JP2004290981A - インサート金具の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸材料として薄肉の中空軸材料を採用しても、耐引き抜き効果及び回り止め効果の優れた大きな規制用突起を形成することのできるインサート金具の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】被埋設体に埋設した状態で軸心回りの回転及び軸心方向の抜けを規制する規制用突起が外周面に突設された軸状のインサート金具の製造方法であって、断面円形の軸材料の一端面における外周縁部の一部に対し、ダイスに形成された押圧面を押しやるように、軸材料とダイスとを当該軸材料の軸心方向で相対的に移動させることで、押圧面が軸材料の外周面の一部を押し上げて隆起した規制用突起を形成しつつ、押圧面の直線状のエッジにより、軸材料の外周面に、当該軸材料の外周面上で軸心方向に延びる両側端を有する平面状の規制面を形成するようにしたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】被埋設体に埋設した状態で軸心回りの回転及び軸心方向の抜けを規制する規制用突起が外周面に突設された軸状のインサート金具の製造方法であって、断面円形の軸材料の一端面における外周縁部の一部に対し、ダイスに形成された押圧面を押しやるように、軸材料とダイスとを当該軸材料の軸心方向で相対的に移動させることで、押圧面が軸材料の外周面の一部を押し上げて隆起した規制用突起を形成しつつ、押圧面の直線状のエッジにより、軸材料の外周面に、当該軸材料の外周面上で軸心方向に延びる両側端を有する平面状の規制面を形成するようにしたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被埋設体に回り止め、及び抜け止めした状態で埋設する軸状のインサート金具の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂成形品やコンクリート成形品等(以下、被埋設体という)にネジ部材等を直接螺入したり、軸体を挿入したりすると、被埋設体の材質の特性(強度や靱性等)により、ネジ部材や軸体等における抜け止めや、回り止めを十分なものにすることができないといった問題があるため、従来から、被埋設体を成型する際に、抜け止め可能、且つ回り止め可能なインサート金具を埋設し、当該インサート金具を介してネジ部材や軸体を取り付けるといった施工が行われている。
【0003】
かかるインサート金具は、図6及び図7(図6におけるIII―III断面図)に示す如く、外周面に外側に向けて突出した規制用突起50と、該規制用突起50に連設されて軸心方向に延びる溝51とを有しており、被埋設体を成型する成型材料によって前記規制用突起50及び溝51が巻き込まれることで、回り止め及び抜け止めされるようになっている。
【0004】
当該インサート金具は、図8及び図9(図8におけるIV―IV断面図)に示すダイス53で断面略円形状をなす中空或いは中実の軸材料52を加工して製造されたものである。該ダイス53としては、軸材料52を軸心方向に挿入可能な穴54が形成され、該穴54を形成する内周面に穴54中心方向に延び、断面略角形の突起形成用突条55が突設されたものが採用されている。
【0005】
前記規制用突起50は、軸材料52をダイス53の穴54に挿入し、軸材料52の一端面における外周縁部を突起形成用突条55に押しやることで、軸材料52の外周面近傍が塑性変形し、当該軸材料52の外周面が外部に向けて隆起するように形成されている。
【0006】
また、前記溝51は、軸材料52の外周面の一部が突起形成用突条55に押しやられて(突起形成用突条55の移動に伴って)形成されたものである。つまり、前記規制用突起50及び溝51は突起形成用突条55の押圧による軸材料52の塑性変形により形成されたものである。
【0007】
なお、回り止め及び抜け止め効果を大きくすべく前記規制用突起50を大きくするには、ダイス53の突起形成用突条55の突出量を大きくすることで、軸材料52に対する押圧面積を大きくして軸材料52の外周面近傍部分における押し上げ量を多くしたり、突起形成用突条55の突出量を大きくすることなく、軸材料52とダイス53との相対移動量を大きくすることで、軸材料52の外周面近傍部分における軸心方向に押しやる量を多くしたりすることにより調整される。
【0008】
したがって、上記構成のインサート金具は、軸材料52をダイス53に押しやる工程のみで、前記規制用突起50及び溝51が形成されるので、低コストでの提供を可能としたものである(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特許第3045397号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記インサート金具の製造方法では、断面角形の突起形成用突条55で軸材料52の外周面を塑性変形させて規制用突起50を形成するため、被埋設体に対する抜け止め効果を向上させるべく規制用突起50を大きくするには、突起形成用突条55の穴54を形成する内周面からの突出量を大きくし、軸材料52を押圧する押圧面積(塑性変形させる領域)を大きくしなければならない。
【0011】
そのため、インサート金具を形成する軸材料52に筒状をなす薄肉の中空軸材料を採用した際に、軸材料52の肉厚に制限されて規制用突起50を大きくすることが困難であった。また、突起形成用突条55の穴54を形成する内周面からの突出量を小さくし、軸材料52とダイス53との相対移動量を大きくして突起形成用突条55による軸材料52の変形量を増そうとしても、軸材料52の軸心方向の全長によっても制限される場合がある。
【0012】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、軸材料として薄肉の中空軸材料を採用しても、耐引き抜き効果及び回り止め効果の優れた大きな規制用突起を形成することのできるインサート金具の製造方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるインサート金具の製造方法は、被埋設体に埋設した状態で軸心回りの回転及び軸心方向の抜けを規制する規制用突起が外周面に突設された軸状のインサート金具の製造方法であって、断面円形の軸材料の一端面における外周縁部の一部に対し、ダイスに形成された押圧面を押しやるように、軸材料とダイスとを当該軸材料の軸心方向で相対的に移動させることで、押圧面が軸材料の外周面の一部を押し上げて隆起した規制用突起を形成しつつ、押圧面の直線状のエッジにより、軸材料の外周面に、当該軸材料の外周面上で軸心方向に延びる両側端を有する平面状の規制面を形成するようにしたことを特徴とする。なお、「軸材料」とは、中実の軸材料を含むことは勿論のこと、筒状をなす中空の軸材料を含む概念である。
【0014】
前記インサート金具の製造方法によれば、ダイスに形成された押圧面を、軸材料の一端面における外周縁部に押しやるように、ダイス及び軸材料の相対移動させた際に、ダイスの押圧面による押圧で軸材料の外周面近傍の部分がダイス及び軸材料の相対移動方向に押し寄せられるように塑性変形し、これによって軸材料の外周面が押し上げられて隆起した規制用突起が形成される。また、上述の如く、ダイスに形成された押圧面のエッジが上述の如く直線状に形成されることで、軸材料の外周面近傍の部分が相対移動方向に押し寄せられるに際し、押圧面のエッジが軸材料の断面に対して外周面の二点上を通過、或いは交差するように移動することとなって、軸材料の外周面上に両側端を有する平面状の規制面が形成されることとなる。
【0015】
したがって、軸材料でインサート金具を製造する際には、軸材料の外周面からなる弧と、該弧の両端を結んだ直線状の弦とで包囲した広い領域が、ダイスの押圧面で押圧して軸方向且つ外側に塑性変形させる対象となるので、規制用突起を形成するのに無駄な部分を残すことなく軸材料の外周面近傍の一部分を有効的に塑性変形させることとなる。
【0016】
これにより、軸材料の直径方向における軸材料とダイスの押圧面との重なり量を少なくしなければならない場合や、軸材料とダイスとの相対的な移動量を少なくしなければならない場合等であっても、大きな規制用突起を形成することができる。また、この規制用突起を形成するに際し、ダイス及び軸材料の相対移動によるエッジの移動に伴って、広い面積で且つ平面状の規制面を形成することができる。
【0017】
したがって、該製造方法により製造されたインサート金具は、大きな規制用突起及び広い面積の平面状をなす規制面を有することとなるので、被埋設体に埋設した際に、抜け止め及び回り止め効果が優れたものになる。
【0018】
以上のように、上記インサート金具の製造方法によれば、軸材料の直径方向における軸材料とダイスの押圧面との重なり量が少なくても、大きな規制用突起を形成することができるので、軸材料として薄肉の中空軸を採用しても、回り止め及び抜け止め効果の優れた大きな規制用突起を形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかるインサート金具の製造方法について、添付図面を参照して説明する。まず、インサート金具の製造方法に先立って、当該製造方法で製造されたインサート金具の構成について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態にかかるインサート金具1の全体斜視図を示し、図2は、該インサート金具1の断面図であって、図1におけるI−I断面図を示している。かかるインサート金具1は、樹脂やコンクリート等による成型物(被埋設体(図示しない))に埋設するものであり、被埋設体に対して間接的にネジ部材や軸体等を取り付けたりするのに用いられるものである。
【0021】
かかるインサート金具1は、断面円形の軸材料2(本実施形態においては、前記ネジ部材の螺入、或いは軸体を挿入する穴を有して筒状をなす中空軸材料)をダイスで加工したものであり、軸材料2の外周面の一部を外側に向けて隆起させて形成された規制用突起3と、平面状の規制面4とを備えている。なお、ネジ部材を被埋設体に取り付けるためのインサート金具1を形成する場合には、中空軸材料2の内周面には、雌ねじが形成されることとなる。つまり、軸材料2は、完成品であるインサート金具1の使用目的により、断面円形に設定された種々の形態の軸材料2を採用可能であり、本実施形態の如き中空軸以外に中実軸を採用する場合もある。
【0022】
前記規制面4は、軸材料2の外周面上で軸材料2の軸心方向に延びる両側端を有し、軸材料2を一端を基端として他端側に延びるように平面状に形成されている。該規制面4の終端は、前記規制用突起3の根元に連接している。
【0023】
該インサート金具1の製造に用いられるダイス10は、図3及び図4(図3における断面II―II)に示す如く、中空軸材料2を軸心方向に案内可能に構成された筒状の案内部11と、該案内部11に同心となして連接された筒状の押圧部12とで構成されている。
【0024】
前記案内部11の穴110は、中空軸材料2を軸心方向に案内可能に形状設定されている(以下、この穴を案内穴という)。
【0025】
前記案内穴110を形成する内周面には、ダイス10の一端を基端として案内穴110の中心方向に延びるように、当該案内穴110の周方向に所定間隔を有して複数(本実施形態においては四本)の溝111が形成されており、該複数の溝111間の内周面は、中空軸材料2の外周面を摺接させて案内穴110の穴中心方向に案内できるように内径(中空軸材料2の外径に対応するように内径)が設定されている(以下、この面を案内面112という)。
【0026】
前記溝111は、中空軸材料2の外周面における曲率半径よりも小さな曲率半径に設定された凹状の円弧面113により形成されている。したがって、当該案内穴110に挿入した中空軸材料2は、外周面近傍の一部が溝111内における一部に介在することとなり、外周面と溝111の底面(円弧面113)との間には、空間が形成されることとなる。
【0027】
前記押圧部12は、中空軸材料2に前記規制用突起3を形成するための押圧面120を備えている。
【0028】
前記押圧面120は、筒状をなし、且つ前記案内部11に連結された当該押圧部12の一端面の一部であり、前記溝111の終端を閉塞するように形成されている。したがって、本実施形態においては、溝111が四本形成されているので、押圧面120が案内穴110の周方向に所定間隔を有して四面形成されていることになる。
【0029】
各押圧面120は、前記案内穴110によって案内されてくる中空軸材料2の一端面における外周縁部の一部(一端面における前記溝111内に介在する一部)と対向するように形成されている。
【0030】
各押圧面120は、前記溝111の底側が当該溝111の開口側(案内穴110の穴中心線側)に比してダイス10の一端側となるように傾斜して形成されており、前記溝111を形成する円弧面113の両端を結ぶように直線状をなすエッジ121を備えている。
【0031】
すなわち、押圧面120は、前記溝111の断面形状に対応した形状になっており、中空軸材料2の一端面(断面)における溝111内に介在する外周縁部の一部(中空軸材料2の外周面からなる弧と、該弧の両端を結ぶ直線状の弦とで包囲した領域)と対向するように形成され、軸材料2の断面における軸材料2の外周面で構成する弧と、該弧の両端を結んだ弦とで包囲した広い領域A(以下、押圧領域という)を、押圧できるように形成されている。
【0032】
なお、押圧部12の穴122は、案内部11の案内穴110と連通し、且つ内周面が、前記押圧面120のエッジ121を基端にしてダイス10の他端側に延びる平面部123と、前記案内穴110の案内面112が延長した状態でダイス10の他端側に延びる円弧面124とで周方向に接続された態様になっている。これにより、当該押圧部12(ダイス10)は、押圧面120による中空軸材料2に対する押圧に耐え得る強度を担保するようになっている。
【0033】
上記構成のダイス10を用いて上記構成のインサート金具1を製造するには、図5(イ)に示す如く、中空軸材料2とダイス10とを中空軸材料2の軸心方向に相対移動させ、中空軸材料2をダイス10の一端側から案内穴110内に挿入する。そうすると、図5(ロ)に示す如く、中空軸材料2の一端面における外周縁部の一部(押圧領域A)が、ダイス10に形成された押圧面120のそれぞれに対して当接し、この状態で、中空軸材料2が押圧面120に向けて押しやられる(大きな押圧力が作用する)ように、ダイス10及び中空軸材料2を軸心方向に相対移動させると、図5(ハ)に示す如く、押圧面120に当接した中空軸材料2における押圧領域Aが塑性変形を起こし、前記溝111の底側に隆起しつつ中空軸材料2の他端側に押しやられることとなる。
【0034】
この際、押圧面120のエッジ121が中空軸材料2の断面に対して外周面の二点上を通過、或いは交差するように移動することとなり、これによって、外周面上で軸心方向に延びた両側端を有する平面状の前記規制面4が中空軸材料2の他端に向けて形成されつつあり、押圧面120の押圧によって隆起した部分は、前記溝111を形成する円弧面113によって形状が整えられつつ塑性変形することとなる。なお、上述の如く、中空軸材料2の外周面近傍部分を塑性変形させるには、中空軸材料2を押圧面120に向けて大きな押圧力が必要であるので、本製造工程においては、本実施形態において図示しないが、中空軸材料2及びダイス10は、大きな押圧力を作用させて相互に押し合わせるように構成された装置が用いられる。
【0035】
さらに、図5(ニ)に示す如く、押圧により中空軸材料2の隆起した部分(規制用突起3)が、中空軸材料2の外周面において軸心方向の所定位置に形成されるまで、中空軸材料2を軸心方向に押圧した後、図5(ホ)に示す如く、中空軸材料2がダイス10から抜かれることにより上記構成のインサート金具1が完成することとなる。なお、ダイス10からの中空軸材料2を抜き取りは、前記押圧部12の穴122の穴形状に対応した断面形状を有する棒体等(図示しない)をダイス10の他端側から穴122に押し込むことで行われる。
【0036】
以上のように、前記製造方法において、直線状のエッジ121を形成して軸材料2の前記形状の押圧領域Aを押圧可能な押圧面120を有するダイス10を用い、押圧面120を中空軸材料2の一端面に押しやるように、ダイス10及び軸材料2の相対移動させ、これによって、ダイス10の押圧面120による押圧で軸材料2の押圧領域A(外周面近傍の部分)を塑性変形させて隆起した規制用突起3を形成するとともに、中空軸材料2の外周面上に両側端を有する平面状の規制面4が形成するようにしたので、中空軸材料2の断面形状における外周縁部近傍部分を無駄なく有効に規制用突起3を形成するのに用いることができる。これによって、軸材料2の直径方向における軸材料2とダイス10の押圧面120との重なり量が少なくても、大きな規制用突起3を形成することができる。
【0037】
また、この大きな規制用突起3の形成に伴って、前記押圧面120のエッジ121に対応して広い面積の規制面4を形成することができる。従って、前記製造方法により製造されるインサート金具1は、大きな規制用突起3及び平面状の面積の広い規制面4により、被埋設体に埋設された際に抜け止め及び回り止め機能に優れたものとなる。
【0038】
また、規制面4が外周面上で軸心方向に延びる両側端を有して平面状に形成されるので、該規制面4は、該規制面4の形成されていない中空軸材料2本来の円弧面とでなす角度α(図2参照)が略鈍角をなす状態で形成されるので、樹脂成形品等から構成された被埋設体に埋設し、当該インサート金具1に対して軸回りの回転力が付勢されても、インサート金具1(中空軸材料2)の外周面を形成する円弧面と規制面4とを接続した角部が被埋設体に対して集中した剪断力を生じさせることがなく、被埋設体の破断を防止した状態で、回り止め機能を発揮させることができる。
【0039】
また、前記製造方法に用いられるダイス10における押圧面120は、エッジ121が直線状に形成されているので、中空軸材料2を塑性変形させえる大きな押圧力を作用させても、エッジ121の一部に集中して作用しない、すなわち、押圧力がエッジ121の全領域に分散して作用するので、当該エッジ121部分の摩耗を低減することができる。また、押圧面120を傾斜面にすることによっても、中空軸材料2の外周面近傍部分を円滑に押し上げることができ、これによっても、エッジ121部分の摩耗を低減することができ、ダイス10の寿命を延命させることができる。前記製造方法に用いられるダイス10は、突起形成用突条を備えた従来のダイス10のように形状が複雑でないため、容易に製造することができ、ダイス10の製造にかかるコストを低減させることができる。
【0040】
尚、本発明のインサート金具1、及びインサート金具1の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0041】
上記実施形態において、インサート金具1を製造するための軸材料2として中空軸材料2を採用したが、これに限定されるものではなく、中実の軸材料2であっても勿論よい。
【0042】
上記実施形態にかかるダイス10は、押圧面120を四面備えていたが、これに限定されるものではなく、ダイス10は、上記構成の押圧面120を一面以上備えているものであればよい。
【0043】
上記実施形態において、押圧面120を傾斜面で構成したがこれに限定されるものではなく、例えば、押圧面120を軸材料2の軸心に対して直交するように形成したものであってもよい。
【0044】
また、上記実施形態にかかる製造方法は、ネジ部材や軸体を間接的に被埋設体に取り付けるインサート金具1を製造するものに限定されるものではなく、インサート金具1自体が軸体となるように構成されたもの、すなわち、軸材料2の一端側を前記の如き加工し、他端側を被埋設耐から突出させるように他端側を被埋設体に埋設するように構成されたインサート金具1の製造にも適用することができる。
【0045】
また、上記実施形態において、ネジ部材の螺入、或いは軸体の挿入が可能なインサート金具1を形成すべく、軸材料2として中空軸材料2を採用したが、例えば、軸材料2として中実の軸材料2を採用し、規制用突起3、及び規制面4を形成する工程と合わせて当該中実の軸材料2を筒状に仕上げるようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかるインサート金具の製造方法によれば、断面円形の軸材料の一端面におけ外周縁部の一部に対し、ダイスの形成された押圧面を押しやるように、軸材料とダイスとを当該軸材料の軸心方向で相対的に移動させることで、押圧面が軸材料の外周面の一部を押し上げて隆起した規制用突起を形成しつつ、押圧面の直線状のエッジに対応して軸材料の外周面上で軸心方向に延びる両側端を有する平面状の規制面を形成するようにしたので、軸材料として薄肉の中空軸材料を採用しても、耐引き抜き効果及び回り止め効果の優れた大きな規制用突起を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインサート金具の全体斜視図を示す。
【図2】図1におけるI−I断面図を示す。
【図3】同実施形態にかかるインサート金具の製造に用いるダイスの縦断面図を示す。
【図4】同実施形態にかかるインサート金具の製造に用いるダイスの断面図であって、図3におけるII―II断面図を示す。
【図5】同実施形態にかかるインサート金具の製造方法を説明する概略工程図であって、(イ)は、ダイスに中空軸材料を挿入する状態を示し、(ロ)は、中空材料が案内穴に案内されて一端面が押圧面に当接した状態を示し、(ハ)は、中空軸材料を押圧して規制用突起及び規制面が形成されつつある状態を示し、(ニ)は、規制用突起が中空軸材料の軸心方向の所定位置に形成された状態を示し、(ホ)は、ダイスから中空軸材料が取り出され、当該中空軸材料がインサート金具に形成された状態を示す。
【図6】従来のインサート金具の全体斜視図を示す。
【図7】図6におけるIII―III断面図を示す。
【図8】従来のインサート金具を製造するための軸材料の一部を含むダイスの縦断面図を示す。
【図9】従来のダイスの断面図であって、図8におけるIV―IV断面図を示す。
【符号の説明】
1…インサート金具、2…中空軸材料(軸材料)、3…規制用突起、4…規制面、10…ダイス、11…案内部、12…押圧部、110…案内穴(穴)、111…溝、112…案内面、113…円弧面、120…押圧面、121…エッジ、122…穴、123…平面部、124…円弧面、A…押圧領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、被埋設体に回り止め、及び抜け止めした状態で埋設する軸状のインサート金具の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂成形品やコンクリート成形品等(以下、被埋設体という)にネジ部材等を直接螺入したり、軸体を挿入したりすると、被埋設体の材質の特性(強度や靱性等)により、ネジ部材や軸体等における抜け止めや、回り止めを十分なものにすることができないといった問題があるため、従来から、被埋設体を成型する際に、抜け止め可能、且つ回り止め可能なインサート金具を埋設し、当該インサート金具を介してネジ部材や軸体を取り付けるといった施工が行われている。
【0003】
かかるインサート金具は、図6及び図7(図6におけるIII―III断面図)に示す如く、外周面に外側に向けて突出した規制用突起50と、該規制用突起50に連設されて軸心方向に延びる溝51とを有しており、被埋設体を成型する成型材料によって前記規制用突起50及び溝51が巻き込まれることで、回り止め及び抜け止めされるようになっている。
【0004】
当該インサート金具は、図8及び図9(図8におけるIV―IV断面図)に示すダイス53で断面略円形状をなす中空或いは中実の軸材料52を加工して製造されたものである。該ダイス53としては、軸材料52を軸心方向に挿入可能な穴54が形成され、該穴54を形成する内周面に穴54中心方向に延び、断面略角形の突起形成用突条55が突設されたものが採用されている。
【0005】
前記規制用突起50は、軸材料52をダイス53の穴54に挿入し、軸材料52の一端面における外周縁部を突起形成用突条55に押しやることで、軸材料52の外周面近傍が塑性変形し、当該軸材料52の外周面が外部に向けて隆起するように形成されている。
【0006】
また、前記溝51は、軸材料52の外周面の一部が突起形成用突条55に押しやられて(突起形成用突条55の移動に伴って)形成されたものである。つまり、前記規制用突起50及び溝51は突起形成用突条55の押圧による軸材料52の塑性変形により形成されたものである。
【0007】
なお、回り止め及び抜け止め効果を大きくすべく前記規制用突起50を大きくするには、ダイス53の突起形成用突条55の突出量を大きくすることで、軸材料52に対する押圧面積を大きくして軸材料52の外周面近傍部分における押し上げ量を多くしたり、突起形成用突条55の突出量を大きくすることなく、軸材料52とダイス53との相対移動量を大きくすることで、軸材料52の外周面近傍部分における軸心方向に押しやる量を多くしたりすることにより調整される。
【0008】
したがって、上記構成のインサート金具は、軸材料52をダイス53に押しやる工程のみで、前記規制用突起50及び溝51が形成されるので、低コストでの提供を可能としたものである(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特許第3045397号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記インサート金具の製造方法では、断面角形の突起形成用突条55で軸材料52の外周面を塑性変形させて規制用突起50を形成するため、被埋設体に対する抜け止め効果を向上させるべく規制用突起50を大きくするには、突起形成用突条55の穴54を形成する内周面からの突出量を大きくし、軸材料52を押圧する押圧面積(塑性変形させる領域)を大きくしなければならない。
【0011】
そのため、インサート金具を形成する軸材料52に筒状をなす薄肉の中空軸材料を採用した際に、軸材料52の肉厚に制限されて規制用突起50を大きくすることが困難であった。また、突起形成用突条55の穴54を形成する内周面からの突出量を小さくし、軸材料52とダイス53との相対移動量を大きくして突起形成用突条55による軸材料52の変形量を増そうとしても、軸材料52の軸心方向の全長によっても制限される場合がある。
【0012】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、軸材料として薄肉の中空軸材料を採用しても、耐引き抜き効果及び回り止め効果の優れた大きな規制用突起を形成することのできるインサート金具の製造方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるインサート金具の製造方法は、被埋設体に埋設した状態で軸心回りの回転及び軸心方向の抜けを規制する規制用突起が外周面に突設された軸状のインサート金具の製造方法であって、断面円形の軸材料の一端面における外周縁部の一部に対し、ダイスに形成された押圧面を押しやるように、軸材料とダイスとを当該軸材料の軸心方向で相対的に移動させることで、押圧面が軸材料の外周面の一部を押し上げて隆起した規制用突起を形成しつつ、押圧面の直線状のエッジにより、軸材料の外周面に、当該軸材料の外周面上で軸心方向に延びる両側端を有する平面状の規制面を形成するようにしたことを特徴とする。なお、「軸材料」とは、中実の軸材料を含むことは勿論のこと、筒状をなす中空の軸材料を含む概念である。
【0014】
前記インサート金具の製造方法によれば、ダイスに形成された押圧面を、軸材料の一端面における外周縁部に押しやるように、ダイス及び軸材料の相対移動させた際に、ダイスの押圧面による押圧で軸材料の外周面近傍の部分がダイス及び軸材料の相対移動方向に押し寄せられるように塑性変形し、これによって軸材料の外周面が押し上げられて隆起した規制用突起が形成される。また、上述の如く、ダイスに形成された押圧面のエッジが上述の如く直線状に形成されることで、軸材料の外周面近傍の部分が相対移動方向に押し寄せられるに際し、押圧面のエッジが軸材料の断面に対して外周面の二点上を通過、或いは交差するように移動することとなって、軸材料の外周面上に両側端を有する平面状の規制面が形成されることとなる。
【0015】
したがって、軸材料でインサート金具を製造する際には、軸材料の外周面からなる弧と、該弧の両端を結んだ直線状の弦とで包囲した広い領域が、ダイスの押圧面で押圧して軸方向且つ外側に塑性変形させる対象となるので、規制用突起を形成するのに無駄な部分を残すことなく軸材料の外周面近傍の一部分を有効的に塑性変形させることとなる。
【0016】
これにより、軸材料の直径方向における軸材料とダイスの押圧面との重なり量を少なくしなければならない場合や、軸材料とダイスとの相対的な移動量を少なくしなければならない場合等であっても、大きな規制用突起を形成することができる。また、この規制用突起を形成するに際し、ダイス及び軸材料の相対移動によるエッジの移動に伴って、広い面積で且つ平面状の規制面を形成することができる。
【0017】
したがって、該製造方法により製造されたインサート金具は、大きな規制用突起及び広い面積の平面状をなす規制面を有することとなるので、被埋設体に埋設した際に、抜け止め及び回り止め効果が優れたものになる。
【0018】
以上のように、上記インサート金具の製造方法によれば、軸材料の直径方向における軸材料とダイスの押圧面との重なり量が少なくても、大きな規制用突起を形成することができるので、軸材料として薄肉の中空軸を採用しても、回り止め及び抜け止め効果の優れた大きな規制用突起を形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかるインサート金具の製造方法について、添付図面を参照して説明する。まず、インサート金具の製造方法に先立って、当該製造方法で製造されたインサート金具の構成について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態にかかるインサート金具1の全体斜視図を示し、図2は、該インサート金具1の断面図であって、図1におけるI−I断面図を示している。かかるインサート金具1は、樹脂やコンクリート等による成型物(被埋設体(図示しない))に埋設するものであり、被埋設体に対して間接的にネジ部材や軸体等を取り付けたりするのに用いられるものである。
【0021】
かかるインサート金具1は、断面円形の軸材料2(本実施形態においては、前記ネジ部材の螺入、或いは軸体を挿入する穴を有して筒状をなす中空軸材料)をダイスで加工したものであり、軸材料2の外周面の一部を外側に向けて隆起させて形成された規制用突起3と、平面状の規制面4とを備えている。なお、ネジ部材を被埋設体に取り付けるためのインサート金具1を形成する場合には、中空軸材料2の内周面には、雌ねじが形成されることとなる。つまり、軸材料2は、完成品であるインサート金具1の使用目的により、断面円形に設定された種々の形態の軸材料2を採用可能であり、本実施形態の如き中空軸以外に中実軸を採用する場合もある。
【0022】
前記規制面4は、軸材料2の外周面上で軸材料2の軸心方向に延びる両側端を有し、軸材料2を一端を基端として他端側に延びるように平面状に形成されている。該規制面4の終端は、前記規制用突起3の根元に連接している。
【0023】
該インサート金具1の製造に用いられるダイス10は、図3及び図4(図3における断面II―II)に示す如く、中空軸材料2を軸心方向に案内可能に構成された筒状の案内部11と、該案内部11に同心となして連接された筒状の押圧部12とで構成されている。
【0024】
前記案内部11の穴110は、中空軸材料2を軸心方向に案内可能に形状設定されている(以下、この穴を案内穴という)。
【0025】
前記案内穴110を形成する内周面には、ダイス10の一端を基端として案内穴110の中心方向に延びるように、当該案内穴110の周方向に所定間隔を有して複数(本実施形態においては四本)の溝111が形成されており、該複数の溝111間の内周面は、中空軸材料2の外周面を摺接させて案内穴110の穴中心方向に案内できるように内径(中空軸材料2の外径に対応するように内径)が設定されている(以下、この面を案内面112という)。
【0026】
前記溝111は、中空軸材料2の外周面における曲率半径よりも小さな曲率半径に設定された凹状の円弧面113により形成されている。したがって、当該案内穴110に挿入した中空軸材料2は、外周面近傍の一部が溝111内における一部に介在することとなり、外周面と溝111の底面(円弧面113)との間には、空間が形成されることとなる。
【0027】
前記押圧部12は、中空軸材料2に前記規制用突起3を形成するための押圧面120を備えている。
【0028】
前記押圧面120は、筒状をなし、且つ前記案内部11に連結された当該押圧部12の一端面の一部であり、前記溝111の終端を閉塞するように形成されている。したがって、本実施形態においては、溝111が四本形成されているので、押圧面120が案内穴110の周方向に所定間隔を有して四面形成されていることになる。
【0029】
各押圧面120は、前記案内穴110によって案内されてくる中空軸材料2の一端面における外周縁部の一部(一端面における前記溝111内に介在する一部)と対向するように形成されている。
【0030】
各押圧面120は、前記溝111の底側が当該溝111の開口側(案内穴110の穴中心線側)に比してダイス10の一端側となるように傾斜して形成されており、前記溝111を形成する円弧面113の両端を結ぶように直線状をなすエッジ121を備えている。
【0031】
すなわち、押圧面120は、前記溝111の断面形状に対応した形状になっており、中空軸材料2の一端面(断面)における溝111内に介在する外周縁部の一部(中空軸材料2の外周面からなる弧と、該弧の両端を結ぶ直線状の弦とで包囲した領域)と対向するように形成され、軸材料2の断面における軸材料2の外周面で構成する弧と、該弧の両端を結んだ弦とで包囲した広い領域A(以下、押圧領域という)を、押圧できるように形成されている。
【0032】
なお、押圧部12の穴122は、案内部11の案内穴110と連通し、且つ内周面が、前記押圧面120のエッジ121を基端にしてダイス10の他端側に延びる平面部123と、前記案内穴110の案内面112が延長した状態でダイス10の他端側に延びる円弧面124とで周方向に接続された態様になっている。これにより、当該押圧部12(ダイス10)は、押圧面120による中空軸材料2に対する押圧に耐え得る強度を担保するようになっている。
【0033】
上記構成のダイス10を用いて上記構成のインサート金具1を製造するには、図5(イ)に示す如く、中空軸材料2とダイス10とを中空軸材料2の軸心方向に相対移動させ、中空軸材料2をダイス10の一端側から案内穴110内に挿入する。そうすると、図5(ロ)に示す如く、中空軸材料2の一端面における外周縁部の一部(押圧領域A)が、ダイス10に形成された押圧面120のそれぞれに対して当接し、この状態で、中空軸材料2が押圧面120に向けて押しやられる(大きな押圧力が作用する)ように、ダイス10及び中空軸材料2を軸心方向に相対移動させると、図5(ハ)に示す如く、押圧面120に当接した中空軸材料2における押圧領域Aが塑性変形を起こし、前記溝111の底側に隆起しつつ中空軸材料2の他端側に押しやられることとなる。
【0034】
この際、押圧面120のエッジ121が中空軸材料2の断面に対して外周面の二点上を通過、或いは交差するように移動することとなり、これによって、外周面上で軸心方向に延びた両側端を有する平面状の前記規制面4が中空軸材料2の他端に向けて形成されつつあり、押圧面120の押圧によって隆起した部分は、前記溝111を形成する円弧面113によって形状が整えられつつ塑性変形することとなる。なお、上述の如く、中空軸材料2の外周面近傍部分を塑性変形させるには、中空軸材料2を押圧面120に向けて大きな押圧力が必要であるので、本製造工程においては、本実施形態において図示しないが、中空軸材料2及びダイス10は、大きな押圧力を作用させて相互に押し合わせるように構成された装置が用いられる。
【0035】
さらに、図5(ニ)に示す如く、押圧により中空軸材料2の隆起した部分(規制用突起3)が、中空軸材料2の外周面において軸心方向の所定位置に形成されるまで、中空軸材料2を軸心方向に押圧した後、図5(ホ)に示す如く、中空軸材料2がダイス10から抜かれることにより上記構成のインサート金具1が完成することとなる。なお、ダイス10からの中空軸材料2を抜き取りは、前記押圧部12の穴122の穴形状に対応した断面形状を有する棒体等(図示しない)をダイス10の他端側から穴122に押し込むことで行われる。
【0036】
以上のように、前記製造方法において、直線状のエッジ121を形成して軸材料2の前記形状の押圧領域Aを押圧可能な押圧面120を有するダイス10を用い、押圧面120を中空軸材料2の一端面に押しやるように、ダイス10及び軸材料2の相対移動させ、これによって、ダイス10の押圧面120による押圧で軸材料2の押圧領域A(外周面近傍の部分)を塑性変形させて隆起した規制用突起3を形成するとともに、中空軸材料2の外周面上に両側端を有する平面状の規制面4が形成するようにしたので、中空軸材料2の断面形状における外周縁部近傍部分を無駄なく有効に規制用突起3を形成するのに用いることができる。これによって、軸材料2の直径方向における軸材料2とダイス10の押圧面120との重なり量が少なくても、大きな規制用突起3を形成することができる。
【0037】
また、この大きな規制用突起3の形成に伴って、前記押圧面120のエッジ121に対応して広い面積の規制面4を形成することができる。従って、前記製造方法により製造されるインサート金具1は、大きな規制用突起3及び平面状の面積の広い規制面4により、被埋設体に埋設された際に抜け止め及び回り止め機能に優れたものとなる。
【0038】
また、規制面4が外周面上で軸心方向に延びる両側端を有して平面状に形成されるので、該規制面4は、該規制面4の形成されていない中空軸材料2本来の円弧面とでなす角度α(図2参照)が略鈍角をなす状態で形成されるので、樹脂成形品等から構成された被埋設体に埋設し、当該インサート金具1に対して軸回りの回転力が付勢されても、インサート金具1(中空軸材料2)の外周面を形成する円弧面と規制面4とを接続した角部が被埋設体に対して集中した剪断力を生じさせることがなく、被埋設体の破断を防止した状態で、回り止め機能を発揮させることができる。
【0039】
また、前記製造方法に用いられるダイス10における押圧面120は、エッジ121が直線状に形成されているので、中空軸材料2を塑性変形させえる大きな押圧力を作用させても、エッジ121の一部に集中して作用しない、すなわち、押圧力がエッジ121の全領域に分散して作用するので、当該エッジ121部分の摩耗を低減することができる。また、押圧面120を傾斜面にすることによっても、中空軸材料2の外周面近傍部分を円滑に押し上げることができ、これによっても、エッジ121部分の摩耗を低減することができ、ダイス10の寿命を延命させることができる。前記製造方法に用いられるダイス10は、突起形成用突条を備えた従来のダイス10のように形状が複雑でないため、容易に製造することができ、ダイス10の製造にかかるコストを低減させることができる。
【0040】
尚、本発明のインサート金具1、及びインサート金具1の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0041】
上記実施形態において、インサート金具1を製造するための軸材料2として中空軸材料2を採用したが、これに限定されるものではなく、中実の軸材料2であっても勿論よい。
【0042】
上記実施形態にかかるダイス10は、押圧面120を四面備えていたが、これに限定されるものではなく、ダイス10は、上記構成の押圧面120を一面以上備えているものであればよい。
【0043】
上記実施形態において、押圧面120を傾斜面で構成したがこれに限定されるものではなく、例えば、押圧面120を軸材料2の軸心に対して直交するように形成したものであってもよい。
【0044】
また、上記実施形態にかかる製造方法は、ネジ部材や軸体を間接的に被埋設体に取り付けるインサート金具1を製造するものに限定されるものではなく、インサート金具1自体が軸体となるように構成されたもの、すなわち、軸材料2の一端側を前記の如き加工し、他端側を被埋設耐から突出させるように他端側を被埋設体に埋設するように構成されたインサート金具1の製造にも適用することができる。
【0045】
また、上記実施形態において、ネジ部材の螺入、或いは軸体の挿入が可能なインサート金具1を形成すべく、軸材料2として中空軸材料2を採用したが、例えば、軸材料2として中実の軸材料2を採用し、規制用突起3、及び規制面4を形成する工程と合わせて当該中実の軸材料2を筒状に仕上げるようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかるインサート金具の製造方法によれば、断面円形の軸材料の一端面におけ外周縁部の一部に対し、ダイスの形成された押圧面を押しやるように、軸材料とダイスとを当該軸材料の軸心方向で相対的に移動させることで、押圧面が軸材料の外周面の一部を押し上げて隆起した規制用突起を形成しつつ、押圧面の直線状のエッジに対応して軸材料の外周面上で軸心方向に延びる両側端を有する平面状の規制面を形成するようにしたので、軸材料として薄肉の中空軸材料を採用しても、耐引き抜き効果及び回り止め効果の優れた大きな規制用突起を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインサート金具の全体斜視図を示す。
【図2】図1におけるI−I断面図を示す。
【図3】同実施形態にかかるインサート金具の製造に用いるダイスの縦断面図を示す。
【図4】同実施形態にかかるインサート金具の製造に用いるダイスの断面図であって、図3におけるII―II断面図を示す。
【図5】同実施形態にかかるインサート金具の製造方法を説明する概略工程図であって、(イ)は、ダイスに中空軸材料を挿入する状態を示し、(ロ)は、中空材料が案内穴に案内されて一端面が押圧面に当接した状態を示し、(ハ)は、中空軸材料を押圧して規制用突起及び規制面が形成されつつある状態を示し、(ニ)は、規制用突起が中空軸材料の軸心方向の所定位置に形成された状態を示し、(ホ)は、ダイスから中空軸材料が取り出され、当該中空軸材料がインサート金具に形成された状態を示す。
【図6】従来のインサート金具の全体斜視図を示す。
【図7】図6におけるIII―III断面図を示す。
【図8】従来のインサート金具を製造するための軸材料の一部を含むダイスの縦断面図を示す。
【図9】従来のダイスの断面図であって、図8におけるIV―IV断面図を示す。
【符号の説明】
1…インサート金具、2…中空軸材料(軸材料)、3…規制用突起、4…規制面、10…ダイス、11…案内部、12…押圧部、110…案内穴(穴)、111…溝、112…案内面、113…円弧面、120…押圧面、121…エッジ、122…穴、123…平面部、124…円弧面、A…押圧領域
Claims (1)
- 被埋設体に埋設した状態で軸心回りの回転及び軸心方向の抜けを規制する規制用突起が外周面に突設された軸状のインサート金具の製造方法であって、断面円形の軸材料の一端面における外周縁部の一部に対し、ダイスに形成された押圧面を押しやるように、軸材料とダイスとを当該軸材料の軸心方向で相対的に移動させることで、押圧面が軸材料の外周面の一部を押し上げて隆起した規制用突起を形成しつつ、押圧面の直線状のエッジにより、軸材料の外周面に、当該軸材料の外周面上で軸心方向に延びる両側端を有する平面状の規制面を形成するようにしたことを特徴とするインサート金具の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003083272A JP2004290981A (ja) | 2003-03-25 | 2003-03-25 | インサート金具の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007315538A (ja) * | 2006-05-26 | 2007-12-06 | Yamaguchi Nut:Kk | ナット、及び同ナットの製造方法、ならびにナットのゆるみ防止構造 |
CN104785694A (zh) * | 2014-01-21 | 2015-07-22 | 矢崎总业株式会社 | 压入部件的制造方法和通过该制造方法制造的压入部件 |
-
2003
- 2003-03-25 JP JP2003083272A patent/JP2004290981A/ja not_active Withdrawn
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