JP2004290894A - 海洋深層水脱塩処理システム - Google Patents

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Koji Suzuki
鈴木  孝治
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Abstract

【課題】利用価値の高い溶液を海洋深層水から効率的に生成する。
【解決手段】海洋深層水を、電気透析槽1及び逆浸透膜層2の各濃縮室1b、2bに供給すると共に、上記逆透析槽2で分離した濃縮液を、原水として上記電気透析槽1の脱塩室1cに供給する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海洋深層水から利用価値の高い溶液を得ることが可能な海洋深層水脱塩処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、海洋深層水を処理して各種の溶液を生成する場合には、例えば次のような方法が採られている。すなわち、海洋深層水を、逆浸透膜装置の濃縮側に供給して脱塩処理を行って、濃縮側のミネラル塩水と脱塩側の淡水に分離し、また、上記海洋深層水を、イオン交換膜を使用した電気透析装置の濃縮側及び脱塩側に供給して脱塩処理を行って、濃縮側の高濃度ミネラル塩水と脱塩側のミネラル水に分離している。
【0003】
しかし、この方法では、電気透析装置の濃縮側と脱塩側の両方に原水として海洋深層水を供給して、すなわち同一濃度の原水を供給して分離処理を行うので、電気透析の効率が悪い。
これに対して、従来、先行文献1に記載の脱塩処理方法もある。
すなわち、海洋深層水を、逆浸透膜装置の濃縮側、及び電気透析装置の脱塩側に供給すると共に、上記逆浸透膜装置で分離して生成した脱塩側の溶液(淡水)を上記電気透析装置の濃縮側に原水として供給して電気透析を実施するものであり、当該電気透析装置で分離した後の脱塩側の溶液を、ミネラル水とするものである。なお、この処理では、電気透析装置で分離後の濃縮側の溶液は、ミネラル飲料水として不要な成分が含まれているとして排水し、また、逆浸透膜装置で分離後の濃縮側の溶液を、製造原水としている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−87762号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方式では、製品としての需要が高い、逆浸透膜装置で分離した脱塩側の溶液(淡水)を、電気透析装置で消費することとなる。
また、この処理方式で生成される、電気透析装置で分離後の濃縮側の溶液、及び逆浸透膜装置で分離後の濃縮側の溶液は、製品としての需要が少ない。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、利用価値の高い溶液を海洋深層水から効率的に生成することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、海洋深層水が原水として濃縮側に供給されて逆浸透膜によって当該海洋深層水の脱塩処理を行う逆浸透膜装置と、海洋深層水が原水として濃縮側に供給されイオン交換膜を使用して脱塩処理を行う電気透析装置と、上記逆浸透膜装置で分離された濃縮側の溶液の一部若しくは全部を上記電気透析装置の脱塩側に原水として供給する濃縮液供給手段と、を備えることを特徴とする海洋深層水脱塩処理システムを提供するものである。
ここで、原水とは、処理前の液体をいう。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る海洋深層水脱塩処理システムを示す概略構成図である。
まず構成について説明すると、図1に示すように、電気透析装置を構成する電気透析槽1と、逆浸透膜装置を構成する逆浸透膜槽2とを備える。
【0008】
符号1aは、電気透析装置の陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜からなるイオン交換膜を模式的に示したもので、当該イオン交換膜1aの上側が濃縮側の濃縮室1bを、下側が脱塩側の脱塩室1cをそれぞれ示している。
また、符号2aは、逆浸透膜装置の半透膜からなる逆浸透膜を模式的に示したもので、当該逆浸透膜2aの上側が濃縮側の濃縮室2b、下側が脱塩室2cを示している。ここで、上記逆浸透膜装置は、例えば、高圧及び低圧の2つの逆浸透膜槽や3槽から構成されて、2段階や3段階以上で処理が行われる構成も含まれる。
【0009】
さらに、原水供給管3によって、海洋深層水4が上記電気透析槽1の濃縮室1b及び逆浸透膜槽2の濃縮室2bにそれぞれ供給可能となっている。
また、上記逆浸透膜槽2における濃縮室2bの排出口と、上記電気透析槽1における脱塩室1cの供給口とが濃縮液供給管5によって連結されており、濃縮液供給管5に介装されたポンプ6を駆動することで、上記濃縮室1bの溶液を上記脱塩室1cに圧送可能となっている。ここで、上記濃縮供給管5及びポンプ6が、濃縮液供給手段を構成しており、一時的に液を貯蔵するタンクなどが介装される場合もある。
【0010】
上記濃縮液供給管5は、途中で分岐しており、その分岐管5aを通じて上記濃縮室1b内の溶液を生成水として供給可能となっている。
また、電気透析槽1の濃縮室1bと脱塩室1c、及び逆浸透膜槽2の脱塩室2cの各排出口にはそれぞれ個別の供給管7〜9が接続され、脱塩分離処理後の溶液をそれぞれ生成水として供給可能となっている。
【0011】
次に、上記構成のシステムの動作や作用・効果について説明する。
逆浸透膜槽2の濃縮室2bに原水として海洋深層水4が供給され、公知の手段で、圧力を加えて逆浸透膜処理を実施して、上記原水としての海洋深層水4を、濃縮室2b側の濃縮液と、脱塩室2c側の淡水に分離する。
また、電気透析槽1では、濃縮室1bに原水として海洋深層水4が供給され、且つ脱塩室1cに、上記逆浸透膜槽2で分離された濃縮室2b内の濃縮液の一部又は全部が、原水として供給される。そして、公知の手段で、直流電圧を掛け、塩素イオンとナトリウムイオンをイオン交換膜1aを通過させて濃縮室1b側に移動させるイオン交換処理を行い、濃縮室1b側を、塩分が濃縮した高濃度ミネラル塩水とし、また、脱塩室1c側を、海洋深層水4内のミネラルが残ったミネラル水とする。
【0012】
上記脱塩処理を実施した後の、逆浸透膜槽2の脱塩室1cの溶液(淡水)、電気透析槽1の各室1b、1cの溶液は、それぞれ個別の供給管7〜9によって不図示の次工程に送られる。
上記システムは、従来例の処理方式では大量に排水していた、塩分とミネラル分とが濃縮されたミネラル塩水が、濃縮液供給管5を通じて、電気透析槽1における脱塩室1c側の原水として有効利用される。このことは、その分、電気透析槽1で使用される海洋深層水4の削減に繋がる。
【0013】
さらに、電気透析槽1の脱塩室1c側の原水として、塩分及びミネラル分が濃縮した溶液を使用することで、脱塩処理後における濃縮室1b内の塩分濃度が高くなって、利用価値の高い高濃度ミネラル塩水が生成される。
ここで、上記実施形態では、電気透析槽1の脱塩室1cの原水として、逆浸透膜処理によって濃縮した濃縮液だけを使用する場合を例示しているが、電気透析槽1の濃縮室1b側に生成される濃縮ミネラル塩水の塩分濃度調整のために、上記濃縮室1b側の原水として、上記濃縮液と共に未処理の海洋深層水4を供給しても良い。
【0014】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明を採用すると、効率よく淡水、ミネラル塩水、ミネラル水、及び高濃度ミネラル塩水を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る海洋深層水脱塩処理システムを説明するための概要構成図である。
【符号の説明】
1 電気透析槽(電気透析装置)
1b 濃縮室(濃縮側)
1c 脱塩室(脱塩側)
2 逆透析膜槽(逆透析膜装置)
2b 濃縮室(濃縮側)
2c 脱塩室(脱塩側)
4 海洋深層水
5 濃縮液供給管(濃縮液供給手段)
6 ポンプ(濃縮液供給手段)

Claims (1)

  1. 海洋深層水が原水として濃縮側に供給されて逆浸透膜によって当該海洋深層水の脱塩処理を行う逆浸透膜装置と、海洋深層水が原水として濃縮側に供給されイオン交換膜を使用して脱塩処理を行う電気透析装置と、上記逆浸透膜装置で分離された濃縮側の溶液の一部若しくは全部を上記電気透析装置の脱塩側に原水として供給する濃縮液供給手段と、を備えることを特徴とする海洋深層水脱塩処理システム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010137185A1 (ja) * 2009-05-28 2010-12-02 三菱重工業株式会社 塩及び淡水の併産装置及び方法
CN103466660A (zh) * 2013-09-24 2013-12-25 天津长芦汉沽盐场有限责任公司 一种高效利用淡化后的海水浓缩液制盐的生产工艺

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