物を含むことが好ましい。色の再現の精度からいうと印刷物は多いほど好ましいが同時に測定の負荷も増えるため求める精度と負荷の関係で印刷物を決めることが好ましい。
【0038】
また、本発明において目標印刷物を測定すると記載している場合であっても、予め測定されているインキと同じインキを使う場合のようにデータを適当な媒体から読み込むことによりその目的を達成できる場合は、これをも含めて測定と記載している。また、求める精度との関係で代表的なインキのデータで代用する事も可能であり、こうした場合も含めて測定すると記載している。
【0039】
(4)濃度、L*a*b*及び色の測定
ここにいう濃度とは、主に光学濃度を意味するが、実質的にこれと同じ意味をもつ他の量に置き換えることが可能である。例えば、CLIEAB色空間におけるL*、a*、b*等が変換可能なその代表値としてあげることが可能である。このほかには、CIELAB色空間、XYZ色空間の座標値を好ましく用いることができる。CIELAB色空間とは、CIE 1976(L*a*b*色空間)を指し、その座標の求め方については、JIS Z 8729−1994 に記載されている。ここで、上述したL*a*b*を、この発明では、色の「特性」と言う。
【0040】
[全体構成の概略説明]
図2は、発明実施する上で必要な画像出力システムの全体構成の一例を示す。図3は、図2の中で、本発明の主要構成である画像情報処理装置100の詳細な機能構成を示す図であって、図3の符号6から15の要部が画像情報処理装置100に含まれる。図4は、図2の構成の概略の動作フローを説明するための図である。先ず、図2を用いて概略の全体構成を説明する。
【0041】
図2において、プルーフ画像出力装置1は、データを一時記憶し、記録タイミングを調整するためのバッファ、印刷媒体(例えば感光材料)を、インキ、印刷用紙等の条件を反映して上記の画素毎に露光を行ことによって所望のプルーフを得るための露光手段、感光材料を搬送するドラム、これらの手段に対して必要な条件で制御する制御手段を備えている。さらに、露光手段は、各種の光源(レーザ或いは発光ダイオード(LED)等)、光源からの光量を調整する手段、光源からの光を主走査方向或いは副走査方向に走査して感光材料の所定位置を印刷するための走査手段を備えている。制御手段は、CPU(コンピュータ)及び各部を制御するための画像出力制御プログラム、その画像出力制御プログラム及び露光用データ等を記憶するメモリからなり、CPUが画像出力プログラムを実行することにより、制御部として機能している。
【0042】
なお、露光手段(詳細は[露光手段]の欄で後記)は、入力される濃度データから各光源の光量を決定して露光するため、図2の画像情報処理装置100は、この露光手段の特性にあったデータ(これを以下、この露光手段にあったデータを生成する上で参照するための露光手段の特性を濃度特性ファイル(請求項でいう「色特性対基本色の濃度の特性データ」である。)という。)を提供する必要がある。この点は、重要なので[濃度特性ファイルの生成]の欄で後記する。
【0043】
測定装置3は、目標印刷物2の各色がもつ特性を取得するために測定する測定器(取得装置)である。各色がもつ特性とは、濃度も含まれるが、この例では、CEILAV色空間におけるL*、a*、b*を測定して出力している。ここでは、区別しなければ、各色が持つ特性をL*、a*、b*と纏めて言うことがある。
【0044】
画像情報処理装置100は、GUI200(Graphical User Interface手段:図3を参照)を有し、全体の制御も兼ね、測定装置3からの各色についての測定データL*a*b*を、前記濃度特性ファイルのデータを参照して、基本色、ここの例では、Y、C、Mの各の濃度に変換してプルーフ画像出力装置1へ出力する。
【0045】
画像情報処理装置100は、ハード構成は、CPU100a及びメモリ100bを有している。メモリ100bには、操作者が表示手段4を見ながら、視覚的に操作手段5を操作するためのGUIプログラム(グラフィック・ユーザ・インタフェースと呼ばれ、容易に、視覚的に入力操作ができるプログラム)、並びに画像情報処理装置100の内部、測定装置3,プルーフ画像出力装置1と情報をやりとりするための制御プラグラム等をCPU100aで実行可能に備えている。なお、画像情報処理装置100は、一般のコンピュータであってもよくプルーフ画像出力装置1と同じ筐体に収められていてもよく、前記GUI及び制御を含むプログラムを装着することにより、実施可能とされている。(各部の詳細は、[実施例1]で説明。)
【0046】
[露光手段の説明](この欄では、符号のない名称のものは図示していない。)
画像情報処理装置100によって生成された各Y、M及びC(或いはYMCBK)の各強度(濃度或いは濃度に対応した光量:露光エネルギー)を表した網点画像データを受けて、一時的バッファに入れ、これをドットクロックで読み出して、光源、例えば、緑色レーザ光源、赤色レーザ光源、赤外レーザ光源を前記盲点画像データのY、M、Cの強度に対応した、かつ発光し、インキの色および/または印刷用紙の色(例えば、白地)に対応した色を持つ画像を露光する。
【0047】
また、露光制御部(CPU及びプログラムで構成される。)が、ドラムにおける感光材料の先端位置の位置をセンサ類が検出してエンコードしたパルス信号のカウントに基づいて、光源を含む光学系から射出される光の照射位置に感光材料の画像記録領域があるように制御している。そして、ドラムに保持されている感光材料に対して網点画像の画像出力(露光)を行う。
【0048】
ハロゲン化銀感光材料を用いた例について説明すると、画像データ(濃度データ)は、最終的に各画素毎の露光量データに変換され、露光手段に転送され画像露光が行われる。画像データから露光手段へのデータ転送のフローを図12に示す。
【0049】
本発明に係る画像情報処理方法、画像情報処理装置、画像出力システム、画像形成方法及びコンピュータプログラムにおいて行われる、画像データ(濃度データ)から画像出力に用いられる露光データへの変換過程のデータの一例について図11A、図11Bに示した。これらは、本発明の効果を損なわない範囲において、任意に分割、統合することができるし、異なる量(例えば濃度値として表現されているものをL*、a*、b*で表現する等)で表現してもよい。
【0050】
ここで、図11A、図11B及び図12を基に、画素毎の露光量を得る手法について説明しておく。まず、データを読み込む画素の番号(カウンタ:i)を1に設定し(図12のS21)、画素1におけるY、M、C、K、特色があるか否かを表す画像データを図11A(a)のように読み込む(S22)。次にどの色が発色しているのかを組み合わせて画素の色を判断する(S23)。これはテーブルを参照することにより達成される。たとえば図11A(a)における画素1ではYのみが発色しているので画素の色の図11A(b)の判別テーブルのYのみが1になっている欄で、画素の色はYであると判断される(図11A(c))。画素3ではYとMが発色しているため画素の色はRとなる。同様に画素4はKのみ発色しているため色もKであり、画素5はKとMが発色しているので画素の色はオーバープリント色であるK+Mとなる。こうした変換により図11A(c)のように画素別画像データを作成する。次に、この色を作り出すためにY、M、C各画像形成層に与えるべき露光量をテーブルから読みとり(図12のS24)、各画素毎に各層に与える露光量を並べた画像データとし、このデータをプルーフ画像出力装置1(露光手段)へ転送する(図12のS25)。
【0051】
この作業の具体的な流れを、ハロゲン化銀感光材料の特性をアナリティカル濃度(100倍して整数化してある)で表した例で説明する。画素の色から色毎の各感光層の濃度テーブル図11B(d)(カラーコレクションテーブル:ここでは、濃度値をコード化して示した。)を参照して各層のアナリティカル濃度を求める。この例では、図11B(d)では、画素1はYのみレベル1(アナリティカル濃度110)に発色させることがわかる。これを基に図11B(f)の感光材料特性テーブルからYの露光量はレベル(n−4)であることが分かる。同様にしてM、Cについて露光量レベルを決めることができる。このようにして図11B(g)の画素毎の露光量データが作成される。
【0052】
画素毎の処理が終わるとカウンタを+1して次の画素についての処理を行う。以下これを繰り返し各画素毎の露光量のデータを作成する。画像出力手段へのデータ転送のタイミングは画素単位で行ってもよいし、1回の主走査に必要なデータの処理が終わった時点でもよいし、全てのデータ処理が終了した時点であってもよい。画像出力手段ではこのデータを必要に応じてデバイスを制御する信号に変換して露光を行う。
【0053】
プルーフ画像出力装置1では、前記画素毎の露光量データをもとに必要に応じて露光手段の駆動信号に変換し露光を行う。この露光手段の駆動信号に変換するプロセスは、制御手段に含ませることもできる。プルーフ画像出力装置1では、必要に応じてデータバッファを用いて露光のタイミングを調整してもよい。
この時に想定したデータの構造を図11A,図11Bに示した。画像データとしては、画素の順に各色が発色しているかどうかのデータのみを持つものと想定した。上記図11A,図11Bで説明したように、Y、M、C、K、特色の発色の有無の組み合わせのパターンから、テーブルを参照して画素の色が判断され、次に画素の色とY、M、C画像形成形成層の露光量のテーブルを参照し各層に与えるべき露光量が決定される。このように、画素の色を判断する所と画素の色から各画像形成層の露光量を決定する所を分離しているのは、例えばRを単色のYとMの単なる足し算ではなく独立に設定できるようにしたもので、要求する仕様により単純な足し算で表現してもよい。このように独立して設定できるようにすることで、より印刷に近似な画像を得ることができるし、また2つの画像データを使って緑と赤の2色で印刷するような場合の画像のチェックにも用いることができ、有用性の高いシステムが実現できる。
【0054】
上記の説明は、露光デバイスが一つのケースについて述べているが、露光デバイスが副走査方向に10個並べられている場合であれば、画素1〜10が副走査方向に並んだ画素を表し、主走査方向に1画素分ずれたデータは画素11〜20で表すというように読み替えて考えればよい。
【0055】
[実施例における印刷条件]
これから説明する実施例の印刷条件等を予めここで示しておく。条件の概要は、特色S1(メジウム含有量多い透明な薄緑インキ)及び特色S2(透明度低い金属銀色インキ)の目標で、目標印刷物を作成して準備し、各種条件変えてカラーコレクションテーブル作成するものであるが、詳細条件は、この例では、次の通りとする。
・プロセスインキ:大日本インキ化学工業(株)製 スペースカラー バリウスG
・特色インキ色S1:大日本インキ化学工業(株)製 Fグロスメジウム 75.1%、カラーガイド用グリーン21.8%、FG45透明黄3.1% DIC No.15
・特色インキ色S2:大日本インキ化学工業(株)製 NCPシルバー (銀色)DIC No.621
・透明性成分:着色性成分 S1 75.1:24.9 S2 0:100
・刷り順:K→C→M→Y→S1→S2
・印刷機:ローランド R704
・用紙:三菱製紙株式会社製の特菱アート 110kg/四六判版 KPGサーマルCTPプレート TP−R
・スクリーン:175線 チェーンドット
・目標濃度値(DIN−NB):Y=1.1、M=1.5、C=1.5、K=1.8
・目標ドットゲイン:17%(50%部)
・測定条件:特菱アート110kgを2枚重ねで机上に敷いた上に目標印刷物を置き、測定装置3としてエックスライト社製528型濃度計を用いてL*a*b*値を測定した。
・目標印刷物の作成:特色2版を含む計6版の各インキ単独及び種々の組み合わせで刷り重ねた印刷物を用意した。
【0056】
[濃度特性ファイルの生成]
濃度特性ファイルは、上記したように予め、生成、準備しておく必要がある。つまり、予め用意されたハロゲン化銀感光材料のシアン、マゼンタ、イエローの発色量の組み合わせとその組み合わせで表現される濃度と色特性L*a*b*(色特性は色調と言ううことがある。)の関係を表すテーブル(濃度特性ファイル)を用いることが必要である。濃度特性ファイルの作成は、デジタルデータに基づいて波長の異なる光源を用いて、任意に光量を変化させて画像露光を行い、シアン、マゼンタ、イエローを発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を任意に発色させた組み合わせを作成し、その濃度あるいは色調を測定してカラーコレクションテーブルとの関係を対応させることによって可能である。また、シアン、マゼンタ、イエローの全てのカラーコレクションの組み合わせを作成しなくても、中間領域はデータを補完することで設定することができる。
【0057】
[ハロゲン化銀感光材料及び現像処理]
ハロゲン化銀感光材料として特開2002−341470号公報の実施例1に記載のハロゲン化銀感光材料No.101を用い、上記の露光手段(露光ヘッド)により、B、G、Rの光源を発光強度を変えて単独で発光させ、露光後、特開2002−341470号公報の実施例1に記載の現像処理を行った。この試料のY、C、MのステータスT濃度を測定し、光量対発色濃度の対応を表す感材特性テーブルを得た。結果を図5に示す。光量値は最大光量を4000とした相対値で表示した。
【0058】
[感材特性テーブル]
感材(感光材料)特性テーブルは、写真業界でよく知られた特性曲線に相当するテーブルであり、濃度とそれを得るのに必要な露光量の関係を表す。感材特性テーブルの作成は、露光量を低露光量から高露光量まで連続的または断続的に変化させて露光を行い、現像処理を経て生成した画像の濃度を測定して、露光量と発色濃度の関係を対応させることで得られる。
【0059】
例えば、画像形成に要するエネルギー(露光量)と濃度の関係を、任意の刻みでエネルギーを変化した全ての組み合わせでカラーパッチを作成し、これを測定した結果をデータベースとしておけば、画像データによって画素の色が決められた時、このデータベースを参照することにより各層に与えるべきエネルギーを求めることができる。しかし、この場合、精度を上げるためには膨大な量の測定を行い、データベースを作成する必要があるし、感光材料の特性の変動(感光材料の製造バラツキによる変動の他、処理液の性能の変化によって変動する)を吸収するための手段が別途必要となる。これに対して、感材特性テーブルを用いた方法では、この感材特性テーブルを書き換えることで変動を吸収することができ好ましい。
【0060】
[濃度特性ファイル]
上記の感材特性テーブルを参照して、図7に示したC、M、Yの各濃度を発色させるB、G、Rの光量を組み合わせることにより、15×19×19色 計5415色のカラーパッチを出力し、L*、a*、b*及びステータスTのY、M、C濃度を測定した。次に、色パッチのL*、a*、b*と、そのパッチを作成する際に与えたB光のみで発色させたYパッチのY濃度、G光のみで発色させたCパッチのC濃度、R光のみで発色させたMパッチのM濃度をもとめ、この3種の量を対応させたテーブルを作成することによって、濃度特性ファイルを作成した。5415色のデータで膨大となるため図示を省略するが、イメージ的には、図6のようにY、M、Cの濃度の3次元座標においてL*、a*、b*のパラメータで色が特定されるようになる。
【0061】
このようにして作成された濃度特性ファイルは、本発明の構成である図3の記憶手段13に記憶されている。濃度特性ファイルは全色を測定して作成することが望ましいが、18色或いは6色等を測定してあとは特色のノセ状態を演算してもとめることもできる(後の実施例2で説明する)。
【0062】
[カラーコレクションテーブル]
前述のように、デジタルカラープルーフにおいては、画像は画素に分解され、この画素の集合体として網点が再現される。このため、画像データとして画素の色が決められた時、この色を具体的に規定する。すなわち、画像データが赤であった場合でも、それが濃い赤であるか、淡い赤であるか、紫がかった赤であるか黄色がかった赤であるかを規定する必要がある。
【0063】
カラーコレクションテーブルで規定する色の数は、印刷で使用するインクの数、求める再現の精度等で決まるが、例えば、プロセスインクY、M、C、Kと特色2色の組み合わせでKとY、M、Cの組み合わせを考慮するとインクのない部分(白:W)を合わせて16色となり、これと特色2色の重なりを考慮すると64色になる。
【0064】
次にカラーコレクションテーブルを作成する方法について説明する。一つの方法は、上記の組み合わせに相当するインキを刷り重ねた印刷物を用意しこれを測定する方法である。これは理想的ではあるが、前記のように色材の違いによる補正を加えなければならないこと、特色インキの種類は非常に数が多く、また、印刷用紙の種類によっても仕上がりは大きく変化する。このため、すべての場合について正確なデータを得ることは現実的に不可能であることから、少ない数のデータから何らかの演算手段により求めることが好ましい。詳細は実施例1、実施例3の中で更に説明する。
【0065】
[アナリティカル濃度の説明]
アナリティカル濃度は写真の分野でよく用いられる濃度の概念であるが、Y、M、C色素を任意の量で発色させた時、Y色素だけを同量発色させたときのB濃度をアナリティカルB濃度と呼び、M色素だけを同量発色させたときのG濃度をアナリティカルG濃度、C色素だけを同量発色させたときのR濃度をアナリティカルR濃度と呼ぶ。アナリティカル濃度は概念的な量であるが、計算によって求めることもできる。アナリティカル濃度に関しては、T.H.James編、The Theory of The Photographic Process、Macmillan、Newyork、p.524−529(1977)に記載されており、これを参考に求めることができる。本発明の有用な態様として反射支持体を有するハロゲン化銀感光材料を使用したシステムを挙げることができ、この場合は、アナリティカル濃度も反射濃度として表しておくことが好ましい。ここでアナリティカル濃度と呼んでいる量は、本来のアナリティカル濃度から変換した数値であってもよい。数値の取り扱いとしては、アナリティカル濃度を100倍して整数化した方が扱いやすく、好ましい。
【0066】
[カラーコレクションテーブルと感材特性データとの組み合わせによるメリット]
前記の画素をどのような条件で作成できるかを求める方法としては、例えば画像形成に要するエネルギーと濃度の関係を、任意の刻みでエネルギーを変化した全ての組み合わせでカラーパッチを作成し、これを測定した結果をデータベースとしておけば任意の色を与えられた時、このデータベースを参照することにより各層の与えるべきエネルギーを求めることができる。しかし、この場合、精度を上げるためには膨大な量の測定を行い、データベースを作成する必要がある。一方、アナリティカル濃度により表現する方式においては、Y、M、C各層に与えるエネルギーと発色濃度の関係を求めておくことで少ないデータで精度よく必要なエネルギーを求めることが可能となり、システムの設計段階あるいは感光材料の色材の変更などに対しての対応が容易であるというメリットを有する。
【0067】
さらに重要なことは、プルーフ画像出力装置1は、特に露光手段は、環境起因による露光量の変動や、現像処理の活性の経時変動等により、基準の条件から変動して、発色する濃度や特性(色調)にずれが生じる場合がある。この場合に備え、本発明においては、生成された画像の濃度や特性(色調)を測定し、その測定値から予想値との濃度差、色差を計算し、予想値からのずれ量を算出して、ずれ分を露光量にフィードバックを行い、補正を行うことができる方法、手段を有する。
【0068】
[実施例1:本発明の詳細構成及び動作の説明](全色測定の例)
図3および図4を基に説明する。
図3において、表示手段4、操作手段5、パネルコントロール手段6及び表示情報記憶手段7は、GUI200を構成する。パネルコントロール手段6は、予め表示情報手段7に記憶されている表示情報を、電源オン、或いは操作手段5で設定されたキーに応じて画面を読み出して表示手段4に表示させる。操作者は表示手段4を見てマーカ等で視覚的に操作手段5により、選択・設定・入力の操作をすることができる構成となっている。以下、選択・設定・入力の操作は、操作手段5によってなされるものとする。
【0069】
電源を入れるとパネルコントロール手段6は、表示情報記憶手段7から図10Aのメイン画面を読み出して表示する(図4のステップS1:以下、ステップを省略し、S番号で示す。)。操作者が図10Aの設定 を選択すると、図10Bの測定画面が表示される。ここで色のパッチ(見本)、特色、インキ設定の画面がでてくるのでここで設定できる。ただし、この例では、特定の指示をしないと全色測定するので、このまま全色測定として説明する。なお、図10Bの画面の上部のデータは、測定後の測定色についてのY,M,C濃度、L*、a*、b*の特性値を表示している。
【0070】
パネルコントロール手段6から測定の指示を受けた制御部8が測定装置1(請求項の取得装置、或いは取得手段、測定手段に相当する。)を制御して、目標印刷物の全色についてのL*、a*、b*の測定を行わせる(図4のS2)。なお、測定前に、図10Bの測定器キャリブレーションを設定して、測定装置を校正しておくことが望ましい。図3において、全色測定で、刷り重ねの下色を強調しない場合、及びインキ設定調整しない場合は、直接レンダリング手段10に入る。なお、レンダリングも行わなければ変換手段11へ入力される(図4で全てNOの場合)。図3のパラメータ演算手段9、レンダリング手段10(図4のS3からS5)については、後記する。
【0071】
変換手段11は、記憶手段13から、先に記憶しておいた濃度特性ファイル(図4のS100)を読み出し、濃度特性ファイルの座標空間に、つまり図6のように前記測定装置3が測定したL*、a*、b*を当てはめ、測定したL*、a*、b*に相当するY、M、Cに分解した濃度Dy,Dm,Dcに変換する(図4のS6)。なお、測定したL*、a*、b*と濃度特性ファイルのL*、a*、b*とが一致しない場合は、測定したL*、a*、b*に一番近い濃度特性ファイルのL*、a*、b*の値で代用してDy、Dm、Dcを決定してもよい。また、測定した目標印刷物のL*、a*、b*に近い複数のデータから演算することによって求めることができる。具体的な方法としては、重回帰によってL*、a*、b*の変化がDy、Dm、Dcにどのように影響するかを求め、この結果から推定する方法等がある。変換手段を経ることにより、カラーコレクションテーブルの原型ができあがる。
【0072】
機差補正手段12は、予め記憶しておいた機差データ(請求項の標準データ;図4のS200)により露光手段の特性のバラツキによる濃度を補正する。露光デバイスとしてLEDを使う場合、特開2002−72367号に記載のように駆動電流により最大発光波長がずれる現象があり、この特性はデバイスにより変動するし、同じ駆動電流を流してもデバイスにより発光量が変動する。これらの特性はひとまとめにして機差として扱うことが機構の簡素化の観点から有利である。
【0073】
機差データは、感材特性テーブルの作成と同様に、規定の露光量で感光材料を露光後現像処理を行い、得られたパッチを濃度測定し、基準機での濃度と評価しようとする機器の濃度(あるいはその差分)の対応としてテーブルを作成することができる。
【0074】
変換手段11で作成されたカラーコレクションテーブルの各欄の数値は、機差補正手段12によって機差を補正されカラーコレクションテーブルが完成される。
【0075】
記憶手段13は、機差補正手段12により機差を補正されたカラーコレクションテーブルを記憶し、次のプルーフ画像の出力に供するようにする(図4のS8)。このようにして全色測定して作成されたカラーコレクションテーブルの一例を図8に示す。なお、その他、記憶手段13は、機差補正データ、濃度特性ファイル等を記憶しており、一つのメモリあるいは複数のメモリで構成されていてもよい。
【0076】
カラーコレクションテーブルのデータは、網点データ生成部15からの画像データと併せてプルーフ画像出力装置1に転送してもよいし、予め転送してプルーフ画像出力装置1に記憶しておいてもよい。
【0077】
網点データ生成部15は、上記したように網点を設け、さらにその網点の面積内に複数の画素で、画像を形成するので、その網点及び画素のデータ(座標位置を識別できる情報で、以下、網点データと呼ぶ。)を生成し、制御部8は、各部を制御して、結果として、前記露光手段を網点、画素毎に濃度を決定して制御するためのカラーコレクションテーブルを作らせる(濃度を感光材料特性に応じて光量に変換した場合は、画素毎に光量を決定したテーブルを作らせる)。
【0078】
(ノセ演算手段9及びその画面)
特色には2つの使い方があり、プロセスインキの画像の上に特色インキの画像が刷り重ねられている場合(これをノセと呼ぶことがある)と、プロセスインキによる画像をなくし特色画像だけを印刷する場合(これをヌキと呼ぶことがある)である。ヌキの場合には、特色インキの色を考慮することで足りるが、ノセの場合にはインキの特性を考慮する必要がある。
【0079】
上記の説明の中におけるパラメータ(ノセ)演算手段9(以下、ノセ演算手段9という。)は、次のようにこのノセについて使用される。
【0080】
(イ)測定装置3で測定していない色について演算でL*、a*、b*を求める場合に使用される。これは、図4において、ノセを行う(図4のS3)、表示画面にて条件を指定し、ノセ演算手段9によるノセ演算を行う(図4のS3b)ものである。
【0081】
(ロ)印刷の仕上がりを予測するというプルーフの目的に照らして、第1義には印刷と近似な仕上がりとなることが望まれる。しかし、上に透明度が低いインキが刷り重ねられる場合には、プルーフとしては透明度が高く再現される方が、下になる画像の状況が判別しやすく有利に用いられることがある。つまり、重ね刷りの下色を指定して下色を視覚的に認識・操作可能にし、結果として検版を可能にする場合(図4のS4−YES,S4a)で、GUI200で図10Cに示す画面を読み出し、ノセ色(下色)を選択して、画面右側の上段の濃度Dy、Dm,Dcを下段のように調整することができる。指定は、図10Cの画面では隠れているが、操作者がL*、a*、b*で指定して調整できる。なお、指定されたL*、a*、b*は、パラメータ演算手段9で測定値ともに加減算されて(図4のS4b)、レンダリング手段10へ送られる。
【0082】
(ハ)ノセの場合の再現色の計算に当たっては、インキの特性を考慮する必要がある。主な特性としてはインキの透明度で、これは主に刷り重ねるインキ(これを上色と呼ぶことがある)によって決まり、最終的な色に対する下になるインキ(これを下色と呼ぶことがある)の寄与の大きさを表す。もう一つの重要な特性は、トラッピング率で、上色と下色のインキの組み合わせや印刷版の印刷順序によって決まり、最終的な色に対する上色のインキの寄与の大きさを表す。これ以外の因子を考慮することがより精度を上げることができ好ましいが、効果の大きさは小さく作業の負荷を考慮すると前記2つの因子を考慮することが好ましい態様である。
【0083】
これらの要因を反映して調整するのが、本機能であるが、本機能は図10Bの画面或いは図10Fの画面をGUI200で出力させ、画面を見ながら設定・調整する。設定された条件に基づいてノセ演算手段9が演算してレンダリング手段10へ送られる(図4のS4−YES,S4a、4b)。詳しくは、[インキ設定]の欄で後記する。
【0084】
(レンダリング手段10とその画面)
レンダリング手段10による補正では、印刷用紙の紙質による補正、濃度域のよる好ましい色調の補正等を行う。例えば、目標印刷物に対して、シアン、マゼンタ、イエローを発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を用いてプルーフ画像を形成する場合、その着色剤の性質や用いられる用紙の差異などに起因して、必ずしも同一の濃度、色調に合わせることが目視での近似性に関して最適になるとは限らない場合がある。レンダリング手段10は、その用紙等の差を調整するための手段である。用紙としては、アート紙・コート紙、マット紙、上質紙・色上質紙等を設定できる。
【0085】
GUI200で図10Gに示す画面を読み出し表示されるので、操作者はそれを見ながら調整・設定ができる。調整・設定された情報やパラメータは、測定装置3で測定された、或いはノセ演算手段9でL*、a*、b*とともに、レンダリング手段10で演算されて変換手段11へ送られる(図4のS5−YES,S5a、S5b)。
【0086】
次に、用紙等の設定について説明する。
印刷用紙の設定が図10Gの画面で設定できるが、その印刷用紙に上質紙等を用いた印刷物は仕上がりの濃度が低く、比較的薄い画像が形成される。この場合、ハロゲン化銀感光材料のプルーフにおいては、濃度、色調の数値で近似させた画像はコントラストの不足した画像になる場合がある。その場合「レンダリング設定」画面において、コントラストを高めるような調整を行う。また、同様に上質紙に印刷された印刷物上のK(墨、ブラック)色の文字品質に関して、視認性を上げる目的で、墨版の画像が存在する領域、すなわち墨色とオーバープリントの部分のコントラストを高めるための操作を行うのが「レンダリング設定」画面中の低濃度補正である。また、墨の濃度については、単独で調整可能な設定画面を有している。
【0087】
また、印刷用紙の種類としては、多くの場合、アート紙、コート紙の群、マット紙の群、上質紙の群の3段階に分けることでほぼ所望の結果を得ることが可能となる。同じ上質紙に分類される印刷用紙でも着色の度合いによって補正のレベルを変えることが好ましい。
【0088】
また、プルーフ画像出力装置1やインキ、印刷条件などによって印刷用紙、あるいは転写済みのインキ上へのかさね色インキの転写量が様々である。前述のトラッピング量に応じてその着色量の計算を調整するのが「レンダリング設定」画面中のトラッピング補正である。
【0089】
(単色エジットとエジット手段14)
図3のエジット手段14は、カラーコネクションテーブルのデータを個々に微調整するための機能である。印刷出力したものを再調整する場合に有効である(図4のS10、S12)。図10Aのメイン画面中のプルダウンメニュー、図10Dで調整したい色を選択する。図10Dの画面には目標とする印刷物の色調と、計算上で設定されたカラーコレクションテーブルで生成されるプルーフの色調と、そこからカラーコレクションを調整したときに変動する色調をシミュレートした色調が表示手段4上に表示される。これらの色調と出力試料および目標印刷物を参照しながら色調を画面の調整ボタンで調整する。調整設定された条件をもとにカラーコレクションテーブルを演算し、演算後この値を用いて再計算を行って(シミュレート演算)表示する(図4のS12)。
【0090】
(測定フィードバック)
プルーフを出力後の色を再測定して、その際測定した測定値に基づいてカラーコレクションテーブルをプルーフ画像出力装置1へをフィードバックをして、再出力させて確認する(或いは確認してズレがあれば微調整するために)ために用いられる機能で、図10Hの画面(測定画面のサブ画面)で操作して実行できる。主に、制御部8が行っている。
【0091】
図10Hの画面に指示された色をプルーフ画像の中から選択して濃度等を入力する。測定された値と、計算で求められた色との濃度差、あるいは色差を計算し、ずれ分をソフト内で計算を行い、カラーコレクション値の差分として算出して、差分を補正されたカラーコレクションテーブルを再出力する。
【0092】
[実施例2:ノセ色演算]
測定できなかった刷り重ね部分の色を、
・印刷インキの性状
・印刷用紙の種類
・印刷条件 等に応じて既測定の濃度または色調値を元に計算を行って生成することができる。これらのパラメータは、パネルから設定することができる。
【0093】
図3のパラメータ(ノセ)演算手段9を使用することによって、目標印刷物からXの数だけの色を測定し、他の色のL*、a*、b*を求め(図4のS3−YES、S3a、S3b)るものである。
【0094】
通常、印刷物の2色以上が重なった色調を、ハロゲン化銀感光材料の発色で良好に再現させるためには、2色のそれぞれ単独の色を再現させるのに要するY、M、Cの各濃度成分の単純な和では再現することはできない。また、機器の露光量制御を正確に行うためには露光量の制御範囲を狭めることが好ましく、この場合、好ましい発色濃度が求められてもこれを実現できないことがあり得、特に多くのインキが刷り重ねられた色でこのようなことが起こりやすい。そのため、印刷インキの重なった色に近似した発色を再現させるためには、一定の規則に沿った光量制御が必要となる。
【0095】
本発明において、印刷物におけるX色(Xは2以上の整数)のインキ重なり部の光量の設定に関しては、印刷順に重なって新たに生成された1色目と2色目の重ね色を1色として設定したのち、新たに設定された1色目と2色目の設定値と3色目との関係から次の重ね色の設定ができる。複数の刷り重ね色の設定は、印刷順に重なって新たに生成された1色目と2色目の重ね色を1色として設定した後、新たに設定された1色目と2色目の設定値と3色目との関係から次の色の設定をしてもいし、1色目と2色目を下色として特性を設定し、3色目を上色として設定してもよい。
【0096】
(インキ設定)
インキの設定は、図10Fの画面で視覚的に設定できる。ノセ色が測定できない目標印刷物のカラーコレクションクションを設定する際、使われ、インキに関して、成分を詳細に設定することで更に精度の高いカラーコレクションを計算ができる。
【0097】
なお、インキの主要構成(組成)と言えば、インキ成分の構成比で最も高いものを言い、インキが混合物であれば、最も多い成分を言う。
分類の基準としては、主にインキの透明性、すなわち上に刷り重ねたときの下色の透け易さの度合いを分けると大きくは下記に分けられる。
また、重ね刷りにおける実際の設定値、範囲等の数値例は、実施例3及び4を参照のこと。
【0098】
(イ)インキ種の選択
・金属顔料を含有して透明性の低いシルバーインキ
・金属顔料を含有して透明性の低く着色した色メタリックインキ
・普通インキ 通常の着色顔料や染料を含有したインキ
その他、添加剤の性質や添加量によってもノセ色の設定に影響を及ぼす。添加剤の種類として次のものがある。
・メジウム
・白インキ
・銀や色メタリックも添加剤としても使用される。
本発明において添加剤の量は、重量比で0%より大きく100%以下である。特に、着色を目的とせず隠蔽性や白色性の付与、或いは単に光沢を付与する目的で、主要成分を用いずに添加剤のみを用いる場合がある。
【0099】
(ロ)インキの透明度(本発明では、透明度又は透明度係数という用語を使用しているが、同じ意味である。)
透明度は、他のインキの上に印刷されるときの、下の色の透けやすさと言うことができる。透明度(係数)の数値が高いほど下の色が透けやすい。
ノセ色の色調は、目標とする印刷物の上色インキの透明性成分と非透明性成分との比率によって変化する。インキ組成に存在する代表的な透明性成分は、例えばメジウム、レジューサー、コンパウンドなどが挙げられる。メジウムとは透明性の無色インキで彩度や濃度の調節や光沢を付与するために用いられる。
【0100】
またコンパウンドはインキと混ぜて印刷適性を改善するための、種々の製品の総称であり、インキのタックを下げるため等に用いられる補助剤である。レジューサーはインキの粘度低下やタックの調整に用いられる、腰切り剤と呼ばれる添加剤である。その他の透明性成分としてはワニス、不透明性成分としては、顔料や染料、金属粉などが分散または溶解された、市販されている一般的なインキが挙げられる。具体的には大日本インキ化学工業株式会社製 スペースカラー バリウスG、バリウスG ES、バリウスG ER、校正用 バリウスG、ダイスパーク、NCP シルバー等、あるいは、東洋インキ製造株式会社製、TKハイユニティ、TK ハイユニティ ON、TK ハイユニティ クイック、TKハイエコー、TKPDエコー、TK ハイユニティ SOY、TKハイエコーSOY1、等が挙げられるが、これらには限定されない。これらのインキを単独あるいは2種以上を任意の比率で調合して用いることも出来る。
【0101】
(ハ)インキの転写量(トラッピング率)
本機印刷機は高速に複数色の色を次々に印刷していくため、前に印刷した色が当然乾かないうちに次の色を印刷していかなければならない。その結果、インキが乾ききっていない状態で次の色を乗せようとするので、インキが100%転移されない現象がおきる。これがウェットトラッピングという。インキの転写される割合(トラッピング率)は転写面が乾いているときほど高く、直前に多色が印刷された状態ではトラッピング率は小さくなる。
【0102】
トラッピング率は、他のインキの上に印刷されるときのインキの転写量を示す。この数値が大きいほどインキの転写量が大きい。
【0103】
目標とする印刷物のこの現象を反映して各重なり色の適正な露光光量設定を行い、最適なイエロー、マゼンタ、シアンの発色濃度を制御することでより近似したプルーフ画像を得ることができる。
【0104】
また感材の支持体(ドラム)上に少なくともシアン、マゼンタ、イエローを発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を、デジタルデータに基づいて波長の異なる光源を用いて、任意に光量を変化させて画像露光を行った後、発色現像処理する階調画像の形成方法においてはイエロー、マゼンタ、シアンの各最大発色濃度(Dmax)を超える濃度設定は不可能なため、この範囲内での濃度設定が必要である。
【0105】
上記実施例1では、全色測定した例で構成を説明したが。図3のパラメータ(ノセ)演算手段9を使用することによって、目標印刷物から18色だけ測定し、他の色のL*、a*、b*を求めることができる。したがって、少ない測定データで多くのデータが得られる特徴がある。以下に、上記のインク設定後、測定しない色についてカラーコレクションクションテーブルを求めた演算例を示す。
透明度係数、トラッピング率を反映したカラーコレクションテーブルの作成の方法としては下記の式1を用いる方法を使うことができる。
Dj=Aj×Oj+Bj×Uj…………色
ここに、jはプルーフ画像を形成する色材(ここではY、M、Cの3種)を表し、Aはトラッピング率、Bは刷り重ねられた上部のインキの透明度係数、Uj:刷り重ねられた下色のカラーコレクションテーブルの値、Oj:刷り重ねた上色のカラーコレクションテーブルの値を表す。A、Bにかかる関数表示の中でjを付していないのは、これがインキの種類で決まるものであることによる。
【0106】
A、Bの値及び18色の特性データからカラーコレクションテーブルを計算した例を図9に示した。図9は、右上欄の「18色の測定値」に示される濃度を測定し、この測定値と、左上欄の「インキの透明度係数に関わる係数」及び「トラッピング率に関わる係数」を基に、計算して48色について求めたものが、図9右下欄の「計算されたカラーコレクションテーブル」である。
【0107】
[実施例3:ノセ演算、つまり刷り重ね演算の詳細例]
これまでも刷り重ねについては、次の式で行うことを断片的に説明してきている。ここではその演算の一般式を示すとともに、透明度係数及びトラッピング率等の実験パラメータを説明する。例えば、2種以上のインキ層を刷り重ねて色調を表現する目標印刷物を得ようとして、n種の色を発色させて組み合わせて表現するプルーフとしての面積階調画像をプルーフ画像出力装置に形成させるにあたり、この発明では、前記目標印刷物の刷り重ね部分の濃度Dを、上色濃度O、下色濃度Uとして、下記の式で算出し、その濃度Dに対応して前記プルーフ画像出力装置に前記プルーフを出力させることができる。なお、ノセ演算は、図3のパラメータ演算手段9が色特性L*a*b*で行っているが、それは最終的に変換手段11で濃度に変換されるので、パラメータ演算手段9は変換手段11の濃度で行うこともできる。
Dj=Aj×Oj+Bj×Uj
但し、j:2からnまでの整数、Aj:トラッピング率、Bj:透明度係数
Oj及びUjは、既に測定或いは同様の計算で求められた色の濃度(カラーコレクションテーブルの色及び濃度の1つ)
【0108】
この中で、透明度係数は、インキを構成する添加剤の性質、及び量により特徴あるデータが得られる。実際に調査した例を図41、図43、図45に示す。図41は、金属顔料系の添加剤、図43は、透明な性質を有するメジウム、図45は、隠蔽性(不透明性)を有する白インキ(顔料系の添加剤)の例で、いずれも横軸の添加剤の添加量は、全体インキ量(普通インキと添加剤)に対する比で表されている。縦軸は%表示の透明度(係数)である。
【0109】
図41、図43、図45からすると、透明度係数及びトラッピング率は、次のように設定すればよいことがわかる。
Aj:トラッピング率、0≦Aj≦1、ただし少なくとも、Ajの内、1つが0よりも大きく1よりも小さい。
Bj:透明度係数
0.9≦Bj<1(Ojの添加剤が透明性成分の場合)
0.3≦Bj≦0.97(Ojの添加剤が隠蔽性成分の場合)
0.05≦Bj≦0.97(Ojの添加剤が金属顔料成分の場合)
なお、透明度係数の範囲は、添加剤の量をくみあわせれば、より精密な設定が容易にできることが理解できる。
なお、これらの実験データの詳細を実施例4で説明する。
【0110】
(実施例4−1)
[4−1における印刷条件]
これから説明する実施例4−1の印刷条件等を予めここで示しておく。条件の概要は、特色S1及び特色S2のインキを変化させて、目標印刷物を作成して準備し、各種条件を変えてカラーコレクションテーブルを作成するものであるが、詳細条件は、後述の通りとする。
・プロセスインキ:大日本インキ化学工業(株)製 スペースカラー バリウスG
・特色インキ色S1:大日本インキ化学工業株式会社製 NCP Fグロス 28金赤 DIC No.635
・特色インキ色S2:大日本インキ化学工業(株)製 NCPシルバー (銀色) DIC No.6211
・刷り順:K→C→M→Y→S1→S2
・印刷機:ローランド R704
・用紙:三菱製紙株式会社製の特菱アート 110kg/四六判版 KPGサーマルCTPプレート TP−R
・スクリーン:175線 チェーンドット
・目標濃度値(DIN−NB):Y=1.1、M=1.5、C=1.5、K=1.8
・目標ドットゲイン:17%(50%部)
【0111】
(目標印刷物の測定)
・測定条件:特菱アート110kgを2枚重ねで机上に敷いた上に目標印刷物を置き、測定装置3としてエックスライト社製530型濃度計を用いてL*a*b*値を測定した。測定した測色値を図14に示す。
・目標印刷物の作成:特色2版を含む計6版の各インキ単独及び種々の組み合わせで刷り重ねた印刷物を用意した。なお、特色S1と特色S2の版は重ならないように画像をデザインしたため、6版の刷り重ねで生成する色のパターン数は48色となった。
【0112】
(カラーコレクションテーブルの生成)
図14の測色値を上記[濃度特性ファイル]の項で説明した濃度特性ファイルを参照して特色を含まないプロセスカラーの組み合わせと特色S1、特色S2単独のカラーコレクションテーブルを作成した。作成結果を図15に示した。
【0113】
(トラッピング率の設定)
図14の特色S1および特色S2の各ノセ色の測色値(L*a*b*)と特色の刷り重ねのない部分の測色値(L*a*b*)の色調差から、各色の上色のトラッピング率を図16に示すように設定した。
【0114】
(ノセ色部 カラーコレクションの計算と透明度係数の設定)
前述のカラーコレクション値、トラッピング率を下記の式に代入して、イエロー、マゼンダ、シアンの透明度係数(By 、Bm 、Bc )(透明度係数B及びトラッピング率Aを小文字のb、aで表すことがある。)を適宜変更して計算したノセ色カラーコレクションを用いてプルーフ出力を行い、その中で最も目標印刷物に近似したときの透明度係数を見出した。
【0115】
図17に設定した透明度係数の値を、図18にノセ色カラーコレクション値を示した。尚、ノセ色の計算後のカラーコレクション値が、Y濃度は1.45、M濃度は1.90、C濃度は2.10を超える場合はこれらの値を代入した。
Dy =Ay ×Oy +By ×Uy
Dm =Am ×Om +Bm ×Um
Dc =Ac ×Oc +Bc ×Uc
ここに、Aトラッピング率、Bは刷り重ねられた上部のインキの透明度
Uy 、Um 、Uc :刷り重ねられた下色のカラーコレクションテーブルの値
Oy 、Om 、Oc :刷り重ねた上色のカラーコレクションテーブルの値を表す。
【0116】
(カラーコレクション値からの、プルーフ露光光量の設定)
上記[感材特性テーブル][濃度特性ファイル]で説明した方法で作成した、露光光量と発色濃度の関係を表す感材特性テーブルから、各色を再現するためのイエロー、マゼンタ、シアンを発色させるブルー光、レッド光、グリーン光の露光光量の組み合わせを設定し、目標印刷物と同一の画像データを用いてプルーフ出力を行った。評価は後記する。
【0117】
(実施例4−2)
実施例4−1における目標印刷物の特色S1および特色S2で用いたインキの組成を下記の様に変更したものを作成して、新たにこの印刷物を目標印刷物とした以外は実施例4−1と同様にしてプルーフ出力を行った。尚、ノセ色カラーコレクションの計算においてはトラッピング率も実施例4−1と同一の値を用いてカラーコレクション値の算出を行った。この場合の特色S1および特色S2単色の測色値を図19に、設定した透明度係数を図20に、ノセ色 カラーコレクションテーブルを図21に示した。
・特色S1のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCP Fグロス 28金赤 DIC No.635 50重量%
NCP Fグロス メジューム 50重量%
・特色S2のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCPシルバー (銀色) DIC No.621 70重量%
NCP Fグロス カラーガイド用グリーン DIC No.649
30重量%
【0118】
(実施例4−3)
実施例4−2における目標印刷物の特色S1および特色S2で用いたインキの組成を下記の様に変更したものを作成して、新たにこの印刷物を目標とした以外は実施例4−2と同様にしてプルーフ出力を行った。この場合の特色S1および特色S2単色の測色値を図22に、設定した透明度係数を図23に、ノセ色 カラーコレクションテーブルを図24に示した。
・特色S1のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCP Fグロス 28金赤 DIC No.635 30重量%
NCP Fグロス メジューム 70重量%
・特色S2のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCPシルバー (銀色) DIC No.621 50重量%
NCP Fグロス カラーガイド用グリーン DIC No.649
50重量%
【0119】
(実施例4−4)
実施例4−2における目標印刷物の特色S1および特色S2で用いたインキの組成を下記の様に変更したものを作成して、新たにこの印刷物を目標印刷物とした以外は実施例4−2と同様にしてプルーフ出力を行った。この場合の特色S1および特色S2単色の測色値を図25に、設定した透明度係数を図26に、ノセ色 カラーコレクションテーブルを図27に示した。
・特色S1のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCP Fグロス 28金赤 DIC No.635 10重量%
NCP Fグロス メジューム 90重量%
・特色S2のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCPシルバー (銀色) DIC No.621 30重量%
NCP Fグロス カラーガイド用グリーン DIC No.649
70重量%
【0120】
(実施例4−5)
実施例4−2における目標印刷物の特色S1および特色S2で用いたインキの組成を下記の様に変更したものを作成して、新たにこの印刷物を目標とした以外は実施例4−2と同様にして出力を行った。この場合の特色S1および特色S2単色の測色値を図28に、設定した透明度係数を図29に、ノセ色 カラーコレクションテーブルを図30に示した。
・特色S1のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCP Fグロス カラーガイド用グリーン DIC No.649
100重量%
・特色S2のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCPシルバー (銀色) DIC No.621 10重量%
NCP Fグロス カラーガイド用グリーン DIC No.649
90重量%
【0121】
(実施例4−6)
実施例4−2における目標印刷物の特色S1で用いたインキの組成を下記の様に変更したものを作成して、新たにこの印刷物を目標印刷物とした以外は実施例4−2と同様にしてプルーフ出力を行った。この場合の特色S1および特色S2単色の測色値を図31に、設定した透明度係数を図32に、ノセ色 カラーコレクションテーブルを図33に示した。
・特色S1のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCP Fグロス 28金赤 DIC No.635 50重量%
NCP Fグロス 79白 50重量%
【0122】
(実施例4−7)
実施例4−2における目標印刷物の特色S1で用いたインキの組成を下記の様に変更したものを作成して、新たにこの印刷物を目標印刷物とした以外は実施例4−2と同様にしてプルーフ出力を行った。この場合の特色S1および特色S2単色の測色値を図34に、設定した透明度係数を図35に、ノセ色 カラーコレクションテーブルを図36に示した。
・特色S1のインキ:大日本インキ化学工業株式会社製
NCP Fグロス 28金赤 DIC No.635 30重量%
NCP Fグロス 79白 70重量%
【0123】
(実施例4−8)
実施例4−2における目標印刷物の特色S1で用いたインキの組成を下記の様に変更したものを作成して、新たにこの印刷物を目標印刷物とした以外は実施例4−2と同様にしてプルーフ出力を行った。この場合の特色S1および特色S2単色の測色値を図37に、設定した透明度係数を図38に、ノセ色 カラーコレクションテーブルを図39に示した。
・特色インキ色S1:大日本インキ化学工業株式会社製
NCP Fグロス 28金赤 DIC No.635 30重量%
NCP Fグロス 79白 70重量%
【0124】
[実施例4−1から実施例4−8の評価]
以上説明した実施例4−1から実施例4−8において、金属顔料インキ、メジウム、白インキの各添加量を変化させて作成した特色インキの目標印刷物を良好に再現するときの透明度係数の設定値を図(表及びグラフ)にまとめて表した。
図40は実施例4−1から実施例4−5における金属顔料インキの添加量とYMC別の透明度係数の値を示す。図41はYMC別の金属顔料インキの添加量と最適透明度係数との関係を示すグラフである。この場合、作成したプルーフ画像を、予め作成した目標印刷物と標準光源下で目視による比較観察を行い、画像の重なり部の印刷物再現性、画像部の印刷物近似性及びベタパッチ部の色近似性について、目標の印刷物に対し非常に近似した色再現である条件を最適透明度係数と設定した。
【0125】
図42は実施例14−1から実施例4−4におけるメジウムの添加量とYMC別の透明度係数の値を示す。図43はYMC別のメジウムの添加量と最適透明度(係数)との関係を示すグラフである。
【0126】
図44は実施例4−1及び実施例4−6から実施例4−8における白インキの添加量とYMC別の透明度係数の値を示す。図45はYMC別の白インキの添加量と最適透明度との関係を示すグラフである。
【0127】
以上の結果が示すとおりに、特色インキに添加される成分の種類、添加量(主インキとの比率)によって最適な透明度の設定が異なっていることが分かる。
【0128】
上記説明した実施例4によれば、インキの添加剤の種類、添加量に応じた透明度係数を設定すれば、ノセ色の色調再現性、目標印刷物近似性、ベタパッチ部の色近似性が良好なプルーフ画像を得る事ができる。
【0129】
(実施例4の比較例1〜5)
比較例1
実施例4−2から実施例4−4における特色S1の透明度係数の設定を、全て88%に設定して、それ以外は同様にしてプルーフ出力を行った。その結果、ノセ色の色調再現性、下色の透けた様子が十分に再現できなかった。
【0130】
比較例2
実施例4−1から実施例4−5の特色S2の透明度係数の設定を、全て4%に設定して、それ以外は同様にしてプルーフ出力を行った。その結果、いずれも下色の透けた様子が不十分であり画像の確認が困難であった。
【0131】
比較例3
実施例4−1から実施例4−5の特色S2の透明度係数の設定を、全て98%に設定して、それ以外は同様にしてプルーフ出力を行った。その結果、上色の色調が十分に再現されておらず、下色の影響を強く受け、目標印刷物近似性に劣っていた。
【0132】
比較例4
実施例4−1から実施例4−5の特色S2の透明度係数の設定を、全て28%に設定して、それ以外は同様にしてプルーフ出力を行った。その結果、いずれも下色の透けた様子が不十分であり画像の確認が困難であった。
【0133】
比較例5
実施例4−1から実施例4−5の特色S2の透明度係数の設定を、全て98%に設定して、それ以外は同様にしてプルーフ出力を行った。その結果、目標印刷物の白インキによる下色の隠蔽性が、十分に表現できていなかった。
このようなことから透明度係数を設定する範囲を上記のようにすることが好ましいことがわかる。
【0134】
以上の説明における技術は限られたものであり、説明した技術に限らずその均等範囲は、本発明の技術思想に属する。
【0135】
【発明の効果】
上記説明の構成により、本発明は、印刷物の仕上がりを事前に確認するプルーフ画像を生成できる。また、少ない測色値から種々の印刷インキの特性に対応した高画質のプルーフ画像を得ることができ、さらにインキの成分、特に添加剤の種類に応じた一定の計算により、簡単な設定で良好な重ね刷りの色を再現できるデジタルカラープルーフを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像における網点と画素を説明するための図である。
【図2】全体構成を示す図である。
【図3】本発明に機能構成を示す図である。
【図4】図3の機能構成の動作フローを説明するための図である。
【図5】感材(感光材料)特性テーブルの例を示す図である。
【図6】濃度特性ファイルを説明するための図である。
【図7】光量と濃度の組み合わせを示す図である。
【図8】実施例1で全色測定して作成したカラーコレクションテーブルである。
【図9】実施例1で計算して作成したカラーコレクションテーブルである。
【図10A】GUIによる画面例を示す図であって、メイン画面を示す図である。
【図10B】GUIによる画面例を示す図であって、測定画面を示す図である。
【図10C】GUIによる画面例を示す図であって、ノセ色選択画面を示す図である。
【図10D】GUIによる画面例を示す図であって、調整したい色の選択画面を示す図である。
【図10E】GUIによる画面例を示す図であって、エジット画面を示す図である。
【図10F】GUIによる画面例を示す図であって、インキ設定画面を示す図である。
【図10G】GUIによる画面例を示す図であって、印刷用紙設定画面を示す図である。
【図10H】GUIによる画面例を示す図であって、測定フィードバック画面を示す図である。
【図11A】画素毎の露光量への変換を説明するための図である。
【図11B】画素毎の露光量への変換を説明するための図である。
【図12】画素毎の露光量への変換フローを示す図である。
【図13】本発明の説明に用いられている、インキで表現される色の表記を示す図である。
【図14】実施例4−1における測定した印刷物の測色値を示す図である。
【図15】実施例4−1の特色のカラーコレクションテーブルを示す図である。
【図16】実施例4−1の上色のトラッピング率を示す図である。
【図17】実施例4−1の特色の透明度係数の設定を示す図である。
【図18】実施例4−1のノセ色 カラーコレクションテーブルを示す図である。
【図19】実施例4−2の特色の測色値を示す図である。
【図20】実施例4−2の設定した透明度係数を示す図である。
【図21】実施例4−2のノセ色 カラーコレクションテーブルを示す図である。
【図22】実施例4−3の特色の測色値を示す図である。
【図23】実施例4−3の設定した透明度係数を示す図である。
【図24】実施例4−3のノセ色 カラーコレクションテーブルを示す図である。
【図25】実施例4−4の特色の測色値を示す図である。
【図26】実施例4−4の設定した透明度係数を示す図である。
【図27】実施例4−4のノセ色 カラーコレクションテーブルを示す図である。
【図28】実施例4−5の特色の測色値を示す図である。
【図29】実施例4−5の設定した透明度係数を示す図である。
【図30】実施例4−5のノセ色 カラーコレクションテーブルを示す図である。
【図31】実施例4−6の特色の測色値を示す図である。
【図32】実施例4−6の設定した透明度係数を示す図である。
【図33】実施例4−6のノセ色 カラーコレクションテーブルを示す図である。
【図34】実施例4−7の特色の測色値を示す図である。
【図35】実施例4−7の設定した透明度係数を示す図である。
【図36】実施例4−7のノセ色 カラーコレクションテーブルを示す図である。
【図37】実施例4−8の特色の測色値を示す図である。
【図38】実施例4−8の設定した透明度係数を示す図である。
【図39】実施例4−8のノセ色 カラーコレクションテーブルを示す図である。
【図40】実施例4−1から実施例4−5における金属顔料インキの添加量とYMC別の透明度係数の値を示す図である。
【図41】実施例4のYMC別の金属顔料インキの添加量と最適透明度との関係を示すグラフである。
【図42】実施例4−1から実施例4−4におけるメジウムの添加量とYMC別の透明度係数の値を示す図である。
【図43】YMC別のメジウムの添加量と最適透明度との関係を示すグラフである。
【図44】実施例4−1及び実施例4−6から実施例4−8における白インキの添加量とYMC別の透明度係数の値を示す図である。
【図45】YMC別の白インキの添加量と最適透明度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 プルーフ画像出力装置
2 目標印刷物
3 測定手段(取得手段)
4 表示手段
5 操作手段
6 パネルコントロール
7 表示情報記憶手段
8 制御部
9 パラメータ演算手段(ノセ演算手段)
10 レンダリング手段
11 変換手段
12 機差補正手段
13 記憶手段
14 エジット手段(シュミレート手段)
15 網点データ生成部
100 画像情報処理装置
100a CPU
100b メモリ
200 GUI
Claims (13)
- プルーフ画像出力装置を用いて複数の異なる色を組み合わせて、任意の色調を表現できるプルーフ階調画像を形成させる画像形成方法において、
目標印刷物の複数のインキが重なった重なり部分の色を再現するための濃度を、前記重なり部分の上側に刷り重ねる上側インキの組成に応じた所定係数を用いて計算を行って決定し、決定した濃度で前記画像出力装置にプルーフ階調画像の形成を行わせることを特徴とする画像形成方法。 - 前記上側インキの組成は、添加剤成分を有し、前記所定係数は、前記添加剤の種類によって定められることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 前記上側インキの添加剤成分は、メジウムを含む透明性を有する成分、白インキを含む下地色を隠蔽する成分及び金属色顔料を含む成分に分類され、その分類のそれぞれに応じて前記所定係数を決定する請求項1又は2記載の画像形成方法。
- 前記再現するための濃度の計算は、前記上側インキの濃度、前記重なり部分の下側になる下側インキの濃度、透明度係数及びトラッピング率を基に行い、前記所定係数は、前記透明度係数であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の画像形成方法。
- シアン、マゼンタ及びイエローの各濃度の組み合わせで着色可能なプルーフ用画像形成材料を用いて、目標印刷物の複数版の刷り重ね部分の色調を再現するための濃度で、プルーフ階調画像を形成させる画像形成方法において、
前記再現するための濃度は、前記目標印刷物における下側インキの単色の色調又は濃度と、上に刷り重ねられる上側インキの単色の色調又は濃度と、前記上側インキの主要構成成分と、前記上側インキに添加される添加剤の成分に基づき、決定されることを特徴とする画像形成方法。 - 前記上側インキの添加剤の成分は、メジウムを含む透明性を有する成分、白インキを含む下地色を隠蔽する成分及び金属色顔料を含む成分のそれぞれに応じて前記再現する濃度を決定する請求項5記載の画像形成方法。
- プルーフ画像出力装置は、少なくともシアン、マゼンタ及びイエローを発色可能なハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀感光材料を、前記目標印刷物の画像データに基づいて光量を変化させて画像露光を行った後、発色現像処理することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の画
- 目標印刷物がブラック、シアン、マゼンタ及びイエロー以外の特色を含む画像を再現するプルーフ画像であることを特徴とする請求項7記載の画像形成方法。
- 2種以上のインキ層を刷り重ねて色調を表現する目標印刷物に対応して、n種の色を発色させて組み合わせて表現するプルーフとしての面積階調画像をプルーフ画像出力装置に形成させる画像形成方法であって、
前記目標印刷物の刷り重ね部分の濃度Dを、上色濃度O、下色濃度Uにより、下記の式で算出し、その濃度Dに対応して前記プルーフ画像出力装置に前記プルーフを出力させることを特徴とする画像形成方法。
Dj=Aj×Oj+Bj×Uj
但し、j:2からnまでの整数、
Aj:トラッピング率、0≦Aj≦1、ただし少なくとも、Ajの内、1つが0よりも大きく1よりも小さい。
Bj:透明度係数 0<Bj<1 - 透明度係数は、次の通りであることを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
0.9≦Bj<1(Ojの添加剤が透明性成分の場合)
0.3≦Bj≦0.97(Ojの添加剤が隠蔽性成分の場合)
0.05≦Bj≦0.97(Ojの添加剤が金属顔料成分の場合) - 2種以上のインキ層を刷り重ねて色調を表現する目標印刷物に対応して、n種の色を発色させて組み合わせて表現するプルーフとしての面積階調画像をプルーフ画像出力装置に形成させる画像出力システムであって、
予め、前記プルーフ画像出力装置の露光を行うための目標印刷物に対する基本色の濃度をカラーコレクションテーブルとして記憶する記憶する記憶手段と、前記目標印刷物の刷り重ね部分の濃度Dを、上色濃度O、下色濃度Uにより、下記の式で算出し、その濃度Dに対応して前記プルーフ画像出力装置に前記プルーフを出力させる画像情報処理装置を備えたことを特徴とする画像形成システム。
Dj=Aj×Oj+Bj×Uj
但し、j:2からnまでの整数、
Oj、Uj:前記カラーコレクションテーブルの内の1つの色の濃度
Aj:トラッピング率、0≦Aj≦1、ただし少なくとも、Ajの内、1つが0よりも大きく1よりも小さい。
Bj:透明度係数 0<Bj<1 - 前記透明度係数が次の通りであることを特徴とする請求項10記載の画像形成システム。
0.9≦Bj<1(Ojのインキの添加剤が透明性成分の場合)
0.3≦Bj≦0.97(Ojのインキの添加剤が隠蔽性成分の場合)
0.05≦Bj≦0.97(Ojのインキの添加剤が金属顔料成分の場合) - 目標印刷物の色の色特性を取得する取得手段と、
前記色特性を基に前記色特性に対する基本色の濃度を求め、前記カラーコレクションテーブルを作るために前記記憶手段に送る変換手段と
を備えた、請求項11又は12記載の画像形成システム。
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